(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】修飾AAVカプシドポリペプチドを有する組換えアデノ随伴ウイルス
(51)【国際特許分類】
C07K 14/015 20060101AFI20250220BHJP
C07K 7/06 20060101ALI20250220BHJP
C07K 7/08 20060101ALI20250220BHJP
C12N 15/35 20060101ALI20250220BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20250220BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20250220BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20250220BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20250220BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20250220BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20250220BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20250220BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20250220BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20250220BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
C07K14/015 ZNA
C07K7/06
C07K7/08
C12N15/35
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N7/01
A61K35/76
A61P27/02
A61K48/00
A61K39/395 N
A61K39/395 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548574
(86)(22)【出願日】2023-02-16
(85)【翻訳文提出日】2024-10-16
(86)【国際出願番号】 CN2023076389
(87)【国際公開番号】W WO2023155828
(87)【国際公開日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/076619
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524102051
【氏名又は名称】スカイライン、セラピューティクス、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYLINE THERAPEUTICS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100219988
【氏名又は名称】中島 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】イェンチュン、シュー
(72)【発明者】
【氏名】チンチャオ、ホウ
(72)【発明者】
【氏名】ホーピン、リー
(72)【発明者】
【氏名】レン、チオンチオン
(72)【発明者】
【氏名】シアオ、ルーメイ
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ピン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ペイルー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA60
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZA331
4C085AA13
4C085BB11
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZA33
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA15
4H045BA16
4H045BA17
4H045BA18
4H045CA01
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、治療のための遺伝子産物を送達するための修飾アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドポリペプチド及び修飾AAVカプシドポリペプチドを含む新規の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)に関する。本発明はまた、本発明のrAAVを含む医薬組成物、及び網膜疾患の処置を必要とする対象の眼に本発明のrAAV又は医薬組成物を投与することを含む網膜疾患を処置する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドポリペプチドであって、親AAVカプシドポリペプチドと比較して、ループIVに挿入されたペプチドを含み、前記挿入されたペプチドが、式I:
スペーサー1-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-スペーサー2 (I)
に示されるアミノ酸配列であって、式中、
X1は、G、L及びNから選択され、
X2は、K、A、G及びSから選択され、
X3は、G、E及びPから選択され、
X4は、P及びTから選択され、
X5は、T、S及びGから選択され、
X6は、T、R及びKから選択され、
X7は、K、P及びNから選択され、
前記スペーサー1及び2は、A、L及びGから選択される1個以上、好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個のアミノ酸を独立して含む、アミノ酸配列
を含む、修飾アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドポリペプチド。
【請求項2】
前記挿入されたペプチドが、式II:
Y1-Y2-Y3-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-Y4-Y5 (II)
に示されるアミノ酸配列であって、式中、
スペーサー1は、アミノ酸Y1、Y2及びY3からなり、
スペーサー2は、アミノ酸Y4及びY5からなり、
X1は、G、L及びNから選択され、
X2は、K、A、G及びSから選択され、
X3は、G、E及びPから選択され、
X4は、P及びTから選択され、
X5は、T、S及びGから選択され、
X6は、T、R及びKから選択され、
X7は、K、P及びNから選択される、アミノ酸配列
を含む、請求項1に記載の修飾AAVカプシドポリペプチド。
【請求項3】
X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7が、配列番号6(GKGPTTK)、配列番号7(LAEPSRP)、配列番号8(LGPPSKP)及び配列番号9(NSPTGRN)から選択されるアミノ酸配列である、請求項1又は2に記載の修飾AAVカプシドポリペプチド。
【請求項4】
前記挿入されたペプチドが、配列番号10(AAAGKGPTTKAA)、配列番号11(AAALAEPSRPAA)、配列番号12(ALALGPPSKPAA)及び配列番号13(AAGNSPTGRNAA)から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の修飾AAVカプシドポリペプチド。
【請求項5】
前記親AAVカプシドポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸138~735、若しくは配列番号1のアミノ酸203~735を含むAAV2カプシドポリペプチド、又は全長、アミノ酸138~735、若しくはアミノ酸203~735にわたって配列番号1と少なくとも90%同一であるそのバリアントである、請求項1~4のいずれか一項に記載の修飾AAVカプシドポリペプチド。
【請求項6】
前記ペプチドが、配列番号1の587位及び588位に対応する位置の間に挿入されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の修飾AAVカプシドポリペプチド。
【請求項7】
配列番号2、3、4及び5から選択されるアミノ酸配列、配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸138~747、又は配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸203~747を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の修飾AAVカプシドポリペプチド。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の修飾AAVカプシドポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項9】
請求項8に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項10】
請求項8に記載のポリヌクレオチド又は請求項9に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項11】
請求項8に記載のポリヌクレオチド、請求項9に記載のベクター、又は請求項10に記載の宿主細胞を含むrAAVをパッケージングするためのシステム又はキット。
【請求項12】
修飾AAVカプシドポリペプチドと遺伝子産物をコードするゲノムとを含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記修飾AAVカプシドポリペプチドは、親AAVカプシドポリペプチドと比較して、ループIVに挿入されたペプチドを含み、前記挿入されたペプチドは、式I:
スペーサー1-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-スペーサー2 (I)
に示されるアミノ酸配列であって、式中、
X1は、G、L及びNから選択され、
X2は、K、A、G及びSから選択され、
X3は、G、E及びPから選択され、
X4は、P及びTから選択され、
X5は、T、S及びGから選択され、
X6は、T、R及びKから選択され、
X7は、K、P及びNから選択され、
前記スペーサー1及び2は、A、L及びGから選択される1個以上のアミノ酸を独立して含む、アミノ酸配列
を含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)。
【請求項13】
前記挿入されたペプチドが、式II:
Y1-Y2-Y3-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-Y4-Y5 (II)
に示されるアミノ酸配列であって、式中、
スペーサー1は、アミノ酸Y1、Y2及びY3からなり、
スペーサー2は、アミノ酸Y4及びY5からなり、
X1は、G、L及びNから選択され、
X2は、K、A、G及びSから選択され、
X3は、G、E及びPから選択され、
X4は、P及びTから選択され、
X5は、T、S及びGから選択され、
X6は、T、R及びKから選択され、
X7は、K、P及びNから選択される、アミノ酸配列
を含む、請求項12に記載のrAAV。
【請求項14】
X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7が、配列番号6(GKGPTTK)、配列番号7(LAEPSRP)、配列番号8(LGPPSKP)及び配列番号9(NSPTGRN)から選択されるアミノ酸配列である、請求項12又は13に記載のrAAV。
【請求項15】
前記挿入されたペプチドが、配列番号10(AAAGKGPTTKAA)、配列番号11(AAALAEPSRPAA)、配列番号12(ALALGPPSKPAA)及び配列番号13(AAGNSPTGRNAA)から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項12に記載のrAAV。
【請求項16】
前記親AAVカプシドポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸138~735、若しくは配列番号1のアミノ酸203~735を含むAAV2カプシドポリペプチド、又は全長、アミノ酸138~735、若しくはアミノ酸203~735にわたって配列番号1と少なくとも90%同一であるそのバリアントである、請求項12~15のいずれか一項に記載のrAAV。
【請求項17】
前記ペプチドが、配列番号1の587位及び588位に対応する位置の間に挿入されている、請求項12~16のいずれか一項に記載のrAAV。
【請求項18】
前記修飾AAVカプシドポリペプチドが、配列番号2、3、4及び5から選択されるアミノ酸配列、配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸138~747、又は配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸203~747を含む、請求項12~17のいずれか一項に記載のrAAV。
【請求項19】
請求項12~18のいずれか一項に記載のrAAVを含む医薬組成物。
【請求項20】
請求項12~18のいずれか一項に記載のrAAV又は請求項19に記載の医薬組成物を、網膜疾患の処置を必要とする対象の眼に投与することを含む、網膜疾患を処置する方法。
【請求項21】
網膜疾患の処置に使用するための、請求項12~18のいずれか一項に記載のrAAV又は請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項22】
網膜疾患を処置するための医薬品の調製における、請求項12~18のいずれか一項に記載のrAAV又は請求項19に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子治療に関する。特に、本発明は、治療のための遺伝子産物を送達するための修飾アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドポリペプチド及び修飾AAVカプシドポリペプチドを含む新規の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遺伝子治療がますます注目されている。改良された遺伝子導入技術は、遺伝子治療の開発に大いに役立つ。
【0003】
遺伝子治療は、当初、機能喪失変異などの先天性遺伝エラーを修正するために、患者の細胞に外来遺伝子を導入することに関連していた。現在承認されている遺伝子治療プロトコルのほとんどは、患者において欠損している遺伝子の機能的コピーを患者の体細胞に導入することを伴っている。しかしながら、最近、遺伝子治療は、遺伝子治療を必要とする生物に新しい遺伝情報を導入することによる疾患表現型の修正として広く定義されている。
【0004】
in vivo遺伝子治療では、移入された遺伝子(導入遺伝子)は、筋肉造血幹細胞、動脈壁、神経系、肺、及び眼などのレシピエント生物の器官、組織、及び細胞にin situで導入される。
【0005】
