(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】酸中和ポリマーを含む、グルカゴン様ペプチド-2の経口投与用の製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 38/26 20060101AFI20250220BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20250220BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20250220BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20250220BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20250220BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20250220BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
A61K38/26
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/36
A61K47/38
A61P1/00
A61P1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024550244
(86)(22)【出願日】2023-02-23
(85)【翻訳文提出日】2024-10-10
(86)【国際出願番号】 IL2023050195
(87)【国際公開番号】W WO2023161937
(87)【国際公開日】2023-08-31
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511277456
【氏名又は名称】エンテラ バイオ エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーシュテイン グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】イティン コンスタンティン
(72)【発明者】
【氏名】ガリッツァー ヒレル
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ フィリップ エム
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076DD41N
4C076DD52N
4C076EE30
4C076EE31
4C076EE38
4C076FF34
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA44
4C084DB35
4C084MA05
4C084MA52
4C084NA11
4C084NA14
4C084ZA661
4C084ZA681
(57)【要約】
治療活性薬剤と、吸収促進剤と、複数のアルカリ性基を含むポリマーとを含む医薬組成物について、本明細書に記載する。治療活性薬剤はグルカゴン様ペプチド-2である。組成物中のポリマーの濃度は、組成物の総重量の少なくとも10重量パーセントである。吸収促進剤は、好ましくは、置換若しくは非置換脂肪酸又はその塩である。治療活性薬剤によって治療可能な疾患を治療する方法であって、医薬組成物を経口投与することを含む方法を、本明細書にさらに記載する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療活性薬剤としてのグルカゴン様ペプチド-2と、吸収促進剤と、複数のアルカリ性基を含むポリマーとを含む医薬組成物であって、前記組成物中の前記ポリマーの濃度が、前記組成物の総重量の少なくとも10重量パーセントであり、前記吸収促進剤が、置換若しくは非置換脂肪酸又はその塩である、医薬組成物。
【請求項2】
前記アルカリ性基が、カルボン酸基及び/又はアミン基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アルカリ性基の少なくとも一部が、カルボン酸基である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記カルボン酸基の少なくとも一部が、薬学的に許容される塩の形態である、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
前記カルボン酸基の少なくとも一部が、ナトリウム塩の形態である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記吸収促進剤が、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)、NAD(10-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノデカン酸)、5-CNAC(8-N-(5-クロロサリチロイル)アミノカプリル酸)、4-MOAC(8-N-(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾイル)アミノカプリル酸)、4-CNAB(4-N-(2-ヒドロキシ-4-クロロベンゾイル)アミノブタン酸)及びそれらの塩から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記吸収促進剤が、NAC又はその塩を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記吸収促進剤の濃度が、前記組成物の総重量に対して少なくとも50重量パーセントである、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリマーの濃度が、少なくとも20重量パーセントである、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記吸収促進剤及び前記ポリマーの総濃度が、少なくとも80重量パーセントである、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物中の前記アルカリ性基の濃度が、グラム当たり少なくとも0.1ミリモルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリマーが、架橋ポリマーである、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリマーが、多糖を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記多糖が、デンプン誘導体及びセルロース誘導体から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリマーが、カルボキシメチル基を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記ポリマーのpKaが、1.2~7.5の範囲ある、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記ポリマーが、デンプングリコール酸ナトリウム及び/又はクロスカルメロースナトリウムである、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
経口投与時の前記組成物のCmax及び/又はバイオアベイラビリティが、前記ポリマーを含まない対応する組成物のCmax及び/又はバイオアベイラビリティより少なくとも50%高い、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記治療活性薬剤が、テデュグルチド、アプラグルチド、ダピグルチド及びグレパラチドから選ばれる、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
単位剤形の形態である、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記単位剤形中の前記アルカリ性基の量が、少なくとも0.03ミリモルである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記単位剤形が、少なくとも50mgの前記吸収促進剤を含む、請求項20又は21に記載の組成物。
【請求項23】
前記単位剤形が、1つ以上の錠剤を含む、請求項20~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記治療活性薬剤によって治療可能な病態の治療に使用するためのものであり、前記治療が、前記組成物の経口投与を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記病態が、化学療法誘発性副作用、直腸盲端症候群、消化障害、腸炎、炎症性腸疾患、吸収不良症候群、栄養失調、短腸症候群、小腸損傷、セリアック病、熱帯性スプルー、低ガンマグロブリン血症性スプルー、潰瘍、潰瘍性大腸炎から選ばれる、治療に使用するための、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記病態が短腸症候群である、治療に使用するための、請求項24に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、内容全体が参照により本明細書に援用される2022年2月24日に出願された米国仮特許出願第63/313,361号の優先権を、米国特許法第119条(e)の下で主張するものである。
【0002】
さらに本出願は、2022年2月24日に出願された米国仮特許出願第63/313,363号の優先権を米国特許法第119条(e)の下で主張する、本願と同日付けで提出した、発明の名称が「活性薬剤の経口投与用の酸中和ポリマーを含む製剤」であり、代理人整理番号が95409である、PCT国際特許出願にも関連し、当該出願の内容の全てを参照により本明細書に援用する。
【0003】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、薬物送達、より具体的であるが、限定されることなく、治療活性薬剤(グルカゴン様ペプチド-2等であるが、これらに限定されない)の経口投与のための製剤及び/又はシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
ヒトグルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)は、腸管内分泌L細胞及び中枢神経系ニューロンによって産生される、33のアミノ酸からなるポリペプチドである。GLP-2はGLP-2受容体に結合することで機能し、腸の機能を増強し、骨の分解を減少させ、神経保護を促進する。GLP-2及び他のGLP-2受容体アゴニストは、短腸症候群、クローン病、骨粗鬆症、及び骨折や骨欠陥に関連する病態の治療や、癌治療中の補助療法に用いられ得る。
【0005】
短腸症候群の治療用として承認されているテデュグルチドは、GLP-2ホモログであり、アラニンがグリシンで置換されたことで、ヒトにおける半減期が約7分から約2時間に増加されたものである。アプラグルチド及びグレパラチドは、テデュグルチドよりもさらに長い半減期を有するように設計されたGLP-2ホモログである[Hargrove et al., J Pharmacol Exp Ther 2020, 373:193-203、Naimi et al., EBioMedicine 2019, 46:444-451]。
【0006】
ペプチド及び/又はタンパク質製剤の経口投与には、消化器系におけるペプチド及び/又はタンパク質の分解、並びに大型分子の吸収不良といった問題がある。
【0007】
Qi & Ping[J Microencapsulation 2004, 21:37-45]には、SNAC(ナトリウム8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート)とともにインスリンを含有する腸溶性ミクロスフェアの投与が記載されている。腸溶性ミクロスフェアは、胃及び小腸の消化酵素からインスリンを保護するためのものであり、SNACは、吸収を促進するためのものである。
【0008】
米国特許出願公開第2011/0142800号明細書には、分子量が最大で100,000Daのタンパク質と、プロテアーゼ阻害剤と、吸収促進剤、例えば、SNAC、N-(10-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)デカン酸(SNAD)、8-[N-(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸(4-MOAC)、8-[N-(2-ヒドロキシ-5-クロロベンゾイル)アミノ]カプリル酸(5-CNAC)及び4-[(4-クロロ-2-ヒドロキシ-ベンゾイル)アミノ]ブタン酸(4-CNAB)及びそれらのナトリウム塩と、を含む、タンパク質の経口投与用の組成物が記載されている。
【0009】
国際公開第00/48589号パンフレットには、ヘパリン薬物の吸収を促進し、及び/又はバイオアベイラビリティを向上させるための、SNAC又はSNADとの混合物であるヘパリン薬物を含む固体経口剤形が記載され、ヘパリン薬物は、胃腸(GI)管の酸性領域を通過する際に、SNAC又はSNADが沈殿するのを防止することが報告されている。
【0010】
国際公開第2016/128974号パンフレットには、治療活性薬剤と、SNACと、少なくとも1つの制酸剤化合物とを含む、経口投与用の医薬組成物、並びに治療活性薬剤とSNACとを含むコア、並びに制酸剤化合物及びプロテアーゼ阻害剤の少なくとも1つを含む外層を含む、経口投与用の医薬組成物単位剤形が記載されている。
【0011】
Buckley et al.[Sci Transl Med 2018, 10:eaar7047]には、ペプチド剤セマグルチドとSNACとを含む錠剤の経口投与時に、セマグルチドの吸収が胃内で起こり、この吸収は錠剤表面にごく接近したある領域に限られること、及びSNACが、局所緩衝作用によって酵素分解を防止し、吸収を一時的に促進するに過ぎないことが報告されている。
【0012】
カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)は、クロロ酢酸によりセルロースを変性することによって調製され、架橋されても又は架橋されなくてもよい。カルボキシメチル基とセルロースとの間のエステル結合の形成によって架橋が行われるその架橋形態は、一般的に、クロスカルメロースナトリウム(CCS)又はナトリウムクロスカルメロースと呼ばれ、医薬製剤中の超崩壊剤として使用される。
【0013】
同様に、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)は、クロロ酢酸によりデンプンを変性して、カルボキシメチル基を形成することによって調製され得る。デンプングリコール酸ナトリウムは、デンプン骨格間でリン酸基(-O-P(=O)(-O-)-O-)によってさらに架橋され、超崩壊剤として使用され得る。
【0014】
さらなる背景技術としては、Qi et al.[Acta Pharm Sinica 2004, 39:844-848]、国際公開第00/50386号パンフレット、国際公開第01/32130号パンフレット、国際公開第01/32596号パンフレット、国際公開第03/045306号パンフレット、国際公開第03/045331号パンフレット、国際公開第2006/076692号パンフレット、国際公開第2007/121471号パンフレット、国際公開第2010/020978号パンフレット、国際公開第2012/080471号パンフレット、国際公開第2016/128970号パンフレット、国際公開第2016/128971号パンフレット、国際公開第2016/128972号パンフレット、国際公開第2016/128973号パンフレット、国際公開第2016/128974号パンフレット及び国際公開第2018/033927号パンフレット;特開2005281231号公報及び特開2006111558号公報、米国特許第8,110,547号明細書、及び米国特許出願公開第2006/0234913号明細書、同第2007/0087957号明細書、同第2013/0224300号明細書及び同第2020/0000883号明細書が挙げられる。
【発明の概要】
【0015】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、治療活性薬剤と、吸収促進剤と、複数のアルカリ性基を含むポリマーとを含む、医薬組成物が提供される。本発明の実施形態の一態様によれば、治療活性薬剤は、グルカゴン様ペプチド-2からなる、又はグルカゴン様ペプチド-2を含む。
【0016】
本発明の実施形態によれば、医薬組成物中のポリマーの濃度は、組成物の総重量の少なくとも10重量パーセントである。
【0017】
本発明の実施形態によれば、吸収促進剤は、置換若しくは非置換脂肪酸又はその塩である。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、本願に記載の治療活性薬剤によって治療可能な疾患の治療を必要とする対象の、治療活性薬剤によって治療可能な疾患を治療する方法であって、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る医薬組成物を対象に経口投与することを含む方法が提供される。
【0019】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、アルカリ性基は、カルボン酸基及び/又はアミン基である。
【0020】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、アルカリ性基の少なくとも一部が、カルボン酸基である。
【0021】
カルボン酸基に関連する本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、カルボン酸基の少なくとも一部が、薬学的に許容される塩の形態である。
【0022】
カルボン酸基に関連する本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、カルボン酸基の少なくとも一部が、ナトリウム塩の形態である。
【0023】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、吸収促進剤は、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)、NAD(10-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノデカン酸)、5-CNAC(8-N-(5-クロロサリチロイル)アミノカプリル酸)、4-MOAC(8-N-(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾイル)アミノカプリル酸)、4-CNAB(4-N-(2-ヒドロキシ-4-クロロベンゾイル)アミノブタン酸)及びそれらの塩から選択される。
【0024】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、吸収促進剤は、NAC又はその塩を含む。
【0025】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、吸収促進剤の濃度が、医薬組成物の総重量の少なくとも50重量パーセントである。
【0026】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、ポリマーの濃度が、医薬組成物の総重量の少なくとも20重量パーセントである。
【0027】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、吸収促進剤及びポリマーの総濃度が、医薬組成物の総重量の少なくとも80重量パーセントである。
【0028】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、医薬組成物中のアルカリ性基の濃度が、グラム当たり少なくとも0.1ミリモルである。
【0029】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、ポリマーは、架橋ポリマーである。
【0030】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、ポリマーは、多糖を含む。
【0031】
多糖に関連する本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、多糖は、デンプン誘導体及びセルロース誘導体から選択される。
【0032】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、ポリマーは、カルボキシメチル基を含む。
【0033】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、ポリマーは、1.2~7.5の範囲(のpKaによって特徴付けられる。
【0034】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、ポリマーは、デンプングリコール酸ナトリウム及び/又はクロスカルメロースナトリウムである。
【0035】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、経口投与時の組成物のCmax及び/又はバイオアベイラビリティが、ポリマーを含まない対応する医薬組成物(例えば、同じ治療活性薬剤、同じ吸収促進剤及び任意に他の成分をそれぞれ同じ量で含むが、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載される複数のアルカリ性基を含むポリマーを含まない組成物)のCmax及び/又はバイオアベイラビリティより少なくとも50%高い。
【0036】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、治療活性薬剤は、テデュグルチド、アプラグルチド、ダピグルチド及びグレパラチドから選ばれる。
【0037】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、組成物は、単位剤形の形態である。
【0038】
単位剤形に関連する本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、単位剤形中のアルカリ性基の量が、少なくとも0.03ミリモルである。
【0039】
単位剤形に関連する本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、単位剤形は、少なくとも50mgの吸収促進剤を含む。
【0040】
単位剤形に関連する本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、単位剤形は、1つ以上の錠剤を含む。
【0041】
本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、組成物は、治療活性薬剤によって治療可能な病態の治療に使用するためのものであり、治療は、医薬組成物の経口投与を含む。
【0042】
病態の治療に関する本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、病態は、化学療法誘発性副作用、直腸盲端症候群、消化障害、腸炎、炎症性腸疾患、吸収不良症候群、栄養失調、短腸症候群、小腸損傷、セリアック病、熱帯性スプルー、低ガンマグロブリン血症性スプルー、潰瘍、潰瘍性大腸炎から選ばれる。
【0043】
病態の治療に関する本発明の実施形態のいずれかのいくつかによれば、病態は、短腸症候群である。
【0044】
特に定義されない限り、本明細書に使用される全ての専門用語及び/又は科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料が、本発明の実施形態の実施又は試験に使用可能であるが、例示的な方法及び/又は材料が以下に記載される。矛盾する場合、定義を含め、本明細書が優先される。さらに、材料、方法、及び実施例は、例示であるに過ぎず、必ずしも限定的であることは意図されていない。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態は、あくまでも例として、添付の図面を参照して本明細書に記載される。ここで、図面を詳細に具体的に参照すると、示される詳細は例としてのものであるに過ぎず、本発明の実施形態の例示的な説明のためのものであることが強調される。これに関して、図面とともに理解される説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】SNAC濃度の関数としての、HCl溶液(pH1.2)へSNACを添加後に測定されたpHを示すグラフである。
【
図2A】ELC-10-00電極(イスラエル国、MRC社)(
図2A)又は細線電極HI1083(HANNA instruments Inc.)(
