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▶ ヒタチ・エナジー・リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】方法および半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20250220BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547706
(86)(22)【出願日】2023-01-31
(85)【翻訳文提出日】2024-09-26
(86)【国際出願番号】 EP2023052315
(87)【国際公開番号】W WO2023151987
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】22156536.9
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドブジンスカ,ヤゴダ
(72)【発明者】
【氏名】ボベッキー,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ベムラパティ,ウママヘスワラ
(72)【発明者】
【氏名】グラディンガー,トーマス・ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】スティアスニー,トーマス
(57)【要約】
一実施形態では、本方法は、半導体モジュール(1)を生産するためのものであり、本方法は、
-少なくとも0.6kVの電圧向けに構成され、底部主面(23)および反対側の上部主面(24)を有する半導体構成要素(2)を提供することと、
-底部金属ディスク(3)を提供することと、
-予め構成された不均一な圧力プロファイル(P)を伴って半導体構成要素(2)を底部金属ディスク(3)上に押圧することと
を含み、
-底部主面(23)は、底部金属ディスク(3)に面し、
-底部主面(23)の上面視で見て、圧力プロファイル(P)は、圧力プロファイル(P)の周方向最大値(M)によって囲まれた半導体構成要素(2)の中央領域(C)内に極小値(N1)を有し、周方向最大値(M)は、圧力プロファイル(P)の周方向最小値(N2)によって囲まれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体モジュール(1)を生産するための方法であって、
-少なくとも0.6kVの電圧向けに構成され、底部主面(23)および反対側の上部主面(24)を有する半導体構成要素(2)を提供することと、
-底部金属ディスク(3)および上部金属ディスク(4)を提供することと、
-予め構成された不均一な圧力プロファイル(P)を伴って前記半導体構成要素(2)を前記底部金属ディスク(3)上に押圧することと
を含み、
-前記底部主面(23)は前記底部金属ディスク(3)に面し、前記上部主面(24)は前記上部金属ディスク(4)に面し、前記半導体構成要素(2)は前記底部金属ディスク(3)と前記上部主面(24)との間に直接位置し、
-前記方法は、前記底部主面(23)と平行である横方向に前記半導体構成要素(2)を囲み、前記上部主面(24)を部分的に覆うクリップボディ(5)を形成することをさらに含み、
-前記クリップボディ(5)は、前記底部金属ディスク(3)と直接接触しており、
-前記クリップボディ(5)はプラスチック製であり、
-前記クリップボディ(5)および前記上部金属ディスク(4)は、前記半導体構成要素(2)を前記底部金属ディスク(3)上に押圧し、
-前記底部主面(23)の上面視で見て、前記圧力プロファイル(P)は、前記圧力プロファイル(P)の周方向最大値(M)によって囲まれた前記半導体構成要素(2)の中央領域(C)内に極小値(N1)を有し、前記周方向最大値(M)は、前記圧力プロファイル(P)の周方向最小値(N2)によって囲まれ、前記圧力プロファイル(P)は、操作されているときに、完成した前記半導体モジュール(1)内に存在する、方法。
【請求項2】
前記底部金属ディスク(3)は半径r0を有し、前記圧力プロファイル(P)の前記周方向最大値(M)の位置rMは0.5r0と0.9r0との間であり、
前記半導体構成要素の半径rSは0.8r0とr0との間であり、rMはrSよりも小さく、
前記中央領域(C)内の前記極小値(N1)の圧力pN1、前記周方向最大値(M)の圧力pMおよび前記周方向最小値(N2)の圧力pN2について、以下:0.1pM≦pN2≦0.4pM≦pN1≦0.9pMが適用される、先行する請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記極小値(N1)および前記半導体構成要素(2)を通る断面で見たときに、前記圧力プロファイル(P)は、以下のように近似することができ、
P(r)=A/(1+Br+Cr+Dr+Er)+F、
式中、rは前記極小値(N1)までの距離の数値であり、
A/pMおよびF/pM、ならびに、C、DおよびEのうちの少なくとも1つは正の数であり、
Bは負の数である、先行する請求項に記載の方法。
【請求項4】
P(r)=A/(1+Br+Cr+Dr+Er)+Fは、{-rS}≦r≦{rS}に対して真であり、公差は最大0.1pMであり、
式中、0.25pM≦A≦pM、かつ、-2≦B≦-0.5、かつ、0≦C≦2、かつ、0≦D≦6、かつ、0≦E≦10、かつ、0≦F≦0.3pMである、2つの先行する請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記クリップボディ(5)は、前記クリップボディ(5)が作成される材料が最初に液体状態にあるときに130℃と260℃との間の温度で製造される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記底部主面(23)の上面視で見て、前記圧力プロファイル(P)の前記周方向最大値(M)は、前記周方向最大値(M)が前記クリップボディ(5)によって覆われないように、前記クリップボディ(5)の開口部内に位置し、
前記クリップボディ(5)の前記上部主面(24)上の部分は、前記半導体構成要素(2)を前記底部金属ディスク(3)上に押圧するレバーとして作用し、
前記クリップボディ(5)は、前記クリップボディ(5)と前記上部金属ディスク(4)とが触れないように、前記上部金属ディスク(4)から離れて終端する、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記半導体構成要素(2)は、前記クリップボディ(5)、前記半導体構成要素(2)、および前記底部金属ディスク(3)を含む構成が、前記クリップボディ(5)の製造温度から室温、すなわち23℃に戻るように冷却されたときに曲げられる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記圧力プロファイル(P)は、前記クリップボディ(5)が形成された後に前記上部金属ディスク(4)および前記底部金属ディスク(3)が前記半導体構成要素(2)に押圧されたときに形成される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
完成した前記半導体モジュール(1)の動作温度は、-40℃と160℃との間(両端含む)であり、前記クリップボディ(5)は、前記動作温度で固体である、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記半導体構成要素(2)が、室温、すなわち23℃、または前記動作温度の少なくとも一方で曲げられ、前記底部主面(23)に垂直な断面で見たときに、曲げプロファイルが、2つの隣接する変曲点の間の前記中央領域(C)および前記半導体構成要素(2)の縁に沿った平坦領域において最大値を有し、
前記半導体構成要素(2)の最大相対曲げは最大3×10-4であり、前記最大相対曲げは、最大絶対曲げを前記半導体構成要素(2)の直径で除算した値である、先行する請求項に記載の方法。
【請求項11】
半導体モジュール(1)であって、
-少なくとも0.6kVの電圧向けに構成され、底部主面(23)および反対側の上部主面(24)を有する半導体構成要素(2)と、
-プラスチック製のクリップボディ(5)と、