眼にin situで導入遺伝子を導入することによるインビボ遺伝子治療は、眼疾患(失明を引き起こすものなど)の処置に使用されてきた。そのような疾患の例は、網膜色素変性症、黄斑症、レーバー先天性黒内障、レーバー遺伝性視神経症、早期発症型重症網膜ジストロフィー、全色盲、網膜眼瞼裂症、眼白皮症、眼白皮症、緑内障、シュタルガルト病、無脈絡膜(choroid-free)、加齢黄斑変性(AMD)(Wet-AMDを含む)、脊髄小脳失調症7型(SCAT)、色盲、及び角膜を冒すリソソーム蓄積症(ムコ多糖症(MPS)IV及びMPS VIIなど)である。
【0006】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、パルボウイルス科のメンバーである。それは単純な一本鎖DNAウイルスであり、複製のためにヘルパーウイルス(アデノウイルスなど)を必要とする。野生型AAVのゲノムは、約4.7キロベース(kb)を含み、DNA複製の開始中にプライマーとして機能するヘアピン構造に折り畳まれ得る中断されたパリンドローム配列を有する2つの逆方向末端反復(ITR)配列の間にcap遺伝子及びrep遺伝子を含む。cap遺伝子はウイルスカプシドタンパク質をコードし、rep遺伝子はAAVの複製及び組み込みに関与している。AAVは多種の細胞に感染することができ、ウイルスDNAはrep産物の存在下でヒト19番染色体に組み込まれ得る。
【0007】
臨床開発中のrAAV遺伝子治療の大部分は、脳及び眼を含むCNSに焦点を当てている。臨床試験においてベクターとして現在使用されているカプシド血清型は十数種ほどあり、最も多いのは眼疾患のためのAAV2ベースのプラットフォームである。
【0008】
特に、米国食品医薬品局(FDA)によって承認された初のrAAV遺伝子治療薬であるルクスターナは、RPE65遺伝子変異によって引き起こされる遺伝型の視力喪失を有する患者をAAV2を使用して処置する。しかしながら、より新しい修飾されたより効率的なカプシドがますます必要とされている。
【0009】
新しい特性及び特徴を得るために、新規のAAVカプシドの操作が絶えず追求されてきた。合理的な設計アプローチに対する主な制限は、AAV細胞表面結合、内在化、輸送、脱外被及び遺伝子発現に関する知識が不十分であることに関連している。
【0010】
いくつかの修飾AAVカプシドが開発されているが(例えば、国際公開第2012145601A2号パンフレット、国際公開第2016134375A1号パンフレット及び国際公開第2018022905A2号パンフレットを参照されたい)、疾患を処置するための産物をコードするポリヌクレオチドのin situ送達のための遺伝子療法など、眼疾患のための遺伝子療法を改善するための新規な修飾AAVカプシドを開発する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様では、本発明は、親AAVカプシドポリペプチドと比較して、ループIVに挿入されたペプチドを含む修飾AAVカプシドポリペプチドであって、挿入されたペプチドが、式I:
スペーサー1-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-スペーサー2 (I)
[式中、
X1は、G、L及びNから選択され、
X2は、K、A、G及びSから選択され、
X3は、G、E及びPから選択され、
X4は、P及びTから選択され、
X5は、T、S及びGから選択され、
X6は、T、R及びKから選択され、
X7は、K、P及びNから選択される]
に示されるアミノ酸配列を含む、修飾AAVカプシドポリペプチドを提供する。
【0012】
本発明はさらに、本発明の修飾AAVカプシドポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含むベクター、及び該ポリヌクレオチド、又は該ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0013】
第2の態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチド、ベクター、又は宿主細胞を含むrAAVをパッケージングするためのシステム又はキットを提供する。
【0014】
第3の態様では、本発明は、本発明の修飾AAVカプシドポリペプチドと遺伝子産物をコードするゲノムとを含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を提供する。
【0015】
第4の態様では、本発明は、本発明のrAAVを含む医薬組成物を提供する。
【0016】
本発明は、rAAV又は本発明の医薬組成物を、網膜疾患の処置を必要とする対象の眼に投与することを含む、網膜疾患を処置する方法を提供する。
【0017】
網膜疾患の処置に使用するための本発明のrAAV又は医薬組成物が提供される。
【0018】
本発明は、網膜疾患を処置するための医薬品の調製における本発明のrAAV又は医薬組成物の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】rAAVを調製するためのヘルパープラスミドを示す。
【
図1B】rAAVを調製するためのパッケージングプラスミドを示す。
【
図1C】rAAVを調製するための導入遺伝子プラスミドを示す。
【
図1D】rAAVを調製するための導入遺伝子プラスミドを示す。
【
図2】様々なMOIでGFPをコードするゲノムを含むrAAVで形質導入された網膜細胞の蛍光顕微鏡法を示す。
【
図3】二価Nb24及び様々なカプシドポリペプチドをコードするゲノムを含むrAAVで形質導入された網膜細胞におけるNb24の発現を示し、Y軸は濃度の「lg」値を示し、「0」点は「1」の濃度を表す。
【
図4】レーザー誘起脈絡膜新生血管(CNV)非ヒト霊長類(NHP)モデルにおける研究のワークフローを示す。
【
図5】Nb24の検出のためのELISAの機構を示す。
【
図7】末梢組織及び血清中のNb24レベルを示す。
【
図8】ビヒクルで処置したサルの左眼(OS)及び右眼(OR)の眼底写真(FP)及び眼底写真(FFA)画像を示す。
【
図9】Eylea(登録商標)で処置したサルの左眼(OS)及び右眼(OR)の眼底写真(FP)及び眼底写真(FFA)画像を示す。
【
図10】AAV.LAE-Nb24で処置したサルの左眼(OS)及び右眼(OR)の眼底写真(FP)及び眼底写真(FFA)画像を示す。
【
図11】AAV.RH10-Nb24で処置したサルの左眼(OS)及び右眼(OR)の眼底写真(FP)及び眼底写真(FFA)画像を示す。
【
図12】AAV.LGP-Nb24で処置したサルの左眼(OS)及び右眼(OR)の眼底写真(FP)及び眼底写真(FFA)画像を示す。
【
図13】AAV.7m8-Nb24で処置したサルの左眼(OS)及び右眼(OR)の眼底写真(FP)及び眼底写真(FFA)画像を示す。
【
図14】AAV.GKG-Nb24で処置したサルの左眼(OS)及び右眼(OR)の眼底写真(FP)及び眼底写真(FFA)画像を示す。
【
図15】AAV.NSP-Nb24で処置したサルの左眼(OS)及び右眼(OR)の眼底写真(FP)及び眼底写真(FFA)画像を示す。
【
図16】AAV9-Nb24で処置したサルの左眼(OS)及び右眼(OR)の眼底写真(FP)及び眼底写真(FFA)画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1.定義
別段の指示がない限り、本明細書で使用されるすべての用語は、当業者にとっての意味と同じ意味を有し、本発明の実施は、当業者の知識の範囲内である微生物学及び組換えDNA技術の従来の技術を用いる。
【0021】
「網膜細胞」という用語は、本明細書では、網膜に含まれる任意の細胞型、例えば網膜神経節細胞、アマクリン細胞、水平細胞、双極細胞、並びに桿体及び錐体を含む光受容体細胞、ミュラーグリア細胞、並びに網膜色素上皮を指すことができる。
【0022】
「AAV」は、アデノ随伴ウイルスの略語であり、ウイルス自体又はその誘導体を指すために使用され得る。この用語は、別途要求される場合を除いて、すべてのサブタイプ並びに天然に存在する形態及び組換え形態の両方を包含する。略語「rAAV」とは、組換えAAVベクター(又は「rAAVベクター」)とも呼ばれる組換えアデノ随伴ウイルスを指す。「AAV」という用語は、AAV 1型(AAV-1)、AAV 2型(AAV-2)、AAV 3型(AAV-3)、AAV 4型(AAV-4)、AAV 5型(AAV-5)、AAV 6型(AAV-6)、AAV 7型(AAV-7)、AAV 8型(AAV-8)、鳥類AAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV、及びヒツジAAVを含む。「霊長類AAV」は霊長類に感染するAAVを指し、「非霊長類AAV」は非霊長類哺乳動物に感染するAAVを指し、「ウシAAV」はウシ哺乳動物に感染するAAVを指すなどである。
【0023】
AAVの様々な血清型のゲノム配列、並びに天然末端反復配列(TR)、Repタンパク質、及びカプシドサブユニットの配列は、当該技術分野で公知である。そのような配列は、GenBankなどの公開データベースに見出すことができる。例えば、GenBankアクセッション番号NC_002077(AAV-1)、AF063497(AAV-1)、NC_001401(AAV-2)、AF043303(AAV-2)、NC_001729(AAV-3)、NC_001829(AAV-4)、U89790(AAV-4)、NC_006152(AAV-5)、AF513851(AAV-7)、AF513852(AAV-8)、及びNC_006261(AAV-8)を参照されたい;その開示は、AAV核酸及びアミノ酸配列を教示するために参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
本明細書で使用される「rAAVベクター」は、AAV起源ではないポリヌクレオチド配列(すなわち、AAVに対して異種のポリヌクレオチド)、典型的には細胞の遺伝子形質転換のための目的の配列を含むAAVベクターを指す。一般的に、異種ポリヌクレオチドは、少なくとも1つ、一般に2つのAAV逆方向末端反復配列(ITR)に隣接している。rAAVベクターという用語は、rAAVベクター粒子及びrAAVベクタープラスミド(導入遺伝子プラスミドとも呼ばれる)の両方を包含する。rAAVベクターは、一本鎖(ssAAV)又は自己相補的(scAAV)のいずれかであり得る。
【0025】
「AAVウイルス」又は「AAVウイルス粒子」又は「rAAVベクター粒子」は、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質(典型的には野生型AAVのすべてのカプシドタンパク質による)及びカプシド化ポリヌクレオチドrAAVベクターから構成されるウイルス粒子を指す。粒子が異種ポリヌクレオチド(すなわち、哺乳動物細胞に送達される導入遺伝子などの野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド)を含む場合、それは典型的には「rAAVベクター粒子」又は単に「rAAVベクター」と呼ばれる。したがって、rAAV粒子の産生は、そのようなベクターがrAAV粒子内に含まれることから、rAAVベクターの産生を必然的に含む。
【0026】
「パッケージング」は、AAV粒子の集合及びカプセル化をもたらす一連の細胞内事象を指す。
【0027】
AAV「rep」及び「cap」遺伝子は、アデノ随伴ウイルスの複製及びカプシド形成タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を指す。AAV rep及びcapは、本明細書ではAAV「パッケージング遺伝子」と呼ばれる。rep遺伝子及びcap遺伝子を含むプラスミド又は他の発現ベクターは、本明細書では「パッケージングプラスミド」又は「パッケージングベクター」と呼ばれる。
【0028】
cap遺伝子は、およそ1:1:10の比で60量体の正二十面体カプシドに自己集合する3つの構造タンパク質、VP1、VP2、及びVP3をコードする。これらの3つのタンパク質は、同じオープンリーディングフレームから転写され、C末端ドメインを共有するが、選択的開始コドン及び選択的スプライシングに起因して異なるN末端を有する(Esther J.Leeら、Adeno-Associated Virus(AAV)Vectors:Rational Design Strategies for Capsid Engineering,Curr Opin Biomed Eng.2018;7:58-63)。例えば、野生型AAV2カプシドは、配列番号1のVP1、配列番号1のアミノ酸138~735のVP2、及び配列番号1のアミノ酸203~735のVP3を含み得る。
【0029】
AAVの「ヘルパーウイルス」とは、AAV(例えば野生型AAV)が哺乳動物細胞によって複製及びパッケージングされることを可能にするウイルスを指す。アデノウイルス、ヘルペスウイルス及びポックスウイルス、例えばワクシニアを含む、AAVのための多種のそのようなヘルパーウイルスが当該技術分野で公知である。アデノウイルスは、いくつかの異なるサブグループを包含するが、サブグループCのアデノウイルス5型が最も一般的に使用される。ヒト、非ヒト哺乳動物及び鳥類起源の多数のアデノウイルスが公知であり、ATCCなどの寄託機関から入手可能である。ヘルペスウイルス科のウイルスには、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)及びエプスタイン・バー・ウイルス(EBV)、並びにサイトメガロウイルス(CMV)及び仮性狂犬病ウイルス(PRV)が含まれ、これらはATCCなどの寄託機関からも入手可能である。
【0030】
「ヘルパーウイルス機能」とは、(本明細書に記載される複製及びパッケージングのための他の要件と併せて)AAVの複製及びパッケージングを可能にするヘルパーウイルスゲノムにコードされる機能を指す。本明細書に記載されるように、「ヘルパーウイルス機能」は、ヘルパーウイルスを提供すること、又は例えば、必要な機能をコードするポリヌクレオチド配列をトランスで産生細胞に提供することを含む、いくつかの方法で提供され得る。例えば、本明細書で「ヘルパープラスミド」と呼ばれるプラスミド、又は1つ以上のアデノウイルスタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む他の発現ベクターが、rAAVベクターと共にプロデューサー細胞にトランスフェクトされる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド構築物」という用語は、天然に存在する遺伝子から単離されるか、又は天然に存在しない核酸セグメントを含有するように修飾された一本鎖又は二本鎖ポリヌクレオチドを指す。ポリヌクレオチド構築物が本発明のコード配列を発現するのに必要な制御配列を含む場合、ポリヌクレオチド構築物は「発現カセット」を含む。
【0032】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、一般に、核酸分子(例えば、100塩基長及び最大30キロベースの長さ)並びにメッセンジャーRNA(mRNA)又はmiRNAの断片若しくは分子の配列と相補的(アンチセンス)又は同一(センス)である配列を指す。この用語はまた、転写又は非転写のいずれかであるDNA又はRNA分子を指すことができる。
【0033】
「外因性ポリヌクレオチド」という用語は、それが配置されている宿主に由来しないヌクレオチド配列を指す。それは、宿主のDNAと同一であっても異種であってもよい。一例は、ベクターに挿入された目的の配列である。そのような外因性DNA配列は、DNA、cDNA、合成DNA、及びRNAを含む多種の供給源に由来し得る。外因性ポリヌクレオチドはまた、アンチセンスオリゴヌクレオチドをコードするDNA配列を包含する。
【0034】
「異種」とは、比較されている実体の残りのものとは遺伝子型的に異なる実体に由来することを意味する。例えば、遺伝子工学技術によって異なる種に由来するプラスミド又はベクターに導入されたポリヌクレオチドは、異種ポリヌクレオチドである。その天然のコード配列から除去され、天然には連結されていないコード配列に作動可能に連結されたプロモーターは、異種プロモーターである。したがって、例えば、異種遺伝子産物をコードする異種核酸を含むrAAVは、天然に存在する野生型AAVに通常含まれない核酸を含むrAAVであり、コードされた異種遺伝子産物は、天然に存在する野生型AAVによって通常コードされない遺伝子産物である。
