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特表2025-505598二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物、複合材料及びその製造方法
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  • 特表-二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物、複合材料及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物、複合材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/42 20060101AFI20250220BHJP
   C08G 59/24 20060101ALI20250220BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20250220BHJP
   C08L 71/00 20060101ALI20250220BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
C08G59/42
C08G59/24
C08L63/00 A
C08L71/00 Z
C08J5/04 CFC
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546067
(86)(22)【出願日】2023-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-07-31
(86)【国際出願番号】 CN2023103005
(87)【国際公開番号】W WO2024037194
(87)【国際公開日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】202210990323.4
(32)【優先日】2022-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524288768
【氏名又は名称】北京玻鋼院複合材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING COMPOSITE MATERIALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 261, Kangxi Road, Badaling Economic Development Zone Yanqing District, Beijing,102101, China
(71)【出願人】
【識別番号】524288779
【氏名又は名称】北玻院(滕州)複合材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING COMPOSITE MATERIALS (TENGZHOU) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】South Of Beixin West Road, Tengzhou City Zaozhuang, Shandong, 277500, China
(71)【出願人】
【識別番号】523177001
【氏名又は名称】中国建材集団有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】張 為軍
(72)【発明者】
【氏名】王 淑霞
(72)【発明者】
【氏名】▲てき▼ 軍明
(72)【発明者】
【氏名】陳 鋒
(72)【発明者】
【氏名】毛 雅賽
(72)【発明者】
【氏名】張 明輝
(72)【発明者】
【氏名】姚 亜琳
(72)【発明者】
【氏名】賈 晨輝
【テーマコード(参考)】
4F072
4J002
4J036
【Fターム(参考)】
4F072AA04
4F072AA07
4F072AB09
4F072AB28
4F072AB29
4F072AB30
4F072AD24
4F072AD28
4F072AD42
4F072AF24
4F072AF26
4F072AF28
4F072AH04
4F072AH21
4F072AJ04
4F072AJ22
4F072AK05
4F072AK14
4F072AK16
4F072AL02
4F072AL11
4F072AL16
4J002CD012
4J002CD051
4J002CD111
4J002EL026
4J002EL137
4J002FD147
4J002GN00
4J036AA05
4J036AB01
4J036AB09
4J036AB10
4J036AD08
4J036AD21
4J036DB20
4J036DB21
4J036DB22
4J036FA11
4J036FB12
4J036JA11
(57)【要約】
二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物、複合材料及びその製造方法を提供する。二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物は、ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂 50~120質量部と、低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂 5~30質量部と、酸無水物硬化剤 50~120質量部と、ポリエーテル強靭化剤 5~30質量部と、促進剤 0~5質量部とを含む。当該エポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂系複合材料は、典型的な二相海島構造を有し、強靭化効果が明らかであり、製造される複合材料は、衝撃靭性が大幅に向上され、屈曲強度及び屈曲弾性率が改善され、二相海島構造を形成してエポキシ樹脂を強靭化した後、材料の引張強度及び引張弾性率に対する強靭化剤の影響がさらに小さく、ガラス転移温度にほとんど影響を与えない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂 50~120質量部と、
