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特表2025-505702ナノ材料ベースの吸着処理と触媒作用
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  • 特表-ナノ材料ベースの吸着処理と触媒作用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】ナノ材料ベースの吸着処理と触媒作用
(51)【国際特許分類】
   B01D 15/00 20060101AFI20250220BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20250220BHJP
   C01G 23/047 20060101ALN20250220BHJP
【FI】
B01D15/00 M
B01J20/28 Z
C01G23/047
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547413
(86)(22)【出願日】2023-02-10
(85)【翻訳文提出日】2024-09-24
(86)【国際出願番号】 US2023062394
(87)【国際公開番号】W WO2023154869
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】63/309,391
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515015252
【氏名又は名称】ドレクセル ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】バルスーム、ミシェル ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】バドル、フセイン オー.
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー、ジョシュア
【テーマコード(参考)】
4D017
4G047
4G066
【Fターム(参考)】
4D017AA11
4D017BA04
4D017CA05
4D017CB01
4D017CB05
4D017EA05
4D017EB03
4D017EB08
4G047CA02
4G047CC03
4G047CD05
4G066AA02B
4G066AA19B
4G066AA41B
4G066BA03
4G066BA16
4G066BA32
4G066CA27
4G066DA12
(57)【要約】
方法であって、溶液中の尿素の初期濃度を有する初期試料に、金属酸化物ナノフィラメントを含む組成物を、前記尿素の少なくとも一部が前記金属酸化物ナノフィラメントに吸着し、前記溶液中の尿素の最終濃度を生じさせるような条件下で接触させる工程と、前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択でチタンを含む、方法。尿素の初期水溶液から尿素を除去するための装置であって、前記装置は、前記初期水溶液が通過するように誘導される金属酸化物ナノフィラメント組成物の交換可能なカートリッジを含み、前記カートリッジは、前記尿素の初期水溶液が前記カートリッジに含まれ、前記金属酸化物ナノフィラメントと接触するように適合される、装置。金属酸化物ナノフィラメントを含む組成物を、金属イオンおよび/または金属を含む初期試料に、前記金属イオンおよび/または前記金属の少なくとも一部が前記金属酸化物ナノフィラメントと会合するような条件下で接触させる、工程。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
溶液中の尿素の初期濃度を有する初期試料に、金属酸化物ナノフィラメントを含む組成物を、前記尿素の少なくとも一部が前記金属酸化物ナノフィラメントに吸着し、前記溶液中の尿素の最終濃度を生じさせるような条件下で接触させる工程と、
前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択でチタンを含み、
前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択で炭素を含み、
前記金属酸化物ナノフィラメントが、アナターゼ構造またはレピドクロサイト構造を有し、および
さらに任意選択で前記組成物および前記尿素に光を照射する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記尿素の初期濃度が10mmol/L~1000mmol/Lの範囲にあり、または初期濃度が15mg/dL~40mg/dLの濃度範囲にあり、前記最終濃度が前記初期濃度より少なくとも10%低く、前記初期試料が血液または血液製剤であるか、または血液製剤を含み、条件がヒト患者による後の使用のための血液または血液製剤の有用性を損なわない、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記最終濃度が前記初期濃度より少なくとも30%低い、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記最終濃度が前記初期濃度より少なくとも50%低い、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記最終濃度が前記初期濃度より少なくとも70%低い、方法。
