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特表2025-505788流体製剤を消化管内部に送達するためのデバイス、アセンブリ及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】流体製剤を消化管内部に送達するためのデバイス、アセンブリ及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20250220BHJP
   A61M 39/22 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
A61M5/145 502
A61M39/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548498
(86)(22)【出願日】2023-02-18
(85)【翻訳文提出日】2024-10-11
(86)【国際出願番号】 US2023013382
(87)【国際公開番号】W WO2023158837
(87)【国際公開日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】63/312,355
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514002891
【氏名又は名称】ラニ セラピューティクス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イムラン,ミール
(72)【発明者】
【氏名】チャン,アーサー スー チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ,ヴァルギース ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,チャールズ グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】スパー,ポール
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA05
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD02
4C066QQ14
(57)【要約】
被験者のGI管腔壁内又は周囲組織内に流体製剤を送達するための摂取可能なデバイスのための送達アセンブリ(110)は、ハウジング(112、302)と、ピストン・針アセンブリ(120、320)と、膜(114、315)と、弁部材(118)と、を含む。ハウジングはチャンバを画定する。ピストン・針アセンブリはチャンバ内に移動可能に配置され、入口(326b’)及びチャネル(324b’)を含む。膜(114、315)は、膜(114、315)及びハウジング(112、302)が協働して流体製剤を収容するためのリザーバ(315a)を画定するように、ハウジングに結合される。ハウジング(12、302)はさらに、チャンバとリザーバ(315a)との間に延伸する開口部(302a´)を画定する。ピストン・針アセンブリ(120、320)がハウジング(112、302)に対して十分に移動すると、弁部材(118)が開き、流体製剤がリザーバ(315a)から開口部(302a’)を通ってチャンバ内に流れ込み、そこで流体製剤は、Gl管腔壁内又は周囲組織内への送達のための入口(326b’)及び流路(324b´)に導かれる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の消化管(GI管)腔壁内又は周囲組織内に流体製剤を送達するための摂取可能なデバイスのための送達アセンブリであって、
チャンバを画定するハウジングと、
前記チャンバ内に移動可能に配置され、入口と流路とを含む、ピストン・針アセンブリと、
ハウジングと協働して流体製剤を含有するためのリザーバを画定するように、前記ハウジングに結合され、前記ハウジングが前記チャンバと前記リザーバとの間に延伸する開口部をさらに画定する、膜と、
前記リザーバから前記開口部を介して前記チャンバへの前記流体製剤の流れを選択的に制御するための弁部材と、を備え、
前記ハウジングに対する前記ピストン・針アセンブリの十分な移動に応答して、前記弁部材が開き、前記流体製剤が前記リザーバから前記開口部を通って前記チャンバ内に流れることを可能にし、
前記流体製剤は、前記GI管腔壁内又は前記周囲組織内に送達するために、前記チャンバから前記入口及び前記チャネルに導かれる、送達アセンブリ。
【請求項2】
前記ピストン・針アセンブリ及び前記ハウジングが、前記開口部から前記入口へ前記流体製剤を導くための流体チャネルを前記チャンバ内に協働的に画定する、請求項1に記載の送達アセンブリ。
【請求項3】
前記弁部材は、前記開口部において前記ハウジングに着脱可能に結合されたプラグを備える、請求項1に記載の送達アセンブリ。
【請求項4】
前記ピストン・針アセンブリが前記プラグに係合して前記プラグを前記ハウジングから離脱させ、前記流体製剤が前記リザーバから前記開口部を通って前記チャンバ内に流れることを可能にする、請求項3に記載の送達アセンブリ。
【請求項5】
前記弁部材が貫通部材とシールとを備え、前記シールが前記開口部において前記ハウジングに結合されている、請求項1に記載の送達アセンブリ。
【請求項6】
前記ピストン・針アセンブリが前記貫通部材に係合して、前記貫通部材にシールを穿刺させ、前記流体製剤が前記リザーバから前記開口部を通って前記チャンバ内に流れることを可能にする、請求項5に記載の送達アセンブリ。
【請求項7】
前記貫通部材が、テーパ端部を有する可撓性タブとして構成されている、請求項5に記載の送達アセンブリ。
【請求項8】
前記貫通部材が、テーパ端部を有する細長いシャフトとして構成されている、請求項5に記載の送達アセンブリ。
【請求項9】
前記送達アセンブリが、拡張可能部材に結合され、前記拡張可能部材内に配置されるように構成されている、請求項1に記載の送達アセンブリ。
【請求項10】
前記送達アセンブリが、前記被験者の前記GI管に送達するために摂取可能な筐体に収容されるように構成される、請求項1に記載の送達アセンブリ。
【請求項11】
前記ピストン・針アセンブリが、前記ピストン・針アセンブリの一部を前記GI管腔壁内又は周囲組織内に前進させるために、前記ピストン・針アセンブリの表面に対して加えられるガス圧に応答して前記ハウジングに対して相対的に移動するように構成されている、請求項1に記載の送達アセンブリ。
【請求項12】
前記ピストン・針アセンブリが、前記被験者の腹膜又は腹膜腔の中に前記流体製剤を排出するために、前記GI管腔壁を通って前記被験者の前記腹膜又は前記腹膜腔に貫入するように構成される、請求項1に記載の送達アセンブリ。
【請求項13】
前記リザーバが最大約400μLの流体を含む容積を画定する、請求項1に記載の送達アセンブリ。
【請求項14】
前記リザーバが、約50μL~約300μLの流体を含む容積を画定する、請求項1に記載の送達アセンブリ。
【請求項15】
前記ハウジングに結合されたカバーをさらに備え、前記カバーは、前記ピストン・針アセンブリを前記ハウジングに対する軸方向位置に一時的に保持するための解除機構を画定する、請求項1に記載の送達アセンブリ。
【請求項16】
前記カバーが、前記ハウジングに結合された第1のカバー部と、前記ピストン・針アセンブリに結合された第2のカバー部とを含み、前記解除機構が、前記第1のカバー部と前記第2のカバー部との間に着脱可能に結合された1つ以上のタブによって画定される、請求項15に記載の送達アセンブリ。
【請求項17】
前記カバーが、ガス圧が前記ピストン・針アセンブリの表面に対して印加されることを可能にするための1つ以上の開口部をさらに含み、前記1つ以上のタブが、前記ガス圧が閾値に達することに応答して前記ピストン・針アセンブリが前記ハウジングに対して軸方向に移動することを可能にするために、前記第1のカバー部又は前記第2のカバー部の少なくとも1つから離脱するように構成されている、請求項16に記載の送達アセンブリ。
【請求項18】
前記膜が前記ハウジングの周方向に延伸する、請求項1に記載の送達アセンブリ。
【請求項19】
前記膜が、前記リザーバから前記チャンバ内に前記流体製剤を排出するために前記膜の外面に対して加えられるガス圧による前記膜の変形を可能にする可撓性材料からなる、請求項1に記載の送達アセンブリ。
【請求項20】
前記ハウジングが、前記リザーバを前記流体製剤で充填するための1つ以上の充填ポートを含む、請求項1に記載の送達アセンブリ。
【請求項21】
前記リザーバ内に配置された前記流体製剤をさらに含み、前記流体製剤が少なくとも1つの治療薬を含む、請求項1に記載の送達アセンブリ。
【請求項22】
前記少なくとも1つの治療薬が、免疫抑制薬、化学療法薬、中枢神経系(CNS)薬、抗糖尿病薬、酵素補充療法(ERT)薬、抗体、ホルモン、インスリン、インクレチン又はそれらの組み合わせ、あるいはオリゴヌクレオチドから選択される1つ以上である、請求項21に記載の送達アセンブリ。
【請求項23】
被験者のGI管腔壁内又は周囲組織内に流体製剤を送達するための摂取可能なデバイスであって、前記摂取可能なデバイスは、
拡張可能部材と、
前記拡張可能部材に結合され、前記拡張可能部材内に配置された送達アセンブリと、を備え、
前記送達アセンブリは、
チャンバを画定するハウジングと、
前記チャンバ内に移動可能に配置され、入口と流路とを含む、ピストン・針アセンブリと、
ハウジングと協働して流体製剤を含有するためのリザーバを画定するように、前記ハウジングに結合され、前記ハウジングが前記チャンバと前記リザーバとの間に延伸する開口部をさらに画定する、膜と、
前記リザーバから前記開口部を介して前記チャンバへの前記流体製剤の流れを選択的に制御するための弁部材と、
前記リザーバ内に配置され、少なくとも1つの治療薬を含む前記流体製剤と、を備え、
前記ハウジングに対する前記ピストン・針アセンブリの十分な移動に応答して、前記弁部材が開き、前記流体製剤が前記リザーバから前記開口部を通って前記チャンバ内に流れることを可能にし、
前記流体製剤は、前記GI管腔壁内又は前記周囲組織内に送達するために、前記チャンバから前記入口及び前記チャネルに導かれる、摂取可能なデバイス。
【請求項24】
前記ピストン・針アセンブリ及び前記ハウジングが、前記開口部から前記入口へ前記流体製剤を導くための流体チャネルを前記チャンバ内に協働的に画定する、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記弁部材が、前記開口部において前記ハウジングに着脱可能に結合されたプラグを備える、請求項23に記載のデバイス。
【請求項26】
前記ピストン・針アセンブリが前記プラグに係合して前記プラグを前記ハウジングから離脱させ、前記流体製剤が前記リザーバから前記開口部を通って前記チャンバ内に流れることを可能にする、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記弁部材が貫通部材とシールとからなり、前記シールが前記開口部で前記ハウジングに結合されている、請求項23に記載のデバイス。
【請求項28】
前記ピストン・針アセンブリが前記貫通部材に係合して、前記貫通部材に前記シールを貫通させ、前記流体製剤が前記リザーバから前記開口部を通って前記チャンバ内に流れるようにする、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記貫通部材は、テーパ端部を有する可撓性タブとして構成されている、請求項27に記載のデバイス。
【請求項30】
前記貫通部材は、テーパ端部を有する細長いシャフトとして構成されている、請求項27に記載のデバイス。
【請求項31】
前記被験者の前記GI管に送達するための摂取可能な筐体をさらに含む、請求項23に記載のデバイス。
【請求項32】
前記拡張可能部材がバルーンからなる、請求項23に記載のデバイス。
【請求項33】
前記バルーン内にガス圧を発生させて前記バルーンをGI管腔内で拡張させるために、前記バルーン内に配置された複数の反応体をさらに含む、請求項32に記載のデバイス。
【請求項34】
前記ピストン・針アセンブリが、前記ピストン・針アセンブリの一部を前記GI管腔壁内又は前記周囲組織内に前進させるために、前記ピストン・針アセンブリの表面に対して印加される前記ガス圧に応答して、前記ハウジングに対して相対的に移動するように構成されている、請求項33に記載のデバイス。
【請求項35】
前記膜が、前記リザーバから前記チャンバ内に前記流体製剤を排出するために前記膜の外面に対して印加される前記ガス圧による前記膜の変形を可能にする可撓性材料からなる、請求項33に記載のデバイス。
【請求項36】
前記ピストン・針アセンブリが、前記GI管腔壁を貫通して前記被験者の腹膜又は腹膜腔に貫入し、前記腹膜又は前記腹膜腔の中に前記流体製剤を排出するように構成された、請求項23に記載のデバイス。
【請求項37】
前記リザーバが最大約400μLの流体を含む容積を画定する、請求項23に記載のデバイス。
【請求項38】
前記リザーバが、約50μL~約300μLの流体を含む容積を画定する、請求項23に記載のデバイス。
【請求項39】
前記送達アセンブリが、前記ハウジングに結合されたカバーをさらに含み、前記カバーが、前記ピストン・針アセンブリを前記ハウジングに対して軸方向位置に一時的に保持するための解除機構を画定する、請求項22に記載のデバイス。
