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特表2025-505641持続可能な放射線硬化性ハイブリッドオフセットインク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】持続可能な放射線硬化性ハイブリッドオフセットインク
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/101 20140101AFI20250220BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
C09D11/101
C09D4/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024546398
(86)(22)【出願日】2023-02-09
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2023053227
(87)【国際公開番号】W WO2023152240
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】63/308,106
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506397202
【氏名又は名称】サン ケミカル ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デラヘイ、フレディー
(72)【発明者】
【氏名】プティ、アナベル
(72)【発明者】
【氏名】サバルマンド、サイード
(72)【発明者】
【氏名】ヨンケ、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ブライゾー、ジャン - ユーグ
【テーマコード(参考)】
4J038
4J039
【Fターム(参考)】
4J038BA222
4J038BA231
4J038CB111
4J038CC011
4J038CF002
4J038DD061
4J038FA111
4J038FA201
4J038HA286
4J038HA446
4J038HA536
4J038KA08
4J038NA27
4J038PA17
4J039AB04
4J039AB08
4J039AD21
4J039AE02
4J039BE27
4J039EA04
4J039EA33
4J039GA02
(57)【要約】
本発明は、大量の不活性硬質樹脂を含む、高いバイオ再生可能含有量を有する放射線硬化性ハイブリッドインク及びコーティング組成物を提供する。放射線ハイブリッドインク及びコーティング組成物は、良好な平版印刷特性、低いローラー膨潤、及びUVワニスでオーバープリントしたときの低いグロスバック効果を有する。インク及びコーティング組成物は、平版湿式印刷に有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物であって、
a)ロジン樹脂、ロジン樹脂誘導体、炭化水素樹脂、変性炭化水素樹脂、イソジアリルフタラート樹脂、非フタラートアリル樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、10重量%~30重量%の1以上の不活性硬質樹脂、
b)不活性硬質樹脂、植物油、植物油エステル、アルキド樹脂、抗酸化剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される10~60%の非UV原料;並びに
c)5重量%~45重量%の1以上の多官能性(メタ)アクリラートモノマー及び/又はオリゴマー;
d)0~10%の単官能性(メタ)アクリラートモノマー及び/又はオリゴマー;
を含み、
前記インク又はコーティング組成物が、40%以上のバイオ再生可能含有量を含む、平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項2】
0~20重量%の1以上の光開始剤を含む、請求項1に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項3】
成分b)が、植物油、植物油エステル、アルキド樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項4】
前記インク又はコーティング組成物が、45%以上のバイオ再生可能含有量を含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項5】
20重量%未満、好ましくは10重量%未満、又はより好ましくは5重量%未満の、発癌性、変異原性、又は生殖毒性(CMR)と分類される化合物を含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項6】
発癌性、変異原性、又は生殖毒性(CMR)と分類される化合物を実質的に含まない、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項7】
前記CMR化合物が、トリメチロールプロパントリアクリラート、シリコーンジアクリラート、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;任意で前記CMR化合物はトリメチロールプロパントリアクリラートである、請求項5又は6に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項8】
部分a)の前記1以上の不活性硬質樹脂が、10重量%~25重量%、例えば10重量%~20重量%の量で存在する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項9】
部分a)の前記不活性硬質樹脂が、イソジアリルフタラート樹脂、非フタラートアリル樹脂、ロジン樹脂誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項10】
前記ロジン樹脂誘導体がフェノール性ロジン樹脂である、請求項9に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項11】
部分a)の前記1以上の不活性硬質樹脂が、部分c)の前記(メタ)アクリラートモノマー及びオリゴマー、並びに部分b)の前記植物油、植物油エステル及び植物アルキド樹脂と相溶性であるか、それに可溶性であるか、又はそれと相溶性であり且つそれに可溶性である、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項12】
油変性フェノール樹脂、ケトン樹脂、アルデヒド尿素樹脂、油変性ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルスチレン樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上の追加の樹脂をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項13】
部分c)の前記(メタ)アクリラートオリゴマーが、0.1重量%~45重量%の量で存在する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項14】
部分c)の前記(メタ)アクリラートオリゴマーが、15重量%~35重量%の量で存在する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項15】
部分c)の前記(メタ)アクリラートオリゴマーが、少なくとも400ダルトン、例えば400~3000ダルトンの数平均分子量を有する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項16】
前記インク又はコーティング組成物中に存在する前記(メタ)アクリラートオリゴマーの少なくとも95重量%が、2以上、例えば4以上、又は6以上のアクリラート官能価を有する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項17】
部分c)の前記(メタ)アクリラートオリゴマーが、アクリル化油、エポキシアクリラート、ポリエステルアクリラート、アクリル化ポリウレタン、アクリル化ポリアクリラート、アクリル化ポリエーテル、アクリル化アミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項18】
部分c)の前記(メタ)アクリラートオリゴマーが、ポリエステルアクリラート、アクリル化ポリウレタン、アクリル化ポリエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項19】
部分c)の前記1以上の多官能性(メタ)アクリラートモノマーが、35重量%までの量で存在する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項20】
部分c)の前記1以上の多官能性(メタ)アクリラートモノマーが、15重量%までの量で存在する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項21】
部分c)の前記1以上の多官能性(メタ)アクリラートモノマーが、1,2-エチレングリコールジアクリラート、1,4-ブタンジオールジアクリラート、1,6-ヘキサンジオールジアクリラート、ジプロピレングリコールジアクリラート、ネオペンチルグリコールジアクリラート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジアクリラート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリラート、トリプロピレングリコールジアクリラート、ビスフェノール-Aジアクリラート、エトキシ化ビスフェノール-A-ジアクリラート、ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルジアクリラート、エトキシ化ビスフェノール-A-ジアクリラート、ポリ(エチレン)グリコールジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリラート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリラート、プロポキシル化グリセロールトリアクリラート、ペンタエリスリトールトリアクリラート、エトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリラート、プロポキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリラート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリラート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリラート、ジペンタエリスリトールペンタアクリラート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項22】
部分b)の前記植物油、植物油エステル、及び植物アルキド樹脂が、0.1~30重量%の量で存在する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項23】
部分b)の前記植物油、植物油エステル、及び植物アルキド樹脂が、10重量%~25重量%の量で存在する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項24】
前記植物油エステルが植物油脂肪酸アルキルエステルである、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項25】
前記植物油が、乾性油、半乾性油、非乾性油、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される;任意で、前記植物油が、アマニ油、ダイズ油、及びそれらの組み合わせである、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項26】
0.1重量%~10重量%の、部分d)の前記単官能性アクリラートモノマーを含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項27】
0.1重量%~40重量%の1以上の着色剤、例えば、1重量%~20重量%の1以上の着色剤をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項28】
前記1以上の着色剤が、無機顔料、有機顔料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項27に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項29】
0.1重量%~10重量%の1以上の増量剤及び/又は充填剤、例えば1重量%~5重量%の1以上の増量剤及び/又は充填剤をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項30】
前記1以上の増量剤又は充填剤が、粘土、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項29に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項31】
0.1重量%~20重量%の1以上の光開始剤をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項32】
1重量%~10重量%の1以上の光開始剤を含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項33】
前記1以上の光開始剤が、オリゴマー光開始剤、ポリマー光開始剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項31又は32に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項34】
前記光開始剤の少なくとも1つがオリゴマーベンゾフェノン誘導体である、請求項27~29のいずれか一項に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項35】
0.1重量%~3重量%の1以上の乾燥剤をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項36】
前記1以上の乾燥剤が、脂肪酸塩、有機カルボン酸の重金属塩、及びそれらの組み合わせからなる群からそれぞれ独立して選択される、請求項35に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項37】
0.1重量%~5重量%の1以上の添加剤をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項38】
前記1以上の添加剤が、表面活性剤、分散剤、脱気剤、ワックス、貯蔵寿命安定剤、湿潤剤、スリップ剤、流動剤、フルオロカーボン界面活性剤、シリコーン、有機ポリマー界面活性剤、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項37に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項39】
1重量%~15重量%の1以上のバイオ系ワックス、例えば2重量%~10重量%の1以上のバイオ系ワックスを含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング。
【請求項40】
前記1以上のバイオ系ワックスが、カルナバに基づくワックス、サトウキビに基づくワックス、ポリ乳酸に基づくワックス、米ぬかに基づくワックス、硬化ヒマシ油に基づくワックス、ポリ-(ヒドロキシブチラート-コ-ヒドロキシバレラート)に基づくワックス、及びそれらの組み合わせからなるリストから選択される、請求項39に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング。
【請求項41】
鉱油を実質的に含まない、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項42】
5重量%未満の合成ワックスを含み、例えば、前記インク又はコーティング組成物が実質的に合成ワックスを含まない、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項43】