【0035】
ポリヌクレオチド又はポリペプチドは、別のポリヌクレオチド又はポリペプチドと特定のパーセント「配列同一性」を有し、これは、アラインメントされたとき、2つの配列を比較したときに塩基又はアミノ酸のそのパーセンテージが同じであることを意味する。配列類似性は、いくつかの異なる方法で決定することができる。配列同一性を決定するために、ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/でワールドワイドウェブ上で利用可能なBLASTを含む方法及びコンピュータプログラムを使用して配列をアラインメントさせることができる。別のアラインメントアルゴリズムは、Oxford Molecular Group,Inc.の完全子会社である米国ウィスコンシン州マディソンにあるGenetics Computing Group(GCG)パッケージで入手可能なFASTAである。
【0036】
本明細書で使用される場合、「発現カセット」という用語は、ポリヌクレオチドの発現のために提供される追加のヌクレオチド、例えば制御配列に作動可能に連結されたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドセグメントを指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、「発現」という用語は、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾、及び分泌を含むがこれらに限定されない、ポリペプチドの産生に関与する任意のステップを含む。
【0038】
「制御配列」は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現に必要又は有益なすべての要素を含む。各制御配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に対して天然であっても外来であってもよく、又は互いに天然であっても外来であってもよい。そのような制御配列には、リーダー配列、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、エンハンサー、シグナルペプチド配列、及び転写ターミネーターが含まれるが、これらに限定されない。少なくとも、制御配列は、プロモーター並びに転写及び翻訳の終結のためのシグナルを含む。
【0039】
例えば、制御配列は、適切なプロモーター配列、すなわち、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現するために宿主細胞によって認識されるヌクレオチド配列であり得る。プロモーター配列は、ポリペプチドの発現を媒介する転写制御配列を含む。プロモーターは、選択された宿主細胞において転写活性を示す任意のヌクレオチド配列、例えば大腸菌(E.coli)のlacオペロンであり得る。プロモーターには、変異型プロモーター、切断型プロモーター及びハイブリッドプロモーターも含まれ、宿主細胞と相同又は異種の細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得ることができる。
【0040】
本明細書で使用される場合、本明細書で「作動可能に連結された」という用語は、制御配列がポリヌクレオチド配列のコード配列に対して適切な位置に配置され、それによって制御配列がポリペプチドコード配列の発現を指示する構成を指す。
【0041】
「遺伝子」とは、ポリヌクレオチド又はポリペプチドをコードする少なくとも1つのオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドを指す。
【0042】
「遺伝子産物」は、特定の遺伝子の発現から生じる分子である。遺伝子産物には、例えば、ポリペプチド、アプタマー、干渉RNA、mRNAなどが含まれる。
【0043】
「低分子干渉RNA」又は「小分子干渉RNA」又はsiRNAは、目的の遺伝子(「標的遺伝子」)を標的とするヌクレオチドのRNA二重鎖である。「RNA二重鎖」は、RNA分子の2つの領域間の相補的対合によって形成される構造を指す。siRNAは、siRNAの二重鎖部分のヌクレオチド配列が標的遺伝子のヌクレオチド配列に相補的であるという点で、遺伝子を「標的とする」。いくつかの実施形態では、siRNAの二重鎖の長さは30ヌクレオチド未満である。いくつかの実施形態では、二重鎖は、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11又は10ヌクレオチド長であり得る。いくつかの実施形態では、二重鎖の長さは19~25ヌクレオチド長である。siRNAのRNA二重鎖部分はヘアピン構造の一部であり得る。二重鎖部分に加えて、ヘアピン構造は、二重鎖を形成する2つの配列の間に位置決めされたループ部分を含み得る。ループの長さは様々であり得る。いくつかの実施形態では、ループは5、6、7、8、9、10、11、12又は13ヌクレオチド長である。ヘアピン構造はまた、3’又は5’オーバーハング部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、オーバーハングは、0、1、2、3、4又は5ヌクレオチド長の3’又は5’オーバーハングである。
【0044】
「ショートヘアピンRNA」、又はshRNAは、siRNAなどの干渉RNAを発現させることができるポリヌクレオチド構築物である。
【0045】
本明細書で使用される「組換え」という用語は、DNA組換え(クローニング)方法を使用して生成された核酸、ベクター、ポリペプチド、又はタンパク質を指し、天然又は野生型の核酸、ベクター、ポリペプチド、又はタンパク質と区別可能である。「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書では互換的に使用され、アミノ酸のポリマーを指し、全長タンパク質及びその断片を含む。
【0046】
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」という用語は、例えば、微生物、酵母細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞を指し、それらはrAAVベクターのレシピエントとして使用され得るか、又は使用されていた。この用語は、形質導入された元の細胞の子孫を含む。したがって、本明細書で使用される「宿主細胞」は、一般に、外因性DNA配列で形質導入された細胞を指す。単一の親細胞の子孫は、天然の、偶発的な、又は意図的な変異のために、元の親と形態又はゲノム若しくは全DNA相補体が必ずしも完全に同一ではない場合があることが理解される。
【0047】
本明細書で使用される「薬学的に許容され得る」という用語は、生理学的に忍容性であり、典型的には、ヒトに投与した場合に毒性又はアレルギー若しくは同様の有害反応、例えば胃の不調、めまいなどを引き起こさない分子実体及び組成物を指す。
【0048】
本明細書で使用される「対象」という用語は、ヒト、ヒト以外の霊長類、例えばチンパンジー並びに他の類人猿及びサル種;農用動物、例えばウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ及びウマ;家畜哺乳類、例えばイヌ及びネコ;マウス、ラット及びモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物を含むが、これらに限定されない。この用語は、特定の年齢又は性別を示すものではない。したがって、成人及び新生児の対象、並びに胎児は、男性であろうと女性であろうと、網羅されることが意図されている。
【0049】
「遺伝子改変」及び「遺伝子修飾」(及びその文法上の変形)という用語は、有糸分裂又は減数分裂
以外によって遺伝的要素(例えば、ポリヌクレオチド)が細胞に導入されるプロセスを指すために本明細書において互換的に使用される。要素は、細胞に対して異種であってもよく、又は細胞内に既に存在する要素の追加のコピー若しくは改良されたバージョンであってもよい。遺伝子改変は、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、又はポリヌクレオチド-リポソーム複合体との接触などの当該技術分野で公知の任意のプロセスを介して組換えプラスミド又は他のポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトすることによって行われ得る。遺伝子改変はまた、例えば、DNA若しくはRNAウイルス又はウイルスベクターによる形質導入又は感染によって達成され得る。一般に、遺伝要素は、細胞内の染色体又はミニ染色体に導入されるが、細胞及びその子孫の表現型及び/又は遺伝子型を変化させる任意の改変がこの用語に含まれる。
【0050】
細胞は、インビトロでの細胞の長期培養中にその機能を果たすために配列が利用可能である場合、遺伝子配列によって「安定に」改変、形質導入、遺伝子修飾、又は形質転換されていると言われる。一般に、そのような細胞は、改変された細胞の子孫にも継承可能な遺伝子修飾が導入されるという点で「遺伝的に」改変されている(遺伝子修飾されている)。
【0051】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、本明細書では互換的に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。この用語はまた、修飾されたアミノ酸ポリマーを包含する;例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質化、リン酸化、又は標識成分とのコンジュゲーション。ポリペプチド、例えば、抗血管新生ポリペプチド、神経保護ポリペプチドなどは、遺伝子産物を哺乳動物対象に送達することに関連して議論される場合、及びその組成物は、それぞれのインタクトなポリペプチド、又はその任意の断片若しくは遺伝子操作された誘導体を指し、これはインタクトなタンパク質の所望の生化学的機能を保持する。同様に、抗血管新生ポリペプチドをコードする核酸、神経保護ポリペプチドをコードする核酸、及び哺乳動物対象への遺伝子産物の送達に使用するための他のそのような核酸(レシピエント細胞に送達される「導入遺伝子」と呼ばれ得る)への言及には、所望の生化学的機能を有するインタクトなポリペプチド又は任意の断片若しくは遺伝子操作された誘導体をコードするポリヌクレオチドが含まれる。
【0052】
「単離された」プラスミド、核酸、ベクター、ウイルス、ビリオン、宿主細胞又は他の物質は、物質又は類似の物質が天然に存在するか又は最初に調製される場合にも存在し得る他の成分の少なくともいくつかを欠く物質の調製物を指す。したがって、例えば、単離された物質は、それを供給源混合物から濃縮するために精製技術を使用することによって調製され得る。濃縮は、溶液の体積当たりの重量などの絶対的な基準で測定することができ、又は供給源混合物中に存在する第2の潜在的な干渉物質に関して測定することができる。本開示の実施形態の濃縮度の増加は、ますます単離されている。単離されたプラスミド、核酸、ベクター、ウイルス、宿主細胞又は他の物質は、いくつかの実施形態では、精製されており、例えば、約80%~約90%純粋、少なくとも約90%純粋、少なくとも約95%純粋、少なくとも約98%純粋、又は少なくとも約99%以上純粋である。
【0053】
本明細書で使用される場合、「処置(treatment)」、「処置する(treating)」などの用語は、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることを指す。効果は、疾患又はその症候を完全に又は部分的に予防するという点で予防的であり得、且つ/又は疾患及び/又は疾患に起因する有害作用の部分的若しくは完全な治癒という点で治療的であり得る。本明細書で使用される「処置」は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患の任意の処置を包含し、以下を含む:(a)疾患に罹患しやすい可能性があるか、又は疾患を獲得するリスクがあるが、疾患を有するとまだ診断されていない対象において疾患が発生するのを予防すること;(b)疾患を阻害すること、すなわち、その発症を停止させること;(c)疾患を軽減すること、すなわち、疾患の退縮を引き起こすこと。
【0054】
本明細書で使用される場合、「ED50」という用語は、薬剤の有効用量の中央値、すなわち最大応答の50%をもたらすことができる用量を意味する。組換えウイルス(例えばrAAV)を用いて細胞内に発現される導入遺伝子を送達するために、ED50は、導入遺伝子の最大発現の50%が達成されるMOIとして発現され得る。
【0055】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の、文脈上明確に指示されない限り、下限の単位の10分の1までの各介在値、及びその記載された範囲内の任意の他の記載値又は介在値は、本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立してより小さい範囲に含まれてもよく、記載された範囲内の任意の具体的に除外された限界を条件として、本発明に包含される。記載された範囲が限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界の一方又は両方を除外した範囲も本発明に含まれる。
【0056】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「修飾AAVカプシド」への言及は、複数のそのようなカプシドを含む。特許請求の範囲は、任意の要素を除外するように起草され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙、又は「否定的な」限定の使用に関連して、「もっぱら」、「のみ」などの排他的な用語を使用するための先行詞としての役割を果たすことを意図している。
【0057】
2.修飾AAVカプシドポリペプチド及びコードポリヌクレオチド
本発明は、親AAVカプシドポリペプチドと比較して、ループIVに挿入されたペプチドを含む修飾AAVカプシドポリペプチドであって、挿入されたペプチドが、式I:
スペーサー1-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-スペーサー2 (I)
[式中、
X1は、G、L及びNから選択され、
X2は、K、A、G及びSから選択され、
X3は、G、E及びPから選択され、
X4は、P及びTから選択され、
X5は、T、S及びGから選択され、
X6は、T、R及びKから選択され、
X7は、K、P及びNから選択される]
に示されるアミノ酸配列を含む、修飾AAVカプシドポリペプチドを提供する。
【0058】
いくつかの実施形態では、スペーサー1及びスペーサー2は、1個以上のアミノ酸を独立して、含む。いくつかの実施形態では、スペーサー1及びスペーサー2は、1~10個のアミノ酸を独立して、含む。いくつかの実施形態では、スペーサー1及びスペーサー2は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸を独立して、含む。いくつかの実施形態では、スペーサー1及びスペーサー2は、1~3個のアミノ酸を独立して含む。いくつかの実施形態では、スペーサー1及びスペーサー2は、1~3個のアミノ酸から独立してなる。
【0059】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、式I:
スペーサー1-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-スペーサー2 (I)
