(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】医療用容器の遠位先端にコネクタを接続するためのアダプタ、前記アダプタを係合させるための先端キャップアセンブリおよび薬物送達デバイス、ならびに前記アダプタを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/34 20060101AFI20250220BHJP
【FI】
A61M5/34 510
A61M5/34 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024549437
(86)(22)【出願日】2023-02-20
(85)【翻訳文提出日】2024-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2023054240
(87)【国際公開番号】W WO2023156665
(87)【国際公開日】2023-08-24
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レミ ハモン
(72)【発明者】
【氏名】マクシム ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】デュラン リュバン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE06
4C066EE14
4C066FF05
4C066JJ09
(57)【要約】
このアダプタ(1)は、長手方向軸(A)の周りに延びる管状側壁(2)を含み、管状側壁(2)は、遠位先端(102)を受け入れるための開口した近位端(22)と、コネクタを受け入れるための反対側の開口した遠位端(23)とを画定する。近位端(22)に位置する内側リング(3)は、アダプタ(1)を医療用容器(100)の遠位先端(102)に固定する。管状側壁(2)から内側に突出する2つの内側バルジ(4)は、長手方向軸(A)に沿ってアダプタ(1)内のコネクタの並進を誘導するための固有の内側空洞(40)を画定する。内側バルジ(4)の遠位端(23)は、コネクタが内側空洞(40)に入ることを可能にする第1の角度位置でアダプタ(1)に対してコネクタを配向するためのインデックス開口(42)を画定する。内側バルジ(4)は、内側空洞(40)へのコネクタの挿入中に、コネクタの第1の方向への回転をブロックするための第1のブロック面(44)を含む。アダプタは、コネクタの外翼(204)がロックスロット(6)と係合するように、挿入位置にあるコネクタが長手方向軸(A)の周りで前記第1の方向と反対の第2の方向に回転することを可能にするために、内側空洞(40)の近位に、および内側リング(3)の遠位に配置された2つのロックスロット(6)をさらに備える。ロックスロット(6)は、ロックスロット(6)の近位当接面(60)がコネクタが遠位方向に戻るのを防止する第2の角度位置でコネクタの回転を停止するための機械的ストップ(62)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの外翼(204)を備えるコネクタを医療用容器(100)の遠位先端(102)に接続するためのアダプタ(1)であって、前記アダプタ(1)は、
長手方向軸(A)の周りに延びる管状側壁(2)であって、前記管状側壁(2)は、前記遠位先端(102)を受け入れるための開口した近位端(22)と、前記コネクタを受け入れるための反対側の開口した遠位端(23)とを画定する、管状側壁(2)と、
前記アダプタ(1)を前記医療用容器(100)の前記遠位先端(102)に固定するための前記近位端(22)に位置する内側リング(3)と、
前記管状側壁(2)から内側に突出する2つの内側バルジ(4)であって、前記2つのバルジ(4)は、前記アダプタ(1)内で前記長手方向軸(A)に沿って前記コネクタの並進を誘導するための固有の内側空洞(40)を画定し、前記内側バルジ(4)の遠位端(23)は、前記アダプタ(1)に対して前記コネクタを前記内側空洞(40)に入ることができる第1の角度位置に配向させるためのインデックス開口(42)を画定し、前記内側バルジ(4)は、前記コネクタの前記内側空洞(40)への挿入中の前記コネクタの第1の回転方向への回転をブロックするための第1のブロック面(44)を含む、内側バルジ(4)と、
前記コネクタの前記外翼(204)のそれぞれが前記ロックスロット(6)のうちの1つと係合するように、挿入位置にある前記コネクタが前記長手方向軸(A)の周りで前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転することを可能にするために、前記内側空洞(40)の近位に、及び前記内側リング(3)の遠位に配置された2つのロックスロット(6)であって、前記ロックスロット(6)は、前記コネクタの第2の角度位置での回転を停止するための機械的ストップ(62)と、前記コネクタが前記遠位方向に戻るのを防止するための当接面(60)と、を含む、前記ロックスロット(6)と、を備える、アダプタ(1)。
