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特表2025-505815光ファイバ干渉計及び光ファイバ干渉計に基づいて磁界又は電流を測定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】光ファイバ干渉計及び光ファイバ干渉計に基づいて磁界又は電流を測定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/032 20060101AFI20250220BHJP
   G01R 15/24 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
G01R33/032
G01R15/24 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548720
(86)(22)【出願日】2023-02-21
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2023054324
(87)【国際公開番号】W WO2023156682
(87)【国際公開日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】2201526
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508013962
【氏名又は名称】エグゼル
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【弁理士】
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【弁理士】
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】ムリュソン セドリック
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルディユ トマ
【テーマコード(参考)】
2G017
2G025
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AD12
2G017AD15
2G017BA05
2G017BA15
2G025AB10
2G025AC09
(57)【要約】
本発明は、光源(20)と、差動位相変調器(16)と、信号処理システム(900)と、非相反磁気光学ファラデー効果を誘導することができるベルデ定数を有する検出光ファイバ(73)とを備える、光ファイバ干渉計であって、干渉計が、閉じた光路に沿って光ファイバ(73)を同時に進む2つの偏光波(111、112)の間の干渉によって形成された干渉ビーム(300)の位相差を検出することができ、位相差をスケーリング係数で除することによって、磁界の値、又は導体(120)を流れる電流の値をそこから導く、光ファイバ干渉計に関する。本発明によれば、信号処理システム(900)は、干渉ビームの一部分のパワーコントラストの変動を測定し、コントラストの変動からスケーリング係数の変動の測定値を導くのに適する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースビーム(100)を発生させることができる光源(20)と、差動位相変調器(16)と、光ファイバデバイス(400)と、検出システム(18)と、信号処理システム(900)とを備える、光ファイバ干渉計であって、前記光ファイバデバイス(400)が、非相反磁気光学ファラデー効果を誘導することができるベルデ定数を有する検出光ファイバ(73)を備え、前記検出光ファイバ(73)が、磁界に配置され、又は導体(120)の周りに少なくとも1巻きを形成し、前記光ファイバ干渉計が、閉じた光路に沿って前記検出光ファイバ(73)を同時に進む2つの偏光波(111、112)の間の干渉によって形成された干渉ビーム(300)の位相差を検出することができ、前記2つの偏光波(111、112)が、前記差動位相変調器によって、前記位相差をスケーリング係数で除することによって、前記閉じた光路に沿って積分された前記磁界の値、又は前記導体(120)を流れる電流の値をそこから導くように変調され、前記スケーリング係数が、前記光ファイバ(73)の前記ベルデ定数に比例する、光ファイバ干渉計において、前記信号処理システム(900)が、前記差動位相変調器によって変調された前記干渉ビームの部分のパワーコントラストの変動を測定し前記コントラストの変動から前記スケーリング係数の変動の測定値を導くように適合され、構成されることを特徴とする、光ファイバ干渉計。
【請求項2】
前記信号処理システム(900)が、前記検出された変調干渉ビームの前記部分の最小パワー及び/又は前記検出された変調干渉ビームの前記部分の最大パワーと最小パワーとの間の差分を測定するように適合され、構成される、請求項1に記載の光ファイバ干渉計。
【請求項3】
前記信号処理システム(900)が、前記スケーリング係数の変動の前記測定値の関数として、前記スケーリング係数をリアルタイムで補正するように適合され、構成される、請求項1又は2に記載の光ファイバ干渉計。
【請求項4】
前記検出光ファイバ(73)が円偏光保持型であり、前記光ファイバデバイス(400)が光位相リターダ(42)と反射体(26)とを備え、前記光位相リターダ(42)が前記検出光ファイバ(73)の一方の端部に配置され、前記反射体(26)が前記検出光ファイバ(73)の他方の端部に配置され、前記干渉計が、前記2つの偏光波(111、112)が前記検出光ファイバ(73)を往復し、2つの直交状態の円偏光を有し、前記反射体(26)上の反射によって反転するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の光ファイバ干渉計。
【請求項5】
前記差動位相変調器(16)が、2つの直交する軸に沿って直線偏光の2つの直交状態を案内することができる単一の導波体を備える電気光学複屈折変調器であり、前記干渉計が、前記光源(20)と前記電気光学複屈折変調器(16)との間に配置された偏光子(24)であって、前記偏光子が、前記電気光学複屈折変調器(16)の軸に対して45度に向けられ、前記電気光学複屈折変調器の一方の端部が前記光ファイバデバイス(400)に接続される、偏光子(24)を備える、請求項4に記載の光ファイバ干渉計。
【請求項6】
前記光源(20)と前記差動位相変調器(16)との間に配置されたY字接合分離器であって、前記差動位相変調器(16)が、同じ直線偏光の2つのビームを案内することができる2つの導波体を備え、それぞれが位相変調器を有し、前記光ファイバデバイス(400)が、偏光保持光ファイバセクション(71)と、他方の偏光保持光ファイバセクション(72)とを備え、前記光ファイバセクション(71)と、それに対応する前記他方の光ファイバセクション(72)とがそれぞれ、一方では、前記差動位相変調器(16)の前記2つの導波体の一方に、他方では、偏光カプラ/スプリッタ(27)に接続され、前記他方の光ファイバセクション(72)が直線偏光を90度回転させるように向けられる、Y字接合分離器を備える、請求項4に記載の光ファイバ干渉計。
【請求項7】
前記検出光ファイバ(73)が円偏光保持型であり、前記光ファイバデバイス(400)が、前記光源(20)と前記差動位相変調器(16)との間に配置されたY字接合分離器を備え、前記差動位相変調器(16)が、同じ直線偏光の2つのビームを案内することができる2つの導波体を備え、前記光ファイバデバイス(400)が、偏光保持光ファイバセクション(71)と、光位相リターダ(32)と、他方の偏光保持光ファイバセクション(72)と、他方の光位相リターダ(33)とを備え、前記光ファイバセクション(71)及び対応する前記他方の光ファイバセクション(72)が、それぞれ、一方では、前記差動位相変調器(16)の前記2つの導波体の一方に接続され、他方では、前記光位相リターダ(32)、及び対応する前記他方の光位相リターダ(33)に接続され、前記光位相リターダ(32)が、前記検出光ファイバ(73)の一方の端部に配置され、前記他方の光位相リターダ(33)が、前記検出光ファイバ(73)の他方の端部に配置され、前記干渉計が、前記2つの偏光波(111、112)が、同じ円偏光の状態で、反対方向に前記検出光ファイバ(73)を進むように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の光ファイバ干渉計。
【請求項8】
前記光位相リターダ(42、32)、及び/又は対応する前記他方の光位相リターダ(33)が、それぞれ前記ソースビーム(100)の波長において四分の一波長板を形成する、請求項4~7のいずれか一項に記載の光ファイバ干渉計。
【請求項9】
前記光位相リターダ(42、32)及び/又は対応する前記他方の光位相リターダ(33)が欠陥を導入するようにオフセットされ、前記信号処理システム(900)が、前記システムの前記スケーリング係数の変動の測定値を前記検出された干渉信号から抽出し、そこから前記光位相リターダ(42、32)及び対応する前記他方の光位相リターダ(33)の温度の変動を導くように適合される、請求項8に記載の光ファイバ干渉計。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の光ファイバ干渉計に基づいて磁界又は電流を測定する方法であって、前記方法が、
光源(20)からソースビーム(100)を放出するステップと、
前記ソースビームを2つの偏光波に分割するステップと、
前記2つの偏光波を差動位相変調するステップと、
前記2つの偏光波(111、112)が閉じた光路に沿って検出光ファイバ(73)を通って同時に進むように、前記検出光ファイバ(73)を備える光ファイバデバイスに前記2つの偏光波を伝送するステップであって、前記検出光ファイバ(73)が、非相反磁気光学ファラデー効果を誘導することができるベルデ定数を有し、前記検出光ファイバ(73)が、磁界に配置されるか、又は導体(120)の周りに少なくとも1巻きを形成する、ステップと、