[式中、
X1は、G、L及びNから選択され、
X2は、K、A、G及びSから選択され、
X3は、G、E及びPから選択され、
X4は、P及びTから選択され、
X5は、T、S及びGから選択され、
X6は、T、R及びKから選択され、
X7は、K、P及びNから選択され、
スペーサー1及びスペーサー2は、A、L及びGから選択される1個以上のアミノ酸を独立して含む]
に示されるアミノ酸配列を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、式I:
スペーサー1-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-スペーサー2 (I)
[式中、
X1は、G、L及びNから選択され、
X2は、K、A、G及びSから選択され、
X3は、G、E及びPから選択され、
X4は、P及びTから選択され、
X5は、T、S及びGから選択され、
X6は、T、R及びKから選択され、
X7は、K、P及びNから選択され、
スペーサー1及びスペーサー2は、A、L及びGから選択される1~10個のアミノ酸を独立して含む]
に示されるアミノ酸配列を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、式I:
スペーサー1-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-スペーサー2 (I)
[式中、
X1は、G、L及びNから選択され、
X2は、K、A、G及びSから選択され、
X3は、G、E及びPから選択され、
X4は、P及びTから選択され、
X5は、T、S及びGから選択され、
X6は、T、R及びKから選択され、
X7は、K、P及びNから選択され、
スペーサー1及びスペーサー2は、A、L及びGから選択される1~3個のアミノ酸を独立して含む]
に示されるアミノ酸配列を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7は、配列番号6(GKGPTTK)、配列番号7(LAEPSRP)、配列番号8(LGPPSKP)及び配列番号9(NSPTGRN)から選択されるアミノ酸配列である。
【0063】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、式II:
Y1-Y2-Y3-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-Y4-Y5 (II)
[式中、スペーサー1は、アミノ酸Y1、Y2及びY3からなり、スペーサー2は、アミノ酸Y4及びY5からなり、X1は、G、L及びNから選択され、X2は、K、A、G及びSから選択され、X3は、G、E及びPから選択され、X4は、P及びTから選択され、X5は、T、S及びGから選択され、X6は、T、R及びKから選択され、X7は、K、P及びNから選択される]に示されるアミノ酸配列を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号6(GKGPTTK)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1~Y5の各々は、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号7(LAEPSRP)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1~Y5の各々は、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号8(LGPPSKP)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1~Y5の各々は、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号9(NSPTGRN)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1~Y5の各々は、A、L及びGから独立して選択される。
【0065】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号6(GKGPTTK)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1はAであり、Y2は、A又はLであり、Y3は、A又はGであり、Y4はAであり、Y5はAである。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号7(LAEPSRP)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1はAであり、Y2は、A又はLであり、Y3は、A又はGであり、Y4はAであり、Y5はAである。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号8(LGPPSKP)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1はAであり、Y2はAであり、Y3は、A又はGであり、Y4はAであり、Y5はAである。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号9(NSPTGRN)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1はAであり、Y2は、A又はLであり、Y3は、A又はGであり、Y4はAであり、Y5はAである。
【0066】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、配列番号10、11、12及び13から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、式II:
Y1-Y2-Y3-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-Y4-Y5 (II)
[式中、スペーサー1は、アミノ酸Y1、Y2及びY3からなり、スペーサー2は、アミノ酸Y4及びY5からなり、X1は、G、L及びNから選択され、X2は、K、A、G及びSから選択され、X3は、G、E及びPから選択され、X4は、P及びTから選択され、X5は、T、S及びGから選択され、X6は、T、R及びKから選択され、X7は、K、P及びNから選択される]に示されるアミノ酸配列を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号6(GKGPTTK)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1~Y5の各々は、存在する場合、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号7(LAEPSRP)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1~Y5の各々は、存在する場合、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号8(LGPPSKP)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1~Y5の各々は、存在する場合、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号9(NSPTGRN)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1~Y5の各々は、存在する場合、A、L及びGから独立して選択される。
【0069】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号6(GKGPTTK)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1~Y5の各々は、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号7(LAEPSRP)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1~Y5の各々は、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号8(LGPPSKP)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1~Y5の各々は、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号9(NSPTGRN)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1~Y5の各々は、A、L及びGから独立して選択される。
【0070】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号6(GKGPTTK)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1はAであり、Y2は、A又はLであり、Y3は、A又はGであり、Y4はAであり、Y5はAである。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号7(LAEPSRP)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1はAであり、Y2は、A又はLであり、Y3は、A又はGであり、Y4はAであり、Y5はAである。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号8(LGPPSKP)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1はAであり、Y2は、A又はLであり、Y3は、A又はGであり、Y4はAであり、Y5はAである。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号9(NSPTGRN)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1はAであり、Y2は、A又はLであり、Y3は、A又はGであり、Y4はAであり、Y5はAである。
【0071】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、配列番号10、11、12及び13から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0072】
いくつかの実施形態では、親AAVカプシドポリペプチドは、AAV2カプシドポリペプチドVP1、VP2又はVP3である。いくつかの実施形態では、親AAVカプシドポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸138~735、又は配列番号1のアミノ酸203~735又はそのバリアントを含むAAV2カプシドポリペプチドである。いくつかの実施形態では、バリアントは、全長、アミノ酸138~735、又はアミノ酸203~735にわたって配列番号1と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%又は99.8%同一である。いくつかの実施形態では、バリアントは、配列番号1と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上のアミノ酸の挿入、欠失、置換及び/又は付加を含む。好ましくは、アミノ酸の挿入は、本発明の挿入されたペプチドとは異なる部位で行われ、より好ましくはループIVでは行われない。好ましくは、アミノ酸の置換は、保存された置換である。いくつかの実施形態では、親AAVカプシドポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸138~735、又は配列番号1のアミノ酸203~735からなる。
【0073】
AAV2カプシドポリペプチドの場合、ループIVは配列番号1の570位~611位に対応する。したがって、換言すれば、修飾AAVカプシドポリペプチドは、親AAVカプシドポリペプチドと比較して、配列番号1の570位~611位に対応する領域に挿入された上記で定義されたペプチドを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、配列番号1の587位及び588位に対応する親カプシドポリペプチドの位置の間に挿入される。
【0074】
いくつかの実施形態では、本発明の修飾AAVカプシドポリペプチドは、配列番号2、3、4及び5から選択されるアミノ酸配列、配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸138~747、又は配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸203~747を含む。いくつかの実施形態では、本発明の修飾AAVカプシドポリペプチドは、配列番号2、3、4及び5から選択されるアミノ酸配列、配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸138~747、又は配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸203~747からなる。いくつかの実施形態では、修飾AAVカプシドポリペプチドは、配列番号2、3、4又は5のバリアントを含むか又はこれからなる。いくつかの実施形態では、バリアントは、全長にわたって配列番号2、3、4若しくは5、配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸138~747、又は配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸203~747と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%若しくは99.8%同一である。いくつかの実施形態では、バリアントは、配列番号2、3、4若しくは5と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上のアミノ酸の挿入、欠失、置換及び/又は付加を含む。好ましくは、アミノ酸の挿入は、本発明の挿入されたペプチドとは異なる部位(配列番号10、11、12及び13)で行われ、より好ましくはループIVで行われない。好ましくは、アミノ酸の置換は、保存された置換である。
【0075】
いくつかの実施形態では、修飾AAVカプシドポリペプチドは、配列番号14、15、16及び17から選択されるヌクレオチド配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、修飾AAVカプシドポリペプチドは、配列番号14、15、16又は17のバリアントによってコードされる。いくつかの実施形態では、バリアントは、配列番号14、15、16若しくは17と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%又は99.8%同一である。いくつかの実施形態では、バリアントは、配列番号14、15、16若しくは17と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個以上のヌクレオチドの置換及び/又は付加を含む。いくつかの実施形態では、バリアントは、配列番号14、15、16若しくは17と比較して、3n(nは整数であり、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上である)ヌクレオチドの挿入及び/又は欠失を含む。好ましくは、ヌクレオチドの挿入は、本発明の挿入されたペプチドをコードするヌクレオチド配列(配列番号10、11、12及び13)とは異なる部位で行われ、より好ましくはループIVをコードするヌクレオチド配列では行われない。好ましくは、バリアントは縮重バリアントであるか、又はヌクレオチドの置換はアミノ酸の保存された置換をもたらす。