【請求項2】
前記内側リング(3)は、前記遠位先端(102)に当接するための内側に突出するラグ(30)を有する、請求項1に記載のアダプタ(1)。
【請求項3】
前記内側リング(3)は、テーパまたは円錐台形を有する遠位側(33)を含む、請求項2に記載のアダプタ(1)。
【請求項4】
前記ロックスロット(6)は、前記アダプタ(1)の前記側壁(2)を通って延びる貫通開口である、請求項1から3のいずれか一項に記載のアダプタ(1)。
【請求項5】
前記第1の角度位置および前記第2の角度位置が、40°から90°の間、好ましくは50°から80°の間、さらにより好ましくは65°の角度で構成される角度(α)によって分離される、請求項1から4のいずれか一項に記載のアダプタ(1)。
【請求項6】
前記内側バルジ(4)は、前記コネクタが前記アダプタの内部でスライドしている限り、前記コネクタの前記第2の回転方向への回転をブロックするための第2のブロック面(45)を含み、前記第2のブロック面(45)は、前記コネクタが挿入位置にあるときに、前記コネクタの前記第2の回転方向への回転を可能にするように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のアダプタ(1)。
【請求項7】
前記アダプタ(1)は、前記アダプタ(1)の前記開口した遠位端(23)と前記内側空洞(40)との間に延びるテーパ部分(24)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のアダプタ(1)。
【請求項8】
前記内側バルジ(4)は、平坦な遠位面(41)を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のアダプタ(1)。
【請求項9】
前記2つの内側バルジ(4)、およびそれぞれ前記2つのロックスロット(6)は、直径的に反対である、請求項1から8のいずれか一項に記載のアダプタ(1)。
【請求項10】
先端キャップアセンブリ(202)であって、前記先端キャップアセンブリ(202)は、前記先端キャップアセンブリ(202)を前記アダプタ(1)に取り外し可能に固定するために、前記アダプタ(1)の前記ロックスロット(6)と係合するように構成された2つの外向きに突出する翼(204)を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のアダプタ(1)に接続されるように構成される先端キャップアセンブリ(202)。
【請求項11】
医療製品のためのリザーバを画定するバレル(106)から長手方向に延びる遠位先端(102)と、前記遠位先端(102)に取り付けられるように構成された請求項1から9のいずれか一項に記載のアダプタ(1)と、前記アダプタ(1)によって前記遠位先端(102)に取り外し可能に固定されるように構成されたニードルハブ(200)または先端キャップアセンブリ(202)などのコネクタとを有する医療用容器(100)を含む、薬物送達デバイス(300)。
【請求項12】
前記コネクタ及び前記アダプタ(1)の前記内側空洞(40)は、相補的に成形されている、請求項11に記載の薬物送達デバイス(300)。
【請求項13】
前記コネクタが前記第2の角度位置にあるとき、前記ロックスロット(6)の各々の前記近位当接面(60)が、前記対応する外向きに突出する翼(204)の遠位側の少なくとも50%、好ましくは50%から90%の間に当接する、請求項11または12に記載の薬物送達デバイス(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニードルハブまたは先端キャップアセンブリなどのコネクタを医療用容器に組み立てることを可能にするためのアダプタ、前記アダプタを含む薬物送達デバイス、前記医療用容器の遠位先端を密封するためにアダプタと係合するように構成された先端キャップアセンブリ、およびアダプタを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願において、構成部分またはデバイスの遠位端は、使用者の手から最も遠い端を意味すると理解され、近位端は、使用者の手に最も近い端を意味すると理解されるものである。同様に、本出願において、「遠位方向」は、本発明のアダプタまたは医療容器に関して、注入の方向を意味すると理解され、「近位方向」は、上記注入の方向とは反対の方向、すなわち、注入操作に関して、容器を保持している使用者の手に向かう方向を意味すると理解されるものである。
【0003】
