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特表2025-505700オペレータのための保持システム及びオペレータを保持するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】オペレータのための保持システム及びオペレータを保持するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/60 20160101AFI20250220BHJP
【FI】
A61B90/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547326
(86)(22)【出願日】2023-02-09
(85)【翻訳文提出日】2024-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2023053179
(87)【国際公開番号】W WO2023152213
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】102022103151.9
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524107665
【氏名又は名称】ヘルスターン メディカル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】ヘルスターン・サブリナ
(72)【発明者】
【氏名】ソダー・クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】ストロベル・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ラガー・ハーラルト
(57)【要約】
保持システム(1)は、オペレータの少なくとも1つの身体部分を保持するための支持デバイス(10)と、解除デバイス(13)と、を備え、オペレータの少なくとも1つの身体部分を調整可能な位置に保持するように機能する。支持デバイス(10)は、支持デバイス(10)を移動モード(B)と保持モード(H)との間で切り替えるように設計される制御ユニット(12)であって、オペレータの被支持身体部分が、移動モード(B)で少なくとも調整方向に移動することができ、支持ユニットによって位置及び/又は方向で保持モード(H)において保持される、制御ユニット(12)を有する。制御ユニット(12)は、オペレータの被支持身体部分が所定時間にわたって少なくとも実質的に一定の位置及び/又は方向に留まる場合、支持デバイス(10)を移動モード(B)から保持モード(H)に切り替えるように設計される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータのための保持システム(1)であって、
-前記オペレータの少なくとも1つの身体部分を保持するための支持デバイス(10)であって、前記支持デバイス(10)を移動モード(B)と保持モード(H)との間で切り替えるように構成される制御デバイス(12)を備える支持デバイス(10)を備え、前記オペレータの被支持身体部分が、前記移動モード(B)で調整方向に移動することができ、前記支持デバイス(10)によって位置(P)及び/又は方向で前記保持モード(H)において保持され、
-前記制御デバイス(12)と通信可能に接続され、前記支持デバイス(10)を前記保持モード(H)から前記移動モード(B)に切り替えるように構成される解除デバイス(13)を備え、
前記制御デバイス(12)が、前記オペレータの前記被支持身体部分が所定時間(I)にわたって少なくとも実質的に一定の位置及び/又は方向をとる場合、前記支持デバイス(10)を前記移動モード(B)から前記保持モード(H)に切り替えるように構成される、
保持システム(1)。
【請求項2】
前記支持デバイス(10)が、前記被支持身体部分の動きを検出するためのセンサユニット(11)を備え、前記制御デバイス(12)が、前記センサユニット(11)からセンサデータ(D)を受信し、前記センサデータ(D)に基づいて前記支持デバイス(10)を前記移動モード(B)から前記保持モード(H)に切り替えるように構成されることを特徴とする、
請求項1に記載の保持システム(1)。
【請求項3】
前記解除デバイス(13)が、前記移動モード(B)を解除するための少なくとも1つの操作要素を備えることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の保持システム(1)。
【請求項4】
前記オペレータが前記操作要素(14)に少なくとも足で届き得るように、前記解除デバイス(13)が配置されることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか一項に記載の保持システム(1)。
【請求項5】
前記支持デバイス(10)が、前記保持モード(H)及び/又は前記移動モード(B)において少なくとも1つの調整方向に前記支持デバイス(10)を移動するように構成される少なくとも1つのアクチュエータ(25a...,25d)を備えることを特徴とする、
請求項1から4のいずれか一項に記載の保持システム(1)。
【請求項6】
前記支持デバイス(10)が、座部(15)と、座部高さを調整するための第1の調整デバイス(16)と、を有する作業椅子を備えることを特徴とする、
請求項1から5のいずれか一項に記載の保持システム(1)。
【請求項7】
前記センサユニット11が、前記第1の調整デバイス(16)内に位置する少なくとも1つのセンサ要素(17)を備え、前記センサ要素(17)が、座部高さを検出するように構成されることを特徴とする、
請求項6に記載の保持システム(1)。
【請求項8】
前記第1の調整デバイス(16)が、前記移動モード(B)における力(F_H)によって前記オペレータの移動を支持するように構成されることを特徴とする、
請求項6又は7に記載の保持システム(1)。
【請求項9】
前記作業椅子(18)が、座部の横方向の傾斜を調整するための第2の調整デバイス(19)と、少なくとも1つの横方向支持部(20)と、前記横方向支持部(20)に作用する横方向の力を検出するために前記横方向支持部(20)に配置される少なくとも1つの力センサユニット(21)と、を備えることを特徴とする、
請求項6から8のいずれか一項に記載の保持システム(1)。
【請求項10】
前記第2の調整デバイス(19)が、前記力センサユニット(21)のセンサ信号に基づいて、前記移動モード(B)における前記作業椅子(18)の横方向傾斜角を調整するように構成され、
前記力センサユニット(21)の前記センサ信号が前記所定時間(I)にわたって少なくとも実質的に0Nである場合、前記制御デバイスが、前記第2の調整デバイス(19)を前記移動モード(B)から前記保持モード(H)に切り替えるように構成されることを特徴とする、