【請求項40】
前記カバーが、前記ハウジングに結合された第1のカバー部と、前記ピストン・針アセンブリに結合された第2のカバー部とを含み、前記解除機構が、前記第1のカバー部と前記第2のカバー部との間に着脱可能に結合された1つ以上のタブによって画定される、請求項39に記載のデバイス。
【請求項41】
前記カバーが、前記ピストン・針アセンブリの表面に対してガス圧が印加されることを可能にするための1つ以上の開口部をさらに含み、前記1つ以上のタブが、前記ガス圧が閾値に達することに応答して前記ピストン・針アセンブリが前記ハウジングに対して軸方向に移動することを可能にするために、前記第1のカバー部又は前記第2のカバー部の少なくとも一方から離脱するように構成されている、請求項40に記載のデバイス。
【請求項42】
前記膜が前記ハウジングに対して周方向に延伸する、請求項23に記載のデバイス。
【請求項43】
前記ハウジングが、前記リザーバを前記流体製剤で満たすための1つ以上の充填ポートを含む、請求項23に記載のデバイス。
【請求項44】
前記少なくとも1つの治療薬が、免疫抑制薬、化学療法薬、中枢神経系(CNS)薬、抗糖尿病薬、酵素補充療法(ERT)薬、抗体、ホルモン、インスリン、インクレチン又はそれらの組み合わせ、もしくはオリゴヌクレオチドから選択される1つ以上である、請求項23に記載のデバイス。
【請求項45】
流体製剤を、必要とする被験者のGI管腔壁内又は周囲組織内に送達するための方法であって、前記被験者が、請求項23~44のいずれか一項に記載の摂取可能なデバイスを摂取することを含む方法。
【請求項46】
治療薬を含む流体製剤を、必要とする被験者のGI管腔壁内又は周囲組織内に送達するための、請求項23~44のいずれか一項に記載の摂取可能なデバイスの使用。
【請求項47】
治療薬を被験者のGI管腔壁内又は周囲組織内に送達するための摂取可能なデバイスを調製する方法であって、前記治療薬を含む流体製剤を請求項1~22のいずれか1項に記載の送達アセンブリに充填することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年2月21日に出願された米国仮出願第63/312,355号の利益及び優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
薬物などの治療薬は、所望の治療効果を提供するために、摂取又は非経口注射(例えば、皮下、筋肉内又は静脈内)によって被験者(患者)に投与することができる。しかしながら、これらの投与経路にはいくつかの欠点がある。例えば、分子量が大きな分子(マクロ分子)などのいくつかの治療薬は、被験者の胃腸(GI)管でこれらの分子が酵素的に分解されるため、摂取による送達には適さない。他のタイプの治療薬は、GI管内での忍容性が低く、全身への取り込みが少ない。非経口注射の場合、被験者は、コンプライアンスやQOLに大きな影響を与える苦痛や不都合を経験する可能性がある。
【0003】
このような欠点に対処するために、固形剤形の治療薬をGI管の管腔壁又は周囲組織に経口投与するための摂取可能なデバイスが提案されてきた。しかしながら、固形剤形は比較的少量の投与量(例えば、数ミリグラム)に制限される場合がある。したがって、固形剤形の使用は、例えば、投与頻度、利便性、又はコストのために、より高い投与量を必要とする治療レジメンには不利となる場合がある。
【0004】
したがって、広い範囲の投与量の治療薬を送達することができ、従来の経口及び非経口投与経路に関連する欠点の1つ以上に対処することができるデバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の実施形態は、一般に、被験者のGI管(例えば、GI管腔壁又は周囲組織)に流体製剤を送達するためのデバイス、アセンブリ、及び方法に関する。デバイス及びアセンブリは、最大約400マイクロリットル(μL)又はそれ以上の流体製剤(調整物)を送達する構造であり、この流体製剤は、最大約100ミリグラム(mg)又はそれ以上の量の少なくとも1つの治療薬を含んでもよい。このようにして、開示されたデバイス、アセンブリ、及び方法は、ほとんどの治療レジメンに対して、広い範囲の投与量の治療薬を効率的に送達することを可能にすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、流体製剤を被験者のGI管腔壁又は周囲組織に送達するための摂取可能なデバイスのための送達アセンブリは、ハウジングと、ピストン・針アセンブリと、膜と、弁部材とを含む。ハウジングはチャンバを画定する。ピストン・針アセンブリは、チャンバ内に移動可能に配置され、入口とチャネルとを含む。膜は、膜とハウジングとが協働して流体製剤を収容するためのリザーバを画定するようにハウジングに結合されている。ハウジングはさらに、チャンバとリザーバとの間に延伸する開口部を画定する。弁部材は、リザーバから開口部を通してチャンバへの流体製剤の流れを選択的に制御する。ハウジングに対するピストン・針アセンブリの十分な移動に応答して、弁部材は、流体製剤がリザーバから開口部を通ってチャンバに流れることを可能にするために開く。流体製剤は、GI管腔壁内又は周囲組織内に送達するために、チャンバから入口及びチャネルに導かれる。
【0007】
別の態様において、流体製剤を被験者のGI管腔壁又は周囲組織に送達するための摂取可能なデバイスは、拡張可能部材と、拡張可能部材に結合され、拡張可能部材内に配置された送達アセンブリとを含む。送達アセンブリは、ハウジングと、ピストン・針アセンブリと、膜と、流体製剤と、弁部材とを含む。ハウジングはチャンバを画定する。ピストン・針アセンブリは、チャンバ内に移動可能に配置され、入口及びチャネルを含む。膜は、膜とハウジングとが協働してリザーバを画定するようにハウジングに結合される。ハウジングはさらに、チャンバとリザーバとの間に延伸する開口部を画定する。流体製剤は、リザーバ内に配置され、少なくとも1つの治療薬を含む。弁部材は、リザーバから開口部を介してチャンバへの流体製剤の流れを選択的に制御する。ハウジングに対するピストン・針アセンブリの十分な移動に応答して、弁部材が開いて、流体製剤がリザーバから開口部を通ってチャンバに流れることを可能にする。流体製剤は、GI管腔壁内又は周囲組織内に送達されるために、チャンバから入口及びチャネルに導かれる。
【0008】
別の態様において、流体製剤を、それを必要とする被験者のGI管腔壁内又は周囲組織内に送達するための方法は、被験者によって、本明細書に記載されるような摂取可能なデバイスを摂取することを含む。摂取可能なデバイスは、拡張可能部材と、拡張可能部材に結合され、拡張可能部材内に配置された送達アセンブリとを含む。送達アセンブリは、ハウジングと、ピストン・針アセンブリと、膜と、流体製剤と、弁部材と、を含む。ハウジングはチャンバを画定する。ピストン・針アセンブリは、チャンバ内に移動可能に配置され、入口とチャネルとを含む。膜は、膜とハウジングとが協働してリザーバを画定するようにハウジングに結合される。ハウジングはさらに、チャンバとリザーバとの間に延伸する開口部を画定する。流体製剤は、リザーバ内に配置され、少なくとも1つの治療薬を含む。弁部材は、リザーバから開口部を介してチャンバへの流体製剤の流れを選択的に制御する。ハウジングに対するピストン・針アセンブリの十分な移動に応答して、弁部材が開いて、流体製剤がリザーバから開口部を通ってチャンバに流れることを可能にする。流体製剤は、GI管腔壁内又は周囲組織に送達するために、チャンバから入口及びチャネルに導かれる。
【0009】
別の態様において、流体製剤を、それを必要とする被験者のGI管腔壁内又は周囲組織内に送達するための摂取可能なデバイスの使用は、被験者によって、本明細書に記載されるような摂取可能なデバイスを摂取することを含む。摂取可能なデバイスは、拡張可能部材と、拡張可能部材に結合され、拡張可能部材内に配置された送達アセンブリとを含む。送達アセンブリは、ハウジングと、ピストン・針アセンブリと、膜と、流体製剤と、弁部材と、を含む。ハウジングはチャンバを画定する。ピストン・針アセンブリは、チャンバ内に移動可能に配置され、入口とチャネルとを含む。膜は、膜とハウジングとが協働してリザーバを画定するようにハウジングに結合される。ハウジングはさらに、チャンバとリザーバとの間に延伸する開口部を画定する。流体製剤は、リザーバ内に配置され、少なくとも1つの治療薬を含む。弁部材は、リザーバから開口部を介してチャンバへの流体製剤の流れを選択的に制御する。ハウジングに対するピストン・針アセンブリの十分な移動に応答して、弁部材が開いて、流体製剤がリザーバから開口部を通ってチャンバに流れることを可能にする。流体製剤は、GI管腔壁内又は周囲組織内に送達するために、チャンバから入口及びチャネルに導かれる。
【0010】
別の態様において、治療薬を被験者のGI管腔壁内又は周囲組織内に送達するための摂取可能なデバイスを調製する方法であって、治療薬を含む流体製剤を本明細書に記載の送達アセンブリに充填することを含む方法が提供される。
【0011】
前述の態様のいずれかの1つ又は複数の実施形態において、ピストン・針アセンブリ及びハウジングは、開口部から入口へと流体製剤を導くための流体チャネルをチャンバ内に協働的に画定する。
【0012】
前述の態様のいずれかの1つ以上の実施形態において、弁部材は、開口部においてハウジングに取り外し可能に結合されたプラグを含む。1つ以上の実施形態において、ピストン・針アセンブリは、プラグをハウジングから離脱させるようにプラグに係合し、流体製剤がリザーバから開口部を通ってチャンバ内に流れることを可能にする。
【0013】
前述の態様のいずれかの1つ又は複数の実施形態において、弁部材は、貫通部材とシールとを含み、シールは、開口部においてハウジングに結合される。1つ以上の実施形態において、ピストン・針アセンブリは、貫通部材に係合して、貫通部材にシールを貫通させ、流体製剤がリザーバから開口部を通ってチャンバ内に流れることを可能にする。1つ以上の実施形態において、貫通部材は、テーパ端部を有する可撓性タブとして構成される。つ以上の実施形態において、貫通部材は、テーパ端部を有する細長いシャフトとして構成される。
【0014】
前述のいずれかの態様の1つ又は複数の実施形態において、デバイスは、被験者のGI管に送達するための摂取可能な筐体をさらに含む。
【0015】
前述のいずれかの態様の1つ以上の実施形態において、拡張可能部材はバルーンを含む。
【0016】
前述のいずれかの態様の1つ又は複数の実施形態において、デバイスは、バルーンをGI管腔内で拡張させるためにバルーン内にガス圧を発生させるために、バルーン内に配置された複数の反応体をさらに含む。
【0017】
前述のいずれかの態様の1つ又は複数の実施形態において、ピストン・針アセンブリは、ピストン・針アセンブリの一部をGI管腔壁内又は周囲組織内に前進させるために、ピストン・針アセンブリの表面に対して印加されるガス圧に応答して、ハウジングに対して相対的に移動するように構成される。
【0018】
前述の態様のいずれかの1つ以上の実施形態において、膜は、リザーバからチャンバ内に流体製剤を排出するために膜の外面に対して印加されるガス圧による膜の変形を可能にするために、可撓性材料を含む。
【0019】
前述の態様のいずれかの1つ又は複数の実施形態において、ピストン・針アセンブリは、そこに流体製剤を排出するために、GI管腔壁を通って被験者の腹膜又は腹膜腔に貫入するように構成される。
【0020】
前述のいずれかの態様の1つ以上の実施形態において、リザーバは最大約400μLの流体を含む容積を画定する。
【0021】
前述のいずれかの態様の1つ以上の実施形態において、リザーバは、約50μL~約300μLの流体を含む容積を画定する。
【0022】
前述の態様のいずれかの1つ以上の実施形態において、送達アセンブリは、ハウジングに結合されたカバーをさらに含み、カバーは、ピストン・針アセンブリをハウジングに対する軸方向位置に一時的に保持するための解除機構を画定する。
【0023】
前述の態様のいずれかの1つ以上の実施形態において、カバーは、ハウジングに結合された第1のカバー部と、ピストン・針アセンブリに結合された第2のカバー部とを含み、解除機構は、第1のカバー部と第2のカバー部との間に着脱可能に結合された1つ以上のタブによって画定される。
【0024】
前述のいずれかの態様の1つ又は複数の実施形態において、カバーは、ピストン・針アセンブリの表面に対してガス圧が印加されることを可能にするための1つ又は複数の開口部をさらに含み、1つ又は複数のタブは、ガス圧が閾値に達することに応答して、ピストン・針アセンブリがハウジングに対して軸方向に移動することを可能にするために、第1のカバー部又は第2のカバー部の少なくとも1つから離脱するように構成される。
【0025】
前述の態様のいずれかの1つ又は複数の実施形態において、膜は、ハウジングについて周方向に延伸する。
【0026】
前述のいずれかの態様の1つ以上の実施形態において、ハウジングは、リザーバを流体製剤で満たすための1つ以上の充填ポートを含む。
【0027】
前述のいずれかの態様の1つ以上の実施形態において、送達アセンブリは、リザーバ内に配置された流体製剤をさらに含み、流体製剤は、少なくとも1つの治療剤を含む。
【0028】
