(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】加熱ポリマーシート材料供給プロセス
(51)【国際特許分類】
B29C 51/42 20060101AFI20250220BHJP
B29C 51/08 20060101ALI20250220BHJP
B29C 51/10 20060101ALI20250220BHJP
B29C 51/14 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
B29C51/42
B29C51/08
B29C51/10
B29C51/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024569052
(86)(22)【出願日】2023-02-08
(85)【翻訳文提出日】2024-10-04
(86)【国際出願番号】 US2023012613
(87)【国際公開番号】W WO2023154339
(87)【国際公開日】2023-08-17
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524297081
【氏名又は名称】エーライト,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Aerlyte,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ジョンストン,クリストファー,セブンス
【テーマコード(参考)】
4F208
【Fターム(参考)】
4F208AC03
4F208AH26
4F208AJ08
4F208AK01
4F208AK04
4F208AM19
4F208AM28
4F208MA01
4F208MA02
4F208MA05
4F208MB01
4F208MC03
4F208MG04
4F208MH06
4F208MJ15
4F208MJ22
4F208MJ26
4F208MJ30
4F208MK08
(57)【要約】
硬質熱可塑性ポリマーシート材料の成形プロセスである。このプロセスには、加熱真空範囲下で、加熱ゾーンで硬質熱可塑性ポリマーシートを成形温度に加熱して、加熱硬質熱可塑性ポリマーシート材料を形成するステップを含む。このプロセスはさらに、供給真空範囲下で、加熱ゾーンから加熱硬質熱可塑性ポリマーシート材料を移送して、供給真空範囲下にある成形ゾーンに加熱硬質熱可塑性ポリマーシート材料を供給するステップを含む。このプロセスはまた、成形ゾーンにおいて、加熱硬質熱可塑性シート材料を成形品に成形するステップを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーシート材料成形プロセスであって、
加熱真空範囲下で、第1の加熱ゾーンで第1のポリマーシートを第1の成形温度に加熱して、第1の加熱ポリマーシート材料を形成する第1の加熱ステップと、
供給真空範囲下で、前記第1の加熱ゾーンから前記第1の加熱ポリマーシート材料を移送して、供給真空範囲下にある成形ゾーンに前記第1の加熱ポリマーシート材料を供給する第1の移送ステップと、
前記成形ゾーンにおいて、前記第1の加熱ポリマーシート材料を第1の成形品に成形するステップと、
加熱真空範囲下で、前記第1および第2の加熱ゾーンは異なる第2の加熱ゾーンで第2のポリマーシートを第2の成形温度に加熱して、第2の加熱ポリマーシート材料を形成する第2の加熱ステップと、
前記第1の成形品が前記成形ゾーンから出た後に、供給真空範囲下で、前記第2の加熱ゾーンから前記第2の加熱ポリマーシート材料を移送して、供給真空範囲下にある前記成形ゾーンに前記第2の加熱ポリマーシート材料を供給する第2の移送ステップと、
前記成形ゾーンにおいて、前記第2の加熱ポリマーシート材料を第2の成形品に成形するステップとを含むことを特徴とする加熱ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項2】
前記第2の加熱ステップが、前記第1の成形ステップの間またはその前に開始される、請求項1に記載の加熱ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項3】
前記第1および第2の加熱ステップの一部が同時に行われる、請求項1に記載の加熱ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項4】
さらに、前記第1の成形品が前記成形ゾーンを出た後に、前記第2の加熱ゾーンと前記成形ゾーンにおいて同時に供給真空範囲を形成するステップを含む、請求項1に記載の加熱ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項5】
前記第1および第2の加熱ゾーンが、前記成形ゾーンに並列に接続されている、請求項1に記載の加熱ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項6】
前記第2の移送ステップが、前記第2の加熱ゾーンから前記第1の加熱ゾーンを経て前記成形ゾーンに前記第2の加熱ポリマーシート材料を移送することを含む、請求項1に記載の加熱ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項7】
さらに、前記第1の成形品が前記成形ゾーンを出た後に、前記第1の加熱ゾーンと前記成形ゾーンにおいて同時に供給真空範囲を形成するステップを含む、請求項6に記載の加熱ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項8】
前記第1および第2の加熱ゾーンが直列に接続され、前記第1の加熱ゾーンと前記成形ゾーンとが直列に接続されている、請求項1に記載の加熱ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項9】
前記第1および/または第2の成形品が、前記第1および/または第2の装飾的自動車用品である、請求項1に記載の加熱ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項10】
前記成形ステップが密閉金型プロセスを用いて実施される、請求項1に記載のポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項11】
前記密閉金型プロセスは、射出成形プロセス、圧縮成形プロセス、樹脂トランスファー成形(RTM)プロセス、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載のポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項12】
硬質熱可塑性ポリマーシート材料成形プロセスであって、
加熱真空範囲下で、加熱ゾーンで硬質熱可塑性ポリマーシートを成形温度に加熱して、加熱硬質熱可塑性ポリマーシート材料を形成するステップと、
供給真空範囲下で、前記加熱ゾーンから前記加熱硬質熱可塑性ポリマーシート材料を移送して、供給真空範囲下にある成形ゾーンに前記加熱硬質熱可塑性ポリマーシート材料を供給するステップと、
前記成形ゾーンにおいて、前記加熱硬質熱可塑性シート材料を成形品に成形するステップとを含むことを特徴とする、硬質熱可塑性ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項13】
前記成形するステップが熱成形プロセスを用いて実施される、請求項12に記載の硬質熱可塑性ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項14】
前記熱成形プロセスが、真空成形プロセス、加圧成形プロセス、プラグアシスト成形プロセス、マッチドダイ成形プロセスおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の硬質熱可塑性ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項15】
前記成形品を、周囲雰囲気下または不活性雰囲気下で前記成形ゾーンから移送するステップをさらに含む、請求項12に記載の硬質熱可塑性ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項16】
前記成形するステップが密閉金型プロセスを用いて実施される、請求項12に記載の硬質熱可塑性ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項17】
前記密閉金型プロセスは、射出成形プロセス、圧縮成形プロセス、樹脂トランスファー成形(RTM)プロセス、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載の硬質熱可塑性ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項18】
前記成形ゾーンが成形室であり、さらに、第1および第2の成形サイクルにわたって前記成形ゾーン内の供給真空範囲を維持することをさらに含む、請求項12に記載の硬質熱可塑性ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項19】
前記成形ゾーンが、シュラウド、クラウン、およびベッドを含む成形室であり、前記クラウンおよび前記ベッドが、前記成形室を密閉するように前記シュラウドに固定的に接続されている、請求項12に記載の硬質熱可塑性ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項20】
前記加熱するステップが、前記加熱ゾーンにおいて加熱源を用いて前記ポリマーシートを加熱することを含む、請求項12に記載の硬質熱可塑性ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項21】
前記加熱源が、伝導性熱源、電磁熱源、輻射熱源、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項20に記載の硬質熱可塑性ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項22】
前記加熱硬質熱可塑性ポリマーシート材料は、成形温度において流動性ポリマーシート材料である、請求項12に記載の硬質熱可塑性ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項23】
前記硬質熱可塑性ポリマーシートが複数の層および/またはプライを含む、請求項12に記載の硬質熱可塑性ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項24】
前記ポリマーシートは、当該ポリマーシートの縁部の1以上の箇所で把持されている、請求項12に記載の硬質熱可塑性ポリマーシート材成形方法。
【請求項25】
前記供給真空範囲下で移送するステップにより、周囲条件下での移送と比較して、前記加熱硬質熱可塑性ポリマーシート材料の表面からの熱損失が低減する、請求項12に記載の硬質熱可塑性ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項26】
