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特表2025-505801窒素含有複素環化合物の結晶、製造方法及び使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】窒素含有複素環化合物の結晶、製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20250220BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20250220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250220BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
C07D471/04 101
C07D471/04 CSP
A61K31/517
A61P35/00
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548614
(86)(22)【出願日】2023-02-17
(85)【翻訳文提出日】2024-10-02
(86)【国際出願番号】 CN2023076920
(87)【国際公開番号】W WO2023155899
(87)【国際公開日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】202210147592.4
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514023416
【氏名又は名称】シャンハイ ファーマシューティカルズ ホールディング カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】鞏萬春
(72)【発明者】
【氏名】李迪
(72)【発明者】
【氏名】李瑞鵬
(72)【発明者】
【氏名】段霊峻
(72)【発明者】
【氏名】夏広新
(72)【発明者】
【氏名】柯桜
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB05
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086NA11
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、窒素含有複素環化合物の結晶、製造方法及び使用を開示する。本発明は、化合物1のC型結晶を提供し、その製造方法、組成物及び医薬の製造におけるその使用を開示する。当該結晶は安定性が高く、バイオアベイラビリティーが良好である。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cu-Kα線を使用して、2θで表される粉末X線回折パターンは下記の位置:5.32±0.2°、8.42±0.2°、10.62±0.2°、11.48±0.2°、13.46±0.2°、16.14±0.2°、16.57±0.2°、16.96±0.2°、17.26±0.2°及び18.11±0.2°において回折ピークを有することを特徴とする、化合物1のC型結晶。
【化1】
【請求項2】
前記C型結晶は、
(1)前記C型結晶の2θ角で表される粉末X線回折パターンは更に下記の1つ又は複数の位置:19.42±0.2°、21.26±0.2°、22.11±0.2°、22.73±0.2°、23.05±0.2°、23.45±0.2°、25.98±0.2°、26.71±0.2°、26.89±0.2°において回折ピークを有し、好ましくは更に下記の1つ又は複数の位置:12.23±0.2°、13.00±0.2°、14.76±0.2°、20.33±0.2°、24.89±0.2°、28.50±0.2°、31.74±0.2°、34.46±0.2°、35.94±0.2°及び37.67±0.2°において回折ピークを有する条件、
(2)前記C型結晶の示差走査熱量スペクトルは213.3℃において1つの吸熱ピークを有する条件、
(3)前記C型結晶の熱重量分析スペクトルは200℃に加熱した際に重量が2.1%減少し、継続して230℃に加熱した際に重量が1.5%減少する条件、
の1つ又は複数を満たすことを特徴とする、請求項1に記載のC型結晶。
【請求項3】
前記C型結晶は、
(1)前記C型結晶の2θ角で表される粉末X線回折パターンは下記の表に示される的回折ピークを有する条件、
【表1】

(2)前記C型結晶の示差走査熱量スペクトルは213.3℃において1つの吸熱ピークを有し、融解熱は95.16J/gである条件、
(3)前記C型結晶の熱重量分析スペクトルは基本的に図6に示される通りである条件、
の1つ又は複数を満たすことを特徴とする、請求項2に記載のC型結晶。
【請求項4】
前記C型結晶は、
(1)前記C型結晶の2θ角で表される粉末X線回折パターンは基本的に図5に示される通りである条件、
(2)前記C型結晶の示差走査熱量スペクトルは基本的に図6に示される通りである条件、
の1つ又は2つを満たすことを特徴とする、請求項3に記載のC型結晶。
【請求項5】
スキーム1、
