(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】装置
(51)【国際特許分類】
H04L 9/10 20060101AFI20250220BHJP
【FI】
H04L9/10 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546213
(86)(22)【出願日】2023-02-01
(85)【翻訳文提出日】2024-09-30
(86)【国際出願番号】 EP2023052467
(87)【国際公開番号】W WO2023148230
(87)【国際公開日】2023-08-10
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524290118
【氏名又は名称】デュアリティ クワンタム フォトニクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ライン,アントニー
(72)【発明者】
【氏名】ポリティ,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】マッカチャン,ダラ パトリック スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンフィールド,ローレンス マーク
(57)【要約】
チャレンジCに基づく初期光学モード分布を処理し、最終的な光学モード分布を出力するためのフォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイスを含む装置。前記フォトニックPUFデバイスは、複数の光学モードを形成またはサポートするための複数の光学モード導波路であって、複数の当該光学モードに対して、前記初期光学モード分布が与えられ、複数の当該光学モードから、前記最終的な光学モード分布が生成される、複数の光学モード導波路を含む。複数の光学モード混合層は、複数の前記光学モード導波路Miに沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路Miに結合されており、各光学モード混合層によって受け取られた複数の光学モードを混合して、各光学モード混合層を出る光学モード分布が各光学モード混合層によって受け取られた光学モード分布と異なるようにする。複数の光位相シフタの複数の列(Sk)は、複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合されており、事前に決定された(1以上の)光位相シフトを適用して複数の当該光学モードのそれぞれの位相を変化させ、その後の光学モードがそれぞれの光学モード混合層(Kj)によって受け取られる。実施例では、複数の光位相シフタの複数の前記列のうちの2個以上、または複数の光位相シフタの複数の前記列の各々について、複数の当該光位相シフタが複数の前記光学モード導波路の各々に結合されている。セキュリティコントローラは、前記フォトニックPUFデバイスを制御し、前記チャレンジCを受け取り、レスポンスRを提供する。前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを変換して、変換された前記チャレンジCを前記フォトニックPUFデバイスに提供し、前記セキュリティコントローラは、前記フォトニックPUFデバイスによって出力される最終的な光学モード分布を受け取り、当該最終的な光学モード分布を前記レスポンスRに変換する。コンピュータ可読記憶媒体は、前記セキュリティコントローラにチャレンジCを出し、前記セキュリティコントローラからレスポンスRを受け取るプロセッサのための命令を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
チャレンジCに基づく初期光学モード分布を処理し、最終的な光学モード分布を出力するためのフォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイスであって、
複数の光学モード(M
i)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路であって、複数の当該光学モード(M
i)に対して、前記初期光学モード分布が与えられ、複数の当該光学モード(M
i)から、前記最終的な光学モード分布が生成される、複数の光学モード導波路と、
複数の前記光学モード導波路M
iに沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路M
iに結合された複数の光学モード混合層(K
j)であって、各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた複数の光学モードM
iを混合して、各光学モード混合層(K
j)を出る光学モード分布が各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた光学モード分布と異なるようにする、複数の光学モード混合層(K
j)と、
複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光位相シフタの複数の列(S
k)であって、事前に決定された(1以上の)光位相シフトを適用して複数の当該光学モード(M
i)のそれぞれの位相を変化させ、その後の光学モードがそれぞれの光学モード混合層(K
j)によって受け取られる、複数の光位相シフタの複数の列(S
k)であって、複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)のうちの2個以上、または複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)の各々について、複数の当該光位相シフタが複数の前記光学モード導波路の各々に結合されている、複数の光位相シフタの複数の列(S
k)と、
を含む、フォトニックPUFデバイスと、
前記フォトニックPUFデバイスを制御し、前記チャレンジCを受け取り、レスポンスRを提供するためのセキュリティコントローラであって、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを変換して、変換された前記チャレンジCを前記フォトニックPUFデバイスに提供し、前記セキュリティコントローラは、前記フォトニックPUFデバイスによって出力される最終的な光学モード分布を受け取り、当該最終的な光学モード分布を前記レスポンスRに変換する、セキュリティコントローラと、
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記セキュリティコントローラにチャレンジCを出し、前記セキュリティコントローラからレスポンスRを受け取るプロセッサのための命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体と、
を含む、装置。
【請求項2】
装置であって、
チャレンジCに基づく初期光学モード分布を処理して、最終的な光学モード分布を出力するためのフォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイスであって、
複数の光学モード(M
i)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路であって、複数の当該光学モード(M
i)に対して、前記初期光学モード分布が与えられ、複数の当該光学モード(M
i)から、前記最終的な光学モード分布が生成される、複数の光学モード導波路と、
複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光学モード混合層(K
j)であって、各光学モード混合層K
jによって受け取られた複数の光学モード(M
i)を混合して、各混合層を出る光学モード分布が各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた光学モード分布と異なるようにする複数の光学モード混合層(K
j)であって、複数の前記光学モード混合層(K
j)のうちの1個以上、または複数の前記光学モード混合層(K
j)の各々は、複数の光学モード(M
i)のうちの3個以上を混合する、複数の光学モード混合層(K
j)と、
複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光位相シフタの複数の列(S
k)であって、事前に決定された(1以上の)光位相シフトを適用して複数の当該光学モード(M
i)のそれぞれの位相を変化させ、その後の光学モードがそれぞれの光学モード混合層(K
j)によって受け取られる、複数の光位相シフタの複数の列(S
k)と、
を含む、フォトニックPUFデバイスと、
前記フォトニックPUFデバイスを制御し、前記チャレンジCを受け取り、レスポンスRを提供するためのセキュリティコントローラであって、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを変換して、変換された前記チャレンジCを前記フォトニックPUFデバイスに提供し、前記セキュリティコントローラは、前記フォトニックPUFデバイスによって出力される最終的な光学モード分布を受け取り、当該最終的な光学モード分布を前記レスポンスRに変換する、セキュリティコントローラと、
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記セキュリティコントローラにチャレンジCを出し、前記セキュリティコントローラからレスポンスRを受け取るプロセッサのための命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体と、
を含む、装置。
【請求項3】
複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)のうちの2個以上、もしくは複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)の各々について、複数の当該光位相シフタが複数の前記光学モード導波路の各々に結合され、かつ/または複数の前記光学モード混合層(K
j)のうちの1個以上、もしくは複数の前記光学モード混合層(K
j)の各々は、複数の前記光学モード(M
i)のうちの全てを混合する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
単一の入力光学モードをサポートまたは形成するように接続可能な入力部と、複数の前記光学モード導波路に接続可能な1以上の出力部と、を有する再構成可能フォトニックネットワークを含み、
前記チャレンジCは、初期光学モード分布情報を含み、
前記セキュリティコントローラは、前記初期光学モード分布情報を用いることで、当該再構成可能フォトニック回路に、前記初期光学モード分布を生成するための対応する構成を採用させる、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記再構成可能フォトニックネットワークは、前記初期光学モード分布を生成するための複数の光位相シフタ(R
s)を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記再構成可能フォトニックネットワークは、前記単一の入力光学モードからの光を、複数の前記光学モード(M
i)にわたる前記初期光学モード分布に対応する光学状態に変換するための複数のマッハ-ツェンダ干渉計のアレイを備える、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
a)前記チャレンジCは、光位相シフタ設定を決定するための情報を含み、前記セキュリティコントローラは、当該光位相シフタ設定を決定するこの情報を使用して、複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)を設定し、かつ/または請求項4を直接的もしくは間接的に引用する場合には、複数の前記光位相シフタ(R
s)を設定する;
b)複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)と複数の前記光学モード混合層(K
j)とは、複数の前記光学モード導波路の長さに沿って、交互に配置されている;および、
c)j=0~K、k=0~K+1であり、複数の光位相シフタの(S
K+1)番目の前記列は、干渉計プロセスの下流でのその後の使用のために、複数の前記光学モード(M
i)の前記最終的な光学モード分布の調整を適用するためのものである
のうちの1以上を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
チャレンジCに基づく初期光学モード分布を処理し、最終的な光学モード分布を出力するためのフォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイスであって、
複数の光学モード(M
i)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路であって、複数の当該光学モード(M
i)に対して、前記初期光学モード分布が与えられ、複数の当該光学モード(M
i)から、前記最終的な光学モード分布が生成される、複数の光学モード導波路と、
複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光学モード混合層(K
j)であって、各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた複数の光学モード(M
i)を混合して、各光学モード混合層(K
j)を出る光学モード分布が各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた光学モード分布と異なる分布となるようにする複数の光学モード混合層(K
j)であって、複数の前記光学モード混合層(K
j)の各々は、複数の前記光学モード(M
i)の少なくともサブセットを受け取って、複数の前記光学モード(M
i)の当該サブセットについて、それぞれの振幅の混合をもたらす複数の連続エバネッセント結合導波路を含む、複数の光学モード混合層(K
j)と、
複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光位相シフタの複数の列(S
k)であって、事前に決定された(1以上の)光位相シフトを適用して複数の当該光学モード(M
i)のそれぞれの位相を変化させ、その後の光学モードがそれぞれの光学モード混合層(K
j)によって受け取られる、複数の光位相シフタの複数の列(S
k)と、
前記フォトニックPUFデバイスを制御し、前記チャレンジCを受け取り、レスポンスRを提供するためのセキュリティコントローラであって、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを変換して、変換された前記チャレンジCを前記フォトニックPUFデバイスに提供し、前記セキュリティコントローラは、前記フォトニックPUFデバイスによって出力される最終的な光学モード分布を受け取り、当該最終的な光学モード分布を前記レスポンスRに変換する、セキュリティコントローラと、
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記セキュリティコントローラにチャレンジCを出し、前記セキュリティコントローラからレスポンスRを受け取るプロセッサのための命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体と、
を含む、フォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイス。
【請求項9】
複数の前記光学モード(M
i)は、それぞれの光学モード導波路に形成され、
複数の前記連続エバネッセント結合導波路は、複数の前記光学モード導波路の複数の領域に対応する、請求項8に記載のフォトニック物理複製困難関数(PUF)。
【請求項10】
複数の前記光学モード混合層(K
j)の各々は、複数の前記光学モード(M
i)の少なくともサブセットを受け取って、複数の前記光学モード(M
i)の当該サブセットについて、それぞれの振幅の混合をもたらす複数の連続エバネッセント結合導波路を含み、任意選択的に、または好ましくは、複数の前記光学モード(M
i)は、それぞれの光学モード導波路に形成され、複数の前記連続エバネッセント結合導波路は、複数の前記光学モード導波路の複数の領域に対応する、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
複数の前記エバネッセント結合導波路の間隔、および/または複数の前記エバネッセント結合導波路がある長さにわたって互いに近接する当該長さは、それぞれの前記光学モード混合層(K
j)のエバネッセント結合の強さが、前記間隔および前記長さ、ならびに製造時に事前決定的に形成されない複数の前記導波路の微視的特徴の組み合わせによって決定されるように、事前決定的に形成されている、請求項8、9または10に記載の装置またはフォトニック物理複製困難関数(PUF)。
【請求項12】
複数の前記光学モード混合層(K
j)のうちの1個以上は、複数の前記光学モード(M
i)のうちの少なくとも3個、または複数の前記光学モード(M
i)のうちの全てを受け取って、複数の前記光学モードM
iのうちの当該少なくとも3個、または複数の前記光学モードM
iのうちの全てについて、それぞれの振幅の混合をもたらす連続エバネッセント結合導波路を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の装置またはフォトニック物理複製困難関数(PUF)。
【請求項13】
前記初期光学モード分布が光源から生成される当該光源を含み、
前記光源は、レーザ、電気励起集積レーザ、(例えば、狭い光スペクトルを有する)LED光源、量子状態の光(例えば、スクイーズド光または単一光子)のうちの1以上を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置またはフォトニック物理複製困難関数(PUF)。
【請求項14】
a)前記最終的な光学モード分布を測定するための、複数の前記光学モード導波路に接続された光学測定デバイスであって、任意選択的に、または好ましくは、フォトダイオードまたは単一光子検出器を含む、光学測定デバイス;
b)前記フォトニック物理複製困難関数(PUF)は、集積フォトニックチップを備え、任意選択的に、前記集積フォトニックチップは、ケイ素(Si)、窒化ケイ素(SiN)、シリカ(SiO
2)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、ポリマー、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、または窒化アルミニウム(AlN)のうちの1種以上から形成される;および、
c)複数の前記光位相シフタは、独立して制御可能であり、かつ/または熱光学デバイス、電気光学デバイス、圧電デバイス、複屈折デバイス、微小電気機械デバイス、ひずみ誘起デバイス、もしくは音響光学デバイスを含み得る、
のうちの1以上を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置またはフォトニック物理複製困難関数(PUF)。
【請求項15】
