(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】トレンチ構造を有するCMOS SRAMセル
(51)【国際特許分類】
H10B 10/00 20230101AFI20250220BHJP
H10D 30/60 20250101ALI20250220BHJP
H10D 84/85 20250101ALI20250220BHJP
【FI】
H10B10/00
H01L29/78 301G
H01L27/092 D
H01L27/092 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024550776
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-08-20
(86)【国際出願番号】 KR2022014942
(87)【国際公開番号】W WO2023163308
(87)【国際公開日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】10-2022-0023268
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524312007
【氏名又は名称】チェ, テヒョン
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】チェ, テヒョン
【テーマコード(参考)】
5F048
5F083
5F140
【Fターム(参考)】
5F048BB05
5F048BB19
5F083BS00
5F083BS02
5F083BS14
5F083BS27
5F083GA01
5F083GA09
5F083JA02
5F140AB03
5F140AC32
5F140BF04
5F140BF43
(57)【要約】
本発明は、トレンチ構造を有するCMOS SRAMセルに関し、より詳細には、垂直的構造をなすゲート、ソース及びドレインを有するトレンチ構造の垂直型MOSFETを用いてCMOS SRAMセルを製造し、電流の流れがトレンチゲート電極と垂直型ソース及びドレイン領域との間の活性領域で起こるようにすることにより、既存の平面構造を有するCMOS SRAMセルに比べて、集積度(density)、動作速度(operating frequency)、ノイズマージン(noise margin)、電流処理容量(current handling capacity)、電力消費(power dissipation)及び製造工程などで多様な利点を示すことができる、トレンチ構造を有するCMOS SRAMセルに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CMOS SRAMセルにおいて、
一つの極性を有する第1極性の半導体基板と、
前記半導体基板の表面から一定の断面と一定の深さを有する垂直的構造で離間して形成され、前記半導体基板と反対の第2極性、及び前記半導体基板と同一の第1極性を有する多数の拡散領域と、
前記拡散領域の上層部に形成され、各信号電圧を印加することによりMOSFETのソース電極、ドレイン電極又は基板電極として動作する多数の電極と、
前記半導体基板の表面から一定の断面と一定の深さで離間して形成される多数のトレンチと、
前記半導体基板の表面から各トレンチの表面上に形成される絶縁層と、
前記絶縁層の内部トレンチに満たされる伝導性物質と、
前記伝導性物質で満たされたトレンチの上部に形成され、各信号電圧が印加されるMOSFETのゲート電極を有するMOSFETと、から構成された、トレンチ構造を有するCMOS SRAMセル。
【請求項2】
請求項1に記載の一つの極性を有するMOSFETと相補的な相補型MOSFET(Complementary MOSFET)を作るために、
第1極性の半導体基板に形成される第2極性のウェル領域と、
前記ウェル領域の表面から一定の断面と一定の深さを有する垂直的構造で離間して形成され、前記ウェル領域と反対の第1極性、及び前記ウェル領域と同一の第2極性を有する多数の拡散領域と、
前記拡散領域の上層部に形成され、各信号電圧を印加することにより相補型MOSFETのソース電極、ドレイン電極又はウェル領域電極として動作する多数の電極と、
前記ウェル領域の表面から一定の断面と一定の深さで離間して形成される多数のトレンチと、
前記ウェル領域の表面から各トレンチの表面上に形成される絶縁層と、
前記絶縁層の内部トレンチに満たされる伝導性物質と、
前記伝導性物質で満たされたトレンチの上部に形成され、各信号電圧が印加される相補型MOSFETのゲート電極を有するMOSFETと、から構成された、トレンチ構造を有するCMOS SRAMセル。
【請求項3】