【0076】
本発明はさらに、本発明の修飾AAVカプシドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0077】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号14、15、16及び17から選択されるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号14、15、16及び17から選択されるヌクレオチド配列からなる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号14、15、16若しくは17と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%又は99.8%同一のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号14、15、16若しくは17と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%又は99.8%同一のヌクレオチド配列からなる。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号14、15、16若しくは17と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個以上のヌクレオチドの置換及び/又は付加を含む。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号14、15、16若しくは17と比較して、3n(nは整数であり、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上である)ヌクレオチドの挿入及び/又は欠失を含む。好ましくは、ヌクレオチドの挿入は、本発明の挿入されたペプチドをコードするヌクレオチド配列(配列番号10、11、12及び13)とは異なる部位で行われ、より好ましくはループIVをコードするヌクレオチド配列では行われない。好ましくは、ポリヌクレオチドは配列番号14、15、16若しくは17の縮重バリアントを含むか、又はヌクレオチドの置換はアミノ酸の保存された置換をもたらす。好ましくは、ポリヌクレオチドは、配列番号14、15、16若しくは17の縮重バリアントからなり、又はヌクレオチドの置換はアミノ酸の保存された置換をもたらす。
【0078】
本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、及び本発明のポリヌクレオチド又はベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0079】
本発明の修飾AAVカプシドポリペプチドは、親AAVカプシドポリペプチドと比較して、眼、特に網膜細胞へのAAVの改善された形質導入を可能にする。
【0080】
3.rAAVのパッケージング
rAAVを、i)所望の遺伝子産物をコードするrAAVのゲノムを含む導入遺伝子プラスミド、ii)REP及び/又はCAPタンパク質をコードするパッケージングプラスミド、並びにiii)ヘルパープラスミド(例えば、CrossonSMら、Helper-free Production of Laboratory Grade AAV and Purification by Iodixanol Density Gradient CentrifugationMol Ther Methods Clin Dev.2018;10:1-7を参照されたい)を含む3つのプラスミドを含む系でパッケージングすることが当該技術分野で公知である。rAAVの産生方法は、例えば、米国特許出願公開第2005/0053922号明細書及び米国特許出願公開第2009/0202490号明細書にも記載されている。
【0081】
本発明は、本発明のポリヌクレオチド又はベクターを宿主細胞に導入することを含む、本発明のrAAVをパッケージングするための方法を提供する。
【0082】
いくつかの実施形態では、ベクターは、本発明のポリヌクレオチドがプロモーターに作動可能に連結されている発現ベクターである。いくつかの実施形態では、本発明のベクターはさらに、プロモーターに作動可能に連結されたrep遺伝子を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、宿主細胞はさらに、ヘルパープラスミド、及び/又はrAAVベクターを含む。本発明のrAAVを生成するために本発明の宿主細胞が使用される場合、それを「パッケージング細胞」と呼ぶ。
【0084】
本発明のポリヌクレオチド又はベクターは、限定されないが、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、リポソーム媒介性トランスフェクションなどを含む定義された技術を使用して、安定に又は一過性に宿主細胞に導入することができる。安定な形質転換のために、対象核酸は、典型的には、ネオマイシン耐性遺伝子などの選択マーカーに作動可能に連結される。
【0085】
宿主細胞は、例えば、マウス細胞及び霊長類細胞(例えば、ヒト細胞)を含む哺乳動物細胞などの多種の細胞である。適切な哺乳動物細胞には、初代細胞及び細胞株が含まれるが、これらに限定されず、適切な細胞株には、293細胞、COS細胞、HeLa細胞、Vero細胞、3T3マウス線維芽細胞、C3H10T1/2線維芽細胞、CHO細胞などが含まれるが、これらに限定されない。適切な宿主細胞の非限定的な例には、例えば、HeLa細胞(例えば、American Type Culture Collection(ATCC)No.CCL-2)、CHO細胞(例えば、ATCC番号CRL9618、CCL61、CRL9096)、293細胞(例えば、ATCC番号CRL-1573)、Vero細胞、NIH3T3細胞(例えば、ATCC番号CRL-1658)、Huh-7細胞、BHK細胞(例えば、ATCC番号CCL10)、PC12細胞(ATCC番号CRL1721)COS細胞、COS-7細胞(ATCC番号CRL1651)、RAT1細胞、マウスL細胞(ATCC番号CCLI.3)、ヒト胎児腎(HEK)細胞(ATCC番号CRL1573)、HLHepG2細胞などが含まれる。AAVを産生する細菌細胞、例えばSf9細胞もまた、本発明の宿主細胞を調製するために使用することができる(例えば、米国特許第7,271,002号明細書;米国特許出願第12/297,958号明細書を参照されたい)。
【0086】
本発明は、本発明のポリヌクレオチド、ベクター、又は宿主細胞を含むrAAVをパッケージングするためのシステム又はキットを提供する。いくつかの実施形態では、システム又はキットはさらに、ヘルパープラスミド及び/又はrAAVベクターを含む。
【0087】
4.組換えAAV
本発明は、修飾AAVカプシドポリペプチドと遺伝子産物をコードするゲノムとを含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、修飾AAVカプシドポリペプチドは、親AAVカプシドポリペプチドと比較して、ループIVに挿入されたペプチドを含み、挿入されたペプチドは、式I:
スペーサー1-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-スペーサー2 (I)
[式中、
X1は、G、L及びNから選択され、
X2は、K、A、G及びSから選択され、
X3は、G、E及びPから選択され、
X4は、P及びTから選択され、
X5は、T、S及びGから選択され、
X6は、T、R及びKから選択され、
X7は、K、P及びNから選択される]
に示されるアミノ酸配列を含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を提供する。
【0088】
いくつかの実施形態では、スペーサー1及びスペーサー2は、1個以上のアミノ酸を独立して、含む。いくつかの実施形態では、スペーサー1及びスペーサー2は、1~10個のアミノ酸を独立して、含む。いくつかの実施形態では、スペーサー1及びスペーサー2は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸を独立して、含む。いくつかの実施形態では、スペーサー1及びスペーサー2は、1~3個のアミノ酸を独立して含む。いくつかの実施形態では、スペーサー1及びスペーサー2は、1~3個のアミノ酸から独立してなる。
【0089】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、式I:
スペーサー1-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-スペーサー2 (I)
[式中、
X1は、G、L及びNから選択され、
X2は、K、A、G及びSから選択され、
X3は、G、E及びPから選択され、
X4は、P及びTから選択され、
X5は、T、S及びGから選択され、
X6は、T、R及びKから選択され、
X7は、K、P及びNから選択され、
スペーサー1及びスペーサー2は、A、L及びGから選択される1個以上のアミノ酸を独立して含む]
に示されるアミノ酸配列を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、式I:
スペーサー1-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-スペーサー2 (I)
[式中、
X1は、G、L及びNから選択され、
X2は、K、A、G及びSから選択され、
X3は、G、E及びPから選択され、
X4は、P及びTから選択され、
X5は、T、S及びGから選択され、
X6は、T、R及びKから選択され、
X7は、K、P及びNから選択され、
スペーサー1及びスペーサー2は、A、L及びGから選択される1~10個のアミノ酸を独立して含む]
に示されるアミノ酸配列を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、式I:
スペーサー1-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-スペーサー2 (I)
[式中、
X1は、G、L及びNから選択され、
X2は、K、A、G及びSから選択され、
X3は、G、E及びPから選択され、
X4は、P及びTから選択され、
X5は、T、S及びGから選択され、
X6は、T、R及びKから選択され、
X7は、K、P及びNから選択され、
スペーサー1及びスペーサー2は、A、L及びGから選択される1~3個のアミノ酸を独立して含む]
に示されるアミノ酸配列を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7は、配列番号6(GKGPTTK)、配列番号7(LAEPSRP)、配列番号8(LGPPSKP)及び配列番号9(NSPTGRN)から選択されるアミノ酸配列である。
【0093】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、式II:
Y1-Y2-Y3-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-Y4-Y5 (II)
[式中、スペーサー1は、アミノ酸Y1、Y2及びY3からなり、スペーサー2は、アミノ酸Y4及びY5からなり、X1は、G、L及びNから選択され、X2は、K、A、G及びSから選択され、X3は、G、E及びPから選択され、X4は、P及びTから選択され、X5は、T、S及びGから選択され、X6は、T、R及びKから選択され、X7は、K、P及びNから選択される]に示されるアミノ酸配列を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号6(GKGPTTK)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1~Y5の各々は、存在する場合、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号7(LAEPSRP)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1~Y5の各々は、存在する場合、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号8(LGPPSKP)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1~Y5の各々は、存在する場合、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号9(NSPTGRN)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1~Y5の各々は、存在する場合、A、L及びGから独立して選択される。
【0095】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号6(GKGPTTK)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1~Y5の各々は、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号7(LAEPSRP)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1~Y5の各々は、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号8(LGPPSKP)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1~Y5の各々は、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号9(NSPTGRN)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1~Y5の各々は、A、L及びGから独立して選択される。
【0096】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号6(GKGPTTK)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1はAであり、Y2は、A又はLであり、Y3は、A又はGであり、Y4はAであり、Y5はAである。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号7(LAEPSRP)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1はAであり、Y2は、A又はLであり、Y3は、A又はGであり、Y4はAであり、Y5はAである。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号8(LGPPSKP)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1はAであり、Y2は、A又はLであり、Y3は、A又はGであり、Y4はAであり、Y5はAである。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号9(NSPTGRN)-Y4-Y5のアミノ酸配列を含み、ここで、Y1はAであり、Y2は、A又はLであり、Y3は、A又はGであり、Y4はAであり、Y5はAである。