請求項9に記載の保持システム(1)。
【請求項11】
前記作業椅子(18)が、牽引手段(Z)を有する上半身保持デバイス(22)を備え、前記牽引手段(Z)が、前記オペレータが着用し得るハーネス(23)の背もたれ部(4)に解除可能に取り付けることができ、
前記上半身保持デバイス(22)が、前記保持モード(H)において前記オペレータの上半身が傾斜角で保持されるように配置されることを特徴とする、
請求項6から10のいずれか一項に記載の保持システム(1)。
【請求項12】
前記解除デバイス(13)の解除の場合、前記制御デバイス(12)が、所定時間にわたって前記上半身保持デバイス(22)をホバーモード(S)に切り替えるように構成され、前記上半身保持デバイス(22)が、前記ホバーモード(S)において、前記牽引手段(Z)及び前記ハーネス(23)を介して前記オペレータの上半身に牽引力(F_Z)を加えるように構成されることを特徴とする、
請求項11に記載の保持システム(1)。
【請求項13】
前記解除デバイス(13)が再び解除された場合、前記制御デバイス(12)が、前記ホバーモード(S)から前記保持モード(H)に切り替わるように構成されることを特徴とする、
請求項12に記載の保持システム(1)。
【請求項14】
特に請求項1から13のいずれか一項に記載の保持システム(1)によってオペレータを保持するための方法であって、前記方法が、
-前記オペレータの少なくとも1つの被支持身体部分を位置(P)及び/又は方向に保持するステップ(H)と、
-前記オペレータの前記被支持身体部分を少なくとも1つの調整方向に移動し得る移動モード(B)を解除するステップ(V1)と、
-前記オペレータの前記被支持身体部分が所定時間(I)にわたって少なくとも実質的に一定の位置及び/又は方向をとる場合、前記移動モード(B)から前記保持モード(H)に切り替えるステップ(V2)と、を含む、
方法。
【請求項15】
前記保持モード(H)では、前記移動モード(B)の前記解除(V1)が、足によって実行することができることを特徴とする、
請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術におけるオペレータのための保持システム、並びに、例えば、研究室職員又は歯科医のための保持システムに関する。
【背景技術】
【0002】
オペレータのためのアームレスト又はフットレストを伴う又は伴わない作業椅子など、オペレータのための保持システムは、既に知られており、オペレータが長時間の手術、強制された姿勢での手術、及び/又は疲労を軽減したもしくは軽減しない微細な運動技能に対する特別な要件を伴う手術を実行することができ、理想的な場合には信頼性が高く高品質で微細な運動技能を実行し得るような保持方法で、手術テーブルに通常立っているオペレータを、一般的に支持するために役立つ。
【0003】
作業椅子は、手術中のオペレータのニーズに適合するように、通常調整可能に構成される。例えば、独国特許発明第102020103861号明細書から、高さ、並びに横方向及び前後方向に、枢動式に調整され得る作業椅子が知られている。
【0004】
独国実用新案第202018102964号明細書は、2つのフットペダルを有する高さ調整可能な作業椅子を記載しており、オペレータがオペレータ椅子に座ることによる作業椅子の高さの調整は、フットペダルによって実行することができる。更に、作業椅子は、調整された高さを記憶し、再起動時に記憶した高さにすることができる。
【0005】
更に、拘束可能なヒンジアームを有する作業椅子が、欧州特許出願公開第0868885号明細書に開示されており、これは、椅子に座っているオペレータの腕を支持するように構成されている。オペレータは、フットペダルによって保持アームの傾斜を調整することができる。オペレータがフットペダルを作動した場合、油圧オイルが油圧ポンプによってシリンダチャンバ内に圧送され、それによって、ピストンが、ばね要素に引っ張られ、ヒンジアームの回転を解除する。オペレータがフットペダルから自分の足を離すとすぐに、油圧ポンプは停止し、これにより、ばね要素は、ピストンを押し戻し、ヒンジアームをブロックする。
【0006】
更に、腹腔鏡手術で使用するための駆動可能なプラットフォーム上に配置される作業椅子が、米国特許出願公開第2016/0000631号明細書に記載されている。作業椅子は、支柱によって支持された座部を備え、座部の前部にある胸部支持部は、複数の調整可能な支持パッドを備える。胸部支持部は、オペレータにとって最も人間工学的な着座位置を実現するように調整することができる。それによって、座位の調整のために、手術される患者の位置、オペレータに関する生体情報、及びオペレータの所望の位置、例えば、座部高さ、座部傾斜、又はプラットフォームの上方のフットレストの所望の高さに関して手術の前にシステムに入力を行う必要がある。次いで、この情報に基づいて、作業椅子が較正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許発明第102020103861号明細書
【特許文献2】独国実用新案第202018102964号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0868885号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2016/0000631号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
手術中に、オペレータが患者に対する自分の位置を頻繁に変更することが起こり得るので、これにより、それに応じて作業椅子を再調整しなければならない。
【0009】
足による調整が、操作要素の数が多い場合、作業椅子の誤った調整をもたらす可能性があるので、作業椅子の機能の数及び調整可能性が増えていることを考慮すると、手動調整は当然であり、またオペレータが手動で操作し得る操作デバイスによる調整も当然である。
【0010】
しかしながら、作業椅子を手動で調整すると、オペレータは、自分の手に持った手術器具を置く必要があり、したがって操作プロセスを中断しなければならない。オペレータは、作業椅子の調整後にのみ、手術を継続することができる。したがって、オペレータは、作業椅子の手動調整により手術工程から離れることになる。このようなオペレータの位置変化が多数必要な手術では、手術が間延びすることになる。
【0011】
そのことから出発して、本発明の目的は、可能な限り簡単で直感的に調整可能な多数の異なる位置にオペレータの身体を保持し得るシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本目的は、請求項1に記載のオペレータのための保持システムによって解決される。
【0013】
