(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】コーティングを形成する方法
(51)【国際特許分類】
C03C 17/245 20060101AFI20250220BHJP
C03B 18/12 20060101ALI20250220BHJP
C03C 17/34 20060101ALI20250220BHJP
C23C 16/40 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
C03C17/245 Z
C03B18/12
C03C17/34 Z
C23C16/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547565
(86)(22)【出願日】2023-02-09
(85)【翻訳文提出日】2024-09-02
(86)【国際出願番号】 GB2023050298
(87)【国際公開番号】W WO2023152502
(87)【国際公開日】2023-08-17
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591229107
【氏名又は名称】ピルキントン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225060
【氏名又は名称】屋代 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ピーター マイケル ハリス
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ニー
(72)【発明者】
【氏名】デボラ ライスベック
(72)【発明者】
【氏名】スリカンス バラナシ
【テーマコード(参考)】
4G059
4K030
【Fターム(参考)】
4G059AA01
4G059AC08
4G059EA01
4G059EA02
4G059EB01
4G059GA01
4G059GA04
4G059GA12
4K030AA11
4K030AA12
4K030AA14
4K030BA01
4K030BA42
4K030CA06
4K030DA02
4K030JA05
4K030JA06
4K030JA10
4K030JA12
(57)【要約】
ガラス基板上にマンガン酸化物をベースとする層を形成するための化学気相成長プロセスが提供される。ガス状混合物が形成され、ガス混合物は、ビス(シクロペンタジエニル)マンガン(II)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)マンガン(II)、(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニル、およびそれらの誘導体からなる群から選択される1つ以上のマンガン含有化合物と、有機酸素含有化合物および分子状酸素からなる群から選択される1つ以上の酸素含有前駆体とを含む。ガス状混合物は、ガラス基板に向かっておよびガラス基板に沿って導かれ、ガラス基板上で反応してその上にマンガン酸化物コーティングを形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板上にマンガン酸化物コーティングを形成する化学気相成長プロセスであって、
ガラス基板を準備するステップと、
ビス(シクロペンタジエニル)マンガン(II)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)マンガン(II)、(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニル、およびそれらの誘導体からなる群から選択される1つ以上のマンガン含有化合物と、有機酸素含有化合物および分子状酸素からなる群から選択される1つ以上の酸素含有前駆体とから構成されるガス状混合物を形成するステップと、
前記ガス状混合物を前記ガラス基板に向かっておよび前記ガラス基板に沿って導くステップと、
前記ガラス基板上で前記ガス状混合物を反応させて、前記ガラス基板上にマンガン酸化物のコーティングを形成するステップと、
を含む、ガラス基板上にマンガン酸化物コーティングを形成する化学蒸着プロセス。
【請求項2】
前記ガラス基板は、フロートガラス製造プロセスにおけるガラスリボンである、請求項1に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項3】
コーティング装置を準備するステップと、前記ガラス基板上に前記マンガン酸化物コーティングを形成する前に、前記ガス状混合物を前記コーティング装置に供給するステップとをさらに含む、請求項1または2に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項4】
前記マンガン酸化物コーティングは、前記ガス状混合物が反応して前記マンガン酸化物コーティングを形成するときに実質的に大気圧にある前記ガラス基板の堆積表面上に形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項5】
前記マンガン酸化物コーティングは、前記ガラス基板上に連続コーティング層を形成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項6】
