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特表2025-505879磁気共鳴イメージング下で治療を行う際に有用な医療システム、デバイス、及びキット、並びに関連方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング下で治療を行う際に有用な医療システム、デバイス、及びキット、並びに関連方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20250220BHJP
   A61B 17/34 20060101ALI20250220BHJP
【FI】
A61B5/055 390
A61B17/34 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024569192
(86)(22)【出願日】2023-02-07
(85)【翻訳文提出日】2024-10-04
(86)【国際出願番号】 US2023062097
(87)【国際公開番号】W WO2023150777
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】63/307,356
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524297276
【氏名又は名称】アンティラ, エリック, ディー.
【氏名又は名称原語表記】ANTTILA, Eric, D.
(71)【出願人】
【識別番号】524297287
【氏名又は名称】ベーカー, グラント, エム.
【氏名又は名称原語表記】BAKER, Grant, M.
(71)【出願人】
【識別番号】524297298
【氏名又は名称】ブランドナー, エリック
【氏名又は名称原語表記】BRANDNER, Eric
(71)【出願人】
【識別番号】524297302
【氏名又は名称】チェンバース, ショーン, ディー.
【氏名又は名称原語表記】CHAMBERS, Sean, D.
(71)【出願人】
【識別番号】524297324
【氏名又は名称】グロウス, デイヴィッド, シー.
【氏名又は名称原語表記】GROSS, David, C.
(71)【出願人】
【識別番号】524297335
【氏名又は名称】クリーガー, ジョシュア, エフ.
【氏名又は名称原語表記】KRIEGER, Joshua, F.
(71)【出願人】
【識別番号】524297416
【氏名又は名称】ポール, ラム, エイチ.
【氏名又は名称原語表記】PAUL, Ram, H.
(71)【出願人】
【識別番号】524297357
【氏名又は名称】ロビソン, アンドリュー, ジェイ.
【氏名又は名称原語表記】ROBISON, Andrew, J.
(71)【出願人】
【識別番号】524297368
【氏名又は名称】ロール, ジェシー
【氏名又は名称原語表記】ROLL, Jesse
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】アンティラ, エリック, ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ベーカー, グラント, エム.
(72)【発明者】
【氏名】ブランドナー, エリック
(72)【発明者】
【氏名】チェンバース, ショーン, ディー.
(72)【発明者】
【氏名】グロウス, デイヴィッド, シー.
(72)【発明者】
【氏名】クリーガー, ジョシュア, エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ポール, ラム, エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ロビソン, アンドリュー, ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ロール, ジェシー
【テーマコード(参考)】
4C096
4C160
【Fターム(参考)】
4C096AA18
4C096AB41
4C096AD19
4C096FC20
4C160FF45
4C160FF52
(57)【要約】
磁気共鳴イメージング下で治療を行う際に有用な例示的な医療システム、並びに関連デバイス、キット、及び方法が説明される。例示的な医療システムは、第1の医療デバイスと第2の医療デバイスとを備える。第1の医療デバイスは第1のパッシブマーカを有する。第1のパッシブマーカは、第1の磁化率を有する第1の材料で形成される。第2の医療デバイスは第2のパッシブマーカを有する。第2のパッシブマーカは、第2の磁化率を有する第2の材料で形成される。第2のパッシブマーカは、MRI下で画像アーチファクトを生じる。第2のパッシブマーカによって生じた画像アーチファクトは、MRI下で第1のパッシブマーカが第2のパッシブマーカに重なるときに変更される。
【選択図】図9



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のパッシブマーカを有する第1の医療デバイスであって、前記第1のパッシブマーカが、第1の磁化率を有する第1の材料で形成される、第1の医療デバイスと、
第2のパッシブマーカを有する第2の医療デバイスであって、前記第2のパッシブマーカが、第2の磁化率を有する第2の材料で形成され、前記第2のパッシブマーカが、MRI下で画像アーチファクトを生じる、第2の医療デバイスと
を備える、磁気共鳴イメージング下で治療を行う際に有用な医療システムにおいて、
前記第2のパッシブマーカによって生じた前記画像アーチファクトが、MRI下で前記第1のパッシブマーカが前記第2のパッシブマーカに重なるときに変更される、医療システム。
【請求項2】
前記第1の磁化率が、前記第2の磁化率と同じである、請求項1に記載の医療システム。
【請求項3】
前記第2のパッシブマーカによって生じた前記画像アーチファクトが、前記第1のパッシブマーカが前記第2のパッシブマーカに重なるときに増幅される、請求項2に記載の医療システム。
【請求項4】
前記第1の磁化率が、前記第2の磁化率とは異なる、請求項1に記載の医療システム。
【請求項5】
前記第2のパッシブマーカによって生じた前記画像アーチファクトが、前記第1のパッシブマーカが前記第2のパッシブマーカに重なるときに減衰される、請求項4に記載の医療システム。
【請求項6】
前記第1の材料が、前記第2の材料と同じである、請求項1に記載の医療システム。
【請求項7】
前記第1の材料が、前記第2の材料とは異なる、請求項1に記載の医療システム。
【請求項8】
前記第1の医療デバイスが長尺部材を備え、前記第1のパッシブマーカが、前記第1の医療デバイスの前記長尺部材上に配置され、
前記第2の医療デバイスが長尺部材を備え、前記第2のパッシブマーカが、前記第2の医療デバイスの前記長尺部材上に配置される、請求項1に記載の医療システム。
【請求項9】
前記第1の医療デバイスの前記長尺部材が、前記第1の材料とは異なる第3の材料で形成される、請求項8に記載の医療システム。
【請求項10】
前記第2の医療デバイスの前記長尺部材が、前記第2の材料とは異なる第4の材料で形成される、請求項9に記載の医療システム。
【請求項11】
前記第3の材料及び前記第4の材料がチタンである、請求項10に記載の医療システム。
【請求項12】
前記第1の医療デバイスと前記第2の医療デバイスとが同軸で使用され得る、請求項8に記載の医療システム。
【請求項13】
前記第1のパッシブマーカが第1の複数のパッシブマーカを含み、前記第1の複数のパッシブマーカにおける各マーカが、前記第1の材料で形成され、前記第1の複数のパッシブマーカにおける各マーカが、MRI下で画像アーチファクトを生じ、
前記第2のパッシブマーカが第2の複数のパッシブマーカを含み、前記第2の複数のパッシブマーカにおける各マーカが、前記第2の材料で形成され、前記第2の複数のパッシブマーカにおける各マーカが、MRI下で画像アーチファクトを生じ、
前記第2の複数のパッシブマーカにおける各マーカによって生じた前記画像アーチファクトが、前記第1の複数のパッシブマーカが前記第2の複数のパッシブマーカに重なるときに変更される、請求項1に記載の医療システム。
【請求項14】
前記第1のパッシブマーカが第1の複数のパッシブマーカを含み、前記第1の複数のパッシブマーカが、マーカの第1のサブセットと、マーカの第2のサブセットと、マーカの第3のサブセットとを含み、マーカの前記第1のサブセットにおける各マーカが前記第1の材料で形成され、マーカの前記第2のサブセットにおける各マーカが第3の磁化率を有する第3の材料で形成され、マーカの前記第3のサブセットにおける各マーカが第4の磁化率を有する第4の材料で形成され、前記第1の磁化率が、前記第3の磁化率及び前記第4の磁化率とは異なり、前記第3の磁化率が、前記第4の磁化率とは異なる、請求項1に記載の医療システム。
【請求項15】
前記第2のパッシブマーカが第2の複数のパッシブマーカを含み、前記第2の複数のパッシブマーカが、マーカの第1のサブセットと、マーカの第2のサブセットと、マーカの第3のサブセットとを含み、前記第2の複数のパッシブマーカのマーカの前記第1のサブセットにおける各マーカが前記第2の材料で形成され、前記第2の複数のパッシブマーカのマーカの前記第2のサブセットにおける各マーカが第5の磁化率を有する第5の材料で形成され、前記第2の複数のパッシブマーカのマーカの前記第3のサブセットにおける各マーカが第6の磁化率を有する第6の材料で形成され、前記第2の磁化率が、前記第5の磁化率及び前記第6の磁化率とは異なり、前記第5の磁化率が、前記第6の磁化率とは異なり、
前記第2の複数のマーカのマーカの前記第1のサブセットにおける各マーカが、MRI下で画像アーチファクトを生じ、前記第2の複数のマーカのマーカの前記第2のサブセットにおける各マーカが、MRI下で画像アーチファクトを生じ、前記第2の複数のマーカのマーカの前記第3のサブセットにおける各マーカが、MRI下で画像アーチファクトを生じる、請求項14に記載の医療システム。
【請求項16】
前記第2の複数のパッシブマーカのマーカの前記第1のサブセットにおける各マーカによって生じる前記画像アーチファクトが、前記第1の複数のパッシブマーカのマーカの前記第1のサブセットが前記第2の複数のパッシブマーカにおけるマーカの前記第1のサブセットに重なるときに変更され、
前記第2の複数のパッシブマーカのマーカの前記第2のサブセットにおける各マーカによって生じた前記画像アーチファクトが、前記第1の複数のパッシブマーカのマーカの前記第2のサブセットが前記第2の複数のパッシブマーカにおけるマーカの前記第2のサブセットに重なるときに変更され、
前記第2の複数のパッシブマーカのマーカの前記第3のサブセットにおける各マーカによって生じた前記画像アーチファクトが、前記第1の複数のパッシブマーカのマーカの前記第3のサブセットが前記第2の複数のパッシブマーカにおけるマーカの前記第3のサブセットに重なるときに変更される、請求項15に記載の医療システム。
【請求項17】
磁気共鳴スキャナ内に患者を配置することと、
前記磁気共鳴スキャナを使用して前記患者の第1の部分を走査することであって、前記磁気共鳴スキャナがMR画像パラメータの第1のセットを有する、ことと、
前記患者の前記第1の部分の磁気共鳴画像を取得することと、
前記磁気共鳴画像を用いて事前定義された特性を有する組織を識別することと、
前記事前定義された特性に基づいて、前記組織を治療する手順を選択することと、
前記手順の実行を遂行する、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイスを備える医療システムを選択することと、
前記患者の前記第1の部分を走査するために使用される前記磁気共鳴スキャナ内に前記患者を配置したままで、前記磁気共鳴スキャナを使用して前記医療システム及び第1の画像アーチファクトを含む前記患者の第2の部分を走査しながら、前記医療システムを身体の通路内に、及び前記組織まで挿入することと、
前記医療システム及び前記第1の画像アーチファクトを含む前記患者の前記第2の部分の磁気共鳴画像を取得することと、
前記MR画像内の前記第1の画像アーチファクトを識別することと、
前記身体の通路内で前記医療システムの位置を確認することと、
前記第2の医療デバイスに対して前記第1の医療デバイスの位置を操作して、前記第1の画像アーチファクトを変更して、変更された画像アーチファクトを生じることと、
前記磁気共鳴スキャナを使用して、前記医療システム及び前記変更された画像アーチファクトを含む前記患者の第3の部分を走査することと、
前記医療システム及び前記変更された画像アーチファクトを含む前記患者の前記第3の部分の磁気共鳴画像を取得することと、
前記変更された画像アーチファクトに基づいて、MR画像パラメータの前記第1のセットをMR画像パラメータの第2のセットに変更することと、
治療を行うことと
を含む、磁気共鳴イメージング下で治療を行う方法。
【請求項18】
前記第1の医療デバイスが第1のマーカを有し、前記第1のマーカが、第1の材料で形成されたパッシブマーカであり、前記第1の材料が第1の磁化率を有し、
前記第2の医療デバイスが第2のマーカを有し、前記第2のマーカが、第2の材料で形成されたパッシブマーカであり、前記第2の材料が第2の磁化率を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の磁化率が、前記第2の磁化率と同じである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
磁気共鳴スキャナ内に患者を配置することと、
前記磁気共鳴スキャナを使用して前記患者の第1の部分を走査することであって、前記磁気共鳴スキャナがMR画像パラメータの第1のセットを有する、ことと、
前記患者の前記第1の部分の磁気共鳴画像を取得することと、
前記磁気共鳴画像を用いて事前定義された特性を有する組織を識別することと、
前記事前定義された特性に基づいて、前記組織を治療する手順を選択することと、
前記手順の実行を遂行する第1の医療デバイスを選択することであって、前記第1の医療デバイスが第1のマーカを有する、ことと、
前記患者の前記第1の部分を走査するために使用される前記磁気共鳴スキャナ内に前記患者を配置したままで、前記第1のマーカによって生じた第1の画像アーチファクトを含む前記患者の第2の部分を走査しながら、前記第1の医療デバイスを身体の通路内に、及び前記組織まで挿入することであって、前記第1の画像アーチファクトが特性の第1のセットを有する、ことと、
前記第1の画像アーチファクトを含む前記患者の前記第2の部分の磁気共鳴画像を取得することと、
特性の前記第1のセットを用いて、前記MR画像内の前記第1の画像アーチファクトを識別することと、
前記識別された第1の画像アーチファクトに基づいて、MR画像パラメータの前記第1のセットをMR画像パラメータの第2のセットに変更することと、
治療を行うことと
を含む、磁気共鳴イメージング下で治療を行う方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、医療デバイスの分野に関する。より詳細には、本開示は、磁気共鳴イメージング(MRI)下で治療を行う際に有用な医療システム、MRI下で治療を行う際に有用な医療デバイス、MRI下で治療を行う際に有用なキット、及びMRI下で治療を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターベンショナルMRIの分野は、広く受け入れられてきており、行うことのできる手順の数に増加が見られている。MRI下で実施されるインターベンショナル手順には、X線ガイド下インターベンションと比較していくつかの利点がある。例えば、患者は、電離放射線に曝されることがない。また、MRIは、インターベンショナル手順の際に組織及び機能的血流の特性を明らかにする能力を提供する。
