(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
B22D 11/04 20060101AFI20250220BHJP
B22D 11/055 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
B22D11/04 311F
B22D11/055 A
B22D11/055 B
B22D11/04 311D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024550851
(86)(22)【出願日】2023-09-25
(85)【翻訳文提出日】2024-08-28
(86)【国際出願番号】 CN2023120958
(87)【国際公開番号】W WO2024087976
(87)【国際公開日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】202211329292.4
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510000839
【氏名又は名称】東北大学
【氏名又は名称原語表記】Northeastern University
【住所又は居所原語表記】NO.11, LANE3, WENHUA ROAD, HEPING DISTRICT, SHENYANG, LIAONING, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】蔡 兆鎮
(72)【発明者】
【氏名】朱 苗勇
【テーマコード(参考)】
4E004
【Fターム(参考)】
4E004AA06
4E004AC01
4E004AC02
4E004NB01
(57)【要約】
本願は、凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板及びその使用方法を開示する。前記狭面銅板は、第1作業面と、第2作業面と、を含み、前記第2作業面は、2つ設けられ、前記第1作業面は、2つの前記第2作業面にそれぞれ接続され、前記第1作業面と前記第2作業面との接続箇所は第1接続線となり、前記第1接続線は、2つ設けられ、前記第1作業面の横断面が凸型円弧線であり、前記第1作業面は、前記狭面銅板の上側開口部から前記狭面銅板の下側開口部まで延び、2本の前記第1接続線が存在する平面に対する前記第1作業面の凸起高さが、前記狭面銅板の上側開口部から向前記狭面銅板の下側開口部に向かうに従って減少する。本願では、第1作業面の幅が十分であり、第1作業面の凸起の変化量が小さくなり、それによって、連続鋳造スラブの圧延プロセスにおける顕著な縁部割れ欠陥や顕著な2本ストランド状欠陥の発生の確率が低下する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板であって、前記狭面銅板は作業面を含み、前記作業面は、第1作業面と、第2作業面と、を含み、
前記第2作業面は、2つ設けられ、前記第2作業面の一方が前記第1作業面の一方の側に設けられ、前記第2作業面の他方が前記第1作業面の他方の側に設けられ、2つの前記第2作業面は対向して設けられ、
前記第1作業面は、2つの前記第2作業面にそれぞれ接続され、前記第1作業面と前記第2作業面との接続箇所は第1接続線となり、前記第1接続線は2本設けられ、
前記第1作業面の横断面が凸型円弧線であり、前記第1作業面は、前記狭面銅板の上側開口部から前記狭面銅板の下側開口部まで延び、2本の前記第1接続線が存在する平面に対する前記第1作業面の凸起高さが、前記狭面銅板の上側開口部から前記狭面銅板の下側開口部に向かうに従って減少する、凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板。
【請求項2】
前記狭面銅板の上側開口部が存在する平面と前記狭面銅板の下側開口部が存在する平面とが平行であり、
前記狭面銅板の上側開口部が存在する平面内で前記第1作業面と2本の前記第1接続線が存在する平面との間の最大垂直距離が、上側開口部の第1長さであり、
前記狭面銅板の下側開口部が存在する平面内で前記第1作業面と2本の前記第1接続線が存在する平面との間の最大垂直距離が、下側開口部の第1長さであり、
前記狭面銅板の上側開口部が存在する平面と、前記狭面銅板の下側開口部が存在する平面との間の垂直距離が780~1200mmであり、前記上側開口部の第1長さと前記下側開口部の第1長さとの間の差が0.2~4mmである、請求項1に記載の凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板。
【請求項3】
前記狭面銅板の上側開口部の幅が前記狭面銅板の下側開口部の幅よりも大きい、請求項2に記載の凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板。
【請求項4】
前記第2作業面は、前記狭面銅板の上側開口部から前記狭面銅板の下側開口部まで延び、前記第2作業面の外縁部と前記第1接続線との間の距離が、前記狭面銅板の上側開口部から前記狭面銅板の下側開口部まで一定に保持される、請求項1に記載の凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板。
【請求項5】
前記第2作業面は、上側開口部側作業面と、下側開口部側作業面と、を含み、
前記上側開口部側作業面と前記下側開口部側作業面は連結されており、前記上側開口部側作業面及び前記下側開口部側作業面は、前記狭面銅板の上側開口部から前記狭面銅板の下側開口部に向かって順次配置されており、
