(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】乳化剤混合物
(51)【国際特許分類】
A23K 20/105 20160101AFI20250220BHJP
【FI】
A23K20/105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024550318
(86)(22)【出願日】2023-02-23
(85)【翻訳文提出日】2024-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2023054612
(87)【国際公開番号】W WO2023161377
(87)【国際公開日】2023-08-31
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503206651
【氏名又は名称】オレオン ナームロゼ フェンノートシャップ
(71)【出願人】
【識別番号】524314506
【氏名又は名称】バーグ+シュミット アジア プライベート リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ピーテル ファン デル ベーン
(72)【発明者】
【氏名】ナディーヌ トゥロン
(72)【発明者】
【氏名】ソフィ ドゥプレー
(72)【発明者】
【氏名】ディルク ベストファル
(72)【発明者】
【氏名】サンドー ツァーノクゼイ
【テーマコード(参考)】
2B150
【Fターム(参考)】
2B150AA05
2B150AB02
2B150DA55
2B150DC09
(57)【要約】
本発明は、特定の組合せ、及び飼料製品に含まれる脂質を乳化するその能力に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のものを含むか、又は以下のものからなる組合せ:
- 2.4~15質量%の脱油レシチン;
- 少なくとも13質量%の加水分解レシチン;
- ソルビタンモノステアレート;及び
- 0~40質量%の固結防止剤;
質量パーセントは前記組合せの質量に基づき;
質量比ソルビタンモノステアレート/加水分解レシチンは60/40~80/20である。
【請求項2】
前記質量比ソルビタンモノステアレート/加水分解レシチンが60/40~75/25である、請求項1に記載の組合せ。
【請求項3】
前記加水分解レシチンが、ヒマワリ又は大豆の加水分解レシチンである、請求項1又は2に記載の組合せ。
【請求項4】
質量比(ソルビタンモノステアレート+加水分解レシチン)/脱油レシチンが7~32である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項5】
前記組合せが粉末状である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項6】
以下の工程を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組合せの製造方法:
i)ソルビタンモノステアレート及び加水分解レシチンを、溶融混合物が形成されるまで混合及び加熱する工程;
ii)工程i)で得られた溶融混合物を冷却して、冷却混合物を形成する工程;
iii)工程ii)で得られた冷却混合物、及び任意選択的に固結防止剤を、脱油レシチンとブレンドする工程。
【請求項7】
1種以上の脂質の乳化を改善する方法であって、請求項1~5のいずれか一項に記載の組合せを前記1種以上の脂質に添加することによる、方法。
【請求項8】
以下のものを含む水中油型エマルション:
- 1種以上の脂質
- 水;及び
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の組合せ;
前記水中油型エマルションは、前記組合せ中に存在するソルビタンモノステアレート及び加水分解レシチン以外のソルビタンモノステアレート及び加水分解レシチンを含まない。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載の組合せを含む飼料製品であって、前記飼料製品は、前記組合せ中に存在するソルビタンモノステアレート及び加水分解レシチン以外のソルビタンモノステアレート及び加水分解レシチンを含まない、飼料製品。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載の組合せを動物に給餌することによる、動物の体重を増加させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レシチンを含む特定の組合せ及び飼料製品におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
