(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-28
(54)【発明の名称】カートン
(51)【国際特許分類】
A61M 5/31 20060101AFI20250220BHJP
【FI】
A61M5/31
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024571268
(86)(22)【出願日】2023-02-16
(85)【翻訳文提出日】2024-09-26
(86)【国際出願番号】 EP2023053948
(87)【国際公開番号】W WO2023156553
(87)【国際公開日】2023-08-24
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524310416
【氏名又は名称】エムエム ニューポート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MM NEWPORT LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン ジェラード アルシャンボー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE14
4C066LL21
(57)【要約】
本発明は、注射器のバレルの内容物を不明瞭化するためのカートンに関し、カートンは、ハウジングであって、注射器の先端、バレルおよびフランジをハウジング内に挿入することができる開口部を含むハウジングと、注射器のバレルを収容する第1の部分と注射器のフランジを収容する第2の部分とを有するチャンバと、開口部の反対側のアパチャであって、注射器をハウジング内に挿入した時に、注射器の先端が突出し得るアパチャと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器のバレルの内容物を不明瞭化するためのカートンであって、
ハウジングであって、注射器の先端、バレル、およびフランジを前記ハウジング内に挿入することができる開口部を含むハウジングと、
前記注射器の前記バレルを収容する第1の部分と、前記注射器の前記フランジを収容する第2の部分とを有するチャンバと、
前記開口部の反対側のアパチャであって、前記注射器を前記ハウジング内に挿入した時に、前記注射器の前記先端が突出し得るアパチャと、
を備える、カートン。
【請求項2】
少なくとも1つのフラップ部分を備え、前記注射器を前記ハウジング内に挿入した後、前記フラップ部分が、前記注射器と係合しない第1の(例えば、ロック解除)構成から、前記注射器の前記フランジと係合して前記ハウジング内に前記注射器を固定する第2の(例えば、ロック)構成に移動可能である、請求項1に記載のカートン。
【請求項3】
少なくとも2つのフラップ部分を備え、前記注射器を前記ハウジング内に挿入した後、前記フラップ部分が、前記注射器と係合しない第1の(例えば、ロック解除)構成から、前記注射器の前記フランジと係合して前記ハウジング内に前記注射器を固定する第2の(例えば、ロック)構成に移動可能である、請求項1または請求項2に記載のカートン。
【請求項4】
前記フラップ部分は、前記第2の(例えば、ロック)構成にある時に、前記フラップ部分の端部が前記注射器の前記フランジに当接して、前記ハウジング内に前記注射器を固定するように寸法決めされている、請求項2または請求項3に記載のカートン。
【請求項5】
前記チャンバの前記第2の部分が、ユーザの指(例えば、人差し指および中指)と係合するように人間工学的に設計された(例えば、半円形の)(例えば、前記開口部の反対側の位置に配置される)凹部を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のカートン。
【請求項6】
前記チャンバの前記第2の部分が、前記注射器のプランジャを(例えば、完全に)押し下げることを可能にするように人間工学的に設計された(例えば、半円形の)(例えば、前記開口部に隣接する位置に配置される)プランジャ凹部を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のカートン。
【請求項7】
前記ハウジングが少なくとも実質的に不透明である、請求項1~6のいずれか一項に記載のカートン。