-前記上部主面(24)に面する上部金属ディスク(4)と、
-前記半導体構成要素(2)が圧力プロファイル(P)を伴って押圧される底部金属ディスク(3)であって、前記底部主面(23)が前記底部金属ディスク(3)に面する、底部金属ディスク(3)と
を備え、
前記底部主面(23)の上面視で見て、前記圧力プロファイル(P)は、前記圧力プロファイル(P)の周方向最大値(M)によって囲まれた前記半導体構成要素(2)の中央領域(C)内に極小値(N1)を有し、前記周方向最大値(M)は、前記圧力プロファイル(P)の周方向最小値(N2)によって囲まれており、
前記半導体構成要素(2)は、前記底部金属ディスク(3)と前記上部主面(24)との間に直接位置し、
-前記クリップボディ(5)は、前記上部主面(24)を部分的に覆い、
-前記クリップボディ(5)は、前記底部金属ディスク(3)と直接接触しており、
-前記クリップボディ(5)および前記上部金属ディスク(4)は、前記半導体構成要素(2)を前記底部金属ディスク(3)上に押圧する、半導体モジュール(1)。
【請求項12】
前記半導体構成要素(2)と前記底部金属ディスク(3)との間には、前記半導体構成要素(2)が前記底部金属ディスク(3)に対して自由に浮遊している少なくとも1つの自由浮遊領域(62)が少なくとも部分的に存在する、先行する請求項に記載の半導体モジュール(1)。
【請求項13】
前記上部金属ディスク(4)の直径は、前記半導体構成要素(2)の直径よりも小さく、
前記上部主面(24)の上面視で見て、前記圧力プロファイル(P)の前記周方向最大値(M)は、前記上部金属ディスク(4)によって覆われている、2つの先行する請求項のいずれか1項に記載の半導体モジュール(1)。
【請求項14】
前記底部金属ディスク(3)および前記上部金属ディスク(4)の少なくとも一方が、前記圧力プロファイル(P)を提供するように構成された湾曲部を備える、先行する請求項に記載の半導体モジュール(1)。
【請求項15】
前記半導体構成要素(2)は、以下:注入促進型ゲートトランジスタ、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ、金属-絶縁体-半導体電界効果トランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、バイポーラ接合トランジスタ、サイリスタ、接合ゲート電界効果トランジスタの群から選択され、
前記半導体構成要素(2)の幅は、少なくとも25mmかつ最大25cmである、4つの先行する請求項のいずれか1項に記載の半導体モジュール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体モジュールを生産する方法が提供される。このような方法で生産された半導体モジュールも提供される。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2020/078816号は、半導体モジュールを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決すべき課題は、信頼性が改善された半導体モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、とりわけ、独立請求項に定義されている方法および半導体モジュールによって達成される。例示的なさらなる発展形態が、従属請求項の主題を構成する。
【0005】
例えば、半導体モジュールでは、半導体構成要素が、半径方向に沿って見て、中央領域の極小値と圧力プロファイルの周方向最小値との間にある圧力プロファイルの周方向最大値を有する圧力プロファイルによって底部金属ディスク上に押圧される。圧力分布とも呼ばれるこのような圧力プロファイルにより、半導体構成要素と底部金属ディスクとの間の改善された接触を得ることができ、したがって増強された冷却および/またはより高い電流を達成することができる。
【0006】
少なくとも一実施形態では、製造方法は、
-少なくとも0.6kVの電圧向けに構成され、底部主面および反対側の上部主面を有する半導体構成要素を提供することと、
-底部金属ディスクを提供することと、次いで、
-意図的に不均一な圧力プロファイルで半導体構成要素を底部金属ディスク上に押圧するか、または半導体構成要素の間に底部金属ディスクに対する上記圧力プロファイルを作成することと
を含む。したがって、圧力プロファイルを事前定義することができる。例えば、上部主面は上部金属ディスクに面し、半導体構成要素は底部金属ディスクと上部主面との間に直接的に位置し、方法は、底部主面と平行であり、上部主面を部分的に覆う横方向に半導体構成要素を囲むクリップボディを形成することをさらに含み、クリップボディは底部金属ディスクと直接接触し、クリップボディはプラスチック製であり、クリップボディおよび上部金属ディスクは半導体構成要素を底部金属ディスク上に押圧し、圧力プロファイルは操作されているときに完成した半導体モジュール内に存在する。
【0007】
半導体モジュールがさらに提供される。上述の方法により、以下の実施形態のうちの少なくとも1つに関連して以下に示すような半導体モジュールを生産することができる。したがって、半導体モジュールの特徴も本方法について開示され、逆もまた同様である。
【0008】
少なくとも一実施形態では、半導体モジュールは、底部主面および反対側の上部主面を有する少なくとも0.6kVの電圧向けに構成された1つまたは複数の半導体構成要素と、半導体構成要素が圧力プロファイルをもって押圧される底部金属ディスクとを備え、底部主面は底部金属ディスクに面する。例えば、底部主面の上面視で見ると、圧力プロファイルは、圧力プロファイルの周方向最大値によって囲まれた半導体構成要素の中央領域内の極小値を有し、上記周方向最大値は、圧力プロファイルの周方向最小値によって囲まれている。好ましくは、中央領域内の極小値の圧力は、圧力プロファイルの周方向最大値の圧力よりも低いが、上記周方向最大値と上記極小値とに同じ圧力が存在することも可能である。
【0009】
例えば、ウェハアタッチメントが電気的性能を増強するために最適化されているファストリカバリダイオード(FRD:fast recovery diode)が提供される。
【0010】
少なくとも一つの半導体構成要素は、例えば、ウェハである。半導体構成要素が、注入促進型ゲートトランジスタ(IEGT:injection enhanced gate transistor)、集積ゲート転流サイリスタ(IGCT:integrated gate-commutated thyristor)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)、金属-絶縁体-半導体電界効果トランジスタ(MISFET:metal-insulator-semiconductor field-effect transistor)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:insulated-gate bipolar transistor)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT:bipolar junction transistor)、ゲートターンオフサイリスタ(GTO:gate turn-off thyristor)、ゲート転流サイリスタ(GCT:gate commutated thyristor)、接合ゲート電界効果トランジスタ(JFET:junction gate field-effect transistor)、位相制御サイリスタ(PCT:phase controlled thyristor)、または、ダイオードでもあることが可能である。例えば、半導体構成要素はシリコンSiから成る。しかしながら、半導体構成要素は、代替的に、SiC、GaOまたはGaNのような広バンド間隙半導体材料に基づいてもよい。
【0011】
例えば、半導体構成要素はパワーデバイスである。これは、例えば、半導体構成要素が、少なくとも0.6kVまたは少なくとも1.2kVまたは少なくとも2.8kVの最大電圧向けに構成されることを意味する。代替的または付加的に、半導体構成要素は、少なくとも10Aまたは少なくとも0.1kAまたは少なくとも1kAの最大電流向けに構成することができる。