前記マンガン酸化物コーティングは、ガラス基板上に不連続コーティング層を形成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項7】
前記マンガン酸化物コーティングは、0.10μg/cm
2以下の表面マンガン濃度を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項8】
前記マンガン酸化物コーティングは、前記ガラス基板上に予め形成されたコーティングの上に形成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項9】
前記マンガン酸化物コーティングは、前記ガラス基板上に予め形成されたシリコン酸化物をベースとするコーティング上に形成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項10】
前記マンガン酸化物コーティングは、前記ガラス基板上に予め形成されたスズ酸化物をベースとするコーティング上に形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項11】
前記スズ酸化物をベースとするコーティングは、フッ素をドープされている、請求項10に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項12】
前記マンガン酸化物コーティングがその上に形成されるとき、前記ガラス基板は、1100°F(593℃)~1400°F(760℃)の温度である、請求項1から11のいずれか一項に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項13】
前記マンガン酸化物コーティングは、熱分解性である、請求項1から12のいずれか一項に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項14】
有機酸素含有化合物は、前記ガス状混合物中に含まれ、前記有機酸素含有化合物は、1つ以上のカルボニル化合物から構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項15】
前記有機酸素含有化合物は、エステルである、請求項14に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項16】
前記有機酸素含有化合物は、β水素を有するアルキル基を有するエステルである、請求項15に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項17】
前記有機酸素含有化合物は、酢酸エチル、ギ酸エチル、プロピオン酸エチル、ギ酸イソプロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチルおよび酢酸t-ブチルのうちの1つ以上である、請求項14または15に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項18】
前記有機酸素含有化合物は、酢酸エチルである、請求項14、15および17に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項19】
前記ガス状混合物は、分子状酸素から構成される、請求項1から18のいずれか一項に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項20】
前記ガス状混合物は、(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルまたはその誘導体、あるいはその両方から構成される、請求項1から19のいずれか一項に記載の化学気相成長プロセス。
【請求項21】
前記ガス状混合物は、(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルから構成される、請求項1から20のいずれか一項に記載の化学気相成長プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、マンガン酸化物をベースとするコーティングまたは層を形成するプロセスに関する。特に、本発明は、ガラス基板上にマンガン酸化物をベースとするコーティングを形成する化学気相成長(CVD)プロセスに関する。
【発明の概要】
【0002】
マンガン酸化物コーティングを形成するための化学気相成長プロセスの実施形態を下記に説明する。一実施形態では、マンガン酸化物コーティングを形成するための化学気相成長プロセスは、移動するガラス基板を提供するステップを含む。ガス状混合物は、マンガン含有化合物と酸素含有分子とを含む。1つ以上のマンガン含有化合物は、ビス(シクロペンタジエニル)マンガン(II)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)マンガン(II)、(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニル、およびそれらの誘導体からなる群から選択され、一方、1つ以上の酸素含有前駆体は、有機酸素含有化合物および分子状酸素からなる群から選択される。ガス状混合物は、ガラス基板に向かっておよびガラス基板に沿って導かれる。ガス状混合物は、ガラス基板上で反応し、ガラス基板上にマンガン酸化物コーティングを形成する。
