(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】オペレータのための保持システム
(51)【国際特許分類】
A61B 90/53 20160101AFI20250220BHJP
A61C 19/00 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
A61B90/53
A61C19/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547325
(86)(22)【出願日】2023-02-09
(85)【翻訳文提出日】2024-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2023053180
(87)【国際公開番号】W WO2023152214
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】102022103175.6
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524107665
【氏名又は名称】ヘルスターン メディカル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】ヘルスターン・サブリナ
(72)【発明者】
【氏名】ソダー・クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】ストロベル・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ラガー・ハーラルト
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA01
4C052AA06
4C052LL09
(57)【要約】
本発明による保持システム(1)は、複数の調整軸(v1、…、vn)を備える支持デバイス(2)と、操作デバイス(3)と、を有する。支持デバイス(2)は、オペレータの身体の少なくとも一部を位置及び/又は方向で保持するように構成される。操作デバイス(3)は、調整軸(v1、…、vn)を制御するように構成され、部分的に一致する機能を有する、オペレータの把持範囲(G)外に配置される少なくとも1つの第1の操作ユニット(4)と、オペレータの把持範囲(G)内に配置される第2の操作ユニット(5)と、を有する。操作デバイス(3)はまた、オペレータが自分の身体の動きを用いて支持デバイス(2)を制御し得る第3の操作ユニット(6)と、オペレータの把持範囲内に配置される第4の操作ユニット(7)と、を有する。これにより、支持デバイス(2)の機能が制御ユニット(4、5、6、7)間で分割され、直感的な制御が実現される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータのための保持システム(1)であって、
-複数の調整軸(v1、…、vn)を備える支持デバイス(2)であって、前記支持デバイス(2)によって支持された前記オペレータの少なくとも1つの身体部分を位置及び/又は方向に保持するように構成される支持デバイス(2)と、
-前記調整軸(v1、…、vn)を制御するための操作デバイス(3)であって、少なくとも部分的に一致する機能を有する、前記オペレータの把持範囲(G)外に配置される少なくとも1つの第1の操作ユニット(4)と、前記オペレータの把持範囲(G)内に配置される第2の操作ユニット(5)と、を備える操作デバイス(3)と、を備える、
保持システム(1)。
【請求項2】
前記第2の操作ユニット(5)によって制御され得る前記調整軸(v1、…、vn)を、前記第1の操作ユニット(4)によっても制御することができることを特徴とする、
請求項1に記載の保持システム(1)。
【請求項3】
前記操作デバイス(3)が、好ましくは前記オペレータの足の範囲(F)に配置される解除デバイス(8)を有する第3の操作ユニットを備え、前記解除デバイス(8)が、前記支持デバイス(2)の前記調整軸(v1、…、vn)のうちの少なくとも1つを保持モード(H)から移動モード(B)に、及びその逆に切り替えるように構成され、
前記オペレータの被支持身体部分が、前記移動モード(B)で移動することができ、前記支持デバイス(2)によって前記保持モード(H)で保持されることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の保持システム(1)。
【請求項4】
前記第3の操作ユニット(6)が、前記調整軸(v1、…、vn)の調整方向における前記オペレータの動き、及び/又は前記調整軸(v1、…、vn)のうちの少なくとも1つの調整方向における前記支持デバイス(2)の動きを検出するための複数のセンサユニット(s1、…、sn)を有するセンサデバイス(9)を備えることを特徴とする、
請求項3に記載の保持システム(1)。
【請求項5】
前記センサデバイス(9)のセンサ信号が、制御信号として前記第3の操作ユニット(6)で機能することを特徴とする、
請求項4に記載の保持システム(1)。
【請求項6】
前記オペレータの被支持身体部分が所定時間(I)にわたって位置に留まっている場合、前記支持デバイス(2)を前記移動モード(B)から前記保持モード(H)に切り替えるように構成される制御デバイス(10)を、前記操作デバイス(3)が備えることを特徴とする、
請求項3から5のいずれか一項に記載の保持システム(1)。
【請求項7】
前記第3の操作ユニット(6)によって制御可能な前記調整軸(v1、…、vn)も、前記第1の操作ユニット(4)が制御可能であることを特徴とする、
請求項3から5のいずれか一項に記載の保持システム(1)。
【請求項8】
前記第1の操作ユニット(4)が、
-静止位置(P10)に弾性的に支持され、少なくとも3つの制御軸(φ1、θ1、ψ1)に沿って手動で移動可能な制御要素(11)と、
-作動した場合、前記制御要素(11)の前記制御軸(φ1、θ1、ψ1)と前記調整軸(v1、…、vn)との間の前記制御要素(11)の異なる割当てを設定する複数の操作要素(b11、…、b1n)と、を備えることを特徴とする、
請求項1から7のいずれか一項に記載の保持システム(1)。
【請求項9】
前記第1の操作ユニット(5)が、
-手動で実行される前記静止位置(P10)からの前記制御要素(11)の偏向の量及び方向を検出し、
-前記偏向の前記量及び/又は前記方向に応じて前記支持デバイス(2)の前記調整軸(v1、…、vn)のうちの1つに制御信号を割り当てるように構成されることを特徴とする、
請求項8に記載の保持システム(1)。
【請求項10】
前記第2の操作ユニット(5)が、
-静止位置(P20)に弾性的に支持され、少なくとも3つの制御軸(φ2、θ2、ψ2)に沿って手動で移動可能な制御要素(12)と、
-作動した場合、前記制御要素(12)の前記制御軸(φ2、θ2、ψ2)と前記調整軸(v1、…、vn)との間の前記制御要素(12)の異なる割当てを設定する複数の操作要素(b21、…、b2n)と、を備えることを特徴とする、
