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  • 特表-触媒組成物及び触媒の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】触媒組成物及び触媒の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/04 20060101AFI20250220BHJP
   B01J 35/66 20240101ALI20250220BHJP
   B01J 35/64 20240101ALI20250220BHJP
   B01J 35/63 20240101ALI20250220BHJP
   B01J 35/61 20240101ALI20250220BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20250220BHJP
   C10G 50/00 20060101ALN20250220BHJP
【FI】
B01J23/04 M
B01J35/66
B01J35/64
B01J35/63
B01J35/61
B01J37/08
C10G50/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548598
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2024-10-08
(86)【国際出願番号】 US2022016979
(87)【国際公開番号】W WO2023158434
(87)【国際公開日】2023-08-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002105
【氏名又は名称】シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジネストラ,ジョジアーヌ・マリー-ローズ
(72)【発明者】
【氏名】ボリンジャー,コーネリアス・マーク
(72)【発明者】
【氏名】スロー,リン・ヘンリー
【テーマコード(参考)】
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA11
4G169BA01A
4G169BA21A
4G169BA36A
4G169BB02A
4G169BB04A
4G169BB05A
4G169BB08A
4G169BB10A
4G169BB12A
4G169BB16A
4G169BC01A
4G169BC02A
4G169BC03A
4G169BC08A
4G169BD12A
4G169BE08A
4G169BE11A
4G169CB41
4G169CB44
4G169CB63
4G169CC14
4G169EC03X
4G169EC03Y
4G169EC07X
4G169EC07Y
4G169EC08X
4G169EC08Y
4G169EC14X
4G169EC14Y
4G169EC15X
4G169EC15Y
4G169EC18X
4G169EC18Y
4G169EE09
4G169FB04
4G169FB30
4G169FC08
4H129CA02
4H129DA13
4H129KA04
4H129KB03
4H129KC03X
4H129KC33X
4H129KD02X
4H129KD03X
4H129KD04X
(57)【要約】
異性化触媒組成物は、アルミナ系触媒を含み、アルミナ系触媒は、全細孔容積の約5%未満の70Å未満の細孔径の細孔における細孔容積、全細孔容積の10%未満の350Å超えの細孔径の細孔における細孔容積、200Å未満の体積によるメジアン細孔径、1.2cc/g未満の水細孔容積、及び130m2/g超えの表面積を有する。異性化触媒組成物は、I族カチオン、II族カチオン及びこれらの混合物を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナ系触媒を含む組成物であって、前記アルミナ系触媒は、70Å未満の細孔径の細孔における細孔容積が全細孔容積の約5%未満であり、350Å超えの細孔径の細孔における細孔容積が全細孔容積の10%未満であり、容積によるメジアン細孔径が200Å未満であり、水細孔容積が1.2cc/g未満であり、表面積が130m/g超えである、組成物。
【請求項2】
前記アルミナ系触媒は、約0重量%~約20重量%のI族カチオン若しくはII族カチオン又はそれらの組み合わせを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
約10~約100Åの範囲の60~6KのHg PSD法からの最も豊富な66%細孔の細孔径範囲を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
アルミナ担体が、I族カチオンを更に含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記I族カチオンは、炭酸カリウム、水酸化カリウム、酸化カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム、アセチルアセトンカリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム、及びそれらの混合物、又はナトリウム塩の等価物の群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
触媒として使用するための、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
I族金属、II族金属又はそれらの組み合わせを含む約0.5~約15重量%の金属を更に含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
前記金属がナトリウムカリウム合金を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
触媒を製造する方法であって、