前述のいずれかの態様の1つ又は複数の実施形態において、少なくとも1つの治療薬は、免疫抑制薬、化学療法薬、中枢神経系(CNS)薬、抗糖尿病薬、酵素補充療法(ERT)薬、抗体、ホルモン、インスリン、インクレチン、又はそれらの組み合わせ、もしくはオリゴヌクレオチドから選択される1つ又は複数である。
【0029】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、例示として提供されるものであり、本開示又は特許請求の範囲を限定することなく、特許請求の範囲に記載の本開示のさらなる説明を提供することを意図している。他の目的、利点、及び新規な特徴は、以下の図面の簡単な説明及び本開示の詳細な説明から当業者には容易に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、流体製剤を被験者のGI管内に送達するためのデバイスの一実施形態を示すブロック図である。
図2図2は、図1のデバイスの一実施形態を示す断面図である。
図3図3は、送達アセンブリを含む図2のデバイスの一部の詳細図である。
図4図4は、膜がない図3の送達アセンブリの部分斜視図である。
図5図5は、膜がない図3の送達アセンブリの別の部分斜視図である。
図6図6は、図3のデバイスが、流体製剤を送達するためにGI管内の所望の位置に到達したときの第2の状態におけるデバイスを示す。
図7図7は、例示的な実施形態による貫通部材の形態の弁部材の斜視図である。
図8図8は、図7の貫通部材を備えた図2のデバイスの部分断面図である。
図9図9は、他の例示的実施形態によるプラグの形態の弁部材を備えた図2のデバイスを示す。
図10図10は、他の例示的実施形態によるプラグの形態の弁部材を備えた図2のデバイスを示す。
図11図11は、本開示のデバイス及びアセンブリを用いて被験者のGI管に流体製剤を送達する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示のデバイス、アセンブリ、及び方法の詳細を説明する前に、読者の便宜のためにいくつかの慣例を示す。
【0032】
本開示において使用される場合、用語「例えば(e.g.,)」、「例えば(such as)」、「例として(for example)」、「一例として(for an example)」、「別の例として(for another example)」、「の例(example of)」、「例として(by way of example)」、及び「など(etc.)」は、1つ又は複数の非限定的な例(複数可)のリストが先行又は後続することを示し、リストされていない他の例も本開示の範囲内であることを理解されたい。
【0033】
本明細書で使用される場合、単数形の用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「前記(the)」は、文脈上明らかに指示がない限り、複数形の言及を含む場合がある。また、単数形の用語は、明示的に記述されていない限り、「1つだけ(one and only one)」を意味するものではなく、「1つ以上(one or more)」を意味するものである。
【0034】
本明細書で使用される場合、「A/B」の形、又は「A及び/又はB」の形の語句は、(A)、(B)、又は(A及びB)を意味し、「A、B、又はCの少なくとも1つ」の形の語句は、(A)、(B)、(C)、(A及びB)、(A及びC)、(B及びC)、又は(A、B、及びC)を意味する。
【0035】
「実施形態において(in one embodiment)」又はその変形(例えば、「別の実施形態において(in another embodiment)」又は「一実施形態において(in one embodiment)」)という用語は、本明細書において、1つ又は複数の実施形態における使用を指し、いかなる場合も、本開示の範囲を、図示及び/又は記載される実施形態のみに限定しない。したがって、ある実施形態に関して本明細書で図示及び/又は説明される構成要素は、省略することができる又は別の実施形態(例えば、本明細書で図示及び説明される別の実施形態、又は本開示の範囲内であって本明細書で図示及び/又は説明されない別の実施形態)で使用することができる。
【0036】
本明細書において、用語「成分(component)」とは、総体として、議論の対象となるデバイス、組成物、又はシステムを構成する1つ又は複数の項目のセットの1つの項目を指す。成分は、固体、粉末、ゲル、プラズマ、流体、気体、又は他の構成であってもよい。例えば、デバイスは、一緒に組み立てられてデバイスを構成する複数の固体の構成要素を含むことがあり、デバイス内に配置される流体構成要素をさらに含むことがある。別の例として、組成物は、単一の成分、又は組成物を作るために一緒に混合される2つ以上の成分を含むことができる。組成物は、流体、スラリー、粉末、又は固体(例えば、錠剤又はマイクロ錠剤のような凝縮形態又は連結形態)の形態であってもよい。デバイス又はシステムは、1つ以上の組成物及び/又は1つ以上の他の構成要素を含んでもよい。
【0037】
用語「設計(design)」又はその文法的変形(例えば、「設計する(designing)」又は「設計された(designed)」)は、本明細書において、例えば、公差(例えば、構成要素の公差及び/又は製造公差)の推定値、及び遭遇すると予想される環境条件(例えば、温度、湿度、外部又は内部の周囲圧力、外部又は内部の機械的圧力、外部又は内部の機械的圧力による応力、又は体内に導入される場合、生理学、体内化学、生物学的組成)の推定値に基づいて意図的に組み込まれた特性を指す、例えば、温度、湿度、外部又は内部の周囲圧力、外部又は内部の機械的圧力、外部又は内部の機械的圧力による応力、製品の年数、又は保存可能期間、あるいは体内に導入される場合は、生理学、体内化学、体液又は組織の生物学的組成、体液又は組織の化学組成、pH、種、食餌、健康、性別、年齢、家系、疾患、又は組織損傷)、送達前及び/又は送達後の実際の許容誤差及び環境条件が特性に影響を及ぼす可能性があるため、同一の設計を有する異なる構成要素、デバイス、組成物、又はシステムが、これらの特性に関して異なる実際の値を有してもよいことを理解されたい。設計には、製造前又は製造後の変化や修正も含まれる。
【0038】
用語「構成された(structured)」又はその文法的変形(例えば、「構造(structure)」又は「構造化(structuring)」)は、本明細書において、そのような概念又は設計が書面に記載されているか否かにかかわらず、概念又は設計又はその変形もしくは修正(そのような変形又は修正が製造前、製造中、又は製造後のいずれに生じるかを問わない)にしたがって、製造される構成要素、デバイス、組成物、又はシステムを指す。
【0039】
本明細書において、「身体(body)」という用語は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、動物体を指す。
【0040】
本明細書において、「被験者(subject)」という用語は、本開示の実施形態が送達される、又は送達されることが意図される身体を指す。例えば、ヒトに関して、被験者は、医療専門家の治療を受けている患者であってもよい。用語「個体(individual)」、「被験者(subject)」、及び「患者(patient)」は、本明細書において互換的に使用され得、任意の個体動物(animalia)被検者(例えば、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、又はヒト)を指す。特定の実施形態において、被験者、個体、又は患者はヒトである。
【0041】
用語「流体(fluid)」とは、本明細書では液体又は気体を指し、水分及び湿度を包含する。「流体環境(fluidic environment)」という用語は、本明細書では、1つ以上の流体が存在する環境を指す。
【0042】
用語「摂取(ingest)」又はその文法的変形(例えば、「摂取する(ingesting)」、「摂取(ingestion)」、又は「摂取された(ingested)」)は、本明細書において、嚥下による又は胃に沈着させる他の手段(例えば、内視鏡による胃への沈着又はポートを介した胃への沈着)によるかにかかわらず、胃への取り込みを指す。
【0043】
用語「分解(degrade)」又はその文法的変形(例えば、「分解する(degrading)」、「分解した(degraded)」、「分解可能(degradable)」、及び「分解(degradation)」)は、本明細書では、溶解、化学分解(生分解を含む)、分解、化学修飾、機械的分解、又は崩壊などによる、弱体化、部分的分解、又は完全分解を指し、これには限定されないが、溶解、崩れ、変形、萎み、又は収縮も包含される。「非分解性(non-degradable)」という用語は、予想される環境において、少なくとも予想される期間、分解が最小限であること、又は、ある許容可能な設計割合の範囲内であることを意味する。
【0044】
用語「分解速度(degradation rate)」又はその文法的変形(例えば、「分解の速度(rate of degradation)」)は、本明細書において、材料が分解する速度を指す。特定の実施態様における材料の設計された分解速度は、標的送達部位において予想される条件下(例えば、生理学的条件下)で材料が分解すると予想される速度によって定義することができる。特定の実施態様のための設計された分解時間は、完全な分解までの設計された時間、又は設計目的(例えば、突破(breach))を達成するのに十分な部分的分解までの設計された時間を指すことができる。したがって、例えば、設計された分解時間は、構成要素に特有であること、及び/又は、標的送達部位で予想される条件に特有であることができる。設計分解時間は短くても長くてもよく、おおよその時間、最大時間、又は最小時間で定義することができる。
【0045】
本明細書において、「実質的に(substantially)」という用語は、例えば製造工程や組立工程から生じ得る小さなばらつきを説明し、考慮するために使用される。例えば、数値とともに使用される場合、この用語は±10%以下の数値の変動を指すことができる。
【0046】
本明細書において「管腔(lumen)」という用語は、管状構造の内部空間を指す。体内の管腔の例としては、動脈、静脈、臓器内の管腔などが挙げられる。
【0047】
「管腔壁(lumen wall)」という用語は、管腔の壁を意味し、管腔壁には、管腔の内周から外周までのすべての層が含まれ、例えば、体内の管腔に関しては、粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜、管腔の外壁、構成する血管や組織などが含まれる。
【0048】
本明細書において、「消化管(gastrointestinal tract)」又は「GI管(GI tract)」という用語は、例えば、口、咽頭、食道、胃、幽門、小腸、盲腸、大腸、結腸、直腸、肛門、及びそれらの間の弁又は括約筋を含む、身体の摂取/排出システムを指す。
【0049】
「GI管腔(GI lumen)」という用語は、一般にGI管のあらゆる管腔(例えば、食道、胃、小腸、大腸、結腸の管腔)を指し、「GI管腔壁(GI lumen wall)」という用語はGI管腔の管腔壁を指す。
【0050】
本明細書で使用される場合、「備える(comprising)」、「備える(comprise)」、「備える(comprises)」、「含む(includes)」、及び「含む(including)」という用語は、組成物及び方法が言及された要素を含むが、他の要素を排除しないことを意味することが意図される。
【0051】
概して図面を参照すると、本明細書に開示されるのは、被験者のGI管の管腔壁又は周囲組織(例えば、腹膜又は腹膜腔)に流体製剤を送達するためのデバイス、アセンブリ、及び方法に関する実施形態である。本デバイスは、GI管腔壁内又はその周囲組織内への送達のために、GI管腔内の流体製剤中の1つ又は複数の治療薬を実質的に保存するように有利に構成されている。管腔壁又はその周囲組織への送達は、流体製剤中の1つ又は複数の治療薬の全身への取り込みを可能にしてもよい。さらに、製剤の流体形態は、ほとんどの治療レジメンについて、1つ又は複数の治療薬の広範な投与量((例えば、約100mg以上まで)の送達を可能にしてもよい。後述するように、開示されたデバイス及びアセンブリは、通常、摂取による送達には適さないマクロ分子など、様々な異なるタイプの治療薬を送達することができる。このようにして、開示されたデバイス、アセンブリ、及び方法は、従来の経口及び非経口投与経路に関連する欠点の多くに対処することができる。
【0052】
図1は、本開示の1つ以上の実施形態によるデバイス100の一例をブロック図で示す。デバイス100は、筐体(enclosure)102と、任意の外側コーティング(外被)104と、拡張可能部材106と、解除手段(release)108と、送達アセンブリ110と、を含む。送達アセンブリ110は、ハウジング112と、膜114と、流体製剤116と、弁部材118と、ピストン・針アセンブリ120と、を含む。
【0053】