【0003】
いくつかの実施形態では、ガラス基板は、フロートガラス製造プロセスにおけるガラスリボンである。
【0004】
いくつかの実施形態では、マンガン酸化物コーティングは、実質的に大気圧にあるガラス基板の堆積表面上に形成される。
【0005】
いくつかの実施形態では、コーティング装置を準備するステップと、ガラス基板上にマンガン酸化物コーティングを形成する前に、ガス状混合物をコーティング装置に供給するステップとをさらに含む。
【0006】
マンガン酸化物コーティングは、ガス状混合物が反応してマンガン酸化物コーティングを形成するときに実質的に大気圧にあるガラス基板の堆積表面上に形成され得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、マンガン酸化物コーティングは、ガラス基板上に連続コーティング層を形成する。他の実施形態では、マンガン酸化物コーティングは、ガラス基板上に不連続層を形成し、マンガン酸化物は、ガラス基板上の一部の領域を覆い、他の領域は覆わない。
【0008】
好ましくは、マンガン酸化物コーティングは、0.10μg/cm2以下の表面マンガン濃度を有するように、堆積される。
【0009】
マンガン酸化物コーティングがガラス基板上に予め形成されたコーティングの上に形成される実施形態があり得る。こうして、いくつかの実施形態では、マンガン酸化物コーティングは、ガラス基板上に予め形成されたシリコン酸化物をベースとするコーティング上に形成される。いくつかの実施形態では、マンガン酸化物コーティングは、ガラス基板上に予め形成されたスズ酸化物をベースとするコーティング上に形成される。スズ酸化物をベースとするコーティングは、ドープされていないか、または、例えばフッ素を、ドープされ得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、マンガン酸化物コーティングがその上に形成されるとき、ガラス基板の温度は、1100°F(593℃)~1400°F(760℃)であり、マンガン酸化物コーティングは、熱分解性である。
【0011】
いくつかの実施形態では、有機酸素含有化合物は、ガス状混合物中に含まれ、有機酸素含有化合物は、1つ以上のカルボニル化合物から構成される。具体的な実施形態では、有機酸素含有化合物は、エステルであり、さらにβ水素を有するアルキル基を有するエステルであり得る。有機酸素含有化合物は、酢酸エチル、ギ酸エチル、プロピオン酸エチル、ギ酸イソプロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチルおよび酢酸t-ブチルのうちの1つ以上であり得る。特に好ましい実施形態では、有機酸素含有化合物は、酢酸エチルである。
【0012】
いくつかの実施形態では、ガス状混合物は、分子状酸素から構成される。
【0013】
いくつかの実施形態では、ガス状混合物は、(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルまたはその誘導体、あるいはその両方から構成される。好ましい実施形態では、ガス状混合物は、(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルから構成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、ガス状混合物は、(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルから構成され、有機酸素含有化合物は、エチルアセテートから構成される。
【0015】
上記、および本プロセスのその他の利点は、本発明の一実施形態によるフロートガラス製造プロセスを実施するための設備の垂直断面の概略図である、添付の図面に照らして下記の詳細な説明を考慮すると、当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態によるフロートガラス製造プロセスを実施するための設備の垂直断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、明示的に反対のことが規定されている場合を除き、様々な代替の方向性およびステップシーケンスを想定し得ることを理解されたい。また、下記の明細書に記載されている特定の物品、装置およびプロセスは、本発明の概念の単なる例示的な実施形態であることも理解されたい。したがって、開示された実施形態に関連する特定の寸法、方向、またはその他の物理的特性は、明示的に別段の記載がない限り、限定的なものとしてみなされるべきではない。また、そうではない場合もあり得るが、出願のこのセクション内で説明されているさまざまな実施形態における同様の要素は、一般に同様の参照番号で参照される場合があり得る。
【0018】
本発明の文脈において、層またはコーティングが特定の材料または複数の材料を「ベースとする」といわれる場合、これは、層またはコーティングが主として対応する当該材料または複数の材料からなることを意味し、通常、当該材料または複数の材料が少なくとも約50原子%含まれることを意味する。
【0019】