a)請求項2に記載の触媒を約700°F~約900°Fの範囲の温度に約12~約18時間加熱して、加熱された触媒を提供する工程と、
b)工程a)からの前記加熱された触媒を約400~約500°Fの温度に冷却して、冷却された触媒を生成する工程と、
c)前記冷却された触媒を、約0.5~約15重量%のI族金属、II族金属又はそれらの組み合わせを含む液体金属と混合する工程と、を含む方法。
【請求項10】
前記混合が等温条件で行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記混合が約4~約6時間の範囲の時間行われる、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エチレンは、より高分子量の直鎖モノオレフィンにオリゴマー化することができる。様々な好適なオリゴマー化触媒及びプロセスが知られている。そのようなオレフィンは、例えば、プラスチック、例えばLLDPE中のコモノマーとして、又は合成潤滑剤として有用なC~C10範囲のもの、洗剤として有用なC12~C20範囲のもの、及びより高級のオレフィンを含む。より低分子量のオレフィンは、公知の商業的プロセスによってスルホネート又はアルコールに変換することができる。C12~C20オレフィンは、洗剤製品分野で使用される。より低分子量のアルコールを多価酸、例えばフタル酸でエステル化して、ポリ塩化ビニル用の可塑剤を形成することができる。
【0002】
エチレンをオリゴマー化するアルファオレフィン(AO)装置と、アルファオレフィンを偶数及び奇数内部オレフィンに変換する異性化/不均化(ID)装置とを有する2段階プロセスによって、広範囲の直鎖アルファオレフィン及び内部オレフィンの両方を生成することができる。オリゴマー化プロセスで生成される過剰のC~C10の軽質オレフィン及びC12+範囲の重質オレフィンは、連続異性化及び不均化プロセスによって所望の範囲の内部オレフィン(現在はC11~C14)に変換され得る。これらの洗剤範囲(C11~C14)の奇数及び偶数直鎖内部オレフィンをオキソアルコールプラントに供給して、C12~C15半直鎖アルコールを生成することができる。アルコールの大部分は洗剤市場に販売されており、アルコールの一部はエトキシル化されている。
【0003】
AO装置からの生成物は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、合成エンジン(モーター)油の生成、及び掘削泥水配合物に使用することができる。しかしながら、AO装置からの生成物はまた、供給物精製、オレフィン異性化、オレフィン不均化、及び生成物蒸留を含み得るID装置への供給物として使用され得る。
【0004】
異性化プロセスの間、異性化反応器中の触媒は使用済みになり、反応器触媒は、プロセスを完全な反応性に戻すために新しい触媒と交換され得る。
【発明の概要】
【0005】
異性化反応器における使用のために、異性化触媒組成物は、アルミナ系触媒を含み、アルミナ系触媒は、70Å未満の細孔径の細孔における細孔容積が全細孔容積の約5%未満であり、350Å超えの細孔径の細孔における細孔容積が全細孔容積の10%未満であり、容積によるメジアン細孔径が200Å未満であり、水細孔容積が1.2cc/g未満であり、表面積が130m2/g超えである。異性化触媒組成物は、I族カチオン、II族カチオン及びこれらの混合物を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】より高級なオレフィンプロセスの一実施形態の簡略ブロックフロー図である。
図2】異性化/不均化プロセスの一実施形態の簡略ブロックフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に記載される実施形態は、エチレンのアルファオレフィンへのオリゴマー化のためのプロセス及び内部オレフィンの生成のためのプロセスを含む。このプロセスの基本工程には、オリゴマー化、オレフィン異性化及びオレフィン不均化(メタセシス)が含まれる。
【0008】
図1は、オリゴマー化プロセスの簡略ブロック図を示す。オリゴマー化プロセス100は、オリゴマー化ブロック102、オレフィン相分離器ブロック104、第1の蒸留ブロック106、異性化ブロック108、不均化ブロック110及び第2の蒸留ブロック112を含む。
【0009】
エチレン2は、オリゴマー化ブロック102に供給される。エチレンは、非チーグラー触媒系(ニッケル及び錯体配位子からなる)の存在下でオリゴマー化されて、C~C20+オレフィンの混合物を優先的に形成し、その大部分は直鎖アルファオレフィンである。この反応は、極性溶媒(典型的には1,4-ブタンジオール)中、約90~120℃(194~248°F)及び90~140atm(1320~2050psia)で行うことができる。オリゴマー化反応器は、エチレンが触媒担持溶媒中でバブリングされる容器型である。極性溶媒はアルファオレフィン生成物と不混和性であり、溶解状態の触媒物質を含有する。一旦形成されると、オレフィンは、それらのほとんどがもはや触媒と接触していないので、更なる反応をほとんど有し得ない。オリゴマー形成は、一般に、周知のSchultz-Flory式に従う。
【0010】
連鎖成長触媒は、一般に、ニッケル化合物を二座配位子(例えばジフェニルホスフィノ安息香酸)及び触媒活性化剤(水素化ホウ素ナトリウム)と共に1,4-ブタンジオールに溶解することによって調製される。ニッケルは配位子と錯化合物を形成する。オリゴマー化が所望の程度まで進行した後、生成物4が反応器から取り出され、相分離器104に送られ、そこで溶媒/触媒8及び未転化エチレン6がオリゴマーから分離され、オリゴマー化ブロック102に再循環される。オリゴマー生成物混合物10は、触媒除去のための洗浄工程を受けた後、第1の蒸留ブロック106を通過し、アルファオレフィンを所望の留分に分離する。オリゴマー生成物混合物10は、高沸点範囲及び低沸点範囲のアルファ-オレフィンを含むエチレンオリゴマーの通常の幾何学的分布を含む。
【0011】