【0003】
MRI下で実施されるインターベンショナル手順の開発は、これらの手順を行うのに必要なツールが入手できないために限界があった。したがって、患者は、様々な症状の可視化、診断、及び治療のために、治療施設を何度も訪れる必要がある。加えて、複数のイメージングモダリティが必要とされることが多く、このことは、インターベンションを指示する際に磁気共鳴(MR)画像を利用する精度に影響する。例えば、MRスキャナによって発生させた磁場に配置された、高い磁化率を有するインターベンショナル医療デバイスは、印加された外部磁場と相互作用する、及び/又はこれを歪ませる傾向がある。その結果、これらのデバイスは、標的とする解剖学的構造における主要な形体を消し去り得る画像アーチファクトを大きくすることがあり、この相互作用によって誘導される力及びトルク起因して走査される患者に害を及ぼす可能性がある。或いは、MRスキャナによって発生させた磁場に配置された、低い磁化率を有するインターベンショナル医療デバイスは、MRI下でデバイスがほぼ視認できなくなり、インターベンショナル手順の際にデバイスの識別、追跡、及びナビゲーションをほぼ不可能になり得る。
【0004】
これらの問題を克服するために、従来のMRI対応デバイスは、パッシブサセプタビリティベースのマーカ、セミアクティブ共振回路、及びアクティブアンテナコイルを含む様々な可視化技法を採用してきた。当然のことながら、パッシブサセプタビリティベースのマーカは、電気回路設計及び組み込みを必要としたり、高周波動作を必要としたりしないため、設計及び製作の複雑さが最も少ない。しかしながら、従来のパッシブサセプタビリティベースのマーカは、通常、特定のデバイスのために調節され、デバイス又はコンポーネント上に特定の構成のままで固定され、MRI下で、手順の実行の際に変更不可能な画像アーチファクトを生じる。
【0005】
したがって、新しい、改善された、MRI下で治療を行う際に有用な医療システム、MRI下で治療を行う際に有用な医療デバイス、MRI下で治療を行う際に有用なキット、及びMRI下で治療を行う方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書では、様々な例示的な、MRI下で治療を行う際に有用な医療システム、MRI下で治療を行う際に有用な医療デバイス、MRI下で治療を行う際に有用なキット、及びMRI下で治療を行う方法が説明される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
MRI下で治療を行う際に有用な例示的な医療システムが、第1の医療デバイスと、第2の医療デバイスとを備える。第1の医療デバイスは第1のパッシブマーカを有する。第1のパッシブマーカは、第1の磁化率を有する第1の材料で形成される。第2の医療デバイスは第2のパッシブマーカを有する。第2のパッシブマーカは、第2の磁化率を有する第2の材料で形成される。第2のパッシブマーカは、MRI下で画像アーチファクトを生じる。第2のパッシブマーカによって生じた画像アーチファクトは、MRI下で第1のパッシブマーカが第2のパッシブマーカに重なるときに変更される。
【0008】
MRI下で治療を行う際に有用な例示的なキットが、第1の医療デバイスと第2の医療デバイスとを備える医療システムを備える。第1の医療デバイスは第1のパッシブマーカを有する。第1のパッシブマーカは、第1の磁化率を有する第1の材料で形成される。第2の医療デバイスは第2のパッシブマーカを有する。第2のパッシブマーカは、第2の磁化率を有する第2の材料で形成される。第2のパッシブマーカは、MRI下で画像アーチファクトを生じる。第2のパッシブマーカによって生じた画像アーチファクトは、MRI下で第1のパッシブマーカが第2のパッシブマーカに重なるときに変更される。
【0009】
MRI下で治療を行う例示的な方法が、磁気共鳴スキャナ内に患者を配置することと、磁気共鳴スキャナを使用して患者の第1の部分を走査することであって、磁気共鳴スキャナがMR画像パラメータの第1のセットを有する、ことと、患者の第1の部分の磁気共鳴画像を取得することと、磁気共鳴画像を用いて事前定義された特性を有する組織を識別することと、事前定義された特性に基づいて、組織を治療する手順を選択することと、手順の実行を遂行する、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイスを有する医療システムを選択することと、患者の第1の部分を走査するために使用される磁気共鳴スキャナ内に患者を配置したままで、磁気共鳴スキャナを使用して医療システム及び第2の医療デバイス上に配置されたマーカによって生じた画像アーチファクトを含む患者の第2の部分を走査しながら、医療システムを身体の通路内に、及び組織まで挿入することと、医療システム及びマーカによって生じた画像アーチファクトを含む患者の第2の部分の磁気共鳴画像を取得することと、MR画像内の画像アーチファクトを識別することと、身体の通路内の医療システムの位置を確認することと、第2の医療デバイスに対して第1の医療デバイスの位置を操作して、第1の医療デバイス上に配置された第2のマーカとマーカを重ねることによって、マーカによって生じた画像アーチファクトを変更することと、磁気共鳴スキャナを使用して、医療システム及び変更された画像アーチファクトを含む患者の第3の部分を走査することと、医療システム及び変更された画像アーチファクトを含む患者の第3の部分の磁気共鳴画像を取得することと、変更された画像アーチファクトに基づいて、MR画像パラメータの第1のセットをMR画像パラメータの第2のセットに変更することと、治療を行うこととを含む。
【0010】
これらの例示的な医療システム、デバイス、キット、及び方法は、以下の詳細な説明及び添付の図面を検討すれば、更に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の例示的な医療デバイスと第2の例示的な医療デバイスとを備える第1の例示的な医療システムの部分立面図である。
図2図1に示す医療システムに含まれる第1の例示的な医療デバイスの立面図である。
図3図1に示す医療システムに含まれる第2の例示的な医療デバイスの立面図である。
図4図2のエリアAの拡大図である。
図5図3のエリアBの拡大図である。
図6】第1の例示的な医療デバイスと第2の例示的な医療デバイスとを備える第2の例示的な医療システムの分解立面図である。
図7】第1の例示的な医療デバイスと第2の例示的な医療デバイスとを備える第3の例示的な医療システムの分解立面図である。
図8】MRI下で治療を行う際に有用な例示的な医療システムを備える例示的なキットを示す。
図9】第1の例示的な医療デバイスと第2の例示的な医療デバイスと第3の例示的な医療デバイスと第4の例示的な医療デバイスとを備える第4の例示的な医療システムの部分斜視図である。
図10図9に示す第4の例示的な医療システムの線10-10断面図である。
図11】MRI下で治療を行う例示的な方法の概略図である。
図12】身体の通路内に配置された医療システムの第1の医療デバイスを示すMR画像である。第1の医療デバイスは第1の複数のマーカを備える。各マーカはMRI下で画像アーチファクトを生じる。
図13】身体の通路内に配置された医療システムを示すMR画像である。医療システムは、第1の医療デバイスと第2の医療デバイスとを備える。第1の医療デバイスは第1の複数のマーカを備え、第2の医療デバイスは第2の複数のマーカを備える。第1の複数のマーカと第2の複数のマーカとが重なる構成により、MRI下で第1の複数のマーカによって生じた画像アーチファクトが変更(例えば、増幅、減衰、除去)される。
図14】身体の通路内に配置された医療システムを示すMR画像である。医療システムは、第1の医療デバイスと第2の医療デバイスとを備える。第1の医療デバイスは第1の複数のマーカを備え、第2の医療デバイスは第2の複数のマーカを備える。第1の複数のマーカと第2の複数のマーカとが重なる構成により、MRI下で第1の複数のマーカによって生じた画像アーチファクトが変更(例えば、増幅)される。
図15】身体の通路内に配置された医療システムを示すMR画像である。医療システムは、第1の医療デバイスと第2の医療デバイスとを備える。第1の医療デバイスは第1の複数のマーカを備え、第2の医療デバイスは第2の複数のマーカを備える。第1の複数のマーカのマーカと第2の複数のマーカのマーカとが重なる構成により、MRI下で第1の複数のマーカのマーカによって生じた画像アーチファクトが変更(例えば、増幅、減衰、除去)される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明及び添付の図面は、様々な例示的な、MRI下で治療を行う際に有用な医療システム、MRI下で治療を行う際に有用な医療デバイス、MRI下で治療を行う際に有用なキット、及びMRI下で治療を行う方法を説明及び図示する。これらの例の説明及び図示は、当業者が医療システム、デバイス、キットを作成及び使用し、またMRI下で治療を行う方法を実践することができるように提供されている。これらの説明及び図示は、本発明の範囲又は要求する保護をいかなる仕方でも限定することを意図されていない。本発明は、様々な仕方で実践又は実行可能であり、本明細書で説明及び図示される例は、本発明を実践又は実行する様々な仕方の単なる選択された例であり、網羅的なものとは見なされない。
【0013】
本明細書で使用される場合、「取り付けられた(attached)」という用語は、取り付けられた形態の部材を含む項目の意図された使用にしたがって行われる使用の際に、部材が互いに完全に分離しないように、ある部材が別の部材に固定されることを指す。
【0014】
本明細書で使用される場合、「周囲(circumference)」という用語は、本体、要素、又は形体の外部又は内部を囲む境界を指し、本体、要素、又は形体に対していかなる構造的構成をも付与するものではない。
【0015】
本明細書で使用される場合、「マーカ(marker)」という用語は、第1の材料がMRI下で視認可能であり、且つMRI下で第2の材料と区別可能であるように第2の材料上に離散的に被着した第1の材料、第1の材料が第1の材料と第2の材料との組み合わせがMRI下で視認可能であり、且つMRI下で第2の材料と区別可能であるように第2の材料に組み込まれているインターベンショナルデバイスの一部分、及び/又はインターベンショナルデバイスの一部分を形成する材料が、その部分がMRI下で視認可能であり、且つMRI下でインターベンショナルデバイスの残りの部分と区別可能であるように操作されているインターベンショナルデバイスの一部分を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、マーカに関連して「パッシブ(passive)」という用語は、パワーが供給されない、又はMRスキャナの電磁場によってのみパワーが供給されるマーカを指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「治療(treatment)」という用語は、患者の身体の一部分に対して、又はその一部分において行われる医療手順を指す。治療の例としては、身体血管内の部位への薬剤の送達、加熱又は冷却などによる身体血管内の局所的環境の改変、患者の身体内にある部位からの組織又は組織の一部分の除去(すなわち、生検)が挙げられる。
【0018】
本明細書で使用される場合、「磁化率(magnetic susceptibility)」という用語は、印加された磁場において材料がどれだけ磁化されるかに関係する材料の固有の特性を指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、「磁気(magnetic)」を含まない「サセプタビリティ(susceptibility)」という用語は、ある要素が外部磁場に影響を与える能力を指す。サセプタビリティは、要素のサイズ、密度、体積、幾何学的構成、及び他の物理的特性、並びに要素を形成する材料の磁化率を含む、要素の様々な特性に依存する。
【0020】
図1図2図3図4、及び図5は、MRI下で治療を行う際に有用な第1の例示的な医療システム8を示している。本例では、第1の例示的な医療システム8は、第1の医療デバイス10と第2の医療デバイス50とを備える。
【0021】
図示の実施形態では、第1の医療デバイス10はカニューレ12であり、第2の医療デバイス50は第1の医療デバイス10と同軸で使用され得るスタイレット52である。
【0022】
カニューレ12は、長さ方向軸13と、ハブ部材14と、長尺部材16とを有する。ハブ部材14は、近位端部18と、遠位端部20と、管腔24及び突起26を画定する本体22とを有する。ハブ部材14は、他のデバイス(例えば、第2の医療デバイス50)をカニューレ12に取り付けるための機構を提供する。管腔24は、1つ以上のデバイスをハブ部材14内に渡し、通すことができるように、近位端部18から遠位端部20まで延びる。長尺部材16は、近位端部30と、遠位端部32と、長さ31と、内径33と、外面34と、内面36と、管腔40及び刃先44を有するテーパを付けられた遠位先端42を画定する本体38とを有する。管腔40は、1つ以上のデバイスをカニューレ12の長尺部材16内に渡し、通すことができるように、近位端部30から遠位端部32まで延びる。図示の実施形態では、カニューレ12の長尺部材16は、第1の磁化率を有する第1の材料で形成される。
【0023】
カニューレ12の長尺部材16は、カニューレ12の長尺部材16の近位端部30と遠位端部32との間、且つ長尺部材16の本体38の全周囲の周りに配置された第1のマーカ46を備える。第1のマーカ46は、パッシブマーカであり、第1の材料とは異なる第2の材料(例えば、純チタン)で形成される。第2の材料は、第1の磁化率とは異なる第2の磁化率を有し、特性(例えば、サイズ、形状、位置、向き、磁化率、強度)の第1のセットを有する画像アーチファクトをMRI下で生じる。
【0024】
スタイレット52は、ハブ部材54と長尺部材56とを有する。ハブ部材54は、近位端部58と、遠位端部60と、凹部64を画定する本体62とを有する。ハブ部材54は、他のデバイス(例えば、第1の医療デバイス10)をスタイレット52に取り付けるための機構を提供する。凹部64は、近位端部58と遠位端部60との間の場所から、近位端部58に向けて本体62内に延びる。凹部64は、カニューレ12とスタイレット52との間の解除可能な取り付けが遂行され得るように、カニューレ12のハブ部材14によって画定される突起26を受け入れるようにサイズを定められる。長尺部材56は、近位端部66と、遠位端部68と、長さ67と、外径69と、外面70と、刃先76を有するテーパを付けられた遠位先端74を有する中実部材を画定する本体72とを有する。スタイレット52の長尺部材56の長さ67は、カニューレ12の長尺部材16の長さ31よりも大きい。スタイレット52の長尺部材56の外形69は、カニューレ12の長尺部材16の内径33よりも小さい。この構造的構成により、図1に示すように、スタイレット52の長尺部材56を、カニューレ12のハブ部材14の管腔24及び長尺部材16の管腔40内に渡し、通すことができる。スタイレット52の長尺部材56は、第3の磁化率を有する第3の材料で形成される。図示の実施形態では、カニューレ12の長尺部材16を形成する第1の材料と、スタイレット52の長尺部材56を形成する第3の材料とは同じである。
【0025】