基本的に、例えば、事前充填可能または事前充填されたシリンジなどの医療用容器は、その高い化学受動性、その低いガス透過性、および高い透明性のためにガラスで作られることが好ましく、これにより、長時間の保管および容易な検査が可能になる。
【0004】
医療用容器は、通常、医療製品を収容するためのリザーバを画定するバレルを備える。容器は、医療製品がリザーバの外に流れることを可能にするように、リザーバと流体連通する軸方向通路を画定する長手方向先端の形態の遠位端を有する。しかしながら、この長手方向の先端は、それ自体で非経口投与を可能にせず、注射器をニードルハブなどのコネクタに接続することを可能にする杭付きニードルまたはアダプタのいずれかを備えなければならない。アダプタは、典型的には、注射器の長手方向先端にねじ込まれ、接着され、またはスナップフィットされる。このコネクタは、典型的には、アダプタにねじ込まれ、容器の遠位端と係合して、リザーバとコネクタとの間に流体経路を確立する。
【0005】
特許文献1、特許文献2および特許文献3は、医療用容器をコネクタに接続するためのアダプタを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第3868354号明細書
【特許文献2】欧州特許第3868428号明細書
【特許文献3】欧州特許第3868430号明細書
【発明の概要】
【0007】
コネクタがアダプタに適切にねじ込まれていることが重要である。エンドユーザは、コネクタと容器の遠位端との間に適切な嵌合を得るために、十分なトルクを印加しなければならない。しかしながら、適切な取り付けがいつ達成されるかをエンドユーザが正確に知ることは困難であり得る。ねじ込み不足は、容器からコネクタへの流体の移送中にコネクタの排出または漏れを引き起こす可能性があり、一方、ねじ込みすぎは、アダプタと長手方向先端との間の接続を変更し、したがって、アダプタが長手方向先端に対して望ましくない回転または傾斜を引き起こす可能性がある。
【0008】
したがって、コネクタとアダプタとの間の接続を容易にする必要がある。コネクタと医療用容器の長手方向先端との間の接続がいつ適切に達成されるかをユーザが知る必要がある。
【0009】
さらに、アダプタは通常、射出成形によってプラスチック材料で作られている。また、成形プロセスを簡素化し、製造コストを削減する必要がある。
【0010】
本発明の態様は、2つの外翼を含むコネクタを医療用容器の遠位先端に接続するためのアダプタであり、アダプタは、
長手方向軸Aの周りに延びる管状側壁であって、前記管状側壁が、前記遠位先端を受け入れるための開口した近位端と、前記コネクタを受け入れるための反対側の開口した遠位端とを画定する、管状側壁と、
前記アダプタを前記医療用容器の前記遠位先端に固定するための前記近位端に位置する内側リングと、
前記管状側壁から内側に突出する2つの内側バルジ(bulge)であって、前記2つのバルジは、前記長手方向軸Aに沿って前記アダプタ内の前記コネクタの並進を誘導するための固有の内側空洞を画定し、前記内側バルジの遠位端は、前記コネクタが前記内側空洞に入ることを可能にする第1の角度位置に前記アダプタに対して前記コネクタを配向させるためのインデックス開口を画定し、前記内側バルジは、前記コネクタの前記内側空洞への挿入中の前記第1の回転方向への前記コネクタの回転をブロックするための第1のブロック面を含む、内側バルジと、
前記コネクタの前記外翼のそれぞれが前記ロックスロットのうちの1つと係合するように、前記挿入位置にある前記コネクタが前記長手方向軸Aの周りで前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転することを可能にするために、前記内側空洞に近位に、および前記内側リングに遠位に配置された2つのロックスロットであって、前記ロックスロットは、前記コネクタの前記第2の角度位置での回転を停止するための機械的ストップと、前記コネクタが前記遠位方向に戻るのを防止するための当接面とを含む、前記ロックスロットと、を備える。
【0011】
したがって、本発明のアダプタは、コネクタ(ニードルハブまたは先端キャップアセンブリ)と医療用容器の遠位先端との間に安全な接続を確立することを可能にする。接続運動は、単に軸方向の並進、続いて長手方向軸Aの周りの回転で構成される。したがって、過ねじ込みまたはねじ込み不足のリスクが低い、またはまったくない。
【0012】
アダプタは、実際には内ねじの使用を必要とせず、それによってまた、成形プロセスを簡素化することを可能にする。金型はより単純であり、したがってより安価である。さらに、アダプタは、射出成形によって容易かつ迅速に成形される。通常、内部ねじ山を有するアダプタを成形するために使用されるように、回転コアピンを使用する必要はなく、それによってコストを節約する。
【0013】