前記上側開口部側作業面はストレート面であり、前記下側開口部側作業面は傾斜面であり、前記下側開口部側作業面向は、前記第1作業面の凸起方向と反対する方向に傾斜している、請求項1に記載の凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板。
【請求項6】
前記狭面銅板は冷却面を含み、前記冷却面は側部平面を含み、前記側部平面は前記第2作業面に対向して設けられ、かつ、前記側部平面及び前記上側開口部側作業面は平行に設けられ、
前記下側開口部側作業面は第1頂点を含み、前記第1頂点は、前記下側開口部側作業面と前記狭面銅板の下側開口部との接続線上にあり、かつ、前記第1頂点は前記第1接続線から離れて設けられ、
前記第1頂点と前記側部平面との間の垂直距離が、前記下側開口部側作業面と前記側部平面との間の最短垂直距離である、請求項5に記載の凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板。
【請求項7】
前記上側開口部側作業面では、前記狭面銅板の上側開口部から前記下側開口部側作業面まで延びる距離が第2長さであり、
前記第2長さは、前記狭面銅板の上側開口部が存在する平面と前記狭面銅板の下側開口部が存在する平面との間の垂直距離の25%~75%を占める、請求項5に記載の凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板。
【請求項8】
前記狭面銅板は、締結孔と、第1冷却水タンクと、第2冷却水タンクと、を含み、
前記締結孔は複数列設けられ、複数列の前記締結孔は、前記狭面銅板の縦中心軸面に対して対称に設けられ、
隣接する2列の前記締結孔の間に前記第1冷却水タンク及び前記第2冷却水タンクが設けられ、前記第1冷却水タンクは2つ設けられ、前記第2冷却水タンクは複数設けられ、2つの前記第1冷却水タンクは、2列の前記締結孔にそれぞれ隣接して設けられ、複数の前記第2冷却水タンクは、2つの前記第1冷却水タンクの間に位置し、
前記第1冷却水タンクの底部が、それに隣接する前記第2冷却水タンクの底部よりも前記第1作業面に近く、
複数の前記第2冷却水タンクの底部が同一の円弧面上にある、請求項1に記載の凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板。
【請求項9】
前記上側開口部側作業面と前記下側開口部側作業面とが接する平面内にある前記第1作業面の横断面が基準凸型円弧線となり、
複数の前記第2冷却水タンクの底部が存在する円弧面の横断面の凸型円弧線は、前記基準凸型円弧線に平行となるように設けられる、請求項8に記載の凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板。
【請求項10】
凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板の使用方法であって、請求項1~9のいずれか1項に記載の凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板で晶析装置を構成し、
前記晶析装置の作業プロセス中、前記狭面銅板の冷却水タンク内に冷却水が導入され、前記狭面銅板の冷却水タンク内の冷却水の流速は6m/s以上であり、前記狭面銅板の冷却水タンク内の前記冷却水の入口温度と出口温度との差が5~9℃である、凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2022年10月27日に中国特許庁に提出された、出願番号が202211329292.4、出願の名称が「凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板及びその使用方法」の中国特許出願の優先権を主張しており、そのすべての内容は、引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、晶析装置連続鋳造の分野に関し、特に凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
連続鋳造スラブは、高性能の中厚スラブや広幅厚スラブなどを製造するための主な鋳片母材である。実際のスラブ連続鋳造では、背面に冷却水タンク構造を備えた2枚の水冷広面銅板と、背面に冷却水タンク構造を備えた2枚の水冷狭面銅板からなる晶析装置で高温の溶鋼が凝固し、特定の形状と優れた表面品質を備えた凝固シェルが形成され、鋳片が下方に引き抜かれるにつれて二次冷却ストランドの中で徐々に完全に凝固し、品質、形状やサイズのいずれも合格する鋳片が形成される。
【0004】
連続鋳造スラブの狭面形状は、圧延プロセス中のスラブの中間スラブのエッジ形態の変化に影響を与える重要な要素である。実際の中厚スラブや広幅厚スラブの圧延では、平面状または略平面状のスラブの狭面が平面状から2本ストランド状、そして1本ストランド状へと徐々に変化していく。このプロセス中に、中間スラブの狭面が鋼板のエッジに向かって徐々に上下に回転する。現在の中厚スラブや広幅厚スラブの圧延プロセスでは中間スラブのエッジの高温での制御が難しいため、中間スラブの狭面の圧延プロセスでは「絞り」という形態学的な欠陥が発生しやすく、これは、細い線状の割れ欠陥につながり、中間スラブの狭面が鋼板のエッジまで上下に反転し、鋼板に縁部割れ欠陥が発生する。連続鋳造プロセスで発生したスラブの狭面が膨らむと、鋼板のエッジまで反転する中間スラブの狭面の幅がさらに増加し、鋼板のエッジの品質がさらに劣化する。連続鋳造スラブの狭面の膨らみを厳密に抑えること、特に連続鋳造スラブの狭面を大凹円弧状の構造にすることが、広幅厚スラブの圧延プロセス中に形成される顕著な縁部割れ欠陥を低減する鍵となる。