図示の実施形態では、スタイレット52の長尺部材56は、スタイレット52の長尺部材56の近位端部66と遠位端部68との間、且つ本体62の全周囲の周りに配置された第2のマーカ78を備える。第2のマーカ78は、パッシブマーカであり、第1の材料及び第3の材料とは異なり、第1の磁化率及び第3の磁化率とは異なる(例えば、それよりも大きいか小さいか反対の)第4の磁化率を有する第4の材料(例えば、多結晶黒鉛)で形成される。第2のマーカ78は、特性の第1のセットとは異なる特性(例えば、サイズ、形状、位置、向き、磁化率、強度)の第2のセットを有する画像アーチファクトをMRI下で生じる。第2のマーカ78は、第1の医療デバイス10及び第2の医療デバイス50が組み合わせて使用されるときに、第1のマーカ46が第2のマーカ78に重なり得るように、長尺部材56上に配置される。例えば、図1に示すように、第2の医療デバイス50が第1の医療デバイス10内に配置され、第1のマーカ46と第2のマーカ78とがカニューレ12の長尺部材16の長さ方向軸13に沿って(例えば、軸方向に)同じ位置に配置されるとき、第1のマーカ46と第2のマーカ78とは重なる。
【0026】
図示の実施形態では、マーカ46、78のそれぞれが、それぞれの長尺部材16、56に取り付けられた材料のバンドである。第1の材料及び第3の材料のそれぞれが、磁気の影響を受けにくい材料、又は医療デバイスに含まれるマーカを形成する材料の磁化率に対して低い磁化率を有する材料(例えば、非常磁性材料、非強磁性材料、非反磁性材料)であり、医療デバイスに含まれるマーカを形成するために使用される材料は、磁気の影響を受けやすい材料、又は医療デバイス(例えば、長尺部材)の別の部分を形成する材料の磁化率に対して高い磁化率を有する材料(例えば、常磁性材料、強磁性材料、反磁性材料)である、又は医療デバイス(例えば、長尺部材)の別の部分及び/又はマーカを形成する材料の磁化率に対して低い磁化率を有する材料(例えば、非常磁性材料、非強磁性材料、非反磁性材料)である。
【0027】
第1の医療デバイス10の長尺部材16を形成する第1の材料、第2の医療デバイス50の長尺部材56を形成する第2の材料、及び医療デバイスに含まれるマーカを形成する材料は、本明細書で説明される磁化率を有する任意の適切な材料を含み得る。例えば、第1の材料、第2の材料、第3の材料、及び第4の材料は、本明細書で説明される磁化率を有する任意の適切なMRI対応材料を含み得る。図示の実施形態では、第1の材料及び第3の材料のそれぞれがチタンを含み、第1のマーカ46は、第1のマーカ46が第2のマーカ78に(例えば、軸方向に)重なるときに第2のマーカ78によってMRI下で生じる画像アーチファクトを変更する第2の磁化率を有する第2の材料で形成される。或いは、第2のマーカが、使用の際に第1のマーカが第2のマーカに(例えば、軸方向に)重なるときに、第1のマーカによってMRI下で生じた画像アーチファクトを変更する第4の磁化率を有する第4の材料で形成され得る。これらの代替形態は、第1のマーカと第2のマーカとを、同じ材料若しくは異なる材料又は異なる磁化率を有する材料で形成することによって遂行され得る。同じ材料で形成される場合、第2の磁化率又は第2のサセプタビリティは、材料がどのように医療デバイスに適用されるかなどの様々な考慮事項に応じて、第4の磁化率又は第4のサセプタビリティと同じであっても異なってもよい。異なる材料で形成される場合、第2の磁化率又は第2のサセプタビリティは、材料がどのように医療デバイスに適用されるかなどの様々な考慮事項に応じて、第4の磁化率又は第4のサセプタビリティと同じであっても異なってもよい。
【0028】
例えば、パッシブサセプタビリティベースのマーカの重ね合わせの原理(すなわち、マーカの重なりに起因して磁場の歪みが加算又は減算される特性)を用いて、それぞれが自身のマーカ46、78を有する第1の医療デバイス10及び第2の医療デバイス50は、医療デバイス10、50が組み合わせて使用されるとき、MRI下で生じる1つ以上の画像アーチファクトを変更するように使用され得る。例えば、第1のマーカ46が第2のマーカ78に(例えば、軸方向に)重なるように第1の医療デバイス10及び第2の医療デバイス50が使用されるとき、第2のマーカ78によってMRI下で生じる画像アーチファクトは、第1のマーカ46によって減衰され得る、又は完全に若しくは部分的に除去され得る、或いはその逆も可能である。本実施形態では、第1のマーカ46は、第2のマーカ78に等しいが、それとは反対向きの磁化率(例えば、反対符号、反対の磁化率)を有する。しかしながら、代替的な実施形態は、第2のマーカに等しくなく、それとは反対向きの磁化率を有する第1のマーカを含むことができる。或いは、第1のマーカ46が第2のマーカ78に重なるように第1の医療デバイス10及び第2の医療デバイス50が使用されるとき、第2のマーカ78によってMRI下で生じる画像アーチファクトは、第1のマーカ46によって増幅され得る、又はその逆も可能である。本実施形態では、第1のマーカ46は、第2のマーカ78と同じ磁化率(例えば、同じ符号、等しい磁化率、等しくない磁化率)、若しくは同じサセプタビリティ、又はそれよりも大きい磁化率を有する。第1のマーカと第2のマーカとが重なるとき、特性の第1のセット及び第2のセットとは異なる特性(例えば、サイズ、形状、位置、向き、磁化率、強度)の第3のセットを有する変更された画像アーチファクトがMRI下で生じる。
【0029】
このようにして医療システム8並びに第1の医療デバイス10及び第2の医療デバイス50を使用することは、少なくとも、本明細書で説明されるMRIガイド下手順、又は複数のMRIガイド下手順にわたる実行の際に、MRI下で生じた画像アーチファクトをリアルタイムで動的に変更することができるため、有利であると考えられる。例えば、第1の医療デバイス10と第2の医療デバイス50との相対的な位置をリアルタイムで変えることにより、MRI下で動的な範囲の画像アーチファクトを生じることができる。例えば、第1の医療デバイス上の第1のマーカと第2の医療デバイス上の第2のマーカとは、MRI下で様々な区別できる画像アーチファクトを生じることができるように、互いに対する場所に応じて、独立して(例えば、重ならないとき)又は集合的に(例えば、重なるとき)外部磁場に対して作用し得る。或いは、第1の医療デバイスと第2の医療デバイスとは、MRIガイド下手順の実行、又は複数のMRIガイド下手順にわたる実行の際に、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイスの一方の上のマーカによってMRI下で生じた画像アーチファクトが、(例えば、別のマーカによって、他の医療デバイスによって)静的に変更されるように、互いに取り付けられたり、互いに対して配置されたりし得る。
【0030】
材料の常磁性、強磁性、及び反磁性の特性を活用することにより、臨床医は、関心領域付近の画像アーチファクトのすべて又は大部分を増幅、減衰、又は実質的に除去することができる。例えば、前立腺生検を取得する場合、チタンで形成されたものなどのカニューレ(例えば、ニードルカニューレ)の先端又はその付近では、画像アーチファクトが無いかそれに近いことが望まれる場合がある。したがって、第1の医療デバイスがチタンで形成され得、第2の医療デバイス、又は第2の医療デバイスの部分(例えば、遠位端部部分、マーカ)が、使用の際に第1の医療デバイスによって生じる画像アーチファクトを除去する、又は減衰させる材料(例えば、多結晶黒鉛)で形成され得る。純チタンは約160ppmの磁化率を有し、多結晶黒鉛は約200ppmの磁化率を有する。これらの材料を同心状に使用することにより、あらゆるサセプタビリティの影響が概ね相殺され、その結果、MRI下で画像アーチファクトは無くなるかそれに近くなる。
【0031】
第1の医療デバイス10を、第1の医療デバイス10上の特定の場所に配置された1つのマーカ46を含むものとして示し、第2の医療デバイス50を、第2の医療デバイス50上の特定の場所に配置された1つのマーカ78を含むものとして示してきたが、一実施形態によれば、任意の適切な数のマーカを、医療デバイス上の任意の適切な場所に配置することができる。一実施形態による医療デバイスに含めるための適切な数のマーカの例としては、1つのマーカ、2つのマーカ、3つ以上のマーカ、3つのマーカ、複数のマーカ、4つのマーカ、5つのマーカ、6つのマーカ、7つのマーカ、8つのマーカ、9つのマーカ、10のマーカ、及び11以上のマーカが挙げられる。更に、2つ以上のマーカを含む医療デバイスでは、マーカは、任意の所望の距離だけ互いに間隔を空けて配置され得る(例えば、等間隔で配置されるか、隣接するマーカ間の距離を変えて配置される)。但し、マーカは視覚的アーチファクトを生じ、医療デバイスにおけるその有用性は、MR手順においてこの視覚的アーチファクトが生じることに基づくものであるため、単一の医療デバイス上で、医療デバイスの生じる視覚的アーチファクトが重なったり重なりそうになったりしない距離だけ互いに間隔を空けてマーカを配置することが望ましいことに留意されたい。しかしながら、代替的な実施形態は、第1の医療デバイスの長尺部材の一部分又は全部を形成する材料が、本明細書で説明されるように、第1の医療デバイスを通して配置された第2の医療デバイスの画像アーチファクトを変更するマーカとして利用され得る、第1の医療デバイスを含むことができる。或いは、代替的な実施形態は、第2の医療デバイスの長尺部材の一部分又は全部を形成する材料が、本明細書で説明されるように、それを通して第2の医療デバイスが配置され得る第1の医療デバイスの画像アーチファクトを変更するマーカとして利用され得る、第2の医療デバイスを含むことができる。
【0032】
カニューレ12の長尺部材16を、刃先44を有するテーパを付けられた遠位先端42を含むものとして示し、スタイレット52の長尺部材56を、刃先76を有するテーパを付けられた遠位先端74を含むものとして示してきたが、医療デバイスに含まれる長尺部材は、尖っていない、又はテーパを付けられていない遠位先端を有するものなど、任意の適切な構造的構成を含むことができる。更に、代替的な実施形態では、ハブ部材は、別のデバイスへの取り付けを遂行する任意の適切な構造を含むことができ、ハブ部材は、医療デバイスから省略することができ、並びに/又はスタイレットは、スタイレットの全長若しくは又はスタイレットの長さの一部分にわたって延びる管腔を画定するように中空とすることができる。
【0033】
図6は、MRI下で治療を行う(例えば、MRI下で画像アーチファクトを変化させる、MRI下で画像アーチファクトの特性を変化させる)際に有用な第2の例示的な医療システム108を示している。本例では、第2の例示的な医療システム108は、第1の医療デバイス110と第2の医療デバイス150とを備える。図示の実施形態では、第1の医療デバイス110はカニューレ112であり、第2の医療デバイス150は第1の医療デバイス110と同軸で使用され得るスタイレット152である。カニューレ112は、以下に詳述する以外は、図1図2、及び図4に図示し、上述したカニューレ12と同様のものである。スタイレット152は、以下に詳述する以外は、図1図3、及び図5に図示し、上述したスタイレット52と同様のものである。
【0034】
図示の実施形態では、カニューレ112は、長さ方向軸113と、ハブ部材114と、長尺部材116とを有する。長尺部材116は、近位端部130と、遠位端部132と、外面134と、内面136と、管腔140を画定する本体138とを有する。管腔140は、1つ以上のデバイスをカニューレ112の長尺部材116内に渡し、通すことができるように、近位端部130から遠位端部132まで延びる。カニューレ112の長尺部材116は、第1の磁化率を有する第1の材料で形成される。
【0035】
図示の実施形態では、カニューレ112の長尺部材116は、長尺部材116の近位端部130と遠位端部132との間に配置された第1の複数のマーカ146を備える。第1の複数のマーカ146の各マーカは、カニューレ112の長尺部材116の本体138の周囲の一部分の周りにのみ配置される。第1の複数のマーカ146における各マーカは、長尺部材116に沿って、第1の複数のマーカ146における隣接するマーカから等しい間隔を空けて配置される。第1の複数のマーカ146における各マーカは、パッシブマーカであり、第1の材料とは異なる第2の材料で形成される。第2の材料は、第1の磁化率とは異なる(例えば、それよりも大きい)第2の磁化率を有する。第1の複数のマーカ146における各マーカは、特性(例えば、サイズ、形状、位置、向き、磁化率、強度)の第1のセットを有する画像アーチファクトをMRI下で生じる。
【0036】
図示の実施形態では、スタイレット152は、ハブ部材154と長尺部材156とを有する。長尺部材156は、近位端部166と、遠位端部168と、外面170と、中実部材を画定する本体172とを有する。スタイレット152の長尺部材156を、カニューレ112の長尺部材116の管腔140に渡し、通すことができる。スタイレット152の長尺部材156は、第3の磁化率を有する第3の材料で形成される。図示の実施形態では、カニューレ112の長尺部材116を形成する第1の材料と、スタイレット152の長尺部材156を形成する第3の材料とは異なる(例えば、異なる磁化率を有する)。
【0037】
図示の実施形態では、スタイレット152の長尺部材156は、近位端部166と遠位端部168との間に配置された第2の複数のマーカ178を備える。第2の複数のマーカ178の各マーカは、スタイレット152の長尺部材156の本体172の周囲の一部分の周りにのみ配置される。第2の複数のマーカ178における各マーカは、長尺部材156に沿って、第2の複数のマーカ178における隣接するマーカから等しい間隔を空けて配置される。第2の複数のマーカ178における各マーカは、パッシブマーカであり、第1の材料及び第3の材料とは異なり、第1の磁化率及び第3の磁化率とは異なる(例えば、それよりも大きい)第4の磁化率を有する第4の材料で形成される。第2の複数のマーカ178における各マーカは、特性の第1のセットとは異なる特性(例えば、サイズ、形状、位置、向き、磁化率、強度)の第2のセットを有する画像アーチファクトをMRI下で生じる。第2の複数のマーカ178における各マーカは、第2の医療デバイス150が第1の医療デバイス110内に配置されたときに、第1の複数のマーカ146における各マーカが第2の複数のマーカ178におけるマーカに(例えば、軸方向に)重なり得る(例えば、第1の複数のマーカ146における各マーカが、カニューレ112の長尺部材116の長さ方向軸113に沿って、第2の複数のマーカ146におけるマーカと同じ場所に配置される)ように、長尺部材156上に配置される。
【0038】