請求項1~42のいずれか一項に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物と、基材とを含む、印刷された物品。
【請求項44】
包装物品の一部を形成する、請求項43に記載の印刷された物品。
【請求項45】
先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物を作製する方法であって、
a)以下:
i)ロジン樹脂、ロジン樹脂誘導体、炭化水素樹脂、変性炭化水素樹脂、イソジアリルフタラート樹脂、非フタラートアリル樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上の不活性硬質樹脂;
ii)不活性硬質樹脂、植物油、植物油エステル、アルキド樹脂、抗酸化剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される非UV原料;並びに
iii)1以上の多官能性(メタ)アクリラートモノマー及び/又はオリゴマー;
を提供する工程、並びに
b)前記成分を一緒に混合して、前記ハイブリッドインク又はコーティングを作製する工程、
を含む方法。
【請求項46】
先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物を印刷する方法であって、
a)前記平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティングを提供する工程;
b)前記平版印刷用インク又はコーティングを基材上に印刷する工程;及び
c)前記平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティングを硬化させる工程、
を含む方法。
【請求項47】
前記硬化がUV照射を使用して行われる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記硬化が電子ビーム放射を使用して行われる、請求項46又は47に記載の方法。
【請求項49】
包装の持続可能性を改善するための、請求項1~42のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高バイオ再生可能含有量(BRC放射線硬化性ハイブリッドインク、及びエネルギー硬化性モノマーとオリゴマーと光開始剤とを含むコーティング、並びに油、アルキド樹脂及び硬質樹脂などの従来のオフセットインクで使用される原料に関する。放射線硬化性ハイブリッドインク及びコーティングは、平版印刷による塗布に適している。
【背景技術】
【0002】
平版印刷用の従来のインクは、植物油又は鉱油、アルキド樹脂、及びフェノール樹脂又は炭化水素樹脂を用いて配合される。油は基材に浸透して、物理的な乾燥又は固化(「クイックセット」効果)を誘発する。しかしながら、プラスチックフィルムなどの非多孔質基材に印刷する場合、クイックセット効果を使用することはできない。非多孔質基材上に印刷するために、植物油及びそのエステル(乾性油として知られる)を使用してインクを配合して、硬質樹脂を溶解し、粘度を低減させる。平版印刷用インク中の油は、酸化反応によってインクの乾燥に関与する。
【0003】
従来の平版印刷用インクの主な欠点は、乾燥速度が遅いことである。油及びアルキドに基づく従来の平版印刷用インクは、基材の浸透(固化)及び酸化によってゆっくりと乾燥する。これは、変換器が達成することができる生産性に悪影響を及ぼす。したがって、生産性を向上させるために、より速い乾燥インクを製造する必要がある。
【0004】
エネルギー硬化性インクは、平版印刷にも使用されている。エネルギー硬化性インクは、改善された光沢及び耐性特性を有する。しかしながら、平版印刷にエネルギー硬化性インクを使用することには欠点がある。例えば、エネルギー硬化性インクの顔料湿潤は、従来のインクほど良好ではなく、印刷密度の問題をもたらす。さらに、エネルギー硬化性インクは、低い剪断粘度、水との安定性の低いエマルジョン、及びより高いタックの問題を示す。水とのエマルジョンにおける安定性の欠如は、印刷プレス上のより小さい水バランスをもたらす。より高いタックは、紙又は板紙に印刷するときに繊維又はコーティングのピッキングにつながる可能性がある。さらに、エネルギー硬化性インクに使用される原料の分類は、従来のシステムよりも健康にとってはるかに重要である。ラジカル重合に使用される材料は、主に、石油化学的に誘導された材料を使用する合成プロセスから誘導される。バイオソース材料の使用は、低いBRC値を有するエネルギー硬化インクを提供する当技術分野のインクにおいて制限されている。
【0005】
一般に、従来の乾燥又はUV乾燥のいずれかのインクは、傷及び印刷劣化を回避することによって良好な印刷及び変換プロセスを可能にするためにワックスを含有する。これらのワックスは、通常、微粒子化ポリエチレン(PE)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に基づく合成ワックスである。欧州化学物質庁(ECHA)は、マイクロプラスチックの規制上の定義を、「固体ポリマー含有粒子からなる材料であって、添加剤又は他の物質が添加されていてもよく、粒子の1%重量(w/w)以上が、(i)すべての寸法が1nm≦x≦5mm、又は(ii)繊維については3nm≦x≦15mmの長さ及び3を超える長さ対直径比を有する。(加水分解以外によって)化学的に改変されていない天然に存在するポリマーは、(生)分解性のポリマーと同様に除外される」として提案した。マイクロプラスチックの規制は、粒子が重合した結合剤のネットワーク中に分散し、遊離ではないため、インク配合物に直接影響しない。しかし、持続可能な開発の観点から、高BRCインクは、PE又はPTFEワックスなどの合成ワックスを含有すべきではない。
【0006】
特定の印刷ジョブの要件に応じて、変換器は、従来の及びエネルギー硬化性平版印刷用インクの両方を使用したい場合がある。従来のインクは、一般に、N-ブナ-ニトリルゴム(NBR)ローラーで印刷されるが、エネルギー硬化性インクは、一般に、エチレン-プロピレン-ジエン-モノマー(EPDM)ローラーで印刷される。エネルギー硬化性インクはNBRローラーに適合せず、従来のインクはEPDMローラーに適合しない。非適合インクを使用すると、ローラーが膨潤し、印刷品質が低下する。同じプレスで従来のインクとエネルギー硬化性インクの両方を使用するために、変換器は、印刷プレス上のゴムローラー及びブランケットをハイブリッドシステムに切り替えなければならない。
【0007】
多くの場合、従来のインクで作製された印刷物の光沢を改善するために、変換器は、印刷された基材上にエネルギー硬化性トップコートを塗布する。しかしながら、エネルギー硬化性トップコートは、典型的には、油及びアルキド系インクと適合性ではなく、「グロスバック」をもたらす。グロスバックは、従来のインク上に塗布された放射線硬化性コーティングが硬化後短期間、典型的には1日以内に光沢を失う現象である。グロスバックを改善するために、一般に、印刷とエネルギー硬化性トップコートとの間に水系プライマーを塗布することが必要である。
【0008】
これらの問題を克服する試みにおいて、従来のインク成分とエネルギー硬化性成分の両方を含む「ハイブリッド」インクを開発する努力がなされてきた。ハイブリッドインクは、Paul Gaevert at Radtech Conference Nov.3-5,2003,Conference Proceedings “Ink performance properties of UV,conventional and hybrid sheet-fed inks” Tony Bean in “Radtech Report October 2009,“Hybrid Sheetfed lithographic systems-State of the Art;”及びDieter Kleeberg in “Quality enhancement with hybrid production” in Process 2006(プレスメーカーKBAの出版)に記載されている。
【0009】
放射線硬化性ハイブリッドインクは、油、アルキド樹脂、及び硬質樹脂などの従来のインクからの原料も含有する放射線硬化性インクである。ハイブリッドインクは、異なる乾燥特性を組み合わせ、好ましくはUV(紫外線)又はEB(電子ビーム)放射下で、また空気による酸化又は熱乾燥によって乾燥する。さらに、インクは、油ベースの従来のインクと同様に、基材への油の浸透によって乾燥することができる。ハイブリッドインクで観察され得る1つの利点は、光沢のわずかな損失(すなわち、わずかなグロスバック)のみで放射線硬化性コーティングで直接オーバープリントできることである。その結果、インクとコーティングとの間の水性プライマー、並びにプレス上のダブルコーターを省くことができる。
【0010】
しかしながら、放射線硬化性ハイブリッドインクは、非極性植物油又は鉱物、及びフェノール樹脂又は炭化水素樹脂などの化学的に異なる材料を、より極性のモノマー性アクリラート及び樹脂と組み合わせてベースとしているため、良好な相溶性を達成することは容易ではない。
【0011】
ハイブリッドインクの1つの欠点は、ハイブリッドインクの安定性をバランスさせなければならないことである。酸素の存在下では、油ベースの材料は、特に乾燥剤の存在下で、酸化により粘度が増加し始める可能性があり、一方で、酸素はアクリラートなどの放射線硬化性成分を安定化する。
【0012】
現在入手可能なハイブリッドインクの主な欠点は、浸透(固化)及び酸化によってゆっくりと乾燥する油及びアルキドの組み込みに起因して、これらのインクの乾燥速度がより遅いことである。これらのインクのインク乾燥の決定要因は、油の固化及びアルキドの酸化であるため、変換器は、100%放射線硬化性インクに関連する生産性(ライン速度)を達成しない。これは、油が浸透しない非多孔質基材にとって特に重要である。
【0013】
その結果、文献に記載されているような典型的なハイブリッドインクは、大量の放射線硬化性材料を含有するが、より少量の油及びアルキドしか含有しない。典型的な放射線硬化性ハイブリッドインクの配合は、Radtech会議(Paul Geavert,Radtech Europe 2003)の議事録に示されており、従来のインクの材料(油及びアルキド)は15%に制限されている。一般に、当技術分野の典型的な放射線硬化性ハイブリッドインクは、5~15%の植物油及びアルキド樹脂、0~15%のポリエステルアクリラート、0~10%のエポキシアクリラート、0~50%の植物油アクリラート、5~15%のアクリルモノマー、14~24%の顔料、4~8%の充填剤、4~8%の光開始剤、並びに1%未満の安定剤及び阻害剤を含む。これは、総説論文(“Hybrid Sheetfed lithographic systems-State of the Art”,Tony Bean,Radtech report 2009)においても確認されており、典型的なハイブリッドインクは、少量の従来の原料しか含有しない。
【0014】
上述の配合範囲は、非反応性の不活性油及びアルキドが存在するために、遅い硬化速度(低い反応性)並びに低い耐溶媒性を示すが、従来の材料の量が限られているため、これらのインクは、典型的なUVインクと比較して非常に類似した平版印刷を示す。典型的なUVインクの平版印刷性能は、非反応性不活性油及びアルキドを使用する従来のインクよりも劣る。
【0015】
したがって、上述の配合範囲の唯一の利点は、そのような典型的な放射線硬化性ハイブリッドインクを、放射線硬化性インク用のローラーと従来のインク用のローラーの両方で作動させることができることである。しかしながら、実質的により良好な平版印刷を得るという目標は達成されていない。
【0016】
さらに、当技術分野の多くのハイブリッドインクは、EU Classification,Labelling and Packaging of substances(CLP)Regulation 1272/2008の下で発癌性、変異原性又は生殖毒性(CMR)として分類される化合物を含む。これらの化合物はヒトの健康に有害であるので、CMR化合物を含まず、当技術分野の組成物と同等の特性、例えばグロスバック、タック、粘度及び硬化を有する新しいハイブリッドインク及びコーティング組成物を同定することが望ましい。
【0017】
したがって、高BRC、低CMR化合物含有ハイブリッドインク及びコーティングの配合から必要とされる要求は非常に複雑であり、これらのインク及びコーティングの特性を最適化することも同様に複雑であることが分かる。平版印刷の観点から、大量の油、アルキド、及び硬質樹脂を含むインクを有することが有利である。逆に、乾燥速度、生産性、及びグロスバックの観点から、放射線硬化性モノマー及びオリゴマーの量が多いことが好ましい。
【発明の概要】
【0018】
本発明は、BRC含有量が高い従来のエネルギー硬化原料の複雑な混合物を提供する。本発明のインク及びコーティングは合成ワックスを含まず、経時的に良好な安定性を有する。インクは、良好な平版印刷特性を示し、わずかなグロスバックのみでUVワニスを用いてオーバープリントすることができ、良好なコーティング間接着性を有する。本発明のハイブリッドインク及びコーティングは、(メタ)アクリラートモノマー及びオリゴマーと比較して、アルキド及び従来の樹脂の顔料湿潤がより良好であるため、100%放射線硬化性インクと比較して良好な平版印刷特性を示す。本発明の持続可能なハイブリッドインク及び本発明のコーティングは、発癌性、変異原性又は生殖毒性(CMR)材料を含み得ない。
【0019】
本発明は、ASTM D6866(方法B)に従って、少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%の最小のモダン炭素パーセント(PMC)を提供する高BRC平版印刷用放射線ハイブリッドインク又はコーティングを提供する。
【0020】
本発明は、以下:
a)ロジン樹脂、ロジン樹脂誘導体、炭化水素樹脂、変性炭化水素樹脂、イソジアリルフタラート樹脂、非フタラートアリル樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、10重量%~30重量%の1以上の不活性硬質樹脂;
b)不活性硬質樹脂、植物油、植物油エステル、アルキド樹脂、抗酸化剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される10~60%の非UV原料;及び
c)5重量%~45重量%の1以上の多官能性(メタ)アクリラートモノマー及び/又はオリゴマー;
を含む高BRC平版印刷用放射線ハイブリッドインク又はコーティング組成物を提供し、
インク又はコーティングは、40%以上のBRC、より好ましくは45%以上のBRCを含む。
【0021】
平版印刷用放射線ハイブリッドインク又はコーティング組成物は、好ましくは10重量%未満のCMR化合物、より好ましくは5重量%未満のCMR化合物を含み、さらにより好ましくはCMR化合物を実質的に含まない。
【0022】
本発明はまた、合成ワックスの代わりにバイオソース系ワックスを使用する、より持続可能な組成物を提供する。本発明はまた、本発明の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインクをUVコールドセット平版印刷用インクとして、又はUVヒートセット平版印刷用インクとして塗布することを含む、物品を印刷する方法を提供する。
【0023】
本発明はさらに、本発明のエネルギー硬化性ハイブリッド平版印刷用インクを含む印刷された物品を提供する。本発明はまた、必要な着色ベースを適切な比率でTVと混合するだけで、スポットカラー調製を単純化するための従来の濃縮顔料ベース及びエネルギー硬化技術ワニス(TV)を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、例1及びStarluxeの両方のTSIを示し、Starluxeが実験の過程でどのようにさらに進化したかを示す。
図2図2は、同じ条件下でのStarluxeのRheoLaser分析の結果を示す。
図3図3は、10℃/分のランプ速度を使用して、10~50℃の6つの温度サイクルについての例1(Agricure)のRheoLaser分析の結果を示す。
図4図4は、全体的な変動を示す(第1のサイクルの第1のピークに対して正規化された、第1のピークのパーセンテージの変動に対応する)。
図5図5は、5℃/分のランプ速度で10~50℃で分析を繰り返した場合にどのように同様の結果が得られたかを示す。
図6図6は、10℃/分のランプ速度で10~40℃で分析を繰り返した場合に得られた結果を示す。
図7図7は、上記の各RheoLaser実験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、例示的且つ説明的なものにすぎず、特許請求される主題を限定するものではないことを理解されたい。
