IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イェーノプティク アウトマティジールングステヒニーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特表2025-505707エアバッグカバーに穿孔ラインを入れる方法
<>
  • 特表-エアバッグカバーに穿孔ラインを入れる方法 図1
  • 特表-エアバッグカバーに穿孔ラインを入れる方法 図2
  • 特表-エアバッグカバーに穿孔ラインを入れる方法 図3
  • 特表-エアバッグカバーに穿孔ラインを入れる方法 図4
  • 特表-エアバッグカバーに穿孔ラインを入れる方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】エアバッグカバーに穿孔ラインを入れる方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/2165 20110101AFI20250220BHJP
   B23K 26/36 20140101ALI20250220BHJP
【FI】
B60R21/2165
B23K26/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547448
(86)(22)【出願日】2023-02-07
(85)【翻訳文提出日】2024-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2023052958
(87)【国際公開番号】W WO2023152117
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】102022103016.4
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502122347
【氏名又は名称】イェーノプティク アウトマティジールングステヒニーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】ケルン アンドレ
【テーマコード(参考)】
3D054
4E168
【Fターム(参考)】
3D054AA03
3D054AA07
3D054AA13
3D054AA14
3D054BB02
3D054BB09
3D054FF16
3D054FF17
4E168AD00
4E168DA23
(57)【要約】
本発明は、エアバッグカバー(1)に穿孔ラインを入れる方法に関し、その際、エアバッグカバー(1)は仮想線(L)に沿って器具(2)に対して相対的にガイドされる。この方法を実施するために、加工ビーム(3.1)及び第1の測定ビーム(4.1)を放射し、それらによって、加工ビーム源(3)に面するエアバッグカバー(1)の側面(6)に位置する加工場所(BO)を照射し、第2の測定ビーム(5.1)を放射し、それによって、エアバッグカバー(1)の、加工ビーム源と反対側の側面(7)に位置する測定位置(MO)を照射する。次いで、第1の経路長(a)と第2の経路長(b)とを確定及び評価し、その際、第1の経路長(a)と第2の経路長(b)を、残存する残肉厚(RWS)の確定のために使用する。加工ビーム源を、確定された残肉厚(RWS)に依存して制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグカバー(1)に穿孔ラインを入れる方法であって、その際、前記エアバッグカバー(1)は、仮想線(L)に沿って、加工ビーム源(3)及び第1の測定ビーム源(4)を有する器具(2)に対して相対的にガイドされるものであり、
エアバッグカバー(1)を用意するステップと、
前記加工ビーム源(3)によって加工ビーム(3.1)を放射するステップと、
前記第1の測定ビーム源(4)によって第1の測定ビーム(4.1)を放射するステップと、
第2の測定ビーム源(5)によって第2の測定ビーム(5.1)を放射するステップと、
前記加工ビーム源(3)に面する前記エアバッグカバー(1)の側面(6)に位置する加工位置(BO)に、照射軸(BA)に沿って前記加工ビーム(3.1)と前記第1の測定ビーム(4.1)とを照射するステップと、その際、前記加工ビーム(3.1)の照射によって前記加工位置(BO)において材料除去が行われものであり、