図示の実施形態では、第1の複数のマーカ146における各マーカ、及び第2の複数のマーカ178における各マーカは、それぞれの長尺部材116、156に取り付けられた材料の被着物であり、点として形成される。第1の医療デバイス110の長尺部材116を形成する第1の材料、第2の医療デバイス150の長尺部材156を形成する第2の材料、及び医療デバイスに含まれるマーカを形成する材料は、本明細書で説明される磁化率を有する任意の適切な材料を含み得る。例えば、第1の材料、第2の材料、第3の材料、及び第4の材料は、本明細書で説明される磁化率を有する任意の適切なMRI対応材料を含み得る。図示の実施形態では、第1の材料はチタンを含み、第2の材料はポリマーを含み、第1の複数のマーカ146における各マーカは、第1の複数のマーカ146のマーカが第2の複数のマーカ178のマーカに重なるときに、第2の複数のマーカ178における各マーカによってMRI下で生じた画像アーチファクトを変更する第2の磁化率を有する第2の材料で形成される。第1の複数のマーカ146と第2の複数のマーカとが重なるとき、特性の第1のセット及び第2のセットとは異なる特性(例えば、サイズ、形状、位置、向き、磁化率、強度)の第3のセットを有する複数の変更された画像アーチファクトがMRI下で生じる。或いは、第2の複数のマーカにおける各マーカが、使用の際に第1の複数のマーカのマーカが第2の複数のマーカのマーカと重なるときに、第1の複数のマーカにおける各マーカによってMRI下で生じた画像アーチファクトを変更する第4の磁化率を有する第4の材料で形成され得る。図示の実施形態では、このことは、第2の材料が第4の磁化率とは異なる第2の磁化率を有する(例えば、磁化率が異なる符号を有する)ように、第2の複数のマーカ178における各マーカを形成する材料とは異なる材料で第1の複数のマーカ146における各マーカを形成することによって実現される。本実施形態では、第1の医療デバイス110及び第2の医療デバイス150が、第1の複数のマーカ146が第2の複数のマーカ178に重なるように使用されるとき、第2の複数のマーカ178におけるマーカによってMRI下で生じた画像アーチファクトが、第1の複数のマーカ146におけるマーカによって減衰される、又はその逆である。代替的な実施形態は、第2の材料及び/又は第4の材料の磁化率又はサセプタビリティが、増幅され(例えば、磁化率が同じ符号を有する)、減衰され、又は除去され、MRI下で結果として得られる画像アーチファクトが増幅され、減衰され、又は除去されるように、第2の複数のマーカを形成する第4の材料の第4の磁化率又は第4のサセプタビリティと同じ又は異なる第2の磁化率又は第2のサセプタビリティを有する第2の材料で形成された第1の複数のマーカを含み得る。
【0039】
医療システム108並びに第1の医療デバイス110及び第2の医療デバイス150を使用することは、少なくとも、本明細書で説明されるMRIガイド下手順の実行、又は複数のMRIガイド下手順にわたる実行の際に、第1の複数のマーカ146及び/又は第2の複数のマーカ178によって生じた画像アーチファクトをリアルタイムで動的に変更することができるため、有利であると考えられる。例えば、第1の医療デバイス110と第2の医療デバイス150との相対的な位置をリアルタイムで変えることにより、MRI下で動的な範囲の画像アーチファクトを生じることができる。
【0040】
図7は、MRI下で治療を行う(例えば、MRI下で画像アーチファクトを変化させる)際に有用な第3の例示的な医療システム208を示している。本例では、第2の例示的な医療システム208は、第1の医療デバイス210と第2の医療デバイス250とを備える。図示の実施形態では、第1の医療デバイス210はカニューレ212であり、第2の医療デバイス250は第1の医療デバイス210と同軸で使用され得るスタイレット252である。カニューレ212は、以下に詳述する以外は、図6に図示し、上述したカニューレ112と同様のものである。スタイレット252は、以下に詳述する以外は、図6に図示し、上述したスタイレット152と同様のものである。
【0041】
図示の実施形態では、カニューレ212は、長さ方向軸213と、ハブ部材214と、長尺部材216とを有する。カニューレ212の長尺部材216は、第1の磁化率を有する第1の材料で形成される。図示の実施形態では、カニューレ212の長尺部材216は、長尺部材216の近位端部230と遠位端部232との間に配置された第1の複数のマーカ246を備える。第1の複数のマーカ246における各マーカは、パッシブマーカである。第1の複数のマーカ246は、長尺部材216に沿って、互いに距離を変えて間隔を空けて配置される。第1の複数のマーカ246は、マーカの第1のサブセット280と、マーカの第2のサブセット282と、マーカの第3のサブセット284とを含む。マーカの第1のサブセット280における各マーカは、第1の医療デバイス210の長尺部材216の近位端部230と遠位端部232との間、且つ長尺部材216の本体238の全周囲の周りに配置され、第1の材料とは異なる第2の材料で形成される。第2の材料は、第1の磁化率とは異なる(例えば、それよりも大きい)第2の磁化率を有する。マーカの第1のサブセット280における各マーカは、特性(例えば、サイズ、形状、位置、向き、磁化率、強度)の第1のセットを有する画像アーチファクトをMRI下で生じる。マーカの第2のサブセット282における各マーカは、マーカの第1のサブセット280とマーカの第3のサブセット284との間に配置され、本体238の周囲の一部分の周りにのみ配置され、第1の材料及び第2の材料とは異なる第3の材料で形成される。第3の材料は、第1の磁化率とは異なり(例えば、それよりも大きい)、且つ第2の磁化率とは異なる(例えば、それよりも大きいか小さい)第3の磁化率を有する。マーカの第2のサブセット282における各マーカは、特性の第1のセットとは異なる特性(例えば、サイズ、形状、位置、向き、磁化率、強度)の第2のセットを有する画像アーチファクトをMRI下で生じる。マーカの第3のサブセット284における各マーカは、マーカの第2のサブセット282と長尺部材216の遠位端部232との間に配置され、本体238の周囲の一部分の周りにのみ配置され、第1の材料、第2の材料、及び第3の材料とは異なる第4の材料で形成される。第4の材料は、第1の磁化率とは異なり(例えば、それよりも大きい)、且つ第2の磁化率とは異なり(例えば、それよりも大きいか小さい)、且つ第3の磁化率とは異なる(例えば、それよりも大きいか小さい)第4の磁化率を有する。マーカの第3のサブセット284における各マーカは、特性の第1のセット及び特性の第2のセットとは異なる特性(例えば、サイズ、形状、位置、向き、磁化率、強度)の第3のセットを有する画像アーチファクトをMRI下で生じる。マーカの第1のサブセット280は3つのマーカを含み、マーカの第2のサブセット282は1つのマーカを含み、マーカの第3のサブセット284は1つのマーカを含む。しかしながら、代替的な実施形態は、任意の適切な数及びタイプのマーカを複数のマーカのサブセットに含むことができ、マーカの各サブセットは、本明細書で説明される磁化率を有する任意の適切な材料で形成され得る。
【0042】
図示の実施形態では、マーカの第1のサブセット280における各マーカは、長尺部材216に取り付けられた材料のバンドであり、マーカの第2のサブセット282における各マーカは、長尺部材216に取り付けられた材料の被着物であり、点として形成され、マーカの第3のサブセット284における各マーカは、長尺部材216に取り付けられた材料の被着物であり、矩形として形成される。第1の複数のマーカ246におけるマーカを、長尺部材216上の特定の場所に配置され、特定の構造的構成を有するものとして示してきたが、医療デバイスに含まれるマーカは、任意の適切な場所に配置され、任意の適切な構造的構成を有することができる。
【0043】
図示の実施形態では、スタイレット252は、ハブ部材254と長尺部材256とを有する。スタイレット252の長尺部材256は、第5の磁化率を有する第5の材料で形成される。図示の実施形態では、カニューレ212の長尺部材216を形成する第1の材料と、スタイレット252の長尺部材256を形成する第5の材料とは異なる。
【0044】
図示の実施形態では、スタイレット252の長尺部材256は、長尺部材256の近位端部266と遠位端部268との間に配置された第2の複数のマーカ278を備える。第2の複数のマーカ278における各マーカは、パッシブマーカである。第2の複数のマーカ278は、長尺部材256に沿って、互いに距離を変えて間隔を空けて配置される。第2の複数のマーカ278は、マーカの第1のサブセット286と、マーカの第2のサブセット288と、マーカの第3のサブセット290とを含む。マーカの第1のサブセット286における各マーカは、第2の医療デバイス250の長尺部材256の近位端部266と遠位端部268との間、且つ長尺部材256の本体272の全周囲の周りに配置され、第5の材料とは異なる第6の材料で形成される。第6の材料は、第5の磁化率とは異なる(例えば、それよりも大きい)第6の磁化率を有する。マーカの第1のサブセット286における各マーカは、特性(例えば、サイズ、形状、位置、向き、磁化率、強度)の第1のセットを有する画像アーチファクトをMRI下で生じる。マーカの第2のサブセット288における各マーカは、マーカの第1のサブセット286とマーカの第3のサブセット290との間に配置され、本体272の周囲の一部分の周りにのみ配置され、第5の材料及び第6の材料とは異なる第7の材料で形成される。第7の材料は、第5の磁化率とは異なり(例えば、それよりも大きい)、且つ第6の磁化率とは異なる(例えば、それよりも大きいか小さい)第7の磁化率を有する。マーカの第2のサブセット288における各マーカは、特性の第1のセットとは異なる特性(例えば、サイズ、形状、位置、向き、磁化率、強度)の第2のセットを有する画像アーチファクトをMRI下で生じる。マーカの第3のサブセット290における各マーカは、マーカの第2のサブセット288と第2の医療デバイス250の長尺部材256の遠位端部268との間に配置され、本体272の周囲の一部分の周りにのみ配置され、第5の材料、第6の材料、及び第7の材料とは異なる第8の材料で形成される。第8の材料は、第5の磁化率とは異なり(例えば、それよりも大きい)、且つ第6の磁化率とは異なり(例えば、それよりも大きいか小さい)、且つ第7の磁化率とは異なる(例えば、それよりも大きいか小さい)第8の磁化率を有する。マーカの第3のサブセット290における各マーカは、特性の第1のセット及び特性の第2のセットとは異なる特性(例えば、サイズ、形状、位置、向き、磁化率、強度)の第3のセットを有する画像アーチファクトをMRI下で生じる。マーカの第1のサブセット286は3つのマーカを含み、マーカの第2のサブセット288は1つのマーカを含み、マーカの第3のサブセット290は1つのマーカを含む。しかしながら、代替的な実施形態は、任意の適切な数及びタイプのマーカを複数のマーカのサブセットに含むことができ、マーカの各サブセットは、本明細書で説明される磁化率を有する任意の適切な材料で形成され得る。
【0045】
図示の実施形態では、マーカの第1のサブセット286における各マーカは、長尺部材256に取り付けられた材料のバンドであり、マーカの第2のサブセット288における各マーカは、長尺部材256に取り付けられた材料の被着物であり、点として形成され、マーカの第3のサブセット290における各マーカは、長尺部材256に取り付けられた材料の被着物であり、矩形として形成される。第2の複数のマーカ278におけるマーカを、長尺部材256上の特定の場所に配置され、特定の構造的構成を有するものとして示してきたが、医療デバイスに含まれるマーカは、任意の適切な場所に配置され、任意の適切な構造的構成を有することができる。
【0046】
第2の複数のマーカ278における各マーカは、第2の医療デバイス250が第1の医療デバイス210内に配置されたときに、第1の複数のマーカ246が第2の複数のマーカ279に(例えば、軸方向に)重なり、複数のマーカ246、278が、カニューレ212の長尺部材216の長さ方向軸213に沿って整列されるように、長尺部材256上に配置される。例えば、第2の複数のマーカ278における各マーカは、第2の医療デバイス250が第1の医療デバイス210内に配置されたときに、第1の複数のマーカ246におけるマーカが第2の複数のマーカ278に重なり得るように、また第1の複数のマーカ246におけるマーカ及び第2の複数のマーカ278におけるマーカが、カニューレ212の長尺部材216の長さ方向軸213に沿って同じ場所に配置されるように、長尺部材256上に配置される。
【0047】
第1の医療デバイス210の長尺部材216を形成する第1の材料、第2の医療デバイス250の長尺部材256を形成する第2の材料、及び医療デバイスに含まれるマーカを形成する材料は、任意の適切な材料を含み得る。例えば、第1の材料、第2の材料、第3の材料、第4の材料、第5の材料、第6の材料、第7の材料、及び第8の材料は、本明細書で説明される磁化率を有する任意の適切なMRI対応材料を含み得る。図示の実施形態では、第1の材料はチタンを含み、第2の材料はポリマーを含み、第1の複数のマーカ246における各マーカは、使用の際に第1の複数のマーカ246のマーカが第2の複数のマーカ278のマーカに(例えば、軸方向に)重なるときに、MRI下で第2の複数のマーカ278における各マーカの画像アーチファクトを変更する磁化率を有する材料で形成される。或いは、第2の複数のマーカにおける各マーカが、使用の際に第1の複数のマーカのマーカが第2の複数のマーカのマーカに(例えば、軸方向に)重なるときに、第1の複数のマーカにおける各マーカによってMRI下で生じた画像アーチファクトを変更する磁化率を有する材料で形成され得る。
【0048】
マーカの第1のサブセット280における各マーカは、第2の材料が第6の磁化率とは異なる(例えば、それよりも大きいか小さい)第2の磁化率を有する(例えば、磁化率が異なる符号を有する)ように、マーカの第1のサブセット286における各マーカを形成する材料とは異なる材料で形成される。マーカの第2のサブセット282における各マーカは、第3の材料が第7の磁化率とは異なる(例えば、それよりも大きいか小さい)第3の磁化率を有する(例えば、磁化率が異なる符号を有する)ように、マーカの第2のサブセット288における各マーカを形成する材料とは異なる材料で形成される。マーカの第3のサブセット284における各マーカは、第4の材料が第8の磁化率とは異なる(例えば、それよりも大きいか小さい)第4の磁化率を有する(例えば、磁化率が異なる符号を有する)ように、マーカの第3のサブセット290における各マーカを形成する材料とは異なる材料で形成される。
【0049】
図示の実施形態では、第1の複数のマーカ246が第2の複数のマーカ278に(例えば、軸方向に)重なるように、第1の医療デバイス210及び第2の医療デバイス250が使用されるとき、MRI下でマーカの第1のサブセット286におけるマーカによって生じた画像アーチファクトは、マーカの第1のサブセット280におけるマーカによって増幅される、又はその逆であり、MRI下でマーカの第2のサブセット288におけるマーカによって生じた画像アーチファクトは、マーカの第2のサブセット282におけるマーカによって増幅される、又はその逆であり、MRI下でマーカの第3のサブセット290におけるマーカによって生じた画像アーチファクトは、マーカの第3のサブセット284におけるマーカによって増幅される、又はその逆である。マーカの第1のサブセット280におけるマーカとマーカの第1のサブセット286に含まれるマーカとが重なるとき、マーカの第1のサブセット280及びマーカの第1のサブセット286に含まれるマーカの特性とは異なる特性(例えば、サイズ、形状、位置、向き、磁化率、強度)の第4のセットを有する変更された画像アーチファクトがMRI下で生じる。マーカの第2のサブセット282におけるマーカとマーカの第2のサブセット288に含まれるマーカとが重なるとき、マーカの第2のサブセット282及びマーカの第2のサブセット288に含まれるマーカの特性とは異なる特性(例えば、サイズ、形状、位置、向き、磁化率、強度)の第5のセットを有する変更された画像アーチファクトがMRI下で生じる。マーカの第3のサブセット284におけるマーカとマーカの第3のサブセット290に含まれるマーカとが重なるとき、マーカの第3のサブセット284及びマーカの第3のサブセット290に含まれるマーカの特性とは異なる特性(例えば、サイズ、形状、位置、向き、磁化率、強度)の第6のセットを有する変更された画像アーチファクトがMRI下で生じる。代替的な実施形態は、MRI下で各サブセットにおけるマーカによって生じた画像アーチファクトが減衰、除去、又は増幅される(例えば、磁化率が同じ符号を有する)ように、同じ磁化率又は同じサセプタビリティを有する第2の医療デバイス上のマーカの対応するサブセットと同じ材料で形成される、第1の医療デバイス上のマーカのサブセットを含み得る。