第1の蒸留ブロック106は、低沸点範囲アルファ-オレフィン12、高沸点範囲アルファ-オレフィン14、及びアルファ-オレフィン生成物16を生成する。低沸点範囲アルファ-オレフィン12及び高沸点範囲アルファ-オレフィン14は、異性化ブロック108に送られる。異性化ブロック108は、不均化ブロック110に送られる内部オレフィン16を生成する。低沸点範囲アルファ-オレフィン12及び高沸点範囲アルファ-オレフィン14を不均一触媒上で反応させて、ある範囲の対応する内部異性体を得る。異性化されていないアルファオレフィンは、下流の不均化ブロック110において、望ましくない高分子量生成物及び非常に短鎖の生成物を減少させるために最小限に保たれる。
【0012】
不均化ブロック110は、奇数及び偶数の内部オレフィンを含む生成物18を生成し、生成物18は第2の蒸留ブロック112に送られる。不均化反応は、アルミナ又はシリカ基材上のコバルト、モリブデン、タングステン、又はレニウムを含む不均一触媒上で起こる。メタセシスは、低沸点範囲及び高沸点範囲の内部オレフィンを、より有用な分子量のオレフィンの範囲に不均化することを可能にする。不均化反応は平衡制御され、転化率は温度及び反応物濃度の関数である。
【0013】
第2の蒸留ブロック112は、低沸点範囲内部オレフィン20、高沸点範囲内部オレフィン22、及び内部オレフィン生成物24を生成する。低沸点範囲内部オレフィン20は不均化ブロック110に再循環され、高沸点範囲内部オレフィン22は異性化ブロック108に再循環される。
【0014】
いくつかの実施形態において、異性化ブロック108に供給される低沸点範囲アルファ-オレフィン12及び高沸点範囲アルファ-オレフィン14の混合物は、アルファ-オレフィン市場向けではないオリゴマー化ブロック102からの生成物の一部である。
【0015】
図2は、異性化/不均化プロセス200のブロック図である。いくつかの実施形態では、異性化/不均化プロセスは、4つの主要な装置操作、すなわち、供給物精製装置202、オレフィン異性化装置204、オレフィン不均化装置206及び生成物蒸留装置208を含むが、これらに限定されない。
【0016】
異性化/不均化プロセス200は、一組の炭素-炭素二重結合に結合した炭素鎖長をランダム化する。ランダム化は、オレフィン異性化装置204を介して達成される。オレフィン異性化反応は、分子内の炭素-炭素二重結合の位置を移動させるが、反応器を通過するモル数は変化させない。同様に、不均化装置206は、不均化装置206を通過するオレフィンを断片化し、次いで再結合するが、モル数は変化させない。すなわち、異性化/不均化プロセス200の装置は、質量の保存だけでなくモルの保存も必要とする。
【0017】
精製
供給物精製装置202は、オレフィン異性化装置204又はオレフィン不均化装置206のいずれかにおいて触媒を不活性化させ得る触媒毒を除去する。供給物精製装置202への供給物は、ブテン210、軽質供給物212(図1に流れ12として示される)、及び重質供給物216(図1に流れ14として示される)を含むオリゴマー化ブロック102からの流れを含み得る。触媒毒としては、溶媒分解生成物(酸素を含有し得る)、水、過酸化物、カルボニル、及び配位子分解生成物(これらの大部分はホスフィンとしてリンを含有し得る)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0018】
いくつかの実施形態では、重質供給物216はC12~40+アルファオレフィンを含み、軽質供給物212は1-ヘキセン、1-オクテン、及び1-デセンの混合物を含み得る。混合供給物214は、様々な固定床操作からストリッピングされたオレフィン並びにそれらの操作で使用されたオレフィン洗浄液を含んでもよい。
【0019】
ブテン210、軽質供給物212、混合供給物214、及び重質供給物216は、生成物蒸留装置208からの重質再循環流218と組み合わせてもよい。重質再循環流218は、生成物蒸留装置208において塔頂蒸留されなかった高分子量オレフィン(典型的にはC19+)を含む場合がある。
【0020】
異性化/不均化プロセス200の化学は、異性化/不均化プロセス200に入るアルファオレフィンの平均炭素数が異性化/不均化生成物+ブリードの平均炭素数と一致しなければならないという複雑さを有する。異性化/不均化生成物及びブリードの流量及び推定炭素数に基づく計算は、アルファオレフィン供給速度及び供給炭素数要件を制御する。計算入力として軽質供給物212及び混合供給物214、並びに重質再循環流218を使用する計算は、質量及び炭素数の要件を満たすために必要なブテン210及び重質供給物216の流量を計算する。
【0021】
いくつかの実施形態において、供給物精製装置202は、1つ以上のブテン乾燥剤、1つ以上の精製床、及び1つ以上の軽質供給物乾燥剤、又はそれらの何らかの組み合わせを含み得る。ブテン210は、軽質供給物212、混合供給物流214、重質供給物216及び重質再循環流218と混合する前に、モレキュラーシーブ又はアルミナ、典型的には3Aモレキュラーシーブなどであるが、これらに限定されない吸着剤を含有するブテン乾燥剤を通過し得る。他の実施形態では、ブテン乾燥剤は、任意のタイプの吸着剤、特にモレキュラーシーブを使用してもよい。供給物精製装置202の吸着容量は、供給物精製装置202内の精製吸着剤のサイクル時間及び寿命によって制御することができる。この場合、サイクル時間は、再生の間の時間を指し、寿命は、吸収剤が装置内に存在した実際の時間を指す。操作上の意図は、異性化/不均化プロセス200の転化率が常に高く安定したままであるように、吸収容量を非常に高いレベルに維持することである。当業者であれば、供給物精製装置202を再生する頻度及びプロセスを決定することができ、また、供給物精製装置202内の吸着剤をいつ交換するかを決定することができるであろう。
【0022】
いくつかの実施形態において、軽質供給物212は、ブテン210、混合供給物214、重質供給物216、及び重質再循環流218と混合する前に軽質供給物乾燥剤に送られる。軽質供給物乾燥剤は、モレキュラーシーブ又はアルミナ、典型的には4Aモレキュラーシーブなどであるがこれらに限定されない吸着剤を含有し得る。
