(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-05
(54)【発明の名称】情動的又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物の生産方法及びその組成物
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/063 20230101AFI20250226BHJP
C11B 9/00 20060101ALN20250226BHJP
A61Q 13/00 20060101ALN20250226BHJP
A61K 8/34 20060101ALN20250226BHJP
A61K 8/35 20060101ALN20250226BHJP
A61K 8/37 20060101ALN20250226BHJP
【FI】
G06Q10/063
C11B9/00 Z
A61Q13/00 101
A61K8/34
A61K8/35
A61K8/37
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533887
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 US2022052145
(87)【国際公開番号】W WO2023107564
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519139538
【氏名又は名称】インターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ポイ、カミーユ
(72)【発明者】
【氏名】エムバイエ、セリニェ ファロウ
(72)【発明者】
【氏名】ナスロー、ハレド
【テーマコード(参考)】
4C083
5L010
【Fターム(参考)】
4C083AC352
4C083AD532
4C083BB41
4C083CC01
4C083DD23
4C083EE06
4C083KK02
5L010AA06
(57)【要約】
本明細書には、フレグランス組成物への暴露により被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物、たとえば、完全配合フレグランス又はアコードの生産方法が提供される。また、かかる方法に従って配合されたフレグランス組成物及びかかるフレグランス組成物を含有するコンシューマー用品が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物の生産方法であって、前記方法は、
(a)フレグランス組成物により誘発される1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を選択することと、
(b)前記1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発する1つ以上のフレグランス成分及び/又は1つ以上のフレグランス成分組合せを複数の関連ルールで同定することであって、各関連ルールは、被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分濃度又はフレグランス成分濃度組合せに対応する、同定することと、
(c)前記1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発する濃度で前記1つ以上のフレグランス成分及び/又は1つ以上のフレグランス成分組合せを前記フレグランス組成物中に配合することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の関連ルールが、
(a)頻出フレグランス成分濃度及び/又は頻出共起的フレグランス成分濃度を複数のフレグランスデータセットで同定することであって、前記複数のフレグランスデータセットの各々は、フレグランスへの暴露により被験者において誘発される情動的及び/又は認知的応答並びに前記フレグランスに含まれる1つ以上のフレグランス成分の各々の濃度を含む、同定することと、
(b)前記頻出フレグランス成分濃度及び/又は前記頻出共起的フレグランス成分濃度に基づいて前記複数の関連ルールを決定することと、
により発生される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発する前記フレグランス組成物が、グローバル集団に適用可能である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発する前記フレグランス組成物が、デモグラフィック群に適用可能である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記フレグランス組成物が、新しいフレグランス組成物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記フレグランス組成物が、既存のフレグランス組成物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記フレグランス組成物が、既存のフレグランス組成物であり、且つ前記配合することが、新しいフレグランス成分の追加、既存のフレグランス成分の除去、既存のフレグランス成分の濃度の増加、既存のフレグランス成分の濃度の減少、又はそれらのいずれかの組合せにより前記既存のフレグランスを修正することを含む、請求項1~4及び6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記フレグランス組成物が、完全配合フレグランス又はアコードである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記フレグランス組成物が、コンシューマー