【0050】
更に、第1の医療デバイス210及び第2の医療デバイス250の互いに対する位置に応じて、マーカの第3のサブセット284のマーカは、MRI下でマーカの第2のサブセット288におけるマーカによって生じた画像アーチファクト、又はMRI下でマーカの第1のサブセット286におけるマーカによって生じた画像アーチファクトを変更することができ、又はその逆も可能である。加えて、第1の医療デバイス210及び第2の医療デバイス250の互いに対する位置に応じて、マーカの第2のサブセット282のマーカは、MRI下でマーカの第1のサブセット286におけるマーカによって生じた画像アーチファクトを変更することができ、又はその逆も可能である。
【0051】
医療システム208並びに第1の医療デバイス210及び第2の医療デバイス250を使用することは、少なくとも、本明細書で説明されるMRIガイド下手順の実行、又は複数のMRIガイド下手順にわたる実行の際に、第1の複数のマーカ246及び第2の複数のマーカ278の一方に含まれるマーカによってMRI下で生じた画像アーチファクトをリアルタイムで動的に変更することができるため、有利であると考えられる。例えば、第1の医療デバイス210と第2の医療デバイス250との相対的な位置をリアルタイムで変えることにより、MRI下で動的な範囲の画像アーチファクトを生じることができる。
【0052】
本明細書で説明される医療デバイスにおいて示すマーカを、材料のバンド、医療デバイス上に被着して点を形成する材料、及び/又は医療デバイス上に被着して矩形を形成する材料として示してきたが、マーカは、医療デバイス(例えば、スタイレット、カニューレ)に取り付けられた任意の適切な構造、又は医療デバイス上に付与された任意の適切な処理を含むことができる。例えば、マーカは、材料のバンド、磁気インク、スパッタされたマグネタイト、医療デバイスの一部分を形成する材料(例えば、焼鈍304ステンレス鋼)をディンプリング、スウェージング、若しくはピーニングすること、医療デバイス(例えば、医療デバイスの長尺部材)の外面及び/又は内面に沿って被着させた1種以上の材料(例えば、金属、金属合金)の単一の層若しくは複数の層、及び/又はMRI下で視認可能であり、且つ本明細書で説明される磁化率を有する区別できるマーカ(例えば、画像アーチファクト)を形成するのに適すると考えられる任意の他の材料を含むことができる。本明細書で説明される磁化率を有する任意の適切なマーカを医療デバイスに含めることができる。医療デバイスに含めるのに適すると考えられるマーカの例は、2019年6月27日に出願された米国特許出願第16/454,905号明細書に記載されており、同米国特許出願は、医療デバイスに含めるのに適すると考えられるマーカを説明する目的で、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
医療デバイスに含まれる各マーカは、MRI下で、任意の適切な構造的構成及び特性を有し得る。例えば、マーカは、長尺部材の長さの一部分に沿った曲線、長尺部材の一部分上の幾何学的形状(例えば、円形、多角形)、長尺部材の長さの一部分に沿った螺旋、本明細書で説明される形状の任意の組み合わせ、又は特定の実施形態に適すると考えられる任意の他の形状など、任意の適切な形状を画定する構造を含み得る。本明細書で説明される構成は、MRI下でマーカによって生じた、MRI下で撮像される周囲の流体及び/又は組織と区別可能な、結果として得られる画像アーチファクトを有するマーカを作成するための機構を提供する。
【0054】
本明細書で説明される医療デバイスはカニューレ及びスタイレットを含んでいるが、本明細書で説明されるマーカは、互いに(例えば、同軸で)組み合わせて使用され得る任意の適切な医療デバイスに含めることができ、マーカを含める適切な医療デバイスの選択は、マーカを配置する医療デバイスの意図される使用を含む様々な考慮事項に基づき得る。マーカを含むのに適すると考えられる医療デバイスの例としては、カニューレ、ニードル、スタイレット、シース、カテーテル、バルーンカテーテル、拡張器、ガイドワイヤ、イントロデューサ、植え込み型デバイス、互いに(例えば、同軸に)組み合わせて使用され得る2つの医療デバイス(ニードル及びガイドワイヤ、ガイドワイヤ及びイントロデューサ、ガイドワイヤ及びカテーテル、ガイドワイヤ及びシース、シース及びカテーテル、植え込み型医療デバイス及び関連送達システム、ガイドワイヤ上又内に通すことができる任意の医療デバイスなど)、及び特定の実施形態に適すると考えられる任意の他の医療デバイスが挙げられる。更に、本明細書で説明される特徴は、独立して、又は互いに組み合わせて使用され得る3つ以上の医療デバイスで利用され得る。
【0055】
第1の医療デバイスは、任意の適切なタイプの医療デバイスを含み得る。例えば、第1の医療デバイスは、任意の適切な長さ及びゲージを有する任意の適切なタイプのカニューレを含み得る。例えば、第1の医療デバイスは、インコネル製チバニードル、インコネル製微小穿刺ニードル、若しくは特定の実施形態に適すると考えられる任意の他のニードルを含み得、7センチメートル、15センチメートル、若しくは特定の実施形態に適すると考えられる任意の他の長さに等しいか、それよりも大きいか、それよりも小さい長さを有し得、及び/又は20、21、22、若しくは特定の実施形態に適すると考えられる任意の他のゲージに等しいか、それよりも大きいか、それよりも小さいゲージを有し得る。第2の医療デバイスは、任意の適切なタイプの医療デバイスを含み得る。例えば、第2の医療デバイスは、任意の適切な長さ及びゲージを有する任意の適切なタイプのスタイレットを含み得る。
【0056】
加えて、本明細書で説明される医療デバイスは、治療を遂行するために任意の適切な数の外側シースと共に使用され得る。連続拡張を完了する際などに利用する適切な数の外側シースの選択は、例えば、連続拡張を完了する身体の通路に基づき得る。連続拡張を完了する際に利用するのに適すると考えられる外側シースの数の例としては、1つ、2つ、複数、3つ、4つ、5つ以上、及び特定の実施形態に適すると考えられる任意の他の数が挙げられる。
【0057】
第1の医療デバイス上のマーカを、MR画像に変更された画像アーチファクトを生じるように第2の医療デバイス上のマーカに重なるものとして説明してきたが、そのような重なりは、2つのマーカ(例えば、2つの同軸マーカ)の間の部分的な重なり、又は2つのマーカ(例えば、2つの同軸マーカ)の間の完全な重なりを含むことができ、互いに重なるように意図されたマーカの構造的構成(例えば、サイズ、形状、位置、磁化率、強度)に依存する。
【0058】
画像アーチファクトの任意のタイプの変更は、2つのマーカを重ねることにより遂行することができ、マーカのサイズ、形状、位置、磁化率、及び/又はマーカを形成する材料に依存する。重なるマーカを使用して遂行され得る変更のタイプの例としては、画像アーチファクトのサイズ、形状、強度、及び/又は外観を変更(例えば、除去、増幅、減衰)すること、並びに特定の実施形態に適すると考えられる任意の他の変更が挙げられる。
【0059】
特定の材料を、第1の医療デバイス(例えば、長尺部材)、第2の医療デバイス(例えば、長尺部材)、及びマーカを形成するものとして説明してきたが、医療デバイス又はその部分(例えば、長尺部材)、及びマーカは、本明細書で説明される特徴を実現するために、本明細書で説明される磁化率を有する任意の適切な材料で形成することができる。例えば、第1の医療デバイス、第2の医療デバイス、又はその部分(例えば、長尺部材)、及び医療デバイスに含まれる1つ以上のマーカは、本明細書で説明される磁化率を有する任意の適切なMRI対応材料で形成することができ、適切な材料の選択は、第1の医療デバイス、第2の医療デバイス、及び/又はマーカの意図される使用を含む様々な考慮事項に基づき得る。加えて、又は代替的な実施形態において、第1の医療デバイス、第2の医療デバイス、若しくはその部分(例えば、長尺部材)、医療デバイスに含まれる1つ以上のマーカ、及び/又は本明細書で説明される任意の他の材料は、磁化率又は相対磁化率と同様に、本明細書で説明される、材料の形成するシステム又はデバイスの部分に対するサセプタビリティ又は相対サセプタビリティを有する任意の適切なMRI対応材料を含み得る。第1の医療デバイス、第2の医療デバイス、及び/若しくは1つ以上のマーカ、又はその部分を形成するのに適すると考えられる材料の例としては、生体適合性材料、生体適合性材料に作ることができる材料、MRI対応材料、金属、電気絶縁材料、非導電性材料、磁気の影響を受けにくい材料などの非強磁性材料、非反磁性材料、パッシブ材料、反磁性材料(例えば、熱分解炭素)、常磁性材料、又は強磁性材料を含む、磁気の影響を受けやすい材料、強磁性パッシブ材料、フェライト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼430L粉末、ニチノールなどのニッケル-チタン系合金を含む、形状記憶合金、インコネルなどのオーステナイト系ニッケル-クロム系合金、Special Metals Corporationのオーステナイト系ニッケル-クロム系超合金のファミリーのブランド、オーステナイト系ステンレス鋼を含む、ステンレス鋼304V SS、鉄を含有するステンレス鋼、インコネルを含むステンレス鋼、鉄、コバルト、コバルトクロム、コバルトクロム合金、チタン、約192KSIの硬度を有する材料(例えば、ステンレス鋼)、ニッケル、ニッケルめっき、光沢ニッケルめっき、1重量%未満の鉄を含む合金、Magnetic Shield Corporationの非常に高い透磁率を有するニッケル鉄強磁性合金のブランドであるMuMetalなどのムリナイトを含む金属、ガドリニウム、熱分解炭素、銀、黒鉛、多結晶黒鉛、プラスチック、ポリマー、PEEK、カーボン充填PEEK、高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、シリコーン、デルリン、セラミック、透明材料、不透明材料、本明細書で説明される材料、本明細書で説明される材料の組み合わせ、特定の実施形態に適すると考えられ、及び本明細書で説明される磁化率を有する任意の他の材料が挙げられる。重なるマーカ、又は手順の実行の際に重ねることができるマーカは、本明細書で説明されるもの、常磁性材料(例えば、画像アーチファクトを増幅するために使用される常磁性材料、鉄、ニッケル、コバルト(例えば、300シリーズステンレス鋼)、ニッケル-コバルト、コバルトクロムを含む材料)、強磁性材料(例えば、画像アーチファクトを増幅するために使用される強磁性材料、鉄、ニッケル、コバルト(例えば、300シリーズステンレス鋼)、ニッケル-コバルト、コバルトクロムを含む材料)、反磁性材料(例えば、画像アーチファクトを減衰又は除去するために使用される反磁性材料、熱分解炭素、銀、炭素(例えば、黒鉛))、及び特定の実施形態に適すると考えられる任意の他の材料など、任意の適切な材料で形成され得る。
【0060】
医療デバイスに含める1つ以上のマーカの選択はまた、その中で医療デバイスが使用されることが意図される1種以上の磁場強度に基づき得る。例えば、マーカを含む医療デバイスは、1種以上の磁場強度(0.55テスラ(T)、1.5T、又は3.0T)を利用して、1つ、又は2つ以上のMRIガイド下インターベンショナル手順を完了するように利用され得る。2つ以上のマーカが重なる結果として得られる累積サセプタビリティベースのアーチファクトは、単一のイメージングシーケンス、若しくは複数のイメージングシーケンス(グラジエントエコー対スピンエコー)、又は異なる磁場強度において、異なって反応するように選択され得る。本明細書で説明されるように、医療デバイスは、単一の画像アーチファクトのサイズ、形状、及び強度を変更するために使用されることに限定されるものではなく、代わりに、複数のデバイスにわたる一連のサセプタビリティマーカを(静的又は動的に)組み合わせて、より大きな(又はより小さな)累積アーチファクトの幾何学的形状を変えることができ、これにより、MRI下で容易に識別可能な区別できる画像アーチファクトを生じることができる。
【0061】
本明細書で説明されるように、手順の実行の際のデバイスの可視化は、インターベンショナルMRIにおける基本的な課題である。従来のインターベンショナルデバイス及び材料は、非常に影響を受けやすく、その結果、撮像された組織/磁場の主要な特徴を消してしまうアーチファクトが生じるか、影響の受けやすさが最小限であり、画像内での識別又は追跡のために見えないデバイスが残るかのいずれかである。したがって、診断用画像モダリティ、特にMRを治療のガイドとして直接活用する必要がある。病変又は異常な解剖学的構造の識別及び正確なターゲティングは、臨床的に重要な課題である。本明細書で説明される医療デバイスは、少なくとも、臨床医が医療デバイスを正確に可視化し、識別し、追跡し、及び身体内の様々な場所にナビゲートする能力を実質的に向上させ、患者のケア(例えば、診断、治療送達)全体を向上させることができるため、有利であると考えられる。本明細書で説明される医療デバイスは、インターベンショナルMR画像上で識別可能で操作可能な画像アーチファクト(例えば、パターン)を生じるために使用され得るマーカを提供し、それにより、MRI下でのマーカの位置、サイズ、及び強度並びに関連する医療デバイスを高度に制御することができる。
【0062】
図8は、MRI下で治療を行う際に有用な例示的なキット300を示している。キット300は、図1図2図3図4、及び図5に示す第1の医療システム8など、一実施形態による第1の医療システム302と、図6に示す第2の医療システム108など、一実施形態による第2の医療システム304と、図7に示す第3の医療システム208など、一実施形態による第3の医療システム306と、使用のための命令308とを含む。
【0063】
3つの医療システム302、304、及び306を含むものとしてキット300を示してきたが、任意の適切な数及びタイプの医療システム及び/又は医療デバイスをキットに含めることができる。特定の実施形態による、キットに含めるのに適切な数の医療システム及び/又は医療デバイスの選択は、行われることが意図される治療などの様々な考慮事項に基づき得る。キットに含めるのに適すると考えられる医療システム及び/又は医療デバイスの数の例としては、少なくとも1つ、1つ、2つ、複数、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11以上、及び特定の実施形態に適すると考えられる任意の他の数が挙げられる。
【0064】
更に、医療システム8、医療システム108、及び医療システム208を、キット300に含まれるものとして示してきたが、任意の適切な医療システム及び/又は医療デバイスをキットに含めることができる。特定の実施形態による、キットに含めるのに適切な医療システム及び/又は医療デバイスの選択は、行われることが意図される治療などの様々な考慮事項に基づき得る。キットに含めるのに適すると考えられる医療システム及び/又は医療デバイスの例としては、本明細書で説明されるもの、本明細書で説明されるものの変形形態、1つ以上の内側シース、1つ以上の外側シース、1つ以上のアクセスニードル、1つ以上の植え込み型医療デバイス、1つ以上の送達システム、及び/又は特定の実施形態に適すると考えられる一実施形態による任意の他の医療デバイスが挙げられる。
【0065】