前記成形品が装飾的自動車用品である、請求項12に記載の硬質熱可塑性ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項27】
加熱ポリマーシート材料成形プロセスであって、
真空範囲下で、成形ゾーンを含む単一チャンバ内の加熱ゾーンで、ポリマーシートを成形温度に加熱して、加熱ポリマーシート材料を形成するステップと、
真空範囲下で、前記加熱ゾーンから前記加熱ポリマーシート材料を移送して、真空範囲下にある成形ゾーンに前記加熱ポリマーシート材料を供給するステップと、
前記成形ゾーンにおいて、前記加熱ポリマーシート材料を成形品に成形するステップと、を含むことを特徴とする加熱ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項28】
前記加熱ゾーンが、前記ポリマーシートの第1および第2の側にそれぞれ第1および第2の加熱エレメントを含む、請求項27に記載の加熱ポリマーシート材料成形プロセス。
【請求項29】
さらに、前記加熱と移送のステップ中およびステップ間に、真空範囲を維持することをさらに含む、請求項27に記載の加熱ポリマーシート材料形成工程。
【請求項30】
前記成形品が装飾的自動車用品である、請求項27に記載の加熱ポリマーシート材料成形プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年2月8日に出願された米国出願第17/667,211号の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、加熱ポリマーシート材料供給プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
ポリマー材料は、成形品に形成することができる。ポリマー材料は、熱可塑性材料または熱硬化性材料で形成され得る。このポリマー材料は、強化繊維を含むポリマーマトリックス複合材料であってもよい。ポリマー材料から形成され得る物品の非限定的な例としては、装飾品(原文:cosmetic)、自動車外装部品(例えば、ボンネット、フェンダー、デッキリッド、ルーフ、バンパー、フェイシア)、自動車構造部品(例えば、座席、バンパービーム、スキッドプレート、荷台、ピックアップトラックの荷台ボックス、ベッドライナー)、自動車内装部品(例えば、化粧パネル)、建築用品、消費者向け物品(例えば、スポーツ用品や家電製品)、医療用品や部品などがある。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、ポリマーシート材料の成形プロセスが開示される。このプロセスは、加熱真空範囲下で、第1の加熱ゾーンで第1のポリマーシートを第1の成形温度に加熱して、第1の加熱ポリマーシート材料を形成するステップを含む。このプロセスはまた、供給真空範囲下で、第1の加熱ゾーンから第1の加熱ポリマーシート材料を移送して、供給真空範囲下にある成形ゾーンに第1の加熱ポリマーシート材料を供給するステップを含む。このプロセスはまた、成形ゾーンにおいて、第1の加熱ポリマーシート材料を第1の成形品に成形するステップを含む。このプロセスはまた、加熱真空範囲下で、第2の加熱ゾーンで第2のポリマーシートを第2の成形温度に加熱して、第2の加熱ポリマーシート材料を形成するステップを含み、ここで第1および第2の加熱ゾーンは異なる。このプロセスはまた、第1の成形品が成形ゾーンから出た後に、供給真空範囲下で、第2の加熱ゾーンから第2の加熱ポリマーシート材料を移送して、供給真空範囲下にある成形ゾーンに第2の加熱ポリマーシート材料を供給するステップを含む。このプロセスはまた、成形ゾーンにおいて、第2の加熱ポリマーシート材料を第2の成形品に成形するステップを含む。
【0005】
別の実施形態では、硬質熱可塑性ポリマーシート材料の成形プロセスが開示される。このプロセスには、加熱真空範囲下で、加熱ゾーンで硬質熱可塑性ポリマーシートを成形温度に加熱して、加熱硬質熱可塑性ポリマーシート材料を形成するステップを含む。このプロセスはさらに、供給真空範囲下で、加熱ゾーンから加熱硬質熱可塑性ポリマーシート材料を移送して、供給真空範囲下にある成形ゾーンに加熱硬質熱可塑性ポリマーシート材料を供給するステップを含む。このプロセスはまた、成形ゾーンにおいて、加熱硬質熱可塑性シート材料を成形品に成形するステップを含む。
【0006】
さらに別の実施形態では、加熱ポリマーシート材料の成形プロセスが開示される。このプロセスには、真空範囲下で、成形ゾーンを含む単一チャンバ内の加熱ゾーンで、ポリマーシートを成形温度に加熱して、加熱ポリマーシート材料を形成するステップを含む。このプロセスはまた、真空範囲下で、加熱ゾーンから加熱ポリマーシート材料を移送して、真空範囲下にある成形ゾーンに加熱ポリマーシート材料を供給するステップを含む。このプロセスはまた、成形ゾーンにおいて、加熱ポリマーシート材料を成形品に成形するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態による加熱ポリマーシート材料供給プロセスを実施するように構成された第1のシステムの切り欠き斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の線2-2に沿って取った、
図1に示す第1のシステムの断面図、側面図、および部分断面図である。
【
図3】
図3は、第2の実施形態による加熱ポリマーシート材料供給プロセスを実施するように構成された第2のシステムの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3の線4-4に沿って取った、
図3に示す第2のシステムの断面図、側面図、および部分断面図である。
【
図5】
図5は、第3の実施形態による加熱ポリマーシート材料供給プロセスを実施するように構成された第3のシステムの切り欠き側面図である。
【
図6】
図6は、
図5の線6-6に沿って取った、
図5に示す第3のシステムの断面図、側面図、および部分断面図である。
【
図7】
図7は、第4の実施形態による加熱ポリマーシート材料供給プロセスを実施するように構成された第4のシステムの断面図、側面図および部分断面図である。
【
図8】
図8は、第5の実施形態によるシステムの断面図、側面図、および部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態が本明細書に開示されるが、開示された実施形態は、様々な代替形態で実施され得る本発明の単なる例示であることを理解されたい。図は必ずしも縮尺通りではなく、特定の構成要素の詳細を示すために、いくつかの特徴が誇張または最小化されている場合がある。したがって、本明細書に開示された特定の構造および機能の詳細は、限定的なものとして解釈されるものではなく、単に、当業者が本発明を様々に採用することを教示するための代表的な基礎として解釈されるものである。
【0009】
本開示の実施形態を以下に記載する。しかしながら、開示された実施形態は単なる例示であり、他の実施形態は様々な代替形態を取り得ることを理解されたい。図は必ずしも縮尺通りではなく、特定の構成要素の詳細を示すために、いくつかの特徴が誇張または最小化されている場合がある。したがって、本明細書に開示された特定の構造および機能の詳細は、限定的なものとして解釈されるものではなく、単に、当業者が実施例を様々に採用することを教示するための代表的な基礎として解釈されるものである。当業者であれば理解できるように、いずれかの図を参照して図示および説明した様々な特徴を、1以上の他の図に示す特徴と組み合わせて、明示的に図示または説明されていない実施形態を作り出すことができる。図示された特徴の組み合わせは、典型的な用途のための代表的な実施形態を提供する。しかしながら、本開示の教示と一致する特徴の様々な組み合わせおよび変更が、特定の用途または実施に対して望まれる場合がある。
【0010】
本明細書において、「約」という語が、開示または特許請求される実施形態を説明するために使用され得る。用語「約」は、本開示において開示または請求される値を修飾し得る。このような場合、「約」は、修飾する値がその±0%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%または10%以内であることを意味し得る。
【0011】
ポリマー材料は、成形品に形成することができる。ポリマー材料は、熱可塑性材料または熱硬化性材料で形成され得る。このポリマー材料は、強化繊維を含むポリマーマトリックス複合材料であってもよい。ポリマー材料から形成され得る物品の非限定的な例としては、装飾品、自動車外装部品(例えば、ボンネット、フェンダー、デッキリッド、ルーフ、バンパー、フェイシア)、自動車構造部品(例えば、座席、バンパービーム、スキッドプレート、荷台、ピックアップトラックの荷台ボックス、ベッドライナー)、自動車内装部品(例えば、化粧パネル)、建築用品、消費者向け物品(例えば、スポーツ用品や家電製品)、医療用品や部品などがある。
【0012】
ポリマー材料は、成形品に成形される前にポリマーシート材料に成形され得る。ポリマーシート材料は、成形プロセスにかけられる前に加熱され得る。非限定的な例として、成形プロセスは、圧縮成形プロセス、熱成形プロセス、または密閉金型プロセスであり得る。熱成形プロセスの非限定的な例としては、真空成形プロセス、圧力成形プロセス、プラグアシスト成形プロセス、マッチドダイ成形プロセスなどがある。密閉金型プロセスの例としては、射出成形プロセス、圧縮成形プロセス、樹脂トランスファー成形(RTM)プロセスなどがある。
【0013】
ポリマーシート材料を成形品に成形する既存のプロセスには、いくつかの問題がある。上述したように、ポリマーシート材料は成形プロセスの前に加熱され得る。特定のポリマーシート材料を適切な成形温度まで加熱すると、環境条件によってはポリマーシート材料が酸化などの劣化を起こす可能性がある。加熱ポリマーシート材料は、空気を含む周囲条件下でオーブンから金型に移送され得る。このような環境条件や空気に長時間さらされると、加熱ポリマーシート材料の表面温度が大幅に低下し、成形や外観に問題が生じる可能性がある。ポリマーシート材料は、半結晶性の熱可塑性ポリマーシート材料であり得る。この種のポリマーシート材料の表面は、ポリマーシート材料の移送中に結晶化する可能性があり、それによって成形および/または外観上の欠陥が発生する可能性がある。ポリマーシート材料は、吸水性ポリマーシート材料であり得る。この種のポリマーシート材料は、加熱プロセスの前または最中の乾燥が不十分であると、加水分解による劣化やポリマーシート材料内での気泡の発生を引き起こす可能性がある。現在の提案のもう一つの欠点として、マッチドダイセットまたは他の圧力ベースの成形プロセスを使用したポリマーシート材料の成形は、空気を閉じ込め、それによって成形および/または外観上の欠陥の可能性が生じる場合がある。
【0014】