レシチンは、リン脂質、トリグリセリド、糖脂質及び任意にステロール(1種以上)及び/又はタンパク質(1種以上)を含む多成分ブレンドを記述するために使用される総称である。
【0003】
レシチンは、植物、特に種子から、及び動物から、特に卵黄から、又は牛乳から得ることができる。
【0004】
リン脂質を動物に定期的に摂取させた場合に死亡率の減少が観察されるため、リン脂質は死亡率の減少に関係する。
【0005】
リン脂質は、コリン、イノシトール、リン、必須脂肪酸などの利用可能性の高い栄養素を供給する。
【0006】
リン脂質はビタミン(A、D、E、K)、カロテノイド、色素の吸収を促進する。
【0007】
リン脂質は、また、胆汁酸が小腸でエマルション小球を形成するのを助けて、腸粘膜での脂質の吸収を促進することによって、脂質の消化を促進する。脂質吸収を改善することによって、特に動物の生涯の第一段階で、動物の成長が早くなる。
【0008】
脂質は飼料製品のコストのかなりの部分を占める。動物による脂質の吸収と利用を改善することで、飼料中の脂質の量百分率を減らすことができる。これは経済的な利点をもたらす。
【0009】
脂質は、植物由来のもの(大豆油、ヒマワリ油、パーム油など)、動物由来のもの(獣脂、鶏脂、ラードなど)であることができる。脂質は主にトリグリセリドであり、飽和及び不飽和アシル鎖を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、これらすべての理由から、リン脂質を含むレシチンを動物に給餌することは有利である。しかし、動物が成長に利用できる総カロリーを同じに保つために、消化中の脂質の吸収を改善しながら、飼料中の脂質の量を減らすことができるように、レシチンの乳化特性を改善する必要がある。実際、レシチンは、単独で使用された場合には、脂質を効率的に乳化することができない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、驚くべきことに、リン脂質を豊富に含む特定の組合せが、脂質の乳化を容易にすることができることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明は、以下のものを含むか、又は以下のものからなる組合せに関する:
- 2.4~15質量%の脱油レシチン;
- 加水分解レシチン;
- ソルビタンモノステアレート;及び
- 0~40質量%の固結防止剤(anticaking agent);
質量パーセントは上記組合せの質量に基づき;
質量比ソルビタンモノステアレート/加水分解レシチンは60/40~80/20である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本出願において、別段示されていない限り、使用した値の範囲は全て上下限を含むものとして理解されるべきである。
【0014】
脱油レシチンは、レシチンを含まないか、油(例えばトリグリセリド)の含有量が制限されているため、リン脂質に富む。
【0015】
好ましくは、脱油レシチンは、脱油レシチンの質量に基づいて、少なくとも92質量%のアセトン不溶物を含み、より好ましくは少なくとも94質量%、さらにより好ましくは少なくとも97質量%のアセトン不溶物を含む。
【0016】
好ましくは、脱油レシチンは粉末状である。
【0017】
加水分解レシチンは、リン脂質のエステル結合が部分的に加水分解されてアルコール官能基を形成したレシチンである。
【0018】
好ましくは、脱油レシチンのレシチン及び加水分解レシチンは、それぞれ独立に、種子、特にヒマワリ種子、大豆種子又は菜種種子から得られる。
【0019】
ソルビタンモノステアレート(CAS番号1338-41-6)は、非イオン性界面活性剤である。
【0020】
固結防止剤は、好ましくはシリカベースの製品、炭酸カルシウム又は石灰石である。
【0021】
有利には、本発明による組合せにおいて、質量比ソルビタンモノステアレート/加水分解レシチンは60/40~75/25である。
【0022】