例えば、キットが複数の医療デバイス(例えば、ニードル及び複数のスタイレット)を含む実施形態では、第1の医療デバイス(例えば、スタイレット)が、第1のMR磁場強度(例えば、0.55T)下で画像アーチファクトを生じる材料で形成されるマーカを含み得、第2の医療デバイス(例えば、スタイレット)が、第2のMR磁場強度(例えば1.5T)下で画像アーチファクトを生じる材料で形成されたマーカを含み得、第3の医療デバイス(例えば、スタイレット)が、第3のMR磁場強度(例えば、3T)下で画像アーチファクトを生じる材料で形成されたマーカを含み得る。第1のMR磁場強度は、第2のMR磁場強度及び/又は第3のMR磁場強度とは異なっても同じであってもよい。第2のMR磁場強度は、第1のMR磁場強度及び/又は第3のMR磁場強度とは異なっても同じであってもよい。第3のMR磁場強度は、第1のMR磁場強度及び/又は第2のMR磁場強度とは異なっても同じであってもよい。第1の医療デバイス、第2の医療デバイス、及び第3の医療デバイス(例えば、スタイレット)のそれぞれが、手順を実行するために第4の医療デバイス(例えば、ニードル)と共に使用され得る。
【0066】
一例では、磁気共鳴下で治療を行う際に有用なキットが、一実施形態の第1の医療デバイスと、一実施形態の第2の医療デバイスと、一実施形態の第3の医療デバイスとを備える。第1の医療デバイスは、第1のMR磁場強度下で第1の画像アーチファクトを生じる第1のマーカを備える。第2の医療デバイスは、第2のMR磁場強度下で第2の画像アーチファクトを生じる第2のマーカを備える。第3の医療デバイスは、第3のMR磁場強度下で第3の画像アーチファクトを生じる第3のマーカを備える。第1のMR磁場強度は、第2のMR磁場強度及び第3のMR磁場強度とは異なる。第2のMR磁場強度は、第3のMR磁場強度とは異なる。第1の画像アーチファクトは、第1のMR磁場強度下における特性(例えば、サイズ、形状、パターン、及び/又は強度)の第1のセットと、第2のMR磁場強度下における特性の第2のセットと、第3のMR磁場強度下における特性の第3のセットとを有する。第1の画像アーチファクトの特性の第1のセットは、第1の画像アーチファクトの特性の第2のセット及び第1の画像アーチファクトの特性の第3のセットとは異なる。第1の画像アーチファクトの特性の第2のセットは、第1の画像アーチファクトの特性の第3のセットとは異なる。第2の画像アーチファクトは、第1のMR磁場強度下における特性の第1のセットと、第2のMR磁場強度下における特性の第2のセットと、第3のMR磁場強度下における特性の第3のセットとを有する。第2の画像アーチファクトの特性の第1のセットは、第2の画像アーチファクトの特性の第2のセット及び第2の画像アーチファクトの特性の第3のセットとは異なる。第2の画像アーチファクトの特性の第2のセットは、第2の画像アーチファクトの特性の第3のセットとは異なる。第3の画像アーチファクトは、第1のMR磁場強度下における特性の第1のセットと、第2のMR磁場強度下における特性の第2のセットと、第3のMR磁場強度下における特性の第3のセットとを有する。第3の画像アーチファクトの特性の第1のセットは、第3の画像アーチファクトの特性の第2のセット及び第3の画像アーチファクトの特性の第3のセットとは異なる。第3の画像アーチファクトの特性の第2のセットは、第3の画像アーチファクトの特性の第3のセットとは異なる。
【0067】
特定の実施形態では、図9及び図10に示すように、医療システム310は、同心状に使用され得る第1の医療デバイス312、第2の医療デバイス314、第3の医療デバイス316、及び第4の医療デバイス318を備え得る。一実施形態によれば、第1の医療デバイス312は、ニードル(例えば、チタンで形成されたニードル)を備える。一実施形態によれば、第2の医療デバイス314、第3の医療デバイス316、及び第4の医療デバイス318のそれぞれが、スタイレットを備える。第1の医療デバイス312は、複数のスタイレット314、316、318と一緒にパッケージ化され得、これらのそれぞれが、使用されることが意図されるMRI静磁場強度又は完了すべき特定のインターベンショナル手順に応じて、独立して又は集合的に、ニードルと組み合わせて使用され得る。例えば、複数のスタイレット314、316、318の各スタイレットは、MRI下でニードル312上に配置されたマーカ322によって生じた磁化率を増幅、除去、又は減衰させる磁化率を有するマーカ320を備え、又はその逆であり、それにより、ニードル312上に配置されたマーカ322の画像アーチファクトを変更する。このことは、重なるマーカの数に応じて、離散的な増分(例えば、0.25倍、0.5倍、2.0倍、4.0倍など)で遂行され得る。次に、これらのスタイレットは、複数の手順を通して、又は複数の手順にわたってリアルタイムで画像アーチファクトのサイズを調節するために、独立して又は集合的に使用され得る。スタイレットが集合的に使用される実施形態では、スタイレットは、図示のように、一連の同心管を使用して作製され得、任意の適切な数の同心管が利用され得る。
【0068】
本明細書で説明されるキットは、有利なことに、複数のセッティング下で使用され得る単一の製品(例えば、キット)を臨床医に提供する。例えば、低い磁化率を有するチタンニードルは、治療が行われる(例えば、生検が行われる)先端付近の位置決めの精密さを可能にし、一方、取り外し可能なスタイレットのうちの1つ以上の上のマーカは、あらゆる磁場強度における、又は複数のインターベンショナル手順にわたるリアルタイムの追跡可能性を可能にする。本実施形態は、ニードル及び複数のスタイレットの使用を説明するが、このような実施形態は、本明細書で説明されるもの(例えば、シース、取り外し可能な拡張器)などの医療デバイスの任意の適切な組み合わせを含み得る。例えば、MRI下で視認不可能又はわずかに視認可能な画像アーチファクトを生じる材料で形成されたシースは、複数の取り外し可能な拡張器と一緒にパッケージ化され得、これらのそれぞれが、様々なMRI静磁場強度下での使用を容易にするために、MRI下で高度に視認可能な画像アーチファクトを生じる1つ以上のマーカを備える。
【0069】
MRI下でインターベンショナル治療を行う様々な方法が本明細書で説明される。本明細書で説明される方法は一連の行為として図示され、説明されているが、これらの方法によるいくつかの行為は、省略されたり、図示及び/若しくは説明された順序で行われたり、異なる順序で行われたり、並びに/又は本明細書で説明される他の行為に先行して、後続して、又は同時に行われたりし得るため、本方法は行為の順序によって限定されるものではないことを理解及び認識されたい。
【0070】
図11は、MRI下で治療を行う(例えば、画像アーチファクトを変更する)例示的な方法400の概略図を示している。
【0071】
最初のステップ402は、MRスキャナ内に患者を配置することを含む。別のステップ404は、MRスキャナを使用して患者の第1の部分を走査することを含む。MRスキャナは、MR画像パラメータ及び/又はシーケンスパラメータの第1のセットを有する。別のステップ406は、患者の第1の部分のMR画像を取得することを含む。別のステップ408は、MR画像を使用して事前定義された特性を有する組織を識別することを含む。別のステップ410は、事前定義された特性に基づいて、組織を治療する手順を選択することを含む。別のステップ412は、手順の実行を遂行する医療システムを選択することを含む。医療システムは、第1の医療デバイスと第2の医療デバイスとを備える。第1の医療デバイスは第1のマーカを有し、第2の医療デバイスは第2のマーカを有する。患者の第1の部分を走査するために使用されるMRスキャナ内に患者を配置したままで、別のステップ414は、MRスキャナを使用して第1の医療デバイス及び第2の医療デバイス並びに第1の画像アーチファクトを含む患者の第2の部分を走査しながら、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイスを身体の通路内に、及び組織まで(例えば、同心状に)挿入することを含む。第1の画像アーチファクトは、特性の第1のセットを有する。別のステップ416は、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイス並びに第1の画像アーチファクトを含む患者の第2の部分のMR画像を取得することを含む。別のステップ418は、MR画像内の第1の画像アーチファクトを識別することを含む。別のステップ420は、身体の通路内で第1の医療デバイス及び第2の医療デバイスの位置を確認することを含む。別のステップ422は、第2の医療デバイスに対して第1の医療デバイスの位置、又はその逆を操作して、第1の画像アーチファクトを変更して、変更された画像アーチファクトを生じることを含む。別のステップ424は、MRスキャナを使用して、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイス並びに変更された画像アーチファクトを含む患者の第3の部分の画像を走査することを含む。別のステップ426は、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイス並びに変更された画像アーチファクトを含む患者の第3の部分のMR画像を取得することを含む。別のステップ428は、変更された画像アーチファクトに基づいて、MR画像パラメータ及び/又はシーケンスの第1のセットをMR画像パラメータ及び/又はシーケンスの第2のセットに変更すること(例えば、最適化すること)を含む。別のステップ430は、治療を行うことを含む。
【0072】
ステップ402は、任意の適切な磁場強度を有する任意の適切なMRスキャナ(従来のMRスキャナ、グラジエントリフォーカシングエコーイメージングを遂行し得るMRスキャナ、スピンエコーイメージングを遂行し得るMRスキャナ、定常状態歳差運動による真の高速イメージングを遂行し得るMRスキャナ、高速低フリップ角ショットスポイルドグラジエントエコーイメージングを遂行し得るMRスキャナ、0.55Tの磁場、1.5Tの磁場、3Tの磁場、約0.055T~1.5Tの磁場、1T未満の磁場を利用するMRスキャナ、及び特定の実施形態に適すると考えられる任意の他のMRスキャナなど)内に患者を配置することによって遂行され得る。
【0073】
ステップ404は、患者の任意の適切な部分を走査することによって遂行され得、走査するべき患者の適切な部分の選択は、行われることが意図される治療を含む様々な考慮事項に基づき得る。走査するのに適すると考えられる患者の部分の例としては、四肢(例えば、腕、脚)、胸部、乳房、脊椎、頸部、頭部、腹部、骨盤、前立腺、前立腺周囲構造、本明細書で説明される患者の部分を囲む組織、及び/又は特定の実施形態に適すると考えられる患者の任意の他の部分が挙げられる。MRスキャナは、任意の適切な数及びタイプのMR画像パラメータ(グラジエントリフォーカシングエコーイメージング、スピンエコーイメージング、定常状態歳差運動による真の高速イメージング、高速低フリップ角ショットスポイルドグラジエントエコーイメージング、0.55T、1.5T、3T、約0.055T~1.5T、及び1T未満などの磁場強度、スライス厚、フリップ角、視野、分解能、勾配磁場、及び特定の実施形態に適すると考えられる任意の他の画像パラメータなど)を有し得る。
【0074】
ステップ406は、ステップ404で使用されたMRスキャナからMR画像を取得することによって遂行され得る。
【0075】
ステップ408は、ステップ406で取得されたMR画像を検討し、従来の技法及び/又は方法を利用して、組織が事前定義された特性を有する(例えば、組織が、がんを示す特性を有する、病変である、異常な腫瘤である)か否かを判定することによって遂行され得る。更に、任意の組織(例えば、異常な腫瘤)のマージンが、本明細書で説明されるような、組織を除去及び/又は治療するための更なるステップにおいて識別され、使用され得る。
【0076】
ステップ410は、ステップ408で識別された事前定義された特性を検討し、事前定義された特性に基づいて、組織を治療する手順を選択することによって遂行され得る。
【0077】
ステップ412は、ステップ410で選択された手順、利用可能なMRスキャナ、及び/又は手順を完了させるのに望ましいMR磁場強度に基づいて遂行され得る。本明細書で説明されるもの、本明細書で説明されるものの変形形態、並びに特定の実施形態に適すると考えられる任意の他の医療システム及び/又は医療デバイスなど、任意の適切な医療システム(例えば、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイス)が、手順の実行を遂行するために選択され得る。或いは、医療システム及び/又は医療デバイスは、キット300、又は本明細書で説明されるキットの変形形態などのキットから選択され得る。本明細書で説明される医療デバイスのそれぞれが、特性のセットを有する1つ以上の画像アーチファクトをMRI下で生じる1つ以上のマーカを備える。
【0078】
ステップ414は、ステップ412で選択された医療システム(例えば、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイス)を使用して遂行され得る。或いは、ステップ414は、本明細書で説明される、又は参照により本明細書に組み込まれる医療デバイスなど、任意の適切な医療デバイスを使用して遂行され得る。治療の方法を完了するために使用するのに適すると考えられる医療デバイス、及び治療の方法に含めるのに適すると考えられる他のステップの例は、2022年1月11日に出願された米国特許出願第17/573,087号明細書に記載されており、同米国特許出願は、治療の方法を完了するのに適すると考えられる医療デバイスを説明する目的で、及び治療の方法に含めるのに適すると考えられるステップを説明する目的で、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
ステップ414は、第1の医療デバイスの遠位端部が身体の通路内、及び事前定義された特性を有すると識別された組織に、組織内に、又は組織に隣接して挿入されるように、第1の医療デバイスに遠位側を向く力を印加することによって遂行され得る。加えて、ステップ414は、第2の医療デバイスの遠位端部が第1の医療デバイスによって画定され、第1の医療デバイスの遠位にある管腔内に挿入されるように、第2の医療デバイスに遠位側を向く力を引加することによって遂行され得る。第2の医療デバイスの挿入は、第1の医療デバイスの挿入と同時、第1の医療デバイスの挿入の前、又は第1の医療デバイスの挿入後に遂行され得る。或いは、第2の医療デバイスは、第2の医療デバイスの遠位端部が第1の医療デバイスによって画定された管腔内、且つ第1の医療デバイスの近位端部と遠位端部との間に配置されるまで、第1の医療デバイスによって画定された管腔内に挿入され得る。
【0080】
身体の通路は、既存の身体の通路、身体内腔、及び/又は本明細書で説明されるデバイスを使用して組織層及び/又は筋膜を通して作られた身体の通路を含む、身体の任意の適切な部分を含み得る。ステップ414は、患者の任意の適切な部分を走査することによって遂行され得、走査するべき患者の適切な部分の選択は、事前定義された特性を有する組織の場所を含む様々な考慮事項に基づき得る。走査に適すると考えられる患者の部分の例としては、事前定義された特性を有する組織を含む部分、第1の医療デバイス及び/若しくは第2の医療デバイスを含む部分、画像アーチファクト及び/若しくは変更された画像アーチファクトを含む部分、事前定義された特性を有する組織と第1の医療デバイス及び/若しくは第2の医療デバイスとを含む部分、並びに/又は特定の実施形態に適すると考えられる患者の任意の他の部分が挙げられる。例えば、患者の第2の部分は、患者の第1の部分と同じであっても異なってもよい。
【0081】