以上を考慮すると、既存のプロセスに関して上記で特定された欠点の1以上を克服する加熱ポリマーシート材料供給プロセスが求められている。このようなニーズを満たすことで、成形品を形成するためのポリマーシート材料の使用を拡大することができる。1以上の実施形態では、加熱ポリマーシート材料を成形キャビティ内に供給するために、供給真空範囲下で加熱室から加熱ポリマーシート材料を移送する、加熱ポリマーシート材料供給プロセスが開示される。このプロセスにより、空気を含む周囲条件下で加熱ポリマーシート材料を移送・供給するプロセスなどの、従来のプロセスに関連する1以上の欠点を軽減および/または排除することができる。
【0015】
1以上の実施形態では、加熱ポリマーシート材料の供給プロセスが開示される。この加熱ポリマーシート材料供給プロセスは、加熱室内でポリマーシート材料を成形温度に加熱して加熱ポリマーシート材料を形成するステップを含み得る。加熱室は、断熱加熱室でも非断熱加熱室でもよい。加熱室は、対流熱、伝導熱(例えば、等圧二重ベルトプレスから発生する伝導熱)、電磁熱、および/または輻射熱(例えば、赤外線輻射熱)を使用することができる。対流熱を使用する場合、加熱室は、加熱室内にガス(例えば、周囲雰囲気中の空気または不活性雰囲気中の1以上の不活性ガス)を循環させて加熱雰囲気を形成し得る。不活性ガスとは、成形温度範囲においてポリマーシート材料と化学的に相互作用または反応しないガスであり得る。非限定的な例は、窒素、ヘリウム、アルゴン、およびそれらの組み合わせを含む。加熱室は、オーブンであり得る。
【0016】
加熱ポリマーシート材供給プロセスは、供給真空範囲下で、加熱ポリマーシート材料を加熱室から移送して、加熱ポリマーシート材料を成形室に供給するステップをさらに含み得る。供給真空範囲は、0torr~760torrであり得る。供給真空範囲は、10-12torr以下の極高真空であり得る。供給真空範囲は、10-9torr~10-12torrの超高真空であり得る。供給真空範囲は、10-3torr~10-9torrの高真空であり得る。供給真空範囲は、25torr~10-3torrの中真空であり得る。供給真空範囲は、760torr~25torrの低真空であり得る。供給真空範囲は、残留雰囲気を有し得る。残留雰囲気は、周囲雰囲気または不活性雰囲気であり得る。残留雰囲気は、意図的に反応性であってもよい。開示された供給真空範囲と条件は、加熱真空範囲と条件にも使用できる。
【0017】
加熱ポリマーシート材料供給プロセスは、成形室内で加熱ポリマーシート材料を成形品に成形するステップをさらに含み得る。この成形ステップは、圧縮成形プロセス、熱成形プロセス、または密閉金型プロセスを使用して実施され得る。熱成形プロセスの非限定的な例としては、真空成形プロセス、圧力成形プロセス、プラグアシスト成形プロセス、マッチドダイ成形プロセスなどがある。密閉金型プロセスの非限定的な例としては、射出成形プロセス、圧縮成形プロセス、樹脂トランスファー成形(RTM)プロセスなどがある。
【0018】
1以上の実施形態において、ポリマーシート材料は、ポリマー材料で形成されたシートである。1以上の実施形態において、シートは、概ね平面的にx方向とy方向に延びる第1および第2の表面を有し、その間に概ね均一な厚さを形成する。概ね均一な厚さは、概ね平面的な第1および第2の表面に基づいて変化してもよい。「概ね均一な厚さ」の厚さは、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、25.4、30、35、40、45、50、50.4mm、のいずれかの厚さ、またはいずれか2つの範囲内の厚さであり得る。ポリマーシートの材料および形式の非限定的な例は、0.25mm~25mm±10%のテープベースのラミネートシート、0.25mm~25mm±10%の有機シート、0.25mm~25mmのガラスマット熱可塑性(GMT)シート、概ね一定であるが大きく変化する断面を有するLFT-Dのような成形化合物の押出物、およびこれらの組み合わせであって、組み合わせると一定または変化する範囲の厚さまたはプロファイル(例えば、長方形、円形、不規則)を有し得るものが含まれる。他の実施形態では、ポリマーシート材料の厚さは、例えば、複数のフォーマットが組み合わされる場合、ポリマー材料のx方向および/またはy方向に沿って変化してもよい。
【0019】
1以上の実施形態において、ポリマーシート材料は、ポリマー熱硬化性シート材料またはポリマー熱可塑性シート材料であり得る。ポリマーシート材料に使用される樹脂の種類に基づいて、ポリマーシート材料が熱硬化性か熱可塑性かに分類され得る。熱硬化性樹脂は、モノマー、プレポリマー、または化学反応によって長いポリマー鎖が生成されるその他のポリマー材料から構成され、重合反応によって硬化し、再溶融できないプラスチック材料となる。この化学反応は、熱および/または1以上の触媒によって促進され得る。プリプレグ材料は、強化繊維と熱硬化性樹脂を組み合わせた中間製品である。熱硬化性シートは、同じまたは異なるプリプレグ材料の1以上の層を含み得る。このような熱硬化性シートは、室温で成形可能であり得る。あるいは、熱硬化性シートは室温では硬すぎて成形できず、重合前に熱を加えて熱硬化性樹脂を軟化させ、許容できる成形挙動を促進する必要がある場合もある。
【0020】
熱可塑性樹脂は、硬質熱可塑性シート材料の形成に使用される熱可塑性樹脂が含み得る。硬質熱可塑性シート材料は、加熱すると軟化して様々なプロセスで成形品にすることができるが、使用温度では比較的硬いままである。熱可塑性樹脂は、熱可塑性シート材料の形成に使用される熱可塑性エラストマーを含み得る。熱可塑性エラストマーは高温で成形できるが、使用温度(例えば常温)では柔軟性を維持する。硬質熱可塑性シート材料は、軟化した状態で成形した後に、冷却すると硬くなり、成形品の形状を固定することができる。このサイクルは繰り返し可能で、場合によっては無限に繰り返すことができる。熱可塑性樹脂は、ニート形態と呼ばれる純粋な形態で使用することができる。あるいは、熱可塑性樹脂を1以上の充填剤、1以上の添加剤、および/または1以上の他の熱可塑性樹脂と組み合わせて(例えば配合して)、ブレンドまたはアロイを形成してもよい。熱可塑性樹脂に補強材(強化繊維など)を添加して複合材料を作成してもよい。これらの改良は、得られる熱可塑性樹脂材料のコスト、加工性、機能性を向上することができる。
【0021】
ポリマー熱可塑性材料は、さまざまな形態で使用することができる。比較的長さの短い強化繊維(例えば、長さ1mmまたは2mm未満)には、流動性による加工の柔軟性から、ペレットまたは顆粒を使用することができる。多くのペレットベースのプロセスは、ペレットが投入され加熱される押出機から開始される。溶融化合物は、その後、プロファイル押出成形または射出成形プロセスで加圧された状態でダイに供給され、そこで化合物が冷却され、所望の形状に固定される。
【0022】
1以上の実施形態では、ポリマー熱可塑性材料もシート形式で使用され得る。シート形式は、ペレット形式よりも1以上の利点があり得る。シートは、薄い複数の層を含み得る。各層を一連の基準に合わせて個別に調整して、予め統合された複合構造にすることができる。シート形式はまた、大きくて薄い部品をより低コストで、より優れた寸法制御で形成するように構成することもできる。複数のフローフロントが組み合わされるニットラインで、シート形式を使用すると、射出成形プロセスの使用を避けることができる。このようなニットラインのあるシート形式を使用すると、複合材料を使用した場合、補強材がニットラインを橋渡しするため、多くの場合に部品を強化することができる。
【0023】
1以上の実施形態において、圧縮成形は、加熱された1以上のポリマー熱可塑性材料のシートを加熱室から開いたマッチドダイセットに移し、マッチドダイセットを圧力下で閉じて、ポリマー熱可塑性シート材料をダイの両側に適合させるプロセスである。1以上の実施形態では、材料シートは、金型の周囲にフィットし、金型からの圧力によって熱可塑性シート材料が流れ、意図された形状を埋める。その後、熱可塑性材料が金型内で冷却され、形状が固定され、その後脱型される。圧縮成形はまた、熱硬化性材料に利用されることもあり、熱硬化性シート材料は、典型的にダイ温度以下の温度で加熱されたダイに入り、ダイからの熱によって樹脂を重合させる化学反応が開始される。
【0024】
1以上の実施形態において、熱成形が、ポリマー熱可塑性シート材料を成形するために使用され得る。一実施形態では、熱可塑性シートは、ポリマー熱可塑性シート材料の周囲を固定するように構成された張力装置(例えば、テンションフレーム、クランプまたは移送フレーム)に保持される。この張力装置内で、ポリマー熱可塑性シート材を成形温度に加熱し、金型に近接させ、圧力源により圧力を加えてポリマー熱可塑性シート材を金型表面に接触させる。
【0025】
1以上の実施形態では、熱成形プロセスは真空成形プロセスであり得る。真空成形プロセスとは、加熱されたポリマー熱可塑性シート材料の内側に対してダイを通して真空が引き込まれ、より高い圧力にさらされたシートの外側との圧力差を作り出すプロセスのことである。この圧力差によって、シートはダイの表面に引き寄せられる。圧力成形は、加熱されたシートに対して金型の外側から圧力を加え、シートを金型表面に適合させるプロセスである。
【0026】
1以上の実施形態において、熱成形プロセスはプラグアシスト熱成形プロセスであり得る。プラグアシスト熱成形プロセスは、真空成形または加圧成形と組み合わせてシートを所定の位置に移動させるために、ポリマー熱可塑性シート材料と接触する機械的プラグを利用してもよい。マッチドダイ成形とは、加熱されたポリマー熱可塑性シート材料に圧力をかけながら2つのダイ半部を合わせ、材料を各側の形状に適合させる成形方法である。このプロセスでは、シート材料は通常、成形されるダイ形状の周囲よりも大きく、余分な材料が後で除去される。
【0027】
熱成形はまた熱硬化性材料に適用され、熱可塑性材料のように高温で樹脂が軟化するものの、重合は不完全なままのプリフォームを作ることができる。プリフォームはトリミングされ、さらなる処理のために保管される。その後、プリフォームを硬化させることで、樹脂の重合が完了する。別の構成では、ダイ内で予備成形と重合を同時に行うこともできる。
【0028】
射出成形、圧縮成形、樹脂トランスファー成形(RTM)などの密閉金型プロセスでは、ダイに真空を適用して、空気の巻き込みによる樹脂の流れの阻害を最小限に抑えるか排除することで、密閉金型プロセスで製造される成形品の品質を向上させることができる。空気の巻き込みは、成形品の欠陥の原因となる。材料の流れによって熱と圧力下で蒸気が集中するため、熱可塑性シート材料から放出される蒸気と一緒に巻き込まれた空気が燃焼する可能性がある。このプロセスはディーゼリングと呼ばれる。ティーゼリングは、外観上の欠陥や金型の過度の損耗を引き起こす可能性がある。この欠点は、加熱ポリマーシート材料を成形室に供給するために、供給真空範囲下で加熱室から加熱ポリマーシート材料を移送する1以上の実施形態のステップによって回避または最小化することができる。
【0029】
