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特表2025-505896グループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッド及びその製造方法
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  • 特表-グループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッド及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-03
(54)【発明の名称】グループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッド及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20250221BHJP
   A24D 3/02 20060101ALI20250221BHJP
   A24D 3/08 20060101ALI20250221BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D3/02
A24D3/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024571108
(86)(22)【出願日】2023-02-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 CN2023076384
(87)【国際公開番号】W WO2024060499
(87)【国際公開日】2024-03-28
(31)【優先権主張番号】202211162199.9
(32)【優先日】2022-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524310379
【氏名又は名称】雲南中烟工業有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA TOBACCO YUNNAN INDUSTRIAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】岳 保山
(72)【発明者】
【氏名】▲セン▼ 建波
(72)【発明者】
【氏名】王 涛
(72)【発明者】
【氏名】謝 妖
(72)【発明者】
【氏名】王 旭
(72)【発明者】
【氏名】鄭 ▲カン▼
(72)【発明者】
【氏名】王 浩
(72)【発明者】
【氏名】余 耀
(72)【発明者】
【氏名】余 ▲テイテイ▼
(72)【発明者】
【氏名】程 量
(72)【発明者】
【氏名】丁 衛
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045BA05
4B045BB05
4B045BC05
4B045BD06
4B045BD54
(57)【要約】
本発明は、グループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッド及びその製造方法を提供し、タバコ製造技術分野に関する。当該ポリ乳酸繊維フィルターロッドは内層コアと外層スキンを含み、内層コアと外層スキンは何れも複数本のポリ乳酸繊維トウで複合してなり、内層コアにおけるポリ乳酸繊維トウは第1成分原料で製造されてなり、外層スキンにおけるポリ乳酸繊維トウは第2成分原料で製造されてなり、第1成分原料のL-乳酸モノマーの含有量は第2成分原料のL-乳酸モノマーの含有量よりも高く、且つ第1成分原料に分散剤が添加され、第2成分原料にグリセロール三酢酸が添加されている。本発明は設置が簡単であり、ポリ乳酸原料の性質を厳しく制御することで、全ての外層スキンが統一された結晶化度を有し、全ての内層コアも統一された結晶化度を有し、且つトウが結晶化すると、ノードが均一に分布され、且つ製造されたポリ乳酸繊維フィルターロッドの内側と外側が漸変結晶化度を有し、加工プロセスがより安定的であり、フィルターロッドの吸着性能が確保される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッドであって、内層コア(1)及び前記内層コア(1)の外側に設置された外層スキン(2)を含み、前記内層コア(1)及び外層スキン(2)は何れも複数本のポリ乳酸繊維トウで複合してなり、前記内層コア(1)におけるポリ乳酸繊維トウは第1成分原料で製造されてなり、前記外層スキン(2)におけるポリ乳酸繊維トウは第2成分原料で製造されてなり、前記第1成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量は前記第2成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量よりも高く、且つ前記第1成分原料に分散剤が添加され、前記第2成分原料にグリセロール三酢酸が添加され、前記内層コア(1)におけるポリ乳酸繊維トウは、前記内層コア(1)におけるポリ乳酸繊維トウの結晶化度を向上させるために、ドラフト応力により結晶の生成が誘発される、ことを特徴とするポリ乳酸繊維フィルターロッド。
