(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】半導体デバイス及び半導体デバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
H10D 8/60 20250101AFI20250220BHJP
H10D 8/50 20250101ALI20250220BHJP
H10D 8/01 20250101ALI20250220BHJP
【FI】
H01L29/86 301E
H01L29/86 301F
H01L29/91 K
H01L29/86 301D
H01L29/91 F
H01L29/86 301P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024550237
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-08-23
(86)【国際出願番号】 CN2022114682
(87)【国際公開番号】W WO2023159894
(87)【国際公開日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】202210176403.6
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521531171
【氏名又は名称】ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】ユイ,イー
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジャアフウ
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ユイゥルゥ
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ボー
(72)【発明者】
【氏名】ターン,ローングゥ
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,シン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ドーングワ-ン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,シージン
(57)【要約】
この出願の実施形態は、半導体デバイス及び半導体デバイス製造方法を提供する。当該半導体デバイスは、基板と、該基板の一方側に位置するエピタキシャル層であり、基板から遠い側の当該エピタキシャル層の表面にドープト領域が形成され、当該エピタキシャル層は、アクティブ領域と、該アクティブ領域を取り囲む終端領域とを含む、エピタキシャル層と、終端領域を覆うパッシベーション層であり、アクティブ領域に対応する窓が形成されたパッシベーション層と、上記窓と、上記窓を形成するパッシベーション層の内縁とを覆い、上記窓内で前記アクティブ領域とショットキーコンタクトを形成する金属層と、を含む。この出願の実施形態のソリューションを用いることにより、パッシベーション層の構造が金属層の下に置かれ、その結果、パッシベーション層は金属層を包み込む必要がなく、それによって、パッシベーション層に形成される角の数が減少する。これは、例えば熱サイクルなどの温度変化シナリオにおいてパッシベーション層にかかる応力を低減させることができ、その結果、クラックが発生しにくくなり、それによって、クラックを通した水分侵入によって引き起こされるデバイス故障が防止され、高温高湿環境におけるデバイスの堅牢性が向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一方側に位置するエピタキシャル層であり、前記基板から遠い側の当該エピタキシャル層の表面にドープト領域が形成され、当該エピタキシャル層は、アクティブ領域と、該アクティブ領域を取り囲む終端領域とを有する、エピタキシャル層と、
前記終端領域を覆うパッシベーション層であり、前記アクティブ領域に対応する窓が形成されたパッシベーション層と、
前記窓と、前記窓を形成する前記パッシベーション層の内縁とを覆い、前記窓内で前記アクティブ領域とショットキーコンタクトを形成する金属層と、
を有する半導体デバイス。
【請求項2】
前記パッシベーション層は、順に積層されて互いに接触して配置された第1のパッシベーション層、第2のパッシベーション層、及び第3のパッシベーション層を有し、前記第1のパッシベーション層が、前記エピタキシャル層と前記第2のパッシベーション層との間に位置し、前記第2のパッシベーション層の材料が、前記第1のパッシベーション層の材料及び前記第3のパッシベーション層の材料のどちらとも異なる、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記アクティブ領域に対応する第1の窓が前記第1のパッシベーション層に配置され、前記アクティブ領域に対応する第2の窓が前記第2のパッシベーション層に配置され、前記第2の窓は前記第1の窓の外側に位置し、前記第3のパッシベーション層は、前記第1のパッシベーション層から遠い側の前記第2のパッシベーション層の面上に位置する第1部分と、前記第2の窓の内周壁を覆う第2部分と、前記第1のパッシベーション層上に積層して配置された第3部分とを有し、前記アクティブ領域に対応する第3の窓が前記第3のパッシベーション層の前記第3部分上に配置され、前記第1の窓と前記第3の窓が互いに対応し、互いに連通して前記窓を形成する、請求項2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記第1のパッシベーション層の前記材料と前記第3のパッシベーション層の前記材料は同じであって酸化シリコンを有し、且つ/或いは
前記第2のパッシベーション層の前記材料は窒化シリコンを有する、