アダプタはさらに、接続が安全で完全であるという触覚(haptic)または触覚(tactile)フィードバックを提供する。実際、機械的ストップのおかげで、エンドユーザは接続が完了したと感じることができる。したがって、漏れまたは不注意な切断のリスクが回避される。
【0014】
アダプタは、以下の有利な特徴の一部またはすべてをさらに含み得る。
【0015】
一実施形態では、内側リングは、遠位先端に当接するための内側に突出するラグを有する。これにより、遠位先端へのアダプタの取り付けが改善される。漏れや切断のリスクはさらに制限されている。ラグの遠位端は、ラグがコネクタに干渉しないように、ロックスロットの当接面の近位に軸方向に配置される。
【0016】
一実施形態では、内側リングは、テーパまたは円錐台形の形状を有する遠位側を含む。これは、特に、遠位先端の外面に半径方向内向きに延びる溝が存在する場合に、アダプタのシリンジの遠位先端への接続を改善する。内側リングのテーパまたは円錐台形の形状は、遠位先端の周りにアダプタを容易に導入することを可能にし、溝に接触したときのラグの偏向を可能にする。
【0017】
一実施形態では、ロックスロットは、アダプタの側壁を通って延びる貫通開口である。したがって、ユーザは、コネクタの外翼がロックスロットに係合しているかどうかを見ることができる。これにより、接続が完了したことを視覚的に示すことができる。これにより、成形プロセスも簡素化される。
【0018】
一実施形態では、第1の角度位置および第2の角度位置は、40°と90°との間、好ましくは50°と80°との間、さらにより好ましくは65°の角度で構成される角度によって分離される。
【0019】
一実施形態では、内側バルジは、コネクタがアダプタ内でスライドしている限り、コネクタの第2の回転方向への回転をブロックするための第2のブロック面を含み、第2のブロック面は、コネクタが完全に挿入された位置にあるときに、コネクタの第2の回転方向への回転を可能にするように構成される。例えば、第2のブロック面は、ロックスロットで、またはロックスロットの遠位で終わる。したがって、コネクタが完全に挿入されていない限り、コネクタは内側空洞内で回転することができない。第1のブロック面は、インデックス開口から内側リングまで延び得、その結果、第1のブロック面は、コネクタが挿入位置にあるときでさえ、コネクタの回転をブロックする。第2のブロック面は、インデックス開口からロックスロットまで(より具体的には、ロックスロットの遠位壁まで)延び得る。したがって、第2のブロック面は、第1のブロック面よりも軸方向に短い。第1のブロック面とは異なり、第2のブロック面は、内側リングまで延びない。したがって、挿入位置にあるコネクタは、第2の回転方向にのみ回転することによってロックスロットと係合することができる。第1および第2のブロック面は、長手方向軸Aに平行に長手方向に延び得る。
【0020】
内側空洞は、長手方向軸Aに平行な内壁によって画定され得る。バルジは、第1のストップと第2のブロック面との間に円筒形の部分を有する。内側空洞は滑らかである。すなわち、内側空洞を画定する内壁には、内側ねじ山または半径方向の突起がない。
【0021】
一実施形態では、アダプタは、アダプタの開口した遠位端と内側空洞との間に延びるテーパ部分を含む。これにより、長手方向軸Aに関してコネクタを中央に配置することが可能になる。次に、エンドユーザは、コネクタがインデックス開口に入ることができるように、コネクタを第1の角度位置に向かって回転させるだけでよい。
【0022】
一実施形態では、内側バルジは、平坦な遠位面を有する。内側バルジの遠位端に位置するこの遠位面は、長手方向軸Aに直交している。テーパ部分は、アダプタの遠位面と内側バルジの平坦な遠位面との間に延びる。
【0023】
一実施形態では、2つの内側バルジおよび2つのロックスロットは、直径的に反対である。
【0024】
本発明の別の態様は、上述のアダプタに接続されるように構成された先端キャップアセンブリであり、先端キャップアセンブリは、先端キャップアセンブリをアダプタに取り外し可能に固定するためにアダプタのロックスロットと係合するように構成された2つの外向きに突出する翼を有する。
【0025】
おそらく、外向きに突出する翼は、アダプタのロックスロットへの外向きに突出する翼の挿入を容易にするために、その遠位側に面取りまたは円錐台形などの誘導面を有する。
【0026】
本発明の別の態様は、医療製品のためのリザーバを画定するバレルから長手方向に延びる遠位先端を有する医療用容器と、遠位先端に取り付けられるように構成された上述のアダプタと、前記アダプタによって遠位先端に取り外し可能に固定されるように構成されたニードルハブまたは先端キャップアセンブリなどのコネクタとを含む薬物送達デバイスである。
【0027】
