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特表2025-505685部材組立体の接続点の非破壊検査方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】部材組立体の接続点の非破壊検査方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/72 20060101AFI20250220BHJP
   G01J 5/48 20220101ALI20250220BHJP
【FI】
G01N25/72 E
G01J5/48 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547190
(86)(22)【出願日】2023-02-07
(85)【翻訳文提出日】2024-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2023052894
(87)【国際公開番号】W WO2023152098
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】102022102940.9
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522357286
【氏名又は名称】エジョット エスイー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】EJOT SE & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】マイヴァルト,マーリオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルクマイスター,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,トーニ
【テーマコード(参考)】
2G040
2G066
【Fターム(参考)】
2G040AA05
2G040AB08
2G040BA14
2G040BA25
2G040DA06
2G040EA08
2G040EA11
2G040EA13
2G040EC02
2G040HA05
2G040HA16
2G040ZA05
2G066CA01
2G066CA02
(57)【要約】
本発明は、部材組立体の接続点(10)を非破壊検査する方法である。最初の検出時において、接続点(10)の参照画像がキャプチャされ、ヘッド(18a、18b)がヘッド表面(20a、20b)として画像化される。2回目の検出時(44)において、参照画像に類似したテスト画像がキャプチャされ、2回目の検出時(44)は、最初の検出時の後、かつ励起時の後の所定の時間後に発生し、分析領域(42)が定義される。温度変化が、予め定義された温度範囲内にある場合、「合格」値が形成される。接続点(10)は、「合格」値を有するサブ領域の合計が少なくとも1つの指定された下限範囲を有する参照範囲と比較されることによって、分類され、接続点(10)は、合計が基準範囲内にある場合に、「合格」接続として分類され、そうでない場合、接続点(10)は「不合格」接続として分類される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材組立体の接続点(10)を非破壊検査する方法であって、
ベース層(14)及び少なくとも1つのカバー層(16)と、ヘッド(18a、18b)とシャフト(22a、22b)とを備えた接続要素(12a、12b)とを備え、
接続点(10)は、前記接続要素(12a、12b)の前記シャフト(22a、22b)と前記ベース層(14)との間に形成され、
前記カバー層(16)は、前記ベース層(14)及び前記接続要素(12a、12b)よりも大きい熱伝導率を有し、
前記非破壊検査は、熱画像カメラ(34)と、前記熱画像カメラ(34)の反対側の部材組立体側に配置されたインダクタ(36)とによって実行され、
前記インダクタ(36)は、活性表面を介したパルス手段によって励起時に前記ベース層(14)を誘導励起し、さらに、
最初の検出時において、
前記接続点(10)の基準画像が前記熱画像カメラ(34)によってキャプチャされ、前記ヘッド(18a、18b)が前記基準画像内にヘッド表面(20a、20b)として画像化され、
2回目の検出時(44)において、
前記基準画像に類似したテスト画像がキャプチャされ、
前記2回目の検出時(44)は、前記最初の検出時の後、かつ前記励起時の後の所定の時間後に発生し、
評価領域(42)が前記テスト画像及び/又は前記基準画像内に定義され、前記評価領域(42)は少なくとも部分的に前記ヘッド表面(20a、20b)を含み、
前記評価領域(42)はサブ領域に分割され、
特定のピクセルにおいて、前記サブ領域に温度値が割り当てられ、
温度変化値が、前記基準画像及び前記テスト画像の対応する前記サブ領域の温度値に基づいた規則によって形成され、
前記温度変化値に基づいて、
温度変化が、少なくとも1つの下限値を持つ予め定義された温度範囲内にある場合、「合格」値が形成され、
前記接続点(10)は、「合格」値を有する前記サブ領域の合計が少なくとも1つの指定された下限値を有する基準範囲と比較されることによって、分類され、
前記接続点(10)は、前記合計が基準範囲内にある場合に、「合格」接続として分類され、
そうでない場合、前記接続点(10)は「不合格」接続として分類される、
非破壊検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の非破壊検査方法であって、
前記規則は、前記テスト画像の対応する部分の温度値を前記基準画像の温度値から減算することで定義されることを特徴とし、
特に、前記基準画像の一部の温度値が前記テスト画像の一部の温度値から減算されることを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の非破壊検査方法であって、
前記2回目の検出時(44)において、特に「合格」接続の温度曲線を評価することによって、「不合格」接続において前記ヘッド表面(20a、20b)内にまだ温度差が存在するように、所定の期間が選択されることを特徴する非破壊検査方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の非破壊検査方法であって、