前記光ファイバデバイス(400)の出力において2つの偏光波(111、112)を再結合して、干渉ビーム(300)を形成するステップと、
前記干渉ビーム(300)を検出するステップと、
前記検出された信号を処理して前記干渉ビーム(300)の位相差の測定値を抽出し、前記位相差をスケーリング係数で除することによって、前記閉じた光路に沿って積分された前記磁界の値又は前記導体(120)を流れる電流の値を導くステップと
を含む、方法において、
前記信号処理が、前記差動位相変調器によって変調された前記干渉ビームの部分のパワーコントラストの変動を測定し、前記コントラストの変動から前記スケーリング係数の変動の測定値を導くように適合され、構成されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、光ファイバ干渉計に基づくセンサの分野に関する。より詳細には、本発明は、光ファイバにおける閉じた光路に沿って磁界を積分するために磁気光学ファラデー効果を用いるセンサに関する。
【0002】
このようなセンサは、特に、光ファイバが導体を囲む光ファイバ電流センサ(すなわちFOCS)として適用される、又は磁界センサとしても適用される。
【0003】
より詳細には、本発明は、スケーリング係数に影響する誤差を補正した、高精度な電流測定のためのセンサ及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
上記の分野において、文献「J.Blake et al.“In-Line Sagnac Interferometer Current Sensor”,IEEE Transactions on Power Delivery,Vol.11,n°1,pages 116-121,1996」は、誘導された磁界を介して電流センサとして使用される反射(又はインライン)光ファイバ干渉計を記載している。
【0005】
文献「“Highly accurate fiber-optic DC current sensor for the electro-winning industry”,K.Bohnert,H.Brandle,M.Brunzel,P.Gabus and P.Guggenbach,IEEE,PCIC-2005-14,pp.121-128」もまた、検出光ファイバにおいて誘導されたファラデー効果を測定する光ファイバ干渉計に基づく電流センサを記載している。同文献によれば、電流センサは、サニャック光ファイバ干渉計又は反射光ファイバ干渉計の構成に基づき得る。検出光ファイバは、電流の流れる電気ケーブルの周辺の周りに少なくとも1巻きを形成するように配置され、電流の強度が測定される。検出ファイバは、一般に、円偏光保持型のものである。サニャック干渉計の場合では、同じ円偏光の状態を有し、且つ互いに反対方向に検出光ファイバを通って進む2つの波の間の位相差が測定される。反射光ファイバ干渉計の場合では、互いに直交する円偏光状態を有する検出光ファイバを通って一緒に往復する2つの波の間の位相差が測定される。但し、これらの円偏光状態は鏡で反射されて往路と復路とで反転する。静止時、すなわち、ここでは電流又は磁界が存在しない場合、2つの波が進む光路は、反対方向における波の伝播の相反性に起因して完全に同一である。また、2つの光路は完全に相反であると言われる。
【0006】
電流が導体を通って流れることにより、磁界が誘導される。この磁界は、検出光ファイバにおいて、ファラデー効果、すなわち非相反共線磁気光学効果を発生させる。より正確には、ファラデー効果は、磁界によって生じる光学偏光の回転効果である。したがって、磁界Bに配置された材料(例えば、シリカ)を通過し、磁界Bに平行に伝播する直線偏光ビームの偏光面は、磁界Bの検出光ファイバの材料のベルデ定数(Vと記す)と、通過した材料における光路の長さdとに依存する回転角βだけ回転する。偏光の回転角βは、検出光ファイバに沿った磁界Bの循環に比例する。偏光の回転角度は、磁界の方向及び光の伝播方向に依存する(“The fiber optic gyroscope”,second edition,Herve Lefevre,Artech House,figure 7.1-a,page 107も参照)。このように直線偏光が角度βだけ回転することは、円複屈折として解釈される。実際、直線偏光は、2つの反対(右回り及び左回り)の円偏光に分解され得る。ファラデー効果によって、同じ方向に伝播するこれら2つの円偏光には位相差がもたらされ、位相差は、これら2つの共伝播する円偏光の結合である直線偏光の回転によって観測される。
【0007】
サニャック干渉計に基づく電流センサの場合では、2つの波は、反対方向に、同じ円偏光で伝播する。この円偏光はファラデー効果によって変化しないが、反対方向に伝播する2つの波の間に位相差が生じる(“The fiber optic gyroscope”,second edition,Herve Lefevre,Artech House,figure 7.1-b,page 107も参照)。この位相差ΔΦは、干渉計の出力において2つの波の再結合後に測定され、以下のようになる。
ΔΦ=2VNI
【0008】
上式で、Vは、検出光ファイバのコア材料のベルデ定数を表し、Nは、導体の周りに巻かれた光ファイバの巻数を整数で表し、Iは、導体を流れる電流の強度を表す。
【0009】
反射光ファイバ干渉計に基づく電流センサの場合では、測定された位相差ΔΦは、以下のようになる。
ΔΦ=4VNI
【0010】
反射光ファイバ干渉計の場合では、偏光波がそれぞれ検出光ファイバを往復することに起因して、スケーリング係数はサニャック干渉計に比べて2倍(2VNIではなく4VNI)になる。更に、反射光ファイバ干渉計は、ループ干渉計よりも干渉計の回転速度、振動、及び熱的効果の影響を受けにくい。
【0011】
このような光ファイバセンサには多くの利点がある。このような光ファイバセンサによって、1%のオーダーの精度で磁界又は電流を非接触で測定することが可能になる。このような光ファイバセンサによって、幅広いダイナミックレンジにわたって、例えば、数マイクロアンペアのオーダーの検出可能な電流の最小値と、数千アンペアのオーダーの検出可能な電流の最大値との間にわたって電流を測定することが可能になる。最後に、このような光ファイバセンサは、多くの環境要因の影響を受けにくい。
【0012】
しかしながら、光ファイバ干渉計に基づくセンサの精度を、また特にスケーリング係数を向上させることが望ましく、スケーリング係数は、センサ応答の線形性を、検出された信号の関数として、すなわち測定された位相差の関数として定義する。0.1%、又は更には0.01%を上回る測定精度が望ましい。
【0013】
しかしながら、これらの光ファイバ干渉計は、他の望ましくない効果の影響を受ける。これらの望ましくない欠陥は、スケーリング係数に影響を与えやすい。
【0014】
一方では、光ファイバ干渉計のスケーリング係数は、光学構成要素のミスアライメントなどに起因する構成の欠陥を有することがある。特に、直線偏光波を円偏光波に変換するために四分の一波長板が使用される場合、この四分の一波長板は、四分の一波長板のπ/2の理論的位相差とは異なる位相差を実際にはもたらすことがある、及び/又は、入射直線偏光に対する固有軸のミスアライメントを示すことがある。
【0015】
他方では、光ファイバ干渉計のスケーリング係数は、時間とともに変化することがある。特に、ファイバのベルデ定数は、温度及びビームの波長に依存することが知られている。スケーリング係数は、例えばセンサの検知部品における温度変化によって誘導される光ファイバのベルデ定数の変動に起因する変動を示し得る。スケーリング係数はまた、光学差動位相変調器における温度変動に起因して変化し得る。
【0016】
最後に、例えばソースの光パワーの変動など、他の外乱が干渉計測に影響を与えることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的の1つは、スケーリング係数の変動又は欠陥の原因が何であれ、その変動又は欠陥をリアルタイムで測定することを可能にする、光ファイバ干渉計に基づく電流センサ又は磁界センサを提案することである。本発明の別の目的は、このようなセンサにおけるこのスケーリング係数の誤差をリアルタイムで補正することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従来技術における上記の欠点を改善するために、本開示は、ソースビームを発生させるように適合された光源と、差動位相変調器と、光ファイバデバイスと、検出システムと、信号処理システムとを備える、光ファイバ干渉計であって、光ファイバシステムが、非相反磁気光学効果ファラデー効果を誘導することができるベルデ定数を有する検出光ファイバを備え、検出光ファイバが、磁界に配置され、又は導体の周りに少なくとも1巻きを形成し、光ファイバ干渉計が、閉じた光路に沿って検出光ファイバを同時に進む2つの偏光波の間の干渉によって形成された干渉ビームの位相差を検出することができ、2つの偏光波が、差動位相変調器によって変調され、光ファイバ干渉計が、位相差をスケーリング係数で除することによって、閉じた光路に沿って積分された磁界の値、又は導体を流れる電流の値をそこから導くことができ、スケーリング係数が、光ファイバのベルデ定数に比例する、光ファイバ干渉計を提案する。
【0019】
本発明によれば、信号処理システムは、差動位相変調器によって変調された干渉ビームの部分のパワーコントラストの変動を測定し、コントラストの変動からスケーリング係数の変動の測定値を導くように適合され、構成される。
【0020】
特定の態様によれば、信号処理システムは、検出された変調干渉ビームの部分の最小パワー及び/又は検出された変調干渉ビームの部分の最大パワーと最小パワーとの間の差分を測定するように適合され、構成される。
【0021】
別の特定の有利な態様によれば、信号処理システムは、このスケーリング係数の変動の測定値の関数として、スケーリング係数をリアルタイムで補正するように適合され、構成される。
【0022】