前記第1又は第2極性を有する多数の拡散領域又はMOSFETのトレンチゲート電極が伝導性物質によって互いに連結されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のトレンチ構造を有するCMOS SRAMセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレンチ構造を有するCMOS SRAMセルに関し、より詳細には、垂直的構造をなすゲート、ソース及びドレインを有するトレンチ構造の垂直型MOSFETを用いてCMOS SRAMセルを製造し、電流の流れがトレンチゲート電極と垂直型ソース及びドレイン領域との間の活性領域で起こるようにすることにより、既存の平面構造を有するCMOS SRAMセルに比べて、集積度(density)、動作速度(operating frequency)、ノイズマージン(noise margin)、電流処理容量(current handling capacity)、電力消費(power dissipation)及び製造工程などで多様な利点を示すことができる、トレンチ構造を有するCMOS SRAMセルに関する。
【背景技術】
【0002】
SRAMセル構造は、二つのインバータと二つのパスゲートで構成されており、これらのインバータの出力端が互いにクロスカップルされた(cross-coupled)フリップフロップ(flip-flop)構造を持っている。
【0003】
SRAMセルでは、情報の格納のために、二つのインバータを構成する4つのトランジスタと、外部から特定のセルを選択する二つのトランジスタが必要である。
【0004】
このようなSRAMセルは、DRAMセル(Dynamic Random Access Memory cell)とは異なり、電源が印加されている限り、フリップフロップのフィードバック(feedback)効果によってリフレッシュ(refresh)動作なしにもスタティック(static)なデータの保存が可能であるので、スタティックRAM(static RAM)と呼ぶ。
【0005】
このようなSRAMの単位セルは、大きく二つに分類されるが、その中の一つは、高抵抗を負荷素子(load device)として採用する高抵抗SRAMセル(high load resistor SRAM cell)であり、もう一つは、PMOSトランジスタを負荷素子として採用するCMOS SRAMセルである。
【0006】
前記CMOS SRAMセルは、さらに大きく二つに分類されるが、その中の一つは、半導体基板上に積層された薄膜トランジスタ(thin film transistor、TFT)を負荷素子として採用する薄膜トランジスタSRAMセルであり、もう一つは、半導体基板に形成されたバルクトランジスタ(bulk transistor)を負荷素子として採用するバルクCMOS SRAMセル(bulk CMOS SRAM cell)である。
【0007】
前記バルクSRAMセルは、前記薄膜トランジスタSRAMセル及び高抵抗SRAMセルに比べて高いセル安定性(high cell stability)を示す。言い換えれば、前記バルクCMOS SRAMセルは、優れた低電圧特性(good low voltage characteristic)及び低い待機電流(low stand-by current)を示す。
【0008】
これは、前記薄膜トランジスタが一般的にポリシリコン膜をボディ層として用いて製作されるのに対し、前記バルクCMOS SRAMセルを構成する全てのトランジスタは、単結晶シリコン基板に形成されるからである。
【0009】
しかし、前記バルクCMOS SRAMセルは、薄膜トランジスタSRAMセルに比べて低い集積度(low integration density)を示す。
【0010】
前記薄膜トランジスタSRAMセルが前記バルクCMOS SRAMセルに比べて高い集積度を示しても、前記薄膜トランジスタSRAMセルの集積度は、DRAMセルの集積度に比べて依然として低い。
【0011】
したがって、高い信頼性を有する高集積SRAM素子を実現するためには、3次元的な構造を有するコンパクトなセルを設計することが要求される。
【0012】
韓国登録特許公報第10-0530305号などには、垂直MOSFETを利用したSRAMセル構造が開示されているが、このような従来のSRAMセル構造は、多重ゲートFETの形成が可能であるが、SRAMセルを構成するプルダウントランジスタ又はプルアップトランジスタが前記多重ゲートFETを用いてそれぞれ配置されるのに過ぎないため、集積度を向上させるのに限界があるという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、垂直的構造をなすゲート、ソース及びドレインを有するトレンチ構造の垂直型MOSFETを用いてCMOS SRAMセルを製造して、電流の流れがトレンチゲート電極と垂直型ソース及びドレイン領域との間の活性領域で起こるようにすることにより、既存の平面構造を有するCMOS SRAMセルに比べて、集積度(density)、動作速度(operating frequency)、ノイズマージン(noise margin)、電流処理容量(current handling capacity)、電力消費(power dissipation)及び製造工程などで多様な利点を示すことができる、トレンチ構造を有するCMOS SRAMセルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明は、CMOS