非限定的な実施例によれば、筐体102(又は任意選択で筐体102及び/又は外側コーティング104)は、以下により詳細に記載されるように、流体製剤116の送達のために被験者のGI管(例えば、胃又は小腸)内の所望の位置で分解することができる。以下により詳細に記載されるように、筐体102及び/又は外側コーティング104の少なくとも部分的な分解に応答して、解除手段108は、拡張可能部材106を膨張させるためのガスの形成をもたらす拡張可能部材106の内部の化学反応を生じさせるように作動される。GI管腔内部での拡張可能部材106の膨張により、送達アセンブリ110が管腔壁に近接して(例えば、隣接又は接触して)配置される。拡張可能部材106内部のガスによって生成された内部圧力が閾値に達すると(例えば、拡張可能部材106の膨張時)、ガス圧によって、ピストン・針アセンブリ120がハウジング112に対して相対的に移動し、ピストン・針アセンブリ120の一部をGI管腔壁内に前進させる。ガスによって生成された内部圧力はまた、流体製剤116がGI管腔壁内へのその後の送達のためにハウジング112のチャンバ内に排出される前に、膜114の外面に対して印加される。ピストン・針アセンブリ120の十分な移動(例えば、GI管腔壁への十分な貫通)に応答して、弁部材118が開き、流体製剤116が、膜114及びハウジング112によって画定されたリザーバからチャンバ内に流れ、チャンバで流体製剤116がピストン・針アセンブリ120を通って、GI管腔壁内又は周囲組織内へ流れるのを可能にする。
【0054】
筐体102及び任意の外側コーティング104は、それらを設ける場合には、デバイス100の摂取を可能にし、被験者のGI管の1つ又は複数の部分内での分解からデバイス100の内容物を一時的に保護するように構成される。筐体102は、嚥下可能なカプセル(例えば、サイズ00カプセル、サイズ000カプセル、又は他のサイズのカプセル)、又は被験者による摂取に適し、デバイス100の構成要素(例えば、後述するように、少なくとも部材106、解除手段108、及び送達アセンブリ110)の1つ以上を収容又は含有することができる任意の他の構造体など、様々な異なる形態及び形状をとることができる。1つ以上の実施形態において、筐体102は、筐体102を画定するために一緒に結合(例えば、圧入)された2つ以上の部分(section)を含む。例えば、筐体102は、筐体102を画定するために圧入配置で第2の部分に少なくとも部分的に重なる第1の部分を含むカプセルとして構成されてもよい。第1の部分及び第2の部分は、2つの部分の分離を可能にするように着脱可能に結合されてもよい。1つ以上の実施形態において、拡張可能部材106、解除手段108、及び送達アセンブリ110はそれぞれ、筐体102の内部に収容されるように構成される。解除手段108は、任意に、筐体102の外側部分など、筐体102の内部の外側に配置されてもよい。
【0055】
1つ以上の実施形態において、筐体102は、特定の条件下で分解することができる。さらに、筐体102の複数の異なる部分を、流体製剤116を送達するためのGI管内の標的部位に応じて、異なる条件下又は異なる分解速度で分解するように構成することができる。例えば、筐体102の一部又は全部は、水中(例えば、体内などの周囲環境における湿度又は水分の形態の水の存在下)で分解する、及び/又は、(例えば流体製剤116を送達するためのGI管内の標的部位に関連するpHレベルなどの)特定の閾値以上又は特定の範囲内のpHレベルに曝露されると分解する材料で構成されてもよい。
【0056】
任意の外側コーティング104は、任意に、筐体102の一部又は全部を覆う。外側コーティング104は、単層又は複数の層を含むことができる。様々な層は、同じ材料で形成されてもよく、異なる材料の組み合わせで形成されてもよい。1つ以上の実施形態において、外側コーティング104は、筐体102を参照して上述したように、特定の条件下で分解してもよい。外側コーティング104の一例は、腸溶性コーティングであり、例えば、水中で所定の速度で分解する腸溶性コーティング、及び/又は、特定の閾値以上もしくは特定の範囲内のpHレベルを有する溶液に曝されたときに分解する腸溶性コーティングである。外側コーティング104の別の例は、保護コーティング(例えば、ワックス)であり、例えば、流体又は組織(例えば、身体組織又は流体)との接触から筐体102の外側表面の一部を保護するコーティングなどである。
【0057】
1つ又は複数の実施形態では、筐体102及び/又は外側コーティング104の分解により、流体(例えば、胃内又は腸内の体液)が筐体102/外側コーティング104の内部に入り、解除手段108を作動(activate)することができる。あるいは、解除手段108は筐体102の外側部分に位置し、外側コーティング104の分解により、解除手段108の作動を促進するように、筐体102の表面に解除手段108が露出することがある。あるいは、解除手段108は、外側コーティング104のない筐体102の一部に配置されてもよく、解除手段108は、筐体102とは異なる速度で、及び/又はGI管内の異なる条件下で分解する構造であってもよい。
【0058】
筐体102及び/又は外側コーティング104は、例えば、筐体102の制御された分解及び分離を可能にするように、筐体102及び/又は外側コーティング104の局所的分解のための1つ又は複数の分解領域を画定してもよい。例えば、外側コーティング104は、筐体102の選択された部分(例えば、端部の間の筐体102の中間部分)を露出させるように、筐体102の特定の領域(例えば、筐体102の端部)にのみ選択的に塗布されてもよく、それによって、筐体102の他の領域よりも速い速度で分解する及び/又は早く分解できる筐体102の領域を画定する。筐体102のこの制御された分解によって筐体102のより一貫した分離が可能になり、送達アセンブリ110からGI管腔壁内への流体製剤116の送達が可能になる。
【0059】
拡張可能部材106は、可撓性で調節可能な構造である。1つ以上の実施形態において、拡張可能部材106は、流体製剤116の送達のために、GI管腔の所望の位置内で、潰れた状態(例えば、折り畳まれた状態、巻かれた状態、平らにされた状態)から拡張された状態まで拡張するように構成される。拡張可能部材106は、筐体102に一時的に保管され、被験者のGI管の管腔内に配備されるために、様々な異なる形状、サイズ、及び構成を有してもよい。拡張可能部材106は、バルーン、蛇腹/アコーディオン構造、又は潰れた状態から拡張した状態に調節可能な任意の他の構造として構成することができる。
【0060】
拡張可能部材106は、デバイス100の様々な構成要素を含むための内部容積を画定する。例えば、拡張可能部材106は、内部容積内で一時的に互いに分離される1つ以上の反応物を含む(例えば、含有する)ことができる。内部容積は、(例えば、解除手段108の作動に応答して)反応物を一緒に混合することによって引き起こされる化学反応を促進し、拡張可能部材106の膨張を生じさせるガスを形成するように構成される。拡張可能部材106は、被験者からの拡張可能部材106の排泄を容易にするために、流体製剤116の送達時に拡張可能部材106を収縮させるための構造をさらに含むことができる。拡張可能部材106は、膨張時に穿孔することなく規定量伸張するように構成される。
【0061】
拡張可能部材106は、1つ又は複数の材料から形成することができる。拡張可能部材106に適した材料の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ラクチド、グリコリド、乳酸、グリコール酸、パー-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、及びこれらの混合物及びコポリマが挙げられる。拡張可能部材106は、1つ以上の材料の層を含むことができる。拡張可能部材106は、モノリシック構造であってもよい。他の実施形態では、拡張可能部材106は、互いに結合される(例えば、シール又は縫合される)1つ以上の部分で構成されてもよい。
【0062】
解除手段108は、化学的、機械的、電気的、電気機械的、電気化学的、化学機械的、又は電気機械的-化学的構造である。解除手段108は、解除手段108の作動時に拡張可能部材106の拡張を生じさせる構造である。1つ以上の実施形態において、解除手段108は、GI管の状態に応答して作動(例えば、分解、放出、移動、開放)されるように構成される。例えば、解除手段108は、解除手段108がGI管内の流体と接触すると分解するように、水中で分解するように構成されてもよい。別の例として、解除手段108は、特定のpHレベル以上、又はGI管内の場所に関連するpHレベルの範囲内(例えば、胃内のpH、腸内のpH)で分解するように構成されてもよい。これらの実施形態及び他の実施形態において、解除手段108は、腸溶性材料などの生分解性材料から作製されてもよい。追加的に又は代替的に、解除手段108は、ラッチ、クリップ、カバー、プラグ、コーティング、又はGI管内の状態に応答して移動し、開放し、又は他の方法で解除する任意の他の構造として構成されてもよい。解除手段108は、単一の材料又は材料の組み合わせからなるものでもよい。解除手段108は、1つ又は複数の構成要素を含んでもよい。複数の構成要素が解除手段108に含まれる実施形態では、構成要素は同位置に(例えば、同軸に)配置されてもよく、又は互いに物理的に分離されてもよい。
【0063】
送達アセンブリ110は、化学的、機械的、電気的、電気機械的、電気化学的、化学機械的、又は電気機械化学的構造を有する。1つ以上の実施形態において、送達アセンブリ110は、ハウジング112、膜114、流体製剤116、弁部材118、及びピストン・針アセンブリ120を含むことができる。他の実施形態において、送達アセンブリ110は、ハウジング112、膜114、流体製剤116、弁部材118及び針を含まないピストンを含むことができる。これらの実施形態において、送達アセンブリ110は、流体製剤116をハウジング112から流体ジェットとして送達するように構成され、流体ジェットは、流体製剤116に含まれる1つ以上の治療薬の全身送達のためにGI管腔壁を貫通するのに十分な速度を有する。したがって、本明細書での議論がピストン・針アセンブリ120に言及する場合、ピストン・針アセンブリ120は、代わりに、針のないピストンであり得ることが理解されるべきである。
【0064】
送達アセンブリ110は、拡張可能部材106に結合され、拡張可能部材106に(部分的に又は全体的に)配置される構造である。拡張可能部材106の拡張に応答して、送達アセンブリ110は、ピストン・針アセンブリ120を介して、又はハウジング112からの流体ジェットとして、GI管腔壁内又は周囲組織内に流体製剤116を送達するようにさらに構成される。デバイス100は、1つ以上の流体製剤の送達を可能にするために、拡張可能部材106に結合された1つ以上の送達アセンブリ110を含むことができる。
【0065】
ハウジング112は、拡張可能部材106に結合され、拡張可能部材106と流体連通するように構成される。ハウジング112は、ピストン・針アセンブリ120を移動可能に受容するための1つ以上のチャンバを規定する。ハウジング112の外側部分は、膜114と協働して、流体製剤116を収容するためのリザーバを画定する凹部を画定する。ハウジング112は、リザーバを流体製剤116で満たすための1つ以上の充填ポートを含む。ハウジング112は、ピストン・針アセンブリ120をハウジング112に対して軸方向に移動させるために、拡張可能部材106の内部からのガス圧がピストン・針アセンブリ120の表面に対して加えられることを可能にするように構成される。ハウジング112はさらに、流体製剤116が、GI管腔壁内又は周囲組織内への送達のためにピストン・針アセンブリ120に向けられる1つ又は複数のチャンバ内に、リザーバから選択的に流れることを可能にするために、(例えば、1つ以上の開口部/シールを介して)弁部材118と境界を接する(interface with:相互作用する)ように構成される。ハウジング112は、ハウジング112のチャンバの圧力リリーフとして機能するための1つ以上のベントポートを含んでもよい。ハウジング112は、1つ以上の構成要素を含んでもよい。複数の構成要素がハウジング112に含まれる実施形態では、構成要素は、同位置に配置されてもよく、互いに物理的に分離されていてもよい。
【0066】
膜114は、可撓性構造である。膜114はハウジング112に結合される。膜114とハウジング112とは協働して、流体製剤116を含有するためのリザーバを画定する。リザーバは、400μLの流体を含む最大約400μL以上の流体を含むための容積を画定することができる。リザーバは、50μL~300μLの流体、例えば50μL、100μL、150μL、200μL、250μL、又は300μLの流体、もしくはその間の任意の値を含む、約50μL~約300μLの流体を含むための容積を画定してもよく、又は300μL、350μL、又は400μLの流体、もしくはその間の任意の値を含んでもよい。膜114はさらに、膜114の外面に対して加えられる圧力(例えば、拡張可能部材106の内部で発生するガスによる)に応答して、リザーバからハウジング112の1つ以上のチャンバの中に流体製剤116を排出するように構成される。
【0067】
