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▶ サイレンス・セラピューティクス・ゲーエムベーハーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】LPA発現の治療的阻害
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/713 20060101AFI20250220BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20250220BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20250220BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20250220BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20250220BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20250220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250220BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20250220BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20250220BHJP
【FI】
A61K31/713
A61P9/00
A61P9/10
A61P9/10 101
A61P7/02
A61P3/06
A61P9/04
A61P35/00
A61P13/08
C12N15/113 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547286
(86)(22)【出願日】2023-02-08
(85)【翻訳文提出日】2024-09-17
(86)【国際出願番号】 EP2023053136
(87)【国際公開番号】W WO2023152194
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】63/308,167
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/320,381
(32)【優先日】2022-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/395,246
(32)【優先日】2022-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/420,195
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519359952
【氏名又は名称】サイレンス・セラピューティクス・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ライダー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・スワードロー
(72)【発明者】
【氏名】ジャイルズ・キャンピオン
(72)【発明者】
【氏名】アリソン・スクリムジョール
(72)【発明者】
【氏名】カーティス・ランバラン
(72)【発明者】
【氏名】ロザムンド・ウィルソン
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・マハチェク
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・シュルテス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・ウェイド
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZA54
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZC33
(57)【要約】
本発明は、LPA遺伝子発現の治療的阻害に関し、特に、上昇したレベルのLp(a)に関連する状態の予防又は処置におけるSLN360分子の治療的使用のための有効用量及び投与レジームに関する。そのような状態は、脳卒中、アテローム性動脈硬化、血栓症、並びに冠動脈心疾患及び大動脈弁狭窄等の心血管疾患を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上昇したレベルのLp(a)に関連する状態の予防又は処置に使用するためのSLN360であって、100mg~600mgの個々の用量で投与するためのSLN360。
【請求項2】
前記個々の用量が、前記SLN360を以下の量:
100~600mg、125~600mg、150~600mg、175~600mg、200~600mg、225~600mg、250~600mg、275~600mg、300~600mg、325~600mg、350~600mg、375~600mg、400~600mg、425~600mg、450~600mg、475~600mg、500~600mg、525~600mg、550~600mg又は575~600mg;
100~575mg、125~575mg、150~575mg、175~575mg、200~575mg、225~575mg、250~575mg、275~575mg、300~575mg、325~575mg、350~575mg、375~575mg、400~575mg、425~575mg、450~575mg、475~575mg、500~575mg、525~575mg又は550~575mg;
100~550mg、125~550mg、150~550mg、175~550mg、200~550mg、225~550mg、250~550mg、275~550mg、300~550mg、325~550mg、350~550mg、375~550mg、400~550mg、425~550mg、450~550mg、475~550mg、500~550mg又は525~550mg;
100~525mg、125~525mg、150~525mg、175~525mg、200~525mg、225~525mg、250~525mg、275~525mg、300~525mg、325~525mg、350~525mg、375~525mg、400~525mg、425~525mg、450~525mg、475~525mg又は500~525mg;
100~500mg、125~500mg、150~500mg、175~500mg、200~500mg、225~500mg、250~500mg、275~500mg、300~500mg、325~500mg、350~500mg、375~500mg、400~500mg、425~500mg、450~500mg又は475~500mg;
100~475mg、125~475mg、150~475mg、175~475mg、200~475mg、225~475mg、250~475mg、275~475mg、300~475mg、325~475mg、350~475mg、375~475mg、400~475mg、425~475mg又は450~475mg;
100~450mg、125~450mg、150~450mg、175~450mg、200~450mg、225~450mg、250~450mg、275~450mg、300~450mg、325~450mg、350~450mg、375~450mg、400~450mg又は425~450mg;
100~425mg、125~425mg、150~425mg、175~425mg、200~425mg、225~425mg、250~425mg、275~425mg、300~425mg、325~425mg、350~425mg、375~425mg又は400~425mg;
100~400mg、125~400mg、150~400mg、175~400mg、200~400mg、225~400mg、250~400mg、275~400mg、300~400mg、325~400mg、350~400mg又は375~400mg;
100~375mg、125~375mg、150~375mg、175~375mg、200~375mg、225~375mg、250~375mg、275~375mg、300~375mg、325~375mg又は350~375mg;
100~350mg、125~350mg、150~350mg、175~350mg、200~350mg、225~350mg、250~350mg、275~350mg、300~350mg又は325~350mg;
100~325mg、125~325mg、150~325mg、175~325mg、200~325mg、225~325mg、250~325mg、275~325mg又は300~325mg;
100~300mg、125~300mg、150~300mg、175~300mg、200~300mg、225~300mg、250~300mg又は275~300mg;
100~275mg、125~275mg、150~275mg、175~275mg、200~275mg、225~275mg又は250~275mg;
100~250mg、125~250mg、150~250mg、175~250mg、200~250mg又は225~250mg;
100~225mg、125~225mg、150~225mg、175~225mg又は200~225mg;
100~200mg、125~200mg、150~200mg又は175~200mg;
100~175mg、125~175mg又は150~175mg;
100~150mg又は125~150mg;又は
100~125mg
で提供する、請求項1に記載の使用のためのSLN360。
【請求項3】
前記個々の用量が、前記SLN360を約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約575mg又は約600mgの量で提供する、請求項1又は請求項2に記載の使用のためのSLN360。
【請求項4】
前記個々の用量が、前記SLN360を300mgの量で提供する、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用のためのSLN360。
【請求項5】
前記個々の用量が、前記SLN360を450mgの量で提供する、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用のためのSLN360。
【請求項6】
300mg~600mgの個々の用量で投与するための、請求項1に記載の使用のためのSLN360。
【請求項7】
前記個々の用量が、前記SLN360を以下の量:
300~600mg、325~600mg、350~600mg、375~600mg、400~600mg、425~600mg、450~600mg、475~600mg、500~600mg、525~600mg、550~600mg又は575~600mg;
300~575mg、325~575mg、350~575mg、375~575mg、400~575mg、425~575mg、450~575mg、475~575mg、500~575mg、525~575mg又は550~575mg;
300~550mg、325~550mg、350~550mg、375~550mg、400~550mg、425~550mg、450~550mg、475~550mg、500~550mg又は525~550mg;
300~525mg、325~525mg、350~525mg、375~525mg、400~525mg、425~525mg、450~525mg、475~525mg又は500~525mg;
300~500mg、325~500mg、350~500mg、375~500mg、400~500mg、425~500mg、450~500mg又は475~500mg;
300~475mg、325~475mg、350~475mg、375~475mg、400~475mg、425~475mg又は450~475mg;
300~450mg、325~450mg、350~450mg、375~450mg、400~450mg又は425~450mg;
300~425mg、325~425mg、350~425mg、375~425mg又は400~425mg;
300~400mg、325~400mg、350~400mg又は375~400mg;
300~375mg、325~375mg又は350~375mg;
300~350mg又は325~350mg;又は
300~325mg
で提供する、請求項6に記載の使用のためのSLN360。
【請求項8】
前記個々の用量が、前記SLN360を約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約575mg又は約600mgの量で提供する、請求項6又は請求項7に記載の使用のためのSLN360。
【請求項9】
前記個々の用量が、前記SLN360を300mgの量で提供する、請求項6から8のいずれか一項に記載の使用のためのSLN360。
【請求項10】
前記個々の用量が、前記SLN360を450mgの量で提供する、請求項6から8のいずれか一項に記載の使用のためのSLN360。
【請求項11】
複数又は一連の用量を含む投薬レジームにより対象に投与される、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用のためのSLN360。
【請求項12】
前記投与が、毎月、2カ月に1回、3カ月に1回、4カ月に1回、5カ月に1回、6カ月に1回、7カ月に1回、8カ月に1回、9カ月に1回、10カ月に1回、11カ月に1回又は12カ月に1回である、請求項11に記載の使用のためのSLN360。
【請求項13】
前記投与が4カ月に1回である、請求項11又は請求項12に記載の使用のためのSLN360。
【請求項14】
前記投与が6カ月に1回である、請求項11又は請求項12に記載の使用のためのSLN360。
【請求項15】
前記個々の用量がSLN360を300mgの量で提供し、前記投与が4カ月に1回である、請求項11又は請求項12に記載の使用のためのSLN360。
【請求項16】
前記個々の用量がSLN360を300mgの量で提供し、前記投与が6カ月に1回である、請求項11又は請求項12に記載の使用のためのSLN360。
【請求項17】
前記個々の用量がSLN360を450mgの量で提供し、前記投与が6カ月に1回である、請求項11又は請求項12に記載の使用のためのSLN360。
【請求項18】
連続用量の間隔が、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも7カ月、少なくとも8カ月、少なくとも9カ月、少なくとも10カ月、少なくとも11カ月、又は少なくとも12カ月である、請求項11又は請求項12に記載の使用のためのSLN360。
【請求項19】
前記連続用量の間隔が少なくとも4カ月である、請求項11又は請求項12に記載の使用のためのSLN360。
【請求項20】
前記連続用量の間隔が少なくとも6カ月である、請求項11又は請求項12に記載の使用のためのSLN360。
【請求項21】
前記個々の用量がSLN360を300mgの量で提供し、前記連続用量の間隔が少なくとも4カ月である、請求項11又は請求項12に記載の使用のためのSLN360。
【請求項22】
前記個々の用量がSLN360を300mgの量で提供し、前記連続用量の間隔が少なくとも6カ月である、請求項11又は請求項12に記載の使用のためのSLN360。
【請求項23】
前記個々の用量がSLN360を450mgの量で提供し、前記連続用量の間隔が少なくとも6カ月である、請求項11又は請求項12に記載の使用のためのSLN360。
【請求項24】
皮下注射によって投与される、請求項1から23のいずれか一項に記載の使用のためのSLN360。
【請求項25】
上昇したレベルのLp(a)に関連する前記状態が、心血管疾患である、請求項1から24のいずれか一項に記載の使用のためのSLN360。
【請求項26】
上昇したレベルのLp(a)に関連する前記状態が、アテローム硬化性心血管疾患又はアテローム硬化性脳血管疾患である、請求項25に記載の使用のためのSLN360。
【請求項27】
上昇したレベルのLp(a)含有粒子に関連する状態が、脳卒中(例えば、虚血性脳卒中)、アテローム性動脈硬化、血栓症、冠動脈心疾患、大動脈弁狭窄(例えば、石灰化大動脈弁狭窄)、高脂血症、脂質異常症、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、腹部大動脈瘤、心不全(例えば、虚血性心筋症に続発する心不全)、又は家族性高コレステロール血症である、請求項1から26のいずれか一項に記載の使用のためのSLN360。
【請求項28】
上昇したレベルのLp(a)に関連する前記状態が、がんである、請求項1から24のいずれか一項に記載の使用のためのSLN360。
【請求項29】
前記がんが前立腺がんである、請求項28に記載の使用のためのSLN360。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LPA遺伝子発現の治療的阻害に関し、特に、上昇したレベルのLp(a)に関連する状態の予防又は処置における、SLN360分子の治療的使用のための有効用量及び投与レジームに関する。そのような状態は、脳卒中、アテローム性動脈硬化、血栓症、並びに冠動脈心疾患及び大動脈弁狭窄等の心血管疾患を含む。
【背景技術】
【0002】
リポタンパク質(a)[Lp(a)]は、アテローム血栓性心血管疾患の遺伝的に決定される独立したリスク因子として長い間認識されている1。メンデル無作為化研究は、Lp(a)の血漿濃度と、心筋梗塞、脳卒中、末梢動脈疾患、及び心血管性死亡のリスクとの因果関係を一貫して実証している2。最高の十分位数(およそ350nmol/L)のLp(a)濃度を有する患者は、家族性高コレステロール血症と同等の心血管疾患の生涯リスクを有する3~4。上昇したレベルのLp(a)は、大動脈弁石灰化、大動脈弁狭窄の発生及びより急速な進行、並びに大動脈弁置換のより高い割合にも関連する5~6。ナイアシン又はPCSK9阻害剤の投与等の一部の治療は、中程度のLp(a)低下効果を有するが、現在のところ、上昇したLp(a)濃度のための薬物処置は、規制当局の承認を受けていない。
【0003】
LPA遺伝子は、Lp(a)粒子の肝臓合成における主要及び律速成分であるアポリポタンパク質(a)、[apo(a)]をコードする7。apo(a)の肝臓生成を減少させ、これによりLp(a)の血漿濃度を減少させるRNA標的化療法を開発するために数年間努力されてきた。以前のフェーズ1及び2試験は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)であるペラカルセンが、毎週の投与によりLp(a)血漿濃度を80%まで減少させることができることを実証した8
【0004】
SLN360は、LPAメッセンジャーRNAを標的とする低分子干渉RNA(siRNA)である。SLN360は、トリアンテナリーN-アセチル-ガラクトサミン(GalNAc)部分に共有結合した19-mer siRNAである。GalNAcコンジュゲートは、ほぼ排他的に肝細胞で発現されるアシアロ糖タンパク質受容体に結合する。この手法は肝細胞におけるSLN360の選択的取り込み及び濃縮をもたらし、薬物が、apo(a)をコードするメッセンジャーRNAに結合すること及び分解することが可能になる(WO2020/099476に記載)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2020/099476
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「Remington's Pharmaceutical Sciences」、第17版、Alfonso R. Gennaro (編)、Mark Publishing Company、Easton、PA、USA、1985
【非特許文献2】「Encyclopaedia of Pharmaceutical Technology」、第3版、James Swarbrick (編)、Informa Healthcare USA (Inc.)、NY、USA、2007
【非特許文献3】J. Pharm. Sci. 66:2 (1977)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様では、本発明は、上昇したレベルのLp(a)に関連する状態の予防又は処置に使用するためのSLN360であって、100mg~600mgの個々の用量で投与するためのSLN360を提供する。
【0008】
更なる態様では、本発明は、それを必要とする対象における、上昇したレベルのLp(a)に関連する状態の予防又は処置の方法であって、前記SLN360が、100mg~600mgの個々の用量で投与される、方法を提供する。
【0009】
更なる態様では、本発明は、上昇したレベルのLp(a)に関連する状態の予防又は処置のための医薬又は医薬組成物の調製におけるSLN360の使用であって、前記SLN360が、100mg~600mgの個々の用量で投与するためのものである、使用を提供する。
【0010】
したがって、全ての態様では、個々の用量はSLN360を例えば、
100~600mg、125~600mg、150~600mg、175~600mg、200~600mg、225~600mg、250~600mg、275~600mg、300~600mg、325~600mg、350~600mg、375~600mg、400~600mg、425~600mg、450~600mg、475~600mg、500~600mg、525~600mg、550~600mg又は575~600mg;