【請求項6】
尿素の初期水溶液から尿素を除去するための装置であって、前記装置は、前記初期水溶液が通過するように誘導される金属酸化物ナノフィラメント組成物の交換可能なカートリッジを含み、前記カートリッジは、前記尿素の初期水溶液が前記カートリッジに含まれ、前記金属酸化物ナノフィラメントと接触するように適合され、
前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択でチタンを含み、
前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択で炭素を含み、および
前記酸化物ナノフィラメントが、任意でアナターゼ構造を有する、装置。
【請求項7】
請求項6記載の装置において、前記装置が、前記尿素の初期水溶液が、前記金属酸化物ナノフィラメントの少なくとも一部を通して浸透するように適合される、装置。
【請求項8】
請求項6記載の装置において、前記カートリッジが、前記金属酸化物ナノフィラメントで被覆されたチャネルを含む、装置。
【請求項9】
請求項6記載の装置において、前記カートリッジが、前記金属酸化物ナノフィラメントで被覆されたチャネルを含み、前記金属酸化物ナノフィラメントが、チタンを含み、前記金属酸化物ナノフィラメントが、アナターゼ構造またはレピドクロサイト構造を有する、装置。
【請求項10】
請求項6記載の装置において、前記金属酸化物ナノフィラメント組成物が、複数の積層層として存在する、装置。
【請求項11】
方法であって、
金属酸化物ベースのナノフィラメントを含む組成物を、金属イオンおよび/または金属を含む初期試料に、前記金属イオンおよび/または前記金属の少なくとも一部が前記金属酸化物ナノフィラメントと会合するような条件下で接触させる工程を含み、
前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択でチタンを含み、前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択でアナターゼ構造またはレピドクロサイト構造を有し、および
任意選択で、前記組成物および前記金属酸化物ナノフィラメントおよび/または金属に光を照射する工程と、を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、前記金属イオンおよび/または金属が、As、Pb、Cd、Cr、Ni、Zn、Co、またはMn、Ir、Au、Ru、Re、Pt、Pd、Ag、またはそれらのイオンを含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法において、前記照明する工程がキセノンランプ照明を含む、方法。
【請求項14】
請求項11記載の方法であって、前記照明する工程が自然光を含む、方法。
【請求項15】
請求項11~14のいずれか1項に記載の方法において、前記会合が、約1時間以内に本質的に完了する、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、前記会合が、約15分以内に実質的に完了する、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記会合が、約2分~約3分以内に実質的に完了する、方法。
【請求項18】
組成物であって、それらに会合する少なくとも2つの異なる金属塩を有する金属酸化物ナノフィラメントを含む、組成物。
【請求項19】
請求項18に記載の組成物において、前記少なくとも2つの異なる金属塩の少なくとも1つがニッケルを含む、組成物。
【請求項20】
請求項18に記載の組成物において、前記少なくとも2つの異なる金属塩の少なくとも1つが鉄を含む、組成物。
【請求項21】
方法であって、
(i)金属酸化物ナノフィラメントを含む組成物を、それらに会合する金属塩の少なくとも1つの金属と(ii)溶液と接触させ、前記溶液内で反応を触媒する、工程を含み、
前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意でチタンを含み、
前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意にアナターゼ構造またはレピドクロサイト構造を有する、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、前記金属酸化物ナノフィラメントがそれらに会合する少なくとも1つの金属塩を欠いている場合よりも、前記反応がより迅速に進行する、方法。
【請求項23】
請求項21~22のいずれか1項に記載の方法において、前記少なくとも1つの金属塩が、鉄、ニッケル、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項24】
請求項21~22のいずれか1項に記載の方法において、前記溶液が水を含む、方法。
【請求項25】