請求項2又は3に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記第3のパッシベーション層の厚さは、前記第1のパッシベーション層の厚さ及び前記第2のパッシベーション層の厚さよりも小さい、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
当該半導体デバイスは、
前記パッシベーション層と前記金属層の外縁とを覆う保護層、
を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
基板から遠い側のエピタキシャル層の表面にドープト領域を形成し、前記エピタキシャル層は、前記基板の一方側に位置し、アクティブ領域と、該アクティブ領域を取り囲む終端領域とを有し、
前記終端領域上にパッシベーション層を配設し、当該パッシベーション層は、前記アクティブ領域に対応する窓を持ち、
前記窓上に、及び前記窓を形成する前記パッシベーション層の内縁上に金属層を配設し、当該金属層が、前記窓内で前記アクティブ領域とショットキーコンタクトを形成する、
ことを有する半導体デバイス製造方法。
【請求項8】
前記パッシベーション層は、第1のパッシベーション層、第2のパッシベーション層、及び第3のパッシベーション層を有し、前記終端領域上にパッシベーション層を前記配設することは、
前記エピタキシャル層上に順に第1の誘電体層及び第2の誘電体層を形成し、当該第1の誘電体層の材料は当該第2の誘電体層の材料と異なり、
前記アクティブ領域に対応する前記第2の誘電体層の部分に第2の窓をエッチングして前記第2のパッシベーション層を形成し、
前記第2の窓上に及び前記第2のパッシベーション層上に第3の誘電体層を形成し、前記第2の窓内で、当該第3の誘電体層が、前記第2の窓の内周壁を覆い、且つ前記第1の誘電体層上に積層されて前記第1の誘電体層と接触し、前記第2の誘電体層の前記材料は当該第3の誘電体層の材料と異なり、
前記第2の窓の内側の、前記アクティブ領域に対応する位置で、前記第1の誘電体層及び前記第3の誘電体層に対してエッチングを行い、当該エッチングは、前記第3の誘電体層に第3の窓をエッチングして前記第3のパッシベーション層を形成することと、前記第1の誘電体層に第1の窓をエッチングして前記第1のパッシベーション層を形成することとを有し、前記第1の窓と前記第3の窓が互いに対応し、互いに連通して前記窓を形成する、
ことを有する、請求項7に記載の半導体デバイス製造方法。
【請求項9】
前記第1の窓及び前記第3の窓は、1つのエッチングプロセスを用いて形成される、請求項8に記載の半導体デバイス製造方法。
【請求項10】
前記パッシベーション層上に及び前記金属層の外縁上に保護層を配設する、
ことを更に有する請求項7乃至9のいずれか一項に記載の半導体デバイス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2022年2月24日に中国国家知識産権局に出願された、“半導体デバイス及び半導体デバイス製造方法”と題された中国特許出願第202210176403.6号に対する優先権を主張するものであり、それをその全体にてここに援用する。
【0002】
この出願は、半導体技術の分野に関し、特に、半導体デバイス及び半導体デバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
パワーエレクトロニクスは、電力変換及び制御のための重要な技術であり、そのうちパワー半導体デバイスがコアであり、基礎である。炭化ケイ素(silicon carbide,SiC)は、その優れた物理的及び化学的特性のために、低い製造コストで、より高い電力密度及び低い電力消費を有するパワーエレクトロニクスシステムを開発するための高温及び高耐圧パワー半導体デバイスを作製するために使用されることができる。
【0004】
パワー半導体デバイスは、アクティブ領域と終端領域とを含む。終端領域は、ブレイクダウン電圧を高めるために逆バイアスにおける高電界を延ばすように使用され得る。また、水分の侵入及び高電界の作用下で生じる好ましくない要因がデバイスの信頼性に影響を及ぼすことを防止するために、パッシベーション層が保護のために終端領域上に配置される必要がある。
【0005】
既存の半導体デバイスにおいて、パッシベーション層の構造は、深刻な応力集中の問題を有し、従って、例えば(特に、極端な熱サイクル条件における)熱サイクルなどの温度変化シナリオにおいて及ぼされる過度な応力に起因して、クラックが生じやすい。結果として、水分侵入経路が形成され、それが半導体デバイスを故障することを引き起こし、それによって製品の信頼性に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0006】
この出願の実施形態は、クラックが発生しにくくなるように、例えば(特に、極端な熱サイクル条件における)熱サイクルなどの温度変化シナリオにおいてパッシベーション層にかかる応力を低減させることができる半導体デバイス及び半導体デバイス製造方法を提供する。これは、クラックを通じた水分侵入によって生じるデバイス故障を防止し、それによって高温高湿環境におけるデバイスの堅牢性を向上させることができる。
【0007】
従って、この出願の実施形態は、以下の技術的ソリューションを使用する。
【0008】
第1の態様によれば、この出願の一実施形態は半導体デバイスを提供する。当該半導体デバイスは、基板と、該基板の一方側に位置するエピタキシャル層であり、基板から遠い側の当該エピタキシャル層の表面にドープト領域が形成され、当該エピタキシャル層は、アクティブ領域と、該アクティブ領域を取り囲む終端領域とを含む、エピタキシャル層と、終端領域を覆うパッシベーション層であり、アクティブ領域に対応する窓が形成されたパッシベーション層と、上記窓と、上記窓を形成するパッシベーション層の内縁とを覆い、上記窓内で前記アクティブ領域とショットキーコンタクトを形成する金属層と、を含む。
【0009】