【請求項2】
前記内層コア(1)及び外層スキン(2)におけるポリ乳酸繊維トウ数の比率範囲は30:70~35:65の間である、ことを特徴とする請求項1に記載のグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッド。
【請求項3】
前記第1成分原料及び第2成分原料に何れも核形成剤が添加され、且つ前記第1成分原料における核形成剤の含有量は前記第2成分原料における核形成剤の含有量以上である、ことを特徴とする請求項1に記載のグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッド。
【請求項4】
前記内層コア(1)と外層スキン(2)との間に遷移層(3)が設置され、前記遷移層は複数本のポリ乳酸繊維トウで複合してなり、且つ前記遷移層(3)のポリ乳酸繊維トウに用いた成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量は、前記第1成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量以下であり、且つ前記第2成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量以上である、ことを特徴とする請求項1に記載のグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッド。
【請求項5】
前記遷移層(3)の数は少なくとも2つであり、且つ前記内層コア(1)に近い遷移層(3)のポリ乳酸繊維トウに用いた成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量は、前記外層スキン(2)に近い遷移層(3)のポリ乳酸繊維トウに用いた成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量以上である、ことを特徴とする請求項4に記載のグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッド。
【請求項6】
前記遷移層(3)のポリ乳酸繊維トウに用いた成分原料にも核形成剤が添加され、当該成分原料における核形成剤の含有量は、前記第1成分原料における核形成剤の含有量以下であり、且つ前記第2成分原料における核形成剤の含有量以上である、ことを特徴とする請求項4に記載のグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッド。
【請求項7】
前記外層スキン(2)の外側に酢酸繊維トウ層(4)が設置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッド。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載のグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッドの製造方法であって、
S1:L-ラセミ体の含有量が第1所定値であるポリ乳酸を取得し、分散剤を添加して第1成分原料を得て、第1成分原料の紡糸時にドラフト応力により結晶化が誘発され、第1ポリ乳酸繊維トウを得るステップと、
S2:L-ラセミ体の含有量が、第1所定値よりも低い第2所定値であるポリ乳酸を取得し、グリセロール三酢酸を添加して第2成分原料を得て、第2成分原料を第2ポリ乳酸繊維トウに紡糸するステップと、
S3:複数本の第1ポリ乳酸繊維トウを複合して内層コアを形成し、複数本の第2ポリ乳酸繊維トウを複合して外層スキンを形成し、前記外層スキンで内層コアの外側を被覆し、スキンコア構造を有するポリ乳酸繊維フィルターロッドを形成するステップと、を含む、ことを特徴とする製造方法。
【請求項9】
ステップS3を実行する前に、L-ラセミ体の含有量が第3所定値であるポリ乳酸を取得し、第3ポリ乳酸繊維トウを得て、複数本の第3ポリ乳酸繊維トウを複合して遷移層を形成し、
ステップS3を実行する際に、前記遷移層で内層コアの外側を被覆し、更に前記外層スキンで遷移層の外側を被覆する、ことを特徴とする請求項8に記載のグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッドの製造方法。