【0026】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書の開示全体を通して言及されるすべての特許、特許出願、公開出願及び刊行物、ウェブサイト及び他の公開資料は、特に明記しない限り、任意の目的のためにその全体が参照により組み込まれる。
【0027】
本発明は、UVワニスでオーバープリントした場合に良好な平版印刷特性及び低いグロスバック効果を有する放射線硬化性ハイブリッドインク及びコーティングを提供する。インクは、平版湿式印刷に有用である。
【0028】
定義
-本出願では、特に明記しない限り、単数形の使用は複数形を含む。本明細書中で用いられる単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も包含することが意図される。
-本出願では、「又は」の使用は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。
-本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」という用語は、記載された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は成分の存在を指定するが、1以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、成分、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではない。さらに、用語「包含する(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」、「構成される(composed)」、「含まれる(comprised)」又はそれらの変形は、詳細な説明又は特許請求の範囲のいずれかで用いられる限り、そのような用語は、用語「含む(comprising)」と同様に包括的であることが意図される。
-本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリラート」という用語は、アクリラート化合物及びメタクリラート化合物の両方を指す。「アクリラート」という用語が単独で使用される場合、それはアクリラート化合物及びメタクリラート化合物の両方を包含すると理解される。
-本明細書で使用される場合、「エネルギー硬化性」又は「放射線硬化性」インク又はコーティング組成物は、任意の適切な化学線源によって硬化することができる組成物である。適切なUV放射源には、高電圧水銀バルブ、中電圧水銀バルブ、キセノンバルブ、カーボンアークランプ、メタルハライドバルブ、鉄ドープランプ、UV-LEDランプ又は太陽光が含まれるが、これらに限定されない。他の放射線源には、マイクロ波、赤外線、電子ビーム、可視光、X線、レーザーなどが含まれるが、これらに限定されない。
-本明細書で使用される場合、「放射線硬化性ハイブリッドインク」又は「エネルギー硬化性ハイブリッドインク」は、エネルギー硬化性成分(例えば、限定されないが、アクリラートモノマー)を含有し、限定されないが油、アルキド樹脂、及び硬質樹脂などの従来のインクからの原料も含有するインク又はコーティング組成物である。
-本明細書で使用される場合、「物品(article)」又は「物品(articles)」という用語は、基材又は製造製品を意味する。物品の例には、紙、プラスチック、プラスチック又はポリマーフィルム、ガラス、セラミック、金属、複合材などの基材;及び刊行物(例えば、パンフレット)、ラベル、包装材料(例えば、厚紙シート又は段ボール)、容器(例えば、ボトル、缶)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタラート)、金属化箔(例えば、積層アルミニウム箔)、金属化ポリエステル、金属容器などの製造製品が含まれるが、これらに限定されない。
-本明細書で使用される場合、「インク(ink)」、「インク(inks)」、「コーティング(coating)」、「コーティング(coatings)」、「インク及びコーティング(ink and coating)」、及び「インク及びコーティング(inks and coatings)」という用語は互換的に使用される。
-本明細書で使用される場合、「不活性樹脂」及び「不活性硬質樹脂」という用語は互換的に使用される。
-「モノマー」という用語は、重合することができ、複数のモノマー単位を含まない化合物を指す。
-「オリゴマー」という用語は、複数のモノマー単位を含む化合物を指す。本明細書で使用される場合、「オリゴマー」という用語は、少なくとも400Daの数平均分子量を有する化合物を指す。
-「非UV」という用語は、不活性であり、光開始条件下、例えば光開始剤の存在下でUV光下で反応しない化合物を指す。この用語は、上記条件下で開始することができるモノマー及びオリゴマー、例えば(メタ)アクリラートを除外する。
-本開示を通して、すべての部及びパーセンテージは、特に指示しない限り、重量基準(任意の溶媒を含む組成物の総重量に基づく重量%又は質量%)であり、すべての温度は℃である。
-別段の指示がない限り、すべての方法の工程は、列挙された順序で実行されるべきである。
-相溶性:本明細書で使用される場合、成分の相溶性は、成分が室温(23℃)で混和性であり、混合後少なくとも1週間、相分離を受けないことを意味する。
-本明細書で使用される場合、可溶性及び相溶性は互換的に使用される。
-平版印刷用:平版印刷での使用に適した組成物。
【0029】
放射線硬化性ハイブリッドインク及びコーティング
本出願は、平版印刷に適したエネルギー硬化性ハイブリッドインク及びコーティングを提供する。本発明のインク及びコーティングは、従来の油及びアルキドと不活性硬質樹脂との混合物を含有するバランスのとれた放射線硬化性ハイブリッドインク及びコーティングである。
【0030】
本発明は、以下:
a)ロジン樹脂、ロジン樹脂誘導体、炭化水素樹脂、変性炭化水素樹脂、イソジアリルフタラート樹脂、非フタラートアリル樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、10重量%~30重量%の1以上の不活性硬質樹脂;及び
b)不活性硬質樹脂、植物油、植物油エステル、アルキド樹脂、抗酸化剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される10~60%の非UV原料;及び
c)5重量%~45重量%の1以上の多官能性アクリラートモノマー及び/又はオリゴマー
d)0~10%の単官能性(メタ)アクリラートモノマー及び/又はオリゴマー;
を含む平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物を提供し、
インク又はコーティング組成物は、40%以上のバイオ再生可能含有量を含む。
【0031】
本発明の利点
得られたインク及びコーティングは、良好な平版印刷特性を示し、わずかなグロスバックのみでUVワニスでオーバープリントすることができ、良好なコーティング間接着性を示す。本発明のハイブリッドインクは、アクリラートモノマー及びオリゴマーに対して、アルキド及び従来の樹脂の顔料湿潤がより良好であるため、100%放射線硬化性インクに対して良好な平版印刷特性を示す。本発明のハイブリッドインクはまた、エネルギー硬化性モノマーを含むことにより、より速い乾燥及び硬化を提供し、生産性を高める。油及びアルキドに対する従来のアクリラート相溶性不活性硬質樹脂の量が多いことは、硬化遅延を低減し、アクリラートとの相溶性を高めるのに役立つ。
【0032】
本発明者らは、フェノール性ロジン樹脂、マレイン酸ロジン樹脂、及び/又は芳香族炭化水素樹脂などの不活性硬質樹脂を大量に導入することにより、ハイブリッドインク中の従来のインク成分の総量を大幅に増加させることができ、乾燥速度にほとんど影響を与えずに平版印刷に有利であることを予想外に観察した。
【0033】
それは、植物油中のマレイン酸ロジン、芳香族炭化水素樹脂、及び/又はフェノール性ロジン樹脂などの不活性硬質樹脂を多量に含む従来のワニスを作製することを指し、これは1以上の乾性油、半乾性油、及び非乾性油であり得る。相溶性比は、従来の材料と(メタ)アクリル化モノマー及びオリゴマーとの間で決定されなければならない。
【0034】
いかなる特定の理論にも拘束されないが、本発明者らは、不活性硬質樹脂が、大量に存在する場合であっても、放射線硬化性アクリラートマトリックスが乾燥されるとすぐに硬く固体になり、その結果、乾燥特性(ライン速度)があまり影響を受けないと考えている。本発明のインク及びコーティングは、少なくとも10,500枚/時など、当技術分野で使用される従来の印刷速度で実行することができる。
【0035】
さらに、放射線硬化を改善するための第2の問題は、放射線硬化が遅いことが知られている、しばしば提案されている植物油アクリラートを、プロポキシル化グリセロールトリアクリラートを含む三官能性アクリラートなどの非常に反応性の多官能性アクリラートによって部分的に置換又は制限することである。
【0036】
相溶性の理由から、油変性アクリラートは、従来の油及びアルキドと相溶性であるため、ハイブリッドインクに使用しなければならないという一般的な考えとは対照的に、本発明者らは、プロポキシル化グリセロールトリアクリラートなどの多くの一般的な多官能性アクリラートを大部分使用できることを見出した。しかしながら、高度にエトキシル化されたアクリルモノマーを大量に含めることはより困難であり、これはそれらの極性のためにいくらかの不適合性を引き起こす可能性がある。本発明のハイブリッドインクにおいて、単官能性アクリラートを使用することが可能であるが、これらの材料は、最大10%、より好ましくは最大5%で使用されることが好ましい。
【0037】
実際には典型的なUVインクに近く、いくつかの従来の材料のみを含有する多くの市販のハイブリッドインク及びコーティング(例えば、Suncure Hybrite、Sun Chemical)とは異なり、本発明のインクは、良好な平版印刷性能を得るためにかなりの量の従来のインク原料を含有する。材料の量は、油及びアルキド樹脂の良好な部分が、例えば、変性マレイン酸ロジン又は変性フェノール性ロジン又は炭化水素樹脂などのアクリラート可溶性不活性硬質樹脂に交換され、その結果、乾燥速度があまり影響を受けないようにバランスがとられる。
【0038】
本発明のハイブリッドインクの利点は、平版印刷がプラスの影響を受け、典型的な100%放射線硬化性インクよりもミスティングが少なく、フィードバックが少なく、水窓が広いことである。
【0039】
油ベースの成分に起因する別の利点は、アルキド樹脂などの油ベースの材料が顔料を均一に分散及び封入し、良好な色強度及び良好な流れをもたらすので、インクダクトからの色強度及び流れが100%放射線硬化性インクよりも良好であることが多いことである。
【0040】
従来のものとUVとの間の中間的な挙動のために、このインクは、従来のローラー上のプレス上で実行することができるが、好ましくはハイブリッドブランケット又はUVブランケットを使用するコンビローラー上のプレス上で実行することができる。本発明のインクは、好ましくは、Heidelberg MO&Roland 700プレスでの実験室研究及びプレス試験中に確認された従来及びUVプレスの洗浄溶液の両方で洗浄することができる。
【0041】
本発明のハイブリッドインク及びコーティングの特性
粘度
典型的には、本発明の放射線硬化性ハイブリッドインク及びコーティングは、23℃でD=50 1/sの剪断速度で5~100Pa.sの粘度を示す。20~60Pa・sの粘度が好ましい。本発明の放射線硬化性ハイブリッドインクの流れも測定される。90度の傾斜で1mlのインクを用いて傾斜面試験(例えば傾斜アルミニウム板)を使用して測定した場合の流れの典型的な値は、15分後に2~15cmである。
【0042】
タック
本発明のインクは、Thwing Albert社の「Inkometer」を使用して測定された12~40単位のタックを示す。より好ましいタックは30単位未満である。タックは印刷品質に影響を与える。タックが高すぎる場合、紙基材の繊維がインクブランケット上に引っ張られる「ピッキング」として知られる、紙などの基材への損傷があり得る。タックが低すぎると、インクの供給、転写及び分配が不十分になるなどの問題が生じる可能性がある。
【0043】
平版印刷性能
本発明のハイブリッドインクは、1.45ODの目標で、Invercote G基材上で12500シート/hでRoland 700プレス(Bottcher製のコンビローラー及びTrelleborg製のハイブリッドブランケット;4% Sunfount 480及び3% IPAフロント)で実行する。平版印刷挙動は、許容可能なインク/水バランスを有する標準的なオフセットシート供給インクと同様である。
【0044】
グロスバック
高速硬化UVインクの最高の生産性を利用するために、高い光沢も提供するUVオーバープリントコーティングを有するインラインコーティングがしばしば好ましい。しかしながら、従来のシート供給インクがUVインクでオーバープリントされ、最終硬化されると、硬化後のコーティングの初期光沢は、しばしば24時間以内に10~25光沢ポイント低下する。これは基材の種類にも依存し、開放多孔質、非コーティング基材では特に重要である。これは、従来のインクとUVオーバープリントワニスとの間に水性プライマーを塗布することによって相殺されることが多い。しかしながら、これは、プレス上に一体化された熱乾燥機又は赤外線乾燥機及び追加の水性コーティングを有するダブルコーターを必要とし、これはプロセスに追加の時間及び費用を追加する。これらの乾燥システムは、ManRoland 700 Ultima又はHeidelberg Speedmaster Duoなどのプレスに利用可能であるが、よりニッチな技術である。従来のインクの代わりに本発明の放射線硬化性ハイブリッドインクを使用することにより、これはしばしば回避することができ、水性プライマーを必要とせずにグロスバック効果が低い。本発明のハイブリッドインクでは、低いグロスバック効果が達成され、安定した光沢を与えるバランスが見出されたが、これは通常、水性コーティングでは達成することが困難である。それにもかかわらず、インクは良好な平版印刷性能を示す。また、本発明のハイブリッドインクを用いた場合には、少量のグロスバックが見られる場合があるが、好ましくは、グロスバックの程度は好ましい範囲内である。高光沢ハイブリッドインク(例えば、初期光沢>60)の場合、光沢の低下は10単位未満が好ましく;より好ましくは7単位未満である。
【0045】
発癌性、変異原性及び生殖毒性(CMR)化合物の置き換え
当技術分野のハイブリッドインクは、EU Classification,Labelling and Packaging of substances(CLP)Regulation 1272/2008の下で発癌性、変異原性又は生殖毒性(CMR)として分類される化合物を含み得る。そのような化合物の使用は、有利な特性を有するハイブリッドインク及びコーティングを提供し得るが、これらの化合物は健康に有害であり、したがって、それらの使用は回避されるべきである。当技術分野のハイブリッドインク中に存在するCMR化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)、シリコーンジアクリラート、例えばEbecryl 350、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン(ominirad 379)、及び多官能性アミノベンゾアート誘導体、例えば1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)、オキシランとのポリマー、4-(ジメチルアミノ)ベンゾアート(Genopol AB-2)が挙げられる。
【0046】
本発明者らは、CMR化合物を含まず、当技術分野のハイブリッドインクと一貫した特性を有するハイブリッドインクを発見した。本発明のインク又はコーティング組成物は、発癌性、変異原性又は生殖毒性(CMR)として分類される20重量%未満の化合物、好ましくは10重量%未満のCMR化合物、又はさらにより好ましくは5重量%未満のCMR化合物を含み得る。本発明のインク又はコーティング組成物は、最も好ましくは、CMR化合物を実質的に含まない。
【0047】
本発明者らは、驚くべきことに、当技術分野のハイブリッドインクの必須成分として記載された多官能性アクリラートTMPTAを含むCMR化合物を置換することにより、代替の非CMR化合物によって置換され得ることを見出した。さらに、本発明者らは、得られたハイブリッドインクが、CMR化合物を含む当技術分野の組成物と少なくとも同等の特性を有することを見出した。