この出願のこの実施形態の半導体デバイスにおいては、パッシベーション層が金属層とエピタキシャル層との間に配置される。換言すれば、パッシベーション層の構造が金属層の下に置かれる。斯くして、パッシベーション層は金属層の外縁を包み込む必要がなく、それによって、パッシベーション層に形成される角の数が減少する。これは、例えば(特に、極端な熱サイクル条件における)熱サイクルなどの温度変化シナリオにおいてパッシベーション層にかかる応力を低減させることができ、その結果、クラックが発生しにくくなり、それによって、クラックを通した水分侵入が防止され、高温高湿環境における半導体デバイスの堅牢性が向上する。
【0010】
取り得る一実装において、パッシベーション層は、順に積層されて互いに接触して配置された第1のパッシベーション層、第2のパッシベーション層、及び第3のパッシベーション層を含み、第1のパッシベーション層が、エピタキシャル層と第2のパッシベーション層との間に位置し、第2のパッシベーション層の材料が、第1のパッシベーション層の材料及び第3のパッシベーション層の材料のどちらとも異なる。換言すれば、この実装では、パッシベーション層が3層構造で配設され得る。第2のパッシベーション層の材料は、第1のパッシベーション層の材料及び第3のパッシベーション層の材料のどちらとも異なる。従って、それらの熱膨張係数も異なる。換言すれば、熱膨張係数間の差を用いることによってパッシベーション層の構造を最適化することができ、パッシベーション層がクラック生成することを更に防止し、それによって水分侵入をより良く防止する。
【0011】
取り得る一実装において、アクティブ領域に対応する第1の窓が第1のパッシベーション層に配置され、アクティブ領域に対応する第2の窓が第2のパッシベーション層に配置され、第2の窓は第1の窓の外側に位置し、第3のパッシベーション層は、第1のパッシベーション層から遠い側の第2のパッシベーション層の面上に位置する第1部分と、第2の窓の内周壁を覆う第2部分と、第1のパッシベーション層上に積層して配置された第3部分とを含み、アクティブ領域に対応する第3の窓が第3のパッシベーション層の第3部分上に配置され、第1の窓と第3の窓が互いに対応し、互いに連通して窓を形成する。斯くして、第1の窓を形成する第1のパッシベーション層の内縁と、第3の窓を形成する第3のパッシベーション層の内縁とが積み重ねられて接触し、第2の窓を形成する第2のパッシベーション層の内縁を包み込む。
【0012】
取り得る一実装において、第1のパッシベーション層の材料と第3のパッシベーション層の材料は同じであって、酸化シリコンを含み、且つ/或いは、第2のパッシベーション層の材料は窒化シリコンを含む。金属のCTE値は比較的大きく、窒化シリコンのCTE値は比較的小さく、酸化シリコンのCTE値はそれらの間である。従って、第3のパッシベーション層が、アクティブ領域に近い第2のパッシベーション層の内縁を完全に包み込むようにされる。これは、一方では、熱サイクルシナリオにおいて金属層にかかる変形応力を緩和することができ、他方では、第2のパッシベーション層をクラック生成から保護することができる。
【0013】
取り得る一実装において、第3のパッシベーション層の厚さは、第1のパッシベーション層の厚さ及び第2のパッシベーション層の厚さよりも小さい。換言すれば、この実装において、第2のパッシベーション層は特定の厚さを持ち、アクティブ領域に近い第2のパッシベーション層の内縁を第3のパッシベーション層が包み込むときに角(コーナー)が形成される。従って、第3のパッシベーション層の厚さを第1のパッシベーション層の厚さ及び第2のパッシベーション層の厚さよりも小さくすることで、温度変化のために角の位置に変形が発生するときにかかる応力を低減させることができ、その結果、クラックが発生しにくくなり、それによってデバイスの信頼性が向上する。
【0014】
取り得る一実装において、当該半導体デバイスは、パッシベーション層と金属層の外縁とを覆う保護層を含む。換言すれば、この実装では、半導体デバイスをより良く保護するために、保護層が配設され得る。例えば、保護層は、PI接着層、すなわち、ポリイミドとし得る。
【0015】
第2の態様によれば、この出願の一実施形態は半導体デバイス製造方法を提供する。当該製造方法は、基板から遠い側のエピタキシャル層の表面にドープト領域を形成し、エピタキシャル層は、基板の一方側に位置し、アクティブ領域と、該アクティブ領域を取り囲む終端領域とを含み、終端領域上にパッシベーション層を配設し、当該パッシベーション層は、アクティブ領域に対応する窓を持ち、該窓上に、及び該窓を形成するパッシベーション層の内縁上に金属層を配設し、当該金属層が、窓内でアクティブ領域とショットキーコンタクトを形成する、ことを含む。
【0016】
取り得る一実装において、パッシベーション層は、第1のパッシベーション層、第2のパッシベーション層、及び第3のパッシベーション層を含み、終端領域上にパッシベーション層を配設することは、エピタキシャル層上に順に第1の誘電体層及び第2の誘電体層を形成し、当該第1の誘電体層の材料は当該第2の誘電体層の材料と異なり、アクティブ領域に対応する第2の誘電体層の部分に第2の窓をエッチングして第2のパッシベーション層を形成し、第2の窓上に及び第2のパッシベーション層上に第3の誘電体層を形成し、第2の窓内で、当該第3の誘電体層が、第2の窓の内周壁を覆い、且つ第1の誘電体層上に積層されて第1の誘電体層と接触し、第2の誘電体層の材料は当該第3の誘電体層の材料と異なり、第2の窓の内側の、アクティブ領域に対応する位置で、第1の誘電体層及び第3の誘電体層に対してエッチングを行い、当該エッチングは、第3の誘電体層に第3の窓をエッチングして第3のパッシベーション層を形成することと、第1の誘電体層に第1の窓をエッチングして第1のパッシベーション層を形成することとを含み、第1の窓と第3の窓が互いに対応し、互いに連通して窓を形成する、ことを含む。
【0017】
取り得る一実装において、第1の窓及び第3の窓は、1つのエッチングプロセスを用いて形成される。
【0018】
取り得る一実装において、当該製造方法は更に、パッシベーション層上に及び金属層の外縁上に保護層を配設することを含む。
【0019】
本発明の他の特徴及び利点が、以下の特定の実施形態の部分で詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下にて、実施形態又は従来技術の説明において使用することが必要な添付図面について手短に説明する。