第1及び第2の実施形態では、検出光ファイバが円偏光保持型のものであり、光ファイバデバイスが光位相リターダと反射体とを備え、光位相リターダが検出光ファイバの一方の端部に配置され、反射体が検出光ファイバの他方の端部に配置され、干渉計が、2つの偏光波が検出光ファイバを往復し、2つの直交状態の円偏光を有し、反射体での反射によって反転するように構成される。
【0023】
第1の実施形態の一態様によれば、差動位相変調器は、2つの直交する軸に沿って直線偏光の2つの直交状態を案内することができる単一の導波体を備える電気光学複屈折変調器であり、複屈折変調器が、2つの直交する直線偏光の位相を差動変調する。干渉計はまた、光源と電気光学複屈折変調器との間に配置された偏光子であって、偏光子が、電気光学複屈折変調器の軸に対して45度に向けられ、電気光学複屈折変調器の一方の端部が光ファイバデバイスに接続される、偏光子を備える。
【0024】
第2の実施形態の一態様によれば、干渉計は、光源と、同じ直線偏光の2つのビームを案内することができる2つの導波体を備え、それぞれが好ましくはプッシュプル構成、すなわち反対符号で接続された位相変調器を備える差動位相変調器との間に配置されたY字接合分離器を備える。光ファイバデバイスは、偏光保持光ファイバセクションと、他方の偏光保持光ファイバセクションとを備え、光ファイバセクションと、それに対応する他方の光ファイバセクションとがそれぞれ、一方では、差動位相変調器の2つの導波体の一方に、他方では、偏光カプラ/スプリッタにそれぞれ接続され、他方の光ファイバセクションが直線偏光を90度回転させるように向けられる。
【0025】
第3の実施形態によれば、検出光ファイバは、円偏光保持型のものであり、光ファイバデバイスが、光源と、同じ直線偏光の2つのビームを案内することができる2つの導波体を備え、それぞれが好ましくはプッシュプル構成、すなわち反対符号で接続された位相変調器を備える差動位相変調器との間に配置されたY字接合分離器を備える。光ファイバデバイスは、偏光保持光ファイバセクションと、光位相リターダと、他方の偏光保持光ファイバセクションと、他方の光位相リターダとを備え、光ファイバセクション及び対応する他方の光ファイバセクションは、それぞれ、一方では、差動位相変調器の2つの導波体の一方に接続され、他方では、光位相リターダ、及び対応する他方の光位相リターダに接続され、光位相リターダが、検出光ファイバの一方の端部に配置され、他方の光位相リターダが、検出光ファイバの他方の端部に配置され、干渉計が、2つの偏光波が、同じ円偏光の状態で、反対方向に検出光ファイバを進むように構成される。
【0026】
これらの実施形態のいずれか1つの特定の有利な態様によれば、光位相リターダ、及び/又は対応する他方の光位相リターダが、それぞれソースビームの波長において四分の一波長板を形成する。
【0027】
有利には、光位相リターダ及び/又は対応する他方の光位相リターダが、欠陥を導入するようにオフセットされ、信号処理システムが、システムのスケーリング係数の変動の測定値を検出された干渉信号から抽出し、これにより、そこから光位相リターダ及び対応する他方の光位相リターダの温度の変動を導くように適合される。
【0028】
本発明はまた、記載された実施形態のうちの1つによる、光ファイバ干渉計に基づいて磁界又は電流を測定する方法に関し、本方法が、光源からソースビームを放出するステップと、ソースビームを2つの偏光波に分割するステップと、2つの偏光波を差動位相変調するステップと、2つの偏光波が閉じた光路に沿って光ファイバを通って同時に進むように、光ファイバを備える光ファイバデバイスに2つの偏光波を伝送するステップであって、光ファイバが、非相反磁気光学ファラデー効果を誘導することができるベルデ定数を有し、検出光ファイバが、磁界に配置される、又は導体の周囲で少なくとも1巻きを形成する、ステップと、光ファイバデバイスの出力において2つの偏光波を再結合して、干渉ビームを形成するステップと、干渉ビームを検出するステップと、検出された信号を処理して干渉ビームの位相差の測定値を抽出し、位相差をスケーリング係数で除することによって、閉じた光路に沿って積分された磁界の値、又は導体を流れる電流の値をそこから導くステップとを含む。
【0029】
本開示によれば、信号処理は、差動位相変調器によって変調された干渉ビームの部分のパワーコントラストの変動を測定し、コントラストの変動からスケーリング係数の変動の測定値を導くように適合され、構成される。
【0030】
当然のことながら、本発明の異なる特徴、代替形態、及び実施形態は、互いに両立しなかったり排他的であったりしない限り、様々な組み合わせにより互いに関連付けられ得る。
【0031】
更に、本発明の様々な他の特徴は、本発明の非限定的な実施形態を示す図面を参照してなされる添付の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】反射光ファイバ干渉計に基づく電流センサ又は磁界センサの第1の実施形態を示す。
図2】反射光ファイバ干渉計に基づく電流センサ又は磁界センサの第2の実施形態を示す。
図3】サニャック光ファイバ干渉計に基づく電流センサ又は磁界センサの第3の実施形態を示す。
図4】欠陥がない場合に、測定される信号によって、又は差動位相変調器を使用して付加される変調によって導入される位相差の関数として、検出された干渉信号の理論的なパワー応答曲線を示す。
図5】光ファイバ干渉計にスケーリング係数の欠陥がある場合に、測定される信号によって、又は変調器を使用して付加される変調によって導入される位相差の関数として、検出された干渉信号の一部分のパワー応答曲線を示す。
図6】光ファイバ干渉計にスケーリング係数の欠陥がある場合に、測定される信号によって導入される位相差の関数として、検出された干渉信号の他の部分のパワー応答曲線を示す。
図7】光ファイバ干渉計にスケーリング係数の欠陥がある場合に、図5及び図6に示す、変調器を使用して付加される変調によって導入される位相差の関数として、検出された干渉信号の和から得られるパワー応答曲線を示す。
図8】ファラデー効果が存在しない場合に、磁界センサ又は電流センサに適用する場合の光ファイバ干渉計において伝播する異なるビームのフェーザの形式による概略図である。
図9】ファラデー効果が存在する場合に、同じ光ファイバ干渉計において伝播する異なるビームのフェーザの形式による概略図である。
図10】8レベル12レベル変調の一例の概略表現である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
これらの図面において、異なる代替形態に共通する構造的及び/又は機能的要素は、同じ参照番号を有し得ることに留意されたい。
【0034】
ここで、図1図3に関連して、光ファイバ干渉計に基づく電流センサ又は磁界センサの主な要素を説明する。以下、図1に示す第1の実施形態と、図2に示す第2の実施形態と、図3に示す第3の実施形態との差異を詳述する。
【0035】
一般に、光ファイバ干渉計に基づく電流センサは、ソース/検出器ブロック200と、偏光子24と、電気光学差動位相変調器16と、導体120を囲む閉じた光路を形成する光ファイバデバイス400と、信号処理システム900と、インターフェースのシステム(図示せず)とを備える。以降、本明細書では、電気光学差動位相変調器16は、光学差動位相変調器、差動位相変調器、又は光学変調器とも呼ばれる。
【0036】
ソース/検出器ブロック200は、光源20と、検出システム18と、受光器スプリッタと呼ばれるソース受光器スプリッタ22とを備える。アナログかデジタルかを問わず、すべての電気構成要素及び電子構成要素がケーシングに収められ得る。
【0037】
偏光子24及び光学変調器16は、ソース/検出器ブロック200と光ファイバデバイス400との間に直列に配置される。
【0038】
光ファイバデバイス400は、導体120の周りに少なくとも1巻きを形成することができる検出光ファイバ73を備える。検出光ファイバ73は、光磁気効果を検知するファイバとして使用される。その目的ために、検出光ファイバ73は、ベルデ定数Vを有するように選択される。例えば、検出光ファイバ73は、シリカコアを有し、シリカコアは、1550nmの波長において約0.6radT-1-1のオーダーのシリカのベルデ定数を有する。有利には、検出光ファイバ73は、線引き時に撚られた偏光保持ファイバであり、スパンファイバとも呼ばれる。このようなスパンファイバにより、光の円偏光を保持することが可能になる。代替的に、検出光ファイバ73は直線偏光保持型のものである。しかしながら、このような構成の効率は極めて悪い。
【0039】
光源20は光ビーム100を発生させる。ソース受光器スプリッタ22は、例えば光ファイバセクション23を介して、ソースビーム100を偏光子24に伝送する。偏光子24は、ソースビームを受光し、直線偏光ソースビーム110を光学変調器16に伝送する。
【0040】
図1は、第1の実施形態による、光ファイバ干渉計に基づく電流センサを概略的に示している。偏光子24及び電気光学差動位相変調器16は、直線偏光ソースビーム110を受光し、これを2つの直交する偏光状態に沿って直線偏光された2つの波101、102に分割するように配置され、構成される。より正確には、電気光学差動位相変調器16の固有軸から45度に偏光子24の固有軸を向けることによって、偏光スプリッタが形成される。電気光学差動位相変調器16は、例えば、ニオブ酸リチウム基板上に集積され、例えばチタンの拡散によって形成された電気光学変調器から構成される。光集積回路34は、例えばニオブ酸リチウム基板におけるチタンの拡散によって形成された単一の導波体を備える。導波体により、有利なことに、2つの直交する直線偏光状態を案内することが可能になる。位相変調器16の電極は、導波体の側面に沿って配置される。光集積回路34の導波体は複屈折のものである。このようにして、偏光子24と電気光学差動位相変調器16との組み合わせにより、直線偏光ソースビーム110を、第1の偏光シングルモード波101と第2の直交偏光波102とに偏光分離することが可能になり、第1の偏光シングルモード波101及び第2の直交偏光波102は、電気光学差動位相変調器16の同じシングルモード導波体上を伝播する。例えば、以下では、第1の直線TE偏光シングルモード波101及び第2の直線TM偏光シングルモード波102である。