図2B)を備えたMP-103 pH計(イスラエル国、MRC社)を用いて測定されたpH値の、添加されたポリマーの濃度の関数としてのグラフであり、HCl溶液(pH1.2)へのアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na-CMC)、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)又はクロスカルメロースナトリウム(CCS)の添加後のpHを示す。
【
図3】各錠剤について4点で測定されたpH値(白色の三角)とともに、室温で、0.01MのHCl(pH=2)中で膨潤後の、ポリマーデンプングリコール酸ナトリウム(SSG;
図3のA)、ナトリウムクロスカルメロース(CCS;
図3のB)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(CMC-Na;
図3のC)及びアルギン酸ナトリウム(Alg-Na;
図3のD)で作製された錠剤の写真である。
【
図4】各錠剤について4点で測定されたpH値(白色の三角)とともに、室温で、ブタ胃液中で膨潤後の、ポリマーデンプングリコール酸ナトリウム(SSG;
図4のA)、及びナトリウムカルボキシメチルセルロース(CMC-Na;
図4のB)で作製された錠剤の写真である。
【
図5】体重約299グラムの雄スプラーグドーリーラット(n=7)への、0.7mgのテデュグルチド(2.34mg/Kg)、SNAC(15mg)及びSSG(5.33MG)を含む錠剤の経口投与後の、中央テデュグルチド血漿中濃度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、薬物送達、より具体的であるが、限定されることなく、グルカゴン様ペプチド-2等の治療活性薬剤の経口投与のための製剤及び/又はシステムに関する。
【0048】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用が、以下の説明に記載されるか又は実施例によって例示される詳細に必ずしも限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、又は様々な方法で実施若しくは実行することが可能である。
【0049】
SNAC(ナトリウム8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート)などの例示的な吸収促進剤による治療活性薬剤の吸収の促進を調べる一方、本発明者らは、治療活性薬剤の吸収を促進するこのような吸収促進剤の能力(例えば、バイオアベイラビリティ及び/又はCmaxによって決定される)が、胃の酸性環境によって悪影響を受けることを明らかにした。
【0050】
本発明者らは、塩基性(アルカリ性)化合物を使用して、胃酸を中和することによって経口投与後の吸収促進剤の性能を強化することを想到し、カルボキシレートなどのアルカリ性基を含むポリマーが、吸収促進剤及び治療活性薬剤を含む組成物中の治療活性薬剤のバイオアベイラビリティを向上させるだけでなく、吸収促進剤を胃酸から保護するのに特に有効であることを明らかにした。
【0051】
本発明を実施化する一方、本発明者らは、カルボン酸基を含む例示的なポリマーが、疑似胃液(その増加は、SNACなどの吸収促進剤のプロトン化を低減することが可能である)中のpHの局所的増加を生じることを示した。
【0052】
ここで、図面を参照すると、
図1は、例示的な吸収促進剤SNACが、(胃酸中に存在するように)HClとの接触時にプロトン化を起こすことを示す。
【0053】
図2A~
図2Bは、様々なカルボン酸基含有ポリマーが、濃度依存的にpHを増加させることを示す。
【0054】
図3のA~D及び
図4のA~Bは、酸性水溶液中での水和後の、様々なカルボン酸基含有ポリマーで作製された錠剤の内部の増加した局所的pHを示す。
【0055】
図5は、例示的なカルボン酸基含有ポリマーが、インビボモデルにおける治療活性薬剤の吸収をかなり促進することを示す。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、治療活性薬剤と、吸収促進剤と、複数のアルカリ性基を含むポリマー(これは、簡潔にするために、本明細書において「アルカリ性基含有ポリマー」又は「塩基性ポリマー」又は単に「ポリマー」とも称する)とを含む医薬組成物が提供される。
【0057】
以下に詳細に説明されるように、アルカリ性基含有ポリマーは、本明細書において酸中和ポリマーとも称する。
【0058】
本実施形態によれば、治療活性薬剤は、本明細書で定義する、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)及び/又はGLP-2受容体アゴニストであるポリペプチドである。
【0059】
本明細書では、用語「グルカゴン様ペプチド-2」及び「GLP-2」(本願において同義語として使用)は、天然に存在するGLP-2である(本明細書で定義する)ポリペプチド、又はその類似体(例:合成した類似体)を示す。類似体は、天然に存在するGLP-2の任意の誘導体、例えば、(本明細書において定義されるような)ホモログ、(ホモログの断片を含む)断片、並びに天然に存在するGLP-2又はそのホモログ及び/又は断片の、(例えば、安定性及び/又は半減期を促進するための置換基を含む)置換誘導体でもよい、及び/又はポリペプチドについて本明細書に記載したいかなる他の方法で修飾したものでもよい。好ましくは、類似体は、GLP-2の生物学的活性を示す。
【0060】
本明細書における「グルカゴン様ペプチド-2受容体アゴニスト」及び「GLP-2受容体アゴニスト」という用語(本明細書において代替的に使用するもの)は、GLP-2受容体の天然に存在するアゴニスト(例:本明細書で定義した、GLP-2以外のもの)又はその類似体(例:合成した類似体)である、(本明細書で定義した)ポリペプチドである。類似体は、天然に存在するGLP-2受容体アゴニストのいかなる類似体でもよく、(本明細書で定義した)ホモログ、(ホモログの断片も含む)断片、及び天然に存在するGLP-2受容体アゴニスト又はホモログ及び/又はそれらの断片の(例えば、安定性及び/又は半減期を増強するための置換基を有する)置換誘導体、及び/又はポリペプチドについて本明細書に記載した任意の他の方法で修飾されたものでもよい。類似体は、GLP-2受容体アゴニストの生物活性を発揮するものが好ましい。
【0061】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、GLP-2は、テデュグルチド、アプラグルチド及び/又はグレパラチドである。テデュグルチドは、GLP-2の例示的な形態である。
【0062】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、治療活性薬剤は、二重受容体アゴニスト、例えば、二重GLP1/GLP2受容体アゴニストである。このような二重受容体アゴニストの一例は、ダピグルチドである。
【0063】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、治療活性薬剤は、GLP-2又はGLP-2受容体アゴニスト又は二重受容体アゴニストの類似体であって、長時間作用型、すなわち、(例えばアセチル化ペプチド又はポリペプチドのように)血漿半減期が長いもの、である。
【0064】
本明細書において使用される際、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上特に明記されない限り、複数の言及を含む。例えば、「ポリマー(a polymer)」又は「少なくとも1つのポリマー」という用語は、その混合物を含む複数のポリマーを含み得る。
【0065】
いくつかのこのような実施形態において、組成物は、単位剤形、例えば、錠剤又は2つ以上の錠剤(例えば、ミニ錠剤)の組合せの形態である。
【0066】
本明細書において使用される際の「単位剤形」という用語は、物理的に個別の単位を説明し、各単位が、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、又はそれらの組合せとともに、所望の治療効果を生じるように計算された所定の量の1つ以上の有効成分を含有する。好適な単位剤形の例としては、限定はされないが、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、糖衣錠、ウエハー、サシェ、パッチ、アンプル、バイアル、充填注射器、及び1回分の計量用量ディスペンサーが挙げられる。各単位は、個別のサブユニット(例えば、各サブユニットは、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、糖衣錠などの、本明細書に記載される形態である)を任意に含んでいてもよく、これは、互いに付着されても又は互いに別個であってもよい。例えば、複数のサブユニットを含む、本発明の実施形態に係る単位剤形は、任意に、例えば、参照により本明細書に援用される国際公開第2018/033927号パンフレットに記載される、コーティング及び/若しくはマトリックスによって互いに結合された個別のサブユニットを含む単位剤形の形態、又はキット(例えば、個別の剤形の包装されたセット)における一連の剤形の形態であり得る。
【0067】
本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る医薬組成物及び/又は単位剤形は、好ましくは、例えば、本明細書により詳細に記載されるように、経口投与に好適であるように製剤化される。経口投与用に製剤化される単位剤形の例としては、限定はされないが、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、糖衣錠、ウエハー、サシェ、アンプル、及びバイアルが挙げられる。例示的な実施形態において、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る医薬組成物及び/又は単位剤形は、錠剤又は複数のミニ錠剤として製剤化される。例示的な実施形態において、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る医薬組成物及び/又は単位剤形は、胃腸溶性コーティングを含まないか、又は他の場合、胃液に溶解可能であり、及び/若しくは胃液と接触した直後(例えば、5分未満、2分未満、若しくは1分未満以内)に組成物の内容物を放出するコーティングを含む。
【0068】
本明細書において、「経口投与」、「経口投与すること」などの語句は、口を介した、好ましくは、嚥下などの経口摂取(例えば、口腔投与と対照的に)による任意の投与を指す。
【0069】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、組成物は、例えば、腸溶コーティング、すなわち、薬剤の放出を防止し、腸内でのみ溶解するコーティングを含まないことによって、胃内の治療活性薬剤の吸収を可能にするように製剤化される。
【0070】
何らかの特定の理論によって制約されるものではないが、GLP-2は、例えば、それらの比較的高い分子量及び/又は(例えば、胃腸管中の脂質膜の通過を阻害する)極性故に、経口投与時に吸収されにくい傾向がある。よって、それらの吸収は、吸収促進剤(例えば、NAC又はその塩)の活性による促進、及び本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係るアルカリ性基含有ポリマーによる吸収促進剤活性の増加の影響を特に受けやすいことが考えられる。このようなポリペプチドの吸収は、ペプシンなどの酵素のpH依存的活性による分解によってさらに制限されること、及びアルカリ性基含有ポリマーに関連するpH増加が、(本明細書に記載されるように、吸収促進剤活性を増加させることに加えて)ペプシン活性を低下させることによって、ポリペプチドの吸収を促進し得ることがさらに考えられる。
【0071】
アルカリ性基含有ポリマー:
本明細書において、「ポリマー」という用語は、少なくとも4つの繰り返し(骨格)単位(より好ましくは、少なくとも10個の繰り返し単位、例えば、4~1,000個、又は10~1,000個の繰り返し単位、より多い数の繰り返し単位も考えられる)を有する化合物を指し、繰り返し単位は、同一又は同様である。「ポリマー」という用語は、本明細書に記載される2つ以上のタイプの繰り返し単位、例えば、少なくとも4つ、又は好ましくは、少なくとも10個の、1つのタイプの繰り返し単位、及び少なくとも4つ、又は好ましくは、少なくとも10個の、別の異なるタイプの繰り返し単位を含むコポリマーも包含する。コポリマー中の単位は、任意の順序で配置され得る。
【0072】
本明細書に記載されるポリマー又はコポリマーを構成する骨格(繰り返し)単位は、本明細書において同義的にモノマー単位又は単にモノマーとも称する。
【0073】
アルカリ性基含有ポリマーは、一分子当たり複数(すなわち、少なくとも2つ)のアルカリ性基を含む。本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、アルカリ性基含有ポリマーは、一分子当たり平均で少なくとも4つのアルカリ性基、又は少なくとも10個のアルカリ性基、又は少なくとも25個のアルカリ性基、又は少なくとも50個のアルカリ性基、又は少なくとも100個のアルカリ性基を含む。本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、ポリマー分子当たりのアルカリ性基の平均数は、約4~約1,000、又は約10~約1,000、又は約25~約1,000、又は約50~約1,000、又は約100~約1,000の範囲であり、より高い上限もこれらの範囲のそれぞれについて考えられる。
【0074】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、アルカリ性基含有ポリマーの平均分子量が、少なくとも1kDa、又は少なくとも2kDa、又は少なくとも3kDa、又は少なくとも5kDa、又は少なくとも10kDaである。本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、アルカリ性基含有ポリマーの平均分子量が、約1kDaから、又は約2kDaから、又は約3kDaから、又は約5kDaから、又は約10kDaから、又は約100kDaから、又は約200kDaから、又は約300kDaから、又は約400kDaから、又は約500kDaから、又は約600kDaから、又は約700kDaから、又は約800kDaから、又は約1,000kDaから、又は約2,000kDaから、及び最大で約10,000kDa又はそれ以上(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)までの範囲である。
【0075】
本明細書において、「アルカリ性基」という用語は、水溶液中のプロトンを受け取ることが可能な任意の官能基、例えば、カルボキシレート又はアミン基を包含する。これらの用語(例えば、pHによって)は、当該技術分野において使用されるように、適切な酸性又はアルカリ性を有する液体と接触すると、(プロトン化によって)アルカリ性基が酸性基に転化され得、(脱プロトン化によって)逆もまた同様であることが理解されるであろう。
【0076】
本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれか1つのいくつかにおいて、ポリマーは、少なくとも1.2であり、任意に、1.2~7.5の範囲、任意に、1.2~5.5(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む);例えば、1.2~3又は2.5~3.5又は3~4又は3.5~4.5又は4~5又は4.5~5.5(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲であるpKaによって特徴付けられる。いくつかのこのような実施形態において、pKaは、少なくとも2.5、又は少なくとも3、又は少なくとも3.5;例えば、2.5~5.5、又は3~5.5、又は3.5~5.5、又は4~5.5、又は4.5~5.5(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。
【0077】
本明細書において、ポリマーの「pKa」は、酸/塩基(例えば、カルボキシレート)基の50%が25℃でプロトン化された、0.1MのNaClの水溶液中のpHを指す。
【0078】
カルボン酸基は、本発明のいくつかの実施形態に係る例示的なアルカリ性基である。
【0079】
本明細書において、「カルボキシレート」という用語は、特に示されない限り、-C(=O)O-基(すなわち、カルボキシレートアニオン)を指し、カルボン酸基(-C(=O)OH)を包含しない。適切な酸性又はアルカリ性を有する液体と接触すると、カルボン酸基が、カルボン酸基に転化され得、逆もまた同様であることが理解されるであろう。簡潔にするために、本明細書に記載されるいくつかのカルボン酸基含有化合物及び官能基(例えば、カルボキシメチル、ポリアクリル酸)は、それらがカルボン酸形態であるかのように示されるが、特に示されない限り、カルボン酸基を含むものと理解されるべきである。
【0080】
本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係るカルボン酸基には、任意に、対イオンが伴って、塩、例えば、薬学的に許容される塩を形成し得る。本明細書に記載される化合物の塩(薬学的に許容される塩)は、或いは、化合物の合成中、例えば、反応混合物から化合物を単離する、又は化合物を再結晶化する過程で形成され得る。
【0081】
本明細書に記載される塩によって含まれ得る好適な対イオンの例としては、限定はされないが、アンモニウム、グアニジウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムが挙げられる。ナトリウムは、例示的な対イオンである。
【0082】
好適なカルボン酸基含有ポリマーの例としては、限定はされないが、アルギネート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びアクリル酸及び/又はメタクリル酸のコポリマー、並びにカルボン酸基含有多糖誘導体(例えば、カルボキシメチルなどのカルボキシレート含有基による酸化又は置換によって得られる誘導体)の塩が挙げられる。
【0083】
カルボキシレートは、任意に、単糖単位のウロン酸塩形態(例えば、アルギネート中のマンヌロネート及びグルロネートモノマー)及びアクリレート(例えば、ポリアクリル酸塩などの場合)などのカルボキシレートを含む繰り返しモノマー(骨格単位)によって含まれ得る。加えて/代替的に、カルボキシレートは、モノマー(例えば、カルボキシメチルセルロース及びデンプングリコール酸ナトリウムなどの場合)の少なくとも一部に結合された置換基(例えば、ポリマーとクロロ酢酸との反応によって任意に形成され得るカルボキシメチル置換基)によって含まれ得る。加えて/代替的に、カルボキシレートは、例えば、炭素-炭素結合を破壊することによって、モノマーの少なくとも一部(骨格単位)の酸化によって、及び/又は一次炭素(例えば、酸化デンプンなどの場合)の酸化によって、形成され得る。いくつかの例示的な実施形態において、ポリマーは、酸素原子に結合されたカルボキシメチル基を含む。
【0084】
アミンは、任意に、アミン基、例えば、2-アミノ-2-デオキシ糖(例えば、キトサン中のグルコサミン)、及びアルキレンイミン(例えば、エチレンイミン)残基(例えば、ポリエチレンイミンなどの場合)などのアミノ糖を含む繰り返しモノマー(骨格単位)によって含まれ得る、及び/又は置換基によって含まれ得る。
【0085】
アルカリ性基含有ポリマーは、任意に、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸モノマーを含むコポリマー中に、アルカリ性基(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド及びメタクリルアミド)を含まないモノマー(骨格単位)、及び/又は、例えば、アルカリ性基含有置換基でも置換されるポリマー(例えば、多糖)中に、アルカリ性基(例えば、メチル、エチル、ヒドロキシエチル及びヒドロキシプロピルなどの置換若しくは非置換アルキル基)を含まない置換基を含有し得る。
【0086】
アルカリ性基は、経口投与すると、プロトン化を起こして、酸性基(例えば、カルボン酸基又はアンモニウム基)を形成し、それによって、それぞれのアルカリ性基含有ポリマーと接触している溶液のpHを増加させることによって、酸を中和することが可能であるようなものである。
【0087】
何らかの特定の理論によって制約されるものではないが、本明細書に記載される酸中和ポリマーは、従来の制酸剤より好適であると考えられ、これは、ポリマーが、胃全体に容易に拡散しない大型分子であり(したがって、ポリマーの希釈を最小限に抑える)、効力のより長い期間をもたらし得るためである。本明細書に記載されるポリマーが、吸収促進剤への胃酸の流入を抑える粘性の媒体を形成し、それによって、胃酸による吸収促進剤の不活性化をさらに低減するというさらなる有利な効果(これは、一般に、従来の制酸剤にはない)を提供する。加えて/代替的に、胃全体への吸収促進剤及び/又は治療活性薬剤の拡散を抑え、それによって、治療活性薬剤の近傍の吸収促進剤のより高い局所濃度を維持することによって、吸収促進剤の効果を促進することがさらに考えられる。このように、組成物は、より長い時間にわたって治療的に有効な薬剤の吸収を促進し得(例えば、プロトン化及び/又は希釈による吸収促進剤の不活性化の速度を低下させることによって)及び/又は治療的に有効な薬剤の吸収のピーク速度を上昇させ得る(例えば、本明細書に記載されるように、活性形態の吸収促進剤のより高い局所濃度を与えることによって)。粘性の媒体のこのような形成が、胃壁への組成物の付着を促進し(例えば、柔軟な媒体と胃壁との間の接触面積を増加させることによって)、それによって、胃組織を介して吸収を促進し得ることがさらに考えられる。
【0088】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、アルカリ性基含有ポリマーは、水と接触すると膨潤する(これらの実施形態に関して、本明細書において「水膨潤性」とも称する)。いくつかのこのような実施形態において、ポリマーは、水溶性でない。
【0089】
本明細書において、「水と接触すると膨潤する」という語句は、37℃で水(例えば、純水)と接触すると水中で少なくともそれ自体の重量(すなわち、物質は、少なくとも100%の膨潤能力を有する)、及び任意に、水中でそれ自体の重量の少なくとも2倍(少なくとも200%の膨潤能力)又はそれ自体の重量の少なくとも5倍(少なくとも500%の膨潤能力)又はそれ自体の重量の少なくとも10倍又はそれ自体の重量の少なくとも20倍を吸収する物質の能力を指す。
【0090】
「膨潤能力」とは、材料が、膨潤前のその重量の、示される重量パーセンテージの水を膨潤させることが可能であることを意味する。膨潤能力(Qt)は、式:
Qt=(Ws-Wd)/Ws*100%
を用いて計算され得、式中、Wsが、膨潤後の重量であり、Wdが、乾燥重量(膨潤前の重量)である。
【0091】
本明細書において、「水溶性」という用語は、37℃で水(例えば、純水)におけるリットル当たり少なくとも1グラムの溶解度を有する化合物を指す。
【0092】
本明細書において、「非水溶性」という用語は、37℃で水(例えば、純水)におけるリットル当たり1グラム未満の溶解度を有する化合物を指す。
【0093】
物質の溶解度を定量的に決定するための典型的なアッセイは、「振とうフラスコ法」であり、過剰な試験物質が、容器(例えば、フラスコ又はバイアル)中である体積(例えば、100ml)の溶媒(例えば、水)に加えられ、熱力学的平衡を達成するように所定の条件(例えば、37℃の温度)下で振とうされる。次に、残留固体が、(例えば、ろ過及び/又は遠心分離によって)除去され、溶解された物質の濃度が、HPLCなどの技術によって決定される。濃度は、平衡に達したことを確認するために、様々な時点で任意に決定され得る。
【0094】
何らかの特定の理論によって制約されるものではないが、水との接触時の膨潤(例えば、胃媒体中)は、それが水の浸透を促進し、経口投与時に周囲の溶液とアルカリ性基との間の接触を最大にするため、有利であると考えられる。例えば、(例えば、ポリマーの顆粒への)水のより低い浸透度を有するポリマーは、例えば、アルカリ性基への酸の有効性の低い拡散のため、アルカリ性基の量が多い場合でさえ、胃酸の最適より遅い中和を示し得る。水溶性はまた、周囲の溶液とアルカリ性基との間の接触を最大にするのに有効であるが、膨潤より望ましくないとさらに考えられ、これは、ポリマーの溶解が、不都合なことに、局在化されていない効果(例えば、本明細書に記載される従来の制酸剤と同様)をもたらすためである。
【0095】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、ポリマーは、架橋ポリマーである。
【0096】
ポリマーは、それぞれ共有結合される架橋部分によって、共有結合を介して架橋され得、それによって、ポリマー中の2つ以上の骨格単位を連結し、及び/又はそれぞれ静電的に結合される架橋部分(例えば、カチオンなどのイオン)によって、静電結合を介して架橋され得、それによって、ポリマー中の2つ以上の骨格単位を連結する。架橋部分の数により、架橋ポリマーの架橋度が決定される。
【0097】