低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂 5~30質量部と、
酸無水物硬化剤 50~120質量部と、
ポリエーテル強靭化剤 5~30質量部と、
促進剤 0~5質量部と、
を含む、二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂 80~90質量部と、
低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂 10~20質量部と、
酸無水物硬化剤 80~90質量部と、
ポリエーテル強靭化剤 10~20質量部と、
促進剤 0~2質量部と、
を含む、請求項1に記載の二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリエーテル強靭化剤は、分子量が200~4000のポリオキシプロピレングリコール、及び分子量が200~4000のポリテトラメチレンエーテルグリコールのうちの1種又は複数種である、
請求項1に記載の二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
前記ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びビスフェノールS型エポキシ樹脂の1種又は複数種の組み合わせであり、
前記低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂は、n-ブチルグリシジルエーテル、C12-C14ポリアルキルグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,2-プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルの1種又は複数種の組み合わせであり、
前記酸無水物硬化剤は、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロメチル無水フタル酸、ヘキサヒドロメチル無水フタル酸、無水トリメリット酸、桐油酸無水物、メチルナジック酸無水物、無水マレイン酸のうちの1種又は複数種の組み合わせである、
請求項1に記載の二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物の製造方法であって、
前記ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂と、前記低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂と、前記酸無水物硬化剤と、前記ポリエーテル強靭化剤と、前記促進剤とを混合し攪拌して、前記二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物を取得する工程、
を含む、製造方法。
【請求項6】
具体的には、
前記ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂と前記低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂とを混合し、第1の超音波乳化を行って、変性エポキシ樹脂成分を取得する工程S1と、
前記酸無水物硬化剤と、前記ポリエーテル強靭化剤と、前記促進剤とを混合し、第2の超音波乳化を行って、変性硬化剤成分を取得する工程S2と、
前記変性エポキシ樹脂成分と前記変性硬化剤成分とを混合して、前記二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物を取得する工程S3と、
を含む、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第1の超音波乳化及び/又は前記第2の超音波乳化は、超音波周波数が25~60KHzであり、超音波出力が600~6000Wである、
請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
樹脂基材材料と繊維強化材料の複合とが複合されてなるエポキシ樹脂系複合材料であって、
前記樹脂基材材料は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物、又は、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の製造方法により製造される二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物である、
エポキシ樹脂系複合材料。
【請求項9】
前記エポキシ樹脂系複合材料において、前記繊維強化材料の質量分率は、20~40%である、
請求項8に記載のエポキシ樹脂系複合材料。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のエポキシ樹脂系複合材料の製造方法であって、
前記二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物を製造する工程A1と、
前記二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物を用いて繊維強化材料を浸漬させ、延伸成形プロセスによって前記エポキシ樹脂系複合材料を製造する工程A2と、