【0048】
特に、本発明者らは、CMR化合物として分類される(メタ)アクリラートが、当技術分野の組成物において、アクリル化油、エポキシアクリラート、油変性ポリエステルアクリラート、アクリル化ポリウレタン、アクリル化ポリアクリラート、アクリル化ポリエーテル、アクリル化アミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上の(メタ)アクリラートオリゴマーによって置き換えられて、同等の特性を有するハイブリッドインク及びコーティングを提供することができることを発見した。特に、CMR化合物を含む当技術分野のインクと比較して、少なくとも同等のタック、粘度、及び硬化。硬化は、例に記載のUVセットオフ試験を用いて評価する。
【0049】
より好ましいのは、CMR化合物を、ポリエステルアクリラート、アクリル化ポリウレタン、アクリル化ポリエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上の(メタ)アクリラートオリゴマーで置き換えることである。
【0050】
バイオ再生可能含有量
本発明のハイブリッドインク又はコーティング組成物は、少なくとも40%、好ましくは少なくとも45重量%のバイオ再生可能含有量を有する。本発明者らは、驚くべきことに、当技術分野のインクの成分を高BRCを有する代替物で置き換えることにより、本発明のBRC含有量を含まない当技術分野の組成物と少なくとも同等の特性を有するハイブリッドインクが提供されることを見出した。
【0051】
本明細書で使用される場合、持続可能性とは、材料のBRC含有量を指す。したがって、包装の持続可能性を改善することは、例えば、代替的なインク又は硬化の代わりに本発明の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物を使用することによって、包装のBRC含有量を増加させることに関する。
【0052】
成分及びそれらの好ましい量
ハイブリッドインク及びコーティング
本発明のハイブリッドインク及びコーティングは、0~40重量%、例えば0~25重量%の量の植物油、植物油エステル及び植物アルキド樹脂;>10重量%の量、好ましくは10~30重量%の量の不活性硬質樹脂;10~40重量%の量の(メタ)アクリラートオリゴマー;及び0~10%の量の(メタ)アクリラートモノマーを含み得る。ハイブリッドインク及びコーティングは、CMRとして分類される20重量%未満の化合物を含み得る。ハイブリッドインク及びコーティングは、任意で、0~40重量%の量の着色剤(顔料又は染料);0~10重量%の量の増量剤及び充填剤;0~10重量%の量の光開始剤;及び0~4重量%の量の添加剤をさらに含む。
【0053】
植物油、植物油及びエステル、アルキド及び不活性硬質樹脂の好ましい総量は、>10%、より好ましくは>20%、より好ましくは>30%、より好ましくは>40%、より好ましくは>50%である。不活性硬質樹脂の好ましい量は>10%、より好ましくは>13%である。
【0054】
本発明のハイブリッドインク及びコーティングは、好ましくは、12~26重量%の不活性硬質樹脂、15~25重量%の植物油、植物油エステル及び植物アルキド樹脂、15~35重量%の1以上の多官能性(メタ)アクリラートオリゴマー、並びに5重量%未満の単官能性(メタ)アクリラートモノマー及びオリゴマーを含む。組成物は、好ましくは45%以上のバイオ再生可能含有量を有する。ハイブリッドインク及びコーティングは、好ましくは、CMRとして分類される5重量%未満の化合物を含む。
【0055】
15重量%及び25重量%の植物油、植物油エステル及びアルキドのうち、本発明の好ましいハイブリッドインク及びコーティングにおいて、好ましくは15~20重量%が植物油及び植物油エステルであり、3~10重量%が植物アルキド樹脂である。正確な配合はまた、目標とするインク特性に依存する。
【0056】
(メタ)アクリラートモノマー及びオリゴマーに対する不活性樹脂、植物油、植物油エステル及びアルキドの比。
不活性樹脂、植物油、植物油エステル及びアルキドは、0.1:1.0~2.0:0.0、好ましくは0.5:1.0~2.0:1.0、より好ましくは0.5:1.0~1.0:1.0の比の不活性樹脂、植物油、植物油エステル及びアルキド対(メタ)アクリラートモノマー及びオリゴマーを提供するために、(メタ)アクリラートモノマー及びオリゴマーと組み合わせて本発明のインク又はコーティングに組み込まれ得る。
【0057】
不活性硬質樹脂
本発明の放射線硬化性ハイブリッドインク及びコーティング組成物は、インク又はコーティング組成物の総重量に基づいて、10重量%~30重量%の1以上の不活性硬質樹脂を含み、不活性硬質樹脂は、ロジン樹脂、ロジン樹脂誘導体、炭化水素樹脂、変性炭化水素樹脂、イソジアリルフタラート樹脂、非フタラートアリル樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。本発明で使用するための不活性硬質樹脂は、好ましくは10重量%~30重量%;例えば、12重量%~30重量%、より好ましくは12重量%~25重量%、さらにより好ましくは15重量%~25重量%、例えば15重量%~20重量%の量で存在する。
【0058】
不活性硬質樹脂は、典型的には、本発明の目的のために、好ましくは基材への塗布後に室温でタック性のないフィルムを形成する天然又は合成の非晶質材料である。これらの材料の大部分はオリゴマー又はポリマーである。
【0059】
本発明で使用するための不活性硬質樹脂は、ロジン樹脂、ロジン樹脂誘導体、炭化水素樹脂、変性炭化水素樹脂、イソジアリルフタラート樹脂、非フタラートアリル樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。アクリラートモノマー及びオリゴマー、植物油、植物油エステル及び植物アルキド樹脂と相溶性及び/又は可溶性であるこれらの不活性硬質樹脂のいずれも、本発明のハイブリッドインクに使用することができる。好ましい不活性硬質樹脂としては、フェノール性ロジン樹脂などのロジン樹脂誘導体、並びにジアリルシクロアルカン系樹脂などのイソジアリルフタラート樹脂及び非フタラートアリル樹脂が挙げられる。
【0060】
ロジン樹脂誘導体は、アビエチン酸、レボピマル酸、ネオアビエチン酸、パルストリン酸、デヒドロアビエチン酸、ピマル酸及びイソピマル酸の誘導体などの様々な異性体及び異なる化学構造からなる。本発明で使用されるロジン樹脂誘導体は、無水マレイン酸(すなわち、マレイン酸ロジン樹脂)又はフマル酸で変性され、グリセロール及びペンタエリスリトールなどのポリオールでエステル化されてもよい。本発明に使用されるロジン樹脂は、好ましくはフェノール系ロジン樹脂である。
【0061】
本発明の放射線硬化性ハイブリッドインク及びコーティング組成物は、他の樹脂をさらに含んでもよい。例えば、本発明の放射線硬化性ハイブリッドインク及びコーティング組成物は、油変性フェノール樹脂、ケトン樹脂、アルデヒド-尿素樹脂、油変性ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルスチレン樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上の樹脂を含んでもよく、ただし、樹脂は、アクリルモノマー、オリゴマー、油及びアルキドに可溶性/相溶性であることを条件とする。存在する場合、これらの追加の樹脂は、インク又はコーティング組成物の総重量に基づいて、1重量%~20重量%の量で存在し得る。例えば、追加の樹脂は、好ましくは1重量%~15重量%の量;例えば5重量%~15重量%;より好ましくは10重量%~15重量%の量で存在する。
【0062】
(メタ)アクリラートオリゴマー
本発明の放射線硬化性ハイブリッドインク及びコーティング組成物は、1以上の(メタ)アクリラートオリゴマーをさらに含む。1以上の(メタ)アクリラートオリゴマーは、好ましくは、インク又はコーティング組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~45重量%、例えば1重量%~30重量%の量で存在する。1以上の(メタ)アクリラートオリゴマーは、インク又はコーティング組成物の総重量に基づいて、より好ましくは5重量%~40重量%、例えば10重量%~40重量%、さらにより好ましくは15重量%~35重量%の量で存在する。
【0063】
本発明で使用するための(メタ)アクリラートオリゴマーは、少なくとも400Da、例えば好ましくは400~3,000ダルトン又は1000~3000Daの数平均分子量を有する。本発明で使用するための(メタ)アクリラートオリゴマーは、好ましくはアクリラート官能価>2、より好ましくは≧4、さらにより好ましくは≧6を有する。
【0064】
好ましくは、(メタ)アクリラートオリゴマーは、例に記載の方法に従って測定した場合、少なくとも5Pa.sの粘度を有する。
【0065】
適切なアクリラートオリゴマーの例には、レオロジー、顔料湿潤、転写、光沢、耐薬品性及び他のフィルム特性を付与するために、アマニ油、ダイズ油及びヒマシ油に基づくアクリル化油、エポキシアクリラート、ウレタンアクリラート、Ebecryl 870(Allnex)などの油変性ポリエステルアクリラート、アクリル化ポリウレタン、アクリル化ポリアクリラート、アクリル化ポリエーテル及びアクリル化アミンが含まれるが、これらに限定されない。アクリル化油、油変性ポリエステルアクリラートなどのポリエステルアクリラート、アクリル化ポリウレタン、アクリル化ポリエーテル、及びそれらの組み合わせが好ましい。
【0066】
本発明者らは、低分子量(メタ)アクリラート(すなわち、400Da未満の分子量を有する成分)を高分子量オリゴマー(メタ)アクリラート(すなわち、少なくとも400の数平均分子量を有する成分(例えば、400~3000Da))に置き換えると、ミスティングが改善されたハイブリッドインク及びコーティング組成物が得られることを見出した。部分c)の(メタ)アクリラートモノマー及び(メタ)アクリラートオリゴマーは、好ましくは少なくとも400Daの分子量を有する。
【0067】
(メタ)アクリラートモノマー
本発明の放射線硬化性ハイブリッドインク及びコーティング組成物は、インク又はコーティング組成物の総重量に基づいて、最大45重量%、例えば5重量%~45重量%の1以上の多官能性(メタ)アクリラートモノマーを含んでもよい。本発明の放射線硬化性ハイブリッドインク及びコーティング組成物は、好ましくは、15重量%未満の1以上の多官能性(メタ)アクリラートモノマーを含む。
【0068】
本発明のインクに適したモノマーの例は、2~4個のアクリル基を有するアクリルモノマーを含む。アクリラートモノマーの例の非限定的なリストは、1,2-エチレングリコールジアクリラート、1,4-ブタンジオールジアクリラート、1,6-ヘキサンジオールジアクリラート、ジプロピレングリコールジアクリラート、ネオペンチルグリコールジアクリラート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジアクリラート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリラート、トリプロピレングリコールジアクリラート、ビスフェノール-Aジアクリラート、エトキシ化ビスフェノール-A-ジアクリラート、ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルジアクリラート、エトキシ化ビスフェノール-A-ジアクリラート、ポリ(エチレン)グリコールジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリラート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリラート、プロポキシル化グリセロールトリアクリラート、ペンタエリスリトールトリアクリラート、エトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリラート、プロポキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリラート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリラート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリラート、ジペンタエリスリトールペンタアクリラート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート又はそれらの混合物を含み、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリラート、エトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリラート及びプロポキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリラート、及びそれらの組み合わせが好ましい。
【0069】
本発明の放射線硬化性ハイブリッドインク及びコーティング組成物は、1以上の単官能性(メタ)アクリラートモノマーをさらに含んでもよい。存在する場合、1以上の単官能性アクリラートモノマーは、典型的には、インク又はコーティング組成物の総重量に基づいて、最大5重量%、例えば1重量%~5重量%、好ましくは最大4重量%、より好ましくは最大3重量%の量で存在する。
【0070】
本発明で使用するための(メタ)アクリラートモノマーには、大豆アクリラートなどの植物油及び脂肪酸から誘導されるモノマーが含まれる。しかしながら、このようなモノマーの使用は限定されることが好ましい。例えば、本発明のインク又はコーティングは、10重量%未満の植物油(メタ)アクリラート、好ましくは5重量%未満の植物油(メタ)アクリラートを含んでもよく、さらにより好ましくは植物油(メタ)アクリラートを実質的に含まなくてもよい。
【0071】
例えば、1以上の単官能性モノマーは、1重量%~3重量%;又は1重量%~2重量%;又は2重量%~5重量%;又は2重量%~3重量%;又は3重量%~5重量%の量で存在してもよい。
【0072】
適切な単官能性アクリラートモノマーとしては、限定されないが、tertioブチルシクロヘキサノールアクリラート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリラート、テトラヒドロフルフリルアクリラート、ラウリルアクリラート、2-フェノキシエチルアクリラート、イソデシルアクリラート、エトキシル化フェニルアクリラート、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノールアクリラート、イソオクチルアクリラート、オクチルデシルアクリラート、ポリカプロラクトンアクリラート、エトキシル化ノンフェニルアクリラート、イソボルニルアクリラート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリラート、ステアリルアクリラート、ベヘニルアクリラート、アルコキシル化ラウリルアクリラート、これらの組み合わせなどが挙げられる。ラウリルアクリラートが好ましい。
【0073】
植物油及び植物油エステル
本発明の放射線硬化性ハイブリッドインク及びコーティング組成物は、1以上の植物油及び植物油エステルをさらに含んでもよい。存在する場合、1以上の植物油及び植物油エステルは、インク又はコーティング組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~35重量%の量で存在し得る。好ましくは、1以上の植物油及び植物油エステルは、10重量%~30重量%の量、さらにより好ましくは15重量%~25重量%の量で存在する。
【0074】
1以上の植物油及び植物油エステルは、好ましくは、0.1重量%~20重量%;又は0.1重量%~15重量%;又は0.1重量%~10重量%;又は0.1重量%~5重量%;又は0.1重量%~1重量%;又は0.1重量%~0.5重量%;又は0.5重量%~25重量%;又は0.5重量%~20重量%;又は0.5重量%~15重量%;又は0.5重量%~10重量%;又は0.5重量%~5重量%;又は0.5重量%~1重量%;又は1重量%~25重量%;又は1重量%~20重量%;又は1重量%~15重量%;又は1重量%~10重量%;又は1重量%~5重量%;又は5重量%~25重量%;又は5重量%~20重量%;又は5重量%~15重量%;又は5重量%~10重量%の量で存在してもよい。
【0075】