請求項1から9のいずれか一項に記載の保持システム(1)。
【請求項11】
前記第2の操作ユニット(5)が、
-手動で実行される前記静止位置からの前記制御要素(12)の偏向の量及び方向を検出し、
-前記偏向の前記量及び/又は前記方向に応じて前記支持デバイス(2)の前記調整軸(v1、…、vn)のうちの1つに制御信号を割り当てるように構成されることを特徴とする、
請求項10に記載の保持システム(1)。
【請求項12】
前記制御デバイス(10)が、前記第1及び第2の操作ユニット(4、5)で少なくとも実質的に同時に入力された場合、前記第2の操作ユニット(5)の入力に基づいて前記調整軸(v1、…、vn)を制御し、前記第1の操作ユニット(4)の入力を却下するように構成されることを特徴とする、
請求項6から11のいずれか一項に記載の保持システム(1)。
【請求項13】
前記制御デバイス(10)が、前記第3の操作ユニット(6)の入力に基づいて前記調整軸(v1、…、vn)を制御し、前記第3の操作ユニットが前記移動モード(B)に切り替えられた場合、前記第1の操作ユニット(4)での入力を却下するように構成されることを特徴とする、
請求項6から12のいずれか一項に記載の保持システム(1)。
【請求項14】
前記第2の操作ユニット(6)が、前記支持デバイス(2)の前記オペレータのために設けられた横方向支持部(14)の空洞(13)内に位置することを特徴とする、
請求項1から13のいずれか一項に記載の保持システム(1)。
【請求項15】
前記第1の操作ユニット(4)及び前記第2の操作ユニット(5)が、作動した場合、前記操作ユニット(4、5)の前記それぞれの制御要素(11、12)を停止させる少なくとも1つの追加の操作要素(a10、a20)を備えることを特徴とする、
請求項1から14のいずれか一項に記載の保持システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術におけるオペレータのための保持システム、及び研究室職員又は歯科医のための保持システムに関する。
【背景技術】
【0002】
オペレータのための保持システムは一般に知られている。例えば、手術テーブルに通常立っているオペレータが作業椅子によって、あるいはアームレスト及び/又はフットレストによって保持されることを可能にする、オペレータのためのアームレスト及び/又はフットレストを有する作業椅子が存在する。それにより、特に特定の強制された姿勢での長時間の手術、及び/又はオペレータの微細な運動技能に対する特定の要件を有する手術の間、オペレータは、疲労の少ない又は疲労のない方法でそれらを実行することができる。理想的な場合、オペレータは、このような手術を確実で、高品質に実行することができる。
【0003】
作業椅子は、手術中のオペレータの要求に適合するように、通常調整可能に構成される。例えば、独国特許発明第102020103861号明細書から、高さ、並びに横方向及び前後方向に、調整され得る作業椅子が知られている。
【0004】
独国実用新案第202018102964号明細書は、2つのフットレストを有する高さ調整可能な作業椅子を記載しており、オペレータが作業椅子に座ることによる作業椅子の高さの調整は、フットペダルによって実行することができる。更に、作業椅子は、調整された高さを記憶し、再起動時に記憶した高さにすることができる。
【0005】
更に、フットボタン及び上半身ベルトを有する作業椅子が米国特許第6224154号明細書に記載されている。座部及びフットレストの高さ、並びに座部及びフットレストの前後方向傾斜は、操作デバイスによってオペレータ自身が調整することができる。そこに示されている作業椅子は、ハーネスのための固定具が取り付けられたメインの支柱を更に備え、これにより、オペレータは、ハーネスに前傾することができ、自分の上半身を調整された位置で支持する。
【0006】
足による調整は、操作要素の数が多い場合、作業椅子の誤った調整をもたらす可能性があるので、作業椅子の機能の数及び調整可能性が増えている観点から、オペレータが手動で操作し得る操作デバイスによる調整手動は当然である。
【0007】
コンピュータ又はコンピュータ関連環境の分野から、制御信号を手動で入力するためのユーザインターフェースが、例えば、独国特許第602004006227号明細書から知られており、これは、特に、複数の入力感知軸を有する高機能を備え、それに沿って制御信号がユーザインターフェースによって検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許発明第102020103861号明細書
【特許文献2】独国実用新案第202018102964号明細書
【特許文献3】米国特許第6224154号明細書
【特許文献4】独国特許第602004006227号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特に誤った調整を伴わない、そのようなユーザインターフェースの動作は、入力中にユーザの高い集中度を必要とする。これにより、オペレータが実際の操作から注意をそらす可能性がある。
【0010】
そのことから出発して、本発明の目的は、改善された、可能な限り簡単で直感的な操作性を有するオペレータのための保持システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本目的は、請求項1に記載の保持システムによって解決される。
【0012】
本発明による保持システムは、複数の調整軸を備える支持デバイスと、操作デバイスと、を備える。支持デバイスは、支持デバイスによって支持されたオペレータの少なくとも1つの身体部分を位置及び/又は方向に保持するように構成される。操作デバイスは、調整軸を制御するように構成され、少なくとも部分的に一致する機能を有する、オペレータの把持範囲外に配置される少なくとも1つの第1の操作ユニットと、オペレータの把持範囲内に配置される第2の操作ユニットと、を備える。
【0013】
そうすることで、複数の操作ユニットにおける調整軸の制御を分離することが可能となる。第1の操作ユニットは、オペレータの把持範囲外に配置され、例えば、アシスタントなどの他の人が、支持デバイスの調整軸を制御するためにオペレータを支援することができる。これにより、オペレータが調整軸を誤って制御するリスクが低減され、オペレータは、可能な限り注意をそらすことなく手術に集中することができる。例えば、オペレータは、このようにして、支持デバイスの所望の調整軸を制御又は再調整することができ、どの位置及び/又は方向で保持したいか、又は現在の位置及び/又は方向のどのような変更を実行すべきかを更なる人に説明する。次いで、アシスタントは、第2の操作ユニットによって所望の位置及び/又は方向を調整することができる。
【0014】