を含む、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年8月18日に提出された発明の名称が「二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物、複合材料及びその製造方法」である中国特許出願202210990323.4の優先権を主張し、当該出願の全ての内容は、引用を通じて本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、エポキシ樹脂系複合材料の技術分野に属し、具体的には、二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物、複合材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エポキシ樹脂は、先進的な複合材料の樹脂基材であって、その性能が優れており、特に耐摩耗性、機械性、接着性、化学安定性、電気絶縁性及び基材に対する粘着性などで表現されているため、機械、化学工業、建築、鉄道交通及び航空宇宙などの分野でその姿を見ることができる。しかしながら、エポキシ樹脂が架橋硬化された後、立体網状構造が形成されて、架橋密度が増大され、内部応力が向上され、硬化物が硬くて脆く、靭性も劣って開裂しやすく、高強靭性複合材料への適用が制限されているため、エポキシ樹脂を変性して、強化強靭化の目的を達成する必要がある。
【0004】
現在、一般的な変性方法は、通常、可撓性分子鎖を有するエポキシ樹脂、可撓性分子鎖を有する硬化剤又は活性末端基を有する変性剤をエポキシ樹脂/酸無水物システムに添加して、これらを分子レベルで分散させ、化学結合によりエポキシ樹脂の架橋ネットワークにインターカレーションして、エポキシ架橋ネットワーク全体を柔軟化させる。例えば、公開番号がCN108892776Aの中国特許文献には、シリコーン変性エポキシ樹脂及びその製造方法が開示されており、Q型POSSブロックのポリメチルフェニルシロキサン変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂により、ポリシロキサンの良好な柔軟性は変性エポキシ樹脂の靭性を向上させることができるが、このような変性手段は、エポキシ樹脂の脆性をある程度低下させるものの、材料の剛性及び耐熱性能を犠牲にすることは避けられない。
【0005】
したがって、複合材料基材材料に用いられる場合、靭性が大幅に向上されるとともに、材料の引張強度、引張弾性率、耐熱性能への影響が小さい変性エポキシ樹脂材料を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本願が解決しようとする課題とは、二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物、複合材料及びその製造方法を提供することである。当該エポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂系複合材料は、典型的な二相海島構造を有し、強靭化効果が明らかであり、製造される複合材料は、衝撃靱性が大幅に向上され、屈曲強度及び屈曲弾性率が改善され、二相海島構造を形成してエポキシ樹脂を強靭化した後、材料の引張強度及び引張弾性率に対する強靭化剤の影響がさらに小さく、ガラス転移温度にほとんど影響を与えない。
【0007】
上記課題を解決するために、本願の一態様は、二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物を提供し、それは、質量部で、ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂 50~120部と、低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂 5~30部と、酸無水物硬化剤 50~120部と、ポリエーテル強靭化剤 5~30部と、促進剤 0~5部との成分を含む。
【0008】
好ましくは、前記二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物は、質量部で、ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂 80~90部と、低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂 10~20部と、酸無水物硬化剤 80~90部と、ポリエーテル強靭化剤 10~20部と、促進剤 0~2部との成分を含む。
【0009】
好ましくは、前記ポリエーテル強靭化剤は、分子量が200~4000のポリオキシプロピレングリコール、及び分子量が200~4000のポリテトラメチレンエーテルグリコールのうちの1種又は複数種である。
【0010】
好ましくは、前記ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂のうちの1種又は複数種の組み合わせである。
【0011】
好ましくは、前記低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂は、n-ブチルグリシジルエーテル、C12-C14ポリアルキルグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,2-プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルの1種又は複数種の組み合わせである。
【0012】
好ましくは、前記酸無水物硬化剤は、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロメチル無水フタル酸、ヘキサヒドロメチル無水フタル酸、無水トリメリット酸、桐油酸無水物、メチルナジック酸無水物、無水マレイン酸のうちの1種又は複数種の組み合わせである。
【0013】
本願の別の態様は、上記の二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物の製造方法を提供し、それは、以下の工程を含む。
前記ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂と、前記低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂と、前記酸無水物硬化剤と、前記ポリエーテル強靭化剤と、前記促進剤とを混合し攪拌して、前記二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物を取得する。