【請求項8】
前記ハウジングが前記注射器と実質的に相補的な形状(例えば、T字型プリズム)である、請求項1~7のいずれか一項に記載のカートン。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記注射器を前記ハウジング内に挿入した後、前記注射器の動きが実質的に防止されるように寸法決めされている、請求項1~8のいずれか一項に記載のカートン。
【請求項10】
同一の材料の連続シートから形成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のカートン。
【請求項11】
前記材料の連続シートが接着剤で形状保持されている、請求項10に記載のカートン。
【請求項12】
板紙で形成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のカートン。
【請求項13】
内部に注射器が配置されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のカートン。
【請求項14】
前記注射器の前記バレルが前記チャンバの前記第1の部分内にあり、前記注射器の前記フランジが前記チャンバの前記第1の部分内にあり、前記注射器の前記先端が前記ハウジングの外側に位置し、前記注射器の前記プランジャが前記ハウジングの前記開口部の外側に位置するように、前記注射器の前記先端が前記アパチャから突出している、請求項13に記載のカートン。
【請求項15】
注射器の前記バレルの前記内容物を不明瞭化するための、請求項1~14のいずれか一項に記載のカートンの使用。
【請求項16】
臨床試験中に患者に投与されている間、前記カートンが注射器の前記バレルの前記内容物を不明瞭化する、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の前記カートンを形成するためのブランク。
【請求項18】
単一の材料の連続シートを含むカートンのためのブランクであって、前記単一のシートは、
前記カートンの背面パネルを形成する第1のセクションと、
前記カートンの第1の側面パネルを形成する第2のセクションと、
前記カートンの前面パネルを形成する第3のセクションと、
前記カートンの第2の側面パネルを形成する第4のセクションと、
を含み、
前記第1のセクションは、折り目および/またはミシン目に沿って前記第2のセクションに接合され、
前記第2のセクションは、折り目および/またはミシン目に沿って前記第3のセクションに接合され、
前記第3のセクションは、折り目および/またはミシン目に沿って前記第4のセクションに接合され、
少なくとも1つのフラップが、少なくとも1つの前記折り目および/またはミシン目と実質的に同じ方向に、前記セクションのうちの1つ以上から長手方向に延在しており、
タブが、少なくとも1つの前記折り目および/またはミシン目に実質的に垂直な方向に、前記第1のセクションから長手方向に延在している、ブランク。
【請求項19】
更に少なくとも2つの切り込みを含み、前記第1の切り込みは、少なくとも1つの前記折り目および/またはミシン目に対して実質的に垂直な方向に、前記第2のセクションおよび前記第3のセクションの一部を横断しており、前記第2の切り込みは、少なくとも1つの前記折り目および/またはミシン目に対して実質的に垂直な方向に、前記第4のセクションおよび前記第3のセクションの一部を横断している、請求項18に記載のブランク。
【請求項20】
前記タブが前記第4のセクションの下側に接触し、接着剤でそこに取り付けられ、それによって、前記タブと前記第4のセクションとが一緒に接合されるように、前記ブランクは、前記折り目および/またはミシン目に沿って折り曲げられている、請求項18または19に記載のブランクを含む製品。
【請求項21】
前記第4のセクションの一部が前記第1のセクションの一部に接触し、接着剤でそこに取り付けられ、それによって、前記第1のセクションの一部を前記第4のセクションの一部に接合するように、前記ブランクは、更なる折り目および/またはミシン目に沿って折り曲げられている、請求項18~20のいずれか一項に記載のブランクを含む製品。
【請求項22】
請求項17~21のいずれか一項に記載のブランクを折り曲げることを含む、カートンの製造方法。
【請求項23】
図1~
図3を参照して、本明細書に実質的に記載したカートン。