化合物1と溶媒の懸濁液を結晶化させ、化合物1のC型結晶を得るステップを含み、
【化2】

前記化合物1は、B型結晶、A型結晶、G型結晶、H型結晶、I型結晶、M型結晶及びE型結晶から選択され、前記B型結晶は、Cu-Kα線を使用して、2θで表される粉末X線回折パターンが下記の位置:7.53±0.2°、8.83±0.2°、12.72±0.2°、13.98±0.2°、14.20±0.2°、15.05±0.2°、15.44±0.2°、17.68±0.2°、18.13±0.2°、18.38±0.2°、18.86±0.2°、21.24±0.2°、22.44±0.2°及び24.54±0.2°において回折ピークを有し、前記A型結晶は、Cu-Kα線を使用して、2θで表される粉末X線回折パターンが下記の位置:5.97±0.2°、12.27±0.2°、13.30±0.2°、14.31±0.2°、16.08±0.2°、16.60±0.2°、17.93±0.2°及び20.24±0.2°において回折ピークを有し、前記G型結晶は、Cu-Kα線を使用して、2θで表される粉末X線回折パターンが下記の位置:6.41±0.2°、6.88±0.2°、8.75±0.2°、12.82±0.2°、13.38±0.2°、13.73±0.2°、16.74±0.2°、17.64±0.2°、19.24±0.2°、21.68±0.2°、22.77±0.2°、26.14±0.2°及び26.49±0.2°において回折ピークを有し、前記H型結晶はCu-Kα線を使用して、2θで表される粉末X線回折パターンが下記の位置:5.41±0.2°、6.13±0.2°、7.92±0.2°、11.19±0.2°、12.26±0.2°及び21.91±0.2°において回折ピークを有し、前記I型結晶はCu-Kα線を使用して、2θで表される粉末X線回折パターンが下記の位置:6.80±0.2°、7.22±0.2°、8.03±0.2°、8.35±0.2°、9.70±0.2°、10.28±0.2°及び19.84±0.2°において回折ピークを有し、前記M型結晶はCu-Kα線を使用して、2θで表される粉末X線回折パターンが下記の位置:5.52±0.2°、7.96±0.2°、9.41±0.2°、13.36±0.2°、14.68±0.2°、17.93±0.2°、18.70±0.2°、25.75±0.2°、26.11±0.2°及び26.50±0.2°において回折ピークを有し、前記E型結晶はCu-Kα線を使用して、2θで表される粉末X線回折パターンが下記の位置:6.07±0.2°、8.97±0.2°、9.32±0.2°、9.87±0.2°、13.05±0.2°、13.27±0.2°、14.09±0.2°、15.78±0.2°、16.98±0.2°、18.27±0.2°、18.47±0.2°、21.26±0.2°、22.41±0.2°において回折ピークを有し、
前記化合物1がA型結晶、G型結晶、H型結晶、I型結晶、M型結晶及びE型結晶から選択される場合、前記溶媒は、アセトン又はアセトン/水であり、
前記化合物1がB型結晶である場合、前記溶媒はアセトニトリル又はエタノールであり、或いは
スキーム2、
化合物1を溶媒中で結晶化させ、化合物1のC型結晶を得るステップを含み、前記溶媒は、アルコール系溶媒であり、好ましくはエタノール又はイソプロパノールである、
ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のC型結晶の製造方法。
【請求項6】
前記スキーム1において、前記製造方法は、
(1)前記溶媒がアセトン/水である場合、アセトンと水の体積比は986:14~950:50である条件、
(2)前記化合物1がA型結晶、G型結晶、H型結晶、I型結晶、M型結晶及びE型結晶うちの1つである場合、前記結晶化温度は20~30℃である条件、
(3)前記化合物1がB型結晶である場合、前記結晶化温度は20~50℃であり、例えば、20~30℃である条件、
の1つ又は複数を満たすことを特徴とする、請求項5に記載のC型結晶の製造方法。
【請求項7】
前記スキーム2において、前記製造方法は、
(1)前記化合物1と前記溶媒の質量体積比は100mg:2mLである条件、
(2)前記結晶化温度は50~60℃であり、好ましくは55℃である条件、
(3)前記結晶化時間は24hである条件、
の1つ又は複数を満たすことを特徴とする、請求項5に記載のC型結晶の製造方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のC型結晶及び医薬補助剤を含む、医薬組成物。
【請求項9】
癌及び/又はEGFR及び/又はErbB2受容体チロシンキナーゼを阻害することによって治療される疾患を治療するための医薬の製造における請求項1~7のいずれか一項に記載のC型結晶の使用であって、例えば、ErbB2受容体チロシンキナーゼの選択的阻害によって治療される疾患の治療であり、前記癌及び前記疾患は、乳癌、胃癌、卵巣癌、肺癌であってもよく、前記C型結晶は治療有効量であってもよい、使用。
【請求項10】