【0012】
半導体モジュールは、例えば、ハイブリッド自動車もしくはプラグイン電気自動車などの車両、または、通勤電車などの鉄道において、バッテリからの直流電流を電動機の交流電流に変換するためのパワーモジュールである。
【0013】
半導体モジュール内に複数の半導体構成要素が存在する場合、すべての半導体構成要素を同じタイプのものとすることができ、電気的に直列に接続してもよく、または、異なるタイプの半導体構成要素を互いに組み合わせることができる。
【0014】
したがって、半導体モジュールは、例えばシリコンウェハである半導体構成要素の、例えばモリブデンディスクである底部金属ディスクへの取り付けの新規な設計を有するFRDとすることができ、歪みバッファが導入される。半導体構成要素は、圧力分布を制御するように底部金属ディスクに取り付けられ、結果としてウェハが三次元的に湾曲する。1つの選択肢は、例えばシリコーンゴム(SR:silicone rubber)の代わりに、絶縁と同時に打撃距離を増大させる役割を果たす成形リングであるクリップボディによって底部金属ディスクに半導体構成要素を取り付けることである。第2の選択肢は、低温接合(LTB:low temperature bonding)プロセスによる底部金属ディスクへの半導体構成要素の取り付けであり、接合線は二次元で構造化される。所望の圧力プロファイルを達成するためのさらなる選択肢も可能である。両方の選択肢が、逆バイアス安全動作領域(RBSOA:reverse bias safety operating area)を増大させ、これは、IGCTを有する電力変換器における周波数動作における耐久性の増大によって実証される。
【0015】
FRDのような構成要素は、ダイオードレスIGBTモジュール、IEGTまたはIGCTを有する電力変換器の動作には不可避である。電力変換器の連続的に増大する電流容量に対する要求は、個別のFRDの面積の増大をもたらす。例えば、4.5kVクラスでは、例えば30mm~120mmに及ぶシリコンウェハの直径を有する個別のFRDを見出すことができる。デバイス面積が1cm2チップを超えると、FRDが単位kA範囲の高いオン状態電流および2.8kV以上、すなわち4.5kVクラスの直流(DC:direct current)リンク電圧からの高速逆回復プロセスを故障なく通過することがより困難になる。
【0016】
故障電流は、主にFRDの設計に依存する。アノード半導体側の適切なドーピングプロファイルは、負性微分抵抗(NDR:negative differential resistance)動作領域に入ることによって引き起こされる電流フィラメントにつながる動的アバランシェ、および半導体構成要素を通る穴を溶融することによるその後の故障を最小限に抑えることができる。故障電流は、ケースへの接合部の熱抵抗Rth j-cにも依存する。LTBプロセスは、このRth j-cを低減し、より高いレーティングを提供することが知られている。
【0017】
典型的には、半導体構成要素は、片面において底部金属ディスクに接合される。結果として、半導体構成要素と底部金属ディスクとの間に、熱的および電気的に良好に伝導する銀または銅製の約10μm~50μmの厚さの接合線が存在する。これにより、接合されていないシリコンウェハが2つのモリブデンディスク間で直接押圧され、いわゆる乾式接触が形成される自由浮遊(FF:free floating)パッケージングオプションよりもはるかに低いRth j-cが得られる。
【0018】
少なくとも一実施形態によれば、底部金属ディスクは、1つまたは複数の金属から成る。例えば、底部金属ディスクは、モリブデンまたはモリブデン合金から作成されるディスクである。「ディスク」は、それぞれの構成要素の厚さが上記構成要素の直径または平均直径の最大10%であることを意味することができる。平均直径は、それぞれの構成要素の面積含有量をπで除算した値の平方根を割った平均半径の2倍を意味する。
【0019】
少なくとも一実施形態によれば、底部金属ディスクは半径r0を有し、圧力プロファイルPの周方向最大値Mの位置は0.5r0と0.9r0との間である。この場合、底部金属ディスクおよび/または半導体構成要素は、上面視で見て回転対称形状、すなわち円形であり得る。したがって、底部金属ディスクの半径rに対して、0≦r≦r0が適用される。非回転対称形状の場合、ゼロ位置は重心に位置することができ、rは、0から底部金属ディスクの縁部までの重心の最大距離まで延伸することができる。
【0020】
少なくとも一実施形態によれば、半導体構成要素の半径rSは、0.8r0とr0との間、または0.9r0とr0との間、または0.92r0と0.99r0との間である。すなわち、半導体構成要素は、底部金属ディスクよりもわずかに小さくてもよく、または底部金属ディスクと同じサイズを有することができる。
【0021】
少なくとも一実施形態によれば、中央領域における極小値の圧力pN1、周方向最大値の圧力pMおよび周方向最小値の圧力pN2について、0≦pN2≦0.5pM≦pN1<pMまたは0.1pM≦pN2≦0.4pM≦pN1≦0.9pMまたは0.1pM≦pN2≦0.6pM≦pN1≦0.9pMが適用される。さらに、pN2<pN1、例えば、pN1-pN2≧0.1pMまたはpN1-pN2≧0.2pMが適用され得る。
【0022】
少なくとも一実施形態によれば、極小値および半導体構成要素を通る断面で見て、圧力プロファイルPは、P(r)=A/(1+Br+Cr+Dr+Er)+Fのように近似することができ、式中、rは、底部金属ディスクおよび/または半導体構成要素の極小値および/または中心までの距離を表す無単位変数である。例えば、A/pMならびにC、D、EおよびF/pMの少なくとも1つは正の数である。Bは負の数である。
【0023】
少なくとも一実施形態によれば、P(r)=A/(1+Br+Cr+Dr+Er)+Fは、-rSからrSまで真であり、すなわち、rは、{rS}と{rS}との間であり、{}は、最大0.1pMまたは最大0.05pMまたは最大0.02pMの公差で、それぞれの量の値の数値を示す。例えば、0.25pM≦A≦pMかつ-2≦B≦-0.5かつ0≦C≦2かつ0≦D≦6かつ0≦E≦10かつ0≦F≦0.3pMである。代替的に、0.1pM≦A≦pMかつ-6≦B≦-0.1かつ0≦C≦10かつ0≦D≦25かつ0≦E≦30かつ0≦F≦0.6pMである。「~の公差」という用語は「±」を意味し、すなわち、例えば「最大0.1pMの公差」は±0.1pMを意味する。
【0024】
少なくとも一実施形態によれば、pN1<pMである。あるいは、pN1=pMが適用される。
少なくとも1つの実施形態によれば、半導体モジュールは、1つまたは複数のクリップボディをさらに備える。少なくとも1つのクリップボディは、底部主面と平行な横方向に半導体構成要素を完全にまたは部分的に囲むことができる。さらに、少なくとも1つのクリップボディは、上部主面を部分的に覆う。
【0025】
少なくとも一実施形態によれば、クリップボディは、底部金属ディスクおよび/または半導体構成要素と直接接触している。例えば、半導体構成要素の側面がクリップボディによって完全に直接覆われる。底部金属ディスクの側面は、クリップボディによって直接的に完全にまたは部分的に覆われ得る。また、底部金属ディスク上面も、クリップボディによって部分的に直接覆われ得る。
【0026】
少なくとも一実施形態によれば、クリップボディは、少なくとも1つのプラスチックから作成される。上記プラスチックは、例えば、プラスチックの熱的および/または機械的特性を調整するための1つまたは複数の添加剤を含むことができる。例えば、プラスチックはエポキシドである。
【0027】
少なくとも一実施形態によれば、クリップボディは電気絶縁性である。半導体モジュールの動作時、クリップボディを通って電流が導かれることは意図されておらず、クリップボディは、ポールピースおよび/または金属ディスクの間の電気絶縁を提供することができる。
【0028】
少なくとも一実施形態によれば、クリップボディは、半導体構成要素を底部金属ディスク上に押圧するように構成される。これは、例えば、クリップボディの幾何学的形状によって達成される。例えば、半導体構成要素が底部金属ディスクに対して湾曲している場合、半導体構成要素の横面にあるクリップボディの一部は応力であり得、その結果、上部主面の上のクリップボディの一部は、底部金属ディスクに向かう方向に半導体構成要素を押圧することができる。