一実施形態では、コネクタおよびアダプタの内側空洞は、相補的に形作られる。したがって、コネクタは、アダプタ内への挿入中に回転または傾斜することができない。これは、アダプタおよび遠位先端に対するコネクタの位置決めを改善し、それによって漏れのリスクを低減する。
【0028】
一実施形態では、コネクタが第2の角度位置にあるとき、ロックスロットのそれぞれの近位当接面は、対応する外向きに突出する翼の遠位側の少なくとも50%、好ましくは50%から90%の間に当接する。
【0029】
本発明の別の態様は、上述のアダプタを製造するための方法である。この方法は、回転コアピンの使用を欠いている。実際、アダプタは、コネクタを固定するための内ねじを必要としない。これにより、改善された費用対効果の高い成形プロセスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明およびそれから生じる利点は、以下の添付の図面を参照して以下に示す詳細な説明から明らかになる。
【
図1A】
図1Aは、本発明の一実施形態によるアダプタの斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、本発明の一実施形態によるアダプタの断面図である。
【
図1C】
図1Cは、本発明の一実施形態によるアダプタの部分側面図である。
【
図1D】
図1Dは、本発明の一実施形態によるアダプタの上面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による、アダプタと係合する医療用容器の斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の一実施形態によるアダプタの斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の一実施形態によるアダプタの部分斜視図である。
【
図3C】
図3Cは、本発明の一実施形態によるアダプタの断面図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の一実施形態によるアダプタと係合するように設計されたニードルハブの斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の一実施形態によるアダプタと係合するように設計されたニードルハブの底面図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の一実施形態による、アダプタと係合する医療用容器およびニードルハブの側面断面図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の一実施形態によるアダプタと係合するように設計された先端キャップアセンブリの外側キャップの斜視図である。
【
図6B】
図6Bは、本発明の一実施形態によるアダプタと係合するように設計された先端キャップアセンブリの外側キャップの底面図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の一実施形態による、アダプタと係合する医療用容器および先端キャップアセンブリの断面図である。
【
図7B】
図7Bは、本発明の一実施形態による、アダプタと係合する医療用容器および先端キャップアセンブリの斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、本発明の一実施形態による、アダプタを備えた医療用容器とニードルハブを係合させるステップを示す側面図である。
【
図8B】
図8Bは、本発明の一実施形態による、アダプタを備えた医療用容器とニードルハブを係合させるステップを示す側面図である。
【
図8C】
図8Cは、本発明の一実施形態による、アダプタを備えた医療用容器とニードルハブを係合させるステップを示す側面図である。
【
図9A】
図9Aは、本発明の一実施形態によるアダプタと係合する医療用容器およびニードルハブの上面図であり、ニードルハブはロック解除位置にある。
【
図9B】
図9Bは、本発明の一実施形態によるアダプタと係合する医療用容器およびニードルハブの上面図であり、ニードルハブはロック位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1Aを参照すると、本発明の一実施形態によるアダプタ1が示されている。
図2に示されるように、アダプタ1は、医療用容器100の遠位先端102に固定されるように構成される。さらに、アダプタ1は、ニードルハブ200(
図5A)または先端キャップアセンブリ202(
図7A)などのコネクタを受け入れ、医療用容器100の遠位先端102にコネクタを固定するように構成される。
【0032】
図1A、
図1Bおよび