チャレンジCに基づく初期光学モード分布を処理し、変更された光学モード分布を出力するためのフォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイスであって、
複数の光学モード(M
i)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路であって、複数の当該光学モード(M
i)に対して、前記初期光学モード分布が与えられ、複数の当該光学モード(M
i)から、前記変更された光学モード分布が生成される、複数の光学モード導波路と、
複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光学モード混合層(K
j)であって、各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた複数の光学モード(M
i)を混合して、各光学モード混合層(K
j)を出る光学モード分布が各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた光学モード分布と異なるようにする複数の光学モード混合層(K
j)と、
複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光位相シフタの複数の列(S
k)であって、事前に決定された(1以上の)光位相シフトを適用して複数の当該光学モード(M
i)のそれぞれの位相を変化させ、その後の光学モードがそれぞれの光学モード混合層(K
j)によって受け取られる、複数の光位相シフタの複数の列(S
k)と、
前記フォトニックPUFデバイスを制御し、前記チャレンジCを受け取り、レスポンスRを提供するためのセキュリティコントローラであって、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを変換して、変換された前記チャレンジCを前記フォトニックPUFデバイスに提供し、前記セキュリティコントローラは、前記フォトニックPUFデバイスによって出力される最終的な光学モード分布を受け取り、当該最終的な光学モード分布を前記レスポンスRに変換する、セキュリティコントローラと、
を含み、
前記セキュリティコントローラは、
a)前記セキュリティコントローラが、前記チャレンジCを用いて、前記PUFによる処理のための初期光学モード分布を設定する工程と、
b)前記セキュリティコントローラが、前記変更された光学モード分布の振幅を取得する工程と、
c)前記セキュリティコントローラが、前記変更された光学モード分布の前記振幅を、さらなる初期光学モード分布として処理されるために前記PUFデバイスに提供する工程と、
d)前記セキュリティコントローラが、工程b)および工程c)をT回繰り返して、前記最終的な光学モード分布を生成する工程と、
を含む繰り返しプロセスによって、最終的な前記変更された光学モード分布を生成するように、前記フォトニックPUFデバイスを動作させるよう構成されている、フォトニックPUFデバイス。
【請求項16】
前記セキュリティコントローラは、工程c)の一部として、複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)の複数の前記光位相シフタのうちの1個以上、または複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)の複数の前記光位相シフタの全てについて、その設定を変更し、変更された当該設定に基づいて、前記PUFデバイスが前記さらなる初期光学モード分布を処理するように構成され得る、請求項15に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項17】
前記セキュリティコントローラは、前記プロセスの各繰り返しについての複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)の前記設定を、前記チャレンジCを用いて設定する、請求項16に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項18】
前記レスポンスRは、前記最終的な光学モード分布のみから変換される、請求項15、16または17に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項19】
前記レスポンスRは、工程b)において得られた複数の前記変更された光学モード分布のうちの1個以上、または工程b)において得られた複数の前記変更された光学モード分布のうちの全てから変換される、請求項15、16、17または18に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項20】
単一の入力光学モードをサポートまたは形成するように接続可能な入力部と、複数の前記光学モード導波路に接続可能な(1以上の)出力部と、を有する再構成可能フォトニックネットワークを含み、
工程a)において、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを用いることで、前記再構成可能フォトニックネットワークに、前記初期光学モード分布を生成するための対応する構成を採用させる、請求項15~19のいずれか一項に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項21】
工程c)は、前記セキュリティコントローラを含み、前記変更された光学モード分布の前記振幅を用いることで、前記再構成可能フォトニックネットワークに、前記変更された光学モード分布の前記振幅を生成して、当該振幅を前記PUFデバイスに提供するための対応する構成を採用させる、請求項20に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項22】
工程c)は、前記セキュリティコントローラが、前記変更された光学モード分布を変換して、当該変更された光学モード分布を、さらなる初期光学モード分布として処理されるために前記PUFデバイスに提供する工程を含む、請求項15~21のいずれか一項に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項23】
前記セキュリティコントローラは、変換された前記変更された光学モード分布を用いることで、前記再構成可能フォトニックネットワークに、変換された前記変更された光学モード分布を生成して、変換された当該変更された光学モード分布を前記PUFデバイスに提供するための対応する構成を採用させる、請求項21を引用する場合の請求項22に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項24】
前記変更された光学モード分布と前記最終的な光学モード分布とをそれぞれ測定するために、複数の前記光学モード導波路に接続された光学測定デバイスを含む、請求項15~23のいずれか一項に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項25】
チャレンジCに関連する初期光学モード分布を受け取り、レスポンスRに関連する最終的な光学モード分布を出力するためのフォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイスと、複数のチャレンジCを複数のレスポンスRにそれぞれ関連付ける情報とを含むシステムを形成する方法であって、
a)複数の光学モード(M
i)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路を設ける工程であって、複数の当該光学モード(M
i)に対して、事前に決定された前記初期光学モード分布が与えられ得、複数の当該光学モード(M
i)から、前記最終的な光学モード分布が使用中に生成され得る工程と、
b)複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光学混合層(K
j)であって、各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた複数の光学モード(M
i)を混合して、各光学モード混合層(K
j)を出る光学モード分布が各光学モード混合層K
jによって受け取られた光学モード分布と異なるようにする、複数の光学混合層(K
j)を設ける工程と、
c)複数の前記光学混合層(K
j)のうちのそれぞれの光学混合層(K
j)の前後の点に、複数の前記光学モード混合層(K
j)に結合される複数の前記光学モード導波路に対する複数の光結合インターフェースを形成する工程と、
d)複数のチャレンジCをそれぞれのレスポンスRに関連付ける複数の前記光学混合層(K
j)の光学モード混合動作を決定するために、複数の前記光結合インターフェースを通じてトモグラフィを実施する工程と、
e)工程d)が完了した後に複数の前記光結合インターフェースを除去する工程と、
を含む、方法。
【請求項26】
複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光位相シフタの複数の列(S
k)であって、事前に決定された(1以上の)光位相シフトを適用して複数の当該光学モード(M
i)のそれぞれの位相を変化させ、その後の光学モードがそれぞれの光学モード混合層(K
j)によって受け取られる、複数の光位相シフタの複数の列(S
k)を設ける工程を含み、
工程c)において、複数の前記光結合インターフェースは、それぞれの先行する複数の光シフタの列(S
k)の後の点に結合され、かつ/またはそれぞれの(後続する)複数の光シフタの列(S
k+1)の前の点に結合される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
工程d)は、各光学モードを通じて別々に、かつ/もしくは各光学モード混合層に対して別々に前記トモグラフィが実施される工程を含み、
かつ/または、
工程d)は、
前記トモグラフィのプロセス中にそれぞれの前記光学モード混合層に入る各光学モードの光入力および/もしくは前記光位相シフタの設定を変化させる工程と、
それぞれの前記光学モード混合層を出る各光学モードからの出力光の振幅を測定する工程と、
を含む、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1~24のいずれか一項に記載の装置またはフォトニックPUFデバイスを動作させる方法であって、任意選択的に、または好ましくはデバイス、ユーザ、または通信を認証するために、前記装置または前記フォトニックPUFデバイスを認証プロセスの一部として用いる工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2022年2月1日に出願された先行出願第GB2201275.1号からの優先権を主張するものであり、その内容および要素は、あらゆる目的のために、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
〔分野〕
本発明は、物理複製困難関数(physically unclonable function:PUF)、および物理複製困難関数(PUF)を組み込んだ装置に関する。
【0003】
〔背景〕
PUFは、認証を必要とするアプリケーションで使用され、不正なアクセスまたは干渉に対する安全性を向上させるデバイスまたはプロセスである。例えば、モバイルデバイス/サーバのアイデンティティを認証するための、モバイルデバイス間および/またはサーバ間の認証プロセスである。PUFは、複製困難であるという能力の点で、すなわち、そのPUFを提供するデバイスまたはプロセスを再現することが現実的に不可能であるという点で、識別される。
【0004】
PUFの使用は、いわゆるチャレンジ(challenge:C)およびレスポンス(response:R)の対(challenge and response pair:CRP)によって特徴付けられる。PUFは、チャレンジCによって問い合わせられ(interrogated)、当該チャレンジCに対して、PUFはレスポンスRを出力する。PUFの製造者は通常、各PUFについて、CRPの大規模なセットを照合する(collate)ことになる。その後、PUFは第三者(第三関係者、third party)に渡される。製造者、またはCRPのセットにアクセスできる第二関係者(second party)が、第三者のアイデンティティを認証することを望む場合、その第三者は、特定のチャレンジCを用いてPUFに問い合わせ、PUFからのレスポンスR’を製造者/第二関係者に通信するよう要求される。R’が製造者/第二関係者の所有する正しいRに一致する場合、第三者の認証が成功する。
【0005】
記載された実施例は、ネットワークアプリケーションの文脈におけるものであるが、PUFは、多くの種々のアプリケーションにおいて使用できる。例えば、PUFは、単一のデバイスもしくはコンピュータプロセッサチップ内で使用でき、または暗号鍵を生成する際に使用できる。
【0006】
PUFは、当該PUFが問い合わせられた場合に物理的に定められた一意の識別子またはフィンガープリント(識別特徴)を提供するオブジェクトとして理解することができる。
【0007】
例えばバッテリ駆動の静的ランダムアクセスメモリ(static random-access memory:SRAM)の電源投入時の状態に依拠して、PUFが実現されている。この状態は、製造者が制御できる範囲を越えた製造上のばらつきを本来的に備えるため、各SRAMセルに対応する論理ビットのランダムな列の形をとる。そのPUFが単一のCRP(すなわち、SRAMセルの電源投入時の状態)しか有しないとはいえ、対応するフィンガープリントは、デバイスそれ自体の物理的特性により決定されるものであり、製造者またはユーザにより定められるものではない。PUFは、様々な形態および技術プラットフォームで実現されている。
【0008】
要約すれば、PUFの基本的な性質として、以下のものを挙げることができる:
a)PUFは、チャレンジを受けた場合、そのPUFに(高い確率で)特有のレスポンスを提供しなければならない。
b)チャレンジをレスポンスにマッピングする関数は、PUFの本来的かつ現実的に複製困難な物理的特性に依存する。
c)PUFを製造するために使用された製造プロセスの知識だけでは、正確にその関数を作り出し、またはその関数に近似させることはできない。
【0009】
PUFは、その相対的なロバストネスを基準として、弱いPUFと強いPUFとにさらに特徴付けられる。弱いPUFとは、信頼されていない者(untrusted party)が可能な全てのCRPを傍受し、またはその他の方法で記録できるほど、CRPの数が十分に小さいものである。例えば、SRAMセルの場合、当該信頼されていない者は、単一のCRPを記録した後、意図された関係者になりすますことで、認証プロセスの裏をかくことができるだろう。強いPUFとは、可能なCRPの数が指数関数的に大きくなる(モードの数等の物理リソースが指数関数的である)もの、または少なくとも、信頼されていない者がランダムに出されるチャレンジに対するレスポンスを知り、認証プロセスの裏をかくために、十分に大きなサブセットをサンプリングすることが現実的に不可能なほど、可能なCRPの数が大きいものである。なお、この要件が発生するのは、PUFが第二関係者/間接関係者に送られる前に、製造者/第一関係者(first party)によって記録されたCRPの数が枯渇していない場合にのみ、認証プロセスを安全に継続できるからであることに留意されたい。
【0010】
本発明は、改良されたPUF、およびそれを組み込んだ装置を提供しようとするものである。
【0011】
〔発明の簡単な説明〕
本発明の一態様によれば、装置であって、
チャレンジCに基づく初期光学モード分布を処理し、最終的な光学モード分布を出力するためのフォトニック物理複製困難関数(physically unclonable function:PUF)デバイスであって、
複数の光学モード(例えば、複数の光学モード(Mi)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路)であって、複数の当該光学モードに対して、前記初期光学モード分布が与えられ、複数の当該光学モードから、前記最終的な光学モード分布が生成される、複数の光学モードと、
複数の前記光学モード(例えば、複数の光学モード(Mi)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路)に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モードに結合された複数の光学モード混合層(Kj)であって、各光学モード混合層(Kj)によって受け取られた複数の光学モード(Mi)を混合して、各光学モード混合層(Kj)を出る光学モード分布が各光学モード混合層(Kj)によって受け取られた光学モード分布と異なるようにする、複数の光学モード混合層(Kj)と、
複数の前記光学モード(例えば、複数の光学モード(Mi)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路)に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モードに結合された複数の光位相シフタの複数の列(Sk)であって、事前に決定された(1以上の)光位相シフトを適用して複数の当該光学モード(Mi)のそれぞれの位相を変化させ、その後の光学モードがそれぞれの光学モード混合層(Kj)によって受け取られる、複数の光位相シフタの複数の列(Sk)であって、複数の光位相シフタの複数の前記列(Sk)のうちの2個以上、または複数の光位相シフタの複数の前記列(Sk)の各々について、複数の当該光位相シフタが複数の前記光学モード(例えば、複数の光学モード(Mi)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路)の各々に結合されている、複数の光位相シフタの複数の列(Sk)と、
を含む、フォトニックPUFデバイスと、
前記フォトニックPUFデバイスを制御し、前記チャレンジCを受け取り、レスポンスRを提供するためのセキュリティコントローラであって、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを変換して、変換された前記チャレンジCを前記フォトニックPUFデバイスに提供し、前記セキュリティコントローラは、前記フォトニックPUFデバイスによって出力される最終的な光学モード分布を受け取り、当該最終的な光学モード分布を前記レスポンスRに変換する、セキュリティコントローラと、
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記セキュリティコントローラにチャレンジCを出し、前記セキュリティコントローラからレスポンスRを受け取るプロセッサのための命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体と、
を含む、装置が提供される。
【0012】