【0023】
ブテン210、軽質供給物212、混合供給物214及び重質供給物216の複合オレフィン流は、1つ以上の精製(P)床に入る前に重質再循環流218と合流する。複合オレフィン流の流れは、1つ以上の精製床の底部から頂部に流れる。精製床は、約110~約150℃、いくつかの実施形態では約80~約140℃の範囲の温度、及び約1~約25バール、いくつかの実施形態では約3~約20バールの範囲の圧力で操作することができる。いくつかの実施形態では、供給物精製装置202の効率を維持するために2つの精製床が存在する。これらの精製床は、一方の精製床が使用中であり、他方が再生中であるように操作してもよい。他の実施形態では、再生中の第3の精製床と直列に操作される2つの精製床があってもよい。いくつかの実施形態において、重質再循環流218は、供給物精製装置202を迂回してもよい。
【0024】
1つ以上の精製床は、吸着剤の1つ以上の層を含んでもよい。これらの層は、異なる組成を有してもよく、当業者であれば、各層のための各吸着剤の量及び吸着剤のタイプを決定することができるであろう。
【0025】
いくつかの実施形態では、精製床のための吸着剤は、アルミナ成形触媒若しくはモレキュラーシーブであってもよく、又は約5重量%~約20重量%のI族若しくはII族カチオン、若しくはそれらの組み合わせを含有するアルミナ系触媒若しくはモレキュラーシーブであってもよい。アルミナは、アルファ、ベータ、シータ、又はガンマアルミナであってもよい。アルミナ系触媒は、アルミナに加えて、少量の他の無機酸化物、例えばチタニア、ジルコニア、シリカ、リンなどを含有してもよい。アルミナ材料は、吸着剤の特性に実質的に影響を及ぼさない少量の他の成分を含有することができる。したがって、アルミナ系触媒は、本質的にアルミナからなることができる。アルミナ系触媒の組成物に関して本明細書及び特許請求の範囲で使用される「から本質的になる」という句は、アルミナ系材料がアルミナを含有しなければならず、他の成分を含有してもよいことを意味する。ただし、このような他の成分は、最終吸着剤組成物の吸着特性に実質的に影響を及ぼさないことを条件とする。
【0026】
本発明の実施において採用され得るアルミナ系触媒は、触媒供給業者から商業的に入手してもよく、又は様々なプロセスによって調製されてもよい。
【0027】
精製床のためのアルミナ系触媒の特性は、以下のように定義することができる。
70Å未満の細孔径の細孔における細孔容積:全細孔容積の約15%未満、全細孔容積の約12%未満、全細孔容積の約10%未満。
350Å超えの細孔径の細孔における細孔容積:全細孔容積の約10%未満、全細孔容積の8%未満、全細孔容積の約6%未満。
【0028】
容積によるメジアン細孔径に相当するメジアン細孔径(median pore diameter、MPD):120Å未満、約80~約110Å。
水細孔容積:1.10cc/g未満、約0.65~約1.10cc/g、約0.75~約1.0cc/g。
【0029】
本明細書におけるアルミナ系触媒の細孔径分布及び細孔容積への言及は、水銀圧入ポロシメトリーによって決定されるような特性へのものである。アルミナ系触媒の細孔径分布の測定は、25℃で474ダイン/cmの水銀表面張力で140の接触角を使用して、大気圧と約60000PSIの間の圧力範囲で作動可能な任意の好適な水銀ポロシメーターによる。細孔容積は、大気圧と約60000psiaの圧力との間で測定されるような水銀圧入法を用いた総容積として定義される。
【0030】
表面積:約160~約400m/g、約200~約350m/g、約225~約325m/g。表面積は、周知のB.E.T.法を用いて、窒素吸着によって測定される。表面積を測定するB.E.T.法は、Brunauer、Emmet及びTellerによりJ.Am.Chem.Soc.60(1938)309-316に詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
いくつかの実施形態では、アルミナ系触媒は、I族若しくはII族カチオン又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、I族カチオンは、カリウム又はナトリウムであり、I族カチオンは、炭酸カリウム、水酸化カリウム、酸化カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム、アセチルアセトンカリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム、及びそれらの混合物、又はナトリウム塩の等価物の群から選択される。金属の量は、約0重量%~約20重量%、約7.5重量%~約15重量%の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、金属は、当業者に既知の任意の好適な手段又は方法によってアルミナ系触媒に組み込まれてもよい。例えば、金属成分は、アルミナ系触媒の凝集粒子の形成中にアルミナ系触媒のアルミナと共混練することができ、又は金属成分は、含浸によってアルミナ系触媒に組み込むことができ、又は金属は、方法の組み合わせによってアルミナ系触媒に組み込むことができる。金属成分は、上記のような金属成分の濃度を提供するような量でアルミナ系触媒に組み込まれる。組み込まれた金属成分を有するアルミナ系触媒は、最終触媒を提供するために、公知の方法に従って、乾燥され得るか、若しくは焼成され得るか、又はその両方であり得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、ブテン乾燥剤、軽質供給物乾燥及び精製床は、各装置で異なり得る時間基準で再生される。当業者であれば、ブテン乾燥剤、軽質供給物乾燥剤及び精製床をいつ再生すべきかを決定することができるであろう。当業者はまた、ブテン乾燥剤及び軽質供給物乾燥剤のための再生手順が、典型的にはモレキュラーシーブの再生プロセスを構成することも知っているであろう。ブテン乾燥剤及び軽質供給物乾燥剤の再生は、ブテン乾燥剤及び軽質供給物乾燥剤から残留炭化水素を蒸発させることを伴う。精製床の再生は、任意の残留炭化水素の燃焼、燃焼後の酸素及び水のパージ、並びに使用に戻すための調整における精製床の冷却を伴う。