【0029】
少なくとも一実施形態によれば、底部主面の上面視で見ると、圧力プロファイルの周方向最大値は、周方向最大値がクリップボディによって覆われないように、クリップボディ内の開口部内に位置する。そうでなければ、周方向最大値をクリップボディによって覆うことができる。
【0030】
少なくとも一実施形態によれば、半導体構成要素と底部金属ディスクとの間には、半導体構成要素が底部金属ディスクに対して自由に浮遊している少なくとも1つの自由浮遊領域が少なくとも部分的に存在する。言い換えれば、それぞれの領域には、いわゆる乾式接触が存在する。したがって、上記領域において、半導体構成要素は、底部金属ディスクと直接接触してもよく、および/または上記領域内で底部金属ディスクと半導体構成要素との間に凝縮物質の構成要素は存在しない。
【0031】
少なくとも一実施形態によれば、半導体モジュールは、少なくとも部分的に半導体構成要素と底部金属ディスクとの間に位置する少なくとも1つのボンド材料をさらに備える。少なくとも1つの接続領域において、半導体構成要素は、少なくとも1つのボンド材料によって底部金属ディスクに固定的に接続される。「固定的に接続される」とは、意図される用途において、半導体構成要素が少なくとも1つの接続領域内で底部金属ディスクに対して移動することができないことを意味し得る。
【0032】
少なくとも一実施形態によれば、少なくとも1つの自由浮遊領域および少なくとも1つの接続領域の両方が存在する。したがって、半導体構成要素に対する底部金属ディスクの相対移動は、部分的にのみ抑制される。
【0033】
少なくとも一実施形態によれば、少なくとも1つのボンド材料は、少なくとも1つの自由浮遊領域および少なくとも1つの接続領域の両方に存在する。例えば、少なくとも1つのボンド材料は、底部主面全体にわたって一定の厚さを有する。
【0034】
少なくとも一実施形態によれば、少なくとも1つのボンド材料の厚さは、少なくとも10μmかつ/または最大100μmである。したがって、少なくとも1つのボンド材料は、比較的厚くすることができる。
【0035】
少なくとも一実施形態によれば、少なくとも1つの接続領域は、圧力プロファイルの周方向最大値および周方向最小値の少なくとも一方に位置する。代替的にまたは付加的に、中央領域は接続領域を含まない。
【0036】
少なくとも一実施形態によれば、少なくとも1つのボンド材料は、以下の群、すなわち、はんだペースト、銀ペースト、銀シート、焼結体から選択される。例えば、少なくとも1つのボンド材料は、以下の金属、すなわち、Ag、Al、Bi、Cu、In、Mo、Ni、Pb、Sb、Ti、Wの1つまたは複数を含むか、またはそれらから成る。例えば、ボンド材料は、銀または銀合金から成る。
【0037】
少なくとも一実施形態によれば、半導体モジュールは、上部主面に配置された上部金属ディスクをさらに備える。上部金属ディスクの直径は、半導体構成要素の直径よりも小さい。上部主面の上面視で見ると、圧力プロファイルの周方向最大値は上部金属ディスクによって覆われているか、または代替的に、周方向最大値は上部金属ディスクの外側に位置する。上部金属ディスクはモリブデンディスクとすることもできる。
【0038】
少なくとも一実施形態によれば、底部金属ディスクおよび上部金属ディスクの少なくとも一方は、存在する場合、圧力プロファイルを提供するように構成された湾曲部を含む。したがって、金属ディスクの少なくとも1つは、割り当てられた半導体構成要素に面する平坦な面を意図的に有していない。
【0039】
少なくとも一実施形態によれば、半導体構成要素は曲げられ、底部主面に垂直な断面で見ると、曲げプロファイルは、2つの隣接する変曲点の間の中央領域および半導体構成要素の縁に沿った平坦領域において最大値を有する。代替的または付加的に、同じことが、差動曲げ、すなわち、半導体構成要素と底部金属ディスクとの間の距離に適用されてもよい。
【0040】
少なくとも一実施形態によれば、半導体構成要素の最大相対曲げは、最大3×10-4または最大1×10-4であり、最大相対曲げは、最大絶対曲げを半導体構成要素の直径で除算した値である。例えば、最大絶対曲げは、最大0.3mm、または最大0.1mm、または最大40μmである。同じことが、差動曲げに適用され得る。
【0041】
少なくとも一実施形態によれば、半導体構成要素の幅は、少なくとも25mmまたは少なくとも5cmであり、代替的にまたは付加的に、最大25cmである。したがって、半導体構成要素を比較的大きくすることができる。
【0042】
本明細書に記載の方法および半導体モジュールは、図面を参照して例示的な実施形態によって下記により詳細に説明される。個々の図において同じである部分は、同じ参照符号によって示されている。しかしながら、要素間の関係は原寸に比例して示されておらず、むしろ個々の要素は、理解を助けるために誇張して示されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の概略断面図である。
図2図1の半導体モジュールの概略圧力プロファイルの図である。
図3】本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の概略断面図である。
図4図3の半導体モジュールの概略上面図である。
図5】本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の概略断面図である。
図6】本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の概略断面図である。
図7】本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の半導体構成要素および底部金属ディスクの変位の概略図である。
図8】参照デバイスと比較した、本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の電気的および熱的特性の概略図である。
図9】参照デバイスと比較した、本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の電気的および熱的特性の概略図である。
図10】参照デバイスと比較した、本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の電気的および熱的特性の概略図である。
図11】本明細書に記載の半導体モジュールおよび参照デバイスの概略斜視図である。
図12】本明細書に記載の半導体モジュールの半導体構成要素の概略断面図である。
図13】本明細書に記載の半導体モジュールの半導体構成要素の概略断面図である。
図14】参照デバイスの半導体構成要素の概略断面図である。
図15】本明細書に記載の半導体モジュールで使用される感圧紙の概略上面図である。
図16】参照デバイスの概略上面図および概略断面図である。
図17】本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の概略上面図およびそれぞれの概略断面図である。
図18】本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の概略上面図およびそれぞれの概略断面図である。
図19】本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の概略上面図およびそれぞれの概略断面図である。
図20】本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の概略上面図およびそれぞれの概略断面図である。
図21】本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の概略上面図である。
図22】本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の概略上面図である。
図23】本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の概略上面図である。