本発明に関する下記の説明では、特に反対の記載がない限り、パラメータの許容範囲の上限または下限の代替値の開示は、当該値の一つが他方よりも好ましいという表示と結合して、当該代替値のうちより好ましい値とより好ましくない値との間にある当該パラメータの各中間値が、それ自体で当該より好ましくない値よりも好ましいこと、および当該より好ましくない値と当該中間値との間にある各値よりも好ましいことを暗黙的に示していると解釈される。
【0020】
本明細書全体を通じて、「含む」または「含んでいる」という用語は、指定された構成要素を含むことを意味するが、他の構成要素の存在を排除するものではない。「実質的に~からなっている」または「実質的に~からなる」という用語は、指定された成分を含むが、不純物として存在する物質、成分を提供するために使用されるプロセスの結果として存在する避けられない物質、および発明の技術的効果を達成する以外の目的で追加された成分以外の成分を除外することを意味する。通常、組成物について言及する場合、実質に一組の成分からなる組成物は、指定されていない成分を重量比で5%未満、典型的には重量比で3%未満、より典型的には重量比で1%未満含む。
【0021】
本明細書で使用される「約」という用語は、記載された値を含み、問題の測定および特定の量の測定に関連する誤差(すなわち、測定システムの限界)を考慮して、当業者によって決定される特定の値の偏差の許容範囲内を意味する。例えば、「約」は、当業者が理解するとおり、1つ以上の標準偏差内を意味し得る。さらに、本明細書ではパラメータが「およそ」特定の値を有するものとして説明され得が、実施形態によれば、パラメータは、当業者によって理解されるように、測定誤差の範囲内で正確に特定の値またはほぼ特定の値であり得ることを理解されたい。
【0022】
「~からなっている」または「~からなる」という用語は、指定された構成要素を含むが、他の構成要素を除外することを意味する。
【0023】
適切な場合はいつでも、文脈に応じて、「含む」または「含んでいる」という用語の使用は、「実質的に~からなっている」または「実質的に~からなる」という意味も含むと解釈される場合があり、また、「~からなっている」または「~からなる」という意味も含むとも解釈され得る。
【0024】
ここでの「xからyの範囲内」などの言及は、「xからyまで」という解釈を含むことを意図しており、したがって値xとyが含まれる。
【0025】
本発明の文脈では、透明材料または透明基板は、可視光を透過可能であり、その結果、当該材料の向こう側または後ろ側にある物体または画像が当該材料または基板を通して明瞭に見え得る、材料または基板のことである。
【0026】
本発明の文脈において、層の「厚さ」は、層の表面の任意の所定の位置について、層の最小寸法の方向における、層の表面の当該位置から当該層の反対側の表面の位置までの層を通る距離によって表される。
【0027】
本発明において、「誘導体」とは、他の化学物質と構造的に関連し、理論的にそこから誘導可能な化学物質である。
【0028】
本発明の一実施形態では、マンガン酸化物コーティングを形成するためのCVDプロセス(以下、「CVDプロセス」ともいう)が提供される。CVDプロセスは、コーティングされたガラス製品に関連して説明される。このようなコーティングされたガラス製品は、さまざまな用途に使用され得る。例えば、コーティングされたガラス製品は、建築用ガラス、電子機器、および/または自動車や航空宇宙用途に利用され得るが、これらに限定されない。これらは、太陽光制御製品の吸収層として使用され得、または特定の着色製品を模倣するマルチコーティングスタック設計の層として使用され得る。
【0029】
マンガン酸化物コーティングは、マンガンと酸素とを含む。特定の実施形態では、マンガン酸化物コーティングは、実質的にマンガンと酸素からなり得る。マンガン酸化物コーティングは、例えば炭素などの微量の1つ以上の追加成分も含まれ得る。本明細書で使用される「微量」という語句は、マンガン酸化物をベースとする層の成分の量が0.01重量%未満、または同等に100ppm未満である。
【0030】
特定の実施形態では、マンガン酸化物コーティングは、ガラス基板上に連続層を形成する。しかし、他の実施形態では、マンガン酸化物コーティングはガラス基板上に不連続層を形成し、マンガン酸化物はガラス基板上の一部の領域を覆うが、ガラス基板上の他の領域は覆わない。特定の好ましい実施形態では、マンガン酸化物コーティングは、マンガンの表面濃度が0.10μg/cm2以下、より好ましくは0.07μg/cm2以下、さらに好ましくは0.05μg/cm2以下となるようにガラス基板上に堆積され得る。
【0031】
CVDプロセスは、ガラス基板の製造と併せて実行され得る。一実施形態では、ガラス基板は、既知のフロートガラス製造プロセスを利用して形成され得る。フロートガラス製造プロセスの例を図に示す。この実施形態では、ガラス基板は、ガラスリボンとも呼ばれ得る。しかし、CVDプロセスは、フロートガラス製造プロセスとは別に、またはガラスリボンの形成および切断のかなり後にも利用され得ることを理解されたい。
【0032】
特定の実施形態では、CVDプロセスは、動的堆積プロセスである。これらの実施形態では、マンガン酸化物コーティングを形成するときにガラス基板が動いている。好ましくは、マンガン酸化物コーティングが形成される際に、ガラス基板は、例えば、3.175m/min(125インチ/min)を超える所定の速度で移動する。一実施形態では、マンガン酸化物コーティングが形成される際に、ガラス基板は、3.175m/min(125インチ/min)~12.7m/min(600インチ/min)の速度で移動する。