【0033】
精製床のための再生プロセスは、精製床中のブテン210、軽質供給物214、重質供給物216及び重質再循環流218を軽質供給物212又は中間再循環流、典型的には生成物蒸留装置208からのC~C11流のいずれかで置換することによって開始することができる。他の実施形態において、置換流体は、生成物蒸留装置208からのC15~C18流であってもよい。次に、床を高温窒素(約260~約290℃)でストリッピングして、床上の任意の回収可能な炭化水素を蒸発させる。残留炭化水素を燃焼除去するために、窒素内の約1~5体積%の酸素の制御された燃焼が使用される。温度は、床内において約450℃もの高さになり得る。次に、床を450℃の窒素に浸漬し、窒素パージ中で約135℃未満に冷却する。ここで、床は再生され、生産ラインに戻す準備ができているとみなされ得る。当業者であれば、ブテン乾燥剤、軽質供給物乾燥剤及び精製床の内容物に応じて、必要に応じて再生手順を修正することができるであろう。
【0034】
精製床再生頻度が減少すると、異性化触媒性能が低下する。吸着効率は吸着剤の表面積に直接関係するので、再生ごとに吸着剤の表面積がわずかに減少し、それに伴って吸着効率が低下する。最終的に、吸着剤の表面積が十分に減少するので、消耗した吸着剤を廃棄し、新しい吸着剤と交換する必要がある。精製床吸着剤の所与の充填量は、数年間、例えば4~7年間、その機能を果たすことができる。
【0035】
使用中の精製床及び軽質供給物乾燥剤の排出流は合流し、精製供給物220として供給物精製装置202を出て、異性化装置204に供給される。
【0036】
異性化
異性化装置204は、直列で動作する複数の反応器を含んでもよい。異性化装置204は、アルファオレフィン生成物を取り出し、炭素-炭素二重結合をアルファ位置から炭素鎖長に沿った他の位置に移動させ、また、炭素鎖長に沿った炭素-炭素二重結合の平衡分布も達成する。オレフィン異性化は、炭素-炭素二重結合に結合した炭素鎖長の混合物を作り出す。異性化装置204を出るオレフィンは異性化生成物222である。
【0037】
いくつかの実施形態では、異性化装置204は、4つの固定床異性化反応器を含み、3つの反応器は、任意の一時点で直列、並列又は組み合わせで動作し、第4の反応器は再整備中である。いくつかの実施形態では、最も古い(最長の触媒オンサイクル)触媒充填を有する異性化反応器を第1の異性化反応器位置にローテーションで配置する。次に、最も古い触媒充填物を第2の異性化反応器位置に配置し、最も新しい触媒充填物を第3の異性化反応器位置に配置する。新たに再整備された異性化反応器が生産ラインにもたらされると、異性化反応器の位置はそれに応じて調整される。いくつかの実施形態では、異性化反応器は、下降流方向で動作する。
【0038】
いくつかの実施形態では、最も古い異性化触媒充填物を有する反応器は、ローテーションで第1の異性化反応器位置に配置される。すなわち、精製された供給物220を受け取る。精製された供給物220は、少なくとも50パーセント異性化された重質再循環流218を含んでもよい。直列の複数の異性化反応器の使用は、オレフィン混合物を100%異性化させる。
【0039】
1つ以上の異性化反応器は、異性化触媒の1つ以上の層を含んでもよい。これらの層は、異なる組成を有してもよく、当業者であれば、各層のための各触媒の量及び触媒のタイプを決定することができるであろう。いくつかの実施形態では、アルミナのガード床層は、異性化触媒の上及び下に配置されてもよい。アルミナのガード床層は、異性化触媒の総量の約10~20%の1つ以上の層であってもよい。ガード床層は、様々な細孔径のアルミナを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ガード床は、約115~約200Åの範囲の容積によるメジアン細孔径を有してもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、異性化反応器のための異性化触媒は、アルミナ系触媒又はモレキュラーシーブであってもよい。アルミナは、アルファ、ベータ、シータ、又はガンマアルミナであってもよい。アルミナ系触媒は、アルミナに加えて、少量の他の無機酸化物、例えばチタニア、ジルコニア、シリカ、リンなどを含有してもよい。アルミナ系触媒は、触媒の特性に実質的に影響を及ぼさない少量の他の成分を含有することができるが、アルミナ系触媒は、一般に、本質的にアルミナからなるべきである。アルミナ系触媒の組成に関して本明細書及び特許請求の範囲で使用される「から本質的になる」という句は、アルミナ系触媒がアルミナを含有しなければならず、他の成分を含有してもよいことを意味する。ただし、そのような他の成分は、最終触媒組成物の触媒特性に実質的に影響を及ぼさないことを条件とする。
【0041】
アルミナ系触媒は、触媒供給業者から商業的に入手してもよいし、又は様々なプロセスによって調製されてもよい。
【0042】
異性化触媒用のアルミナ系触媒の特性は、上記の試験方法を用いて以下のように定義することができる。
70Å未満の細孔径の細孔における細孔容積:全細孔容積の約5%未満、全細孔容積の約5%~約0.01%、全細孔容積の約3%~約0.01%。
350Å超えの細孔径の細孔における細孔容積:全細孔容積の10%未満、全細孔容積の約8%未満、全細孔容積の約6%未満。
容積によるメジアン細孔径に相当するメジアン細孔径(MPD):200Å未満、約90~約180Å、又は約105~約165Å。
水細孔容積:1.20cc/g未満、約0.79~約1.10cc/g。
表面積:約100~約400m/g、約150~約350m/g、約170~約300m/g。
60~6K(PSD幅66%(60k~6k))のHg PSD法からの最も豊富な66%細孔の細孔径範囲:約10~約100Å。