何らかの特定の理論によって制約されるものではないが、架橋は、ポリマーの「浪費」をもたらし得る(例えば、唾液及び/又は胃酸における)ポリマーの溶解を最小限に抑えるために遊離である、及び/又は吸水を促進することによって(例えば、異なるポリマー鎖間の結合を破壊し、それによって、鎖間の水分子の侵入を促進することによって)有利であると考えられる。架橋度は、膨潤能力に影響を与えることがある。例えば、不十分な架橋は、(膨潤と対照的に)溶解に関連し得る、及び/又は膨潤の減少及び/又は水の浸透の減少に関連し得る。しかしながら、過剰な架橋は、ポリマーが膨張し、水が侵入する空間を提供する能力を制限することによって、膨潤能力を低下させ得る。架橋度は、ポリマーの酸中和能力に影響を与えるべきではない。架橋度は、所望の水和レベルを提供するように、その特性に応じて、各選択されたポリマーについて選択又は予め決定され得る。
【0098】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、ポリマーは、多糖、例えば、架橋多糖を含む。ポリマーは、主に(すなわち、50重量パーセント超の)グルコース単位から任意に構成され、これは、α(1→4)及び/又はα(1→6)グリコシド結合(例えば、デンプンなどの場合)及び/又はβ(1→4)グリコシド結合(例えば、セルロースなどの場合)などのグリコシド結合によって任意に連結され得る。
【0099】
「単糖」という用語は、本明細書において使用される際及び当該技術分野において周知であるように、加水分解によってさらに分解することができない単一の単糖分子からなる糖の単純な形態を指す。単糖の最も一般的な例としては、グルコース(デキストロース)、フルクトース、ガラクトース、及びリボースが挙げられる。単糖は、炭水化物の炭素原子の数に従って分類され得、すなわち、3個の炭素原子を有するトリオース、例えば、グリセルアルデヒド及びジヒドロキシアセトン;4個の炭素原子を有するテトロース、例えば、エリトロース、トレオース及びエリトルロース;5個の炭素原子を有するペントース、例えば、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、リブロース及びキシルロース;6個の炭素原子を有するヘキソース、例えば、アロース、アルトロース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、タロース、フルクトース、プシコース、ソルボース及びタガトース;7個の炭素原子を有するヘプトース、例えば、マンノヘプツロース、セドヘプツロース;8個の炭素原子を有するオクトース、例えば、2-ケト-3-デオキシ-マンノ-オクトネート;9個の炭素原子を有するノノース、例えば、シアロース(sialose);及び10個の炭素原子を有するデコースである。
【0100】
単糖は、多糖(セルロース及びデンプンなど)の構成単位である。
【0101】
本明細書において使用される際の「多糖」という用語は、10個以上の単糖単位を含む化合物を指し、これらは、本明細書において定義されるように、グリコシル結合(-O-)を介して互いに連結される。多糖中の単糖単位間のグリコシル結合は全て同じであり得、又は例えば、グルコース単位が、α(1→4)及び/又はα(1→6)グリコシド結合を介して連結されるように、2つ以上のタイプのグリコシル結合を含み得る。
【0102】
本明細書において、「デンプン」という用語は、アミロース(α(1→4)グリコシド結合を介して連結されるグルコース単位)、及びアミロペクチン(α(1→4)及びα(1→6)グリコシド結合を介して連結されるグルコース単位)から構成される多糖を包含する。異なるタイプのデンプンは、典型的にデンプンの供給源に依存する、アミロース及びアミロペクチンの間の比率によって互いに異なる。
【0103】
多糖に関連する実施形態のいずれかのいくつかにおいて、多糖は、デンプン誘導体及び/又はセルロース誘導体、すなわち、例えば、カルボキシメチル基で置換されることによって(例えば、その酸素原子がカルボキシメチル基に結合される)、アルカリ性(例えば、カルボキシレート)基を含むように誘導体化されたデンプン及び/又はセルロース(例えば、架橋デンプン及び/又は架橋セルロース)である。デンプングリコール酸ナトリウムは、例示的なデンプン誘導体である。クロスカルメロースナトリウムは、例示的なセルロース誘導体である。
【0104】
本明細書において、「デンプングリコール酸ナトリウム」は、カルボキシメチル基で置換されたデンプンの任意のナトリウム塩(本明細書において定義されるような)を指し、架橋又は非架橋であり得る。それぞれの実施形態のいずれかのいくつかにおいて、デンプングリコール酸ナトリウムは、それぞれ2つ(又はそれ以上)の単糖(グルコース)単位を連結するリン酸基(-O-P(=O)(-O-)-O-)によって共有結合的に架橋される。
【0105】
本明細書において、「クロスカルメロースナトリウム」は、カルボキシメチル基で置換されたセルロースの任意のナトリウム塩(本明細書において定義されるような)を指し、カルボキシメチル基及び単糖単位の間のエステル結合によって共有結合的に架橋される。
【0106】
カルボキシメチル基(又は任意の他のアルカリ性基)は、1つ以上の位置において単糖を置換する-O=CH2-C(=O)-O-アルカリ性基を形成するように、多糖を構成する1つ以上の単糖(例えば、グルコース)単位のヒドロキシ置換基の1つ以上に結合され得る。いくつかの実施形態において、カルボキシメチル基(又は任意の他のアルカリ性基)は、多糖を構成する1つ以上のグルコース単位の少なくともヒドロキシメチル基に結合される。いくつかの実施形態において、カルボキシメチル基(又は任意の他のアルカリ性基)は、多糖を構成する単糖単位の少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%又はほぼ全てに結合される。これらの実施形態のいくつかにおいて、1つのカルボキシメチル基(又は任意の他のアルカリ性基)は、それを含む単糖単位に結合され、さらに、これらの実施形態のいくつかにおいて、カルボキシメチル基(又は任意の他のアルカリ性基)は、グルコースのヒドロキシメチル置換基に結合される。
【0107】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、組成物中の複数のアルカリ性基を含むポリマー(本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)の濃度が、少なくとも10重量パーセントである。いくつかのこのような実施形態において、ポリマーの濃度は、少なくとも15重量パーセントである。いくつかの実施形態において、ポリマーの濃度は、少なくとも20重量パーセントである。いくつかの実施形態において、ポリマーの濃度は、少なくとも25重量パーセントである。いくつかの実施形態において、ポリマーの濃度は、少なくとも30重量パーセントである。いくつかの実施形態において、ポリマーの濃度は、少なくとも35重量パーセントである。いくつかの実施形態において、ポリマーの濃度は、少なくとも40重量パーセントである。いくつかの実施形態において、ポリマーの濃度は、少なくとも50重量パーセントである。いくつかの実施形態において、ポリマーの濃度は、少なくとも60重量パーセントである。いくつかの実施形態において、ポリマーの濃度は、少なくとも70重量パーセントである。いくつかの実施形態において、ポリマーの濃度は、少なくとも80重量パーセントである。いくつかの実施形態において、ポリマーの濃度は、少なくとも90重量パーセントである。
【0108】
「重量パーセント」(又はw/w%、又は重量%)とは、示される物質の、それを含む組成物の総重量のうちの重量を意味する。
【0109】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、組成物中の複数のアルカリ性基を含むポリマー(本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)の濃度が、組成物の総重量の10~90重量パーセント、又は組成物の総重量の10~80、又は10~70、又は10~50、又は10~40、又は10~30、又は20~90、又は20~80、又は20~70、又は20~60、又は20~50、又は20~40、又は20~30、又は30~90、又は30~80、又は30~70、又は30~60、又は30~50、又は30~40、又は40~90、又は40~80、又は40~70、又は40~60、又は40~50、又は50~90、又は50~80、又は50~70、又は50~60、又は60~90、又は60~80、又は60~70、又は80~90、又は70~80、又は80~90重量パーセント(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲である。
【0110】
何らかの特定の理論によって制約されるものではないが、(例えば、崩壊剤としてこのようなポリマーを用いる組成物と比べて)デンプングリコール酸ナトリウム及びクロスカルメロースナトリウムなどの吸水性(例えば、水膨潤性)ポリマーの比較的高い濃度が、組成物の近傍における拡散を制限する、水溶液(例えば、胃酸)との接触時の粘性媒体の生成に関連すると考えられ、これは、より低い濃度におけるそれらの効果(例えば、固体組成物の分解の促進)と著しく異なる。
【0111】
崩壊剤としてこのようなポリマーを用いる組成物は、(例えば、SNACなどの水溶性成分を大量に含む組成物と対照的に)微結晶性セルロースなどの不溶性成分も大量に含む組成物においても崩壊剤が通常使用される点で、本発明のいくつかの実施形態に係る組成物とさらに異なる。これは、例えば、崩壊剤の機構が内力を固体の不溶性成分に加えることを含むため、及び/又は大量の水溶性成分が、組成物を易溶性にするためであり、それにより崩壊剤が、過剰になるであろう。
【0112】
本明細書に記載される多糖に関連する実施形態のいずれかのいくつかにおいて、多糖は、少なくとも0.1であり、例えば、0.1~2又は0.1~1.5又は0.1~1又は0.1~0.5又は0.1~0.3又は0.1~0.2(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲である置換度によって特徴付けられる。いくつかのこのような実施形態において、置換度は、少なくとも0.2であり、例えば、0.2~2又は0.2~1.5又は0.2~1又は0.2~0.5(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲である。いくつかの実施形態において、置換度は、少なくとも0.3であり、例えば、0.3~2又は0.3~1.5又は0.3~1又は0.3~0.5(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲である。いくつかの実施形態において、置換度は、少なくとも0.4であり、例えば、0.4~2又は0.4~1.5又は0.4~1(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲である。
【0113】
本明細書において、「置換度」は、アルカリ性基又はその共役酸、例えば、カルボキシレート又はカルボン酸基(例えば、カルボキシメチル基)を含む官能基の、ポリマーのモノマー(骨格単位)(例えば、多糖の単糖単位)に対する比率を指す。
【0114】
本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかのいくつかにおいて、組成物中のポリマーのアルカリ性基の濃度が、組成物のグラム当たり少なくとも0.03ミリモル、例えば、0.03~5ミリモル/グラム又は0.03~2ミリモル/グラム又は0.03~1ミリモル/グラム又は0.03~0.5ミリモル/グラム又は0.03~0.2ミリモル/グラム(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、ポリマーのアルカリ性基の濃度は、組成物のグラム当たり少なくとも0.1ミリモル、例えば、0.1~5ミリモル/グラム又は0.1~2ミリモル/グラム又は0.1~1ミリモル/グラム又は0.1~0.5ミリモル/グラム(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、ポリマーのアルカリ性基の濃度は、組成物のグラム当たり少なくとも0.2ミリモル、例えば、0.2~5ミリモル/グラム又は0.2~2ミリモル/グラム又は0.2~1ミリモル/グラム又は0.2~0.5ミリモル/グラム(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、ポリマーのアルカリ性基の濃度は、組成物のグラム当たり少なくとも0.5ミリモル、例えば、0.5~5ミリモル/グラム又は0.5~2ミリモル/グラム又は0.5~1ミリモル/グラム(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、ポリマーのアルカリ性基の濃度は、組成物のグラム当たり少なくとも1ミリモル、例えば、1~5ミリモル/グラム又は1~2ミリモル/グラム(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。
【0115】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、組成物は、単位剤形組成物であり、単位剤形中のポリマーのアルカリ性基の量(単位剤形中のポリマーの酸中和能力に相関する)は、少なくとも0.03ミリモル、例えば、0.03~10ミリモル又は0.03~3ミリモル又は0.03~1ミリモル又は0.03~0.3ミリモル(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、単位剤形中のアルカリ性基の量は、少なくとも0.1ミリモル、例えば、0.1~10ミリモル又は0.1~3ミリモル又は0.1~1ミリモル(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、単位剤形中のアルカリ性基の量は、少なくとも0.3ミリモル、例えば、0.3~10ミリモル又は0.3~3ミリモル(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、単位剤形中のアルカリ性基の量は、少なくとも1ミリモル、例えば、1~10ミリモル(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。
【0116】
上述されるように、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係るアルカリ性基含有ポリマーは、アルカリ性基を含む2つ以上(例えば、少なくとも3つ又は少なくとも4つ)の異なるポリマー(例えば、混合物中で)を任意に含み得る。したがって、例えば、デンプングリコール酸ナトリウムは、全てのアルカリ性基含有ポリマーの一部、例えば、(本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)アルカリ性基含有ポリマーの少なくとも10重量パーセント、又は少なくとも20重量パーセント、又は少なくとも30重量パーセント、又は少なくとも40重量パーセント、又は少なくとも50重量パーセント、又は少なくとも60重量パーセント、又は少なくとも70重量パーセント、又は少なくとも80重量パーセント、又は少なくとも90重量パーセントを占めてもよく、残りは、デンプングリコール酸ナトリウム以外の1つ以上のアルカリ性基含有ポリマーである。その代わりに又はそれに加えて、クロスカルメロースナトリウムは、全てのアルカリ性基含有ポリマーの一部、例えば、アルカリ性基含有ポリマーの少なくとも10重量パーセント、又は少なくとも20重量パーセント、又は少なくとも30重量パーセント、又は少なくとも40重量パーセント、又は少なくとも50重量パーセント、又は少なくとも60重量パーセント、又は少なくとも70重量パーセント、又は少なくとも80重量パーセント、又は少なくとも90重量パーセント(本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)を占めてもよく、残りは、クロスカルメロースナトリウム以外の1つ以上のアルカリ性基含有ポリマーである。
【0117】
ポリマーが、一般に、典型的に、異なるサイズ及びわずかに異なる幾何学形状(例えば、コポリマー中のモノマーの分枝パターン及び/又は配列)を有する分子の集団を含むことが留意される。当該技術分野における標準的な慣例によれば、分子のこのような集団が、「異なるポリマー」を表すとは考えられていない。むしろ、「異なるポリマー」は、化学的相違、例えば、異なるモノマー(骨格単位)及び/又は架橋剤から構成され及び/又は異なる架橋度のポリマーを指す。
【0118】
治療活性薬剤の吸収に対するポリマーの影響は、本発明の実施形態に係る組成物の経口投与時の吸収を、アルカリ性基含有ポリマー以外の同じ量の他の成分を含む対応する組成物(例えば、アルカリ性基含有ポリマーが、本発明の実施形態に係る組成物の50重量パーセント以下である場合)と比較することによって、任意に決定され得、それにより、総質量は、(アルカリ性基含有ポリマーの不存在のため)より低くなる。いくつかのこのような実施形態において、両方の組成物は、錠剤の形態であり、錠剤は、同じ断面(例えば、円形断面の直径)を有し、より低い重量を有する錠剤は、錠剤の断面に垂直な軸においてより薄い。
【0119】
或いは、治療活性薬剤の吸収に対するポリマーの影響は、本発明の実施形態に係る組成物の経口投与時の吸収を、アルカリ性基含有ポリマーの代わりに吸収促進剤を含む対応する組成物(例えば、対応する組成物は、全ての態様において、ポリマーの代わりのさらなる吸収促進剤の存在を除いて同一である)と比較することによって、任意に決定され得、それにより、組成物の総質量は、同じである(例えば、アルカリ性基含有ポリマーが、本発明の実施形態に係る組成物の50重量パーセントを超える場合)。
【0120】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、経口投与後の組成物(すなわち、組成物中の治療活性薬剤)のCmax及び/又はバイオアベイラビリティは、アルカリ性基含有ポリマーを有さない対応する組成物のCmax及び/又はバイオアベイラビリティより少なくとも20%高い(そのレベルの120%)。いくつかの実施形態において、Cmax及び/又はバイオアベイラビリティは、アルカリ性基含有ポリマーを有さない対応する組成物の経口投与後のCmax及び/又はバイオアベイラビリティより少なくとも50%高い(そのレベルの150%)。いくつかの実施形態において、Cmax及び/又はバイオアベイラビリティは、アルカリ性基含有ポリマーを有さない対応する組成物の経口投与後のCmax及び/又はバイオアベイラビリティの少なくとも2倍である(そのレベルの200%)。いくつかの実施形態において、Cmax及び/又はバイオアベイラビリティは、アルカリ性基含有ポリマーを有さない対応する組成物の経口投与後のCmax及び/又はバイオアベイラビリティの少なくとも4倍である(そのレベルの400%)。いくつかの実施形態において、Cmax及び/又はバイオアベイラビリティは、アルカリ性基含有ポリマーを有さない対応する組成物の経口投与後のCmax及び/又はバイオアベイラビリティの少なくとも6倍である(そのレベルの600%)。いくつかの実施形態において、Cmax及び/又はバイオアベイラビリティは、アルカリ性基含有ポリマーを有さない対応する組成物の経口投与後のCmax及び/又はバイオアベイラビリティの少なくとも10倍である(そのレベルの1000%)。
【0121】
Cmax及び/又はバイオアベイラビリティは、組成物を対象(例えば、ヒト対象)に経口投与し、血液試料を採取することによって頻繁に血液中の治療活性薬剤のレベルを決定することによって任意に決定され得る。
【0122】
バイオアベイラビリティは、当該技術分野において公知の標準的な技術(例えば、データ処理アルゴリズム)を用いて、(例えば、12又は24時間にわたる)経口投与後の曲線下面積の比率を、静脈内投与された治療活性薬剤についての同じ期間にわたる曲線下面積と比較することによって決定され得る。治療活性薬剤は、より低い用量(例えば、安全上の理由から)で注入されてもよく、曲線下面積が、投与される総量に対して正規化され得る。
【0123】
吸収促進剤:
本明細書に記載される実施形態のいずれかの好ましい実施形態によれば、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る組成物は、有効量の吸収促進剤、すなわち、組成物中の治療活性薬剤の吸収を促進するのに有効な量の吸収促進剤を含む。
【0124】
本明細書において、「吸収促進剤」という用語は、薬物の経口投与後に胃腸管から循環中への高分子薬物(例えば、少なくとも1kDaの分子量を有する化合物)の吸収を促進することが知られている化合物を指す。当業者は、多くのこのような吸収促進剤を認識しているであろう。
【0125】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、吸収促進剤は、任意に、末端N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ基(オメガ位において、すなわち、脂肪酸のカルボン酸基から遠位の末端)を有する脂肪酸、又はその塩(例えば、一ナトリウム塩若しくは二ナトリウム塩)である。或いは、脂肪酸は、任意に、非置換脂肪酸(例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸及び/又はステアリン酸)であり得る。
【0126】
脂肪酸(置換又は非置換)は、好ましくは、4~20個の炭素原子長、任意に、4~18個の炭素原子長、任意に、4~16個の炭素原子長、任意に、4~14個の炭素原子長、任意に、4~12個の炭素原子長及び任意に、4~10個の炭素原子長(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、脂肪酸は、6~20個の炭素原子長、任意に、6~18個の炭素原子長、任意に、6~16個の炭素原子長、任意に、6~14個の炭素原子長、任意に、6~12個の炭素原子長、任意に、6~10個の炭素原子長、及び任意に、8~10個の炭素原子長(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。脂肪酸部分は、飽和(例えば、8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸中のカプリル酸及び10-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノデカン酸中のデカン酸のように)又は不飽和(すなわち、少なくとも1つの不飽和炭素-炭素結合を含む)であり得る。
【0127】
好適な脂肪酸(例えば、末端N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ基による置換のための)の例としては、限定はされないが、ブタン酸、カプリル酸及びデカン酸が挙げられる。
【0128】
N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ基は、任意に、(例えば、その芳香環上で)置換又は非置換であり得る。好適な置換基としては、例えば、ハロ(任意に、クロロ)及びアルコキシ(任意に、メトキシ)が挙げられる。置換N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ基の例としては、限定はされないが、N-(5-クロロサリチロイル)アミノ、N-(4-クロロ-2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ、及びN-(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾイル)アミノが挙げられる。
【0129】
好適な吸収促進剤の例としては、限定はされないが、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)及びNAD(10-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノデカン酸)及びそれらの塩(例えば、一ナトリウム塩及び二ナトリウム塩)、並びにそれらの誘導体(例えば、クロロ及び/又はメトキシで置換される誘導体)、例えば、5-CNAC(8-N-(5-クロロサリチロイル)アミノカプリル酸)及び4-MOAC(8-N-(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾイル)アミノカプリル酸)及びそれらの塩(例えば、一ナトリウム塩及び二ナトリウム塩)が挙げられる。4-CNAB(4-N-(2-ヒドロキシ-4-クロロベンゾイル)アミノブタン酸)及びそれらの塩(例えば、一ナトリウム塩及び二ナトリウム塩)が、好適な吸収促進剤のさらなる例である。
【0130】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、吸収促進剤は、その塩、例えば、ナトリウム塩の形態である。例示的な実施形態において、ナトリウム塩は、一ナトリウム塩である。
【0131】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC又はNAD、又はその塩である。いくつかのこのような実施形態において、吸収促進剤は、NAC又はその塩である。