【
図1A】半導体デバイスの上面構造の概略図である。
【
図1B】
図1Aに示す半導体デバイスのA-A線に沿った断面構造の概略図である。
【
図2】この出願の一実施形態に従った、保護層が部分的に除去された半導体デバイスの上面構造の概略図である。
【
図3】
図2に示す半導体デバイスのB-B線に沿った断面構造の概略図である。
【
図4】この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法のフローチャートである。
【
図5】
図4に示す半導体デバイスの製造方法の工程S402の具体的なフローチャートである。
【
図6】
図6-
図10は、
図5に示す半導体デバイス製造方法の工程S402の具体的なフローチャートである。
【
図7】
図6-
図10は、
図5に示す半導体デバイス製造方法の工程S402の具体的なフローチャートである。
【
図8】
図6-
図10は、
図5に示す半導体デバイス製造方法の工程S402の具体的なフローチャートである。
【
図9】
図6-
図10は、
図5に示す半導体デバイス製造方法の工程S402の具体的なフローチャートである。
【
図10】
図6-
図10は、
図5に示す半導体デバイス製造方法の工程S402の具体的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この出願の実施形態における添付の図面を参照して、この出願の実施形態における技術的ソリューションを説明する。
【0022】
この出願の説明において、用語“中心”、“上”、“下”、“前”、“後”、“左”、“右”、“垂直”、“水平”、“頂部”、“底部”、“内側”、及び“外側”などによって示される位置又は位置関係は、添付の図面に示される位置又は位置関係に基づくものであり、言及される装置又はコンポーネントが特定の位置に設けられたり特定の位置に構築されて動作したりする必要があることを示す又は暗示する代わりに、この出願を説明することを容易にすること及び説明を単純化することを意図しているにすぎず、従って、この出願に対する限定として理解されるべきでない。
【0023】
この出願の説明において、留意されるべきことには、別段の明確な断りや限定がない限り、用語“マウント”、“リンク”、及び“接続”は、広い意味で理解されるべきであり、例えば、固定された接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、突合せジョイント接続又は一体化接続であってもよい。当業者は、この出願における前述の用語の具体的な意味を具体的なケースに基づいて理解することができる。
【0024】
以下にて、この出願の実施形態で使用される頭字語及び略語並びに重要な用語を詳細に説明する:
SBD:schottky barrier diode,ショットキーバリアダイオード;
MOSFET:metal-oxide-semiconductor field-effect transistor,金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ;
PI:polyimide,ポリイミド;
TC:thermal cycle,熱サイクル;
CTE:coefficient of thermal expansion,熱膨張係数。
【0025】
なお、矛盾が生じない限り、この出願の実施形態及び実施形態における特徴は相互に組み合わされることができる。以下では、実施形態を用いることにより、添付の図面を参照してこの出願を詳細に説明する。
【0026】
産業上最も広く応用されているSiCパワーデバイスとして、SiC SBDは、スイッチング過程において少数キャリア蓄積効果を持たない。SiC SBDの逆回復(リバースリカバリ)電流は、主に空乏領域のジャンクション容量に依存し、逆回復電荷及び逆回復損失が非常に少ない。従って、SiC SBDのスイッチング速度が向上し、スイッチング損失が減少する。これは、応用回路におけるスイッチング周波数を大幅に改善し、それにより、ほぼ理想的な動的性能を提供する。SiC SBDは、整流器、太陽光発電インバータ、車載電気駆動システム、及び他の分野において広く適用されている。
【0027】
図1Aは、半導体デバイスの上面構造の概略図である。
図1Bは、
図1Aに示す半導体デバイスのA-A線に沿った断面構造の概略図である。当該半導体デバイスはSBDであるとし得る。理解され得ることには、当該半導体デバイスは代わりに、例えばpinダイオードといった他のデバイスであってもよい。
図1A及び
図1Bに示すように、当該半導体デバイスは、基板10、エピタキシャル層20、パッシベーション層30、金属層40、及びPI接着層50を含んでいる。基板10はSi又はSiCとし得る。パッシベーション層40は酸化シリコン又は窒化シリコンを含み得る。
【0028】
図1Bに示すように、エピタキシャル層20は、アクティブ領域と終端領域とを含む。パッシベーション層30は、第1のパッシベーション層301、第2のパッシベーション層302、及び第3のパッシベーション層303を含んでいる。第1のパッシベーション層301が終端領域を覆っている。金属層40が、アクティブ領域と、アクティブ領域に近い第1のパッシベーション層301の内縁とを覆っている。第2のパッシベーション層302と第3のパッシベーション層303が、順に積層され、第1のパッシベーション層301のうち、上に金属層40が配置されない部分を覆うとともに、金属層40の外縁を覆っている。換言すれば、第2のパッシベーション層302と第3のパッシベーション層303が金属層40を直接覆っている。PI接着層50が、第2のパッシベーション層302と、第3のパッシベーション層303と、金属層40の外縁とを覆っている。
【0029】