本明細書における「光学モード(optical mode)」の文脈における「モード(mode)」への言及には、光の伝播モードへの言及が含まれるものとみなされ得る。モードは、自由空間において、透明な均質媒質において、導波路構造において、または光共振器において生じ得る。光ビームが伝播するとき、その横強度プロファイル(transverse intensity profile)は一般に、伝播の間に変化する。波の或る電場分布は、伝播の間に自己無撞着的(self-consistent)であり得る。これらは、当技術分野で伝播「モード」として知られるものの例である。最も単純な種類の伝播モードは、平面波である。当技術分野において、導波路構造は一般に、導波が可能な空間的に不均質の構造であるとみなされる。光導波路内を伝播する光の場合、所与のモードを形成する光波の電場分布の自己無撞着性は、横方向次元における電場振幅プロファイルの形状が、導波路内の所与の位置において実質的に一定であり続けることに対応し得る。光波のモードは、コヒーレンス性および直交性によって定められ得る:モードは、光波の状況を記述する電磁波方程式の直交解であり、これらは干渉を起こさない(例えば、モードの線形的な重ね合わせの光パワーは、個々のモードの光パワーの総和に等しい)。同じ一つのモード内の光(光子)は、コヒーレントであり得る。導波路は、複数の異なる光伝播モードが同時に生じるマルチモード光伝送をサポートし得る。
【0013】
本明細書における「光学モード分布(optical mode distribution)」への言及には、光学モード内の光の分布への言及、および光学モード間の光の分布への言及が含まれるものとみなされ得る。例えば、2個の光学モード分布は、それらが各分布の(例えば、別個のそれぞれの光導波路における)複数の光学モードにわたる異なる振幅の分布に対応する場合、異なるものとみなされ得る。この意味において、複数の別々の光学モード(例えば、別々の導波路)間で分布する場合において、光の第1分布(例えば、振幅)が光の第2分布と異なる(すなわち、振幅が異なる分布となる)とき、第1光学モード分布は第2光学モード分布に対して「異なる」ものとみなされ得る。
【0014】
本発明の一態様によれば、装置であって、
チャレンジCに基づく初期光学モード分布を処理して、最終的な光学モード分布を出力するためのフォトニック物理複製困難関数(physically unclonable function:PUF)デバイスであって、
複数の光学モード(Mi)(例えば、複数の光学モード(Mi)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路)であって、複数の当該光学モード(Mi)に対して、前記初期光学モード分布が与えられ、複数の当該光学モード(Mi)から、前記最終的な光学モード分布が生成される、複数の光学モード(Mi)と、
複数の前記光学モード(例えば、複数の光学モード(Mi)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路)に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モードに結合された複数の光学モード混合層(Kj)であって、各光学モード混合層(Kj)によって受け取られた複数の光学モード(Mi)を混合して、各光学モード混合層(Kj)を出る光学モード分布が各光学モード混合層(Kj)によって受け取られた光学モード分布と異なるようにする複数の光学モード混合層(Kj)であって、複数の前記光学モード混合層(Kj)のうちの1個以上、または複数の前記光学モード混合層(Kj)の各々は、複数の前記光学モード(Mi)のうちの3個以上を混合する、複数の光学モード混合層(Kj)と、
複数の前記光学モード(例えば、複数の光学モード(Mi)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路)に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モードに結合された複数の光位相シフタの複数の列(Sk)であって、事前に決定された(1以上の)光位相シフトを適用して複数の当該光学モード(Mi)のそれぞれの位相を変化させ、その後の光学モードがそれぞれの光学モード混合層(Kj)によって受け取られる、複数の光位相シフタの複数の列(Sk)と、
を含む、フォトニックPUFデバイスと、
前記フォトニックPUFデバイスを制御し、前記チャレンジCを受け取り、レスポンスRを提供するためのセキュリティコントローラであって、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを変換して、変換された前記チャレンジCを前記フォトニックPUFデバイスに提供し、前記セキュリティコントローラは、前記フォトニックPUFデバイスによって出力される最終的な光学モード分布を受け取り、当該最終的な光学モード分布を前記レスポンスRに変換する、セキュリティコントローラと、
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記セキュリティコントローラにチャレンジCを出し、前記セキュリティコントローラからレスポンスRを受け取るプロセッサのための命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体と、
を含む、装置が提供される。
【0015】
任意選択的に、または好ましくは、複数の光位相シフタの複数の前記列(Sk)のうちの2個以上、もしくは複数の光位相シフタの複数の前記列(Sk)の各々について、複数の当該光位相シフタが複数の前記光学モード(Mi)(例えば、複数の光学モード導波路)の各々に結合され、かつ/または複数の前記光学モード混合層(Kj)のうちの1個以上、もしくは複数の前記光学モード混合層(Kj)の各々は、複数の前記光学モード(Mi)のうちの全てを混合する。
【0016】
任意選択的に、または好ましくは、前記装置は、単一の入力光学モードに接続可能な(例えば、前記単一の入力光学モードを受け取り、サポートし、または形成するように接続可能な)入力部(例えば、入力部品)と、複数の前記光学モード(Mi)に接続可能な(例えば、複数の前記光学モード導波路に接続可能な)1以上の出力部(例えば、出力部品)と、を有する再構成可能フォトニックネットワークを含み、前記チャレンジCは、初期光学モード分布情報を含み、前記セキュリティコントローラは、前記初期光学モード分布情報を用いることで、当該再構成可能フォトニック回路に、前記初期光学モード分布を生成するための対応する構成を採用させる。
【0017】
任意選択的に、または好ましくは、前記再構成可能フォトニックネットワークは、前記初期光学モード分布を生成するための複数の光位相シフタ(Rs)を含む。
【0018】
任意選択的に、または好ましくは、前記再構成可能フォトニックネットワークは、前記単一の入力光学モードからの光を、複数の前記光学モードMiにわたる前記初期光学モード分布に対応する線形光学状態に変換するための複数のマッハ-ツェンダ干渉計のアレイを備える。「線形光学状態(linear optical state)」という用語は、全ての必要な光学モードにわたって分布する光学状態への言及を含むものとみなされ得る。好ましくは、任意の所望の初期光学モード分布は、1個の光学モードを、必要な光学モードのうちの全てに変換することによって得られうる。
【0019】
任意選択的に、または好ましくは、前記チャレンジCは、光位相シフタ設定を決定するための情報を含み、前記セキュリティコントローラは、当該光位相シフタ設定を決定するこの情報を使用して、複数の光位相シフタの複数の前記列(Sk)を設定し、かつ/または複数の前記光位相シフタ(Rs)を設定する。
【0020】
任意選択的に、または好ましくは、複数の光位相シフタの複数の前記列(Sk)と複数の前記光学モード混合層(Kj)とは、複数の前記光学モード(Mi)の長さに沿って、交互に配置されている。
【0021】
任意選択的に、または好ましくは、j=0~K、k=0~K+1(例えば、Kは正の整数)であり、複数の光位相シフタの(K+1)番目の前記列(SK+1)は、干渉計プロセスの下流でのその後の使用のために、複数の前記光学モード(Mi)の前記最終的な光学モード分布の調整を適用するためのものである。
【0022】
本発明の一態様によれば、チャレンジCに基づく初期光学モード分布を処理し、最終的な光学モード分布を出力するためのフォトニック物理複製困難関数(physically unclonable function:PUF)デバイスであって、
複数の光学モード(Mi)(例えば、複数の光学モード(Mi)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路)であって、複数の当該光学モード(Mi)に対して、前記初期光学モード分布が与えられ、複数の当該光学モード(Mi)から、前記最終的な光学モード分布が生成される、複数の光学モード(Mi)と、
複数の前記光学モード(例えば、複数の光学モード(Mi)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路)に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モードに結合された複数の光学モード混合層(Kj)であって、各光学モード混合層(Kj)によって受け取られた複数の光学モード(Mi)を混合して、各光学モード混合層(Kj)を出る光学モード分布が各光学モード混合層(Kj)によって受け取られた光学モード分布と異なる分布となるようにする複数の光学モード混合層(Kj)であって、複数の前記光学モード混合層(Kj)の各々は、複数の前記光学モード(Mi)の少なくともサブセットを受け取って、複数の前記光学モード(Mi)の当該サブセットについて、それぞれの振幅の混合をもたらすように構成された複数の連続エバネッセント結合導波路を含む、複数の光学モード混合層(Kj)と、
複数の前記光学モード(例えば、複数の光学モード(Mi)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路)に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モードに結合された複数の光位相シフタの複数の列(Sk)であって、事前に決定された(1以上の)光位相シフトを適用して複数の当該光学モードのそれぞれの位相を変化させ、その後の光学モードがそれぞれの混合層によって受け取られる、複数の光位相シフタの複数の列(Sk)と、
前記フォトニックPUFデバイスを制御し、前記チャレンジCを受け取り、レスポンスRを提供するためのセキュリティコントローラであって、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを変換して、変換された前記チャレンジCを前記フォトニックPUFデバイスに提供し、前記セキュリティコントローラは、前記フォトニックPUFデバイスによって出力される最終的な光学モード分布を受け取り、当該最終的な光学モード分布を前記レスポンスRに変換する、セキュリティコントローラと、
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記セキュリティコントローラにチャレンジCを出し、前記セキュリティコントローラからレスポンスRを受け取るプロセッサのための命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体と、
を含む、フォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイスが提供される。
【0023】
任意選択的に、または好ましくは、複数の前記光学モード(Mi)は、それぞれの導波路(例えば、光学モード導波路)に形成され、複数の前記連続エバネッセント結合導波路は、複数の前記導波路の複数の領域に対応する。
【0024】
任意選択的に、または好ましくは、複数の前記光学モード混合層(Kj)の各々は、複数の前記光学モードMiの少なくともサブセットを受け取って、複数の前記光学モード(Mi)の当該サブセットについて、それぞれの振幅の混合をもたらす複数の連続エバネッセント結合導波路を含み、任意選択的に、または好ましくは、複数の前記光学モード(Mi)は、それぞれの導波路に形成され、複数の前記連続エバネッセント結合導波路は、複数の前記導波路の複数の領域に対応する。複数の前記光学モード(Mi)の前記サブセットは、複数の前記光学モード(Mi)のうちの少なくとも3個、または複数の前記光学モード(Mi)のうちの全てを含み得る。
【0025】
任意選択的に、または好ましくは、前記装置または前記フォトニック物理複製困難関数(PUF)について、複数の前記エバネッセント結合導波路の間隔、および/または複数の前記エバネッセント結合導波路がある長さにわたって互いに近接する当該長さは、それぞれの前記光学モード混合層(Kj)のエバネッセント結合の強さが、前記間隔および前記長さ、ならびに製造時に事前決定的に(事前に決定して)形成されない(例えば、事前決定的に形成できない)複数の前記導波路の微視的特徴の組み合わせによって決定されるように、事前決定的に形成されている。
【0026】
任意選択的に、または好ましくは、前記装置または前記フォトニック物理複製困難関数(PUF)について、複数の前記光学モード混合層(Kj)のうちの1個以上は、複数の前記光学モード(Mi)のうちの少なくとも3個、または複数の前記光学モード(Mi)のうちの全てを受け取って、複数の前記光学モード(Mi)のうちの当該少なくとも3個、または複数の前記光学モード(Mi)のうちの全てについて、それぞれの振幅の混合をもたらす連続エバネッセント結合導波路を含む。本明細書において、少なくとも3個の光学モード(Mi)、および/または少なくとも3個のエバネッセント結合導波路の文脈における「少なくとも3個」という言及には、例えば、以下のものが含まれ得る:4個以上の光学モード(Mi)、および/または4個以上のエバネッセント結合導波路;5個以上の光学モード(Mi)、および/または5個以上のエバネッセント結合導波路;10個以上の光学モード(Mi)、および/または10個以上のエバネッセント結合導波路。上述したとおり、エバネッセント結合導波路は、複数の光学モード間、および/または複数のエバネッセント結合導波路間において、光子のランダムウォークがもたらされるように、複数の光学モードの混合を実装し得る。この効果は、混合プロセスに関与するモードおよび/または導波路の数が2個を越えて増加するとき、著しく高まることが見出されている。混合プロセスに関与する光学モード(Mi)および/または導波路の総数「M」(すなわち、「それらのうちの全て」)は、3個以上であってもよく、例えばM≧3、またはM≧5、またはM≧10であってもよい。
【0027】
任意選択的に、または好ましくは、前記初期光学モード分布が光源から生成される当該光源を含み、前記光源は、レーザ(例えば、電気励起集積レーザ)、狭い光スペクトルを有するLED光源、または量子状態の光(例えば、スクイーズド光または単一光子)を含み得る、先行する任意の請求項に記載の前記装置または前記フォトニック物理複製困難関数(PUF)について。
【0028】
任意選択的に、または好ましくは、前記装置または前記フォトニック物理複製困難関数(PUF)は、前記最終的な光学モード分布を測定するための、複数の前記光学モード(Mi)に接続された(例えば、複数の前記光学モード導波路に接続された)光学測定デバイスを含む。
【0029】
任意選択的に、または好ましくは、前記光学測定デバイスは、フォトダイオードまたは単一光子検出器を含む。
【0030】
任意選択的に、または好ましくは、前記フォトニック物理複製困難関数(PUF)は、集積フォトニックチップである。
【0031】
任意選択的に、または好ましくは、前記集積フォトニックチップは、ケイ素(Si)、窒化ケイ素(SiN)、シリカ(SiO2)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、ポリマー、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、または窒化アルミニウム(AlN)のうちの1種以上から形成される。
【0032】
任意選択的に、または好ましくは、前記装置または前記フォトニック物理複製困難関数(PUF)は、複数の前記光位相シフタを含み、当該複数の前記光位相シフタは、独立して制御可能であり、かつ/または当該複数の前記光位相シフタは、熱光学デバイス、電気光学デバイス、圧電デバイス、複屈折デバイス、微小電気機械デバイス、ひずみ誘起デバイス、もしくは音響光学デバイスを含んでもよい。
【0033】
本発明の一態様によれば、チャレンジCに基づく初期光学モード分布を処理し、変更された光学モード分布を出力するためのフォトニック物理複製困難関数(physically unclonable function:PUF)デバイスであって、
複数の光学モード(Mi)(例えば、複数の光学モード(Mi)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路)であって、複数の当該光学モード(Mi)に対して、前記初期光学モード分布が与えられ、複数の当該光学モード(Mi)から、前記変更された光学モード分布が生成される、複数の光学モード(Mi)と、
複数の前記光学モード(例えば、複数の光学モード(Mi)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路)に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モードに結合された複数の光学モード混合層(Kj)であって、各光学モード混合層(Kj)によって受け取られた複数の光学モード(Mi)を混合して、各光学モード混合層(Kj)を出る光学モード分布が各光学モード混合層(Kj)によって受け取られた光学モード分布と異なるようにする複数の光学モード混合層(Kj)と、
複数の前記光学モード(例えば、複数の光学モード(Mi)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路)に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モードに結合された複数の光位相シフタの複数の列(Sk)であって、事前に決定された(1以上の)光位相シフトを適用して複数の当該光学モード(Mi)のそれぞれの位相を変化させ、その後の光学モード(Mi)がそれぞれの光学モード混合層(Kj)によって受け取られる、複数の光位相シフタの複数の列(Sk)と、
前記フォトニックPUFデバイスを制御し、前記チャレンジCを受け取り、レスポンスRを提供するためのセキュリティコントローラであって、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを変換して、変換された前記チャレンジCを前記フォトニックPUFデバイスに提供し、前記セキュリティコントローラは、前記フォトニックPUFデバイスによって出力される最終的な光学モード分布を受け取り、当該最終的な光学モード分布を前記レスポンスRに変換する、セキュリティコントローラと、
を含み、
前記セキュリティコントローラは、
a)前記セキュリティコントローラが、前記チャレンジCを用いて、前記PUFによる処理のための初期光学モード分布を設定する工程と、
b)前記セキュリティコントローラが、前記変更された光学モード分布の振幅を取得する工程と、
c)前記セキュリティコントローラが、前記変更された光学モード分布の前記振幅を、さらなる初期光学モード分布として処理されるために前記PUFデバイスに提供する工程と、
d)前記セキュリティコントローラが、工程b)および工程c)をT回繰り返して、前記最終的な光学モード分布を生成する工程と、