本発明による保持システムは、オペレータの少なくとも身体部分を保持するための支持デバイスと、解除デバイスと、を備える。特に、支持デバイスは、腕、足の片方又は両方、上半身、又は全身など、少なくとも身体部分を保持するように構成される。支持デバイスは、支持デバイスを移動モードと保持モードとの間で切り替えるように構成される制御デバイスを備え、オペレータの被支持身体部分が、移動モードで少なくとも1つの調整方向に移動可能であり、支持デバイスによって位置及び/又は方向で保持モードにおいて保持される。調整方向は、例えば、オペレータの座部高さ、着座したオペレータの横方向傾斜角又は上半身傾斜角とすることができる。解除デバイスは、制御デバイスと通信可能に接続され、特にそれぞれの信号が解除デバイスから受信された場合、支持デバイスを保持モードから移動モードに切り替えるように構成される。制御デバイスは、オペレータの被支持身体部分が所定時間の間に実質的に一定の位置及び/又は方向をとる場合、支持デバイスを移動モードから保持モードに切り替えるように構成される。所定時間は、例えば、0.5~4秒、好ましくは1~3秒、好ましくは2~3秒、又は少なくとも5秒の範囲内とすることができる。制御デバイスが、移動モードから保持モードに切り替わる、オペレータの身体部分が一定の位置で静止しなければならない所定時間は、オペレータが、具合が良いと判断する期間に調整することができる。調整方向における身体部分の移動速度が約0m/秒である場合、すなわち、値0m/秒を中心とする許容範囲内である場合、オペレータの被支持身体部分は、少なくとも実質的に一定の位置を特にとる。許容範囲の限界値は、例えば、±0.2m/秒、±0.1m/秒、又は±0.05m/秒とすることができる。加えて、許容範囲の限界値を、オペレータにとって具合が良いと判断する時間とともに調整することができる。
【0014】
オペレータは、解除デバイスを作動させることによって、支持デバイスを保持モードから移動モードに切り替え、被支持身体部分を調整方向に移動させることができる。オペレータは、被支持身体部分の位置に満足するとすぐに、この位置で静止することができる。制御デバイスは、オペレータの被支持身体部分が一定の位置に静止していることを検出し、移動モードから保持モードに切り替える。これにより、オペレータの身体の動きによって支持デバイスの特に直接的で直感的な操作が可能になる。また、支持デバイスを調整するための複雑な操作ユニットを省略することができ、それによって、支持デバイスの誤操作のリスクが低減される。移動モードでは、オペレータは、オペレータがこの位置に静止している短い時間の終了後に、設定される所望の位置及び/又は方向をとることができる。支持デバイスによって保持モードに保持されるオペレータの位置の単純な調整は、支持デバイスの時間のかかる再配置を不要にする。したがって、オペレータは、手術に集中することができ、保持システムの操作によって集中力をそらすことが少ない。そうすることで、短時間で、潜在的に高い品質で手術を実行することができる。
【0015】
本発明の保持システムの特殊性は、オペレータの被支持身体部分が予め設定された時間にわたって1つの位置に静止した場合、支持デバイスを移動モードから保持モードに切り替える制御デバイスである。
【0016】
移動モードの解除(リリース)中及び/又はその解除後に、制御デバイスは、オペレータに移動モードの解除を示す音響信号及び/又は光学信号を更に生成することができる。移動モードを解除することと、支持デバイスを保持モードから移動モードに切り替えることとの間に、更に、予め設定された遅延時間を設けることができる。これは、オペレータが移動モードで不安定になる位置にいる場合、特に有利である。遅延時間は調整することができ、例えば、少なくとも3秒、2秒、1秒、0.5秒又は0.3秒とすることができる。
【0017】
好ましくは、支持デバイスは、被支持身体部分の動きを検出するためのセンサユニットを備え、制御デバイスは、センサユニットからセンサデータを受信し、センサデータに基づいて支持デバイスを移動モードから保持モードに切り替えるように構成される。センサユニットにより、制御デバイスは、センサデータに基づいて、オペレータの被支持身体部分が、これ以上動くか否かを決定することができる。センサユニットは、例えば、支持デバイスのストラット、ロッド又はヒンジなど、個々の部品の動きに基づいて、被支持身体部分の動きを直接的又は間接的に検出することができる。センサユニットは、例えば、横方向支持部又は他の位置に圧力センサを備えることができる。例えば、センサユニットはまた、作業椅子の高さ調整を支持する閉塞可能なガス圧ばねのピストンロッドに取り付けられた別個の位置センサを備えることができる。しかしながら、センサユニットは、例えば、アクチュエータのモータ電流及び/又はアクチュエータに印加される電圧が検出され、評価されるという点で、例えば、支持デバイスの部品の被支持移動のために設けられた、アクチュエータを監視するアクチュエータ内に配置されたセンサ又は回路を備えることもできる。
【0018】
解除デバイスは、移動モードを解除するための少なくとも1つの操作要素を備えることが好ましい。例えば、操作要素は、電気スイッチ、電気ボタン若しくは光バリア、又は誘導若しくは容量センサを備えることができる。解除デバイスの操作要素は、オペレータが足の動きによって移動モードを解除し得るように、作業椅子に座ったオペレータの足元の範囲に配置されることが好ましい。操作要素は、光バリアを備えていることが好ましい。
【0019】
解除デバイスは、オペレータが操作要素に少なくとも足で届くように配置されることが好ましい。このようにすることで、オペレータは、手を使用することなく、支持デバイスを保持モードから移動モードに、移動モードから保持モードに切り替えることができる。
【0020】
特定の実施形態において、解除デバイスは、移動モードにおいて支持デバイスの様々な調整方向に割り当てられる少なくとも2つの操作要素を備えることが好ましい。例えば、オペレータが、自分の右足で第1の操作要素に届くように、第1の操作要素を配置することができる。例えば、作業椅子の高さ及び/又は横方向の枢動角の調整を解除するように、第1の操作要素を構成することができる。例えば、オペレータが、自分の左足で第2の操作要素に届くように、第2の操作要素を配置することができる。例えば、オペレータの上半身傾斜角の調整のための移動モードを解除するように、第2の操作要素を構成することができる。例えば、作業椅子は、高さに特化して調整可能であり、横方向に枢動可能であるように構成され得るベース支柱を備えることができる。ベース支柱には、上半身保持デバイス、少なくとも1つ、好ましくは複数の横方向支持部及び/又はアームレスト、並びに座部など、追加の支持要素を取り付けることができる。追加の支持要素は、ベース支柱の上端部に取り付けられることが好ましい。
【0021】
特に、支持デバイスは、保持モード及び/又は移動モードにおいて少なくとも1つの調整方向に支持デバイスを移動するように構成された少なくとも1つのアクチュエータを備える。例えば、少なくとも1つのアクチュエータは、移動モードにおいてガス圧ばねの解除ピンを押圧するアクチュエータとすることができる。アクチュエータは、例えば、支持デバイスの一部を移動させるように構成された1つ又は複数の電気サーボモータを更に備えることができる。