用品に含まれ、任意に前記コンシューマー用品が、家庭用品、ファブリックケア用品、パーソナルケア用品、化粧品、又はファインフレグランスである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記フレグランス組成物が、前記1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答に相関付けられる情動的及び/又は認知的応答を誘発する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(a)頻出フレグランス成分濃度及び/又は頻出共起的フレグランス成分濃度を複数のフレグランスデータセットで同定することであって、前記複数のフレグランスデータセットの各々は、フレグランスへの暴露により被験者において誘発される情動的及び/又は認知的応答並びに前記フレグランスに含まれる1つ以上のフレグランス成分の各々の濃度を含む、同定することと、
(b)前記頻出フレグランス成分濃度及び/又は前記頻出共起的フレグランス成分濃度に基づいて1つ以上の関連ルールを決定することであって、各関連ルールは、前記情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分濃度又はフレグランス成分濃度組合せに対応する、決定することと、
を含む、被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分及び/又はフレグランス成分組合せの同定方法。
【請求項12】
前記複数のフレグランスデータセットが、コンシューマー検査を実施すること又はコンシューマー検査データを受け取ることにより生成される、請求項2~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記被験者において誘発される前記情動的及び/又は認知的応答が、宣言的検査及び/又は生理学的ベース検査を用いて決定される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記フレグランスが、フレグランス成分、アコード、スキーマ、又は完全配合フレグランスである、請求項2~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記頻出フレグランス成分濃度及び/又は頻出共起的フレグランス成分濃度が、少なくとも5%の最小サポートレベルを満たす、請求項2~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記関連ルールの各々が、少なくとも1.1の最小リフトレベルを満たす、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記リフトレベルが、ノンパラメトリック検定に基づいてロバストである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記関連ルールの前記フレグランス成分濃度及び/又は前記フレグランス成分濃度組合せが、前記フレグランス成分又は前記組合せのフレグランス成分の各々の濃度範囲及び/又は代表値濃度として表され、且つ前記濃度範囲の下限及び上限が、前記情動的及び/又は認知的応答を誘発する前記フレグランス成分又は前記組合せのフレグランス成分の各々の最低濃度及び最高濃度を同定することにより決定される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記関連ルールのフレグランス成分濃度組合せが、前記組合せのフレグランス成分の比の範囲及び/又は前記組合せのフレグランス成分の代表値比として表され、且つ前記比範囲の下限及び上限が、前記情動的応答又は認知的応答を誘発する前記組合せのフレグランス成分の各々の最低濃度及び最高濃度を同定することにより決定される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記関連ルールの各々が、グローバル集団及び/又はデモグラフィック群に適用可能である、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記関連ルールの各々が、データベースに記憶される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
請求項2~21のいずれか一項に記載の方法に従って決定された複数の関連ルールを含むデータベース。
【請求項23】
被験者において1つ以上の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分、フレグランス成分組合せ、完全配合フレグランス、又はアコードであって、前記フレグランス成分、前記フレグランス成分組合せ、前記完全配合フレグランス、又は前記アコードは、前記情動的又は認知的応答を誘発するために請求項2~21のいずれか一項に記載の方法又は請求項22に記載のデータベースに従って決定された1つ以上のフレグランス成分又は1つ以上のフレグランス成分組合せを含む、フレグランス成分、フレグランス成分組合せ、完全配合フレグランス、又はアコード。
【請求項24】
情動的又は認知的応答を誘発する完全配合フレグランス又はアコードの調製方法であって、前記方法は、
(a)請求項11~21のいずれか一項に記載の方法又は請求項22に記載のデータベースに従って目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分又はフレグランス成分組合せを同定することと、
(b)前記目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発する濃度で前記フレグランス成分又はフレグランス成分組合せを完全配合フレグランス又はアコード中に配合することと、
を含む、方法。