好ましくは、質量比ソルビタンモノステアレート/加水分解レシチンは60/40~70/30であり、特に質量比ソルビタンモノステアレート/加水分解レシチンは70/30である。
【0023】
好ましくは、脱油レシチンの量は、上記組合せの質量に基づいて、少なくとも3質量%、より好ましくは少なくとも3.5質量%、さらに好ましくは少なくとも4質量%である。
【0024】
好ましくは、脱油レシチンの量は、上記組合せの質量に基づいて、多くても10質量%、さらに好ましくは多くても9.5質量%である。
【0025】
好ましくは、固結防止剤の量は、上記組合せの質量に基づいて、0~40質量%、より好ましくは20~40質量%である。
【0026】
好ましくは、加水分解レシチンの量は、上記組合せの質量に基づいて、少なくとも13質量%、より好ましくは少なくとも17質量%である。
【0027】
好ましくは、加水分解レシチンの量は、上記組合せの質量に基づいて、多くても39質量%、より好ましくは多くても33質量%である。
【0028】
好ましくは、ソルビタンモノステアレートの量は、上記組合せの質量に基づいて、少なくとも39質量%、より好ましくは少なくとも52質量%である。
【0029】
好ましくは、ソルビタンモノステアレートの量は、上記組合せの質量に基づいて、多くても78質量%、より好ましくは多くても65質量%である。
【0030】
第1の実施形態において、本発明による組合せは固結防止剤を含まない。
【0031】
好ましくは、本発明による組合せは、以下のものを含むか、又は以下のものからなる:
- 4~10質量%の脱油レシチン;
- 加水分解レシチン;
- ソルビタンモノステアレート;
ここで、ソルビタンモノステアレートと加水分解レシチンとの量は90~96質量%であり;
質量比ソルビタンモノステアレート/加水分解レシチンは60/40~75/25であり;
質量%は上記組合せの質量に基づく。
【0032】
第2の実施形態において、本発明による組合せは固結防止剤を含む。
【0033】
好ましくは、本発明による組合せは、以下のものを含むか、又は以下のものからなる:
- 3~8質量%の脱油レシチン;
- 加水分解レシチン;
- ソルビタンモノステアレート;
- 20~40質量%の固結防止剤;
ここで、ソルビタンモノステアレートと加水分解レシチンとの量は52~77質量%であり;
質量比モノステアリン酸ソルビタン/加水分解レシチンは60/40~75/25であり;
質量%は上記組合せの質量に基づく。
【0034】
好ましくは、本発明による組合せにおいて、質量比(ソルビタンモノステアレート+加水分解レシチン)/脱油レシチンは、7~32、より好ましくは9.5~24である。
【0035】
好ましくは、本発明による組合せにおいて、加水分解レシチンはヒマワリ加水分解レシチン又は大豆加水分解レシチンである。
【0036】
有利には、本発明による組合せにおいて、加水分解レシチンはヒマワリ加水分解レシチンである。
【0037】
有利には、本発明による組合せは粉末状である。
【0038】
本発明は、以下の工程を含む、本発明による組合せを製造する方法にも関する:
i)ソルビタンモノステアレート及び加水分解レシチンを、溶融混合物が形成されるまで混合及び加熱する工程;
ii)工程i)で得られた溶融混合物を冷却して、冷却混合物を形成する工程;
iii)工程ii)で得られた冷却混合物、及び任意選択的に固結防止剤を、脱油レシチンとブレンドする工程。
【0039】
工程i)において、加熱温度は、好ましくは少なくとも50℃、より好ましくは少なくとも54℃である。好ましくは、温度は50~65℃、より好ましくは54~60℃である。
【0040】
工程ii)において、溶融混合物は、アルミニウム箔上に塗り広げて、フレークに砕くことができるフィルム状の冷却混合物を形成することによって、あるいは、溶融混合物を噴霧凝固塔内で噴霧してビーズ状の冷却混合物を形成することによって、好ましくは冷却される。
【0041】
冷却された混合物、特にフレークを、次に粉砕して、粉末を形成することができる。
【0042】
好ましくは、脱油レシチンは粉末状である。
【0043】
この特定の組合せは、特に油が不飽和トリグリセリドで構成される場合、水中油型エマルションを容易に形成することができる。
【0044】
本発明はまた、本発明による組合せを前記脂質(1種以上)に添加することにより、1種以上の脂質の乳化を改善する方法にも関する。
【0045】
上記の1種以上の脂質は、飽和及び/又は不飽和であることができる。
【0046】