膜114は、トーラス、楕円体状、球状、立方体状、又は他の形状など、任意の適切な形状を有してもよい。膜114は、流体製剤116を排出するための膜114の変形(例えば、圧力による曲げ/撓み)を可能にするために、可撓性又は柔軟性を有する材料から形成してもよく、さもなければ、可撓性又は柔軟性を有する材料を含んでもよい。膜114のための適切な材料の例としては、ポリマ材料(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、又は流体製剤116と共に使用するために十分に低い透湿性及びガス透過性を有する他の可撓性材料が挙げられる。膜114は、単一の材料又は複数の材料の組み合わせから形成されることができる。さらに、膜114は、材料の1つ又は複数の層を含んでもよい。膜114はモノリシック構造であってもよい。他の実施形態では、膜114は、膜114を画定するために互いに結合された(例えば、密封又は縫合された)複数の部分(section)から構成されてもよい。膜114は、1つ又は複数の構成要素を含んでもよい。複数の構成要素が膜114に含まれる実施形態では、複数の構成要素は、同位置に配置されてもよく、互いに物理的に分離されてもよい。
【0068】
流体製剤116は、製剤が治療、診断、又は他の生物学的目的のために意図される、1つ以上の成分を含む製剤である。流体製剤116は、液体、スラリー、ゲル、懸濁液(コロイド懸濁液を含む)、気体、粉末、又はそれらの任意の組み合わせなどの流体形態である。流体製剤116は、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、抗体、薬物(例えば、 免疫抑制剤(例えば、アダリムマブ)から選択される1つ以上)などの1つ以上の治療剤を含む1つ以上の成分を含む、アダリムマブ)、化学療法薬、中枢神経系(CNS)薬(例えば、抗パーキンソン病薬、制吐薬)、抗糖尿病薬(例えば、メトホルミン)、酵素補充療法(ERT)薬)、ホルモン(例えば、副甲状腺ホルモン(PTH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、及びそれらの類似体)、インスリン、インクレチン又はそれらの組み合わせ(例えば、GLP-1、GLP-2、GIP、グルカゴン、PYY、及びそれらの類似体))、オリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、RNA干渉(RNAi)、アプタマーRNA)、DNA又はSiRNA転写物、細胞、細胞毒性剤、ワクチン又は他の予防剤、栄養補助剤、血管拡張剤、又は血管収縮剤、送達増強剤、遅延剤、賦形剤、診断剤、又は美容強化のための物質を含む。流体製剤116は、被験者において所望の治療効果を達成するために、治療上有効な量の1つ又は複数の治療薬、ならびに適切な量の他の成分(例えば、賦形剤)を含んでもよい。
【0069】
弁部材118は、リザーバからハウジング112内への流体製剤116の流れを選択的に許容するための機械的構造である。弁部材118は、ハウジング112のチャンバの中に配置されるように構成される。弁部材118はハウジング112に結合されてもよい。他の実施形態では、弁部材118は、ピストン・針アセンブリ120に結合されてもよく、ピストン・針アセンブリ120と一体的に形成されてもよい。弁部材118はさらに、ピストン・針アセンブリ120の十分な軸方向移動に応答して、流体製剤116がリザーバからハウジング112のチャンバ内に流入することを可能にするように構成される。例えば、ハウジング112は、リザーバとピストンチャンバとの間に延伸する開口部を含んでもよい。開口部にはシールが結合され、リザーバとピストンチャンバとの間に実質的に流体密なシールを画定することができる。弁部材118は、ハウジング112に対するピストン・針アセンブリ120の十分な軸方向移動により、貫通部材がシールを貫通して、流体製剤116がリザーバからピストンチャンバに流入することを可能にするように、ピストンチャンバ内に配置された貫通部材として構成されてもよい。
【0070】
別の実施例によれば、弁部材118は、開口部においてハウジング112に着脱可能に結合されたプラグとして構成されてもよい。この実施例では、ハウジング112に対するピストン・針アセンブリ120の十分な軸方向移動により、プラグがハウジング112から離脱し、流体製剤116がリザーバからピストンチャンバに流入するための流体通路が提供される。
【0071】
弁部材118は、単一の材料又は複数の材料の組み合わせから形成することができる。弁部材118に適した材料の例としては、高分子材料(例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))、シリコーン、金属(例えば、ステンレス鋼)、又は他の材料もしくは材料の組み合わせが挙げられる。弁部材118は、1つ又は複数の構成要素を含んでもよい。複数の構成要素が弁部材118に含まれる実施形態では、構成要素は、同位置に配置されてもよく、互いに物理的に分離されてもよい。
【0072】
ピストン・針アセンブリ120は、機械的構造又は化学機械的構造である。ピストン・針アセンブリ120は、ハウジング112内に移動可能に(例えば、摺動可能に)配置される。ピストン・針アセンブリ120は、GI管腔壁を貫通し、流体製剤116をGI管腔壁内又は周囲組織内に送達するように構成される。ピストン・針アセンブリ120は、被験者のGI管腔壁又は周囲組織の所望の深さまで貫通するのに十分な長さを有してもよい。例えば、ピストン・針アセンブリ120は、流体製剤116をその中に排出するために、GI管腔壁を通って被験者の腹膜又は腹膜腔に貫入するのに十分な長さを有してもよい。
【0073】
ピストン・針アセンブリ120は、1つ以上の部品を含んでもよい。例えば、ピストン・針アセンブリ120は、ピストンと、シャフトと、針と、を含んでもよい。ピストン・針アセンブリ120は、ハウジング内から流体製剤116を受容するための入口と、流体製剤116をGI内腔壁に導くためのチャネルとを含んでもよい。
【0074】
針は、流体製剤116の送達時に針がGI管腔内で分解できるように、少なくとも部分的に分解可能であってもよく、全体的に分解可能であってもよい。針に適した材料としては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、マグネシウム、又は他の材料もしくは材料の組み合わせが挙げられる。ピストン及びシャフトのための適切な材料としては、例えば、ポリマ材料(例えば、ABS)、金属(例えば、チタン)、又は他の材料もしくは材料の組み合わせが挙げられる。他の実施形態では、針は実質的に非分解性であってもよく、又は実質的に非分解性の部分を含んでもよい。いずれの実施形態においても、特に針が実質的に非分解性である実施形態においては、送達アセンブリ110は、被験者の傷害を防止するために、ハウジング112内のGI管腔壁からの針の後退を可能にするために、戻しばね又は他の構造を備えることができる。
【0075】
デバイス100の1つ又は複数の構成要素(例えば、筐体102、外側コーティング104、拡張可能部材106、解除手段108、送達アセンブリ110)は、例えば、流体製剤116の送達後に被験者の腸管の残りの部分を通過できるようにするために、そのような構成要素の分解を促進するために、1つ以上の生分解性材料から形成されるか、もしくは、1つ以上の生分解性材料を含むことができる。デバイス100の様々な構成要素と共に使用するのに適し得る生分解性材料の例としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ラクチド、グリコリド、乳酸、グリコール酸、パー-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、及びこれらの混合物及びコポリマが挙げられる。
【0076】
前述の説明は、摂取可能なデバイス100の概要である。図2図12を参照した以下の説明は、デバイス100の様々な特徴及び態様の例に関する。これらの例は、デバイス100を例示するものであり、デバイス100を限定するものではない。
【0077】
図2を参照すると、デバイス200(デバイス100の一実施形態)の断面図が、折り畳まれていない状態及び/又は巻かれていない状態で図示されている。デバイス200は、筐体102及び任意の外側コーティング104なしで図示されている。しかしながら、デバイス200は、デバイス200の摂取及びその後のGI管への送達を可能にするために、筐体102(任意で外側コーティング104を備える)の中に配置されるように折り畳まれ、巻き取られ、及び/又は他の方法で操作され得ることが理解されるべきである。
【0078】
デバイス200は、バルーン202(拡張可能部材106の実施形態)の形態の拡張可能部材と、収縮弁212と、第1の反応物215を含む反応物リザーバ214と、解除手段216(解除手段108の実施形態)と、第2の反応物217と、送達アセンブリ300(送達アセンブリ110の実施形態)と、を含む。
【0079】
図2を再度参照すると、バルーン202は、インフレータ部204と、デフレータ部205と、下部206と、インフレータ部204とデフレータ部205との間に延伸する細長部210を含む。下部206は、インフレータ部204とデフレータ部205との間を(図2に示す向きで)下方に延びている。バルーン202の様々な部分は、デバイス200の様々な構成要素を収容するための内部202aを協働的に画定する。後述するように、バルーン202は、内部202a内の第1の反応物215と第2の反応物217との間の化学反応によるガスの生成に応答して、GI管(例えば、胃、腸)の管腔内の所望の位置で膨張する構造である。このようにして、バルーン202は、送達アセンブリ300からGI管腔壁内又は周囲組織内への流体製剤317(流体製剤116の実施形態)の送達を促進することができる。
【0080】
バルーン202は、バルーン202の膨張時にGI管腔内の空間を占め、GI管腔壁内への流体製剤317の送達を可能にするようなサイズ及び形状を有する。例えば、バルーン202の膨張時に、バルーン202の外周部(例えば、下部206及び細長部210の外周部)が管腔壁の表面に押し付けられる。バルーン202によって及ぼされる圧力は、流体製剤317の送達のためにバルーン202を管腔壁に対して一時的に保持するのに十分である。管腔送達部位の内周に応じて、下部206は、バルーン202が膨張したときに、部分的に折り畳まれたままでもよく、完全に拡張してもよい。例えば、管腔が比較的大きく、バルーン202の拡張に抵抗する障害物がない場合、(図2に示すように)バルーン202は下部206が完全に拡張した完全膨張構成をとる。しかしながら、管腔が比較的小さく、管腔内周が完全に拡張したバルーン202の最大サイズよりも小さい場合、下部206は部分的に折り畳まれたままとなる。このようにして、バルーン202は、GI管腔のサイズに自己調節して、流体製剤317の送達のための位置にバルーン202を保持することができ、同じバルーン202を広範囲の管腔サイズ(例えば、異なる内周)に使用することができる。
【0081】
収縮弁212は、流体製剤317のGI管腔壁内又は周囲組織内への送達が完了すると、バルーン202の収縮を生じさせるように構成されている。このようにして、収縮弁212は、バルーン202がGI管の残りの部分を通過して被験者の肛門から出るのを容易にすることができる。図示の実施形態では、収縮弁212は、内部202aに通じる開口部を一時的に覆う分解性プラグとして構成されている。分解性プラグは、GI管内の流体(例えば、体液)との接触に応じて分解し、それによって、内部202aに含まれるガスが開口部を通って出るようにする構造であってもよい。例えば、収縮弁212は、腸溶性材料から形成される又は腸溶性材料を含むことができる。バルーン202は、バルーン202が膨張するまで収縮弁212を一時的に覆って収縮弁212の早期作動(例えば、分解)を防止することができる任意のフラップ228を含むことができる。例えば、フラップ228は、フラップ折り畳み軸228aを中心とする折り畳み位置228’に一時的に保持(例えば、接着、鋲止め、又は他の方法で保持)することができる。バルーン202の膨張は、フラップ228を折り畳み位置228’から展開させて、収縮弁212を露出させ、GI管内の流体が収縮弁212に到達してその分解を生じさせることを可能にし、それにより、収縮を可能にするためにガスが抜けるための開口部を提供することができる。
【0082】
収縮弁212は、デフレータ部205に配置されて図示されているが、収縮弁212は、他の実施形態では、拡張可能部材202の他の場所に配置されてもよい。さらに、バルーン202は複数の収縮弁212を含んでもよい。収縮弁212は、図2に示す実施形態とは異なる構造であってもよい。例えば、他の実施形態では、収縮弁212は、バルーン202の開口部上に配置された分解可能及び/又は移動可能なカバーとして構成されてもよい。これらの実施形態では、開口部から離れるようにカバーが分解及び/又は移動することにより、ガスが開口部を通って内部202aから出るようになり、それによって収縮が可能になる。
【0083】
反応物リザーバ214は内部202aの中に配置され、反応物リザーバ214の内部で第1の反応物215を保持し、第1の反応物215が内部202aの中に別個に配置されている第2の反応物217と接触するのを一時的に防止する構造になっている。第1の反応物215は、例えばクエン酸であってもよい。第2の反応物217は、例えば炭酸水素カリウムなどの炭酸塩であってもよい。他の実施形態では、第1の反応物215及び第2の反応物217は、混合されるとバルーン202を膨張させるのに十分なガスの形成をもたらす他のタイプの反応物(例えば、酸と塩基)であってもよい。第2の反応物217は、第1の反応物215の近くのインフレータ部204の内部202aの中に配置されて図示されている。他の実施形態では、第1の反応物215及び第2の反応物217は、一時的に互いに分離されている限り、バルーン202の他の領域に含まれていてもよい。