図1Cに示されるように、アダプタ1は、長手方向軸Aの周りに延びる管状側壁2を含み得る。アダプタ1の側壁2は、円筒形状を有し得る。その外面上には、エンドユーザがアダプタ1を把持することを可能にするために、軸方向リブ20が配置され得る。側壁2は、直径方向に対向する2つの円筒形部分21を有する内面を有する。管状側壁2は、医療用容器100の遠位先端102を受け入れるように構成された開口した近位端22と、コネクタを受け入れるように構成された反対側の開口した遠位端23とにつながる。
【0033】
アダプタ1の近位端22は、アダプタ1を医療用容器100の遠位先端102に固定するための内側リング3を有する。
図5Aおよび
図5Bに見られるように、遠位先端102は、溝103を含み得、内側リング3リングは、アダプタ1を遠位先端102に固定するために、遠位先端102の溝103と係合するように構成され得る。
【0034】
図1Aおよび
図1Dに示されるように、内側リング3は、内側に半径方向に突出するラグ30を含み得、これは、円周方向に規則的に分布し得る。ラグ30は、遠位先端102の外面、または遠位先端102上に存在する溝103の外面に当接するための円筒形状を有し得る自由端31を含む。ラグ30は、アダプタ1が遠位先端102に取り付けられたときにラグ30がわずかに変形することを可能にするために、開いた半径方向の窓32によって分離され得る。
図1B、
図5Aまたは
図7Aに示されるように、内側リング3の遠位側33は、遠位テーパ形状または円錐台形形状を有し得、内側リング3の近位側34は、長手方向軸Aに直交し得る。
【0035】
図1Aを参照すると、2つの直径的に反対側の内側バルジ4が、側壁2の内面から突出する。内側バルジ4は、それらの間に、アダプタ1内の近位方向にコネクタの挿入を誘導するための内側空洞40を画定する。内側バルジ4は、遠位端41を有し、これは、挿入前にアダプタ1に対してコネクタの位置決めを可能にするための平坦な表面(長手方向軸Aに直交する)を有し得る。例えば、円錐台形を有するテーパ部分24は、コネクタを中心とするために、アダプタ1の遠位端23と内側空洞40の遠位端41との間に延び得る。
図3A~
図3Cに示される代替の実施形態では、内側バルジ4の遠位端41はテーパであり、したがって、テーパ部分24を形成する。
【0036】
内側バルジ4の遠位端41は、インデックス開口42をさらに画定する。インデックス開口42は、内側空洞40の入口であり、これは、コネクタをアダプタ1に挿入するための1つの可能性のみをもたらす。インデックス開口42は、コネクタが第1の所定の角度位置に回転的に配置されている場合にのみ、内側空洞40内にコネクタを挿入することを可能にする(
図9A)。すなわち、インデックス開口42は、コネクタが第1の角度位置にあるときにコネクタが内側空洞40に入ることを可能にし、コネクタが前記第1の角度位置とは異なる角度位置にある限り、コネクタが内側空洞40に入ることを防止する。その目的のために、インデックス開口42およびニードルハブ200または先端キャップアセンブリ202などのコネクタは、
図1D、
図4Bおよび
図6Bに見られるように、同じ断面形状Sを有する。より具体的には、内側バルジ4は、円筒形表面43、円筒形表面43の一方の側に第1の平坦表面44、および円筒形表面43の他方の側に第2の平坦表面45を有し得る。内側バルジ4の円筒形表面43、側壁2の第1の平坦表面、第2の平坦表面、および円筒形部分21は、内側空洞40を画定し、したがって、所定の断面形状Sを形成する。
【0037】
内側バルジ4は、コネクタがアダプタ1に完全に挿入されていない限り、コネクタの回転を防止するように構成されてもよいが、コネクタがアダプタ1に完全に挿入されると、コネクタの回転を可能にするように構成されてもよく、これは、コネクタがより遠位に挿入されなくてもよいことを意味する。その目的のために、内側バルジ4は、第1の回転方向、好ましくは反時計回り方向へのコネクタの回転をブロックするための第1の平面である第1のブロック面44と、反対の第2の回転方向、好ましくは時計回り方向へのコネクタの回転をブロックするための第2の平面である第2のブロック面45とを有する。
【0038】
図1Bに示されるように、第1のブロック面44は、内側バルジ4の遠位端23から内側リング3まで軸方向に延び得る。その結果、
図5Aに示される最も近位の位置にあるコネクタは、第1の回転方向に回転することができない。最も近位の位置は、アダプタ1内のコネクタの完全に挿入された位置に対応し、コネクタは近位方向にこれ以上スライドすることができない。
【0039】
第1のブロック面44とは異なり、第2のブロック面45は、内側リング3まで軸方向に延びない。
図1Bに示されるように、第2のブロック面45は、内側バルジ4の遠位端23から、第2のブロック面45の近位端と内側リング3との間に延びるロックスロット6まで軸方向に延びてもよい。したがって、第2のブロック面45の近位端は、内側リング3の遠位に軸方向に配置される。したがって、第2のブロック面45は、第1のブロック面44よりも軸方向に短い。第2のブロック面45は、コネクタが第2の回転方向に回転することによってロックスロット6と係合することを可能にする。