【0014】
好ましくは、具体的には、以下の工程を含む。
S1において、前記ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂と前記低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂とを混合し、第1の超音波乳化を行って、変性エポキシ樹脂成分を取得する。
S2において、前記酸無水物硬化剤と、前記ポリエーテル強靭化剤と、前記促進剤とを混合し、第2の超音波乳化を行って、変性硬化剤成分を取得する。
S3において、前記変性エポキシ樹脂成分と前記変性硬化剤成分とを混合して、前記二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物を取得する。
【0015】
好ましくは、前記第1の超音波乳化及び/又は前記第2の超音波乳化は、超音波周波数が25~60KHzであり、超音波出力が600~6000Wである。
【0016】
本願の別の態様は、樹脂基材材料と繊維強化材料とが複合されてなるエポキシ樹脂系複合材料を提供する。前記樹脂基材材料は、上記の二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物、又は、上記の製造方法により製造される二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物である。
【0017】
好ましくは、前記エポキシ樹脂系複合材料において、前記繊維強化材料の質量分率は、20~40%である。
【0018】
本願の別の態様は、上記のエポキシ樹脂系複合材料の製造方法を提供し、それは、以下の工程を含む。
A1において、前記二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物を製造する。
A2において、前記二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物を用いて繊維強化材料を浸漬させ、延伸成形プロセスによって前記エポキシ樹脂系複合材料を製造する。
【0019】
本願は、従来技術と比較して、以下の有益な効果を有する。
【0020】
本願のエポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂系複合材料は、典型的な二相海島構造を有し、強靭化効果が明らかである。エポキシ樹脂系複合材料は、衝撃靭性が大幅に向上され、屈曲強度及び屈曲弾性率が改善され、二相海島構造を形成してエポキシ樹脂を強靭化した後、材料の引張強度及び引張弾性率に対する強靭化剤の影響が小さく、ガラス転移温度にほとんど影響を与えない。
【0021】
本願のエポキシ樹脂組成物の製造方法は、ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂と低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂とを混合した後に超音波乳化を行い、超音波乳化の「キャビテーション」効果により、ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂の粘度を低下させて、エポキシ樹脂の作業性を向上させ、生産過程における繊維浸漬効果を向上させることができるため、当該エポキシ樹脂組成物はエポキシ樹脂系複合材料製品の生産過程に用いられ、内部繊維は接着液に浸漬速度が速く、浸漬効果が高い。また、酸無水物硬化剤と、ポリエーテル強靭化剤と、促進剤とを混合した後に超音波乳化を行い、超音波乳化の「キャビテーション」効果により、強靭化剤をナノスケールレベルで硬化剤中に均一に分散させ、エポキシ樹脂硬化反応及び均一に分布される二相海島構造の形成のために必要な微細環境条件を提供するため、顕著な強靭化効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
ここでの図面は明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成し、本願に適合している実施例を示し、明細書とともに本願の原理を解釈するために用いられる。本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の説明において使用される必要がある図面を簡単に紹介し、明らかに、当業者であれば、創造的な労力を要らず、これらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
図1】本発明の実施例1のエポキシ樹脂系複合材料の走査型電子顕微鏡図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を参照して、本発明の技術案を明らかに、完全に説明し、勿論、説明される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が、創造的な労働をせずに得られるすべての他の実施例も、本発明の保護範囲に属する。
【0024】
本願の実施例の第1の態様は、二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物を提供し、それは、質量部で、ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂 50~120部と、低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂 5~30部と、酸無水物硬化剤 50~120部と、ポリエーテル強靭化剤 5~30部と、促進剤 0~5部との成分を含む。
【0025】