【0132】
以下に示されるように、NAD(「SNAD」とも称するそのナトリウム塩として示される)の構造は、脂肪酸部分の長さのみがNAC(「SNAC」とも称するそのナトリウム塩として示される)のものと異なる。様々な脂肪酸長さに基づく、NAC及びNADに関連するさらなる吸収促進剤が、当業者に容易に明らかになるであろう。
【0133】
【0134】
何らかの特定の理論によって制約されるものではないが、多くの吸収促進剤が、溶解度が低い非イオン形態(例えば、脂肪酸などのカルボン酸)よりイオン形態(例えば、脂肪酸アニオンなどのカルボキシレートアニオン)において(吸収を促進するのに)より活性である傾向があること、及び吸収促進剤の全体的な活性が、より活性な形態の濃度に強く依存することが考えられる。例えば、溶解度が低い非イオン形態の活性は、沈殿によって低下され得る。経口投与後の溶解時のイオン形態の吸収促進剤の量が、塩の形態の吸収促進剤を提供することによって、及び/又は経口投与後の吸収促進剤の近傍の局所的pHを制御することによって(例えば、本明細書に記載されるポリマーのアルカリ性基による酸の中和によって、及び/又は吸収促進剤の他の分子によってさえ)増強され得ることがさらに考えられる。
【0135】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、吸収促進剤は、イオン化可能材料(化合物)であり、これらの実施形態のいくつかにおいて、吸収促進剤は、そのイオン形態でより活性である。
【0136】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、吸収促進剤は、本明細書に記載されるように、胃酸によって不活性化され、これらの実施形態のいくつかにおいて、吸収促進剤は、イオン化可能であり、そのイオン形態においてより活性であり、吸収促進剤の少なくとも一部は、(例えば、沈殿により)胃酸と接触するときに非イオン(より活性の低い)形態である。
【0137】
粘性媒体の形成が、例えば、治療活性薬剤の近傍の吸収促進剤のより高い局所濃度を維持し、及び/又は(例えば、本明細書に記載されるように)胃壁への組成物の付着を促進することによって、胃酸によって不活性化されない吸収促進剤の影響を強化し得ることがさらに考えられる。
【0138】
それに加えて又はその代わりに、このポリマーに関連する局所的pHに対する制御は、(吸収促進剤が、胃酸によって不活性化されるかどうかにかかわらず)、胃酸による不活性化から治療活性薬剤を保護し得る。例えば、不活性化は、(本明細書における他の箇所に記載されるように)適切に酸性なpHの存在下でのペプシン活性に関連する。
【0139】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかによれば、吸収促進剤は、胃酸によって不活性化されない。例えば、吸収促進剤は、イオン化可能でない、及び/又はそのイオン形態とその非イオン形態が同じ活性を示す、及び/又は、胃酸との接触時により活性の低い形態に転化されない(例えば、吸収促進剤は、それ自体で酸性である)。
【0140】
胃酸によって不活性化されることが予想されない吸収促進剤の例としては、限定はされないが、アルキル脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル);リン脂質(例えば、ホスファチジルコリン);第四級アンモニウム塩、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩(例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウムなどのセチルトリメチルアンモニウム塩)及びアルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウムなどのセチルピリジニウム塩);非イオン性界面活性剤、例えば、ソルビタン-脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート)及びポリソルベート(すなわち、エトキシ化ソルビタン-脂肪酸エステル、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60及びポリソルベート80);並びにN-ドデシルカプロラクタムが挙げられる。
【0141】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかにおいて、(本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)組成物中の(本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)吸収促進剤の濃度は、少なくとも10重量パーセント、例えば、10~90重量パーセント、又は10~80重量パーセント、又は10~70重量パーセント、又は10~60重量パーセント、又は10~50重量パーセント、又は10~40重量パーセント、又は10~30重量パーセント(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかのこのような実施形態において、吸収促進剤の濃度は、少なくとも20重量パーセント、例えば、20~90重量パーセント、又は20~80重量パーセント、又は20~70重量パーセント、又は20~60重量パーセント、又は20~50重量パーセント、又は20~40重量パーセント(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、吸収促進剤の濃度は、少なくとも30重量パーセント、例えば、30~90重量パーセント、又は30~80重量パーセント、又は30~70重量パーセント、又は30~60重量パーセント、又は30~50重量パーセント(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、吸収促進剤の濃度は、少なくとも40重量パーセント、例えば、40~90重量パーセント、又は40~80重量パーセント、又は40~70重量パーセント、又は40~60重量パーセント(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、吸収促進剤の濃度は、少なくとも50重量パーセント、例えば、50~90重量パーセント、又は50~80重量パーセント、又は50~70重量パーセント(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、吸収促進剤の濃度は、少なくとも60重量パーセント、例えば、60~90重量パーセント、又は60~80重量パーセント(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、吸収促進剤の濃度は、少なくとも70重量パーセント、例えば、70~90重量パーセント、又は70~80重量パーセント(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、吸収促進剤の濃度は、少なくとも80重量パーセント、例えば、80~90重量パーセント(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。
【0142】
上記の実施形態のいずれかのいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC、NAD、5-CNAC、4-MOAC及び/又は4-CNAB、又はその塩(例えば、そのナトリウム塩)である。
【0143】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかにおいて、(本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)吸収促進剤及び(本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)アルカリ性基を含むポリマーの総濃度は、少なくとも80重量パーセント(例えば、80~100重量パーセント(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む))である。いくつかのこのような実施形態において、(例えば、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)吸収促進剤の濃度は、少なくとも10重量パーセント、又は少なくとも20重量パーセント、又は少なくとも30重量パーセント、又は少なくとも40重量パーセント、又は少なくとも50重量パーセント、又は少なくとも60重量パーセント、又は少なくとも70重量パーセントである。その代わりに又はそれに加えて、いくつかの実施形態において、(例えば、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)アルカリ性基を含むポリマーの濃度は、少なくとも10重量パーセント、又は少なくとも20重量パーセント、又は少なくとも30重量パーセント、又は少なくとも40重量パーセント、又は少なくとも50重量パーセント、又は少なくとも60重量パーセント、又は少なくとも70重量パーセントである。上記の実施形態のいずれかのいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC、NAD、5-CNAC、4-MOAC及び/又は4-CNAB、又はその塩(例えば、そのナトリウム塩)である。
【0144】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかにおいて、(本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)吸収促進剤及び(本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)アルカリ性基を含むポリマーの総濃度が、少なくとも90重量パーセント(例えば、90~100重量パーセント(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む))である。いくつかのこのような実施形態において、(例えば、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)吸収促進剤の濃度は、少なくとも10重量パーセント、又は少なくとも20重量パーセント、又は少なくとも30重量パーセント、又は少なくとも40重量パーセント、又は少なくとも50重量パーセント、又は少なくとも60重量パーセント、又は少なくとも70重量パーセント、又は少なくとも80重量パーセントである。その代わりに又はそれに加えて、いくつかの実施形態において、(例えば、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)アルカリ性基を含むポリマーの濃度は、少なくとも10重量パーセント、又は少なくとも20重量パーセント、又は少なくとも30重量パーセント、又は少なくとも40重量パーセント、又は少なくとも50重量パーセント、又は少なくとも60重量パーセント、又は少なくとも70重量パーセント、又は少なくとも80重量パーセントである。上記の実施形態のいずれかのいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC、NAD、5-CNAC、4-MOAC及び/又は4-CNAB、又はその塩(例えば、そのナトリウム塩)である。
【0145】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかにおいて、(本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)吸収促進剤及び(本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)アルカリ性基を含むポリマーの総濃度が、少なくとも95重量パーセント(例えば、95~100重量パーセント(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む))である。いくつかのこのような実施形態において、(例えば、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)吸収促進剤の濃度は、少なくとも10重量パーセント、又は少なくとも20重量パーセント、又は少なくとも30重量パーセント、又は少なくとも40重量パーセント、又は少なくとも50重量パーセント、又は少なくとも60重量パーセント、又は少なくとも70重量パーセント、又は少なくとも80重量パーセントである。その代わりに又はそれに加えて、いくつかの実施形態において、(例えば、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)アルカリ性基を含むポリマーの濃度は、少なくとも10重量パーセント、又は少なくとも20重量パーセント、又は少なくとも30重量パーセント、又は少なくとも40重量パーセント、又は少なくとも50重量パーセント、又は少なくとも60重量パーセント、又は少なくとも70重量パーセント、又は少なくとも80重量パーセントである。上記の実施形態のいずれかのいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC、NAD、5-CNAC、4-MOAC及び/又は4-CNAB、又はその塩(例えば、そのナトリウム塩)である。
【0146】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかにおいて、(本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)吸収促進剤及び(本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)アルカリ性基を含むポリマーの総濃度が、少なくとも98重量パーセントである。いくつかのこのような実施形態において、(例えば、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)吸収促進剤の濃度は、少なくとも10重量パーセント、又は少なくとも20重量パーセント、又は少なくとも30重量パーセント、又は少なくとも40重量パーセント、又は少なくとも50重量パーセント、又は少なくとも60重量パーセント、又は少なくとも70重量パーセント、又は少なくとも80重量パーセントである。いくつかの実施形態において、(例えば、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)アルカリ性基を含むポリマーの濃度は、少なくとも10重量パーセント、又は少なくとも20重量パーセント、又は少なくとも30重量パーセント、又は少なくとも40重量パーセント、又は少なくとも50重量パーセント、又は少なくとも60重量パーセント、又は少なくとも70重量パーセント、又は少なくとも80重量パーセントである。上記の実施形態のいずれかのいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC、NAD、5-CNAC、4-MOAC及び/又は4-CNAB、又はその塩(例えば、そのナトリウム塩)である。
【0147】
本明細書に記載される単位剤形に関連する実施形態のいずれか1つのいくつかにおいて、単位剤形中の吸収促進剤の量が、少なくとも25mg、例えば、25~1000mg又は25~500mg又は25~250mg又は25~100mg又は25~50mg(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、単位剤形中の吸収促進剤の量は、少なくとも50mg、例えば、50~1000mg又は50~500mg又は50~250mg又は50~100mg(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、単位剤形中の吸収促進剤の量は、少なくとも75mg、例えば、75~1000mg又は75~500mg又は75~250mg(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、単位剤形中の吸収促進剤の量は、少なくとも100mg、例えば、100~1000mg又は100~500mg又は100~250mg(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、単位剤形中の吸収促進剤の量は、少なくとも150mg、例えば、150~1000mg又は150~500mg又は150~250mg(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、単位剤形中の吸収促進剤の量は、少なくとも200mg、例えば、200~1000mg又は200~500mg(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。いくつかの実施形態において、単位剤形中の吸収促進剤の量は、少なくとも300mg、例えば、300~1000mg又は300~500mg(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)である。上記の実施形態のいずれかのいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)又はその塩(例えば、ナトリウム8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート)である。
【0148】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、組成物中の治療活性薬剤に対する吸収促進剤の重量比が、少なくとも1:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)であり、任意に、1:1~1000:1、又は1:1~500:1、又は1:1~300:1、又は1:1~200:1、又は1:1~100:1、又は1:1~50:1、又は1:1~30:1、又は1:1~20:1、又は1:1~10:1、又は1:1~5:1、又は1:1~3:1、又は1:1~2:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲である。上記の実施形態のいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)又はその塩(例えば、ナトリウム8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート)である。
【0149】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、組成物中の治療活性薬剤に対する吸収促進剤の重量比が、少なくとも2:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)であり、任意に、2:1~1000:1、又は2:1~500:1、又は2:1~300:1、又は2:1~200:1、又は2:1~100:1、又は2:1~50:1、又は2:1~30:1、又は2:1~20:1、又は2:1~10:1、又は2:1~5:1、又は2:1~3:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲である。上記の実施形態のいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)又はその塩(例えば、ナトリウム8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート)である。
【0150】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、組成物中の治療活性薬剤に対する吸収促進剤の重量比が、少なくとも3:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)であり、任意に、3:1~1000:1、又は3:1~500:1、又は3:1~300:1、又は3:1~200:1、又は3:1~100:1、又は3:1~50:1、又は3:1~30:1、又は3:1~20:1、又は3:1~10:1、又は3:1~5:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲である。上記の実施形態のいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)又はその塩(例えば、ナトリウム8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート)である。
【0151】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、組成物中の治療活性薬剤に対する吸収促進剤の重量比が、少なくとも5:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)であり、任意に、5:1~1000:1、又は5:1~500:1、又は5:1~300:1、又は5:1~200:1、又は5:1~100:1、又は5:1~50:1、又は5:1~30:1、又は5:1~20:1、又は5:1~10:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲である。上記の実施形態のいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)又はその塩(例えば、ナトリウム8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート)である。
【0152】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、組成物中の治療活性薬剤に対する吸収促進剤の重量比が、少なくとも10:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)であり、任意に、10:1~1000:1、又は10:1~500:1、又は10:1~300:1、又は10:1~200:1、又は10:1~100:1、又は10:1~50:1、又は10:1~30:1、又は10:1~20:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲である。上記の実施形態のいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)又はその塩(例えば、ナトリウム8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート)である。
【0153】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、組成物中の治療活性薬剤に対する吸収促進剤の重量比が、少なくとも20:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)であり、任意に、20:1~1000:1、又は20:1~500:1、又は20:1~300:1、又は20:1~200:1、又は20:1~100:1、又は20:1~50:1、又は20:1~30:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲である。上記の実施形態のいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)又はその塩(例えば、ナトリウム8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート)である。
【0154】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、組成物中の治療活性薬剤に対する吸収促進剤の重量比が、少なくとも30:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)であり、任意に、30:1~1000:1、又は30:1~500:1、又は30:1~300:1、又は30:1~200:1、又は30:1~100:1、又は30:1~50:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲である。上記の実施形態のいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)又はその塩(例えば、ナトリウム8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート)である。
【0155】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、組成物中の治療活性薬剤に対する吸収促進剤の重量比が、少なくとも50:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)であり、任意に、50:1~1000:1、又は50:1~500:1、又は50:1~300:1、又は50:1~200:1、又は50:1~100:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲である。上記の実施形態のいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)又はその塩(例えば、ナトリウム8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート)である。