半導体デバイスの材料の層の固有の熱特性は一貫していない。例えば熱サイクルなどの信頼性試験手順において、成形コンパウンド、PI接着剤、及び半導体材料(例えば基板Si又はSiCなど)のCTEは一致せず、剪断応力を生じさせる。特定のサイクル数を超えると、応力がさらには金属材料の降伏強度を超え、金属材料を変形させる。従って、金属層40を覆う第2のパッシベーション層302及び第3のパッシベーション層303における例えば酸化シリコン又は窒化シリコンなどの延性の乏しい材料は、金属層40を包み込む屈曲位置にかかる過度な応力に起因してクラック生成しやすい。結果として、水分侵入経路が形成され、それが半導体デバイスを故障させ、製品信頼性に影響を及ぼす。
【0030】
また、集積回路チップと比較して、パワーデバイスの表面の金属層は比較的厚く、サイズが比較的大きく、それ故に、変形がより深刻である。Si材料と比較して、SiC材料は、パッシベーション層材料とのCTE値の差が大きく、応力集中の問題がいっそう深刻である。
【0031】
これに鑑み、この出願の実施形態は、半導体デバイス及び半導体デバイス製造方法を提供し、パッシベーション層が金属層とエピタキシャル層との間に配置される。換言すれば、パッシベーション層の構造が金属層の下に置かれる。斯くして、パッシベーション層は金属層の外縁を包み込む必要がなく、それによって、パッシベーション層に形成される角の数が減少する。これは、例えば(特に、極端な熱サイクル条件における)熱サイクルなどの温度変化シナリオにおいてパッシベーション層にかかる応力を低減させることができ、その結果、クラックが発生しにくくなり、それによって、クラックを通した水分侵入が防止され、高温高湿環境における半導体デバイスの堅牢性が向上する。この出願の実施形態において、半導体デバイスは、例えばダイオード又はMOSトランジスタなどのSiCパワーデバイスとし得る。以下では、説明のための例としてSiC SBDパワーデバイスを使用する。
【0032】
図2は、この出願の一実施形態に従った、保護層が部分的に除去された半導体デバイスの上面構造の概略図である。
図3は、
図2に示す半導体デバイスのB-B線に沿った断面構造の概略図である。
図3に示すように、当該半導体デバイスは、基板1、エピタキシャル層2、パッシベーション層3、及び金属層4を含んでいる。エピタキシャル層2は、基板1の一方側に位置する。基板1から遠い側のエピタキシャル層2の表面にドープト領域が形成され、エピタキシャル層2は、アクティブ領域と、該アクティブ領域を取り囲む終端領域とを含む。例えば、基板1は第1型の不純物を有し、エピタキシャル層2は第1型の不純物を有し、エピタキシャル層2のドープト領域は第2型の不純物を有する。また、基板1の材料及びエピタキシャル層2の材料は限定されず、例えば、Si又はSiCとし得る。
【0033】
パッシベーション層3が終端領域を覆い、アクティブ領域に対応する窓Wがパッシベーション層3に形成される。金属層4が、窓Wと、アクティブ領域に近いパッシベーション層3の内縁、つまりは窓Wを形成する内縁とを覆い、窓W内でアクティブ領域とのショットキーコンタクトを形成する。具体的には、金属層4が、アクティブ領域上に積層して配置され、アクティブ領域に近いパッシベーション層3の内縁を覆う。換言すれば、金属層4が、アクティブ領域に近いパッシベーション層3の内縁と接合され、パッシベーション層3の内縁は、金属層4とエピタキシャル層2との間に位置する。
【0034】
また、当該半導体デバイスは更に、パッシベーション層3と金属層4の外縁とを覆う保護層5を含み得る。例えば、保護層5は、PI接着層、すなわち、ポリイミドとし得る。
図2では、金属層4及びパッシベーション層3の具体的な構造を示すために、パッシベーション層3の内縁とパッシベーション層3の外縁との間の保護層5を除去している。
図2に示すように、パッシベーション層3及びPI接着層5は、金属層4の周囲に配置された輪状構造である。
【0035】
図3を再び参照するに、水分侵入をより良く軽減するために、パッシベーション層3は、順に積層され、互いに接触して配置された第1のパッシベーション層31、第2のパッシベーション層32、及び第3のパッシベーション層33を含み得る。第1のパッシベーション層31は、エピタキシャル層2と第2のパッシベーション層32との間に位置し、第2のパッシベーション層32の材料は、第1のパッシベーション層31の材料及び第3のパッシベーション層33の材料のどちらとも異なる。例えば、第1のパッシベーション層31の材料と第3のパッシベーション層33の材料は同じであり、酸化シリコンを含む。第2のパッシベーション層32の材料は窒化シリコンを含む。理解され得ることには、必要に応じて、第1のパッシベーション層31、第2のパッシベーション層32、及び第3のパッシベーション層33について代わりに他の材料が選択されてもよい。
【0036】
アクティブ領域に対応する第1の窓W1が第1のパッシベーション層31に配置され、アクティブ領域に対応する第2の窓W2が第2のパッシベーション層32に配置され、第2の窓W2は第1の窓W1の外側に位置する。第3のパッシベーション層33は、第1のパッシベーション層31から遠い側の第2のパッシベーション層32の面上に位置する第1部分と、第2の窓W2の内周壁を覆う第2部分と、第1のパッシベーション層31上に積層して配置された第3部分とを含む。第3のパッシベーション層33の第3部分に、アクティブ領域に対応する第3の窓W3が配設され、第1の窓W1と第3の窓W3が、互いに対応し、互いに連通して窓Wを形成する。
【0037】
斯くして、第1の窓W1を形成する第1のパッシベーション層31の内縁と、第3の窓W3を形成する第3のパッシベーション層33の内縁とが積み重ねられて接触し、第2の窓W2を形成する第2のパッシベーション層32の内縁を包み込むことができる。換言すれば、第1のパッシベーション層31の内縁及び第3のパッシベーション層33の内縁が、第2のパッシベーション層32の内縁を超えて延長される。第1のパッシベーション層31と第3のパッシベーション層33とで第2のパッシベーション層32を完全に包み込むように、第1のパッシベーション層31及び第3のパッシベーション層33の延長部分が積み重ねられて接触する。金属のCTE値は比較的大きく、窒化シリコンのCTE値は比較的小さく、酸化シリコンのCTE値はそれらの間である。従って、第3のパッシベーション層33が、アクティブ領域に近い第2のパッシベーション層32の内縁を完全に包み込むようにされる。これは、一方では、熱サイクルシナリオにおいて金属層4にかかる変形応力を緩和することができ、他方では、第2のパッシベーション層32がクラック生成しにくいように第2のパッシベーション層32を保護することができる。