本願の二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物は、ポリエーテル強靭化剤を添加することにより、エポキシ樹脂架橋ネットワークからなる連続相において、ポリエーテル強靭化剤の凝集からなる球状粒子が分散相となり、分散相の粒子は直径が通常数μm以下になり、エポキシ樹脂硬化物を均一系から1つの多相系に変化させ、即ち、「海島構造」が形成され、「海島構造」が形成されると、材料の耐開裂性能が突然変異し、材料の破壊靭性が大幅に(数倍、十数倍)向上され、材料に固有の機械的特性、耐熱性能の損失が小さく、これは、エポキシ樹脂の柔軟性改質が比較できない効果である。
【0026】
いくつかの実施例において、二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物は、質量部で、ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂 80~90部と、低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂 10~20部と、酸無水物硬化剤 80~90部と、ポリエーテル強靭化剤 10~20部と、促進剤 0~2部との成分を含む。
【0027】
いくつかの実施例において、ポリエーテル強靭化剤は、分子量が200~4000のポリオキシプロピレングリコール、及び分子量が200~4000のポリテトラメチレンエーテルグリコールのうちの1種又は複数種である。
【0028】
本願の実施例において選択される特定の種類のポリエーテル強靭化剤は、ポリオキシプロピレングリコールがアルコール性ヒドロキシ基で末端封鎖されるポリプロピレンオキシド化合物であり、その分子構造が長鎖直鎖状分子構造のポリマーであり、両端がヒドロキシ基で封鎖され、分子鎖中のエーテル結合の存在がネットワーク構造中の分子鎖の柔軟性を大幅に増加させ、ポリプロピレンオキシドセグメントとエポキシ硬化ネットワーク構造が相溶しないことにより、ポリエーテルポリオールが硬化過程で析出して分散相構造を形成し、エポキシ樹脂が硬化して連続相構造を形成し、最終的に二相の「海島構造」を形成し、当該樹脂組成物が複合材料に用いられ、複合材料が力の作用を受けると、分散相により応力集中体が発生し、大量のシルバーストランド及びせん断帯を誘発し、シルバーストランドの成長を制御し、シルバーストランドの発生を中止し、せん断変形を誘発する作用を奏する。したがって、「海島構造」は、クラックの進展を阻止し、効果的に強靭化作用を奏することができる。ポリテトラメチレンエーテルグリコールは、ポリエーテル強靭化剤とされ、その強靭化メカニズムは、ポリオキシプロピレングリコールと類似する。
【0029】
いくつかの実施例において、ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂のうちの1種又は複数種の組み合わせであってもよい。
【0030】
いくつかの実施例において、低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂は、n-ブチルグリシジルエーテル、C12-C14ポリアルキルグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,2-プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルの1種又は複数種の組み合わせであってもよい。
【0031】
本願の実施例において選択される特定の種類の低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂は、長鎖直鎖高分子であり、優れた柔軟性を有し、硬化物の靭性を向上させることができ、相対分子量が低く、粘度が小さく、プロセス性がよく、活性希釈剤として、接着液の可使時間を向上させることができる。
【0032】
いくつかの実施例において、酸無水物硬化剤は、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロメチル無水フタル酸、ヘキサヒドロメチル無水フタル酸、無水トリメリット酸、桐油酸無水物、メチルナジック酸無水物、無水マレイン酸のうちの1種又は複数種の組み合わせであってもよい。
【0033】
本願の実施例において選択される特定の種類の酸無水物硬化剤は、酸無水物で硬化されるエポキシ樹脂硬化物の性能に優れ、優れた耐熱性能及び化学的安定性を有し、アミン系硬化剤に比べて揮発性が小さく、毒性が低く、皮膚刺激性が小さく、エポキシ樹脂との配合量が大きく、粘度が小さく、フィラーを添加して変性することができ、コストの低減に有利であり、使用期間が長く、施工が容易である。
【0034】
いくつかの実施例において、促進剤は、求核促進剤である。さらに、求核促進剤は、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、ジメチルアミノメチルフェノール(DMP-10)、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP-30)、2-エチルヘキサン酸塩、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、N,N-ジメチルアニリン、トリエタノールアミン、ナフテン酸塩、オクチル酸塩等であってもよい。
【0035】
本願の実施例において使用される特定の種類の求核型促進剤は、当該種類の促進剤が酸無水物系硬化剤に対して二重触媒作用を果たし、即ち、酸無水物だけでなくエポキシ樹脂に対しても触媒作用を奏する。エポキシ/酸無水物硬化システムにおける求核型促進剤の触媒作用とは、先ず酸素アニオンを生成して酸無水物と反応し、新たなカルボキシルアニオンを生成し、これがエポキシ基と反応して、新たなアルコキシアニオンを生成することである。このような反応が交互に進行して、ポリエステル型架橋構造を形成し、エポキシ基の触媒重合反応を開始させて、ポリエーテル架橋ネットワーク構造を得ることもできる。求核型促進剤の多くはルイス塩基に属し、ルイス塩基性が強いほど置換基の立体障害が小さく、触媒活性が大きく、促進剤の構造及び性能が架橋硬化反応速度及び硬化物の性能に大きく影響を与える。本発明で選択される促進剤、例えばDMP-30は、室温で安定状態にあり、接着液の使用期間を大幅に延長させ、100℃程度に加熱すると、迅速に分解して3級アミンを生成し、触媒効果を発生させる。