脂質(1種以上)は、好ましくはトリグリセリド(1種以上)、より好ましくは不飽和トリグリセリド(1種以上)、例えば1つ以上の不飽和アシル鎖を含むトリグリセリド(1種以上)である。特に、不飽和トリグリセリド(1種以上)は、少なくとも30質量%の不飽和アシル鎖を含む。好ましくは、不飽和アシル鎖はC18アシル鎖、例えば18個の炭素原子を含むアシル鎖である。
【0047】
好ましくは、上記の1種以上の脂質(1種以上)は、不飽和トリグリセリドの混合物である。特に、不飽和トリグリセリドの混合物は、少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも70質量%の不飽和アシル鎖を含む。より詳細には、不飽和トリグリセリドの混合物は、1つ又は2つの二重結合を含むC18アシル鎖を少なくとも70質量%含む。
【0048】
例2.2及び2.3で示すように、本発明による組合せは、ヒマワリ油及び大豆油などの不飽和脂質を水中に乳化及び再乳化させることを可能にする。
【0049】
消化の間、動物は静止又は活動状態のいずれかにあるため、これらの特性は動物栄養分野において特に興味深い。いずれの場合も、本発明による組合せの存在下で、脂質は、胃及び腸内で、限られた運動エネルギーで容易に乳化及び再乳化することができる。
【0050】
本発明は、以下のものを含む水中油型エマルションにも関する:
- 1種以上の脂質
- 水;及び
- 本発明による組合せ。
【0051】
好ましくは、水中油型エマルションは、上記組合せ中に存在するソルビタンモノステアレート及び加水分解レシチン以外のソルビタンモノステアレート及び加水分解レシチンを含まない。
【0052】
好ましくは、本発明による水中油型エマルションは、上記組合せ中に存在する脱油レシチン以外の脱油レシチンを含まない。
【0053】
有利には、本発明による水中油型エマルションはレシチンを含まない。
【0054】
1種以上の脂質は、選択的な特徴を含めて、上述のとおりである。
【0055】
水の量は、水中油型エマルションの質量を基準として、好ましくは少なくとも70質量%、より好ましくは少なくとも80質量%である。
【0056】
脂質(1種以上)の総量は、水中油型エマルションの質量を基準として、好ましくは少なくとも2.5質量%、より好ましくは少なくとも10質量%である。
【0057】
脂質(1種以上)の総量は、水中油型エマルションの質量に基づいて、好ましくは多くても20質量%、より好ましくは多くても15質量%、さらに好ましくは多くても12.5質量%である。
【0058】
「脂質の総量」とは、脂質の全分子の量を意味する。
【0059】
上記組合せは、選択的及び有利な特徴を含めて、上記のとおりである。
【0060】
本発明による組合せの量は、水中油型エマルションの質量に基づいて、好ましくは少なくとも0.01質量%、より好ましくは少なくとも0.1質量%、さらに好ましくは少なくとも0.25質量%である。
【0061】
本発明による組合せの量は、水中油型エマルションの質量に基づいて、好ましくは多くても2.5質量%、より好ましくは多くても2質量%、さらに好ましくは多くても1.5質量%である。
【0062】
好ましくは、本発明による組合せの量は、0.01~2.5質量%;より好ましくは0.1~2.5質量%、例えば0.1~2.0質量%、0.1~1.5質量%;さらに好ましくは0.25~2.5質量%、例えば0.25~2.0質量%、0.25~1.5質量%であり、質量%は水中油型エマルションの質量に基づく。
【0063】
本発明は、本発明による組合せを含む飼料製品にも関する。
【0064】
この組合せは、好ましい特徴及び有利な特徴を含めて、上述のとおりである。
【0065】
好ましくは、飼料製品は、上記組合せ中に存在する以外のソルビタンモノステアレート及び加水分解レシチンを含まない。
【0066】
好ましくは、本発明による飼料製品は、上記組合せ中に存在するもの以外の脱油レシチンを含まない。
【0067】
有利には、本発明による飼料製品はレシチンを含まない。
【0068】
好ましくは、飼料製品は、飼料製品1トン当たり少なくとも100g、より好ましくは少なくとも125gの本発明による組合せを含む。
【0069】
飼料製品は、穀物の粉末、ペレット、クラム又はフレークであることができる。
【0070】
本発明は、本発明による組合せを動物に給餌することによって、動物の体重を増加させる方法にも関する。
【0071】