【0005】
特許番号201520673254.Xの実用新案および特許番号201610796688.8の発明特許のいずれも、狭面作業面の横方向中央部にバンプ構造を備えた晶析装置の銅板を使用して、狭面凹状構造を備えたスラブを製造する方法を開示した。この2つの特許によって設計された晶析装置の狭面銅板は、半径150~300mm、凸起高さ5~12mmの作業面の横方向中央部を有し、凸型円弧面がそれに接する遷移面を介して銅板のエッジの両側のベース面に遷移している。この構造の晶析装置の狭面銅板を使用することにより、直角構造の狭面凹状スラブを製造することができ、広幅厚スラブの圧延プロセスに発生する顕著なエッジ割れ欠陥をある程度低減することができる。しかし、この狭面銅板では、幅方向中央部の凸型円弧面とその両側にあるベース面との間を滑らかに遷移させるためには、遷移領域を広く設計する必要があるため、晶析装置の狭面銅板の横方向中央部の円弧状凸面の幅が非常に狭くなり、その結果、幅狭銅板の横方向中央部の円弧面の凸起が非常に集中し、すなわち、凸起構造が急激に変化し、その結果、この晶析装置によって製造される鋳片の狭面が急激に窪んで変化し、鋳片の狭面は略「三角形」の凹状構造が形成されやすくなる。広幅厚スラブの圧延では、この形状を圧延するときに、中間スラブのエッジに2本ストランド状欠陥が容易に形成される。特にアスペクト比が大きい場合、鋼板のエッジに大きな折り畳み欠陥が発生しやすくなる。
【0006】
したがって、幅方向中央部の領域にある円弧状凸面の幅が円弧状凸起の変化が大きいことにより鋳片の狭面に略「三角形」の凹状構造が形成されるのを避けるのに十分である新規な狭面銅板を設計することが求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上に鑑み、本願は、凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板及びその使用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
具体的には、以下の技術的解決手段を含む。
【0009】
一態様では、
凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板であって、
前記狭面銅板は作業面を含み、前記作業面は、第1作業面と、第2作業面と、を含み、
前記第2作業面は、2つ設けられ、前記第2作業面の一方が前記第1作業面の一方の側に設けられ、前記第2作業面の他方が前記第1作業面の他方の側に設けられ、2つの前記第2作業面は対向して設けられ、
前記第1作業面は、2つの前記第2作業面にそれぞれ接続され、前記第1作業面と前記第2作業面との接続箇所は第1接続線となり、前記第1接続線は2本設けられ、
前記第1作業面の横断面が凸型円弧線であり、前記第1作業面は、前記狭面銅板の上側開口部から前記狭面銅板の下側開口部まで延び、2本の前記第1接続線が存在する平面に対する前記第1作業面の凸起高さが、前記狭面銅板の上側開口部から前記狭面銅板の下側開口部に向かうに従って減少する、凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板を提供する。
【0010】
別の態様では、凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板の使用方法であって、上記の凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板で晶析装置を構成し、
前記晶析装置の作業プロセス中、前記狭面銅板の冷却水タンク内に冷却水が導入され、前記狭面銅板の冷却水タンク内の冷却水の流速は6m/s以上であり、前記狭面銅板の冷却水タンク内の前記冷却水の入口温度と出口温度との差が5~9℃である、凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板の使用方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本願による技術的解決手段の有益な効果は少なくとも以下を含む。
【0012】
本願では、第1作業面が凸円弧面として構成され、第1作業面と第2作業面が直接接続されることによって、第1作業面の幅が十分であり、第1作業面の凸起の変化量が小さく、第1作業面の凸起の変化量が大きすぎて鋳片の狭面に略「三角形」の凹状構造が形成され、連続鋳造スラブの圧延プロセスに顕著な幅方向の割れ欠陥及び顕著な2本ストランド状欠陥の発生の確率が低下する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本願の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面について簡単に説明するが、以下の説明における図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を払わずにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができることは明らかである。
【
図1】本願の一実施例による晶析装置における狭面銅板の取り付け構造の模式図である。
【
図2】本願の一実施例による狭面銅板の構造模式図である。
【
図3】本願の一実施例による狭面銅板の下側開口部側作業面の側面構造の模式図である。
【
図4】本願の一実施例による狭面銅板の冷却面の構造模式図である。
【
図5】本願の一実施例の上側開口部側作業面と下側開口部側作業面が接する狭面銅板の横断面の構造模式図である。
【