【0036】
いくつかの実施例において、二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物は、離型剤 1~3部をさらに含む。
【0037】
いくつかの実施例において、離型剤は、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛などのステアリン酸金属塩類であってもよい。
【0038】
本願の実施例の第2の態様は、上記の二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物の製造方法を提供し、それは、以下の工程を含む。
ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂と、低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂と、酸無水物硬化剤と、ポリエーテル強靭化剤と、促進剤とを混合し攪拌して、二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物を取得する。
【0039】
いくつかの実施例において、二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物の製造方法は、以下の工程をさらに含んでもよい。
S1において、ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂と低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂とを混合し、第1の超音波乳化を行って、変性エポキシ樹脂成分を取得する。
S2において、酸無水物硬化剤と、ポリエーテル強靭化剤と、促進剤とを混合し、第2の超音波乳化を行って、変性硬化剤成分を取得する。
S3において、変性エポキシ樹脂成分と変性硬化剤成分とを混合して、二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物を取得する。
【0040】
本願の実施例において、ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂と低粘度脂肪族グリシジルエーテルエポキシ樹脂とを混合した後に超音波乳化を行い、超音波乳化の「キャビテーション」効果により、ビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂を変性し、改良後のビスフェノール型グリシジルエーテル系エポキシ樹脂の粘度低下により、エポキシ樹脂の作業性を向上させ、生産過程における繊維浸漬効果を向上させることができるため、当該エポキシ樹脂組成物はエポキシ樹脂系複合材料製品の生産過程に用いられ、内部繊維は接着液での浸漬速度が速く、浸漬効果が高い。
【0041】
本願の実施例において、酸無水物硬化剤と、ポリエーテル強靭化剤と促進剤とを混合した後に超音波乳化を行い、超音波乳化の「キャビテーション」効果により、硬化剤を変性し、変性後の強靭化剤がナノスケールレベルで均一に硬化剤に分散し、エポキシ樹脂硬化反応及び均一に分布される二相海島構造の形成のために必要な微細環境条件を提供するため、顕著な強靭化効果が発揮する。
【0042】
いくつかの実施例において、第1の超音波乳化及び/又は第2の超音波乳化は、大電力超音波乳化機において行われる。
【0043】
いくつかの実施例において、第1の超音波乳化及び/又は第2の超音波乳化は、超音波周波数が25~60KHzであり、超音波出力が600~6000Wである。
【0044】
いくつかの実施例において、第1の超音波乳化及び/又は第2の超音波乳化は、常温で行われる。
【0045】
いくつかの実施例において、工程S2において、製品がスムーズに離型するように、離型剤を添加して混合してもよい。
【0046】
本願の実施形態の第3の態様は、樹脂基材材料と繊維強化材料とが複合されてなるエポキシ樹脂基材複合材料を提供する。樹脂基材材料は、上記の二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物、又は、上記の製造方法により製造される二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物である。
【0047】
本願の実施例において、上記の二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物を樹脂基材として利用し、それは典型的な二相海島構造を有し、強靭化効果が明らかであり、製造される複合材料は、衝撃靭性が大幅に向上され、屈曲強度及び屈曲弾性率が改善され、二相海島構造を形成してエポキシ樹脂を強靭化した後、材料の引張強度及び引張弾性率に対する強靭化剤の影響がさらに小さく、ガラス転移温度にほとんど影響を与えない。
【0048】
いくつかの実施例において、エポキシ樹脂系複合材料では、繊維強化材料の質量分率が20~40%であってもよく、複合材料の靭性、剛性及び耐熱性をさらに保証することができる。
【0049】
本願の実施例の第4の態様は、上記のエポキシ樹脂系複合材料の製造方法を提供し、それは、以下の工程を含む。
A1において、二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物を製造する。
A2において、二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物を用いて繊維強化材料を浸漬させ、延伸成形プロセスによりエポキシ樹脂系複合材料を製造する。
【0050】
いくつかの実施例において、工程A2は、以下の工程をさらに含んでもよい。
A21において、糸通し図に従って繊維強化材料を配置する。
A22において、繊維強化材料を二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物で浸漬させる。
A23において、浸漬後の繊維強化材料を順次予備成形、押出成形及び硬化、牽引、切断、製品を経てエポキシ樹脂系複合材料を取得する。