【0041】
偏光に応じて異なる効率を有する電気光学差動位相変調器16は、2つの波の位相差を発生させ、位相を変調することを可能にする。ここで、電気光学差動位相変調器16の端部は、光ファイバデバイス400に直接接続される。
【0042】
ここでの光ファイバデバイス400は、直線偏光保持光ファイバのセクション74と、光位相リターダ42(以下、光リターダ)と、反射体26とを備える。光ファイバセクション74と検出光ファイバ73とは、直列に配置され、光リターダ42によって互いに接続される。反射体26は、検出光ファイバ73の他方の端部、すなわち遠位端部に配置される。光ファイバデバイス400は、主にソース/受光器ブロック200のケーシングの外側に留まる。
【0043】
順方向では、第1のTE偏光シングルモード波101及び第2のTM偏光波102は、直線偏光保持光ファイバのセクション74の近位端部において入射される。光リターダ42は、直線偏光保持光ファイバのセクション74の遠位端部と検出光ファイバ73の近位端部との間に配置される。光リターダ42は、例えば四分の一波長板である。代替的に、光リターダ42は、楕円形のコアを有する光ファイバから構成され、その長さ及び向きは、1/4波長の位相差を誘導するように決定される。
【0044】
第1のTE偏光シングルモード波101及び第2のTM偏光シングルモード波102は、直線偏光保持光ファイバのセクション74に入射される。有利には、偏光保持光ファイバ74の固有軸は、TE偏光軸及びTM偏光軸にアライメントされる。偏光保持光ファイバのセクション74は、第1の偏光シングルモード波101及び第2の偏光シングルモード波102を、これらの波のそれぞれの直線偏光を保持しながら搬送する。偏光保持光ファイバのこのセクション74は、ソース/検出器ブロック200のケーシングに対して、光ファイバ73から構成されるセンサの検知部分をオフセットするために使用される。偏光保持光ファイバのセクション74は、1m~10kmの長さ、例えば約400mの長さを有する。偏光保持光ファイバのセクション74は任意選択である。
【0045】
光リターダ42は、第1の直線TE偏光シングルモード波(101と記す)を受光し、第1の右円偏光シングルモード波111を形成する。同様に、光リターダ42は、第2の直線TM偏光シングルモード波(102と記す)を受光し、第2の左円偏光シングルモード波112を形成する。2つの円偏光波111及び112は、検出光ファイバ73に同時に入射される。検出光ファイバ73は、回転光磁気効果を検知するファイバとして使用される。有利には、検出光ファイバ73は、線引き時に撚られた偏光保持ファイバであり、スパンファイバとも呼ばれる。このようなファイバにより、光の円偏光を保持することが可能になる。このようにして、第1の右円偏光シングルモード波111は、検出光ファイバ73において、検出光ファイバ73に沿って反射体26までずっと右円偏光を保持しながら伝播する。同様に、第2の左円偏光シングルモード波112は、検出光ファイバ73において、ファイバ73に沿って反射体26までずっと左円偏光を保持しながら伝播する。
【0046】
反射体26は、例えば自由空間にある鏡である。代替的に、検出光ファイバ73の遠位端部が、反射体26を形成するようにメタライズされる。
【0047】
まず検出光ファイバ73を通過した後、2つの直交する円偏光シングルモード波111、112は鏡26で反射する。鏡26で反射すると、2つのシングルモード波の偏光状態は反転する。第1の右円偏光シングルモード波111は、反射体26で反射すると、伝播方向及び偏光が変化して、第1の左円偏光波111を形成する。そして反対に、第2の左円偏光シングルモード波112は、反射体26で反射すると、伝播方向及び偏光が変化して、第2の右円偏光波112を形成する。2つの円偏光反射波111、112は、それぞれの円偏光を保持したままで、検出光ファイバ73において戻り方向に伝播する。戻り方向では、光リターダ42は、第1の左円偏光波111を受光し、これを第1の直線TM偏光波に変換する。同様に、戻り方向では、光リターダ42は、第2の右円偏光波112を受光し、これを第2の直線TE偏光シングルモード波に変換する。
【0048】
戻り方向では、第1の直線TM偏光シングルモード波及び第2の直線TE偏光シングルモード波は、電気光学差動位相変調器16に直接伝送され、次に偏光子24に伝送される。
【0049】
戻り方向では、差動位相変調器及び偏光子が、第1の直線TM偏光シングルモード波と第2の直線TE偏光シングルモード波とを再結合して、直線偏光干渉ビーム300を形成する。
【0050】
いずれの実施形態においても、ソース受光器スプリッタ22は、干渉ビーム300を光検出器18に向けて案内する。検出器18は、干渉ビームを受光し、検出された信号80を生成する。
【0051】
図2に示す第2の実施形態では、偏光スプリッタは、例えばTEタイプの直線偏光ソースビーム110並びに第1のTE偏光シングルモード波101及び第2のTE偏光シングルモード波103を分離する、例えばY字接合部(15と記す)から構成される空間スプリッタを備える。偏光子24は、有利には、Y字接合部(15と記す)の共通分岐によって形成された導波体偏光子である。この場合、第1のTE偏光シングルモード波101及び第2のTE偏光シングルモード波103はそれぞれ、例えば光集積回路上のニオブ酸リチウムで作られた、電気光学差動位相変調器16とは異なるシングルモード導波体上を伝播する。有利には、Y字接合部及び電気光学差動位相変調器16は、同じ光集積回路14上に作られる。この場合、導波体は、好ましくは、Y字接合部の共通分岐上で単一の偏光状態を導くために、プロトン交換によって形成される。
【0052】
第2の実施形態では、光ファイバデバイス400は、光ファイバセクション71と他方の光ファイバセクション72とを更に備え、それぞれが、一方では電気光学差動位相変調器16の出力導波体に接続され、他方では、偏光カプラ/スプリッタ27に接続される。
【0053】
順方向では、電気光学差動位相変調器16の出力において、第1のシングルモード波101は、偏光保持光ファイバのセクション71において伝播する。第2のシングルモード波103は、偏光保持光ファイバの他方のセクション72において伝播する。他方の光ファイバセクション72は、第2のシングルモード波103の直線偏光を90度回転させるように向けられ、これにより、第2のシングルモード波103は、第1のシングルモード波101に直交する偏光を有する第2の直線偏光シングルモード波102となる。偏光カプラ/スプリッタ27は、直交直線偏光の第1のシングルモード波101と第2のシングルモード波102とを同じシングルモード導波体上で再結合する。偏光カプラ/スプリッタ27は、直線偏光保持光ファイバのセクション74の近位端部に接続される。
【0054】
光リターダ42、検出光ファイバ73、及び反射体26での反射を経て往復する第1のシングルモード波101及び第2のシングルモード波102の伝播は、第1の実施形態との関係で説明したものと同様である。
【0055】
戻り方向では、反射体で反射され、検出光ファイバ73、光リターダ42、及びファイバセクション74を介して伝送された後、第1の直線TM偏光シングルモード波は、第1のシングルモード波の直線偏光を90度回転させる他方の光ファイバセクション72を介して伝送され、これにより、第1のシングルモード波は、第1の直線TE偏光シングルモード波となる。第2の直線TE偏光シングルモード波は、偏光保持光ファイバのセクション71によって伝送される。Y字接合部15は、第1の直線TE偏光シングルモード波と第2の直線TE偏光シングルモード波とを再結合して、ここではTEタイプの直線偏光干渉ビーム300を形成する。
【0056】
よって、第1及び第2の実施形態では、第1の偏光状態にしたがって直線偏光された第1のシングルモード波101と、第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態にしたがって直線偏光された第2のシングルモード波102とが、単一の同じ導波体上を、電気光学差動位相変調器16の出力、又は偏光カプラ/スプリッタ27の出力のいずれかにおいて直接伝播することになる。
【0057】
第1及び第2の実施形態では、電気光学差動位相変調器16は、第2の直線TM偏光シングルモード波102の位相に対して第1の直線TE偏光シングルモード波101の偏光位相を変調する。その目的のために、電気光学差動位相変調器16は、変調周期Tで周期的に変調された位相差Φm(t)を印加する。
【0058】
図3は、第3の実施形態による、サニャック光ファイバ干渉計に基づく電流センサ又は磁界センサを示している。最初の2つの実施形態に共通する要素、すなわち、ソースビーム100を発生させる光源20と、導体120を囲む閉じた光路を形成する光ファイバデバイス400と、検出システム18と、信号処理システム900とが存在する。この第3の実施形態では、いわゆるループサニャック干渉計が、概して光ファイバコイル73の両端部間にある閉じた光路を使用する。例えばY字接合部(15と記す)から構成される光学構成要素が、ソースビーム100を、互いに反対方向に閉じた光路を通って進む2つの異なる波に分割し、同じ光学構成要素が光ファイバコイルの出力において2つの波を再結合する。ループ光ファイバ干渉計では、分割された2つの波が閉じた光路で同じ偏光状態を用いる。静止時、2つの波が進む光路は完全に相反である。偏光子24、Y字接合部15、及び差動位相変調器16は、図2に関連して説明したのと同じ要素と同様に配置され、動作する。
【0059】