本発明による保持システムの特徴は、位置及び/又は方向を調整し得る支持デバイスの操作デバイスである。操作デバイスは、好ましくは、第3及び第4の操作ユニットを更に備える。オペレータが操作中に支持デバイスの調整軸を制御し得るように、第2、第3、及び第4の操作ユニットは、特に、オペレータの把持範囲及び/又は足の範囲内に分散して配置される。第2、第3及び第4の操作ユニットの各々は、支持デバイスの複数の調整軸のうちの特定の調整軸に割り当てられる。支持デバイスのすべての調整軸によって規定される機能は、このようにして第2、第3、及び第4の操作ユニットに分散される。これにより、各機能に特定の位置、例えば、オペレータの右腕若しくは左腕の把持範囲、及び/又はオペレータの右足若しくは左足の足の範囲が割り当てられるので、オペレータにとって特に直感的な調整軸の制御が可能になる。第1の操作ユニットを把持範囲外、及びオペレータの足の範囲外に配置することにより、特に調整軸のすべてを制御することができる。
【0015】
把持範囲は、オペレータが自分の右手又は左手が届き得る支持デバイスの範囲を表す。足の範囲は、オペレータが自分の右足又は左足が届き得る範囲を表す。例えば、支持デバイスは、操作中にオペレータがその上に座り得るように構成される作業椅子とすることができる。作業椅子に座ったオペレータの位置及び/又は方向は、作業椅子によって支持される。操作ユニットの機能は、調整軸のうちの1つ又は複数によって制御される支持デバイスの位置及び/又は方向の調整のための動きを表すことが好ましい。調整軸は、特に、支持デバイスの少なくとも一部を調整方向に移動させるように構成されるデバイスである。支持デバイスの一部は、例えば、横方向支持部又は作業椅子の座部とすることができる。調整軸の移動は、並進及び/又は回転とすることができる。例えば、作業椅子は、調整デバイスによって、高さに特化して調整可能であり、横方向に枢動可能に構成され得る支柱支持部を備えることができる。支柱支持部には、例えば、支柱支持部に取り付けられた支持アームを介して、上半身保持デバイス、少なくとも1つ、好ましくは複数の横方向支持部及び/又はアームレスト、並びに座部など、追加の支持要素を取り付けることができる。追加の支持要素は、支柱支持部の上端部に配置されることが好ましい。
【0016】
特に、第2の制御ユニットによって制御され得る調整軸を、第1の制御ユニットによっても制御することができ、それによって、第1の制御ユニットを制御するアシスタントは、オペレータが第2の制御ユニットによって制御し得る調整軸を制御することもできる。
【0017】
一実施形態では、操作デバイスは、好ましくはオペレータの足の範囲に配置される解除デバイスを有する第3の操作ユニットを備える。解除デバイスは、特に、支持デバイスの調整軸のうちの少なくとも1つを保持モードから移動モードに、及びその逆に切り替えるように構成され、オペレータの被支持身体部分は、移動モードで移動することができ、支持デバイスによって保持モードで保持される。オペレータは、支持デバイスを保持モードから移動モードに切り替えて、被支持身体部分を調整方向に移動させることができる。例えば、所定時間は、0.5~4秒、好ましくは1~3秒、好ましくは2~3秒、又は少なくとも5秒の範囲内とすることができる。制御デバイスが、移動モードから保持モードに切り替わる、オペレータの被支持身体部分が一定の位置で静止しなければならない所定時間は、オペレータが、具合が良いと判断する期間に調整することができる。調整方向における身体部分の移動速度が約0m/秒である場合、すなわち、値0m/秒を中心とする許容範囲内である場合、オペレータの被支持身体部分は、少なくとも実質的に一定の位置を特にとる。許容範囲の限界値は、例えば、±0.2m/秒、±0.1m/秒、又は±0.05m/秒とすることができる。加えて、オペレータが、具合が良いと判断するように、許容範囲の限界値及び持続時間を調整することができる。
【0018】
好ましくは、第3の操作ユニットは、調整軸の調整方向におけるオペレータの動き、及び/又は調整軸のうちの少なくとも1つの調整方向における支持デバイスの動き、を検出するための複数のセンサユニットを有するセンサデバイスを備える。特に、センサユニットのセンサ信号は、第3の操作ユニットの制御信号として機能する。
【0019】
オペレータの被支持身体部分が所定時間にわたって位置に静止した場合、支持デバイスを移動モードから保持モードに切り替えるように構成される制御デバイスを、操作デバイスは備えることが好ましい。
【0020】
オペレータがこの位置に静止している短い時間の終了後に設定される移動モードで、オペレータは、所望の位置及び/又は方向をとることができる。支持デバイスによって保持モードに保持されるオペレータの位置の単純な調整は、支持デバイスの時間のかかる再配置を必要としない。
【0021】
好ましくは、第3の操作ユニットによって制御され得る調整軸は、第1の操作ユニットが制御することができる。これにより、動作概念における特定の冗長性が可能になる。したがって、オペレータ及びアシスタントも同じ調整軸を制御することができる。
【0022】
特に、第1の操作ユニットは、静止位置で弾性的に支持され、少なくとも3つの制御軸に沿って手動で移動され得る、制御要素と、操作されると、制御要素の制御軸と調整軸との間の制御要素の異なる割当てを設定する複数の操作要素と、を備える。更に、制御要素は、少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つの制御軸に沿って、特に好ましくは少なくとも6つの制御軸に沿って移動可能である。制御軸は、例えば、互いに直交して配置された3つの軸を含むことができ、制御要素を、例えば、静止位置から並進及び/又は回転方式で偏向させることができる。したがって、制御要素は、少なくとも6自由度を有することができる。
【0023】
第1の操作ユニットは、静止位置からの制御要素の手動で実行される偏向の量及び方向を検出し、偏向の量及び/又は方向に応じて支持デバイスの調整軸のうちの1つに制御信号を割り当てるように構成されることが好ましい。例えば、制御要素は、少なくとも1つの調整軸に割り当てられた複数の方向領域、例えば、少なくとも4つの方向領域を含む。そうすることで、複数の調整軸を、第1の操作ユニットの制御要素によって制御することができる。
【0024】
特に、第2の操作ユニットは、静止位置で弾性的に支持され、少なくとも3つの制御軸に沿って手動で移動され得る制御要素と、操作した場合、制御要素の制御軸と制御要素の調整軸との間の異なる割当てを規定する複数の操作要素と、を備える。
【0025】
第2の制御ユニットは、手動で実行される静止位置からの制御要素の偏向の量及び方向を検出し、偏向の量及び/又は方向に応じて支持デバイスの調整軸のうちの1つに制御信号を割り当てるように構成されることが好ましい。また、第2の操作ユニットの制御要素は、少なくとも1つの調整軸に割り当てられた複数の方向領域、例えば、4つの方向領域を有することができる。そうすることで、複数の調整軸を、第2の操作ユニットの制御要素によって制御することができる。
【0026】