測定位置(MO)に第2の測定ビーム(5.1)を照射するステップと、
前記第1の測定ビーム(4.1)の第1の経路長(a)を確定するステップと、
前記第2の測定ビーム(5.1)の第2の経路長(b)を確定するステップと、
前記第1及び第2の経路長(a、b)を評価するステップと、その際、前記第1及び第2の経路長(a、b)はパラメータの確定のために使用されるものであり、
確定された前記パラメータに依存して前記加工ビーム源(3)を制御するステップと、その際、前記パラメータは、残存する残肉厚(RWS)であり、
前記照射軸(BA)上に在り、前記エアバッグカバー(1)の、前記加工ビーム源(3)と反対側の側面(7)上の位置に、測定位置(MO)として、第2の測定ビーム(5.1)を照射するステップと、を含み、
前記エアバッグカバー(1)が用意される前に、前記第1の測定ビーム源(4)と前記第2の測定ビーム源(5)との間の距離(c)を確定し、
前記距離(c)と、前記第1の経路長(a)と前記第2の経路長(b)との和との差から前記残存する残肉厚(RWS)を確定する、方法において、
前記第1の測定ビーム源(4)と前記第2の測定ビーム源(5)との間の前記距離(c)を、前記エアバッグカバー(1)の用意の前に、規定の厚さ(d)を有する反射素子(8)によって確定し、その際、前記反射素子(8)を前記加工位置(BO)に用意することを特徴とする、エアバッグカバー(1)に穿孔ラインを入れる方法。
【請求項2】
前記第1の測定ビーム源(4)は、干渉断層撮影装置の測定ビーム源であり、
前記第1の経路長(a)を、光干渉断層撮影法によって確定することを特徴とする、請求項1に記載のエアバッグカバー(1)に穿孔ラインを入れる方法。
【請求項3】
前記第2の測定ビーム源(5)は、干渉断層撮影装置の測定ビーム源であり、
前記第2の経路長(b)を、光干渉断層撮影法によって確定することを特徴とする、請求項1又は2に記載のエアバッグカバー(1)に穿孔ラインを入れる方法。
【請求項4】
前記エアバッグカバー(1)を、前記方法の全体の間において、支持平面部材(9)上に載置することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアバッグカバー(1)に穿孔ラインを入れる方法。
【請求項5】
前記測定位置(MO)の照射の前に、前記第2の測定ビーム(5.1)が、前記支持平面部材(9)を透過することを特徴とする、請求項4に記載のエアバッグカバー(1)に穿孔ラインを入れる方法。
【請求項6】
前記測定位置(MO)の照射の前に、前記第2の測定ビーム(5.1)が、前記支持平面部材(9)の凹部を透過することを特徴とする、請求項4に記載のエアバッグカバー(1)に穿孔ラインを入れる方法。
【請求項7】
前記第1の測定ビーム(4.1)を、前記加工ビーム(3.1)と、少なくとも部分的に、ビーム平行に又はビーム重畳してガイドすることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアバッグカバー(1)に穿孔ラインを入れる方法。
【請求項8】
前記加工ビーム(3.1)が第1の波長を有し、前記第1の測定ビーム(4.1)が第2の波長を有し、
前記第1の波長が前記第2の波長と異なることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアバッグカバー(1)に穿孔ラインを入れる方法。
【請求項9】
前記第1の測定ビーム(4.1)が白色光ビームであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアバッグカバー(1)に穿孔ラインを入れる方法。
【請求項10】
前記第1の測定ビーム(4.1)がファイバレーザのレーザビームであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアバッグカバー(1)に穿孔ラインを入れる方法。
【請求項11】
前記加工ビーム(3.1)がCOレーザのレーザビームであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアバッグカバー(1)に穿孔ラインを入れる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグカバーに穿孔ラインを入れる方法に関し、その際、エアバッグカバーの残肉厚を確定し、残肉厚に依存して加工ビーム源を制御する。