を含む繰り返しプロセスによって、最終的な前記変更された光学モード分布を生成するように、前記フォトニックPUFデバイスを動作させるよう構成されている、フォトニックPUFデバイスが提供される。
【0034】
任意選択的にまたは好ましくは、前記セキュリティコントローラは、工程c)の一部として、複数の光位相シフタの複数の前記列(Sk)の複数の前記光位相シフタのうちの1個以上、または複数の光位相シフタの複数の前記列(Sk)の複数の前記光位相シフタの全てについて、その設定を変更し、変更された当該設定に基づいて、前記PUFデバイスが前記さらなる初期光学モード分布を処理するように構成され得る。
【0035】
任意選択的に、または好ましくは、前記セキュリティコントローラは、前記プロセスの各繰り返しについての複数の光位相シフタの複数の前記列(Sk)の前記設定を、前記チャレンジCを用いて設定する。
【0036】
任意選択的に、または好ましくは、前記レスポンスRは、前記最終的な光学モード分布のみから変換される。
【0037】
任意選択的に、または好ましくは、前記レスポンスRは、工程b)において得られた複数の前記変更された光学モード分布のうちの1個以上、または工程b)において得られた複数の前記変更された光学モード分布のうちの全てから変換される。
【0038】
任意選択的に、または好ましくは、前記フォトニックPUFデバイスは、単一の入力光学モードに接続可能な(例えば、前記単一の入力光学モードを受け取り、サポートし、または形成するように接続可能な)入力部(例えば、入力部品)と、複数の前記光学モード(Mi)に接続可能な(1以上の)出力部(例えば、出力部品)と、を有する再構成可能フォトニックネットワークを含み、工程a)において、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを用いることで、前記再構成可能フォトニックネットワークに、前記初期光学モード分布が生成するための対応する構成を採用させる。
【0039】
任意選択的に、または好ましくは、工程c)は、前記セキュリティコントローラを含み、前記変更された光学モード分布の前記振幅を用いることで、前記再構成可能フォトニックネットワークに、前記変更された光学モード分布の前記振幅を生成して、当該振幅を前記PUFデバイスに提供するための対応する構成を採用させる。
【0040】
任意選択的に、または好ましくは、工程c)は、前記セキュリティコントローラが、前記変更された光学モード分布を変換して、当該変更された光学モード分布を、さらなる初期光学モード分布として処理されるために前記PUFデバイスに提供する工程を含む。
【0041】
任意選択的に、または好ましくは、前記セキュリティコントローラは、変換された前記変更された光学モード分布を用いることで、前記再構成可能フォトニックネットワークに、変換された前記変更された光学モード分布を生成して、変換された当該変更された光学モード分布を前記PUFデバイスに提供するための対応する構成を採用させる。
【0042】
任意選択的に、または好ましくは、前記フォトニックPUFデバイスは、前記変更された光学モード分布と前記最終的な光学モード分布とをそれぞれ測定するために、複数の前記光学モード(Mi)に接続された(例えば、複数の前記光学モード導波路に接続された)光学測定デバイスを含む。
【0043】
本発明の一態様によれば、(例えば、チャレンジCに関連する(結び付く))初期光学モード分布を受け取り、(例えば、レスポンスRに関連する)最終的な光学モード分布を出力するためのフォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイスを含むシステムを形成する(例えば、製造する)ための方法またはプロセスが提供される。前記システムは、複数のチャレンジCを複数のレスポンスRにそれぞれ関連付ける(結び付ける)情報をさらに含むことが好ましい。前記方法は、
a)複数の光学モード(Mi)(例えば、複数の光学モード(Mi)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路)を設ける工程であって、複数の当該光学モード(Mi)に対して、事前に決定された前記初期光学モード分布が与えられ得、複数の当該光学モード(Mi)から、前記最終的な光学モード分布が使用中に生成され得る工程と、
b)複数の前記光学モード(例えば、複数の光学モード(Mi)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路)に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モードに結合された複数の光学混合層(Kj)であって、各光学モード混合層(Kj)によって受け取られた複数の光学モード(Mi)を混合して、各光学モード混合層(Kj)を出る光学モード分布が各光学モード混合層(Kj)によって受け取られた光学モード分布と異なるようにする、複数の光学混合層(Kj)を設ける工程と、
c)複数の前記光学混合層(Kj)のうちのそれぞれの光学混合層(Kj)の前後の点に、複数の前記光学モード混合層(Kj)に結合される複数の前記光学モード(例えば、複数の光学モード(Mi)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路)に対する複数の光結合インターフェースを形成する工程と、
d)(例えば、複数のチャレンジCをそれぞれのレスポンスRに関連付ける)複数の前記光学混合層(Kj)の光学モード混合動作を決定するために、複数の前記光結合インターフェースを通じてトモグラフィを実施する工程と、
e)工程d)が完了した後に複数の前記光結合インターフェースを除去する工程と、
を含む。
【0044】
任意選択的に、または好ましくは、前記方法は、複数の前記光学モード(例えば、複数の光学モード(Mi)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路)に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モードに結合された複数の光位相シフタの複数の列(Sk)であって、事前に決定された(1以上の)光位相シフトを適用して複数の当該光学モード(Mi)のそれぞれの位相を変化させ、その後の光学モード(Mi)がそれぞれの光学モード混合層によって受け取られる、複数の光位相シフタの複数の列(Sk)を設ける工程を含み、工程c)において、複数の前記光結合インターフェースは、それぞれの先行する複数の光シフタの列(Sk)の後の点に結合され、かつ/またはそれぞれの(後続する)複数の光シフタの列(Sk+1)の前の点に結合される。
【0045】
任意選択的に、または好ましくは、工程d)は、各光学モードを通じて別々に、かつ/または各光学モード混合層に対して別々に前記トモグラフィが実施される工程を含む。
【0046】
任意選択的に、または好ましくは、工程d)は、前記トモグラフィのプロセス中にそれぞれの前記光学モード混合層に入る各光学モードの光入力および/または前記光位相シフタの設定を変化させる工程と、それぞれの前記光学モード混合層を出る各光学モードからの出力光の振幅を測定する工程と、を含む。工程d)における混合動作を決定する前記工程は、入力光学モード分布をそれぞれの光学混合層から出力される光学モード分布にマッピングする光学モードのユニタリ変換を決定する工程を含んでもよい。
【0047】
本方法によって、各光学混合層についての完全なユニタリを事実上、決定することができる。本方法は、(特徴づけられた)光学混合層(Kj)と光位相シフタの列(Sk)との対の積として、光学モード(Mi)に対する全ユニタリ演算をパラメータ表示する工程を含んでもよい。本方法は、全てのチャレンジCをそれぞれのレスポンスRに関係付ける関数を決定する工程を含んでもよい。これにより、PUFの製造者は、全てのチャレンジCをそれぞれのレスポンスRに関係付ける関数を知ることができ、その結果、製造者は、PUFを探査することなく、あらゆる可能なCRPを計算することができる。その後、製造後に個々の光学モード混合層(Kj)に光学的にアクセスしてそのユニタリを決定できないようにされる。すなわち、PUF、すなわち光結合インターフェースを物理的かつ永続的に変更することによって、光結合インターフェースが消去される。その結果、(無許可の)第三者によるこの情報へのアクセスが排除される。
【0048】
本発明の一態様によれば、先行する任意の態様の装置またはフォトニックPUFデバイスを動作させる方法であって、任意選択的に、または好ましくはデバイス、ユーザ、または通信を認証するために、前記装置または前記フォトニックPUFデバイスを認証プロセスの一部として用いる工程を含む方法が提供される。
【0049】
本発明の任意の態様による、本明細書に開示された光学モードは、それぞれの導波路に形成されてもよい。本発明の任意の態様による、上に開示された光学モード混合層(Kj)は、複数の光学モード(Mi)の少なくともサブセット(部分集合)を受け取って光学モードの混合をもたらす連続エバネッセント結合導波路を含んでもよい。本発明の任意の態様による実施例では、連続エバネッセント結合導波路は、光学モードが内に形成される導波路の領域に対応し得る。エバネッセント結合導波路は、複数の光学モード間、および/または複数のエバネッセント結合導波路間において、光子のランダムウォークがもたらされるように、複数の光学モードの混合を実装し得る。
【0050】
導波路を製造するために使用される製造技術に応じて、種々のレベルのランダム性が達成され得る。ランダム性は、製造時に事前決定的に形成されない(例えば、製造時に事前決定的に形成できない)、すなわち製造者が制御できる範囲を越えた、導波路の微視的特徴に応じて達成され得る。導波路は、次の複数の方法のうちの1以上の方法に従って製造され得る:光リソグラフィ、投影リソグラフィ、および電子ビームリソグラフィ、ならびにエッチング。例えば、約6nm(例えば、約3nm~約10nm)の導波路ラインエッジラフネスがもたらされ得る。
【0051】
ラインエッジラフネス(line edge roughness:LER)は、当産業の通常の定義に従って定義され得る。これによれば、LER=3σである。ここで、σは、次式で定められる標準偏差である:
【0052】
【0053】
ここで、xiは、エッジに沿ったN個の別々の点のうち、エッジに沿った所与の点iにおいて測定されたエッジ位置であり(i=1~N)、
【0054】
【0055】
は、N個の測定されたエッジ位置の全ての平均値である。全てのエッジ位置は、共通の基準線(例えば、想像上の「完全な」エッジ位置)に対して測定される。LER値を計算するためのエッジ位置(xi)は通常、測長走査型電子顕微鏡(Critical Dimension Scanning Electron Microscope:CD-SEM)により生成された画像(または、その他のデータ)を用いて測定される。原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)により生成された画像(または、その他のデータ)は、より大きな相関長でより正確な値を与え得るものの、CD-SEMの方が高速であるため、CD-SEMが当産業において標準となっている。CD-SEM画像がソフトウェアを用いて処理され、LER値の計算に必要なエッジ位置(xi)が抽出され得る。その一例が、PROSEM(https://prosem.genisys-gmbh.com/を参照)である。PROSEMは、この目的のために設計されたソフトウェアパッケージであり、GenISys GmbH(Eschenstr.66, D-82024 Taufkirchen(ミュンヘン),ドイツ)から利用可能である。
【0056】
側壁の粗さの性質(例えば、微視的特徴)によって、所望のレベルのランダム性が提供され得る。導波路の寸法、間隔および長さを含む光学モード混合層の設計は、製造の際、PUFデバイス内の種々の層間および連続するPUFデバイス/コピー間で十分なバリエーションが得られるように最適化され得る。
【0057】
本発明の任意の態様による本技術の実施例では、エバネッセント結合導波路の間隔、および/またはエバネッセント結合導波路がある長さにわたって互いに近接する当該長さは、それぞれの光学モード混合層(Kj)におけるエバネッセント結合の強さが、この間隔および長さの組み合わせによって決定されるように、事前決定的に形成され得る。
【0058】
横方向距離(すなわち、「s」、導波路軸に対して横方向の間隔)は、隣接しまたは隣り合う導波路間に規定され得る。横方向距離は、隣り合う導波路間の離隔距離が、或る隣接しもしくは隣り合う導波路ではより大きく、または他の或る隣接しもしくは隣り合う導波路ではより小さくなるように、隣接しまたは隣り合う導波路間で異なっていてもよい。
【0059】
実施例では、2個以上の離隔距離「s」が同じであり得る。距離「l」は、導波路どうしが長手方向長さにわたって結合される当該長手方向長さを示す。結合の度合いは、パラメータ「s」、およびパラメータ「l」のうちの1個以上のパラメータの値を変更することによって調整できる。
【0060】
〔図面の簡単な説明〕
本開示がより容易に理解され得るように、その好ましい実施形態を、単なる例示として、添付図面を参照しつつ説明する:
図1は、本開示を具現化する装置の概略図である;
図2は、本開示を具現化する装置のコンポーネントの概略図である;
図3は、本開示を具現化する装置のコンポーネントの概略図である;
図4Aおよび
図4Bは、本開示を具現化する装置の或るコンポーネントを示す;
図5Aおよび
図5Bは、本開示を具現化する装置の或る部分を示す概略図である;
図6は、本開示の或る態様を具現化するデバイスの或るコンポーネントを示す概略図である;
図7は、本開示の或る態様を具現化するデバイスを動作させるための或る方法を示すフロー図である。
図8は、本開示の或る態様を具現化するデバイスを製造するための或る方法を示すフロー図である。
【0061】
〔開示の詳細な説明〕
図1を参照すると、フォトニック物理複製困難関数(photonic physically unclonable function:PUF)デバイス20と、PUFデバイス20を制御するためのセキュリティコントローラ30と、セキュリティコントローラ30を動作させるためのプロセッサ用の命令を含むコンピュータ可読記憶媒体40と、を含む装置10が、概略的に示されている。本技術の実施形態では、装置10は、例えば、携帯電話、コンピュータ、またはその他の電子デバイスもしくは非電子デバイスの一部として、装置に組み込まれ、または装置の一部を形成して、当該装置の認証動作の一部として使用され得る。本技術の実施形態では、装置10は、他の装置(例えば、電子デバイス)に接続されて、認証動作を行うためにそれとともに用いられ得る。プロセッサは、装置10の一部として形成されてもよく、またはプロセッサが組み込まれ、もしくはプロセッサが接続される装置の一部を構成してもよい。
【0062】
図2を参照すると、本技術の実施例によるPUFデバイス20が概略的に示されている。PUFデバイス20は、古典的なデバイスとして、すなわち古典的な光(例えば、レーザ光)を扱うデバイスとして実現されてもよく、または量子デバイスとして、すなわち量子状態としての光を扱う量子デバイスとして実現されてもよい。PUFデバイス20は、フォトニック処理ネットワーク50と、再構成可能フォトニックネットワーク60と、光学測定デバイス70と、を含み得る。フォトニック処理ネットワークという用語は、PUFデバイス20を形成する、より広い光干渉計の一部である光干渉計回路を示す。本技術の実施例では、PUFデバイス20は、集積フォトニックチップである。フォトニックチップは、ケイ素(Si)、窒化ケイ素(SiN)、シリカ(SiO
2)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、ポリマー、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、または窒化アルミニウム(AlN)を含む(ものの、これらに限定されない)材料にて形成されてもよい。
【0063】
図3を参照すると、PUFデバイス20は、初期光学モード分布をチャレンジCの一部として処理して、最終的な光学モード分布を出力するためのものである。当該最終的な光学モード分布は、レスポンスRに対応し、または当該最終的な光学モード分布から、レスポンスRを導出できる。
図3を参照すると、フォトニック処理ネットワーク50は、M個の光学モード(M
i)を含んでもよい。当該M個の光学モード(M
i)に対して、初期光学モード分布が与えられ、当該M個の光学モード(M
i)から、最終的な光学モード分布が生成される。フォトニック処理ネットワーク50は、光学モード(M
i)に沿って間隔を置いて配置され、かつ当該光学モード(M
i)に結合されたK個の光学モード混合層(K
j)を含んでもよい。各光学モード混合層(K
j)を出る光学モード分布が、各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた光学モード分布と異なる分布となるように、各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた光学モード(M
i)が混合される。実施例では、最終的な光学モード分布は、最終的な光学モード混合層(K
K;j=K)の後の光学モード分布であり、すなわち、最後の光学モード混合層が光学モード(M
i)に作用した後の光学モード分布である。
【0064】
本技術の実施例では、光学モード(Mi)は、それぞれの導波路に形成またはサポートされている(すなわち、Miは、導波路52を指すものとみなしてもよく、ここで、i=1~M(例えば、M≧3、またはM≧5、またはM≧10)である)。光学モード混合層(Kj)は、複数の光学モード(Mi)の少なくともサブセットを受け取ってそれらのM個の光学モードの混合をもたらす連続エバネッセント結合導波路(continuous evanescently coupled waveguides)を含んでもよい。本開示の本実施例に関して使用するのに適した連続エバネッセント結合導波路の例として、Paesani et al. Nature Physics 15, 925 (2019)に記載されたランダムウォークが挙げられる。光学モードMiは、それぞれの導波路Miに形成され得る(すなわち、Miは、導波路52を指すものとみなしてもよく、ここで、i=1~Mである)。実施例では、連続エバネッセント結合導波路は、導波路(Mi)の領域に対応し得る。
【0065】
本技術の実施例では、エバネッセント結合導波路の間隔、および/またはエバネッセント結合導波路がある長さにわたって互いに近接する当該長さは、それぞれの光学モード混合層(Kj)におけるエバネッセント結合の強さが、この間隔および長さ、ならびに導波路の微視的特徴の組み合わせによって決定されるように、事前決定的に形成されている。導波路の当該微視的特徴は、製造時に事前決定的に形成できず、すなわち、当該微視的特徴は、製造者が制御できる範囲を越えている。
【0066】
図5Aおよび
図5Bを参照すると、
図5Aは、連続的にエバネッセント結合された導波路に光学モード(M
i)が形成される光学モード混合層を示す。距離「s」は、隣接しまたは隣り合う導波路間のそれぞれの横方向(短手方向)距離を示す(