第3の実施形態では、光ファイバデバイス400は、その両端部において光位相リターダ(それぞれ32及び33と記す)に接続された検出光ファイバ73を備える。光ファイバデバイス400は、偏光保持光ファイバのセクション71と、偏光保持光ファイバの他方のセクション72とを更に備える。光ファイバセクション71は、一方では、光学差動位相変調器16の出力導波体に接続され、他方では、光リターダ32に接続される。他方の光ファイバセクション72は、一方では、光学差動位相変調器16の他方の出力導波体に接続され、他方では、光リターダ33に接続される。電流センサに適用する場合、検出光ファイバ73は、導体120の周りに少なくとも1巻きを形成するように巻かれる。
【0060】
光位相リターダ32、及び対応する33は、例えば四分の一波長板である。
【0061】
第3の実施形態では、順方向では、光学差動位相変調器16の出力において、第1のシングルモード波101は、偏光保持光ファイバのセクション71において伝播し、第2のシングルモード波102は、偏光保持光ファイバの他方のセクション72において伝播する。第1のシングルモード波101及び第2のシングルモード波102は平行直線偏光であり、例えばここではTEタイプである。光リターダ32、及び対応する33は、第1のシングルモード波101、及び対応する第2のシングルモード波102を受光し、これを第1の右円偏光シングルモード波111、及び対応する第2の右円偏光シングルモード波112に変換する。第1の右円偏光シングルモード波111、及び対応する第2の右円偏光シングルモード波112は、互いに反対方向に検出光ファイバ73を通って進む。検出光ファイバ73の出力において、光リターダ32、及び対応する33は、第2の右円偏光シングルモード波112、及び対応する第1の右円偏光シングルモード波111を受光し、これを第2の直線TE偏光シングルモード波、及び対応する第1の直線TE偏光シングルモード波に変換する。第2の実施形態と同様に、光学差動位相変調器16及びY字接合部15が、第1の直線TE偏光シングルモード波と第2の直線TE偏光シングルモード波とを再結合して、直線偏光干渉ビーム300を形成する。
【0062】
戻り方向では、上述の3つの実施形態において、移動時間Δτの後、光学差動位相変調器16は、第1の直線偏光シングルモード波及び第2の直線偏光シングルモード波を受光する。光学差動位相変調器16は、第2の偏光シングルモード波の位相に対して第1の偏光波の偏光位相を変調する。したがって、光学差動位相変調器16は、変調された位相差ΔΦm(t)=Φm(t)-Φm(t-Δτ)を有する第1の出力波、及び対応する第2の出力波を形成する。ここで、Δτは、光ファイバデバイス400における各波の往復移動時間を表す。
【0063】
第1の実施形態では、位相変調のΔΦm(t)に考慮される移動時間Δτは、偏光保持ファイバのセクション74及び検出光ファイバ73を往復するための第1の波又は第2の波の移動時間である。
【0064】
第2の実施形態では、位相変調のΔΦm(t)に考慮される移動時間Δτは、光ファイバセクション71及び72を進むため、並びに偏光保持ファイバセクション74及び検出光ファイバ73を往復するための第1の波又は第2の波の移動時間である。
【0065】
第3の実施形態では、位相変調のΔΦm(t)に考慮される移動時間Δτは、光ファイバセクション71及び光ファイバセクション72を進むため、並びに検出光ファイバ73において片道を進むための第1の波又は第2の波の移動時間である。
【0066】
図1図3に示す各例では、デジタル信号処理システムが使用される。代替的に、信号処理システムは完全にアナログのものであってもよい。
【0067】
図1図3において、信号処理システム900は、例えば、アナログデジタル変換器19と、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、又はASIC(特定用途向け集積回路)型のものなどのデジタルプロセッサ30と、デジタルアナログ変換器31とを備える。デジタルプロセッサ30により、測定されるパラメータ90、例えば磁界又は電流の強度からの信号をデジタル出力で抽出することが可能になる。デジタルアナログ変換器31により、光学差動位相変調器16の電極に変調電圧60を印加することが可能になる。測定されたパラメータ90の結果は、例えば、ヒューマンマシンインターフェースに表示される。
【0068】
信号処理システム900は、位相差測定値を抽出する既知の変調復調方式のいずれか1つを適用し、その後、位相差測定値は電流の強度に変換される。位相差変調Φm(t)は、差動位相変調器16の電極に変調電圧60Vm(t)を印加することにより取得される。デジタル変調の場合、変調電圧はM個の変調状態を含み、Mは、例えば4、6、8、又は12に等しい整数である。しかしながら、当業者によって容易に適合されるアナログ変調/復調方式も存在する。
【0069】
位相差変調Φm(t)は、T/2=1/(2.Fp)=Δτなどの変調周期Tで周期的であり、ここでFpは光ファイバデバイス400の固有周波数を表す。検出システム18は、干渉計出力において、干渉ビームのパワーをM個の変調状態で取得する。信号処理システムは、検出された干渉ビームをデジタル化し、検出された信号を復調する。
【0070】
電流センサに適用する場合、検出光ファイバ73は、強度Iの電流を循環させる導体120の周りにコイルを形成するように巻かれる。検出光ファイバ73のコイル軸は、導体120の長手方向軸と一致する。導体120の周りにおける検出光ファイバ73の閉じた巻き数をNと記す。導体は、導体120の周囲の周りに円形の力線に沿って磁界Bを誘導した。
【0071】
本明細書で上述したように、反射干渉計における往復後に検出ファイバ73の出力において2つの円偏光波の間に磁気光学ファラデー効果によって導入される干渉位相差Δφは、干渉計システムが完全である場合に、Vが検出光ファイバ73のベルデ定数を表す以下の式によって電流の強度Iに関連付けられることが知られている。
[式1]
Δφ=4VNI
【0072】
この場合、スケーリング係数は4VNに等しい。シリカのベルデ定数は、1550nmの波長においいて約0.6radT-1-1に等しい。Nは、検知光ファイバの巻き数を表し、Nは、1~100,000であり、一般に20,000未満である。
【0073】
本明細書で上述したように、サニャック干渉計の場合では、スケーリング係数は2VNに等しい。
【0074】
よって、検出光ファイバ73を備えるインライン又はループ光ファイバ干渉計により、磁界又は電流を測定することが可能になる。
【0075】
図4は、干渉計が完全である場合に、差動位相変調器16によって導入された位相差Δφ(t)の関数として測定されたパワーに関する干渉計の応答を示している。理論的には、位相差は、最大値(P0と記す)と、ゼロに等しい最小値(Pminと記す)との間で完全に変調される。
【0076】
しかしながら、このような干渉計の応答は、誤差に影響されることがある。
【0077】
例えば、第1の実施形態において、偏光子24と光学差動位相変調器16との間の角度をθと記す。一般に、本明細書で示すように、θは約45度に調整される。第2の実施形態では、角度θは、例えば、2つの分岐間でソース波を50対50に分割しないY字接合部15の2つの分岐間の不均衡を表す。
【0078】
検出されたパワーの変調振幅(Pmodulationと記す)は、最大パワー(Pmaxと記す)と最小パワー(Pminと記す)との間の差分として表現される。
【0079】
干渉計が完全である場合、図4に示すように、次式を得る。
[式2]
【数1】
【0080】
しかしながら、干渉計システムは、欠陥、例えば、ファイバ73及び74の固有軸間のミスアライメント、使用される波長において正確に四分の一波長板でない光リターダ42の欠陥、又は残留複屈折を有し得る。この場合、VNIが小さいと仮定すると、測定された位相差はΔφ=4VNI/cos(2γ)となり、ここで、γは、例えばファイバ74のミスアライメント又は四分の一波長板42の欠陥に起因する、考慮される欠陥の角度を表す。ここで、ある角度が約0.1rad未満である場合、その角度は小さいと見なされる。
【0081】
図5は、2つの主な波の間の干渉と、欠陥γによって二重に結合された2つの波の間の干渉とに対応する検出された干渉信号の一部を表す。これらの欠陥γによって二重に結合された2つの波は、電流又は磁界の測定値に応じて変調された位相差Δφ(t)の関数として、又は変調器のおかげで変調によって導入された位相差の関数として、欠陥γの存在下で、干渉計を通って進んだものである。ソースのパワーをPと記す。最大値Pに到達する代わりに、検出された信号のこの部分の最大パワーは、値P0.cos(γ)に制限される。
【0082】
しかしながら、欠陥γはまた、検出された信号の他の部分に寄与する、他の単純に結合される寄生波間の干渉も誘導する。図6に示すように、測定される信号に起因する位相差Δφ(t)の関数としての干渉信号のこの他の部分の振幅は、P0.sin(γ)に等しい最大パワーを有することが分かる。変調器による位相変調は、図5の主な信号及び二重信号から切り離されている限り、これらの信号に影響を与えない。
【0083】
より正確には、干渉計が不完全である場合、図7に示すように、P0.sin(γ)に等しい値Pminと最大値Pmaxとの間で変調された検出された干渉信号に対応するこれら2つの干渉信号の和が得られる。より正確には、図7は、位相変調に適用される変調の関数としてパワーを表す。
[式3]
【数2】
【0084】
観測によれば、干渉計のコントラストがもはや完全でなくなり、最小パワーPminがゼロでなくなり、変調振幅が減少し、その結果、干渉計システムのスケーリング係数が劣化する。
【0085】
サニャック干渉計の場合では、スケーリング係数の劣化というこの技術的問題は、例えば、検出光ファイバ73の両端部にある各四分の一波長板32、33に欠陥が存在する場合にも発生する。この場合、Pminはゼロに近いままであり、Pmaxの値が低下していることが観測される。その結果、振幅Pmax-Pminは、完全な構成要素を使用するサニャック干渉計に比べて減少する。
【0086】
これらの望ましくない影響は、光ファイバ干渉計における寄生結合に起因し得る。その原因は、光リターダ42の、又は対応する光リターダ32及び33のそれぞれの向き又は光学遅延欠陥という事実に起因する検出光ファイバ73における熱的不安定性であり得る。