好ましくは、制御ユニットは、第1及び第2の操作ユニットで少なくとも実質的に同時に入力された場合、第2の操作ユニットの入力に基づいて調整軸を制御し、第1の操作ユニットの入力を却下するように構成され、それによって、第2の操作ユニットによってオペレータが実行するオペレータの制御コマンドは、アシスタントの制御コマンドと比較して優先される。
【0027】
好ましくは、制御デバイスは、第3の操作ユニットの入力に基づいて調整軸を制御し、第3の操作ユニットが移動モードに切り替えられた場合、第1の操作ユニットでの入力を却下するように構成され、それによって、オペレータが第3の操作ユニットによって実行するオペレータの制御コマンドは、アシスタントの制御コマンドと比較して優先される。
【0028】
特に、第2の操作ユニットは、オペレータのために設けられた支持デバイスの横方向支持部の空洞内に位置する。第2の操作ユニットを、オペレータの把持範囲内に配置することができ、例えば、操作中にオペレータの肘による、第2の操作ユニットの制御要素の意図しない操作のリスクが低減される。更に、横方向支持部は、アームレストの遠位端部に配置された、好ましくは折り畳み可能な前腕レストを備えることができる。前腕レストは、剛性の支持位置を提供し、これにより、オペレータに自分の腕の配置場所を提供する。そうすることで、第2の操作ユニットの制御要素の意図しない動作のリスクも更に低減することができる。
【0029】
第1の操作ユニット及び第2の操作ユニットは、作動された場合、操作ユニットのそれぞれの制御要素を停止させる少なくとも1つの追加の操作要素を備える。オペレータが制御の実行を望まない場合、第1及び第2の操作ユニットの制御要素は、このようにして非作動状態に移行することができる。この状態では、オペレータ及び/又はアシスタントによる意図しない制御のリスクが更に低減される。
【0030】
本発明の有利な実施形態又は詳細の追加の詳細は、図面、明細書、及び従属請求項から導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明による保持システムの一実施形態の概略三次元図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、図示の例では、オペレータを座位に保持するために役立つ保持システム1を示し、オペレータの上半身は、オペレータが着用し得る、背もたれ部26を有する、ハーネスによって保持される。
【0033】
支持デバイス2は、前方及び/もしくは横方向に駆動することができ、並びに/又は高さを調整可能に構成される、プラットフォーム24を備える。プラットフォームは、オペレータが支持デバイス2にいる場合、オペレータが自分の足を支持し得る、フットレスト22と、別のフットレスト23と、を備える。フットレスト3は、更に、外科用器具など、器具の制御のためのフットペダルに関する保持部として機能することができる。
【0034】
プラットフォームの上側から、作業椅子27が、オペレータが座り得る垂直方向に延在する。作業椅子27は、高さを調整することができ、プラットフォーム24から垂直方向に延在する、支柱支持部19を備える。作業椅子27は、高さを制御するための調整軸v1を含む。
【0035】
支柱支持部19を有する作業椅子27は、更に、作業椅子27を横方向に枢動させるように構成される第2の調整軸v2を含む。本例では、第2の調整軸v2は、作業椅子27の横方向に隣接してそれぞれ配置された2つの線形駆動部(前方の物のみを示す)を備える。線形駆動部は、線形駆動部の長さの変化が作業椅子の枢動運動をもたらすように、作業椅子27及びプラットフォーム2に取り付けられる。線形駆動部は、一方の線形駆動部の正の長さ変化の場合、他方の線形駆動部は負の長さ変化を実行するように、反対方向に操作される。
【0036】
作業椅子27は、支柱支持部19から後方に延在する、支柱支持部19に取り付けられた第1の支持アーム20を更に備える。第1の支持アーム20の遠位端部では、作業椅子27の背後に立つ人が、第1の操作ユニット4によって調整軸v1、…、vnを制御し得るように、操作デバイス3の第1の操作ユニット4が、オペレータの把持範囲G外に取り付けられる。
【0037】
更に、支柱支持部19から出発して、第2の支持アーム21が前方に延在する。第2の支持アーム21の遠位端部では、座部28が、オペレータのために取り付けられる。座部28は、第2の支持アーム21に位置する第3の調整軸v3によって前後方向に傾斜するように構成される。
【0038】
第1の支持アーム20及び第2の支持アーム21は、支柱支持部19から1つの垂直位置で分岐する。この垂直位置の上方では、横方向支持部14及び追加の横方向支持部16が、支柱支持部19に取り付けられる。
【0039】
横方向支持部14は、横方向支持部14を座部28に対して移動させ得る調整軸v4を含む。横方向支持部14は、更に、横方向支持部の位置を横方向に調整し得る調整軸v5を含む。
【0040】
追加のアームレスト16はまた、座部28の上方の追加の横方向支持部の垂直位置を調整し得る調整軸v6を含む。加えて、追加の横方向支持部16は、追加の横方向支持部16の位置を横方向に調整し得る調整軸v7を備える。調整軸v5及びv7は、横方向支持部14と追加の横方向支持部16との間の距離を協働して調整するように、横方向支持部14、16を同期して移動するように構成される。あるいは、横方向支持部14及び16の位置は、横方向に互いに対して非同期的に制御可能である。
【0041】
更に、横方向支持部14及び追加の横方向支持部16は、ヒンジデバイスをそれぞれ備えることができ、それによって、横方向支持部14、16は、手動で上方に折り畳み可能である。これは、オペレータのためのいわゆるクイック出口又は緊急出口として機能する。
【0042】
横方向支持部14は、操作デバイス3の第2の操作ユニット5が配置される空洞13を備える。横方向支持部14の空洞13は、横方向支持部の上側に、並びに追加の横方向支持部16から外方に面する側に、配置される。横方向支持部14の遠位端部には、好ましくは、折り畳み可能又は伸長可能な前腕レスト17が配置され、オペレータが座部28に座った場合、オペレータは、前腕を支持させることができる。
【0043】
追加の横方向支持部16に面する横方向支持部14の側には、センサユニットs2が、追加的に取り付けられる。センサユニットs2は、横方向支持部14を押圧する力を測定するように構成される。
【0044】
追加の横方向支持部16は、上側に、並びに横方向支持部14から外方に面する側に、追加の空洞15を備える。追加の空洞15内には、操作デバイス3の第4の操作ユニット7が位置する。
【0045】
横方向支持部14に面する追加の横方向支持部16の側には、追加のセンサユニットs3が配置される。追加のセンサユニットs3は、追加の横方向支持部16を押圧する力を測定するように構成される。
【0046】
更に、作業椅子の設置を開始するために、力の低減などの力の変化を、センサユニットs2及び追加のセンサユニットs3によって検出することができる。オペレータが、自分の右側に配置された横方向支持部14のセンサユニットs2に上半身を押圧した場合、作業椅子は右側に枢動し、自分の左側に配置された追加の横方向支持部16の追加センサユニットs3に自分の上半身を押圧した場合、作業椅子はオペレータの左側に枢動する。