【0033】
特定の実施形態では、ガラス基板が加熱される。一実施形態では、マンガン酸化物コーティングが形成されるときのガラス基板の温度は、約1100°F(593℃)以上である。別の実施形態では、マンガン酸化物コーティングがその上に形成されるときのガラス基板の温度は、1100°F(593℃)~1400°F(760℃)である。
【0034】
好ましくは、マンガン酸化物コーティングは、ガラス基板の堆積表面が実質的に大気圧にある間に、その堆積表面上に堆積される。この実施形態では、CVDプロセスは、大気圧CVD(APCVD)プロセスである。しかしながら、CVDプロセスは、APCVDプロセスに限定されず、他の実施形態では、マンガン酸化物コーティングは、低圧条件下で形成され得る。
【0035】
ガラス基板は、特定の厚さに限定されない。また、ガラス基板は、当該技術分野で知られている従来のガラス組成であり得る。一実施形態では、ガラス基板は、ソーダ石灰シリカガラスである。いくつかの実施形態では、基板は、フロートガラスリボンの一部であり得る。しかし、CVDプロセスはソーダ石灰シリカガラス基板に限定されず、他の実施形態では、ガラス基板は、例えばホウケイ酸ガラスまたはアルミノケイ酸ガラスであり得る。
【0036】
また、ガラス基板の透明性または吸収特性は実施形態間で異なり得る。さらに、ガラス基板の色は、CVDプロセスの実施形態間で異なり得る。一実施形態では、ガラス基板は、実質的に透明であり得る。他の実施形態では、ガラス基板は、淡く着色され得または着色され得る。
【0037】
マンガン酸化物コーティングは、ビス(シクロペンタジエニル)マンガン(II)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)マンガン(II)、(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニル、およびそれらの誘導体からなる群から選択される1つ以上のマンガン含有化合物と、有機酸素含有化合物および分子状酸素からなる群から選択される1つ以上の酸素含有前駆体とを提供することによって堆積され得る。
【0038】
別個の供給ラインは、反応物(前駆体)分子の供給源から延在し得る。本明細書において使用される「反応物分子」および「前駆体分子」という語句は、マンガン含有化合物および酸素含有前駆体のいずれかまたはすべてを指すために互換的に使用され、および/または本明細書に開示されるそれらのさまざまな実施形態を説明するために使用される。好ましくは、前駆体分子の供給源は、フロート浴チャンバの外側の場所に設けられる。
【0039】
好ましくは、マンガン酸化物コーティングは、ガス状混合物を形成することによって堆積される。ガス状混合物を形成するために使用される前駆体分子は、CVDプロセスで使用するのに適していることが好ましい。このような分子は、ある時点では液体または固体であるが、揮発性であるため、気化させてガス混合物に使用し得る。特定の実施形態では、ガス状混合物は、実質的に大気圧でマンガン酸化物コーティングを形成するのに適した前駆体分子が含まれる。気体状態になると、前駆体分子は気体流に含まれ得、マンガン酸化物コーティングの形成に利用され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、マンガン酸化物コーティングを堆積するために形成されるガス状混合物は、有機酸素含有化合物で構成される。有機酸素含有化合物は、1種以上のカルボニル化合物であり得る。好ましくは、カルボニル化合物は、エステルである。より好ましくは、カルボニル化合物は、β水素を有するアルキル基を有するエステルである。2~10個の炭素原子を含むβ水素を有するアルキル基が好ましい。好ましくは、エステルは、酢酸エチル(EtOAc)、エチルホルメート、エチルプロピオネート、イソプロピルホルメート、イソプロピルアセテート、n-ブチルアセテートおよびt-ブチルアセテートの1つ以上から選択される。最も好ましくは、酸素含有化合物はエチルアセテートである。
【0041】
本発明の他の実施形態では、ガス状混合物には分子状酸素、または有機酸素含有化合物に加えて分子状酸素が含まれる。
【0042】
一実施形態では、マンガン含有化合物は、(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルまたはその誘導体またはその両方から構成される。ある好ましい実施形態では、マンガン含有化合物は、(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルから構成され、酸素含有前駆体は、エチルアセテートから構成される。他の実施形態では、ガス状混合物は、分子状酸素と(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルとから構成される。
【0043】
ガス状混合物は、キャリアガスまたは希釈ガスとして利用される1種以上の不活性ガスをも含み得る。適切な不活性ガスには、窒素(N2)、ヘリウム(He)、およびそれらの混合物が含まれる。したがって、別個の供給ラインが延在し得る1つ以上の不活性ガスの供給源が提供され得る。
【0044】