圧縮成形プロセスの場合、ポリマーシート材料がシートのバルク形式でダイに入れられ、ポリマーシート材料は周囲条件下でダイに入り、上下のダイ半部を垂直に合わせて圧力を加えて成形品が形成され得る。真空を適用する場合、上下のダイ半部を合わせてダイ内に真空を形成する際に、シールが作動する。ポリマーシート材料は、真空が形成される前に下側のダイ半部の上に置かれ、保持される。このプロセスには、シールの作動と真空の生成に同様に時間がかかる。加熱ポリマーシート材料を成形室に供給するために、加熱室から供給真空範囲下で加熱ポリマーシート材料を搬送しないと、下側ダイ半部の最初の接触により、ポリマー材料と下側ダイ半部の表面との間に空気が巻き込まれ、表面欠陥が発生する可能性がある。
【0030】
加熱ポリマーシート材料を成形室に供給するために、加熱室から供給真空範囲下で加熱ポリマーシート材料を移送するステップは、前硬化(原文:pre-cure)に関連する欠陥を低減または除去することができる。前硬化は、ダイが部品を完全に成形する前に熱硬化性材料が硬化し始めた場合、またはダイが部品を完全に成形する前にポリマー熱可塑性シート材料が早期に冷却または結晶化した場合に発生する。前硬化は、真空シールが作動し、真空が構築されているときに、ポリマー熱可塑性シート材料がダイと接触している時間が長すぎることによっても発生する可能性がある。成形圧力がかかるまでポリマー材料との接触が遅れるように、外観上の要求が高い側が上になるようにダイが配置され得る。この遅れの悪影響は、加熱ポリマーシート材料を成形室に供給するために、供給真空範囲下で加熱室から加熱ポリマーシート材料を移送することによって緩和され得る。
【0031】
図1は、第1の実施形態による加熱ポリマーシート材料供給プロセスを実施するように構成されたシステム10の切り欠き斜視図である。
図2は、
図1の線2-2に沿って取った、
図1に示すシステム10の部分的な、断面図、側面図、および部分断面図である。システム10は、加熱室12と成形室14とを具える。加熱室12は、ポリマーシート材料の温度を上昇させ、加熱ポリマーシート材料を形成するように構成されている。成形室14は、加熱ポリマーシート材料から成形品を成形するように構成されている。成形品は、実質的に三方向(すなわち、x軸、y軸、z軸)に延びる三次元成形品であり得る。
【0032】
ポリマーシート材料16は、熱可塑性ポリマーシート材または熱硬化性ポリマーシート材であり得る。ポリマーシート材料16は、硬質ポリマーシート材料で形成されてもよい。ポリマーシート材料16は、テープベースのラミネート、有機シート、およびガラスマット熱可塑性プラスチック(GMTex)(例えば、織物およびプリプレグ)であり得る。ポリマーシート材料16は、上面と、下面と、これらの間に延びるバルク厚とを有する。ポリマーシート材料16は、当該ポリマーシート材料16の外周に配設された開口部18を有する。開口部18はポリマーシート材料16のバルク厚を貫通し、開口部18の上面および下面で終端している。
【0033】
図1および
図2に示すように、ポリマーシート材料16はテンションフレーム20に配置される。スプリング22がその一端でテンションフレーム20の内周に取り付けられている。テンションフレーム20は剛性で、加熱および成形プロセスを通して元の形状を保持し、成形プロセスにおいてポリマーシート材料16を強制的に伸ばして形状に適合させる。スプリング22の自由端は開口部18と連結され、ポリマーシート材料16をテンションフレーム20に結合するように構成されている。スプリング22は、ポリマーシート材料16にプレテンションをかけ、ポリマーシート材料16がシステム10を通して移動される際に張力が維持されるように構成されている。実装に応じて、他のテンション装置を使用してもよい。他のテンション装置の非限定的な例としては、アクチュエータのようなフレキシブルな要素がある。テンション装置は、ポリマーシート材料16に張力を付与しつつ、成形プロセス中にポリマーシート材料16の周縁部が内側または他の方向に引っ張られ得るように構成される。テンションフレーム20は剛性材料から形成され、テンションフレームがシステム10を通って引かれる際に元の形状を保持し、それによってポリマーシート材料16が成形品の形状に適合するようにする。ポリマーシート材料16を含むテンションフレーム20は、コンベア(図示せず)に沿って加熱室12に搬送される。
【0034】
ポリマーシート材料16を含むテンションフレーム20は、入口ポート24から加熱室12に搬送される。入口ポート筐体26は、入口ポート筐体26が閉位置28と開位置30の間で回転するように、入口ポート24の上方で加熱室12に回転可能に固定(例えば、ヒンジを使用)されている。入口ポート筐体26は、閉位置28から開位置30まで、加熱室12から離れる方向に回転する。ポリマーシート材料16を含むテンションフレーム20は、入口ポート26が開位置30にあるときに、入口ポート24を通して加熱室12に搬送される。
図1および
図2に示すように、入口シール32が入口ポート筐体26の裏側に固定されている。入口シール32は、ガスが入口ポート24を介して加熱室12に出入りしないように、入口ポート筐体26と加熱室12の間にシールを形成するように構成されている。
図1および
図2に示すように、入口シール32は、入口ポート筐体26の周囲に沿った形状で略長方形であり、入口ポート筐体26の中央部分が開口している。別の実施形態では、入口シールは入口ポート筐体26の大きさであり、それによって入口ポート筐体26の裏側全体を覆ってもよい。別の実施形態では、入口シールは、入口ポート筐体26の裏側に固定されたシールの代わりに、またはそれに加えて、入口ポート24の外周の周りで加熱室12に固定されてもよい。入口シール32は、ゴム材料などのエラストマー材料から形成され得る。
【0035】
加熱室12はまた、入口ポート24の反対側に出口ポート34を有する。出口ポート筐体36は、出口ポート筐体36が閉位置38と開位置40の間で回転するように、出口ポート34を中心に加熱室12に回転可能に固定(例えば、ヒンジを使用)されている。出口ポート筐体36は、閉位置38から開位置40まで、加熱室12から離れる方向に回転する。
図2に示すように、出口シール42が出口ポート筐体36の裏側に固定されている。出口シール42は、ガスが出口ポート34を介して加熱室12に出入りしないように、出口ポート筐体36と加熱室12の間にシールを形成するように構成されている。出口シール42は、出口ポート筐体36の外周に沿った形状で略長方形であり、出口ポート筐体36の中央部分が開口している。別の実施形態では、出口シールは出口ポート筐体36の大きさであり、それによって出口ポート筐体36の裏側全体を覆ってもよい。別の実施形態では、出口シールは、出口ポート筐体36の裏側に固定されたシールの代わりに、またはそれに加えて、出口ポート34の外周の周りで加熱室12に固定されてもよい。出口シール42は、ゴム材料などのエラストマー材料から形成され得る。
【0036】
図1および
図2に示すように、単一の加熱室12が示されている。他の実施形態では、加熱ポリマーシート材料供給プロセスを実施するシステムにおいて、2以上の加熱室を利用してもよい。入口ポート筐体26が開位置30にあるときにポリマーシート材料16を含むテンションフレーム20が入口ポート24を通して加熱室12内に搬送された後、入口ポート筐体26および出口ポート筐体36は、それぞれ入口ポート24および出口ポート34を入口シール32および出口シール42に対して密封し、加熱室12内の加熱真空条件に適した密封環境を加熱室12内に形成する。
【0037】
加熱室12は、上部および下部加熱エレメント44および46、ならびに上部および下部加熱シールド48および50を具える。上部加熱シールド48は、上部加熱エレメント44と加熱室12の上部壁の間に配置されている。下部加熱シールド50は、下部加熱エレメント46と基部52の間に配置されている。上部および下部加熱エレメント44および46は、赤外線発熱体であり得る。1以上の実施形態において、加熱室12は、強制対流、伝導、および赤外線のうちの1以上の加熱方法を利用することができる。上部および下部加熱エレメント44および46は、ポリマーシート材料16を成形温度に加熱し、加熱ポリマーシート材料を形成する。成形温度の非限定的な例は、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、および400℃の温度のいずれか、またはいずれか2つの温度の範囲であり得る。この範囲の下限はプリプレグをプリフォームに形成するのに適し、範囲の上限は液晶ポリマーのような高温の樹脂を形成するのに適し得る。一実施形態では、最初に赤外線熱をかけてポリマーシート材料16を乾燥させ、ポリマーシート材料16から水分を除去する。ポリマーシート材料16が乾燥したら、所望の成形温度に達するまでポリマーシート材料16の加熱を継続することができる。
【0038】
一実施形態では、ポリマーシート材料16を加熱する前に加熱室12内に真空を適用してもよい。他の実施形態では、成形温度に達したら、加熱室12と成形室14内に真空を適用してもよい。加熱ポリマーシート材料は、真空条件下で加熱室12から成形室14へ搬送されてもよい。真空源54は加熱室導管56を介して加熱室12と連通している。真空源54はまた、成形室導管58を介して成形室14と連通している。真空源54は、加熱室12および成形室14内を真空状態を作り出すように構成されている。加熱室12と成形室14の真空状態を維持し、加熱ポリマーシート材料をその間で移送することにより、加熱ポリマーシート材料が失う熱量が低減または排除される。
【0039】
成形室14は、上部プラテン60と下部プラテン61とを具える。成形室14は、直立部材64を具える。成形室14はまた、上部プラテン60と下部プラテン61の間に位置する上側ダイ半部66と下側ダイ半部68とを具える。上側ダイ半部66は負の輪郭70を有し、下側ダイ半部68は正の輪郭72を有する。シュラウド74が、成形室14の側面を囲んでいる。シュラウド74は、成形室14の四方を囲む矩形状であり得る。シュラウド74は、
図2に示すように、ファスナー76とブラケット78を介して下側ダイ半部68に固定されている。シュラウド74も加熱室12に固定してもよい。シュラウド74には、入口パネル80と出口パネル82を含む。上側ダイ半部66はシュラウド74の内部で上下に移動する。
【0040】
成形室14は、加熱室12の出口ポート34に対向する出口ポート84を具える。出口ポート84は出口パネル82に形成されている。出口ポート筐体86が、出口ポート筐体86が閉位置88と開位置90の間で回転できるように、出口ポート84を中心に成形室14に回転可能に固定されている(例えば、ヒンジを使用)。
図2に示すように、出口シール92が出口ポート筐体86の裏側に固定されている。出口シール92は、ガスが出口ポート84を介して成形室14に出入りしないように、出口ポート筐体86と成形室14の間にシールを形成するように構成されている。出口シール92は、出口ポート筐体86の外周に沿った形状で略長方形であり、出口ポート筐体86の中央部分が開口している。別の実施形態では、出口シールは出口ポート筐体86の大きさであり、それによって出口ポート筐体86の裏側全体を覆ってもよい。別の実施形態では、出口シールは、出口ポート筐体86の裏面に固定されたシールの代わりに、またはそれに加えて、出口ポート84の外周の周りのシュラウド74の出口パネル82の外面に固定され得る。出口シール92はゴム材料で形成され得る。