植物油は、1以上の乾性油、半乾性油及び非乾性油であり得る。例としては、アーモンド油、カカオ油、キャンデナッツオイル、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、ブドウ種子油、麻の実油、アマニ油、オリーブ油、パーム核油、ピーナッツ油、菜種油、米ぬか油、ベニバナ油、ヒマワリ油、ゴマ油、大豆油、トール油、桐油及びクルミ油が挙げられ、それらの組み合わせ及び脂肪酸エステル、例えば脂肪酸アルキルエステルが挙げられる。
【0076】
あるいは、油は、1以上の脂肪酸アルキルエステル、例えば、菜種メチルエステル、菜種イソプロピルエステル、カプリル酸メチルエステル、カプリン酸イソプロピルエステル、ラウリル酸メチルエステル、ミリスチン酸メチルエステル、パルミチン酸メチルエステル、ステアリン酸メチルエステル、オレイン酸エチルエステル、エルカ酸メチルエステル、リシノール酸メチルエステル、リノール酸エチルエステル、リノレン酸メチルエステル又はパルミチン酸イソプロピルエステルであり得る。
【0077】
アルキド樹脂
本発明の放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物は、1以上のアルキド樹脂をさらに含んでもよい。存在する場合、1以上のアルキド樹脂は、インク又はコーティング組成物の総重量に基づいて、1重量%~15重量%の量で存在し得る。1以上のアルキド樹脂は、好ましくは1重量%~12重量%;例えば、2重量%~10重量%;より好ましくは3重量%~8重量%の量;さらにより好ましくは5~8重量%の量で存在する。
【0078】
1以上のアルキド樹脂はまた、1重量%~5重量%;又は1重量%~3重量%;又は1重量%~2重量%;又は2重量%~15重量%;又は2重量%~12重量%;又は2重量%~10重量%;又は2重量%~8重量%;又は2重量%~5重量%;又は2重量%~3重量%;又は3重量%~15重量%;又は3重量%~12重量%;又は3重量%~10重量%;又は3重量%~8重量%;又は3重量%~5重量%;又は5重量%~15重量%;又は5重量%~12重量%;又は5重量%~10重量%;又は5重量%~8重量%の量で存在してもよい。
【0079】
アルキドは、植物性油、脂肪酸及び他の成分の添加によって変性されたポリエステルであり、したがって部分的に植物油に由来する(又は本明細書で使用される場合、「植物アルキド」である)。本発明のインクにおいて、アルキドは、典型的には、1,000~20,000Daの数平均分子量を有する。
【0080】
本発明で使用するためのアルキドは、多価アルコールと酸又は酸無水物との反応生成物であり得る。本発明で使用するためのアルキドは植物アルキドである。本発明で使用するためのアルキドは、植物油及び植物油からの飽和又は不飽和の脂肪酸で変性されていてもよい。そのような酸の非限定的な例としては、セバチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リノール酸、リノエライジン酸、エレオステアリン酸、チムノドン酸、アラキドン酸、クラパノドン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、バーサチック酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0081】
本発明で使用するためのアルキドは、ポリオールの添加によってエステル交換された植物油を用いて製造することができる。ポリオールは、グリセロールであってもよい。植物油はトール油であってもよい。本発明で使用するためのアルキドとしては、ダイズ油、ヒマワリ油、菜種油、トウモロコシ油、桐油、アマニ油、ヤシ油及びパーム油が挙げられ得る。本発明で使用するためのアルキドは、上記のアルキドの任意の組み合わせであり得る。
【0082】
本発明の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物は、好ましくは、0.1~30重量%の量、より好ましくは10~25重量%の量の植物油、植物油エステル及び植物アルキド樹脂を含む。
【0083】
着色剤
本発明の放射線硬化性ハイブリッドインク及びコーティング組成物は、顔料の形態の1以上の着色剤をさらに含んでもよい。存在する場合、1以上の着色剤は、インク又はコーティング組成物の総重量に基づいて、1重量%~20重量%、好ましくは5重量%~18重量%、より好ましくは10重量%~15重量%の量で存在する。
【0084】
例えば、1以上の着色剤は、1重量%~15重量%;又は1重量%~10重量%;又は1重量%~5重量%;又は1重量%~3重量%;又は1重量%~2重量%;又は2重量%~20重量%;又は2重量%~15重量%;又は2重量%~10重量%;又は2重量%~5重量%;又は2重量%~3重量%;又は5重量%~20重量%;又は5重量%~15重量%;又は5重量%~10重量%;又は10重量%~20重量%;又は10重量%~15重量%;又は15重量%~20重量%の量で存在してもよい。
【0085】
本発明での使用に適した顔料には、従来の有機又は無機顔料が含まれる。代表的な顔料には、ピグメント・イエロー1、ピグメント・イエロー3、ピグメント・イエロー12、ピグメント・イエロー13、ピグメント・イエロー14、ピグメント・イエロー17、ピグメント・イエロー63、ピグメント・イエロー65、ピグメント・イエロー73、ピグメント・イエロー74、ピグメント・イエロー75、ピグメント・イエロー83、ピグメント・イエロー97、ピグメント・イエロー98、ピグメント・イエロー106、ピグメント・イエロー111、ピグメント・イエロー114、ピグメント・イエロー121、ピグメント・イエロー126、ピグメント・イエロー127、ピグメント・イエロー136、ピグメント・イエロー138、ピグメント・イエロー139、ピグメント・イエロー174、ピグメント・イエロー176、ピグメント・イエロー188、ピグメント・イエロー194、ピグメント・オレンジ5、ピグメント・オレンジ13、ピグメント・オレンジ16、ピグメント・オレンジ34、ピグメント・オレンジ36、ピグメント・オレンジ43、ピグメント・オレンジ61、ピグメント・オレンジ62、ピグメント・オレンジ64、ピグメント・レッド2、ピグメント・レッド9、ピグメント・レッド14、ピグメント・レッド17、ピグメント・レッド22、ピグメント・レッド23、ピグメント・レッド37、ピグメント・レッド38、ピグメント・レッド41、ピグメント・レッド42、ピグメント・レッド48:2、ピグメント・レッド53:1、ピグメント・レッド57:1、ピグメント・レッド81:1、ピグメント・レッド112、ピグメント・レッド122、ピグメント・レッド170、ピグメント・レッド184、ピグメント・レッド210、ピグメント・レッド238、ピグメント・レッド266、ピグメント・ブルー15、ピグメント・ブルー15:1、ピグメント・ブルー15:2、ピグメント・ブルー15:3、ピグメント・ブルー15:4、ピグメント・ブルー61、ピグメント・グリーン7、ピグメント・グリーン36、ピグメント・バイオレット1、ピグメント・バイオレット19、ピグメント・バイオレット23、ピグメント・ブラック7及びこれらの組み合わせなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
光開始剤
本発明の放射線硬化性ハイブリッドインク及びコーティング組成物は、UV光によって硬化される場合、1以上の光開始剤をさらに含んでもよい。存在する場合、1以上の光開始剤は、インク又はコーティング組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~20重量%の量で組み込まれてもよい。例えば、1以上の光開始剤は、好ましくは0.1重量%~15重量%;例えば、0.5重量%~15重量%;又はより好ましくは1重量%~10重量%;例えば、さらにより好ましくは4~8重量%の量で存在する。
【0087】
光開始剤はまた、0.1重量%~3重量%;又は0.1重量%~1重量%;又は0.1重量%~0.5重量%;又は0.5重量%~20重量%;又は0.5重量%~15重量%;又は0.5重量%~10重量%;又は0.5重量%~5重量%;又は0.5重量%~1重量%;又は1重量%~20重量%;又は1重量%~15重量%;又は1重量%~10重量%;又は1重量%~5重量%;例えば1重量%~3重量%;又は1重量%~2重量%の量で存在してもよい。
【0088】
適切な光開始剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンジルケタール、ジアルコキシアセトフェノン、ヒドロキシアルキル-アセトフェノン、アミノアルキルフェノン、アシルホスフィノキシド及びチオキサントン、例えばベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)-ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)-ベンゾフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、ジメトキシアセトフェノン、ジエトキシ-アセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4(メトキシチオ)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-2-オン、ジフェニルアシルフェニルホスフィノキシド、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィノキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィノキシド、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。EB硬化性インクの場合、光開始剤は不要である。
【0089】
好ましい光開始剤としては、タイプII光開始剤チオキサントン、例えば2-イソプロピルチオキサントン及び2,4-ジエチルチオキサントン、タイプII光開始剤2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、並びにホスフィナートに基づくタイプI光開始剤、例えばエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-ホスフィナートが挙げられる。
【0090】
食品包装用に設計されたインクの場合、移動する低分子量モノマー光開始剤を最小限に抑えるか、又はオリゴマー若しくはポリマー光開始剤で完全に置き換えることができる。適切な光開始剤は、例えば、IGM樹脂からのOmnipol BPなどのオリゴマーベンゾフェノン誘導体を含有する光開始剤、Rahn GroupからのGenopol AB-1などのオリゴマーアミン、又は、IGM社からのOmnipol 910などのオリゴマーI型光開始剤である。
【0091】
その他の任意の添加剤
油及びアルキド樹脂中の二重結合の早すぎる重合を回避するために、抗酸化剤を添加することができる。例示的な抗酸化剤としては、アスコルビン酸、アスタキサンチン、カロテン、クロマン(3,4-ジヒドロ-2H-1-ベンゾピラン)、ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナマート)、オクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナマート、ビタミンE及びビタミンE類似体、モノ-tert-ブチルヒドロキノン(MTBHQ)及びブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)が挙げられる。好ましい抗酸化剤は、MTBHQ及びBHTである。存在する場合、抗酸化剤は、典型的には、インク又はコーティング組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~4重量%の量で存在する。例えば、1以上の抗酸化剤は、0.1重量%~3重量%;好ましくは0.1重量%~2重量%;又はより好ましくは0.1重量%~1.1重量%の量で存在してもよい。
【0092】
抗酸化剤はまた、0.1重量%~0.5重量%;又は0.5重量%~4重量%;又は0.5重量%~3重量%;又は0.5重量%~2重量%;又は0.5重量%~1重量%;又は1重量%~4重量%;又は1重量%~3重量%;又は1重量%~2重量%;又は2重量%~4重量%;又は2重量%~3重量%;又は3重量%~4重量%などの量で存在してもよい。
【0093】
油及びアルキドの乾燥を促進するために、インクは、典型的には有機カルボン酸の重金属塩(例えば、マンガン)などの脂肪酸塩である1以上の乾燥剤を含有してもよい。有機カルボン酸のこれらの重金属塩の例には、リノール酸マンガン、ヘキサデカン酸又はオクトアート(例えば、米国特許第5,156,674号;同第6,899,756号;同第7,811,367号を参照)が含まれるが、これらに限定されない。乾燥剤は、市販の金属乾燥剤のいずれかとすることができる。存在する場合、1以上の乾燥剤は、典型的には、インク又はコーティング組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~3重量%の量で存在する。例えば、1以上の乾燥剤は、0.1重量%~2重量%;又は0.1重量%~1重量%;又は0.1重量%~0.5重量%;又は0.5重量%~3重量%;又は0.5重量%~2重量%;又は0.5重量%~1重量%;又は1重量%~3重量%;又は1重量%~2重量%;又は2重量%~3重量%の量で存在してもよい。
【0094】
本発明のハイブリッドインク及びコーティングは、硬化したコーティング又は印刷されたインクの流れ、表面張力、光沢、顔料湿潤及び耐摩耗性を改変するための通常の添加剤をさらに含有してもよい。インク又はコーティングに含有されるこのような添加剤は、典型的には、表面活性剤、ワックス、貯蔵寿命安定剤など、及びそれらの組み合わせである。これらの添加剤は、レベリング剤、貯蔵寿命安定剤、湿潤剤、スリップ剤、流動剤及び分散剤として機能し得る。好ましい添加剤としては、フルオロカーボン界面活性剤、シリコーン及び有機ポリマー界面活性剤が挙げられる。例としては、Tegorad製品ライン(Tegoradは商標であり、ドイツ、エッセンのTego Chemieから市販品である)及びSolsperse製品ライン(Solsperseは商標であり、Lubrizol Companyの市販品である)が挙げられる。存在する場合、これらの1以上の添加剤は、一般に、インク又はコーティング組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~4重量%の量で存在する。例えば、1以上の抗酸化剤は、0.1重量%~3重量%;又は0.1重量%~2重量%;又は0.1重量%~1重量%;又は0.1重量%~0.5重量%;又は0.5重量%~4重量%;又は0.5重量%~3重量%;又は0.5重量%~2重量%;又は0.5重量%~1重量%;又は1重量%~4重量%;又は1重量%~3重量%;又は1重量%~2重量%;又は2重量%~4重量%;又は2重量%~3重量%;又は3重量%~4重量%の量で存在してもよい。
【0095】
合成の本発明のハイブリッドインク及びコーティングは、1~15重量%の1以上のバイオ系ワックスを含み得る。合成の本発明のハイブリッドインク及びコーティングは、好ましくは2~10重量%の1以上のバイオ系ワックスを含む。本発明で使用するためのバイオソース系ワックスとしては、カルナバ、サトウキビ、ポリ乳酸、米ぬか、硬化ヒマシ油、及びポリ-(ヒドロキシブチラート-コ-ヒドロキシバレラート)PHVBに基づくものが挙げられる。
【0096】
本発明の放射線硬化性ハイブリッドインクは、水の取り込み、ミスティング及び色強度を調整するために、粘土、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム又はシリカなどの通常の増量剤をさらに含有してもよい。存在する場合、1以上の増量剤又は充填剤は、典型的には、インク又はコーティング組成物の総重量に基づいて、1重量%~10重量%の量で存在する。例えば、1以上の増量剤又は充填剤は、1重量%~8重量%;又は1重量%~5重量%;1重量%~4.5重量%;又は1重量%~4重量%;又は1重量%~3.5重量%;又は1重量%~3重量%;又は1重量%~2.5重量%;又は1重量%~2重量%;又は1重量%~1.5重量%;又は2重量%~10重量%;又は2重量%~8重量%;又は2重量%~5重量%;又は2重量%~4.5重量%;又は2重量%~4重量%;又は2重量%~3.5重量%;又は2重量%~3重量%;又は2重量%~2.5重量%;又は3重量%~10重量%;又は3重量%~8重量%;又は3重量%~5重量%;又は3重量%~4.5重量%;又は3重量%~4重量%;又は3重量%~3.5重量%;又は4重量%~10重量%;又は4重量%~8重量%;又は4重量%~5重量%の量で存在してもよい。
【0097】
