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特表2025-505811固定装置、固定装置を含むキット、及び固定装置をユーザの皮膚に固定する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】固定装置、固定装置を含むキット、及び固定装置をユーザの皮膚に固定する方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/02 20060101AFI20250220BHJP
【FI】
A61M25/02 502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548690
(86)(22)【出願日】2023-02-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 IB2023051418
(87)【国際公開番号】W WO2023161772
(87)【国際公開日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】63/312,425
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524062087
【氏名又は名称】ソルベンタム インテレクチュアル プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】クリスタル ジェイ.シャイベル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エム.シーラッキ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA33
4C267BB07
4C267BB24
4C267BB31
4C267BB38
4C267CC01
4C267GG02
4C267GG14
4C267GG21
4C267GG36
(57)【要約】
医療機器(14)の管腔(12)を固定するための固定装置(100)は、ユーザの皮膚に取り外し可能に固定されるように構成された本体(110)を含む。本体は、第1のキャビティ面(118)を含む第1の本体部分(112)と、第1のキャビティ面に枢動可能に結合された第2のキャビティ面(148)を含む第2の本体部分(142)と、を含む。第1及び第2のキャビティ面は共にキャビティ(170)を画定する。固定装置は、本体に固定的に結合され、キャビティ内に少なくとも部分的に受け入れられたインサート(180)を更に含む。インサートは、医療機器の管腔を受け入れられるように構成された溝(184)を含む。本体は、開放構成と閉鎖構成との間で変形可能であり、インサートは、対応して解放状態と固定状態との間で変形可能である。解放状態では、溝は、その中に管腔を受け入れるように構成されている。固定状態では、管腔は溝内に固定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器の少なくとも1つの管腔を固定するための固定装置であって、前記固定装置は、
第1の弾性率を有し、ユーザの皮膚に取り外し可能に固定されるように構成された本体であって、前記本体は、
第1の上面と、前記第1の上面の反対側を向いている第1の下面と、前記第1の上面から部分的に前記第1の下面に向かって延びる第1のキャビティ面と、を含む第1の本体部分と、
前記第1の本体部分に枢動可能に結合された第2の本体部分であって、前記第2の本体部分は、前記第1の上面から離隔された第2の上面と、第1の枢動インターフェースに沿って前記第1の下面に枢動可能に結合された第2の下面と、前記第2の上面から部分的に前記第2の下面に向かって延びる第2のキャビティ面とを含み、前記第2のキャビティ面は、前記第1の枢動インターフェースから離隔された第2の枢動インターフェースに沿って前記第1のキャビティ面に枢動可能に結合され、前記第1のキャビティ面及び前記第2のキャビティ面は共に、前記第1の上面と前記第2の上面との間に配置された前記本体のキャビティを画定する、第2の本体部分と、を備える本体と、
前記本体に固定的に結合され、前記本体の前記キャビティ内に少なくとも部分的に受け入れられたインサートであって、前記インサートは、少なくとも前記第1の本体部分の前記第1のキャビティ面と、前記第2の本体部分の前記第2のキャビティ面と、前記第2の枢動インターフェースとに係合し、その長さに沿って溝を備え、前記第1の弾性率よりも小さい第2の弾性率を有し、前記溝内に前記少なくとも1つの管腔を少なくとも部分的かつ取り外し可能に受け入れるように構成されている、インサートと、を備え、
前記本体は、開放構成と閉鎖構成との間で変形可能であり、前記インサートは、前記開放構成と前記閉鎖構成との間の前記本体の変形に基づいて、解放状態と固定状態との間で変形可能であり、前記インサートの前記解放状態は、前記本体の前記開放構成に対応し、前記インサートの前記固定状態は、前記本体の前記閉鎖構成に対応し、
前記本体の前記開放構成において、
前記第1の本体部分の前記第1の下面及び前記第2の本体部分の前記第2の下面は、前記第1の枢動インターフェースにおいて互いに対して傾斜しており、
前記インサートは、前記解放状態にあり、その結果、前記溝が前記少なくとも1つの管腔をその中に取り外し可能にかつ少なくとも部分的に受け入れるように構成されており、
前記本体の前記閉鎖構成において、
前記第1の本体部分の前記第1の下面及び前記第2の本体部分の前記第2の下面は、前記第1の枢動インターフェースにおいて互いに実質的に平行であり、
前記インサートは、前記少なくとも1つの管腔が前記溝内に固定されるように、前記固定状態にある、固定装置。
【請求項2】
第1の主表面と、前記第1の主表面の反対側を向いている第2の主表面とを備える基部を更に備え、前記第1の主表面は、前記第1の本体部分の前記第1の下面及び前記第2の本体部分の前記第2の下面に固定的に結合され、前記第2の主表面は、前記ユーザの前記皮膚に少なくとも部分的に係合して取り外し可能に固定されるように構成されており、前記基部は、前記開放構成と前記閉鎖構成との間の前記本体の前記変形に基づいて変形可能であり、前記基部は、前記本体の前記開放構成において曲線形状を有し、前記基部は、前記本体の前記閉鎖構成において実質的に平面形状を有する、請求項1に記載の固定装置。
【請求項3】
前記基部は、
伸縮性ポリマー材料を含み、前記第1の主表面を形成する基部本体と、
前記本体の反対側を向いている前記基部本体上に配置され、前記第2の主表面を少なくとも部分的に形成する接着剤層であって、前記接着剤層は伸張剥離接着剤を含む、接着剤層と、を備える、
請求項2に記載の固定装置。
【請求項4】
前記基部は、前記基部の外周に配置され、前記接着剤層を含まない1つ以上のプルタブを更に備え、前記1つ以上のプルタブが、前記基部を前記皮膚から取り外すために把持されるように構成されている、請求項3に記載の固定装置。
【請求項5】
前記基部の前記第2の主表面の面積は、前記第1の本体部分の前記第1の下面及び前記第2の本体部分の前記第2の下面のそれぞれの面積の合計よりも大きい、請求項2に記載の固定装置。
【請求項6】
前記基部の前記第2の主表面に取り外し可能に固定された剥離ライナーであって、前記剥離ライナーが、前記基部を前記ユーザの前記皮膚に取り外し可能に固定するために前記基部から取り外される、剥離ライナーを更に備える、請求項2に記載の固定装置。
【請求項7】
前記本体は、単一片の一体型部品である、請求項1に記載の固定装置。
【請求項8】
前記本体は、ポリマー、エラストマー、及び金属のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の固定装置。
【請求項9】
前記インサートがエラストマーを含む、請求項1に記載の固定装置。
【請求項10】
前記本体の前記第1の弾性率は、前記インサートの前記第2の弾性率よりも少なくとも2倍大きい、請求項1に記載の固定装置。
【請求項11】
前記第1の本体部分は、
互いに反対側を向いており、前記第1の上面と前記第1の下面との間に延びる一対の第1の側面と、
前記第1のキャビティ面の遠位に配置され、前記一対の第1の側面の間に延びる第1の端面であって、前記第1の端面が、前記第1の上面と前記第1の下面との間に更に配置される、第1の端面と、を更に含む、請求項1に記載の固定装置。
【請求項12】
前記第1のキャビティ面は、前記一対の第1の側面の間に延びる、請求項11に記載の固定装置。
【請求項13】
前記インサートは、前記一対の第1の側面の間に延びる、請求項11に記載の固定装置。
【請求項14】
前記第1の本体部分が、前記第1の端面に隣接して配置された第1の把持領域を更に備えるように、前記第1の本体部分が、前記キャビティから前記第1の端面に向かって少なくとも部分的に先細になっている、請求項11に記載の固定装置。
【請求項15】
前記第2の本体部分は、
互いに反対側を向いており、前記第2の上面と前記第2の下面との間に延びる一対の第2の側面と、
前記第2のキャビティ面の遠位に配置され、前記一対の第2の側面の間に延びる第2の端面であって、前記第2の端面は、前記第2の上面と前記第2の下面との間に更に配置される、第2の端面と、を更に含み、
前記一対の第2の側面の各々は、前記第1の枢動インターフェースと前記第2の枢動インターフェースとの間で、前記第1の本体部分の前記一対の第1の側面からの対応する第1の側面に接合されている、請求項11に記載の固定装置。
【請求項16】
前記第2のキャビティ面は、前記一対の第2の側面の間に延びる、請求項15に記載の固定装置。
【請求項17】
前記インサートは、前記一対の第2の側面の間に延びる、請求項15に記載の固定装置。
【請求項18】
前記第2の本体部分が、前記第2の端面に隣接して配置された第2の把持領域を更に備えるように、前記第2の本体部分が、前記キャビティから前記第2の端面に向かって少なくとも部分的に先細になっている、請求項15に記載の固定装置。
【請求項19】
前記第1の上面は湾曲しており、前記第1の下面は実質的に平面である、請求項1に記載の固定装置。
【請求項20】
前記第2の上面は湾曲しており、前記第2の下面は実質的に平面である、請求項1に記載の固定装置。
【請求項21】
前記本体を前記閉鎖構成に保持するために、前記第1の本体部分の前記第1の上面及び前記第2の本体部分の前記第2の上面に結合されるように適合された閉鎖テープを更に備える、請求項1に記載の固定装置。
【請求項22】
前記キャビティは、前記本体の前記開放構成における第1の最大キャビティ幅と、前記本体の前記閉鎖構成における第2の最大キャビティ幅とを有し、前記第1の最大キャビティ幅は、前記第2の最大キャビティ幅よりも大きい、請求項1に記載の固定装置。
【請求項23】
前記インサートの前記溝は、前記第2の枢動インターフェースの近位に配置された第1の溝部分と、前記第2の枢動インターフェースから離れるように前記第1の溝部分から延びる第2の溝部分とを備え、前記インサートは、前記第2の溝部分が開放されるように、前記第2の溝部分をその間に画定する2つの分割インサート部分を備え、前記固定状態において、前記第1の溝部分の第1の最大溝幅は、前記第2の溝部分の第2の最大溝幅よりも少なくとも2倍大きく、前記少なくとも1つの管腔は、前記第1の溝部分内に固定され、前記解放状態において、前記インサートの前記2つの分割インサート部分は、前記固定状態におけるそれぞれの位置に対して互いから離れ、前記少なくとも1つの管腔は、前記第2の溝部分を通って摺動可能に受け入れられ、前記第1の溝部分内に挿入可能であるように構成されている、請求項1に記載の固定装置。
【請求項24】