SRAMセルにおいて、一つの極性を有する第1極性の半導体基板と、前記半導体基板の表面から一定の断面と一定の深さを有する垂直的構造で離間して形成され、前記半導体基板と反対の第2極性、及び前記半導体基板と同一の第1極性を有する多数の拡散領域と、前記拡散領域の上層部に形成され、各信号電圧を印加することによりMOSFETのソース電極、ドレイン電極又は基板電極として動作する多数の電極と、前記半導体基板の表面から一定の断面と一定の深さで離間して形成される多数のトレンチと、前記半導体基板の表面から各トレンチの表面上に形成される絶縁層と、前記絶縁層の内部トレンチに満たされる伝導性物質と、前記伝導性物質で満たされたトレンチの上部に形成され、各信号電圧が印加されるMOSFETのゲート電極を有するMOSFETと、から構成されたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、一つの極性を有するMOSFETと相補的な相補型MOSFET(Complementary MOSFET)を作るために、第1極性の半導体基板に形成される第2極性のウェル領域と、前記ウェル領域の表面から一定の断面と一定の深さを有する垂直的構造で離間して形成され、前記ウェル領域と反対の第1極性、及び前記ウェル領域と同一の第2極性を有する多数の拡散領域と、前記拡散領域の上層部に形成され、各信号電圧を印加することにより相補型MOSFETのソース電極、ドレイン電極又はウェル領域電極として動作する多数の電極と、前記ウェル領域の表面から一定の断面と一定の深さで離間して形成される多数のトレンチと、前記ウェル領域の表面から各トレンチの表面上に形成される絶縁層と、前記絶縁層の内部トレンチに満たされる伝導性物質と、前記伝導性物質で満たされたトレンチの上部に形成され、各信号電圧が印加される相補型MOSFETのゲート電極を有するMOSFETと、から構成されたことを特徴とする。
【0016】
このとき、前記第1又は第2極性を有する多数の拡散領域又はMOSFETのトレンチゲート電極が伝導性物質によって互いに連結されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電流の流れがトレンチゲート電極と垂直的構造のソースとドレインで形成された垂直的チャネルで起こるようにして、シリコンの垂直的容積を利用することにより、表面積を消費することなく電流処理容量を増加させることができるだけでなく、速度及び集積度を向上させることができる優れた効果を有する。
【0018】
また、本発明によれば、トレンチ構造を介して多数のゲート電極を用いることができ、ゲート電極と垂直的ソース及びドレイン拡散領域の垂直方向の大きさ及び間隔などを調節することにより、電流及び電荷処理容量を大幅に増加させることができるだけでなく、それにより高集積度のより小さく且つより速い速度のSRAMセルを製作することができる。
【0019】
また、本発明によれば、従来の平面構造SRAMセルに比べて信号処理が容易であり、短チャネル効果を回避することにより、漏れ電流を減少させることができるため、待機電力の消費を減らすことができるだけでなく、向上したノイズマージンにより動作速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係るトレンチ構造を有するCMOS SRMAセルを示す平面図である。
【
図2】
図1に示した本発明のA-A線に沿った断面図である。
【
図3】
図1に示した本発明のB-B線に沿った断面図である。
【
図4】
図1に示した本発明のC-C線に沿った断面図である。
【
図5】本発明に係るトレンチ構造を有するCMOS SRMAセルの回路図(circuit diagram)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るトレンチ構造を有するCMOS SRAMセルの好適な実施形態を詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係るトレンチ構造を有するCMOS SRAMセルを示す平面図、
図2は、
図1に示した本発明のA-A線に沿った断面図、
図3は、
図1に示した本発明のB-B線に沿った断面図、
図4は、
図1に示した本発明のC-C線に沿った断面図であり、
図5は、本発明に係るトレンチ構造を有するCMOS SRAMセルの回路図(circuit diagram)である。
【0023】
本発明は、垂直的構造をなすゲート、ソース及びドレインを有するトレンチ構造の垂直型MOSFETを用いてCMOS SRAMセルを製造し、電流の流れがトレンチゲート電極99と垂直型ソース及びドレイン領域との間の活性領域で起こるようにすることにより、既存の平面構造を有するCMOS SRAMセルに比べて、 集積度(density)、動作速度(operating frequency)、ノイズマージン(noise margin)、電流処理容量(current handling capacity)、電力消費(power dissipation)及び製造工程などで多様な利点を示すことができるトレンチ構造を有するCMOS SRAMセル100(以下、「SRAMセル100」という)に関し、