本発明のハイブリッドインク及びコーティングは、好ましくは、5重量%未満の合成ワックス、例えばPE又はPTFEワックス含む。本発明のハイブリッドインク及びコーティングは、合成ワックス、例えばPEワックス又はPTFEワックスを実質的に含まないことがより好ましい。
【0098】
印刷された物品
本発明はまた、本発明の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物と、基材とを含む、印刷された物品を提供する。そのような物品の例には、紙、プラスチック、プラスチック又はポリマーフィルム、ガラス、セラミック、金属、複合材などから選択される基材を含むものが含まれるが、これらに限定されない。物品はまた、刊行物(例えば、パンフレット)、ラベル、包装材料(例えば、厚紙シート又は段ボール)、容器(例えば、ボトル、缶)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタラート)、金属化箔(例えば、積層アルミニウム箔)、金属化ポリエステル、金属容器などの製造製品を含む。
【0099】
印刷される基材は、紙及びカートンボードなどの任意の典型的な基材材料から構成されてもよい。基材は、典型的に出版物に使用される紙印刷ストックであってもよく、又は厚紙シート若しくは段ボールの形態の包装材料であってもよい。
【0100】
本発明のハイブリッドインク及びコーティングの硬化
本発明の放射線硬化性インク及びコーティングは、例えば、高電圧水銀バルブ、中電圧水銀バルブ、キセノンバルブ、カーボンアークランプ、メタルハライドバルブ、UV-LEDランプ又は太陽光によって提供されるUV光などの化学線光源によって硬化することができる。適用される照射波長は、200nm~500nmの範囲内であることが好ましく、250nm~350nmの範囲内であることがより好ましい。UVエネルギーは、30~3,000mJ/cmの範囲内であることが好ましく、50~500mJ/cmの範囲内であることがより好ましい。また、バルブは、放射線硬化性組成物の吸収スペクトルに応じて適宜選択することができる。
【0101】
あるいは、化学線はまた、電子ビーム放射(EB)を含んでもよい。商業的には、EB乾燥機は、例えば、米国マサチューセッツ州ウィルミントンのEnergy Science,Inc.から、又は米国マサチューセッツ州ウィルミントンのAdvanced Electron Beams Inc.(AEB)から入手可能である。線量としても知られる吸収エネルギーは、キログレイ(kGy)の単位で測定され、1kGyはキログラム当たり1,000ジュールに等しい。典型的には、完全な硬化のためには、電子ビーム線量は10kGy~40kGyの範囲内でなければならない。本発明の放射線硬化性組成物では、好ましくは、200ppm未満の酸素レベルで20~30kGyの放射線量で硬化することは、通常、乾燥した耐溶剤性インクを得るのに十分である。
【0102】
任意で、プレス上の赤外線乾燥機又は熱乾燥機を使用して、油成分の固化を加速することができる。
【0103】
放射線硬化性ハイブリッドインク及びコーティングの調製
インクは、当技術分野で公知の典型的な手順によって、通常は乾式粉砕によって、又はフラッシュ、カラー濃縮物、若しくはベースを使用して作製することができる。インクの典型的な乾式粉砕製造手順では、必要量の乾燥顔料を、ディゾルバー又はミキサーで15~30分間、植物油に可溶化された従来の油、アルキド樹脂、不活性硬質樹脂と混合して、すべての顔料を濡らす。次いで、プレミックスを、所望の粉砕仕様が満たされるまで、3本ロールミル(又は他の粉砕ミル)で1~4MPaの圧力及び20~40℃の温度で粉砕する。光開始剤は、溶液又はペーストの形態で粉砕前又は粉砕後に添加することができる。
【0104】
顔料は、フラッシュとして導入されてもよい。「フラッシュプロセス」において、湿潤顔料プレスケークは、例えばシグマブレードミキサーのような高剪断粉砕装置内で「フラッシュ」される。油、ワニス、アルキド及び/又は他の非水性疎水性ビヒクルを添加し、顔料は最終的に有機相にフラッシュし、水相に顔料を残さない。次いで、水のかなりの部分を注ぎ出すことができる。残りの水を除去するために、通常、熱及び真空が適用される。得られた生成物は、「フラッシュペースト」又は顔料濃縮物(ベース)と呼ばれる。次いで、顔料濃縮物をアクリラートモノマー、オリゴマー、任意の光開始剤及び不活性硬質樹脂(ワニス)溶液で希釈する。
【0105】
汎用性の観点から好ましい。コールドセットインク、ヒートセットインク又はシート供給インクに使用されるカラー濃縮物は、UVハイブリッドインクにも使用できるという条件で、処方者によって高く評価されている。
【0106】

以下の例は、本発明の特定の態様を例示するものであり、決してその範囲を限定することを意図するものではなく、そのように解釈されるべきではない。
【0107】
測定方法
分子量:
非ポリマー又はオリゴマー化合物(例えばモノマー)の分子量は、化合物の分子構造によって定義及び計算される。通常、これはモノマーの供給業者の技術データシートによって与えられるか、又は欧州化学物質庁(ECHA)のウェブページで見つけることができる。
【0108】
オリゴマー種及びポリマー種の分子量は、103Å及び104Åの2つのGPC Ultrastyragelカラム(5μm混合、300mm×19mm、Waters Millipore Corporation、米国マサチューセッツ州ミルフォード)を備えたHewlett-Packard 1050シリーズHPLCシステムで行われるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、THFを移動相として測定される。カラム温度は40℃である。分子量は、ポリスチレン標準との比較によって計算される。当業者は、分子量のこの定義が、典型的には分子量分布を有するポリマー材料に当てはまることを理解するであろう。特に明記しない限り、オリゴマー及びポリマーについて本明細書に報告される分子量は、数平均分子量である。
【0109】
バイオ系/バイオ再生可能含有量
バイオ系/バイオ再生可能炭素含有量(BRC)は、ASTM D6866(「Standard Test Methods for Determining the Biobased Content of Natural Range Materials Using Radiocarbon and Isotope Ratio Mass Spectrometry Analysis」)、方法Bに記載されている標準的な方法を用いて決定される。「Understanding biobased carbon content」、Society of the Plastics Industry Bioplastics Council(February 2012)を参照されたい。「バイオ系含有量」を測定するためのASTM D6866の適用は、放射性炭素年代測定と同じ概念に基づいているが、年齢方程式を使用しない。モデム参照標準の量に対する未知サンプル中の放射性炭素(14C)の量の比を決定する。化石炭素は放射性炭素を含有しない。「新規」炭素の量が多いほど、14Cは高くなる。この比は、単位「pMC」(パーセントモデム炭素)を用いて、モデム炭素である総炭素のパーセンテージとして、又はBRCとして(パーセンテージとして)報告される。いくつかの供給業者は、製造者が使用する「レシピ」(すなわち、セルロース及びコポリエステルを含有するワニス中にセルロースなどの天然材料がどの程度存在するか)に基づいて、重量に基づいてバイオ系含有量のパーセンテージを評価し得る。しかしながら、重量パーセントは、炭素からだけでなく、材料中の他の元素からの重量への寄与も含むことに留意されたい。
【0110】
本発明の目的のために、BRC含有量は、ASTM D6866、方法Bを使用して評価されるBRCを指す。
【0111】
発癌性、変異原性又は生殖毒性(CMR)化合物
CMR化合物は、EU Classification,Labelling and Packaging of substances(CLP)Regulation 1272/2008に従って分類される。CMR化合物は、このEU分類のカテゴリー1A、1B、及び2に属するものである。
【0112】
フェノール変性ロジン樹脂は、グリセロール(又はペンタエリスリトール)とロジン、フェノール(又はビスフェノールA)及びホルムアルデヒドの重縮合物とのエステル化から作製され得る。
【0113】
粘度
粘度は、Anton Paar GmbH製のMCR301コーンプレートレオメーターを用いて、23℃でD=2~50 1/sの剪断速度で決定した。D=50 1/sでの粘度値を記録し(Pa.s)、D=2 1/sでの降伏値を記録した。
【0114】
タック
Inkometerタックは、Thwing Albert製の較正された「Inkometer」機器を用いて測定した。1.30cmのインクを32.2℃のEPDMゴム分配ローラー上に置き、150rpmのローラー速度で15秒間、次いで800rpmで60秒間分配した。
【0115】
統合タック(iTack)はまた、Novomatics製のAlphatackを用いて、30℃及び800rpmで100μLのサンプルを用いて測定した。測定値(iTack値)は60秒後に読み取る。
【0116】
流れ
流れは、垂直に配置されたアルミニウムプレートを用いて90度で測定し、その上に1mlのインクを置いた。15分後にインクがプレートを流れ落ちた距離(cm)を記録した。
【0117】
ミスティング
ミスティングを2つの方法で評価した。ミスティングの見積もりは、実際の例で作製された内部スケールに対する視覚的評価によって決定される。最初に、視覚的評価(視覚的確認)が使用され、0(完全)、1(非常に良好)、2(良好)、3(許容可能)、4(不良)、及び5(非常に不良)の間の値が得られる。3未満の結果は許容可能であると考えられる。次に、Thwing Albert製の「Inkometer」を使用し、32℃でEPDMゴム分配ローラー上に配置した3.5gのインクを使用し、ローラー速度150rpmで15秒間、次いで2000rpmで5分間分配した。試験中、ローラーの後ろに白紙を置く。インコメーターは、用紙上のインクの光学濃度(OD)を測定する。
【0118】
光沢
光沢は、60度の角度に設定したBYK-Gardner製のMicro Gloss Instrumentを使用して測定した。光沢は光沢単位として報告されている。
【0119】
硬化の評価
印刷物の硬化は、硬化した印刷物からのインクが高圧下で別の紙片にどれだけ転写(固化)されるかによって評価した。これは、新たに硬化した印刷物が加圧下で保管される大きな紙スタック又は基材ロールの状態をシミュレートする。
【0120】
理想的には、インクは転写されない。通常、試験紙への実験用インクの転写は、試験紙への対照UVインクの転写と比較され、対照インクは同じ用途向けである。規定のUV線量でのセットオフインクの量は、反応性及び達成可能な硬化速度(生産性)の尺度である。
【0121】
インクの硬化は、以下の方法によって使用されるセットオフ試験によって評価される:インクは、適切な光学濃度(OD)で印刷プルーフ装置を用いて厚紙基材の表面に塗布された。ODは、濃度計によって測定される。平版印刷用インクに適した印刷された光学密度は、基材に応じて、0.9~1.5(イエロー)、1.0~1.65(シアン)、1.0~1.5(マゼンタ)、及び1.1~1.9(ブラック)である。200ワットのフュージョンHバルブを用いて400フィート/分のライン速度で、33mJ/cmのUV線量を送達してUV硬化した直後に、板紙基材の裏面(Invercote G-3×3cm)を硬化したインクサンプルに適用した。両方をプレスで導入し、1000バール(10トン(1000Kg)/cm)の圧力を加えた。圧力に達するとすぐに印刷を解除した(1秒間の圧力時間)。板紙基材上のセットオフ材料(転写インク)をTechkon Densitometerで測定し、対照インクと比較した。
【0122】
対照インクと比較すると、同じ硬化条件及び印刷濃度の下で、濃度計の数字がより低いインクはより良好な硬化を示す。0.50未満の濃度計読み取り値は、通常、良好な値と見なされる。
【0123】
インク粉砕試験
インク粉砕の繊度は、インク中の固体顔料粒子の分散の質を表す重要なパラメータである。グラインドメーターを用いて顔料粒子の繊度を試験した。グラインドメーターは、測定されるインクの種類に適した深さから始まり、ブロックの表面と同一平面になるまで浅くなる、様々な深さのチャネルが機械加工された鋼ブロックからなる。溝の深さは、その隣の目盛りで印が付けられている。試験するインクを溝の深い端部に注ぎ、平坦な金属スクレーパーで浅い端部に向かって掻き取った。目盛り上の4μmのポイントで、インクトラックの大きな凹凸の数(括弧内の第1の数)及び小さな凹凸の数(括弧内の第2の数)を検査した。評点(0/0)は、大きな粒子も小さな凹凸も観察されないことを意味し、インクは合格と評価される。
【0124】
本発明によるすべてのインクは、15μm未満の粒径を有する許容可能なインク粉砕特性を有する。
【0125】
安定性
2つの方法を用いて安定性を試験した。
【0126】
第1の方法は、タービスキャン静的多重光散乱(SMLS)分析器を利用して、粒子移動及びサイズ変動を検出する。分析器は、同じ濃度のサンプルが入れられる50℃に設定されたオーブンを使用する。2つの同期検出器を使用して、サンプルに入射するレーザー光の後方散乱(BS)シグナルと透過(T)シグナルの両方を分析し、サンプルの全長にわたってスキャンを行い、最大9日間、20時間にわたって定期的に測定を行った。経時的な後方散乱の変動(ΔBS(%))は、インクの不安定性を示し、より大きな変動は、(粒子の沈降による)より大きな不安定性に対応する。タービスキャン安定性指数(TSI)は、サンプルの全高にわたるT及びBS変動の合計から決定され、時間の関数としてプロットされる。より低いTSIは、サンプルの安定性の増加を示す。
【0127】
第2の方法は、マルチスペックル拡散波分光法(MS-DWS)に基づくRheolaser技術を利用して、機械的応力なしに(パッシブマイクロレオロジーによって)サンプルのレオロジー特性を分析する。レーザー光の後方散乱(BS)は、6サイクルの温度の間に、同じ濃度のサンプルについて測定される。同じ温度ランプ速度を、1つの実験を構成する6つのサイクルの各々において使用する。応答は、MicroDynamics(mD)(Hz)で測定される。3つの異なる温度勾配速度を使用する:a)10℃/分で10~50℃、b)5℃/分で10~50℃、c)10℃/分で10~40℃。得られたSpeckle画像を数学的に分析して、時間の関数としての特性時間を得る。特性時間を反転してmDを得、結果を時間の関数としてプロットする。複数のサイクルにわたる一貫したmD応答は安定性を示す。対照的に、サイクル数の増加に伴うmD応答の増加又は減少は、安定性の欠如を示す。
【0128】
例1及び2。16~22%の不活性硬質樹脂を含有するシアンハイブリッドインク
本発明のシアンハイブリッドインクは、表1に示す組成(16%~22%の不活性硬質樹脂)を有する、2MPa(25℃)で3パスの3本ロールミルでの乾式粉砕から作製した。
【0129】
【表1】
【0130】
例1及び2のインクの特性を上記のように試験した。結果を表1Aに示す。
【0131】
【表1A】
【0132】
例1及び2のインクは、表1Aに示されるように、UV平版印刷用インクの粘度(20~60Pas)、流れ(1.5~7cm)及びタック(10~40単位のインコメーター及び200~500単位のLithotack)の典型的な値を示す。
【0133】
【表2】
【0134】
次に、マゼンタのカラーベースを3本ロールミルで1パス、2MPa(25℃)で通過させた。
【0135】
以下の表3は、完成したインク(13%の不活性硬質樹脂、6.2%のアルキド及び18%の油及びエステル成分)の組成を示す。
【0136】
【表3】
【0137】
例4の特性を上記のように試験した。結果を表3Aに示す。
【0138】
【表3A】
【0139】
例5.カラーベースから作製され、次いでUVオーバーコーティングされたハイブリッドインク(15%不活性硬質樹脂)
ハイブリッドインクを、シート供給インク、ヒートセットインク及びコールドセットインク並びにアクリラートレットダウンワニスを作製するために使用することができるシアンユニバーサルベース(カラー濃縮物)から、40℃~45℃で20分間ディゾルバー中で混合することによって作製し(50%の組み合わせた不活性硬質樹脂及びアルキド樹脂及び植物油及び鉱油)、3本ロールミル上で粉砕した。この実験の目的は、本発明のインクが、良好な視覚的レイダウン及び印刷特性を示しながら、UVオーバープリントワニスでオーバープリントすることができることを示すことである。
【0140】
【表4】
【0141】