EGFR及び/又はErbB2受容体チロシンキナーゼ阻害剤の製造における請求項1~7のいずれか一項に記載のC型結晶の使用であって、前記EGFR及び/又はErbB2受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、選択的ErbB2受容体チロシンキナーゼ阻害剤であってもよい、使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は出願日が2022年2月17日である中国特許出願2022101475924の優先権を主張する。本出願は上記の中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
[技術分野]
本発明は、窒素含有複素環化合物の結晶、製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
窒素含有複素環化合物1、その化学名は(R,Z)-N-(4-((4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オキソ)-3-トルエン)アミン)-7-エトキシキナゾリン-6-イル)-2-フルオロ-3-(1-メチルピロリジン-2-イル)アクリルアミドであり、その分子式はC3131FNであり、その構造式は下記に示される通りである。
【0004】
【化1】
【0005】
CN109422755、WO2019042409は、当該窒素含有複素環化合物及びその製造方法を開示した。特許に開示された方法によって製造された化合物1は、固体状態特性が理想的ではない黄色の泡状固体であった。また、化合物1はEGFRキナーゼ阻害活性を弱めるか、又はErbB2標的に対して選択的である小分子阻害剤であることを示している。
【発明の概要】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、先行技術における(R,Z)-N-(4-((4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オキソ)-3-トルエン)アミン)-7-エトキシキナゾリン-6-イル)-2-フルオロ-3-(1-メチルピロリジン-2-イル)アクリルアミドの固体状態特性が理想的ではない欠点を克服するための、安定性が高く、バイオアベイラビリティーが良好である前記化合物の結晶、製造方法及び使用を提供する。
【0007】
本発明は、下記の技術的解決手段を通じて上記の技術的問題を解決する。
【0008】
本発明は、化合物1のC型結晶を提供する。
【0009】
【化2】
【0010】
前記C型結晶は、Cu-Kα線を使用して、2θで表される粉末X線回折パターンが下記の位置:5.32±0.2°、8.42±0.2°、10.62±0.2°、11.48±0.2°、13.46±0.2°、16.14±0.2°、16.57±0.2°、16.96±0.2°、17.26±0.2°及び18.11±0.2°において回折ピークを有する。
【0011】
ある1つの実施形態において、前記C型結晶は、2θ角で表される粉末X線回折パターンが更に下記の1つ又は複数の位置:19.42±0.2°、21.26±0.2°、22.11±0.2°、22.73±0.2°、23.05±0.2°、23.45±0.2°、25.98±0.2°、26.71±0.2°、26.89±0.2°において回折ピークを有し、好ましくは下記の1つ又は複数の位置:12.23±0.2°、13.00±0.2°、14.76±0.2°、20.33±0.2°、24.89±0.2°、28.50±0.2°、31.74±0.2°、34.46±0.2°、35.94±0.2°及び37.67±0.2°において回折ピークを有する。
【0012】
ある1つの実施形態において、前記C型結晶は、2θ角で表される粉末X線回折パターンが下記の表に示される的回折ピークを有する。
【0013】
【表1】
【0014】
ある1つの実施形態において、前記C型結晶の2θ角で表される粉末X線回折パターンは基本的に図5に示される通りである。
【0015】
ある1つの実施形態において、前記C型結晶の示差走査熱量スペクトルは213.3℃(開始温度)において1つの吸熱ピークを有する。
【0016】
ある1つの実施形態において、前記C型結晶の示差走査熱量スペクトルは213.3℃(開始温度)において1つの吸熱ピークを有し、融解熱は95.16J/gである。
【0017】
ある1つの実施形態において、前記C型結晶の示差走査熱量スペクトルは基本的に図6に示される通りである。
【0018】
ある1つの実施形態において、前記C型結晶の熱重量分析スペクトルは200℃に加熱した際に重量が2.1%減少し、継続して230℃に加熱した際に重量が1.5%減少する。
【0019】
ある1つの実施形態において、前記C型結晶の熱重量分析スペクトルは基本的に図6に示される通りである。
【0020】
本発明は更に、スキーム1又はスキーム2である上記のC型結晶の製造方法を提供する。
【0021】
スキーム1は、化合物1と溶媒との懸濁液を結晶化させ、化合物1のC型結晶を得るステップを含み、
【0022】
【化3】
【0023】