動物は、好ましくは、例えばニワトリ、鳥、魚、アヒル、ウサギ、子豚、エビなどの小動物である。
【0072】
好ましくは、上記組合せは飼料製品に配合される。
【0073】
例3で示すように、飼料製品が本発明による組合せをより多く含むほど、特に、飼料製品1トン当たり少なくとも125gの組合せを少なくとも3週間給餌後の動物の体重増加がより大きい。
【0074】
本発明を以下の例でさらに説明する。特許請求の範囲に記載の本発明は、これらの例によって限定されることを決して意図するものでないことが理解されるであろう。
【実施例】
【0075】
例1:粉末状の組合せの調製
混合物1及び2を以下の方法に従って調製した:
ソルビタンモノステアレート(OleonからのRADIAMULS SORB 2145K)及び加水分解レシチン(LecicoからのLECICO SUN FM 580;56%のアセトン不溶物、主にリン脂質及び糖脂質を含む加水分解ヒマワリレシチン)を、撹拌下でソルビタンモノステアレートが溶融するまで57℃で加熱した。
次に、得られた混合物をアルミホイルの上で冷却し、フィルムを形成し、次いで、これを割ってフレークを形成した。フレークを粉砕して粉末を形成した。
【0076】
加水分解ヒマワリレシチンの代わりに加水分解大豆レシチン(LecicoからのLECICO F 580 IP;56%のアセトン不溶物、主にリン脂質及び糖脂質を含む加水分解大豆レシチン)を用い、上述の方法に従って、混合物3を調製した。
【0077】
混合物1、2及び3の含有量は以下の表1に記載されている。上記方法と同じ方法に従って、以下の表1に記載の量に従って、比較用混合物1及び2を調製した。
【0078】
【0079】
次に、以下の表2に記載の量に従って、脱油レシチン(Berg+SchmidtからのBergapur;97%のアセトン不溶物、主にリン脂質を含む粉末状の脱油大豆レシチン)と、上記のとおり調製した混合物1又は2とを混合することによって、本発明による組合せ1~3を得た。
【0080】
以下の表2に記載の量に従って、脱油レシチンと混合物2との混合中に固結防止剤(EvonikからのSipernat 2200)を添加して、組合せ1~3と同様に本発明による組合せ3の2を調製した。
【0081】
以下の表2に記載の量に従って、混合物3を用いて、組合せ1~3と同様に本発明による組合せ4を調製した。
【0082】
以下の表2に記載された量に従って、脱油レシチン(Berg+SchmidtからのBergapur;97%のアセトン不溶物、主にリン脂質を含む粉末状の脱油大豆レシチン)と、上記のとおり調製した比較用組合せ1又は2とを混合することによって、比較用組合せ1及び2を調製した。
【0083】
以下の表2に記載の量に従って、脱油レシチン(Berg+SchmidtからのBergapur;97%のアセトン不溶物、主にリン脂質を含む粉末状の脱油大豆レシチン)と、上記のとおり調製した混合物2とを混合することによって、比較用組合せ3を調製した。
【0084】
下記の表2に記載の量に従って、固結防止剤(EvonikからのSipernat 2200)を添加して、比較用組合せ3と同様に比較用組合せ4を調製した。
【0085】
以下の表2に記載の量に従って、レシチン(LecicoからのLecico F600 IP;アセトン不溶物を62%含む流動性大豆レシチン)と、固結防止剤(EvonikからのSipernat 2200)と、上記のとおり調製した混合物2とを混合することによって、比較用組合せ5を調製した。
【0086】
【0087】
例2:水中油型エマルション
2.1.使用した化学物質
- 例1で調製した本発明による組合せ1~4;
- 例1で調製した比較用組合せ1~5;
- 油
○ 精製大豆油:OleonからのRadia 6119 Phytorob ST;
○ 精製ヒマワリ油:OleonからのRadia 6121 Phytorob SFO。
【0088】
2.2.水中油型エマルション1~6の調製
エマルション1~6を、以下に記載する方法及び表3に記載の量に従って調製した。
本発明による組合せと油をガラス瓶に入れ、閉じたら、80℃まで1時間加熱した。
50℃に加熱した水道水をメスシリンダーに入れた。
組合せとオイルとを、45℃に達した後、シリンダーの上部に加えた。
その後、シリンダーを一回反転させ、エマルションの形成を観察した。
【0089】
【0090】
2.3.水中油型エマルション1~6の特性
各エマルションの安定性を試験するため、各シリンダーを10回反転させた。