【背景技術】
【0002】
ワークピース、特に、エアバッグ(エアバッグカバー)の放出のための板状の材料であり得るワークピースを加工する方法は、特許文献1から知られている。領域弱化のために、弱化レーザビームが弱化レーザから放射され、この弱化レーザビームは、測定レーザビームに対して、ビーム重畳して、ビーム平行に、又は適合する態様においてガイドされ、その際、測定レーザビームは、弱化レーザビームの波長とは異なる波長を有する。弱化する領域は、弱化レーザビームの波長に対してよりも測定レーザビームの波長に対して高い透過率を有する。弱化される領域は、歯のように一列に隣り合って配置することができる。測定レーザビームの現在の出力は検出センサによって測定され、所定の測定レーザと弱化レーザとの相対経路比を用いて、現在の出力から間接的に残肉厚が確定される。確定された残肉厚に基づいて、弱化レーザのレーザ出力及び/又はレーザ持続時間の設定が行われる。開示された方法においては、残肉厚の確定のために、及び、それによって、弱体化レーザのパラメータの設定のために、ワークピースを通過するレーザ放射の透過が常に必要とされる。その結果、ごく僅かな残肉厚しか確定できず、この方法は、適合する光学特性を有する特定のワークピース材料にのみ適している。
【0003】
ワークピースのレーザ材料加工の更なる方法が、特許文献2に開示されている。この方法は、材料加工ビームと1つ以上の画像化ビームとを放射することを含む。ワークピースの位相変化領域には、材料加工ビーム及び少なくとも1つの画像化ビームが照射される。画像化ビームは、低コヒーレンス干渉法を用いて、位相変化領域の少なくとも1点において測定を行うために使用される。このために、ワークピースによって反射された画像化ビームの部分は、経路長差に基づく干渉法出力を生成するために、例えばリファレンスアームからの他の部分と組み合わされる。次いで、干渉法出力は、例えば、位相変化領域の止まり孔の深さのような、少なくとも1つの特性を特定するために、処理される。位相変化領域の少なくとも1つの特定された特性に基づいて、加工プロセスの少なくとも1つのパラメータを制御することができる。
【0004】
特許文献3は、レーザビームを用いてワークピースを切断する方法を開示している。この場合、レーザ装置によって放射されたレーザビームによって、ワークピース上に切断カーフが形成される。切断カーフには、同時に、干渉断層撮影装置の光源から放射される測定ビームが照射される。干渉断層撮影装置はリファレンスアームを使用し、リファレンスアームから放たれた光が、反射された測定ビームと干渉する。測定ビームは切断カーフを測定するために偏向され、切断カーフの少なくとも1つの幾何学的特性を確定するために干渉応答が検出される。検出された切断カーフの少なくとも1つの特性に基づいて、切断工程のプロセスパラメータ、特にレーザ装置のパラメータを制御することができる。
【0005】
上記の2つの方法の欠点は、リファレンスアームがそれぞれワークピースに依存しないことである。このことは、ワークピースが載置される支持平面部材(支持平面)の凹凸、ワークピースの表面の凹凸、又はワークピースの肉厚のばらつきが考慮されず、残存する残肉厚が正確に確定されないことにつながることを意味する。
【0006】
特許文献4から、エアバッグカバーに目標破断線を入れる装置が知られており、この装置は、対向する側から加工位置に向けられる2つのセンサを含む。残存する残肉厚は、2つのセンサの信号の組み合わせから導出される。
【0007】
特許文献5は、高エネルギーの加工ビームによってワークピースを加工するための加工装置を開示している。光干渉断層撮影装置として形成された少なくとも1つの走査装置が加工ヘッドに配置されており、この走査装置によってワークピース表面を1次元、2次元又は3次元に走査することができる。走査は、その干渉断層撮影装置から照射され、ワークピース表面において反射される測定ビームを用いて行われる。反射された測定ビームは、少なくとも部分的にリファレンス光ビームとともに検出器上に導かれる。
【0008】