請求項21~22のいずれか1項に記載の方法において、前記反応が、前記溶液への電流の印加を含む電気化学反応である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許出願第63/309,391号「ナノ材料ベースの吸着処理と触媒作用」(2022年2月11日出願)の優先権およびその利益を主張する。前述の出願はすべて、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、二次元材料の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
ある種の望ましくない化学種(例えば尿素)を試料から除去することは、産業、医療、環境において応用される重要なプロセスである。しかしながら、このような吸着を一貫した効果的な方法で行うことは困難である。したがって、試料、溶液、懸濁液から不要な化学種を吸着できる材料と、そのような吸着を効果的に行う方法が必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
記載されたニーズを満たすために、本開示は、方法であって、溶液中の尿素の初期濃度を有する初期試料に、金属酸化物ナノフィラメントを含む組成物を、尿素の少なくとも一部が金属酸化物ナノフィラメントに吸着し、前記溶液中の尿素の最終濃度を生じさせるような条件下で接触させ、溶液中の尿素の最終濃度を生じさせる工程と、前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択でチタンを含み、前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択で炭素を含み、前記金属酸化物ナノフィラメントが、アナターゼ構造またはレピドクロサイト構造を有し、およびさらに任意選択で組成物および尿素に光を照射することを含む方法を提供する。酸化物ナノフィラメントは、一次元レピドクロサイト(1DL)構造を有する金属酸化物ナノフィラメントであり得る。このような方法は、例えば、腎臓病を患う患者のための透析用途などに使用することができる。
【0005】
また、尿素の初期水溶液から尿素を除去するための装置であって、前記装置は、前記初期水溶液が通過するように誘導される金属酸化物ナノフィラメント組成物の交換可能なカートリッジを含み、前記カートリッジは、前記尿素の初期水溶液が前記カートリッジに含まれ、前記金属酸化物ナノフィラメントと接触するように適合され、前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択でチタンを含み、前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択で炭素を含み、および前記酸化物ナノフィラメントが、任意でアナターゼ構造を有する、装置が提供される。このような装置は、例えば透析用途に使用することができる。
【0006】
また、金属酸化物ナノフィラメントを含む組成物を、金属イオンおよび/または金属を含む初期試料に、金属イオンおよび/または金属の少なくとも一部が金属酸化物ナノフィラメントと会合するような条件下で接触させる工程であって、金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択でチタンを含み、金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択でアナターゼ構造またはレピドクロサイト構造を有する工程と、ならびに任意選択で、組成物および金属酸化物ナノフィラメントおよび/または金属を照射する工程を含む、方法が提供される。
【0007】
さらに、少なくとも2つの塩を有する金属酸化物ナノフィラメントを含む組成物が提供される。
【0008】
さらに、方法であって、(i)金属酸化物ナノフィラメントを含む組成物を、それらに会合する金属塩の少なくとも1つの金属と(ii)溶液と接触させ、前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意でチタンを含み、前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意にアナターゼ構造またはレピドクロサイト構造を有する、方法が提供される。金属塩の金属は、金属酸化物ナノフィラメントの金属とは異なり得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
必ずしも縮尺通りに描かれていない図面において、同様の数字は、異なる図において同様の構成要素を表す場合がある。異なる文字の接尾辞を有する同様の数字は、同様の構成要素の異なる例を表す場合がある。図面は、本明細書で議論される様々な態様を、限定ではなく例として一般的に示す。
【0010】
図1図1は、TCO(灰色)、TCO+Ni(緑色)、TCO+Ni/Fe(赤色)、および市販のIrO触媒(黒色)の0.1M KOH中での酸素発生反応分極曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、所望の実施形態の以下の詳細な説明およびそこに含まれる例を参照することにより、より容易に理解され得る。