【0156】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、組成物中の治療活性薬剤に対する吸収促進剤の重量比が、少なくとも100:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)であり、任意に、100:1~1000:1、又は100:1~500:1、又は100:1~300:1、又は100:1~200:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲である。上記の実施形態のいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)又はその塩(例えば、ナトリウム8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート)である。
【0157】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、組成物中の治療活性薬剤に対する吸収促進剤の重量比が、少なくとも200:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)であり、任意に、200:1~1000:1、又は200:1~500:1、又は200:1~300:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲である。上記の実施形態のいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)又はその塩(例えば、ナトリウム8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート)である。
【0158】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、組成物中の治療活性薬剤に対する吸収促進剤の重量比が、少なくとも300:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)であり、任意に、300:1~1000:1、又は300:1~500:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲である。上記の実施形態のいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)又はその塩(例えば、ナトリウム8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート)である。
【0159】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、組成物中の治療活性薬剤に対する吸収促進剤の重量比が、少なくとも500:1であり、任意に、500:1~1000:1(吸収促進剤:治療活性薬剤)(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)の範囲である。上記の実施形態のいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)又はその塩(例えば、ナトリウム8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート)である。
【0160】
使用及び適応:
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかの実施形態において、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る組成物は、(本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)治療活性薬剤によって治療可能な疾患の治療に使用するためのものであり、治療は、組成物の経口投与を含む。
【0161】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、治療活性薬剤の経口投与によって治療可能な疾患の治療を必要とする対象の(本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)治療活性薬剤の経口投与によって治療可能な疾患を治療する方法であって、(本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る)それぞれの治療活性薬剤を含む本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る組成物を対象に経口投与することを含む方法が提供される。
【0162】
治療活性薬剤によって治療可能な病態には、GLP-2及び/又はその類似体(例えば、GLP-2受容体アゴニスト)の活性が有益な病態が含まれる。
【0163】
本発明の実施形態によれば治療可能な病態の例としては、下記が挙げられるが、これらに限定されるものではない。化学療法誘発性副作用(例えば、腹部けいれん、細菌の移行、下痢、消化管出血、吸収不良、粘膜炎及び/又は嘔吐)、直腸盲端症候群、消化障害、腸炎(例えば、放射線腸炎及び/又は感染性又はは感染後腸炎)、炎症性腸疾患、吸収不良症候群、栄養失調(例えば、悪液質及び/又は食欲不振)、短腸症候群(例えば、外科的切除に関連するもの、生まれつきの欠損及び/又は腸の疾患関連性吸収障害)、小腸損傷(例えば、化学療法及び/又は毒性薬物に関連するもの)、セリアック病(例えば、グルテン誘導性腸症又はセリアック病から生じたもの)、帯性スプルー、低ガンマグロブリン血症性スプルー、潰瘍(例えば、消化性潰瘍、薬剤誘発性潰瘍、及び/又は病原体に関連する潰瘍)、及び潰瘍性大腸炎。
【0164】
何らかの特定の理論によって制約されるものではないが、本明細書に記載した組成物は、(腸よりも)胃における吸収を促進すると考えられ、これは、短腸症候群などの、腸の機能が不十分であり得る病態の治療に特に有利であると考えられる。
【0165】
本明細書に記載した対応する実施形態のいずれかによる化学療法に関連する病態について、化学療法薬は、例えば、アルトレタミン、ブレオマイシン、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クリサンタスパーゼ、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、リポソーム化ドキソルビシン、ロイコボリン、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、ミトマイシン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ペントスタチン、プロカルバジン、ラルチトレキセド、ストレプトゾシン、テガフール・ウラシル、テモゾロミド、チオテパ、チオグアニン、トポテカン、トレオスルファン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、及び/又はビノレルビンであり得る。
【0166】
本発明実施形態における治療活性薬剤(例えば、GLP-2ホモログ)は、GLP-2活性(GLP-2受容体アゴニスト活性)に加えて、任意で、2以上の活性を発揮してもよく、例えば、任意で、GLP-1受容体/GLP-2受容体二重アゴニスト、グルカゴン受容体/GLP-2受容体二重アゴニスト、胃腸制御ポリペプチド受容体(GIP)/GLP-2受容体二重アゴニスト及び/又はGLP-2受容体/GLP-1受容体/グルカゴン受容体三重アゴニストであってもよい。
【0167】
本出願から発生する特許の存続期間中、GLP-2及びGLP-2受容体アゴニストによる病態の多くの関連する治療が、開発されることが予想されるが、「治療活性薬剤」及び「...治療活性薬剤によって治療可能な疾患」という語句の範囲は、全てのこのような新しい技術を推測的に含むことが意図される。
【0168】
組成物の製剤化:
本明細書に記載される組成物及び単位剤形のそれぞれが、任意に、上述される機能的成分(例えば、本明細書のそれぞれの項のいずれかにおける本明細書に記載される実施形態のいずれかに係る治療活性薬剤、吸収促進剤、及びアルカリ性基含有ポリマー)から本質的になる、或いは、組成物は、好適な薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤をさらに含む。
【0169】
以後、同義的に使用され得る「生理学的に許容される担体」及び「薬学的に許容される担体」という語句は、生物に顕著な刺激を引き起こさず、機能的成分(例えば、治療活性薬剤)の活性(例えば、生物学的活性)及び特性を抑制しない担体又は希釈剤を指す。アジュバントは、これらの語句に含まれる。
【0170】
本明細書において、「賦形剤」という用語は、有効成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性物質を指す。賦形剤の例としては、限定はされないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖及びデンプンのタイプ(例えば、非変性デンプンのタイプ)、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0171】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、組成物は、固体組成物、例えば、固体単位剤形として製剤化される。いくつかの実施形態において、組成物は、錠剤又は錠剤の組合せ(例えば、複数のミニ錠剤)として製剤化される。いくつかの実施形態において、組成物は、本明細書に記載されるように、カプセル剤として製剤化され、これは、例えば、複数のミニ錠剤及び/又は粉末を含み、胃液に(例えば、胃内pHで)溶解可能であるか、或いは胃液に接触すると直ぐに(例えば、5分未満、又は2分未満又は1分未満以内で)カプセル剤の内容物を放出するコーティングを有する。
【0172】
製剤の成分(限定はされないが、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかのアルカリ性基含有ポリマー、吸収促進剤及び治療活性薬剤のいずれか2つ以上を含む)は、任意に、均一に混合されてもよく、又は組成物全体にわたって不均一に分配されてもよい。
【0173】
薬物の製剤化及び投与のための技術は、参照により本明細書に援用される、“Remington’s Pharmaceutical Sciences,” Mack Publishing Co., Easton, PAの最新版に見出され得る。
【0174】
本発明のいくつかの実施形態の医薬組成物及び単位剤形は、当該技術分野において周知の方法によって、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、粉末化、乳化、カプセル封入、捕捉又は凍結乾燥プロセスによって製造され得る。
【0175】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に従って使用するための医薬組成物及び単位剤形は、有効成分の、薬学的に使用され得る製剤への処理を容易にする、賦形剤及び助剤を含む1つ以上の生理学的に許容される担体を用いて、従来の方法で製剤化され得る。医薬組成物及び単位剤形は、経口投与に好適であるように、当該技術分野において周知の薬学的に許容される担体と、活性化合物を組み合わせることによって容易に製剤化され得る。このような担体は、任意に、患者への経口投与のための、錠剤(ミニ錠剤を含む)、ペレット、丸薬、糖衣錠、カプセル剤、粉末、顆粒、エリキシル剤、チンキ剤、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液、乳剤などとしての医薬組成物の製剤化を容易にする。経口使用のための薬理学的製剤は、固体賦形剤を用いて作製され得、任意に、得られた混合物を粉砕し、必要に応じて好適な助剤を添加した後、顆粒の混合物を処理して、錠剤又は糖衣錠コアを得る。経口投与に好適な医薬組成物及び単位剤形としては、限定はされないが、速放性、時間制御放出、持続放出、及び遅延放出医薬品剤形が挙げられる。それぞれの実施形態のいずれかのいくつかにおいて、経口投与用に製剤化される医薬組成物は、固体組成物、例えば、錠剤、カプセル剤、粉末又は顆粒である。
【0176】
好適な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖などの充填剤、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロースなどのセルロース製剤、トウモロコ、コムギ、コメ、及び/又はジャガイモのデンプン等の未修飾デンプン、ゼラチン、トラガカントガム、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)などの生理学的に許容されるポリマーである。必要に応じて、タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤が添加され得る。
【0177】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物又は単位剤形(例えば、錠剤として製剤化される)のいずれか1つは、滑沢剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、滑沢剤は、5重量パーセント以下、任意に、2重量パーセント以下、任意に、約1重量パーセントの濃度で含まれる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物又は単位剤形(例えば、錠剤として製剤化される)は、治療活性薬剤(本明細書に記載されるような)、吸収促進剤、滑沢剤、アルカリ性基含有ポリマー、及び任意のプロテアーゼ阻害剤(本明細書に記載されるような)から本質的になる。いくつかの実施形態において、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0178】
本明細書に記載される組成物又は単位剤形(例えば、錠剤として製剤化される)は、その代わりに又はそれに加えて、添加剤及び/又はさらなる薬剤、例えば、酸化防止剤、溶媒、臭気吸収剤、キレート剤、保存剤、増粘剤、着色料又は着色剤(顔料、真珠層、水溶性染料)、分散剤、充填剤、着香剤及び殺菌剤を含み得る。
【0179】
糖衣錠コアには、任意に、好適なコーティングが提供される。このために、濃縮された糖溶液が使用されてもよく、これは、任意に、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー液及び好適な有機溶媒又は溶媒混合物を含有し得る。染料又は顔料が、識別のため又は活性化合物用量の異なる組合せを特徴付けるために、錠剤又は糖衣錠コーティングに添加され得る。
【0180】
経口で使用され得る医薬組成物は、ゼラチンで作製される押し込み型カプセル剤、並びにゼラチン及び可塑剤、例えば、グリセロール又はソルビトール、プルラン、又はHPMCで作製される軟質の密封カプセル剤を含む。押し込み型カプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤及び、任意に、安定剤と混合して有効成分を含有し得る。軟カプセル剤において、有効成分は、脂肪油、流動パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの好適な液体に溶解又は懸濁され得る。さらに、安定剤が添加され得る。
【0181】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、本明細書に記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに係る医薬組成物及び/又は単位剤形は、胃腸溶性コーティングを含まないか、又は他の場合、胃腸管中(例えば、胃液中)で溶解可能であり、及び/若しくは胃液と接触した直後(例えば、5分以下、又は2分以下、又は1分以下/以内)に内容物を放出するコーティングを含む。
【0182】
本発明のいくつかの実施形態に関して使用するのに好適な医薬組成物は、治療活性薬剤が意図される目的を達成するのに有効な量で含まれる組成物を含む。より特定的に、組成物は、好ましくは、治療有効量の治療活性薬剤、すなわち、治療される対象の疾患の症状を予防、軽減若しくは改善するか又は生存期間を延長するのに有効な量の治療活性薬剤を含む。さらに、吸収促進剤の量は、好ましくは、(例えば、本明細書に記載される方法で)治療活性薬剤の吸収を促進するのに有効である。(存在する場合)プロテアーゼ阻害剤の量は、好ましくは、プロテアーゼによる治療活性薬剤(例えば、ポリペプチド剤)の分解を阻害するのに有効である。
【0183】
治療有効量の決定は、特に、本明細書に示される詳細な開示を考慮すれば、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0184】
本発明の方法において使用される任意の製剤について、治療有効量又は用量は、最初にインビトロ及び細胞培養アッセイから推定され得る。例えば、所望の濃度又は力価を達成するための用量が、動物モデルにおいて配合され得る。このような情報を用いて、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。
【0185】
本明細書に記載される治療活性薬剤の毒性及び治療効果は、インビトロで、細胞培養物又は実験動物中で、標準的な薬学的手順によって決定され得る。これらのインビトロ及び細胞培養アッセイ及び動物試験から得られたデータを用いて、ヒトにおける使用のための投与量の範囲を配合することができる。投与量は、用いられる剤形及び用いられる投与経路に応じて変化し得る。正確な配合及び投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択され得る(例えば、“The Pharmacological Basis of Therapeutics”, Ch. 1 p.1内のFingl et al., 1975を参照)。
【0186】
投与量及び間隔は、生物学的効果を誘導又は抑制するのに十分な治療活性薬剤のレベル(例えば、血漿中レベル)を提供するように個別に調整され得る(最小有効濃度、MEC)。MECは、各製剤について変化するが、インビトロデータから推定され得る。MECを達成するのに必要な投与量は、個々の特徴に依存する。検出アッセイを用いて、血漿中濃度を決定することができる。
【0187】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、本明細書に記載の対応する実施形態のいずれかによる治療活性薬剤の用量(例えば、本明細書に記載の対応する実施形態のいずれかによる単位剤形組成物中の活性薬剤の量)は、治療活性薬剤として少なくとも1mgである。いくつかのこのような実施形態において、用量は、治療活性薬剤として少なくとも3mgである。いくつかのこのような実施形態において、用量は、治療活性薬剤として少なくとも10mgである。いくつかのこのような実施形態において、用量は、治療活性薬剤として少なくとも30mgである。いくつかのこのような実施形態において、用量は、治療活性薬剤として少なくとも100mgである。いくつかのこのような実施形態において、用量は、治療活性薬剤として少なくとも300mgである。上記の実施形態のいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)又はその塩(例えば、ナトリウム8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート)である。
【0188】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかにおいて、本明細書に記載の対応する実施形態のいずれかによる治療活性薬剤の用量(例えば、本明細書に記載の対応する実施形態のいずれかによる単位剤形組成物中の活性薬剤の量)は、治療活性薬剤として1,000mg以下(例えば、1~1,000mg、又は3~1,000mg、又は10~1,000mg、又は30~1,000mg、又は100~1,000mg、又は300~1,000mg)である。いくつかの実施形態において、用量は、治療活性薬剤として500mg以下(例えば、1~500mg、又は3~500mg、又は10~50mg、又は30~500mg、又は100~500mg、又は300~500mg)である。いくつかの実施形態において、用量は、治療活性薬剤として300mg以下(例えば、1~3,000μg、又は3~300mg、又は10~300mg、又は30~300mg、又は100~300mg)である。上記の実施形態のいくつかにおいて、吸収促進剤は、NAC(8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリル酸)又はその塩(例えば、ナトリウム8-N-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノカプリレート)である。
【0189】
治療される病態の重症度及び応答性に応じて、投与は、単回又は複数回の投与のものであってよく、治療の経過は、数時間から数週間又は治癒がもたらされるか若しくは病状の縮小が達成されるまで継続する。
【0190】
投与される組成物の量は、当然ながら、治療される対象、苦痛の重症度、投与の様式、処方医師の判断などに依存する。
【0191】
各投与は、任意に、単一剤形、又は複数の単位剤形を用いて行われ得る。複数の単位剤形が、任意に、あくまでも便宜上(例えば、2つ又は3つの単位剤形が使用される)、或いは、国際公開第2018/033927号パンフレットに記載されるそれぞれの実施形態のいずれかに従って、吸収の変動性を低下させるために使用されることがあり、例えば、少なくとも3つ又は少なくとも4つの単位剤形が使用される(例えば、3~10又は4~10(それらの間の任意の中間値及び部分範囲を含む)。
【0192】
本発明のいくつかの実施形態の組成物は、必要に応じて、FDAに認可されたキットなどのパック又はディスペンサーデバイス中で提供されることがあり、これは、有効成分を含有する1つ以上の単位剤形を含有し得る。パックは、例えば、ブリスターパックなど、金属又はプラスチック箔を含み得る。パック又はディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が添付され得る。パック又はディスペンサーにはまた、医薬品の製造、使用又は販売を規制する行政機関によって規定される形態の容器に関連する通知書が添付されてもよく、この通知書は、組成物の形態又はヒト若しくは動物への投与に関する機関による認可を反映するものである。このような通知書は、例えば、処方薬については米国食品医薬品局により認可されたラベル又は認可された添付文書のものであり得る。本発明の製剤を含む組成物はまた、本明細書においてさらに詳述されるように、(例えば、本明細書に記載されるように)調製され、適切な容器中に入れられ、適応疾患の治療用であると標識され得る。
【0193】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、治療活性薬剤がポリペプチドである場合、組成物は、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤を含み、例えば、プロテアーゼ阻害剤の種類、プロテアーゼ阻害剤の濃度及び/又は絶対量、及び/又は吸収促進剤及び/又は治療活性薬剤に対するプロテアーゼ阻害剤の比率のそれぞれの内容は、米国特許出願公開第2011/0142800号明細書、及び国際公開第2016/128972号パンフレット及び国際公開第2018/033927号パンフレットのいずれかに記載されるプロテアーゼ阻害剤に関連する実施形態のいずれか1つに基づくものである。上記文献の内容(特に、プロテアーゼ阻害剤に関連する内容)は本明細書に援用される。
【0194】
本明細書全体を通して、「プロテアーゼ阻害剤」という用語は、プロテアーゼのタンパク質分解活性(例えば、本明細書に記載される治療活性薬剤を不活性化するタンパク質分解活性)を低下させる化合物を指す。「プロテアーゼ阻害剤」という用語は、例えば、高分子(例えば、タンパク質)及び小分子の両方、並びに天然化合物及び合成化合物の両方を包含する。
【0195】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤は、少なくとも1つのトリプシン阻害剤を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤は、1つ以上のトリプシン阻害剤から本質的になる。
【0196】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに用いられ得るトリプシン阻害剤の例としては、限定はされないが、ライマメトリプシン阻害剤、アプロチニン、ダイズトリプシン阻害剤、オボムコイドトリプシン阻害剤及びそれらの任意の組合せが挙げられる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのトリプシン阻害剤は、ダイズトリプシン阻害剤(SBTI)を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのトリプシン阻害剤(任意に、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤)は、SBTIから本質的になる。