【0041】
成形室14は、上側ダイ半部66とシュラウド74の間に配置された上側シュラウドシール94と、下側ダイ半部68とシュラウド74の間に配置された下側シュラウドシール96を含み得る。上側シュラウドシール94は、上側ダイ半部66またはシュラウド74の内面に固定することができる。1以上の実施形態では、上側ダイ半部66がシュラウド74の内面に対して上下に動くため、上側シュラウドシール94は、上側ダイ半部66とシュラウド74の内面の両方に固定されない。上側ダイ半部66とシュラウド74の間に隙間ができないように、下方向への移動は制限されている。上側シュラウドシール94は、シュラウド74と上側ダイ半部66の間の隙間を通じてガスが成形室14に出入りしないように、シュラウド74と上側ダイ半部66の間にシールを形成するように構成されている。本実施形態および本書に開示される他の実施形態のスライドシール構成は、成形室14または本書に開示される他の前室の容積を減少させることができる。体積が減少すると、スライドシール構成のない成形室と比較して、成形室14または他の成形室で搬送真空範囲を形成するための時間と費用を削減することができる。1以上の実施形態では、上側シュラウドシール94は、シュラウド74の輪郭に沿った連続的な矩形の周縁部を形成する。下側シュラウドシール96は、下側ダイ半部68および/またはシュラウド74の内面に固定することができる。下側シュラウドシール96は、シュラウド74と下側ダイ半部68との間の隙間を通じてガスが成形室14に出入りしないように、シュラウド74と下側ダイ半部68との間にシールを形成するように構成されている。1以上の実施形態では、下側シュラウドシール96は、シュラウド74の輪郭に沿った連続的な矩形の周縁部を形成する。上側シュラウドシール94、下側シュラウドシール96、出口シール92、および出口シール42は、成形室14内が真空引きされているときに、連携して成形室14内にガスが入るのを防ぐ。
【0042】
加熱室12に加熱真空範囲内の真空が形成され、成形室14に供給真空範囲内の真空が形成されると、出口ポート筐体36が閉位置38から開位置40に変更され、加熱真空範囲と供給真空範囲を維持しながら、ポリマーシート材料16を有するテンションフレーム20が加熱室12から成形室14に移送される。加熱真空範囲と供給真空範囲は同じ範囲であり得る。他の実施形態では、加熱真空範囲と供給真空範囲は異なってもよい。ポリマーシート材料16を有するテンションフレーム20が成形室14から移されると、出口ポート筐体36が開位置40から閉位置38に変更され、出口ポート筐体86は閉位置88に留まって成形室14内に供給真空範囲が維持され、その後加熱室12からは真空が解放される。
【0043】
供給真空範囲では、上側ダイ半部66が下降し、上側ダイ半部66と下側ダイ半部68がポリマーシート材料16上で閉じられ、ポリマーシート材料が負の輪郭70と正の輪郭72の形状になるようにする。圧力差を成形室内に形成して、上側ダイ半部66および/または下側ダイ半部68に対する圧力差の下で加熱ポリマーシート材料16を成形してもよい。ポリマーシート材料16は、上下のダイ半部66および68を介して熱伝達が起こり、ポリマーシート材料16の冷却が促進されて成形品98の形状が固定され、目標離型温度に達するまで、圧力および圧縮下に保持される。一実施形態では、供給真空範囲の真空は、目標離型温度に達すると解除される。両方の出口ポート筐体36、68がそれぞれ閉位置38、88にあり、密閉されているときに、供給真空範囲の真空が解放され得る。その後、上側ダイ半部66を上昇させ、テンションフレーム20を持ち上げて下側ダイ半部68から離脱させる。次に、出口ポート筐体86が閉位置88から開位置90に回転し、コンベヤ(図示せず)上のテンションフレーム20内の成形品98が、成形室14から成形室14の外側へ移送される。成形室14の外に出ると、成形品98はテンションフレーム20から外される。テンションフレーム20は、新しいポリマーシート材料16に再利用できる。成形品98の周りの余分な材料(図示せず)は、後の処理段階で切り取られ得る。現在のテンションフレーム20が真空条件下で成形室14に供給されると、ポリマーシート材料を有する次のテンションフレーム20を加熱室12にロードすることができる。
【0044】
図3は、第2の実施形態による加熱ポリマーシート材料供給プロセスを実施するように構成されたシステム100の斜視図である。
図4は、
図3の線4-4に沿って取った、システム100の部分的な、断面図、側面図、および部分断面図である。
図3および/または
図4に示すように、システム100は、第1加熱室102、第2加熱室104、および第3加熱室106を含む。第1加熱室102は、第1入口ポート112を介して第1ポリマーシート材料110に張力を与え、コンベア(図示せず)に沿って搬送される第1テンションフレーム108を受け入れるように構成されている。第1テンションフレーム108は、第1ポリマーシート材料110の第1開口部113に通して連結されたスプリング111を介して第1ポリマーシート材料110に張力をかけるように構成されている。第2加熱室104は、第2入口ポート118を介して第2ポリマーシート材料116に張力を与え、第2コンベヤ(図示せず)に沿って搬送される第2テンションフレーム114を受け入れるように構成されている。第2テンションフレーム114は、第2ポリマーシート材料116の第2開口119に通して連結された第2スプリング117を介して第2ポリマーシート材料116に張力をかけるように構成されている。第3加熱室106は、第3入口ポート126を介して第3ポリマーシート材料124に張力を与え、第3コンベヤ(図示せず)に沿って搬送される第3テンションフレーム122を受け入れるように構成されている。第3テンションフレーム122は、第3ポリマーシート材料124の第3開口部127に通して連結された第3スプリング125を介して第3ポリマーシート材料124に張力をかけるように構成されている。
【0045】
図3および
図4に示すように、第2入口ポート筐体128が、第2入口ポート筐体128が閉位置130と開位置132との間で回転するように、第2入口ポート118の上方で第2加熱室104に回転可能に固定される(例えば、ヒンジを使用)。第2ポリマーシート材料116を有する第2テンションフレーム114は、第2入口ポート筐体128が開位置132にあるとき、第2入口ポート118を介して第2加熱室104に搬送される。
図4に示すように、第2入口シール134は第2入口ポート筐体128の裏側に固定されている。第2入口シール134は、ガスが第2入口ポート112を介して第2加熱室104に出入りしないように、第2入口部筐体128と第2加熱室104との間にシールを形成するように構成されている。第2入口シール134は、第2入口ポート筐体128の外周に沿った形状で略長方形であり、第2入口ポート筐体128の中央部分で開口している。別の実施形態では、第2入口シールは第2入口ポート筐体128の大きさであり、それによって第2入口ポート筐体128の裏側全体を覆ってもよい。別の実施形態では、第2入口シールは、第2入口ポート筐体128の裏側に固定されたシールの代わりに、またはそれに加えて、第2入口ポート118の外周の周りで第2加熱室104に固定されてもよい。第2入口シール134は、ゴム材料などのエラストマー材料から形成され得る。
【0046】
第2加熱室104はまた、第2入口ポート118に対向する第2出口ポート136を有する。第2出口ポート筐体138が、第2出口ポート筐体138が閉位置140と開位置142との間で回転するように、第2出口ポート136を中心として第2加熱室104に回転可能に固定される(例えば、ヒンジを使用)。第2出口ポート筐体138は、閉位置140から開位置142まで、第2加熱室104から離れる方向に回転する。
図4に示すように、第2出口シール144は第2出口ポート筐体138の裏側に固定されている。第2出口シール144は、ガスが第2出口ポート136を介して第2加熱室104に出入りしないように、第2出口ポート筐体138と第2加熱室104との間にシールを形成するように構成されている。第2出口シール144は、第2出口ポート筐体138の外周に沿った形状で略長方形であり、第2出口ポート筐体138の中央部分が開口している。別の実施形態では、第2出口シールは第2出口ポート筐体138の大きさであり、それによって第2出口ポート筐体138の裏側全体を覆ってもよい。別の実施形態では、第2出口シールは、第2出口ポート筐体138の裏側に固定されたシールの代わりに、またはそれに加えて、第2出口ポート136の外周の周りで第2加熱室104に固定されてもよい。第2出口シール144は、ゴム材料などのエラストマー材料から形成され得る。
【0047】
図3に示すように、第1入口ポート筐体146が、第1入口ポート筐体146が閉位置148と開位置150との間で回転するように、第1入口ポート112の上方で第1加熱室102に回転可能に固定される(例えば、ヒンジを使用)。第1ポリマーシート材料110を有する第1テンションフレーム108は、第1入口ポート筐体146が開位置150にあるとき、第1入口ポート112を介して第1加熱室102に搬送される。第1入口シール(図示せず)は、第1入口ポート筐体146の裏側に固定され得る。第1入口シールは、ガスが第1入口ポート112を介して第1加熱室102に出入りしないように、第1入口ポート筐体146と第1加熱室102との間にシールを形成するように構成されている。第1入口シールは、第1入口ポート筐体146の外周に沿った形状で略長方形であり、第1入口ポート筐体146の中央部分で開口している。別の実施形態では、第1入口シールは第1入口ポート筐体146の大きさでり、それによって第1入口ポート筐体146の裏側全体を覆ってもよい。別の実施形態では、第1入口シールは、第1入口ポート筐体146の裏側に固定されたシールの代わりに、またはそれに加えて、第1入口ポート112の外周の周りで第1加熱室102に固定されてもよい。第1入口シールは、ゴム材料などのエラストマー材料から形成され得る。
【0048】
第1加熱室102はまた、第1入口ポート112に対向する第1出口ポート152を有する。第1出口ポート筐体154が、第1出口ポート筐体154が閉位置156と開位置158との間で回転するように、第1出口ポート152を中心として第1加熱室102に回転可能に固定される(例えば、ヒンジを使用)。第1出口ポート筐体154は、閉位置156から開位置158まで、第1加熱室102から離れる方向に回転する。第1出口シール(図示せず)は、第1出口ポート筐体154の裏側に固定され得る。第1出口シールは、ガスが第1出口ポート152を介して第1加熱室102に出入りしないように、第1出口ポート筐体154と第1加熱室102との間にシールを形成するように構成されている。第1出口シールは、第1出口ポート筐体154の外周に沿う形状で略長方形であり、第1出口ポート筐体154の中央部分で開口している。別の実施形態では、第1出口シールは第1出口ポート筐体154の大きさであり、それによって第1出口ポート筐体154の裏側全体を覆ってもよい。別の実施形態では、第1出口シールは、第1出口ポート筐体154の裏側に固定されたシールの代わりに、またはそれに加えて、第1出口ポート152の外周の周りで第1加熱室102に固定されてもよい。第1出口シールは、ゴム材料などのエラストマー材料から形成され得る。