前記化合物1は、B型結晶、A型結晶、G型結晶、H型結晶、I型結晶、M型結晶及びE型結晶うちの1つであり、前記B型結晶は、Cu-Kα線を使用して、2θで表される粉末X線回折パターンが下記位置:7.53±0.2°、8.83±0.2°、12.72±0.2°、13.98±0.2°、14.20±0.2°、15.05±0.2°、15.44±0.2°、17.68±0.2°、18.13±0.2°、18.38±0.2°、18.86±0.2°、21.24±0.2°、22.44±0.2°及び24.54±0.2°において回折ピークを有する。前記A型結晶は、Cu-Kα線を使用して、2θで表される粉末X線回折パターンが下記位置:5.97±0.2°、12.27±0.2°、13.30±0.2°、14.31±0.2°、16.08±0.2°、16.60±0.2°、17.93±0.2°及び20.24±0.2°において回折ピークを有する。前記G型結晶は、Cu-Kα線を使用して、2θで表される粉末X線回折パターンが下記位置:6.41±0.2°、6.88±0.2°、8.75±0.2°、12.82±0.2°、13.38±0.2°、13.73±0.2°、16.74±0.2°、17.64±0.2°、19.24±0.2°、21.68±0.2°、22.77±0.2°、26.14±0.2°及び26.49±0.2°において回折ピークを有する。前記H型結晶は、Cu-Kα線を使用して、2θで表される粉末X線回折パターンが下記位置:5.41±0.2°、6.13±0.2°、7.92±0.2°、11.19±0.2°、12.26±0.2°及び21.91±0.2°において回折ピークを有する。前記I型結晶は、Cu-Kα線を使用して、2θで表される粉末X線回折パターンが下記位置:6.80±0.2°、7.22±0.2°、8.03±0.2°、8.35±0.2°、9.70±0.2°、10.28±0.2°及び19.84±0.2°において回折ピークを有する。前記M型結晶は、Cu-Kα線を使用して、2θで表される粉末X線回折パターンが下記位置:5.52±0.2°、7.96±0.2°、9.41±0.2°、13.36±0.2°、14.68±0.2°、17.93±0.2°、18.70±0.2°、25.75±0.2°、26.11±0.2°及び26.50±0.2°において回折ピークを有する。前記E型結晶は、Cu-Kα線を使用して、2θで表される粉末X線回折パターンが下記位置:6.07±0.2°、8.97±0.2°、9.32±0.2°、9.87±0.2°、13.05±0.2°、13.27±0.2°、14.09±0.2°、15.78±0.2°、16.98±0.2°、18.27±0.2°、18.47±0.2°、21.26±0.2°、22.41±0.2°において回折ピークを有する。
【0024】
前記化合物1がA型結晶、G型結晶、H型結晶、I型結晶、M型結晶及びE型結晶うちの1つである場合、前記溶媒はアセトン又はアセトン/水である。
【0025】
前記化合物1がB型結晶である場合、前記溶媒はアセトニトリル又はエタノールである。
【0026】
スキーム2は、化合物1を溶媒中で結晶化させ、化合物1のC型結晶を得るステップを含み、前記溶媒は、アルコール系溶媒であり、好ましくはエタノール又はイソプロパノールである。
【0027】
前記C型結晶の製造方法において、前記スキーム1を使用し、前記溶媒がアセトン/水である場合、アセトンと水の体積比は、986:14~950:50である。
【0028】
前記C型結晶の製造方法において、前記スキーム1を使用し、前記化合物1がA型結晶、G型結晶、H型結晶、I型結晶、M型結晶及びE型結晶うちの1つである場合、前記結晶化温度は、20~30℃(室温)である。
【0029】
前記C型結晶の製造方法において、前記スキーム1を使用し、前記化合物1がB型結晶である場合、前記結晶化温度は、20~50℃であり、例えば、20~30℃(室温)である。
【0030】
前記C型結晶の製造方法において、前記スキーム2を使用する場合、前記化合物1と前記溶媒の質量体積比は100mg:2mLである。
【0031】
前記C型結晶の製造方法において、前記スキーム2を使用する場合、前記結晶化温度は、50~60℃であり、好ましくは55℃である。
【0032】
前記C型結晶の製造方法において、前記スキーム2を使用する場合、前記結晶化時間は24時間である。
【0033】
本発明は更に、上記のC型結晶及び医薬補助剤を含む医薬組成物を提供する。
【0034】
本発明は更に、癌及び/又はEGFR及び/又はErbB2受容体チロシンキナーゼを阻害することによって治療される疾患を治療するために使用される医薬の製造における上記C型結晶の使用であって、例えば、ErbB2受容体チロシンキナーゼの選択的阻害によって治療される疾患の治療であり、前記癌及び前記疾患は、乳癌、胃癌、卵巣癌、肺癌などであってもよく、前記C型結晶は治療有効量であってもよい使用を提供する。
【0035】
本発明は更に、EGFR及び/又はErbB2受容体チロシンキナーゼ阻害剤の製造における上記C型結晶の使用を提供する。前記EGFR及び/又はErbB2受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、選択的ErbB2受容体チロシンキナーゼ阻害剤であってもよい。
【0036】
本発明において、「室温」は20~30℃を指す。
【0037】
前記好ましい条件は、当分野の通常の知識を違反しない限り、任意に組み合わせて、本発明の各々の好ましい実施例を得ることができる。
【0038】
本発明で使用される試薬及び原料は市販品として入手できる。