図24】本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の概略上面図である。
図25】本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の概略断面図である。
図26】本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態を生産するための方法の製造パラメータの概略図である。
図27】本明細書に記載の半導体モジュールの例示的な実施形態の圧力プロファイルの概略図である。
図28】本明細書に記載の半導体モジュールを生産するための方法の例示的な実施形態の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1には、半導体モジュール1の一実施形態が示されている。半導体モジュール1は、例えば、IEGT、IGCT、IGBT、GTO、PCT、FRDまたはGCTとして構成されたシリコンウェハである半導体構成要素2を備える。半導体構成要素2は、底部金属ディスク3上に搭載される。例えば、底部金属ディスク3はモリブデンディスクである。半導体構成要素2の底部主面23が、少なくとも部分的に、底部金属ディスク上面30と直接接触していることが可能である。半導体構成要素2の上部主面24は、底部金属ディスク3から離れている。
【0045】
半導体構成要素2は、圧力プロファイルPで底部金属ディスク上面30上に押圧される(図2参照)。半導体構成要素2および底部金属ディスク3と同様に、圧力プロファイルPは回転対称であってもよい。したがって、底部金属ディスク3は半径r0を有し、半導体構成要素2の半径もr0であるかまたはそれよりもわずかに小さい。図2の略図は、底部金属ディスク3および半導体構成要素2の中心から始まる。
【0046】
中央の第1の領域C、A1において、圧力プロファイルPは極小値N1を有する。極小値N1において、圧力pN1が存在する。次に、中央の第2の領域A2には、半径rMにおける大域的最大圧力pMがある圧力プロファイルPの周方向最大値Mがある。次に、半径rが増大するにつれて、圧力は、例えば、単調および/または微分可能な様態で減少する。外側の第3の領域A3には、圧力pN2を有する周方向最小値N2がある。例えば、圧力pN2は、半導体構成要素2の縁部または上記縁部の近くに存在する。したがって、圧力プロファイルPは、第2の領域A2において最大値Nを有する。
【0047】
例えば、第1の領域A1および第2の領域A2ならびに/または第2の領域A2および第3の領域A3は、圧力プロファイルPの変曲点によって区切られる。極小値N1、最大値M、および任意選択的にまた周方向最小値N2には、圧力プロファイルPのゼロの微分が存在し得る。
【0048】
例えば、第1の領域A1の場合、0≦r<0.5r0が適用される。代替的または付加的に、第3の領域A3については、0.9<r≦r0が適用される。
【0049】
すなわち、第1の領域A1と第2の領域A2との間の境界は、0.3≦r<0.6r0または0.4≦r<0.6r0が適用されるrにあってもよい。同様に、第2の領域A2と第3の領域A3との間の境界は、0.7≦r<r0が適用されるrまたは0.8≦r<0.9r0にあってもよい。
【0050】
例えば、0<(pM-pN1)≦(pM-pN2)であり、pN1<mPまたは代替的にpN1=pMである。
【0051】
図3および図4は、半導体モジュール1の別の実施形態を示す。この実施形態では、圧力プロファイルPは、クリップボディ5を使用することによって得られ、例えば、クリップボディ5はエポキシドから成る。クリップボディ5の例示的な材料は、エポキシモールド化合物(EMC:epoxy mold compound)である。クリップボディ5の上記EMCの熱膨張係数(CTE:coefficients of thermal expansions)が、少なくとも3ppm/℃かつ/または最大50ppm/℃であることが可能である。代替的または付加的に、クリップボディ5のEMCのガラス転移温度Tgは、少なくとも120℃かつ/または最大300℃である。代替的または付加的に、クリップボディ5のEMCのヤング率E、および/または曲げ弾性率は、少なくとも10GPaかつ/または少なくとも40GPaである。
【0052】
図3および図4の実施形態では、クリップボディ5は、上部主面24および底部金属ディスク上面30を部分的に直接覆う。半導体構成要素2の側面は、クリップボディ5によって完全に直接覆われている。底部金属ディスク3の側面は、クリップボディ5によって完全にまたは部分的にも直接覆われている。図示されている以外に、半導体構成要素2および底部金属ディスク3は、同じ半径を有することができる。
【0053】
例えば、クリップボディ5は、底部金属ディスク3および/または半導体構成要素2から少なくとも2mmかつ/または最大2cmだけ横方向に突出する。代替的または付加的に、上記横方向突出部は、r0の少なくとも2%かつ/または最大20%である。
【0054】
例えば、上部主面24の上のクリップボディ5の厚さは、少なくとも1mmかつ/または最大1cmである。代替的または付加的に、上記厚さは、r0の少なくとも1%かつ/または最大10%、または半導体構成要素2の厚さの少なくとも50%かつ/または最大300%である。
【0055】
例えば、上部主面24上のクリップボディ5の被覆幅Lは、少なくとも1mmかつ/または最大1cmである。代替的または付加的に、上記被覆幅Lは、r0の少なくとも2%かつ/または最大20%である。
【0056】
図4から分かるように、半導体モジュール1は、上面視で見て、回転対称設計である。本明細書に示される断面図は、半導体モジュール1の中心を通る一点鎖線の1つに沿った断面を参照する。図4を比較されたい。他のすべての実施形態についても同様であり得る。
【0057】
図5および図6には、クリップボディ5の作動原理が示されている。オプションとして、半導体モジュール1は、例えばモリブデンディスクである上部金属ディスク4を含む。底部金属ディスク3は、例えば銅板である底部ポールピース71上に配置することができる。図5および図6には示されていない追加の上部ポールピースが、対応して上部金属ディスク4に存在することができる。上部金属ディスク4の半導体構成要素2から遠い側には、例えば同じく銅板である上部ポールピース72もある。任意選択的に、金属ディスク3、4は、中央に調整構造73を有してもよい。
【0058】
図5によれば、すべての構成要素71、3、2、4は平面形状であり、結果、底部ポールピース71に垂直な変位zはないか、またはほとんどない。しかしながら、この状態は理想化されたものにすぎない。実際には、図6を比較すると、少なくとも半導体構成要素2に、および、場合によっては底部金属ディスク3にも、相当の変位zがある。この変位zは、例えば、半導体モジュール1の組み立てと使用との間の温度差から、および/または、半導体構成要素2を通るkA範囲の高電流から生じる。なお、図6では、上部金属ディスク4および底部ポールピース71にクランプ圧力が加えられておらず、結果、圧力が実質的に1バールにすぎない状況が示されている。
【0059】
半導体モジュール1の意図される用途では、このような変位によって、特に底部主面23と底部金属ディスク上面30との間の接触面積が減少し、したがって、半導体モジュール1の性能も同様に制限され得る。半導体モジュール1の使用時、構成要素71,3,2,4は、例えば1kN~0.1MNのクランプ力でともに押圧されてもよい。r≒90mmの場合、上記力は約0.04MNであってもよい。例えば、クランプ力から生じる圧力は、2MPaと20MPaとの間である。
【0060】
図6に示す誇張された変位zによって、上部主面24のクリップボディ5の上部52が、側面の横部分53に対して曲げられていることが分かる。例えば、このような曲げによって、半導体構成要素2に追加の力が加えられ、所望の圧力プロファイルPが得られる。図2を比較されたい。
【0061】
クランプ力が加えられないとき、半導体構成要素2と底部金属ディスク3との間に空隙25が存在し得る。この空隙25は、例えば、第2の領域および/または第3の領域に位置する。例えば、クランプ力が加えられると、圧力プロファイルPの周方向最大値Mは、クランプ力がなかった場合に空隙25があった場所に位置する。