【請求項24】
図5を参照して、本明細書に実質的に記載したブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装に関する。特に、本発明は、注射器のバレルの内容物を不明瞭化するカートンを提供する。
【背景技術】
【0002】
盲検臨床試験は、患者および/または医師のバイアスを排除するため、結果的に、潜在的なプラセボ効果を制限し得る。盲検臨床試験の要件を満たすには、薬剤の受取人、および多くの場合には薬剤を投与する医師が、プラセボまたは薬剤を受け取っているまたは投与しているか否かを知らないことが重要である。医師と患者との両方がプラセボまたは薬剤を受け取っているまたは投与しているか否かを知らない試験を「二重盲検」と呼ぶ。
【0003】
現在、薬剤/プラセボの盲検化を可能にするのは、例えば、薬剤またはプラセボを含む不透明なバイアル等のバイアルアンプル盲検化ソリューションの使用と、例えば、黒く塗りつぶされた注射器バレルまたはプラスチック製の注射器カバー等のプラスチック製注射器盲検化システムの使用と、例えば、布地でバイアルまたは注射器をカバーする等の間に合わせのシステムの使用とが含まれる。
【0004】
しかしながら、上記の盲検化の可能性の多くのケースでは、プラセボまたは薬剤を別の方法で包装するか、または試験用に新しい黒く塗りつぶされたまたは不透明な包装に移す必要がある場合があり、これはどちらもユーザにとって不便かつ費用がかかる可能性がある。更に、間に合わせのシステムはプラセボまたは薬剤の投与中に外れる可能性があり、盲検臨床試験の有効性が損なわれる可能性がある。
【0005】
従って、ユーザフレンドリーで、効果的であり、製造が容易かつ経済的な、盲検臨床試験のための効果的な注射器遮蔽カートンが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、注射器のバレルの内容物を不明瞭化するためのカートンが提供され、カートンは、ハウジングであって、注射器の先端、バレルおよびフランジをハウジング内に挿入することができる開口部を含むハウジングと、注射器のバレルを収容する第1の部分と注射器のフランジを収容する第2の部分とを備えるチャンバと、開口部の反対側のアパチャであって、注射器をハウジング内に挿入した時に、注射器の先端が突出するアパチャと、を備える。
【0007】
本明細書で使用されるように、「注射器」という用語は、(注射器の)組み立てられたプランジャ、バレル、フランジおよび先端を指し、先端には針および/または保護カバー(即ち、キャップ)が含まれてよい。従って、「注射器」という用語は、先端に針および/または保護カバー(即ち、キャップ)を含む注射器を指し得ることを理解されよう。更に、「注射器」という用語は、当技術分野で周知のあらゆる注射器(例えば、プレフィルド注射器を含む)を指すことを理解されよう。
【0008】
カートンは、少なくとも1つのフラップ部分を備えることができ、注射器(即ち、先端、バレルおよびフランジ)をハウジング内に挿入した後、フラップ部分は、注射器と係合しない第1の(例えば、ロック解除)構成から、注射器のフランジと係合して、ハウジング内に注射器を固定する第2の(例えば、ロック)構成に移動することができる。
【0009】
好ましくは、カートンは少なくとも2つのフラップ部分を備え、注射器(即ち、先端、バレルおよびフランジ)をハウジング内に挿入した後、フラップ部分は、注射器と係合しない第1の(例えば、ロック解除)構成から、注射器のフランジと係合して、ハウジング内に注射器を固定する第2の(例えば、ロック)構成に移動することができる。
【0010】
注射器(即ち、先端、バレルおよびフランジ)をハウジング内に挿入した後、注射器のバレルはチャンバの第1の部分内にあり、注射器のフランジはチャンバの第2の部分内にあり、注射器の先端がハウジングの外側に位置し、注射器のプランジャがハウジングの開口部の外側に位置するように、注射器の先端はアパチャから突出している。従って、本明細書で使用されるように、「ハウジング内の注射器」または「ハウジングの注射器」という語句は、上記の配置にある注射器を指す。
【0011】