特許文献6には、レーザ穿孔の方法と、板状部品へのレーザ穿孔の方法を実施するための装置が記載されている。穿孔工程の前に、穿孔領域における少なくとも1つの測定手段によって、2つの部品表面の間の距離によって規定される部品の厚さが確定される。第2の測定手段によって、穿孔工程中に、穿孔の深さが検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第102018002300号明細書
【特許文献2】国際公開第2014/138939号パンフレット
【特許文献3】独国特許出願公開第102018129407号明細書
【特許文献4】国際公開第01/70445号パンフレット
【特許文献5】欧州特許第1977850号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第10355931号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、エアバッグカバーに穿孔ラインを入れる方法であって、凹凸又は肉厚のばらつきに依存せずに、残存する残肉厚を正確に確定することができ、且つ、測定ビームの領域において不透明なワークピースに対して、残存する残肉厚の正確な確定が可能な方法を見出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、本発明によれば、エアバッグカバーに穿孔ラインを入れる方法によって解決される。すなわち、本方法においては、エアバッグカバーを、仮想線に沿って、加工ビーム源と第1の測定ビーム源とを有する器具に対して相対的にガイドし、加工ビーム源によって加工ビームを放射し、第1の測定ビーム源によって第1の測定ビームを放射し、第2の測定ビーム源によって第2の測定ビームを放射し、加工ビーム源に面するエアバックカバーの側面に位置する加工位置に、照射軸に沿って加工ビームと第1の測定ビームとを照射し、その際、加工ビームの照射によって加工位置において材料除去が行われ、測定位置に第2の測定ビームを照射し、第1の測定ビームの第1の経路長、及び、第2の測定ビームの第2の経路長を確定し、第1の経路長及び第2の経路長を評価し、その際、第1の経路長及び第2の経路長は残存する残肉厚の確定のために使用され、確定された残存する残肉厚に依存して加工ビーム源を制御するものであり、課題は以下によって解決される。照射軸上に在り、エアバッグカバーの、加工ビーム源と反対側の側面上の位置に、測定位置として、第2の測定ビームを照射する。エアバッグカバーが用意される前に、第1の測定ビーム源と第2の測定ビーム源との間の距離を確定する。そして、第1の測定ビーム源と第2の測定ビーム源との間の距離と、第1の経路長と第2の経路長との和との差から残肉厚を確定する。第1の測定ビーム源と第2の測定ビーム源との間の距離は、規定された厚さを有する反射素子によって確定され、その際、反射素子を加工位置に用意する。
【0012】
有利には、第1の測定ビーム源及び/又は第2の測定ビーム源は、それぞれ干渉断層撮影装置の測定ビーム源であり、第1の経路長及び/又は第2の経路長は、光干渉断層撮影法によって確定される。光干渉断層撮影法を実施するために、第1の測定ビーム及び/又は第2の測定ビームは、照射前に、それぞれのビーム経路に存在するビームスプリッタによって、リファレンスアームに向かって部分的に反射され得る、又は部分的に透過され得る。その後、リファレンスアームを通過したそれぞれの測定ビームの一部は、エアバッグカバーによって反射されたそれぞれの測定ビームの一部と重畳される、或いは干渉させられ、干渉応答が検出器によって検出される。干渉応答から、第1の経路長及び/又は第2の経路長を確定することができる。
【0013】
エアバッグカバーは、方法の全体の間、支持平面部材上に載置され得る。支持平面部材は、第2の測定ビームに対して透明又は部分的に透明とすることができ、それによって第2の測定ビームは、測定位置への照射の前に支持平面部材を透過できる。代替的には、支持平面部材は凹部を有することができ、それによって、第2の測定ビームは、測定位置への照射の前に、支持平面部材のその凹部を透過できる。
【0014】
第1の測定ビームは、測定位置への照射の前後に、加工ビームと、少なくとも部分的にビーム平行に又はビーム重畳して、有利にガイドされ得る。
【0015】
加工ビームが第1の波長を有し、第1の測定ビームが第2の波長を有する場合、有利である。第1の波長は第2の波長と異なっていてもよい。代替的には、第1の測定ビームは白色光ビームであってもよい。
【0016】