前記インサートの前記固定状態において、前記第1の溝部分は円形の断面形状を含み、前記第2の溝部分は矩形の断面形状を含む、請求項23に記載の固定装置。
【請求項25】
前記インサートの前記固定状態において、前記第2の溝部分の前記第2の最大溝幅は、前記少なくとも1つの管腔の最小幅よりも小さい、請求項23に記載の固定装置。
【請求項26】
前記本体及び前記インサートは、共通の枢動軸線を中心として変形可能である、請求項1に記載の固定装置。
【請求項27】
前記インサートは、複数の管腔を受け入れるように構成されている、請求項1に記載の固定装置。
【請求項28】
前記インサートは、複数の溝を備え、各溝は、前記複数の管腔からの対応する管腔を少なくとも部分的にかつ摺動可能に受け入れる、請求項27に記載の固定装置。
【請求項29】
前記本体が、前記閉鎖構成において最大本体高さを画定し、前記インサートが前記固定状態において最大インサート高さを画定し、前記最大本体高さが前記最大インサート高さよりも大きい、請求項1に記載の固定装置。
【請求項30】
少なくとも1つの管腔を備える医療機器と、
前記医療機器の前記少なくとも1つの管腔を固定するための固定装置であって、前記固定装置は、
第1の弾性率を有し、ユーザの皮膚に取り外し可能に固定されるように構成された本体であって、前記本体は、
第1の上面と、前記第1の上面の反対側を向いている第1の下面と、前記第1の上面から部分的に前記第1の下面に向かって延びる第1のキャビティ面と、を含む第1の本体部分と、
前記第1の本体部分に枢動可能に結合された第2の本体部分であって、前記第2の本体部分は、前記第1の上面から離隔された第2の上面と、第1の枢動インターフェースに沿って前記第1の下面に枢動可能に結合された第2の下面と、前記第2の上面から部分的に前記第2の下面に向かって延びる第2のキャビティ面とを含み、前記第2のキャビティ面は、前記第1の枢動インターフェースから離隔された第2の枢動インターフェースに沿って前記第1のキャビティ面に枢動可能に結合され、前記第1のキャビティ面及び前記第2のキャビティ面は共に、前記第1の上面と前記第2の上面との間に配置された前記本体のキャビティを画定する前記第2の本体部分と、を備える、本体と、
前記本体に固定的に結合され、前記本体の前記キャビティ内に少なくとも部分的に受け入れられたインサートであって、前記インサートは、少なくとも前記第1の本体部分の前記第1のキャビティ面と、前記第2の本体部分の前記第2のキャビティ面と、前記第2の枢動インターフェースとに係合し、その長さに沿って溝を備え、前記第1の弾性率よりも小さい第2の弾性率を有し、前記溝内に前記少なくとも1つの管腔を少なくとも部分的かつ取り外し可能に受け入れるように構成されている、インサートと、を備え、
前記本体は、開放構成と閉鎖構成との間で変形可能であり、前記インサートは、前記開放構成と前記閉鎖構成との間の前記本体の変形に基づいて、解放状態と固定状態との間で変形可能であり、前記インサートの前記解放状態は、前記本体の前記開放構成に対応し、前記インサートの前記固定状態は、前記本体の前記閉鎖構成に対応し、
前記本体の前記開放構成において、
前記第1の本体部分の前記第1の下面及び前記第2の本体部分の前記第2の下面は、前記第1の枢動インターフェースにおいて互いに対して傾斜しており、
前記インサートは、前記解放状態にあり、その結果、前記溝が前記少なくとも1つの管腔をその中に取り外し可能にかつ少なくとも部分的に受け入れるように構成されており、
前記本体の前記閉鎖構成において、
前記第1の本体部分の前記第1の下面及び前記第2の本体部分の前記第2の下面は、前記第1の枢動インターフェースにおいて互いに実質的に平行であり、
前記インサートは、前記少なくとも1つの管腔が前記溝内に固定されるように、前記固定状態にある、キット。
【請求項31】
前記固定装置は、第1の主表面と、前記第1の主表面の反対側を向いている第2の主表面とを備える基部を更に備え、前記第1の主表面は、前記第1の本体部分の前記第1の下面及び前記第2の本体部分の前記第2の下面に固定的に結合され、前記第2の主表面は、前記ユーザの前記皮膚に少なくとも部分的に係合して取り外し可能に固定されるように構成されており、前記基部は、前記開放構成と前記閉鎖構成との間の前記本体の前記変形に基づいて変形可能であり、前記基部は、前記本体の前記開放構成において曲線形状を有し、前記基部は、前記本体の前記閉鎖構成において実質的に平面形状を有する、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
前記基部は、
伸縮性ポリマー材料を含み、前記第1の主表面を形成する基部本体と、
前記本体の反対側を向いている前記基部本体上に配置され、前記第2の主表面を少なくとも部分的に形成する接着剤層であって、前記接着剤層は伸張剥離接着剤を含む、接着剤層と、を備える、
請求項31に記載のキット。
【請求項33】
前記基部は、前記基部の外周に配置され、前記接着剤層を含まない1つ以上のプルタブを更に備え、前記1つ以上のプルタブは、前記基部を前記皮膚から取り外すために把持されるように構成されている、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
前記基部の前記第2の主表面の面積は、前記第1の本体部分の前記第1の下表面及び前記第2の本体部分の前記第2の下表面のそれぞれの面積の合計よりも大きい、請求項31に記載のキット。
【請求項35】
前記固定装置は、前記基部の前記第2の主表面に取り外し可能に固定された剥離ライナーであって、前記剥離ライナーが、前記基部を前記ユーザの前記皮膚に取り外し可能に固定するために前記基部から取り外される、剥離ライナーを更に備える、請求項31に記載のキット。
【請求項36】
前記本体は、単一片の一体型部品である、請求項30に記載のキット。
【請求項37】
前記本体は、ポリマー、エラストマー、及び金属のうちの少なくとも1つを含む、請求項30に記載のキット。
【請求項38】
前記インサートがエラストマーを含む、請求項30に記載のキット。
【請求項39】
前記本体の前記第1の弾性率は、前記インサートの前記第2の弾性率よりも少なくとも2倍大きい、請求項30に記載のキット。
【請求項40】
前記第1の本体部分は、
互いに反対側を向いており、前記第1の上面と前記第1の下面との間に延びる一対の第1の側面と、
前記第1のキャビティ面の遠位に配置され、前記一対の第1の側面の間に延びる第1の端面であって、前記第1の端面は、前記第1の上面と前記第1の下面との間に更に配置される、第1の端面と、を更に含む、請求項30に記載のキット。
【請求項41】
前記第1のキャビティ面は、前記一対の第1の側面の間に延びる、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
前記インサートは、前記一対の第1の側面の間に延びる、請求項40に記載のキット。
【請求項43】
前記第1の本体部分が、前記第1の端面に隣接して配置された第1の把持領域を更に備えるように、前記第1の本体部分が、前記キャビティから前記第1の端面に向かって少なくとも部分的に先細になっている、請求項40に記載のキット。
【請求項44】
前記第2の本体部分は、
互いに反対側を向いており、前記第2の上面と前記第2の下面との間に延びる一対の第2の側面と、
前記第2のキャビティ面の遠位に配置され、前記一対の第2の側面の間に延びる第2の端面であって、前記第2の端面は、前記第2の上面と前記第2の下面との間に更に配置される、第2の端面と、を更に含み、
前記一対の第2の側面の各々は、前記第1の枢動インターフェースと前記第2の枢動インターフェースとの間で、前記第1の本体部分の前記一対の第1の側面からの対応する第1の側面に接合されている、請求項40に記載のキット。
【請求項45】
前記第2のキャビティ面は、前記一対の第2の側面の間に延びる、請求項44に記載のキット。
【請求項46】
前記インサートは、前記一対の第2の側面の間に延びる、請求項44に記載のキット。
【請求項47】
前記第2の本体部分が、前記第2の端面に隣接して配置された第2の把持領域を更に備えるように、前記第2の本体部分が、前記キャビティから前記第2の端面に向かって少なくとも部分的に先細になっている、請求項44に記載のキット。
【請求項48】
前記第1の上面は湾曲しており、前記第1の下面は実質的に平面である、請求項30に記載のキット。
【請求項49】
前記第2の上面は湾曲しており、前記第2の下面は実質的に平面である、請求項30に記載のキット。
【請求項50】
前記本体を前記閉鎖構成に保持するために、前記第1の本体部分の前記第1の上面及び前記第2の本体部分の前記第2の上面に結合されるように適合された閉鎖テープを更に備える、請求項30に記載のキット。
【請求項51】
前記キャビティは、前記本体の前記開放構成における第1の最大キャビティ幅と、前記本体の前記閉鎖構成における第2の最大キャビティ幅とを有し、前記第1の最大キャビティ幅は、前記第2の最大キャビティ幅よりも大きい、請求項30に記載のキット。
【請求項52】
前記インサートの前記溝は、前記第2の枢動インターフェースの近位に配置された第1の溝部分と、前記第2の枢動インターフェースから離れるように前記第1の溝部分から延びる第2の溝部分とを備え、前記インサートは、前記第2の溝部分が開放されるように、前記第2の溝部分をその間に画定する2つの分割インサート部分を備え、前記固定状態において、前記第1の溝部分の第1の最大溝幅は、前記第2の溝部分の第2の最大溝幅よりも少なくとも2倍大きく、前記少なくとも1つの管腔は、前記第1の溝部分内に固定され、前記解放状態において、前記インサートの前記2つの分割インサート部分は、前記固定状態におけるそれぞれの位置に対して互いから離れ、前記少なくとも1つの管腔は、前記第2の溝部分を通って摺動可能に受け入れられ、前記第1の溝部分内に挿入可能であるように構成されている、請求項30に記載のキット。
【請求項53】
前記インサートの前記固定状態において、前記第1の溝部分は円形の断面形状を含み、前記第2の溝部分は矩形の断面形状を含む、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
前記インサートの前記固定状態において、前記第2の溝部分の前記第2の最大溝幅は、前記少なくとも1つの管腔の最小幅よりも小さい、請求項52に記載のキット。
【請求項55】
前記本体及び前記インサートは、共通の枢動軸線を中心として変形可能である、請求項30に記載のキット。
【請求項56】
前記インサートは、複数の管腔を受け入れるように構成されている、請求項30に記載のキット。
【請求項57】
前記インサートは、複数の溝を備え、各溝は、前記複数の管腔からの対応する管腔を少なくとも部分的かつ摺動可能に受け入れる、請求項56に記載のキット。
【請求項58】
前記本体は、前記閉鎖構成において最大本体高さを画定し、前記インサートは前記固定状態において最大インサート高さを画定し、前記最大本体高さが前記最大インサート高さよりも大きい、請求項30に記載のキット。
【請求項59】
固定装置をユーザの皮膚上に固定する方法であって、前記固定装置は、第1の本体部分及び第2の本体部分を備える本体と、前記本体に固定的に結合されたインサートとを備え、前記方法は、
前記本体を開放構成に変形させることであって、前記本体の前記開放構成において、前記第1の本体部分の第1の下面及び前記第2の本体部分の第2の下面が、第1の枢動インターフェースにおいて互いに対して傾斜している、変形させることと、
前記開放構成への前記本体の変形に基づいて、前記インサートを解放状態に変形させることであって、前記インサートの前記解放状態が前記本体の前記開放構成に対応する、変形させることと、