前記2回目の検出時(44)を決定するために、前記サブ領域の励起時間からの「合格」接続の温度変化曲線、又は、前記評価領域の少なくとも2つの前記サブ領域の平均値が、少なくとも前記温度変化曲線の傾きが負になるまで生成されることを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項5】
請求項4に記載の非破壊検査方法であって、
前記2回目の検出時(44)は、前記温度変化曲線の最大温度変化時に対応し、
前記最大温度変化は、特に2K以上であることを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の非破壊検査方法であって、
前記温度変化曲線に基づいて温度範囲を決定することを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の非破壊検査方法であって、
前記「合格」値は、1つのピクセルの5~10ケルビンの温度変化で割り当てられていることを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の非破壊検査方法であって、
温度曲線が前記テスト画像がキャプチャされたときの周囲の条件の下で生成されることを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項9】
請求項8に記載の非破壊検査方法であって、
前記活性表面は、前記ヘッド表面(20a、20b)に対して中央に配置されることを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の非破壊検査方法であって、
前記活性表面は、前記熱画像カメラ(34)と一直線上に配置されていることを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項11】
請求項10に記載の非破壊検査方法であって、
前記活性表面は、前記熱画像カメラ(34)による前記ヘッド表面(20a、20b)の輪郭検出に基づいて配置されることを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の非破壊検査方法であって、
前記基準範囲は、上限値を有することを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項13】
請求項12に記載の非破壊検査方法であって、
少なくとも1つの境界値は、基準測定の前記「合格」値の合計の10%の許容範囲によって形成されることを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の非破壊検査方法であって、
前記評価領域が前記ヘッド表面(20a、20b)の±20%に等しいことを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項15】
請求項14に記載の非破壊検査方法であって、
前記評価領域(42)は、基準測定に基づいた計算手段によって決定されることを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれか1項に記載の非破壊検査方法であって、
前記評価領域(42)は、前記ヘッド表面(20a、20b)に対して中央に配置されていることを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか1項に記載の非破壊検査方法であって、
前記インダクタ(36)と前記部材組立体との距離が、前記部材組立体内に有意義な温度を生成するように設定されていることを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれか1項に記載の非破壊検査方法であって、
温度変化画像が生成され、外部エラーを除去するために前記温度変化画像にフィルタが適用されることを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項19】
請求項1ないし18のいずれか1項に記載の非破壊検査方法であって、
前記部材組立体が、混合構造ジョイント接続の形態であることを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項20】
請求項19に記載の非破壊検査方法であって、
前記ベース層(14)が鋼材からなり、前記カバー層(16)がアルミニウムからなることを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項21】
請求項1ないし20のいずれか1項に記載の非破壊検査方法であって、
前記ベース層(14)は、0.8~2mmの厚さを有し、
前記カバー層(16)は、1.0~4mmの厚さを有していることを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項22】
請求項1ないし21のいずれか1項に記載の非破壊検査方法であって、
前記接続要素(12a、12b)は、摩擦要素として設計されていることを特徴とする非破壊検査方法。
【請求項23】
装置であって、
熱画像カメラ(34)と、位置決め手段と、インダクタ(36)と、評価制御ユニット(38)とを含み、
前記評価制御ユニット(38)は、請求項1~22のいずれか1項に記載の非破壊検査方法を実行することを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項23に記載の装置であって、
前記評価制御ユニット(38)が前記位置決め手段を制御することを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項24に記載の装置であって、
前記位置決め手段は、特にCブラケットによって、前記熱画像カメラ(34)と前記インダクタ(36)との接続手段を備え、これらは互いに固定されるように設計されており、
前記接続手段は前記接続点(10)に対して配置されることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項23~25のいずれか1項に記載の装置であって、