【0022】
一実施形態では、支持デバイスは、座部と、座部高さを調整するための第1の調整デバイスと、を有する作業椅子を備える。オペレータは、手術中に座部に座ることができる。好ましくは、センサユニットは、第1の調整デバイス内に位置する少なくとも1つのセンサ要素を備え、それによって、センサ要素は、座部高さを検出するように構成される。
【0023】
好ましくは、第1の調整デバイスは、力によって移動モードにおけるオペレータの移動を支持するように構成される。それによって、支持力は、オペレータの被支持身体部分の重力を打ち消す。例えば、第1の調整デバイスは、電気モータによって駆動される閉塞可能なガス圧ばね又はジャッキねじを備えることができる。
【0024】
作業椅子は、座部の横方向の傾斜を調整するための第2の調整デバイスと、少なくとも1つの横方向支持部と、横方向支持部に作用する横方向の力を検出するために横方向支持部に配置される少なくとも1つの力センサユニットと、を特に備える。好ましくは、横方向支持部は、作業椅子の座部に隣接して横方向に延在する。力センサユニットは、座部に対向する横方向支持部の内側に配置されることが好ましく、これにより、例えば、オペレータが自分の上半身を横方向に動かした場合に、座部に座ったオペレータの上半身が横方向支持部を横方向に押圧する力を検出する。したがって、力センサユニットのセンサ信号を使用して、オペレータの横方向の動きを検出することができる。
【0025】
好ましくは、第2の調整デバイスは、力センサユニットのセンサ信号に基づいて、作業椅子の横方向傾斜角を調整するように構成される。このように、オペレータは、自分の上半身が横方向支持部を押圧するよう、自分の体重を変位させるという点で、自分の上半身を用いてできるだけ簡単で、直感的に作業椅子の所望の横方向傾斜角を調整することができる。好ましくは、作業椅子は、追加の横方向支持部に横方向に作用する力を検出するために、追加の横方向支持部に配置された少なくとも1つの追加の力センサユニットを有する追加の横方向支持部を備える。追加の横方向支持部は、作業椅子の反対側の作業椅子の座部の横にも横方向に延在することが好ましい。追加の力センサユニットは、座部に対向する追加の横方向支持部の内側に配置されることが好ましく、これにより、追加の力センサユニットは、座部に座ったオペレータの上半身が追加の横方向支持部を横方向に押圧する力を検出する。更に、作業椅子の設置を開始するために、力の低減などの力の変動を検出することができる。オペレータが、右側に配置された横方向支持部の力センサユニットに上半身を押圧した場合、第2の調整デバイスは、作業椅子を右に枢動させる一方で、オペレータが、左側に配置された追加の横方向支持部の追加の力センサユニットに上半身を押圧する場合、第2の調整デバイスは、作業椅子を左に枢動させる。
【0026】
好ましくは、制御デバイスは、力センサユニットのセンサ信号が所定時間にわたって少なくとも実質的に0Nである場合、第2の調整デバイスを移動モードから保持モードに切り替えるように構成される。追加の力センサユニットが、追加の横方向支持部に位置した場合、制御ユニットは、両方の力センサユニットのセンサ信号が所定時間にわたって少なくとも実質的に0Nである場合に、第2の調整デバイスを移動モードから保持モードに切り替えるように構成される。
【0027】
別の実施形態では、作業椅子は、牽引手段を有する上半身保持デバイスを備え、牽引手段は、オペレータが着用し得るハーネスの背もたれ部に解除可能に接続可能である。牽引手段は、好ましくは、ベルト、コーティングの有無にかかわらずワイヤロープなどである。上半身保持デバイスは、保持モードにおいてオペレータの上半身が傾斜角で保持されるように配置されることが好ましい。上半身保持デバイスは、作業椅子の背後、例えば、作業椅子に座っているオペレータの肩の高さに配置されることが好ましい。牽引手段が緩むことがなく、オペレータ及び/又はそれに伴う立会人の怪我のリスクを低減し得るように、上半身保持デバイスは、特に、移動モードにおいても牽引手段をしっかりと維持するように構成される。
【0028】
追加的に、又は代替的に、制御デバイスは、上半身保持デバイスをホバーモードに切り替えるように構成することができ、上半身保持デバイスは、ホバーモードにおいて、牽引手段及びハーネスを介してオペレータの上半身に牽引力を加えるように構成される。牽引力によって、オペレータが自分の上半身を傾ける動作が、支持される。例えば、解除デバイスの作動時に、制御デバイスは、上半身保持デバイスのホバーモードを所定の期間作動させるように構成することができる。例えば、このようにして、オペレータは、操作要素を0.5秒、1秒、又は1.5秒などの所定の期間押圧し続けることができる。操作要素が光バリアを備える場合、オペレータは、光バリアの解除範囲内の所定の期間にわたって自分の足を離し、それに応じて自分の足でホバーモードを作動することができる。オペレータは、位置及び/又は方向の変化のために操作ユニットを繰り返し作動させる必要なく、オペレータによってわずかな抵抗として知覚される恒久的に加えられるリセット力によって、自由に動作要件に従って移動することができる。オペレータは、このようにして、器具を置く必要なくホバーモードで直接移動することができ、それにもかかわらず、オペレータはある程度解放又は支持される。リセット力は、例えば、被支持身体部分の重力の60%、70%、80%、90%とすることができる。
【0029】
好ましくは、解除デバイスが、ホバーモードから保持モードに繰り返し作動する場合、制御デバイスは、支持デバイスを切り替えるように構成される。オペレータは、このようにして、解除デバイスの反復作動によってホバーモードを停止させることができる。
【0030】
例えば、上半身保持デバイスは、牽引手段が巻き付けられる、又はそこに巻き付けられる電気駆動ウインチを備えることができる。牽引手段のためのウインチの電気的駆動部は、ウインチを巻付け方向にほぼ一定のトルクで駆動するように特に制御することができ、これにより、牽引手段にほぼ一定の牽引力が加えられる。電気的に駆動されるウインチは、変速比を有する歯車を備えることが好ましく、それによって、ウインチは、例えば、自動ロック方式で構成される。
【0031】
本目的はまた、請求項14に記載のオペレータを保持するための方法によって解決される。
【0032】
本発明による方法は、以下のステップ、すなわち、オペレータの少なくとも1つの被支持身体部分を位置及び/又は方向に保持するステップと、オペレータの被支持身体部分を少なくとも調整方向に移動し得る移動モードを解除するステップと、オペレータの被支持身体部分が所定時間にわたって少なくとも実質的に一定の位置及び/又は方向をとる場合、移動モードから保持モードに切り替えるステップと、を含む。
【0033】