図6】本願の別の実施例による上側開口部側作業面と下側開口部側作業面が接する狭面銅板の横断面の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記の図面を通じて、本願の明確な一実施例が示されており、これについては以下でより詳細に説明する。これらの図面および文字の説明は、いかなる意味でも本願の概念の範囲を限定することを意図するものではなく、特定の実施例を参照して当業者に本願の概念を説明することを意図するものである。
【0015】
以下、本願の実施例における図面を参照して、本願の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、説明される実施例は、本願の実施例の一部であり、全ての実施例ではないことは明らかである。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わずに得た他のすべての実施例は、本願の保護範囲に属する。
【0016】
本願の実施形態についてさらに詳細に説明する前に、本願の実施例における「上」、「下」、「側」などの方位名詞は、本願の保護範囲を限定するものではない。
【0017】
本願の技術的解決手段及び利点をより明確にするため、以下、図面を参照して本願の実施形態についてさらに詳細に説明する。
実施例1
【0018】
本実施例は、凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板について説明する。狭面銅板100は作業面を含み、作業面は、第1作業面1と、第2作業面と、を含み、第2作業面は、2つ設けられ、第2作業面の一方が第1作業面1の一方の側に設けられ、第2作業面の他方が第1作業面1の他方の側に設けられ、2つの第2作業面は対向して設けられ、第1作業面1は、2つの第2作業面にそれぞれ接続され、第1作業面1と第2作業面との接続箇所は第1接続線L1となり、第1接続線L1は2本設けられ、第1作業面1の横断面が凸型円弧線であり、第1作業面1は、狭面銅板の上側開口部4から狭面銅板の下側開口部5まで延び、2本の第1接続線L1が存在する平面に対する第1作業面1の凸起高さが、狭面銅板の上側開口部4から狭面銅板の下側開口部5に向かうに従って減少する。
【0019】
図1に示すように、晶析装置は、2枚の広面銅板200と、2枚の狭面銅板100と、を含み、本実施例では、狭面銅板100が存在する晶析装置は、厚さ175~650mmの直角構造を持つ狭面凹状スラブ300を連続鋳造するものである。
図2に示すように、狭面銅板の上側開口部4は、狭面銅板100の上端に位置し、狭面銅板の下側開口部5は、狭面銅板100の下端に位置し、作業面は、凝固シェルが接触する側であり、第1作業面1は、凸型円弧面であり、晶析装置のキャビティに向かって凸起する。2本の第1接続線L
1が存在する平面に対する第1作業面1の凸起高さとは、第1作業面1が晶析装置のキャビティに延びる距離を指すことが理解される。2つの第2作業面は、第1作業面1の両側に位置し、2つの第2作業面は、第1作業面1の縦中心軸面に対して対称に設けられる。2枚の狭面銅板100の縦中心軸面が同一の面である。第1作業面1と第2作業面との接続箇は第1接続線L
1となり、2つの第2作業面は、第1作業面1と2本の第1接続線L
1を形成し、2本の第1接続線L
1が存在する平面に対する第1作業面1の凸起高さが、狭面銅板の上側開口部4から狭面銅板の下側開口部5に向かうに従って減少する。
【0020】
本実施例では、第1作業面1と2つの第2作業面との間に遷移面が設けられ、第1作業面1と第2作業面が直接接続されることによって、第1作業面1の幅が十分であり、第1作業面1の凸起の変化量が小さく、スラブ300に広くて大きな凹円弧状の構造を付与し、第1作業面1の凸起の変化量が大きすぎて鋳片の狭面に略「三角形」の凹状構造が形成され、連続鋳造スラブの圧延プロセスに顕著な幅方向の割れ欠陥及び顕著な2本ストランド状欠陥の発生の確率が低下する。
【0021】
一方、第2作業面が設けられることで、スラブ300に直角構造を付与し、それによって、二次冷却ストランド内で鋳片300のコーナーの温度が低すぎることを回避し、連続鋳造プロセスにおけるスラブ300のコーナー横割れを制御可能にする。さらに、2本の第1接続線L1が存在する平面に対する第1作業面1の凸起高さが、狭面銅板の上側開口部4から狭面銅板の下側開口部5に向かうに従って減少するため、この狭面銅板100を用いた晶析装置では、テーパーをより大きくして連続鋳造を行うことができ、凝固により形成されたスラブ300のコーナーの組織結晶粒をより微細化し、スラブ300のコーナー横割れの発生を減少させ、また、狭面銅板の下側開口部5の近くの領域における第1作業面1の摩損を大幅に低減させ、狭面銅板100の耐用年数を延ばす。
【0022】
任意選択で、狭面銅板の上側開口部4が存在する平面と狭面銅板の下側開口部5が存在する平面とは平行であり、狭面銅板の上側開口部4が存在する平面内で第1作業面1と2本の第1接続線L1が存在する平面との間の最大垂直距離は、上側開口部の第1長さl1であり、狭面銅板の下側開口部5が存在する平面内で第1作業面1と2本の第1接続線L1が存在する平面との間の最大垂直距離は、下側開口部の第1長さであり、狭面銅板の上側開口部4が存在する平面と狭面銅板の下側開口部5が存在する平面との間の垂直距離は780~1200mmであり、上側開口部の第1長さl1と下側開口部の第1長さとの間の差は0.2~4mmである。
【0023】