図1に示すように、N型又はP型のうちのいずれかの極性(以下、「第1極性」という)を有する半導体基板10と、前記半導体基板10に形成され、半導体基板10と互いに異なる極性(以下、「第2極性」という)を有するウェル領域(Well)20と、多数のトレンチゲート99、ソース及びドレインを含むトレンチ構造の垂直型MOSFETで作られた6トランジスタ構造のSRAMセル100と、から構成される。
【0024】
すなわち、本発明に係るSRAMセル100は、第1極性の半導体基板10と、前記半導体基板10に形成される多数の拡散領域とトレンチ電極99を含むことができるが、前記拡散領域は、半導体基板10の表面から一定の断面を有する一定深さの垂直的構造で形成されることができる。以下では、前記第1極性がN型(N-type)である場合、すなわちN型半導体基板10である場合を基準として説明する。
【0025】
このとき、前記拡散領域は、N型半導体基板10と反対の第2極性、すなわち、P型又は同一の第1極性、すなわち、N型を有するようにして、互いに一定距離離間するように形成されることができ、不純物の濃度が1017~1020cm-3と比較的高くドーピングされることができる。
【0026】
第1極性の半導体基板10、すなわちN型半導体基板10と、第2極性のウェル領域20、すなわちP型ウェル領域20には、一定の断面及び一定の深さを有する多数のトレンチ99が一定距離離間して形成され、第1極性又は第2極性の拡散領域が半導体基板10とウェル領域20に形成され、拡散領域の上層部には、MOSFETのソース電極又はドレイン電極に各信号電圧を印加するための多数の電極が形成される。
【0027】
前記半導体基板10に形成された各トレンチ99の内部表面には、約1μm以下の薄い厚さを有する酸化膜などの絶縁層98が形成されることができ、前記絶縁層98の内部トレンチ99は、ポリシリコンなどの伝導性物質で満たされ、その上部には、MOSFETのゲート電極として動作して各信号電圧を印加するための多数の電極が形成される。
【0028】
そして、前記P型ウェル領域20は、半導体基板10に形成されるMOSFETと相補的な相補型MOSFET(Complementary MOSFET)を作るためのものであって、第2極性を有するように形成され、前記第2極性を有するP型ウェル領域20には、第1極性を有するソースとドレイン拡散領域が形成されて半導体基板10に形成されるMOSFETと反対の極性を有するMOSFETを形成させることができる。
【0029】
このとき、
図1に示すように、前記N型半導体基板10には、一定電圧を印加するための第1極性、すなわちN型拡散領域102が形成され、前記P型ウェル領域20には、同様に一定電圧を印加するための第2極性、すなわちP型拡散領域101がそれぞれ形成される。
【0030】
より詳細に説明すると、前記SRAMセル100は、二つのN型パスゲートトランジスタ(Pass-gate transistor)91、94と、二つのバックツーバックCMOSインバータ(back-to-back CMOS Inverter)を含み、拡散(diffusion)領域とポリシリコン(poly-silicon)領域をメタルなどの伝導性物質と連結するコンタクト領域97を含む。
【0031】
また、
図5に示すように、外部とSRAMセル100との間でデータが移動する通路の役割を果たすとともに、ドレイン端子へ電圧を供給するビットライン(Bit Line)88と反転ビットライン(Inverting Bit Line)89と、前記ビットライン88とSRAMセル100との間のスイッチ機能をするとともに、ゲート端子へ電圧を供給するワードライン(Word Line)90が備えられ、それにより、前記ビットライン88と反転ビットライン89は、ワードライン90によって前記パスゲートトランジスタ91、94を介してSRAMセル100内のインバータに連結される。
【0032】
また、N型プルダウントランジスタ(Pull-down transistor)92とP型プルアップトランジスタ(Pull-up transistor)93を含む左側インバータ、すなわち一側インバータの出力は、N型プルダウントランジスタ95とP型プルアップトランジスタ96を含む右側インバータ、すなわち他側インバータの入力に連結される。
【0033】
より具体的に説明すると、
図2に示すように、前記半導体基板10に形成される第2極性のP型ウェル領域20には、N型パスゲートトランジスタ91とN型プルダウントランジスタ95がトレンチゲート99構造で形成され、第1極性の半導体基板10には、P型プルアップトランジスタ96がトレンチゲート99構造で形成されることができる。
【0034】
このとき、それぞれのトランジスタ91、95、96の幅Wは、
図3及び
図4に示すように、n+、p+拡散領域の深さWn及びWpに比例する。
【0035】
また、
図1、
図3及び
図4に示すように、前記N型半導体基板10には、第1極性のn+又は第2極性のp+拡散領域が形成され、P型ウェル領域20にも、同様に第1極性のn+又は第2極性のp+拡散領域が形成される。