【0038】
また、第2の窓W2は、第2のパッシベーション層32を形成するためのエッチングプロセスを用いてエッチングされることができ、第1の窓W1及び第3の窓W3は、第1のパッシベーション層32及び第3のパッシベーション層33を形成するための別のエッチングプロセスを用いて同時にエッチングされることができる。
【0039】
また、例えば、
図3に示すように、アクティブ領域から離れた第1のパッシベーション層31の外縁、アクティブ領域から離れた第2のパッシベーション層32の外縁、アクティブ領域から離れた第3のパッシベーション層33の外縁は、整列されて配置され得る。他の一例では、アクティブ領域から離れた第1のパッシベーション層31の外縁と、アクティブ領域から離れた第3のパッシベーション層33の外縁とが積み重ねられて接触し、アクティブ領域から離れた第2のパッシベーション層32の外縁を包み込む。換言すれば、パッシベーション層3の外縁の構造は、パッシベーション層3の内縁の構造と同様であってもよい。
【0040】
また、第1のパッシベーション層31、第2のパッシベーション層32、及び第3のパッシベーション層33のそれぞれの厚さは、必要に応じて選定され得る。例えば、第1のパッシベーション層31の厚さH1の値の範囲は、0.5μm≦H1≦1.5μmとすることができ、第2のパッシベーション層32の厚さH2の値の範囲は、0μm<H2≦1μmとすることができ、第3のパッシベーション層33の厚さH3の値の範囲は、0μm<H3≦0.5μmとすることができる。
【0041】
第3のパッシベーション層33の過剰な厚さは、パッシベーション層3の上に位置する金属層4の外縁の曲げ変形を悪化させ、熱サイクルシナリオにおいて金属層4の外縁をクラック生成しやすいものにすることを考慮して、第3のパッシベーション層33には比較的小さい厚さが設定され得る。例えば、第3のパッシベーション層33の厚さは、第1のパッシベーション層31の厚さ及び第2のパッシベーション層32の厚さよりも小さいとし得る。第2のパッシベーション層32は特定の厚さを持ち、アクティブ領域に近い第2のパッシベーション層32の内縁を第3のパッシベーション層33が包み込むときに角(コーナー)が形成される。従って、第3のパッシベーション層33の厚さを第1のパッシベーション層31の厚さ及び第2のパッシベーション層32の厚さよりも小さくすることで、例えば熱サイクルシナリオにおいて、温度変化のために角の位置に変形が発生するときにかかる応力を低減させることができ、その結果、クラックが発生しにくくなり、それによってデバイスの信頼性が向上する。
【0042】
この出願のこの実施形態の半導体デバイスでは、パッシベーション層の角の位置における応力集中の現象が緩和され、その結果、クラックが発生しにくくなる。具体的には、パッシベーション層が金属層とエピタキシャル層との間に配置される。換言すれば、パッシベーション層の構造が金属層の下に置かれる。斯くして、パッシベーション層は金属層の外縁を包み込む必要がなく、それによって、パッシベーション層に形成される角の数が減少する。これは、例えば(特に、極端な熱サイクル条件における)熱サイクルなどの温度変化シナリオにおいてパッシベーション層にかかる応力を低減させることができる。また、パッシベーション層がクラック生成することを防止するように、熱膨張係数間の差を用いてパッシベーション層の構造が更に最適化され、それによって、クラックを通した水分侵入が防止され、高温高湿環境における半導体デバイスの堅牢性が向上する。
【0043】
図4は、この出願の一実施形態に従った半導体デバイス製造方法のフローチャートである。
図4に示すように、当該製造方法は以下の工程を含む。
【0044】
S401:基板1から遠い側のエピタキシャル層2の表面にドープト領域を形成し、エピタキシャル層2は、基板1の一方側に位置し、アクティブ領域と、該アクティブ領域を取り囲む終端領域とを含む。
【0045】
具体的には、先ず、エピタキシャル層2上のドーピング位置を、マスクを用いて決定することができ、次いで、ドーピング位置においてイオン注入が実行される。イオン注入後に高温アニールが実行されてドープト領域を形成する。
【0046】
S402:終端領域上にパッシベーション層3を配設し、パッシベーション層3は、アクティブ領域に対応する窓を持つ。
【0047】
S403:窓W上に、及び窓Wを形成するパッシベーション層3の内縁上に金属層4を配設し、金属層4が、窓W内でアクティブ領域とショットキーコンタクトを形成する。
【0048】
S404:パッシベーション層3上に及び金属層4の外縁上に保護層5を配設する。
【0049】
この出願のこの実施形態では、パッシベーション層が金属層を包み込むことがないように、半導体デバイスのパッシベーション層の構造が最適化される。斯くして、パッシベーション層は少ない数の角を持つ。これは、極端な熱サイクル条件においてパッシベーション層にかかる応力を低減させることができ、それによって、パッシベーション層がクラック生成することを防止し、高温高湿環境におけるデバイスの堅牢性が向上する。
【0050】
図5は、
図4に示す半導体デバイス製造方法の工程S402の具体的なフローチャートである。
図6-
図10は、
図5に示す半導体デバイス製造方法の工程S402の具体的なフローチャートである。パッシベーション層3は、第1のパッシベーション層31、第2のパッシベーション層32、及び第3のパッシベーション層33を含むことができる。この場合、
図5に示すように、S402は具体的に以下のサブ工程を含み得る。
【0051】
S4021:エピタキシャル層2上に順に第1の誘電体層3a及び第2の誘電体層3bを形成し、第1の誘電体層3aの材料は第2の誘電体層3bの材料と異なる。
【0052】
S4021が行われる前に、