【0047】
更に、追加の横方向支持部16の遠位端部には、オペレータが手術中に自分の前腕を支持させ得る追加の前腕レスト18が配置される。
【0048】
横方向支持部14と16との間、並びに座部28の背後には、追加の支持部29が垂直方向に延在する。追加の支持部29には、牽引手段Zを有する上半身保持デバイス30が取り付けられる。牽引手段Zは、オペレータがハーネスに前傾することができるように、ハーネス25の背もたれ部26と機械的に連結することができ、上半身保持デバイス30は、牽引手段Zを介してオペレータの上半身に牽引力を加えるように構成される。上半身保持デバイス30は、オペレータの上半身を保持するように構成される。
【0049】
オペレータの上半身が、上半身保持デバイス30によって保持される傾斜角を調整するために、上半身保持デバイスは、牽引手段Zの長さ、したがって、上半身保持デバイス30とハーネス25の背もたれ部26との間の距離を調整するように構成される調整軸v8を含む。更に、上半身保持デバイス30はまた、牽引手段Zが上半身保持デバイスから出る位置を規定し得る調整手段を備えることができる。調整手段によって、この位置を、例えば、無段階又は離散的段階に調整及び/又は固定することができる。このようにして、上半身保持デバイス30をオペレータの身長に適合させることができる。座部に座ったオペレータの後方で牽引手段Zが上半身保持デバイス22から出る位置が、少なくともオペレータの肩の高さに配置されるように、上半身保持デバイス30を調整できることが好ましい。
【0050】
第3の操作ユニット6は、解除デバイス8と、解除デバイスと通信可能に接続される制御デバイス10と、を備え、制御デバイス10は、解除デバイス8が作動した場合、支持デバイス2の調整軸v1…、vnのうちの少なくとも1つを保持モードHから移動モードBに、又はその逆に切り替えるように構成される。本例では、解除デバイス8は、調整軸v1、v2、及びv8を保持モードHから移動モードBに、及びその逆に切り替えるように構成される。
【0051】
解除デバイス8は、本例では、オペレータの足の範囲Fに配置された操作要素b31と、オペレータの足の範囲Fに配置された追加の操作要素b32と、を備える。操作要素b31及びb32は、プラットフォーム24の上側の座部28の下方に配置される。
【0052】
第3の操作ユニット6は、更に、複数のセンサユニットs1、…、snを有するセンサデバイス9を備える。センサデバイス9のセンサ信号は、解除デバイス8の解除によって支持デバイス2が移動モードBに切り替えられた場合、第3の操作ユニット6の制御信号として機能する。オペレータの被支持身体部分が所定時間Iにわたって位置及び/又は方向で静止した場合、制御デバイス10は、支持デバイス2を移動モードから保持モードに切り替える。
【0053】
本例では、センサデバイス9は、4つのセンサユニットs1、s2、s3及びs4を備える。ただし、更に、センサデバイス9は、追加のセンサユニットs5、…、snを備えることができる。
【0054】
センサユニットs1は、座部28の高さを検出するように構成される。例えば、センサユニットs1は、座部28の高さ調整のためにガス圧ばねに取り付けられたホールセンサを備えることができる。代替的に、センサユニットs1は、座部28を押圧する力を検出する力センサを備えることもできる。センサユニットs1はまた、力の変化を検出するように構成することができる。このようにして、センサユニットs1は、例えば、座部28の荷重及び/又は緩和を検出することができる。
【0055】
横方向支持部14において、センサユニットs2は、座部28と対向する横方向支持部14の内側に位置する。センサユニットs2は、座部28に座ったオペレータの上半身が横方向支持部14を横方向に押圧する力を検出するように配置される。同様に、追加の横方向支持部16には、追加の力センサユニットs3が位置する。センサユニットs4は、上半身保持デバイス30内に位置し、牽引手段Zの長さL_Z及び/又は長さ変化を測定するように構成される。
【0056】
例えば、上半身保持デバイス30は、牽引手段Zが巻き付けられる、又はそこに巻き付けられる電気駆動ウインチを備えることができる。牽引手段のためのウインチの電気的駆動部は、ウインチを巻付け方向にほぼ一定のトルクで駆動するように特に制御することができ、これにより、牽引手段にほぼ一定の牽引力が加えられる。電気的に駆動されるウインチは、変速比を有する歯車を備えることが好ましくは、それによって、ウインチを、例えば、自動ロック方式で構成することができる。上半身保持デバイス30のセンサユニットs4は、牽引手段Zに作用する力又はウインチに加えられるトルクを検出するように構成することもできる。
【0057】
第1の操作ユニット4の概略三次元図を
図2に示す。第1の操作ユニットは、静止位置P10に弾性的に支持される制御要素11を備える。制御要素11は、第1の制御軸x1によって画定される第1の制御角φ1、第2の制御軸y1によって画定される第2の制御角θ1、及び第3の制御軸z1によって画定される第3の制御角ψ1の周りを移動することができる。制御軸x1、y1、z1は、互いに直交するように配置される。更に、第1の操作ユニット4は、第1の操作ユニット4の機能を切り替え得る追加の複数の操作要素b11、b12、b13、b14、b15を備える。第1の操作ユニット4は、作動した場合、制御要素11を停止させる追加の操作要素a1を更に備える。
【0058】
図3は、第2の操作ユニット5を示している。第2の操作ユニット5は、横方向支持部14の空洞13内に配置される。第2の操作ユニット5は、互いに直交して画定される3つの制御軸x2、y2及びz2を有する制御要素12を備える。制御角φ2、θ2、及びψ2は、制御軸x2、y2、z2の周りにそれぞれ画定される。制御要素12は、少なくとも方向φ2、θ2、及びψ2に移動することができる。第2の操作ユニット5は、操作要素b21と、作動した場合、操作ユニット5の制御要素12を停止させる追加の操作要素a2と、を更に備える。
【0059】
図4は、第4の操作ユニット7を示している。第4の操作ユニット7は、追加の横方向支持部16の追加の空洞15内に配置される。第4の操作ユニット7は、互いに直交して画定される3つの制御軸x4、y4及びz4を有する制御要素31を備える。制御軸x4、y4、z4の周りには、それぞれ1つの制御角φ4、θ4、及びψ4が画定される。制御要素31は、少なくとも方向φ4、θ4、及びψ4に移動することができる。第4の操作ユニット7は、操作要素b41、b42に加えて、追加の操作要素a4を備え、追加の操作要素a4は、操作時に第4の操作ユニット7の制御要素31を停止させる。
【0060】
ここまで説明したオペレータのための保持システム1は、以下のように動作する。
【0061】