前記インサートが前記解放状態に変形すると、前記少なくとも1つの管腔を前記インサートに係合させることであって、前記インサートが前記解放状態にあるとき、前記インサートの溝が、前記少なくとも1つの管腔を取り外し可能にかつ少なくとも部分的に受け入れるように構成されている、係合させることと、
前記本体を閉鎖構成に変形させることであって、前記本体の前記閉鎖構成において、前記第1の本体部分の前記第1の下面及び前記第2の本体部分の前記第2の下面が、前記第1の枢動インターフェースにおいて互いに実質的に平行である、変形させることと、
前記閉鎖構成への前記本体の前記変形に基づいて、前記インサートを固定状態に変形させることであって、前記インサートの前記固定状態が前記本体の前記閉鎖構成に対応する、変形させることと、
前記インサートが前記固定状態に変形すると、前記少なくとも1つの管腔を前記溝内に固定することと、を含む方法。
【請求項60】
基部を前記ユーザの前記皮膚に係合させることを更に含み、前記基部は、第1の主表面と、前記第1の主表面の反対側を向いている第2の主表面とを含み、前記第1の主表面は、前記第1の本体部分の前記第1の下面及び前記第2の本体部分の前記第2の下面に固定的に結合され、前記第2の主表面は、前記ユーザの前記皮膚に少なくとも部分的に係合しかつ取り外し可能に固定されるように構成されており、前記基部は、前記開放構成と前記閉鎖構成との間の前記本体の変形に基づいて変形可能であり、前記基部は、前記本体の前記開放構成において曲線形状を有し、前記基部は、前記本体の前記閉鎖構成において実質的に平面形状を有する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記基部を前記皮膚から取り外すために1つ以上のプルタブを把持することを更に含み、前記1つ以上のプルタブは、前記基部の外周に配置される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
剥離ライナーを前記基部の前記第2の主表面に取り外し可能に固定することと、
前記基部を前記ユーザの前記皮膚に取り外し可能に固定する前に、前記基部から前記剥離ライナーを取り外すことと、を更に含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記本体を前記閉鎖構成に保持するために、閉鎖テープを前記第1の本体部分の第1の上面及び前記第2の本体部分の第2の上面に結合することを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
共通の枢動軸線を中心として前記本体を変形させることを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記インサート内に少なくとも部分的に複数の管腔を受け入れることを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項66】
前記インサートが複数の溝を含み、各溝が前記複数の管腔から対応する管腔を少なくとも部分的にかつ摺動可能に受け入れる、請求項65に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザの皮膚上に医療機器の管腔を固定するための固定装置、及び固定装置を含むキットに関する。本開示は更に、固定装置をユーザの皮膚上に固定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルなどの様々な医療機器が、給送、給気、及び/又は液体除去などの目的のために使用され得る。場合によっては、そのような医療機器は、薬剤及び流体を患者に投与するために使用されてもよい。多くの場合、医療機器は、医療機器の移動を防止するために患者の皮膚上に固定される必要があり得る。例えば、医療機器は、医療機器が引き抜かれること、又は医療機器の機能に悪影響を及ぼし得る方法で移動することを防止するために、患者の皮膚上に固定される必要があり得る。
【0003】
一般に、医療機器は、テープ、パッチ、及び縫合などの従来の固定手段を使用して患者の皮膚上に固定することができる。しかしながら、そのような従来の固定手段は、医療機器を皮膚に適切に固定しない場合がある。場合によっては、従来の固定手段の使用は、患者の皮膚からの医療機器の除去及び偶発的な取り外し、静脈炎、溢出/浸潤、漏出、閉塞、並びに血流感染などの様々な合併症をもたらし得る。加えて、医療機器を固定するための従来の方法は、医療機器内の高い流体圧力に起因して患者に不快感を生じさせ得る。
【0004】
いくつかの例では、テープ又はパッチなどの固定手段は、患者に不快感をもたらし得る医療機器の部分的又は微小移動を可能にし得る。更に、従来の固定手段は、注射部位の適切な被覆を提供しない場合があり、注射部位での感染をもたらす場合がある。更に、医療機器を皮膚に固定するための縫合の使用は、縫合に関連した感染及び合併症を引き起こす可能性がある。
【0005】
したがって、従来の固定手段によって提示された上述の課題を克服するために、改善された固定手段が必要とされ得る。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様において、本開示は、医療機器の少なくとも1つの管腔を固定するための固定装置を提供する。固定装置は、第1の弾性率を有し、ユーザの皮膚に取り外し可能に固定されるように構成された本体を含む。本体は、第1の上面と、第1の上面の反対側を向いている第1の下面と、第1の上面から部分的に第1の下面に向かって延びる第1のキャビティ面と、を含む第1の本体部分を含む。本体は、第1の本体部分に枢動可能に結合された第2の本体部分を更に含む。第2の本体部分は、第1の上面から離隔された第2の上面と、第1の枢動インターフェースに沿って第1の下面に枢動可能に結合された第2の下面と、第2の上面から部分的に第2の下面に向かって延びる第2のキャビティ面とを含む。第2のキャビティ面は、第1の枢動インターフェースから離隔された第2の枢動インターフェースに沿って第1のキャビティ面に枢動可能に結合される。第1のキャビティ面及び第2のキャビティ面は共に、第1の上面と第2の上面との間に配置された本体のキャビティを画定する。固定装置は、本体に固定的に結合され、本体のキャビティ内に少なくとも部分的に受け入れられたインサートを更に含む。インサートは、少なくとも、第1の本体部分の第1のキャビティ面と、第2の本体部分の第2のキャビティ面と、第2の枢動インターフェースとに係合する。インサートは、その長さに沿って溝を含む。インサートは、第1の弾性率よりも小さい第2の弾性率を有する。インサートは、溝内に少なくとも1つの管腔を少なくとも部分的にかつ取り外し可能に受け入れるように構成されている。本体は、開放構成と閉鎖構成との間で変形可能である。インサートは、開放構成と閉鎖構成との間の本体の変形に基づいて、解放状態と固定状態との間で変形可能である。インサートの解放状態は、本体の開放構成に対応し、インサートの固定状態は、本体の閉鎖構成に対応する。本体の開放構成において、第1の本体部分の第1の下面及び第2の本体部分の第2の下面は、第1の枢動インターフェースにおいて互いに対して傾斜している。更に、本体の開放構成では、インサートは解放状態にあり、その結果、溝は、少なくとも1つの管腔をその中に取り外し可能にかつ少なくとも部分的に受け入れるように構成されている。本体の閉鎖構成において、第1の本体部分の第1の下面及び第2の本体部分の第2の下面は、第1の枢動インターフェースにおいて互いに実質的に平行である。更に、本体の閉鎖構成では、インサートは、少なくとも1つの管腔が溝内に固定されるように、固定状態にある。
【0007】
第2の態様において、本開示は、キットを提供する。キットは、少なくとも1つの管腔を含む医療機器を含む。キットは、医療機器の少なくとも1つの管腔を固定するための固定装置を更に含む。固定装置は、第1の弾性率を有し、ユーザの皮膚に取り外し可能に固定されるように構成された本体を含む。本体は、第1の上面と、第1の上面の反対側を向いている第1の下面と、第1の上面から部分的に第1の下面に向かって延びる第1のキャビティ面と、を含む第1の本体部分を含む。本体は、第1の本体部分に枢動可能に結合された第2の本体部分を更に含む。第2の本体部分は、第1の上面から離隔された第2の上面と、第1の枢動インターフェースに沿って第1の下面に枢動可能に結合された第2の下面と、第2の上面から部分的に第2の下面に向かって延びる第2のキャビティ面とを含む。第2のキャビティ面は、第1の枢動インターフェースから離隔された第2の枢動インターフェースに沿って第1のキャビティ面に枢動可能に結合される。第1のキャビティ面及び第2のキャビティ面は共に、第1の上面と第2の上面との間に配置された本体のキャビティを画定する。固定装置は、本体に固定的に結合され、本体のキャビティ内に少なくとも部分的に受け入れられたインサートを更に含む。インサートは、少なくとも、第1の本体部分の第1のキャビティ面と、第2の本体部分の第2のキャビティ面と、第2の枢動インターフェースに係合する。インサートは、その長さに沿って溝を含む。インサートは、第1の弾性率よりも小さい第2の弾性率を有する。インサートは、溝内に少なくとも1つの管腔を少なくとも部分的にかつ取り外し可能に受け入れるように構成されている。本体は、開放構成と閉鎖構成との間で変形可能である。インサートは、開放構成と閉鎖構成との間の本体の変形に基づいて、解放状態と固定状態との間で変形可能である。インサートの解放状態は、本体の開放構成に対応し、インサートの固定状態は、本体の閉鎖構成に対応する。本体の開放構成において、第1の本体部分の第1の下面及び第2の本体部分の第2の下面は、第1の枢動インターフェースにおいて互いに対して傾斜している。更に、本体の開放構成では、インサートは解放状態にあり、その結果、溝は、少なくとも1つの管腔をその中に取り外し可能にかつ少なくとも部分的に受け入れるように構成されている。本体の閉鎖構成において、第1の本体部分の第1の下面及び第2の本体部分の第2の下面は、第1の枢動インターフェースにおいて互いに実質的に平行である。更に、本体の閉鎖構成では、インサートは、少なくとも1つの管腔が溝内に固定されるように、固定状態にある。
【0008】
第3の態様において、本開示は、固定装置をユーザの皮膚上に固定する方法を提供する。固定装置は、第1の本体部分及び第2の本体部分を含む本体を含む。固定装置は、本体に固定的に結合されたインサートを含む。本方法は、本体を開放構成に変形させることを含む。本体の開放構成において、第1の本体部分の第1の下面及び第2の本体部分の第2の下面は、第1の枢動インターフェースにおいて互いに対して傾斜している。本方法は、開放構成への本体の変形に基づいて、インサートを解放状態に変形させることを更に含む。インサートの解放状態は、本体の開放構成に対応する。本方法は更に、インサートが解放状態に変形すると、少なくとも1つの管腔をインサートと係合させることを含む。インサートが解放状態にあるとき、インサートの溝は、その中に少なくとも1つの管腔を取り外し可能にかつ少なくとも部分的に受け入れるように構成されている。本方法は更に、本体を閉鎖構成に変形させることを含む。本体の閉鎖構成において、第1の本体部分の第1の下面及び第2の本体部分の第2の下面は、第1の枢動インターフェースにおいて互いに実質的に平行である。本方法は、閉鎖構成への本体の変形に基づいて、インサートを固定状態に変形させることを更に含む。インサートの固定状態は、本体の閉鎖構成に対応する。本方法は、インサートが固定状態に変形すると、少なくとも1つの管腔を溝内に固定することを更に含む。
【0009】
本開示の1つ以上の例の詳細が、添付の図面及び以下の説明に記載される。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0010】