100~575mg、125~575mg、150~575mg、175~575mg、200~575mg、225~575mg、250~575mg、275~575mg、300~575mg、325~575mg、350~575mg、375~575mg、400~575mg、425~575mg、450~575mg、475~575mg、500~575mg、525~575mg又は550~575mg;
100~550mg、125~550mg、150~550mg、175~550mg、200~550mg、225~550mg、250~550mg、275~550mg、300~550mg、325~550mg、350~550mg、375~550mg、400~550mg、425~550mg、450~550mg、475~550mg、500~550mg又は525~550mg;
100~525mg、125~525mg、150~525mg、175~525mg、200~525mg、225~525mg、250~525mg、275~525mg、300~525mg、325~525mg、350~525mg、375~525mg、400~525mg、425~525mg、450~525mg、475~525mg又は500~525mg;
100~500mg、125~500mg、150~500mg、175~500mg、200~500mg、225~500mg、250~500mg、275~500mg、300~500mg、325~500mg、350~500mg、375~500mg、400~500mg、425~500mg、450~500mg又は475~500mg;
100~475mg、125~475mg、150~475mg、175~475mg、200~475mg、225~475mg、250~475mg、275~475mg、300~475mg、325~475mg、350~475mg、375~475mg、400~475mg、425~475mg又は450~475mg;
100~450mg、125~450mg、150~450mg、175~450mg、200~450mg、225~450mg、250~450mg、275~450mg、300~450mg、325~450mg、350~450mg、375~450mg、400~450mg又は425~450mg;
100~425mg、125~425mg、150~425mg、175~425mg、200~425mg、225~425mg、250~425mg、275~425mg、300~425mg、325~425mg、350~425mg、375~425mg又は400~425mg;
100~400mg、125~400mg、150~400mg、175~400mg、200~400mg、225~400mg、250~400mg、275~400mg、300~400mg、325~400mg、350~400mg又は375~400mg;
100~375mg、125~375mg、150~375mg、175~375mg、200~375mg、225~375mg、250~375mg、275~375mg、300~375mg、325~375mg又は350~375mg;
100~350mg、125~350mg、150~350mg、175~350mg、200~350mg、225~350mg、250~350mg、275~350mg、300~350mg又は325~350mg;
100~325mg、125~325mg、150~325mg、175~325mg、200~325mg、225~325mg、250~325mg、275~325mg又は300~325mg;
100~300mg、125~300mg、150~300mg、175~300mg、200~300mg、225~300mg、250~300mg又は275~300mg;
100~275mg、125~275mg、150~275mg、175~275mg、200~275mg、225~275mg又は250~275mg;
100~250mg、125~250mg、150~250mg、175~250mg、200~250mg又は225~250mg;
100~225mg、125~225mg、150~225mg、175~225mg又は200~225mg;
100~200mg、125~200mg、150~200mg又は175~200mg;
100~175mg、125~175mg又は150~175mg;
100~150mg又は125~150mg;或いは
100~125mg
の量で提供し得る。
【0011】
個々の用量がSLN360を300mg~600mg、例えば、
300~600mg、325~600mg、350~600mg、375~600mg、400~600mg、425~600mg、450~600mg、475~600mg、500~600mg、525~600mg、550~600mg又は575~600mg;
300~575mg、325~575mg、350~575mg、375~575mg、400~575mg、425~575mg、450~575mg、475~575mg、500~575mg、525~575mg又は550~575mg;
300~550mg、325~550mg、350~550mg、375~550mg、400~550mg、425~550mg、450~550mg、475~550mg、500~550mg又は525~550mg;
300~525mg、325~525mg、350~525mg、375~525mg、400~525mg、425~525mg、450~525mg、475~525mg又は500~525mg;
300~500mg、325~500mg、350~500mg、375~500mg、400~500mg、425~500mg、450~500mg又は475~500mg;
300~475mg、325~475mg、350~475mg、375~475mg、400~475mg、425~475mg又は450~475mg;
300~450mg、325~450mg、350~450mg、375~450mg、400~450mg又は425~450mg;
300~425mg、325~425mg、350~425mg、375~425mg又は400~425mg;
300~400mg、325~400mg、350~400mg又は375~400mg;
300~375mg、325~375mg又は350~375mg;
300~350mg又は325~350mg;或いは
300~325mg
の量で提供することが望ましい可能性がある。
【0012】
例えば、個々の用量は、SLN360を約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約575mg又は約600mgの量で提供し得る。
【0013】
数値に関係する用語「約」は、+/-10%、例えば、+/-5%を意味すると解釈されるべきである。
【0014】
したがって、個々の用量は、SLN360を100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg又は600mgの量で提供し得る。
【0015】
ある特定の実施形態では、個々の用量は、好ましくはSLN360を300mgの量又は450mgの量で提供する。
【0016】
個々の投与量で投与されるSLN360の量は、典型的には、レシピエント対象の体重と独立していることが理解されるであろう。
【0017】
SLN360は、複数又は一連の用量を含む投薬レジームにより対象に投与されることが望ましい可能性がある。
【0018】
典型的には、投薬レジーム下での投与は、毎月1回、又はより少ない頻度、例えば、2カ月に1回(2カ月ごとに1回)、3カ月に1回(3カ月ごとに1回)、4カ月に1回(4カ月ごとに1回)、5カ月に1回(5カ月ごとに1回)、6カ月に1回(6カ月ごとに1回)、7カ月に1回(7カ月ごとに1回)、8カ月に1回(8カ月ごとに1回)、9カ月に1回(9カ月ごとに1回)、10カ月に1回(10カ月ごとに1回)、11カ月に1回(11カ月ごとに1回)若しくは12カ月に1回(12カ月ごとに1回)投与である。
【0019】
ある特定の実施形態では、投薬レジーム下の投与は、好ましくは4カ月に1回又は6カ月に1回である。
【0020】
ある特定の実施形態では、個々の用量は、好ましくはSLN360を300mgの量で提供し、投薬レジーム下の投与は4カ月に1回である。
【0021】
ある特定の実施形態では、個々の用量は、好ましくはSLN360を300mgの量で提供し、投薬レジーム下の投与は6カ月に1回である。
【0022】
ある特定の実施形態では、個々の用量は、好ましくはSLN360を450mgの量で提供し、投薬レジーム下の投与は6カ月に1回である。
【0023】
したがって、連続用量の間隔は、典型的には1カ月以上である。例えば、用量の間隔は、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、少なくとも6カ月、少なくとも7カ月、少なくとも8カ月、少なくとも9カ月、少なくとも10カ月、少なくとも11カ月、又は少なくとも12カ月であり得る。
【0024】
ある特定の実施形態では、間隔は、好ましくは少なくとも4カ月又は少なくとも6カ月であり得る。
【0025】
ある特定の実施形態では、個々の用量は、SLN360を好ましくは300mgの量で提供し、連続用量の間隔は、好ましくは少なくとも4カ月である。
【0026】
ある特定の実施形態では、個々の用量は、好ましくはSLN360を300mgの量で提供し、連続用量の間隔は、好ましくは少なくとも6カ月である。
【0027】
ある特定の実施形態では、個々の用量は、好ましくはSLN360を450mgの量で提供し、連続用量の間隔は、好ましくは少なくとも6カ月である。
【0028】
例えば、間隔は、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、又は12カ月であり得る。
【0029】
ある特定の実施形態では、間隔は、好ましくは4カ月又は6カ月であり得る。
【0030】
ある特定の実施形態では、個々の用量は、好ましくはSLN360を300mgの量で提供し、連続用量の間隔は、好ましくは4カ月である。
【0031】
ある特定の実施形態では、個々の用量は、好ましくはSLN360を300mgの量で提供し、連続用量の間隔は、好ましくは6カ月である。
【0032】
ある特定の実施形態では、個々の用量は、好ましくはSLN360を450mgの量で提供し、連続用量の間隔は、好ましくは6カ月である。
【0033】
本開示の文脈において、月は、暦月、又は28~31日の期間、例えば、30日の期間であり得る。しかし、正確な毎月の投薬は、いずれの個々の対象にも実用的でない可能性があることは理解されるであろう。したがって、連続用量は、妥当な月数プラス又はマイナス7日、例えば、プラス又はマイナス5日、例えば、プラス又はマイナス3日、例えば、プラス又はマイナス2日、例えば、プラス又はマイナス1日隔てられてもよい。