【0043】
いくつかの実施形態では、アルミナ系触媒は、I族カチオン若しくはII族カチオン又はそれらの組み合わせを含有してもよい。いくつかの実施形態では、I族カチオンは、カリウム又はナトリウムであり、I族カチオンは、炭酸カリウム、水酸化カリウム、酸化カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム、アセチルアセトンカリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム、及びそれらの混合物、又はナトリウム塩の等価物の群から選択される。金属の量は、約0重量%~約20重量%、約0.5重量%~約15重量%の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、金属は、当業者に既知の任意の好適な手段又は方法によってアルミナ系触媒に組み込まれてもよい。例えば、金属成分は、アルミナ系触媒の凝集粒子の形成中にアルミナ系触媒のアルミナと共混練することができ、又は金属成分は、含浸によってアルミナ系触媒に組み込むことができ、又は金属は、方法の組み合わせによってアルミナ系触媒に組み込むことができる。金属成分は、上記のような金属成分の濃度を提供するような量でアルミナ系触媒に組み込まれる。組み込まれた金属成分を有するアルミナ系触媒は、異性化触媒を提供するために、公知の方法に従って、乾燥され得るか、若しくは焼成され得るか、又はその両方であり得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、アルミナ系触媒又はカチオン含浸異性化触媒は、約0.5~約15重量%のI族金属、II族金属又はこれらの組み合わせの金属で更に含浸される。いくつかの実施形態において、金属は、液体又は共晶合金として含浸されてもよい。共晶合金は、ナトリウムカリウム共晶であってもよい。一実施形態では、アルミナ系触媒又は異性化触媒を含浸するプロセスは、以下の工程を含んでもよい。まず、アルミナ系触媒又は異性化触媒を容器中で、700°F~900°Fに約12~18時間加熱する。次に、アルミナ系触媒又は異性化触媒を混合容器に移す。混合容器中で、アルミナ系触媒又は異性体化触媒の温度が約500°Fに冷却されると、NaKがアルミナ系触媒又は異性体化触媒に含浸される。いくつかの実施形態では、異性化触媒上の5重量%カリウムと追加の5重量%NaKとの組み合わせは、NaKのみを有していた以前のバージョンの異性化触媒よりも約70%長い(14~24日)触媒実行時間をもたらす。含浸及び混合段階の間、混合容器は、4~6時間の含浸時間にわたって、400~500°Fの範囲の所望の設定点で可能な限り等温に近く保たれる。温度は、混合容器ジャケットを通って流れる熱油を使用することによって制御される。等温条件下での異性化触媒の生成は、80%の実行時間の更なる増加(24日~43日)をもたらす。NaK共晶合金の含浸について説明したが、同じ手順を、アルミナ系触媒又はカチオン含浸異性化触媒に他の金属又は金属合金を含浸させるために使用することができる。
【0045】
異性化プロセスの間、異性化装置204の触媒は不活性化される。異性化触媒は、高反応性(自然発火性)金属を含有する。これは、安全な廃棄を確実にする再整備手順が実施されることを意味する。再整備は、異性化反応器の1つから廃棄される触媒を調整する。再整備手順は、以下の工程を含むことができる。触媒を炭化水素洗浄する工程、触媒を不活性化させる工程、触媒を水洗する工程、及び触媒を廃棄する工程。
【0046】
炭化水素洗浄:異性化反応器が再整備のために生産ラインから外される準備ができたら、全範囲オレフィン(C~C40+)を高温オレフィン(C~C11又はC15~C18)で置換する(炭化水素洗浄)。いくつかの実施形態では、生産ラインから外されることになる反応器への供給が停止される。高温オレフィン洗浄液は、反応器の頂部に入り、反応器を通って底部から出てプロセス配管に戻ることによって反応器を洗浄する。高温オレフィン洗浄液は、ヘッダからあらゆる水を除去し、ヘッダを高温オレフィン洗浄液温度、約121℃に加熱する。高温オレフィン洗浄液を、異性化反応器を通して約2.5時間洗い流す。炭化水素洗浄が完了したら、生産ラインから外された異性化反応器をプロセスから分離する。
【0047】
触媒不活性化:生産ラインから外された異性化反応器が高温オレフィンで洗浄されると、異性化反応器中に残された高温オレフィン及び不活性化HC貯蔵容器中に貯蔵されたオレフィンは冷却される。不活性化マニホールドは、オレフィンが不活性化HC貯蔵容器から異性化反応器の底部に流れ込み、I反応器の頂部から出て、不活性化HC貯蔵容器に戻るように、上向流に整列される。I反応器を通る循環流が確立され、これはまた、反応器及び不活性化HC貯蔵容器を冷却するための冷却水交換器を通る。反応器及び不活性化HC貯蔵容器の内容物が最大約100°Fまで冷却されると、システムは不活性化の準備ができている。冷却されると、少量の水が循環流に注入される。これは、水位が反応器内でゆっくりと上昇し、最終的に不活性化HC貯蔵容器内に溢れ出るので、NaKをゆっくりと不活性化する。これは、不活性化段階の終了を示す。
【0048】
水洗浄:水洗浄工程は、水が生産ラインから外されたI反応器内の任意の自然発火性材料と接触し、異性化反応器からNaOH及びKOHを洗い流す別の機会を提供する。次に、水ポンプを始動させ、洗浄水流弁を完全に開いて、不活性化ヘッダを通して約15分間洗い流す。次に、不活性化ヘッダバイパス弁を閉じ、洗浄水流をI反応器の底部を通して整列させ、頂部から出して、不活性化HCサージ容器中に入れる。不活性化HCサージ容器内のレベルが所定のレベルに達すると、洗浄水流及び水ポンプが停止する。所定のレベルの水がI反応器の底部から不活性化HCサージ容器内に排出されて、I反応器内に蒸気空間を作り出す。次いで、散布窒素をI反応器の底部に整列させて、関連する流量制御弁を広く開いて、I反応器の底部に窒素を散布し、反応器の上部から出して、不活性化HCサージ容器に入れ、そこでベントヘッダシステムに排気する。この散布を1時間継続して、炭化水素蒸気のパージを助ける。1時間後、1回目の窒素散布を停止し、不活性化HCサージ容器レベルコントローラを整列させて、底部ブートからの所定のレベルでの排水を可能にする。水ポンプを再始動させ、洗浄水を約6時間流す。洗浄水は、I反応器の底部を通って不活性化HCサージ容器に流入し、そこで固体収集サンプを通って下水管に排出される。目標合計流量が達成されると、水ポンプは停止する。不活性化HCサージ容器レベル制御弁が閉じ、一定期間後、遮断弁も閉じて確実な遮断を保証する。