【0197】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤は、少なくとも1つのセルピンを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤は、1つ以上のセルピンから本質的になる。
【0198】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに用いられ得るセルピンの例としては、限定はされないが、α1-アンチトリプシン、アンチトリプシン関連タンパク質、α1-アンチキモトリプシン、カリスタチン、プロテインC阻害剤、コルチゾール結合グロブリン、チロキシン結合グロブリン、アンジオテンシノーゲン、センテリン、プロテインZ関連プロテアーゼ阻害剤、バスピン、単球/好中球エラスターゼ阻害剤、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤-2、扁平上皮細胞癌抗原-2(SCCA-2)、扁平上皮細胞癌抗原-2(SCCA-2)、マスピン、プロテイナーゼ阻害剤6(PI-6)、メグシン、セルピンB8(PI-8)、セルピンB9(PI-9)、ボマピン、ユコピン、フルピン/ヘッドピン、抗トロンビン、ヘパリンコファクターII、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤1、グリア由来ネキシン、色素上皮由来因子、α2-アンチプラスミン、補体1阻害剤、47kDaの熱ショックタンパク質(HSP47)、ニューロセルピン及びパンクピンが挙げられる。
【0199】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤は、少なくとも1つのシステインプロテアーゼ阻害剤を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤は、1つ以上のシステインプロテアーゼ阻害剤から本質的になる。
【0200】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに用いられ得るシステインプロテアーゼ阻害剤の例としては、限定はされないが、1型シスタチン、2型シスタチン、ヒトシスタチンC、D、S、SN、及びSA、シスタチンE/M、シスタチンF、及び3型シスタチン(キニノーゲンを含む)が挙げられる。
【0201】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤は、少なくとも1つのトレオニンプロテアーゼ阻害剤を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤は、1つ以上のトレオニンプロテアーゼ阻害剤から本質的になる。
【0202】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに用いられ得るトレオニンプロテアーゼ阻害剤の例としては、限定はされないが、ボルテゾミブ、MLN-519、ER-807446及びTMC-95Aが挙げられる。
【0203】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤は、少なくとも1つのアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤は、1つ以上のアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤から本質的になる。
【0204】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに用いられ得るアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤の例としては、限定はされないが、α2-マクログロブリン、ペプスタチンA、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤11、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤1、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤2、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤3、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤4、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤5、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤6、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤7、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤8、アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤9、ペプシン阻害剤Dit33、及びプロテアーゼA阻害剤3が挙げられる。
【0205】
本明細書に記載される実施形態のいずれかのいくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤は、少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害剤を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤は、1つ以上のメタロプロテアーゼ阻害剤から本質的になる。
【0206】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに用いられ得るメタロプロテアーゼ阻害剤の例としては、限定はされないが、アンジオテンシン-2変換酵素阻害ペプチド、抗出血因子BJ46a、β-カゼイン、プロテイナーゼ阻害剤CeKI、ヘビ毒メタロプロテイナーゼ阻害剤DM43、カルボキシペプチダーゼA阻害剤、smpI、IMPI、アルカリプロテイナーゼ、ラテキシン、カルボキシペプチダーゼ阻害剤、抗出血因子HSF、テスティカン-3、SPOCK3、TIMP1、メタロプロテイナーゼ阻害剤1、メタロプロテイナーゼ阻害剤2、TIMP2、メタロプロテイナーゼ阻害剤3、TIMP3、メタロプロテイナーゼ阻害剤4、TIMP4、推定メタロプロテイナーゼ阻害剤タグ-225、メタロプロテアーゼの組織阻害剤、WAP、カザール型阻害剤、免疫グロブリン、並びにクニッツ型及びNTRドメイン含有タンパク質1が挙げられる。
【0207】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つに用いられ得るプロテアーゼ阻害剤の例としては、限定はされないが、AEBSF-HCl、ε-アミノカプロン酸、α1-抗キモトリプシン、アンチパイン、抗トロンビンIII、α1-アンチトリプシン、APMSF(4-アミジノフェニル-メタンスルホニルフルオリド)、スプロチニン、ベンズアミジン、キモスタチン、DFP(ジイソプロピルフルオロホスフェート)、ロイペプチン、4-(2-アミノエチル)-ベンゼンスルホニルフルオリド塩酸塩、PMSF(フェニルメチルスルホニルフルオリド)、TLCK(1-クロロ-3-トシルアミド-7-アミノ-2-ヘプタノン)、TPCK(1-クロロ-3-トシルアミド-4-フェニル-2-ブタノン)、ペンタミジンイセチオネート、ペプスタチン、グアニジウム、α2-マクログロブリン、亜鉛のキレート剤、及びヨード酢酸も挙げられる。
【0208】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約0.1mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約0.2mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約0.3mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約0.4mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約0.6mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約0.8mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約1mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約1.5mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約2mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約2.5mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約3mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約5mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約7mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約10mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約12mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約15mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約20mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約30mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約50mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約70mgである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約100mgである。
【0209】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、0.1~1mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、0.2~1mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、0.3~1mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、0.5~1mgの範囲である。
【0210】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、0.1~2mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、0.2~2mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、0.3~2mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、0.5~2mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、1~2mgの範囲である。
【0211】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、1~10mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、2~10mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、3~10mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、5~10mgの範囲である。
【0212】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、1~20mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、2~20mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、3~20mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、5~20mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、10~20mgの範囲である。
【0213】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、10~100mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、20~100mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、30~100mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、50~100mgの範囲である。
【0214】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、10~200mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、20~200mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、30~200mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、50~200mgの範囲である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、100~200mgの範囲である。
【0215】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約10カリクレイン不活性化因子単位(k.i.u.)である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約12k.i.uである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約15k.i.uである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約20k.i.uである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約30k.i.uである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約40k.i.uである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約50k.i.uである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約70k.i.uである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約100k.i.uである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約150k.i.uである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約200k.i.uである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約300k.i.uである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約500k.i.uである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約700k.i.uである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約1000k.i.uである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約1500k.i.uである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約3000k.i.uである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約4000k.i.uである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される単位剤形中のプロテアーゼ阻害剤の量は、少なくとも約5000k.i.uである。
【0216】
本明細書及び当該技術分野において、「カリクレイン不活性化単位」(k.i.u)は、(例えば、プロテアーゼ阻害剤の活性にとって最適なpH及び溶液体積の水溶液中で)2単位のカリクレインを50%阻害する能力を有するプロテアーゼ阻害剤の量を指す。
【0217】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、治療活性薬剤に対するプロテアーゼ阻害剤の重量比は、1:1~5:1(プロテアーゼ阻害剤:治療活性薬剤)の範囲である。いくつかの実施形態において、治療活性薬剤に対するプロテアーゼ阻害剤の重量比は、5:1~10:1の範囲である。いくつかの実施形態において、治療活性薬剤に対するプロテアーゼ阻害剤の重量比は、10:1~20:1の範囲である。いくつかの実施形態において、治療活性薬剤に対するプロテアーゼ阻害剤の重量比は、20:1~30:1の範囲である。いくつかの実施形態において、治療活性薬剤に対するプロテアーゼ阻害剤の重量比は、30:1~40:1の範囲である。いくつかの実施形態において、治療活性薬剤に対するプロテアーゼ阻害剤の重量比は、40:1~50:1の範囲である。いくつかの実施形態において、治療活性薬剤に対するプロテアーゼ阻害剤の重量比は、50:1~75:1の範囲である。いくつかの実施形態において、治療活性薬剤に対するプロテアーゼ阻害剤の重量比は、75:1~100:1の範囲である。いくつかの実施形態において、治療活性薬剤に対するプロテアーゼ阻害剤の重量比は、100:1~200:1の範囲である。いくつかの実施形態において、治療活性薬剤に対するプロテアーゼ阻害剤の重量比は、200:1~300:1の範囲である。いくつかの実施形態において、治療活性薬剤に対するプロテアーゼ阻害剤の重量比は、300:1~400:1の範囲である。いくつかの実施形態において、治療活性薬剤に対するプロテアーゼ阻害剤の重量比は、400:1~500:1の範囲である。いくつかの実施形態において、プロテアーゼ阻害剤は、ダイズトリプシン阻害剤である。
【0218】
追加の定義:
本明細書において、「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合又はその類似体によって、及び任意に、ペプチド結合自体のみによって連結された少なくとも4つのアミノ酸残基を含む(本明細書に記載されるような)ポリマーを指す。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、少なくとも10個のアミノ酸残基又はその類似体を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、少なくとも20個のアミノ酸残基又はその類似体を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、少なくとも30個のアミノ酸残基又はその類似体を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、少なくとも50個のアミノ酸残基又はその類似体を含む。「ポリペプチド」という用語は、天然ポリペプチド(例えば、分解産物、合成的に合成されたポリペプチド及び/又は組換えポリペプチド)を、限定はされないが、天然タンパク質、天然タンパク質の断片及び置換誘導体及び天然タンパク質のホモログ及び/又はその断片及び/又は置換誘導体、並びにペプチド模倣薬(典型的に、合成的に合成されたポリペプチド)及びポリペプチド類似体であるペプトイド及びセミペプトイドを含めて包含し、これは、例えば、ポリペプチドを体内でより安定にするか又は細胞により浸透しやすくするような修飾を有し得る。このような修飾としては、限定はされないが、(例えば、アシル基による)N末端修飾、(例えば、アプラグルチドやグレパグルチドに見られるアミド化による)C末端修飾、ペプチド結合修飾、骨格修飾、及び残基修飾が挙げられる。ペプチド模倣化合物を調製するための方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、本明細書に完全に記載されたかのように参照により援用される、Quantitative Drug Design, C.A. Ramsden Gd., Chapter 17.2, F. Choplin Pergamon Press (1992)において規定されている。これに関するさらなる詳細は、本明細書に示される。
【0219】
ポリペプチド内のペプチド結合(-CO-NH-)は、例えば、Nメチル化アミド結合(-N(CH3)-CO-)、エステル結合(-C(=O)-O-)、ケトメチレン結合(-CO-CH2-)、スルフィニルメチレン結合(-S(=O)-CH2-)、α-アザ結合(-NH-N(R)-CO-)(式中、Rが、任意のアルキル(例えば、メチル)である)、アミン結合(-CH2-NH-)、スルフィド結合(-CH2-S-)、エチレン結合(-CH2-CH2-)、ヒドロキシエチレン結合(-CH(OH)-CH2-)、チオアミド結合(-CS-NH-)、オレフィン二重結合(-CH=CH-)、フッ素化オレフィン二重結合(-CF=CH-)、レトロアミド結合(-NH-CO-)、ペプチド誘導体(-N(R)-CH2-CO-)(式中、Rが、炭素原子上に天然に存在する「ノルマル」側鎖である)で置換され得る。
【0220】
これらの修飾は、ポリペプチド鎖に沿った結合のいずれかで及びさらには同時にいくつか(2~3つ)の結合で生じ得る。
【0221】
天然の芳香族アミノ酸、Trp、Tyr及びPheは、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic)、ナフチルアラニン、Pheの環メチル化誘導体、Phe又はO-メチル-Tyrのハロゲン化誘導体などの非天然芳香族アミノ酸で置換され得る。
【0222】
本発明のいくつかの実施形態のポリペプチド(例えば、本明細書に記載される治療活性薬剤)は、1つ以上の修飾アミノ酸又は1つ以上の非アミノ酸モノマー(例えば脂肪酸、複合糖質など)も含み得る。
【0223】
「アミノ酸(amino acid)」又は「アミノ酸(amino acids)」という用語は、20個の天然アミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、ホスホセリン及びホスホトレオニンを含む、インビボで翻訳後修飾されたアミノ酸、並びに限定はされないが、2-アミノアジピン酸、ヒドロキシリシン、イソデスモシン、ノルバリン、ノルロイシン及びオルニチンを含む他の異常アミノ酸を含むことが理解される。さらに、「アミノ酸」という用語は、D-及びL-アミノ酸の両方を含む。
【0224】
以下の表A及び表Bは、本発明のいくつかの実施形態とともに使用され得る、天然アミノ酸(表A)、及び非従来的又は修飾アミノ酸(例えば、合成、表B)を列挙する。
【0225】
【0226】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【0227】
本発明のいくつかの実施形態のポリペプチド(例えば、本明細書に記載される治療活性薬剤)は、好ましくは、直鎖形態で用いられるが、環化がポリペプチドの特徴を大きく妨げない場合、ポリペプチドの環状形態も用いられ得ることが理解されるであろう。
【0228】
本明細書に記載される実施形態のいずれか1つのいくつかの実施形態において、ポリペプチドは、本明細書において定義されるように、水溶性である。
【0229】
水溶性ポリペプチドは、好ましくは、1つ以上の非天然又は天然の極性アミノ酸を含み、これは、限定はされないが、ヒドロキシル含有側鎖のためポリペプチドの水溶性を増加させることが可能なセリン及びトレオニンを含む。任意に、例えば、ポリペプチド中の1つ以上のアミノ酸を極性アミノ酸で置換することによって、親ポリペプチドより水溶性になるように、ポリペプチドのホモログが選択される。
【0230】