好ましくは、保持モードでは、移動モードの解除は、足によって実行することができる。
【0034】
本発明による保持システムに関連して説明した特徴及び利点のすべては、本発明による方法に同様に適用することができる。
【0035】
本発明の有利な実施形態又は詳細の追加の詳細は、図面、明細書及び従属請求項から導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明による保持システムの一実施形態の概略三次元図である。
図2】保持システムの一実施形態の概略ブロック図である。
図3】保持システムの別の実施形態の概略ブロック図である。
図4】保持システムの別の実施形態の概略ブロック図である。
図5】本発明による方法の一実施形態の流れ図である。
図6】移動モードにおける保持システムの調整中のセンサデータの一例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1には、オペレータを座位に保持するために役立つ保持システム1の実施形態を示しており、オペレータの上半身は、オペレータが着用し得る、背もたれ部4を有するハーネス23によって保持される。
【0038】
保持システム1は、高さが調整可能であり、横方向に枢動可能な作業椅子18を有する支持デバイス10を備える。作業椅子は、座部15と、牽引手段Zを有する上半身保持デバイス22と、を備える。オペレータは、座部15に座ることができる。オペレータが作業椅子18に座る前に、オペレータは、上半身保持デバイス22の牽引手段Zと解除可能に連結され得る、背もたれ部4を有するハーネス23を装着することができる。したがって、オペレータは、前傾することができ、それによって、オペレータの上半身は牽引手段Zによって保持される。それによって、上半身保持デバイス22とハーネス23の背もたれ部4との間の牽引手段Zの調整された長さL_Zは、オペレータの上半身の傾斜角を決定する。
【0039】
図1に示す支持デバイス10は、更に2つのフットレスト3を備える駆動可能なプラットフォーム2上に配置され、その上にオペレータは、操作中に自分の足を置くことができる。フットレスト3は、更に、外科用器具など、器具の操作のためのフットペダルに関する保持部として機能することができる。
【0040】
作業椅子18は、第1の調整デバイス16と、第2の調整デバイス19と、を備える。
【0041】
この例では、第1の調整デバイス16は、閉塞可能なガス圧ばねを備える。また、第1の調整デバイス16には、座部高さ、すなわち、座部15のプラットフォーム2の上方の高さを検出するセンサ要素17が位置する。
【0042】
第2の調整デバイス19は、本例では、作業椅子18に横方向に隣接してそれぞれ配置された2つの線形駆動部(前方の物のみを示す)を備える。2つの線形駆動部は、線形駆動部の長さ変化が作業椅子の枢動運動をもたらすように、作業椅子18及びプラットフォーム2に取り付けられる。線形駆動部は、一方の線形駆動部の正の長さ変化の場合、他方の線形駆動部は負の長さ変化を実行するように、反対方向に移動するように操作される。
【0043】
座部15の上方で、支持デバイス10は、横方向支持部20と、座部に隣接して横方向に延在する追加の横方向支持部26と、を備える。横方向支持部20には、座部に対向する横方向支持部20の内側5に力センサユニット29が位置し、これにより、力センサユニット21は、座部15に座ったオペレータの上半身が横方向支持部20を横方向に押圧する力を検出する。同様に、追加の力センサユニット27は、追加の横方向支持部26内に位置する。
【0044】
座部15の背後の2つの横方向支持部20、26間には、上半身保持システム22が、マスト24を圧縮する垂直方向に更に延在する。上半身保持デバイス22は、オペレータが上半身に装着し得るハーネス23の背もたれ部4に取り付けられ得る牽引手段Zを備える。上半身保持デバイス22の牽引手段Zは、巻付け又は引き出し可能であり、これにより、牽引手段Zの長さL_Zを介して、オペレータの上半身の傾斜角を調整することができる。更に、上半身保持デバイス22は、牽引手段Zが上半身保持デバイス22から出る位置を規定し得る調整手段を備える。調整手段は、例えば、無段階又は離散的段階で位置を調整及び/又は固定することができる。そうすることで、上半身保持デバイス22をオペレータの身長に適合させることができる。座部に座ったオペレータの後方で牽引手段Zが上半身保持デバイス22から出る位置が、低くともオペレータの肩の高さに配置されるように、上半身保持デバイス22を調整できることが好ましい。
【0045】
支持デバイス10は、支持デバイス10の個々のアクチュエータを移動モードBと保持モードHとの間で切り替えるように構成される制御デバイス12を更に備える。移動モードBでは、オペレータの被支持身体部分を調整方向に移動することができる。
【0046】
支持デバイス10は、制御デバイス12と通信可能に接続される解除デバイス13を更に備える。解除デバイス13は、プラットフォーム2の上側に配置される。解除デバイス13は、本実施形態では、2つの操作要素14、すなわち第1の足操作要素6と、第2の足操作要素7と、を備える。足操作要素6及び7は、それらの上側に、オペレータの足を検出する解除領域を備える。操作要素14及び解除デバイス13は、フットレスト3と作業椅子18との間の座部15の下方に配置される。
【0047】
第1の足操作要素6は、オペレータの右足が届くことができ、第2の足操作要素7は、オペレータの左足が届くことができる。解除デバイス13はまた、オペレータの足を検出し得る範囲を画定する1つ又は複数の光バリアを備えることができる。
【0048】
制御デバイス12は、解除デバイス13が作動した場合、支持デバイス10を保持モードHから移動モードBに切り替えるように構成される。解除デバイス13を再び作動させた後、制御デバイス12は、支持デバイス10を再び移動モードBから保持モードHに戻す。
【0049】
本例では、第1の足操作要素6は、第1の調整デバイス16及び第2の調整デバイス19の移動モードBの解除に割り当てられる。しかしながら、第2の足操作要素7は、上半身保持デバイス22の移動モードBの解除に割り当てられる。
【0050】
例えば、第1の調整デバイス16及び第2の調整デバイス19の移動モードBの解除を別個の足操作要素に割り当て得るように、解除デバイス13は、追加の足操作要素を備えることができる。
【0051】
保持システム1の一実施形態のブロック図を図2に示している。支持デバイス10は、座部15を有する作業椅子18と、少なくても1つのアクチュエータ25aを有する第1の調整デバイス16と、を備える。アクチュエータ25aは、第1の調整デバイス16の動き及び/又は力を生成するように構成される駆動部8aを備える。
【0052】
本例では、支持デバイス10は、駆動部8aの測定パラメータを検出するように構成されるセンサユニット17を更に備える。そのような測定パラメータは、例えば、駆動部8aの位置、角度位置、速度、角速度、加速度、角加速度、力又はトルクとすることができる。