本明細書に開示される例示的な実施形態は、以下の図面に関連して以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解される。図面は必ずしも縮尺通りではない。図中で使用される同様の番号は、同様の構成要素を指す。しかしながら、所与の図における構成要素を指すための番号の使用は、同じ番号でラベル付けされた別の図における構成要素を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態による、固定装置を含むキットの概略斜視図である。
図2A】本開示の一実施形態による、固定装置の本体の概略側面図である。
図2B】本開示の一実施形態による、基部が示されていない固定装置の概略側面図である。
図3】本開示の一実施形態による、開放構成にある本体を示す、固定装置の概略斜視図である。
図4】本開示の一実施形態による、閉鎖構成にある本体を示す、固定装置の概略斜視図である。
図5】本開示の一実施形態による、閉鎖テープを使用してユーザの皮膚に固定された固定装置の概略斜視図である。
図6】本開示の一実施形態による、固定装置の基部の概略断面図である。
図7】本開示の一実施形態による、固定装置の剥離ライナーの取り外しを示す、固定装置の概略斜視図である。
図8】本開示の一実施形態による、固定装置の概略斜視図であり、固定装置の基部は、いくつかのプルタブを含む。
図9】本開示の別の実施形態による、基部が示されていない固定装置の概略側面図である。
図10】本開示の一実施形態による、ユーザの皮膚上に固定装置を固定する方法を描写するフローチャートを示す。
図11A】本開示の一実施形態による、固定装置をユーザの皮膚上に固定するための様々なステップを示す。
図11B】本開示の一実施形態による、固定装置をユーザの皮膚上に固定するための様々なステップを示す。
図11C】本開示の一実施形態による、固定装置をユーザの皮膚上に固定するための様々なステップを示す。
図11D】本開示の一実施形態による、固定装置をユーザの皮膚上に固定するための様々なステップを示す。
図11E】本開示の一実施形態による、固定装置をユーザの皮膚上に固定するための様々なステップを示す。
図11F】本開示の一実施形態による、固定装置をユーザの皮膚上に固定するための様々なステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明では、その一部を形成し、様々な実施形態が例示として示される添付の図面を参照する。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態を想定することができ、かつ行い得ることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0013】
以下の開示において、以下の定義が採用される。
【0014】
本明細書に記載されるように、全ての数は、用語「約」によって修飾されていると見なされるべきである。本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの」、及び「1つ以上の」は、互換的に使用される。
【0015】
特性又は属性に対する修飾語として本明細書で使用される場合、「概して」という用語は、別段に具体的に定義されない限り、特性又は属性が当業者によって容易に認識可能であるが、絶対的な精度又は完全な一致(例えば、定量化可能な特性について+/-20%以内)を必要としないことを意味する。
【0016】
「実質的に」という用語は、特に定義されない限り、高度の近似(例えば、定量化可能な特性について+/-10%以内)を意味するが、ここでも絶対的な精度又は完全な一致を必要としない。
【0017】
「約」という用語は、他に具体的に定義されない限り、高度の近似(例えば、定量化可能な特性について+/-5%以内)を意味するが、ここでも絶対的な精度又は完全な一致を必要としない。
【0018】
同じ、等しい、均一な、一定の、厳密に、などの用語は、絶対的な精度又は完全な一致を必要とするのではなく、特定の状況に適用可能な、通常の許容誤差又は測定誤差の範囲内であると理解される。
【0019】
本明細書で使用される場合、「第1」及び「第2」という用語は、識別子として使用される。したがって、そのような用語は、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。「第1」及び「第2」という用語は、特徴又は要素と併せて使用される場合、本開示の実施形態全体を通して交換可能である。
【0020】
本明細書で使用される場合、第1の材料が第2の材料と「同様である」と称されるとき、第1及び第2の材料の少なくとも90重量%が同一であり、第1と第2の材料間の任意の変動は、第1及び第2の材料の各々の約10重量%未満である。
【0021】
本明細書で使用される場合、「A及びBのうちの少なくとも1つ」は、「Aのみ、Bのみ、又はA及びBの両方」を意味すると理解されるべきである。
【0022】
別段の指定又は限定がない限り、「取り付けられた」、「接続された」という用語、及びその変形は、広義に使用され、直接及び間接の両方の取り付け、接続、及び結合を包含する。
【0023】
本明細書で使用するとき、「層」、「シート」、及び「ドレッシング」という用語、又はこれらの変形は、その長さ及び幅に対して小さい厚さを有する物品を説明するために使用される。
【0024】
本明細書中で使用される場合、「ポリマー」という用語は、1つのモノマーから調製される材料(例えば、ホモポリマー)又は2つ以上のモノマーから調製される材料(例えば、コポリマー、ターポリマーなど)の両方を指す。同様に、「重合する」という用語は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどであり得るポリマー材料を作製するプロセスを指す。「コポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なるモノマーから調製されたポリマー材料を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、「弾性率」という用語(ヤング率又は貯蔵弾性率とも区別なく称される)は、応力がそれに印加されるときに弾性的に変形されることに対する材料の抵抗を測定する量を指す。本質的に、弾性率は、試験下の材料がその元の形状又は大きさに回復する能力を測定する弾性材料の剛性の定量的尺度である。弾性率は、フックの法則によって導出された式を使用して計算することができ、ここで、弾性率は、ひずみに対する応力の比(すなわち、大きさの割合の変化に対する加えられた力の比)に等しい。
【0026】
本開示は、医療機器の少なくとも1つの管腔を固定するための固定装置、固定装置を含むキット、及び固定装置をユーザの皮膚上に固定する方法に関する。固定装置は、第1の弾性率を有し、ユーザの皮膚に取り外し可能に固定されるように構成された本体を含む。本体は、第1の上面と、第1の上面の反対側を向いている第1の下面と、第1の上面から部分的に第1の下面に向かって延びる第1のキャビティ面と、を含む第1の本体部分を含む。本体は、第1の本体部分に枢動可能に結合された第2の本体部分を更に含む。第2の本体部分は、第1の上面から離隔された第2の上面と、第1の枢動インターフェースに沿って第1の下面に枢動可能に結合された第2の下面と、第2の上面から部分的に第2の下面に向かって延びる第2のキャビティ面とを含む。第2のキャビティ面は、第1の枢動インターフェースから離隔された第2の枢動インターフェースに沿って第1のキャビティ面に枢動可能に結合される。第1のキャビティ面及び第2のキャビティ面は共に、第1の上面と第2の上面との間に配置された本体のキャビティを画定する。固定装置は、本体に固定的に結合され、本体のキャビティ内に少なくとも部分的に受け入れられたインサートを更に含む。インサートは、少なくとも、第1の本体部分の第1のキャビティ面と、第2の本体部分の第2のキャビティ面と、第1の枢動インターフェースと係合する。インサートは、その長さに沿って溝を含む。インサートは、第1の弾性率よりも小さい第2の弾性率を有する。インサートは、溝内に少なくとも1つの管腔を少なくとも部分的にかつ取り外し可能に受け入れるように構成されている。本体は、開放構成と閉鎖構成との間で変形可能である。インサートは、開放構成と閉鎖構成との間の本体の変形に基づいて、解放状態と固定状態との間で変形可能である。インサートの解放状態は、本体の開放構成に対応し、インサートの固定状態は、本体の閉鎖構成に対応する。本体の開放構成において、第1の本体部分の第1の下面及び第2の本体部分の第2の下面は、第1の枢動インターフェースにおいて互いに対して傾斜している。更に、本体の開放構成では、インサートは解放状態にあり、その結果、溝は、少なくとも1つの管腔をその中に取り外し可能にかつ少なくとも部分的に受け入れるように構成されている。本体の閉鎖構成において、第1の本体部分の第1の下面及び第2の本体部分の第2の下面は、第1の枢動インターフェースにおいて互いに実質的に平行である。更に、本体の閉鎖構成では、インサートは、少なくとも1つの管腔が溝内に固定されるように、固定状態にある。
【0027】
カテーテルなどの医療機器は、給送、給気、及び/又は液体除去などの様々な目的のために使用され得る。場合によっては、医療機器は、内科治療を必要とする患者などのユーザに薬剤及び流体を投与するために使用されてもよい。多くの場合、医療機器は、医療機器の移動を防止するために、ユーザの皮膚上に固定される必要があり得る。例えば、医療機器は、医療機器が引き抜かれること、又は医療機器の機能に悪影響を及ぼし得る方法で移動することを防止するために、ユーザの皮膚上に固定される必要があり得る。
【0028】
従来、医療機器は、テープ、パッチ、及び/又は縫合などの固定手段を使用して、ユーザの皮膚上に固定され得る。しかしながら、そのような従来の固定手段は、医療機器を皮膚に適切に固定しない場合がある。例えば、縫合などの固定手段は、高度な技術を必要とする場合があり、縫合が適切に施されない場合、医療機器は、皮膚上に不適切に固定される場合があるだけでなく、ユーザは、縫合の部位において不快に感じる場合もある。他の固定手段(例えば、テープ及びパッチ)は、医療機器の部分的な移動又は微小移動を可能にし得、これにより、ユーザに不快感をもたらし得る。更に、テープ及びパッチは、容易に取り外すことができない接着剤を使用する場合があり、したがって、取り外すために追加の接着剤除去剤又はアルコールを必要とする。更に、従来の固定手段は、注射部位の適切な被覆を提供しない場合があり、注射部位に感染が生じる場合がある。
【0029】
本開示の固定装置は、医療機器の少なくとも1つの管腔をユーザの皮膚にしっかりと固定してもよい。固定装置は更に、異なる大きさ及び/又は形状の管腔がインサートの溝内に固定されることを可能にし得る。更に、固定装置の基部は、ユーザの皮膚に取り外し可能に固定されてもよい。基部は、臨床医によって把持され、ユーザの皮膚から基部を取り外すために引っ張られ得る、1つ以上のプルタブを含んでもよい。接着剤層は、ユーザの皮膚上に基部をしっかりと固定し得る。接着剤層は、基部の伸張に基づいて、接着剤層がその接着特性を失い得るように、伸張剥離接着剤を含んでもよい。その後、基部を容易に剥離して、固定装置をユーザの皮膚から取り外すことができる。換言すれば、基部は、ユーザに不快感を引き起こすことなくユーザの皮膚から容易に取り外され得る。更に、固定装置は、ユーザの皮膚から医療装置が外れて偶発的に取り外されるのを防止することができる。
【0030】
したがって、本開示の固定装置は、医療機器をユーザの皮膚にしっかりと固定することができ、医療機器の望ましくない移動を阻止することができ、注射部位における感染を防止することができ、使用後の固定装置の容易な取り外しを促進することができる。