さらに、狭面銅板の上側開口部4から狭面銅板の下側開口部5は、狭面銅板100の高さ方向となり、いずれの高さでも、第1作業面1の最高点は狭面銅板100の縦中心軸面上にある。本実施例では、上側開口部の第1長さl1は8~40mmであり、他の各高さでは、第1作業面1と2本の第1接続線L1が存在する平面との間の最大垂直距離は、狭面銅板の上側開口部4から狭面銅板の下側開口部5に向かうに従って、下側開口部の第1長さまで線形的に減少する。
【0024】
さらに、
図2に示すように、狭面銅板の上側開口部4の幅は第5長さl
5であり、第5長さl
5は、狭面銅板100の幅方向を示し、狭面銅板の下側開口部5の幅は第6長さl
6である。本実施例では、第5長さl
5は第6長さl
6よりも1~4mm長く、かつ、沿面銅板の上側開口部4から狭面銅板の下側開口部5に向かうに従って、第5長さl
5は、第6長さl
6まで線形的に減少する。
【0025】
任意選択で、
図2に示すように、本実施例では、第2作業面は、狭面銅板の上側開口部4から狭面銅板の下側開口部5まで延び、第2作業面の外縁部と第1接続線L
1との間の距離は第4長さl
4であり、第4長さl
4は、狭面銅板の上側開口部4から狭面銅板の下側開口部5まで一定に保持される。連続鋳造により製造されるスラブ300の厚さに応じて、第4長さl
4は10~50mmであり、
図1に示すように、スラブ300の厚さとは、2枚の広面銅板200の間の距離が示す方向を指す。
【0026】
任意選択で、
図2に示すように、第2作業面は、上側開口部側作業面2と、下側開口部側作業面3と、を含み、上側開口部側作業面2と下側開口部側作業面3は連結されており、上側開口部側作業面2及び下側開口部側作業面3は、狭面銅板の上側開口部4から狭面銅板の下側開口部5に向かって順次配置されており、上側開口部側作業面2はストレート面であり、下側開口部側作業面3は傾斜面であり、下側開口部側作業面3は、第1作業面1の凸起方向と反対する方向に傾斜している。さらに、下側開口部側作業面3は、下側開口部側作業面の外縁部L
2、第1接続線L
1、下側開口部側作業面の下縁部、及び下側開口部側作業面の上縁部を含む4本の辺を有し、下側開口部側作業面の下縁部は、下側開口部側作業面3と狭面銅板の下側開口部5との交差線であり、下側開口部側作業面の上縁部は、下側開口部側作業面3と上側開口部側作業面2との交差線である。下側開口部側作業面3は、第1接続線L
1から下側開口部側作業面の外縁部L
2に向かうに従って、上側開口部側作業面2の延伸面から離れて傾斜し、また、下側開口部側作業面3は、下側開口部側作業面の上縁部から下側開口部側作業面の下縁部に向かうに従って、上側開口部側作業面2の延伸面から離れて傾斜する。
【0027】
さらに、
図2及び
図3に示すように、狭面銅板100は冷却面6を含み、冷却面6は作業面に対向して設けられ、冷却面6には、連続鋳造スラブ300を冷却するための冷却水タンクが設けられ、冷却面6は側部平面を含み、側部平面は第2作業面に対向して設けられ、かつ、側部平面及び上側開口部側作業面2は平行に設けられ、下側開口部側作業面3は第1頂点O
2を含み、第1頂点O
2は、下側開口部側作業面3と狭面銅板の下側開口部5との接続線上にあり、かつ、第1頂点O
2は第1接続線L
1から離れて設けられ、第1頂点O
2と側部平面との間の垂直距離が、下側開口部側作業面3と側部平面との間の最短垂直距離である。第1頂点O
2は、下側開口部側作業面の下縁部と下側開口部側作業面の外縁部L
2との交点であり、第1頂点O
2と側部平面との間の垂直距離は第7長さl
7であり、上側開口部側作業面2と側部平面との間の垂直距離は第3長さl
3であり、第3長さl
3と第7長さl
7との間の長さの差は第8長さl
8であり、本実施例では、第3長さl
3は35~45mm、第8長さl
8は0.25~4mmであることが理解される。さらに、一般には、第8長さl
8の値は、上側開口部第の1長さl
1と下側開口部の第1長さとの間の差以上である。
【0028】
さらに、
図5に示すように、一実施例では、冷却面6は、2つの側部平面と、中央部の円弧面と、を含み、
図6に示すように、別の実施例では、冷却面6は、2つの側部平面と、中央部の平面と、を含む。
【0029】
さらに、本実施例では、上側開口部側作業面2は、上側開口部側作業面の外縁部、第1接続線L1、上側開口部側作業面の下縁部、及び上側開口部側作業面の上縁部を含む4本の辺を有し、上側開口部側作業面の下縁部は、下側開口部側作業面3と上側開口部側作業面2との交差線であり、上側開口部側作業面の上縁部は、上側開口部側作業面2と狭面銅板の上側開口部4との交差線であり、上側開口部側作業面の外縁部は、第1接続線L1に平行に対向して設けられる縁部であり、上側開口部側作業面の外縁部と下側開口部側作業面の外縁部L2は、第1端点O1で接することが理解される。
【0030】
さらに、第2作業面は、上側開口部側作業面2と、下側開口部側作業面3と、を含み、下側開口部側作業面3は下側開口部側作業面の外縁部L2を含み、上側開口部側作業面2は、上側開口部側作業面の外縁部を含み、上側開口部側作業面の外縁部と下側開口部側作業面の外縁部L2とが接して第2作業面の外縁部が形成されることが理解される。第2作業面の外縁部と第1接続線L1との間の距離は第4長さl4であり、第4長さl4は、狭面銅板の上側開口部4から狭面銅板の下側開口部5まで一定に保持される。2本の第1接続線L1の間の狭面銅板100の幅方向の距離は、狭面銅板の上側開口部4から狭面銅板の下側開口部5に向かうに従って線形的に減少し、狭面銅板の上側開口部4の平面内で2本の第1接続線L1の間の狭面銅板100の幅方向の距離は、狭面銅板の下側開口部5の平面内で2本の第1接続線L1の間の狭面銅板100の幅方向の距離よりも1~4mm長いことが理解される。傾斜して設けられる下側開口部側作業面3によって、晶析装置の下側開口部によるスラブ300の凝固に対する収縮補償量が減少し、スラブ300を製造するときにスラブ300による狭面銅板の下側開口部5の摩損をさらに低減させ、狭面スラブ300の耐用年数を延ばす。