【0053】
センサユニット17は、制御デバイス12と通信可能に接続され、これにより、制御デバイス12は、センサユニット17のセンサデータDを受信し、評価するように構成される。更に、制御デバイス12は、少なくとも1つの操作要素14を有する解除デバイス13と接続される。制御デバイス12は、操作要素14が作動する場合、解除デバイス13から解除信号を受信するように構成される。制御デバイス12は、解除デバイス13から解除信号を受信する場合、アクチュエータ25aが動作するモードを切り替える。これにより、保持モードHになるまでアクチュエータ25aを動作させた場合、制御デバイス12は、移動モードBに切り替える。オペレータが第1の調整デバイス16を調整方向に少なくとも移動させ得るように、移動モードBでは、アクチュエータ25aが制御される。第1の調整デバイス16が、例えば、ガス圧ばねを備え、作業椅子の高さを調整するように構成される場合、例えば、ガス圧ばねを移動モードBに移行させるために、アクチュエータ25aが、ガス圧ばねの解除ピンを押圧するように構成することができる。制御デバイス12によって、作業椅子18の高さが、所定時間Iにわたって少なくとも実質的に一定のままであると決定した場合、移動モードBから保持モードHに切り替わる。
【0054】
図3は、保持システム1の別の実施形態を示している。図3に示す実施形態では、上記の説明は、それに応じて既に説明した参照番号に基づいて適用する。加えて、本実施形態では、作業椅子18は、それぞれ1つの駆動部8b、8cを有する2つのアクチュエータ25b、25cを備える第2の調整デバイス19を備える。制御デバイス12は、横方向支持部20に位置する力センサユニット21に、及び追加の横方向支持部26に位置する追加の力センサユニット27に、接続される。第2の調整デバイス19が保持モードHで操作される場合、アクチュエータ25b、25cは、実際の位置に留まる。ここで、制御デバイス12が解除デバイス13から解除信号を受信する場合、制御デバイス12は、第2の調整デバイス19を移動モードBに切り替えるように構成される。アクチュエータ25b、25cは、力センサユニット21、27のセンサデータDに基づいて制御される。両方の力センサユニット21、27が少なくとも実質的に0Nの測定値を制御デバイス12に所定時間Iにわたって送信した場合、制御デバイス12は、移動モードBから保持モードHに切り替える。
【0055】
別の実施形態を図4に示す。本実施形態についても、上記の説明を適用する。加えて、本例では、作業椅子18を有する支持デバイス10は、上半身保持デバイス22を備えることを適用する。制御デバイス12は、本実施形態では、アクチュエータのモータ電流及び/又はアクチュエータ25dに印加される電圧に起因してアクチュエータの位置を直接決定するように構成することができる。追加的に、又は代替的に、アクチュエータ25dは、角度センサ9を有するステッピングモータ又はサーボモータを備えることができる。両方の選択肢を図4に破線で示している。
【0056】
図5は、オペレータを保持するための本発明の方法の流れ図である。保持システム1の支持デバイス10は、最初に保持モードHにある。このステップでは、オペレータの被支持身体部分が、位置及び/又は方向に保持される。ステップV1において、ここで移動モードBが解除され、オペレータの被支持身体部分を調整方向に移動させることができる。移動モードBが解除されない場合、保持システム1は、更に保持モードHのままである。保持システム1の支持デバイス10が移動モードBにあり、オペレータによって状態変更が解除された場合(方法ステップV1)、支持デバイス10は、移動モードBから保持モードHに切り替えられる。
【0057】
所定時間Iの間に、オペレータの被支持身体部分が少なくとも実質的に一定の位置及び/又は方向をとる場合、支持デバイス2は、第2の方法ステップV2において、制御デバイス12によって移動モードBから保持モードHに戻される。
【0058】
ここまで説明したオペレータのための保持システム1は、以下のように動作する:
操作保持システム1を実行するために、図示していない操作ユニットによって操作テーブルに駆動され、それによって、操作ユニットは、例えば、少なくとも1つの操作レバーと、追加の制御ボタン又は他の制御要素と、を備えることができる。オペレータは、背もたれ部4でハーネス23を装着し、プラットフォーム2に進入して、作業椅子18の座部15に座る。背もたれ部4及び牽引手段Zは、着座前又は着座後、機械的に解除可能に互いに連結される。
【0059】
背もたれ部4には、牽引手段Zの端部に取り付けられた第2の連結要素と相補的である、第1の連結要素が取り付けられる。第1の連結要素及び第2の連結要素は、第1及び第2の連結要素が互いに連結する間に、予張力位置において互いに向かって移動するように、磁石要素を備えることが好ましい。予張力位置では、2つの連結要素が牽引手段Zをハーネス25の背もたれ部26に解放可能に接続するラッチ位置に、両方の連結要素を手動で押圧することができる。オペレータが最初にハーネス25を着用し、その後、後方開口部を有する好ましくは無菌の手術用ガウンを着用する場合、別の人は、両方の連結要素を見る必要もなく、手術用ガウンの下の第1の連結要素を第2の連結要素に接続することができる。これにより、手術前の処理が早まる。
【0060】
支持デバイス10、すなわち、高さが調整可能で横方向に枢動可能な作業椅子18、及び上半身保持デバイス22は、最初に保持モードHにある。
【0061】
図6には、時間tにわたるセンサデータDの一例を示しており、上段は、座部高さに関するセンサユニット17のセンサデータDを、中段は、力センサユニット21、27のセンサデータDを、及び下段は、背もたれ部4と上半身保持デバイス22との間の牽引手段の長さL_Zを、例示的に示している。
【0062】
第1の調整デバイス16は、最初に保持モードHである。ここで、第1の調整デバイス16のための解除デバイス13は、操作要素14を足で作動させることによってオペレータが解除する(方法ステップV1)。オペレータが、自分の足で作業椅子18の座部15に荷重をかけたり、緩めたりすることで、作業椅子18の高さP_Hを調整し得るように、第1の調整デバイス16は、移動モードBに切り替えられる。座部15の高さの調整中、高さP_Hは、センサユニット17によって検出され、制御デバイス12に送信される。検出された高さP_Hが所定時間Iにわたって少なくとも実質的に一定のままであるとすぐに、制御デバイス12は、第1の調整デバイス16を移動モードBから保持モードHに切り替える(方法ステップV2)。
【0063】
図6の第2の段では、第1の調整デバイスに関して前述したプロセスを、ここで、第2の調整デバイス19に関して説明する。第2の調整デバイス19の制御に使用されるセンサデータDは、横方向支持部20,26内の力センサユニット21,27である。