【0049】
図3に示すように、第3入口ポート筐体160が、第3入口ポート筐体160が閉位置162と開位置164との間で回転するように、第3入口ポート126の上方で第3加熱室106に回転可能に固定される(例えば、ヒンジを使用して)。第3ポリマーシート材料124を有する第3テンションフレーム122は、第3入口ポート筐体160が開位置164にあるとき、第3入口ポート126を介して第3加熱室106に搬送される。第3入口シール(図示せず)は、第3入口ポート筐体160の裏側に固定され得る。第3入口シールは、ガスが第3入口ポート126を介して第3加熱室106に出入りしないように、第3入口ポート筐体160と第3加熱室106との間にシールを形成するように構成されている。第3入口シールは、第3入口ポート筐体160の外周に沿った形状で略長方形であり、第3入口ポート筐体160の中央部分で開口している。別の実施形態では、第3入口シールは第3入口ポート筐体160の大きさでり、それによって第3入口ポート筐体160の裏側全体を覆ってもよい。別の実施形態では、第3入口シールは、第3入口ポート筐体160の裏側に固定されたシールの代わりに、またはそれに加えて、第3入口ポート126の外周の周りで第3加熱室106に固定されてもよい。第3入口シールは、ゴム材料などのエラストマー材料から形成され得る。
【0050】
第3加熱室106はまた、第3入口ポート126に対向する第3出口ポート166を有する。第3出口ポート筐体168が、第3出口ポート筐体168が閉位置170と開位置172との間で回転するように、第3出口ポート166を中心として第3加熱室106に回転可能に固定される(例えば、ヒンジを使用)。第3出口ポート筐体168は、閉位置170から開位置172まで、第3加熱室106から離れる方向に回転する。第3出口シール(図示せず)は、第3出口ポート筐体168の裏側に固定され得る。第3出口シールは、ガスが第3出口ポート166を介して第3加熱室106に出入りしないように、第3出口ポート筐体168と第3加熱室106との間にシールを形成するように構成されている。第3出口シールは、第3出口ポート筐体168の外周に沿う形状で略長方形であり、第3出口ポート筐体168の中央部分で開口している。別の実施形態では、第3出口シールは第3出口ポート筐体168の大きさであり、それによって第3出口ポート筐体168の裏側全体を覆ってもよい。別の実施形態では、第3出口シールは、第3出口ポート筐体168の裏側に固定されたシールの代わりに、またはそれに加えて、第3出口ポート166の外周の周りで第3加熱室106に固定されてもよい。第1出口シールは、ゴム材料などのエラストマー材料から形成され得る。
【0051】
上述したように、システム100は第1加熱室102、第2加熱室104、および第3加熱室106を含む。以下に、
図3および
図4に示すような一実施形態による第2加熱室104の構成要素および動作を説明する。この説明は、第1加熱室102および/または第3加熱室106の同様の構成要素および動作に適用され得る。
図3および
図4に示すように、第2入口ポート筐体128が開位置132にあるとき、第2ポリマーシート材料116を有する第2テンションフレーム114が第2入口ポート118を介して第2加熱室104に搬送された後、第2入口ポート筐体132および第2出口ポート筐体138が、それぞれ第2入口シール134および第2出口シール144に対して第2入口ポート118および第2出口ポート136を密封して、第2加熱室104内に加熱真空条件に適した第2加熱室104の密封環境を形成する。
【0052】
図4に示すように、第2加熱室104は、第2の上部および下部加熱エレメント174および176、ならびに第2の上部および下部加熱シールド178および180を含む。第2上部加熱シールド178は、第2上部加熱エレメント174と第2加熱室104の上側壁の間に配置される。第2下部加熱シールド180は、第2下部加熱エレメント176と第2ベース182の間に配置される。第2の上部および下部加熱エレメント174および176は、赤外線発熱体であり得る。1以上の実施例において、第2加熱室104は、対流熱、伝導熱(例えば、等圧二重ベルトプレスから発生する伝導熱)、電磁熱、および/または輻射熱(例えば、赤外線輻射熱)のうちの1以上の加熱方法を使用することができる。第2の上部および下部加熱エレメント174および176は、第2ポリマーシート材料116を成形温度に加熱し、加熱ポリマーシート材料を形成する。成形温度の非限定的な例は、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、および400℃の温度のいずれか、またはいずれか2つの温度の範囲内であり得る。
【0053】
成形温度に達したら、第2加熱室104と成形室184内に真空を適用してもよい。加熱ポリマーシート材料は、真空条件下で移送されてもよい。
図4に示すように、真空源186が第2加熱室導管188を介して第2加熱室104と連通している。真空源186はまた、成形室導管190を介して成形室184と連通している。真空源186は、加熱室104および成形室184内を真空状態を作り出すように構成されている。第2加熱室104と成形室184の真空状態を維持し、加熱ポリマーシート材料をその間で移送することにより、加熱ポリマーシート材料が失う熱量が低減または排除される。
【0054】
一実施形態では、システム100は、第1加熱室102、第2加熱室104、および第3加熱室106において、それぞれ第1ポリマーシート材料110、第2ポリマーシート材料116、および第3ポリマーシート材料124を順次加熱して、それぞれ第1、第2、および第3の加熱ポリマーシート材料を得るように構成される。
図3および
図4の3つの加熱室構成の連続的な供給ステップにより、例えば成形時間が加熱時間より短い場合、単一の加熱室構成よりも成形品のスループットを大きくすることができる。一実施形態において、密閉された第1加熱室102内で第1ポリマーシート材料110を成形温度に加熱し、第1加熱ポリマーシート材料を形成する。成形温度に達すると、密閉された第1加熱室102と密閉された成形室184に同時に真空状態が形成される。真空状態が形成された後、第1加熱ポリマーシートは、第1加熱ポリマーシートを真空状態下で第1成形品に成形するように構成された成形室184に移送され、その後成形室184を出る。
【0055】
成形室184において第1加熱ポリマーシートが第1成形品に成形されるとき、および/またはその前に、第2ポリマーシート材料116を密閉された第2加熱室104で加熱するとともに、第1加熱室102に新しい第1ポリマーシート材料110を装填することができる。第1成形品が成形室184を出て、第2ポリマーシート材料116が成形温度に達したら、真空源186を用いて第2加熱室104および成形室184に同時に真空状態を形成することができる。真空状態が形成された後、第2加熱ポリマーシートが成形室184に移送され、ここで第2加熱ポリマーシートが真空状態下で第2成形品に成形され、その後成形室184を出る。
【0056】
成形室184において第2加熱ポリマーシートが第2成形品に成形されるとき、および/またはその前に、第3ポリマーシート材料124を密閉された第3加熱室106で加熱するとともに、第2加熱室104に新しい第2ポリマーシート材料116を装填することができる。第2成形品が成形室184を出て、第3ポリマーシート材料124が成形温度に達したら、真空源186を用いて第3加熱室106および成形室184に同時に真空状態を形成することができる。真空状態が形成された後、第3加熱ポリマーシートが成形室184に移送され、ここで第3加熱ポリマーシートが真空状態下で第3成形品に成形され、その後成形室184を出る。一実施形態では、システム100を用いてこの連続プロセスが繰り返される。
【0057】
成形室184は、直立部材198とプレスベッド194上を移動するように構成された上部プラテン192を具える。成形室184はまた、上部プラテン192とプレスベッド194の間に位置する上側ダイ半部198と下側ダイ半部200とを具える。上側ダイ半部198は負の輪郭202を有し、下側ダイ半部200は正の輪郭204を有する。シュラウド206が、成形室184の側面を囲んでいる。シュラウド206は、成形室184の四方を囲む矩形状であり得る。シュラウド206は、
図4に示すように、ファスナー208とブラケット210を介して下側ダイ半部200に固定されている。シュラウド206はまた、第1加熱室102、第2加熱室104、および第3加熱室106のうちの1以上に固定されてもよい。シュラウド206は、入口パネル212と出口パネル209を含む。上側ダイ半部198はシュラウド206の内部で上下に移動する。
【0058】
成形室184は、第2加熱室104の第2出口ポート136に対向する出口ポート216を有する。出口ポート216は出口パネル214に形成されている。出口ポート筐体218が、出口ポート筐体218が閉位置220と開位置222の間で回転できるように、出口ポート216を中心に成形室184に回転可能に固定されている(例えば、ヒンジを使用)。
図4に示すように、出口シール224が出口ポート筐体218の裏側に固定されている。出口シール224は、ガスが出口ポート216を介して成形室184に出入りしないように、出口ポート筐体218と成形室184の間にシールを形成するように構成されている。出口シール224は、出口ポート筐体218の外周に沿った形状で略長方形であり、出口ポート筐体218の中央部分が開口している。別の実施形態では、出口シールは出口ポート筐体218の大きさであり、それによって出口ポート筐体218の裏側全体を覆ってもよい。別の実施形態では、出口シールは、出口ポート筐体218の裏面に固定されたシールの代わりに、またはそれに加えて、出口ポート216の外周の周りのシュラウド206の出口パネル214の外面に固定され得る。出口シール224はゴム材料で形成され得る。
【0059】