【0031】
ここで図面を参照すると、図1は、本開示の一実施形態によるキット10の概略斜視図を示す。キット10は、少なくとも1つの管腔12を含む医療機器14を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの管腔12は、静脈内療法(例えば、薬剤又は非経口栄養のための流体)を投与すること、分析のために血液を得ること、及び/又は透析若しくはアフェレーシスなどの血液ベースの治療のためのアクセスポイントを提供することなどの目的のために使用されるカテーテルであってもよい。カテーテルは、血液の1つ以上の特性(例えば、「中心静脈酸素飽和度」)を測定し、大規模な緊急輸液療法のために流体又は血液製剤を投与し、かつ/又は中心静脈圧を測定するために使用されてもよい。場合によっては、カテーテルは、中心静脈カテーテル(central venous catheter:CVC)であってもよい。CVCは、中心ライン、CVライン(central venous line)、又は中心静脈アクセスカテーテルとも呼ばれ、ユーザの大きな、中心に位置する静脈にアクセスするために使用されてもよく、これは、重篤な患者のために、信頼できる血管アクセスのために長期の静脈内治療を必要とする患者のために、かつより小さな末梢静脈に害を与え得る流体を投与するために必要とされ得る。末梢静脈カテーテル(peripheral venous catheter:PVC)は、ユーザの頸部に位置する静脈(例えば、内頸静脈)、胸部に位置する静脈(例えば、鎖骨下静脈又は腋窩静脈)、又は鼠径部に位置する静脈(例えば、大腿静脈)に挿入されてもよい。場合によっては、カテーテルは、末梢挿入型中心静脈カテーテル(peripherally inserted central venous catheter:PICC)であってもよい。PICCは、ユーザの腕に位置する静脈の中への挿入に好適であり得る。いくつかの他の場合では、カテーテルは、所望の用途属性に基づいて選択され得る、任意の他の好適なタイプのカテーテルであってもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの管腔12は、医療用グレードの材料、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、シリコーン、シリコーンコーティングラテックス、ポリウレタン(PU)、低密度ポリエチレン(LDPE)、メタロセンポリオレフィン、シリコーン、ポリアミド(PA)、ポリエステルなどのうちのいずれか1つ、又は組み合わせから作製されてもよい。シリコーンは、水分又はヒドロシリル化によって硬化されたシリコーンを含み得る。メタロセンポリオレフィンは、メタロセンポリエチレン及びメタロセンポリプロピレンを含み得る。ポリエステルは、エラストマーポリエステル、例えば、Hytrelブランドのポリエステル、フルオロポリマー、例えば、Teflon(登録商標)及びフッ素エラストマーなどを含み得る。管腔12はまた、上述の材料のうちの1つ以上のブレンド、混合物、積層物、及び/又は共押出物を含んでもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、管腔12は、最小幅Wを有してもよい。最小幅Wは、管腔12の最外壁間の距離として定義されてもよい。図1の示された実施形態において、管腔12は、円形の断面を有し得る。そのような場合、最小幅Wは、管腔12の直径として定義され得る。いくつかの他の場合では、管腔12は、任意の他の断面を含んでもよい。そのような場合、最小幅Wは、断面の幾何学的形状の周りの外接円の直径として定義され得る。更に、管腔12の最小幅Wは、約1ミリメートル(mm)~約8mmであってもよいが、これらに限定されない。
【0034】
キット10はまた、医療機器14の少なくとも1つの管腔12を固定するための固定装置100を含む。いくつかの実施形態では、固定装置100は、ユーザ18、例えば、患者の皮膚16に取り外し可能に固定されてもよい。図1の示された実施形態では、キット10は、固定装置100に結合され得る単一の管腔12を含む。代替的に、キット10は、2つ以上の管腔12を含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、キット10は手袋(図示せず)を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、キット10は、滅菌物質(図示せず)を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、キット10は、布又は他の吸収性材料(図示せず)を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、キット10は、洗浄布、脱脂綿、綿棒などの洗浄用品(図示せず)を更に含んでもよい。キット10は、滅菌されたパッケージで使用するために、臨床医(又は医療専門家)にとって利用可能であってもよい。
【0035】
更に、固定装置100は本体110を含む。本体110は、ユーザ18の皮膚16に取り外し可能に固定されるように構成されている。いくつかの実施形態では、本体110は、単一片の一体型部品であってもよい。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、本体110は、本体110を形成するように組み立てられ得る複数の別個の部品を含んでもよい。本体110は、第1の弾性率E1を有する。いくつかの実施形態では、第1の弾性率E1は、約1ギガパスカル(GPa)~約5GPaであってもよい。いくつかの実施形態では、本体110は、ポリマー、エラストマー、及び金属のうちの少なくとも1つを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本体110は、異なる材料の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本体110は、プラスチック及び複合材料のうちのいずれか1つを含むことができる。いくつかの実施形態では、本体110は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、PVC、ナイロン、オレフィン、アクリル、ポリエステル、シリコーン、熱可塑性ウレタン、熱可塑性エラストマーなどのうちの1つ以上を含むことができるが、これらに限定されない。
【0036】
図2Aは、本開示の一実施形態による固定装置100の本体110の概略側面図を示す。図2Aを参照すると、本体110は、第1の上面114と、第1の上面114の反対側を向いている第1の下面116と、第1の上面114から部分的に第1の下面116に向かって延びる第1のキャビティ面118とを含む第1の本体部分112を含む。本体110は、開放構成(図2A及び図3に示されるような)と閉鎖構成(図1及び図2Bに示されるような)との間で変形可能である。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1の本体部分112は、互いに反対側を向いており、第1の上面114と第1の下面116との間に延びる一対の第1の側面120(図2Aにはそのうちの1つのみが示されている)を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の本体部分112は、第1のキャビティ面118の遠位に配置され、一対の第1の側面120の間に延びる第1の端面122を更に含むことができる。いくつかの実施形態において、第1の端面122は、第1の上面114と第1の下面116との間に更に配置されてもよい。更に、いくつかの実施形態では、第1のキャビティ面118は、一対の第1の側面120の間に延びてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1の本体部分112は、第1の端面122に隣接して配置された第1の把持領域124を更に含み得るように、キャビティ170から第1の端面122に向かって少なくとも部分的に先細になり得る。図2Aの示された実施形態では、第1の上面114は、実質的に湾曲していてもよい。いくつかの他の実施形態では、第1の上面114は実質的に平面であってもよい。更に、第1の把持領域124は、固定装置100の把持特性を改善し得る1つ以上のテクスチャを含んでもよい。例えば、第1の把持領域124は、刻み目の付いた面を含んでもよい。
【0039】
本体110は、第1の本体部分112に枢動可能に結合された第2の本体部分142を更に含む。第2の本体部分142は、第1の上面114から離隔された第2の上面144と、第1の枢動インターフェース160に沿って第1の下面116に枢動可能に結合された第2の下面146と、第2の上面144から部分的に第2の下面146に向かって延びる第2のキャビティ面148とを含む。本体110が単一部品の一体型部品として具現化されるいくつかの実施形態では、第1の本体部分112の第1の下面116及び第2の本体部分142の第2の下面146は、本体110の同じモノリスの一部であってもよい。したがって、第1の下面116及び第2の下面146は、第1の枢動インターフェース160に沿った本体110の変形により枢動可能であってもよい。いくつかの実施形態では、固定装置100は、第1の本体部分112の第1の下面116及び第2の本体部分142の第2の下面146がユーザ18の皮膚16の近位にあり得、第1の本体部分112の第1の上面114及び第2の本体部分142の第2の上面144がユーザ18の皮膚16の遠位にあり得るように、ユーザ18(図1参照)の皮膚16(図1参照)上に固定され得る。
【0040】
更に、第2のキャビティ面148は、第1の枢動インターフェース160から離隔された第2の枢動インターフェース162に沿って第1のキャビティ面118に枢動可能に結合される。第1のキャビティ面118及び第2のキャビティ面148は共に、第1の上面114と第2の上面144との間に配置された本体110のキャビティ170を画定する。本体110が閉鎖構成にあるとき、キャビティ170は、概して半円形の形状を含む。代替的に、キャビティ170は、本体110が閉鎖構成にあるとき、いかなる制限もなく、任意の他の形状を含んでもよい。
【0041】