【0062】
クリップボディ5は、例えば以下のようにして生産される。
第1のステップにおいて、半導体構成要素2は、例えば室温で、底部金属ディスク3上に直接適用される。半導体構成要素2および底部金属ディスク3は、クリップボディ5が形成されるときに平坦であってもよい。
【0063】
第2のステップにおいて、例えば、クリップボディ5の材料が液体状態であるときに、高温で半導体構成要素2と底部金属ディスク3とをともにクランプすることによって、クリップボディ5が作成される。クランプは、クリップボディのための型によって達成することができ、型の内部は、形成されるクリップボディ5の形状を有する。
【0064】
次に、第3のステップにおいて、クリップボディ5の材料が型内に注入される。しばらく後、クリップボディ5の液体材料が固化する。固化後、得られた半導体構成要素2、底部金属ディスク3、およびクリップボディ5の構成が、第4のステップにおいてクランプ解除され、冷却される。この冷却のために、半導体構成要素2およびまた任意選択的に底部金属ディスク3の曲げが生じる。クリップボディ5の材料は、例えば、熱硬化性樹脂のような熱硬化性プラスチックである。
【0065】
例えば、クリップボディ5は、少なくとも130℃かつ/または最大260℃の温度で製造される。したがって、ともにクランプされたとき、半導体構成要素2および底部金属ディスク3は、そのような高温を有することができる。
【0066】
例えば、室温またはモジュール1の動作温度のようなクリップボディ5のガラス転移温度未満では、クリップボディ5の上部主面24上の一部は、半導体構成要素2を底部金属ディスク3上に押圧するレバーとして作用する。レバーによるこの圧力は、例えば、半導体構成要素2および/または底部金属ディスク3が上記温度で曲げられるために可能である。特に、室温では、上面視で見てクリップボディ5が適用され、上部金属ディスク4が適用されていない領域において、半導体構成要素2と底部金属ディスク3との間に間隙が存在する可能性がある。図6を比較されたい。
【0067】
室温は23℃を意味し得る。完成した半導体モジュール1の動作温度は、例えば、少なくとも-40℃かつ/または最大160℃である。動作温度は、クリップボディ5のガラス転移温度未満であってもよい。
【0068】
次いで、クリップボディ5が形成された後に上部金属ディスク4および底部金属ディスク3が半導体構成要素2上に押圧される第5のステップにおいて、圧力プロファイルPが形成され得る。この押圧は、例えばポールピース71、72によって行われる。
【0069】
したがって、圧力プロファイルPは、ハウジングの内側で上部金属ディスク4を押圧した後にのみ存在し得るが、クリップボディ5の成形工程を完了して半導体構成要素2および底部金属ディスク3を冷却した直後には、半導体構成要素2の曲がったウェハ形状が存在する。
【0070】
図7には、構成要素71、4に力が加えられていないときの図6の場合の変位zが示されている。これは、クランプ力がない場合に適用され得る。r=0において、底部金属ディスク3の最大変位z3および半導体構成要素2の最大変位が存在する。第2の領域A2において、周方向最大値Mを有するrMの近傍では、半導体構成要素2の変位に相対的最小値zNが存在する。
【0071】
例えば、300μm≧z3≧zM>zN>0である。
他の様態では、図1および図2と同じことが図3図7にも当てはまり得、逆もまた同様である。
【0072】
図8図10において、参照デバイス9は、例えばFRDである半導体モジュール1の実施形態と比較される。
【0073】
図8は、さらに周波数試験、F試験とも呼ばれる、電力変換器内の連続的なレジームで試験した場合の4.5kVのFRDの能力を示す。最も低い耐久性は、上に示されたように、クリップボディ5を有しない自由浮動FF設計概念を示す。クランプ力を40kNから50kNに増大させることにより、FF概念の耐久性を増大させることができる。しかしながら、これは顧客にとって余分なコストを表し、常に可能であるとは限らない。
【0074】
クリップボディ5を成形コンパウンドとして使用して、例えばシリコンウェハである半導体構成要素2を底部金属ディスクに取り付けると、クランプ力を増大させることなくFF概念の能力を向上させることができる。底部主面23と底部金属ディスク3との間の接触は依然として乾式であるが、ウェハ中心から縁部までの圧力分布は異なる。F試験におけるその性能は、クリップボディ5に適切なEMC成形コンパウンドが使用される場合、半導体構成要素2と底部金属ディスク3とがLTBによって接続されている参照デバイス9と比較して、f=300Hzでほぼ等しく、f=100Hzでほぼ等しい。図9参照。例えば、EMC K1は、EMC K2よりもCTEが高く、Tgがより高く、Eがより低い。
【0075】
したがって、図8には、IGCTを備える変換器における55cmの面積を有する4.5kV FRDのF試験における最終通過電流Ipが示されている。DCリンク電圧は2.85kV、f=100Hzである。図9は、IGCTを備える変換器における55cmの面積を有する4.5kV FRDのF試験におけるダイオードの最終通過電流Ipを示す。DCリンク電圧はここでも2.85kV、f=300Hzである。この周波数では、EMC K1はLTB設計と同等の性能を与える。
【0076】
4.5kV、50Hz、5秒でのACブロッキング試験中に、性能の同様の改善が観察される。クリップボディ5を有する設計概念を使用すると、安定したブロッキングの温度範囲を+5℃増大させることができ、すなわち、熱安定性を増大させることができ、標準的なLTB設計とは異なる圧力分布をもたらす。
【0077】
したがって、図10は、面積55cmの4.5kV FRDの熱安定性試験を示す。電圧波形は、4.5kVおよびf=50HzでAC半正弦波であり、試験の持続時間は5秒である。性能は、異なる湾曲に起因する異なる圧力分布に起因する、両方のタイプの成形コンパウンドK1、K2について等しい、対応するLTB設計と比較して、本明細書に記載の半導体モジュール1について5℃改善される。
【0078】
したがって、本明細書に記載の半導体モジュール1は、制御されたデバイスの反りおよび/または湾曲を使用して、最良のデバイス耐久性を与える有利な圧力分布を達成する。
【0079】
図11は、右側のLTBのためのモリブデンディスク3に直径91mmのシリコンウェハ2を取り付けた後のウェハ湾曲と、左側のクリップボディ5の設計との間の差を示す。後者は、ウェハ縁部の近傍に明確な平坦化領域を示す。この場合、シリコンウェハ2は、ウェハ2の中心に向かう縁部の広い領域でモリブデンディスク3に押圧される。その結果、より低い抵抗、および、より高い圧力に起因するより低いRth j-cを有するより広い領域を通ってウェハ縁部の外側を流れるより多くの電流が存在する。クリップボディ5を備える設計のウェハ縁部は過熱されにくく、モジュール1は熱暴走に起因する逆阻止モードにおいて故障しない。より高い電流で起こる逆回復において失敗する可能性が最も高い。
【0080】
これは、図12図14にも示されている。FF設計はランダムな形状を与えるが、本明細書に記載の半導体モジュール1は、ウェハ周縁の比較的広い平坦化領域および約20μmのより低い湾曲を示す(図12および図13を参照)。LTBの大規模なドーム形状の湾曲部は、2つの異なる材料を互いに接合した結果であり、結果として生じる湾曲は約60μmである(図14参照)。
【0081】
図15は、本明細書に記載の半導体モジュール1および参照デバイス9に使用される感圧紙を示す。より近密なハッチングパターンは、より高い圧力を表す。図15の左側部分から分かるように、圧力pが縁部および中央領域Cでは低いがその間では高い圧力プロファイルP。
【0082】
それとは対照的に、クリップボディ5のないFF設計(図15の中央部分を参照)では、圧力プロファイルPは、本明細書に記載の半導体モジュール1よりも、および図15の右側部分に示すLTB参照デバイス9よりも高い圧力をウェハの縁部において示す。
【0083】
他の様態では、図1図7と同じことが図8図15にも当てはまり得、逆もまた同様である。
【0084】