成形室184は、上側ダイ半部198とシュラウド206の間に配置された上側シュラウドシール226と、下側ダイ半部200とシュラウド206の間に配置された下側シュラウドシール228を含み得る。上側シュラウドシール226は、上側ダイ半部198またはシュラウド206の内面に固定することができる。1以上の実施形態では、上側ダイ半部198がシュラウド206の内面に対して上下に動くため、上側シュラウドシール226は、上側ダイ半部198とシュラウド206の内面の両方に固定されない。上側ダイ半部198とシュラウド206の間に隙間ができないように、下方向への移動は制限されている。上側シュラウドシール226は、シュラウド206と上側ダイ半部198の間の隙間を通じてガスが成形室184に出入りしないように、シュラウド206と上側ダイ半部198の間にシールを形成するように構成されている。1以上の実施形態では、上側シュラウドシール226は、シュラウド206の輪郭に沿った連続的な矩形の周縁部を形成する。下側シュラウドシール228は、下側ダイ半部200および/またはシュラウド206の内面に固定することができる。下側シュラウドシール228は、シュラウド206と下側ダイ半部200との間の隙間を通じてガスが成形室184に出入りしないように、シュラウド206と下側ダイ半部200との間にシールを形成するように構成されている。1以上の実施形態では、下側シュラウドシール228は、シュラウド206の輪郭に沿った連続的な矩形の周縁部を形成する。上側シュラウドシール226、下側シュラウドシール228、出口シール224、および第2出口シール144は、成形室184内が真空引きされているときに、連携して成形室184内にガスが入るのを防ぐ。
【0060】
第2加熱室104(または
図3に示す他の加熱室)において加熱真空範囲内の真空が形成され、成形室184において供給真空範囲内の真空が形成されると、第2出口ポート筐体138(または
図3に示す他の出口ポート筐体)が閉位置140から開位置142(または
図3に示す他の出口ポート筐体の開位置および閉位置)に変更され、第2ポリマーシート材料116を有する第2テンションフレーム114(または
図3に示すポリマーシート材料を有する他のテンションフレーム)が、加熱真空範囲および供給真空範囲を維持しながら、第2加熱室104(または
図3に示す他の加熱室)から成形室184に移送される。加熱真空範囲と供給真空範囲は同じ範囲であり得る。他の実施形態では、加熱真空範囲と供給真空範囲は異なってもよい。第2ポリマーシート材料116を有するテンションフレーム114が成形室184から移されると、第2出口ポート筐体138が開位置142から閉位置140に変更され、出口ポート筐体218は閉位置220に留まって成形室184内に供給真空範囲が維持され、その後第3加熱室106からは真空が解放される。
【0061】
供給真空範囲において、上側ダイ半部198が下降し、上側ダイ半部198と下側ダイ半部200が第1、第2、または第3ポリマーシート材料110、116、または124上に閉じられ、ポリマーシート材料が負の輪郭202と正の輪郭204の形状になるようにする。第1、第2または第3のポリマーシート材料110、116または124は、上下のダイ半部198および200を介して熱伝達が起こり、第1、第2または第3のポリマーシート材料110、116または124の冷却が促進されて成形品230の形状が固定され、目標離型温度に達するまで、圧力および圧縮下に保持される。一実施形態では、供給真空範囲の真空は、目標離型温度に達すると解除される。両方の出口ポート筐体138、218がそれぞれ閉位置140、220にあり、密閉されているときに、供給真空範囲の真空が解放され得る。その後、上側ダイ半部198を上昇させ、第1、第2または第3のテンションフレーム108、114または122を持ち上げて下側ダイ半部200から離脱させる。次に、出口ポート筐体218が閉位置220から開位置222に回転し、コンベヤ(図示せず)上の第1、第2または第3テンションフレーム108、114または122内の成形品230が、成形室184から成形室184の外側へ移送される。成形室184の外に出ると、成形品230は、第1、第2または第3のテンションフレーム108、114または122から取り外される。成形品230の周りの余分な材料(図示せず)は、後の処理段階で切り取られ得る。
【0062】
図5は、システム250の切り欠き斜視図である。
図6は、
図5の線6-6に沿って取った、
図5に示すシステム250の部分的な、切り欠いた、側面図および部分断面図である。システム250は、第1加熱室252、第2加熱室254、第3加熱室256を含む。第1加熱室252は、加熱ゾーンおよび/または空気ロックとして機能するように構成され得る。第1、第2および第3加熱室252、254および256の構造および動作は、加熱室12に関して図示および説明されたものと同じであり得る。第1、第2、および第3の加熱室252、254、および256は互いに接続されており、各加熱室252、254、および256内、隣接する加熱室(例えば、加熱室252および254、または加熱室254および256)内、または3つすべての加熱室で個別に真空状態が維持され得る。第1、第2、第3加熱室の構成の利点は、複数のゾーンによってスループットが向上することである。例えば、加熱に3分かかり、成形に1分かかる場合、3つの連続した加熱ゾーンが3分の滞留時間を提供し、1分の成形時間をサポートする。
【0063】
図5および
図6に示すように、第1および第2のポリマーシート材料258および260がコンベア262上に置かれる。第1および第2のポリマーシート材料258および260は、GMTまたはシート成形コンパウンド(SMC)などの流動性バルク材料で形成され得る。第1ポリマーシート材料258は、第1加熱室252に配置され得る。第2ポリマーシート材料260は、第2加熱室254に配置され得る。第3ポリマーシート材料は、第3加熱室256に配置され得る。この構成では、3枚のポリマーシート材料を同時に成形温度まで加熱することができる。成形温度に達した後、3つの加熱室252、254、256のすべてに真空を適用してもよい。
【0064】
真空源290は、それぞれ第1、第2、および第3の真空導管292、294、および296を介して第1、第2、および第3の加熱室252、254、および256と連通している。真空源290はまた、成形室導管298を介して成形室276と連通している。真空源290は、第1、第2、および/または第3の加熱室252、254、および/または256内に、同時に、順次に、または異なる時間に、真空状態を作り出すように構成されている。第1加熱室252と第2加熱室254の真空状態を維持し、加熱ポリマーシート材料をその間で移送することにより、加熱ポリマーシートが失う熱量が低減または排除される。
【0065】
成形温度に達し真空条件が整うと、第3加熱室256が成形室276に開かれ、成形室入口ポート筐体300が開位置305で第3入口ポート筐体284が閉位置288にあるときに、第3ポリマーシート材料が真空条件下で第3加熱室256から成形室入口ポート302を介して成形室276に移送され得る。第3加熱室256と成形室276の真空状態を維持し、加熱ポリマーシート材料をその間で移送することにより、加熱ポリマーシートが失う熱量を低減または排除することができる。
【0066】
第3ポリマーシート材料が成形室276に移送されると、成形室入口ポート筐体300が閉位置304に変更され、第3入口ポート筐体284が開位置に変更され、第2の入口ポート筐体280は閉位置282に維持される。この構成において、第2ポリマーシート材料260を、真空条件下で第2加熱室254から第3加熱室256に搬送することができる(その後、真空条件下で成形室276に搬送され得る)。第2ポリマーシート材料260が第3加熱室256に移送されると、第3入口ポート筐体284が閉位置282に変更され、入口ポート筐体270は閉位置272に維持される。この構成において、第1ポリマーシート材料258を、真空条件下で第1加熱室252から第2入口ポート278を介して第2加熱室254に移送することができる(その後、真空条件下で第3加熱室256および成形室276に移送され得る)。第1ポリマーシート材料258が第2加熱室254に移送されると、第2入口ポート筐体280が閉位置282に変更され、入口ポート筐体270が開位置274に変更されるので、第4ポリマーシート材料が第1入口ポート268を介して第1加熱室252に入れられ、加熱、真空状態の適用、および真空状態下での加熱ポリマーシート材料の移送シーケンスを繰り返すことができる。
【0067】
成形室276は、上部プラテン306と下部プラテン308とを具える。成形室276は、直立部材310を具える。成形室276はまた、上部プラテン306と下部プラテン308の間に位置する上側ダイ半部312と下側ダイ半部314とを具える。上側ダイ半部312は負の輪郭316を有し、下側ダイ半部314は正の輪郭318を有する。シュラウド320が、成形室276の側面を囲んでいる。シュラウド320は、成形室276の四方を囲む矩形状であり得る。シュラウド320は、
図6に示すように、ファスナー322とブラケット324を介して下側ダイ半部314に固定されている。シュラウド320は、第3加熱室256に固定してもよい。シュラウド320は、入口パネル326と出口パネル328を含む。上側ダイ半部312はシュラウド320の内部で上下に移動する。
【0068】
成形室276は、成形室入口ポート302に対向する出口ポート330を有する。出口ポート330は出口パネル328に形成されている。出口ポート筐体332が、出口ポート筐体332が閉位置334と開位置336の間で回転できるように、出口ポート330を中心に成形室276に回転可能に固定されている(例えば、ヒンジを使用)。
図6に示すように、出口シール338が出口ポート筐体332の裏側に固定されている。出口シール338は、ガスが出口ポート330を介して成形室276に出入りしないように、出口ポート筐体332と成形室276の間にシールを形成するように構成されている。出口シール338は、出口ポート筐体332の外周に沿った形状で略長方形であり、出口ポート筐体332の中央部分が開口している。別の実施形態では、出口シールは出口ポート筐体332の大きさであり、それによって出口ポート筐体332の裏側全体を覆ってもよい。別の実施形態では、出口シールは、出口ポート筐体332の裏面に固定されたシールの代わりに、またはそれに加えて、出口ポート330の外周の周りのシュラウド320の出口パネル328の外面に固定され得る。出口シール338はゴム材料で形成され得る。
【0069】
成形室276は、上側ダイ半部312とシュラウド320の間に配置された上側シュラウドシール340と、下側ダイ半部314とシュラウド320の間に配置された下側シュラウドシール342を含み得る。上側シュラウドシール340は、上側ダイ半部312またはシュラウド320の内面に固定することができる。1以上の実施形態では、上側ダイ半部312がシュラウド320の内面に対して上下に動くため、上側シュラウドシール340は、上側ダイ半部312とシュラウド320の内面の両方に固定されない。上側ダイ半部312とシュラウド320の間に隙間ができないように、下方向への移動は制限されている。上側シュラウドシール340は、シュラウド320と上側ダイ半部312の間の隙間を通じてガスが成形室276に出入りしないように、シュラウド320と上側ダイ半部312の間にシールを形成するように構成されている。1以上の実施形態では、上側シュラウドシール340は、シュラウド320の輪郭に沿った連続的な矩形の周縁部を形成する。下側シュラウドシール342は、下側ダイ半部314および/またはシュラウド320の内面に固定することができる。下側シュラウドシール342は、シュラウド320と下側ダイ半部314との間の隙間を通じてガスが成形室276に出入りしないように、シュラウド320と下側ダイ半部314との間にシールを形成するように構成されている。1以上の実施形態では、下側シュラウドシール342は、シュラウド320の輪郭に沿った連続的な矩形の周縁部を形成する。上側シュラウドシール340、下側シュラウドシール342、出口シール338、および形成室入口シールは、成形室276内が真空引きされているときに、連携して成形室276内にガスが入るのを防ぐ。