操作保持システム1を実行するために、操作デバイス3によって制御される。オペレータは、背もたれ部26を有するハーネス25を装着し、作業椅子27の座部28に座る。背もたれ部26には、牽引手段Zの端部に取り付けられた第2の連結要素と相補的な第1の連結要素が取り付けられる。第1の連結要素及び第2の連結要素は、好ましくは磁石要素を備え、これにより、第1及び第2の連結要素は、連結中に予張力位置において互いに向かって往復運動する。予張力位置では、2つの連結要素が牽引手段Zをハーネス25の背もたれ部26に解除可能に連結するラッチ位置に、2つの連結要素を手動でシフトすることができる。オペレータが最初にハーネス25を装着し、その後、後部開口部を備える好ましくは無菌の手術用ガウンを引っ張る場合、他の人は、両方の連結要素を見る必要なしに、第1の連結要素を手術用ガウンの下の第2の連結要素と接続することができる。これにより、手術前の手順が早まる。
【0062】
ここで、オペレータは、左側の横方向支持部16の空洞15に位置する第4の操作ユニット7(
図4に示す)によって、横方向支持部14及び16の高さを制御することができる。この目的のために、オペレータは、操作要素b42を作動させる。オペレータは、制御要素31を第3の制御軸z4の方向に上下に押圧することによって、横方向支持部14、16の高さを手動で制御することができる。前方又は後方へのシフトは、第2の制御角θ4の方向における制御要素31の偏向に対応する。更に、オペレータは、制御要素31を時計回り方向及び反時計回り方向に回転させることによって、横方向支持部14と16との間の距離を制御することができる。これは、第1の制御角φ4の方向における制御要素31の偏向に対応する。
【0063】
また、オペレータは、座部28の傾斜を制御することができる。この目的のために、オペレータは、第4の操作ユニット7の操作要素b41を作動する。ここで、オペレータは、制御要素31を第2の制御角θ4の方向に偏向させることによって、座部28の傾斜を制御することができる。
【0064】
オペレータが自分の調整に満足している場合、オペレータは、第4の操作ユニット7の制御要素31を停止するように、追加の操作要素a4を押圧することができる。
【0065】
ここで、オペレータは、右側の横方向支持部14の空洞13に位置する第2の操作ユニット5によって、保持システム1を手術テーブルに移動させる。この目的のために、オペレータは、操作ボタンb21を作動させ、制御要素12によって保持システム1を制御する。制御角φ2の方向における制御要素12の偏向は、プラットフォーム24を右側又は左側に移動させる。制御角θ2の方向における制御要素12の偏向は、プラットフォーム24を前方又は後方に移動させる一方で、制御角ψ2の方向における制御要素12の偏向は、プラットフォーム24を回転させる。保持システム1が手術テーブルに届くと、オペレータは、追加の操作ボタンa2を押圧することで保持システム1の位置決めを終了する。それによって、制御要素12を停止する。
【0066】
オペレータは、自分自身の身体の動きによって、第3の操作ユニット6によって手術テーブルに対する自分の位置及び/又は方向を制御することができる。調整軸v1(作業椅子27の高さ調整)、v2(作業椅子27の横方向調整)、及びv8(上半身保持デバイス30の牽引手段長さ)は最初、保持モードHである。ここで、調整軸v1、v2の解除デバイス8は、操作要素b31を足で作動させることによってオペレータによって解除される。オペレータが、自分の足を使用して作業椅子27の座部28に荷重をかけたり、緩めたりすることで、作業椅子27の高さを調整し得るように、調整軸v1、v2は、ここで、移動モードBに切り替えられる。
【0067】
座部28の高さ調整中、高さは、センサユニットs1によって検出され、制御デバイス10に送信される。検出された高さが所定時間Iにわたって少なくとも実質的に一定のままであるとすぐに、制御ユニット10は、調整軸v1を移動モードBから保持モードHに切り替える。操作要素b31を作動することによって、制御デバイス10はまた、調整軸v2を保持モードHから移動モードBに切り替える。調整軸は、本例では、作業椅子27に横方向に隣接してそれぞれ配置された2つの線形駆動部(前方の物のみを示す)を備える。2つの線形駆動部は、線形駆動部の長さの変化が作業椅子の枢動運動をもたらすように、作業椅子27及びプラットフォーム24に取り付けられる。線形駆動部は、一方の線形駆動部の正の長さ変化の場合、他方の線形駆動部は負の長さ変化を実行するように、反対の意図で操作される。
【0068】
作業椅子27の横方向傾斜の調整時に、オペレータの上半身が横方向支持部14、16を押圧する力は、センサユニットs2及びs3によって検出され、制御デバイス10に送信される。オペレータが自分の上半身を右側の横方向支持部14に押圧する場合、作業椅子27は、右側に枢動する。しかし、オペレータが自分の上半身を左側の横方向支持部16に押圧する場合、作業椅子27は、左側に枢動する。制御デバイス10は、センサユニットs2、s3の力信号を評価するように構成される。力信号が所定時間Iにわたって少なくとも実質的に値0Nを有するとすぐに、制御デバイス10は、調整軸v2を移動モードBから保持モードHに切り替える。
【0069】
更に、オペレータは、足で操作要素b32を操作するという点で、自分の上半身の傾斜を調整することができる。操作要素b32を操作することによって、制御デバイス10は、上半身保持デバイス30の調整軸v8を保持モードHから移動モードBに切り替える。ここで、オペレータは、自分の上半身の傾斜を変更することができ、それによって、牽引手段Zの長さL_Zがそれぞれ変化する。上半身保持デバイス30には、牽引手段Zの長さL_Zを検出するように構成されるそれぞれのセンサユニットs4が位置する。センサユニットs4は、センサ信号を評価するように構成される制御ユニット10にそれぞれのセンサ信号を送信する。制御デバイス10は、牽引手段Zの長さL_Zの変化が少なくとも実質的に一定のままであると決定するとすぐに、上半身保持デバイス30を移動モードBから保持モードHに切り替える。
【0070】
追加的に、又は代替的に、制御デバイス10は、上半身保持デバイス30をホバーモードSに切り替えるように構成することができ、上半身保持デバイス30は、牽引手段Z及びハーネス25を介してオペレータの上半身に牽引力を加えるように構成される。牽引力によって、オペレータが自分の上半身を傾ける動作が、支持される。例えば、解除デバイス8が所定持続時間にわたって作動すると、制御デバイス10は、上半身保持デバイス30のホバーモードSを作動させるように構成することができる。例えば、このようにして、オペレータは、操作要素b32を、自分の足で0.5秒、1秒、又は1.5秒などの所定の期間押圧し続けることができる。操作要素b32が光バリアを備える場合、オペレータは、光バリアの解除領域内の所定の期間にわたって足を維持し、それに応じて自分の足でホバーモードSを作動することができる。オペレータは、位置及び/又は方向の変化のために操作ユニットを繰り返し操作する必要なく、オペレータによってわずかな抵抗として知覚される恒久的に加えられるリセット力によって、ホバーモードSの動作要件に従って自由に動くことができる。このようにして、オペレータは、器具を置く必要なくホバーモードSで直接移動することができ、それにもかかわらず、オペレータはある程度解放又は支持される。例えば、リセット力は、被支持身体部分の重力の60%、70%、80%、又は90%とすることができる。