【請求項10】
ステップS3を実行した後に、前記外層スキンの外側を酢酸繊維トウ層で被覆する、ことを特徴とする請求項8に記載のグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコ製造技術分野に関し、特に、本発明は、グループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッド及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ乳酸(poly lactic acid、PLA)は、再生可能な植物資源からデンプンを発酵させて乳酸を製造した後、化学合成により高分子材料に製造され、リサイクル性及び生分解性に優れており、以下の特徴を有する。1、再生可能な植物資源(トウモロコシ、小麦、テンサイ、米、ジャガイモ、サトイモなど)及び有機廃棄物(トウモロコシの穂軸又は他の作物の根、茎、葉、皮など)を原料として、木材及び石油資源への依存から解放され、持続可能な開発の要件を満たす。2、完全に生分解可能であり、自然環境において一定期間後に水と二酸化炭素に自然に分解され、環境汚染を引き起こすことなく、産生した二酸化炭素は植物の光合作用によって再利用され、永遠の閉じた炭素循環システムになり、本当の「グリーン材料」である。3、ポリエステル、ナイロン、アクリルの3つの合成繊維と比較して、ポリ乳酸繊維を生産するためのエネルギー消費が比較的低く、資源と環境への負荷が相対的に低い高分子材料である。4、良好な加工性能を有し、一般的な熱可塑性樹脂の溶融紡糸方法を使用してトウを製造することができる。
【0003】
現在、ポリ乳酸繊維はタバコ用トウなどの分野に向けて開発されているが、タバコトウ用ポリ乳酸繊維と、従来の服装用ポリ乳酸トウとは、性能要件において大きく異なる。例えば、服装用ポリ乳酸繊維は、繊維紡績、製織及び織物の印刷と染色、洗濯、アイロンがけの要件を満たさなければならず、非常に高い結晶化度、配向度及び機械的強度を備えなければならず、80~100℃の温度に耐えることができ、洗剤水溶液とドライクリーニング溶剤に溶解及び膨潤してはならず、一定の吸湿性が必要であり、同時に周囲環境における他のガス物質の吸着は少ないほど良い。しかし、タバコ用トウとして、以下の要件を満たさなければならない。(1)巻き取られたフィルターロッドは無毒、無臭で、安全である。(2)トウの安定性が良く、フィルターロッド成形デバイス及びプロセス要件を満たすことができる。(3)適切な剛性及びカール性能を有するため、良好な弾性及び開口性を有し、トウ充填量が比較的少ない場合、可塑剤又は接着剤を添加することにより、フィルターロッドは一定の硬度、吸引抵抗及び外観品質の要件を満たすことができ、比較的高いロッド生成率を有する。(4)十分な耐熱性を有し、巻きタバコの喫煙中にフィルター先端が潰れたり変形したりしない。(5)煙の有害成分に対してフィルタリング効率が比較的高い。(6)巻きタバコの感覚品質に影響を与えない。従って、タバコ用の要件を満たすために、専用の紡糸及び後処理のプロセス技術を開発する必要がある。
【0004】
例えば、中国特許の発明特許CN103074716Aは、スキンコア構造のポリ乳酸タバコ用トウ及びフィルターロッド並びにその製造方法に関する。トウにおける単一繊維は、内層コアと外層スキンで構成されたスキンコア構造であり、スキン層とコア層の本体の樹脂は何れもポリ乳酸であり、スキン層樹脂とコア層樹脂との重量比は20:80~40:60であり、トウのスキン層とコア層の結晶化度はそれぞれ、3~25%と25~60%であり、スキン層とコア層の融点はそれぞれ、120~150℃と150~175℃である。上記の発明は、コア層とスキン層の両方の利点を組み合わせ、コア層は比較的高い物理機械的性能及び耐熱性能を提供し、スキン層は良好な可接着性を提供する。一般的な可塑剤(グリセロール三酢酸など)を容易に使用してフィルターロッドの成形加工を行うことができる。更に、上記の発明が提供するスキンコア構造のポリ乳酸トウは、そのコア層、スキン層が何れも良好な生分解性を有し、環境に優しいタバコ用トウである。
【0005】
しかし、上記のフィルターロッド製造構造は依然として、スキン層樹脂及びコア層樹脂が何れも様々な原料から複合して紡糸され、ポリ乳酸原料の性質を制御することなく、様々な原料の結晶化度の差、トウノードの位置及び数の差が比較的大きいため、上記のスキンコア構造のポリ乳酸トウの加工プロセスが不安定になるという問題がある。
【0006】