【0034】
したがって、毎月の投薬が指示される場合、連続用量は、1暦月又は30日、プラス又はマイナス7日、例えば、プラス又はマイナス5日、例えば、プラス又はマイナス3日、例えば、プラス又はマイナス2日、例えば、プラス又はマイナス1日隔てられてもよく、
2カ月に1回の投薬が指示される場合、連続用量は、2歴月又は60日、プラス又はマイナス7日、例えば、プラス又はマイナス5日、例えば、プラス又はマイナス3日、例えば、プラス又はマイナス2日、例えば、プラス又はマイナス1日隔てられてもよく、
3カ月に1回の投薬が指示される場合、連続用量は、3歴月又は90日、プラス又はマイナス7日、例えば、プラス又はマイナス5日、例えば、プラス又はマイナス3日、例えば、プラス又はマイナス2日、例えば、プラス又はマイナス1日隔てられてもよく、
4カ月に1回の投薬が指示される場合、連続用量は、4歴月又は120日、プラス又はマイナス7日、例えば、プラス又はマイナス5日、例えば、プラス又はマイナス3日、例えば、プラス又はマイナス2日、例えば、プラス又はマイナス1日隔てられてもよく、
5カ月に1回の投薬が指示される場合、連続用量は、5歴月又は150日、プラス又はマイナス7日、例えば、プラス又はマイナス5日、例えば、プラス又はマイナス3日、例えば、プラス又はマイナス2日、例えば、プラス又はマイナス1日隔てられてもよく、
6カ月に1回の投薬が指示される場合、連続用量は、6歴月又は180日、プラス又はマイナス7日、例えば、プラス又はマイナス5日、例えば、プラス又はマイナス3日、例えば、プラス又はマイナス2日、例えば、プラス又はマイナス1日隔てられてもよく、
7カ月に1回の投薬が指示される場合、連続用量は、7歴月又は210日、プラス又はマイナス7日、例えば、プラス又はマイナス5日、例えば、プラス又はマイナス3日、例えば、プラス又はマイナス2日、例えば、プラス又はマイナス1日隔てられてもよく、
8カ月に1回の投薬が指示される場合、連続用量は、8歴月又は240日、プラス又はマイナス7日、例えば、プラス又はマイナス5日、例えば、プラス又はマイナス3日、例えば、プラス又はマイナス2日、例えば、プラス又はマイナス1日隔てられてもよく、
9カ月に1回の投薬が指示される場合、連続用量は、9歴月又は270日、プラス又はマイナス7日、例えば、プラス又はマイナス5日、例えば、プラス又はマイナス3日、例えば、プラス又はマイナス2日、例えば、プラス又はマイナス1日隔てられてもよく、
10カ月に1回の投薬が指示される場合、連続用量は、10歴月又は300日、プラス又はマイナス7日、例えば、プラス又はマイナス5日、例えば、プラス又はマイナス3日、例えば、プラス又はマイナス2日、例えば、プラス又はマイナス1日隔てられてもよく、
11カ月に1回の投薬が指示される場合、連続用量は、11歴月又は330日、プラス又はマイナス7日、例えば、プラス又はマイナス5日、例えば、プラス又はマイナス3日、例えば、プラス又はマイナス2日、例えば、プラス又はマイナス1日隔てられてもよく、
12カ月に1回の投薬が指示される場合、連続用量は、365日又は12歴月、プラス又はマイナス7日、例えば、プラス又はマイナス5日、例えば、プラス又はマイナス3日、例えば、プラス又はマイナス2日、例えば、プラス又はマイナス1日隔てられてもよい。
【0035】
ある特定の実施形態では、SLN360は、例えば、第1の用量、第2の用量、第3の用量、及び任意選択で1つ又は複数のその後の用量を含む投薬レジームにより対象に投与される。
【0036】
初めの2回の用量の間隔は4週間であり得るが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は5週間であり得る。
【0037】
初めの2回の用量の間隔は4週間であり得るが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり得る。
【0038】
初めの2回の用量の間隔は3週間であり得るが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり得る。
【0039】
初めの2回の用量の間隔は3週間であり得るが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は5週間であり得る。
【0040】
初めの2回の用量の間隔は3週間であり得るが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり得る。
【0041】
初めの2回の用量の間隔は2週間であり得るが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は3週間であり得る。
【0042】
初めの2回の用量の間隔は2週間であり得るが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり得る。
【0043】
初めの2回の用量の間隔は2週間であり得るが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は5週間であり得る。
【0044】
初めの2回の用量の間隔は2週間であり得るが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり得る。
【0045】
初めの2回の用量の間隔は1週間であり得るが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は3週間であり得る。
【0046】
初めの2回の用量の間隔は1週間であり得るが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり得る。
【0047】
初めの2回の用量の間隔は1週間であり得るが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は5週間であり得る。
【0048】
初めの2回の用量の間隔は1週間であり得るが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり得る。
【0049】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は4週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり得る。
【0050】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり得る。
【0051】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり得る。
【0052】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり得る。
【0053】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり得る。
【0054】
第1の用量は、SLN360を100mg~600mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量は、SLN360を200mg~600mgの量で提供する。ある特定の実施形態では、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量は、SLN360を200mgの量で提供する。
【0055】
ある特定の実施形態では、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量は、SLN360を300mgの量で提供する。
【0056】
ある特定の実施形態では、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量は、SLN360を450mgの量で提供する。
【0057】
ある特定の実施形態では、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量は、SLN360を200mgの量で提供する。
【0058】
ある特定の実施形態では、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量は、SLN360を300mgの量で提供する。
【0059】
ある特定の実施形態では、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量は、SLN360を450mgの量で提供する。
【0060】
ある特定の実施形態では、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量は、SLN360を200mgの量で提供する。
【0061】
ある特定の実施形態では、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量は、SLN360を300mgの量で提供する。
【0062】
ある特定の実施形態では、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量は、SLN360を450mgの量で提供する。
【0063】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は4週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を200mgの量で提供する。
【0064】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は4週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を300mgの量で提供する。
【0065】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は4週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を450mgの量で提供する。
【0066】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は4週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を200mgの量で提供する。
【0067】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は4週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を300mgの量で提供する。