【0039】
本発明の積極的な進歩効果は:先行技術における(R,Z)-N-(4-((4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オキソ)-3-トルエン)アミン)-7-エトキシキナゾリン-6-イル)-2-フルオロ-3-(1-メチルピロリジン-2-イル)アクリルアミドの固体状態特性が理想的ではないという欠点を克服し、安定性が高く、バイオアベイラビリティーが良好である前記化合物の結晶を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】A型結晶のXRPDパターンである。
図2】A型結晶のTGA/DSCパターンである。
図3】B型結晶のXRPDパターンである。
図4】B型結晶のTGA/DSCパターンである。
図5】C型結晶のXRPDパターンである。
図6】C型結晶のTGA/DSCパターンである。
図7】D型結晶のXRPDパターンである。
図8】E型結晶のXRPDパターンである。
図9】E型結晶のTGA/DSCパターンである。
図10】F型結晶のXRPDパターンである。
図11】F型結晶のTGA/DSCパターンである。
図12】G型結晶のXRPDパターンである。
図13】G型結晶のTGA/DSCパターンである。
図14】H型結晶のXRPDパターンである。
図15】H型結晶のTGA/DSCパターンである。
図16】I型結晶のXRPDパターンである。
図17】I型結晶のTGA/DSCパターンである。
図18】J型結晶のXRPDパターンである。
図19】K型結晶のXRPDパターンである。
図20】L型結晶のXRPDパターンである。
図21】M型結晶のXRPDパターンである。
図22】M型結晶のTGA/DSCパターンである。
図23】B型結晶及びC型結晶の懸濁液競合のXRPD比較図である。
図24】C/A/G/H/I/M/E型結晶の混合懸濁液競合のXRPD比較図である。
図25】C型結晶の安定性試験のXRPD比較図である。
図26】非結晶XRPDパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、実施例の形態によってさらに本発明を説明するが、これによって本発明を当該実施例の範囲内に限定するわけではない。
【0042】
本発明で使用される略語は下記のように説明される。
【0043】
XPRD-粉末X線回折
TGA-熱重量分析
DSC-示差走査熱量分析
DVS-動的水分吸脱着分析
その試験条件は下記に示される通りである。
【0044】
XRPD
本出願に記載の粉末X線回折パターンはPANalytical Empyrean型粉末X線回折装置及びPANalytical X’Pert型粉末X線回折装置で収集された。
【0045】
Empyrean型粉末X線回折方法のパラメーターは下記に示される通りである。
【0046】
X線タイプ:Cu、Kα
Kα1(Å):1.540598;Kα2(Å):1.544426
Kα2/Kα1強度比率:0.50
電圧:45キロボルト(kV)
電流:40ミリアンペア(mA)
発散スリット:自動
走査モード:連続
走査範囲:3.0~40.0度
ステップあたりの走査時間:17.780秒
ステップ幅:0.0167度
PANalytical X’Pert型粉末X線回折方法のパラメーターは下記に示される通りである。
【0047】
X線タイプ:Cu、Kα
Kα1(Å):1.540598;Kα2(Å):1.544426
Kα2/Kα1強度比率:0.50
電圧:45キロボルト(kV)
電流:40ミリアンペア(mA)
発散スリット:1/16度
走査モード:連続
走査範囲:3.0~40.0度
ステップあたりの走査時間:46.665秒
ステップ幅:0.0263度
DSC
本出願に記載の示差走査熱量分析(DSC)データはTA Instruments Q200型及びTA Instruments Q2000型示差走査熱量計から取得し、機器制御ソフトウェアはQ Seriesであり、分析ソフトウェアはUniversal Analysisである。通常、1~10mgの試料を蓋付きのアルミニウムるつぼ(特に指定のない限り)に入れ、10℃/minの昇温速度で50mL/minの乾燥Nの保護下で試料を室温から300℃に昇温させ、同時にTAソフトウェアは、加熱過程における試料の熱変化を記録する。本出願において、融点は開始温度として報告される。
【0048】
TGA
本出願に記載の熱重量分析(TGA)データはTA Instruments Q500型及びTA Instruments Q5000型熱重量分析計から取得し、機器制御ソフトウェアはQ Seriesであり、分析ソフトウェアはUniversal Analysisである。通常、2~15mgの試料を白金るつぼに入れ、分割高分解能検出法を使用して、10℃/minの昇温速度で50mL/minの乾燥Nの保護下で試料を室温から400℃に昇温させ、同時にTAソフトウェアは、加熱過程における試料の重量変化を記録する。
【0049】
DVS
本出願に記載の動的水分吸着図はSMS社のIntrinsic型及びIntrinsic Plus型動的水分吸着装置で収集されたものである。本発明に記載の動的水分吸着試験方法のパラメータは下記に示される通りである。