注射器の先端、バレルおよびフランジをハウジング内に挿入しやすくするために、フラップ部分(単数または複数)が開口部内に配置され、注射器と係合しないように、フラップ部分は第1の(例えば、ロック解除)構成にある(または、その構成に移動される)必要がある。注射器の先端、バレルおよびフランジをハウジング内に挿入し、その後、先端をハウジングのアパチャから突出させた後、フラップ部分は、フラップ部分が注射器のフランジと係合して、それによって注射器をハウジング内に固定する第2の(例えば、ロック)構成にある(即ち、その構成に移動される)ことができる。
【0012】
本明細書で使用されるように、「注射器をハウジング内に固定する」という語句は、注射器がハウジングの開口部を通って戻る動きが実質的に防止されることを意味する。換言すると、第2の(例えば、ロック)構成では、フラップ部分により、ハウジングの開口部から注射器の先端、バレルおよびフランジが引き戻されることを防ぎ、それによって、使用中(例えば、注射器のバレルの内容物を患者に投与する間)にカートンが注射器から落下するのを防ぐ。ユーザ(例えば、注射器のユーザ)は、ハウジング内に注射器の先端、バレルおよびフランジを挿入した後、フラップ部分を第1の(例えば、ロック解除)構成と第2の(例えば、ロック)構成との間で移動させることができる。
【0013】
フラップ部分(単数または複数)は、第1の端部および第2の端部を含むことが理解されよう。フラップ部分または各フラップ部分の第1の端部は、ハウジングの開口部に実質的に隣接する位置でハウジングに取り付けられ得る。好ましくは、フラップ部分または各フラップ部分の第1の端部は、ハウジングの開口部の端縁またはリム上でハウジングに取り付けられる。好ましくは、フラップ部分または各フラップ部分の第1の端部は、ハウジングの延長である(即ち、同一の材料の連続シートから形成される)。本発明のカートンが少なくとも2つのフラップ部分を含む場合、フラップ部分は、ハウジングの開口部の端縁またはリム上/その周囲に均一に分散されることが好ましい。
【0014】
ハウジングの開口部は、実質的に正方形または長方形であってよい。本発明のカートンが少なくとも1つまたは少なくとも2つのフラップ部分を含む場合、フラップ部分または各フラップ部分は、ハウジングの正方形または長方形の開口部の側面(即ち、開口部の側面/端縁)に配置され得る。本発明のカートンが少なくとも2つのフラップ部分を含む場合、フラップ部分は、ハウジングの正方形または長方形の開口部の対向側面(即ち、開口部の反対の側面/端縁)に配置するのが好ましい。
【0015】
好ましくは、フラップ部分(単数または複数)は、第2の(例えば、ロック)構成にある時に、フラップ部分または各フラップ部分の第2の端部が注射器のフランジに当接し、それによって注射器をハウジング内に固定するように寸法決めされている。フラップ部分(単数または複数)は、注射器がハウジングの開口部を通って戻る動きに対して抵抗し、それによって、使用中にカートンが注射器から落下するのを防ぐことができる。しかしながら、必要な場合(即ち、注射器の使用後)、ユーザは、フラップ部分を第2の(例えば、ロック)構成と第1の(例えば、ロック解除)構成との間で移動させ、注射器の先端、バレルおよびフランジを開口部から取り外すことによって、カートンから注射器を取り外すことができることが理解されよう。
【0016】
チャンバの第2の部分は、ユーザ(例えば、注射器のユーザ)の指(例えば、人差し指および中指)と係合するように人間工学的に設計された(例えば、半円形の)(例えば、開口部の反対側に配置される)凹部を含むことができる。凹部は、注射器の使用中(例えば、注射器のバレルの内容物を患者に投与する間)にユーザの指を置くことができるレストを提供することができる。凹部は、ユーザの指に相補的になるように成形され、寸法決めされてよく、それによって注射器の使用を容易にする。
【0017】
チャンバの第2の部分は、注射器のプランジャを(例えば、完全に)押し下げることができるように人間工学的に設計された(例えば、半円形の)(例えば、開口部に隣接する位置に配置される)プランジャ凹部を含むことができる。注射器を使用するには(例えば、注射器のバレルの内容物を患者に投与するには)、プランジャがバレル内の所望の位置に到達するまで、ユーザ(例えば、注射器のユーザ)が注射器のプランジャを押し下げる必要があることを理解されよう。プランジャ凹部は、注射器のプランジャを(例えば、完全に)押し下げることができるように成形され、寸法決めされてよい。従って、注射器がハウジング内にある間に、注射器のバレルの内容物全てを投与することができる。