【0068】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は4週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を450mgの量で提供する。
【0069】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は4週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を200mgの量で提供する。
【0070】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は4週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を300mgの量で提供する。
【0071】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は4週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を450mgの量で提供する。
【0072】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を200mgの量で提供する。
【0073】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を300mgの量で提供する。
【0074】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を450mgの量で提供する。
【0075】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を200mgの量で提供する。
【0076】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を300mgの量で提供する。
【0077】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を450mgの量で提供する。
【0078】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を200mgの量で提供する。
【0079】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を300mgの量で提供する。
【0080】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を450mgの量で提供する。
【0081】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を200mgの量で提供する。
【0082】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を300mgの量で提供する。
【0083】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を450mgの量で提供する。
【0084】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を200mgの量で提供する。
【0085】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を300mgの量で提供する。
【0086】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を450mgの量で提供する。
【0087】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を200mgの量で提供する。
【0088】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を300mgの量で提供する。
【0089】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は4週間であり、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を450mgの量で提供する。
【0090】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を200mgの量で提供する。
【0091】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を300mgの量で提供する。
【0092】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を450mgの量で提供する。
【0093】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を200mgの量で提供する。
【0094】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を300mgの量で提供する。
【0095】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を450mgの量で提供する。
【0096】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を200mgの量で提供する。
【0097】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を300mgの量で提供する。
【0098】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は2週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を450mgの量で提供する。
【0099】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を200mgの量で提供する。
【0100】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を300mgの量で提供する。
【0101】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を200mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を450mgの量で提供する。
【0102】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を200mgの量で提供する。
【0103】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を300mgの量で提供する。
【0104】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を300mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を450mgの量で提供する。
【0105】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を200mgの量で提供する。
【0106】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を300mgの量で提供する。
【0107】
ある特定の実施形態では、初めの2回の用量の間隔は3週間であるが、第2及び第3の用量、並びに任意のその後の用量の間隔は6週間であり、第1の用量はSLN360を450mgの量で提供し、第2、第3及び任意のその後の用量はSLN360を450mgの量で提供する。
【0108】
SLN360
SLN360は、ヒトLPA遺伝子の発現を阻害することができる二本鎖RNA(dsRNA)又はsiRNAである。理論に拘泥することを望むものではないが、阻害は、RNA干渉によって生じると考えられる。
【0109】
SLN360は、
(i)配列:
mA (ps) fU (ps) mA fA mC fU mC fU mG fU mC fC mA fU mU fA mC (ps) fC (ps) mG
を有する第1の(アンチセンス)鎖及び
(ii)配列:
[M]-mC mG mG mU mA mA fU fG fG mA mC mA mG mA mG mU mU (ps) mA (ps) mU
(ここで、[M]は、第2の鎖の5'末端に連結し、構造:
【0110】
【化1】
【0111】
を有するトリアンテナリーリガンド部分である)を有する第2の(センス)鎖
からなる。
【0112】
したがって、リガンド部分[M]の末端ホスホロチオエート基は、第2の鎖の5'末端ヌクレオチドの5'位に(すなわち、第2の鎖の5'末端のmC残基の2'-O-メチルリボース部分の5'-炭素に)直接結合している(「*」で示される「自由」結合により)。
【0113】
上記の式の文脈において、以下の略語が使用される。
【0114】
【表1】
【0115】
基が隣接するヌクレオチドの間に具体的に示されていない場合、それらは従来のホスホジエステル結合によって連結している。したがって、第1の鎖は、5'末端の3つの末端ヌクレオチドの各々の間、及び3'末端の3つの末端ヌクレオチドの各々の間にホスホロチオエート結合(すなわち、鎖の各末端に2つのホスホロチオエート結合)を含有する。第1の鎖の他のヌクレオチドは、ホスホジエステル結合によって連結している。第2の鎖は、3'末端の3つの末端ヌクレオチドの各々の間にホスホロチオエート結合(すなわち鎖の3'末端にのみ2つのホスホロチオエート結合)を含有する。第1の鎖の他のヌクレオチドは、ホスホジエステル結合によって連結している。
【0116】
配列は、従来の5'から3'の方向で示される。
【0117】
第1及び第2の鎖は、SLN360を「コンジュゲート21」と記載しているWO2020/099476の配列番号165及び164によってそれぞれ記載される。リガンド部分[M](第2の鎖へのそのホスホロチオエート結合を含む)は、その文書において「[ST23 (ps)]3 C6XLT (ps)」と命名されている。
【0118】
状態
上昇したレベルのLp(a)リポタンパク質、例えば、上昇したレベルのLp(a)含有粒子に関連する状態は、心血管疾患及び一部のがん(前立腺がんを含む)を含む。
【0119】
したがって、状態は、例えば、脳卒中(例えば、虚血性脳卒中)、アテローム性動脈硬化、血栓症、冠動脈心疾患、大動脈弁狭窄(例えば、石灰化大動脈弁狭窄)、高脂血症、脂質異常症、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、腹部大動脈瘤、心不全(例えば、虚血性心筋症に続発する心不全)、又は家族性高コレステロール血症等の心血管疾患(例えば、アテローム硬化性心血管疾患又はアテローム硬化性脳血管疾患)であってもよく、全ては、上昇したレベルのLp(a)に関連する場合好ましい。