前駆体分子は、混合され、ガス状混合物を形成する。特定の実施形態では、コーティング装置が設けられ得る。好ましくは、ガス状混合物は、ガラス基板上にマンガン酸化物コーティングを形成する前にコーティング装置に供給される。ガス状混合物は、1つ以上のガス分配ビームを利用してコーティング装置から排出され得る。好ましくは、ガス状混合物は、コーティング装置に供給される前に形成される。例えば、前駆体分子は、コーティング装置の入口に接続された供給ライン内で混合され得る。他の実施形態では、ガス状混合物は、コーティング装置内で形成され得る。
【0045】
好ましくは、コーティング装置は、ガラス基板全体にわたって延在し、ガラス基板の上方に所定の距離を置いて設けられる。コーティング装置は、少なくとも1つの所定の位置に配置される。CVDプロセスをフロートガラス製造プロセスと組み合わせて利用するとき、コーティング装置は、フロート浴セクション内に設けることが好ましい。しかしながら、コーティング装置は、アニーリング炉内に設けられ得、フロート浴および/またはアニーリング炉との間のギャップに設けられ得る。
【0046】
ガス状混合物は、ガラス基板に向かっておよびガラス基板に沿って導かれる。コーティング装置を利用すると、ガス状混合物がガラス基板に向かっておよびガラス基板に沿って送られる。好ましくは、ガス状混合物は、層流中において、ガラス基板に向かっておよびガラス基板に沿って送られる。
【0047】
ガス状混合物は、ガラス基板またはその近くで反応し、その上にマンガン酸化物コーティングを形成する。いくつかの実施形態では、マンガン酸化物コーティングは、熱分解性である。ここで使用される「熱分解性」という用語は、ガラス基板に化学的に結合されたコーティングを指し得る。
【0048】
本発明のマンガン酸化物コーティングは、1つ以上の予め堆積されたコーティングの上に形成され得る。例えば、マンガン酸化物コーティングは、ガラス基板の堆積表面上に形成された事前堆積されたシリコン酸化物コーティングの上に形成され得る。マンガン酸化物コーティングは、シリコン酸化物コーティング上に直接形成され得る。他の実施形態では、マンガン酸化物コーティングは、ガラス基板の堆積表面上に形成された予め堆積されたスズ酸化物コーティング上に形成され得る。これらの実施形態では、スズ酸化物コーティングは、ドープされていない場合またはドープされている場合があり得、スズ酸化物コーティングがドープされている場合、フッ素をドープされ得る。マンガン酸化物コーティングは、スズ酸化物コーティング上に直接形成され得る。
【0049】
上記で説明したように、マンガン酸化物コーティングは、既知のフロートガラス製造プロセスにおけるガラス基板の製造と同時に形成され得る。フロートガラス製造プロセスは、通常、図に示す設備30などのフロートガラス設備を利用して実行される。しかしながら、ここで説明するフロートガラス設備30は、このような設備の単なる例示であることを理解されたい。
【0050】
図に示すように、フロートガラス設備30は、カナルセクション32を備え得、これに沿って溶融ガラス34が溶融炉から、ガラス基板が形成されるフロート浴セクション36に搬送される。この実施形態では、ガラス基板はガラスリボン38と呼ばれる。ガラスリボン38は、マンガン酸化物コーティングが形成される好ましい基板である。しかしながら、ガラス基板は、ガラスリボンに限定されないことを理解されたい。
【0051】
本発明の実施形態では、ガラスリボン38は、浴セクション36から隣接するアニーリング炉40および冷却セクション42を通って前進する。フロート浴セクション36には、溶融スズの浴46を含む底部セクション44、ルーフ48、反対側の側壁(図示せず)、および端壁50、52が含まれる。ルーフ48、側壁および端壁50、52は、共に囲い54を画定し、囲い内では非酸化雰囲気が維持され、溶融スズ46の酸化が防止される。
【0052】
動作中、溶融ガラス34は、調節ツイール56の下のカナル32に沿って流れ、制御された量でスズ浴46の表面に向かって下方に流れる。溶融スズの表面では、溶融ガラス34は、重力と表面張力の影響、および特定の機械的影響によって横方向に広がり、スズ浴46を横切って進み、ガラスリボン38を形成する。ガラスリボン38は、リフトアウトロール58を介して浴セクション36から取り出され、その後、整列したロール上でアニーリング炉40および冷却セクション42を通って搬送される。マンガン酸化物コーティングの堆積は、好ましくは、フロート浴セクション36で行われるが、堆積をガラス製造ラインのさらに先、例えばフロート浴36とアニーリング炉40との間のギャップ60、またはアニーリング炉40内で行うことも可能であり得る。
【0053】
図に示すように、コーティング装置62は、フロート浴セクション36内に設けられる。マンガン酸化物コーティングは、コーティング装置62を利用して形成され得る。この実施形態では、マンガン酸化物コーティングは、ガラス基板上に直接形成され得る。特定の実施形態では、マンガン酸化物コーティングは、ガラスリボン38上に予め形成された1つ以上のコーティングの上に形成され得る。これらのコーティングは、各々、別個のコーティング装置を利用して形成され得る。例えば、一実施形態では、酸化スズを含むコーティング層は、コーティング装置62、64を利用して堆積され得る。この実施形態では、マンガン酸化物コーティングは、スズ酸化物コーティングを形成するために使用されるコーティング装置62、64の下流に位置し上記のフロート浴セクション36内またはフロートガラス設備30の別の部分に設けられた別のコーティング装置64~68を利用して、ドープされていないスズ酸化物コーティング上に直接またはその上に形成され得る。別の実施形態では、コーティング装置66が提供され得、フッ素ドープ酸化スズを含むコーティングを形成するために利用され得る。この実施形態では、マンガン酸化物コーティングは、コーティング装置66の下流に位置するコーティング装置68を利用して、ドープ酸化スズコーティング上に直接またはその上に形成し得る。
