(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】単離された生体試料採取デバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 1/28 20060101AFI20250220BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
G01N1/28 J
G01N33/48 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547070
(86)(22)【出願日】2023-02-06
(85)【翻訳文提出日】2024-09-30
(86)【国際出願番号】 ES2023070060
(87)【国際公開番号】W WO2023148420
(87)【国際公開日】2023-08-10
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524295205
【氏名又は名称】ビトロ,エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オルモ セビーリャ,アスンシオン
(72)【発明者】
【氏名】アルバレス フェルナンデス,マリア ステラ
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
【Fターム(参考)】
2G045AA26
2G045AA28
2G045CB15
2G045CB21
2G045HA06
2G045HA08
2G045HA10
2G052AA29
2G052AD26
2G052AD52
2G052BA19
2G052DA02
2G052DA08
2G052DA12
2G052DA22
2G052DA27
2G052FD09
2G052GA29
2G052JA11
2G052JA24
(57)【要約】
本発明は、好ましくは膣由来の、任意の生体物質のための採取具(例えば、「ベール」、緩衝材、綿棒、ブラシ等)を収容する生体試料自己採取デバイスに関する。同時に、本デバイスは、反応性液体を、その後の分析のために水密状態で前記物質と混合するように設計される。本デバイスの使用には、とりわけ、ヒトパピローマウイルス等の病原体の検出、および子宮頸癌の診断が含まれる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料採取具(15)を収容するように設計された、ヒト対象から単離された生体試料の採取および/または輸送のためのデバイスであって、前記生体試料採取具(15)を収容することを意図した開口した下部管状体(2)、および雌ねじ(4)を有する上部ヘッド(3)を備える容器(1)と、雄ねじ(7)を組み込んだ上部セクション(6)を有するキャップ(5)であって、前記容器(1)の前記上部ヘッド(3)の前記雌ねじ(4)に螺合するように意図されたキャップ(5)とを備え、前記キャップ(5)が、前記上部セクション(6)から下方に延伸してフィルタ(9)で終端となる管状部(8)、および前記管状部(8)の周囲において前記上部セクション(6)に配置される、反応性液体(11)を収容する環状リザーバ(10)をさらに備え、前記環状リザーバ(10)が、破断可能な下部シート(12)によって下部において密封され、前記下部管状体(2)が、返し(13)であって、前記キャップ(5)が前記容器(1)の前記上部ヘッド(3)に螺合されると、前記返し(13)が前記下部シート(12)を破断し、前記反応性液体(11)が前記下部管状体(2)に流入し、前記生体試料採取具(15)で採取された生体物質と接触し、それらと反応することを可能にするように上方に延伸する返し(13)を備え付けられており、前記環状リザーバ(10)内の流体の体積および前記管状部(8)の高さが、前記生体物質と混合された前記反応性液体(11)が前記フィルタ(9)を介して前記管状部(8)から部分的に導入されるようなものであり、前記キャップがまた、前記管状部(11)を閉鎖するさらなる破断可能な上部シート(14)を備えることにより特徴づけられ、かつ、前記管状部(8)を介してピペット(16)の挿入を容易にすることで先に上昇した前記反応性液体(11)に到達するように設計され、前記デバイスが、前記キャップ(5)が前記容器(1)上に取り付けられると前記キャップ(5)を固定し、これにより採取された試料の操作および汚染を防止する固定手段(17)をさらに備えることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記固定手段(17)が、
前記容器(1)の前記上部ヘッド(3)の内部に位置する本質的に角柱形の溝(18)と、
前記キャップ(5)の前記上部セクション(6)に位置する突起(19)であって、前記キャップ(15)が前記容器(1)に螺合されたときに前記突起(19)の前記溝(18)への嵌合を容易にする傾斜面(20)を備えており、前記突起(19)が前記溝(18)に挿入されると、前記傾斜面(20)が、前記突起(19)が外れるのを防止し、結果的に前記キャップ(3)が前記容器(1)から螺合解除されるのを防止する、突起(19)と