図5B参照)。実施例では、横方向距離「s」は、当該離隔距離「s」が、或る隣接しもしくは隣り合う導波路ではより大きく、または他の或る隣接しもしくは隣り合う導波路ではより小さくなるように、隣接しまたは隣り合う導波路間で異なっていてもよい。実施例では、2個以上の離隔距離「s」が同じであり得る。距離「l」は、導波路どうしが長手方向長さにわたって結合される当該長手方向長さを示す。パラメータ「s」、およびパラメータ「l」のうちの1個以上のパラメータを変更することによって、結合の度合いを調整できる。
【0067】
フォトニック処理ネットワーク50は、光位相シフタφjiの列(Sk)を含んでもよい。当該光位相シフタφjiの列(Sk)は、導波路52内の光学モード(Mi)に沿って間隔を置いて配置され、かつ当該光学モード(Mi)に結合されており、チャレンジCによって決定され、またはチャレンジCから導出される(1以上の)光位相シフトを適用して、光学モード(Mi)のそれぞれの位相を変化させる。その後の光学モードは、それぞれの光学モード混合層(Kj)によって受け取られる。ここで、jは、光位相シフタφjiと隣り合う次段の光学モード混合層を示し、iは、光位相シフタφjiが結合される光学モード/導波路(Mi)を示す。実施例では、光位相シフタφjiは、それぞれの列(Sk)について、複数の光学モードの各々に結合されてもよく、またはそれらのサブセットに結合されてもよい。さらに、実施例では、隣り合う光学モード混合層の間に光位相シフタの列が存在しないように、列の数がより少ない場合もある。光位相シフタφjiは、光位相シフトを誘起するために独立して制御可能であり得るデバイスである。例えば、光位相シフトは、熱光学効果、電気光学効果、キャリア注入効果、圧電効果、複屈折効果、微小電気機械効果、ひずみ誘起効果、または音響光学効果を含む(ものの、これらに限定されない)効果によって誘起される、局所的な屈折率変化として実装されてもよい。
【0068】
本技術の実施例によれば、光位相シフタの列(Sk)は、光学モード/導波路(Mi)の長さ(方向)に沿って、光学モード混合層(Kj)と交互に配置されてもよい。本技術の実施例による実施形態では、j=1~K、すなわち合計K個の光学モード混合層が存在し、k=1~K+1、すなわち合計K+1個の光位相シフタの列が存在する。その結果、実施例において、光位相シフタの列SK+1によって、下流の干渉測定における使用のために、光学モード(Mi)の最終的な光学モード分布の調整が適用され得るようになっている。実施例では、光位相シフタの列SK+1が存在せず、k=1~Kの光位相シフタの列のみが存在してもよい。
【0069】
本技術の実施例による実施形態では、光位相シフタの複数の列(S
k)のうちの2個以上、または光位相シフタの複数の列(S
k)の各々について、光位相シフタφ
jiが、光学モード/導波路(M
i)の各々に結合されている。本技術の実施例による実施形態では、光学モード混合層(K
j)のうちの1個以上、または光学モード混合層(K
j)の各々によって、光学モード(M
i)のうちの少なくとも3個、または光学モード(M
i)のうちの全てが混合され、例えば、光学モード(M
i)のうちの少なくとも3個、または光学モード(M
i)のうちの全てについて、それぞれの振幅が混合される。ここで、混合とは、光学モード(M
i)のうちの少なくとも3個の光学モードにおける光が、当該少なくとも3個の光学モード間において、例えば、少なくとも3個の隣接しまたは隣り合う光学モード(M
i)間において混合されることを指す。本技術の実施例による実施形態では、光位相シフタの列(S
k)の各々について、光位相シフタφ
jiが各々、光学モード/導波路(M
i)のうちの1個に結合されており、光学モード混合層(K
j)の各々によって、光学モードM
iのうちの3個以上、または光学モードM
iのうちの全てが混合される(
図3に示す通り)。光学モード混合層が連続的にエバネッセント結合された導波路である実施例では、光学モード(M
i)が形成される導波路のうちの3個以上、または光学モード(M
i)が形成される導波路のうちの全てが結合される。
【0070】
実施例では、光学モード混合層(Kj)のうちの1個以上、または光学モード混合層(Kj)のうちの全ては、光学モード(Mi)のうちの少なくとも3個、または光学モード(Mi)のうちの全てを受け取って、光学モード(Mi)のうちの当該少なくとも3個、または光学モード(Mi)のうちの当該全てについて、それぞれの振幅の混合をもたらす連続エバネッセント結合導波路を含む。
【0071】
本明細書において、少なくとも3個の光学モード(Mi)の文脈、および/または少なくとも3個のエバネッセント結合導波路の文脈における、「少なくとも3個」という言及には、例えば、以下のものが含まれ得る:4個以上の光学モード(Mi)、および/または4個以上のエバネッセント結合導波路;5個以上の光学モード(Mi)、および/または5個以上のエバネッセント結合導波路;10個以上の光学モード(Mi)、および/または10個以上のエバネッセント結合導波路;10個以上の光学モード(Mi)、および/または10個以上のエバネッセント結合導波路。上述したとおり、エバネッセント結合導波路は、複数の光学モード間、および/または複数のエバネッセント結合導波路間において、光子のランダムウォークがもたらされるように、複数の光学モードの混合を実施し得る。この効果は、混合プロセスに関与するモードおよび/または導波路の数が2個を越えて増加するとき、著しく高まることが見出されている。
【0072】
後に説明するように、プロセッサは、セキュリティコントローラ30にチャレンジCを出し、セキュリティコントローラ30からレスポンスRを受け取るコンピュータ可読記憶媒体40上の命令を実行するように構成されている。
【0073】
セキュリティコントローラ30は、チャレンジCを変換し、変換されたチャレンジCをPUFデバイス20に提供する。そして、当該セキュリティコントローラは、PUFデバイス20によって出力される最終的な光学モード分布を受け取り、レスポンスRへ変換する。
【0074】
PUFを動作させるためのセキュリティコントローラ30は、標準的なデジタルエレクトロニクスマイクロコントローラを介して実現でき、または、PUFデバイス20が形成された集積フォトニクスチップと一緒にパッケージ化でき、もしくは当該集積フォトニクスチップと直接的に共集積できるフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array:FPGA)を介して実現できる。チャレンジCは、無線伝送(例えば、RF波、光波)を通じて、または有線接続(例えば、DCエレクトロニクスによって形成されたデジタル回線)を通じて、セキュリティコントローラ30によって受け取られる。各光位相シフタφjiは、2nの離散値に対応するnビット数によって、プログラマブルであり得る。実施形態では、セキュリティコントローラ30によって受け取られたチャレンジCは、以下に記載するように、ビット列として提供されてもよく、当該ビット列から光位相シフタの設定が導出されてもよい。例示的な実施形態では、PUFを動作させるためのセキュリティコントローラ30は、オンチップ電子ロジックを用いて実現されてもよい。かかる実施例では、セキュリティコントローラ30は、(例えば、コンピュータプロセッサからの)チャレンジCを入力ビット列として受け取り得る。当該入力ビット列はセキュリティコントローラ30によって処理され、ビットシフトおよび/またはマスキングが適用されて、当該入力ビット列が一対一対応で位相シフタ設定へマッピングされ得る。マッピングの前に、入力ビット列は、セキュリティコントローラ30によって(例えば、ハッシュ関数を介して)デジタル処理され、小さなハミング距離で分離されたチャレンジ間のランダム性が改善され得る。実施例では、オンチップ電子ロジックは、チャレンジCを処理し、それをそれぞれの位相シフタを動作させるための電圧のセットへ変換することによって、チャレンジCに対応する所望の位相シフタ設定での動作を実現できる、電圧、電流の調整器および増幅器を有するデジタル-アナログ変換器を含んでもよい。当該デジタル-アナログ変換器は、所望の動作を実装するために、位相シフタに電気的に接続されてもよい。
【0075】
具体的には、
図4Aおよび
図4Bを参照すると、再構成可能フォトニックネットワーク60は、単一の入力光学モードIに接続可能な入力部と、光学モード/導波路(M
i)に接続可能な出力部O
iと、を含み得る。その結果、初期光学モードの入力および出力の分布が、それぞれもたらされる。再構成可能フォトニックネットワーク60は、初期光学モード分布を生成するための光位相シフタ(R
s)を含んでもよい。再構成可能フォトニックネットワーク60は、線形列のマッハ-ツェンダ干渉計(
図4Aに示す)、三角形配列または矩形配列のユニバーサル入力干渉計(図示せず)、または二分木配列のマッハ-ツェンダ干渉計(
図4Bに示す)を含んでもよい。再構成可能フォトニックネットワーク60は、状態、すなわち複数の光学モードにわたる振幅の初期分布を、フォトニック処理ネットワーク50による処理のために用意(作成)する。再構成可能フォトニックネットワーク60は、例えば、線形列のマッハ-ツェンダ干渉計の場合には、1個の光学モードを必要となる光学モード(M
i)の全てに変換することによって、任意の所望の初期光学モード分布が得られうるように、単一の入力光学モードIからの光を線形光学状態に変換し、当該線形光学状態が複数の光学モード(M
i)のうちの全てに広がってもよい。実施例では、セキュリティコントローラ30は、光学モード分布情報、例えば、フォトニック処理ネットワーク50から出力される測定された光学モード分布を用いることで、再構成可能フォトニック回路に、新たな初期光学モード分布が生成するための対応する構成を採用させ得る。
【0076】
PUFデバイス20は、光源S(
図2参照)を含んでもよい。初期光学モード分布は、当該光源Sから生成される。それが設けられる場合には、光源は、再構成可能フォトニックネットワーク60の単一の入力光学モードIに接続されてもよく、またはPUFデバイス20の光学モード導波路52(M
i)に直接的に接続されてもよい。光源は、レーザ(例えば、電気励起集積レーザ)、狭い光スペクトルを有するLED光源、または量子状態の光(例えば、スクイーズド光または単一光子)を含んでもよい。本技術の実施例では、初期光学モード分布は、単一の入力光学モードを有し、当該単一の入力光学モードから再構成可能フォトニックネットワーク60の使用を通じて分布を生成する代わりに、複数の光学モードおよび/または複数の光学モード導波路52(M
i)にわたっての分布(例えば、ファイバ/広帯域ネットワーク内のスペクトルモードにわたっての分布)のために用意された形態で提供されてもよい。
【0077】
導波路52に形成される光学モード(Mi)の最終的な光学モード分布を測定するために、光学測定デバイス70が、光学モード(すなわち、当該モードを形成またはサポートする導波路52)に接続されてもよい。光学測定デバイス70は、フォトダイオードもしくは単一光子検出器を含んでもよく、またはPUFが量子デバイスとして実現される実施例では、超伝導ナノワイヤ、超電導転移端センサ、アバランシェフォトダイオードもしくはホモダイン検出スキームを含んでもよい。
【0078】
オンチップ電子ロジックを含むPUF、および光学測定デバイス70として集積光検出器を含むPUFの例示的な実施形態では、光検出器からの光電流は増幅され、アナログ-デジタル変換器を通してデジタル信号に変更されてもよい。
【0079】
集積フォトニックデバイスに関する既知の技術を(用いなくともよいが)用いて装置10を製造して、本技術の実施例に関して記載された構造を有する装置10を作製してもよい。
【0080】
次に、チャレンジレスポンス対を得るための本技術の実施例による装置10の動作について説明する。
【0081】
まず、チャレンジのセットC’が生成される。ここで、各々の一意の(ユニークな)チャレンジは、Cと示される。プロセッサは、複数のチャレンジC’をビット列の形態でランダムに生成してもよい。各チャレンジCは、例えば、光位相シフタRsを設定するための光位相シフタ設定情報の形態、および/または光位相シフタの列(Sk)を設定するための設定の形態で、初期光学モード分布情報を含んでもよい。光位相シフタ設定情報は、チャレンジCを形成するビット列から直接的に取得されてもよく、または光位相シフタ設定情報は、ハッシュ関数もしくはその他のアルゴリズムを採用することによって、当該ビット列から間接的に取得/導出(例えば、変換)されてもよい。セキュリティコントローラ30は、プロセッサからチャレンジCが出されたとき、当該チャレンジCを形成するビット列から光位相シフタ設定を決定するように構成されてもよい。
【0082】
実施例では、チャレンジCは、長さn(KM+I)の連結ビット列であってもよい。ここで、Iは、光学モード(Mi)間に光を分布させて初期光学モード分布を生成する光位相シフタRsの数であり、nは、位相シフタRsおよび位相シフタφjiの位相シフタビット分解能であり、Kは、光位相シフタ列の数である。そのため、当該ビット列は、プログラマブルな位相シフタの総数に、位相シフタ分解能nビットを乗じたものを表す。あるいは、実施例では、異なる長さのビット列がチャレンジCとして発行されてもよく、セキュリティコントローラ30は、受け取ったチャレンジCをPUFデバイス20の位相シフタ設定にマッピングするための方法を含む。チャレンジは、位相シフタの光チップ変調器に設定されるオンチップ電圧(すなわち、位相)が定められるように、デジタル-アナログ変換器により処理されてもよい。
【0083】
各チャレンジCについて、セキュリティコントローラ30は、光位相シフタの列(Sk)と光位相シフタRsとを設定する。次いで、これらの設定に従って構成される、再構成可能フォトニックネットワーク60によって、フォトニック処理ネットワーク50の光学モードに(すなわち、当該モードを形成またはサポートする導波路52に)提供される初期光学モード分布が生成される。当該初期光学モード分布は、光位相シフタの第1列(S1)の動作下で、光位相シフトにより変更され、その後、第1光学モード混合層(K1)が複数の光学モード(Mi)の少なくともサブセットを互いに結合することにより、複数の光学モード(Mi)間で生じる混合の下で変換される。その結果、第1光学モード混合層(K1)を出る光学モード分布は、異なる分布になる。フォトニック処理ネットワーク50の端部に光が伝わるまで、このシーケンスが続く。最終的な光学モード分布がフォトニック処理ネットワーク50によって出力され、光学測定デバイス70によって測定される。その後、デバイス70によって測定された最終的な光学モード分布は、セキュリティコントローラ30によって、ビット列を含む(ものの、これに限定されない)形態でレスポンスRに変換(例えば、デジタル化)され、プロセッサに提供され得る。実施例では、レスポンスRは、PUFのランダム性および/または安全性を向上させるために、電子的(アナログまたはデジタル)関数(例えば、ハッシュ関数)によって、さらに処理されてもよい。
【0084】
実施例では、レスポンスRは、光学測定デバイス70として使用されるフォトダイオード(または、PUFが量子システムとして実現される場合には、量子状態に感応するデバイス、例えば単一光子検出器)によって読み出される光強度/振幅(または、相関光子測定結果)に由来する結果に対応し得る。光強度/振幅の場合、セキュリティコントローラ30は、出力をデジタル化するアナログ-デジタル変換器の使用を通じて、光電流を取得してもよく、またはデジタル形式でセキュリティコントローラ30へ渡される較正されたパワー測定結果を取得してもよい。セキュリティコントローラ30は、光学モード(Mi)からのM個の出力強度を受け取り、これらを2m個のレベル(すなわち、mビット数)に離散化し得る。各フォトダイオード読み出し(情報)からの連結ビット列のその後のデジタル後処理は、フルレスポンスビット列の等長細分に対するハッシングまたは排他的OR(XOR)演算を含む(ものの、これに限定されない)方法を介して、実行され得る。最後に、デジタルレスポンスビット列は、無線または有線接続を介して、セキュリティコントローラ30から返され得る。
【0085】
チャレンジのセットC’についての各チャレンジCに対して、このプロセスが繰り返され、チャレンジレスポンス対のセットCRP’が生成される。
【0086】
装置10は、信頼されたクライアントAによる使用のために別の装置に組み込まれ、または接続され得る。次いで、装置10は、信頼された方法によって、チャレンジレスポンス対のセットCRP’とともに、クライアントAに安全に提供される。
【0087】
その後、クライアントAは、装置10をクライアントBに提供してもよい。クライアントAがクライアントBのアイデンティティを認証したい場合、クライアントAは、チャレンジのオリジナルのセットC’からのチャレンジCをクライアントBに出し得る。次いで、クライアントBは、レスポンスRを取得し、これをクライアントAに通信する。レスポンスRがチャレンジレスポンス対のオリジナルのセットCRP’のうちの対応するチャレンジに保持されたものに合致する場合、信頼が確立される。
【0088】
あるいは、製作者または製造者は、装置10を作り出し、それをクライアントAに提供してもよい。その後、クライアントAは、装置10をクライアントBに提供するのに先立って、上述したものと同じ方法で、チャレンジレスポンス対のセットCRP’を取得する。次いで、安全な接続を確立するためのクライアントBの認証は、クライアントAとクライアントBとの間の各通信について、同じ方法で進めることができる。
【0089】
光位相シフタの列と光学モード混合層との交互配列を利用したPUFデバイスの配列により、指数関数的に大きくなる可能なチャレンジレスポンス対を取得でき、この数は、光学モード混合層の数が増加するとき、非線形的に変化する。さらに、本技術の実施例による2個のPUFデバイスが同一の製造方法により製造されたとしても、それらのPUFデバイスの物理的実現物は、依然として一意であり、相互に区別されるものとなるだろう。これは、製造時に事前決定的に形成できない(すなわち、製造者が制御できる範囲を越えた)、光学モード混合層を形成する導波路の微視的特徴(例えば、導波路の壁の粗さ)のゆえである。これらの特徴は、位相および導波路間の結合強度に影響を与え、これと関連して、各光学モード混合層についての混合特性にも影響を与える。このように導入されるランダム性の度合いは、導波路がある長さにわたって互いに近接する当該長さ、および/または導波路間の離隔距離を増大させることによって、有利に強めることができる。光学モード混合層は、当該光学モード混合層が各々受け取る光学モード分布に作用する、実質的にランダムなユニタリ変換である。
【0090】
使用される製造技術(光リソグラフィ、投影リソグラフィ、および電子ビームリソグラフィが含まれる)、および導波路層を定めるために使用されるエッチングに応じて、種々のレベルのランダム性を達成できる。例えば、ドライ投影リソグラフィによって、シグマ~1nmおよびラインエッジラフネス~6nmのターゲット導波路寸法の分布が達成できる。
図5Bは、そのようにして製造された導波路を示す。側壁の粗さの性質を図に見ることができる。導波路の寸法、間隔、および長さを含む光学モード混合層の設計は、種々の層間およびPUFコピー間で十分なバリエーションが得られるように最適化される。
【0091】
次に、本技術によるさらなる一態様の実施例について、
図6を参照して説明する。
【0092】