【0018】
好ましくは、ハウジングは少なくとも実質的に不透明である。実質的に不透明なハウジングにより、注射器(即ち、先端、バレルおよびフランジ)をハウジング内に挿入した後、注射器のバレルの内容物を、ユーザ(例えば、注射器のユーザ)、医師または患者等から不明瞭化するか、または部分的に不明瞭化することができる。
【0019】
本明細書で使用されるように、不明瞭化または部分的に不明瞭化という語句は、ユーザ(例えば、注射器のユーザ)、医師または患者等が、本発明のカートン内の注射器(例えば、注射器バレル)の内容物を(例えば、ラベルを読み取ることによって)識別できないこと、および/または、(例えば、注射器バレル内に)第1の物質を収容する注射器を含む本発明のカートンと、(例えば、注射器バレル内に)第2の(即ち、異なる)物質を収容する注射器を含む本発明のカートンとを区別できないことを意味する。しかしながら、ユーザ(例えば、注射器のユーザ)、医師または患者等が、本発明のカートン内の注射器のバレル、フランジおよび/またはラベルを見ることはできるが、その内部の物質を識別または区別することはできない場合があることは理解されよう。
【0020】
好ましくは、ハウジングは、注射器と実質的に相補的な形状(例えば、T字型プリズム)である。ハウジングが注射器と実質的に相補的な形状である場合、ハウジング内での注射器の使用(例えば、バレルの内容物の患者への投与)は単純であり、覆いのない注射器の使用に匹敵し得る。しかしながら、ハウジングは任意の形状(例えば、直方体、例えば、三角プリズム)であってよいことは理解されよう。
【0021】
ハウジングの開口部は、注射器の先端、バレルおよびフランジが開口部を通してハウジング内に挿入されるように寸法決めされる。チャンバの第1の部分は注射器のバレルを収容するように寸法決めされており、チャンバの第2の部分は注射器のフランジを収容するように寸法決めされている。アパチャは、注射器がハウジング内に挿入された時に、注射器の先端がアパチャから突出し得るように寸法決めされている。
【0022】
好ましくは、ハウジングは、注射器をハウジング内に挿入した後、注射器(即ち、ハウジング内)の動きが実質的に防止されるように寸法決めされている。ハウジング内での注射器の動きは、注射器の使用(例えば、注射器のバレルの内容物の患者への投与)を妨げる可能性がある。従って、注射器の使用を容易にするために、注射器(即ち、ハウジング内)の動きが実質的に防止されることが好ましい。
【0023】
カートンは、同一の材料の連続シートから形成することができる。材料の連続シートは、接着剤(例えば、糊)で形状保持することができる。接着剤(例えば、糊)は、材料の連続シートのタブ部分上に存在してもよい。好ましくは、カートンを形成するために使用される材料は、紙ベースの材料、例えば、板紙、例えば、段ボールである。カートンは、従来の製造手順を使用して製造することができ、製造が容易である。
【0024】
カートンは、内部に注射器が配置されてもよい。注射器は、プレフィルド注射器であってよい。注射器は、(例えば、バレル内に)物質を収容することができる。物質は、医薬品またはヘルスケア製品であってよい。製品は、液体または粉末であってよい。しかしながら、粉末は、患者に投与する前に溶液で再構成する必要があることは理解されよう。好ましくは、注射器のバレルはチャンバの第1の部分内にあり、注射器のフランジはチャンバの第2の部分内にあり、注射器の先端がハウジングの外側に位置し、注射器のプランジャがハウジングの開口部の外側に位置するように、注射器の先端はアパチャから突出している。好ましくは、注射器は、注射器をハウジング内に挿入した後、注射器(即ち、ハウジング内)の動きが実質的に防止されるように寸法決めされる。
【0025】
本発明の更なる態様では、注射器のバレルの内容物を不明瞭化するためのカートンの使用が提供される。カートンは、臨床試験(例えば、臨床試験フェーズ3およびフェーズ4研究)中に患者に投与される間、注射器のバレルの内容物を不明瞭化することができる。
【0026】
本発明の更なる態様では、本明細書に記載のいずれかの記述に従ってカートンを形成するためのブランクが提供される。
【0027】