【0049】
これらの工程は、2回目の窒素散布及び2回目の水洗浄、3回目の窒素散布及び3回目の水洗浄、並びに4回目の窒素散布及び4回目の水洗浄について繰り返してもよい。
【0050】
乾燥/廃棄:遮断弁を閉じて、I反応器内に水を保持する。水ポンプを停止し、I反応器の圧力を上昇させる。底部放出弁を開くと、触媒及び水は触媒トレーラに廃棄される。次いで、I反応器(及び関連部品)を窒素で散布し、水で洗浄する。次に、新しい触媒の装填に備えて、I反応器を乾燥させる。
【0051】
不均化
異性化生成物222は、軽質再循環流234及び中間再循環流224と組み合わされて、不均化供給物226を形成する。不均化供給物226は不均化装置206に入り、不均化生成物228が生成される。不均化(メタセシス)装置206は、低沸点範囲及び高沸点範囲の内部オレフィンを、分子の総数が本質的に変化しないままである、より有用な分子量のオレフィンの範囲に不均化することを可能にする。
【0052】
オレフィンメタセシスは、異なるオレフィン分子上の二重結合を切断し、次いでフラグメントを再結合することを伴う。例えば以下のようにである。
5 R1CH=CHR2+5 R3CH=CHR4⇔
R1CH=CHR3+R1CH=CHR4+R2CH=CHR4+R2CH=CHR3
R1CH=CHR1+R2CH=CHR2+R4CH=CHR4+R3CH=CHR3
+R1CH=CHR2+R3CH=CHR4
【0053】
得られる生成物は、元の二重結合に付加された「アーム」の統計的分布である。
【0054】
例えば、C4オレフィン及びC24オレフィンは、2つのC14オレフィンに不均化することができる。オレフィン不均化反応は平衡制御され、転化率は温度及び反応物濃度の関数である。
【0055】
不均化は、固定触媒床若しくは流動触媒床又は任意の他の移動触媒接触プロセスを使用して、バッチ式又は連続式のいずれかで行ってもよい。不均化プロセスの好ましい反応条件、例えば、温度、圧力、流量などは、特定の触媒組成、特定の供給オレフィン、所望の生成物などに応じていくらか変化し得る。このプロセスは、典型的には、150~400℃の範囲の温度及び1~50バールの範囲の圧力下で行われる。より好ましくは、200~300℃の範囲の温度が使用される。
【0056】
不均化反応のための接触時間の操作可能な範囲は、主に操作温度及び触媒の活性に依存し、触媒の活性は、表面積、促進剤濃度、活性化温度などによって影響を受ける。一般に、生成物の分布は、接触時間の変動によって劇的には変化しない。より短い接触時間は、通常、より高い温度と関連するが、より多量のより高分子量の生成物が所望される場合、接触時間及び温度の好適な組み合わせが選択される。条件及び接触時間を適切に選択することにより、所望の生成物への非常に高い転化率を得ることができる。
【0057】
不均化装置206は、複数の不均化反応器を含んでもよい。不均化反応器の数は、当業者が決定してもよい。いくつかの実施形態では、不均化装置206は、5つの不均化反応器を含み、4つの不均化反応器は、第5の不均化反応器が再生されている間並行して動作する。不均化反応器が再生を完了すると、それは生産ラインに配置され、最も長く生産ライン上にあった不均化反応器が再生に入る。他の実施形態では、複数の反応器を直列に配置してもよい。複数の反応器は、均一な大きさでなくてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、所与の不均化反応器を通るオレフィン体積流量は、最後の再生から不均化反応器が生産ラインにあった時間に依存し、すなわち、新たに再生された不均化触媒は、より長い生産ライン動作時間を有する不均化触媒よりも比例して高いオレフィン体積流量を受け取る。他の実施形態では、不均化供給物は、生産ラインの不均化反応器に均一に分配される。
【0059】
不均化装置206内の反応器は、不均化触媒で充填される。不均化触媒の実施形態は、米国特許第4,754,099号、同第4,962,263号、同第4,996,386号、同第4,956,516号及び欧州特許第0319065号に見出すことができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、不均化触媒は、アルミナ系触媒と共にモリブデン触媒を含んでもよい。
【0061】
不均化触媒の特性は以下のように定義することができる。
350Å未満の細孔径の細孔における細孔容積:全細孔容積の約10%未満、全細孔容積の8%未満、全細孔容積の約6%未満。
容積によるメジアン細孔径に相当するメジアン細孔径(MPD):約55~約95Å、約60~約80Å。
水細孔容積:約0.5超~約1.0cc/g未満、約0.55~約0.85cc/g、約0.60~約0.82cc/g。
表面積:約200m/g超、240m/g超、260m/g超。
【0062】
いくつかの実施形態において、不均化触媒はまた、約12重量%未満の6族金属及び約0~約10重量%の14族金属を含んでもよい。6族金属は、モリブデン、タングステン及びそれらの混合物からなる群から選択してもよい。いくつかの実施形態では、モリブデンの量は、約12重量%未満、約2~約10重量%、又は約4~約8重量%の範囲である。14族金属は、ケイ素であってもよい。いくつかの実施形態では、不均化触媒はケイ素を含有しない。他の実施形態では、不均化触媒は、約1~約5重量%のケイ素を含んでもよい。
【0063】