ステップ414と、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイスの両方を使用して完了されるものとして説明してきたが、ステップ414は、2つの代替的な仕方で遂行することができる。第1の代替的な仕方では、第1のステップが、MRスキャナを使用して第1の医療デバイスを含む患者の第2の部分を走査しながら、身体の通路内に、及び組織まで第1の医療デバイスを挿入することを含む。第2のステップが、MRスキャナを使用して第2の医療デバイスを含む患者の第2の部分を走査しながら、身体の通路内に、及び組織まで第2の医療デバイスを挿入することを含む。第2の代替的な仕方では、第1のステップが、MRスキャナを使用して第2の医療デバイスを含む患者の第2の部分を走査しながら、身体の通路内に、及び組織まで第2の医療デバイスを挿入することを含む。第2のステップが、MRスキャナを使用して第1の医療デバイスを含む患者の第2の部分を走査しながら、身体の通路内に、及び組織まで第1の医療デバイスを挿入することを含む。
【0082】
MRIで生じた画像アーチファクトは、任意の医療デバイスに含まれるマーカ、又は医療デバイスの組み合わせに含まれるマーカの組み合わせによって生じた任意の画像アーチファクトを含み得る。例えば、第1の画像アーチファクトは、第1の医療デバイスに配置されたマーカ、第2の医療デバイスに配置されたマーカ、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイスに含まれるマーカの組み合わせ、重なるマーカ(例えば、変更された画像アーチファクト)、並びに/又は特定の実施形態に適すると考えられる任意の他のマーカによって生じ得る。
【0083】
ステップ416及びその代替形態は、ステップ402及びステップ414で使用されたMRスキャナからMR画像を取得することによって遂行され得る。図12は、身体の通路504内に配置された第1の医療デバイス502及び第2の医療デバイス503を示すMR画像500を示している。第1の医療デバイス502は第1の複数のマーカ506を備える。第1の複数のマーカ506の各マーカは、画像アーチファクト508を生じる第1の磁化率を有する。第2の医療デバイス503は第2の複数のマーカ507を備える。第2の複数のマーカ507の各マーカは、第1の磁化率とは異なる第2の磁化率を有し、画像アーチファクト509を生じる。画像アーチファクト508、509のそれぞれが特性のセットを有する。
【0084】
ステップ418は、ステップ416で取得されたMR画像を検討し、画像中の画像アーチファクトの特性を識別することによって遂行され得る。このことは、ステップ402で使用されるMRスキャナに含まれるソフトウェア(例えば、アーチファクト認識、位置特定、追跡、画像処理、及び/又は機械学習を有するソフトウェア)を使用して、及び/又は臨床医によって視覚的に遂行され得る。例えば、ステップ402、及び方法400に含まれる残りのステップで使用されるMRスキャナは、画像アーチファクトの特性を各医療デバイスに関連付け、医療デバイスの組み合わせの画像アーチファクトの特性を医療デバイスの組み合わせに関連付け、及び/又はマーカを重ねることによって生じた画像アーチファクトの特性を医療デバイスの組み合わせに関連付けるデータベースを備え、データベースは、画像アーチファクトが画像アーチファクトの特性を使用してMRスキャナによって識別されたときに、MRスキャナが医療デバイス若しくは医療デバイスの組み合わせを識別及び/若しくは追跡し得、本明細書で説明されるMR画像パラメータ及び/若しくはシーケンスパラメータの第1のセットをMR画像パラメータ及び/若しくはシーケンスパラメータの第2のセットに変更し、並びに/又は変更されたMR画像を作成するためにMRスキャナによって作成された画像を変更するように、治療を行うために使用される。データベースに含まれる画像アーチファクトの特性は、画像アーチファクトのサイズ、形状、位置、向き、パターン、及び/又は強度などの本明細書で説明されるものを含み得る。例えば、医療デバイス10、50、110、150、210、250、312、314、316、及び318のそれぞれが、他の医療デバイスに対して区別できるマーカのパターンを有する。その結果、医療デバイス10、50、110、150、210、250、312、314、316、及び318のそれぞれ、又は医療デバイスの組み合わせは、MRI下で、MRスキャナに含まれるデータベースを使用して識別され得る区別できる画像アーチファクト特性(例えば、パターン又はコード)を有する。画像処理ソフトウェア又は機械学習は、任意選択で、これらのマーカ又は画像アーチファクトの状態を概ねリアルタイムで判定するために使用され得、自動化されたシーケンス選択によるデバイス配置の推定を支援し、治療の際に重要又は繊細な解剖学的構造を回避する標的の場所への経路計画を可能にする。
【0085】
ステップ420は、ステップ416で取得されたMR画像を検討し、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイスが身体の通路内の所望の場所に(例えば、事前定義された特性を有すると識別された組織に、組織内に、又は組織に隣接して)配置されていることを確認することによって遂行され得る。このことは、本明細書で説明されるように、第1の医療デバイス及び/又は第2の医療デバイスに含まれるマーカによって生じた1つの画像アーチファクトを可視化することによって遂行され得る。第1の医療デバイス及び/又は第2の医療デバイスが所望の場所に配置されていない場合、任意選択のステップが、第1の医療デバイス及び/又は第2の医療デバイスの位置を操作することを含む。第1の医療デバイス及び/又は第2の医療デバイスが所望の場所に配置されていない場合、任意選択のステップ432が、第1の医療デバイス(例えば、リアルタイムで)及び/又は第2の医療デバイス(例えば、リアルタイムで)の位置を操作するために、ステップ414、ステップ416、ステップ418、及びステップ420を繰り返すことを含む。ステップ414、ステップ416、ステップ418、及びステップ420は、別個のステップとして示されているが、これらのステップは、任意選択で、リアルタイムで同時に完了させることができる。任意選択のステップ432は、第1の医療デバイス及び/又は第2の医療デバイスを正確に配置にするために任意の適切な回数で遂行され得る。
【0086】
ステップ418及び/若しくは420に続いて、又は方法400の完了の際の任意の他の時に完了され得る任意選択のステップが、識別された画像アーチファクトに基づいて、MR画像パラメータ及び/又はシーケンスパラメータ(例えば、SE/GRE、TR、TE、フリップ角、視野、分解能、スライス厚、勾配磁場)の第1のセットをMR画像パラメータ及び/又はシーケンスパラメータの第2のセットに変更することを含む。この任意選択のステップは、ステップ402において、及び/又は臨床医に使用されたMRスキャナに含まれるソフトウェアを用いて遂行され得る。このステップは、MR画像が取り込まれ、画像アーチファクトが検出され、変更された画像アーチファクトが検出され、画像アーチファクトが変更され、複数の画像アーチファクトが検出され、又は画像アーチファクトの組み合わせが検出されるときはいつでも、MR画像パラメータ及び/又はシーケンスパラメータが、第1の医療デバイス、第2の医療デバイス、及び/又は第1の医療デバイスと第2の医療デバイスとの組み合わせに配置された1つ以上のマーカによって生じた画像アーチファクトに基づいて定期的に変更又は更新されるように遂行され得る。変更されたMR画像は、画像アーチファクトの特性又は画像アーチファクトの組み合わせを用いて識別された医療デバイス(例えば、医療デバイスの一部分、医療デバイスの全体)、若しくは医療デバイスの組み合わせの重畳グラフィックを含むことができ、識別された医療デバイス(例えば、遠位端部)、医療デバイスの組み合わせ、画像アーチファクト、若しくは画像内の他のオブジェクトの増幅、減衰、若しくは省略された部分を含むことができ、及び/又は特定の実施形態に適すると考えられる任意の他の画像操作を含む。例えば、変更されたMR画像は、識別された画像アーチファクトに基づく平面、スライス、スライス厚、及び/又はシーケンスパラメータの操作を含むことができる。例えば、画像アーチファクト、又は変更された画像アーチファクトがソフトウェア又は臨床医によって識別されると、識別された画像アーチファクト、又は変更された画像アーチファクトに基づいて、画像パラメータ(例えば、平面選択に関連するもの、スライス、スライス厚、平面、シーケンスパラメータ)が(例えば、MRスキャナソフトによって)自動的に変更され得る。
【0087】
ステップ422は、第1の医療デバイス及び/又は第2の医療デバイスに力(例えば、遠位側に向く力、近位側に向く力、トルク)を印加して、第1の画像アーチファクトを変更する(例えば、増幅、減衰、除去)ことによって遂行され得る。このことは、本明細書で説明されるように(例えば、第1の医療デバイス上のマーカが第2の医療デバイス上のマーカに(例えば、軸方向に)重なるように、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイスを配置することによって、又は第1の医療デバイス上のマーカが第2の医療デバイス上のマーカに重ならないように、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイスを配置することによって)遂行され得る。このステップは、有利なことに、手順が(例えば、リアルタイムで、連続MRイメージング下で)完了すると、マーカ及び結果として得られる画像アーチファクトを動的に調節する機構を提供し、その結果、本明細書で説明されるように、MRスキャナの動作の仕方が変更され得る(例えば、撮像パラメータの変更、及び/又はシーケンスパラメータの変更)。例えば、臨床医は、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイスの相対的な位置、並びに第1の医療デバイス及び第2の医療デバイスに含まれるマーカを操作することによって、1つ以上の画像アーチファクトを変更する(例えば、それらをオンにする(増幅する)、オフにする(減衰させる))ことができる。
【0088】
本明細書で説明されるように、診断用画像モダリティ、特にMRを治療のガイドとして直接活用する必要がある。このように、組織の特定の特性(例えば、病変、異常な解剖学的構造)を識別し、正確に標的化することは、重要な臨床的課題である。本明細書で説明される医療システム、デバイス、キット、及び方法は、パッシブマーカを使用して複数の手順を通して、又は複数の手順にわたって、医療デバイス上に含まれるマーカによって生じた画像アーチファクトの視認性を動的に変更する能力を臨床医に提供することによって、従来のインターベンショナルMRI技術を大幅に改善することが意図されている。本明細書で説明される医療システム、デバイス、キット、及び方法は、インターベンショナルデバイスの正確な識別、追跡、及びの身体内の様々な場所へのナビゲーションを可能にし、医療デバイス又は医療デバイスの組み合わせによって生じた画像アーチファクトの特性を使用して、患者の全体的なケア(例えば、診断、標的を絞った治療の送達など)を改善する。
【0089】
例えば、インターベンショナル手順の少なくとも1つの部分の際に、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイスが、第1の医療デバイス上のマーカが第2の医療デバイス上のマーカに重なるように配置されて、第1の医療デバイス上のマーカ及び/又は第2の医療デバイス上のマーカの画像アーチファクト、並びに画像アーチファクト関連特性を変更(例えば、除去、減衰、増幅)することができる。サブトラクティブ構成及びアディティブ構成の両方において、第2の医療デバイスに沿う磁化率を有するマーカは、第1の医療デバイスに対するその位置若しくは向き、及び/又は第1の医療デバイス上に配置されたマーカに基づいて、第1の医療デバイス上のマーカと異なって相互作用をするように調節され得る。例えば、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイスは、2つのアーチファクト配置モードで設計され得る。すなわち、一方の配置では、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイスは、第1の医療デバイス上のマーカによって生じた画像アーチファクトの1つの代替的なセットが、第2の医療デバイス上のマーカによって生じた画像アーチファクトによって打ち消される(又は増幅される)ように配置され、他方の配置では、第1の医療デバイスの画像アーチファクトの異なるセットが、第2の医療デバイス上のマーカによって生じた画像アーチファクトによって打ち消される(又は増幅される)ように配置される。このようにして、第1の医療デバイスの画像アーチファクトのサイズ、形状、及び強度は、手順の際にはいつでも第1の医療デバイス(例えば、長尺部材)に沿って動的にシフト又は変更され得る。これらの概念の適用は、デバイスの追跡、デバイスが互いに対して移動する際の画像アーチファクトのセットの変化を辿ること、又は手順の特定の部分によりよく合うように画像アーチファクトのセット及びその関連する特性を動的に調節する仕方として拡張される。
【0090】
本明細書で説明される医療システム、デバイス、キット、及び方法を使用することにより、ソフトウェア(例えば、アーチファクト認識、位置特定、追跡、画像処理、及び/又は機械学習を備えたソフトウェア)を用いて識別され得る区別できる画像アーチファクトをMR画像内に生じることができる。更に、本明細書で説明されるように、複数のデバイスの組み合わせの結果として得られる累積サセプタビリティベースのアーチファクトは、単一若しくは複数のイメージングシーケンス(グラジエントエコー対スピンエコー)、又は異なる磁場強度において、異なって反応するように調節され得る。これらの手順では、画像処理ソフトウェア又は機械学習が、任意選択で、これらのマーカの状態を概ねリアルタイムで判定するために使用され得、自動化されたシーケンス選択によるデバイス配置の推定を支援し、治療送達の際に重要又は繊細な解剖学的構造を回避する標的の場所への経路計画を可能にする。
【0091】
ステップ424は、本明細書で説明されるように、且つ患者の任意の適切な部分を走査することによって遂行され得、走査するべき患者の適切な部分の選択は、事前定義された特性を有する組織の場所を含む様々な考慮事項に基づき得る。走査に適すると考えられる患者の部分の例としては、事前定義された特性を有する組織を含む部分、第1の医療デバイス及び/又は第2の医療デバイスを含む部分、画像アーチファクト及び/又は変更された画像アーチファクトを含む部分、事前定義された特性を有する組織と第1の医療デバイス及び/又は第2の医療デバイスとを含む部分、並びに特定の実施形態に適すると考えられる患者の任意の他の部分が挙げられる。例えば、患者の第3の部分は、患者の第1の部分及び/又は患者の第2の部分と同じであっても異なってもよい。
【0092】