【0012】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先する。好ましい方法および材料は以下に記載されているが、本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料を、実施または試験において使用することができる。本明細書に記載された全ての刊行物、特許出願、特許およびその他の文献は、参照によりその全体が組み込まれる。本明細書に開示された材料、方法、および実施例は、例示に過ぎず、限定を意図するものではない。
【0013】
単数形の「a」、「an」、「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数形の参照語を含む。
【0014】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、用語「含む(comprising)」は、実施形態「からなる(consisting of)」および「から実質的になる(consisting essentially of)」を含む場合がある。本明細書で使用される用語「含む(comprise)(複数可)」、「含む(include)(複数可)」、「有する(having)(複数可)」、「有する(has)(複数可)」、「できる(can)(複数可)」、「含む(contain)(複数可)」、およびそれらの変形は、命名された成分/工程の存在を必要とし、他の成分/工程の存在を許容する、オープンエンドの経過的な句、用語、または単語であることが意図される。しかしながら、このような記載は、列挙された成分/段階から「からなる(consisting of)」および「から実質的になる(consisting essentially of)」として組成物または工程を記載するものでもあると解釈されるべきであり、これは、名称の付いた成分/段階のみが、そこから生じる可能性のある不純物とともに存在することを許容し、他の成分/段階を除外するものである。
【0015】
本明細書で使用する場合、「約(about)」および「約(at or about)」という用語は、問題の量または値が、ほぼまたはほぼ同じ他の値を指定した値であり得ることを意味する。本明細書で使用される場合、別段の指示または推論がない限り、それは公称値±10%の変動であると一般的に理解される。この用語は、類似の値が特許請求の範囲に記載された同等の結果または効果を促進することを伝えることを意図している。すなわち、量、サイズ、配合物、パラメータ、および他の量および特性は、正確ではなく、正確である必要はないが、公差、換算係数、四捨五入、測定誤差など、および当業者に公知の他の要因を反映して、所望に応じて近似値および/またはより大きくまたはより小さくすることができると理解される。一般に、量、サイズ、処方、パラメータ、または他の量もしくは特性は、そのように明示されているか否かにかかわらず、「約」または「概算」である。定量的な値の前に「約」が使用される場合、特に別段の記載がない限り、パラメータには特定の定量的な値自体も含まれると理解される。
【0016】
反対の指示がない限り、数値は、同じ有効数字に減じたときに同じである数値、および数値を決定するために本願明細書に記載されているタイプの従来の測定技術の実験誤差未満だけ記載値と異なる数値を含むと理解されるべきである。
【0017】
本明細書に開示されるすべての範囲は、言及される終点を包含し、終点とは独立している(例えば、「2グラムと10グラムとの間、およびすべての中間値は、2グラム、10グラム、およびすべての中間値を含む」)。本明細書に開示される範囲の終点および任意の値は、正確な範囲または値に限定されず、これらの範囲および/または値に近似する値を含むように十分に不正確である。すべての範囲は組み合わせ可能である。
【0018】
本明細書で使用されるように、近似的な表現は、それが関連する基本的な機能に変化をもたらすことなく変化する可能性のあるあらゆる定量的表現を修正するために適用することができる。したがって、「約」や「実質的に」などの用語によって修正された値は、場合によっては、指定された正確な値に限定されないことがある。少なくとも場合によっては、近似的な表現は、その値を測定するための計器の精度に対応することがある。また、修飾語「約」は、2つの端点の絶対値によって定義される範囲を開示するものと考えるべきである。例えば、「約2~約4まで」という表現は、「2~4まで」の範囲も開示する。用語「約」は、示された数値のプラスマイナス10%を指す場合がある。例えば、「約10%」は9%~11%の範囲を示すことがあり、「約1」は0.9から1.1を意味することがある。「約」の他の意味は、四捨五入など文脈から明らかな場合があるため、例えば「約1」は0.5~1.4を意味する場合もある。さらに、用語「含む(comprising)」は、用語「含む(including)」のオープンエンドな意味を有すると理解されるべきであるが、用語「からなる(consisting)」のクローズドな意味も含む。例えば、成分AおよびBからなる組成物は、A、Bおよび他の成分を含む組成物であってもよいが、AおよびBのみからなる組成物であってもよい。本明細書で引用されるあらゆる文書は、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれる。