【0031】
任意選択で、上側開口部側作業面2が狭面銅板の上側開口部4から下側開口部側作業面3まで延びる距離は第2長さl2であり、第2長さl2は、狭面銅板の上側開口部4が存在する平面と狭面銅板の下側開口部5が存在する平面との間の垂直距離の25%~75%を占める。本実施例では、狭面銅板の上側開口部4が存在する平面と狭面銅板の下側開口部5が存在する平面との間の垂直距離は780~1200mmであり、晶析装置の高さ及び連続鋳造における引抜速度によるものであり、第2長さl2は一般に250~600mmである。
【0032】
任意選択で、
図4、
図5、及び
図6に示すように、狭面銅板100は、締結孔7と、第1冷却水タンク8と、第2冷却水タンク9と、を含み、締結孔7は複数列設けられ、複数列の締結孔7は、狭面銅板100の縦中心軸面に対して対称に設けられ、隣接する2列の締結孔7の間に第1冷却水タンク8及び第2冷却水タンク9が設けられ、第1冷却水タンク8は2つ設けられ、第2冷却水タンク9は複数設けられ、第1冷却水タンク8及び第2冷却水タンク9は、いずれも狭面銅板100の高さ方向に延びる。2つの第1冷却水タンク8は、2列の締結孔7にそれぞれ隣接して設けられ、複数の第2冷却水タンク9は、2つの第1冷却水タンク8の間に位置し、第1冷却水タンク8の底部が、それに隣接する第2冷却水タンク9の底部よりも第1作業面1に近く、複数の第2冷却水タンク9の底部が同一の円弧面上にある。
【0033】
さらに、
図4に示すように、冷却面6には、締結孔7、第1冷却水タンク8、第2冷却水タンク9、及び傾斜水タンク10が設けられ、締結孔7はボルト孔である。本実施例では、幅方向は、第5長さl
5の延び方向であり、一般には、製造される連続鋳造スラブの厚さに応じて、冷却面6は、狭面銅板100を晶析装置のステンレス製バックプレートに固定するために、2列~4列の締結孔7を幅方向に配置している。第1冷却水タンク8、第2冷却水タンク9、及び傾斜水タンク10は、狭面銅板100の幅方向に均等に分布しており、かつ、第1冷却水タンク8、第2冷却水タンク9、及び傾斜水タンク10は、幅が同じである。
図5及び
図6に示すうように、第1冷却水タンク8及び第2冷却水タンク9は、2本の第1接続線L
1が存在する平面に向かって垂直に窪み、傾斜水タンク10は、第2作業面の中央部に向かって傾斜して窪む。本実施例では、傾斜水タンク10が第2作業面の中央部に向かって傾斜するときに、傾斜水タンク10の軸線と上側開口部側作業面2とのなす角をθ
1とすると、θ
1は一般に65~80°である。
【0034】
さらに、
図4に示すように、隣接する2列の締結孔7の間に2つの第1冷却水タンク8及び複数の第2冷却水タンク9が設けられる。ここで、2つの第1冷却水タンク8及び複数の第2冷却水タンク9とは、隣接する2列の締結孔7の間の第1冷却水タンク8及び第2冷却水タンク9であり、したがって、冷却面6全体にわたって複数の第1冷却水タンク8、複数の第2冷却水タンク9、及び2つの傾斜水タンク10が設けられ、一方、複数の第1冷却水タンク8、複数の第2冷却水タンク9、及び2つの傾斜水タンク10は、狭面銅板100の縦中心軸面に対して対称に設けられることが理解される。
【0035】
さらに、
図5及び
図6に示すように、第1冷却水タンク8、第2冷却水タンク9、及び傾斜水タンク10は、いずれも半円形構造の底部11を有する。
【0036】
任意選択で、
図5及び
図6に示すように、上側開口部側作業面2と下側開口部側作業面3とが接する平面内にある第1作業面1の横断面が基準凸型円弧線L
3となり、複数の第2冷却水タンク9の底部11が存在する円弧面の横断面の凸型円弧線L
4は、基準凸型円弧線L
3に平行となるように設けられる。
【0037】
さらに、上側開口部側作業面2と下側開口部側作業面3とが接する平面は、第1端点O1が存在する高さでの狭面銅板100の横断面である。複数の第2冷却水タンク9の底部11が存在する円弧面の横断面の凸型円弧線L4は、基準凸型円弧線L3を冷却面6に向かって20~30mmだけ垂直に並進させたものである。
【0038】
さらに、第2冷却水タンク9の底部とそれに隣接する第1冷却水タンク8の底部との間の垂直距離は第9長さl9であり、本実施例では、第9長さl9は1~3mmである。
【0039】
本実施例では、第1冷却水タンク8、第2冷却水タンク9、及び傾斜水タンク10の構造及び配置形態により、晶析装置の狭面銅板100の幅方向に熱が均一に伝わる。
【0040】
本実施例では、前記の凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板100を用いた晶析装置がさらに開示され、2枚の狭面銅板100を配置する際には、2枚の狭面銅板100の狭面銅板の上側開口部4の間の距離を、2枚の狭面銅板100の狭面銅板の下側開口部5の間の距離よりも大きくすることによって、晶析装置を上部が広く下部が狭いような構造にし、所定の逆テーパーを晶析装置に付与することができ、晶析装置の逆テーパーは1.05%~1.35%である。
【0041】
本実施例では、凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板100の使用方法がさらに開示され、晶析装置のプロセス中、狭面銅板100の冷却水タンク内に冷却水が導入され、狭面銅板100の冷却水量は水タンクの構造によって異なり、狭面銅板100の冷却水タンク内の冷却水の流速が6m/s以上であり、狭面銅板100の冷却水タンク内の冷却水の入口温度と出口温度との差が5~9℃である。