【0050】
温度:25℃
保護ガスと流量:N、200ml/min
dm/dt:0.002%/分
最小dm/dt平衡化時間:10分
最大平衡化時間:180分
相対湿度範囲:0%RH~95%RH~0%RH
相対湿度勾配:10%(0%RH~90%RH~0%RH)、5%(90%RH~95%RH及び95%RH~90%RH)
化合物1の非結晶形態の製造実施例:
実施例1:
化合物1の構造は下記に示される通りであり、その非結晶形態は特許CN109422755、WO2019042409の実施例45を参照して製造した。前記非結晶は固体状態特性が理想的ではない黄色の泡状固体であり、そのXRPDは図26に示される通りである。
【0051】
【化4】
【0052】
結晶の製造実施例:
実施例1(化合物1のA型結晶)
100mgの化合物1B型結晶を1mLのEtOAcで、室温で5日間懸濁し、撹拌して製造し、得られた固体のXRPDは図1に示される通りである。そのTGA及びDSCパターンは図2に示される通りであり、TGAデータは前記結晶試料が200℃に加熱させた際に重量が6.4%減少し、DSCでは137.2℃及び214.7℃(ピーク温度)に2つの吸熱ピークがあることを示し、結果は、得られた固体生成物が本出願に記載のA型結晶であることを示した。
【0053】
【表2】
【0054】
実施例2(化合物1のB型結晶)
100mgの化合物1の非結晶を1mlのアセトンで、室温で2時間撹拌して結晶化させ、得られた固体の粉末X線回折データは表2に示される通りであり、そのXRPD図は図3に示される通りであり、TGA/DSCは図4に示される通りであり、前記試料は室温から100℃に加熱させ、重量が0.7%減少し、継続して220℃に加熱させ、重量が2.3%減少し、165.2℃(開始温度)において1つの吸熱ピークを有し、試料の融解シグナルと推定され、結果では、得られた固体生成物が本出願に記載のB型結晶であることを示している。
【0055】
【表3】
【0056】
実施例3(化合物1のC型結晶)
100mgの化合物1の非結晶を2mlのエタノールで、50~60℃で24時間撹拌して結晶化させ、得られた固体の粉末X線回折データは表3に示される通りであり、そのXRPD図は図5に示される通りであり、TGA/DSC結果は図6に示される通りであり、前記試料は室温から200℃に加熱させ、重量が2.1%減少し、継続して230℃に加熱させ、重量が1.5%減少し、213.3℃(開始温度)において1つの吸熱ピークを有し、試料の融解のシグナルと推定され、融解熱は95.16J/gであり、結果では、得られた固体生成物が本出願に記載のC型結晶であることを示している。
【0057】
【表4】
【0058】
実施例4(D型結晶)
5mgの化合物1の非結晶を1mlの2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)で、50℃で4日間撹拌して結晶化させ、得られた固体の粉末X線回折データは表4に示される通りであり、そのXRPD図は図7に示される通りであり、結果では、得られた固体生成物が本出願に記載のD型結晶であることを示している。
【0059】
【表5】
【0060】
実施例5(E型結晶)
100mgの化合物1のB型結晶を1mLのアセトン/HO(605:395、v/v)で、室温で3日間懸濁して撹拌し、繰り返して製造し、得られた固体の粉末X線回折データは表5に示される通りであり、そのXRPD図は図8に示される通りであり、TGA/DSC結果は図9に示される通りであり、試料は室温から135℃に加熱させ、重量が6.0%減少し、85.8℃(ピーク温度)、160.0℃(ピーク温度)に2つの吸熱ピークがあることを示し、結果では、得られた固体生成物が本出願に記載のE型結晶であることを示した。
【0061】
【表6】
【0062】
実施例6(F型結晶)
2mgの化合物1のB型結晶を1mLのアセトン/HO(605:395、v/v)で、室温で1日間懸濁して撹拌し、製造して得られた固体の粉末X線回折データは表6に示される通りであり、そのXRPD図は図10に示される通りであり、TGA/DSC結果は図11に示される通りであり、試料は室温から140℃に加熱させ、試料の重量が13.2%減少し、80.7℃(開始温度)に1つの吸熱ピークがあることを示し、結果では、得られた固体生成物が本出願に記載のF型結晶であることを示した。
【0063】
【表7】

【0064】
実施例7(G型結晶)
100mgの化合物1のB型結晶を秤量し、21mLのCHCl/MeOH(1:20、v/v)を加えて試料を溶解させ、試料を濾過し、パラフィルムで密封し、いくつかの小さな穴を開け、ドラフト内に置き、室温で自然に揮発させ、得られた固体の粉末X線回折データは表7に示される通りであり、そのXRPD図は図12に示される通りであり、TGA/DSC結果は図13に示される通りであり、試料は室温から125℃に加熱させ、試料の重量が9.6%減少し、83.0℃及び146.6℃(ピーク温度)に2つの吸熱ピークがあることを示し、結果では、得られた固体生成物が本出願に記載のG型結晶であることを示した。
【0065】
【表8】
【0066】
実施例8(H型結晶)