【0051】
(実施例)
以下の実施例は本願に開示の内容をより具体的に説明するが、これらの実施例は例示的な説明に過ぎず、本願の開示内容の範囲内で種々の修正及び変更を行うことは当業者にとって自明である。以下の実施例において報告されているすべての部、パーセント、及び比の値は、特に断らない限り、重量を基準にしたものであり、また、実施例で使用されるすべての試薬は、市販品を購入するか、又は従来の方法に従って合成されて取得されてもよく、また、さらなる処理を必要とせずにそのまま使用されてもよく、また、実施例において使用される装置は、市販品を購入したものである。
【0052】
(実施例1)
本実施例に係るエポキシ樹脂系複合材料の製造方法は、以下の工程を含む。
【0053】
<1 二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物の製造>
101において、ビスフェノールF型エポキシ樹脂 85部と、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル 15部とを混合し、大電力超音波乳化機により常温で超音波乳化し、超音波周波数が40KHzであり、超音波出力が2000Wであり、変性エポキシ樹脂成分が得られる。
【0054】
102において、テトラヒドロメチル無水フタル酸 60部と、無水マレイン酸 20部と、分子量が2000のポリオキシプロピレングリコール 10部と、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP-30)促進剤 1部と、離型剤であるステアリン酸マグネシウム 2部とを混合し、大電力超音波乳化機により常温で超音波乳化し、超音波周波数が45KHzであり、超音波出力が2500Wであり、変性硬化剤成分が得られる。
【0055】
103において、変性エポキシ樹脂成分と変性硬化剤成分とを混合し、機械的に撹拌した後、均一に分散した二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物が得られる。
【0056】
<2 エポキシ樹脂系複合材料の製造>
201において、ガラス繊維及びガラス繊維縫製フェルトを繊維強化材料とし、ガラス繊維及び縫製フェルトの総使用量が複合材料全体の質量の22%を占め、糸通し図に従って繊維強化材料を配置する。
【0057】
202において、二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物で繊維強化材料を浸漬させる。
【0058】
203において、浸漬後の繊維強化材料を順次予備成形、押出成形及び硬化、牽引、切断、製品を経てエポキシ樹脂系複合材料を取得する。
【0059】
得られたエポキシ樹脂系複合材料のミクロ構造を走査型電子顕微鏡を用いて観測したところ、図1に示すように、エポキシ樹脂系複合材料に明らかな二相海島構造が形成されていることが分かる(ブロックで示される部位)。
【0060】
(実施例2)
本実施例に係るエポキシ樹脂系複合材料の製造方法は、以下の工程を含む。
【0061】
<1 二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物の製造>
101において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂 80部とC12-C14ポリアルキルグリシジルエーテル 20部とを混合し、大電力超音波乳化機により常温で超音波乳化を行い、超音波周波数が35KHzであり、超音波出力が3000Wであり、変性エポキシ樹脂成分が得られる。
【0062】
102において、ヘキサヒドロメチル無水フタル酸 55部と、テトラヒドロメチル無水フタル酸 25部と、分子量が800のポリオキシプロピレングリコール 20部と、促進剤であるトリエチルアミン 1部と、離型剤であるステアリン酸亜鉛 2部とを混合し、大電力超音波乳化機にて常温で超音波乳化し、超音波周波数が35KHzであり、超音波出力が3000Wであり、変性硬化剤成分が得られる。
【0063】
103において、変性エポキシ樹脂成分と変性硬化剤成分とを混合し、機械的に撹拌した後、均一に分散した二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物が得られる。
【0064】
<2 エポキシ樹脂系複合材料の製造>
201において、ガラス繊維及びガラス繊維縫製フェルトを繊維強化材料とし、ガラス繊維及び縫製フェルトの総使用量が複合材料全体の質量の24%を占め、糸通し図に従って繊維強化材料を配置する。
【0065】
202において、二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物に繊維強化材料を浸漬させる。
【0066】
203において、浸漬後の繊維強化材料を順次予備成形、押出成形及び硬化、牽引、切断、製品を経てエポキシ樹脂系複合材料を取得する。
【0067】
(実施例3)
本実施例に係るエポキシ樹脂系複合材料の製造方法は、以下の工程を含む。
【0068】
<1 二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物の製造>
101において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂 90部と、1,2-プロピレングリコールジグリシジルエーテル 10部とを混合し、大電力超音波乳化機を用いて常温で超音波乳化を行い、超音波周波数が50KHzであり、超音波出力が3500Wであり、変性エポキシ樹脂成分が得られる。
【0069】
102において、テトラヒドロメチル無水フタル酸 35部と、無水トリメリット酸 45部と、分子量が2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール 15部と、2-メチルイミダゾール 1部と、離型剤であるステアリン酸鉛 2部とを混合し、大電力超音波乳化機にて常温で超音波乳化し、超音波周波数が35KHzであり、超音波出力が3000Wであり、変性硬化剤成分が得られる。