を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記上側ヘッド(3)の前記雌ねじ(4)と前記キャップ(5)の前記雄ねじ(7)とが相補的である、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的
本発明の目的は、医薬に対応する技術分野、具体的には、ヒト対象から単離された生体試料を採取するためのデバイスに関する分野に含まれる。
【0002】
本発明は、好ましくは膣由来の、任意の生体物質の採取具(「ベール」、緩衝材、綿棒、ブラシ等)を収容し、同時に反応性液体を、その後の分析のために密封状態で前記物質と混合することができる、生体試料の自己採取のためのデバイス、ならびに、とりわけ、ヒトパピローマウイルス等の病原体の検出、および子宮頸癌の診断のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
女性生殖器系に関連する疾患の検出のために膣または子宮頸部から生体試料を採取するためのデバイスは、先行技術において公知である。
【0004】
患者から血液、唾液、尿等の生体試料を採取することは、多くの診断手順において第1のステップである。
【0005】
女性の子宮からの生体試料の採取のために、物質採取具(綿棒、ブラシ、布地等)が、実験室で試料をその後に分析するための、より迅速な方法としての輸送手段の有無に関わらず、デバイスまたは容器内で使用される。
【0006】
加えて、先行技術では生体試料を採取した採取具を収容する役割を果たすデバイスがあり、このデバイスは、採取された物質と反応する流体を含むチャンバを備える。前記チャンバは、圧力または引張応力によって破壊され、反応性液体を放出することができる。
【0007】
しかしながら、この問題は、採取された試料の分析時に生じる。先行技術において存在するデバイスは、使用者によって操作され、使用者は、前記デバイスを構成する部品の1つを抽出するので、それが行われる環境が無菌であっても、試料汚染のリスクを増加させるため、結果に影響を及ぼし、疾患の診断に誤りをもたらす。生体試料への曝露のリスク、および運ばれる場合に取扱者による輸送手段も、結果として生じる生体リスクを伴う。
【0008】
一方で、それはまた、分析を行うことを担当する使用者の能力に応じて、試料と反応した液体の量を採取する際に誤りをもたらし、この場合もやはり、試験の結果に影響を及ぼし得る条件を検出してしまう可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、好ましくは膣由来の生体試料採取具を保持するように設計された容器を組み込むことによって、提起された問題を解決しようとするものである。キャップが反応性液体を封入するチャンバを含み、キャップが螺合されると破断するシートよって下部において密封されているので、キャップを容器に螺合することによって、容器の内部で、チャンバから放出された液体を、採取具で採取された生体試料と反応させる。
【0010】
本発明のデバイスは、病原体、特にヒトパピローマウイルス(HPV)の検出および子宮癌の診断のための、ヒト対象、好ましくは(とりわけ)膣腔、例えば細胞、組織、または体液および/もしくは膣分泌物から単離された生体試料の採取を可能にする。病原体の例としては、限定されないが、ヒトパピローマウイルス(HPV)に加え、クラミジア・トラコマティス、ヘモフィルス・ドゥクレイ、単純ヘルペスウイルス1および2、マイコプラズマ30ジェニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、淋菌、トレポネーマ・パリダム、トリコモナス膣炎、ならびにウレアプラズマ(ウレアリティカム/パルブム)が含まれる。
【0011】
本発明のデバイスは、特殊な医学的介入を必要とすることなく、生体試料の自己採取を可能にする。
【0012】
より詳細には、本発明のデバイスの目的は、上述のように、本質的に管状の本体を備え、上部が開口し、内部に生体試料、好ましくは、以前に採取された膣由来の生体試料を収容する採取具を有する容器を備える。加えて、当該容器は、雌ねじが位置する管状体の直径よりも本質的に広い直径の上部ヘッドを備える。
【0013】
一方で、本発明はまた、上部セクションおよび雄ねじを有するキャップを備え、前記雄ねじは、容器のヘッドの雌ねじと相補的であり、ねじ式にて容器の前記ヘッド上へのキャップの上部結合を可能にする。
【0014】
キャップはまた、前記キャップの上部セクションから容器の下部に近い領域まで下方に延伸する管状で細長であってもよい部分を備え、当該管状部はフィルタで終端となる。管状部の周囲には、反応性液体を収容し、破断可能なシートによって下部において密封されている環状リザーバがある。
【0015】
容器の本体は、尖った返しであってもよい一連の開口機構を特徴とする。キャップが容器に螺合されると、これらの返しが、反応性液体を封入する下部シートを貫通し、前記液体が容器の本体を介して流れ、試料採取具をぬらす。リザーバに収容されている液体の体積は、採取された試料と反応した液体の量がフィルタを介して管状部の内部を確実に昇流するのに十分なものであり、大きい粒子が液体と混合された試料に影響を及ぼすのを防止する。
【0016】
管状部にある混合された試料を採取するために、キャップは、上部セクションに別の破断可能なシートを有し、前記管状部の下方に導入されるピペットのシートの破断により通過を容易にすることで反応性液体に到達するように設計されている。