【0040】
アダプタ1の内側空洞40には、任意の内側ねじがないことが企図される。側壁2の円筒形部分21、内側バルジ4の円筒形表面43、および第1および第2のブロック面44、45はすべて、長手方向軸Aに平行に延びる。それらは滑らかであり、半径方向の突起を有していない。その結果、アダプタ1内のコネクタの挿入は、回転することなく長手方向軸Aに沿った並進運動である。
【0041】
コネクタのアダプタ1への挿入は、コネクタの内面と遠位先端102の外面との間の円錐接触によって制限される。最も近位の位置(挿入位置)は、ISO80369-7(2016)(6.1および6.2項)で定義されているニードルハブ200の漏れ限界位置であり得る。
【0042】
アダプタ1は、好ましくは内側バルジ4の近位端22に配置された2つの直径方向に反対のロックスロット6をさらに含む。ロックスロット6は、コネクタが第2の回転方向(時計回り方向)に回転するときに、コネクタの外翼204を受け入れるように構成される。ロックスロット6は、長手方向に円周方向に延びる。好ましくは、ロックスロット6は、アダプタ1の側壁2の側面から側面に半径方向に延びる貫通開口である。その結果、ユーザは、コネクタがロックスロット6に適切に係合されているかどうかを見ることができる。
【0043】
ロックスロット6は、長手方向軸Aに直交し得る上部(遠位)壁60および下部(近位)壁61、ならびに2つの横方向側壁62、63の4つの壁を有し得る。遠位壁60、近位壁61、および第1および第2の側壁62、63は、好ましくは、平坦な表面である。
【0044】
ロックスロット6の遠位壁60は、コネクタが遠位方向に戻るのを防ぐために、コネクタの外翼204の遠位側に当接するように構成された近位当接面を形成する。近位当接面60は、対応する外翼204の遠位側面の少なくとも50%、好ましくは50%から90%の間を覆うように寸法決定される。この遠位壁60は、コネクタが第2の角度位置に向かって回転するときに、対応する外翼204の遠位側面に常に接触している。
【0045】
2つの側壁62、63のうちの第1の側壁は、コネクタが第2の回転方向に回転するときに、コネクタの外翼204がロックスロット6の第1の側壁62に当接するが、コネクタが第1の回転方向に戻って回転するときに、第2の側壁63に当接しないように構成され得る。ロックスロット6の第1の側壁62は、内側バルジ4の第1のブロック面44の隣にあり、第2の側壁63は、第2のブロック面45の隣にある。
【0046】
したがって、ロックスロット6の第1の側壁62は、コネクタが第2の回転方向に回転するときに、第2の所定の角度位置でコネクタの回転を停止するための機械的ストップを形成する。前記第2の角度位置では、コネクタとアダプタ1との間の接続が完了する。
図9Aおよび
図9Bを参照すると、第1の角度位置と第2の角度位置との間に画定される角度αは、[40°~90°]の間、好ましくは[50°~80°]の間、さらにより好ましくは約65°の角度によって構成される。
【0047】
図6A~
図7Bを参照すると、本発明はまた、先端キャップアセンブリ202に関する。先端キャップアセンブリ202は、遠位先端102の軸方向通路104を密封するためにアダプタ1に固定されるように構成される。先端キャップアセンブリ202は、外側キャップ206と、外側キャップ206の内側に配置された内側キャップ208とを含む。外側キャップ206は、剛性材料で作られてもよく、内側キャップ208は、弾性的に変形可能な材料で作られてもよい。外側キャップ206は、肩部212から近位に突出するスカート210を含む。肩部212は、アダプタ1の遠位端23に当接するように構成され、スカート210は、内側空洞40と係合するように構成される。
【0048】
先端キャップアセンブリ202は、アダプタ1の2つのロックスロット6と係合するように構成された2つの直径方向に反対側の外翼204を有する。外翼204は、スカート210の近位端22に配置される。それらは、長手方向軸Aに直交して延びる。外翼204、インデックス開口42、および内側空洞40は、同じ断面形状Sを有する。
【0049】
より具体的には、外翼204は、アダプタ1の内側空洞40内のコネクタの挿入を誘導するための側面を画定し、側面は、それぞれ、アダプタ1の円筒形部分21及び内側バルジ4の円筒形表面43と協働するための直径方向に反対の円筒形表面214、216の2対と、長手方向軸Aに平坦かつ平行であり得る4つの当接面218、220とを含み得る。当接面218のうちの2つは、内側バルジ4の第1のブロック面44に当接するように構成され、他の2つの当接面220は、第2のブロック面45(アダプタ1内のコネクタの並進中)に当接し、次いで、ロックスロット6の第1の側壁62に当接するように構成される(コネクタが第1の角度位置から第2の角度位置に回転するとき)。