図6は、フォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイス200を概略的に示す。PUFデバイス200は、先に説明したPUFデバイス20のフォトニック処理ネットワーク50と互換的であり得る。
【0093】
PUFデバイス200は、部分的にチャレンジCに基づくものであり得る初期光学モード分布を処理し、変更された光学モード分布を出力するためのものである。PUFデバイス200は、光学モード(Mi、合計M個)を含む。当該光学モードに対して、初期光学モード分布が与えられ、当該光学モードから、変更された光学モード分布が生成される。PUFデバイス200は、光学モードに沿って間隔を置いて配置され、かつ当該光学モードに結合された(すなわち、光学モードを形成またはサポートするための光学モード導波路72に結合された)光学モード混合層(Kj)を含む。当該光学モード混合層(Kj)によって、各光学モード混合層(Kj)を出る光学モード分布が、各光学モード混合層(Kj)によって受け取られた光学モード分布と異なるように、各光学モード混合層(Kj)によって受け取られた光学モード(Mi)が混合される。PUFデバイス200は、光学モード導波路72に形成またはサポートされる光学モード(Mi)に対して(例えば、先に説明したものと同様にチャレンジCから導出される)(1以上の)光位相シフトを適用するための、光学モード導波路72に沿って間隔を置いて配置され、かつ当該光学モード導波路72に結合された光位相シフタの列(Sk)を含む。当該光位相シフタの列(Sk)は、光学モードがそれぞれの光学モード混合層(Ki)によって受け取られるに先立って、光学モード(Mi)のそれぞれの位相を変化させる。PUFデバイス200は、フォトニックPUFデバイス200を制御するためのセキュリティコントローラを含んでもよい。セキュリティコントローラは、チャレンジCを変換し、変換されたチャレンジCをフォトニックPUFデバイス200に提供してもよい。そして、当該セキュリティコントローラは、フォトニックPUFデバイス200によって出力される最終的な変更された光学モード分布をレスポンスRに変換してもよい。
【0094】
光学モード混合層(Kj)、光学モード(Mi)および光学モードを形成またはサポートするための光学モード導波路72、ならびに光位相シフタの列(Sk)は、本技術の先の実施形態に関して説明したものと同一または同様であってよい。本技術の実施形態では、光学モード混合層は、種々に構成されてもよい。例えば、各光学モード混合層は、光位相シフタの次の列に光が到達するに先立って、光学モードMiの組の間を進む光を混合するように構成された多数のマッハ-ツェンダ干渉計を含んでもよい。
【0095】
PUFデバイス200は、本技術の先の実施例に関して記載されたPUFデバイス20と同一または同様の方法で、1個以上の要素、例えば光学測定デバイス、光源を含んでもよい。
【0096】
PUFデバイス200と先の実施形態に関して記載されたものとの主な違いは、セキュリティコントローラが、
図7に示す繰り返しプロセスによって、最終的な変更された光学モード分布を生成するようにフォトニックPUFデバイス200を動作させるよう、構成されていることである。
【0097】
繰り返しプロセスは、PUFデバイス200による処理のための初期光学モード分布を設定するためにチャレンジCが使用される最初の工程a)を含む。また、チャレンジCは、PUFデバイス200内の光位相シフタを設定するためにも使用される。工程b)では、セキュリティコントローラは、PUFデバイス200によって出力される変更された光学モード分布を取得する。工程c)では、セキュリティコントローラは、変更された光学モード分布の振幅を、さらなる初期光学モード分布として処理されるために、例えばフィードバック回路を通じて、またはセキュリティコントローラの使用を通じて、PUFデバイス200に提供する。例えば、セキュリティコントローラは、工程c)から受け取った振幅を用いて、再構成可能スイッチネットワークを設定するための光位相シフタ設定を導出し、所望のさらなる初期光学モード分布を生成してもよく、またはPUFデバイス200における新たな位相シフタ設定を導出してもよく、またはそれらの両方を導出してもよい。次いで、工程b)から工程c)までがT回繰り返され、最終的な光学モード分布が生成される。
【0098】
PUFデバイス200の動作は、セキュリティコントローラが、最終的な光学モード分布を得るためにPUFデバイス200を繰り返し動作させる点、および、セキュリティコントローラが、工程c)の一部として、列(Sk)の光位相シフタのうちの1個以上または全ての光位相シフタの設定を変更し、変更された当該設定に基づいて、PUFデバイスがさらなる初期光学モード分布を処理するように構成され得る点を除いて、フォトニック処理ネットワーク50に関して記載されたものと同様である。プロセスの各繰り返しについての光位相シフタの列(Sk)の設定は、実施例では、チャレンジCから取得され得る。特定のチャレンジCに対するレスポンスRは、最終的な光学モード分布の変換されたバージョンに対応し得る。実施例では、レスポンスRは、工程b)で取得される変更された光学モード分布のうちの1個以上または全てから変換されてもよい。実施例では、変更された各光学モード分布に関数が適用され、次の繰り返しで使用するさらなる初期光学モード分布が生成されてもよい。
【0099】
実施例では、セキュリティコントローラは、工程c)において、変更(された)光学モード分布を変換して、変換された当該変更光学モード分布を、さらなる初期光学モード分布として処理されるために、PUFデバイスに提供してもよい。実施例では、PUFデバイスがオンチップ電子ロジックを含む場合、変更光学モード分布の変換は、光学測定デバイス70の検出器に結合されたアナログ-デジタル変換器を通じて当該変更光学モード分布をデジタル測定結果に変換することによって、暗号論理演算を適用する工程を含み得る。これにより、変換された当該変更光学モード分布がさらなる初期光学モード分布として処理されるに先立って、ランダム性がさらに増幅される。位相シフタの設定は、最終的な光学モード分布が得られるまで、所望の回数であるT回、PUFデバイスのその後の動作のために適宜、更新される。
【0100】
PUFデバイス200は、より大きなPUFデバイスをつくり出さなくとも、単純に繰り返し回数を増加させることによって、利用可能なチャレンジおよび関連するレスポンスの数を増加させることができるという点で、有利である。
【0101】
本技術による実施例では、PUFデバイス200は、単一の入力光学モードに接続可能な入力部と、光学モードMiに接続可能な(1以上の)出力部とを有する、再構成可能フォトニックネットワーク60と同様の再構成可能フォトニックネットワークを含み得る。ここで、工程a)において、セキュリティコントローラは、チャレンジCを用いることで、再構成可能フォトニックネットワークに、初期光学モード分布を生成するための対応する構成を採用させる。また、実施例では、工程c)において、セキュリティコントローラは、変更された光学モード分布を用いることで、再構成可能フォトニックネットワークに、変更された光学モード分布を生成し、PUFデバイスに提供するための対応する構成を採用させるように構成されてもよい。例えば、セキュリティコントローラは、例えばPUFデバイス200、またはPUFデバイス200が装置の一部である当該装置が、光学測定デバイス70と同様の光学測定デバイスを含む場合、変更された光学モード分布の測定結果を取得してもよく、変更された当該光学モード分布に基づいてさらなる初期光学モード分布を生成するために、それのために必要となる再構成可能フォトニックネットワークの光位相シフタ設定を計算するように構成されてもよい。さらに、セキュリティコントローラが、変更された光学モード分布を変換し、変換された当該変更光学モード分布をPUFデバイス200に提供する本技術の実施形態については、セキュリティコントローラは、変換された当該変更光学モード分布に基づいてさらなる初期光学モード分布を生成するために、再構成可能フォトニックネットワークのための必要な光位相シフタ設定を計算するように構成されてもよい。
【0102】
本技術の一態様に従って、物理複製困難関数(PUF)を製造する方法を、
図8を参照して説明する。PUFは、フォトニックチップとして形成されている。
【0103】
当該方法は、工程a)において、光学モード(Mi)(すなわち、光学モードを形成またはサポートするための光学モード導波路)を設ける工程を含む。当該光学モード(Mi)に対して、事前に決定された初期光学モード分布が与えられ、当該光学モード(Mi)から、最終的な光学モード分布が使用中に生成され得る。工程b)は、光学モード(すなわち、光学モードを形成またはサポートするための光学モード導波路)に沿って間隔を置いて配置され、かつ当該光学モードに結合された光学モード混合層(Kj)を設ける工程を含む。各光学モード混合層(Kj)を出る光学モード分布が各光学モード混合層(Kj)によって受け取られた光学モード分布と異なるようにするために、各光学モード混合層(Kj)によって受け取られた光学モード(Mi)が混合される。工程c)は、光学混合層(Kj)のそれぞれの前後の点に、光学モード混合層(Kj)に結合される光学モード/導波路(Mi)に対する光結合インターフェースを形成する工程を含む。工程d)は、光学混合層(Kj)の光学モード混合動作を決定するために(例えば、入力光学モード分布をそれぞれの光学混合層から出力される光学モード分布にマッピングする光学モードのユニタリ変換を決定するために)、当該光結合インターフェースを通じてトモグラフィ(tomography)を実施する工程を含む。工程e)は、工程d)が完了した後に当該光結合インターフェースを除去して、PUFを完成させる工程を含む。
【0104】
実施例では、当該方法は、光学モードがそれぞれの光学モード混合層(Kj)によって受け取られるに先立って、事前に決定された(1以上の)光位相シフトを適用して光学モード(Mi)のそれぞれの位相を変化させるための、光学モード(すなわち、光学モードを形成またはサポートするための光学モード導波路)に沿って間隔を置いて配置され、かつ当該光学モードに結合された光位相シフタの列(Sk)を設ける工程を含んでもよく、工程c)において、光結合インターフェースが、それぞれの先行する光位相シフタの列(Sk)の後の点に結合され、かつ/またはそれぞれの(後続する)光位相シフタの列(Sk+1)の前の点に結合される。
【0105】
本方法によって、各光学混合層についての完全なユニタリを事実上、決定することができる。より詳細には、光学モード(Mi)に対する全ユニタリ演算は、(特徴づけられた)光学混合層(Kj)と光位相シフタの列(Sk)との対の積として、パラメータ表示できる。これにより、PUFの製造者は、全てのチャレンジCをそれぞれのレスポンスRに関連付ける関数を知ることができ、その結果、製造者は、PUFを探査(probe)することなく、あらゆる可能なCRPを計算することができる。その後、製造後に個々の光学モード混合層(Kj)に光学的にアクセスしてそのユニタリを決定できないようにされる。すなわち、PUF、すなわち光結合インターフェースを物理的かつ永続的に変更することによって、光結合インターフェースが消去される。その結果、(無許可の)第三者によるこの情報へのアクセスが排除される。
【0106】
光結合インターフェースは、工程e)においてその後除去され得る種々のデバイスまたはコンポーネントであってもよい。例えば、光結合インターフェースは、屈折率の周期的な摂動を加えてPUFの平面外へ光を散乱させるグレーティングカプラを含んでもよく、またはPUFの内外へ光を結合させる高い反射率を有するビームスプリッタ光タップを含んでもよく、または集積フォトダイオードを含んでもよい。
【0107】
工程d)におけるトモグラフィは、各光学モードMiに対して別々に、かつ/または各光学モード混合層(Kj)に対して別々に実施されるトモグラフィタスクを含む。工程d)は、トモグラフィプロセス中にそれぞれの光学モード混合層に入る各光学モードの光入力および/または光位相シフタ設定を変化させる工程と、それぞれの光学モード混合層を出る各光学モードからの出力光の振幅を測定する工程と、を含んでもよい。工程d)で使用され得るトモグラフィ技術の一例を、文献「Optics Express, Vol. 21, Issue 11, pp. 13450-13458 (2013) authored by Saleh Rahimi-Keshari, Matthew A. Broome, Robert Fickler, Alessandro Fedrizzi, Timothy C. Ralph, and Andrew G. White」に見つけることができる。光学モードMiの各々についての光入力状態のアンサンブルについて、それぞれの光学混合層Kjから出力される光の強度/振幅が記録される。再構築(reconstruction)(例えば、位相リフト(PhaseLift)-この技術の一例は、文献「arXiv:2010.00517 [Physics.Optics] authored by Daniel Suess, Nicola Maraviglia, Richard Kueng, Alexandre Mainos, Chris Sparrow, Toshikazu Hashimoto, Nobuyuki Matsuda, David Gross, and Anthony Laing」に記載されている)の使用によって、それぞれの光学混合層Kjの変換ユニタリ行列が得られる。各光学混合層Kjについてこのプロセスが繰り返されることにより、製造者は、パラメータ表示された全ユニタリ変換を再構築し、全てのチャレンジCをレスポンスRにマッピングする根底にある関数を得ることができる。
【0108】
PUFデバイスの完全なトモグラフィが工程d)で完了した後、物理的または化学的な後工程を介して、光結合インターフェースが破壊される。例えば、グレーティングカプラは、光結合インターフェースの一部として使用される場合に、当該光カプラが光を回折させなくなり入力/読み出し機構が終結するように当該コンポーネントを損傷させるために、超高強度パルスレーザ放射に曝され得るだろう。あるいは、集束イオンビームによるボンバード、電子ビームリソグラフィ、酸化物窓を通じた構造の化学エッチング、または熱アニールおよび注入イオンドーパント光カプラの外方拡散を介して、光結合インターフェースの変更を実現することができる(例として、特許文献「“Erasable ion implanted optical couplers”、WO2011142913A3」を参照)。さらに、読み出しフォトダイオードが使用される場合には、静電放電、または電子的損傷閾値を越える(順方向または逆方向の)バイアスを介して、当該読み出しフォトダイオードが無効化され得るだろう。
【0109】
記載された実施例による本方法は、製造者が全てのCRP情報を有することを、製造後のPUFデバイスを探査する必要なしに可能にするという点で有利であることが、容易に理解されよう。
【0110】
記載された実施例による本方法は、種々のPUFデバイスアーキテクチャであって、そのデバイスのトモグラフィがCRP情報を導出する目的のために重要であり、かつ入力された光に対してそれらがどのように動作しレスポンスが得られるのかという点で逐次的な構成を有し得る種々のPUFデバイスアーキテクチャについて、採用することができる。本方法は、本出願に記載された任意のPUFデバイスに関して用いることができるが、その他のPUFデバイスに関しても同様に、本発明の範囲から逸脱することなく用いることができる。
【0111】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、用語「comprises(備える、含む)」および「comprising」、ならびにその変形は、指定された特徴、工程または整数が含まれることを意味する。この用語は、その他の特徴、工程または構成要素の存在を排除するように解釈されるべきではない。
【0112】
また、本発明は、2以上の部分、要素、工程、実施例、および/または特徴のあらゆる組み合わせにおいて、個々にまたは集合的に本明細書に言及されまたは示された当該部分、要素、工程、実施例、および/または特徴に、広く成立し得る。特に、本明細書に記載された任意の実施形態における1以上の特徴は、本明細書に記載された他の任意の(1以上の)実施形態からの1以上の特徴と組み合わせられてもよい。
【0113】
本明細書で参照される1以上の任意の公開文書に開示された任意の特徴について、本開示との組み合わせにおいて、保護が求められ得る。
【0114】
本発明の或る例示的な実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲は、これらの実施形態のみに限定されることが意図されたものではない。特許請求の範囲は、文字通りに、合目的的に、かつ/または均等物を包含するように、解釈されるべきである。
【0115】
特定の形態において、もしくは開示された機能を実行するための手段に関して表現された、前述した説明、もしくは以下の特許請求の範囲、もしくは添付の図面に開示された特徴、または開示された結果を得るための方法もしくはプロセスは、別個に、またはかかる特徴の任意の組み合わせにおいて、本発明をその多様な形態において実現するために適宜、利用され得る。
【0116】
上述した例示的な実施形態とともに本発明を説明してきたが、本開示が与えられた場合、当業者には多くの均等な修正形態および変形形態が明らかとなるであろう。このように、上述した本発明の例示的な実施形態は、例示的なものであって限定的なものではないものとみなされる。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に様々な変更が加えられ得る。
【0117】
不確かさを避けるために、本明細書で提供されたいかなる理論的説明も読者の理解を深める目的で提供されたものである。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれによっても拘束されることを望むものではない。
【0118】
本明細書で使用される任意のセクションの見出しは、構成上の目的のためのものであるにすぎず、記載された主題を限定するものとして解釈されるべきではない。後続の特許請求の範囲を含め、本明細書全体を通して、文脈上別段の必要のない限り、「comprise」および「include」という語、ならびに「comprises」、「comprising」、および「including」等の変形は、記載された整数もしくは工程、または整数もしくは工程の群を含むことを意味するが、他の任意の整数もしくは工程、または整数もしくは工程の群を含まないことを意味するものではないと理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈上別段の明確な指定のない限り、複数の指示対象が含まれることに留意する必要がある。本明細書において、「約」ある特定の値から、かつ/または「約」他の特定の値までというように、範囲が表現されていることがある。かかる範囲が表現される場合、別の一実施形態には、当該ある特定の値から、かつ/または他の当該他の特定の値までが含まれる。同様に、先行語「約」の使用によって値が近似値として表現される場合、特定の値により別の一実施形態が形成されるものと理解される。数値に関する「約」という用語は、任意選択的であり、例えば±10%を意味する。
【0119】
〔参考文献〕
Paesani et al.:Nature Physics 15, 925 (2019).