【0054】
フロート浴セクション36では、概して窒素、または窒素が主成分である窒素と水素との混合物である、適切な非酸化雰囲気が維持され、フロート浴を構成する溶融スズ46の酸化を防止する。雰囲気ガスは、分配マニホールド72に操作可能に連結された導管70を通じて導入される。非酸化性ガスは、通常の損失を補い、周囲の大気圧より約0.001~約0.01気圧高い程度のわずかな正圧を維持するのに十分な速度で導入され、外部の大気の浸入を防ぐ。本発明の説明の目的上、上記の圧力範囲は、通常の大気圧を構成するものと見なされる。
【0055】
好ましくは、マンガン酸化物コーティングは、実質的に大気圧で形成される。したがって、フロート浴セクション36、アニーリング炉40、および/またはフロート浴セクション36とアニーリング炉40との間のギャップ60の圧力は、実質的に大気圧であり得る。
【0056】
フロート浴セクション36および囲い54内の所望の温度状態を維持するための熱は、囲い54内の放射ヒーター74によって供給され得る。冷却セクション42が密閉されておらずガラスリボン38は、周囲の大気に開放されているため、徐冷炉40内の雰囲気は、通常、大気である。その後、ガラスリボン38は、周囲温度まで冷却される。ガラスリボン38を冷却するために、冷却セクション42のファン76などによって周囲の空気をガラスリボン38に当て得る。また、ヒーター(図示せず)は、アニーリング炉40内に設けられ得、ガラスリボン38がそこを通過する際に所定の条件に従って徐々に温度を下げ得る。
【実施例】
【0057】
下記の実施例は、本発明に従ってマンガン酸化物コーティングを堆積させるプロセスの実施形態をさらに説明および開示する目的でのみ提示されており、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0058】
実施例1は、ガラス基板上に予め形成された熱分解性シリコン酸化物コーティングの上にラボコーターで直接堆積されたマンガン酸化物コーティングの堆積を示す。ガラス基板は、ソーダ石灰シリカ系であり、マンガン酸化物コーティングが堆積されたときに100インチ/minのライン速度で移動していた。マンガン酸化物コーティングを、ビス(シクロペンタジエニル)マンガン(II)と酢酸エチルとのガス状混合物を形成することによって堆積した。流量は、ビス(シクロペンタジエニル)マンガン(II)について0.90標準リットル/分(「slpm」)、酢酸エチルについて0.94slpmであった。これらの前駆体分子は、ガス状混合物を形成するために混合され、その後、実験室コーティング装置に供給され、ガラス基板に向かっておよびガラス基板に沿って導かれた。推定気相濃度は、ビス(シクロペンタジエニル)マンガン(II)について0.50%、エチルアセテートについて1.45%であり、残りは窒素であった。44Å/秒の堆積速度で、ガラス基板上にマンガン酸化物が均一にコーティングされた。コーティングの厚さを、光学モデルによって400Åと判定した。
【0059】
実施例2~4は、ガラス基板上に予め形成された熱分解性スズ酸化物コーティングの上にラボコーターで直接堆積されたマンガン酸化物コーティングの堆積を示す。実施例2~4の各々において、ガラス基板は、ソーダ石灰シリカ系であり、マンガン酸化物コーティングが堆積された時点では200インチ/minのライン速度で移動していた。マンガン酸化物コーティングを、ビス(シクロペンタジエニル)マンガン(II)とエチルアセテートとのガス状混合物を形成することによって堆積した。これらの前駆体の流量は次のとおりである。実施例2 0.10slpmのビス(シクロペンタジエニル)マンガン(II)および0.12slpmの酢酸エチル、実施例3 0.20slpmのビス(シクロペンタジエニル)マンガン(II)および0.23slpmの酢酸エチル、実施例4 0.30slpmのビス(シクロペンタジエニル)マンガン(II)および0.35slpmの酢酸エチルである。前駆体分子は、混合されてガス状混合物を形成し、その後ラボコーティング装置に供給されてからガラス基板に向かっておよびガラス基板に沿って導かれた。推定気相濃度は、次の通りであった。実施例2 0.06%のビス(シクロペンタジエニル)マンガン(II)および0.18%の酢酸エチル、実施例3 0.12%のビス(シクロペンタジエニル)マンガン(II)および0.35%の酢酸エチル、実施例4 0.18%のビス(シクロペンタジエニル)マンガン(II)および0.54%の酢酸エチルであった。各場合において、残りは窒素であった。実施例2~4のマンガン酸化物コーティングは、不連続コーティングであり、マンガン酸化物がガラス基板の一部の領域を覆い、他の領域は覆っていなかった。実施例2~4の各々について、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-OES)を使用してマンガンの表面濃度を測定した結果、実施例2では0.35μg/cm2、実施例3では1.60μg/cm2、実施例4では2.30μg/cm2であった。