特に好適には、第1の測定ビームは、ファイバレーザのレーザビームとして実施される。
【0017】
有利には、加工ビームはCOレーザのレーザビームである。同様に、有利には、加工ビーム源は別のパルスレーザであり、そのパルスレーザの、パルスエネルギ、パルス長、繰り返し周波数、及び/又は発光スペクトルが、確定された残肉厚に依存して制御される。
【0018】
以下、本発明を、図面を参照して実施例によってさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】器具、エアバッグカバー、支持平面部材、及び第2の測定ビーム源を含む、本方法を実施するための配置の側面図である。
図2】エアバッグカバーの残肉厚を確定するための、加工ビーム、第1の測定ビーム、及び第2の測定ビームのビーム経路を示す側面図である。
図3】第1の測定ビーム源と第2の測定ビーム源との間の距離を確定するために加工位置に反射素子を有する、第1の測定ビームと第2の測定ビームのビーム経路の側面図である。
図4】本方法の有利な一実施形態における、加工ビーム、第1の測定ビーム、及び第2の測定ビームのビーム経路の側面図である。
図5】本方法の更なる有利な一実施形態における、加工ビーム、第1の測定ビーム、及び第2の測定ビームのビーム経路の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
エアバッグカバー1に穿孔ラインを入れる方法を実施するための配置が図1に概略的に示される。本方法の間、エアバッグカバー1は、仮想線Lに沿って器具2に対して相対的にガイドされ、それによって、複数の加工位置BOに、エアバッグカバー1に穿孔ラインを形成する複数の止まり孔を設けることができる。加工方法の全体の間、エアバッグカバー1は支持平面部材9上に位置する、又はロボットアーム(図示せず)によって保持される。
【0021】
器具2は、加工ビーム源3と第1の測定ビーム源4とを含む。加工ビーム源3は、照射軸BAに沿って調節されており、その照射軸BAは、加工ビーム源3に面するエアバッグカバー1の側面6に対して実質的に垂直である。第2の測定ビーム源5は、方法の全体の間、加工ビーム源3と反対側の、エアバッグカバー1の側面7に配置される。
【0022】
最初に、穿孔ラインを入れるエアバッグカバー1を用意する。エアバッグカバー1に、複数の止まり孔或いは穿孔ラインを形成するために、加工ビーム源3は加工ビーム3.1を放射し、この加工ビーム3.1によって、加工ビーム源3に面するエアバッグカバー1の側面6に位置する加工位置BOが照射される。加工ビーム3.1の照射によって、加工位置BOにエネルギーが入力され、その結果材料除去が行われる。加工位置BOにおいて、エアバッグカバー1は、加工ビーム3.1による照射後に、残肉厚RWSを有し、この残肉厚RWSは、加工位置BOにおけるエアバッグカバー1の厚さから止まり孔の深さを引いたものに等しい。残肉厚RWSは、エアバッグカバー1の加工と同時に確定される。
【0023】
残肉厚RWSを確定するために、第1の測定ビーム源4は第1の測定ビーム4.1を放射し、この第1の測定ビーム4.1は加工位置BOに照射される。加工位置BOにおいて拡散反射された第1の測定ビーム4.1は、図示されない検出器によって検出される。第1の測定ビーム4.1の照射によって、第1の測定ビーム源4から加工位置BOまでの距離に相当する第1の経路長aが確定される。第2の測定ビーム源5は第2の測定ビーム5.1を放射し、この第2の測定ビーム5.1は、照射軸BA上において、加工ビーム源3と反対側の、エアバッグカバー1の側面7に位置する測定位置MOに照射される。測定位置MOによって反射された第2の測定ビーム5.1は、同じく図示されない更なる検出器によって検出される。第2の測定ビーム5.1の照射によって、第2の経路長bが確定され、これは第2の測定ビーム源5から測定位置MOまでの距離に相当する。この距離は、空間的な距離としてではなく、むしろ光学的な距離或いはビーム経路に沿った経路長と解される。第1の経路長a及び第2の経路長bを考慮して、残肉厚RWSを確定することが望ましい。残存する残肉厚RWSに依存して、加工ビーム源3を制御する。第1の経路長a及び第2の経路長bを用いて残肉厚RWSを確定するためには、エアバッグカバー1に対する第1の測定ビーム源4及び第2の測定ビーム源5の位置、したがって互いに対する相対位置、又は少なくとも互いの距離を知ることが有利である。