本体110が単一部品の一体型部品として具現化されるいくつかの実施形態では、第1の本体部分112の第1のキャビティ面118及び第2の本体部分142の第2のキャビティ面148は、本体110の同じモノリスの一部であってもよい。したがって、第1のキャビティ面118及び第2のキャビティ面148は、第2の枢動インターフェース162に沿った本体110の変形により枢動可能であり得る。いくつかの実施形態では、第1の枢動インターフェース160及び第2の枢動インターフェース162は、本体110の同じモノリス内で互いに離隔されてもよい。したがって、第1の枢動インターフェース160に沿った本体110の変形は、第2の枢動インターフェース162に沿った本体110の対応する変形をもたらし得る。換言すれば、第2の下面146に対する第1の下面116の枢動運動は、第2のキャビティ面148に対する第1のキャビティ面118の対応する枢動運動をもたらし得る。更に、いくつかの実施形態では、第1の枢動インターフェース160及び第2の枢動インターフェース162は、垂直軸線172に沿って互いから離隔されてもよい。更に、本体110は、第1の枢動インターフェース160及び第2の枢動インターフェース162を分離する本体110の一部分174を画定することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、第2の本体部分142は、互いに反対側を向いており、第2の上面144と第2の下面146との間に延びる一対の第2の側面150(図2Aにはそのうちの1つのみが示されている)を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の本体部分142は、第2のキャビティ面148の遠位に配置された第2の端面152を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の端面152は、一対の第2の側面150の間に延びてもよい。いくつかの実施形態において、第2の端面152は、第2の上面144と第2の下面146との間に更に配置されてもよい。更に、いくつかの実施形態では、第2のキャビティ面148は、一対の第2の側面150の間に延びてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、一対の第2の側面150の各々は、第1の枢動インターフェース160と第2の枢動インターフェース162との間で、第1の本体部分112の一対の第1の側面120からの対応する第1の側面120に接合されていてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、第2の本体部分142は、第2の端面152に隣接して配置された第2の把持領域154を更に含み得るように、キャビティ170から第2の端面152に向かって少なくとも部分的に先細になり得る。図2Aの示された実施形態では、第2の上面144は実質的に湾曲していてもよい。いくつかの他の実施形態では、第2の上面144は実質的に平面であってもよい。更に、第2の把持領域154は、固定装置100の把持特性を改善し得る1つ以上のテクスチャを含んでもよい。例えば、第2の把持領域154は、刻み目の付いた面を含んでもよい。
【0045】
図1及び図2Aを参照すると、固定装置100は、基部190を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、固定装置100は、固定装置100の基部190がユーザ18の皮膚16と接触するように、ユーザ18の皮膚16上に取り外し可能に固定されてもよい。基部190は、基部190の外周622に沿って配置されたプルタブ192を含んでもよく、これは、固定装置100をユーザ18の皮膚16から取り外すために使用されてもよい。具体的には、プルタブ192は、ユーザ18の皮膚16から基部190を取り外す間に臨床医を支援し得る。
【0046】
図2Bは、本開示の一実施形態による固定装置100の概略側面図を示す。基部190は、明確にするために図2Bには示されていない。図2Bを参照すると、固定装置100は、本体110に固定的に結合され、本体110のキャビティ170(図2A参照)内に少なくとも部分的に受け入れられたインサート180を更に含む。いくつかの実施形態では、インサート180は、一対の第1の側面120(図2Bにはその一方のみが示されている)の間に延びてもよい。いくつかの実施形態では、インサート180は、一対の第2の側面150(図2Bにはその一方のみが示されている)の間に延びてもよい。
【0047】
図1及び図2Bを参照すると、インサート180は、少なくとも、第1の本体部分112の第1のキャビティ面118と、第2の本体部分142の第2のキャビティ面148と、第2の枢動インターフェース162とに係合する。インサート180は、その長さLに沿って溝184を含む。更に、インサート180は、第1の弾性率E1より小さい第2の弾性率E2を有する。いくつかの実施形態では、本体110の第1の弾性率E1は、インサート180の第2の弾性率E2よりも少なくとも2倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、本体110の第1の弾性率E1は、インサート180の第2の弾性率E2よりも、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも8倍、又は少なくとも10倍大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第2の弾性率E2は約1GPaであってもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、第2の弾性率E2は、約0であってもよく、すなわち、インサート180は、実質的に可塑性であってもよい。いくつかの実施形態では、インサート180はエラストマーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、インサート180は、シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、液体シリコーンゴム、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)、他の好適な熱可塑性エラストマー、及び/又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0048】
更に、インサート180は、溝184内に少なくとも1つの管腔12(図1参照)を少なくとも部分的にかつ取り外し可能に受け入れるように構成されている。いくつかの実施形態では、インサート180の溝184は、第2の枢動インターフェース162の近位に配置された第1の溝部分186と、第2の枢動インターフェース162から離れて第1の溝部分186から延びる第2の溝部分188とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、インサート180は、第2の溝部分188が開いているように、第2の溝部分188をその間に画定する2つの分割インサート部分182を含んでもよい。
【0049】
更に、インサート180は、開放構成と閉鎖構成との間の本体110の変形に基づいて、解放状態(図3に示されるような)と固定状態(図1及び図2Bに示されるような)との間で変形可能である。インサート180の解放状態は、本体110の開放構成に対応し、インサート180の固定状態は、本体110の閉鎖構成に対応する。いくつかの実施形態では、本体110及びインサート180は、共通の枢動軸線176(図3にも示される)を中心として変形可能であってもよい。いくつかの実施形態では、共通の枢動軸線176は、垂直軸線172に実質的に直交してもよい。図3に見られるように、インサート180の長さLは、共通の枢動軸線176に沿って実質的に延び得る。したがって、共通の枢動軸線176を中心とした本体110の変形及びインサート180の変形の方向は、実質的に同様であり得る。
【0050】
図3は、本開示の一実施形態による、開放構成にある本体110を示す固定装置100の概略斜視図である。
【0051】
本体110の開放構成では、第1の本体部分112の第1の下面116及び第2の本体部分142の第2の下面146は、第1の枢動インターフェース160において互いに対して傾斜している。いくつかの実施形態では、本体110は、反時計回り方向C2への第1の本体部分112の移動及び時計回り方向C1への第2の本体部分142の移動に基づいて、開放構成に変形され得る。例えば、臨床医は、第1の本体部分112を左手で保持して、反時計回り方向C2への第1の本体部分112の移動を遂行し得る。いくつかの例では、臨床医は、第1の本体部分112を第1の把持領域124及び第1の下面116において保持することができる。更に、臨床医は、右手で第2の本体部分142を保持して、時計回り方向C1への第2の本体部分142の移動を遂行し得る。いくつかの例では、臨床医は、第2の本体部分142を第2の把持領域154及び第2の下面146において保持することができる。第1の本体部分112及び第2の本体部分142の移動は、第1の枢動インターフェース160及び第2の枢動インターフェース162に沿って本体110を変形させ得る。更に、第1の本体部分112及び第2の本体部分142は、第1の本体部分112の第1の下面116及び第2の本体部分142の第2の下面146が互いに向かって移動し、第1の枢動インターフェース160において角度θを形成するように、共通の枢動軸線176を中心として枢動し得る。
【0052】
場合によっては、第1の本体部分112及び第2の本体部分142は、同じ角距離だけ移動させられてもよい。いくつかの他の場合では、第1の本体部分112及び第2の本体部分142は、異なる角距離だけ移動されてもよい。臨床医が、第1の本体部分112及び第2の本体部分142のうちの一方を静止状態に保持し、第1の本体部分112及び第2の本体部分142のうちの他方のみを移動させ得ることも企図され得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、本体110の変形は、キャビティ170の変形も引き起こし得る。いくつかの実施形態では、キャビティ170は、本体110の開放構成において第1の最大キャビティ幅W1を有してもよく、本体110の閉鎖構成において第2の最大キャビティ幅W2(図2Bに示す)を有してもよい。更に、第1の最大キャビティ幅W1は、第2の最大キャビティ幅W2よりも大きくてもよい。更に、本体110の変形はまた、インサート180の分割インサート部分182は、共通の枢動軸線176に対して互いから離れるように移動し得るように、インサート180の変形を引き起こし得る。本体110の開放構成では、インサート180は解放状態にあり、溝184は、その中に少なくとも1つの管腔12を取り外し可能にかつ少なくとも部分的に受け入れるように構成されている。具体的には、第1の溝部分186は、その中に少なくとも1つの管腔12を取り外し可能にかつ少なくとも部分的に受け入れるように構成され得る。
【0054】
図4は、本開示の一実施形態による、閉鎖構成にある本体110を示す。図3及び図4を参照すると、本体110の閉鎖構成において、第1の本体部分112の第1の下面116及び第2の本体部分142の第2の下面146は、第1の枢動インターフェース160において互いに実質的に平行である。いくつかの実施形態では、本体110の閉鎖構成は、本体110の通常状態であってもよい。本体110が開放構成から閉鎖構成に移動するとき、第1の本体部分112の第1の下面116及び第2の本体部分142の第2の下面146は、互いから離れるように移動する。換言すれば、共通の枢動軸176に対して、第1の本体部分112は時計回り方向C1に移動することができ、第2の本体部分142は反時計回り方向C2に移動することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、本体110の閉鎖構成への変形はまた、キャビティ170が本体110の閉鎖構成において第2の最大キャビティ幅W2を有し得るように、キャビティ170(図2A参照)の変形を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、インサート180の固定状態は、インサート180の通常状態であってもよい。したがって、本体110が閉鎖構成に移動すると、インサート180も固定状態に移動し得る。本体110の閉鎖構成では、インサート180は、少なくとも1つの管腔12(図1参照)が溝184内に固定されるように、固定状態にある。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの管腔12は、第1の溝部分186内に固定されてもよい。
【0056】