前記位置決め手段は、独立して調整可能な2つのサブ手段を備え、
一方の前記サブ手段は、前記熱画像カメラ(34)に接続され、他方の前記サブ手段は前記インダクタ(36)に接続されて、前記接続点(10)に対して前記熱画像カメラ(34)及びインダクタ(36)を位置決めすることを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項23~26のいずれか1項に記載の装置であって、
前記熱画像カメラ(34)は、前記接続点(10)の位置を検出するように設計されており、
前記検出された位置は、前記位置決め手段を制御するために使用されることを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項23~27のいずれか1項に記載の装置であって、
前記評価制御ユニット(38)は、特に基準測定および温度曲線を記憶するデータ記憶ユニットを備えることを特徴とする装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に規定された部材組立体内の接続点を非破壊的に検査する方法、及び、請求項23の前提部分に規定された装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物質同士が結合した接続点の非破壊検査方法は、当該技術分野において既に知られている。このような方法は、サーモグラフィーの原理に基づくことが好ましい。部材組立体は励起源によって加熱され、部材と接続点との異なる温度挙動から、接続点に関する結論を導き出すことができる。前記温度挙動は、熱画像カメラを使用して記録されるのが望ましい。前記励起源及び前記熱画像カメラの両方に接続された評価システムが、接続点の評価及び分類のために使用される。
【0003】
ドイツ特許出願公開第10 2006 057 802 A1号は、抵抗圧力溶接を非破壊検査するための方法及び検査システムを開示している。物質同士の抵抗圧力溶接は、フラッシュランプを使用したパルス励起を受ける。前記評価システムは、物質間の結合の温度挙動を記録する熱画像カメラを含んでおり、前記温度挙動に基づいて受信光強度の時間経過を分析する。
【0004】
より優れた局所解像度を得るために、部材同士が結合した接続点が位置する撮影領域が、各カメラピクセルの履歴を分析することによって、複数のカメラピクセルに細分化される。評価と分類は、時間依存の検出器ユニットに基づいて実行される。物質同士が結合した接続点であって接合強度が不十分であり、検出器ユニットにおいて特定の閾値を超えて「合格」値が割り当てられたカメラピクセルを伴うものは、別の閾値と比較して「合格」値の合計面積が小さすぎる場合に検出される。前記面積は、励起後200msの時点で決定される。
【0005】
この試験方法は、特定の時点で十分な溶接が施された総面積を記録することによって、2枚の積層金属板を接続する圧力溶接点のサイズ又は熱伝導接続を決定するために使用できる。その絶対温度は、熱放射が溶接スポットを介してカバー層の表面に到達した特定の時点で測定される。
【0006】
時間の経過に伴う強度曲線を評価することによって物質同士の結合を非破壊検査する他の方法も、当該技術分野では知られている。完全性を期すため、ドイツ特許出願公開第10 2007 042 341 A1号及びドイツ特許出願公開第10 2007 050 005 A1号が参照される。
【0007】
従来の試験方法は、主にスポット溶接接続部または接着接続部に使用される。接続点は物質同士が結合しており、本質的に均質である。さらに、従来のテスト方法は、各テストシステムが特定の動作条件でのみ使用するように設計されていることにより、正確で、時間がかかり、細分化されている。特に鋼材で作られた2つの構成層の溶接接合部、特にスポット溶接接合部の非破壊検査方法は、当技術分野で知られている。
【0008】
現在望まれているのは、混合部材の接続の品質を非破壊的に確実に評価する方法である。混合部材の接続の場合、通常、異なる材料で作られた2つの部材層が、接続要素を介して接続される。従来のスポット溶接接続とは異なり、これらの接続において重要なのは、2つの部材間の接触点の品質とサイズではなく、2つの部材と接続要素との間の遷移である。
【0009】
例えば、接続要素のヘッドと上部部材層(カバー層)の間の接触が不十分だと、結果的に接触圧力の伝達が不十分となり、接続の密着性が不十分となる。このような欠陥は、純粋に目視検査によって検出することができる。
【0010】
さらに、このような混合部材の接続の品質にとって、接続要素と、構造の下側の層であるベース層との間に十分な強度があることが非常に重要である。この特性は、接続点が部材組立体の内部にあるために、純粋に光学的に評価することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、請求項1の前提部分で規定されたタイプの、部材組立体内の接続点の非破壊検査方法を提供するものであり、この方法は、上記の点に関して接続の品質を評価するために使用することができる。
【0012】
本発明の別の目的は、請求項23の前提部分で規定されたタイプのそれぞれの装置を、部材組立体内における接続要素からなる接続点の迅速、容易かつ柔軟なテストの実施が、上記の欠点を回避しながら保証されるように強化することにより、対応する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、部材組立体内の接続点を非破壊的にテストする方法については請求項1の前提部分及び特徴が組み合わされることによって達成され、装置については請求項23の前提部分及び特徴が組み合わされることによって達成される。
【0014】
従属請求項は、本発明の有利なさらなる実施形態に関する。部材組立体の温度挙動は、部材組立体の異なる幾何学的特性により変化する。さらに、不均一性、特にベース層とカバー層との間や、接続要素とカバー層との間の空隙、及び、亀裂などの欠陥により、時間及び部材組立体内の場所に応じて熱伝導の度合いが異なる。
【0015】