F試験では、周縁の圧力がより高いウェハは、典型的には、スイッチング事象間の逆阻止中にウェハ縁部に沿って故障する可能性がある。本明細書に記載の半導体モジュール1は、大抵は逆回復時にスイッチングモードにおいて故障し得、故障パターンは、大半において、NDRによる電流フィラメンテーションの結果、発生し始め得る。故障電流は、LTB設計の故障電流に近いものであり得、LTB設計は、シリコンウェハをモリブデンディスクに接合することに起因して、ウェハ表面全体にわたってより低いRth j-cを有する。
【0085】
これらの知見に基づいて、本明細書に記載のFRDバックエンド設計の概念は、コストを削減し、生産収率を増大させるために従来のLTB技術を使用することなく、ハードスイッチング中により高いロバスト性を有する。圧力プロファイルPにおいてウェハ縁部に沿って平坦な広い領域を達成するための方法は、様々な方法、例えば上述のクリップボディ5を使用することができる。さらなる方法を以下に記載する。したがって、ウェハ表面上の所望のロケーションにおける接触熱抵抗および電気抵抗の局所的な低減は、例えば、
-上述のようなクリップボディ5を使用すること、
-特定の表面領域においてウェハ-モリブデン接合を使用すること、
-曲げられた金属ディスクを使用すること、および/または
-特定の製造パラメータを使用すること
から達成されるウェハの反り設計によって達成することができる。
【0086】
LTBを使用する参照デバイス9を図16に示す。従来のLTB概念は、シリコンウェハとモリブデンディスクとの間にボンド材料6を堆積させ、接合される2つの部品の表面全体を均一にすることを含む。これにより、図14に提示するように、ドーム形状湾曲部において、熱応力および熱膨張係数CTEに起因して、部品の不一致が生じる。
【0087】
この均一な表面接合とは対照的に、特定の優先領域においてのみ半導体構成要素2と底部金属ディスク3との間にボンド材料6を堆積させることが目標とされ(図17図23参照)、局所的な接合線または局所的な接合界面が達成される。これにより、ウェハモリーパッケージの所望の反りを得ることができる。ボンド材料6によって形成された複数の形状およびパターンを想定すべきであり、その結果、半導体構成要素2および底部金属ディスク3の様々な三次元変形が生じる。
【0088】
10μmと100μmとの間の典型的な接合線厚さをもたらす、はんだペースト、銀ペーストまたは銀シートのような様々なボンド材料6が使用されてもよい。LTB、ろう付け、焼結またははんだ付けなどの様々な接合技法が使用されてもよい。
【0089】
接合線の構造化は、選択領域でのボンド材料6の堆積によって達成することができる。これは、例えば、はんだもしくは銀ペーストのステンシル印刷もしくはスクリーン印刷、または所定の形状を有する銀シートの転写によって達成することができる。
【0090】
接合界面の構造化は、例えば、薄い(接合線と比較して)接合または非接合金属層によるウェハの構造化コーティング、または、例えば、それぞれ選択された領域においてボンド材料6を焼結し、後続のプロセスにおいてウェハ-Mo焼結を防止する、ウェハ-Mo接合プロセスの前のボンド材料6の構造化ホットスタンププレスによる、接合プロセスの前のボンド材料6の構造化によって達成され得る)。
【0091】
接合線を構造化することにより、ボンド材料6は、半導体構成要素2と底部金属ディスク3との間の接合の領域にのみ存在する。接合界面を構造化することにより、ボンド材料6は、半導体構成要素2および底部金属ディスク3の表面全体にわたって存在し、その結果、ボンド材料6が存在し、構造を機械的、電気的および/または熱的に支持するが、選択された領域には接合が存在しない。
【0092】
図17の実施形態によれば、ボンド材料6は外側領域に限定され、中央領域Cはボンド材料6を含まない。ボンド材料6は、半導体構成要素2の縁部まで延伸してもよい。例えば、ボンド材料6の幅は、0.1r0と0.5r0との間、または0.15r0と0.3r0との間であり、r0は、底部金属ディスク3および/または半導体構成要素2の半径である。
【0093】
図18の実施形態によれば、ボンド材料6は中央領域Cに限定され、外側領域はボンド材料6を含まない。したがって、ボンド材料6は、半導体構成要素2の中心を覆っていてもよい。例えば、ボンド材料6は、最大0.8r0まで、または最大0.5r0まで、または最大0.3r0まで縁部に向かって延伸する。
【0094】
図19の実施形態によれば、ボンド材料6は、半導体構成要素2全体にわたって適用される。しかしながら、外側領域にのみ、半導体構成要素2と底部金属ディスク3との接合が達成される接続領域60が存在する。中央領域Cには、ボンド材料6によって半導体構成要素2と底部金属ディスク3との間に接合が達成されていない自由浮遊領域62がある。例えば、この場合、接続領域60の幅は、0.1r0と0.5r0との間、または0.15r0と0.3r0との間である。
【0095】
図20の実施形態によれば、ボンド材料6はまた、半導体構成要素2の全体にわたって適用されるが、外側領域は自由浮遊領域62に対応し、中央領域Cは接続領域60である。例えば、接続領域60は、最大0.8r0まで、または最大0.5r0まで、または最大0.3r0まで、半導体構成要素2の縁部に向かって延伸する。
【0096】
図21では、ボンド材料6の円のような2つのリングが存在することが示されている。例えば、外側リングは、半導体構成要素2の縁部において始まる。中央領域Cは、ボンド材料6を含まないことができる。例えば、リングの幅は、0.05r0と0.4r0との間、または0.15r0と0.35r0との間である。ボンド材料6の内側リングは、例えば、0.2r0と0.7r0との間に位置する。図示されている以外に、オプションとして、半導体構成要素2の中心を覆い、例えば最大0.3r0または最大0.15r0の半径を有するボンド材料6の内側ドットが存在することができる。
【0097】
図22によれば、例えば図22と同様に、ボンド材料の円のような外側リングが存在する。さらに、ボンド材料の比較的大きい内側ドットが存在する。例えば、内側ドットの半径は、少なくとも0.2r0または少なくとも0.3r0であり、かつ/または、最大0.8r0または最大0.6r0である。
【0098】
図23では、ボンド材料6が、例えば半導体構成要素2の縁部において始まる外側リングに対応することが示されている。例えば、ボンド材料6のリングの幅は、0.1r0と0.5r0との間、または0.2r0と0.4r0との間である。
【0099】
オプションとして、上記リングは複数の凹部64を備える。凹部64のリング内への深さは、例えば、リングの幅の少なくとも10%または少なくとも30%かつ/または最大90%または最大60%である。例えば、少なくとも5つかつ/または最大32個の凹部64が存在する。凹部64は、等距離に配置されてもよい。
【0100】
図24によれば、ボンド材料6は、中央領域Cにドットとして被着される。例えば、ドットの半径は、少なくとも0.2r0または少なくとも0.3r0であり、かつ/または、最大0.8r0または最大0.6r0である。
【0101】
オプションとして、上記中央ドットは、複数の窪み63を備える。半導体構成要素2の縁部に向かう窪み63の半径方向延在範囲は、例えば、ドットの直径の少なくとも10%または少なくとも30%かつ/または最大90%または最大60%である。例えば、少なくとも5つかつ/または最大32個の窪み63が存在する。窪み63は、等距離に配置されてもよい。
【0102】
また、図23および図24の実施形態では、ボンド材料6のさらなるリングまたはドットが存在し得る。
【0103】
図21図24によれば、ボンド材料6は、図18および図19と同様に、接続領域60に対応する。しかしながら、図20および図21と同様に、図22図25のボンド材料の自由浮遊領域62も存在することができる。
【0104】
図17図24の実施形態では、クリップボディ5が付加的に存在することが可能である。
【0105】
他の様態では、図1図15と同じことが図17図24にも当てはまり得、逆もまた同様である。
【0106】
図25では、圧力プロファイルPが底部ポールピース71および/または上部ポールピース72によって達成されることが示されている。ポールピース71、72の間には、金属ディスク3、4および半導体構成要素2のための空間74がある。断面で見ると、ポールピース71、72は、1つまたは2つの厚さ最大値が存在できるように、ハンプ方式またはダブルハンプ方式のものとすることができる。図25に示されている以外に、厚さの最大値が正確に互いに対向している必要はなく、例えば少なくとも0.02r0かつ/または最大0.2r0にわたって、厚さ最大値が横方向に変位される。