光開始剤(PI)化合物及びアミン相乗剤は、ホスフィンオキシド、α-アミノケトン、チオキサントン、例えば2,4-ジエチルチオキサントン、多官能性アミノベンゾアート誘導体、及びポリ(エチレングリコール)ビス(p-ジメチルアミノベンゾアート)の混合物を含む。
【0142】
例5の特性を上記のように試験した。結果を表4Aに示す。
【0143】
【表4A】
【0144】
インクを、1.45ODの目標で、Invercote G基材上で12500シート/hでRoland 700プレス(Bottcher製のコンビローラー及びTrelleborg製のハイブリッドブランケット;4% Sunfount 480及び3% IPAフロント)で印刷した。
【0145】
インクを直ちに、アニロックスローラーを用いて140ラインでUVオーバープリントワニス44HC150(Sun Chemical)でオーバープリントし、150mJ/cmで末端硬化させた。光沢を上記のように測定した。グロスバックは、経時的な光沢の減少によって示される。10光沢単位未満の減少は、グロスバックが好ましい範囲内にあることを示す。
【0146】
【表5】
【0147】
表5は、本ハイブリッドインクがグロスバックを全く示さないことを示す。
【0148】
例6.従来のシート供給カラーベース及び20%の不活性樹脂を含有するゲル化アクリラートワニスから作製されたシアンハイブリッドインク
表6に示すハイブリッドインクを、シアンの従来のシート供給インクのカラーベースと、20%の不活性樹脂を含有するゲル化アクリラートワニスとから作製した。
【0149】
【表6】
【0150】
例6の特性を上記のように試験した。結果を表6Aに示す。
【0151】
【表6A】
【0152】
安定性試験
例1のインク(本明細書ではAgricureと呼ばれる)並びにアクリラートモノマー及びオリゴマーのみを含むがハイブリッドインクではなく、したがって従来の不活性樹脂成分を含まない比較インク(Starluxe)を試験した。
【0153】
タービスキャン
例1(AgriCure)のタービスキャン分析では、例1のΔBS(%)に有意な変動は検出されなかった。対照的に、実験の過程で不透明/透明になったStarluxeのタービスキャン分析は、ΔBS(%)変動の増加を検出した。図1は、例1及びStarluxeの両方のTSIを示し、Starluxeが実験の過程でどのようにさらに進化したかを示し、3日後のTSIがより高かった。
【0154】
RheoLaser
図2は、同じ条件下でのStarluxeのRheoLaser分析の結果を示し、かなりより大きな変動及びノイズを示した。ノイズは、典型的には、滲出(液体層が上にある)の指標である。対照的に、図3は、10℃/分のランプ速度を使用して、10~50℃の6つの温度サイクルについての例1(Agricure)のRheoLaser分析の結果を示す。mD応答のわずかな変動が検出された。
【0155】
図4は、全体的な変動を示す(第1のサイクルの第1のピークに対して正規化された、第1のピークのパーセンテージの変動に対応する)。Starluxeの変動はゆっくりと始まったが、4サイクル後、6サイクル後まで急速に増加し、全体的な変動のパーセンテージは例1のものよりも大きい。
【0156】
図5は、5℃/分のランプ速度で10~50℃で分析を繰り返した場合にどのように同様の結果が得られたかを示す。
【0157】
図6は、10℃/分のランプ速度で10~40℃で分析を繰り返した場合に得られた結果を示す。例1と比較して、ここでもStarluxeについてかなり大きな変動及びノイズが検出された。この実験では、サンプルが1時間後に安定化する前に、例1についていくらかの初期変動が観察された。
【0158】
図7は、上記の各RheoLaser実験の結果を示しており、実験条件の各セットについて、同じ条件下で試験した場合に、例1がStarluxeよりも改善された安定性(6サイクル後)を有したことを実証しており、例1がStarluxeと比較して改善された安定性を有することを示している。
【0159】
本発明をその好ましい実施形態を含めて詳細に説明した。しかしながら、当業者は、本開示を考慮して、本発明の範囲及び趣旨の範囲内に入る本発明の改変及び/又は改善を行うことができることが理解されよう。
【0160】
本発明の番号が付けられた実施形態(説明の部分を形成する
1. 平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物であって、
a)ロジン樹脂、ロジン樹脂誘導体、イソジアリルフタラート樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、10重量%~30重量%の1以上の不活性硬質樹脂、
b)不活性硬質樹脂、植物油及びエステル、植物アルキド樹脂、抗酸化剤であり得る10~60%の非UV原料;並びに
c)5重量%~45重量%の1以上の多官能性アクリラートモノマー及びオリゴマー;
d)0~10%の単官能性アクリラートモノマー及びオリゴマー;
を含み、
インク又はコーティング組成物が、40%以上のBRCを含む、平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0161】
2. インク又はコーティング組成物が、45%以上のBRCを含む、実施形態1に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0162】
3. 1以上の不活性硬質樹脂が10重量%~20重量%の量で存在する、実施形態1に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0163】
4. 1以上の不活性硬質樹脂が10重量%~15重量%の量で存在する、実施形態1に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0164】
5. 1以上の不活性硬質樹脂が、マレイン酸ロジン樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0165】
6. 不活性硬質樹脂の少なくとも1つが、アクリラートモノマーに可溶性のイソジアリルフタラート樹脂である、実施形態1に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0166】
7. 1以上の不活性硬質樹脂が、アクリラートモノマー及びオリゴマー、油、並びにアルキド樹脂と相溶性であるか、可溶性であるか、又は相溶性であり且つ可溶性である、実施形態1に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0167】
8. 油変性フェノール樹脂、ケトン樹脂、アルデヒド尿素樹脂、油変性ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルスチレン樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上の樹脂をさらに含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0168】
9. 1以上の多官能性アクリラートモノマーが5重量%~35重量%の量で存在する、実施形態1に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0169】
10. 1以上の多官能性アクリラートモノマーが5重量%~25重量%の量で存在する、実施形態1に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0170】
11. 1以上の多官能性アクリラートモノマーが、1,2-エチレングリコールジアクリラート、1,4-ブタンジオールジアクリラート、1,6-ヘキサンジオールジアクリラート、ジプロピレングリコールジアクリラート、ネオペンチルグリコールジアクリラート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジアクリラート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリラート、トリプロピレングリコールジアクリラート、ビスフェノール-Aジアクリラート、エトキシ化ビスフェノール-A-ジアクリラート、ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルジアクリラート、エトキシ化ビスフェノール-A-ジアクリラート、ポリ(エチレン)グリコールジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリラート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリラート、プロポキシル化グリセロールトリアクリラート、ペンタエリスリトールトリアクリラート、エトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリラート、プロポキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリラート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリラート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリラート、ジペンタエリスリトールペンタアクリラート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1~9のいずれか1つに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0171】
12. 0.1~30重量%の1以上の油、アルキド樹脂、又はそれらの組み合わせをさらに含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0172】
13. 1以上の油、アルキド樹脂、又はそれらの組み合わせが、1重量%~15重量%の量で存在する、実施形態11に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0173】
14. 1以上の油が、植物油、脂肪酸アルキルエステル、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態11又は12に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0174】
15. 1以上の植物油が、乾性油、半乾性油、非乾性油、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態13に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0175】
16. 0.1重量%~20重量%の1以上のアクリラートオリゴマーをさらに含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0176】
17. 1以上のアクリラートオリゴマーが1重量%~10重量%の量で存在する、実施形態15に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0177】
18. 1以上のアクリラートオリゴマーの各々が、独立して、400~3,000ダルトンの数平均分子量、及び2以上のアクリラート官能価を有する、実施形態15又は16のいずれか1つに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0178】
19. 1以上のアクリラートオリゴマーが、アクリル化油、エポキシアクリラート、油変性ポリエステルアクリラート、アクリル化ポリウレタン、アクリル化ポリアクリラート、アクリル化ポリエーテル、アクリル化アミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態15~17のいずれか1つに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0179】
20. 0.1重量%~10重量%の1以上の単官能性アクリラートモノマーをさらに含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0180】
21. 1以上の単官能性アクリラートモノマーが1重量%~15重量%の量で存在する、実施形態19に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0181】
22. 0.1重量%~40重量%の1以上の着色剤をさらに含む、実施形態1~20のいずれか1つに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0182】
23. 1以上の着色剤が1重量%~20重量%の量で存在する、実施形態21に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0183】
24. 1以上の着色剤が、無機顔料、有機顔料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態21又は22に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0184】
25. 0.1重量%~10重量%の1以上の増量剤又は充填剤をさらに含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0185】
26. 1以上の増量剤又は充填剤が1重量%~5重量%の量で存在する、実施形態24に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0186】
27. 1以上の増量剤又は充填剤が、粘土、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態24又は25に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0187】
28. 0.1~20重量%の1以上の光開始剤をさらに含む、実施形態1~26のいずれか1つに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0188】
29. 1以上の光開始剤が1重量%~10重量%の量で存在する、実施形態27に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0189】
30. 1以上の光開始剤が、オリゴマー光開始剤、ポリマー光開始剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態27又は28に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0190】
31. 光開始剤の少なくとも1つがオリゴマーベンゾフェノン誘導体である、実施形態27~29のいずれか1つに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0191】
32. 0.1重量%~3重量%の1以上の乾燥剤をさらに含む、実施形態1~30のいずれか1つに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0192】
33. 1以上の乾燥剤が、脂肪酸塩、有機カルボン酸の重金属塩、及びそれらの組み合わせからなる群からそれぞれ独立して選択される、実施形態31に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0193】
34. 0.1重量%~5重量%の1以上の添加剤をさらに含む、実施形態1~32のいずれか1つに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0194】
35. 1以上の添加剤が、表面活性剤、分散剤、脱気剤、ワックス、貯蔵寿命安定剤、湿潤剤、スリップ剤、流動剤、フルオロカーボン界面活性剤、シリコーン、有機ポリマー界面活性剤、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態33に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【0195】
36. 実施形態1~34のいずれか1つに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物を含む、印刷された物品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物であって、