100mgの化合物1のB型結晶を1mLの水で、50℃で4日間懸濁して撹拌し、製造して得られた固体の粉末X線回折データは表8に示される通りであり、そのXRPD図は図14に示される通りであり、TGA/DSC結果は図15に示される通りであり、試料は室温から150℃に加熱させ、試料の重量が15.3%減少し、DSC結果では試料が83.7℃(ピーク温度)に1つの吸熱ピークがあることを示し、結果では、得られた固体生成物が本出願に記載のH型結晶であることを示した。
【0067】
【表9】
【0068】
実施例9(I型結晶)
100mgの化合物1のB型結晶を秤量し、8mLのCHCl/IPA(1:3、v/v)を加えて試料を溶解させ、試料を濾過し、パラフィルムで密封し、いくつかの小さな穴を開け、ドラフト内に置いて自然に揮発させ、得られた固体の粉末X線回折データは表9に示される通りであり、そのXRPD図は図16に示される通りであり、TGA/DSC結果は図17に示される通りであり、前記試料は室温から150℃に加熱させ、重量が15.2%減少し、DSC結果では95.5℃(ピーク温度)に1つの吸熱ピークがあることを示し、結果では、得られた固体生成物が本出願に記載のI型結晶であることを示した。
【0069】
【表10】

【0070】
実施例10(J型結晶)
20mgの化合物1のB型結晶に0.2mLのジメチルスルホキシド(DMSO)を加えて試料を溶解させ、得られた試料を濾過し、磁気撹拌しながらフラスコに5mLのMIBK(4-メチル-2-ペンタノン)を一滴ずつ加え、試料を室温で固体が生成するまで敞口揮発し、得られた固体の粉末X線回折データは表10に示される通りであり、そのXRPD図は図18に示される通りであり、結果では、得られた固体生成物が本出願に記載のJ型結晶であることを示した。
【0071】
【表11】
【0072】
実施例11(K型結晶)
100mgの化合物1のB型結晶を秤量し、20mLのCHCl/MeOH(1:20、v/v)を加えて試料を溶解させ、試料を濾過し、固体が生成するまで敞口揮発し、得られた固体の粉末X線回折データは表11に示される通りであり、そのXRPD図は図19に示される通りであり、結果では、得られた固体生成物が本出願に記載のK型結晶であることを示した。
【0073】
【表12】
【0074】
実施例12(L型結晶)
実施例5で得られたE型結晶を窒素ガスで10分間パージし、得られた固体の粉末X線回折データは表12に示される通りであり、そのXRPD図は図20に示される通りであり、結果では、得られた固体生成物が本出願に記載のL型結晶であることを示している。
【0075】
【表13】
【0076】
実施例13(M型結晶)
100mgの化合物1のB型結晶を1mLのアセトン/HO(605:395、v/v)で、室温で6日間懸濁して撹拌し、製造して得られた固体の粉末X線回折データは表13に示される通りであり、そのXRPD図は図21に示される通りであり、TGA/DSC結果は図22に示される通りであり、試料は室温から135℃に加熱させ、試料の重量が6.9%減少し、81.6℃(開始温度)及び157.6℃(開始温度)に2つの吸熱ピークがあることを示し、結果では、得られた固体生成物が本出願に記載のM型結晶であることを示した。
【0077】
【表14】
【0078】
結晶変換関係実施例
実施例1 B型結晶及びC型結晶の懸濁競合試験
2つの結晶をアセトニトリル及びエタノールで、室温及び50℃下での懸濁競合試験を実行し、試験の結果を表14にまとめた。具体的なステップは下記に示される通りである。
【0079】
1)室温及び50℃の条件で、B型結晶をそれぞれアセトニトリル及びエタノールでの飽和溶液を製造して濾過するステップ、
2)0.5mLの各飽和溶液:B型結晶のエタノール及びアセトニトリル溶液に約5mgのB型結晶及びC型結晶を加え、得られた懸濁液を室温及び50℃の条件でそれぞれ2日間懸濁撹拌するステップ、
3)分離して得られた固体試験XRPDは図23に示される通りである。
【0080】
実施例2 C/A/G/H/I/M/E型結晶の懸濁競合試験
C/A/G/H/I/M/E型結晶を室温で、異なる体積比のアセトン/HO混合溶液(986/14、v/v及び950/50、v/v)反応系又はアセトン中の懸濁競合試験を実行し、試験結果は表14にまとめた。具体的なステップは下記に示される通りである。
【0081】
1)室温条件下でC/A/G/H/I/M/E型結晶の各溶媒反応系における飽和溶液を製造して濾過するステップ、
2)0.5mLの各飽和溶液に約5mgのC/A/G/H/I/M/E型結晶を加え、得られた懸濁液を室温で一晩懸濁撹拌するステップ、
3)分離して得られた固体試験XRPDは図24に示される通りである。
【0082】
【表15】
【0083】
結論:図23及び図24のXRPD比較結果によると、各反応系で得られた固体試料はいずれもC型結晶であり、C型結晶がより安定な結晶であると推測された。
【0084】
C型結晶の物理化学的安定性の評価
実施例1