本発明の更なる態様では、単一の材料の連続シートを含むカートンのためのブランクが提供され、単一のシートは、カートンの背面パネルを形成する第1のセクションと、カートンの第1の側面パネルを形成する第2のセクションと、カートンの前面パネルを形成する第3のセクションと、カートンの第2の側面パネルを形成する第4のセクションとを含み、第1のセクションは、折り目および/またはミシン目に沿って第2のセクションに接合され、第2のセクションは、折り目および/またはミシン目に沿って第3のセクションに接合され、第3のセクションは、折り目および/またはミシン目に沿って第4のセクションに接合され、少なくとも1つのフラップは、少なくとも1つの折り目および/またはミシン目と実質的に同じ方向にセクションのうちの1つ以上から長手方向に延在しており、タブは、少なくとも1つの折り目および/またはミシン目に実質的に垂直な方向に第1のセクションから長手方向に延在している。
【0028】
ブランクは、更に、少なくとも2つの切り込みを含むことができ、第1の切り込みは、少なくとも1つの折り目および/またはミシン目に実質的に垂直な方向に、第2のセクションおよび第3のセクションの一部を横断し、第2の切り込みは、少なくとも1つの折り目および/またはミシン目に実質的に垂直な方向に、第4のセクションおよび第3のセクションの一部を横断する。
【0029】
ブランクは、更に、第1のセクションおよび第3のセクションに凹部(例えば、切り欠き)を備えてもよい。
【0030】
ブランクは、折り目および/またはミシン目に沿って折り曲げられ、それにより、タブが第4のセクションの下側に接触し、接着剤でそこに取り付けられ、それによってタブと第4のセクションとが接合される。
【0031】
ブランクは、更なる折り目および/またはミシン目に沿って折り曲げられ、それにより、第4のセクションの一部が第1のセクションの一部に接触し、接着剤でそこに取り付けられ、それによって第1のセクションの一部が第4のセクションの一部に接合される。
【0032】
当業者は、折り目および/またはミシン目に沿ってブランクを折り曲げてカートンを形成することができることを理解されよう。
【0033】
本発明の更なる態様では、本明細書に記載のようにブランクを折り曲げることを含むカートンの製造方法が提供される。有利には、カートンはブランクから容易に組み立てられる。
【0034】
次に、本発明の一実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例示として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図4】本発明によるカートン内に配置可能な、組み立てられた注射器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1、
図2、および
図3は、本発明の一態様による注射器のバレルの内容物を不明瞭化するためのカートンを示す。
図2および
図3は、
図1と同じカートンの異なる図を示す。
図5は、本発明の一態様によるカートンのブランクを示す。
【0037】
カートン100は、ハウジング101、第1のフラップ部分110および第2のフラップ部分120を含み、同一の紙の連続シート(例えば、板紙)または他の適切な材料(例えば、段ボール)から形成される。紙の連続シート(例えば、板紙)または他の適切な材料(例えば、段ボール)は、実質的に不透明である。カートン100は、内部(即ち、バレル内)に液体医薬品(例えば、薬剤またはプラセボ)を含む注射器(例えば、プレフィルド注射器を含む)(
図4参照)を収容することができる。
【0038】
ハウジング101は、ハウジング101の一端に、注射器の先端、バレルおよびフランジ(即ち、組み立てられた注射器、例えば
図4参照)をハウジング101内に挿入することができる長円形の開口部102と、注射器のバレルを収容する第1の部分103と注射器のフランジを収容する第2の部分104とを有するチャンバと、開口部102の反対側のアパチャ105であって、注射器をハウジング101に挿入した時に、注射器の先端が突出し得るアパチャ105と、を有する。
【0039】