図6に示すように、基板1の一方側にエピタキシャル層2が形成され、基板1から遠い側のエピタキシャル層2の表面にドープト領域が形成される。S4021が行われた後に、
図7に示すように、エピタキシャル層2上に順に第1の誘電体層3a及び第2の誘電体層3bが形成される。
【0053】
また、第1の誘電体層3a及び第2の誘電体層3bは、堆積を通じてエピタキシャル層2上に順に形成され得る。具体的には、先ず第1の誘電体層3aが堆積を通じて形成され、次いで、第2の誘電体層3bが堆積を通じて形成される。
【0054】
S4022:
図8に示すように、アクティブ領域に対応する第2の誘電体層3bの部分に第2の窓W2をエッチングして第2のパッシベーション層32を形成する。
【0055】
S4023:
図9に示すように、第2の窓W2上に及び第2のパッシベーション層32上に第3の誘電体層3cを形成し、第2の窓W2内で、第3の誘電体層3cが、第2の窓W2の内周壁を覆い、且つ第1の誘電体層3a上に積層されて第1の誘電体層3aと接触し、第2の誘電体層3bの材料は第3の誘電体層3cの材料と異なる。
【0056】
具体的には、第3の誘電体層3cは、堆積を通じて第1の誘電体層3a及び第2のパッシベーション層32上に形成され得る。
【0057】
S4024:
図10に示すように、第2の窓W2の内側の、アクティブ領域に対応する位置で、第1の誘電体層3a及び第3の誘電体層3cに対してエッチングを行い、当該エッチングは、第3の誘電体層3cに第3の窓W3をエッチングして第3のパッシベーション層33を形成することと、第1の誘電体層3aに第1の窓W1をエッチングして第1のパッシベーション層31を形成することとを含み、第1の窓W1と第3の窓W3が互いに対応し、互いに連通して窓Wを形成する。
【0058】
斯くして、アクティブ領域に近い第1のパッシベーション層31の内縁(つまりは、第1の窓W1を形成する内縁)と、アクティブ領域に近い第3のパッシベーション層33の内縁(つまりは、第3の窓W3を形成する内縁)とが積み重ねられて接触し、アクティブ領域に近い第1のパッシベーション層31の内縁と、アクティブ領域に近い第3のパッシベーション層33の内縁が、アクティブ領域に近い第2のパッシベーション層32の内縁を包み込む。
【0059】
第1の誘電体層3aの材料と第2の誘電体層3bの材料とが異なる。従って、異なるエッチングプロセスが使用され得る。具体的には、先ず、第2の誘電体層3b上でエッチング処理を用いて第2のパッシベーション層32が形成され、該エッチングは、第1の誘電体層3aで停止するようにされ、第2のパッシベーション層32は終端領域を完全に覆う。
【0060】
また、第1の誘電体層3aと第3の誘電体層3cは、同一のエッチングプロセスを用い得る。例えば、第1の誘電体層3aと第3の誘電体層3cの材料は同じである。従って、第2の誘電体層3bにエッチングを通じて第2のパッシベーション層32が形成され、第3の誘電体層3cが堆積を通じて形成された後に、第1の誘電体層3a及び第3の誘電体層3cに同じエッチングプロセスを用いることによって、それぞれ、第1のパッシベーション層31及び第3のパッシベーション層33を形成することができ、該エッチングはエピタキシャル層2で停止するようにされる。換言すれば、1つのエッチングプロセスを用いることによって、第1の窓W1と第3の窓W3を形成することができる。第1の窓W1は、エッチングを通じて第1のパッシベーション層31に形成され、第3の窓W3は、エッチングを通じて第3のパッシベーション層33に形成される。第1の窓W1と第3の窓W3が互いに対応し、互いに連通して窓Wを形成する。例えば、第1の窓W1と第3の窓W3は整列して配設される。また、窓Wは、エピタキシャル層2のアクティブ領域に対応し得る。
【0061】
既存の半導体パワーデバイスの表面のパッシベーション構造では、例えば熱サイクルなどの信頼性試験手順において、金属を覆うパッシベーション層の構造が金属の屈曲位置を包み込み、それが角を形成する。結果として、パッシベーション層の構造内の延性に乏しい材料が、角の位置にかかる過度な応力に起因してクラック生成しやすく、デバイス故障を引き起こす。
【0062】
この出願のこの実施形態のソリューションを用いることにより、パッシベーション層が金属層の下に置かれ、それ故に、パッシベーション層は金属層の外縁を包み込む必要がなく、それによって、パッシベーション層に形成される角の数が減少する。これは、例えば(特に、極端な熱サイクル条件における)熱サイクルなどの温度変化シナリオにおいてパッシベーション層にかかる応力を低減させることができ、その結果、クラックが発生しにくくなり、それによって、クラックを通した水分侵入によって生じるデバイス故障が防止され、高温高湿環境における半導体デバイスの堅牢性が向上する。
【0063】
パッシベーション層は、第1のパッシベーション層、第2のパッシベーション層、及び第3のパッシベーション層を含み得る。アクティブ領域に近い第2のパッシベーション層の内縁が、下の第1のパッシベーション層及び上の第3のパッシベーション層によって包み込まれ得る。さらに、第2のパッシベーション層の材料は、第1のパッシベーション層の材料及び第3のパッシベーション層の材料のどちらとも異なり、熱膨張係数も異なる。従って、パッシベーション層がクラック生成するのを防止するように、熱膨張係数間の差を用いることによってパッシベーション層の構造が最適化されることができ、それによって、高温高湿環境におけるデバイスの堅牢性を更に向上させることができる。
【0064】
なお、上述の実施形態は、単に、この出願の技術的ソリューションを説明することを意図しており、この出願を限定する意図はない。上述の実施形態を参照してこの出願を詳細に説明しているが、当業者が理解するはずのことには、この出願の実施形態の技術的ソリューションの範囲から逸脱することなく、上述の実施形態において説明された技術的ソリューションに対してなおも変更を為したり、その一部の技術的特徴に対して均等な置き換えを為したりすることができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一方側に位置するエピタキシャル層であり、前記基板から遠い側の当該エピタキシャル層の表面にドープト領域が形成され、当該エピタキシャル層は、アクティブ領域と、該アクティブ領域を取り囲む終端領域とを有する、エピタキシャル層と、