【0064】
第2の調整デバイス19も保持モードHである。方法ステップV1において解除デバイス13を解除することによって、第2の調整デバイス19は、制御デバイス12によって保持モードHから移動モードBに切り替えられる。本例では、オペレータは、最初に、右側の横方向支持部20内の力センサユニット21に対して自分の上半身を押圧する。横方向支持部20に作用する力は、力センサユニット21によって検出される。力センサユニット21は、それぞれの力信号F_Rを制御デバイス12に送信する。次に、オペレータは、左側の横方向支持部26に位置する力センサユニット27に対して自分の上半身を押圧し、これにより、力信号F_Lを制御デバイス12に転送する。制御デバイス12は、力信号F_R、F_Lが所定時間Iにわたって少なくとも実質的に値0Nを有するとすぐに、力信号F_R及びF_Lを評価し、移動モードBから保持モードHに切り替えるように構成される(方法ステップV2)。
【0065】
図6の最下段では、上で説明した手順を、上半身保持デバイス22に関連して説明する。ここでも、方法ステップV1の保持モードHから開始して、上半身保持デバイス22の移動モードBが解除される。ここで、オペレータは、自分の上半身の傾きを変更することができ、それによって、牽引手段Zの長さL_Zがそれに応じて変化する。上半身保持デバイス22には、牽引手段Zの長さL_Zを検出するように構成されたそれぞれのセンサユニット22が位置する。センサユニット11は、センサ信号を評価するように構成される制御デバイス12にそれぞれのセンサ信号を送信する。制御デバイス12は、牽引手段Zの長さL_Zの変化が少なくとも実質的に変化しなくなったことを検出するとすぐに、上半身保持デバイス22を移動モードBから保持モードHに切り替える(方法ステップV2)。
【0066】
オペレータの少なくとも1つの身体部分を保持するための支持デバイス10と、解除デバイス13と、を有する本発明による保持システム1は、オペレータの少なくとも身体部分を調整可能な位置及び/又は方向に保持するように機能する。支持デバイス10は、支持デバイス10を移動モードBと保持モードHとの間で切り替えるように構成される制御デバイス12を備え、オペレータの被支持身体部分は、移動モードBにおいて少なくとも一方の調整方向に移動することができ、保持モードHにおいて支持デバイスによって実際の位置に保持される。オペレータの被支持身体部分が所定時間、少なくとも実質的に一定の位置に留まる場合、制御デバイス12は、支持デバイス10を移動モードBから保持モードHに切り替えるように構成される。これにより、オペレータの身体の動きによる支持デバイスの特に直接的で直感的な操作が可能になる。オペレータがこの位置に留まっている短い時間の終了後に設定される移動モードで、オペレータは、位置及び/又は方向をとることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 保持システム
2 プラットフォーム
3 フットレスト
4 背もたれ部
5 座部に対向する横方向支持部の内側
6 第1の足操作要素
7 第2の足操作要素
8a…、8d アクチュエータの駆動部
9 位置センサ
10 支持デバイス
11 センサユニット
12 制御デバイス
13 解除デバイス
14 操作要素
15 座部
16 第1の調整デバイス
17 座部に対向する追加の横方向支持部の追加の内側
18 作業椅子
19 第2の調整デバイス
20 横方向支持部
21 力センサユニット
22 上半身保持デバイス
23 ハーネス
24 マスト
25a…、25d アクチュエータ
26 追加の横方向支持部
27 追加の力センサユニット
B 移動モード
D センサデータ
F_R 右側の横方向支持部の力センサユニットの力信号
F_L 左側の横方向支持部の力センサユニットの力信号
H 保持モード
I 所定時間
L_Z 牽引手段の長さ
P 実際の位置
P_H 座部の高さ
S ホバーモード
t 時間
V1 保持モードにおける外科医の少なくとも1つの被支持身体部分の保持
V2 移動モードの開始
V3 移動モードから保持モードへの切替え
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-10-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータのための保持システム(1)であって、
-前記オペレータの少なくとも1つの身体部分を保持するための支持デバイス(10)であって、前記支持デバイス(10)を移動モード(B)と保持モード(H)との間で切り替えるように構成される制御デバイス(12)を備える支持デバイス(10)を備え、前記オペレータの被支持身体部分が、前記移動モード(B)で調整方向に移動することができ、前記支持デバイス(10)によって位置(P)及び/又は方向で前記保持モード(H)において保持され、
-前記制御デバイス(12)と通信可能に接続され、前記支持デバイス(10)を前記保持モード(H)から前記移動モード(B)に切り替えるように構成される解除デバイス(13)を備え、
前記制御デバイス(12)が、前記オペレータの前記被支持身体部分が所定時間(I)にわたって少なくとも実質的に一定の位置及び/又は方向をとる場合、前記支持デバイス(10)を前記移動モード(B)から前記保持モード(H)に切り替えるように構成される、
保持システム(1)。
【請求項2】
前記支持デバイス(10)が、前記被支持身体部分の動きを検出するためのセンサユニット(11)を備え、前記制御デバイス(12)が、前記センサユニット(11)からセンサデータ(D)を受信し、前記センサデータ(D)に基づいて前記支持デバイス(10)を前記移動モード(B)から前記保持モード(H)に切り替えるように構成されることを特徴とする、
請求項1に記載の保持システム(1)。
【請求項3】
前記解除デバイス(13)が、前記移動モード(B)を解除するための少なくとも1つの操作要素を備えることを特徴とする、
請求項1に記載の保持システム(1)。
【請求項4】
前記オペレータが前記操作要素(14)に少なくとも足で届き得るように、前記解除デバイス(13)が配置されることを特徴とする、
請求項1に記載の保持システム(1)。
【請求項5】
前記支持デバイス(10)が、前記保持モード(H)及び/又は前記移動モード(B)において少なくとも1つの調整方向に前記支持デバイス(10)を移動するように構成される少なくとも1つのアクチュエータ(25a...,25d)を備えることを特徴とする、
請求項1に記載の保持システム(1)。
【請求項6】
前記支持デバイス(10)が、座部(15)と、座部高さを調整するための第1の調整デバイス(16)と、を有する作業椅子を備えることを特徴とする、
請求項1に記載の保持システム(1)。
【請求項7】
前記センサユニット11が、前記第1の調整デバイス(16)内に位置する少なくとも1つのセンサ要素(17)を備え、前記センサ要素(17)が、座部高さを検出するように構成されることを特徴とする、