【実施例1】
【0019】
実施例
以下の実施例は例示であり、本開示または添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0020】
ここに提供するのは、交換プロセスを通じて様々な金属種を組み込むことにより、TCO材料の触媒能力を向上させるための方法論の一実施例である。
【0021】
特定の理論に束縛されることなく、交換プロセスは、遷移金属種の1またはそれ以上の無機/有機塩を含む水溶液中でのコロイド状TCO材料の対流混合を含むことができる。温度、電位、反応剤、還元剤などの外部駆動力を加えない対流攪拌は、TCO材料への遷移金属の自己限定的な取り込みをもたらす。これは、母材中のTi原子の交換の有無にかかわらず起こる。材料の組成を分析すると、新しい遷移金属が層間にイオンとして単にインターカレートされているのではないことがわかる。電気化学的な酸化還元挙動は、新しい遷移金属が還元種であることを示している。この交換プロセスは他の酸化物材料では起こらないことから、この交換と還元金属種の材料への取り込みに有利なTCOの態様があることがわかる。このプロセスは、平衡電位がチタンよりも高い遷移金属を含む様々な金属に適している。このプロセスは、金属交換の量と材料の全体的な性能は、交換プロセスの時間が長くなっても変化しないため、自己制限的であることが実証されている。
【0022】
TCO合成後、NiおよびNi/FeがTCO材料に組み込まれる。図1は、酸素発生反応(OER)に対する材料の活性を測定することによって、TCOに対するNiおよびNi/Fe添加剤の影響を示している。Niの添加後、TCOの活性は、可逆的水素電極(RHE)に対して1.23V以上の電位で電流が増加することで測定されるように、プレーンTCOよりも顕著に増加した。説明した交換プロセスを用いてTCOにNiとFeの両方を組み込むと、OER性能がさらに向上する。比較のために、現在工業的に使用されているOER触媒であるIrOをプロットした。Ni/Feを組み込んだTCOは、現在の工業技術水準に匹敵するOER性能を示した。この結果は、TCO材料の触媒性能を調整する上で、説明したアプローチの有用性を実証している。
【0023】
態様
以下の態様は例示であり、本開示の範囲または添付の特許請求の範囲を限定するものではない。任意の1つまたは複数の態様の任意の部分または一部は、任意の1つまたは複数の他の態様の任意の部分または一部と組み合わせることができる。
【0024】
態様1.方法であって、溶液中の尿素の初期濃度を有する初期試料に、金属酸化物ナノフィラメントを含む組成物を、前記尿素の少なくとも一部が前記金属酸化物ナノフィラメントに吸着し、前記溶液中の尿素の最終濃度を生じさせるような条件下で接触させる工程と、前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択でチタンを含み、前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択で炭素を含み、前記金属酸化物ナノフィラメントが、アナターゼ構造またはレピドクロサイト構造を有し、およびさらに任意選択で前記組成物および前記尿素に光を照射する工程と、を含む、方法。
【0025】
酸化チタンナノフィラメントが特に適していると考えられる。一次元ナノフィラメントの例は、Badr et al.、「Bottom-Up,Scalable Synthesis Of Anatase Nanofilament-Based Two-Dimensional Titanium Carbo-Oxide Flakes」、Materials Today 2021(https://doi.org/10.1016/j.mattod.2021.10.033)およびBadr et al.、「On the structure of one-dimensional TiO lepidocrocite」、Matter 2023(https://doi.org/10.1016/j.matt.2022.10.015)に記載されている。ナノフィラメントは、メソポーラス材料(例えば、粉末)の形態、シートの形態、および他の形態で構成され得ることが理解されるべきである。ナノフィラメントは管状であり得ることを理解すべきである。
【0026】
ナノフィラメントは、メソポーラス材料(例えば粉末)の形態、シートの形態、その他の形態で構成できることを理解すべきである。
【0027】
態様2.請求項1に記載の方法において、前記尿素の初期濃度が10mmol/L~1000mmol/Lの範囲にあり、または初期濃度が15mg/dL~40mg/dLの濃度範囲にあり、前記最終濃度が前記初期濃度より少なくとも10%低く、前記初期試料が血液または血液製剤であるか、または血液製剤を含み、条件がヒト患者による後の使用のための血液または血液製剤の有用性を損なわない、方法。
【0028】
態様3.請求項2に記載の方法において、前記最終濃度が前記初期濃度より少なくとも30%低い、方法。
【0029】