上記問題を解決するために、合理的且つ効率的なグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッドを設計することは必要である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、設置が簡単であるグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッドであって、ポリ乳酸原料の性質を厳しく制御することで、全ての外層スキンが統一された結晶化度を有し、全ての内層コアも統一された結晶化度を有し、且つトウが結晶化すると、ノードが均一に分布され、且つ製造されたポリ乳酸繊維フィルターロッドの内側と外側が漸変結晶化度を有し、加工プロセスがより安定的である、ポリ乳酸繊維フィルターロッドを提供することである。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を用いて実現される。
グループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッドであって、内層コア及び前記内層コアの外側に設置された外層スキンを含み、前記内層コアと外層スキンは何れも複数本のポリ乳酸繊維トウで複合してなり、前記内層コアのポリ乳酸繊維トウは第1成分原料で製造されてなり、前記外層スキンのポリ乳酸繊維トウは第2成分原料で製造されてなり、前記第1成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量は前記第2成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量よりも高く、且つ前記第1成分原料に分散剤が添加され、前記第2成分原料にグリセロール三酢酸が添加され、前記内層コアのポリ乳酸繊維トウは、前記内層コアのポリ乳酸繊維トウの結晶化度を向上させるために、ドラフト応力により結晶の生成が誘発される。
【0009】
本発明の好ましい形態として、前記内層コアと外層スキンのポリ乳酸繊維トウ数の比率範囲は30:70~35:65の間である。
【0010】
本発明の好ましい形態として、前記第1成分原料及び第2成分原料に何れも核形成剤が添加され、且つ前記第1成分原料における核形成剤の含有量は前記第2成分原料における核形成剤の含有量以上である。
【0011】
本発明の好ましい形態として、前記内層コアと外層スキンとの間に遷移層が設置され、前記遷移層は複数本のポリ乳酸繊維トウで複合してなり、且つ前記遷移層のポリ乳酸繊維トウに用いた成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量は、前記第1成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量以下であり、且つ前記第2成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量以上である。
【0012】
本発明の好ましい形態として、前記遷移層の数は少なくとも2つであり、且つ前記内層コアに近い遷移層のポリ乳酸繊維トウに用いた成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量は、前記外層スキンに近い遷移層のポリ乳酸繊維トウに用いた成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量以上である。
【0013】
本発明の好ましい形態として、前記遷移層のポリ乳酸繊維トウに用いた成分原料にも核形成剤が添加され、当該成分原料における核形成剤の含有量は、前記第1成分原料における核形成剤の含有量以下であり、且つ前記第2成分原料における核形成剤の含有量以上である。
【0014】
本発明の好ましい形態として、前記外層スキンの外側に酢酸繊維トウ層が設置されている。
【0015】
本発明は、グループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッドの製造方法であって、
S1:L-ラセミ体の含有量が第1所定値であるポリ乳酸を取得し、分散剤を添加して第1成分原料を得て、第1成分原料の紡糸時にドラフト応力により結晶化が誘発され、第1ポリ乳酸繊維トウを得るステップと、
S2:L-ラセミ体の含有量が、第1所定値よりも低い第2所定値であるポリ乳酸を取得し、グリセロール三酢酸を添加して第2成分原料を得て、第2成分原料を第2ポリ乳酸繊維トウに紡糸するステップと、
S3:複数本の第1ポリ乳酸繊維トウを複合して内層コアを形成し、複数本の第2ポリ乳酸繊維トウを複合して外層スキンを形成し、前記外層スキンで内層コアの外側を被覆し、スキンコア構造を有するポリ乳酸繊維フィルターロッドを形成するステップと、を含む、製造方法を更に提供する。
【0016】