【0070】
103において、変性エポキシ樹脂成分と変性硬化剤成分とを混合し、機械的に撹拌した後、均一に分散した二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物を取得する。
【0071】
<2 エポキシ樹脂系複合材料の製造>
201において、ガラス繊維及びガラス繊維縫製フェルトを繊維強化材料とし、ガラス繊維及び縫製フェルトの総使用量が複合材料全体の質量の21%を占め、糸通し図に従って繊維強化材料を配置する。
【0072】
202において、二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物に繊維強化材料を浸漬させる。
【0073】
203において、浸漬後の繊維強化材料を順次予備成形、押出成形及び硬化、牽引、切断、製品を経てエポキシ樹脂系複合材料を取得する。
【0074】
(実施例4)
本実施例に係るエポキシ樹脂系複合材料の製造方法は、以下の工程を含む。
【0075】
<1 二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物の製造>
101において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂 90部と、エチレングリコールジグリシジルエーテル 10部とを混合し、大電力超音波乳化機により常温で超音波乳化を行い、超音波周波数が55KHzであり、超音波出力が4000Wであり、変性エポキシ樹脂成分が得られる。
【0076】
102において、テトラヒドロメチル無水フタル酸 80部と、メチルナジック酸無水物 10部と、分子量が3000のポリテトラメチレンエーテルグリコール 20部と、促進剤である2-エチル-4-メチルイミダゾール 1部と、離型剤であるステアリン酸亜鉛 2部とを混合し、大電力超音波乳化機により常温で超音波乳化し、超音波周波数が30KHzであり、超音波出力が4500Wであり、変性硬化剤成分が得られる。
【0077】
103において、変性エポキシ樹脂成分と変性硬化剤成分とを混合し、機械的に撹拌した後、均一に分散した二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物を取得する。
【0078】
<2 エポキシ樹脂系複合材料の製造>
201において、ガラス繊維及びガラス繊維縫製フェルトを繊維強化材料とし、ガラス繊維及び縫製フェルトの総使用量が複合材料全体の質量の23.5%を占め、糸通し図に従って繊維強化材料を配置する。
【0079】
202において、二相海島構造を有するエポキシ樹脂組成物に繊維強化材料を浸漬させる。
【0080】
203において、浸漬後の繊維強化材料を順次予備成形、押出成形及び硬化、牽引、切断、製品を経てエポキシ樹脂系複合材料を取得する。
【0081】
(比較例1)
本比較例のエポキシ樹脂系複合材料の製造方法において、エポキシ樹脂系複合材料の製造工程は、実施例1と同じであり、相違点とは、エポキシ樹脂組成物の製造方法が以下の工程を含むことである。
【0082】
101において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂 90部と、エチレングリコールジグリシジルエーテル 10部とを混合し、均一に撹拌して、エポキシ樹脂成分を取得する。
【0083】
102において、テトラヒドロメチル無水フタル酸 80部と、メチルナジック酸無水物 10部と、促進剤である2-エチル-4-メチルイミダゾール 1部と、離型剤であるステアリン酸亜鉛 2部とを混合し、均一に撹拌して、硬化剤成分を取得する。
【0084】
103において、エポキシ樹脂成分と硬化剤成分とを混合して、機械的に撹拌した後に、エポキシ樹脂組成物が得られる。
【0085】
(比較例2)
本比較例のエポキシ樹脂系複合材料の製造方法において、各製造原料の種類、質量部数は実施例1と同じであり、相違点は、工程101において超音波乳化が行われていないことである。
【0086】
当該比較例で製造されるエポキシ樹脂組成物は、可使時間が短く、当該組成物を用いて製造される複合材料は、表面に一定の色差があり、生産してから一定時間後に明らかな離型不良現象があり、同時に力学性能がある程度低下する。
【0087】
(比較例3)
本比較例のエポキシ樹脂系複合材料の製造方法において、各製造原料の種類、質量部数はいずれも実施例1と同じであり、相違点とは、工程102において超音波乳化が行われていないことである。
【0088】
当該比較例で製造されるエポキシ樹脂組成物は、可使時間が明らかに短く、当該組成物を用いて製造される複合材料は、表面光沢度が高くなく、生産してから一定時間後に、製品の表面に白粉があり、断続的に現れ、製品のTg値の低下が顕著である。硬化剤成分が十分に均一に混合されておらず、分子レベルの十分な接触に達していない可能性があると分析される。
エポキシ樹脂系複合材料の静的力学性能及びガラス転移温度の試験
【0089】
上記各実施例及び比較例で得られるエポキシ樹脂系複合材料のガラス転移温度及び静的力学性能を試験し、試験方法は以下の通りであり、試験結果は表1に示す通りである。
【0090】
DMA試験:スイスMETTLER TOLEDO機器社のDMA1試験機を用いて試料を試験する。試験パラメータ:昇温速度 20℃/min、温度範囲 30℃~150℃。
【0091】
エポキシ樹脂系複合材料の力学的性質、例えば引張性能、屈曲性能及び衝撃性能などの試験過程は、それぞれ中国国家標準GB/T 1447-2005、GB/T 1449-2005及びGB/T 1451-2005を参照する。
【0092】
【表1】
【0093】
勿論、上記の実施例は、単に説明のための例であり、実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記説明に加えて、他の異なる形式の変更又は変動を行うことができる。ここで、全ての実施形態を網羅することはできない。これによって引き起こされる明らかな変化又は変動は依然として本発明の保護範囲にある。
図1
【国際調査報告】