【0097】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、配列番号10(AAAGKGPTTKAA)、配列番号11(AAALAEPSRPAA)、配列番号12(ALALGPPSKPAA)及び配列番号13(AAGNSPTGRNAA)から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、式II:
Y1-Y2-Y3-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-Y4-Y5 (II)
[式中、スペーサー1は、アミノ酸Y1、Y2及びY3からなり、スペーサー2は、アミノ酸Y4及びY5からなり、X1は、G、L及びNから選択され、X2は、K、A、G及びSから選択され、X3は、G、E及びPから選択され、X4は、P及びTから選択され、X5は、T、S及びGから選択され、X6は、T、R及びKから選択され、X7は、K、P及びNから選択される]に示されるアミノ酸配列を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号6(GKGPTTK)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1~Y5の各々は、存在する場合、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号7(LAEPSRP)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1~Y5の各々は、存在する場合、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号8(LGPPSKP)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1~Y5の各々は、存在する場合、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号9(NSPTGRN)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1~Y5の各々は、存在する場合、A、L及びGから独立して選択される。
【0100】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号6(GKGPTTK)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1~Y5の各々は、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号7(LAEPSRP)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1~Y5の各々は、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号8(LGPPSKP)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1~Y5の各々は、A、L及びGから独立して選択される。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号9(NSPTGRN)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1~Y5の各々は、A、L及びGから独立して選択される。
【0101】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号6(GKGPTTK)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1はAであり、Y2は、A又はLであり、Y3は、A又はGであり、Y4はAであり、Y5はAである。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号7(LAEPSRP)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1はAであり、Y2は、A又はLであり、Y3は、A又はGであり、Y4はAであり、Y5はAである。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号8(LGPPSKP)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1はAであり、Y2は、A又はLであり、Y3は、A又はGであり、Y4はAであり、Y5はAである。いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、Y1-Y2-Y3-配列番号9(NSPTGRN)-Y4-Y5のアミノ酸配列からなり、ここで、Y1はAであり、Y2は、A又はLであり、Y3は、A又はGであり、Y4はAであり、Y5はAである。
【0102】
いくつかの実施形態では、挿入されたペプチドは、配列番号10(AAAGKGPTTKAA)、配列番号11(AAALAEPSRPAA)、配列番号12(ALALGPPSKPAA)及び配列番号13(AAGNSPTGRNAA)から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0103】
いくつかの実施形態では、親AAVカプシドポリペプチドは、AAV2カプシドポリペプチドVP1、VP2又はVP3である。いくつかの実施形態では、親AAVカプシドポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸138~735、又は配列番号1のアミノ酸203~735又はそのバリアントを含むAAV2カプシドポリペプチドである。いくつかの実施形態では、バリアントは、全長、アミノ酸138~735、又はアミノ酸203~735にわたって配列番号1と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%又は99.8%同一である。いくつかの実施形態では、バリアントは、配列番号1と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上のアミノ酸の挿入、欠失、置換及び/又は付加を含む。好ましくは、アミノ酸の挿入は、本発明の挿入されたペプチドとは異なる部位で行われ、より好ましくはループIVでは行われない。好ましくは、アミノ酸の置換は、保存された置換である。いくつかの実施形態では、親AAVカプシドポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸138~735、又は配列番号1のアミノ酸203~735からなる。
【0104】
いくつかの実施形態では、修飾AAVカプシドポリペプチドは、親AAVカプシドポリペプチドと比較して、配列番号1の570位~611位に対応する領域に挿入された上記で定義されたペプチドを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、配列番号1の587位及び588位に対応する親カプシドポリペプチドの位置の間に挿入される。
【0105】
いくつかの実施形態では、本発明の修飾AAVカプシドポリペプチドは、配列番号2、3、4及び5から選択されるアミノ酸配列、配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸138~747、又は配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸203~747を含む。いくつかの実施形態では、本発明の修飾AAVカプシドポリペプチドは、配列番号2、3、4及び5から選択されるアミノ酸配列、配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸138~747、又は配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸203~747からなる。いくつかの実施形態では、修飾AAVカプシドポリペプチドは、配列番号2、3、4又は5のバリアントを含むか又はこれからなる。いくつかの実施形態では、バリアントは、全長にわたって配列番号2、3、4若しくは5、配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸138~747、又は配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸203~747と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%若しくは99.8%同一である。いくつかの実施形態では、バリアントは、配列番号2、3、4若しくは5と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上のアミノ酸の挿入、欠失、置換及び/又は付加を含む。好ましくは、アミノ酸の挿入は、本発明の挿入されたペプチドとは異なる部位(配列番号10、11、12又は13)で行われ、より好ましくはループIVで行われない。好ましくは、アミノ酸の置換は、保存された置換である。
【0106】
いくつかの実施形態では、修飾AAVカプシドポリペプチドは、配列番号14、15、16及び17から選択されるヌクレオチド配列によってコードされる。いくつかの実施形態では、修飾AAVカプシドポリペプチドは、配列番号14、15、16又は17のバリアントによってコードされる。いくつかの実施形態では、バリアントは、配列番号14、15、16若しくは17と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%又は99.8%同一である。いくつかの実施形態では、バリアントは、配列番号14、15、16若しくは17と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個以上のヌクレオチドの置換及び/又は付加を含む。いくつかの実施形態では、バリアントは、配列番号14、15、16若しくは17と比較して、3n(nは整数であり、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上である)ヌクレオチドの挿入及び/又は欠失を含む。好ましくは、ヌクレオチドの挿入は、本発明の挿入されたペプチドをコードするヌクレオチド配列(配列番号10、11、12又は13)とは異なる部位で行われ、より好ましくはループIVをコードするヌクレオチド配列では行われない。好ましくは、バリアントは縮重バリアントであるか、又はヌクレオチドの置換はアミノ酸の保存された置換をもたらす。
【0107】
いくつかの実施形態では、本発明のrAAVは、好ましくは硝子体内注射によって投与した場合、親AAVカプシドポリペプチドを含むAAVと比較して、網膜細胞に対する改善された感染性を示す。
【0108】
本発明のrAAVのゲノムは、遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む発現カセットを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は干渉RNAである。いくつかの実施形態では、遺伝子産物はアプタマーである。いくつかの実施形態では、遺伝子産物はポリペプチドである。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は部位特異的ヌクレアーゼである。
【0109】
遺伝子産物が干渉RNA(RNAi)である場合、適切なRNAiには、細胞内アポトーシス又は血管新生因子のレベルを低下させるRNAiが含まれる。例えば、RNAiは、例えば、Bax、Bid、Bak、及びBad遺伝子産物(例えば、米国特許第7,846,730号明細書を参照されたい)を含む、細胞においてアポトーシスを誘導又は促進する遺伝子産物のレベルを低下させるshRNA又はsiRNAであり得る。干渉RNAはまた、VEGF、VEGFR1又はVEGFR2に対するshRNA又はsiRNAなどの抗血管新生産物であり得る。
【0110】
遺伝子産物がアプタマーである場合、アプタマーの例示的な標的には、例えば、VEGF及びPDGFが含まれる。
【0111】
遺伝子産物がポリペプチドである場合、ポリペプチドは通常、棒状又は円錐形の光受容体細胞、網膜ガングリオン細胞、ミュラー細胞(muller cells)、双極細胞、アマクリン細胞、水平細胞又は、網膜色素上皮細胞などの網膜細胞機能を増強する。機能性ペプチド。例示的なポリペプチドには、神経保護ポリペプチド(例えば、GDNF、CNTF、NT4、NGF及びNTN);抗血管新生ポリペプチド(例えば、可溶性血管内皮成長因子(VEGF)受容体);VEGF結合抗体;scFv及びナノボディなどのVEGF結合抗体断片;エンドスタチン;タムスタチン;アンジオスタチン;色素上皮由来因子(PEDF);可溶性Tie-2受容体など;メタロプロテイナーゼ-3の組織阻害剤(TIMP-3);光反応性オプシン(オプシン)、例えばロドプシン;抗アポトーシスポリペプチド(例えば、Bcl-2、Bcl-X1)などが含まれる。適切なポリペプチドには、グリア由来神経栄養因子(GDNF);線維芽細胞成長因子2;ニューロトロフィン(NTN);毛様体神経栄養因子(CNTF);神経成長因子(NGF);ニューロトロフィン-4(NT4);供給源神経栄養因子(BDNF;例えば、
図11に示されるアミノ酸配列の約200アミノ酸~247アミノ酸を含む連続セグメント(配列番号11)は、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は100%のアミノ酸配列アミノ酸配列ポリペプチド;上皮成長因子;ロドプシン;X結合型アポトーシスタンパク質阻害剤;及び音波因子(Sonic)ヘッジホッグ)が含まれるが、これらに限定されない。
【0112】
いくつかの実施形態では、目的の遺伝子産物は、網膜疾患に関連する遺伝子機能の部位特異的ノックダウンを提供する部位特異的エンドヌクレアーゼであり、例えば、遺伝子は疾患で高度に発現される。
【0113】
欠陥対立遺伝子をノックアウトすることに加えて、部位特異的ヌクレアーゼを使用して、欠陥対立遺伝子をコードするタンパク質の機能的コピーとのドナーDNAの相同組換えを刺激することもできる。したがって、例えば、本発明のrAAVを使用して、欠陥対立遺伝子をノックアウトする部位特異的エンドヌクレアーゼを送達するために使用することができ、欠陥対立遺伝子の機能的コピーを送達するために使用することができ、機能的コピー修復を引き起こし、それによって機能的網膜タンパク質を提供する。いくつかの実施形態では、部位特異的エンドヌクレアーゼ及び欠陥対立遺伝子の機能的コピーは、別々のrAAVによって送達される。
【0114】
部位特異的エンドヌクレアーゼには、例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN);転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、及びCRISPR/Casヌクレアーゼが含まれる。
【0115】
いくつかの実施形態では、遺伝子産物はVEGFに対する抗体である。例えば、Novamabは、配列番号24のアミノ酸配列を有する「Nb24」と呼ばれるVEGFに対するナノボディを同定した。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、配列番号24を含むポリペプチドである。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、(G4S)2リンカーなどのリンカーによって連結された2つのNb24を含む二価Nb24である。いくつかの実施形態では、rAAVのゲノムは、ITR、例えば配列番号20に隣接する二価Nb24をコードする発現カセットを含む。
【0116】
本発明のrAAVは、親AAVカプシドポリペプチドと比較して改善された網膜細胞への形質導入、遺伝子産物の発現増強、炎症応答の減少、所望の安全性及び/又は眼疾患に及ぼす堅牢な治療効果を提供する。