既知の方法では、試験対象の部材組立体は、ベース層と少なくとも1つのカバー層、及び、ヘッドとシャフトとを備えた接続要素で構成される。接続点では、接続要素のシャフトとベース層とが接続されている。接続要素はカバー層に確実に接続され、そのヘッドがカバー層をベース層に押し付ける。
【0016】
接続要素は、カバー層よりも低い熱伝導率を有している。できれば、ベース層の熱伝導率も低くすることが望ましい。これは、軽量構造の多くの分野で使用されている鋼材とアルミニウムとの接合部に特に当てはまる。
【0017】
本発明は、部品接続の「熱伝導率」に基づいて接続の品質を評価できることに基づいて実現したものであって、ベース層とカバー層との接続要素、及び、ヘッドとカバー層との接続点を介した、ベース層からの熱伝導に基づくものである。
【0018】
本発明によれば、上述のタイプの部材接続の検査は、熱画像カメラと、熱画像カメラの反対側の部材組立体側に配置されたインダクタによって実施される。前記インダクタは、励起パルスによって励起時にアクティブ表面を介してベース層を誘導励起する。
【0019】
最初の検出時において、接続点の基準画像が熱画像カメラによってキャプチャされ、そのヘッドがヘッド表面として表示される。2回目の検出時において、基準画像と同じ方法でテスト画像がキャプチャされる。
【0020】
2回目の検出時は、最初の検出時の後であり、励起時間の後から予め定められた時間が経過した後である。特に、前記2回目の検出時は、カバー層を介した「合格」接続のヘッド表面への熱入力が、接続要素のヘッド表面で測定できる時であることを表している。特に、この時点では、カバー層を介した熱入力が、接続要素のシャフトを介した熱入力を上回る可能性がある。
【0021】
評価領域は、テスト画像及び/又は基準画像内で定義される。前記評価領域は、少なくとも部分的にヘッド表面を含む。前記評価領域は、特定のピクセル単位でサブ領域に分割される。温度値が前記サブ領域ごとに割り当てられる。基準画像及びテスト画像に対応する前記サブ領域の温度値に基づき、温度変化値が規則の基礎に沿って形成される。前記温度変化値の基礎に基づいて、温度変化が事前に定義された温度範囲内であれば、「合格」値が形成される。
【0022】
部材組立体内のカバー層を介した十分な熱伝導がある場合、接続が「合格」であれば、カバー層の熱伝導率が高いため、前記2回目の検出時において、少なくとも1つの所定の下限値を持つ定義済みの温度範囲内に、十分な数のサブ領域が見つかる。特にヘッド領域では、接続要素内の熱の均等化が発生していない。これは、伝送経路全体に重大な欠陥がないことを示している。これにより、「合格」接続と障害のある接続とを区別することが可能となる。
【0023】
溶接接続では、例えば、品質欠陥は、ベース層からシャフトへの移行部にいわゆるクラックという形で現れ、そのクラックは、周囲に空気が閉じ込められた領域を含む。その結果、カバー層への熱伝導が減少する。特に、ベース層まで延びたクラックの存在による誘導により、ベース層での発熱も変化し、部材組立体を通じた熱伝導に影響を与える。
【0024】
ヘッドとカバー層との接続の不足は、カバー層を介した熱伝導も減少させ、それが2回目の検出時の温度変化画像に反映される。これに基づき、接続点は、「合格」値を持つサブ領域の合計を基準範囲と比較することで分類される。前記合計が基準範囲内であれば、接続点は「合格」接続として分類され、そうでない場合は、接続点は「不合格」接続として分類される。基準範囲は下限値があり、それはヘッドのサイズと一致する。
【0025】
これは、特にヘッドのエッジ領域の加熱がカバー層を介した熱伝導を反映するという事実を考慮に入れている。したがって、本発明の方法では、接続要素のベース層への接続点と、接続要素のヘッドのカバー層への遷移の両方を考慮して、部材接続の品質を1回の評価で簡単に評価すること可能となる。
【0026】
望ましくは、この規則は、テスト画像の対応するサブ領域の温度値を、基準画像の温度値から減算するように設計されており、具体的には、基準画像のサブ領域の温度値が、テスト画像のサブ領域の温度値から減算される。減算により、各ピクセルの温度変化値を取得することが容易となる。温度変化値の使用は、ヘッドがその形状のために不均一な放射挙動を示すという事実が考慮され、温度変化を検出することでその影響が軽減される。
【0027】
望ましくは、前記2回目の検出時は、接続が「不合格」と判断された前記2回目の検出時でもヘッド表面の温度差が依然として存在するように選択される。このポイントは、特に、校正測定を使用した「合格」接続として知られた接続の温度曲線を評価することによって決定される。これにより、信頼性及び再現性が高い接続点の分類が可能となる。
【0028】
本発明の別の有利な実施形態において、前記2回目の検出時を決定するために、「合格」接続の校正測定の温度変化曲線がサブ領域の励起時間から生成され、又は、評価領域の少なくとも2つのサブ領域の平均値が、少なくとも温度変化曲線の勾配が負になるまで生成される。
【0029】
これは、温度変化が最大になった後に発生する温度均一化及び飽和効果が軽減される時点を、前記2回目の検出時として選択できることを意味する。前記2回目の検出時を決定するために、最大温度変化までの時間のみが考慮され、具体的には、最大温度に達したとき、又は、最大温度に達する直前の時間のみが考慮される。
【0030】
これにより、テスト手順中において「合格」ピクセルと残りのピクセルとの温度変化値に大きな差が生じ、意味のある分類が可能となる。本発明の別の好ましい実施形態では、温度変化を評価するための規則は、それぞれのピクセルにおける温度変化を示す温度変化画像の生成を含むことができる。
【0031】
温度変化画像の生成は、さらにグラフィック処理、特にフィルタアルゴリズムを使用した画像処理が可能になるという利点がある。望ましくは、前記2回目の検出時は、温度変化曲線の最大温度変化の時に対応し、最大温度変化は特に少なくとも2ケルビン(K)、好ましくは5K以上である。前記2回目の検出時を最大温度変化時に設定することは、個々のピクセルを有意義に評価することを可能にする。
【0032】
温度範囲は、望ましくは校正測定の温度変化曲線に基づいて決定される。これにより、接続点が部材組立体の特性に合わせてテストされるようになる。例えば、ピクセルの温度変化が5~10ケルビン以上の場合、対応するピクセルに「合格」値を割り当てることができる。これにより、周囲の領域や欠陥との明確な区別が可能になる。