Saleh Rahimi-Keshari, Matthew A. Broome, Robert Fickler, Alessandro Fedrizzi, Timothy C. Ralph, and Andrew G. White:Optics Express, Vol.21, Issue 11, pp.13450-13458 (2013).
Daniel Suess, Nicola Maraviglia, Richard Kueng, Alexandre Mainos, Chris Sparrow, Toshikazu Hashimoto, Nobuyuki Matsuda, David Gross, and Anthony Laing: arXiv:2010.00517 [Physics.Optics].
WO2011142913A3
【図面の簡単な説明】
【0120】
【
図2】本開示を具現化する装置のコンポーネントの概略図である。
【
図3】本開示を具現化する装置のコンポーネントの概略図である。
【
図4A】本開示を具現化する装置の或るコンポーネントを示す。
【
図4B】本開示を具現化する装置の或るコンポーネントを示す。
【
図5A】本開示を具現化する装置の或る部分を示す概略図である。
【
図5B】本開示を具現化する装置の或る部分を示す概略図である。
【
図6】本開示の或る態様を具現化するデバイスの或るコンポーネントを示す概略図である。
【
図7】本開示の或る態様を具現化するデバイスを動作させるための或る方法を示すフロー図である。
【
図8】本開示の或る態様を具現化するデバイスを製造するための或る方法を示すフロー図である。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
チャレンジCに基づく初期光学モード分布を処理し、最終的な光学モード分布を出力するためのフォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイスであって、
複数の光学モード(M
i)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路であって、複数の当該光学モード(M
i)に対して、前記初期光学モード分布が与えられ、複数の当該光学モード(M
i)から、前記最終的な光学モード分布が生成される、複数の光学モード導波路と、
複数の前記光学モード導波路M
iに沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路M
iに結合された複数の光学モード混合層(K
j)であって、各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた複数の光学モードM
iを混合して、各光学モード混合層(K
j)を出る光学モード分布が各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた光学モード分布と異なるようにする、複数の光学モード混合層(K
j)と、
複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光位相シフタの複数の列(S
k)であって、事前に決定された(1以上の)光位相シフトを適用して複数の当該光学モード(M
i)のそれぞれの位相を変化させ、その後の光学モードがそれぞれの光学モード混合層(K
j)によって受け取られる、複数の光位相シフタの複数の列(S
k)であって、複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)のうちの2個以上、または複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)の各々について、複数の当該光位相シフタが複数の前記光学モード導波路の各々に結合されている、複数の光位相シフタの複数の列(S
k)と、
を含む、フォトニックPUFデバイスと、
前記フォトニックPUFデバイスを制御し、前記チャレンジCを受け取り、レスポンスRを提供するためのセキュリティコントローラであって、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを変換して、変換された前記チャレンジCを前記フォトニックPUFデバイスに提供し、前記セキュリティコントローラは、前記フォトニックPUFデバイスによって出力される最終的な光学モード分布を受け取り、当該最終的な光学モード分布を前記レスポンスRに変換する、セキュリティコントローラと、
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記セキュリティコントローラにチャレンジCを出し、前記セキュリティコントローラからレスポンスRを受け取るプロセッサのための命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体と、
を含む、装置。
【請求項2】
装置であって、
チャレンジCに基づく初期光学モード分布を処理して、最終的な光学モード分布を出力するためのフォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイスであって、
複数の光学モード(M
i)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路であって、複数の当該光学モード(M
i)に対して、前記初期光学モード分布が与えられ、複数の当該光学モード(M
i)から、前記最終的な光学モード分布が生成される、複数の光学モード導波路と、
複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光学モード混合層(K
j)であって、各光学モード混合層K
jによって受け取られた複数の光学モード(M
i)を混合して、各混合層を出る光学モード分布が各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた光学モード分布と異なるようにする複数の光学モード混合層(K
j)であって、複数の前記光学モード混合層(K
j)のうちの1個以上、または複数の前記光学モード混合層(K
j)の各々は、複数の光学モード(M
i)のうちの3個以上を混合する、複数の光学モード混合層(K
j)と、
複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光位相シフタの複数の列(S
k)であって、事前に決定された(1以上の)光位相シフトを適用して複数の当該光学モード(M
i)のそれぞれの位相を変化させ、その後の光学モードがそれぞれの光学モード混合層(K
j)によって受け取られる、複数の光位相シフタの複数の列(S
k)と、
を含む、フォトニックPUFデバイスと、
前記フォトニックPUFデバイスを制御し、前記チャレンジCを受け取り、レスポンスRを提供するためのセキュリティコントローラであって、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを変換して、変換された前記チャレンジCを前記フォトニックPUFデバイスに提供し、前記セキュリティコントローラは、前記フォトニックPUFデバイスによって出力される最終的な光学モード分布を受け取り、当該最終的な光学モード分布を前記レスポンスRに変換する、セキュリティコントローラと、
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記セキュリティコントローラにチャレンジCを出し、前記セキュリティコントローラからレスポンスRを受け取るプロセッサのための命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体と、
を含む、装置。
【請求項3】
複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)のうちの2個以上、もしくは複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)の各々について、複数の当該光位相シフタが複数の前記光学モード導波路の各々に結合され、かつ/または複数の前記光学モード混合層(K
j)のうちの1個以上、もしくは複数の前記光学モード混合層(K
j)の各々は、複数の前記光学モード(M
i)のうちの全てを混合する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
単一の入力光学モードをサポートまたは形成するように接続可能な入力部と、複数の前記光学モード導波路に接続可能な1以上の出力部と、を有する再構成可能フォトニックネットワークを含み、
前記チャレンジCは、初期光学モード分布情報を含み、
前記セキュリティコントローラは、前記初期光学モード分布情報を用いることで、当該再構成可能フォトニック回路に、前記初期光学モード分布を生成するための対応する構成を採用させる、請求項1、2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記再構成可能フォトニックネットワークは、前記初期光学モード分布を生成するための複数の光位相シフタ(R
s)を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記再構成可能フォトニックネットワークは、前記単一の入力光学モードからの光を、複数の前記光学モード(M
i)にわたる前記初期光学モード分布に対応する光学状態に変換するための複数のマッハ-ツェンダ干渉計のアレイを備える、請求項
4に記載の装置。
【請求項7】
前記再構成可能フォトニックネットワークは、前記単一の入力光学モードからの光を、複数の前記光学モード(M
i
)にわたる前記初期光学モード分布に対応する光学状態に変換するための複数のマッハ-ツェンダ干渉計のアレイを備える、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
a)前記チャレンジCは、光位相シフタ設定を決定するための情報を含み、前記セキュリティコントローラは、当該光位相シフタ設定を決定するこの情報を使用して、複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)を設
定する
こと;
b)複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)と複数の前記光学モード混合層(K
j)とは、複数の前記光学モード導波路の長さに沿って、交互に配置されている
こと;および、
c)j=0~K、k=0~K+1であり、複数の光位相シフタの(S
K+1)番目の前記列は、干渉計プロセスの下流でのその後の使用のために、複数の前記光学モード(M
i)の前記最終的な光学モード分布の調整を適用するためのものである
こと
のうちの1以上を含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
a)前記チャレンジCは、光位相シフタ設定を決定するための情報を含み、前記セキュリティコントローラは、当該光位相シフタ設定を決定するこの情報を使用して、複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k
)を設定し、かつ/または複数の前記光位相シフタ(R
s
)を設定すること;
b)複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k
)と複数の前記光学モード混合層(K
j
)とは、複数の前記光学モード導波路の長さに沿って、交互に配置されていること;および、
c)j=0~K、k=0~K+1であり、複数の光位相シフタの(S
K+1
)番目の前記列は、干渉計プロセスの下流でのその後の使用のために、複数の前記光学モード(M
i
)の前記最終的な光学モード分布の調整を適用するためのものであること、
のうちの1以上を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項10】
チャレンジCに基づく初期光学モード分布を処理し、最終的な光学モード分布を出力するためのフォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイスであって、
複数の光学モード(M
i)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路であって、複数の当該光学モード(M
i)に対して、前記初期光学モード分布が与えられ、複数の当該光学モード(M
i)から、前記最終的な光学モード分布が生成される、複数の光学モード導波路と、
複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光学モード混合層(K
j)であって、各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた複数の光学モード(M
i)を混合して、各光学モード混合層(K
j)を出る光学モード分布が各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた光学モード分布と異なる分布となるようにする複数の光学モード混合層(K
j)であって、複数の前記光学モード混合層(K
j)の各々は、複数の前記光学モード(M
i)の少なくともサブセットを受け取って、複数の前記光学モード(M
i)の当該サブセットについて、それぞれの振幅の混合をもたらす複数の連続エバネッセント結合導波路を含む、複数の光学モード混合層(K
j)と、
複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光位相シフタの複数の列(S
k)であって、事前に決定された(1以上の)光位相シフトを適用して複数の当該光学モード(M
i)のそれぞれの位相を変化させ、その後の光学モードがそれぞれの光学モード混合層(K
j)によって受け取られる、複数の光位相シフタの複数の列(S
k)と、
前記フォトニックPUFデバイスを制御し、前記チャレンジCを受け取り、レスポンスRを提供するためのセキュリティコントローラであって、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを変換して、変換された前記チャレンジCを前記フォトニックPUFデバイスに提供し、前記セキュリティコントローラは、前記フォトニックPUFデバイスによって出力される最終的な光学モード分布を受け取り、当該最終的な光学モード分布を前記レスポンスRに変換する、セキュリティコントローラと、
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記セキュリティコントローラにチャレンジCを出し、前記セキュリティコントローラからレスポンスRを受け取るプロセッサのための命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体と、
を含む、フォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイス。
【請求項11】
複数の前記光学モード(M
i)は、それぞれの光学モード導波路に形成され、
複数の前記連続エバネッセント結合導波路は、複数の前記光学モード導波路の複数の領域に対応する、請求項
10に記載のフォトニック物理複製困難関数(PUF)
デバイス。
【請求項12】
複数の前記光学モード混合層(K
j)の各々は、複数の前記光学モード(M
i)の少なくともサブセットを受け取って、複数の前記光学モード(M
i)の当該サブセットについて、それぞれの振幅の混合をもたらす複数の連続エバネッセント結合導波路を含み、任意選択的に、または好ましくは、複数の前記光学モード(M
i)は、それぞれの光学モード導波路に形成され、複数の前記連続エバネッセント結合導波路は、複数の前記光学モード導波路の複数の領域に対応する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
複数の前記エバネッセント結合導波路の間隔、および/または複数の前記エバネッセント結合導波路がある長さにわたって互いに近接する当該長さは、それぞれの前記光学モード混合層(K
j)のエバネッセント結合の強さが、前記間隔および前記長さ、ならびに製造時に事前決定的に形成されない複数の前記導波路の微視的特徴の組み合わせによって決定されるように、事前決定的に形成されている、請求項
10または
11に記載
のフォトニック物理複製困難関数(PUF)
デバイス。
【請求項14】
複数の前記エバネッセント結合導波路の間隔、および/または複数の前記エバネッセント結合導波路がある長さにわたって互いに近接する当該長さは、それぞれの前記光学モード混合層(K
j
)のエバネッセント結合の強さが、前記間隔および前記長さ、ならびに製造時に事前決定的に形成されない複数の前記導波路の微視的特徴の組み合わせによって決定されるように、事前決定的に形成されている、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
複数の前記光学モード混合層(K
j)のうちの1個以上は、複数の前記光学モード(M
i)のうちの少なくとも3個、または複数の前記光学モード(M
i)のうちの全てを受け取って、複数の前記光学モードM
iのうちの当該少なくとも3個、または複数の前記光学モードM
iのうちの全てについて、それぞれの振幅の混合をもたらす連続エバネッセント結合導波路を含む、請求項
10または11に記載
のフォトニック物理複製困難関数(PUF)
デバイス。
【請求項16】
複数の前記光学モード混合層(K
j
)のうちの1個以上は、複数の前記光学モード(M
i
)のうちの少なくとも3個、または複数の前記光学モード(M
i
)のうちの全てを受け取って、複数の前記光学モードM
i
のうちの当該少なくとも3個、または複数の前記光学モードM
i
のうちの全てについて、それぞれの振幅の混合をもたらす連続エバネッセント結合導波路を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記初期光学モード分布が光源から生成される当該光源を含み、
前記光源は、レーザ、電気励起集積レーザ、(例えば、狭い光スペクトルを有する)LED光源、量子状態の光(例えば、スクイーズド光または単一光子)のうちの1以上を含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の装
置。
【請求項18】
前記初期光学モード分布が光源から生成される当該光源を含み、