【0042】
狭面銅板100の冷却水タンクとは、第1冷却水タンク8、第2冷却水タンク9、及び傾斜水タンク10であり、冷却水量は、水タンクの構造によって異なり、狭面銅板100の冷却水タンク内の冷却水の流速は6m/s以上であり、冷却水タンク内の冷却水の入口温度と出口温度との差が5~9℃であることが理解される。
【0043】
本実施例の狭面銅板100を使用し、第1作業面1及び第2作業面をも設けることによって、直角構造を持つ狭面凹状スラブ300を製造し、鋳片から中厚スラブや広幅厚スラブを圧延するプロセスにおいて縁部の割れの幅をエッジから20mmの範囲に抑えることができ、また、二次冷却ストランド内でスラブ300が凝固するプロセスにおけるコーナー温度が従来の直角連続鋳造スラブ300のコーナー温度に近くことを確保し、スラブ300のコーナー割れの発生の確率を低くすることができる。本実施例における狭面銅板100を用いて製造されるスラブ300は、狭面の横方向の中央部に広くて大きな凹円弧状の構造を有し、それによって、開示された激しく遷移した凹状スラブの圧延による狭面の折り畳み欠陥を回避する。本実施例では、狭面銅板の下側開口部5での摩損が低減するため、狭面銅板100の耐用年数が顕著に長くなる。本実施例の狭面銅板100を用いてスラブ300を連続鋳造することで、晶析装置の狭面のテーパーを大きくして連続鋳造を行うことが可能になる。
実施例2
【0044】
厚さ300mmのスラブ300を連続鋳造するための晶析装置用の凸型円弧面付き狭面銅板100では、高さは900mmであり、狭面銅板の上側開口部4の幅方向の第5長さl
5は316mmであり、狭面銅板の下側開口部5の幅方向の第6長さl
6は314mmであり、第5長さl
5と第6長さl
6との長さの差は2mmであり、
図2に示すように、狭面銅板の上側開口部4から狭面銅板の下側開口部5に向かうに従って、狭面銅板100の幅は、第5長さl
5から第6長さl
6まで線形的に減少する。
【0045】
狭面銅板100は、凝固シェルに接触する側の作業面と、作業面に対向する冷却水タンク付きの冷却面6と、を含む。狭面銅板100の作業面は、幅方向において両側にある第2作業面及び中央部にある第1作業面1に分けられる。両側にある第2作業面と中央部にある第1作業面1との接続線は第1接続線L
1である。ここで、
図2に示すように、狭面銅板100の高さ方向において、第2作業面は、上側開口部側作業面2と下側開口部側作業面3とに分けられる。両側にある上側開口部側作業面2及び下側開口部側作業面3のいずれも、狭面銅板100の縦中心軸面を対称線として対称に設けられる。
【0046】
図2に示すように、上側開口部側作業面2は、上側開口部側作業面の外縁部、第1接続線L
1、上側開口部側作業面の下縁部、及び上側開口部側作業面の上縁部を含む4本の辺を有する。上側開口部側作業面の下縁部は、下側開口部側作業面3と上側開口部側作業面2との交差線であり、上側開口部側作業面の上縁部は、上側開口部側作業面2と狭面銅板の上側開口部4との交差線であり、上側開口部側作業面の外縁部は、第1接続線L
1に平行に対向して設けられる縁部である。上側開口部側作業面の外縁部と第1接続線L
1との間の距離は第4長さl
4であり、第4長さl
4は30mmである。
【0047】
下側開口部側作業面3は、下側開口部側作業面の外縁部L2、第1接続線L1、下側開口部側作業面の下縁部、及び下側開口部側作業面の上縁部を含む4本の辺を有する。下側開口部側作業面の下縁部は、下側開口部側作業面3と狭面銅板の下側開口部5との交差線であり、下側開口部側作業面の上縁部は、下側開口部側作業面3と上側開口部側作業面2との交差線である。下側開口部側作業面の外縁部L2と第1接続線L1との間の距離は第4長さl4であり、第4長さl4は30mmである。
【0048】
下側開口部側作業面の外縁部L2と上側開口部側作業面の外縁部は第1端点O1で接する。
【0049】
図2に示すように、上側開口部側作業面2は平面構造であり、上側開口部側作業面2と冷却面6の側部平面との間の距離は第3長さl
3であり、40mmである。狭面銅板100の高さ方向において、上側開口部側作業面2の高さは、狭面銅板の上側開口部4から下側開口部側作業面3まで延びる距離である第2長さl
2であり、450mmである。
【0050】
図2及び
図3に示すように、狭面銅板100は冷却面6を含み、冷却面6及び作業面は対向して設けられ、冷却面6には、連続鋳造スラブ300を冷却するための冷却水タンクが設けられ、冷却面6は側部平面を含み、側部平面は第2作業面に対向して設けられ、かつ、側部平面及び上側開口部側作業面2は平行に設けられ、下側開口部側作業面3は第1頂点O
2を含み、第1頂点O
2は、下側開口部側作業面3と狭面銅板の下側開口部5との接続線上にあり、かつ、第1頂点O
2は第1接続線L
1から流れて設けられ、第1頂点O
2と側部平面との間の垂直距離が、下側開口部側作業面3と側部平面との間の最短垂直距離である。第1頂点O
2は、下側開口部側作業面の下縁部と下側開口部側作業面の外縁部L
2との交点であり、第1頂点O
2と側部平面との間の垂直距離は第7長さl
7であり、上側開口部側作業面2と側部平面との間の垂直距離は第3長さl
3であり、第3長さl
3と第7長さl
7との間の長さの差は第8長さl
8であり、本実施例では、第3長さl
3は40mm、第8長さl
8は0.5mmであることが理解される。
【0051】
下側開口部側作業面3は、第1接続線L1から下側開口部側作業面の外縁部L2に向かうに従って、上側開口部側作業面2の延伸面から離れて傾斜し、また、下側開口部側作業面3は、下側開口部側作業面の上縁部から下側開口部側作業面の下縁部に向かうに従って、上側開口部側作業面2の延伸面から離れて傾斜する。