【0033】
望ましくは、前記温度曲線は、テスト画像が撮影されるときの周囲条件下での校正測定によって生成される。これにより、テスト手順中の周囲条件の影響が最小限に抑えられる。望ましくは、インダクタの活性表面は、ベース層内のヘッド表面の中央に配置される。これにより、接続要素のベース層の下で均一かつターゲットを絞った励起が可能となる。
【0034】
望ましくは、活性表面と熱画像カメラは一直線上に配置される。これにより、接続点が熱画像カメラのキャプチャ範囲内に完全に含まれることが確実となる。
【0035】
活性表面の簡単かつ自動的な配置を可能にするために、インダクタは、熱画像カメラによるヘッド表面の輪郭検出に基づいて配置される。部材組立体、及び、特に接続要素は、周囲温度、異なる材料、幾何学的形状により、異なる方法で加熱される。部材組立体におけるこの異なる温度分布により、熱画像カメラによるヘッドの受動的な検出が可能となる。接続要素のヘッドの温度が周囲の部材組立体の温度と大きく異なるためである。
【0036】
本発明の別の実施形態では、前記基準範囲は上限値を有する。2つめの境界値を設定することにより、テスト画像の個々のピクセルをより的確に評価できるようになる。これにより、異なるタイプのエラーを区別でき、または、「合格」値の合計が下限値を下回っているか、又は、上限値を上回っているかを区別できる。締結具のヘッドがカバー層に過度に侵入すると、カバー層のヘッドの周りにビードが形成される場合がある。このビードは、カバー層の構造を、放射線の増加を検出できる程度にまで変化させる。これは、品質欠陥を示している可能性もある。
【0037】
望ましくは、少なくとも1つの境界値は、基準測定における「合格」値の合計に対して10%の許容範囲によって形成される。これにより、テスト画像と基準測定と間で生じる軽微で無関係なずれを排除することができる。
【0038】
望ましくは、評価範囲は、ヘッド表面の±20%に対応する。これは特に、テストにおいて接続要素のエッジ領域と遷移領域も考慮されることを意味する。
【0039】
本発明の別の有利な実施形態では、評価範囲は、基準測定に基づく計算を使用して決定される。これにより、評価領域を迅速かつ自動的に定義することができる。
【0040】
望ましくは、評価領域はヘッド表面に対して中心に配置される。ヘッド表面に対して中央の評価領域を定義することは、ヘッド表面及びヘッド表面の下の円筒状の領域に対する少なくとも部分的な評価が確実となる。これにより、領域内の不均一性を検出することができる。
【0041】
望ましくは、インダクタと部材組立体の下層との間の距離は、部材組立体内で大きな温度入力が生成されるように設定される。インダクタと部材組立体間の距離が大きすぎると、温度変化値の差が過少となるために、明確な分類ができなくなる。
【0042】
温度変化の画像における外部エラーを除去するには、ガウシアンフィルタなどのフィルタが温度変化の画像に適用される。これにより、隣接するピクセルの情報内容を評価に含めることが可能となる。
【0043】
望ましくは、部材組立体は、混合構造接続として設計され、ベース層及び鋼材からなる接合要素が摩擦溶接接続を形成し、カバー層がアルミニウムで作られる。
【0044】
本発明のさらに別の有利な実施形態では、ベース層が0.8~2mmの厚さを有し、カバー層は、1.0~4mmの厚さを有している。
【0045】
望ましくは、接続要素は、そのヘッドに駆動構造が設けられた摩擦要素として設計される。
【0046】
本発明の別の態様は、装置であって、熱画像カメラ、位置決め手段、インダクタ、及び、評価制御ユニットを含むものに関する。望ましくは、インダクタの励起周波数は、15kHz~50kHzである。これにより、励起が部材組立体、特にカバー層の「深さ範囲」内の接続要素に過度に深く侵入することが防止される。これにより、カバー層を介した熱流の影響が十分に考慮される。
【0047】
望ましくは、評価制御ユニットは、本発明による方法を実行する。望ましくは、評価制御ユニットは、位置決め手段を制御する。本発明のさらに別の有利な実施形態では、位置決め手段が、接続手段として、熱画像カメラとインダクタとを互いに固定するように設計されたCブラケットを含み、かつ、前記接続手段は、接続点に対して位置決めされる。この接続手段により、それらを互いに対して正確かつ自動的に配置することが可能となる。
【0048】
望ましくは、前記位置決め手段は、独立して移動可能な2つの副手段を備え、一方の副段は熱画像カメラに接続され、他方の副手段はインダクタに接続され、接続点に対して熱画像カメラとインダクタとを位置決めする。前記副手段は、独立して移動可能なロボットアームとして設計されることが望ましい。この設計により、ロボットアームの設計に応じて、アクセスが困難な関節にもテスト装置が到達できるようになる。
【0049】
望ましくは、熱画像カメラが接続点の正確な位置を検出するために使用され、検出された位置が位置決め手段を制御するために使用される。
【0050】
本発明のさらに別の実施形態では、前記評価制御ユニットは、特に基準測定及び温度プロファイルを記憶するデータ記憶ユニットを備える。
【0051】
本発明のさらなる利点、特徴、及び、可能な用途は、図面に示された実施形態を参照する以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1a-2b】図1aは、「合格」接続を生成する接続要素を備えた部材組立体の断面図である。図1bは、「合格」接続を生成する別の接続要素を備えた部材組立体の断面図である。図2aは、図1aの接続要素において、接続点に亀裂があることで「不合格」接続を生成している部材組立体の断面図である。図2bは、図1bの接続要素において、接続点に折り重なり(folds)があることで「不合格」接続を生成している部材組立体の断面図である。
図2c図2cは、図1bの接続要素において、接続要素の侵入深さが不十分であることで「不合格」接続を生成している部材組立体の断面図である。
図3図3は、本発明の方法の一連のステップを示す概略図である。