【0120】
代替的に、状態は、がん、例えば、前立腺がんであり得る。
【0121】
状態は、対象における上昇したLp(a)(すなわちリポタンパク質A)、例えば、対象における上昇したレベルのLp(a)含有粒子に関連する。対象は、成人(18歳以上)又は小児(18歳未満)であり得る。
【0122】
Lp(a)又はLp(a)含有粒子の妥当なレベルは、典型的には対象の血清中で測定されることが理解されるであろう。血清中のLp(a)含有粒子の望ましいレベルは、一般的に14mg/dL未満のレベルと記載される。上昇したレベルのLp(a)含有粒子は、対象の血清中の少なくとも14、好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なくとも30、より好ましくは少なくとも40及び最も好ましくは少なくとも50mg/dL又は少なくとも60mg/dLのレベルのLp(a)含有粒子である。
【0123】
用語「Lp(a)含有粒子」及び「Lp(a)粒子」は、互換的に使用され得る。
【0124】
医薬組成物
SLN360は、例えば、医薬組成物の一部として、単独で又は1種若しくは複数の他の薬剤と組み合わせて投与するために製剤化され得る。医薬組成物は、安定剤、保存剤、希釈剤、緩衝剤等の薬学的に許容される賦形剤を含み得る。例えば、SLN360分子は、送達ビヒクル(例えば、リポソーム)及び/又は担体若しくは希釈剤等の賦形剤と組み合わされ得る。保存剤及び安定剤等の他の薬剤も添加され得る。核酸の送達のための方法は、当技術分野で公知であり、当業者の知識の範囲内である。
【0125】
医薬組成物は、無菌注射用水性懸濁剤若しくは液剤であり得るか、又は凍結乾燥形態であり得るか、又はペレット、錠剤、カプセル、ナノ粒子、ゲル、錠剤、ビーズ若しくは同様の構造等の任意の他の適切なガレヌス担体物質に若しくはその中に付着、吸収若しくは含まれ得る。
【0126】
しかし、単純な水性液剤が、例えば、6.4~8.4の生理学的に許容されるpH値で適し得る。組成物が7.6+/-0.1のpHを有することが望ましい可能性がある。
【0127】
SLN360又は医薬組成物は、任意の適当な経路によって、例えば、皮下、静脈内、経口、直腸又は腹腔内投与により投与され得る(又は投与のために製剤化され得る)。それは、注射によって投与され得る(又は投与のために製剤化され得る)。好ましくは投与は、皮下注射によって、例えば、腹部、上腕又は大腿に送達される。
【0128】
本発明は、SLN360の個々の剤形を更に提供し、本明細書に記載されるようなSLN360の個々の用量を提供する。好ましくは個々の剤形は、皮下注射による投与用である。それは、例えば、6.4~8.4のpHを有する、例えば、7.6+/-0.1のpHを有する、記載されるような水性液剤であり得る。
【0129】
用語「患者」、「対象」、及び「個体」は、互換的に使用されてもよく、ヒト又は非ヒト動物のどちらかを指し得る。これらの用語は、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、大型類人猿、旧世界ザル又は新世界ザル)、家畜動物(例えば、ウシ、ブタ)、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコ)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む。しかし、本発明の文脈において、対象は、典型的にはヒトである。対象は、成人(18歳以上)又は小児(18歳未満)であり得る。したがって、用語LPA、LPA、Lp(a)、「Lp(a)含有粒子」及び「Lp(a)粒子」は、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、典型的にはヒトタンパク質(又はリポタンパク質)及び核酸を指すと解釈されるべきである。
【0130】
本明細書で使用される場合、「処置すること」又は「処置」及びその文法的変形は、有益な又は所望の臨床結果を得るための手法を指す。この用語は、状態、障害若しくは疾患の開始又は発生の速度を緩徐化すること、それに関連する症状を減少させる又は緩和すること、状態の完全な又は部分的後退を生じさせること、或いは上記のいずれかのある組合せを指し得る。この発明の目的に関して、有益な又は所望の臨床結果は、これらに限定されないが、検出可能であれ検出不可能であれ、症状の減少又は緩和、疾患の程度の減弱、疾患の状態の安定化(すなわち悪化させない)、疾患進行の遅延又は緩徐化、疾患状態の改善又は軽減、及び寛解(部分的であれ完全であれ)を含む。「処置」は、処置を受けない場合に予想される生存時間と比べて生存を延長することも意味し得る。したがって、処置を必要とする対象(例えば、ヒト)は、当該疾患又は障害を既に患っている対象であり得る。用語「処置」は、処置なしと比べて病的状態又は症状の重症度の増加の阻害或いは減少を含み、関連のある疾患、障害又は状態の完全な停止を暗示することを必ずしも意図しない。
【0131】
本明細書で使用される場合、用語「予防」及びその文法的変形は、状態、疾患若しくは障害の発生、進行、或いは開始の時間又は確率を阻害又は防止するための手法を指し、病状及び/又は症状に関し得る。この発明の目的に関して、有益な又は所望の臨床結果は、これらに限定されないが、検出可能であれ検出不可能であれ、疾患の症状、進行若しくは発生の防止、阻害又は緩徐化を含む。したがって、予防を必要とする対象(例えば、ヒト)は、当該疾患又は障害をまだ患っていない対象であり得る。用語「予防」は、処置なしと比べて疾患の開始を緩徐化することを含み、関連のある疾患、障害又は状態の永久的な防止を暗示することを必ずしも意図しない。したがって、状態の「予防」は、ある特定の文脈において、状態が発生するリスクを減少させること、又は状態に関連する症状の発生を防止する、阻害する、若しくは遅延させることを指し得る。予防は、処置又は治療と考えられ得ることが理解されるであろう。
【0132】
本発明の医薬組成物及び医薬は、治療又は予防有効量、すなわち有効用量で対象に投与され得る。本明細書で使用される場合、「有効量」、「予防有効量」、「治療有効量」又は「有効用量」は、標的状態を防止若しくは処置すること、又は状態に関連する症状を有益に緩和すること等の、対象において少なくとも1つの所望の治療効果をもたらす組成物(例えば、治療組成物又は薬剤)の量である。
【0133】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される塩」は、当該塩が投与される患者又は対象に有害でない塩を指す。それは、例えば、酸付加塩及び塩基性塩の中から選択される塩であり得る。酸付加塩の例は、塩化物塩、クエン酸塩及び酢酸塩を含む。塩基性塩の例は、陽イオンが、ナトリウム又はカリウムイオン等のアルカリ金属陽イオン、カルシウム又はマグネシウムイオン等のアルカリ土類金属陽イオン、及びタイプN(R1)(R2)(R3)(R4)+(ここで、R1、R2、R3及びR4は独立に、典型的には水素、任意選択で置換されているC1~6-アルキル基又は任意選択で置換されているC2~6-アルケニル基を表す)のイオン等の置換アンモニウムイオンから選択される、塩を含む。妥当なC1~6-アルキル基の例は、メチル、エチル、1-プロピル及び2-プロピル基を含む。妥当な可能性があるC2~6-アルケニル基の例は、エテニル、1-プロペニル及び2-プロペニルを含む。薬学的に許容される塩の他の例は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、第17版、Alfonso R. Gennaro (編)、Mark Publishing Company、Easton、PA、USA、1985(及びそのより最近の版)、「Encyclopaedia of Pharmaceutical Technology」、第3版、James Swarbrick (編)、Informa Healthcare USA (Inc.)、NY、USA、2007、及びJ. Pharm. Sci. 66:2(1977)に記載されている。「薬学的に許容される塩」は、化合物に対していずれの望ましくない影響も与えることなく、親化合物の所望の生物活性を質的に保持する。薬学的に許容される塩の例は、酸付加塩及び塩基付加塩を含む。酸付加塩は、塩酸、硝酸、亜リン酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等の非毒性無機酸、又は脂肪族モノ-及びジ-カルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸等の非毒性有機酸から誘導される塩を含む。塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、及びN,N'-ジベンジルエチレンジアミン、N-メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカイン等の非毒性有機アミンから誘導される塩を含む。
【0134】
用語「薬学的に許容される担体」は、標準的な医薬担体のいずれかを含む。治療的使用のための薬学的に許容される担体は、薬学分野において周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.(A. R. Gennaro編1985)に記載されている。例えば、わずかに酸性又は生理的pHの無菌生理食塩水及びリン酸緩衝生理食塩水が使用され得る。例示的なpH緩衝剤は、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、トリス/ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、重炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、好ましい緩衝剤であるヒスチジン、アルギニン、リジン、又はそれらの酢酸塩若しくは混合物を含む。この用語は、ヒトを含む動物で使用するための、米国薬局方に列挙されている任意の薬剤を更に包含する。「薬学的に許容される担体」は、ありとあらゆる生理学的に許容される、すなわち適合性の溶媒、分散媒、コーティング、抗微生物剤、等張及び吸収遅延剤等を含む。ある特定の実施形態では、担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄又は上皮投与(例えば、注射又は注入による)に適する。選択される投与経路に応じて、核酸は、対象に特定の投与経路によって投与された場合に核酸が曝露され得る酸の作用及び他の天然の不活性化条件からこの化合物を保護することを意図した1種又は複数の材料でコーティングされ得る。
【0135】