反転直後にはクリーミングもオイルアウトも観察されなかったため、各エマルションは十分安定であった。少なくとも1分後にディフェージング(dephasing)し始めたようであった。
再乳化能力を試験するため、各エマルションを1時間静置し、完全な2つの透明相(水相及び油相)を観察した。その後、各シリンダーをもう1回反転させた。
本発明による組合せを含む各シリンダーにおいて、再びエマルションが形成されたことが観察された。
【0091】
2.4.比較例
下記のものを使用して、例2.2に記載した方法に従ってエマルションの形成の試みを行った:
- A:12.5wt%の大豆油と、0.25wt%の、本発明による組合せの代わりに比較用組合せ1;
- B:12.5wt%の大豆油と、0.25wt%の、本発明による組合せの代わりに比較用組合せ2;
- C:12.5wt%の大豆油と、0.25wt%の、本発明による組合せの代わりに脱油レシチン(Berg+SchmidtからのBergapur);
- D:12.5wt%の大豆油と、0.25wt%の、本発明による組合せの代わりに比較用組合せ3;
- E:12.5wt%の大豆油と、0.25wt%の、本発明による組合せの代わりに比較用組合せ4;
- F:12.5wt%の大豆油と、0.25wt%の、本発明による組合せの代わりに比較用組合せ5。
【0092】
A~Fのすべての場合において、エマルションは形成されなかった。
【0093】
本発明による組合せ3の2を用いてエマルションを形成することができたが(エマルション5)、比較用組合せ5を用いてエマルションを形成できなかったことが観察できる(試みF)。比較用組合せ5は、脱油レシチンの代わりにレシチンを含む。このことは、脱油レシチンを使用することの重要性を示している。
【0094】
このように、特定の質量比を有する本発明による組合せだけが、水中油型エマルションの形成を可能にする。これらのエマルションは、35~45℃の温度で少なくとも1分間安定であり、容易に再乳化することができる。さらに、乳化及び再乳化に高速撹拌を必要としない。
【0095】
例3:ニワトリの体重増加に対する本発明による組合せの寄与の評価
3.1.方法
それぞれ375羽のニワトリを含む4つの処理ユニットを作り、十分な床面積、多数の飲水器及び給餌器を用意した。
【0096】
組合せ3の2について3つの適用量、125g/トン、250g/トン及び500g/トンを試験し、Gold Coin(マレーシア;不飽和C18アシル鎖を有するトリグリセリドを含み、レシチンもソルビタン脂肪酸エステルも含まない)のペレット状の市販ブロイラー飼料(スターター/グロワー/フィニッシャー)に配合した。
【0097】
組合せ3の2は、脱油レシチンと混合物2との混合中に、組合せ3の2の質量に基づいて20wt%の固結防止剤(シリカ)を添加して、組合せ3のように調製した。
【0098】
第4の処理ユニットである「対照」では、ニワトリにGold Coin(マレーシア)のペレット状の市販ブロイラー飼料を給餌した。
1~2週目、1処理ユニットあたり20羽のニワトリの体重を測定した。
3~4週目、1処理ユニットあたり40羽のニワトリの体重を測定した。
5週目(捕獲期):全てのニワトリの体重を測定した。
毎週、ニワトリの体重をはかり、死亡率を記録した。
【0099】
3.2.結果
【0100】
【0101】
5週間後の死亡率:
対照ユニット:16羽(4.2%)
125g/トンの処理ユニット:3羽(0.80%)
250g/トンの処理ユニット:5羽(1.33%)。
500g/トンの処理ユニット:0羽
【0102】
本発明による組合せを含む飼料製品を給餌されたニワトリは、本発明による組合せを含まない飼料製品を給餌されたニワトリよりも5週間後に体重が増加したことが観察できる。
【0103】
飼料製品1トン当たり500gの組合せ2を用いると、それを給餌したニワトリの平均体重は、最初の1週間後、本発明による組合せを用いずに給餌したニワトリの平均体重(対照)よりも大きい。
【0104】
5週間後、飼料1トン当たり125gの組合せ2のみで、ニワトリの平均体重は、本発明に従って組合せなしで給餌したニワトリの平均体重より約27%大きい。
【0105】
さらに、本発明による組合せで給餌したニワトリの死亡率は、本発明による組合せなしで給餌したニワトリの死亡率より低い。特に、飼料製品1トン当たり少なくとも125gの本発明による配合物を使用することにより、死亡率は少なくとも3分の1以下となる。
【国際調査報告】