前記光源は、レーザ、電気励起集積レーザ、(例えば、狭い光スペクトルを有する)LED光源、量子状態の光(例えば、スクイーズド光または単一光子)のうちの1以上を含む、請求項10または11に記載のフォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイス。
【請求項19】
前記初期光学モード分布が光源から生成される当該光源を含み、
前記光源は、レーザ、電気励起集積レーザ、(例えば、狭い光スペクトルを有する)LED光源、量子状態の光(例えば、スクイーズド光または単一光子)のうちの1以上を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項20】
前記初期光学モード分布が光源から生成される当該光源を含み、
前記光源は、レーザ、電気励起集積レーザ、(例えば、狭い光スペクトルを有する)LED光源、量子状態の光(例えば、スクイーズド光または単一光子)のうちの1以上を含む、請求項13に記載のフォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイス。
【請求項21】
前記初期光学モード分布が光源から生成される当該光源を含み、
前記光源は、レーザ、電気励起集積レーザ、(例えば、狭い光スペクトルを有する)LED光源、量子状態の光(例えば、スクイーズド光または単一光子)のうちの1以上を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項22】
a)前記最終的な光学モード分布を測定するための、複数の前記光学モード導波路に接続された光学測定デバイスであって、任意選択的に、または好ましくは、フォトダイオードまたは単一光子検出器を含む、光学測定デバイス;
b)前記フォトニック物理複製困難関数(PUF)は、集積フォトニックチップを備え、任意選択的に、前記集積フォトニックチップは、ケイ素(Si)、窒化ケイ素(SiN)、シリカ(SiO
2)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、ポリマー、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、または窒化アルミニウム(AlN)のうちの1種以上から形成される;および、
c)複数の前記光位相シフタは、独立して制御可能であり、かつ/または熱光学デバイス、電気光学デバイス、圧電デバイス、複屈折デバイス、微小電気機械デバイス、ひずみ誘起デバイス、もしくは音響光学デバイスを含み得る、
のうちの1以上を含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の装
置。
【請求項23】
a)前記最終的な光学モード分布を測定するための、複数の前記光学モード導波路に接続された光学測定デバイスであって、任意選択的に、または好ましくは、フォトダイオードまたは単一光子検出器を含む、光学測定デバイス;
b)前記フォトニック物理複製困難関数(PUF)は、集積フォトニックチップを備え、任意選択的に、前記集積フォトニックチップは、ケイ素(Si)、窒化ケイ素(SiN)、シリカ(SiO
2
)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、ポリマー、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、または窒化アルミニウム(AlN)のうちの1種以上から形成される;および、
c)複数の前記光位相シフタは、独立して制御可能であり、かつ/または熱光学デバイス、電気光学デバイス、圧電デバイス、複屈折デバイス、微小電気機械デバイス、ひずみ誘起デバイス、もしくは音響光学デバイスを含み得る、
のうちの1以上を含む、請求項10または11に記載のフォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイス。
【請求項24】
チャレンジCに基づく初期光学モード分布を処理し、変更された光学モード分布を出力するためのフォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイスであって、
複数の光学モード(M
i)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路であって、複数の当該光学モード(M
i)に対して、前記初期光学モード分布が与えられ、複数の当該光学モード(M
i)から、前記変更された光学モード分布が生成される、複数の光学モード導波路と、
複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光学モード混合層(K
j)であって、各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた複数の光学モード(M
i)を混合して、各光学モード混合層(K
j)を出る光学モード分布が各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた光学モード分布と異なるようにする複数の光学モード混合層(K
j)と、
複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光位相シフタの複数の列(S
k)であって、事前に決定された(1以上の)光位相シフトを適用して複数の当該光学モード(M
i)のそれぞれの位相を変化させ、その後の光学モードがそれぞれの光学モード混合層(K
j)によって受け取られる、複数の光位相シフタの複数の列(S
k)と、
前記フォトニックPUFデバイスを制御し、前記チャレンジCを受け取り、レスポンスRを提供するためのセキュリティコントローラであって、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを変換して、変換された前記チャレンジCを前記フォトニックPUFデバイスに提供し、前記セキュリティコントローラは、前記フォトニックPUFデバイスによって出力される最終的な光学モード分布を受け取り、当該最終的な光学モード分布を前記レスポンスRに変換する、セキュリティコントローラと、
を含み、
前記セキュリティコントローラは、
a)前記セキュリティコントローラが、前記チャレンジCを用いて、前記PUFによる処理のための初期光学モード分布を設定する工程と、
b)前記セキュリティコントローラが、前記変更された光学モード分布の振幅を取得する工程と、
c)前記セキュリティコントローラが、前記変更された光学モード分布の前記振幅を、さらなる初期光学モード分布として処理されるために前記PUFデバイスに提供する工程と、
d)前記セキュリティコントローラが、工程b)および工程c)をT回繰り返して、前記最終的な光学モード分布を生成する工程と、
を含む繰り返しプロセスによって、最終的な前記変更された光学モード分布を生成するように、前記フォトニックPUFデバイスを動作させるよう構成されている、フォトニックPUFデバイス。
【請求項25】
前記セキュリティコントローラは、工程c)の一部として、複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)の複数の前記光位相シフタのうちの1個以上、または複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)の複数の前記光位相シフタの全てについて、その設定を変更し、変更された当該設定に基づいて、前記PUFデバイスが前記さらなる初期光学モード分布を処理するように構成され得る、請求項
24に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項26】
前記セキュリティコントローラは、前記プロセスの各繰り返しについての複数の光位相シフタの複数の前記列(S
k)の前記設定を、前記チャレンジCを用いて設定する、請求項
25に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項27】
前記レスポンスRは、前記最終的な光学モード分布のみから変換される、請求項
24~26のいずれか一項に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項28】
前記レスポンスRは、工程b)において得られた複数の前記変更された光学モード分布のうちの1個以上、または工程b)において得られた複数の前記変更された光学モード分布のうちの全てから変換される、請求項
24~26のいずれか一項に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項29】
前記レスポンスRは、工程b)において得られた複数の前記変更された光学モード分布のうちの1個以上、または工程b)において得られた複数の前記変更された光学モード分布のうちの全てから変換される、請求項27に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項30】
単一の入力光学モードをサポートまたは形成するように接続可能な入力部と、複数の前記光学モード導波路に接続可能な(1以上の)出力部と、を有する再構成可能フォトニックネットワークを含み、
工程a)において、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを用いることで、前記再構成可能フォトニックネットワークに、前記初期光学モード分布を生成するための対応する構成を採用させる、請求項
24~
26のいずれか一項に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項31】
単一の入力光学モードをサポートまたは形成するように接続可能な入力部と、複数の前記光学モード導波路に接続可能な(1以上の)出力部と、を有する再構成可能フォトニックネットワークを含み、
工程a)において、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを用いることで、前記再構成可能フォトニックネットワークに、前記初期光学モード分布を生成するための対応する構成を採用させる、請求項27に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項32】
単一の入力光学モードをサポートまたは形成するように接続可能な入力部と、複数の前記光学モード導波路に接続可能な(1以上の)出力部と、を有する再構成可能フォトニックネットワークを含み、
工程a)において、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを用いることで、前記再構成可能フォトニックネットワークに、前記初期光学モード分布を生成するための対応する構成を採用させる、請求項28に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項33】
単一の入力光学モードをサポートまたは形成するように接続可能な入力部と、複数の前記光学モード導波路に接続可能な(1以上の)出力部と、を有する再構成可能フォトニックネットワークを含み、
工程a)において、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを用いることで、前記再構成可能フォトニックネットワークに、前記初期光学モード分布を生成するための対応する構成を採用させる、請求項29に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項34】
工程c)は、前記セキュリティコントローラ
が、前記変更された光学モード分布の前記振幅を用いることで、前記再構成可能フォトニックネットワークに、前記変更された光学モード分布の前記振幅を生成して、当該振幅を前記PUFデバイスに提供するための対応する構成を採用させる
工程を含む、請求項
30に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項35】
工程c)は、前記セキュリティコントローラが、前記変更された光学モード分布の前記振幅を用いることで、前記再構成可能フォトニックネットワークに、前記変更された光学モード分布の前記振幅を生成して、当該振幅を前記PUFデバイスに提供するための対応する構成を採用させる工程を含む、請求項31に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項36】
工程c)は、前記セキュリティコントローラが、前記変更された光学モード分布の前記振幅を用いることで、前記再構成可能フォトニックネットワークに、前記変更された光学モード分布の前記振幅を生成して、当該振幅を前記PUFデバイスに提供するための対応する構成を採用させる工程を含む、請求項32に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項37】
工程c)は、前記セキュリティコントローラが、前記変更された光学モード分布の前記振幅を用いることで、前記再構成可能フォトニックネットワークに、前記変更された光学モード分布の前記振幅を生成して、当該振幅を前記PUFデバイスに提供するための対応する構成を採用させる工程を含む、請求項33に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項38】
工程c)は、前記セキュリティコントローラが、前記変更された光学モード分布を変換して、当該変更された光学モード分布を、さらなる初期光学モード分布として処理されるために前記PUFデバイスに提供する工程を含む、請求項
24~
26のいずれか一項に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項39】
単一の入力光学モードをサポートまたは形成するように接続可能な入力部と、複数の前記光学モード導波路に接続可能な(1以上の)出力部と、を有する再構成可能フォトニックネットワークを含み、
工程a)において、前記セキュリティコントローラは、前記チャレンジCを用いることで、前記再構成可能フォトニックネットワークに、前記初期光学モード分布を生成するための対応する構成を採用させ、
工程c)は、前記セキュリティコントローラが、前記変更された光学モード分布の前記振幅を用いることで、前記再構成可能フォトニックネットワークに、前記変更された光学モード分布の前記振幅を生成して、当該振幅を前記PUFデバイスに提供するための対応する構成を採用させる工程を含み、
前記セキュリティコントローラは、変換された前記変更された光学モード分布を用いることで、前記再構成可能フォトニックネットワークに、変換された前記変更された光学モード分布を生成して、変換された当該変更された光学モード分布を前記PUFデバイスに提供するための対応する構成を採用させる
、請求項
38に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項40】
前記変更された光学モード分布と前記最終的な光学モード分布とをそれぞれ測定するために、複数の前記光学モード導波路に接続された光学測定デバイスを含む、請求項
24~
26のいずれか一項に記載のフォトニックPUFデバイス。
【請求項41】
チャレンジCに関連する初期光学モード分布を受け取り、レスポンスRに関連する最終的な光学モード分布を出力するためのフォトニック物理複製困難関数(PUF)デバイスと、複数のチャレンジCを複数のレスポンスRにそれぞれ関連付ける情報とを含むシステムを形成する方法であって、
a)複数の光学モード(M
i)を形成またはサポートするための複数の光学モード導波路を設ける工程であって、複数の当該光学モード(M
i)に対して、事前に決定された前記初期光学モード分布が与えられ得、複数の当該光学モード(M
i)から、前記最終的な光学モード分布が使用中に生成され得る工程と、
b)複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光学混合層(K
j)であって、各光学モード混合層(K
j)によって受け取られた複数の光学モード(M
i)を混合して、各光学モード混合層(K
j)を出る光学モード分布が各光学モード混合層K
jによって受け取られた光学モード分布と異なるようにする、複数の光学混合層(K
j)を設ける工程と、
c)複数の前記光学混合層(K
j)のうちのそれぞれの光学混合層(K
j)の前後の点に、複数の前記光学モード混合層(K
j)に結合される複数の前記光学モード導波路に対する複数の光結合インターフェースを形成する工程と、
d)複数のチャレンジCをそれぞれのレスポンスRに関連付ける複数の前記光学混合層(K
j)の光学モード混合動作を決定するために、複数の前記光結合インターフェースを通じてトモグラフィを実施する工程と、
e)工程d)が完了した後に複数の前記光結合インターフェースを除去する工程と、
を含む、方法。
【請求項42】
複数の前記光学モード導波路に沿って間隔を置いて配置され、かつ複数の前記光学モード導波路に結合された複数の光位相シフタの複数の列(S
k)であって、事前に決定された(1以上の)光位相シフトを適用して複数の当該光学モード(M
i)のそれぞれの位相を変化させ、その後の光学モードがそれぞれの光学モード混合層(K
j)によって受け取られる、複数の光位相シフタの複数の列(S
k)を設ける工程を含み、
工程c)において、複数の前記光結合インターフェースは、それぞれの先行する複数の光シフタの列(S
k)の後の点に結合され、かつ/またはそれぞれの(後続する)複数の光シフタの列(S
k+1)の前の点に結合される、請求項
41に記載の方法。
【請求項43】
工程d)は、各光学モードを通じて別々に、かつ/もしくは各光学モード混合層に対して別々に前記トモグラフィが実施される工程を含み、
かつ/または、
工程d)は、
前記トモグラフィのプロセス中にそれぞれの前記光学モード混合層に入る各光学モードの光入力および/もしくは前記光位相シフタの設定を変化させる工程と、
それぞれの前記光学モード混合層を出る各光学モードからの出力光の振幅を測定する工程と、
を含む、請求項
41または
42に記載の方法。
【請求項44】
請求項1~
3のいずれか一項に記載の装
置を動作させる方法であって、任意選択的に、または好ましくはデバイス、ユーザ、または通信を認証するために、前記装
置を認証プロセスの一部として用いる工程を含む、方法。
【請求項45】
請求項10、11、24~26のいずれか一項に記載のフォトニックPUFデバイスを動作させる方法であって、任意選択的に、または好ましくはデバイス、ユーザ、または通信を認証するために、前記フォトニックPUFデバイスを認証プロセスの一部として用いる工程を含む、方法。
【国際調査報告】