一般に、インサート180の固定状態では、少なくとも1つの管腔12は、少なくとも1つの管腔12を変形させることなく管腔12のいかなる移動も制限することができるように、固定装置100内に固定することができる。したがって、インサート180の固定状態において、第1の溝部分186は、管腔12の断面形状S2(図1参照)と同様の断面形状S1を含むことができる。いくつかの実施形態では、本体110が閉鎖構成にあるとき、第1の溝部分186がキャビティ170と同心であり得るように(図2Aにも示される)、キャビティ170の形状は、第1の溝部分186の断面形状S1と実質的に同様であってもよい。図4の示された実施形態では、キャビティ170は半円形形状を含み、第1の溝部分186は断面形状S1を含む。他の実施形態において、キャビティ170は、矩形形状又は正方形形状を有していてもよく、第1の溝部分186は、円形の断面形状S1を含んでもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、インサート180の固定状態において、第1の溝部分186は、少なくとも1つの管腔12の断面形状S2に適合する断面形状S1を含んでもよい。更に、インサート180の固定状態において、第1の溝部分186は円形の断面形状S1を含むことができ、第2の溝部分188は矩形の断面形状S3(図4に示す)を含むことができる。したがって、インサート180の固定状態において、溝184は実質的に鍵穴の形状であってもよい。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、第1の溝部分186及び第2の溝部分188は、所望の用途属性に従って、他の断面形状を含んでもよい。例えば、第1の溝部分186は、正方形の断面形状又は矩形の断面形状を含むことができる。
【0058】
更に、インサート180の固定状態において、第1の溝部分186は第1の最大溝幅W3を画定し、第2の溝部分188は第2の最大溝幅W4を画定する。いくつかの実施形態では、固定状態において、第1の溝部分186の第1の最大溝幅W3は、第2の溝部分188の第2の最大溝幅W4よりも少なくとも2倍大きくてもよい。他の実施形態では、第1の溝部分186の第1の最大溝幅W3は、第2の溝部分188の第2の最大溝幅W4よりも、少なくとも2.5倍、3倍、4倍、5倍などであってもよいが、これらに限定されない。更に、いくつかの実施形態では、インサート180の固定状態において、第2の溝部分188の第2の最大溝幅W4は、少なくとも1つの管腔12の最小幅W(図1参照)よりも小さくてもよい。したがって、インサート180の固定状態において、少なくとも1つの管腔12は、第1の溝部分186から不注意に位置ずれせず、第2の溝部分188内に受け入れられる可能性はない。
【0059】
図4に示されるように、いくつかの実施形態では、解放状態において、インサート180の2つの分割インサート部分182は、少なくとも1つの管腔12が第2の溝部分188を通って摺動可能に受け入れられ、第1の溝部分186内に挿入可能であるように構成されているように、固定状態におけるそれらのそれぞれの位置に対して互いから離れ得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、本体110は、閉鎖構成において最大本体高さH1を画定してもよい。いくつかの実施形態では、インサート180は、最大本体高さH1が最大インサート高さH2よりも大きくなるように、固定状態において最大インサート高さH2を画定してもよい。したがって、本体の部分174は、部分174の高さH3が最大本体高さH1と最大インサート高さH2との間の差に実質的に等しくなり得るように、第1の枢動インターフェース160と第2の枢動インターフェース162との間に画定され得る。更に、高さH3はまた、垂直軸172に沿って、第1の枢動インターフェース160と第2の枢動インターフェース162との間の距離として定義されてもよい。
【0061】
ここで図5を参照すると、いくつかの実施形態では、固定装置100は、インサート180が少なくとも1つの管腔12を少なくとも部分的にかつ取り外し可能に受け入れた後に、本体110を閉鎖構成に維持又は保持するための保持手段を含んでもよい。いくつかの実施形態では、固定装置100は、閉鎖テープ502を更に含む。いくつかの実施形態では、閉鎖テープ502は、本体110を閉鎖構成に保持するために、第1の本体部分112の第1の上面114及び第2の本体部分142の第2の上面144に結合されるように適合され得る。いくつかの実施形態では、閉鎖テープ502は、本体110が開放構成に向かって移動することを防止するために、閉鎖テープ502が本体110上に下向きの力を加え得るように、本体110に取り外し可能に適用されるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、閉鎖テープ502は、本体110の第1の本体部分112及び第2の本体部分142に固定されてもよい。他の実施形態では、閉鎖テープ502は、固定装置100の本体110及び基部190に固定されてもよい。更に他の実施形態では、閉鎖テープ502は、ユーザ18(図1参照)の皮膚16(図1参照)上に更に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、閉鎖テープ502は、医療用途に好適な接着テープであってもよい。
【0062】
基部190は、第1の主表面612と、第1の主表面612の反対側を向いている第2の主表面614(図6に示す)と、を有してもよい。いくつかの実施形態では、第1の主表面612は、第1の本体部分112の第1の下面116及び第2の本体部分142の第2の下面146に固定的に結合され得る。いくつかの実施形態では、第2の主表面614は、ユーザ18の皮膚16に少なくとも部分的に係合し、取り外し可能に固定されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、基部190は、受動的ドレッシングであってもよい。換言すれば、いくつかの実施形態では、基部190は非閉塞性であってもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、基部190は、相互作用的ドレッシングであってもよい。換言すれば、いくつかの実施形態では、基部190は、半閉塞性又は閉塞性であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、基部190は、細菌の侵入に対するバリアとして作用し得る。場合によっては、基部190は、基部190が取り外し可能に固定され得る皮膚16の領域の水和を維持し得、基部190が取り外し可能に固定され得る皮膚16の領域の感染を低減し得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、基部190は、開放構成と閉鎖構成との間の本体110の変形に基づいて変形可能であってもよい。いくつかの実施形態では、基部190は、図3に示されるように、本体110の開放構成において曲線形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、基部190は、図4に示されるように、本体110の閉鎖構成において実質的に平面形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、基部190の第2の主表面614の面積は、第1の本体部分112の第1の下面116及び第2の本体部分142の第2の下面146のそれぞれの面積の合計よりも大きくてよい。したがって、基部190は、基部190と接触する本体110の面積より大きい面積を有することができる。
【0064】
ここで図6を参照すると、いくつかの実施形態では、基部190は、伸縮性ポリマー材料を含み、第1の主表面612を形成する基部本体602を含んでもよい。基部190は、起伏のある表面(例えば、図1に示されたユーザ18の皮膚16)に適合し得る伸縮性材料で作製されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、基部190は、高い弾性を示すように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、基部190は、高い引張り強さ、低い弾性回復率、及び高い破断伸びを有することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、基部190の基部本体602は、ポリマーフィルム、ポリマー発泡体、ポリマー親水コロイド、及びポリマーアルギン酸塩のうちの少なくとも1つを含んでもよい。いくつかの実施形態では、基部本体602は、ポリオレフィン、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、及び直鎖状超低密度ポリエチレンを含むポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブチレン、ビニルコポリマー、例えば、可塑化及び非可塑化の両方のポリ塩化ビニル、及びポリ酢酸ビニル、オレフィンコポリマー、例えば、エチレン/メタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、及びエチレンプロピレンコポリマー、アクリルポリマー及びコポリマー、並びにそれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、基部本体602は、単層フィルム又は多層フィルム、不織布フィルム、多孔質フィルム、発泡体状フィルム、及びそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態では、基部本体602は、押出成形、共押出成形、溶液流延、発泡、不織技術などの任意の適切なフィルム形成方法を使用して製造することができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、基部190は、基部本体602上に配置され、第2の主表面614を少なくとも部分的に形成する接着剤層616を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、接着剤層616は、伸張剥離接着剤を含んでもよい。
【0067】
場合によっては、伸張剥離接着剤の接着強度は、伸張剥離接着剤の凝集強度未満であってもよく、その結果、基部190の伸張時に、伸張剥離接着剤の接着能力は本質的に消失し得る。具体的には、伸張剥離接着剤の粘着性は、基部190の伸張時に失われ得る。したがって、いくつかの実施形態では、基部190は、基部190の伸張に基づいて、ユーザ18の皮膚16から容易に取り外され得る。
【0068】