【0087】
図8及び図9に関連して、このスケーリング係数の劣化に関連する位相差の測定誤差のグラフ表現を示す。次に、インライン光ファイバ干渉計における偏光波の伝播を、図8との関連で、位相ベクトルの観点から、すなわち、干渉計が不完全であるが、磁気光学ファラデー効果が存在しない静止時の場合について、詳細に説明する。
【0088】
戻り方向での光学差動位相変調器16の出力における第1の偏光シングルモード波、すなわち、順方向で光学差動位相変調器16においてTE偏光(すなわち「1」)、順方向で差動位相変調器73において右円偏光(「1」)、戻り方向で検出光ファイバ73において左円偏光(「2」)、戻り方向で光学差動位相変調器16においてTM偏光(「2」)で進む主な波を、A1122とする。戻り方向での光学差動位相変調器16の出力における第2の偏光シングルモード波、すなわち、順方向で光学差動位相変調器16においてTM偏光(すなわち「2」)、順方向で検出光ファイバ73において左円偏光(「2」)、戻り方向で検出光ファイバ73において右円偏光(「1」)、戻り方向で光学差動位相変調器16においてTM偏光(「1」)で進む主な波を、A2211とする。
【0089】
第1の波A1122と第2の波A2211との再結合が主な干渉信号を形成する。
【0090】
しかしながら、干渉計のミスアライメントの場合では、6つの他の寄生波、すなわち、二重結合に起因する2つの波(第3の波及び第4の波)と、単純結合に起因する4つの他の波(第5の波から第8の波)が存在する。
【0091】
第3の波A1212は、順方向で光学差動位相変調器16においてTE偏光(「1」)、順方向で差動位相変調器73において左円偏光(「2」)、戻り方向で差動位相変調器73において右円偏光(「1」)、戻り方向で光学差動位相変調器16においてTM偏光(「2」)で進む波である。
【0092】
第4の波A2121は、順方向で光学差動位相変調器16においてTM偏光(すなわち「2」)、順方向で検出光ファイバ73において右円偏光(「1」)、戻り方向で検出光ファイバ73において左円偏光(「2」)、戻り方向で光学差動位相変調器16においてTE偏光(「1」)で進む波である。
【0093】
第3の波A1212及び第4の波A2121は、第1の波A1122及び第2の波A2211とコヒーレントであり、それは、それらが全く同じ位相差を経るためである。更に、第3の波A1212及び第4の波A2121は、主な信号と同様に変調され、これらはスケーリング係数の問題を引き起こす2つの波である。
【0094】
また、第5の波(A1211と記す)も存在し、第5の波A1211は、順方向で変調器においてTE偏光(すなわち「1」)、順方向で検出光ファイバ73において左円偏光(「2」)、戻り方向で検出光ファイバ73において右円偏光(「1」)、戻り方向で光学差動位相変調器16においてTE偏光(「1」)で進む波である。
【0095】
第6の波(A2122と記す)は、順方向で変調器においてTM偏光(すなわち「2」)、順方向で検出光ファイバ73において右円偏光(「1」)、戻り方向で検出光ファイバ73において左円偏光(「2」)、戻り方向で光学差動位相変調器16においてTM偏光(「2」)で進む波である。
【0096】
第7の波(A1121と記す)は、順方向で変調器においてTE偏光(すなわち「1」)、順方向で検出光ファイバ73において右円偏光(「1」)、戻り方向で検出光ファイバ73において左円偏光(「2」)、戻り方向で光学差動位相変調器16においてPE偏光(「1」)で進む波である。
【0097】
第8の波(A2212と記す)は、順方向で変調器においてTM偏光(すなわち「2」)、順方向で検出光ファイバ73において左円偏光(「2」)、戻り方向で検出光ファイバ73において右円偏光(「1」)、戻り方向で光学差動位相変調器16においてTM偏光(「2」)で進む波である。
【0098】
第5の波A1211と第7の波A1121とは互いにコヒーレントである。また、第6の波A2122と第8の波A2212とは互いにコヒーレントである。一方で、第6の波及び第8の波は、第5の波及び第7の波とはコヒーレントではない。実際、ここでは、広帯域ソース、すなわち、コヒーレンス長に制限のあるソースが使用される。光路1及び2は、ソースのコヒーレンス長よりも長い光路長の差分を有する。
【0099】
第5の波から第8の波までは、いかなるスケーリング係数問題も生まない。一方、これらの波から、スケーリング係数問題を引き起こす波の割合に関して知ることができる。実際、エネルギーの保存によって、それらは測定に使われる波と相補的である。
【0100】
図8は、磁気光学ファラデー効果がない場合の第1の波から第4の波を位相ベクトル又はフェーザの形式で示している。第1の波A1122と第2の波A2211とは全く同じ振幅を有する。第3の波A1212と第4の波A2121とは全く同じ振幅を有するが、第3の波A1212及び第4の波A2121が干渉計の欠陥又は寄生結合に起因するため、第3の波A1212及び第4の波A2121の振幅は、第1の波及び第2の波の振幅よりもはるかに小さい。したがって、第1の波A1122と第3の波A1212との結合の結果131は、第1の波の振幅に対して振幅が減少しており、この第1の波と平行である。第2の波A2211と第4の波A2121との結合の結果124は、第2の波の振幅に対して振幅が減少しており、この第2の波と平行である。
【0101】
図9は、磁気光学ファラデー効果が存在する場合の第1の波から第4の波をフェーザの形式で示している。磁気光学ファラデー効果は、第1の波A1122にΔΦ/2に等しい位相差を誘導し、第2の波A2211に-ΔΦ/2に等しい位相差を誘導する。同時に、磁気光学ファラデー効果はまた、第3の波A1212にΔΦ/2に等しい位相差を誘導し、第4の波A2121に-ΔΦ/2に等しい位相差を誘導する。第1の波A1122と第3の波A1212との再結合の結果131は、第1の波A1122に対して変更された振幅及び位相角を有する。同様に、第2の波A2211と第4の波A2121との結合の結果124は、第2の波A2211に対して変更された振幅及び位相角を有する。図9は、磁気光学位相差測定値に第3の波及び第4の波によって導入された誤差を概略的に示している。また、結果として生じる波の振幅は、主な波の振幅に対して減少していることも観測される。
【0102】
この磁気光学位相差測定値誤差は、スケーリング係数の欠陥を誘導する。本明細書で上述したように、完全な反射干渉計の場合では、スケーリング係数は4VNに等しい。欠陥のある反射干渉計では、スケーリング係数は修正され、4VN/cos(2γ)となる。サニャック干渉計では、スケーリング係数は同様に修正され、2VN/cos(2γ)となる。
【0103】
本開示によれば、検出された干渉ビームのパワー変調振幅、換言すれば、Pmax-Pmin又はPmodulatedは、cos(2γ)に比例し、ここで、γは、スケーリング係数に影響する欠陥の角度を表し、検出された干渉ビームの最小パワーPminは、sin(2γ)に比例する。
【0104】
スケーリング係数に影響を与える欠陥の角度の測定値は、検出された干渉ビームのパワー変調振幅の測定値及び/又は検出された干渉ビームの最小パワーの測定値から導かれる。
【0105】
特に、反射干渉計では、最小パワーPminがゼロでないことを検出することにより、スケーリング係数欠陥を強調することが可能になる。例えば、光検出器に到達するパワーは、最大パワーでP=30μW程度である。cos(2γ)=99.5%であるような欠陥が存在する場合、最小パワーはPmin=P*sin(2γ)、すなわち、Pの1%、すなわち約0.3μWに等しい。そうすると、パワー変調振幅Pmax-Pminは、Pの99%、すなわち29.7μWに等しくなる。ループ干渉計(第3の実施形態)では、最小値の変動はないが、振幅Pmax-Pminの変動のみがある。
【0106】
より一般的には、検出された干渉ビームの最小パワーの変動の測定値又は検出された干渉ビームの振幅パワー変調変動の測定値により、インライン光ファイバ干渉計の時間の関数としてのスケーリング係数の変動を測定することが可能になる。
【0107】
実際には、最小パワーPmin及び検出された干渉ビームのパワー変調振幅を測定する様々な仕方が存在する。
【0108】
次に、干渉計のミスアライメント(このミスアライメントはスケーリング係数を劣化させる可能性がある)を表す信号を測定するために適合された、検出された信号の位相変調及び復調の例を用いる干渉計システムを詳細に説明する。
【0109】
インライン光ファイバ干渉計システムの分野では、様々な変調及び復調技法が知られている。この変調は、差動位相変調器16の電極間に変調電圧Vm(t)を印加して、測定された干渉信号の位相差ΔΦm(t)を変調することによって得られる。この変調は、特に振幅の小さい磁界又は電流の測定において、干渉計システムの感度を高めるバイアスを提供する。
【0110】
特に、光ファイバデバイス400の固有周波数Fpにおいて、バイアス位相差と呼ばれる、例えばΔΦb(T)=±π/2の2つのレベルの位相差の変調を生じさせるために、2つのステップ値の間で変調電圧Vmを方形変調することによって、いわゆる2状態変調を適用することが知られている。固有周波数Fpは、T/2=1/(2.Fp)=Δτとなるように定義され、ここでTは方形変調の周期を表す。したがって、半変調周期T/2は、光ファイバデバイス400における各シングルモード波の移動時間Δτに対応する。信号処理システムは、検出された干渉ビームをデジタル化し、各変調周期の2つのパワー測定値をサンプリングし、負信号を第1のレベルに、正信号を次のレベルに割り当てることにより、検出された信号の固有周波数Fpで復調する。
【0111】
干渉計システムの応答ダイナミクスを拡張し、線形化するために、反作用信号を印加することも知られている。
【0112】
以下、本明細書では、レベル(又は変調レベル)とは、各変調ステップの変調位相差ΔΦの異なる値の漸近値を意味する。変調状態とは、各変調周期で互いに続く変調レベルに対応する異なる測定パワー値Pを意味する。変調期間にわたって、いくつかの状態が同じ変調レベルを使用し得る。