図4a-4b】図4aは、図2aに基づいた、「合格」値が視覚化された温度変化画像である。図4bは、図2cに基づいた、「合格」値が視覚化された温度変化画像である。
図5図5は、本発明の装置の断面図である。
図6a-6b】図6aは、接続要素12bの第2の実施形態の斜視図である。図6bは、評価領域を有する図6aの接続要素12bの第2の実施形態の基準測定のテスト画像である。
図7図7は、2回目の検出時におけるテスト画像の評価領域の温度変化のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1a~図2cは、それぞれ、ベース層14をカバー層16に接続するための接続要素12a、12b、接続要素12a、12bの熱影響部24、及び、ベース層14の熱影響部26を含む接続点10の概略断面図を示す。ベース層14と接続要素12a、12bは同様に形成され、特に同様の導電性を有する。カバー層16は、ベース層14上に配置される。接続要素12a、12bは、ヘッド表面20a、20bを備えたヘッド18a、18bと、シャフト22a、22bとを備える。
【0054】
接続要素12a、12bの熱影響部24は、接続要素12a、12bの下部領域に配置されている。接続要素12a、12bの熱影響部24の下には、ベース層14の熱影響部26がある。接続要素12a、12bは、カバー層16を通して、カバー層16とベース層14からなる部材組立体に挿入され、ベース層14と摩擦溶接接続を形成する。
【0055】
カバー層16はアルミニウムで作られ、ベース層14及び接続要素12a、12bは鋼材で作られている。その結果、部材組立体は、混合構造タイプになる。本発明の一実施形態では、カバー層は、1.0mm~2mmの厚さを有しており、ベース層は、0.8mm~4mmの厚さを有している。接続要素は、好ましくは摩擦要素である。
【0056】
図1a~図2cの矢印は、それぞれ、励起時間後の接続点10における熱伝導経路を示している。図1aは、接続要素12aの第1の実施形態による「合格」接続の図であり、この第1の実施形態における接続要素12aは、接続要素12aの第1の実施形態のヘッド18aに内部駆動用の駆動構造28を備え、接続要素12aの第1の実施形態は皿頭ネジのように設計されている。
【0057】
接続要素12aの第1の実施形態のシャフト22aは円筒形である。接続要素12aの第1の実施形態の熱影響部24とベース層14の熱影響部26とは均質である。接続要素12aの第1の実施形態のヘッド18aは、いくつかの領域でカバー層16上に載っている。
【0058】
図1bは、接続要素12bの第2の実施形態による「合格」接続の図であり、この接続要素12bは、第2の実施形態のヘッド18b及びシャフト22bの幾何学的なデザインにおいて、第1の実施形態の接続要素12aと異なる。
【0059】
接続要素12bの第2の実施形態は、外部駆動用に設けられる接続要素12bの第2の実施形態のヘッド18bについて、異なる構造を有している。接続要素12bの第2の実施形態のヘッド表面20bは、直径について、接続要素12aの第1の実施形態のヘッド表面20aよりも大きい。
【0060】
さらに、接続要素12bの第2の実施形態のヘッド18bは、部材組立体の方向に角度が付けられた円周ヘッド突出部32を有している。接続要素12bの第2の実施形態のシャフト22bは円筒形である。
【0061】
励起時間後の接続点10における熱伝導は、基本的に2つの経路を通じて行われる。まず、接続要素12aの第1の実施形態のシャフト22aを介して、熱がベース層14及び熱影響部24、26を介して事前に伝導される。
【0062】
一方、熱は、ベース層14の熱影響部26からカバー層16を介して接続要素12aの第1の実施形態のヘッド18aに伝導される。図1a及び図1bに見られるように、カバー層16を介した熱伝導は、接続要素12a、12bのシャフト22a、22bを介した熱伝導よりも速い。これは、特にアルミニウム製のカバー層18の熱伝導率が接続要素12a、12bよりも高いためである。2回目の検出時は、両方の経路、特にカバー層を介した誘導熱についての熱伝導の大部分がヘッド表面に到達するように、選択される。
【0063】
図2aは、接続要素12aの第1の実施形態による「不合格」接続の図である。接続要素12aの熱影響部24及びベース層14の熱影響部26の領域では、接続点10は、側面領域に亀裂30を有し、これは円周方向に平坦な裂け目、すなわち円錐形に形成されている。
【0064】
ベース層14の熱影響部26の側方領域における亀裂30により、一部の領域に平坦なエアポケットが形成される。励起中、これらのエアポケットにより、亀裂の外側のベース層に不均一なリング状の誘導が発生する。この熱は主に、接続点10から離れてベース層14の横方向に伝導される。
【0065】
亀裂30は、さらに、ベース層14の熱影響部26からカバー層16を介して接続要素12aの第1の実施形態のヘッド18aへの熱伝導を阻害する。カバー層16の比熱容量はベース層14よりも大幅に高いために、ベース層の熱エネルギーは、2回目の検出時までにカバー層16を大幅に加熱するには十分ではないと想定される。
【0066】
この熱の蓄積は、カバー層16への効果的な熱伝導を妨げる。熱は主に、ベース層14と第1の接続要素12aのシャフト22aとの溶接接続を介して伝導され、これにより、接続要素12aの第1の実施形態のヘッド18aが加熱される。その結果、接続要素12aのヘッド18aは、2回目の検出時において「合格」接続よりも加熱が少なくなるが、ヘッドの中央の加熱された領域であって、「合格」ピクセルとして評価されるために必要な温度変化を経た領域は、ヘッドのエッジ領域がカバー層やシャフトの材料によって十分に加熱されないために、小さくなる。
【0067】
これにより、2回目の検出時に行われる評価がテストの有効性にとって不可欠であることが明らかとなる。この形式の熱伝導は、接続要素12bの第2の実施形態、及び、接続要素の他の実施形態にも同様に当てはまる。
【0068】
図2bは、接続要素12bの第2の実施形態における「不合格」接続を示している。「不合格」接続は、接続要素12bの第2の実施形態が、図2aの「合格」接続と比較して、部材組立体に深く挿入されるという事実によって特徴付けられる(h1>h2)。ここで、h1は、図1bの部材組立体に対する接続要素12bの第2の実施形態の侵入深さであり、h2は、図2bの部材組立体に対する接続要素12bの第2の実施形態の侵入深さである。