【0050】
外翼204は、大きく半径方向に減少する幅wを有する。その結果、外翼204の自由端222は、外翼204のベース部分224よりも薄くてもよい。すなわち、外翼204の遠位側は、アダプタ1のロックスロット6への外翼204の挿入を容易にするために、面取りまたは円錐台形を有する誘導面226を含み得る。ロックスロット6に係合すると、外翼204の誘導面226は、アダプタ1の近位当接面60に当接して、コネクタの遠位方向への軸方向の移動をブロックする。遠位側および誘導面226の反対側では、外翼204は、近位側228を有する。
【0051】
先端キャップアセンブリ202には、いかなる外部ねじ山もないことに留意すべきである。これは、先端キャップアセンブリ202の製造プロセスを簡素化する。
【0052】
図7A~7Bまたは
図8A~8Cを参照すると、本発明はまた、医療用容器100および上述のアダプタ1を含む薬物送達デバイス300に関する。医療用容器100は、医療製品のためのリザーバを画定する管状バレル106と、リザーバと流体連通する軸方向通路104を画定する長手方向に突出する遠位先端102とを有する。遠位先端102の外面は、好ましくは円錐形である。遠位先端102は、アダプタ1の内側リング3を受け入れ、アダプタ1を遠位先端102に固定するための溝103を含み得る。
図5Aおよび
図7Aに示されるように、薬物送達デバイス300は、遠位先端102の軸方向通路104を針またはIVカテーテル(図示せず)に流体接続するためのニードルハブ200(
図5A)、または軸方向通路104を密封するための上述の先端キャップアセンブリ202(
図7A)をさらに含み得る。
【0053】
次に、本発明による薬物送達デバイス300の動作を、
図8A~8Cおよび
図9A~9Bを参照して以下に説明する。
【0054】
図8Aおよび8Bに示されるように、ニードルハブ200(または先端キャップアセンブリ202)は、最初に第1の角度位置に配置されなければならない。第1の角度位置は、インデックス開口42を介してアダプタ1の内側空洞40内へのコネクタの侵入を可能にする。
【0055】
ニードルハブ200は、ニードルハブ200が最も近位の位置、すなわち完全に挿入された位置になるまで、アダプタ1の内側空洞40内の長手方向軸Aに沿って近位方向に並進される(
図8C)。ニードルハブ200は、ニードルハブ200が依然として第1の角度位置にあるように、回転することなくアダプタ1の内側バルジ4によって案内されている(
図9A)。この段階では、円錐形のニードルハブ200は、相補的形状の遠位先端102(
図8C)に適切に適合するが、ニードルハブ200が遠位方向に戻ることができるため、接続はまだ完了していない。
【0056】
ユーザは、ニードルハブ200を第2の回転方向(時計回り方向)に回転させるだけでよい。これは、内側バルジ4の第2のブロック面45が第2の回転方向への回転をもはやブロックしないため、可能である。さらに、外翼204は、ロックスロット6に配置される。したがって、ニードルハブ200の第2の回転方向への回転は、外翼204をロックスロット6と係合させる。外翼204は、ロックスロット6(
図9B)の第1の側壁62に当接し、それによって、接続が完了したという触覚フィードバックをユーザに提供する。外翼204の遠位側226は、ロックスロット6の上部(遠位)壁60に当接する。したがって、コネクタは、軸方向にブロックされ、医療用容器100の遠位先端102に取り外し可能に固定される。
【0057】
コネクタを取り外すには、ユーザは、まず、コネクタの外翼204が内側バルジ4の第1のブロック面44に当接するまで、コネクタを第1の回転方向に戻し、次に、コネクタが内側空洞40から出るように、コネクタを遠位方向にスライドさせる必要がある。
【0058】
本発明はまた、上述のアダプタ1を製造するための方法に関する。この方法は、射出成形によってアダプタ1を形成するステップを含む。しかしながら、この方法は、アダプタ1がコネクタを固定するための内ねじを必要としないため、回転コアピンの使用がない。
【0059】
したがって、本発明は、過剰またはねじ込み不足のリスクなしに、医療用容器100の遠位先端102にコネクタを取り外し可能に固定することを可能にする。このアダプタ1の製造方法は、回転コアピンの使用を必要としないため、アダプタ1の製造も容易である。したがって、本発明は、遠位先端102と前記ニードルハブ200または先端キャップアセンブリ202との間の漏れを確実に防止しながら、ニードルハブ200または先端キャップアセンブリ202を医療用容器100の遠位先端102に容易に接続する(軸方向の並進に続いて制限された回転)ための費用対効果の高い解決策である。
【国際調査報告】