【0113】
本開示の枠組みの中で、一方では磁気光学ファラデー位相差を測定し、他方では最小パワー及び/又はパワー変調振幅(Pmax-Pmin)を測定することを可能にするために、少なくとも4状態デジタル変調の場合を考える。
【0114】
上述の分野において、仏国特許出願公開第2654827A1号明細書は、2Δτに等しい各変調周期Tに4つの連続したレベルの変調を発生させる、いわゆる4状態変調電圧を印加し、各変調周期の4つのパワー測定値をサンプリングすることを提案している。4状態変調では、2Fpで変調されたVπ又はVPiと呼ばれる信号を抽出することも可能である。信号Vπは、差動位相変調器の伝達関数、すなわち変調器に印加される電圧Vmと誘導される位相差Φmとの比を表し、Vπ/π=Vm/Φmである。すなわち、この信号Vπは環境、例えば差動位相変調器16の温度によって変動する。
【0115】
光ファイバ干渉計システムの分野では、欧州特許第2005113B1号明細書は、4レベルのバイアス位相差に基づく、いわゆる6状態変調を記載している。この6状態変調は、固有周波数Fpにおける±π/2の位相差Φm(t)の第1の変調と、3*Fpにおける±α/2の位相差Φm(t)の第2の変調との重ね合わせに分解され得る。各変調周期において6つのパワー測定値がサンプリングされる。
【0116】
欧州特許第2005113B1号明細書はまた、4Δτに等しい全期間Tにわたって8状態8レベル変調を使用することを記載している。この従来の8状態変調によれば、まず、±(α+β)に対応する4つのハイ状態で変調が行われ、次に、±(α-β)に対応する他の4つのロー状態で変調が行われる。出力パワーPは、変調周期ごとに8つの状態i=1,...,8に対応する8つの測定値Piにサンプリングされる。
【0117】
最後に、仏国特許出願公開第3095053A1号明細書は、変調期間T当たり少なくとも8つの変調レベルを含む変調と、変調期間当たり検出された干渉ビームの少なくとも12のパワー測定値の取得とに基づくシステムを記載している。信号処理は、測定される量を表す信号を抽出する。測定される量は、変調期間当たりで取得される干渉ビームパワー測定値の和に等しく、各測定値には+1又は-1の符号が割り当てられる。
【0118】
有利には、干渉計は、差動位相変調器の伝達関数信号及び/又は検出システムの伝達関数信号に基づいて、測定される量を表す信号の測定を制御するように適合されたフィードバックシステムを備える。
【0119】
ここで詳しく説明する例は、仏国特許出願公開第3095053号明細書に基づく8レベル12状態の変調/復調方式を使用する。変調方式を図10に示す。固有周波数Fpにあることから、電圧及び位相変調は相似であることに留意されたい。より正確には、ΔΦm(t)が8レベル、対応する検出パワーP(t)が12状態の変調を用いる。
【0120】
変調は以下の表1で定義され、表1では、α(アルファとも表記)はπからの従来の変調を表し、β(ベータとも表記)は8レベルにわたって変調するために加えられた過変調を表す。
【0121】
【表1】
【0122】
特定の有利な態様によれば、12状態の復調は以下の表2で定義される。表2は、12のパワー状態のそれぞれの測定値に適用される符号又は係数を示し、そこから異なる信号を導く。より正確には、表2の1行目に示すように、磁気光学ファラデー位相差に対応する磁界信号又は電流信号を表す信号が計算される。表2の2行目に示すように、信号Vπ(又はVpi)を表す信号、すなわち、光学差動位相変調器の伝達関数を表す信号が任意選択で計算される。表2の3行目に示すように、本開示の一態様によれば、変調パワーを表す信号が計算される。任意選択で、表2の4行目に示すように、平均パワーを表す信号が計算される。平均パワー測定により、ソースのパワー変動のスケーリング係数の欠陥又は変動を区別することが可能になる。
【0123】
【表2】
【0124】
このようにして、各変調周期において、電流又は磁界の測定値と変調パワーの測定値とを同時に測定するように完全に適合された変調復調方法が得られる。任意選択で、平均パワーの測定値及び/又は差動位相変調器の伝達関数を表す信号Vπ(又はVpi)の測定値が更に計算される。
【0125】
まず、例えば、図1に示す理想的な、すなわち故障のない場合の干渉計応答が計算される。次に、スケーリング係数の欠陥γが、異なる開ループ、及び対応する閉ループの測定値にどのような影響を与えるかを示す。
【0126】
光源20は無偏光ソースビーム100を放出することが仮定される。ソースビーム100は、総パワーP=A を有し、Aはソース波の振幅である。入出力偏光子24は、例えば、PZファイバとも呼ばれる偏光ファイバであり、その軸が、光集積回路34の入出力25における光学変調器16の複屈折軸から45度に完全にアライメントされる。直線偏光保持光ファイバ74は完全である、すなわち、直交偏光モード間の結合欠陥がないことが仮定される。直線偏光保持光ファイバ74はオフセットファイバとも呼ばれる。四分の一波長板42は完全であり、直線偏光保持光ファイバ74の固有軸に対して45度に向けられることが仮定される。線引き時に撚られた偏光保持検出光ファイバ73は、スパンファイバとも呼ばれ、又は磁界センサ若しくは電流センサの検知部分であることからセンサファイバとも呼ばれる。センサファイバ(スパン)73は、右円偏光、及び対応する左円偏光を完全に保持することが仮定される。磁気光学位相差磁界によって導入された位相差をφと記す。
【0127】
偏光子24(PZファイバ)の出力において、光源20が偏光されないため、光ビームのパワーは半分に減少する。
【0128】
よって、偏光ファイバ24の出力におけるパワーPは、以下のようになる。
[式4]
【数3】
【0129】
よって、偏光子24の出力(差動位相変調器の入力)における波の振幅は、PZファイバ74の偏光軸に沿ってA/√2であり、他の軸に沿ってゼロであり、これは、ここでは完全な偏光子24が想定されているためである。
【0130】
PZファイバ24の偏光軸と差動位相変調器16のTE軸との間の角度をθと記す。ここで、直線偏光ビームは、差動位相変調器16のTE軸及びTM軸に投影され得る。以下の振幅が得られる。
[式5]
【数4】
【0131】
各偏光波は、差動位相変調器16と直線偏光保持ファイバ74との間の結合部を除き、干渉計内を完全な仕方で伝播する。差動位相変調器16のTE軸とPMファイバ74の速軸又はTE軸との間の角度をγと記す。
【0132】
閉ループ復調の結果
いずれにせよ、復調状態は標準的なサニャックループ光ファイバ干渉計と同様であるため、電圧Vpiは標準的な復調によって実質的に制御されることが仮定される。ノイズだけがサニャックループ光ファイバ干渉計とは異なる。
【0133】
計算は、表2の1行目に示す適切な符号で各変調状態(例えば、状態1から12)に直接適用される。磁気光学位相差φは小さく、変調周期1/Fpにわたって一定であると考えられる。
【0134】
したがって、変調/復調された電流のパワーは次のように表される(欠陥γがない場合)。
[式6]
【数5】
【0135】
閉ループでは、制御は、以下のようになされる。
[式7]
【数6】
ここで、φは変調器によって提供されるフィードバックを表す。
【0136】
スケーリング係数に影響する欠陥γが存在する場合、干渉計の応答は変更される。例えば、差動位相変調器16の出力におけるPMファイバ74の角度γのミスアライメントが考えられる。この場合、閉ループ制御はφとφとの間における以下の関係にしたがって行われる。
[式8]
【数7】
【0137】
φが小さく、φが小さい(すなわち、2Piの数パーセントのオーダーである)場合、上記の式は次のように修正される。
[式9]
【数8】
【0138】
電流閉ループにおける変調パワーの復調の結果
計算は、表2の3行目に示す適切な符号で12変調状態のそれぞれに直接適用される。
【0139】
欠陥γが存在しない場合、電流閉ループ変調/復調パワーは以下のように記述される。
[式10]
【数9】
【0140】
スケーリング係数に影響する欠陥γが存在する場合、電流閉ループ変調/復調パワーは修正されて、以下のように記述される。
[式11]
【数10】
【0141】
したがって、変調振幅Pmodulated=Pmax-Pminは、欠陥がない場合の変調振幅にcos(2γ)を乗じたものに等しい。
【0142】
γが小さく、θが45度に近く、またφが小さく、φが小さい(すなわち、2Piの数パーセントのオーダーである)場合、そこから次のように導かれる。
【数11】
これから、4*φ、すなわちφr*cos(2γ)であることを導くことができる。
【0143】
変調及び復調方法により、変調パワーを通して欠陥γを測定することが可能になる。実際、スケーリング係数(FE)はγにのみ依存する。変調パワーは、β、α、A、θ、及びγに依存する。ここで、β及びαは、電圧Vpiを制御することによって制御される。一方、A及びθは、計算され得る総パワーに関係する。
【0144】
したがって、係数γを正確にリアルタイムで測定することができる。この測定によって、各測定期間において、スケーリング係数の誤差をリアルタイムで補償することが可能になる。
【0145】
特に有利には、スケーリング係数の欠陥のリアルタイムの測定値に基づいて、干渉計システムは、時間の関数として、またリアルタイムで、スケーリング係数の変動を補償又は補正するように適合される。
【0146】
スケーリング係数の変動は、例えば、温度で変化し得るファイバ及び四分の一波長板のミスアライメントに起因する。
【0147】
電流閉ループにおけるVpiの復調の結果
計算は、Vpiの誤差を作ることによって、表2の2行目に示す適切な符号を用いて、12の変調状態のそれぞれについて直接適用される。例えば、状態1では、π-αはεが小さい状態で(π-α)(1+ε)となり、他の状態のそれぞれについても同様である。
【0148】
欠陥γが存在しない場合、復調パワーVπは以下のように記述される。
[式12]
【数12】
【0149】
スケーリング係数に影響する欠陥γが存在し、φが小さく、φが小さい(すなわち、2Piの数パーセントのオーダーである)場合、上記の式は修正され、以下のように記述される。