チャンバ104の第2の部分は、半円形の凹部107aおよび107bを有し、これらは、開口部102の反対側にあるチャンバ104の第2の部分の壁に配置され、チャンバ103の第1の部分への入口の両側に配置されている。凹部107aおよび107bは、ユーザの人差し指および中指の形状に相補的であり、ユーザの人差し指および中指にフィットするよう寸法決めされている。チャンバ104の第2の部分は、半円形のプランジャ凹部106aおよび106bを有し、これらは開口部102に隣接して、かつ開口部102の対向側面に配置され、注射器のプランジャを完全に押し下げることができるように寸法決めされている。
【0040】
開口部102は、注射器の先端、バレルおよびフランジが開口部102を通してハウジング内に挿入できるように寸法決めされている。チャンバ103の第1の部分は注射器のバレルを収容するように寸法決めされており、チャンバ104の第2の部分は注射器のフランジを収容するように寸法決めされている。アパチャ105は、注射器がハウジング101内に挿入された時に、注射器の先端(針および/または保護キャップを含む)がアパチャ105から突出することができるように寸法決めされている。
【0041】
2つのフラップ部分110および120は、ハウジング101の延長であり、同一の紙の連続シート(例えば、板紙)または他の適切な材料(例えば、段ボール)で形成されていることを理解されよう。2つのフラップ部分110および120はそれぞれ、第1の端部110a/120aおよび第2の端部110b/120bを有する。2つのフラップ部分110および120の第1の端部110a/120aは、対向側面の開口部102の端縁でハウジング101に取り付けられている。
図1に示すように、第1の(例えば、ロック解除)構成では、2つのフラップ部分110および120が開口部102内に配置され、注射器と係合しないように、2つのフラップ部分110および120を配置する。
【0042】
ハウジング101内に注射器(即ち、先端、バレルおよびフランジ)(
図1には図示せず)を挿入した後、2つのフラップ部分110および120は、第1の(例えば、ロック解除)構成から、第2の端部110b/120bが注射器のフランジに当接して、それによって注射器をハウジング101内に固定する第2の(例えば、ロック)構成に移動される。2つのフラップ部分110および120は、第2の(例えば、ロック)構成にある時に、第2の端部110b/120bが、注射器がハウジング101の開口部102を通って戻る動きに抵抗し、それによって、使用中にカートン100が注射器から落下するのを防ぐように寸法決めされている。しかしながら、必要な場合(即ち、注射器の使用後)、ユーザは、2つのフラップ部分110および120を第2の(例えば、ロック)構成と第1の(例えば、ロック解除)構成との間で動かし、注射器の先端、バレルおよびフランジを開口部102から取り外すことによって、ハウジング101から注射器を取り外すことができることを理解されよう。
【0043】
図4は、本発明によるカートン内に配置可能な、組み立てられた注射器の概略図である。注射器300は、バレル301、フランジ302、プランジャ303、および針305を備える先端304を含む。
【0044】
図5は、ブランク200を示す。
図5に示されるブランクは、
図1、
図2および
図3に示されるカートン100を形成するように構成されている。
【0045】
ブランク200は、カートンの背面パネルを形成する第1のセクション201と、カートンの第1の側面パネルを形成する第2のセクション202と、カートンの前面パネルを形成する第3のセクション203と、カートンの第2の側面パネルを形成する第4のセクション204とを含む。第1のセクション201は、折り目208および209に沿って第2のセクションに接合されている。第2のセクション202は、折り目213およびミシン目214に沿って第3のセクション203に接合されている。第3のセクション203は、折り目220およびミシン目221に沿って第4のセクション204に接合されている。
【0046】
フラップ211は、折り目208と実質的に同じ方向に第2のセクション202から長手方向に延在しており、折り目212に沿って第2のセクション202に接合されている。フラップ223は、折り目220と実質的に同じ方向に第4のセクション204から長手方向に延在しており、折り目224に沿って第4のセクションに接合されている。
【0047】
タブ205は、ミシン目206に実質的に垂直な方向に第1のセクション201から長手方向に延在しており、ミシン目206に沿って第1のセクション201に接合されている。