本発明の好ましい形態として、ステップS3を実行する前に、L-ラセミ体の含有量が第3所定値であるポリ乳酸を取得し、第3ポリ乳酸繊維トウを得て、複数本の第3ポリ乳酸繊維トウを複合して遷移層を形成し、
ステップS3を実行する際に、前記遷移層で内層コアの外側を被覆し、更に前記外層スキンで遷移層の外側を被覆する。
【0017】
本発明の好ましい形態として、ステップS3を実行した後に、前記外層スキンの外側を酢酸繊維トウ層で被覆する。
【0018】
本発明にかかるグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッド及びその製造方法の有益な効果は、設置が簡単であり、ポリ乳酸原料の性質を厳しく制御することで、全ての外層スキンが統一された結晶化度を有し、全ての内層コアも統一された結晶化度を有し、且つトウが結晶化すると、ノードが均一に分布され、且つ製造されたポリ乳酸繊維フィルターロッドの内側と外側が漸変結晶化度を有し、加工プロセスがより安定的であることである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図中:1、内層コア、2、外層スキン、3、遷移層、4、酢酸繊維トウ層。
図1】本発明にかかるグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッドの一実施例の断面図である。
図2】本発明にかかるグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッドの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下は、本発明の具体的な実施例であり、本発明の技術的解決手段を更に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
現在、図面を参照しながら、本発明の様々な例示的な実施例を詳しく説明する。注意すべきことは、特に断りのない限り、これらの実施例で説明するモジュールやステップの相対的な配置及びステップは本発明の範囲を限定しない。
【0022】
同時に、説明を容易にするために、図面におけるプロセスは、単独で実行されるものではなく、複数のステップが互いに交差して実行されると理解されるべきである。
【0023】
本発明の記述において、説明すべきことは、「中央」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などの用語が指示される方向又は位置関係は、図面に示される方向又は位置関係であるか、或いは本発明の製品が使用される際に慣例的に配置される方向又は位置関係であり、本発明の説明を容易にして説明を簡略化するものにすぎず、言及した装置又は要素が特定の方向を有し、特定の方向で構成して操作しなければならないことを示すか、又は示唆するものではなく、従って、本発明を限定するものとして理解されるべきではない。更に、「第1」、「第2」などの用語は、説明を区別するためにのみ使用されており、相対的な重要性を示したり示唆したりするものとして理解されるものではない。
【0024】
以下に、少なくとも1つの例示的な実施例に対する説明は、実質的には説明するためのものにすぎず、本発明及びその応用又は使用に対する如何なる制限ではない。
【0025】
当業者に公知の技術、方法及びシステムに対して詳しく検討しない場合があるが、適当な場合に、技術、方法及びシステムは本明細書の一部として見なされるべきである。
【0026】
実施例1:図1に示すように、グループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッドであって、内層コア1及び前記内層コア1の外側に設置された外層スキン2を含み、前記内層コア1及び外層スキン2は何れも複数本のポリ乳酸繊維トウで複合してなり、前記内層コア1のポリ乳酸繊維トウは第1成分原料で製造されてなり、前記外層スキン2のポリ乳酸繊維トウは第2成分原料で製造されてなり、前記第1成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量は前記第2成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量よりも高く、且つ前記第1成分原料に分散剤が添加され、前記第2成分原料にグリセロール三酢酸が添加され、前記内層コア1のポリ乳酸繊維トウは、前記内層コア1のポリ乳酸繊維トウの結晶化度を向上させるために、ドラフト応力により結晶の生成が誘発される。
【0027】
本発明において、L-ラセミ体の含有量が第1所定値であるポリ乳酸を取得し、分散剤を添加して第1成分原料を得て、第1成分原料の紡糸時にドラフト応力により結晶化が誘発され、第1ポリ乳酸繊維トウを得ることで、第1ポリ乳酸繊維トウの結晶化度がより高く、比較的高い物理機械的性能及び耐熱性能を提供し、分散剤を加えることで、高結晶化度の第1ポリ乳酸繊維トウに大きいノードが生じにくくなり、スリットが容易となる。