【0052】
第1作業面1は、凸型円弧面であり、晶析装置のキャビティに向かって凸起する。2つの第2作業面は第1作業面1の両側にあり、2つの第2作業面は、第1作業面1の縦中心軸面に対して対称に設けられる。2枚の狭面銅板100の縦中心軸面が同一の面であることが理解される。第1作業面1と第2作業面との接続箇は第1接続線L1となり、2つの第2作業面は、第1作業面1と2本の第1接続線L1を形成し、2本の第1接続線L1が存在する平面に対する第1作業面1の凸起高さが、狭面銅板の上側開口部4から狭面銅板の下側開口部5に向かうに従って減少する。狭面銅板の上側開口部4が存在する平面内で第1作業面1と2本の第1接続線L1が存在する平面との間の最大垂直距離は上側開口部の第1長さl1であり、上側開口部の第1長さl1は12mmであり、上側開口部の第1長さl1と下側開口部の第1長さとの間の差は0.5mmである。
【0053】
図5に示すように、一実施例では、冷却面6は、2つの側部平面と、中央部にある円弧面と、を含む。
図6に示すように、別の実施例では、冷却面6は、2つの側部平面と、中央部にある平面と、を含む。本実施例では、
図6に示す平面構造の冷却面6を重点に置いて説明する。冷却面6は、狭面銅板100を晶析装置のステンレス製バックプレートに固定するために、3列の締結孔7を幅方向に配置している。狭面銅板100の幅方向において、任意の2列の締結孔7の間には、幅が同じであり、かつ、2本の第1接続線L
1が存在する平面に垂直な第1冷却水タンク8及び第2冷却水タンク9が均等に配置される。
図5に示すように、冷却面6の両側のエッジには、傾斜水タンク10がそれぞれ設けられ、傾斜水タンク10は、第2作業面の中央部に向かって傾斜し、傾斜水タンク10の軸線と上側開口部側作業面2とのなす角はθ
1であり、θ
1は75°である。
【0054】
第1冷却水タンク8、第2冷却水タンク9、及び傾斜水タンク10は、いずれも半円形構造の底部11を有する。上側開口部側作業面2と下側開口部側作業面3とが接する平面内にある第1作業面1の横断面が基準凸型円弧線L3となり、複数の第2冷却水タンク9の底部の同一の円弧面にある横断面の凸型円弧線はL4であり、複数の第2冷却水タンク9の底部11が存在する円弧面の横断面の凸型円弧線L4は、基準凸型円弧線L3に平行となるように設けられる。複数の第2冷却水タンク9の底部11が存在する円弧面の横断面の凸型円弧線L4は、基準凸型円弧線L3を冷却面6に向かって20mmだけ垂直に並進させたものである。
【0055】
図6に示すように、第2冷却水タンク9の底部とそれに隣接する第1冷却水タンク8の底部との間の垂直距離は第9長さl
9であり、本実施例では、第9長さl
9は1.5mmである。それによって、この晶析装置の銅板の幅方向に熱が均一に伝わる。
【0056】
本実施例では、前記の凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板100を用いた晶析装置がさらに開示され、2枚の狭面銅板100を配置する際には、2枚の狭面銅板100の狭面銅板の上側開口部4の間の距離を、2枚の狭面銅板100の狭面銅板の下側開口部5の間の距離よりも大きくすることによって、晶析装置を上部が広く下部が狭いような構造にし、所定の逆テーパーを晶析装置に付与することができ、晶析装置の逆テーパーは1.05%~1.35%である。
【0057】
本実施例では、凸型円弧面連続鋳造晶析装置の狭面銅板100の使用方法がさらに開示され、晶析装置のプロセス中、狭面銅板100の冷却水タンク内に冷却水が導入され、狭面銅板100の冷却水量は水タンクの構造によって異なり、狭面銅板100の冷却水タンク内の冷却水の流速が6m/s以上であり、狭面銅板100の冷却水タンク内の冷却水の入口温度と出口温度との差が5~9℃である。
【0058】
本願において、「第1」及び「第2」という用語は、説明の目的にのみ用いられており、相対的な重要性を示したり暗示したりするものとは理解されるものではない。「複数」とは、特に明示的に限定されない限り、2以上を意味する。
【0059】
本願の他の実施形態は、本明細書および本明細書に開示された本願を実践した後に当業者に容易に思いつく。本願は、本願のいかなる変形、用途又は適応的な変更を包含することを意図し、これらの変形、用途又は適応的な変更は、本願の一般的な原理に従い、かつ本願で開示されていない技術分野において公知の常識又は慣用技術手段を含む。本明細書及びび実施例は、あくまで例示的なものとする。
【0060】
以上は、本願の好ましい実施例に過ぎず、本願を制限するものではなく、本願の精神と原則の中で行われたいかなる修正、同等の置換、改良等も、本願の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0061】
100-狭面銅板
200-広面銅板
300-スラブ
1-第1作業面
2-上側開口部側作業面
3-下側開口部側作業面
4-狭面銅板の上側開口部
5-狭面銅板の下側開口部
6-冷却面、7-締結孔
8-第1冷却水タンク
9-第2冷却水タンク
10-傾斜水タンク
11-底部
L1-第1接続線
L2-下側開口部側作業面の外縁部
L3-基準凸型円弧線
L4-複数の第2冷却水タンクの底部が存在する円弧面の横断面の凸型円弧線
l1-上側開口部の第1長さ
l2-第2長さ
l3-第3長さ
l4-第4長さ
l5-第5長さ
l6-第6長さ
l7-第7長さ
l8-第8長さ
l9-第9長さ
O1-第1端点
O2-第1頂点
θ1-傾斜水タンクの軸線と上側開口部側作業面とのなす角
【国際調査報告】