【0071】
これにより、オペレータは、自分の器具を置く必要なしに、自分の身体の動きによって支持デバイス2を制御することができる。オペレータがこの位置に留まっている短い時間の終了後に設定される移動モードBで、オペレータは、所望の位置及び/又は方向をとることができる。支持デバイス2によって保持モードHに維持されるオペレータの位置の単純な調整は、支持デバイス2の時間のかかる再配置を不要にする。したがって、オペレータは、手術に集中することができ、保持システム1の操作によって集中力をそらすことが少ない。それによって、短時間で、潜在的に高い品質で手術を実行することができる。
【0072】
オペレータが実行する制御コマンドのすべては、代替的に、又は追加的に、第1の操作ユニット4を使用してアシスタントが実行することもできる。
【0073】
アシスタントは、第1の操作ユニット4によって保持システム1を手術テーブルに移動させることができ、保持システム1を再配置することができる。この目的のために、アシスタントは、操作ボタンb11を操作し、制御要素11によって保持システム1を制御する。制御角φ1の方向における制御要素11の偏向は、プラットフォーム24を右側又は左側に移動させる。制御角θ1の方向における制御要素11の偏向は、プラットフォーム24を前方又は後方に移動させる一方で、制御角ψ2の方向における制御要素11の偏向は、プラットフォーム24を回転させる。
【0074】
加えて、アシスタントは、操作要素b12を押圧するという点で、制御要素11の偏向によって作業椅子27の高さ及び横方向傾斜を制御することができる。ここで、制御角θ1の方向における制御要素11の偏向は、調整軸v1を制御する一方で、制御角φ1の方向における制御要素11の偏向は、調整軸v2を制御する。
【0075】
アシスタントはまた、操作要素b13を押圧し、制御要素11を制御角θ1の方向に偏向させるという点で、座部28の傾斜を制御することができる。更に、アシスタントは、操作要素b14の作動、及び制御要素11の制御角θ1の方向における偏向によって、横方向支持部14、16を調整することができる。加えて、アシスタントは、第1の操作ユニット4を使用して操作要素b15を操作し、制御要素11を制御角θ1の方向に偏向させることによって、牽引手段Zを上下に巻き付けることができる。
【0076】
保持システム1が所望の位置にもたらされると、アシスタントは、追加の操作ボタンa1を押圧するという点で、保持システム1の位置決めを終了することができる。それによって、制御要素11を停止する。
【0077】
本発明による保持システム1は、複数の調整軸v1、…、vnを有する支持デバイス2と、操作デバイス3と、を備える。支持デバイス2は、支持デバイス2によって支持されたオペレータの少なくとも1つの身体部分を位置及び/又は方向に保持するように構成される。操作デバイス3は、調整軸v1、…、vnを制御するように構成され、少なくとも部分的に一致する機能を有する、オペレータの把持範囲G外にある少なくとも1つの第1の操作ユニット4と、オペレータの把持範囲G内に配置される第2の操作ユニット5と、を備える。好ましくは、操作デバイス3は、更に、オペレータが自分の身体の動きによって支持デバイス2を制御し得る第3の操作ユニット6と、オペレータの把持範囲G内に配置される第4の操作ユニット7と、を備える。これにより、支持デバイス2のすべての調整軸によって規定される機能を操作ユニット4、5、6、7で分離することができ、それによって、調整軸v1、…、vnの特に直感的な制御をオペレータが実現することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 保持システム
2 支持デバイス
3 操作デバイス
4 第1の操作ユニット
5 第2の操作ユニット
6 第3の操作ユニット
7 第4の操作ユニット
8 解除デバイス
9 センサデバイス
10 制御デバイス
11 第1の操作ユニットの制御要素
12 第2の操作ユニットの制御要素
13 空洞
14 横方向支持部
15 追加の空洞
16 追加の横方向支持部
17 前腕レスト
18 追加の横方向支持部の追加の前腕レスト
19 支柱支持部
20 第1の支持アーム
21 第2の支持アーム
22 フットレスト
23 追加のフットレスト
24 プラットフォーム
25 ハーネス
26 ハーネスの背もたれ部
27 作業椅子
28 座部
29 追加の支持部
30 上半身保持デバイス
31 第4の操作ユニットの制御要素
a1 第1の操作ユニットの追加の操作要素
a2 第2の操作ユニットの追加の操作要素
a4 第2の操作ユニットの追加の制御要素
b11…、b1n 第1の操作ユニットの操作要素
b21…、b2n 第2の操作ユニットの操作要素
b41…、b4n 第4の操作ユニットの操作要素
B 移動モード
F オペレータの足の範囲
G オペレータの把持範囲
H 保持モード
I 所定時間
P1 第1の操作ユニットの制御要素の静止位置
P2 第2の操作ユニットの制御要素の静止位置
S ホバーモード
s1…、sn 複数のセンサユニット
v1…、vn 複数の調整軸
x1 第1の操作ユニットの制御要素の第1の制御軸
y1 第1の操作ユニットの制御要素の第2の制御軸
z1 第1の操作ユニットの制御要素の第3の制御軸
φ1 第1の操作ユニットの制御要素の第1の制御角
θ1 第1の操作ユニットの制御要素の第2の制御角
ψ1 第1の操作ユニットの制御要素の第3の制御角
x2 第2の操作ユニットの制御要素の第1の制御軸
y2 第2の操作ユニットの制御要素の第2の制御軸
z2 第2の操作ユニットの制御要素の第3の制御軸
φ2 第2の操作ユニットの制御要素の第1の制御角
θ2 第2の操作ユニットの制御要素の第2の制御角
ψ2 第2の操作ユニットの制御要素の第3の制御角
x4 第4の操作ユニットの制御要素の第1の制御軸
y4 第4の操作ユニットの制御要素の第2の制御軸
z4 第4の操作ユニットの制御要素の第3の制御軸
φ4 第4の操作ユニットの制御要素の第1の制御角
θ4 第4の操作ユニットの制御要素の第2の制御角
ψ4 第4の操作ユニットの制御要素の第3の制御角
Z 牽引手段
【手続補正書】
【提出日】2024-10-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータのための保持システム(1)であって、
-複数の調整軸(v1、…、vn)を備える支持デバイス(2)であって、前記支持デバイス(2)によって支持された前記オペレータの少なくとも1つの身体部分を位置及び/又は方向に保持するように構成される支持デバイス(2)と、