請求項6に記載の保持システム(1)。
【請求項8】
前記第1の調整デバイス(16)が、前記移動モード(B)における力(F_H)によって前記オペレータの移動を支持するように構成されることを特徴とする、
請求項6に記載の保持システム(1)。
【請求項9】
前記作業椅子(18)が、座部の横方向の傾斜を調整するための第2の調整デバイス(19)と、少なくとも1つの横方向支持部(20)と、前記横方向支持部(20)に作用する横方向の力を検出するために前記横方向支持部(20)に配置される少なくとも1つの力センサユニット(21)と、を備えることを特徴とする、
請求項に記載の保持システム(1)。
【請求項10】
前記第2の調整デバイス(19)が、前記力センサユニット(21)のセンサ信号に基づいて、前記移動モード(B)における前記作業椅子(18)の横方向傾斜角を調整するように構成され、
前記力センサユニット(21)の前記センサ信号が前記所定時間(I)にわたって少なくとも実質的に0Nである場合、前記制御デバイスが、前記第2の調整デバイス(19)を前記移動モード(B)から前記保持モード(H)に切り替えるように構成されることを特徴とする、
請求項9に記載の保持システム(1)。
【請求項11】
前記作業椅子(18)が、牽引手段(Z)を有する上半身保持デバイス(22)を備え、前記牽引手段(Z)が、前記オペレータが着用し得るハーネス(23)の背もたれ部(4)に解除可能に取り付けることができ、
前記上半身保持デバイス(22)が、前記保持モード(H)において前記オペレータの上半身が傾斜角で保持されるように配置されることを特徴とする、
請求項6に記載の保持システム(1)。
【請求項12】
前記解除デバイス(13)の解除の場合、前記制御デバイス(12)が、所定時間にわたって前記上半身保持デバイス(22)をホバーモード(S)に切り替えるように構成され、前記上半身保持デバイス(22)が、前記ホバーモード(S)において、前記牽引手段(Z)及び前記ハーネス(23)を介して前記オペレータの上半身に牽引力(F_Z)を加えるように構成されることを特徴とする、
請求項11に記載の保持システム(1)。
【請求項13】
前記解除デバイス(13)が再び解除された場合、前記制御デバイス(12)が、前記ホバーモード(S)から前記保持モード(H)に切り替わるように構成されることを特徴とする、
請求項12に記載の保持システム(1)。
【請求項14】
特に請求項1から13のいずれか一項に記載の保持システム(1)によってオペレータを保持するための方法であって、前記方法が、
-前記オペレータの少なくとも1つの被支持身体部分を位置(P)及び/又は方向に保持するステップ(H)と、
-前記オペレータの前記被支持身体部分を少なくとも1つの調整方向に移動し得る移動モード(B)を解除するステップ(V1)と、
-前記オペレータの前記被支持身体部分が所定時間(I)にわたって少なくとも実質的に一定の位置及び/又は方向をとる場合、前記移動モード(B)から前記保持モード(H)に切り替えるステップ(V2)と、を含む、
方法。
【請求項15】
前記保持モード(H)では、前記移動モード(B)の前記解除(V1)が、足によって実行することができることを特徴とする、
請求項14に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
座部15の上方で、支持デバイス10は、横方向支持部20と、座部に隣接して横方向に延在する追加の横方向支持部26と、を備える。横方向支持部20には、座部に対向する横方向支持部20の内側5に力センサユニット21が位置し、これにより、力センサユニット21は、座部15に座ったオペレータの上半身が横方向支持部20を横方向に押圧する力を検出する。同様に、追加の力センサユニット27は、追加の横方向支持部26内に位置する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
背もたれ部4には、牽引手段Zの端部に取り付けられた第2の連結要素と相補的である、第1の連結要素が取り付けられる。第1の連結要素及び第2の連結要素は、第1及び第2の連結要素が互いに連結する間に、予張力位置において互いに向かって移動するように、磁石要素を備えることが好ましい。予張力位置では、2つの連結要素が牽引手段Zをハーネス23の背もたれ部に解放可能に接続するラッチ位置に、両方の連結要素を手動で押圧することができる。オペレータが最初にハーネス23を着用し、その後、後方開口部を有する好ましくは無菌の手術用ガウンを着用する場合、別の人は、両方の連結要素を見る必要もなく、手術用ガウンの下の第1の連結要素を第2の連結要素に接続することができる。これにより、手術前の処理が早まる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
図6の最下段では、上で説明した手順を、上半身保持デバイス22に関連して説明する。ここでも、方法ステップV1の保持モードHから開始して、上半身保持デバイス22の移動モードBが解除される。ここで、オペレータは、自分の上半身の傾きを変更することができ、それによって、牽引手段Zの長さL_Zがそれに応じて変化する。上半身保持デバイス22には、牽引手段Zの長さL_Zを検出するように構成されたそれぞれのセンサユニット21が位置する。センサユニット11は、センサ信号を評価するように構成される制御デバイス12にそれぞれのセンサ信号を送信する。制御デバイス12は、牽引手段Zの長さL_Zの変化が少なくとも実質的に変化しなくなったことを検出するとすぐに、上半身保持デバイス22を移動モードBから保持モードHに切り替える(方法ステップV2)。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
1 保持システム
2 プラットフォーム
3 フットレスト
4 背もたれ部
5 座部に対向する横方向支持部の内側
6 第1の足操作要素
7 第2の足操作要素
8a…、8d アクチュエータの駆動部
9 位置センサ
10 支持デバイス
11 センサユニット
12 制御デバイス
13 解除デバイス
14 操作要素
15 座部
16 第1の調整デバイス
17 センサ要素
18 作業椅子
19 第2の調整デバイス
20 横方向支持部
21 力センサユニット
22 上半身保持デバイス
23 ハーネス
24 マスト
25a…、25d アクチュエータ
26 追加の横方向支持部
27 追加の力センサユニット
B 移動モード
D センサデータ
F_R 右側の横方向支持部の力センサユニットの力信号
F_L 左側の横方向支持部の力センサユニットの力信号
H 保持モード
I 所定時間
L_Z 牽引手段の長さ
P 実際の位置
P_H 座部の高さ
S ホバーモード
t 時間
V1 保持モードにおける外科医の少なくとも1つの被支持身体部分の保持
V2 移動モードの開始
V3 移動モードから保持モードへの切替え
【国際調査報告】