【0028】
一般的には、第1所定値の値の範囲は95%~98%であり、即ち第1成分原料において95%~98%のL-ラセミ体(即ちL-乳酸モノマー)を含有し、それほど高い含有量を有するL-ラセミ体では、第1ポリ乳酸繊維トウの融点も高くなり、紡糸及び後加工プロセスにおいて、ドラフト応力により低温結晶化が誘発され、ドラフト後のトウ結晶化度が向上し、トウサイズの熱安定性が向上し、カールと定形が容易であり、トウが適切な剛性及びカール性能を有すると共に、良好な弾性及び開口性、比較的低い熱収縮性能を有することが確保される。
【0029】
同様に、L-ラセミ体の含有量が、第1所定値よりも低い第2所定値であるポリ乳酸を取得し、グリセロール三酢酸を添加して第2成分原料を得て、第2成分原料を第2ポリ乳酸繊維トウに紡糸することで、第2ポリ乳酸繊維トウは第1ポリ乳酸繊維トウと比較して結晶化度が僅かに低いが、グリセロール三酢酸を添加することにより、より多くの膨潤性能及び接着性能を提供する。
【0030】
前記第2所定値は第1所定値以下であり、一般的には、第2所定値の値の範囲は92%~95%であり、第2成分原料に92%~95%のL-ラセミ体を含有し、且つ第2成分原料にグリセロール三酢酸を添加する必要があり、グリセロール三酢酸の作用下で、第2ポリ乳酸繊維トウが膨潤して粘着し、最終的には、第1成分原料で得られた第1ポリ乳酸繊維トウと組み合わせて、粘着が良好であるスキンコア構造のポリ乳酸トウを得ることができる。
【0031】
最後に、複数本の第1ポリ乳酸繊維トウを複合して内層コアを形成し、複数本の第2ポリ乳酸繊維トウを複合して外層スキンを形成し、前記外層スキンで内層コアの外側を被覆し、スキンコア構造を有するポリ乳酸繊維フィルターロッドを形成する。
【0032】
ここで、前記内層コア1と外層スキン2のポリ乳酸繊維トウ数の比率範囲は30:70~35:65の間であり、即ち、コアとスキンの質量比は当該範囲内にある。
【0033】
注意すべきことは、同じバッチで製造されたポリ乳酸繊維フィルターロッドにおいて、全ての第1成分原料の生産地、バッチ及び精製ステップが同じである。
同じバッチで製造されたポリ乳酸繊維フィルターロッドにおいて、全ての第2成分原料の生産地、バッチ及び精製ステップが同じである。
【0034】
1つのポリ乳酸フィルターロッドにおいて、又は同時に製造されたバッチのポリ乳酸フィルターロッドにおいて、全ての第1ポリ乳酸繊維トウの性質が同じであり、製造された全ての第1ポリ乳酸繊維トウの結晶化度が均一に分布され、比較的大きい凝集物を生成しにくく、スリット時に合金ナイフに衝撃や損傷を与えにくく、全ての第2ポリ乳酸繊維トウの性質も同じであることも理解できる。
【0035】
このようにして、ポリ乳酸原料の性質を厳しく制御することで、全ての外層スキンが統一された結晶化度を有し、全ての内層コアも統一された結晶化度を有し、且つトウが結晶化すると、ノードが均一に分布され、加工プロセスがより安定的である。
【0036】
そして、第1ポリ乳酸繊維トウの結晶化度は第2ポリ乳酸繊維トウの結晶化度よりも高く、製造されたポリ乳酸繊維フィルターロッドの内側と外側が漸変結晶化度を有し、多層構造はグループで加工される。
【0037】
ここで、以下の意味が拡張されている。内層コアと外層スキンのポリ乳酸繊維トウの原材料が同じ生産地、バッチ及び精製ステップ、即ち独自性を保証する必要があるため、タバコ工場は同時に2種類の原料を購入する前提で、それらを混合して加工することができない場合、2種類の原料を2つの異なる生産ラインで直接製造し、2種類の異なるポリ乳酸繊維トウを得て、2種類の原料のL-乳酸モノマーの含有量の比較に基づいて、L-乳酸モノマーの含有量の高い原料は内層コアの製造方法に従って製造され、L-乳酸モノマーの含有量の低い原料は外層スキンの製造方法に従って製造され、最後に2種類のポリ乳酸繊維トウの分布の内側と外側を組み合わせ、単一層の原料の独自性を達成するだけでなく、内側と外側の結晶化度漸変も満たされる。
【0038】
本発明にかかるグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッドは、その設置が簡単であり、ポリ乳酸原料の性質を厳しく制御することで、全ての外層スキンが統一された結晶化度を有し、全ての内層コアも統一された結晶化度を有し、且つトウが結晶化すると、ノードが均一に分布され、且つ製造されたポリ乳酸繊維フィルターロッドの内側と外側が漸変結晶化度を有し、加工プロセスがより安定的である。
【0039】