【0070】
第3加熱室256に加熱真空範囲内の真空が形成され、成形室276に供給真空範囲内の真空が形成されると、成形室入口ポート筐体300が閉位置304から開位置に変更され、加熱真空範囲および供給真空範囲を維持しながら第3ポリマーシート材料が第3加熱室256から成形室276に移送される。加熱真空範囲と供給真空範囲は同じ範囲であり得る。他の実施形態では、加熱真空範囲と供給真空範囲は異なってもよい。第3ポリマーシート材料が成形室276から移送されると、成形室入口ポート筐体300は開位置から閉位置304に変更され、出口ポート筐体332は閉位置334に留まって供給真空範囲が成形室276内に維持される。
【0071】
供給真空範囲において、上側ダイ半部312が下降し、上側ダイ半部312と下側ダイ半部314がポリマーシート材料258上に閉じられ、ポリマーシート材料が負の輪郭316と正の輪郭318の形状になるようにする。ポリマーシート材料は、上下のダイ半部312および314を介して熱伝達が起こり、ポリマーシート材料258の冷却が促進されて成形品344の形状が固定され、目標離型温度に達するまで、圧力および圧縮下に保持される。一実施形態では、供給真空範囲の真空は、目標離型温度に達すると解除される。出口ポート筐体300、332がそれぞれ閉位置304、334にあり、密閉されているときに、供給真空範囲の真空が解放され得る。その後、上側ダイ半部312を上昇させ、ポリマーシート材料を持ち上げて下側ダイ半部314を離脱させる。次に、出口ポート筐体332が閉位置334から開位置336に回転し、コンベヤ(図示せず)上の成形品344が、成形室276から成形室276の外側へ移送される。成形品344の周りの余分な材料(図示せず)は、後の処理段階で切り取られ得る。
【0072】
図7は、別の実施形態によるシステム350の断面図、側面図、および部分断面図である。システム350はシステム250の代替例である。システム250と350はいずれも、第1、第2、第3の加熱室252、254、256を具える。システム250が成形室276を有するのに対し、システム350は成形室352を有する。
【0073】
成形室352は、プレスベッド354とプレスクラウン356とを具える。1以上の実施形態では、この構成により、真空を維持するためのすべてのスライディングシールをなくすことができる。成形室352は、シュラウド358も具える。一実施形態では、プレスベッド354とプレスクラウン356はシュラウド358に固定され、したがってプレスベッド354とプレスクラウン356はシュラウド358に対して静止し、シールを形成する。一実施形態では、プレスベッド354とプレスクラウン356は同じプロファイルを有し、両者は規則的なプロファイルを有するシュラウド358に対して密封される。プレスベッド354、プレスクラウン356、およびシュラウド358は、成形室352内に真空室360を形成するように構成されている。真空室360は、摩耗や漏れが起こりやすいスライドシールなしで形成することができる。シュラウド358は、第3加熱室256に固定してもよい。第3加熱室256は、ポリマーシート材料260を加熱し、真空条件下で成形室352に移送するように構成することができる。シュラウド358は、入口パネル368と出口パネル370を具える。
【0074】
成形室352はまた、プレスベッド354とプレスクラウン356の間に位置する上部プラテン362と下部プラテン364とを具える。上下のダイ半部376、378はそれぞれ上下のプラテン362、364に固定されている。成形室352はまた、直立部材366を具える。上側ダイ半部376は、直立部材366上のシュラウド358の内側を上下に移動する。上側ダイ半部376は負の輪郭372を有し、下側ダイ半部378は正の輪郭374を有する。
【0075】
システム350はまた、出口真空室290を具える。出口真空室290(例えば、エアロック)は、成形室352から搬送される成形品344を受け入れるように構成されている。
図7に示すように、出口真空室290は成形室352の外部にあり、成形室352のシュラウド358に結合されている。真空室290は、真空導管378と真空源290を使用して、大気圧と真空圧の間の圧力に設定され得る。この構成により、成形室352を完全に減圧することなく、成形品344を成形室352から移送することができる。減圧は、成形室352で後続の真空状態を形成することに関する時間と費用が増大する可能性がある。
図7に示すように、成形品344は、出口ポート380を通って真空室290から出る。
【0076】
図8は、別の実施形態によるシステム400の断面図、側面図、および部分断面図である。システム400は、加熱/成形室402(例えば、プレスと組み合わせたオートクレーブ)、入口エアロック401、および出口エアロック403を具える。入口エアロック401は、ポリマーシート材料410を入れるように構成されたポート405を具える。入口エアロック401は、ポート412を通して加熱/成形室402と連通している。出口エアロック403は、成形品436を出口エアロック403から放出するように構成されたポート407を具える。出口エアロック403は、ポート413を通して加熱/成形室402と連通している。
【0077】
一実施形態では、加熱/成形室402の容積は、入口エアロック401および出口エアロック403の容積よりも大幅に大きい。一実施形態では、ポート412および413が閉じて密閉されると、真空源404によって加熱形成チャンバ402の大きな容積に真空状態が作り出される。1以上の実施形態において、真空条件は不活性環境であり得る。最初に、入口エアロック401は、ポリマーシート材料410を導入するため、外部の周囲大気条件にある。次に、ポリマーシート410が入口エアロック401に導入され、ポート405と412が閉じた後、真空源404によって入口エアロック401内に真空状態が作られる。真空状態が入口エアロック401内に作られると、ポート412が開かれ、ポリマーシート410が入口エアロック401から加熱/成形室402に搬送され、それにより加熱/成形室402内の真空状態が維持される。成形ゾーン408において成形品436が形成される間、真空源404によって真空状態が維持される。成形品436は、開位置のポート413を介して真空条件下で出口エアロック403に搬送され、それにより加熱/成形室402内の真空条件が維持される。その後、ポート413が閉じられ、排出エアロック403内の状態が外部の周囲条件によって安定化され、ポート407が開かれて成形品436が出口エアロック403から放出される。
【0078】
加熱/成形室402は、加熱ゾーン406と成形ゾーン408とを含む。加熱ゾーン406は、ポート412を介して加熱/成形室402に供給されるポリマーシート材料410の温度を上昇させるように構成されている。加熱ゾーン406は、上部および下部加熱エレメント414および416、ならびに上部および下部加熱シールド418および420を含む。上部および下部加熱エレメント414および416は、ポリマーシート材料410を成形温度に加熱し、加熱ポリマーシート材料を形成する。
【0079】
加熱ポリマーシート材料は、真空条件下で加熱ゾーン406から成形ゾーン408に搬送され得る。加熱ゾーン406と成形ゾーン408の間で加熱ポリマーシート材料を移送する間、加熱/成形室402内の真空状態を維持することにより、加熱ポリマーシート材料によって失われる熱量を低減または排除することができる。成形プロセス中に真空を維持することにより、成形品の外観上の欠陥、および/または、閉じ込められたガスによる金型の劣化の可能性を低減および/または排除することができる。
【0080】
成形ゾーン408は、加熱/成形室402に固定されているプレスベッド421とプレスクラウン422を具え、したがってプレスベッド421とプレスクラウン422は加熱/成形室402に対して静止し、真空条件に適したシールを形成する。
【0081】
成形ゾーン408はまた、プレスベッド421とプレスクラウン422の間に位置する上部プラテン424と下部プラテン426とを具える。上下のダイ半部428、430はそれぞれ上下のプラテン424、426に固定されている。成形ゾーン408はまた、直立部材431を具える。上側ダイ半部428は、直立部材431上を上下に移動する。上側ダイ半部428は負の輪郭432を有し、下側ダイ半部430は正の輪郭434を有する。ポート413は、成形品436が成形ゾーン408から移送される際に、成形品436を出口エアロック403に放出するように構成されている。
【0082】
加熱エレメント、ポート、ポート筐体、および成形室の構成要素は、コントローラによって作動され得る。コントローラは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラベースのプラットフォーム、集積回路、1以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または1以上の特定用途向け集積回路(ASIC)などの任意の適切な処理装置または処理装置のセットであり得るプロセッサを含み得る。1以上の実施形態では、メモリはコントローラと通信する。メモリは、揮発性メモリ(例えば、不揮発性RAM、磁気RAM、強誘電体RAMなどを含むRAM)、不揮発性メモリ(例えば、ディスクメモリ、FLASHメモリ、EPROM、EEPROM、メモリスタベースの不揮発性ソリッドステートメモリなど)、変更不能メモリ(例えば、EPROM)、読み取り専用メモリ、および/または大容量記憶装置(例えば、ハードドライブ、ソリッドステートドライブなど)であり得る。いくつかの例では、メモリは複数の種類のメモリ、特に揮発性メモリと不揮発性メモリを含んでもよい。メモリは、本開示の方法を動作させるためのソフトウェアなどの1以上の命令セットが埋め込まれるコンピュータ可読媒体であり得る。命令は、本明細書で説明する方法またはロジックの1以上を具体化することができる。例えば、命令は、命令の実行中に、完全または少なくとも部分的に、メモリ、コンピュータ可読媒体、および/またはコントローラのいずれか1以上に存在してもよい。
【0083】
以上、例示的な実施形態を説明したが、これらの実施形態は本発明のすべての可能な形態を説明することを意図したものではない。むしろ、本明細書で使用される用語は、限定ではなく説明のための用語であり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更がなされ得ることが理解される。さらに、様々な実施形態の特徴を組み合わせて、本発明のさらなる実施形態を構成することができる。
【国際調査報告】