C型結晶の物理化学的安定性を評価するために、それぞれ約20mgの化合物1のC型結晶を秤量し、60℃で、密封状態で1日間放置し、25℃/60%のRH、40℃/75%のRH条件で、開放(パラフィルムで密封、パラフィルムにいくつかの穴を開ける)状態で1週間放置した。異なる条件下に置かれた固体試料は、それぞれ化学的安定性を評価するためにUPLCによって純度を試験し、物理的安定性を評価するためにXRPDによって結晶を試験した。評価結果は表15にまとめた通りである:3つの試験条件下で、C型結晶ではいずれも結晶変換が起こらず、XRPDの結果は図25に示される通りであり、試料は60℃で1日間放置し、25℃/60%のRH及び40℃/75%のRHの条件で1週間放置した後有意な分解(具体的な純度の変化は表16に示される通りである)は発生しなかった。
【0085】
【表16】
【0086】
【表17】
【0087】
結論:C型結晶は、60℃で1日間放置し、25℃/60%のRH及び40℃/75%のRHの条件で1週間放置した後物理化学的安定性が良好であることが示された。
【0088】
効果実施例1 異なる結晶を投与したラットの体内における吸収比較
SDラットにそれぞれ異なる結晶を胃内投与し、それぞれ投与前と投与後の5、15、30、60、90、120、240、360、480、600、1440分に、ラットの眼底静脈叢から0.4mLの血液を採取した。血液試料を8000rpmで5分間遠心分離し、上層の血漿を分離し、50μLの血漿試料に300μLの内部標準を含むアセトニトリル(Propranolol、25ng/ml)を加えてタンパク質を沈殿させ、10分間ボルテックスし、6000g、4℃で20分間遠心分離し、20μLの上清を取り、80μLの超純水を加えて希釈し、遠心分離して80μLの上清を96ウェルプレートに注入した。LC/MS/MSで得られた血漿薬物濃度を検出し、対応する薬物動態パラメーターを計算し、表17に示される通りである。
【0089】
【表18】
【0090】
結論:本実験ではそれぞれ非結晶、A型結晶、B型結晶、C型結晶及びM型結晶を8mg/kgの投与量でラットに胃内投与し、結果ではC型結晶の薬物動態パラメータが最も優れていることを示した。
【0091】
効果実施例2 EGFR/ErbB2の酵素実験
まず、キナーゼに必要な1×反応緩衝液を製造し、脱イオン水を使用してHTRF kinEASE-TK kitの5×酵素緩衝液(20mMのHEPES PH7.0、0.1%のNaN3、0.05%のBSA、0.5mMのオルトバナジン酸ナトリウム)を1倍に希釈し、同時に50nMのSupplement酵素緩衝液(SEB reagent)、1mMのMnCl、5mMのMgCl、1mMのDTTを加えた。ステップ2は5×化合物を製造し、10mMの試験化合物(実施例3で得られたC型結晶)のストック溶液を取り、96ウェル化合物プレート中で、DMSOを使用して化合物を複数のステップで希釈し、初期濃度100×の化合物を得、その後、当該濃度の化合物を第一濃度として使用し、DMSOを使用して3倍の勾配希釈を実行し、合計10個の濃度に希釈した。次に、それぞれ1μlの勾配希釈溶液を19μlの1×反応緩衝液に加え、5×化合物として製造して準備した。その後、2μlの5×化合物を96ウェルプレートから384ウェルプレートに移した。化合物無添加対照ウエルに下記の液を2μl加えた:1μlのDMSOに19μlの1×反応緩衝液を加えた。ブランク対照ウエルに2μlの250mMのEDTAを加えた。ステップ3の酵素反応段階では、1×反応緩衝液を使用してキナーゼ、基質(TK Substrate-biotin)、ATPをそれぞれ2.5×の酵素/基質混合溶液及び2.5×のATP溶液に製造した。ErbB2キナーゼ(Sigma E2645-500UN)の最終濃度は:0.06ng/μlであり、ATPの最終濃度は:4μMであり、EGFRキナーゼ(Carna 08-016)の最終濃度は:0.06units/μlであり、ATPの最終濃度は:1.65μMであり、384ウェルプレートに4μlの2.5×の酵素/基質混合溶液を加え、室温で5分間培養し、更に、各ウェルに4μlの2.5×ATP溶液を加え、室温で30分間反応させた。ステップ4の反応停止段階では、HTRF Detection bufferを使用して2×のTK Antibody-Eu(K)とSa-XL665の混合溶液を製造し、TK Antibody-Eu(K)の投与量は検出ウェルあたり5μlであった。酵素反応を30分間実行した後、384ウェルプレートに10μlの上記液体を加え、室温で1時間反応させた。EnVisionTMでデータの測定を実行し、励起光として波長337nMのレーザーを使用し、RFU665nM及びRFU620nMを測定し、RFU665nM/RFU620nM×10000を最終データとして分析した。
【0092】
【表19】
【0093】
以上では本発明の具体的な実施様態を記載したが、当業者は、これらが単なる例であり、本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって限定されることを理解すべきである。当業者は、本発明の原理及び本質から逸脱しない限り、これらの実施形態に様々な変更又は修正を行うことができるが、これらの変更又は修正は全て本発明の保護範囲に含まれるものである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11
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【国際調査報告】