【0024】
図2は、加工ビーム3.1、第1の測定ビーム4.1、及び第2の測定ビーム5.1のビーム経路を示す。更に、第1の経路長a、第2の経路長b、及び第1の測定ビーム源4と第2の測定ビーム源5との間の距離cが符号付けされている。加工ビーム3.1と第1の測定ビーム4.1とは、図2に示されるように、ビーム重畳して伸びることができる。しかしながら、第1の測定ビーム4.1は、照射軸BAに沿って伸びないこともできる。第1の測定ビーム4.1は、特に、照射軸BAに沿って、ビーム平行に又は少なくとも部分的にビーム平行に伸びることができる。
【0025】
エアバッグカバー1が用意される前に、第1の測定ビーム源4と第2の測定ビーム源5との間の距離cを、その距離cと、第1の経路長aと第2の経路長bとの和との差から、残存する残肉厚RWSを算定するために、確定することができる。図3は、距離cの確定のための配置を示す。この場合、距離cは、規定の厚さdを有する反射素子8の挿入によって確定される。照射軸BAに沿った反射素子8の厚さdが既知である場合、距離cは、第1の経路長aと第2の経路長bとを特定することによって確定することができ、その距離cは、第1の経路長aと、第2の経路長bと、反射素子8の厚さdとの和になる。その際、第1の経路長a及び第2の経路長bは、光干渉断層撮影法を用いて確定することもできる。第1の測定ビーム源4と第2の測定ビーム源5との間の距離cは、測定ビーム源の位置の確定によって、又は、測定ビーム源の一方への反射コーティングの塗布によっても確定することができる。図3には、第2の測定ビーム源5のための検出器が示されており、その検出器は、ビームスプリッタの下流側においてリファレンスアームに対向して配置されている。
【0026】
第1の経路長a及び/又は第2の経路長bは、光干渉断層撮影法を用いて確定することができる。このために、ビームスプリッタがそれぞれの測定ビーム経路に存在し、そのビームスプリッタは、測定ビーム源からリファレンスアームに入射する光を部分的に反射又は部分的に透過させる。リファレンスアームにはミラーが配置され、そのミラーは、リファレンスアームに反射された測定ビームの一部を反射してビームスプリッタに戻す。測定位置MO及び/又は加工位置BOにおいては、照射された測定ビームの一部も反射され、ビームスプリッタにおいて、リファレンスアームに反射された測定ビームの一部と再び結合される。測定ビームの2つの部分は互いに干渉し、検出器によって検出された干渉応答から、リファレンスアームに反射された測定ビームの部分と透過された測定ビームの部分との間の経路長差を確定することができる。次いで、この経路長差から、第1の経路長a及び/又は第2の経路長bを確定することができる。図4には、第1の測定ビーム源4のためのそのようなリファレンスアームが、ビームスプリッタ及びフラットミラーと共に示される。
【0027】
エアバッグカバー1が、方法の全体の間において支持平面部材9上に載置される場合、エアバッグカバー1は、常に、加工ビーム3.1の反対側の側面7に載置される。図4にも示すように、第1の測定ビーム4.1は、加工ビーム3.1と部分的にのみ重畳してガイドすることもできる。残肉厚RWSを決定するためには、第2の測定ビーム源5から放射される第2の測定ビーム5.1が、支持平面部材9を通って測定位置MOに到達する必要がある。このために、支持平面部材9は、第2の測定ビーム5.1に対して少なくとも部分的に透明であり得る。これには、各加工位置BO、延いては各測定位置MOを任意に選択できるという利点がある。
【0028】
代替的には、図5に示すように、支持平面部材は凹部を有することが可能であり、その凹部を通って第2の測定ビーム5.1がエアバッグカバー1に到達する。
【符号の説明】
【0029】
1 エアバッグカバー
2 器具
3 加工ビーム源
3.1 加工ビーム
4 第1の測定ビーム源
4.1 第1の測定ビーム
5 第2の測定ビーム源
5.1 第2の測定ビーム
6 加工ビーム源に面する側面
7 加工ビーム源と反対側の側面
8 反射素子
9 支持平面部材
a 第1の経路長
b 第2の経路長
c 距離
d 厚さ
BA 照射軸
BO 加工位置
MO 測定位置
RWS 残肉厚
L 仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】