実施例2:依然として図1に示すように、本発明の一実施例にすぎず、実施例1に基づいて、本発明にかかるグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッドにおいて、前記第1成分原料及び第2成分原料に何れも核形成剤が添加され、且つ前記第1成分原料における核形成剤の含有量は前記第2成分原料における核形成剤の含有量以上であり、更にポリ乳酸繊維フィルターロッドにおける内側と外側の結晶化度漸変を増加させる。
【0040】
更に、前記内層コア1と外層スキン2との間に遷移層3が設置され、前記遷移層は複数本のポリ乳酸繊維トウで複合してなり、且つ前記遷移層3のポリ乳酸繊維トウに用いた成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量は、前記第1成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量以下であり、且つ前記第2成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量以上である。
【0041】
実際には、前記遷移層3の数は少なくとも2つであり、且つ前記内層コア1に近い遷移層3のポリ乳酸繊維トウに用いた成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量は、前記外層スキン2に近い遷移層3のポリ乳酸繊維トウに用いた成分原料におけるL-乳酸モノマーの含有量以上である。
【0042】
複数の遷移層3は何れも、グループで加工され、複数の生産ラインで様々な原料を加工してポリ乳酸繊維トウを形成し、最後にL-乳酸モノマーの含有量の関係に基づいて層毎に被覆することができる。
【0043】
更に、前記遷移層3のポリ乳酸繊維トウに用いた成分原料にも核形成剤が添加され、当該成分原料における核形成剤の含有量は、前記第1成分原料における核形成剤の含有量以下であり、且つ前記第2成分原料における核形成剤の含有量以上であり、複数の遷移層の場合、内側に近いほど、遷移層3のポリ乳酸繊維トウに用いた成分原料に添加された核形成剤が多くなる。
【0044】
最後に、前記外層スキン2の外側に酢酸繊維トウ層が設置され、即ちポリ乳酸繊維トウフィルターロッドの外側に酢酸繊維トウ質外層が被覆され、酢酸繊維トウ層の接着効果及び吸着性能を利用することで、フィルターロッド構造の安定性がより優れ、フィルターロッドの吸着性能が確保される。
【0045】
実施例3:図2に示すように、本発明は、上記の全ての実施例におけるグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッドの製造方法であって、
S1:L-ラセミ体の含有量が第1所定値であるポリ乳酸を取得し、分散剤を添加して第1成分原料を得て、第1成分原料の紡糸時にドラフト応力により結晶化が誘発され、第1ポリ乳酸繊維トウを得るステップと、
S2:L-ラセミ体の含有量が、第1所定値よりも低い第2所定値であるポリ乳酸を取得し、グリセロール三酢酸を添加して第2成分原料を得て、第2成分原料を第2ポリ乳酸繊維トウに紡糸するステップと、
S3:複数本の第1ポリ乳酸繊維トウを複合して内層コアを形成し、複数本の第2ポリ乳酸繊維トウを複合して外層スキンを形成し、前記外層スキンで内層コアの外側を被覆し、スキンコア構造を有するポリ乳酸繊維フィルターロッドを形成するステップと、を含む、製造方法を更に提供する。
【0046】
ステップS3を実行する前に、L-ラセミ体の含有量が第3所定値であるポリ乳酸を取得し、第3ポリ乳酸繊維トウを得て、複数本の第3ポリ乳酸繊維トウを複合して遷移層を形成し、
ステップS3を実行する際に、前記遷移層で内層コアの外側を被覆し、更に前記外層スキンで遷移層の外側を被覆する。
【0047】
ステップS3を実行した後に、前記外層スキンの外側を酢酸繊維トウ層で被覆する。
【0048】
本発明にかかるグループで加工されたポリ乳酸繊維フィルターロッド及びその製造方法は、その設置が簡単であり、ポリ乳酸原料の性質を厳しく制御することで、全ての外層スキンが統一された結晶化度を有し、全ての内層コアも統一された結晶化度を有し、且つトウが結晶化すると、ノードが均一に分布され、且つ製造されたポリ乳酸繊維フィルターロッドの内側と外側が漸変結晶化度を有し、加工プロセスがより安定的であり、フィルターロッドの吸着性能が確保される。
【0049】
本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されず、本発明は様々な変更や変化が可能である。本発明の技術的実質に基づいて上記の実施形態に加えられた任意の修正、同等置換、改善等は、何れも本発明の請求範囲に含まれるべきである。

図1
図2
【国際調査報告】