【0084】
反応物リザーバ214は、第1の反応物215を含有するための内部容積を画定する。反応物リザーバ214は、バルーン又は他の構造のような様々な異なる形態及び形状をとることができる。反応物リザーバ214は反応物導管218及び解除手段216を介して内部202aと選択的に流体連通している。解除手段216は、解除手段216の作動(例えば、分解)の際に、第1の反応物215が反応物リザーバ214から反応物導管218を介して内部202aに出ることができるように、反応物導管218に結合されている。例えば、解除手段216は、反応物導管218の内部をブロックして、第1の反応物215が内部202aに入るのを一時的に防止する分解性プラグの形態であってもよい。例えば、(筐体102及び/又は外側コーティング104の分解時に)GI管内の流体が解除手段216に接触すると、解除手段216はその後分解して、反応物導管218が第1の反応物215を内部202aに排出できる。
【0085】
他の実施形態では、デバイス200は、第1の反応物215及び第2の反応物217をそれぞれ別々に収容するための別個のチャンバを内部202a内に一時的に画定するようにバルーン202の一部を保持するためのクリップ、バンド、又は他の構造を含む。例えば、バルーン202の一部を分解性クリップ又はバンドで挟み、又は圧縮して、内部202aの中に複数の別個のチャンバを一時的に画定することができる。第1の反応物215と第2の反応物217が混合するのを実質的に防止するために、複数のチャンバは互いに実質的にシールされてもよい。クリップ又はバンドは、(例えば、筐体102及び/又は外側コーティング104の分解時に)GI管内の流体に曝露されることによってクリップ又はバンドの分解が生じ、その後バルーン202から解除されるように、バルーン202の外側部分に配置することができる。バルーン202からクリップ又はバンド又は同様の構造体が解除されると、別個のチャンバは互いに実質的にシールされなくなるため、第1の反応物215が内部202aの中で第2の反応物217と混合できるようになる。
【0086】
内部202aの中で第1の反応物215を第2の反応物217と結合させると、化学反応を引き起こしてガス(例えば、CO)が形成される。このガスによってバルーン202はGI管腔内で膨張状態に膨張し、細長部210がGI管腔壁の表面と実質的に整列する。GI管腔壁に対する細長部210の実質的な位置合わせは、有利なことに、送達アセンブリ300からGI管腔壁内又は周囲組織内への流体製剤317の送達を容易にするのに役立つ。
【0087】
図2を再度参照すると、送達アセンブリ300はバルーン202に結合され、少なくとも部分的に内部202aの中に配置されている。送達アセンブリ300は、ハウジング302(ハウジング112の一実施形態)と、貫通部材308(弁部材118の一実施形態)と、膜315(膜114の一実施形態)と、流体製剤317(流体製剤116の一実施形態)と、ピストン・針アセンブリ320(ピストン・針アセンブリ120の一実施形態)と、を含むように示されている。膜315及びハウジング302は、流体製剤317を収容するためのリザーバ315aを協働して画定する。
【0088】
後述するように、バルーン202を加圧するガスは、ハウジング302の1つ以上の開口部を通過して、ピストン・針アセンブリ320の表面に対して圧力を加えることができる。圧力が閾値に達すると(例えば、バルーン202の完全膨張時又は部分的膨張時)、その圧力によってピストン・針アセンブリ320がハウジング302に対して相対的に移動し、ピストン・針アセンブリ320の一部がGI管腔壁内又は周囲組織内に前進する。バルーン202を加圧するガスはまた、流体製剤317をハウジング302内に排出するために膜315の外面に対して印加される。しかしながら、リザーバ315aは、ピストン・針アセンブリ320が十分な距離を移動するまで、リザーバ315aからピストン・針アセンブリ320への流体製剤317の流れを防止するために、ハウジング112から実質的に流体密封される。ハウジング302に対するピストン・針アセンブリ320の十分な軸方向移動の際(例えば、GI管腔壁を貫通する際)、貫通部材308は、ハウジング302上のシールを穿刺して、流体製剤317が、GI管腔壁又は周囲組織に送達されるために、リザーバ315aからハウジング302内へ、及びピストン・針アセンブリ320を通って流れることを可能にするように構成される。
【0089】
図3を参照すると、送達アセンブリ300を含むデバイス200の一部の詳細図が示されている。図3に示すように、送達アセンブリ300は、ハウジング302と、任意のチャンバシール306と、リザーバシール307と、貫通部材308と、針シール309と、カバー310と、膜315と、流体製剤317と、ピストン・針アセンブリ320と、を含む。ピストン・針アセンブリ320は、ピストン322、針324、及びシャフト326によって集合的に画定される。他の実施形態では、ピストン・針アセンブリ320は、ピストン322、針324、及びシャフト326を含むモノリシック構造である。
【0090】
図3図5を参照すると、ハウジング302は、ピストンチャンバ302a’及び針チャンバ302a’’を画定する周壁302aを含む。ピストン322は、ピストンチャンバ302a’内に移動可能に(例えば、摺動可能に)配置される。針324及びシャフト326の一部は、針チャンバ302a’’内に配置される。図3に示す向きでは、針チャンバ302a’’はピストンチャンバ302a’の上端から延伸する。ピストンチャンバ302a’は、ピストン322の外径に対応する第1の内径D1を画定する実質的に円筒形の形状を有する。同様に、針チャンバ302a’’は、針324及びシャフト326の外径に対応する第2の内径D2を画定する実質的に円筒形の形状を有する。しかしながら、ピストンチャンバ302a’及び針チャンバ302a’’は、他の実施形態に従って、円筒形以外の異なる形状(例えば、卵形状、球形状)を有してもよいことが理解されるべきである。図3に示すように、第1の内径D1は、周壁302aがピストンチャンバ302a’の上端と針チャンバ302a’’の下端との間に延伸する段差領域302aaを画定するように、第2の内径D2よりも大きい。ピストンチャンバ302a’及び針チャンバ302a’’は協働して、ピストン・針アセンブリ320が軸方向に沿って移動するための長手方向軸302abを画定する。
【0091】
ハウジング302は、針チャンバ302a’’を画定する周壁302aの上部から外側に(例えば、径方向)に延伸する上部壁302bをさらに含む。ハウジング302は、上部壁302bにおいてバルーン202(例えば、細長部210)に結合(例えば、ヒートシール、接着)される構造となっている。組み立てられた状態において、上部壁302bの上方に位置する周壁302aの一部は、針チャンバ302a’’をGI管腔壁に近接して位置決めするために、バルーン202の細長部210から外側に延伸している。上部壁302b及び周壁302aの一部(上部壁302bから段差領域302aaまで延伸する)は、集合的に、針チャンバ302a’’の周囲を周方向に延伸する凹部304を画定する。後述するように、膜315は、膜315が凹部304を取り囲み、そこに流体製剤317を収容するためのリザーバ315aを画定するように、ハウジング302に結合される。
【0092】
上部壁302bは、リザーバ315aを流体製剤317で充填するための1つ以上の充填ポート302b’をさらに画定する。例えば、図示の実施形態では、上部壁302bは、リザーバ315aを流体製剤317で(例えば、部分的又は完全に)充填するための貫通孔として構成された2つの充填ポート302b’を画定する。リザーバ315aを充填した後、充填ポート302b’は、それに結合された別個のシール303を用いて実質的に流体密封される。シール303は、例えば、シリコーン又はアルミニウム箔を含んでもよい。例えば、シール303は、各充填ポート302b’内に挿入されたチューブと、ハウジング302の側方開口部を介してチューブの側面に係合され、ピンチバルブ構造を形成するプラグと、を含んでもよい。他の実施形態において、充填ポート302b’は、充填ポート302b’がリザーバ315aを流体製剤317で充填した後に自己密封し得るように、セプタム(例えば、シリコーンセプタム)を含んでもよい。いずれにせよ、リザーバ315aは、送達アセンブリ300がバルーン202に結合される前に、流体製剤317で充填されてもよい。これにより、有利なことに、デバイス200の無菌組立てに関する柔軟性が得られる。例えば、送達アセンブリ310をバルーン202に結合する前に、無菌環境において充填ポート302b’を介してリザーバ315aを真空引きして、リザーバ315aを実質的に排気することができる。次いで、バルーン202と組み立てる前に、無菌環境下で充填ポート302b’を介して、排気されたリザーバ315aに流体製剤317を充填することができる。
【0093】
図3図5を再び参照すると、周壁302aはさらに、段差領域302aaにおいて、リザーバ315aとピストンチャンバ302a’との間に延伸する開口部302a’’’を画定する。リザーバシール307は、開口部302a’’’において周壁302aに結合(例えば、接着)され、リザーバ315aとピストンチャンバ302a’との間の実質的に流体密なシールを画定する。このようにして、リザーバシール307は、開口部302a’’’からピストンチャンバ302a’に流体製剤317が入るのを実質的に防止する。リザーバシール307は、アルミニウム箔のような貫通可能な材料から形成することができる。
【0094】
周壁302a及び/又は上部壁302bは、ピストン・針アセンブリ320の軸方向移動中又は移動後にピストンチャンバ302a’又はバルーン内部202aを通気するための1つ以上の通気ポートをさらに画定し得る。ベントポートは、デバイス200の外部のGI管腔環境と選択的に流体連通することができる。追加的に又は代替的に、周壁302aは、ピストン322の十分な軸方向移動時にピストンシール323に押し付けてピストンチャンバ302a’を通る流体経路を形成し、バルーン内部202aのGI管腔環境へのベントを可能にするために、その内面から延伸するランプ(ramp:斜面)又は他の局所的突起を含むことができる。
【0095】
貫通部材308は、ピストンチャンバ302a’内に配置される。図3図5に示される実施形態において、貫通部材308は、粘着テープ305(例えば、ポリイミドテープ)によって、リザーバシール307に隣接する周壁302aに結合される。他の実施形態において、貫通部材308は、例えば、熱ステーキング、超音波溶接、又は他の取り付け手段によって周壁302aに結合されてもよい。図3図5に示す実施形態では、貫通部材308は、鋲の構造に類似した先細の端部(例えば、尖った先端)を有する細長いシャフトとして構成されている。貫通部材308は、例えば、高分子材料(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))、金属(例えば、ステンレス鋼)、又は他の材料もしくは材料の組み合わせから作製することができる。図3~5に示す実施形態では、貫通部材308の先細の端部は、周壁302aの内面に取り付けられた粘着テープ305によって、リザーバシール307に隣接して位置決めされる。図6を参照して後述するように、先細の端部は、ハウジング302に対するピストン・針アセンブリ320の十分な軸方向移動に応答してリザーバシール307を穿刺し、流体製剤317をリザーバ315aからピストンチャンバ302a’に流入させるように構成される。
【0096】
弁部材118の別の実施形態が、図7~8に貫通部材408として示されている。この実施形態では、貫通部材408は可撓性タブとして構成されている。貫通部材408は、例えば、金属(例えば、ステンレス鋼)、高分子材料(例えば、PEEK)、又は他の材料もしくは材料の組み合わせから作られてもよい。貫通部材408は、貫通部材408をピストンチャンバ302a’内の周壁302aに結合するための開口部408a’を画定する平面端部408aを含む。例えば、貫通部材408は、平面端部408aにおいて周壁302aに熱ステーキング、超音波溶接、接着、又はその他の方法で取り付けられてもよい。貫通部材408は、平面端部408aから離れるように延伸する細長部408bをさらに含む。細長部408bは、概して円弧状の形状を有し、平面端部408aに対して鋭角に下方に(図8に示す向きで)延伸している。細長部408bの円弧状形状は、リザーバシール307を貫通する際に、貫通部材408と開口部302a’’’との間の干渉を回避するのに役立ち、それにより、ピストンチャンバ302a’内への流体製剤317の実質的に妨げられない流れを可能にすることができる。細長部408bはまた、流体製剤317が開口部302a’’’を通って流れることをさらに可能にするために、1つ以上の開口部(例えば、スロット)を含んでもよい。
【0097】