【0117】
5.医薬組成物及び医療用途
本発明は、a)本発明のrAAVと、b)薬学的に許容され得る担体、希釈剤、賦形剤又は緩衝剤とを含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、薬学的に許容され得る担体、希釈剤、賦形剤又は緩衝剤は、ヒトにおける使用に適している。
【0118】
そのような賦形剤、担体、希釈剤及び緩衝剤には、異常な毒性なしに投与することができる任意の薬剤が含まれる。薬学的に許容され得る賦形剤には、水、生理食塩水、グリセロール、及びエタノールなどの液体が含まれるが、これらに限定されない。その中には、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などの鉱酸塩;及び酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などの有機酸の塩などの薬学的に許容され得る塩が含まれ得る。さらに、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝物質などの補助物質がそのようなビヒクル中に存在してもよい。多種多様な薬学的に許容され得る賦形剤が当該技術分野で公知であり、本明細書で詳細に議論する必要はない。薬学的に許容され得る賦形剤は、例えば、A.Gennaro(2000)「Remington:The Science and Practice of Pharmacy,」20th Edition,Lippincott,Williams,& Wilkins;HC Anselら、7th edition,Lippincott,Williams,& Wilkins編Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(1999);及びHandbook of Pharmaceutical Excipients(2000)AH Kibbeら、3rd edition,Amer.Pharmaceutical Assocを含む様々な出版物で詳細に説明されている。
【0119】
本発明はさらに、本発明のrAAV又は医薬組成物を眼に投与することを含む、対象の眼、特に網膜細胞に遺伝子産物を送達する方法を提供する。網膜細胞への遺伝子産物の送達は、網膜疾患の処置を提供することができる。網膜細胞は、光受容体、網膜ガングリオン細胞、ミュラー細胞(muller cells)、双極細胞、アマクリン細胞、水平細胞、又は網膜色素上皮細胞であり得る。場合によっては、網膜細胞は、桿体又は錐体などの光受容細胞である。
【0120】
本発明は、網膜疾患を処置する方法であって、網膜疾患の処置を必要とする対象に有効量の本発明のrAAV又は医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、rAAV又は医薬組成物は、眼内注射又は硝子体内注射によって投与される。rAAV又は医薬組成物は、単回投与又は複数回投与(例えば、2、3、4回以上の用量)スキームによって投与される。複数回投与スキームの場合、rAAV又は医薬組成物は、所望のレベルの遺伝子発現を達成するために、毎日、毎週、毎月、毎年などの異なる間隔で投与することができる。
【0121】
本発明のrAAV又は医薬組成物を眼に投与することを含む、対象の眼、特に網膜細胞への遺伝子産物の送達に使用するための、本発明のrAAV又は医薬組成物も提供される。網膜細胞への遺伝子産物の送達は、網膜疾患の処置を提供することができる。網膜細胞は、光受容体、網膜ガングリオン細胞、ミュラー細胞(muller cells)、双極細胞、アマクリン細胞、水平細胞、又は網膜色素上皮細胞であり得る。場合によっては、網膜細胞は、桿体又は錐体などの光受容細胞である。
【0122】
網膜疾患の処置に使用するための、本発明のrAAV又は医薬組成物も提供される。いくつかの実施形態では、rAAV又は医薬組成物は、眼内注射又は硝子体内注射によって投与される。rAAV又は医薬組成物は、単回投与又は複数回投与(例えば、2、3、4回以上の用量)スキームによって投与される。複数回投与スキームの場合、rAAV又は医薬組成物は、所望のレベルの遺伝子発現を達成するために、毎日、毎週、毎月、毎年などの異なる間隔で投与することができる。
【0123】
本発明は、遺伝子産物を対象の眼、特に網膜細胞に送達するための医薬品の調製における本発明のrAAV又は医薬組成物の使用を提供する。
【0124】
本発明は、網膜疾患の処置を必要とする対象において網膜疾患を処置するための医薬品の調製における本発明のrAAV又は医薬組成物の使用を提供する。
【0125】
本発明のrAAV又は医薬組成物によって処置することができる眼症には、急性黄斑変性症;ベーチェット病;脈絡膜新生血管;糖尿病性ブドウ膜炎;ヒストプラズマ症;黄斑変性、例えば急性黄斑変性、非滲出型加齢黄斑変性及び滲出型加齢黄斑変性;浮腫、例えば黄斑浮腫、嚢胞様黄斑浮腫及び糖尿病性黄斑浮腫;多巣性脈絡膜炎;後眼部又は位置に影響を及ぼす眼外傷;眼腫瘍;網膜障害、例えば、網膜中心静脈閉塞症、糖尿病性網膜症(増殖性糖尿病性網膜症を含む)、増殖性硝子体網膜症(PVR)、網膜動脈閉塞性疾患、網膜剥離、網膜炎の網膜炎(retinitis of the retiniti)、交感性眼炎;ヴォークト-小柳-原田(VKH)症候群;びまん性眼色素沈着;眼のレーザー処置によって引き起こされる又は影響を受ける後眼部症状;光線力学療法によって引き起こされる又は影響を受ける後眼部症状;光凝固、放射線網膜症;網膜前膜障害;網膜静脈分岐;前部虚血性視神経症;非網膜糖尿病性網膜機能障害;網膜瘻(網膜分離);網膜色素変性;緑内障;アッシャー症候群;錐体-桿体細胞ジストロフィー;シュタルガルト病(眼底の黄色斑);遺伝性黄斑変性;脈絡網膜変性;レーバー先天性黒内障;先天性静止夜盲症;無脈絡膜;バービー症候群(バルデー・ビードル症候群);黄斑毛細血管拡張;レーバー遺伝性視神経症;未熟児網膜症;全色盲、赤色盲、緑色盲及び青色盲を含む色覚異常が含まれるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0126】
以下の実施例は、本出願に対する限定ではなく、例示のみを目的として提供される。
【0127】
実施例1:修飾AAVカプシドポリペプチドを含むrAVVベクターの調製
rAAVベクターは、Crosson SMら、2018に記載されている方法と同様の方法で、異なるパッケージングプラスミド及び導入遺伝子プラスミドを使用して調製した。簡潔には、無血清ウイルス産生培地OPM-293 CD05(Shanghai OPM Biosciences Co.Ltd.カタログ番号:81075-001)の3E6個の293VPC細胞(Thermo社、カタログ番号:A35347)を、ポリエチレンイミンを使用して、以下のヘルパープラスミド、rep/capをコードするパッケージングプラスミド、及び導入遺伝子プラスミドで三重にトランスフェクトした:
-ヘルパープラスミド(Crosson Smらに記載されているようなAd E2A、E4及びVA RNAヘルパー遺伝子を含む「pHelper」、そのマップを
図1Aに示す);
-パッケージングプラスミド、そのマップは
図1Bに示されており、この中で「AAV2 Cap」は、表1に列挙されているカプシドポリペプチドをコードするヌクレオチド配列である(第2列);
-GFPをコードする配列番号19のrAAVゲノム又は抗VEGF抗体である二価Nb24をコードする配列番号20のrAAVゲノムを含む導入遺伝子プラスミドであって(
図1C及び
図1Dをそれぞれ参照されたい)、Gibsonアセンブリ方法論を使用して要素を組み立てた(NEBuilder HiFi DNA Assembly Master Mix,NEB,カタログ番号E2621)。
【0128】
配列番号1、18又は22のカプシドポリペプチドをコードするパッケージングプラスミドをGenscript Inc.(中国江西省南京)で合成し、配列番号2、3、4、5又は21のカプシドをコードするパッケージングプラスミドを、配列番号1をコードするパッキングプラスミドから出発して、配列番号14、15、16、17又は26の1762位~1797位のヌクレオチド配列を、Gibsonアセンブリ方法論(NEBuilder HiFi DNA Assembly Master Mix,NEB,カタログ番号E2621)を使用して配列番号25の1761位及び1762位の間に挿入することによって構築した。
【0129】
37℃で72時間インキュベートした後、細胞を採取し、イオジキサノール勾配(Crosson SMらを参照されたい)によってウイルス粒子を精製した。
【0130】
rAAVをddPCRによって力価について試験したところ、すべて1013ウイルスゲノム(vg)/mLのレベルであった。特に、製造業者の指示に従って、Bio-RadのQXDx AutoDG ddPCR System及びQXDx Universal Kit for AutoDG ddPCR Systemを用いてddPCRを行った。ddPCR用のプライマーは以下の通りである。
【0131】
GFPの増幅の場合:
GFP-F ACTACAACAGCCACAACGTCTATATCA
GFP-R GGCGGATCTTGAAGTTCACC
GFP-P 5’-6-FAM-CCGACAAGC-ZEN-AGAAGAACGGCATCA-Iowa Black FQ-3’
【0132】
Nb24の増幅の場合:
qPCR-AMD-24-5-F GAGTGCGAGCTGGTGAG
qPCR-AMD-24-5-R GCGTAGTCCCTGCTGATG
qPCR-AMD-24-5-P CAAGGACGGCAGCACCTACTACAC
【0133】
調製したrAAVを表1に列挙した。
【0134】
【0135】
実施例2.網膜細胞修飾AAVカプシドにおけるrAAVのインビトロ試験
この実施例は、実施例1で調製したrAAVに含まれるGFPマーカーの発現を検証するために行ったものであり、試験結果は、修飾AAVカプシドポリペプチドを含むrAAVで形質導入された網膜細胞におけるGFPマーカーの発現増強を示す。
【0136】
ヒト網膜色素上皮細胞(ARPE19細胞、ATCC:CRL-2302)を96ウェルプレート(Thermo Scientific(商標)165305)に播種した。実施例1で調製したAAV2-GFP及びAAV.LGP-GFPを、様々なMOI(800、4,000、20,000、及び100,000)で、細胞を播種した4時間後にARPE19細胞に添加した。37℃、5%CO2中で72時間インキュベートした後、培養培地をPBS(Thermo社、カタログ番号10010072)に交換し、次いで、形質導入された細胞を、自動蛍光顕微鏡(Agilent社)、485/20励起、508/20発光フィルター設定でGFPタンパク質について検出した。
【0137】
修飾AAV2カプシドを有するrAAVは、野生型AAV2カプシドを有するrAAVと比較して、形質導入率の向上を示した。
図2に示すように、AAV.LGP-GFPを形質導入された細胞は、AAV2-GFPを形質導入された細胞よりもはるかに強い蛍光シグナルを示す。特に、AAV2-GFPの場合、蛍光シグナルは少なくとも4,000のMOIで観察され得るが、AAV.LGP-GFPの場合、蛍光シグナルは800のMOIで観察され得る;4,000のMOIでAAV.LGP-GFPを形質導入された細胞は、100,000のMOIでAAV2-GFPを形質導入された細胞と同等の蛍光シグナルを示す。
【0138】
実施例3.網膜細胞におけるrAAVのインビトロ試験
この実施例は、実施例1で調製したrAAVに含まれる目的のポリペプチドの発現を検証するために行ったものであり、野生型カプシドポリペプチドを含むrAAVと比較して、修飾AAVカプシドポリペプチドを含むrAAVで形質導入した網膜細胞では、目的のポリペプチドの発現増強が示された。
【0139】
ARPE19細胞に、実施例1で調製した二価Nb24をコードするrAAVを、実施例2に記載した様々なMOI(100,000、30,000、10,000、3,000、1,000、300、100及び30)で形質導入した。rAAVを添加した72時間後、培養培地をピペッティングによって回収し、次いで、直接抗VEGF ELISAによって細胞培養培地中のNb24発現について検出した。
【0140】
簡単に記載すると、VEGFポリペプチド(ヒトVEGFA165A、R&Dシステム、カタログ番号293-VE/CF)をELISAプレート(Corning(商標)3690)に4℃で一晩コーティングし、PBST(Thermo社、37536)中3%BSAでブロッキングした後、二価Nb24を含有する採取した細胞培養培地をプレートに添加し、次いで、これを1時間(RT)インキュベートした。各抗体添加後、1時間のインキュベーション(RT)を行いながら、抗Nb24抗体(ヤギ抗Nb24ポリクローナル、Novamb社)及び抗ヤギHRP抗体(ロバ抗ヤギIgG HRP、Invitrogen社、カタログ番号34028)を順次添加した。HRP発色のためにTMB溶液(Thermo Scientific社、カタログ番号34028)を添加し、次いで、停止緩衝液(スルホ酸、Beyotime社、カタログ番号P0215)を添加することによって停止させた。細胞培養培地中の二価Nb24発現レベルを計算するために、プレートリーダー(SpectraMax i3xマルチモードマイクロプレートリーダ、分子デバイス)で吸光度OD450を測定した。Nb24の発現レベルを、一連の濃度で組換え二価Nb24タンパク質を用いて調製した標準曲線に基づいて計算し、
図3に示し、rAAVのED50値(50%最大発現のMOI)をGraphpad Prismを用いて計算し、表2に示した。
【0141】
【0142】
図3によれば、AAV.LGP-Nb24は二価Nb24の最も高い発現を達成し、AAV.NSP-Nb24はAAV2-Nb24(野生型)よりも高く、AAV.7m8-Nb24(参照)に匹敵する二価Nb24の発現を示し、AAV.GKG-Nb24及びAAV.LAE-Nb24はAAV2-Nb24に匹敵するNb24の発現を達成した。表2によれば、AAV.LGP-Nb24は最も低いED50を示し、AAV.NSP-Nb24のED50はAAV2-Nb24及びAAV.7m8-Nb24に匹敵する。
【0143】
本発明の修飾AAVカプシドポリペプチドを含むrAAVは、野生型カプシドポリペプチド又は参照カプシドポリペプチドを含むrAAVと比較して、rAAVによってコードされるポリペプチド(二価Nb24)の発現増強を達成することが実証された。
【0144】
実施例4.修飾AAVカプシドポリペプチドを含むrAAVのインビボ治療効果
本実施例は、修飾AAVカプシドポリペプチドを含むrAAVによって達成されるレーザー誘起脈絡膜新生血管(CNV)非ヒト霊長類(NHP)モデルにおける導入遺伝子の発現及び治療有効性を検証するために行った。
【0145】
この研究は、CRO社(JOINN LABORATORIES、中国)によって行われた。簡単に記載すると、眼ナイーブカニクイザルを血清AAV中和抗体(Nab)スクリーニングにより選択した(Nabレベルが最も低い20匹のサル)。選択したサルを、モデリングのためにレーザーで処置した(Pennesiら、Animal models of age related macular degeneration.Mol Aspects Med,2012.33(4):p.487-509)。
【0146】
製剤緩衝液(dPBS+200mM NaCl+0.005% PF68(dPBS及びPF68は、それぞれカタログ番号10010072及び24040032の下でThermo社から購入した))中の実施例1で調製した二価Nb24をコードするrAAV(表1に列挙)を、表3に記載のようにサルの眼に投与した。
【0147】
【0148】
この研究は、