本発明の文脈における用語「溶媒和物」は、溶質(この場合、本発明による核酸化合物又はその薬学的に許容される塩)及び溶媒の間に形成される規定の化学量論の複合体を指す。これに関連する溶媒は、例えば、水又はこれらに限定されないが、酢酸若しくは乳酸等の別の薬学的に許容される典型的には低分子量有機種であり得る。当該溶媒が水である場合、そのような溶媒和物は通常、水和物と称される。
【0136】
本発明は、これから以下の非限定的な表、図及び実施例を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0137】
図1】治験を通した患者のフローを示す図である。
図2a】パネルAは、プラセボ及び各SLN360用量群についてのリポタンパク質(a)濃度の経時的変化を示すグラフである。リポタンパク質(a)濃度の中央値は黒丸として示され、箱はこれらの値の各々についての四分位範囲を示す。星は各時点での平均濃度を示す。
図2b】パネルBは、プラセボ及び各SLN360用量群についての経時的なリポタンパク質(a)濃度のパーセント変化を示すグラフである。リポタンパク質(a)濃度のパーセント変化の中央値は黒丸として示され、箱はこれらの値の各々についての四分位範囲を示す。星は各時点での濃度の平均パーセント変化を示す。
図3a】パネルAは、プラセボ及び各SLN360用量群についての経時的な低密度リポタンパク質-コレステロールの平均パーセント変化を示すグラフである。平均パーセント変化は黒丸として示され、95%信頼区間はエラーバーとして示される。
図3b】パネルBは、プラセボ及び各SLN360用量群についての経時的なアポリポタンパク質Bの平均パーセント変化を示すグラフである。平均パーセント変化は黒丸として示され、95%信頼区間はエラーバーとして示される。
図4】試験概略図。コホート5:2回用量、200mg q4週間。コホート6:2回用量、300mg q8週間。
図5】0~150日にわたる時間平均結果を示すグラフである。
図6】30~150日にわたる時間平均結果を示すグラフである。 [表1]参加者のベースライン特徴 [表2]安全性アセスメント [表3]主要有効性評価項目:経時的なリポタンパク質(a)濃度の変化 [表4]総コレステロールに対するSLN360の効果 [表5]低密度リポタンパク質コレステロールに対するSLN360の効果 [表6]アポリポタンパク質(B)に対するSLN360の効果 [表7]酸化LDLに対するSLN360の効果 [表8]薬物動態パラメーター
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0138】
方法
試験対象集団
既知のアテローム硬化性心血管疾患(ASCVD)を有しておらず、Lp(a)濃度≧150nmol/L及びボディマス指数18~45kg/m2を有する≧18歳の成人が参加に適格であった。出産の可能性のある女性は、スクリーニング時に血清妊娠検査陰性及び処置の1日前に尿妊娠検査陰性を有することが必要とされた。全ての参加者(男性及び女性)は、スクリーニング期間の始まりから試験薬の最後の投与後3カ月まで避妊要件を守ることに同意した。参加者は、中等度又は重度の肝硬変、HIV又はB若しくはC型肝炎検査陽性、或いは薬物誘導性肝臓損傷のリスクを増加させ得る又はSLN360の薬理学に影響を及ぼし得る他の肝臓疾患ついては除外された。参加者は、糖尿病と以前に診断されていない場合はHbA1c<6.5%、又は糖尿病を有することが分かっている場合は<8.5%を有することが必要とされた。
【0139】
臨床検査除外基準は、基準値下限未満の血小板数又はアラニントランスアミナーゼ若しくはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ>1.5×基準値上限(ULN)を含んだ。追加の臨床検査除外基準は、ジルベール症候群を有する参加者を除く総ビリルビン>ULN、又は推定糸球体濾過速度<60ml/分/1.73m2であった。抗エストロゲン剤若しくはエストロゲン受容体調節剤、PCSK9阻害剤、処方用量ナイアシン、フィブラート、スタチン又はエゼチミブを含む、Lp(a)レベルに影響を及ぼし得る薬品は、用量が登録前の少なくとも8週間安定であることが必要とされた。参加者は、試験薬の第1の用量の前の90日(若しくは10半減期、どちらか長い方)以内に任意の他の治験薬剤、又は12カ月以内に他のオリゴヌクレオチド療法を受けた場合も除外された。参加者は、試験薬の第1の用量の前の7日以内の臨床的に重大な病気、SARS-CoV-2の核酸検査陽性、又は結果の解釈に干渉し得る任意の制御の効かない若しくは重篤な疾患ついては除外された。
【0140】
試験手順
この試験は、ヘルシンキ宣言及び国際医学団体協議会国際的倫理指針に従って行われた。自動応答技術を使用して、4つの漸増単回用量コホートを腹部における皮下注射によって与えられる30mg、100mg、300mg若しくは600mgのSLN360又はプラセボ(塩化ナトリウム0.9%)に無作為化した。2つまでの注射部位を使用して必要用量を投与した。各コホートについて、2人の参加者はプラセボを受けるように無作為に割り付け、6人の対象はSLN360に割り付けて、各コホートにおける初めの2人の参加者にセンチネル投薬を用いた。試験デザインを記載する概略図は、図4に提供される。治験責任医師、試験参加者及び治験依頼者は、試験薬について盲検式であったが、指定された現場スタッフ、例えば、現場薬剤師は非盲検式であった。参加者を臨床研究ユニット(CRU)において用量投与後24時間モニタリングし、その間にバイタルサイン、簡易身体検査、血液及び尿試料並びに連続心電図を得た。CRUスタッフは、有害作用及び注射部位有害事象についても参加者をアセスメントした。
【0141】
参加者は、薬物投与後7、14、30、45、60、90及び150日目に予定来院を有した。試験薬投与の任意の有害作用の存在及び程度を各来院でアセスメントした。全ての再来院で、血液試料をリポタンパク質(a)レベル、他のバイオマーカー、薬物動態分析及び安全性臨床検査試験のために得て、症状によって示された場合、集中的な身体検査を行った。Lp(a)濃度は、粒子増強比濁アッセイを用いてRoche c502自動分析器で測定した。このアッセイは、Lp(a)のWHO/IFCC参照物質にトレーサブルな、nmol/L単位の値を有する5つの独立した標準物質によって較正され、apo(a)の粒径差異によって最小限に影響されることが実証された。
【0142】
試験エンドポイント
ヒト初回投与試験として、SLN360の安全性及び忍容性を目的の主要評価項目として定義した。安全性アセスメントは、バイタルサイン、身体検査、ECG並びに化学検査、血液検査、尿検査及び凝固パラメーターの臨床検査アセスメントにおける変化を含んだ。アセスメントは、処置中発生有害事象(TEAE)及び注射部位有害事象又は任意の特定された用量制限毒性を含む特に関心のある有害事象を含んだ。注射部位有害事象は、有害事象共通用語規準(CTCAE)9バージョン5及びFDA推奨スケール10の両方を使用して、試験担当者によってグレードづけされた。
【0143】
主要有効性アセスメントは、ベースラインから投薬後150日までの血漿リポタンパク質(a)濃度に対するSLN360の効果であった。副次的目的は、SLN360の薬物動態(PK)のアセスメントを含んだ。探索的目的は、他の脂質パラメーター(LDL-C、HDL-C、総コレステロール、及びトリグリセリド)、アポリポタンパク質B、酸化LDL、炎症マーカー、及びプラスミノーゲンに対する効果のアセスメントを含んだ。
【0144】
統計分析
各コホートからのプラセボに割り付けられた対象をプールして全体プラセボ処置群を作った。SLN360処置群を用量ごとに別々に提示する。記述統計量を使用して安全性及びLp(a)変化を処置群ごとにまとめる。カテゴリー変数について、各カテゴリー内の対象の頻度及びパーセンテージの要約表を提示する。連続変数について、参加者の数及び要約統計量を処置群ごとに提示する。薬物動態効果について、血漿SLN360濃度は、最高血漿濃度(Cmax))、ピーク血漿濃度に到達するまでの時間(Tmax)及び最後の測定可能な濃度までの濃度曲線下面積(AUC(0-last))を含む。欠測データは帰属させなかった。正式な統計的検定は行わず、したがって、P値は報告しない。プロトコールは、単回漸増用量のSLN360の効果が、治験のその後の複数回漸増用量相と別に報告されることを事前に明示した。この報告は、単回漸増用量パートの所見を記載する。
【0145】
結果
図1は、治験を通した患者のフローを示す。表1は、治験参加者のベースライン特徴を報告する。参加者の平均(SD)年齢は50歳(13.5)であり、47%は男性であった。参加者の誰も既知の既存の臨床的に明らかな心血管疾患を有していなかったが、高血圧は9%及び糖尿病は3%存在した。ベースライン特徴は、全ての処置群にわたって大まかに同様であるようであった。ベースラインLp(a)濃度の中央値(IQR)は、プラセボ、30mg、100mg、300mg、及び600mg処置群についてそれぞれ、238(203、308)、171(142、219)、217(202、274)、285(195、338)及び231(179、276)nmol/Lであった。LDL-Cの平均(SD)レベルは、プラセボ、30mg、100mg、300mg、及び600mg処置群についてそれぞれ、99(48)、113(38)、121(46)、100(25)及び108(54)mg/dLであった。
【0146】
図2a及び図2bは、注射後150日間の各処置群についてのLp(a)濃度の経時的な絶対及びパーセント変化を示す。表3は、各時点での絶対及びパーセント変化についての中央値及びIQRを示す。nmol/L単位のLp(a)の変化の最大中央値(IQR)は、プラセボ、30mg、100mg、300mg、及び600mg用量についてそれぞれ、-20(-61、3)、-89(-119、-61)、-185(-226、-163)、-268(-292、-189)及び-227(-270、-174)であった。パーセント変化の最大中央値(IQR)は、プラセボ、30mg、100mg、300mg、及び600mg群についてそれぞれ、-10%(-16、1%)、-46%(-64、-40%)、-86%(-92、-82%)、-96%(-98、-89%)及び-98%(-98、-97%)であった。Lp(a)レベルのパーセント変化の最下点は、全ての処置群について投薬後30~60日の間で達成された(図2)。濃度は、最下点から徐々に上がったが、100mg、300mg、及び600mg処置群については、150日までにベースライン値に戻らなかった。Lp(a)濃度の中央値は、300mg及び600mg用量についてそれぞれ、投与後150日でベースラインの>70%及び>80%下であった。
【0147】