【0069】
その結果、接続要素12bの第2の実施形態のシャフト22bの下部は、いわゆる折り重なり(folds)を形成する。接続要素12bの第2の実施形態と接続要素12bの第2の実施形態の熱影響部24との間には、空隙27が形成される。したがって、空隙の周囲で熱伝導が起こる。
【0070】
図2bの接続点10における熱伝導は、主に熱影響部24、26を介してカバー層16を通過し、接続要素12bの第2の実施形態のヘッド18bに伝わる。接続要素12bの第2の実施形態のシャフト22bを介した熱伝導は、接続要素12bのより深い侵入によって形成された空隙27によって抑制される。
【0071】
接続要素12bの第2の実施形態の深い侵入は、さらに、接続要素12bの第2の実施形態のヘッド18bの半径方向外側の端部においてカバー層16からのビードの形成をもたらす。形成されたビードにより、2回目の検出時における加熱領域が拡大する。対応する「不合格」接続の熱伝導の形態は、接続要素12aの第1の実施形態との接続点10にも、接続要素の別の実施形態にも同様に当てはまる。
【0072】
図2cは、第2の接続要素12bで行われた「不合格」接続を示しており、この第2の接続要素12bは、図2aの「合格」接続ほど深く部材組立体に挿入されていない(h1<h3)。ここで、h3は、図2cの部材組立体への第2の接続要素12bの侵入深さである。ここでは、図1b及び図2bと比較すると、ヘッド突出部32はカバー層16と面一になるように接続されていない。
【0073】
図2cの接続点10における熱伝導は、基本的に、ベース層14の熱影響部26から、接続要素12aの第1の実施形態の熱影響部24を経て、接続要素12aの第1の実施形態のシャフト22aへと伝わる。
【0074】
熱は、接続要素12aの第1の実施形態のシャフト22aから接続要素12aの第1の実施形態のヘッド18aに伝導される。まず、第1の実施形態の接続要素12aの侵入深さが短いため、熱が伝導される距離(h3)は、第1の実施形態の接続要素12aの「合格」接続の距離(h1)よりも長く、次いで、ヘッドは、熱を伝達する方法ではカバー層16と係合しない。
【0075】
これは、シャフトの表面の全体にわたって溶接接続が損なわれていないにもかかわらず、接続要素12aの第1の実施形態のヘッド22aは、ヘッドとカバー層との間の接触が不十分なために、2回目の検出時の後の時点でのみ、完全に十分に加熱されることを意味する。
【0076】
この方法では、表面的な品質欠陥と内部的な品質欠陥との両方の存在を検出して除外するには、1回の測定で十分である。図2aの第1の実施形態の接続要素12aによる「不合格」接続は、本発明の試験方法によれば、第2の実施形態の接続要素12bによる「不合格」接続としても分類される。
【0077】
図2a~図2cの接続点10の欠陥は、接続要素の他の実施形態でも、本発明の試験方法によって検出され、「合格」接続と「不合格」接続とに分類される。
【0078】
図3は、非破壊検査方法の手順を示す概略図である。接続点10を検査するためのこの方法は、パッシブ法(passive thermography)の原理に基づいており、接続要素12a、12bのシャフト22a、22bの領域を含むインダクタ36から励起時における励起パルスによって、カバー層16から離れたベース層14の側でもなお部材組立体が熱励起されることに基づいている。
【0079】
2回目の検出時44は、校正測定Kによって決定される。校正測定Kは、「合格」接続であることがわかっているサンプルを使用して実行される。接続要素12a、12b、ベース層14やカバー層16の厚さ及び材料は、校正測定K中に対応するテスト方法Pでテストされた部材組立体のものと同一である。
【0080】
校正測定Kのために、ヘッド表面20a、20bの少なくとも一部を含む校正評価領域46が定義される。校正測定Kは、テスト手順の前であればいつでも実行できる。さらに、校正測定Kは、例えば、設定された期間または設定された数のテストサイクルの後などに、複数回実行することもできる。
【0081】
校正評価領域46内の温度変化が、時間の経過に伴って記録される。生成された温度変化曲線(図4bを参照)には、最大温度変化時が含まれている。この最大温度変化時は、非破壊検査手順の2回目の検出時44として使用される。最初の検出時(好ましくは励起時間の前)に、温度値が割り当てられたピクセルを含む接続点10の基準画像が熱画像カメラ34によってキャプチャされる。
【0082】
特に、最初の検出時は励起時の直前である。熱画像カメラ34は、接続要素のヘッドの上方において、ベース層14から離れたカバー層16の側に配置される。励起により、ベース層14を介した熱伝導が発生し、その後、異なる転送経路/熱伝導経路に沿って接続要素12a、12bのヘッド18a、18bに熱伝導が発生する。一方、熱は、2つの熱影響部24、26を介して、接続要素12a、12bのシャフト22a、22bに伝導する。その後、熱は接続要素12a、12bのヘッド18a、18bに流れる。他方、熱は、ベース層14の熱影響部26からカバー層16を介して接続要素12a、12bのヘッド18a、18bに伝導する。
【0083】
カバー層と接続要素12a、12bの材料が異なるため、2つの熱伝導経路は、異なる熱伝導時間を有する。熱伝導時間は、図2a~図2cで参照されるように、 特に材料の配置と欠陥によっても異なる。アルミニウムの熱伝導率(約160W/mK)は鋼材(約40W/mK)よりも高いため、アルミニウムでは熱がより速く伝導する。
【0084】
さらに、部材組立体内での接続要素12a、12bの挿入深さが異なるため、熱伝導時間に違いが生じる。所定の2回目の検出時44において、接合部10の基準画像に類似したテスト画像が熱画像カメラ34によってキャプチャされる。テスト画像をキャプチャした後、基準画像の温度値がテスト画像の対応する温度値から減算される。
【0085】
これは、テスト画像がキャプチャされたときに検出デバイスによって自動的に実行することもできる。対応する温度変化値がテスト画像のピクセルに割り当てられ、評価領域31で評価される温度変化画像が作成される。図1a及び図1bで示される「合格」接続の場合と、及び、図2a~図2cで示される「不合格」接続の場合とでは、部材組立体内における熱伝導体の熱伝導時間及び熱出力損失が異なるため、テスト画像では、それぞれのケースで大幅に異なる温度変化分布が示されている。