【0048】
第1のセクション201は、プランジャ凹部207を形成するように凹んでいる。第3のセクション203は、プランジャ凹部207と同じ形状および寸法のプランジャ凹部219を形成するように凹んでいる。
【0049】
第2のセクション202は、(折り目209/208からミシン目214/折り目213まで)折り目209に実質的に垂直な方向に第2のセクション202を横断する切り込み210を含む。
【0050】
第3のセクション203は、第3のセクション203の端縁から第3のセクション203の長さの実質的に半分以上にわたって、第3のセクション203の長手方向に延在する2つの平行な折り目215、216を有する。半円形の切り込み217は、折り目215に実質的に垂直な方向に、折り目215から第2のセクション202(ミシン目214、切り込み210および折り目213が収束する場所)まで延在している。半円形の切り込み218は、折り目216に実質的に垂直な方向に、折り目216から第4のセクション204(ミシン目221、切り込み222および折り目220が収束する場所)まで延在している。
【0051】
第4のセクション204は、折り目220に実質的に垂直な方向に、第4のセクション204を(第4のセクション204の端縁からミシン目221/折り目220まで)横断する切り込み222を含む。
【0052】
ブランク200は、当業者によって組み立てられ、
図1のカートンを形成できることは理解されよう。ブランク200の組み立て方法の一例を以下に示す。
【0053】
ブランク200をカートン100に組み立てるには、タブ205が第4のセクション204の下側に接触し、接着剤でそこに取り付けられて、タブ205と第4のセクション205とが接合されるように、ブランクを折り目および/またはミシン目に沿って折り曲げる。
【0054】
次に、第4のセクション204の一部が第1のセクション201の一部に接触し、接着剤でそこに取り付けられて、第1のセクション201の一部を第4のセクション204の一部に接合するように、ブランク200を更なる折り目および/またはミシン目に沿って折り曲げる。
【0055】
次に、第2のセクション202は、第1のセクション201に対して垂直に移動する。第3のセクション203は、第3のセクション203の一部が第1のセクション201と平行になり、第3のセクション203の一部(折り目216とミシン目221との間)が第1のセクション201に対して垂直になるように、第2のセクション202と同期して移動する。
【0056】
次に、第2のセクション202の一部(即ち、折り目209とミシン目214との間)および第3のセクション203の一部(即ち、折り目215とミシン目214との間)は、第2のセクション202の一部が第1のセクション201に接触し、第3のセクション203の一部が第1のセクション201に対して垂直になるように、折り目215、209およびミシン目214に沿って、第1のセクション201の下側に向けて折り曲げられる。
【0057】
開口部102は、第1のセクション201、第2のセクション202、第3のセクション203および第4のセクション204の端縁から形成される。フラップ211およびフラップ223はそれぞれ、開口部102の対向側面に位置するフラップ部分110および120を形成する。
【0058】
チャンバ103の第1の部分は、第1のセクション201の下側の一部と、第1のセクション201に垂直な第3のセクション203の部分の下側と、第1のセクション201に平行な第3のセクション203の一部とから形成される。アパチャ105は、第1のセクション201の端縁の一部と、第1のセクション201に垂直な第3のセクション203の端縁の一部と、第1のセクション201に平行な第3のセクション203の端縁の一部(折り目125と折り目216との間)と、から形成される。
【0059】
チャンバ104の第2の部分は、第1のセクション201、第2のセクション202、第3のセクション203および第4のセクション204の下側の部分から形成される。
【0060】
半円形の切り込み217および218は、チャンバ104の第2の部分の壁に配置された凹部107aおよび107bを形成する。凹部207および219は、開口部102に隣接し、開口部102の対向側面に配置されたプランジャ凹部106aおよび106bを形成する。
【国際調査報告】