時間平均減少を決定して、投薬頻度の情報を更に提供し、潜在的臨床利益をより十分に評価した。図5及び図6はそれぞれ、150日目までの総観察期間(任意の処置効果前の最初のベースラインを含むので、控えめな推定値)、及び30~150日目の観察期間(最下点が最初の投薬によって達成された後の薬物効果をより反映している)を含む時間平均データを示す。時間平均は、複数回投薬の累積効果を評価し、薬物効果のピーク及びトラフを捉えるのに有用と考えられる。
【0148】
SLN360は、アポリポタンパク質(B)含有リポタンパク質において中程度の用量依存性の減少をもたらした(表4~表7)。平均レベルは、両方とも600mg用量の投与後に、最大で総コレステロールについては18%及びLDL-Cについては26%減少した(図3a及び表4、表5)。より少ない減少は、より少ない用量で観察された。アポリポタンパク質Bの平均レベルの最大の減少は、600mg用量の30日後に測定された24%及び300mg用量の14日後に測定された19%であった(図3b及び表6)。酸化LDLの平均レベルは、最大で、600mg用量群において20%、及び300mg用量群において11%低下し、同様の減少が600mg群において150日まで持続した(表7)。トリグリセリド及びHDL-Cに対するSLN360の効果の証拠はなかった。表8は、SLN360の血漿薬物動態が大まかに用量比例であることを示す。
【0149】
表2は、CTCAEスケール10によってグレードづけされた注射部位有害事象のアセスメントを含む、各処置群についての安全性所見を報告する。
【0150】
TEAEは、全体的に軽度であり、最もよく見られるものは低グレードの注射部位事象(グレード1及び2)及び頭痛であり、どれも参加者の離脱に至らなかった(表2)。38日目にSARS-CoV-2ワクチンを受けた後、45日目に、最低用量群(30mg)の1人の参加者が、発熱及び重度の頭痛のために入院し、これらは、治験責任医師によって、SARS-CoV-2ワクチンの影響とされた。その後の計画されている45日目の来院は49日目に行われ、その参加者は、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)について>3×ULN値を有し、ビリルビンの上昇はないことが見出された。AST及びALTは、通常の60日目の臨床検査で正常に戻った。
【0151】
C反応性タンパク質(CRP)の一過性の用量依存性の増加が、投与後初めの24時間以内に生じた。600mg用量群において、CRPは、24時間で中央値が1.0mg/Lから16.3mg/Lに上がり、次いで、急速に低減し、14日目までに1.1mg/Lに到達した(図示せず)。
【0152】
好中球も初めの24時間の間に増加し、7日目の来院までに正常に戻った。
【0153】
データ審査後、SRCは、2つの最高用量群における参加者についてLp(a)レベルの追跡調査を150日から365日(1年)に延長することを推奨した。これらの延長試験は、3人のプラセボ対象、コホート3における5人の対象(300mg;4人の対象が完了した)及びコホート4における6人の対象(600mg)を含んだ。365日目で、300mg及び600mgコホートにおける一部の対象は、ベースラインの50%までのLp(a)の実質的なノックダウンを依然として示したが、プラセボ群における対象は、365日目で、全てベースラインに戻った。試験薬に関連する新たな安全性所見及び重篤な有害作用は、365日で、2つの最高用量群のどちらでも観察されなかった。
【0154】
考察
150nmol/L(およそ60mg/dL)を超えるLp(a)濃度を有する患者は、集団のおよそ20%を構成し、ASCVD及び大動脈弁狭窄を発生させるリスクの大幅な増加と関連する4~5。APOLLO治験は、この閾値を超える血漿Lp(a)濃度を有する参加者を登録した。血漿Lp(a)レベルは、遺伝的に決定され、LDL-C及びトリグリセリドを低下させる、又はHDL-Cを上げる、食事及び運動等のライフスタイル介入によって影響されない。有効なLp(a)低下薬療法の非存在下では、このリスク因子は、従来、本質的に処置不可能と考えられてきた。RNA干渉を使用する最近の開発は、Lp(a)を選択的に及び実質的に減少させることを可能にした。これらの薬物のうちフェーズ3に到達する初めての、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)であるペラカルセンは、フェーズ2治験において毎週の注射でLp(a)を80%まで減少させ、その後、毎月の治療として開発されている8
【0155】
本治験は、アポリポタンパク質(a)の生成をコードするメッセンジャーRNAを分解するsiRNA(SLN360)を使用して、Lp(a)粒子の肝臓での集合を防止する代替的手法を調べた11。SLN360は、依然として開発初期にあるが、本フェーズ1試験の予備的な結果は、98%までのLp(a)濃度の中央値の低減と、300mg及び600mg用量の投与後150日でのそれぞれ70%及び80%を超える持続性の中央値の減少により、望みを与えている(表3及び図2)。データ審査後、SRCは、2つの最高用量群(コホート3及び4)における参加者についてLp(a)レベルの追跡調査を150日から1年に延長することを推奨した。試験薬に関連する新たな安全性所見及び重篤な有害作用は、365日で、これらの2つの最高用量群の対象において観察されず、プラセボ群における対象と比較して、各コホートの一部の対象においてLp(a)の実質的なノックダウンの徴候が依然としてあった。フェーズ1試験において、安全性及び忍容性の評価は、主要な目的である。本試験は、SLN360の単回投与後150日間試験された、既知の心血管疾患がないわずか32名の参加者を含み、小規模であった。この治療は、肝細胞におけるLp(a)生成を標的とするので、試験は、肝毒性をモニタリングするために肝臓機能のいくつかのマーカーを測定した。試験中、肝臓酵素(AST及びALT)の一過性の3倍の上昇という1つのエピソードが、最低用量(30mg)を受けた1人の患者において観察され、時間的にSARS-CoV-2ワクチン接種に関連した。肝臓酵素の上昇は、以前にCOVIDワクチン接種後に記載された12。肝臓機能における他の臨床的に重要な混乱は観察されなかった。ほんの少数の参加者を短い期間処置したので、肝臓安全性に関する決定的な結論は可能でない。
【0156】
他のRNAi療法と同様に、低グレードの注射部位有害事象が観察された(表2)。これらの有害事象は、持続する影響なく自然治癒し、参加者の離脱につながらなかった。CRP及び好中球を含む炎症バイオマーカーの一過性の用量依存性の増加が、投与後初めの7日間に観察された。これらの短期間の増加の臨床的重要性は不明である。一部の以前のASO療法の初期開発中、血小板減少症が、より多い毎週の投薬で観察されたが、本発明者らは、このGalNAc siRNAを用いた本試験において臨床的に関連のあるいかなる血小板減少も観察しなかった13。患者を複数回用量で、より長い曝露時間処置する今後の試験が、このsiRNA治療剤の安全性をより決定的に確立するために必要とされる。
【0157】
本試験は、LDL-C、apoB、トリグリセリド、HDL-C及び酸化LDLを含む様々な脂質及びリポタンパク質に対するSLN360の効果も調べた。LDL-C及びapoBの両方は、中程度に減少し、最大およそ25%であり、最高の用量で最も明らかであった(図3a及び図3b、表5及び表6)。本アッセイは、Lp(a)粒子内に含有されるLDL-C及びapoBの一部も測定するので、LDL-C及びapoBの中程度の減少は予想された14。したがって、Lp(a)が低下すると、測定されたLDL-C及びapoB濃度も下がる。酸化LDLは、Lp(a)粒子中に存在し、炎症促進性であり、アテローム血栓性事象のリスクの一因になり得る15。酸化LDLの平均値は、最大20%低下し、より低い用量群において45~60日間及び600mg用量群については150日間、ベースラインより実質的に低いままであった(表7)。
【0158】
RNA干渉により翻訳を阻害することは、特定の標的タンパク質の肝臓生成を阻害するための治療薬物開発において益々使用されている11。siRNAは、ガイド鎖と相補的な配列を含有するmRNAを有する標的遺伝子の翻訳を特異的に抑制するように設計された、ガイド(アンチセンス)及びパッセンジャー(センス)鎖を有する二本鎖RNAである。siRNAは、細胞に入ると、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれる。ガイド鎖及びパッセンジャー鎖は分離され、パッセンジャー鎖は、切断及び分解され、残った一本鎖siRNAガイド鎖は標的mRNAに結合し、触媒機序により切断を誘導し、ガイド鎖は無傷で、標的mRNAの追加のコピーを分解するのに利用可能なままである。切断されたmRNAは、RISCを出て、細胞エキソヌクレアーゼによって異常と認識され、分解される。このプロセスは、この特定のmRNAのタンパク質への翻訳を防止する。このようにして、siRNA治療薬は、効果の非常に長い持続期間を有し得る。Lp(a)を標的とする異なるsiRNAであるオルパシランの最近公開されたフェーズ1試験も、大きな、用量依存性及び耐久性のLp(a)の低下を示した16
【0159】
この治験で使用されたsiRNAは、ガラクトースから誘導された糖であるGalNAcとコンジュゲートし、SLN360の肝臓への標的化送達が可能になった。この手法は、今では、現在市場に出ている又は開発中のほとんどの肝臓に向けたRNA干渉治療薬において使用されている。GalNAcは、肝細胞の表面に高度に発現しているアシアロ糖タンパク質受容体に結合し、コンジュゲートの急速なエンドサイトーシスが引き起こされる。肝細胞に入った後、エンドソーム成熟中の酸性化は、siRNAを細胞に送達したGalNAcリガンドの解離を引き起こす。肝細胞におけるSLN360の選択的更新は、肝細胞において排他的に発現されるLPA mRNAを分解するのに必要とされるこのsiRNAの投与用量を減少させ、ひいては全身曝露を制限する。
【0160】
より長い曝露及び反復投薬は、薬力学的効果の持続期間をアセスメントし、薬物安全性を更に評価するために必要とされる。SLN360の複数回漸増用量試験は、その効果を更にアセスメントするために、安定なASCVDを有する対象において進行中である(NCT04606602)。本試験は規模が小さいが、単回用量からの効果の大きさ及び持続期間は、有望であり、更なる開発を保証する。
【0161】
本明細書で参照された全ての文書は、それらの全体が参照によりここに組み込まれる。
(参考文献)
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7a-1】
図7a-2】
図7b-1】
図7b-2】
図7c-1】
図7c-2】
図7d-1】
図7d-2】
図7e-1】
図7e-2】
図7f-1】
図7f-2】
図7g-1】
図7g-2】
図7h
【配列表】
2025505692000001.xml
【国際調査報告】