図4に従って行った。簡単に記載すると、試験した物品を1日目にサルに硝子体内注射し、眼を0日目、22日目、29日目及び43日目に画像化し、サルを15日目にモデル化し、サルの血清を3日目、7日目、14日目、22日目、29日目及び43日目に回収した。サル#291~309を43日目に屠殺し、それらの組織(網膜、脈絡膜、強膜、視神経、硝子体、房水、毛様体、虹彩、角膜及び水晶体を含む眼組織;並びに脳、心臓、肝臓、腎臓、肺、骨格筋及び脾臓を含む末梢組織)を別々に回収した。サル#310に2回目の用量のAAV9-Nb24を44日目に投与し、その眼を51日目にさらに画像化した。
【0149】
組織からの二価Nb24を含むサンプルを、30mgの組織及び60μLの溶解緩衝液(T-PER(商標)組織タンパク質抽出試薬、Thermo社、カタログ番号78510)をプロテイナーゼ阻害剤(Pierce(商標)プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤ミニ錠剤、Thermo社、カタログ番号A32959)と混合し、ホモジナイザー(2010 Geno/Grinder(登録商標)-自動組織ホモジナイザー及び細胞溶解装置、Spex SamplePrp)を用いて1,500rpmで2分間、30秒間隔で混合物をホモジナイズし、12,000rpmで20分間遠心分離し、上清(supernatant)を回収することによって調製した。サンプル中の総タンパク質含有量は、BCAキット(Thermo Fisher社、カタログ番号23235)を用いて決定した。
【0150】
組織及び血清中のNb24レベルをELISAによって検出した(
図5を参照されたい)。簡単に記載すると、ヒトVEGFA165A(R&D systems 293-VE/CF)をELISAプレートに4℃で一晩コーティングし、ブロッキング緩衝液(SuperBlock(商標) T20(TBS)Blocking Buffer、Thermo Scientific社、カタログ番号37536)でブロッキングした後、等しい含有量の総タンパク質を含む組織及び血清からのサンプルをプレートに添加し、続いて1時間のインキュベーション(RT)を行った。各抗体添加後、1時間のインキュベーション(RT)を行いながら、抗Nb24抗体(ヤギ抗Nb24ポリクローナル、Novamb社)及び抗ヤギHRP抗体(ロバ抗ヤギIgG HRP、Invitrogen社、カタログ番号34028)を順次添加した。HRP発色のためにTMB溶液(Thermo Scientific社、カタログ番号34028)を添加し、次いで、停止緩衝液(スルホ酸、Beyotime社、カタログ番号P0215)を添加することによって停止させた。実施例3に記載したように、サンプル中の二価Nb24発現レベルを計算するために吸光度OD450を測定した。
【0151】
眼組織における二価Nb24の発現が
図6に示されており、これは、AAV.LGP-Nb24の投与が、CNVが発生する網膜及び脈絡膜を含む眼区画全体にわたって、参照(AAV.7m8-Nb24)と比較して少なくとも同等であり、さらに高い二価Nb24の発現を達成したことを示している。
図7に示されるように、Nb24は末梢組織において発現されず(
図7A~G)、血清では有意に発現しなかった(
図7H)。
【0152】
眼底フルオレセイン蛍光眼底造影(FFA)を、RNVのフルオレセイン漏出の評価のための主要なインビボエンドポイントとして使用した(Liら、2018及びCaoら、2018)。スリットランプ顕微鏡法及びカラー眼底写真を実施して、処置に対する眼の反応も記録した。画像を
図8~16に示した。Eylea(登録商標)(2mg/眼)(
図9)の臨床用量と比較して、AAV2.LAE-Nb24(
図10)、AAV.RH10-Nb24(
図11)及びAAV2.LGP-Nb24(
図12)は、レーザー誘起NHP CNVモデルにおいて部分的又は堅牢な治療有効性を提供し、その中でもAAV2.LGP-Nb24は非常に堅牢な治療有効性を提供した。参照rAAV(AAV.7m8-Nb24)は、処置された4つの眼のうち3つ(
図13を参照されたい)において明らかな眼炎症反応(前眼房における重度のフルオレセイン漏出によって証明される)を引き起こしたが、これは、AAV.GKG-Nb24、AAV.LAE-Nb24、AAV.LGP-Nb24、及びAAV.NSP-Nb24のいずれかで処置されたサルでは生じなかった。AAV9-Nb24は、網膜下注射の7~14日後に広範囲の脈絡膜漏出を誘発した(
図16を参照されたい)。
【0153】
修飾カプシドポリペプチドを含むrAAVは、優れた眼形質導入、堅牢な導入遺伝子発現(網膜血管新生の堅牢な閉塞を意味する眼及び周囲組織における高レベルの二価Nb24によって証明される)、安全性(末梢Nb24発現の最小化によって証明される)、及び治療効果(網膜における漏出の減少によって証明される)を達成したことが分かる。
【0154】
配列
配列番号1のカプシドAAV2
【化1】
配列番号1の587位と588位との間に配列番号10を挿入することによって得られた配列番号2のカプシドAAV2_GKG
【化2】
配列番号1の587位と588位との間に配列番号11を挿入することによって得られた配列番号3のカプシドAAV2_LAE
【化3】
配列番号1の587位と588位との間に配列番号12を挿入することによって得られた配列番号4のカプシドAAV2_LGP
【化4】
配列番号1の587位と588位との間に配列番号13を挿入することによって得られた配列番号5のカプシドAAV2_NSP
【化5】
配列番号6の挿入されたペプチド_GKG
GKGPTTK
配列番号7の挿入されたペプチド_LAE
LAEPSRP
配列番号8の挿入されたペプチド_LGP
LGPPSKP
配列番号9挿入されたペプチド_NSP
NSPTGRN
配列番号10の挿入されたペプチド_GKG full
AAAGKGPTTKAA
配列番号11の挿入されたペプチド_LAE full
AAALAEPSRPAA
配列番号12の挿入されたペプチド_LGP full
ALALGPPSKPAA
配列番号13の挿入されたペプチド_NSP full
AAGNSPTGRNAA
配列番号14のコード配列_AAV2_GKG
【化6】
配列番号15のコード配列_AAV2_LAE
【化7】
配列番号16のコード配列_AAV2_LGP
【化8】
配列番号17のコード配列_AAV2_NSP
【化9】
配列番号18のAAV9カプシド
【化10】
配列番号19のGFPをコードするrAAVゲノム
【化11】
配列番号20の二価Nb24構築物をコードするrAAVゲノム
【化12】
【化13】
配列番号21のAAV2_7m8アミノ酸配列
【化14】
配列番号22のAAV_RH10アミノ酸配列
【化15】
配列番号23のAAV2 REPをコードするヌクレオチド配列
【化16】
配列番号24(Nbアミノ酸配列)
EVQLQESGGGLVQPGGSLRLSCTASGFTFDDPDVGWFRQAPGNECELVSTISKDGSTYYTDSVKGRFTISRDYAKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCAADSNPIAPIRTCLGWYNYWGQGTLVTVSS
配列番号25のコード配列AAV2カプシド
【化17】
配列番号26のコード配列AAV2_7m8
【化18】
配列番号27のコード配列AAV_RH10
【化19】
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2025-02-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドポリペプチドであって、親AAVカプシドポリペプチドと比較して、ループIVに挿入されたペプチドを含み、前記挿入されたペプチドが、式I:
スペーサー1-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-スペーサー2 (I)
に示されるアミノ酸配列であって、式中、
X1は、G、L及びNから選択され、
X2は、K、A、G及びSから選択され、
X3は、G、E及びPから選択され、
X4は、P及びTから選択され、
X5は、T、S及びGから選択され、
X6は、T、R及びKから選択され、
X7は、K、P及びNから選択され、
前記スペーサー1及び2は、A、L及びGから選択される1個以上、好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個のアミノ酸を独立して含む、アミノ酸配列を含む、修飾アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドポリペプチド。
【請求項2】
前記挿入されたペプチドが、式II:
Y1-Y2-Y3-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-Y4-Y5 (II)
に示されるアミノ酸配列であって、式中、
スペーサー1は、アミノ酸Y1、Y2及びY3からなり、
スペーサー2は、アミノ酸Y4及びY5からなり、
X1は、G、L及びNから選択され、
X2は、K、A、G及びSから選択され、
X3は、G、E及びPから選択され、
X4は、P及びTから選択され、
X5は、T、S及びGから選択され、
X6は、T、R及びKから選択され、
X7は、K、P及びNから選択される、アミノ酸配列
を含む、請求項1に記載の修飾AAVカプシドポリペプチド。
【請求項3】
X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7が、配列番号6(GKGPTTK)、配列番号7(LAEPSRP)、配列番号8(LGPPSKP)及び配列番号9(NSPTGRN)から選択されるアミノ酸配列である、請求項
1に記載の修飾AAVカプシドポリペプチド。
【請求項4】
前記挿入されたペプチドが、配列番号10(AAAGKGPTTKAA)、配列番号11(AAALAEPSRPAA)、配列番号12(ALALGPPSKPAA)及び配列番号13(AAGNSPTGRNAA)から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の修飾AAVカプシドポリペプチド。
【請求項5】
前記親AAVカプシドポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸138~735、若しくは配列番号1のアミノ酸203~735を含むAAV2カプシドポリペプチド、又は全長、アミノ酸138~735、若しくはアミノ酸203~735にわたって配列番号1と少なくとも90%同一であるそのバリアントである、請求項
1に記載の修飾AAVカプシドポリペプチド。
【請求項6】
前記ペプチドが、配列番号1の587位及び588位に対応する位置の間に挿入されている、請求項
1に記載の修飾AAVカプシドポリペプチド。
【請求項7】
配列番号2、3、4及び5から選択されるアミノ酸配列、配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸138~747、又は配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸203~747を含む、請求項
1に記載の修飾AAVカプシドポリペプチド。
【請求項8】
請求項
1に記載の修飾AAVカプシドポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項9】
請求項8に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項10】
請求項8に記載のポリヌクレオチド又は請求項9に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項11】
請求項8に記載のポリヌクレオチ
ドを含むrAAVをパッケージングするためのシステム又はキット。
【請求項12】
修飾AAVカプシドポリペプチドと遺伝子産物をコードするゲノムとを含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記修飾AAVカプシドポリペプチドは、親AAVカプシドポリペプチドと比較して、ループIVに挿入されたペプチドを含み、前記挿入されたペプチドは、式I:
スペーサー1-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-スペーサー2 (I)
に示されるアミノ酸配列であって、式中、
X1は、G、L及びNから選択され、
X2は、K、A、G及びSから選択され、
X3は、G、E及びPから選択され、
X4は、P及びTから選択され、
X5は、T、S及びGから選択され、
X6は、T、R及びKから選択され、
X7は、K、P及びNから選択され、
前記スペーサー1及び2は、A、L及びGから選択される1個以上のアミノ酸を独立して含む、アミノ酸配列を含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)。
【請求項13】
前記挿入されたペプチドが、式II:
Y1-Y2-Y3-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-Y4-Y5 (II)
に示されるアミノ酸配列であって、式中、
スペーサー1は、アミノ酸Y1、Y2及びY3からなり、
スペーサー2は、アミノ酸Y4及びY5からなり、
X1は、G、L及びNから選択され、
X2は、K、A、G及びSから選択され、
X3は、G、E及びPから選択され、
X4は、P及びTから選択され、
X5は、T、S及びGから選択され、
X6は、T、R及びKから選択され、
X7は、K、P及びNから選択される、アミノ酸配列
を含む、請求項12に記載のrAAV。
【請求項14】
X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7が、配列番号6(GKGPTTK)、配列番号7(LAEPSRP)、配列番号8(LGPPSKP)及び配列番号9(NSPTGRN)から選択されるアミノ酸配列である、請求項1
2に記載のrAAV。
【請求項15】
前記挿入されたペプチドが、配列番号10(AAAGKGPTTKAA)、配列番号11(AAALAEPSRPAA)、配列番号12(ALALGPPSKPAA)及び配列番号13(AAGNSPTGRNAA)から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項12に記載のrAAV。
【請求項16】
前記親AAVカプシドポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列、配列番号1のアミノ酸138~735、若しくは配列番号1のアミノ酸203~735を含むAAV2カプシドポリペプチド、又は全長、アミノ酸138~735、若しくはアミノ酸203~735にわたって配列番号1と少なくとも90%同一であるそのバリアントである、請求項1
2に記載のrAAV。
【請求項17】
前記ペプチドが、配列番号1の587位及び588位に対応する位置の間に挿入されている、請求項1
2に記載のrAAV。
【請求項18】
前記修飾AAVカプシドポリペプチドが、配列番号2、3、4及び5から選択されるアミノ酸配列、配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸138~747、又は配列番号2、3、4若しくは5のアミノ酸203~747を含む、請求項1
2に記載のrAAV。
【請求項19】
請求項1
2に記載のrAAVを含む医薬組成物。
【請求項20】
請求項1
2に記載のrAAV又は請求項19に記載の医薬組成物を、網膜疾患の処置を必要とする対象の眼に投与することを含む、網膜疾患を処置する方法。
【請求項21】
網膜疾患の処置に使用するための、請求項1
2に記載のrAAV又は請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項22】
網膜疾患を処置するための医薬品の調製における、請求項1
2に記載のrAAV又は請求項19に記載の医薬組成物の使用。
【国際調査報告】