【0036】
前記拡散領域とポリシリコンの上部には、伝導性物質との連結のためのコンタクト領域97が形成される。
【0037】
また、
図4に示すように、前記N型半導体基板10には、深さWpのp+拡散領域が形成され、前記p+拡散領域の間には、チャネル長LpのP型プルアップトランジスタ93がトレンチゲート99構造で形成される。
【0038】
すなわち、本発明に係るSRAMセル100は、既存の平面構造のSRAMセルが有する平面ポリシリコンゲートをトレンチ構造のゲート99に代替することにより、平面構造のSRAMセルに比べて一層大きい、チャネル幅Wとチャネル長Lの比を有するSRAMセル100構造を実現することができる。
【0039】
また、
図3及び
図4から確認できるように、NチャネルMOSFETとPチャネルMOSFETのチャネル幅Wとチャネル長Lは、それぞれソースとドレイン拡散領域の深さと、ソースとドレイン拡散領域間の距離と定義され、同一のトレンチ深さを有するゲート電極の場合、P型及びN型トランジスタのチャネル幅は、p+及びn+拡散領域の深さであるWp及びWnによって決定される。
【0040】
前記6つのトランジスタ91、92、93、94、95、96のチャネル幅Wは、ゲート電極99と拡散領域の深さWp、Wnを調節することにより最適化することができ、それにより高周波数及び高性能素子の実現が可能になる。
【0041】
図1から確認できるように、すべてのトランジスタ91、92、93、94、95、96は、最小サイズのゲート電極99を有し、それにより、全体SRAMセル100の表面積を最小化することができるだけでなく、大きい表面積対深さ比(aspect ratio)を有するトレンチゲート電極99と拡散領域をより容易に製作することができる。
【0042】
また、前記P型プルアップトランジスタ93のチャネル幅Wは、拡散領域の深さWpの2倍と、ゲート電極の間隔Lpとを足した値になるが、これは、トライゲートバルクFinFET(Tri-Gate Bulk FinFET)の構造と同様である。
【0043】
上述のように増加したチャネル幅Wとチャネル長Lの比、すなわち表面積対深さ比(aspect ratio)を有する6つのトランジスタ91、92、93、94、95、96は、増加したノイズマージン(Noise margin)、増加した動作速度(Operation Speed)を示すことができるのはもとより、待機電力消費も減少させる。
【0044】
すなわち、二つのゲート電極の間に形成されたチャネルにおいて短チャネル効果(Short Channel Effects)を効果的に制御することにより、チャネルでの漏れ電流(Leakage Current)を減少させることができ、それにより待機電力消費(Stand-by Power Dissipation)が減少するという効果を示す。
【0045】
また、最小サイズのゲート電極及び増加した表面積対深さ比(aspect ratio)を有するトランジスタ91、92、93、94、95、96により、マスキングステップ(Masking step)を大きく増やさなくても高性能の小型SRAMセル100を製作することができるだけでなく、一対のトレンチゲート電極を含むチャネルは、既存の平面構造のセルに比べてより大きい整列許容誤差(Alignment Tolerance)を有する。
【0046】
前述した実施形態は、本発明の最も好適な例について説明したものであるが、前記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明に係るSRAMセル100を高集積度、高周波数動作、低電力消費などが要求されるアプリケーションプロセッサ、CPU及びGPU(Graphic Processing Unit)などに適用するか、或いは本発明におけるトレンチ構造をCMOSデジタルとアナログデバイス、映像感知素子(Image Sensor)、信号処理素子(Signal Processing Device)、記憶素子(Memory Device)及び電力素子(Power Device)などの多様な既存の平面構造の素子に代替して適用することができるなど、本発明の技術的思想を逸脱することなく多様な変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、トレンチ構造を有するCMOS SRAMセルに関し、より詳細には、垂直的構造をなすゲート、ソース及びドレインを有するトレンチ構造の垂直型MOSFETを用いてCMOS SRAMセルを製造し、電流の流れがトレンチゲート電極と垂直型ソース及びドレイン領域との間の活性領域で起こるようにすることにより、既存の平面構造を有するCMOS SRAMセルに比べて、集積度(density)、動作速度(operating frequency)、ノイズマージン(noise margin)、電流処理容量(current handling capacity)、電力消費(power dissipation)及び製造工程などで多様な利点を示すことができる、トレンチ構造を有するCMOS SRAMセルに関する。
【国際調査報告】