-前記調整軸(v1、…、vn)を制御するための操作デバイス(3)であって、少なくとも部分的に一致する機能を有する、前記オペレータの把持範囲(G)外に配置される少なくとも1つの第1の操作ユニット(4)と、前記オペレータの把持範囲(G)内に配置される第2の操作ユニット(5)と、を備える操作デバイス(3)と、を備える、
保持システム(1)。
【請求項2】
前記第2の操作ユニット(5)によって制御され得る前記調整軸(v1、…、vn)を、前記第1の操作ユニット(4)によっても制御することができることを特徴とする、
請求項1に記載の保持システム(1)。
【請求項3】
前記操作デバイス(3)が、好ましくは前記オペレータの足の範囲(F)に配置される解除デバイス(8)を有する第3の操作ユニット
(6)を備え、前記解除デバイス(8)が、前記支持デバイス(2)の前記調整軸(v1、…、vn)のうちの少なくとも1つを保持モード(H)から移動モード(B)に、及びその逆に切り替えるように構成され、
前記オペレータの被支持身体部分が、前記移動モード(B)で移動することができ、前記支持デバイス(2)によって前記保持モード(H)で保持されることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の保持システム(1)。
【請求項4】
前記第3の操作ユニット(6)が、前記調整軸(v1、…、vn)の調整方向における前記オペレータの動き、及び/又は前記調整軸(v1、…、vn)のうちの少なくとも1つの調整方向における前記支持デバイス(2)の動きを検出するための複数のセンサユニット(s1、…、sn)を有するセンサデバイス(9)を備えることを特徴とする、
請求項3に記載の保持システム(1)。
【請求項5】
前記センサデバイス(9)のセンサ信号が、制御信号として前記第3の操作ユニット(6)で機能することを特徴とする、
請求項4に記載の保持システム(1)。
【請求項6】
前記オペレータの被支持身体部分が所定時間(I)にわたって位置に留まっている場合、前記支持デバイス(2)を前記移動モード(B)から前記保持モード(H)に切り替えるように構成される制御デバイス(10)を、前記操作デバイス(3)が備えることを特徴とする、
請求項
3に記載の保持システム(1)。
【請求項7】
前記第3の操作ユニット(6)によって制御可能な前記調整軸(v1、…、vn)も、前記第1の操作ユニット(4)が制御可能であることを特徴とする、
請求項
3に記載の保持システム(1)。
【請求項8】
前記第1の操作ユニット(4)が、
-静止位置(P10)に弾性的に支持され、少なくとも3つの制御軸(φ1、θ1、ψ1)に沿って手動で移動可能な制御要素(11)と、
-作動した場合、前記制御要素(11)の前記制御軸(φ1、θ1、ψ1)と前記調整軸(v1、…、vn)との間の前記制御要素(11)の異なる割当てを設定する複数の操作要素(b11、…、b1n)と、を備えることを特徴とする、
請求項
1に記載の保持システム(1)。
【請求項9】
前記第1の操作ユニット(5)が、
-手動で実行される前記静止位置(P10)からの前記制御要素(11)の偏向の量及び方向を検出し、
-前記偏向の前記量及び/又は前記方向に応じて前記支持デバイス(2)の前記調整軸(v1、…、vn)のうちの1つに制御信号を割り当てるように構成されることを特徴とする、
請求項8に記載の保持システム(1)。
【請求項10】
前記第2の操作ユニット(5)が、
-静止位置(P20)に弾性的に支持され、少なくとも3つの制御軸(φ2、θ2、ψ2)に沿って手動で移動可能な制御要素(12)と、
-作動した場合、前記制御要素(12)の前記制御軸(φ2、θ2、ψ2)と前記調整軸(v1、…、vn)との間の前記制御要素(12)の異なる割当てを設定する複数の操作要素(b21、…、b2n)と、を備えることを特徴とする、
請求項
1に記載の保持システム(1)。
【請求項11】
前記第2の操作ユニット(5)が、
-手動で実行される前記静止位置からの前記制御要素(12)の偏向の量及び方向を検出し、
-前記偏向の前記量及び/又は前記方向に応じて前記支持デバイス(2)の前記調整軸(v1、…、vn)のうちの1つに制御信号を割り当てるように構成されることを特徴とする、
請求項10に記載の保持システム(1)。
【請求項12】
前記制御デバイス(10)が、前記第1及び第2の操作ユニット(4、5)で少なくとも実質的に同時に入力された場合、前記第2の操作ユニット(5)の入力に基づいて前記調整軸(v1、…、vn)を制御し、前記第1の操作ユニット(4)の入力を却下するように構成されることを特徴とする、
請求項
6に記載の保持システム(1)。
【請求項13】
前記制御デバイス(10)が、前記第3の操作ユニット(6)の入力に基づいて前記調整軸(v1、…、vn)を制御し、前記第3の操作ユニットが前記移動モード(B)に切り替えられた場合、前記第1の操作ユニット(4)での入力を却下するように構成されることを特徴とする、
請求項
6に記載の保持システム(1)。
【請求項14】
前記第2の操作ユニット(6)が、前記支持デバイス(2)の前記オペレータのために設けられた横方向支持部(14)の空洞(13)内に位置することを特徴とする、
請求項
1に記載の保持システム(1)。
【請求項15】
前記第1の操作ユニット(4)及び前記第2の操作ユニット(5)が、作動した場合、前記操作ユニット(4、5)の前記それぞれの制御要素(11、12)を停止させる少なくとも1つの追加の操作要素(a10、a20)を備えることを特徴とする、
請求項
1に記載の保持システム(1)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
支持デバイス2は、前方及び/もしくは横方向に駆動することができ、並びに/又は高さを調整可能に構成される、プラットフォーム24を備える。プラットフォームは、オペレータが支持デバイス2にいる場合、オペレータが自分の足を支持し得る、フットレスト22と、別のフットレスト23と、を備える。フットレスト22、23は、更に、外科用器具など、器具の制御のためのフットペダルに関する保持部として機能することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
オペレータの上半身が、上半身保持デバイス30によって保持される傾斜角を調整するために、上半身保持デバイスは、牽引手段Zの長さ、したがって、上半身保持デバイス30とハーネス25の背もたれ部26との間の距離を調整するように構成される調整軸v8を含む。更に、上半身保持デバイス30はまた、牽引手段Zが上半身保持デバイスから出る位置を規定し得る調整手段を備えることができる。調整手段によって、この位置を、例えば、無段階又は離散的段階に調整及び/又は固定することができる。このようにして、上半身保持デバイス30をオペレータの身長に適合させることができる。座部に座ったオペレータの後方で牽引手段Zが上半身保持デバイス30から出る位置が、少なくともオペレータの肩の高さに配置されるように、上半身保持デバイス30を調整できることが好ましい。
【国際調査報告】