【請求項25】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法に従って生産されたフレグランス組成物、請求項23に記載のフレグランス成分、フレグランス成分組合せ、完全配合フレグランス、若しくはアコード、又は請求項24に従って調製される完全配合フレグランス若しくはアコードを含むコンシューマー用品であって、前記コンシューマー用品は、家庭用品、ファブリックケア用品、パーソナルケア用品、化粧品、又はファインフレグランスである、コンシューマー用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年12月7日出願の米国仮出願第63/286,770号(その内容はその全体が本願をもって参照により組み込まれる)に基づく優先権を主張する。
【0002】
本明細書には、フレグランス組成物への暴露により被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物、たとえば、完全配合フレグランス又はアコードの生産方法が提供される。また、かかる方法に従って配合されたフレグランス組成物及びかかるフレグランス組成物を含有するコンシューマー用品が提供される。
【背景技術】
【0003】
ヒト被験者などの被験者に心理学的に影響を及ぼす臭気の能力は広く認識されており、情動的及び/又は認知的応答を明示的に駆動する目的でフレグランス組成物の使用にマーケット及びコンシューマーの両方の関心が存在する。しかしながら、被験者において所望の精神的応答を誘発する能力のあるフレグランス組成物を配合することは、少なくとも部分的には利用可能なフレグランス成分の莫大な数が原因で、フレグランス成分間の潜在的相互作用を考慮したとき複雑化した問題となり、依然として取組み困難なままである。そのほか、デモグラフィック群の中での嗅覚選好性の差は、特定の情動的及び/又は認知的応答を普遍的又は選択的に誘発するフレグランス組成物の創出を妨げる可能性がある。コンシューマーリサーチ技術は、単独で使用されるフレグランスへの被験者の精神的応答、たとえば、フレグランス暴露への情動的又は認知的応答をアセスするのに有用でありうるが、こうした技術は、デモグラフィック群内でも全群にわたっても信頼性をもって精神的応答を誘発するフレグランス組成物の生産のガイダンスを提供できないおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、デモグラフィック群内でも全群にわたっても情動的及び/又は認知的応答を誘発する能力のあるフレグランス組成物の生産方法及びかかる方法に従って配合された組成物のニーズが存在する。本明細書に提供される方法及び組成物は、当技術分野のこれらの及び他のニーズに対処する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある態様では、被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物の生産方法が提供され、本方法は、以下:(a)フレグランス組成物により誘発される1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を選択することと、(b)1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発する1つ以上のフレグランス成分及び/又は1つ以上のフレグランス成分組合せを複数の関連ルールで同定することであって、各関連ルールは、被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分濃度又はフレグランス成分濃度組合せに対応する、ことと、(c)1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発する濃度で1つ以上のフレグランス成分及び/又は1つ以上のフレグランス成分組合せをフレグランス組成物中に配合することと、を含む。いくつかの実施形態では、複数の関連ルールは、以下:(a)頻出フレグランス成分濃度及び/又は頻出共起的フレグランス成分濃度を複数のフレグランスデータセットで同定することであって、複数のフレグランスデータセットの各々は、フレグランスへの暴露により被験者において誘発される情動的及び/又は認知的応答並びにフレグランスに含まれる1つ以上のフレグランス成分の各々の濃度を含む、ことと、(b)頻出フレグランス成分濃度及び/又は頻出共起的フレグランス成分濃度に基づいて複数の関連ルールを決定することと、により発生される。いくつかの実施形態では、1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物は、グローバル集団に適用可能である。いくつかの実施形態では、1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物は、デモグラフィック群に適用可能である。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は新しいフレグランス組成物である。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は既存のフレグランス組成物である。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は修正された既存のフレグランス組成物である。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は、新しいフレグランス成分の追加、既存のフレグランス成分の除去、既存のフレグランス成分の濃度の増加、既存のフレグランス成分の濃度の減少、又はそれらのいずれかの組合せにより修正された既存のフレグランス組成物である。