【0060】
実施例5~7は、ガラス基板上に予め形成された熱分解性スズ酸化物コーティングの上に、ラボコーターで直接堆積されたマンガン酸化物コーティングの堆積を示す。実施例5~7の各々において、ガラス基板は、ソーダ石灰シリカ系であり、マンガン酸化物コーティングが堆積された時点では47インチ/minのライン速度で移動していた。マンガン酸化物コーティングは、(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルと分子状酸素(O2)とのガス状混合物を形成することによって堆積された。これらの前駆体の流量は次のとおりである。実施例5 0.75slpmの(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルおよび0.50slpmのO2、実施例6 1.00slpmの(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルおよび0.50slpmのO2、実施例7 0.50slpmの(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルおよび0.50slpmのO2である。前駆体分子を混合してガス状混合物を形成し、ラボコーティング装置に通してからガラス基板におよびガラス基板に沿って流した。推定気相濃度は次のとおりである。実施例5 0.79%(メチルシクロペンタジエニル)のマンガン(I)トリカルボニルおよび2.10%のO2、実施例6 1.06%の(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルおよび2.10%のO2、実施例7 0.53%の(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルおよび2.10%のO2、残りは窒素である。実施例5~7のマンガン酸化物コーティングは、不連続コーティングであり、マンガン酸化物がガラス基板の一部を覆い、他の部分は覆っていなかった。実施例5~7の各々について、X線光電子分光法(XPS)を使用してマンガン酸化物被覆率を測定したところ、実施例5では、73.0%、実施例6では、83.6%、実施例7では63.5%であった。
【0061】
実施例8~10は、ガラス基板がソーダ石灰シリカ系であり、フロートガラス製造プロセスと連動して形成され、フロートガラス製造プロセスの加熱ゾーンでコーティング層が堆積されたときに472インチ/minのライン速度で移動していた場合に堆積されたマンガン酸化物コーティングの堆積を示す。熱分解性スズ酸化物コーティングは、ガラス基板上に堆積され、マンガンコーティングは、スズ酸化物コーティング上に堆積された。マンガン酸化物コーティングは、(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルと酢酸エチルのガス状混合物を形成することによって堆積された。これらの前駆体の流量は次のとおりである。実施例8 3.5cc/minの(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルおよび17.6cc/minの酢酸エチル、実施例9 2.5cc/minの(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルおよび17.6cc/minの酢酸エチル、実施例10 1.0cc/minの(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルおよび17.6cc/minの酢酸エチルである。前駆体分子は、混合されてガス状混合物を形成し、その後コーティング装置に供給され、その後ガラスリボンに向かっておよびガラスリボンに沿って導かれた。推定気相濃度は、次のとおりである。実施例8 0.11%(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルおよび0.88%酢酸エチル、実施例9 0.08%(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルおよび0.88%酢酸エチル、実施例10 0.03%(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)トリカルボニルおよび0.88%酢酸エチル、残りは窒素である。実施例8~10のマンガン酸化物コーティングは、不連続コーティングであり、マンガン酸化物がガラス基板の一部の領域を覆い、他の領域は覆っていなかった。実施例8~10の各々について、マンガンの表面濃度をICP-OESを使用して測定したところ、実施例8では0.58μg/cm2、実施例9では0.25μg/cm2、実施例10では0.10μg/cm2であった。
【0062】
前述の説明は、本発明の原理を単に例示するのみとみなされる。さらに、当業者であれば、多数の修正および変更を容易に思いつくため、本発明を、ここに示され説明されている構成およびプロセスそのものに限定することは望ましくない。したがって、すべての適切な修正および均等物は、本発明の範囲内にあるとみなされる。
【図】
【国際調査報告】