更に、接着剤は感圧接着剤であってもよい。いくつかの実施形態では、接着剤は、水分蒸発を可能にするために比較的高い水蒸気透過率を有してもよい。いくつかの実施形態では、好適な感圧接着剤としては、アクリレート、ウレタン、ヒドロゲル、親水コロイド、ブロックコポリマー、シリコーン、ゴム系接着剤(天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴムなどを含む)、並びにそのような接着剤の組み合わせに基づくものが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、感圧接着剤の接着剤成分は、粘着付与剤、可塑剤、レオロジー調整剤、並びに活性成分、例えば、抗菌剤を含有してもよい。いくつかの実施形態において、感圧接着剤は、適度に皮膚適合性であり、「低アレルギー誘発性」であってもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、接着剤層616は、エラストマーポリマーを含む多層エラストマー層、例えば、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEPS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、ポリウレタン、エチルビニルアセテート(EVA)、エチルメチルアクリレート(EMA)、超低密度ポリエチレン(ULLDPE)、水素化ポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、及びこれらの組み合わせ又はブレンドなどを含んでもよい。更に、接着剤層616は、フラッドコーティング又はパターンコーティングされてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、固定装置100は、基部190の第2の主表面614に取り外し可能に固定された剥離ライナー620を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、剥離ライナー620は、基部190をユーザ18の皮膚16に取り外し可能に固定するために、基部190から取り外されてもよい。図7は、本開示の一実施形態による、剥離ライナー620の取り外しを示す固定装置100の概略斜視図である。いくつかの実施形態では、剥離ライナー620が基部190から取り外され得るとき、基部190の接着剤層616(図6参照)が露出され得る。更に、露出した接着剤層616は、基部190がユーザ18の皮膚16に取り外し可能に固定されることを可能にし得る。
【0071】
剥離ライナー620は、固定装置100の使用前に、埃、デブリなどの汚染物質から接着剤層616を保護することができる。剥離ライナー620は、プラスチック基材を用いて製造されてもよい。剥離ライナー620は、基部190の形状と実質的に同様の形状を含んでもよい。剥離ライナー620は、基部190をユーザ18の皮膚16に取り外し可能に固定する前に、接着剤層616から剥がされてもよい。剥離ライナー620は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)などの任意の好適な材料を含んでもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、基部190は、基部190の外周622に配置され、接着剤層616を含まない1つ以上のプルタブ192を更に含んでもよい。図7の示された実施形態では、基部190は単一のプルタブ192を含む。代替的に、基部190は、基部190の反対側を向いている端部に配置された2つのプルタブを含んでもよい。プルタブ192は、プルタブ192がユーザ18の皮膚16に付着できないように、接着剤のない領域として具現化されてもよい。プルタブ192は、基部190を皮膚16から取り外すために把持されるように構成され得る。具体的には、プルタブ192は、固定装置100を適用し、かつ取り外すために基部190を把持することを可能にし得、また、臨床医又は任意の他の医療専門家が、ユーザ18の皮膚16上へ固定装置100を貼るために剥離ライナー620を剥がすことを可能にし得る。更に、いくつかの実施形態では、ユーザ18の皮膚16から基部190を取り外すために、基部190は、プルタブ192を把持して引っ張ることによって伸長されてもよい。
【0073】
ここで図8を参照すると、基部190は、単一のプルタブ192(図7参照)の代わりに複数のプルタブ618を含んでもよい。具体的には、図8の示された実施形態では、基部190は、4対のプルタブ618、すなわち合計8つのプルタブ618を含む。プルタブ618は、実質的に半円形であってもよい。他の実施形態では、プルタブ618は、いかなる制限もなく、任意の他の形状又は任意の数のプルタブ618を含んでもよい。いくつかの例では、プルタブ618は、固定装置100を取り外すためにプルタブ618が引っ張られなければならない方向を示す印をそれらの上に含んでもよい。プルタブ618は、プルタブ618がユーザ18(図1参照)の皮膚16(図1参照)に付着できないように、接着剤のない領域として具現化されてもよい。プルタブ618は、基部190を皮膚16から取り外すために把持されるように構成され得る。具体的には、プルタブ618は、固定装置100を適用し、かつ取り外すために基部190を把持することを可能にし得、また、臨床医又は任意の他の医療専門家が、ユーザ18の皮膚16上へ固定装置100を適用するために剥離ライナー620を剥がすことを可能にし得る。更に、いくつかの実施形態では、ユーザ18の皮膚16から基部190を取り外すために、基部190は、プルタブ618を把持して引っ張ることによって伸長されてもよい。
【0074】
図9は、本開示の別の実施形態による固定装置100の概略側面図を示す。基部190は、明確にするために図9には示されていない。いくつかの実施形態では、固定装置100はインサート980を含む。インサート980は、インサート180(図2B参照)と実質的に同様であってもよい。しかしながら、インサート980は、複数の管腔912を受け入れるように構成され得る。いくつかの実施形態では、インサート980は、各溝984-1、984-2が複数の管腔912から対応する管腔912-1、912-2を少なくとも部分的にかつ摺動可能に受け入れるように、複数の溝984を含んでもよい。図9の示された実施形態では、インサート980は、2つの溝984-1、984-2を含む。溝984-1、984-2は、それぞれ、管腔912-1、912-2を少なくとも部分的にかつ摺動可能に受け入れるように構成されている。溝984-1、984-2は、インサートが固定状態にあるとき、略円形の形状を有してもよい。いくつかの例では、インサート980は、用途の必要条件に応じて、3つ以上の溝を含んでもよい。インサート980は、溝部分188(図4参照)と同様の溝部分988と、溝部分988が開放されるように溝部分988をその間に画定する2つの分割インサート部分982と、を更に含む。溝部分988は、インサートが固定状態にあるとき、略矩形の形状を有してもよい。
【0075】
したがって、図1を参照すると、固定装置100は、医療機器14をユーザ18の皮膚16の上にしっかりと固定することができる。更に、固定装置100は、医療機器14の移動を阻止することができる。その結果、固定装置100は、医療機器14の微小移動に起因して起こり得る様々な合併症を防止することができる。
【0076】
図10は、本開示の一実施形態による、固定装置100をユーザ18の皮膚16上に固定する方法1000を図示するフローチャートを示す。図11A図11Fは、本開示の一実施形態による、固定装置100をユーザ18の皮膚16に固定する様々なステップを示す。以下、図10及び図11A図11Fを参照して方法1000を説明する。固定装置100は、第1の本体部分112及び第2の本体部分142を含む本体110と、本体110に固定的に結合されたインサート180と、を含む。図10図11A、及び図11Bを参照すると、ステップ1002において、本体110は、開放構成に変形される。具体的には、本体110は、図11Aに示されるような閉鎖構成から図11Bに示されるような開放構成に変形される。本体110の開放構成では、第1の本体部分112の第1の下面116及び第2の本体部分142の第2の下面146は、第1の枢動インターフェース160において互いに対して傾斜している。ステップ1004において、インサート180は、本体110の開放構成への変形に基づいて、解放状態に変形される。インサート180の解放状態は、本体110の開放構成に対応する。いくつかの実施形態では、本体110及びインサート180は、共通の枢動軸線176を中心として変形される。
【0077】
図10及び図11Cを参照すると、ステップ1006において、少なくとも1つの管腔12は、インサート180が解放状態に変形すると、インサート180と係合する。インサート180が解放状態にあるとき、インサート180の溝184は、その中に少なくとも1つの管腔12を取り外し可能に、かつ少なくとも部分的に受け入れるように構成されている。
【0078】
図10及び図11Dを参照すると、ステップ1008において、本体110が閉鎖構成に変形される。本体110の閉鎖構成では、第1の本体部分112の第1の下面116及び第2の本体部分142の第2の下面146は、第1の枢動インターフェース160において互いに実質的に平行である。ステップ1010において、インサート180は、本体110の閉鎖構成への変形に基づいて、固定状態に変形される。インサート180の固定状態は、本体110の閉鎖構成に対応する。ステップ1012において、少なくとも1つの管腔12は、インサート180が固定状態に変形すると、溝184内に固定される。
【0079】
図10図11E図11Fを参照すると、いくつかの実施形態では、基部190は、ユーザ18の皮膚16と係合してもよい。図11Eに示されるように、いくつかの実施形態では、剥離ライナー620は、基部190の第2の主表面614に取り外し可能に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、剥離ライナー620は、基部190をユーザ18の皮膚16に取り外し可能に固定する前に、基部190から取り外されてもよい。
【0080】
基部190は、第1の主表面612と、第1の表面612の反対側を向いている第2の主表面614と、を有してもよい。第1の主表面612は、第1の本体部分112の第1の下面116及び第2の本体部分142の第2の下面146に固定的に結合され得る。更に、第2の主表面614は、ユーザ18の皮膚16に少なくとも部分的に係合し、取り外し可能に固定されるように構成され得る。更に、基部190は、開放構成と閉鎖構成との間の本体110の変形に基づいて変形可能であってもよい。図11B及び図11Cに示されるように、基部190は、本体110の開放構成において曲線形状を有してもよい。更に、図11Dに示されるように、基部190は、本体110の閉鎖構成において実質的に平面形状を有してもよい。
【0081】
図5及び図10を参照すると、いくつかの実施形態では、方法1000は、本体110を閉鎖構成に保持するために、閉鎖テープ502を第1の本体部分112の第1の上面114及び第2の本体部分142の第2の上面144に結合するステップを含んでもよい。更に、いくつかの実施形態では、1つ以上のプルタブ192、618(それぞれ、図7及び図8参照)は、皮膚16から基部190を取り外すために把持されてもよい。
【0082】
更に、いくつかの実施形態では、インサート980(図9参照)は、各溝984-1、984-2(図9参照)が複数の管腔912(図9参照)から対応する管腔912-1、912-2(図9参照)を少なくとも部分的に、かつ摺動可能に受け入れることができるように、複数の溝984(図9参照)を含むことができる。したがって、複数の管腔912は、インサート980内に少なくとも部分的に受け入れられ得る。
【0083】
別段の指示がない限り、本明細書及び請求項で使用されるサイズ、量、及び物理的特性などを表す全ての数は、「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、そうでないと示されない限り、前述の明細書及び添付の請求項に記載される数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る概算である。
【0084】
本明細書では特定の実施形態を示し説明してきたが、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、示した及び説明した特定の実施形態を様々な代替及び/又は等価な実装形態で置き換えることができることを理解するであろう。本出願は、本明細書で論じられる特定の実施形態の任意の適合又は変形を包含することが意図される。したがって、本開示は特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
【国際調査報告】