本発明のいくつかの実施形態のポリペプチド(例えば、本明細書に記載される治療活性薬剤)は、ペプチド合成の技術分野の当業者に公知である任意の技術によって合成され得る。固相ペプチド合成については、多くの技術の概要が、J. M. Stewart and J. D. Young, Solid Phase Peptide Synthesis, W. H. Freeman Co. (San Francisco), 1963及びJ. Meienhofer, Hormonal Proteins and Peptides, vol. 2, p. 46, Academic Press (New York), 1973に見出され得る。古典的溶液合成については、G. Schroder and K. Lupke, The Peptides, vol. 1, Academic Press (New York), 1965を参照されたい。
【0231】
一般に、これらの方法は、成長しているポリペプチド鎖への、1つ以上のアミノ酸又は好適に保護されたアミノ酸の連続的付加を含む。通常、最初のアミノ酸のアミノ基又はカルボキシル基のいずれかが、好適な保護基によって保護される。次に、保護された又は誘導体化されたアミノ酸は、アミド結合を形成するのに好適な条件下で、好適に保護された相補的な(アミノ又はカルボキシル)基を有する、配列中の次のアミノ酸を付加することによって、不活性固体支持体に結合されるか又は溶液中で用いられ得る。次に、この新たに付加されたアミノ酸残基から保護基が除去され、続いて、(好適に保護された)次のアミノ酸が付加されることが繰り返される。全ての所望のアミノ酸が、適切な配列に連結された後、任意の残存する保護基(及び任意の固相支持体)が、連続的又は同時に除去されて、最終的なポリペプチド化合物が得られる。この一般的な手順の単純な変更によって、例えば、保護されたトリペプチドを、適切に保護されたジペプチドと(キラル中心をラセミ化しない条件下で)カップリングして、脱保護の後、ペンタペプチドを形成することなどによって、成長鎖に一度に2つ以上のアミノ酸を付加することが可能である。ペプチド合成のさらなる説明が、米国特許第6,472,505号明細書に開示されている。
【0232】
本発明のいくつかの実施形態のポリペプチド化合物(例えば、本明細書に記載される治療活性薬剤)を調製する好ましい方法は、固相ペプチド合成を含む。
【0233】
大規模なポリペプチド合成が、Andersson et al.[Biopolymers 2000;55:227-250]によって記載されている。
【0234】
本明細書において、所与のポリペプチドの「ホモログ」は、所与のポリペプチドに対して少なくとも80%の相同性、好ましくは、少なくとも90%の相同性、より好ましくは、少なくとも95%の相同性、より好ましくは、少なくとも98%の相同性を示すポリペプチドを指す。いくつかの実施形態において、所与のポリペプチドのホモログは、所与のポリペプチドと治療活性をさらに共有する。相同性のパーセンテージは、第1のポリペプチドと比較される第2のポリペプチド配列の対応する残基と一致する、第1のポリペプチド配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージを指す。一般に、ポリペプチドは、最大の相同性が得られるようにアライメントされる。例えば、手動によるアライメント、コンピュータ支援配列アライメント及びそれらの組合せを含む、同一性の程度を評価するためのアミノ酸配列の比較を行うための様々な手法が当該技術分野において公知である。配列アライメントを実施するためのいくつかのアルゴリズム(一般に、コンピュータに実装されるもの)が、広く利用可能であるか、又は当業者によって作製され得る。代表的なアルゴリズムとしては、例えば、Smith及びWatermanの局所的相同性アルゴリズム(Adv. Appl. Math., 1981, 2:482)、Needleman及びWunschの相同性アライメントアルゴリズム(J. Mol. Biol., 1970, 48:443)、Pearson及びLipmanの類似性検索法(Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 1988, 85:2444)、及び/又はこれらのアルゴリズムのコンピュータによる実行(例えば、the Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis.中の、GAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)が挙げられる。このようなアルゴリズムを組み込んだ、容易に入手可能なコンピュータプログラムとしては、例えば、BLASTN、BLASTP、ギャップ付BLAST、PILEUP、CLUSTALWなどが挙げられる。BLAST及びギャップ付BLASTプログラムを用いる場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメータが使用され得る。或いは、実務者は、自身の実験及び/又は他の要件に応じて、非デフォルトパラメータを使用してもよい(例えば、URLがwww(dot)ncbi(dot)nlm(dot)nih(dot)govであるウェブサイトを参照)。
【0235】
本明細書において、「アミン」及び「アミノ」という用語はそれぞれ、-NR’R’’基を指し、式中、R’及びR’’がそれぞれ、本明細書において定義されるように、水素又は置換若しくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(その環炭素を介してアミン窒素に結合された)ヘテロ脂環、アリール、又は(その環炭素を介してアミン窒素に結合された)ヘテロアリールである。或いは、R’及びR’’が、任意に、(本明細書において定義されるような)ヘテロ脂環環を形成するように結合され得る。任意に、R’及びR’’及びR’’’が、水素又は1~4個の炭素原子を含むアルキルである。任意に、R’及びR’’の少なくとも1つが、水素であり、任意に、両方が水素である。置換される場合、R’及びR’’が(例えば)カルボニル、C-カルボキシ又はアミド(これらの基は本明細書において定義される通り)にならないように、アミンの窒素原子に結合したR’及びR’’炭化水素部分の炭素原子はオキソで置換されない。
【0236】
本明細書全体を通して使用される際、「アルキル」という用語は、直鎖状及び分枝鎖状基を含む任意の飽和脂肪族炭化水素を指す。好ましくは、アルキル基は、1~20個の炭素原子を有する。数値範囲、例えば、「1~20」が、本明細書に記載されるときはいつでも、それは、基、この場合は炭化水素が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、20個を含む最大20個の炭素原子を含有し得ることを示唆している。より好ましくは、アルキルは、1~10個の炭素原子を有する中型アルキルである。最も好ましくは、特に示されない限り、アルキルは、1~4個の炭素原子を有する低級アルキルである。アルキル基は、置換又は非置換であり得る。置換される場合、置換基は、例えば、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、スルホネート、スルフェート、シアノ、ニトロ、アジド、ホスホニル、ホスフィニル、オキソ、イミン、オキシム、ヒドラゾン、カルボニル、チオカルボニル、尿素基、チオ尿素基、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、S-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、スルホンアミド、グアニル、グアニジニル、ヒドラジン、ヒドラジド、チオヒドラジド、及びアミノであり得、これらの用語は、本明細書において定義されている通りである。
【0237】
本明細書において、「アルケニル」という用語は、直鎖状及び分枝鎖状基を含む、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素を表す。好ましくは、アルケニル基は、2~20個の炭素原子を有する。より好ましくは、アルケニルは、2~10個の炭素原子を有する中型アルケニルである。最も好ましくは、特に示されない限り、アルケニルは、2~4個の炭素原子を有する低級アルケニルである。アルケニル基は、置換又は非置換であり得る。置換アルケニルは、1つ以上の置換基を有してもよく、各置換基は、独立して、例えば、アルキニル、シクロアルキル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、スルホネート、スルフェート、シアノ、ニトロ、アジド、ホスホニル、ホスフィニル、オキソ、イミン、オキシム、ヒドラゾン、カルボニル、チオカルボニル、尿素基、チオ尿素基、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、S-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、スルホンアミド、グアニル、グアニジニル、ヒドラジン、ヒドラジド、チオヒドラジド、及びアミノであり得る。
【0238】
本明細書において、「アルキニル」という用語は、直鎖状及び分枝鎖状基を含む、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素を表す。好ましくは、アルキニル基は、2~20個の炭素原子を有する。より好ましくは、アルキニルは、2~10個の炭素原子を有する中型アルキニルである。最も好ましくは、特に示されない限り、アルキニルは、2~4個の炭素原子を有する低級アルキニルである。アルキニル基は、置換又は非置換であり得る。置換アルキニルは、1つ以上の置換基を有してもよく、各置換基は、独立して、例えば、シクロアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、スルホネート、スルフェート、シアノ、ニトロ、アジド、ホスホニル、ホスフィニル、オキソ、イミン、オキシム、ヒドラゾン、カルボニル、チオカルボニル、尿素基、チオ尿素基、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、S-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、スルホンアミド、グアニル、グアニジニル、ヒドラジン、ヒドラジド、チオヒドラジド、及びアミノであり得る。
【0239】
「シクロアルキル」基は、飽和又は不飽和の全炭素単環又は縮合環(すなわち、炭素原子の隣接対を共有する環)基を指し、環の1つ以上が、完全に共役されたπ電子系を有さない。シクロアルキル基の例は、限定はされないが、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプタトリエン、及びアダマンタンである。シクロアルキル基は、置換又は非置換であり得る。置換される場合、置換基は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、スルホネート、スルフェート、シアノ、ニトロ、アジド、ホスホニル、ホスフィニル、オキソ、イミン、オキシム、ヒドラゾン、カルボニル、チオカルボニル、尿素基、チオ尿素基、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、S-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、スルホンアミド、グアニル、グアニジニル、ヒドラジン、ヒドラジド、チオヒドラジド、及びアミノであり得、これらの用語は、本明細書において定義される通りである。シクロアルキル基が不飽和である場合、それは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含み得る。
【0240】
「アリール」基は、完全に共役されたπ電子系を有する全炭素単環又は縮合環多環(すなわち、炭素原子の隣接対を共有する環)を指す。アリール基の例は、限定はされないが、フェニル、ナフタレニル及びアントラセニルである。アリール基は、置換又は非置換であり得る。置換される場合、置換基は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、スルホネート、スルフェート、シアノ、ニトロ、アジド、ホスホニル、ホスフィニル、オキソ、イミン、オキシム、ヒドラゾン、カルボニル、チオカルボニル、尿素基、チオ尿素基、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、S-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、スルホンアミド、グアニル、グアニジニル、ヒドラジン、ヒドラジド、チオヒドラジド、及びアミノであり得、これらの用語は、本明細書において定義される通りである。
【0241】
「ヘテロアリール」基は、環中に、例えば、窒素、酸素及び硫黄などの1つ以上の原子を有し、さらに、完全に共役されたπ電子系を有する、単環又は縮合環(すなわち、原子の隣接対を共有する環)を指す。ヘテロアリール基の例としては、限定はされないが、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン及びプリンが挙げられる。ヘテロアリール基は、置換又は非置換であり得る。置換される場合、置換基は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、スルホネート、スルフェート、シアノ、ニトロ、アジド、ホスホニル、ホスフィニル、オキソ、イミン、オキシム、ヒドラゾン、カルボニル、チオカルボニル、尿素基、チオ尿素基、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、S-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、スルホンアミド、グアニル、グアニジニル、ヒドラジン、ヒドラジド、チオヒドラジド、及びアミノであり得、これらの用語は、本明細書において定義される通りである。
【0242】
「ヘテロ脂環」基は、環中に、窒素、酸素及び硫黄などの1つ以上の原子を有する、単環又は縮合環基を指す。環は、1つ以上の二重結合も有し得る。しかしながら、環は、完全に共役されたπ電子系を有さない。ヘテロ脂環は、置換又は非置換であり得る。置換される場合、置換基は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、スルホネート、スルフェート、シアノ、ニトロ、アジド、ホスホニル、ホスフィニル、オキソ、イミン、オキシム、ヒドラゾン、カルボニル、チオカルボニル、尿素基、チオ尿素基、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、S-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、スルホンアミド、グアニル、グアニジニル、ヒドラジン、ヒドラジド、チオヒドラジド、及びアミノであり得、これらの用語は、本明細書において定義されている通りである。代表例は、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリンなどである。
【0243】
「アジド」基は、-N=N+=N-基を指す。
【0244】
「アルコキシ」基は、本明細書において定義されるように、-O-アルキル、-O-アルケニル、-O-アルキニル、-O-シクロアルキル、及び-O-ヘテロ脂環基のいずれかを指す。
【0245】
「アリールオキシ」基は、本明細書において定義されるように、-O-アリール及び-O-ヘテロアリール基の両方を指す。
【0246】
「ヒドロキシ」基は、-OH基を指す。
【0247】
「チオヒドロキシ」又は「チオール」基は、-SH基を指す。
【0248】
「チオアルコキシ」基は、本明細書において定義されるように、-S-アルキル、-S-アルケニル、-S-アルキニル、-S-シクロアルキル、及び-S-ヘテロ脂環基のいずれかを指す。
【0249】
「チオアリールオキシ」基は、本明細書において定義されるように、-S-アリール及び-S-ヘテロアリール基の両方を指す。
【0250】
「カルボニル」又は「アシル」基は、-C(=O)-R’基を指し、式中、R’が、上記のように定義される。
【0251】
「チオカルボニル」基は、-C(=S)-R’基を指し、式中、R’が、本明細書において定義されるとおりである。
【0252】
「C-カルボキシ」基は、-C(=O)-O-R’基を指し、式中、R’が、本明細書において定義されるとおりである。
【0253】
「O-カルボキシ」基は、R’C(=O)-O-基を指し、式中、R’が、本明細書において定義されるとおりである。
【0254】
「カルボン酸」基は、-C(=O)OH基を指す。
【0255】
「オキソ」基は、=O基を指す。
【0256】
「イミン」基は、=N-R’基を指し、式中、R’が、本明細書において定義されるとおりである。
【0257】
「オキシム」基は、=N-OH基を指す。
【0258】
「ヒドラゾン」基は、=N-NR’R’’基を指し、式中、R’及びR’’のそれぞれが、本明細書において定義されるとおりである。
【0259】
「ハロ」基は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0260】
「スルフィニル」基は、-S(=O)-R’基を指し、式中、R’が、本明細書において定義されるとおりである。
【0261】
「スルホニル」基は、-S(=O)2-R’基を指し、式中、R’が、本明細書において定義されるとおりである。
【0262】
「スルホネート」基は、-S(=O)2-O-R’基を指し、式中、R’が、本明細書において定義されるとおりである。
【0263】
「スルフェート」基は、-O-S(=O)2-O-R’基を指し、式中、R’が、本明細書において定義されるとおりである。
【0264】
「スルホンアミド(sulfonamide)」又は「スルホンアミド(sulfonamido)」基は、本明細書において定義されるように、S-スルホンアミド及びN-スルホンアミド基の両方を包含する。
【0265】
「S-スルホンアミド」基は、-S(=O)2-NR’R’’基を指し、式中、R’及びR’’のそれぞれが、本明細書において定義されるとおりである。
【0266】
「N-スルホンアミド」基は、R’S(=O)2-NR’’-基を指し、式中、R’及びR’’のそれぞれが、本明細書において定義されるとおりである。
【0267】
「O-カルバミル」基は、-OC(=O)-NR’R’’基を指し、式中、R’及びR’’のそれぞれが、本明細書において定義されるとおりである。
【0268】
「N-カルバミル」基は、R’OC(=O)-NR’’-基を指し、式中、R’及びR’’のそれぞれが、本明細書において定義されるとおりである。
【0269】
「O-チオカルバミル」基は、-OC(=S)-NR’R’’基を指し、式中、R’及びR’’のそれぞれが、本明細書において定義されるとおりである。
【0270】
「N-チオカルバミル」基は、R’OC(=S)NR’’-基を指し、式中、R’及びR’’のそれぞれが、本明細書において定義されるとおりである。
【0271】
「S-チオカルバミル」基は、-SC(=O)-NR’R’’基を指し、式中、R’及びR’’のそれぞれが、本明細書において定義されるとおりである。
【0272】
「アミド」又は「アミド」基は、本明細書において定義されるように、C-アミド及びN-アミド基を包含する。
【0273】
「C-アミド」基は、-C(=O)-NR’R’’基を指し、式中、R’及びR’’のそれぞれが、本明細書において定義されるとおりである。
【0274】
「N-アミド」基は、R’C(=O)-NR’’-基を指し、式中、R’及びR’’のそれぞれが、本明細書において定義されるとおりである。
【0275】
「尿素基」は、-N(R’)-C(=O)-NR’’R’’’基を指し、式中、R’、R’’及びR’’のそれぞれが、本明細書において定義されるとおりである。
【0276】
「チオ尿素基」は、-N(R’)-C(=S)-NR’’R’’’基を指し、式中、R’、R’’及びR’’のそれぞれが、本明細書において定義されるとおりである。
【0277】
「ニトロ」基は、-NO2基を指す。
【0278】
「シアノ」基は、-C≡N基を指す。
【0279】
「ホスホニル」又は「ホスホネート」という用語は、-P(=O)(OR’)(OR’’)基を表し、R’及びR’’が、上記に定義されるとおりである。
【0280】
「ホスフェート」という用語は、-O-P(=O)(OR’)(OR’’)基を表し、R’及びR’’のそれぞれが、上記に定義されるとおりである。
【0281】
「ホスフィニル」という用語は、-PR’R’’基を表し、R’及びR’’のそれぞれが、上記に定義されるとおりである。
【0282】
「ヒドラジン」という用語は、-NR’-NR’’R’’’基を表し、R’、R’’、及びR’’’が、上記に定義されるとおりである。
【0283】
本明細書において使用される際、「ヒドラジド」という用語は、-C(=O)-NR’NR’’R’’’基を表し、式中、R’、R’’及びR’”が、本明細書において定義されるとおりである。
【0284】
本明細書において使用される際、「チオヒドラジド」という用語は、-C(=S)-NR’NR’’R’’’基を表し、式中、R’、R’’及びR’”が、本明細書において定義されるとおりである。
【0285】
「グアニジニル」基は、-RaNC(=NRd)-NRbRc基を指し、式中、Ra、Rb、Rc及びRdのそれぞれが、R’及びR’’について本明細書において定義されるとおりであり得る。
【0286】
「グアニル」又は「グアニン」基は、RaRbNC(=NRd)-基を指し、式中、Ra、Rb及びRdが、本明細書において定義されるとおりである。
【0287】
本明細書に記載される実施形態のいずれかについて、本明細書に記載される化合物(治療活性薬剤、吸収促進剤及びポリマーを含む)のそれぞれが、塩、例えば、薬学的に許容される塩の形態、及び/又はプロドラッグの形態であり得る。
【0288】
本明細書において使用される際、「薬学的に許容される塩」という語句は、親化合物及びその対イオンの荷電種を指し、これは、典型的に、投与される化合物の生物学的活性及び特性を抑制せずに、親化合物の溶解度特性を調節し、及び/又は親化合物による生物への顕著な刺激を低減するのに使用される。或いは、本明細書に記載される化合物の薬学的に許容される塩は、化合物の合成中、例えば、反応混合物から化合物を単離する又は化合物を再結晶化する過程で形成され得る。
【0289】
本発明の実施形態のいくつかに関して、本明細書に記載される化合物の薬学的に許容される塩は、任意に、酸付加塩及び/又は塩基付加塩であり得る。
【0290】
酸付加塩は、薬学的に許容される塩を形成する選択された酸に由来する少なくとも1つの対イオンと組み合わせて、正荷電形態である(例えば、塩基性基がプロトン化されている)化合物の少なくとも1つの塩基性(例えば、アミン及び/又はグアニジニル)基を含む。したがって、本明細書に記載される化合物の酸付加塩は、化合物の1つ以上の塩基性基と1当量以上の酸との間に形成される複合体であり得る。
【0291】
塩基付加塩は、薬学的に許容される塩を形成する選択された塩基に由来する少なくとも1つの対イオンと組み合わせて、負荷電形態である(例えば、酸性基が脱プロトン化されている)化合物の少なくとも1つの酸性(例えば、カルボン酸)基を含む。したがって、本明細書に記載される化合物の塩基付加塩は、化合物の1つ以上の酸性基と1当量以上の塩基との間に形成される複合体であり得る。
【0292】
化合物における荷電基と塩における対イオンとの間の化学量論的割合に応じて、酸付加塩及び/又は塩基付加塩は、モノ付加塩又はポリ付加塩のいずれかであり得る。
【0293】
「モノ付加塩」という語句は、本明細書において使用される際、付加塩が、1モル当量の化合物当たり1モル当量の対イオンを含むように、対イオンと化合物の荷電形態との間の化学量論比が1:1である塩を指す。
【0294】
「ポリ付加塩」という語句は、本明細書において使用される際、付加塩が、1モル当量の化合物当たり2モル当量以上の対イオンを含むように、対イオンと化合物の荷電形態との間の化学量論比が、1:1を超え、例えば、2:1、3:1、4:1などである塩を指す。
【0295】
薬学的に許容される塩の例は、限定はされないが、アンモニウムカチオン又はグアニジウムカチオン及びその酸付加塩、及び/又はカルボキシレートアニオン及びその塩基付加塩であろう。
【0296】
塩基付加塩は、薬学的に許容される塩を形成する、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウムなどのカチオン対イオンを含み得る。
【0297】
酸付加塩は、様々な有機及び無機酸、例えば、限定はされないが、塩酸付加塩をもたらす塩酸、臭化水素酸付加塩をもたらす臭化水素酸、酢酸付加塩をもたらす酢酸、アスコルビン酸付加塩をもたらすアスコルビン酸、ベシル酸付加塩をもたらすベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸付加塩をもたらすカンファースルホン酸、クエン酸付加塩をもたらすクエン酸、マレイン酸付加塩をもたらすマレイン酸、リンゴ酸付加塩をもたらすリンゴ酸、メタンスルホン酸(メシル酸)付加塩をもたらすメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸付加塩をもたらすナフタレンスルホン酸、シュウ酸付加塩をもたらすシュウ酸、リン酸付加塩をもたらすリン酸、p-トルエンスルホン酸付加塩をもたらすトルエンスルホン酸、コハク酸付加塩をもたらすコハク酸、硫酸付加塩をもたらす硫酸、酒石酸付加塩をもたらす酒石酸及びトリフルオロ酢酸付加塩をもたらすトリフルオロ酢酸を含み得る。これらの酸付加塩のそれぞれは、モノ付加塩又はポリ付加塩のいずれかであり得、これらの用語は、本明細書において定義されている通りである。