【0107】
このような非平面ポールピース71、72は、クリップボディ5およびボンド材料6と組み合わせることができる。
【0108】
したがって、図1図24と同じことが図25にも当てはまり得、逆もまた同様である。
【0109】
図26では、例えば、ボンド材料6によって半導体構成要素2と底部金属ディスク3との間の接続を適用する間に異なる接合条件を有することによって、圧力プロファイルPを達成できることが示されている。例えば、接合中に半導体構成要素2および底部金属ディスク3ならびにボンド材料6に加えられる接合圧力pおよび/または接合温度Tは、半導体構成要素2の縁部に向かって増大する。中央領域Cおよび第3の領域A3では、圧力pおよび/または温度Tがほぼ一定であり得、結果、圧力および/または温度Tの急激な変化が第2の領域A2において発生し得る。
【0110】
そのようなプロセスパラメータの変化はまた、非平面ポールピース71、72、クリップボディ5および/またはボンド材料6と組み合わせることもできる。
【0111】
他の様態では、図1図25と同じことが図26にも当てはまり得、逆もまた同様である。
【0112】
図27には、さらなる例示的な圧力プロファイルPが示されている。例えば、圧力プロファイルPは、例えば、最大0.1pMまたは最大0.05pMの公差で、式P(r)=A/(1+Br+Cr+Dr+Er)+Fによって近似することができる。
【0113】
図28の特定の実施形態では、{A}=0,64であり、B=-1、E=5、およびC=D=F=0であり、{}はそれぞれの数量値の数値を示し、rは底部金属ディスク3および/または半導体構成要素2の極小値および/または中心までの距離を表す無単位変数である。
【0114】
上記式によって近似されるような圧力プロファイルPは、半導体モジュール1のすべての実施形態に適用され得る。
【0115】
他の様態では、図1図26と同じことが図27にも当てはまり得、逆もまた同様である。
【0116】
図28には、半導体モジュール1を生産するための製造方法が概略的に示されている。
第1の方法ステップS1では、半導体構成要素2および底部金属ディスク3が提供される。
【0117】
第2の方法ステップS2において、半導体構成要素2は、圧力プロファイルを伴って底部金属ディスク3上に押圧される。このステップS2は、方法ステップS1の直後であってもよく、半導体モジュール1の設置中に行われてもよく、または、半導体モジュール1の意図される使用において、すなわち動作条件下で行われる。例えば、底部金属ディスク3に半導体構成要素2を組み付けた直後には、そのような圧力プロファイルPは存在しなくてもよく、所望の圧力プロファイルPが、半導体モジュール1を意図したように動作させることから後に生じてもよい。他の様態で、所望の圧力プロファイルPは、底部金属ディスク3に半導体構成要素2を組み付けたときに直ちに存在してもよい。
【0118】
図28では、ステップS2がサブステップS21、S22またはS23を含むことができ、ステップS21、S22およびS23は任意の組み合わせで使用することができることが示されている。ステップS21において、クリップボディ5が、例えば、図1図15の半導体モジュール1をもたらすために適用される。特に図5および図6を参照されたい。ステップS22において、ボンド材料6が、例えば、図17図24の半導体モジュール1をもたらすために適用される。ステップS22は、図26に関連して示されるように、ボンド材料6を処理する際に方法パラメータを提供することを含むことができる。ステップS23において、ポールピース71、72が、例えば図25の半導体モジュール1をもたらすために提供される。
【0119】
他の様態では、図1図27と同じことが図28にも当てはまり得、逆もまた同様である。
【0120】
したがって、本明細書に記載の半導体モジュール1は、湾曲の定義されたプロファイルおよびシリコンウェハとモリブデン歪みバッファとの間のウェハ界面にわたるそれぞれの圧力分布を有するFRDであってもよい。したがって、従来のLTB技法を用いずに、ハードスイッチング条件におけるロバスト性が高いFRDを達成することができる。銀汚染物質の使用を排除することができ、プロセスのコストを低減することができる。任意選択的に、ボンド材料6を構造化するときのウェハに沿った圧力分布の空間的調整を伴うLTBプロセスも使用することができる。
【0121】
したがって、ハードスイッチング条件におけるロバスト性が高い新世代のFRDが提供される。今日存在するよりも大きい面積を有する新規のFRD上で新規の設計を利用することができる。
【0122】
したがって、本明細書に記載の半導体モジュール1は、シリコンウェハ2とモリブデンディスク3との界面における圧力の定義された空間分布を有する。任意選択的に、シリコンウェハ2およびモリブデンディスク3は、クリップボディによってともに取り付けられ、結果として得られるパッケージの所望の三次元変形、反りまたは湾曲を形成する。任意選択的に、シリコンウェハ2およびモリブデンディスク3は、特定のパターンを有する界面に存在し、したがってパッケージの所望の三次元変形、反りまたは湾曲を形成するボンド材料6によって、または低温接合、焼結、はんだ付けまたはろう付けなどの任意の接合技法を使用することによって、ともに接合される。シリコンウェハ2とモリブデンディスク3との間のボンド材料6は、銀含有材料、鉛含有材料、銅含有材料、スズ含有材料、ビスマス含有材料、インジウム含有材料、亜鉛含有材料、アンチモン含有材料、アルミニウム含有材料、ニッケル含有材料であってもよい。
【0123】
図に示されている構成要素は、別途指示しない限り、例示的には、直接順に重なった指定された順序に従う。図中で接触していない構成要素は、例示的に互いに離間している。線が互いに平行に描かれている場合、対応する表面は互いに平行に向けられてもよい。同様に、別途指示しない限り、描かれた構成要素の互いに対する位置は、図面において正確に再現されている。
【0124】
ここで説明する半導体モジュールは、例示的な実施形態に基づく説明に限定されるものではない。むしろ、この特徴またはこの組み合わせ自体が特許請求の範囲または例示的な実施形態において明示的に指定されていなくても、半導体モジュールは、任意の新規の特徴、およびまた、特許請求の範囲における特徴の任意の組み合わせを含む特徴の任意の組み合わせを特に包含する。
【符号の説明】
【0125】
参照符号
1 半導体モジュール
2 半導体構成要素
23 底部主面
24 上部主面
25 空隙
3 底部金属ディスク
30 底部金属ディスク上面
4 上部金属ディスク
5 クリップボディ
52 上部
53 横部分
6 ボンド材料
60 接続領域
62 自由浮遊領域
63 窪み
64 凹部
71 底部ポールピース
72 上部ポールピース
73 調整構造
74 半導体構成要素および金属ディスクのための空間
8 感圧紙
9 参照デバイス
A..領域
C 中央領域
FF 自由浮遊デバイス
Ip AまたはkA単位の最終通過電流
K..プラスチック材料
L 被覆幅
LTB 低温接合デバイス
M 圧力プロファイルの周方向最大値
N1 圧力プロファイルの中央領域における極小値
N2 圧力プロファイルの周方向最小値
P 圧力プロファイル
p 圧力
r 半径
r0 底部金属ディスクの半径
SR シリコーンゴム
Tp ℃単位の最終通過温度
z 変位
zM 最大絶対曲げ
zN 相対最小曲げ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
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図15
図16
図17
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図20
図21
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図23
図24
図25
図26
図27
図28
【国際調査報告】