【0017】
最終的に、本デバイスはまた、結合されるとキャップが容器から螺合解除されるのを防止する固定手段を備えており、ピペットで液体を採取する瞬間まで完全に密封されたままであり、試料の操作および汚染を防ぐ。前記固定手段は、容器の上部ヘッドの内部に位置する概ね平行六面体形状の一連の溝と、キャップの上部セクションに位置する外部突起であって、溝内の回転運動およびその後の嵌合に有利な傾斜面を有する外部突起とである。
【0018】
挿入されると、突起の形状が溝から外れるのを防止し、キャップを容器の上部ヘッドに固定するため、周辺からの粒子による試料の汚染および/または取り扱いを防ぐ。
【0019】
特に、本発明のデバイスは、ヒト対象から生体試料を採取して病原体または疾患の存在を診断および検出することを可能にする。
【0020】
したがって、本発明の別の態様は、少なくとも1つの病原体の検出のための、上記の本発明の生体試料採取デバイスのin vitro使用である。
【0021】
特定の実施形態では、本発明の生体試料採取デバイスのin vitro使用によって検出される病原体は、とりわけ、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、クラミジア・トラコマティス、ヘモフィルス・ドゥクレイ、単純ヘルペスウイルス1および2、マイコプラズマ・ジェニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、淋菌、トレポネーマ・パリダム、トリコモナス膣炎、ならびにウレアプラズマ(ウレアリティカム/パルブム)等からなるリストから選択される。
【0022】
さらに、本発明の別の態様は、子宮癌の診断のための、上記の本発明の生体試料採取デバイスのin vitro使用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
説明を完璧なものとし、本発明の特徴をより良く理解することを助けるために、本発明の好ましい実用的な実施形態により、図面のセットは、この説明の不可欠な部分として含まれ、例示的かつ非限定的な方法で、以下が示される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1から
図2を用いて、生体物質採取デバイスの実施形態を説明する。
【0025】
図1は、試料採取シース(15)を収容することを意図した開口した下部管状体(2)、および雌ねじ(4)を有する上部ヘッド(3)を備える容器(1)と、上部セクション(6)を有し、雄ねじ(7)を組み込んだキャップ(5)とを備える生体試料採取デバイスの斜視図を示し、前記キャップ(5)は、容器(1)の上部ヘッド(3)の雌ねじ(4)に螺合するように設計されている。さらに、キャップ(5)は、上部セクション(6)から下方に延伸する管状部(8)を備える。
【0026】
本発明のより良い視覚化のために、
図2は、容器(1)に螺合されるキャップ(5)を示すデバイスの断面図を示し、雌ねじ(4)と雄ねじ(7)とが互いに相補的であってもよい。
【0027】
下方に延伸する管状部(8)は、その先端にてフィルタ(9)で終端となる。キャップ(5)は、この管状部(8)の周囲に、反応性液体(11)を収容する環状リザーバ(10)を特徴とする。この環状リザーバ(10)は、破断可能な下部シート(12)によって下部において密封されている。管状体(2)が、返し(13)であって、キャップ(5)が容器(1)の上部ヘッド(3)に取り付けられると、これらの返し(13)が下部シート(12)を破断し、反応性液体(11)が管状体(2)に流入し25、採取具(15)で採取された生体物質と接触し、それらと反応することを可能にするように上方に延伸する返し(13)を有する。
【0028】
環状リザーバ(10)内の流体の体積および管状部(8)の高さは、生体物質と混合された反応性液体(11)がフィルタ(9)を介して管状部(8)内に部分的に導入されるようなものである。
【0029】
一方で、キャップはまた、管状部(11)への通路を密封し、ピペット(16)の進入を容易にするように設計された破断可能な上部シート(14)を備えることを特徴とする。このピペットは、管状部(8)を介して、先に上昇した反応性液体(11)に到達するように挿入され、密封状態で、試料のいかなる汚染も防止して、反応性液体(11)と反応し混合された生体試料採取具(15)から生体試料を取り出すことができる。
【0030】
最終的に、上述のように、試料の気密性を確保し、試料の汚染および/または試料が分析される前の使用者によるデバイスの操作を防止するために、本発明は、キャップ(5)が容器(1)に取り付けられると、キャップ(5)を固定する固定手段(17)を組み込む。これらの固定手段(17)は、容器(1)の上部ヘッド(3)の内部に位置する本質的に角柱状の溝(18)と、キャップ(5)の上部セクション(6)に位置する突起(19)であって、キャップ(15)が容器(1)に螺合されたときに前記突起(19)の溝(18)への嵌合を容易にする傾斜面(20)を備える突起(19)とからなる。突起(19)が溝(18)に嵌合されると、前記傾斜面(20)は、それらが外れるのを防止し、それによって、キャップ(3)が容器(1)から螺合解除されるのを防止する。
【国際調査報告】