【0298】
本明細書において使用される際、「プロドラッグ」という用語は、体内で活性化合物(例えば、上述される式の化合物)に転化される化合物を指す。プロドラッグは、典型的に、例えば、吸収を促進することによって、投与を容易にするように設計される。プロドラッグは、例えば、エステル基で修飾された活性化合物を含んでもよく、例えば、化合物のヒドロキシル基のいずれか1つ以上が、アシル基、任意に(C1~4)-アシル(例えば、アセチル)基によって修飾されて、エステル基を形成し、及び/又は化合物のカルボン酸基のいずれか1つ以上が、アルコキシ又はアリールオキシ基、任意に(C1~4)-アルコキシ(例えば、メチル、エチル)基によって修飾されて、エステル基を形成する。
【0299】
さらに、本明細書に記載される化合物(治療活性薬剤、吸収促進剤及びポリマーを含む)(その塩を含む)のそれぞれは、その溶媒和物又は水和物の形態であり得る。
【0300】
「溶媒和物」という用語は、溶質(本明細書に記載される複素環化合物)及び溶媒によって形成される、可変の化学量論の複合体(例えば、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-など)を指し、溶媒は、溶質の生物学的活性を妨げない。
【0301】
「水和物」という用語は、溶媒が水である、上記に定義される溶媒和物を指す。
【0302】
本明細書に記載される化合物は、多形として使用され得、本実施形態は、化合物の任意の同形及びそれらの任意の組合せをさらに包含する。
【0303】
本明細書に記載される化合物及び構造は、特定の立体異性体が特に示されない限り、本明細書に記載される化合物のエナンチオマー及びジアステレオマーを含む任意の立体異性体を包含する。
【0304】
本明細書において使用される際、「エナンチオマー」という用語は、互いの完全な反転/鏡映(鏡像)によってのみその対応物に対して重ね合わせることができる化合物の立体異性体を指す。エナンチオマーは、右手及び左手のように互いを指すため「対掌性」を有すると述べられる。エナンチオマーは、それ自体が対掌性を有する環境(あらゆる生物系など)に存在する場合を除いて同一の化学的及び物理的特性を有する。本実施形態に関して、化合物は、1つ以上のキラル中心を示してもよく、それぞれ、(R)又は(S)配置及び任意の組合せを示し、本発明のいくつかの実施形態に係る化合物は、(R)又は(S)配置を示す任意のそれらのキラル中心を有し得る。
【0305】
「ジアステレオマー」という用語は、本明細書において使用される際、互いにエナンチオマーでない立体異性体を指す。ジアステレオマー体(diastereomerism)は、化合物の2つ以上の立体異性体が、同等の(関連する)立体中心の全てではないが1つ以上で異なる配置を有し、互いに鏡像でない場合に生じる。2つのジアステレオマーが、1つのみの立体中心において互いに異なる場合、それらは、エピマーである。各立体中心(不斉中心)は、2つの異なる配置、ひいては2つの異なる立体異性体をもたらす。本発明に関して、本発明の実施形態は、立体配置の任意の組合せで生じる複数のキラル中心を有する化合物、すなわち、任意のジアステレオマーを包含する。
【0306】
本明細書において使用される際、「約」という用語は、±10%を指す。
【0307】
「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語及びそれらの活用形は、「~を含むが、これらに限定されない」を意味する。
【0308】
「からなる」という用語は、「~を含み、これらに限定される」を意味する。
【0309】
「から本質的になる」という用語は、さらなる成分、工程及び/又は部分が、権利請求される組成物、方法又は構造の基本的な及び新規な特徴を実質的に変更しない場合に限り、組成物、方法又は構造が、さらなる成分、工程及び/又は部分を含み得ることを意味する。
【0310】
本出願全体を通して、本発明の様々な実施形態が、範囲の形式で示されることがある。範囲の形式での記載が、便宜上及び簡潔にするためのものであるに過ぎず、本発明の範囲に対する変更不可能な限定として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、全ての可能な部分範囲並びにその範囲内の個々の数値を具体的に開示したと見なされるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、並びにその範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5、及び6を具体的に開示したと見なされるべきである。これは、範囲の幅にかかわらず適用される。
【0311】
数値範囲が本明細書に示される場合は常に、示される範囲内の任意の引用された数値(分数又は整数)を含むことを意味する。第1指示数と第2指示数との「間の範囲」及び第1指示数「から」第2指示数「の範囲」という語句は、同義的に使用され、第1及び第2指示数並びにその間の全ての分数及び整数を含むことを意味する。
【0312】
本明細書において使用される際、「方法」という用語は、所与の作業を実現するための手法、手段、技法及び手順を指し、限定はされないが、化学、薬理学、生物学、生化学及び医学の分野の当業者によって公知の手法、手段、技法及び手順、又は当業者によって公知の手法、手段、技法及び手順から容易に開発可能な手法、手段、技法及び手順を含む。
【0313】
本明細書において使用される際、「治療する」という用語は、病態の進行を抑制すること、実質的に阻害すること、減速させること又は食い止めること、病態の臨床若しくは審美的症状を実質的に改善すること、又は病態の臨床若しくは審美的症状の出現を実質的に防止することを含む。
【0314】
明確にするために、別個の実施形態の文脈において記載される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈において記載される本発明の様々な特徴はまた、別々に、又は任意の好適な部分組合せで、又は本発明の任意の他の記載される実施形態において好適であるとして提供され得る。様々な実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしで動作不能でない限り、それらの実施形態の必須の特徴と見なされない。
【0315】
上記で詳細に説明され、下記の特許請求の範囲内で権利請求される本発明の様々な実施形態及び態様は、以下の実施例において実験的裏付けを示す。
【実施例】
【0316】
ここで、以下の実施例に言及するが、これらは、上記の説明とともに、本発明のいくつかの実施形態を非限定的に例示する。
【0317】
材料及び方法
材料:
クロスカルメロースナトリウム(Parteck(登録商標)CCS;架橋形態;CAS No.74811-65-7)を、Merck社から入手した。
アルギン酸ナトリウム(CAS No.9005-38-3)、平均分子量300~350kDa、室温における粘度350~500mPa(非架橋)を、Carl Roth社から入手した。
カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、CAS No.9004-32-4(非架橋)、低粘度(室温で43mPa)を、Merck社又はAshland社から入手した。
デンプングリコール酸ナトリウムタイプA(Primojel(登録商標)、架橋形態、CAS No.9063-38-2)、平均分子量2,000kDa、室温における粘度は200mPa未満を、DFE Pharma社から入手した。
【0318】
pH計を用いたpH測定:
被検物質を、1、2、4、10、20、50、100及び150mg/mlの濃度で、様々な容積の0.1MのHCl溶液(pH1.2)に溶解させた。pHが安定したままの状態を確実にするために、溶解の直後及び最大で26時間後までに、溶液pHを、ELC-10-00電極(イスラエル国、MRC社)又は細線電極HI1083(HANNA instruments Inc.)を備えたMP-103 pH計(イスラエル国、MRC社)を用いて測定した。実験期間中に得られた最も高いpH値を、各物質の酸中和能力を比較するために記録した。
【0319】
他のpH測定を、好適な比色pH指示薬溶液を試験媒体に加えることによって行った。
【0320】
実施例1
疑似胃液のpHに対する塩基性ポリマーの影響
胃液及び胃液中のSNACの挙動に対する塩基性ポリマーの影響を、疑似胃液としてHCl溶液を用いて調べた。
【0321】
SNAC及び塩基性ポリマーアルギン酸ナトリウム、非架橋(Na-CMC)及び架橋(クロスカルメロースナトリウム、CCS)形態のカルボキシメチルセルロースナトリウム、及びデンプングリコール酸ナトリウム(SSG)を、1、2、4、10、20、50、100及び150mg/mlの濃度で様々な体積の0.1MのHCl溶液(pH1.2)に溶解し、溶液pHを、上記の「材料及び方法」の項に記載されるように、ELC-10-00電極(イスラエル国、MRC社)を備えたMP-103 pH計(イスラエル国、MRC社)を用いて測定した。
【0322】
図1に示されるように、HCl溶液(pH1.2)への添加後、SNACは、迅速に溶解し、pHを濃度依存的に上昇させ、溶解の5分後のpHは、10mg/mlのSNACの添加後に約1.5であり、20mg/mlのSNACの添加後に6.5であり、100mg/mlのSNACの添加後に約7.5であった。
【0323】
これらの結果は、SNACのかなりの割合が、胃内条件下で、塩から対応するカルボン酸(NAC)に転化されることを示し、カルボン酸(NAC)は、塩よりかなり水に溶解しにくく、有効な透過促進剤でない。
【0324】
吸収促進剤の活性形態の損失を低減させながら、pHの有益な増加を得るために、カルボン酸基を含有する様々な濃度の異なるポリマー(アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びクロスカルメロースナトリウム)を0.1MのHCl溶液(pH1.2)へ添加した後のpHに対する影響も評価した。
図2Aは、ELC-10-00電極(イスラエル国、MRC社)を備えたMP-103 pH計(イスラエル国、MRC社)を用いて測定されたpH値を示し、
図2Bは、細線電極HI1083(HANNA instruments Inc.)を備えたMP-103 pH計(イスラエル国、MRC社)を用いて測定されたpH値を示す。
【0325】
図2A及び2Bに示されるように、試験したポリマーのそれぞれが濃度依存的なpHの増加を示し、試験したより高い濃度において約4~4.5のpH値が得られた。
【0326】
アルギン酸ナトリウム、Na-CMC、CCS及びデンプングリコール酸ナトリウム試験粉末は、水性媒体への添加後に(様々な粘度の)ゲルを形成し、このようなゲル中のポリマーの分散は、不均一であり得る。ポリマーの酸中和能力がゲル中のポリマーの濃度によって決定されるかどうかを評価するために、粉末形態のポリマーを酸性媒体に加えて混合しない予備調査を実施した。pH値は、好適なpH指示薬溶液を用いて測定した。
【0327】
粉末形態のポリマーは、局所的な酸中和効果をもたらした。デンプングリコール酸ナトリウムは、強い酸中和を伴い迅速に溶解し、クロスカルメロースナトリウムは、より弱い酸中和を伴い迅速に溶解し、カルボキシメチルセルロースナトリウムは、十分に溶解しなかったが、いくらかの酸中和を示し、アルギン酸ナトリウムは、酸中和をほとんど示さなかった(データは示されていない)。
【0328】
これらの結果は、試験したポリマーの中で、デンプングリコール酸ナトリウム(及びある程度は、クロスカルメロースナトリウム)が、粉末形態で特に強い局所的な酸中和効果を有するため、SNACなどの吸収促進剤を含む腸溶コーティングされていない製剤に特に好適であることを示す。
【0329】
何らかの特定の理論によって制約されるものではないが、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びアルギン酸ナトリウムの限られた効果は、ポリマーマトリックスへの水の遅い浸透に関連し、一方で、デンプングリコール酸ナトリウムの特に有効な酸中和は、少なくとも部分的に、その迅速な吸水率(膨潤)に関連すると考えられる。
【0330】
デンプングリコール酸ナトリウム及びクロスカルメロースナトリウムが、最も強い局所的な酸中和能力を示したため、さらなる実験を、これらポリマーを用いて行った。
【0331】
ポリマーの最大酸中和能力を評価するために、錠剤の形態に圧縮された各ポリマーを用いて実験を繰り返した。
【0332】
予備調査において、平たい丸形の100mgの錠剤を、6mmのパンチ及び2トンの圧縮力を用いて、デンプングリコール酸ナトリウム又はクロスカルメロースナトリウムから形成し、錠剤を、様々なpHレベル(1.2、1.5又は2.0)の40mlのHCl溶液に入れた(静的溶解)。水浴を用いて、37℃の温度を維持した。得られたpH値を、好適なpH指示薬溶液を用いて測定した。
【0333】
デンプングリコール酸ナトリウムの錠剤とクロスカルメロースナトリウムの錠剤は、異なる膨潤パターンを示したが、いずれも、HCl溶液において同等の中和強度を示した(データは示されていない)。デンプングリコール酸ナトリウムの錠剤は、試験した各初期pHについて、クロスカルメロースナトリウムの錠剤がもたらすよりも強い酸中和をもたらした(局所的な酸中和の有効性は、初期pHがより高い場合により高かった)。
【0334】
これらの結果は、胃液のpHを少なくとも約4まで増加させるためには、デンプングリコール酸ナトリウムとクロスカルメロースナトリウムが同等の有効性を有し得るが、胃液のpHを少なくとも約5まで増加させるためには、デンプングリコール酸ナトリウムがクロスカルメロースナトリウムよりも有効であることを示す。これは、デンプングリコール酸ナトリウムが、クロスカルメロースナトリウムよりも酸中和に有効であることを示す。
【0335】
さらなる試験において、100mgのデンプングリコール酸ナトリウム錠剤を、8mmの丸パンチ及び1.5トンの圧縮力を用いて調製した。錠剤を、50mlの0.01MのHCl溶液(pH2.0、37℃)を含む秤量ボートにおいて振とうせずに溶解させ、局所的pHを測定した。
【0336】
指示薬を溶液に加えることによる、錠剤近傍のpHの測定は、局所的pHが約7であることを示した。
【0337】
これらの結果は、デンプングリコール酸ナトリウムが、局所的pHを、pH5(SNACのpKa)をはるかに超える値まで増加させ、それによって、SNAC及び吸収促進剤となる関連化合物の作用に有効な濃度でのSNACの溶解を促進し、さらには(低いpHでのみ活性である)ペプシンによるペプチド分解を阻害することを示す。
【0338】
何らかの特定の理論によって制約されるものではないが、観察されたpH増加の局所的な性質が、ポリマー溶解(湿潤時の水和及び弛緩)時に生じる粘性ゲルに関連し、粘性ゲルが、より高いpHを有する局所的な領域の外側からの酸の輸送を制限すると考えられる。この不均一性のため、局所的pHの決定が、全体としての媒体のpHよりも重要なパラメータを示すとさらに考えられる。例えば、全体としての媒体のpHの一般により小さい増加(
図3A~B)は、酸が有効に中和される錠剤の近位の領域のpH、及びpHがより影響を受けない遠位領域のpHの平均を反映するものとして説明され得る。
【0339】
さらなる試験において、100mgの錠剤を、8mmの丸パンチ及び2トンの圧縮力を用いて、様々なポリマー(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びアルギン酸ナトリウム)から形成した。局所的pHに対する錠剤の影響を、0.01MのHCl溶液(pH2.0、37℃)に錠剤を入れたときに比較した。pHを、指示薬を溶液に加えることによって測定した。
【0340】
デンプングリコール酸ナトリウム錠剤は、迅速に膨潤し、崩壊し、強い局所的な酸中和効果を生じた。クロスカルメロースナトリウム錠剤はまた、迅速に崩壊したが、より弱い局所的な酸中和効果を生じた。カルボキシメチルセルロースナトリウム錠剤は、ゆっくりと膨潤し、いくらかの局所的な酸中和を示した。アルギン酸ナトリウム錠剤は、無傷のままであり、局所的な酸中和をほとんど示さなかった(データは示されていない)。
【0341】
さらに、アニオン性基を有さないポリマーであるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を用いて調製された対照錠剤を同様に試験したところ、pHに対する観察可能な影響を示さなかった。
【0342】
錠剤の漸進的な水和故に、膨潤したマトリックス中のポリマーの酸中和効果は、不均一であり得る。したがって、錠剤マトリックスの異なる位置におけるpHを、以下のように、さらなるセットの実験において評価した。
【0343】
200mgの錠剤を、10mmの丸パンチ及び1トンの圧縮力を用いて、アルギン酸ナトリウム、Na-CMC、CCS又はデンプングリコール酸ナトリウム(SSG)から調製した。各錠剤を、100mlの0.01MのHCl溶液(pH2.0、室温)を含む皿の中心に配置し、水和後、局所的pHを、
図3のA(SSGについて)、B(CCSについて)、C(Na-CMC;CMC-Naについて)及びD(アルギン酸ナトリウム;Alg-Naについて)に示されるように、膨潤した錠剤マトリックスの以下の4つの異なる点で測定した。(i)形成されたゲル境界の外部のHCl溶液中(膨潤したマトリックスの表面から約2~3cm)、(ii)膨潤したマトリックスの表面、(iii)膨潤したマトリックスの表面と中心との間の中間の位置(表面及び中心のそれぞれから約0.5~1cm)、及び(iv)膨潤したマトリックスの中心。錠剤の内部の局所的pHの測定は、(「材料及び方法」項に記載されるように、)細線電極を備えたpH計を用いることによって可能になった。
【0344】
図3のA~Dに示されるように、SSG錠剤は、迅速に膨潤し、崩壊し、膨潤したマトリックスの中心においてpH5.7に達する強い局所的な酸中和効果を生じた(
図3のA)。CCS錠剤も、迅速に膨潤し、わずかに弱い局所的な酸中和効果を生じた(
図3のB)。CMC-Na錠剤は、ゆっくりと膨潤し、強い局所的な酸中和を示し(
図3のC)、Alg-Na錠剤は、最も遅い膨潤速度及びCCSと同様の局所的な酸中和を示した(
図3のD)。全ての試験されたポリマーについて、膨潤したマトリックスの中心において測定されたpH値は他の領域より高く、これは、ポリマーの濃度依存的酸中和能力をさらに裏付ける。
【0345】
これらの2つのセットの実験の結果は、全ての試験したアルカリ性ポリマーについて、マトリックスの内部の局所的pHの増加が、pH値が最大で約5~6に至ることを示す。このようなpH値は、SNACのpKaが約5であるときに、SNACを溶解可能な塩の形態に維持するために望ましいpHと一致している。したがって、このpH増加は、SNACの沈殿を減少させ、その結果、SNAC(及び他の吸収促進剤)が吸収促進剤として作用するために必要とされる、SNACが高濃度に溶解された状態を達成する。局所的pHの増加はまた、(低いpHでのみ活性である)ペプシンによるペプチド分解を阻害する。これらの結果は、アルカリ性(塩基性)ポリマーが、酸性溶液における限られた拡散を示し、したがって主に局所的にpHに影響を与えることによって、pHに対するより強い及び/又はより持続的な効果をもたらし得ることをさらに示す。
【0346】
さらに別のセットの実験において、高い局所的pHを生じる高速膨潤ポリマーの一例であるSSG、及び高い局所的pHを生じる低速膨潤ポリマーの一例であるCMC-Naを、(麻酔した成体雌家畜ブタ(sus scrofa domesticus))から内視鏡的に採取した)ブタ胃液中でさらに試験した。200mgの錠剤を、10mmの丸パンチ及び1トンの圧縮力を用いて、各ポリマーから調製した。各錠剤を、室温で100mlのブタ胃液を含む皿の中心に配置し、水和(湿潤)後、
図3のA~Dに示されるデータについて上述したように、膨潤した錠剤マトリックスの(i)~(iv)の4つの異なる点で局所的pHを測定した。結果を、SSGについて
図4のA及びCMC-Naについて
図4のBに示し、それぞれ
図3のA及びCに示されるものと同様である。
【0347】
統合すると、上記の結果は、アルカリ性基含有ポリマー、特に、デンプングリコール酸ナトリウム及びクロスカルメロースナトリウムが、局所領域内(例えば、胃内)で酸を有効に中和し、それによって、このような領域内における、SNACのプロトン化及び不活性化を、なし得ることを示す。この現象は、ポリマー、SNAC及びペプチド又はポリペプチドが共局在化している場合(例えば、単一の剤形内)特に重要であり、ペプチド又はポリペプチドの持続的なSNAC誘発性吸収を可能にする。
【0348】
ペプシンによるペプチド分解がpH6以上で阻害されることを示す入手可能なデータ(ここには示さない)と総合すると、二重の局所効果が達成される。
【0349】
実施例2
インビボのモデルにおけるGLP-2吸収に対するデンプングリコール酸ナトリウムの影響
薬物吸収を促進するデンプングリコール酸ナトリウム(SSG)及び/又はクロスカルメロースナトリウムの能力を、インビボモデル(任意で、ラット、イヌ及び/又はブタモデル)において、GLP-2の例示的な形態としてテデュグルチド、アプラグルチド及び/又はグレパラチドを用い、モデル吸収促進剤としてSNACを用いて評価する。
【0350】
製剤は、任意で、粉末状混合物に圧力をかけることで製造した錠剤の形態であり、任意で、錠剤はGLP-2とSNACとをほぼ同量で含むが、カルボキシル基含有ポリマーが(例えば、約20重量パーセント又は約30重量パーセントの濃度で)存在するか、不存在であるかの点で異なる。
【0351】
試験動物を異なる製剤(例えば、GLP-2とSNACをカルボキシレート含有ポリマー有り又は無、あるいはSNAC単独)を(任意で胃内強制飼養で)投与する群に分け、任意で、実験前夜及び実験中に食物を与えない、及び/又は実験前の1時間及び実験中には水を与えない。血液を、所定の時点で頬から採取し、試験するGLP-2の(例:血漿中)の濃度を適切な技術(任意でELISA法)により定量する。
【0352】
テデュグルチドは、内因性グルカゴン様ペプチド2(GLP-2)よりもかなり高い、代謝分解に対する安定性を有する、市販の33-アミノ酸ペプチドである。これは、短腸症候群のための治療薬として臨床的に使用される。テデュグルチドを用いて現在実施されている方法としては、皮下(SC)注射が挙げられるが、これは、胃腸管におけるその不安定性及び胃腸管からの不浸透性によりこの薬物の経口(PO)バイオアベイラビリティが低いためである。
【0353】
例示的なインビボラットモデルにおいて、テデュグルチドの経口バイオアベイラビリティに対する、例示的な吸収促進剤としてのSNAC、及び例示的なアルカリ性ポリマーとしてのSSGの影響を試験した。
【0354】
製剤を、0.7mgのテデュグルチド(2.34mg/Kg)、15mgのSNAC、0.2mgのステアレート及び5.33mgのSSGを用いて調製した。全ての物質は、乾燥粉末形態であり、幾何学的に混合された。その後、ミニ錠剤を、2mmのパンチ及び1トン/cm2に設定された金型を用いて、混合物から調製した。
【0355】
試験を、体重約299グラム(290~320グラム)の7匹の雄スプラーグドーリー(SD)ラットにおいて行った。動物に、投与前の12~15時間は食物を与えなかった。投与の1時間前に飲料水の供給を撤去し、投与の1時間後に戻した。ミニ錠剤を、水を用いずに、固体剤形投与に適合された先端を有する柔軟な胃内強制飼養チューブによって投与した。その後、血液試料を、所定の時点で採取し、血漿を分離し、必要な補正後に、血漿中の内因性GLP-2の検出のためのELISAキット(Abcam社、Cat.No.ab222863)を、製造業者の方法のVersion 7に従って使用し、テデュグルチドのレベルを定量した。
【0356】
テデュグルチドの血漿中濃度の、時間の関数としての得られたプロファイルを
図5に示した。これは、SNACと緩衝ポリマー(SSG)との組合せを用いて、テデュグルチドの経口送達が可能になり得ることを実証している。
【0357】
本発明が、その特定の実施形態とともに説明されてきたが、多くの代替、変更及び変形が、当業者に明らかであることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲に含まれる全てのこのような代替、変更及び変形を包含することが意図される。
【0358】
本明細書において言及される全ての刊行物、特許及び特許出願は、各個々の刊行物、特許又は特許出願が、参照により本明細書に援用されると言及される際に具体的に且つ個別に示されたかのように、全体が参照により本明細書に援用されることが本出願人の意図である。さらに、本出願におけるいずれかの参考文献の引用又は特定は、このような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることの承認として解釈されるべきではない。項の見出しが使用される限り、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。さらに、本出願のあらゆる優先権書類は、全体が参照により本明細書に援用される。
【国際調査報告】