前記終端領域を覆うパッシベーション層であり、前記アクティブ領域に対応する窓が形成されたパッシベーション層と、
前記窓と、前記窓を形成する前記パッシベーション層の内縁とを覆い、前記窓内で前記アクティブ領域とショットキーコンタクトを形成する金属層と、
を有する半導体デバイス。
【請求項2】
前記パッシベーション層は、順に積層されて互いに接触して配置された第1のパッシベーション層、第2のパッシベーション層、及び第3のパッシベーション層を有し、前記第1のパッシベーション層が、前記エピタキシャル層と前記第2のパッシベーション層との間に位置し、前記第2のパッシベーション層の材料が、前記第1のパッシベーション層の材料及び前記第3のパッシベーション層の材料のどちらとも異なる、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記アクティブ領域に対応する第1の窓が前記第1のパッシベーション層に配置され、前記アクティブ領域に対応する第2の窓が前記第2のパッシベーション層に配置され、前記第2の窓は前記第1の窓の外側に位置し、前記第3のパッシベーション層は、前記第1のパッシベーション層から遠い側の前記第2のパッシベーション層の面上に位置する第1部分と、前記第2の窓の内周壁を覆う第2部分と、前記第1のパッシベーション層上に積層して配置された第3部分とを有し、前記アクティブ領域に対応する第3の窓が前記第3のパッシベーション層の前記第3部分上に配置され、前記第1の窓と前記第3の窓が互いに対応し、互いに連通して前記窓を形成する、請求項2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記第1のパッシベーション層の前記材料と前記第3のパッシベーション層の前記材料は同じであって酸化シリコンを有し、且つ/或いは
前記第2のパッシベーション層の前記材料は窒化シリコンを有する、
請求項
2に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記第3のパッシベーション層の厚さは、前記第1のパッシベーション層の厚さ及び前記第2のパッシベーション層の厚さよりも小さい、請求項
2に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
当該半導体デバイスは、
前記パッシベーション層と前記金属層の外縁とを覆う保護層、
を有する、請求項
1に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
基板から遠い側のエピタキシャル層の表面にドープト領域を形成し、前記エピタキシャル層は、前記基板の一方側に位置し、アクティブ領域と、該アクティブ領域を取り囲む終端領域とを有し、
前記終端領域上にパッシベーション層を配設し、当該パッシベーション層は、前記アクティブ領域に対応する窓を持ち、
前記窓上に、及び前記窓を形成する前記パッシベーション層の内縁上に金属層を配設し、当該金属層が、前記窓内で前記アクティブ領域とショットキーコンタクトを形成する、
ことを有する半導体デバイス製造方法。
【請求項8】
前記パッシベーション層は、第1のパッシベーション層、第2のパッシベーション層、及び第3のパッシベーション層を有し、前記終端領域上にパッシベーション層を前記配設することは、
前記エピタキシャル層上に順に第1の誘電体層及び第2の誘電体層を形成し、当該第1の誘電体層の材料は当該第2の誘電体層の材料と異なり、
前記アクティブ領域に対応する前記第2の誘電体層の部分に第2の窓をエッチングして前記第2のパッシベーション層を形成し、
前記第2の窓上に及び前記第2のパッシベーション層上に第3の誘電体層を形成し、前記第2の窓内で、当該第3の誘電体層が、前記第2の窓の内周壁を覆い、且つ前記第1の誘電体層上に積層されて前記第1の誘電体層と接触し、前記第2の誘電体層の前記材料は当該第3の誘電体層の材料と異なり、
前記第2の窓の内側の、前記アクティブ領域に対応する位置で、前記第1の誘電体層及び前記第3の誘電体層に対してエッチングを行い、当該エッチングは、前記第3の誘電体層に第3の窓をエッチングして前記第3のパッシベーション層を形成することと、前記第1の誘電体層に第1の窓をエッチングして前記第1のパッシベーション層を形成することとを有し、前記第1の窓と前記第3の窓が互いに対応し、互いに連通して前記窓を形成する、
ことを有する、請求項7に記載の半導体デバイス製造方法。
【請求項9】
前記第1の窓及び前記第3の窓は、1つのエッチングプロセスを用いて形成される、請求項8に記載の半導体デバイス製造方法。
【請求項10】
前記パッシベーション層上に及び前記金属層の外縁上に保護層を配設する、
ことを更に有する請求項
7に記載の半導体デバイス製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
図1Aは、半導体デバイスの上面構造の概略図である。
図1Bは、
図1Aに示す半導体デバイスのA-A線に沿った断面構造の概略図である。当該半導体デバイスはSBDであるとし得る。理解され得ることには、当該半導体デバイスは代わりに、例えばpinダイオードといった他のデバイスであってもよい。
図1A及び
図1Bに示すように、当該半導体デバイスは、基板10、エピタキシャル層20、パッシベーション層30、金属層40、及びPI接着層50を含んでいる。基板10はSi又はSiCとし得る。パッシベーション層
30は酸化シリコン又は窒化シリコンを含み得る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
また、第2の窓W2は、第2のパッシベーション層32を形成するためのエッチングプロセスを用いてエッチングされることができ、第1の窓W1及び第3の窓W3は、第1のパッシベーション層31及び第3のパッシベーション層33を形成するための別のエッチングプロセスを用いて同時にエッチングされることができる。
【国際調査報告】