【0086】
ヘッド上に載っているチップなどの外部エラーを減らすために、評価領域31には、フィルタが適用される。評価領域31は、接続要素12a、12bのヘッド表面20a、20bの少なくとも一部を含み、接続要素12a、12bのヘッド表面20a、20bに対して中央に配置される。評価領域31内のフィルタリングされたピクセルは、温度範囲によって評価される。
【0087】
温度範囲及び基準範囲は、「合格」接続であることがわかっているテスト配置の基準測定の評価に基づいている。温度変化値が温度範囲内にあるピクセルには、「合格」値が割り当てられる。この場合、温度変化値が5.4℃以上10.0℃以下のピクセルには「合格」値が割り当てられる。この範囲では、加熱挙動について意義のある言及を行うことができる。
【0088】
次に、評価領域31内の「合格」値の合計が基準範囲と比較される。「合格」値の合計が基準範囲内であれば、接続は「合格」である。「合格」値の合計が基準範囲外の場合、接続点10は「不合格」接続として分類される。接続が「合格」接続であると評価される基準範囲は、ピクセル数がヘッド表面のピクセル数の90%~110%に対応するように選択される。この場合、評価領域31は、ヘッド表面の+20%として設計される。
【0089】
図4aは、「合格」値が視覚化されている、図2aに従った「合格」接続の温度変化画像である。「合格」値は、第2の接続要素12bのヘッド表面20b内に位置している。視覚化された「合格」値を持つラスタライズされた評価領域31も拡大して詳細に表示される。評価領域31には、第2の接続要素12bのヘッド表面20bが含まれる。
【0090】
図4bは、「合格」値が視覚化されている、図2cに従った「合格」ではない接続の温度変化画像である。「合格」値は、第2の接続要素12bのヘッド表面20b内に位置している。図4aと比較すると、「合格」値の合計又は領域は小さくなり、もはや基準範囲内に入っていない。これにより、接続点は「不合格」接続として分類される。評価領域31は、図4aの拡大詳細と同様にラスタライズされ、それに応じて「合格」値が視覚化される。
【0091】
図5は、本発明による装置33であって、接続要素12bとして例示される、接続点10を含む部材組立体を備えたものの概略断面図である。装置33は、インダクタ36、熱画像カメラ34、評価制御ユニット38、及び、位置決め手段(図示せず)を備えている。評価制御ユニットは、データ保存ユニットであって、それぞれの部材組立体における基準測定及び校正測定の結果を保存できるものを有している。好ましくは、これらの測定は、接続点10の多数の異なる構成に対して実行され、データ保存ユニットに保存される。例えば、前記構成は、接続手段12a、12b、及び/又は、ベース層14、及び/又は、カバー層16の厚さにおいて異なる。
【0092】
熱画像カメラ34及びインダクタ36は、それぞれ、評価制御ユニット38に電気的に接続されている。位置決め手段(図示せず)であって例えばロボットアームを備えたものも、評価制御ユニット38に電気的に接続されている。インダクタ36は、カバー層16とは反対側のベース層14の側に配置される。インダクタ36のベース層14からの距離、インダクタ36の直径及び電力は、シャフト直径における活性表面で十分な温度入力が生成されるように設定される。
【0093】
熱画像カメラ34は、ベース層14と反対側のカバー層16の側に配置される。部材組立体に対する熱画像カメラ34の位置及び距離は、接続点、特に接続要素12a、12bのヘッド表面20a、20bが熱画像カメラ34の記録領域内に位置するように選択される。
【0094】
熱画像カメラ34は、接続点10、特に接続要素12a、12bのヘッド表面20a、20bの位置を検出することにも使用することができる。インダクタ36の有効表面は、軸42に沿って熱画像カメラ34と一直線に並んでいる。位置決め手段は、インダクタ36と熱画像カメラ34との関係に対する位置決めや、接続点10に対する位置決めに使用される。熱画像カメラ34及びインダクタ36は、位置決め手段の働きによって固定位置に接続される。
【0095】
さらに別の実施形態では、インダクタ36の位置及び熱画像カメラ34の位置は、位置決め手段における副手段によって、互いに独立して管理することができる。
【0096】
図6aは、接続要素12bの第2の実施形態の図であり、特にヘッド領域の屈折・凹みを示している。図6bは、試験測定中に記録された第2の接続要素12bのヘッド表面20bの概略図である。校正評価領域46がイメージで示されている。校正評価領域46は、接続要素12bの第2の実施形態のヘッド表面20bを含む。図6bは、2回目の検出時における第2の実施形態の接続要素12bのヘッド表面20b上での異なる温度を示している。ここでは、「T1<T2<T3<T4<T5」の関係が成り立つ。
【0097】
T5及びT4は、温度ピークを表しており、図6aに示されるように、これらは部材の表面の凹みである。温度差は、基本的なヘッド形状と、屈折や凹み等のその他の幾何学的構造によって生じる。
【0098】
図7は、校正評価領域46内の平均温度の変化についての温度変化曲線を示す図である。X軸は時間(秒)を表し、Y軸は温度変化(℃)を表す。温度変化曲線は3秒間表示され、最大温度変化は約18℃である。基準画像は時刻0秒においてキャプチャされた。図に示されている断面線は、テスト手順の2回目の検出時44を表す。これは、温度変化曲線の変曲点と最大温度変化との間に設定される。
【0099】
励起は、15kHz~60kHzの誘導周波数の励起期間で構成される。励起持続時間は、望ましくは0.1~0.95秒である。励起振幅は、材料の厚さと求められる温度変化によって異なる。
【0100】
非破壊検査方法及び対応する装置33は、接続要素12a、12bを備えた部材組立体内の接続点10の高速、容易かつ柔軟な検査を保証し、内部及び外部の品質欠陥の両方を取り除くことを可能にする。



図1a-2b】
図2c
図3
図4a-4b】
図5
図6a-6b】
図7
【国際調査報告】