態様4.請求項3に記載の方法において、前記最終濃度が前記初期濃度より少なくとも50%低い、方法。
【0030】
態様5.請求項4に記載の方法において、前記最終濃度が前記初期濃度より少なくとも70%低い、方法。
【0031】
態様6.尿素の初期水溶液から尿素を除去するための装置であって、前記装置は、前記初期水溶液が通過するように誘導される金属酸化物ナノフィラメント組成物の交換可能なカートリッジを含み、前記カートリッジは、前記尿素の初期水溶液が前記カートリッジに含まれ、前記金属酸化物ナノフィラメントと接触するように適合され、
前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択でチタンを含み、
前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択で炭素を含み、および
前記酸化物ナノフィラメントが、任意でアナターゼ構造を有する、装置。
【0032】
態様7.請求項6に記載の装置において、前記装置が、前記尿素の初期水溶液が、前記金属酸化物ナノフィラメントの少なくとも一部を通して浸透するように適合される、装置。
【0033】
態様8.請求項6記載の装置において、前記カートリッジが、前記金属酸化物ナノフィラメントで被覆されたチャネルを含む、装置。
【0034】
態様9.請求項6記載の装置において、前記カートリッジが、前記金属酸化物ナノフィラメントで被覆されたチャネルを含み、前記金属酸化物ナノフィラメントが、チタンを含み、前記金属酸化物ナノフィラメントが、アナターゼ構造またはレピドクロサイト構造を有する、装置。
【0035】
態様10.請求項6記載の装置において、前記金属酸化物ナノフィラメント組成物が、複数の積層層として存在する、装置。
【0036】
態様11.方法であって、金属酸化物ベースのナノフィラメントを含む組成物を、金属イオンおよび/または金属を含む初期試料に、前記金属イオンおよび/または前記金属の少なくとも一部が前記金属酸化物ナノフィラメントと会合するような条件下で接触させる工程を含み、前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択でチタンを含み、前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意選択でアナターゼ構造またはレピドクロサイト構造を有し、および任意選択で、前記組成物および前記金属酸化物ナノフィラメントおよび/または金属に光を照射する工程と、を含む、方法。
【0037】
態様12.請求項11に記載の方法において、前記金属イオンおよび/または金属が、As、Pb、Cd、Cr、Ni、Zn、Co、またはMn、Ir、Au、Ru、Re、Pt、Pd、Ag、またはそれらのイオンを含む、方法。
【0038】
態様13.請求項11に記載の方法において、前記照明する工程がキセノンランプ照明を含む、方法。
【0039】
態様14.請求項11記載の方法であって、前記照明する工程が自然光を含む、方法。
【0040】
態様15.請求項11~14のいずれか1項に記載の方法において、前記会合が、約1時間以内に本質的に完了する、方法。
【0041】
態様16.請求項15に記載の方法において、前記会合が、約15分以内に実質的に完了する、方法。
【0042】
態様17.請求項16に記載の方法において、前記会合が、約2分~約3分以内に実質的に完了する、方法。
【0043】
態様18.組成物であって、それらに会合する少なくとも2つの異なる金属塩を有する金属酸化物ナノフィラメントを含む、組成物。少なくとも2種の塩の金属は、金属酸化物ナノフィラメントの金属とは異なり得る。
【0044】
態様19.請求項18に記載の組成物において、前記少なくとも2つの異なる金属塩の少なくとも1つがニッケルを含む、組成物。
【0045】
態様20.請求項18に記載の組成物において、前記少なくとも2つの異なる金属塩の少なくとも1つが鉄を含む、組成物。
【0046】
態様21.方法であって、(i)金属酸化物ナノフィラメントを含む組成物を、それらに会合する金属塩の少なくとも1つの金属と(ii)溶液と接触させ、前記溶液内で反応を触媒する、工程を含み、前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意でチタンを含み、前記金属酸化物ナノフィラメントが、任意にアナターゼ構造またはレピドクロサイト構造を有する、方法。
【0047】
態様22.請求項21に記載の方法において、前記金属酸化物ナノフィラメントがそれらに会合する少なくとも1つの金属塩を欠いている場合よりも、前記反応がより迅速に進行する、方法。
【0048】
態様23.請求項21~22のいずれか1項に記載の方法において、前記少なくとも1つの金属塩が、鉄、ニッケル、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【0049】
態様第24.請求項21~22のいずれか1項に記載の方法において、前記溶液が水を含む、方法。
【0050】
態様25.請求項21~22のいずれか1項に記載の方法において、前記反応が、前記溶液への電流の印加を含む電気化学反応である、方法。
図1
【国際調査報告】