貫通部材408は、細長部408bから延伸するテーパ部408cをさらに含む。テーパ部408cは、(図8の向きで)平面端部408aに向かって鋭角に上方に延びている。テーパ部408cは尖った端部で終端している。貫通部材408は、ピストンチャンバ302a’内でのピストン・針アセンブリ320の十分な軸方向移動時に、テーパ部408cがリザーバシール307を貫通できるように構成される。例えば、図8に示すように、ピストン322がピストンチャンバ302a’内で軸方向に移動すると、ピストン322の一部が細長部408bに係合して、細長部408bを平面端部408aに対して変形させる又は(弾性的に又は永久的に)曲げさせることができる。その結果、テーパ部408cは、リザーバシール307に向かって移動し、リザーバシール307を貫通し、それによって、流体製剤317が開口部302a’’’を通ってピストンチャンバ302a’に流入することを可能にすることができる。
【0098】
別の実施形態によれば、弁部材118は、リザーバシール307を貫通するのに十分な針(又は尖った端部を有する他の特徴)を含むカートリッジとして構成されてもよい。カートリッジは、リザーバシール307に隣接する開口部302a’’’内の少なくとも部分的に、周壁302aに結合されてもよい。カートリッジは、ピストン・針アセンブリ320の軸方向移動中にピストン・針アセンブリ320がカートリッジに係合すると、カートリッジの針(又は他の特徴)がリザーバシール307に向かって移動してリザーバシール307を穿刺することができるように構成されてもよい。
【0099】
別の実施形態によれば、弁部材118は、ピストン・針アセンブリ320の一部によって画定されてもよい。例えば、ピストン322の上部は、ピストン・針アセンブリ320がピストンチャンバ302a’内で十分な軸方向距離を移動する際にリザーバシール307を穿刺するための、外側に向かって延伸する突出部又は他の構造的特徴を含んでもよい。突出部又は他の特徴は、ピストン322又はシャフト326に結合されてもよく、ピストン322又はシャフト326と一体的に形成されてもよい。
【0100】
図9図10に示す別の実施形態によれば、弁部材118は、貫通部材の代わりにプラグ508の形をしている。プラグ508は、開口部302a’’’においてハウジング302に着脱可能に結合される。プラグ508は、本体508aと、本体508aに結合された又は本体508aと一体的に形成されたシール508bと、を含むように示されている。他の例では、プラグ508は一体構造であってもよい。図示の例では、シール508bは、開口部302a’’’においてハウジング302と係合し、ハウジング302との間に実質的に流体密なシールを形成するように構成される。例えば、シール508bは、シリコーンのような可撓性高分子材料から形成される又はそれを含んでもよい。本体508aは、開口部302a’’’においてハウジング302との干渉嵌合を生じさせ、それによりプラグ508をハウジング302上に保持する助けとなるように、テーパ状(例えば、錐体状)の細長い構造を有する。本体508aの一部は、ピストン322の軸方向移動中にピストン322の表面と係合するために、ピストンチャンバ302a’内に延伸する。このようにして、ピストン322は、プラグ508をハウジング302から強制的に離脱させ、流体製剤317を排出するために、リザーバ315aから開口部302a’’’を介してピストンチャンバ302a’まで流体通路を提供することができる。
【0101】
例えば、図10に示すように、ピストン・針アセンブリ320は、ピストン322の上面がプラグ508の本体508aと係合するように、ピストンチャンバ302a’に対して十分な距離を移動する。その結果、プラグ508は、図10の一方向矢印510で示されるように、ハウジング302から離れるように開口部302a’’’から押し出され、それにより、流体製剤317が流れるためのリザーバ315aから開口部302a’’’を介してピストンチャンバ302a’までの流体通路を提供する。
【0102】
図3~5を再度参照すると、膜315は、リザーバ315aを画定するようにハウジング302に結合されている。例えば、膜315は、ヒートシール、超音波溶接、接着、又は他の手段によってハウジング302に結合されてもよい。図示の実施形態において、膜315は、上部壁302bの外側部分及び周壁302aの外側部分に結合される。膜315は、針チャンバ302a’’の周方向に延伸し凹部304を囲む。このようにして、膜315、周壁302a、及び上部壁302bは、流体製剤317をその中に収容するためのリザーバ315aを協働的に画定する。リザーバ315aは、400μLの流体を含む、最大約400μL以上の流体を含むことができる。リザーバ315aは、50μL~300μLの流体、例えば50μL、100μL、150μL、200μL、250μL、又は300μLの流体、又はその間の任意の値を含む約50μL~約300μLの流体を含んでもよく、もしくは、300μL、350μL、又は400μLの流体、又はその間の任意の値を含んでもよい。後述するように、膜315は、バルーン202内で発生した(第1の反応物215と第2の反応物217の反応による)ガス圧によって変形(例えば、圧縮)して、リザーバ315aから流体製剤317を排出するように構成されている。膜315は、膜315がリザーバ315aから流体製剤317の実質的な部分を排出するために十分に変形できるように、凹部304を画定するハウジング302の外面形状と相補的である(すなわち、リザーバ315aが流体製剤317で満たされていないときに)弛緩形状又は表面形状を有してもよい。さらに、膜315のこのような相補的な形状は、組立中に流体製剤317で後続の充填を行うためのリザーバ315aの十分な排出を容易にする助けとなりうる。膜315は、ポリマ材料(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、又は流体製剤317と共に使用するために十分に低い透湿性及びガス透過性を有する他の可撓性材料もしくは材料の組み合わせから形成されてもよい。
【0103】
任意で、膜シールドをハウジング302に結合して、例えばデバイス200の組立工程中の潜在的な損傷から膜315を保護してもよい。膜シールドは、膜315の外面を実質的に取り囲んでもよい。膜シールドは、硬質又は半硬質の高分子材料から形成されてもよく、内部202a内の気体が膜315の外表面に対して適用されるための流体経路を提供する複数の開口部を画定してもよい。
【0104】
ピストン・針アセンブリ320はハウジング302内に配置され、ハウジング302に対して長手方向軸302abに沿って軸方向に移動するように構成されている。ピストン・針アセンブリ320は、少なくともピストン322、針324、及びシャフト326によって集合的に画定される。ピストン・針アセンブリ320は、ピストンシール323と、シャフトシール325と、をさらに含んでもよい。他の実施形態では、ピストン・針アセンブリ320は、ピストン322と、針324と、シャフト326と、を含むモノリシック構造である。
【0105】
ピストン322は、ピストンチャンバ302a’内に移動可能に(例えば、摺動可能に)配置されている。ピストン322は、上面322a及び下面322bを画定する。ピストン322は、カバー310によって画定された解除機構によって、ピストンチャンバ302a’内の軸方向位置に一時的に保持される。ピストン322は、バルーン202内の下面322bに対して加えられる閾値ガス圧に応答して、ピストンチャンバ302a’内で軸方向に移動するように構成される。ピストンシール323は、上面322aと下面322bとの間のピストン322の周側面に結合される又はそれと一体的に形成(例えば、インサート成形)される。ピストンシール323は、周壁302aの内面に係合し、それによってピストンチャンバ302a’内でピストン322と周壁302aとの間に実質的に流体密なシールを形成するように構成される。このようにして、ピストンシール323は、上面322aの上方に位置するピストンチャンバ302a’の領域への流体(例えば、空気、流体製剤317)の出入りを実質的に防止する助けとなりうる。ピストンシール323はさらに、ピストンチャンバ302a’内で周壁302aに対する長手方向軸302abに沿ったピストン322の軸方向移動を可能にするように構成さえっる。ピストン322は、高分子材料(例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS))、又は他の材料もしくは材料の組み合わせから形成されてもよい。ピストンシール323は、シリコーン又は他の適切な材料から形成することができる。
【0106】
針324は、シャフト326及びピストン322に結合(例えば、圧入)されている又はシャフト326及びピストン322と一体成形(例えば、インサート成形)されている。図3に示す非作動状態では、針324は針チャンバ302a’’内に一時的に配置される。針シール309は、針324が針シール309を穿刺するまで、GI管内の流体が針チャンバ302a’’内に入るのを実質的に防止するために、針チャンバ302a’’の上端で周壁302aに結合(例えば、接着)されている。針シール309は、貫通可能な材料(例えば、アルミニウム箔)から形成され、針324が針シール309を貫通できるようにすることができる。このようにして、針シール309及び周壁302aは、GI管腔壁内又は周囲組織内に流体製剤317を送達する前に針324を収容するための針チャンバ302a’’内に実質的に無菌の環境を協働して画定することができる。
【0107】
図3~5に示すように、針324は、ピストン322の十分な軸方向移動に応答して、針シール309を貫通し、GI管腔壁を貫通するように構成されたテーパ部324a(例えば、尖った先端部)を含む。針324は、テーパ部324aから延伸する細長部324bをさらに含む。細長部324bは、テーパ部324aに結合されてもよく、テーパ部324aと一体的に形成されてもよい。細長部324bは、針開口部324a’から細長部324bの反対側の端部まで延伸する針チャネル324b’を画定する。図3に示すように、テーパ部324aは、流体製剤317をGI管腔壁内又は周囲組織内に排出するために、テーパ部324aの端部を通って延伸する針開口部324a’を画定する。追加的に又は代替的に、細長部324bは、流体製剤317をGI管腔壁内又は周囲組織内に排出するための側面開口部(例えば、スロット付き開口部)を含む。いくつかの実施形態では、針324は、流体製剤317の送達時に針324の少なくとも一部がGI管腔壁(又はGI管内の他の場所)内で実質的に分解できるように、少なくとも部分的に分解性である又は完全に分解性であってもよい。例えば、針324は、ポリエチレンオキシド(PEO)、マグネシウム、又は他の分解性材料もしくは材料の組み合わせから形成される又は他の方法で含んでもよい。
【0108】
他の実施形態では、針324は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの実質的に非分解性の材料又は材料の組み合わせから形成される又は他の方法で含むことができる。これらの実施形態及び他の実施形態では、針324は、患者の体内で少なくとも先端部の生分解を可能にするために、マグネシウムなどの分解性材料から形成された先端部を含むことができる。針324が実質的に非分解性である又は実質的に非分解性の部分を含む実施形態では、デバイス200は、流体製剤317の送達を完了すると、ハウジング302内に針324を収納する構造になっている。例えば、デバイス200は、流体製剤317の送達後に針324をハウジング302内に引き込むために、針324に結合された戻しバネ又は他の付勢部材を含むことができる。
【0109】
シャフト326は、ピストン322及び針324に結合(例えば、圧入、接着)されている又はそれと一体的に形成されている。1つ以上の実施形態において、シャフト326及びピストン322は、モノリシック構造を画定してもよい。図示された実施形態において、シャフト326は、他の実施形態では他の形状及び構成が企図されるが、概して細長い構成を有する実質的に円筒形の部材として構成される。シャフト326は、第1の端部326aから第2の端部326bまで延伸する。第1の端部326aは、針324に結合(例えば、圧入、接着、インサート成形)されている又は針324と一体的に形成されている。第2の端部326bは、ピストン322に結合される又はピストン322と一体的に形成される。シャフト326はさらに、ピストンチャンバ302a’から流体製剤317を受け取るための入口326b’と、入口326b’から針チャネル324b’に流体製剤317を導くための内側シャフトチャネル326a’と、を画定する。入口326b’は、シャフト326の外面から内側シャフトチャネル326a’まで径方向に延びている。内側シャフトチャネル326a’は、長手方向軸302abに沿って長手方向に延伸する。他の実施形態では、シャフト326は、流体製剤317を針チャネル324b’に導くための複数の入口及び/又はチャネルを含んでもよい。
【0110】