a)ロジン樹脂、ロジン樹脂誘導体、炭化水素樹脂、変性炭化水素樹脂、イソジアリルフタラート樹脂、非フタラートアリル樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、10重量%~30重量%の1以上の不活性硬質樹脂、
)植物油、植物油エステル、アルキド樹脂、抗酸化剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される10~60%の非UV原料であって、不活性であり、光開始条件下で反応しない化合物である非UV原料;並びに
c)5重量%~45重量%の1以上の多官能性(メタ)アクリラートモノマー及び/又はオリゴマー;
d)0~10%の単官能性(メタ)アクリラートモノマー及び/又はオリゴマー;
を含み、
前記インク又はコーティング組成物が、40%以上のバイオ再生可能含有量を含み、バイオ再生可能含有量は、ASTM D6866に記載されている標準的な方法に従って測定される、平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項2】
5重量%未満の植物油(メタ)アクリラートを含む、請求項1に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項3】
15重量%~35重量%の量の植物油及び植物油エステルを含む、請求項1又は2に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項4】
植物油、植物油エステル及びアルキドの量対(メタ)アクリラートモノマー及びオリゴマーの量の比が、少なくとも0.5:1.0、例えば、0.5:1.0~2.0:1.0である、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項5】
0~20重量%の1以上の光開始剤を含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項6】
成分b)が、植物油、植物油エステル、アルキド樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項7】
前記インク又はコーティング組成物が、45%以上のバイオ再生可能含有量を含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項8】
20重量%未満、好ましくは10重量%未満、又はより好ましくは5重量%未満の、発癌性、変異原性、又は生殖毒性(CMR)と分類される化合物を含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項9】
発癌性、変異原性、又は生殖毒性(CMR)と分類される化合物を実質的に含まない、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項10】
前記CMR化合物が、トリメチロールプロパントリアクリラート、シリコーンジアクリラート、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;任意で前記CMR化合物はトリメチロールプロパントリアクリラートである、請求項8又は9に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項11】
部分a)の前記1以上の不活性硬質樹脂が、10重量%~25重量%、例えば10重量%~20重量%の量で存在する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項12】
部分a)の前記不活性硬質樹脂が、イソジアリルフタラート樹脂、非フタラートアリル樹脂、ロジン樹脂誘導体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項13】
前記ロジン樹脂誘導体がフェノール性ロジン樹脂である、請求項12に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項14】
部分a)の前記1以上の不活性硬質樹脂が、部分c)の前記(メタ)アクリラートモノマー及びオリゴマー、並びに部分b)の前記植物油、植物油エステル及び植物アルキド樹脂と相溶性であるか、それに可溶性であるか、又はそれと相溶性であり且つそれに可溶性である、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項15】
油変性フェノール樹脂、ケトン樹脂、アルデヒド尿素樹脂、油変性ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルスチレン樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上の追加の樹脂をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項16】
部分c)の前記(メタ)アクリラートオリゴマーが、0.1重量%~45重量%の量で存在する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項17】
部分c)の前記(メタ)アクリラートオリゴマーが、15重量%~35重量%の量で存在する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項18】
部分c)の前記(メタ)アクリラートオリゴマーが、少なくとも400ダルトン、例えば400~3000ダルトンの数平均分子量を有する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項19】
前記インク又はコーティング組成物中に存在する前記(メタ)アクリラートオリゴマーの少なくとも95重量%が、2以上、例えば4以上、又は6以上のアクリラート官能価を有する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項20】
部分c)の前記(メタ)アクリラートオリゴマーが、アクリル化油、エポキシアクリラート、ポリエステルアクリラート、アクリル化ポリウレタン、アクリル化ポリアクリラート、アクリル化ポリエーテル、アクリル化アミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項21】
部分c)の前記(メタ)アクリラートオリゴマーが、ポリエステルアクリラート、アクリル化ポリウレタン、アクリル化ポリエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項20に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項22】
部分c)の前記1以上の多官能性(メタ)アクリラートモノマーが、35重量%までの量で存在する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項23】
部分c)の前記1以上の多官能性(メタ)アクリラートモノマーが、15重量%までの量で存在する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項24】
部分c)の前記1以上の多官能性(メタ)アクリラートモノマーが、1,2-エチレングリコールジアクリラート、1,4-ブタンジオールジアクリラート、1,6-ヘキサンジオールジアクリラート、ジプロピレングリコールジアクリラート、ネオペンチルグリコールジアクリラート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジアクリラート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリラート、トリプロピレングリコールジアクリラート、ビスフェノール-Aジアクリラート、エトキシ化ビスフェノール-A-ジアクリラート、ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルジアクリラート、エトキシ化ビスフェノール-A-ジアクリラート、ポリ(エチレン)グリコールジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリラート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリラート、プロポキシル化グリセロールトリアクリラート、ペンタエリスリトールトリアクリラート、エトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリラート、プロポキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリラート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリラート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリラート、ジペンタエリスリトールペンタアクリラート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項25】
部分b)の前記植物油、植物油エステル、及び植物アルキド樹脂が、0.1~30重量%の量で存在する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項26】
部分b)の前記植物油、植物油エステル、及び植物アルキド樹脂が、10重量%~25重量%の量で存在する、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項27】
前記植物油エステルが植物油脂肪酸アルキルエステルである、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項28】
前記植物油が、乾性油、半乾性油、非乾性油、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される;任意で、前記植物油が、アマニ油、ダイズ油、及びそれらの組み合わせである、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項29】
0.1重量%~10重量%の、部分d)の前記単官能性アクリラートモノマーを含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項30】
0.1重量%~40重量%の1以上の着色剤、例えば、1重量%~20重量%の1以上の着色剤をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項31】
前記1以上の着色剤が、無機顔料、有機顔料、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項32】
0.1重量%~10重量%の1以上の増量剤及び/又は充填剤、例えば1重量%~5重量%の1以上の増量剤及び/又は充填剤をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項33】
前記1以上の増量剤又は充填剤が、粘土、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項32に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項34】
0.1重量%~20重量%の1以上の光開始剤をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項35】
1重量%~10重量%の1以上の光開始剤を含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項36】
前記1以上の光開始剤が、オリゴマー光開始剤、ポリマー光開始剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項34又は35に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項37】
前記光開始剤の少なくとも1つがオリゴマーベンゾフェノン誘導体である、請求項30~32のいずれか一項に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項38】
0.1重量%~3重量%の1以上の乾燥剤をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項39】
前記1以上の乾燥剤が、脂肪酸塩、有機カルボン酸の重金属塩、及びそれらの組み合わせからなる群からそれぞれ独立して選択される、請求項38に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項40】
0.1重量%~5重量%の1以上の添加剤をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項41】
前記1以上の添加剤が、表面活性剤、分散剤、脱気剤、ワックス、貯蔵寿命安定剤、湿潤剤、スリップ剤、流動剤、フルオロカーボン界面活性剤、シリコーン、有機ポリマー界面活性剤、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項40に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項42】
1重量%~15重量%の1以上のバイオ系ワックス、例えば2重量%~10重量%の1以上のバイオ系ワックスを含む、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング。
【請求項43】
前記1以上のバイオ系ワックスが、カルナバに基づくワックス、サトウキビに基づくワックス、ポリ乳酸に基づくワックス、米ぬかに基づくワックス、硬化ヒマシ油に基づくワックス、ポリ-(ヒドロキシブチラート-コ-ヒドロキシバレラート)に基づくワックス、及びそれらの組み合わせからなるリストから選択される、請求項42に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング。
【請求項44】
鉱油を実質的に含まない、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項45】
5重量%未満の合成ワックスを含み、例えば、前記インク又はコーティング組成物が実質的に合成ワックスを含まない、先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物。
【請求項46】
請求項1~45のいずれか一項に記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物と、基材とを含む、印刷された物品。
【請求項47】
包装物品の一部を形成する、請求項46に記載の印刷された物品。
【請求項48】
先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物を作製する方法であって、
a)以下:
i)ロジン樹脂、ロジン樹脂誘導体、炭化水素樹脂、変性炭化水素樹脂、イソジアリルフタラート樹脂、非フタラートアリル樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上の不活性硬質樹脂;
ii)不活性硬質樹脂、植物油、植物油エステル、アルキド樹脂、抗酸化剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される非UV原料;並びに
iii)1以上の多官能性(メタ)アクリラートモノマー及び/又はオリゴマー;
を提供する工程、並びに
b)前記成分を一緒に混合して、前記ハイブリッドインク又はコーティングを作製する工程、
を含む方法。
【請求項49】
先行する請求項のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物を印刷する方法であって、
a)前記平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティングを提供する工程;
b)前記平版印刷用インク又はコーティングを基材上に印刷する工程;及び
c)前記平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティングを硬化させる工程、
を含む方法。
【請求項50】
前記硬化がUV照射を使用して行われる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記硬化が電子ビーム放射を使用して行われる、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
包装の持続可能性を改善するための、請求項1~45のいずれかに記載の平版印刷用放射線硬化性ハイブリッドインク又はコーティング組成物の使用。

【国際調査報告】