[式13]
【数13】
【0150】
干渉計が電圧Vpiによって閉ループ制御される場合、電圧Vpiは、PVpi demodulatedがゼロになるように、したがってεもゼロになるように調整される。電圧Vpiのパワーが各変調周期において1/Fpごとにリアルタイムで計算されるため、パラメータα及びβは、このパラメータによって制御される。ここで、Vpiを制御することにより、α及びβの値を正確に知ることができる。
【0151】
閉ループにおける平均パワー(++++)の復調の結果
平均パワーは、表2の4行目に示す適切な符号を12個の変調状態に適用することによって復調される。
【0152】
欠陥γが存在しない場合、復調平均パワーは以下のように表現される。
[式14]
【数14】
【0153】
スケーリング係数に影響する欠陥γが存在する場合、平均パワーの表現は修正されて、以下のように記述される。
[式15]
【数15】
【0154】
ここで、欠陥γは、「電流閉ループにおける変調パワーの復調の結果」の段落において示したように、変調パワーの変調から決定されていることが仮定される。平均パワーを復調することにより、例えば、時間及びθの関数として、ソースAのパワーの変動を決定することが可能になる。
【0155】
上記の計算は、電流センサに欠陥がない場合と、差動位相変調器にオフセットPMファイバの結合欠陥がある場合との12状態変調に適用される。四分の一波長板の欠陥、複屈折の欠陥、又は他の干渉計の欠陥にも同様の計算を適用できることが当業者には理解されよう。
【0156】
上述の方法はまた、光リターダ42、例えば四分の一波長板の温度の測定値を導出するために使用され得る。
【0157】
実際、電圧Vpiは、光集積回路34における温度の測定に適しており、よって、これにより光集積回路34及び電気ケーシング35の温度を制御することが可能になる。
【0158】
その目的のために、四分の一波長板は、0.1%~数%、例えば5%の、重要であるが小さい欠陥γを作るために自発的にオフセットする。四分の一波長板における温度の変動は、γの変動を引き起こす。特に有利には、四分の一波長板は、温度変動の関数として単調且つ直線的な変化をするのに十分にオフセットされ、そのため容易に測定され得る。
【0159】
γの変動の測定値により、四分の一波長板における温度に関する情報が得られる。したがって、把握しキャリブレーションすることによって、検出光ファイバ73のベルデ定数における欠陥及び変動さえも補償することが可能になる。
【0160】
当然のことながら、添付の特許請求の範囲内で様々な他の修正を本発明に行うことが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースビーム(100)を発生させることができる光源(20)と、差動位相変調器(16)と、光ファイバデバイス(400)と、検出システム(18)と、信号処理システム(900)とを備える、光ファイバ干渉計であって、前記光ファイバデバイス(400)が、非相反磁気光学ファラデー効果を誘導することができるベルデ定数を有する検出光ファイバ(73)を備え、前記検出光ファイバ(73)が、磁界に配置され、又は導体(120)の周りに少なくとも1巻きを形成し、前記光ファイバ干渉計が、閉じた光路に沿って前記検出光ファイバ(73)を同時に進む2つの偏光波(111、112)の間の干渉によって形成された干渉ビーム(300)の位相差を検出することができ、前記2つの偏光波(111、112)が、前記差動位相変調器によって、前記位相差をスケーリング係数で除することによって、前記閉じた光路に沿って積分された前記磁界の値、又は前記導体(120)を流れる電流の値をそこから導くように変調され、前記スケーリング係数が、前記光ファイバ(73)の前記ベルデ定数に比例する、光ファイバ干渉計において、前記信号処理システム(900)が、前記差動位相変調器によって変調された前記干渉ビームの部分のパワーコントラストの変動を測定し前記コントラストの変動から前記スケーリング係数の変動の測定値を導くように適合され、構成されることを特徴とする、光ファイバ干渉計。
【請求項2】
前記信号処理システム(900)が、前記検出された変調干渉ビームの前記部分の最小パワー及び/又は前記検出された変調干渉ビームの前記部分の最大パワーと最小パワーとの間の差分を測定するように適合され、構成される、請求項1に記載の光ファイバ干渉計。
【請求項3】
前記信号処理システム(900)が、前記スケーリング係数の変動の前記測定値の関数として、前記スケーリング係数をリアルタイムで補正するように適合され、構成される、請求項1又は2に記載の光ファイバ干渉計。
【請求項4】
前記検出光ファイバ(73)が円偏光保持型であり、前記光ファイバデバイス(400)が光位相リターダ(42)と反射体(26)とを備え、前記光位相リターダ(42)が前記検出光ファイバ(73)の一方の端部に配置され、前記反射体(26)が前記検出光ファイバ(73)の他方の端部に配置され、前記干渉計が、前記2つの偏光波(111、112)が前記検出光ファイバ(73)を往復し、2つの直交状態の円偏光を有し、前記反射体(26)上の反射によって反転するように構成される、請求項1に記載の光ファイバ干渉計。
【請求項5】
前記差動位相変調器(16)が、2つの直交する軸に沿って直線偏光の2つの直交状態を案内することができる単一の導波体を備える電気光学複屈折変調器であり、前記干渉計が、前記光源(20)と前記電気光学複屈折変調器(16)との間に配置された偏光子(24)であって、前記偏光子が、前記電気光学複屈折変調器(16)の軸に対して45度に向けられ、前記電気光学複屈折変調器の一方の端部が前記光ファイバデバイス(400)に接続される、偏光子(24)を備える、請求項4に記載の光ファイバ干渉計。
【請求項6】
前記光源(20)と前記差動位相変調器(16)との間に配置されたY字接合分離器であって、前記差動位相変調器(16)が、同じ直線偏光の2つのビームを案内することができる2つの導波体を備え、それぞれが位相変調器を有し、前記光ファイバデバイス(400)が、偏光保持光ファイバセクション(71)と、他方の偏光保持光ファイバセクション(72)とを備え、前記光ファイバセクション(71)と、それに対応する前記他方の光ファイバセクション(72)とがそれぞれ、一方では、前記差動位相変調器(16)の前記2つの導波体の一方に、他方では、偏光カプラ/スプリッタ(27)に接続され、前記他方の光ファイバセクション(72)が直線偏光を90度回転させるように向けられる、Y字接合分離器を備える、請求項4に記載の光ファイバ干渉計。
【請求項7】
前記検出光ファイバ(73)が円偏光保持型であり、前記光ファイバデバイス(400)が、前記光源(20)と前記差動位相変調器(16)との間に配置されたY字接合分離器を備え、前記差動位相変調器(16)が、同じ直線偏光の2つのビームを案内することができる2つの導波体を備え、前記光ファイバデバイス(400)が、偏光保持光ファイバセクション(71)と、光位相リターダ(32)と、他方の偏光保持光ファイバセクション(72)と、他方の光位相リターダ(33)とを備え、前記光ファイバセクション(71)及び対応する前記他方の光ファイバセクション(72)が、それぞれ、一方では、前記差動位相変調器(16)の前記2つの導波体の一方に接続され、他方では、前記光位相リターダ(32)、及び対応する前記他方の光位相リターダ(33)に接続され、前記光位相リターダ(32)が、前記検出光ファイバ(73)の一方の端部に配置され、前記他方の光位相リターダ(33)が、前記検出光ファイバ(73)の他方の端部に配置され、前記干渉計が、前記2つの偏光波(111、112)が、同じ円偏光の状態で、反対方向に前記検出光ファイバ(73)を進むように構成される、請求項1に記載の光ファイバ干渉計。
【請求項8】
前記光位相リターダ(42、32)、及び/又は対応する前記他方の光位相リターダ(33)が、それぞれ前記ソースビーム(100)の波長において四分の一波長板を形成する、請求項4に記載の光ファイバ干渉計。
【請求項9】
前記光位相リターダ(42、32)及び/又は対応する前記他方の光位相リターダ(33)が欠陥を導入するようにオフセットされ、前記信号処理システム(900)が、前記システムの前記スケーリング係数の変動の測定値を前記検出された干渉信号から抽出し、そこから前記光位相リターダ(42、32)及び対応する前記他方の光位相リターダ(33)の温度の変動を導くように適合される、請求項8に記載の光ファイバ干渉計。
【請求項10】
請求項1に記載の光ファイバ干渉計に基づいて磁界又は電流を測定する方法であって、前記方法が、
光源(20)からソースビーム(100)を放出するステップと、
前記ソースビームを2つの偏光波に分割するステップと、
前記2つの偏光波を差動位相変調するステップと、
前記2つの偏光波(111、112)が閉じた光路に沿って検出光ファイバ(73)を通って同時に進むように、前記検出光ファイバ(73)を備える光ファイバデバイスに前記2つの偏光波を伝送するステップであって、前記検出光ファイバ(73)が、非相反磁気光学ファラデー効果を誘導することができるベルデ定数を有し、前記検出光ファイバ(73)が、磁界に配置されるか、又は導体(120)の周りに少なくとも1巻きを形成する、ステップと、
前記光ファイバデバイス(400)の出力において2つの偏光波(111、112)を再結合して、干渉ビーム(300)を形成するステップと、
前記干渉ビーム(300)を検出するステップと、
前記検出された信号を処理して前記干渉ビーム(300)の位相差の測定値を抽出し、前記位相差をスケーリング係数で除することによって、前記閉じた光路に沿って積分された前記磁界の値又は前記導体(120)を流れる電流の値を導くステップと
を含む、方法において、
前記信号処理が、前記差動位相変調器によって変調された前記干渉ビームの部分のパワーコントラストの変動を測定し、前記コントラストの変動から前記スケーリング係数の変動の測定値を導くように適合され、構成されることを特徴とする、方法。
【国際調査報告】