不均化触媒は、一般に、担体に金属の溶液を含浸させる含浸法、担体化合物及び金属を同時に沈殿させる共沈法、若しくは乾燥粉末を水などの適切な押出助剤と混合して押し出す共混練法、又はそれらの組み合わせなどの従来の方法に従って調製してもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、金属及び/又はケイ素は、当業者に公知の任意の好適な手段又は方法によってアルミナ系触媒に組み込まれてもよい。例えば、金属及び/又はケイ素成分は、アルミナ系触媒の凝集粒子の形成中にアルミナ系触媒のアルミナと共混練することができ、又は金属及び/若しくはケイ素成分は、含浸によってアルミナ系触媒に組み込むことができ、又は金属及び/若しくはケイ素は、方法の組み合わせによってアルミナ系触媒に組み込むことができる。金属及び/又はケイ素成分は、上述したような金属及び/又はケイ素成分の濃度を提供するような量でアルミナ系触媒に組み込まれる。組み込まれた金属成分を有するアルミナ系触媒は、不均化触媒を提供するための既知の方法に従って、乾燥され得るか、若しくは焼成され得るか、又はその両方であり得る。
【0065】
不均化は二重結合を得られたオレフィンの一端に向かってシフトさせるので、不均化生成物228は二重結合分布に関して平衡状態にはない。アルファオレフィンはより低分子量のオレフィン、すなわち「軽質分」に不均化するので、不均化供給物226中に存在するアルファオレフィンは最小限にすべきであり、さもなければ過剰量の「軽質分」(エチレン及びプロピレン)が形成される場合がある。エチレン及びプロピレンは、不均化触媒上で重合することができ、それによって、その反応性を低下させるコークスの形成をその上に誘発する。
【0066】
不均化触媒は、耐用年数を延ばすために複数回活性化されてもよい。いくつかの実施形態では、可能な活性化プロセスは、以下の工程を含む。a)C4~C10内部オレフィンからなる中間再循環流を使用する高温洗浄(約250°F(約120℃)までの温度)を、触媒床を通して流すことによって実施して、重質炭化水素及び/又はコークスの大部分を除去し、b)次いで、高温再循環流を、窒素圧を用いて触媒床から除去し、c)次にストリッピング工程を用いて、触媒床を高温窒素(約550°F(288℃)までの温度)に曝露して、残留炭化水素及び水を蒸発させ、d)温度(約750~850°F(400~455°F℃)まで)及び酸素濃度(約0.4~約0.8、空気を供給することによって2%まで)を上昇させることによって燃焼を介して除去され、及びe)酸素流を停止して、床内を循環する高温窒素をもたらす。いくつかの実施形態では、モレキュラーシーブを利用する外部乾燥剤を使用して窒素を乾燥させ、燃焼中に形成された水を除去することができる。外部乾燥剤は、使用に戻す前に触媒床から水分が除去されることを確実にする。いくつかの実施形態では、コーキングの性質に応じて、より高い温度を用いてもよい。
【0067】
ID装置におけるエチレン及びプロピレンの蓄積を最小限に抑えるために、これらの「軽質分」を排気してもよい。アルファオレフィン及び二量化分岐オレフィンは、不均化装置206において比較的非反応性であり、重質再循環流中に蓄積し、重質再循環流の反応性を低下させる。妥当な反応性を維持するために、これらの非反応性オレフィンを蒸留装置208からパージしてもよい。
【0068】
(複数の反応器から合流された)不均化生成物228は、不均化装置206から生成物蒸留装置208に送られる。いくつかの実施形態では、生成物蒸留装置は、オレフィン生成物のスレートを再循環流と共に不均化装置206又は供給物精製装置202のいずれかに提供するためのいくつかの蒸留塔を含む。いくつかの実施形態では、再循環流はまた、異性化装置204に送られてもよい。軽質再循環流234及び中間再循環流224は、不均化装置206に再循環されてもよく、重質再循環流218は、供給物精製装置202に再循環されてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、生成物蒸留装置208は、C11~12オレフィン230及びC15~16オレフィン232を生成する。他の実施形態では、生成物蒸留装置208は、C8、C9、C10内部オレフィンの混合物であるC80オレフィン、C10オレフィン、C15~16オレフィン、C15、C16、C17、C18内部オレフィンの混合物であるC15~18オレフィンを含むがこれらに限定されない生成物も生成するように当業者によって設計されてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、オレフィン不均化装置206内からの追加の内部再循環流があってもよい。これらの再循環流は、軽質再循環流(主にC4及びC5オレフィンであるが、C10オレフィンまでを含んでもよい)及び中間再循環流(C4~10内部オレフィン)を含んでもよい。
【0071】
本開示のいくつかの実施形態が上記で詳細に説明されたが、当業者は、本開示の教示から実質的に逸脱することなく多くの修正が可能であることを容易に理解するであろう。したがって、そのような修正は、特許請求の範囲において定義される本開示の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
第1の蒸留ブロック106は、低沸点範囲アルファ-オレフィン12、高沸点範囲アルファ-オレフィン14、及びアルファ-オレフィン生成物16を生成する。低沸点範囲アルファ-オレフィン12及び高沸点範囲アルファ-オレフィン14は、異性化ブロック108に送られる。異性化ブロック108は、不均化ブロック110に送られる内部オレフィン26を生成する。低沸点範囲アルファ-オレフィン12及び高沸点範囲アルファ-オレフィン14を不均一触媒上で反応させて、ある範囲の対応する内部異性体を得る。異性化されていないアルファオレフィンは、下流の不均化ブロック110において、望ましくない高分子量生成物及び非常に短鎖の生成物を減少させるために最小限に保たれる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【国際調査報告】