ステップ426は、ステップ402で使用されたMRスキャナからMR画像を取得することによって遂行され得る。図13は、身体の通路516内に配置された第1の医療デバイス512及び第2の医療デバイス514を示すMR画像510を示している。第1の医療デバイス512は第1の複数のマーカ518を備え、第2の医療デバイス514は第2の複数のマーカ520を備える。第1の複数のマーカ518と第2の複数のマーカ520とが重なる構成により、第1の複数のマーカ518によって生じた画像アーチファクトが変更(例えば、増幅、減衰、除去)される。図13に示す実施形態では、第1の複数のマーカ518と第2の複数のマーカ520とが重なったときに、第1の複数のマーカ518と第2の複数のマーカ520とによって生じる画像アーチファクトが除去される。図14は、身体の通路534内に配置された第1の医療デバイス530及び第2の医療デバイス532を示すMR画像528を示している。第1の医療デバイス530は第1の複数のマーカ536を備え、第2の医療デバイス532は第2の複数のマーカ538を備える。第1の複数のマーカ536と第2の複数のマーカ538とが重なる構成により、第1の複数のマーカ536によって生じた画像アーチファクト540が変更(例えば、増幅)される。図15は、身体の通路556内に配置された第1の医療デバイス552及び第2の医療デバイス554を示すMR画像550を示している。第1の医療デバイス552は第1の複数のマーカ558を備え、第2の医療デバイス554は第2の複数のマーカ560を備える。第1の複数のマーカ558のマーカ562と第2の複数のマーカ560のマーカ564とが重なる構成により、第1の複数のマーカ558のマーカ562によって生じた画像アーチファクトが変更(例えば、増幅、減衰、除去)される。
【0093】
ステップ428は、ステップ402で使用されるMRスキャナに含まれるソフトウェア(例えば、アーチファクト認識、位置特定、追跡、画像処理、及び/又は機械学習を有するソフトウェア)を使用して、及び/又は臨床医によって遂行され得る。ステップ428の前に画像パラメータ及び/又はシーケンスパラメータが更新されたか否かに応じて、ステップ428は、代替的に、画像アーチファクト又は変更された画像アーチファクトに基づいて、MR画像パラメータ及び/又はシーケンスパラメータの第2のセットをMR画像パラメータ及び/又はシーケンスパラメータの第3のセットに変更することを含み得る。任意選択で、ステップ428は、MR画像が取り込まれ(例えば、ステップ404、ステップ414、ステップ424)、画像アーチファクトが検出され、変更された画像アーチファクトが検出され、複数の画像アーチファクトが検出され、画像アーチファクトの組み合わせが検出され、及び/又は画像アーチファクトが変更される(例えば、ステップ414、ステップ424)ときはいつでも、MR画像パラメータ及び/又はシーケンスが、第1の医療デバイス、第2の医療デバイス、及び/又は第1の医療デバイスと第2の医療デバイスとの組み合わせに配置された1つ以上のマーカによって生じた及び/又は変更された画像アーチファクトに基づいて定期的に変更又は更新されるように遂行され得る。このステップは、ステップ602において、及び/又は臨床医に使用されたMRスキャナに含まれるソフトウェアを用いて遂行され得る。変更されたMR画像は、画像アーチファクトの特性又は画像アーチファクトの組み合わせを用いて識別された医療デバイス(例えば、医療デバイスの一部分、医療デバイスの全体)、若しくは医療デバイスの組み合わせの重畳グラフィックを含むことができ、識別された医療デバイス(例えば、遠位端部)、医療デバイスの組み合わせ、画像アーチファクト、若しくは画像内の他のオブジェクトの増幅、減衰、若しくは省略された部分を含むことができ、及び/又は特定の実施形態に適すると考えられる任意の他の画像操作を含む。例えば、変更されたMR画像は、識別された画像アーチファクトに基づく平面、スライス、スライス厚、及び/又はシーケンスパラメータの操作を含むことができる。例えば、画像アーチファクト、又は変更された画像アーチファクトがソフトウェア又は臨床医によって識別されると、検出された画像アーチファクト、又は変更された画像アーチファクトに基づいて、画像パラメータ(例えば、平面選択に関連するもの、スライス、スライス厚、平面、シーケンスパラメータ)が(例えば、MRスキャナソフトによって)自動的に変更され得る。
【0094】
インターベンショナルMR手順は、一般に、所与の手順の様々な段階を通して、MRイメージングシーケンスパラメータに対して頻繁な調節又は変更を必要とする。例えば、血管手順は、デバイス追跡(例えば、高速フレームレート、低分解能、特定の組織特性の強調)の際にはあるシーケンスタイプで行い、インターベンショナルデバイスが標的部位まで挿入されたならば(例えば、より高い分解能、炎症、ADCなどの病変を検出するための異なる組織特性の強調)別のシーケンスタイプで行うことにより最適に行われ得る。或いは、1つ以上のインターベンショナルデバイスが複数のMRIベースの手順にわたって採用されて、特定のデバイス及び手順の構成に対して特定のイメージングシーケンスを必要とし得る。例えば、MRI対応ニードルは、それぞれが異なる全体的又は微細な追跡特性を必要とし、異なる解剖学的構造又は組織のタイプを強調する複数の軟組織生検手順にわたって使用され得る。従来、これらのイメージングプロトコルの多くは、MRスキャナを使用した臨床医による手作業での最適化を含み、これは術者間のばらつき及び非効率をもたらし得る。
【0095】
したがって、本明細書で説明される医療システム、デバイス、キット、及び方法は、手順が完了したときに少なくとも効率を上げる機構を提供する。例えば、本明細書で説明される方法を完了するために利用されるものなどのMRスキャナに含まれるソフトウェアは、本明細書で説明されるように、第1の医療デバイスに設けられた1つ以上のマーカ、第2の医療デバイスに作られた1つ以上のマーカ、及び/又はとして重なるマーカによってもたらされる画像アーチファクトの変更によって生じた識別された画像アーチファクトに基づいて、手順(例えば、平面選択、スライス選択)を通した、又は複数の手順にわたるパラメータの調節の自動化を提供するために利用され得る。したがって、1つ以上の画像アーチファクト及び/又は異なるデバイス若しくはコンポーネント構成の結果として得られる画像アーチファクトにおける動的変化の存在は、MRスキャナ又は臨床医がMRシーケンスパラメータの選択を自動化するために使用され得る。
【0096】
いくつかの手順では、ある手順段階から別の段階への移行は、2つ以上のデバイスの特定の構成と一致し、画像プロトコルの変更を必要とする場合がある。これらのデバイス上のマーカのアーチファクトにおける動的な変化は、結果として生じるMR画像内で、容易に識別可能な画像アーチファクト(例えば、信号、サイズ、形状、強度、又はパターンの変化)、又は画像アーチファクトにおける変化を生じるように調節され得る。本明細書で説明される方法を完了するために使用されるものなどのMRスキャナに含まれるイメージングソフトウェアは、画像アーチファクト、又は画像アーチファクトにおける変化を検出し、MRイメージングパラメータ及び/又はシーケンスを、手順の新しい段階に関する臨床医のニーズを満たすことができる最適なものに自動的に最適化することができる。
【0097】
本明細書で説明される医療システム、デバイス、キット、及び方法は、同じ1つ以上のデバイスを使用して、手順内、又は複数の手順にわたる他のイメージングパラメータ及び/又はシーケンスを自動的に変更するために使用され得る。例えば、MRシーケンスパラメータ(SE/GRE、TR、TE、フリップ角、視野、分解能、スライス厚、勾配磁場)における変化は、医療デバイス、又は少なくとも1つの画像アーチファクトの累積的変化をもたらす特定の組み合わせの2つ以上の医療デバイスによって生じた有効な画像アーチファクトの特性によってトリガされ得る。これらのアーチファクト駆動のトリガは、デバイス追跡の遷移を知らせて、MRシーケンスが複数のデバイスの磁場の中でどのようにデバイス又はコンポーネントを追跡するように適合されるかを導く、及び/又は手順の特定の部分の際に特定の組織の特性を強調するようにMRシーケンスを調節するために使用され得る(例えば、T1 v.T2重み付け画像)。
【0098】
例えば、1つ以上のデバイスの現在及び/又は以前の構成によって生じた識別された画像アーチファクト、又は変更された画像アーチファクトに基づいて、一連の連続MRシーケンスパラメータが連続的にトリガされ得る。次に、このプロセスは、手順全体を通してイメージングプロトコルを自動化するために使用され得る。或いは、単一の基礎デバイス、及びすべてが1つ以上の一意に相互作用するサセプタビリティマーカを有する複数の異なるものの対応する医療デバイス(例えば、様々なガイディングカテーテル又はバルーンカテーテル)を利用して、基礎デバイスとの少なくとも1つの対応するデバイスの使用に関連する特定の撮像手順は、初期のマルチデバイス構成(例えば、第1の医療デバイス及び第2の医療デバイスによって生じた画像アーチファクトの組み合わせ)によって生じた一意の画像アーチファクトの識別に基づいて自動的に検出され得る。このペアリングの検出を用いて、上述の連続デバイス構成によって生じた画像アーチファクトに基づいて、MRスキャナに含まれるソフトウェアによって、予めプログラムされたMRIシーケンスのセットが自動的にロードされ、トリガされ得る。換言すれば、2つ以上の医療デバイス上のサセプタビリティマーカの相互作用によって生じた画像アーチファクト(又は一連のアーチファクト)は、特定の医療デバイスのペアリング又はデバイス構成を識別するための固有のフィンガープリントとして機能し、MRI装置は自動的に手順、又は手順の次のステップに再構成される。
【0099】
ステップ430は、第1の医療デバイス及び/若しくは第2の医療デバイスなどの任意の適切な医療システム及び/若しくは医療デバイスを用いて治療を行うこと、並びに/又はステップ410で選択された手順を実行することによって遂行され得る。例えば、治療は、行われ、ステップ408で識別された組織に基づき得る。行うのに適すると考えられる治療の例としては、生検、本明細書で説明される医療システム及び/又は医療デバイスを使用する治療、身体の通路内で、既に配置されている第1の医療デバイスを使用し、第2の医療デバイスを第3の医療デバイスに入れ替えること、及び特定の実施形態に適すると考えられる任意の他の治療が挙げられる。
【0100】
ステップ404、ステップ406、ステップ408、ステップ410、ステップ412、ステップ414、ステップ416、ステップ418、ステップ420、ステップ422、ステップ424、ステップ426、ステップ428、及び/又はステップ430のそれぞれが、ステップ402で内部に患者が配置されたMRスキャナから患者を去らせることなく遂行され得る。
【0101】
方法400は、少なくとも、方法400の各ステップが、単回の患者の訪問の際に、同じMRスキャナを使用して行われ、その結果、効率が向上し、患者の訪問及び行われる手順の数を減らすことができるため、有利であると考えられる。このことにより、患者の1回の訪問で、医師が患者を可視化、診断、及び治療することができる手順のセットが得られる。いくつかのステップは、MRスキャナを使用して患者の一部分を走査する間に完了するものとして説明され、他のステップは、MRスキャナを使用して患者の一部分を走査する間に実行されるものとして説明されていないが、本明細書で説明される任意のステップは、MRスキャナ及び/若しくは超音波デバイスを使用して患者の一部分を走査している間、又はMRスキャナを使用して患者の一部分を走査することなしに完了され得る。超音波画像が取得される実施形態では、取得されたMR画像は、リアルタイムの超音波画像(例えば、前立腺の経直腸的超音波画像)と電子的に融合され得る。いくつかのステップは、MRスキャナを使用して患者の一部分を走査する間に完了するものとして説明されているが、このステップは、MRスキャナを使用して患者の一部分を走査する後続のステップが遂行され得るように、2つの別々のステップに分割され得る。更に、MRスキャナを使用して患者の一部分を走査する間に完了する任意のステップは、単一の静止画像を取得することを含み得、動きを示すためにシネとしてグループ化され得る複数のMR画像を取得するために任意の所望の回数繰り返され得る、及び/又はMRスキャナを使用して患者の一部分を走査する間に完了する任意のステップは、ライブリアルタイムMRI可視化下で完了するなど、ライブ画像を取得することを含み得る。
【0102】
本明細書で説明される医療システム、デバイス、キット、及び方法は、有利なことに、システム、又は異なる構成のデバイス、コンポーネント、又は機能のセットを使用して、手順を通して、又は複数の手順にわたって動的に変更され得るサセプタビリティベースのメーカアーチファクトを提供する。このように、本明細書で説明される医療システム、デバイス、キット、及び方法は、固定されたサセプタビリティマーカアーチファクトの従来の使用を拡大し、MRガイド下インターベンショナル手順における医療デバイス使用の多用途性を高める。加えて、サセプタビリティマーカによる磁場の歪みの位置ベースのアディティブ及びサブトラクティブ特性を利用すること(例えば、重ね合わせ)により、本明細書で説明される医療システム、デバイス、キット、及び方法は、互いに組み合わせて使用され得る様々な医療デバイスに利用され得る。最後に、本明細書で説明される医療システム、デバイス、キット、及び方法は、セミアクティブ共振回路又はアクティブアンテナコイルによって生じる動的に調節可能な画像アーチファクトの態様を、複製、又は少なくとも模倣し得るが、回路組み込み又は外部電源を必要としない。
【0103】
手順を通して、又は複数の手順にわたって画像アーチファクトのサイズ、形状、又は強度をリアルタイムで調節することができる、動的に調節可能なパッシブマーカを備えたインターベンショナルシステムが、患者のケアに関連する効率を高め、MRIガイド下治療での使用に適すると考えられる従来の医療システムを改善する。例えば、本明細書で説明される医療システム、デバイス、キット、及び方法は、MRIガイド下手順の際に臨床医の体験を簡素化する。このことは、マーカの画像アーチファクト又は変化を自動的に認識すること、新しいマーカの画像アーチファクトを手順内の新しい段階を表すものとして、又は新しい手順として解釈すること、及び識別された画像アーチファクトに基づいて、MRシーケンスパラメータを手順の所定のフェーズ又は段階において臨床医のニーズを満たすことができる最適なものに変更又は最適化することを含む。これにより、手作業によるシーケンス調節が不要になり、手順及び撮像パラメータが標準化され、インターベンショナルMR手順の安全性及び効率が向上する。
【0104】
いくつかの方法を本明細書で説明してきたが、方法は、医療専門家による侵襲的インターベンションを必要としない非侵襲的方法であってもよいことが理解されよう。例えば、方法は、例えば外耳道又は鼻腔などの通路内にデバイスを配置するために、そのような身体内腔又は通路内で実施され得る。同様に、方法は、例えば訓練目的で、解剖用の死体又は人工的な身体部分に実施されてもよい。更に、当業者であれば、本明細書で説明される方法が、人体又は動物の身体に全く使用されず、例えば産業セッティングにおいて、MRIイメージング技法を用いて他のタイプのデバイスを見るために使用されてもよいことを認識されよう。
【0105】
当業者であれば、本開示の全体的な教示に照らして、説明及び図示された例の様々な修正形態及び代替形態を開発することができ、本明細書で説明及び図示された1つの例の様々な要素及び特徴を、本発明の範囲から逸脱することなく、別の例の様々な要素及び特徴と組み合わせることができることを認識されよう。したがって、本明細書に開示された要素及びステップの特定の構成は、単に本発明の例を説明及び図示するために本発明者らによって選択されたものであり、本発明の範囲又はその保護範囲を限定することを意図されたものではなく、本発明の範囲又はその保護範囲は、添付の特許請求の範囲及びそのあらゆる均等物の全範囲が与えられる。

図1
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図5
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【国際調査報告】