シャフトシール325は、シャフト326の外側部分に結合(例えば、圧入、接着)される又はシャフト326の外側部分と一体成形(例えば、インサート成形)される。シャフトシール325は、入口326cの上方で、シャフト326の周方向隆起部326e上に配置される。シャフトシール325は、ハウジング302に対するピストン・針アセンブリ320の十分な軸方向移動時に、ピストンチャンバ302a’と針チャンバ302a’’との間に実質的に流体密なシールを形成するために、ピストンチャンバ302a’と針チャンバ302a’’との間の周壁302aの内面と係合する構造になっている。このようにして、シャフトシール325は、流体製剤317がピストンチャンバ302a’から針チャンバ302a’’に入るのを防ぐ助けとなりうる。シャフトシール325はまた、ピストンチャンバ302a’内のピストン・針アセンブリ320の軸方向移動を制限して、ピストンチャンバ302a’内のピストン322の上面と周壁302aの内面との間に流体チャネル312(図6を参照)を画定するのを助けるように機能することができる。図6を参照して後述されるように、流体チャネル312は、開口部302a’’’からピストンチャンバ302a’内の入口326cに流体製剤317を導くように機能することができる。他の実施形態では、ピストン322は、流体製剤317を入口326cに向けるための流体チャネルを上面322aに画定してもよい。
【0111】
他の実施形態では、ハウジング302及び/又はピストン322は、流体チャネル312を画定するのを助けるために、ピストンチャンバ302a’内のピストン・針アセンブリ320の軸方向移動を制限するための1つ以上の特徴(Feature:要素、例えば、スタンドオフ特徴、停止特徴、突起)を含んでもよい。
【0112】
送達アセンブリ300は、任意で、ピストンチャンバ302a’内の周壁302aの内面に結合された潤滑剤シール306を含む。潤滑剤シール306は、流体製剤317と、ピストンチャンバ302a’内に存在し得る潤滑剤(例えば、ピストンシール323上)との間の相互作用を最小化するのに役立つことができ、これは、流体製剤317の汚染を最小化するのに役立つことができる。図5に示されるように、潤滑剤シール306は、ピストンチャンバ302a’内で円周方向に延伸する。他の実施形態では、潤滑剤シール306は、ピストン・針アセンブリ320に結合される。
【0113】
カバー310は、ピストンチャンバ302a’の開放端でハウジング302に結合される。カバー310はまた、ピストン・針アセンブリ320をピストンチャンバ302a’内の軸方向位置に一時的に保持する解除機構によって、ピストン・針アセンブリ320に着脱可能に結合される。例えば、図3~5に示す実施形態では、カバー310は、周壁302aに結合された第1のカバー部310aと、ピストン・針アセンブリ320に結合(例えば、熱ステーキング、超音波溶接)された第2のカバー部302bと、を含む。第1のカバー部310aは、解除機構を画定する1つ以上のタブ310cによって第2のカバー部310bに着脱可能に結合される。例えば、タブ310cは、第1のカバー部310aと第2のカバー部310bとの間のフランジ接続を画定することができる。
【0114】
図5に示すように、タブ310cは第2のカバー部310bの周囲に周方向に間隔をあけて配置され、複数の開口部310a’を画定する。開口部310a’は、バルーン202の内部202a内で発生したガスがピストン322の下面322bに対して適用されることを可能にし得る。他の実施形態によれば、カバー310は、カバー310の他の部分に配置された1つ以上の開口部を含んでもよい。ピストン322に対して加えられるガス圧が閾値に達すると、タブ310cが第1のカバー部310a又は第2のカバー部310bの少なくとも一方から離脱する構造になっており、それによりピストン・針アセンブリ320がピストンチャンバ302a’内で長手方向軸302abに沿って軸方向に貫通部材308に向かって移動できるように構成されている。閾値圧力値は、針324がGI管腔壁内に前進する前、例えば、タブ310cが離脱してピストン・針アセンブリ320が貫通部材308に向かって軸方向に移動できるようになる前に、細長部210がGI管腔壁に対して実質的に整列するようなバルーン202の完全膨張状態に関連する圧力であってもよい。
【0115】
別の実施形態によれば、カバー310の解除機構は、カバー310をピストン・針アセンブリ320に着脱可能に結合する1つ以上のスナップ特徴によって画定されてもよい。1つ以上のスナップ特徴は、上述のタブ310cと同様に、針324をGI管腔壁内に前進させるためにピストン・針アセンブリ320がカバー310から軸方向に離れ、貫通部材308に向かって移動できるように、ピストン・針アセンブリ320に対して加えられる閾値ガス圧に応答して、ピストン・針アセンブリ320及び/又はカバー310から離脱する構造であってもよい。
【0116】
別の実施形態によれば、カバー310の解除機構は、カバー310から長手方向軸302abに向かって延伸する1つ以上の可撓性タブによって画定されてもよい。1つ以上の可撓性タブは、ピストン・針アセンブリ320上の相補的特徴(例えば、突出部)と重なり、干渉状態を画定することができる。この実施形態では、1つ又は複数のタブは、ピストン・針アセンブリ320に対して加えられる閾値ガス圧に応答して撓み、ピストン・針アセンブリ320が1つ又は複数のタブとの干渉状態に勝ち、針324をGI管腔壁内に前進させるためにピストン・針アセンブリ320がカバー310から軸方向に離れ、貫通部材308に向かって移動することを可能にする。
【0117】
図6を参照すると、送達アセンブリ300を含むデバイス200の一部が、デバイス200が流体製剤317を送達するためにGI管(例えば、胃又は小腸)の所望の位置に到達した後の状態で図示されている。図6に示すように、バルーン202は、細長部210がGI管腔壁と実質的に整列するように、内部202a内で発生したガスによって膨張している。内部202a内で発生したガスは、膜315の外面及びカバー310の開口部310a’を通してピストン322の下面322bに対して圧力(一方向矢印330で示す)を印加する。ガス圧が閾値(例えば、バルーン202の完全又は部分的な膨張状態に関連する圧力)に達すると、ピストン322が着脱可能なタブ310cを介してカバー310から外れることにより、ピストン・針アセンブリ320がハウジング302に対して長手方向軸302abに沿って軸方向に移動し、針324が針シール309を穿刺してGI管腔壁を貫通するように、貫通部材308に向かって移動できる。この実施形態では、針324がGI管腔壁又は周囲組織を十分に貫通するまで(例えば、所望の貫通深さまで)、ガス圧が膜315の外面に対して印加されている間、流体製剤317はリザーバ315a内に留まる。
【0118】
針324がGI管腔壁又は周囲組織を十分に貫通すると、ピストン322が貫通部材308に係合して、貫通部材308がリザーバシール307を穿刺する。その結果、膜315の外表面に対して印加される内部202a内のガス圧により、流体製剤317がリザーバ315aから開口部302a’’’を通ってピストンチャンバ302a’に流入する。流体製剤317は、流体チャネル312を通ってシャフト326の入口326b’に導かれる。ピストンシール323及びシャフトシール325は、流体チャネル312内に流体製剤317を含有させるのに役立つ。膜315に対して印加されるガス圧は、さらに、針324が流体製剤317を針開口部324a’からGI管腔壁内又は周囲組織内に排出するように、流体製剤317を入口326b’、内側シャフトチャネル326a’、及び針チャネル324b’を通して流れるようにする。このようにして、流体製剤317に含まれる1つ以上の治療薬を被験者の血流中に送達することができる。
【0119】
他の実施形態では、デバイス200は、針324がGI管腔壁を貫通するのと実質的に同時に、流体製剤317がピストンチャンバ302a’内に排出されるように構成されてもよい。例えば、これは、針324の長さ、シャフト326の長さ、貫通部材308の位置、ハウジング302の寸法を選択する、又は、貫通部材308を介してシール307を穿刺するのに必要な移動量が、針324がGI管腔壁を貫通するのに必要な移動量と実質的に一致するように、ピストンチャンバ302a’内のピストン・針アセンブリ320の軸方向移動量を他の方法で調整することによって達成されてもよい。貫通部材308が、針324がGI管腔壁を貫通した後、又は針324がGI管腔壁を貫通するのと実質的に同時に、シール307を貫通するようにデバイス200を構成することは、有利なことに、流体製剤317の多くの部分をGI管腔壁内又は周囲組織内に確実に送達するために、管腔環境内への流体製剤317の排出を防止する助けとなりうる。換言すれば、デバイス200は、GI管腔壁の貫通と流体製剤317の排出が逐次的タイミングで行われることを可能にし、流体製剤317が管腔環境に排出されるのを実質的に回避することができる。
【0120】
流体製剤317の送達が完了すると、針324は、その後、デバイス200の1つ以上の追加の構成要素(例えば、ハウジング302、膜315、シャフト326、ピストン322、カバー310)と共に、GI管腔壁内、又はGI管腔内の他の領域内で分解することができる。例えば、デバイス200は、流体製剤317の送達後に針324をハウジング302内に引き戻すために、針324に結合された戻しバネ又は他のバイアス部材を含んでもよい。これらの実施形態のいずれにおいても、収縮弁212は、内部202a内に含まれるガスの多くの量を解放して、バルーン202の実質的な収縮と、GI管の残りの部分を通って被験者の肛門から出るためのデバイス200のその後の横断とを可能にすることができる。
【0121】
次に図11を参照すると、デバイス100を用いて被験者のGI管に流体製剤116を送達する方法600が示されている。第1のステップにおいて、被験者は、デバイス100を(例えば、デバイス100を嚥下することによって)摂取する(ステップ601)。摂取の結果、筐体102及び/又は外側コーティング104は、流体製剤116を送達するためのGI管内の所望の位置にデバイス100が到達する際に、少なくとも部分的に(又は完全に)分解される(ステップ602)。筐体102及び/又は外側コーティング104の分解に応答して、解除手段108が作動して、拡張可能部材106をGI管腔内で拡張させる(ステップ603)。GI管腔内での拡張可能部材106の拡張により、送達アセンブリ110がGI管腔壁に近接して位置決めされる(ステップ604)。拡張可能部材106内のガス圧が閾値に達すると、ガス圧によりピストン・針アセンブリ120がハウジング112に対して相対的に移動し、ピストン・針アセンブリ120の一部がGI管腔壁内又は周囲組織内に進入する(ステップ605)。ピストン・針アセンブリ120がハウジング112に対して十分な軸方向距離を移動すると、弁部材118が開いて、流体製剤116がハウジング112に流入するのを可能にする(ステップ606)。このようにして、デバイス100は、流体製剤116に含まれる1つ又は複数の治療薬を、全身送達のために被験者の血流に送達することができる。
【0122】
前述の様々な実施形態の説明は、例示及び説明の目的で提示されたものである。本発明を開示された正確な形態に限定することを意図したものではない。多くの変更、変形及び改良が当業者には明らかであろう。例えば、本デバイスの実施形態は、様々な小児及び新生児用途ならびに様々な獣医学的用途にサイズ及び他の方法で適合させることができる。また、当業者は、本明細書に記載された特定のデバイス及び方法に対する多数の等価物を認識する又は日常的な実験以上のことを行わずに確認することができるであろう。このような等価物は、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0123】
本開示を、その特定の実施形態を参照して説明及び図示したが、これらの説明及び図示は、本開示を限定するものではない。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の真の精神及び範囲から逸脱することなく、実施形態内で様々な変更を行うことができ、同等の構成要素を置換することができることを明確に理解することができる。また、1つの実施形態からの構成要素、特性、又は行為を、他の実施形態からの1つ又は複数の構成要素、特性、又は行為と容易に組み替え又は置換して、本発明の範囲内で多数の追加の実施形態を形成することができる。さらに、他の構成要素と組み合わされるものとして図示又は説明されている構成要素は、様々な実施形態において、単独の構成要素として存在することができる。さらに、構成要素、特性、構成要素、特徴、ステップなどを積極的に説明する場合、本発明の実施形態は、その構成要素、値、特性、構成要素、特徴、ステップなどを除外することを具体的に想定している。図示は必ずしも縮尺通りに描かれているとは限らない。本開示における芸術的描写と実際のデバイスとの間には、製造工程における変数などに起因する区別が存在してもよい。具体的に図示されていない本開示の他の実施形態が存在してもよい。本明細書及び図面は、制限的なものではなく例示的なものとみなされる。特定の状況、材料、物質組成、方法、又はプロセスを、本開示の目的、精神、及び範囲に適合させるために、修正を行うことができる。このような改変はすべて、本明細書に添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。本明細書において開示される方法は、特定の順序で実行される特定の操作を参照して記載されてきたが、これらの操作は、本開示の教示から逸脱することなく、等価な方法を形成するために組み合わされ、さらに分割され、又は再順序付けすることができることが理解することができる。したがって、本明細書において特に示されない限り、操作の順序及びグループ分けは、本開示の限定ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】