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は、完全配合フレグランス又はアコードである。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は、コンシューマー用品に含まれる。いくつかの実施形態では、コンシューマー用品は、家庭用品、ランドリー用品、パーソナルケア用品、化粧品、又はファインフレグランスである。いくつかの実施形態では、コンシューマー用品は、家庭用品、ファブリックケア用品、パーソナルケア用品、化粧品、又はファインフレグランスである。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は、1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答に相関付けられる情動的及び/又は認知的応答を誘発する。
【0006】
ある態様では、以下:(a)頻出フレグランス成分濃度及び/又は頻出共起的フレグランス成分濃度を複数のフレグランスデータセットで同定することであって、複数のフレグランスデータセットの各々は、フレグランスへの暴露により被験者において誘発される情動的及び/又は認知的応答並びにフレグランスに含まれる1つ以上のフレグランス成分の各々の濃度を含む、ことと、(b)頻出フレグランス成分濃度及び/又は頻出共起的フレグランス成分濃度に基づいて1つ以上の関連ルールを決定することであって、各関連ルールは、情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分濃度又はフレグランス成分濃度組合せに対応する、ことと、を含む、被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分及び/又はフレグランス成分組合せの同定方法が提供される。
【0007】
いくつかの実施形態では、複数のフレグランスデータセットは、コンシューマー検査を実施することにより又はコンシューマー検査データを受け取ることにより生成される。いくつかの実施形態では、被験者において誘発される情動的及び/又は認知的応答は、宣言的検査及び/又は生理学的ベース検査を用いて決定される。いくつかの実施形態では、情動的及び/又は認知的応答は、ケアリング、クリーン、エナジャイジング、フェミニン、フレッシュ、ハッピー、ナチュラル、リラクシング、センシュアル、ソフィスティケイテッド、アテンション、セルフエスティーム、マインドフルネス、メモリー、ハッピネス、リラクゼーション、セダクション、エネルギー、カラー、ヘルシー、ソフト、メモラブル、「シンプルクリーニングを提供する」、「非常に効果的にクリーニングする」、「悪臭に対抗し防止する」、「ソフトクリーニングを提供する」、「サニタイジング性を有する」、「自信を回復するフレッシュネスを提供する」、「クリーニングプロセスを促進する」、「エネルギーを向上させる」、「保護を提供する」、「無害で健康に良い」、「栄養を与え保湿する」、「気を配り緊張をほぐす助けとなる」、「美しく見える助けとなる」、「美しく感じる助けとなる」、「実物にそっくりである」、「ユニーク且つアップスケールである」、「気分を高め気分が良いと感じさせる」、「気分が良いと感じさせる」、「楽しみを感じさせる」、「愛する場所に運んでくれる」、「自然と繋がる」、「身なりを良く感じる助けとなる」、「好きである」、「ユニークで際立って感じる助けとなる」、「ソフィスティケイテッド且つセダクティブに見える助けとなる」、「センシュアル且つフェミニンにしてくれる」、「フレッシュに感じ良い気分にしてくれる」、「他人を楽しませる味わい深い尊敬の表れ」、「フェミニニティーを増強しより自信を感じさせる」、「チャーミング、セダクティブ、及びエレガントに感じさせる」、「セクシー、アトラクティブ、及びアピーリングに感じさせる」、「アテンションを集める」、「気分が良いと感じさせより良い気分にする」、「快適、安全、及び安心を感じさせる」、並びに「フレッシュ且つクリーンに感じさせる」からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答は、ケアリング、クリーン、エナジャイジング、フェミニン、フレッシュ、ハッピー、ナチュラル、リラクシング、センシュアル、ソフィスティケイテッド、アテンション、セルフエスティーム、マインドフルネス、メモリー、ハッピネス、リラクゼーション、セダクション、エネルギー、カラー、ヘルシー、ソフト、メモラブル、「シンプルクリーニングを提供する」、「非常に効果的にクリーニングする」、「悪臭に対抗し防止する」、「ソフトクリーニングを提供する」、「サニタイジング性を有する」、「自信を回復するフレッシュネスを提供する」、「クリーニングプロセスを促進する」、「エネルギーを向上させる」、「保護を提供する」、「無害で健康に良い」、「栄養を与え保湿する」、「気を配り緊張をほぐす助けとなる」、「美しく見える助けとなる」、「美しく感じる助けとなる」、「実物にそっくりである」、「ユニーク且つアップスケールである」、「気分を高め気分が良いと感じさせる」、「気分が良いと感じさせる」、「楽しみを感じさせる」、「愛する場所に運んでくれる」、「自然と繋がる」、「身なりを良く感じる助けとなる」、「好きである」、「ユニークで際立って感じる助けとなる」、「ソフィスティケイテッド且つセダクティブに見える助けとなる」、「センシュアル且つフェミニンにしてくれる」、「フレッシュに感じ良い気分にしてくれる」、「他人を楽しませる味わい深い尊敬の表れ」、「フェミニニティーを増強しより自信を感じさせる」、「チャーミング、セダクティブ、及びエレガントに感じさせる」、「セクシー、アトラクティブ、及びアピーリングに感じさせる」、「アテンションを集める」、「気分が良いと感じさせより良い気分にする」、「快適、安全、及び安心を感じさせる」、並びに「フレッシュ且つクリーンに感じさせる」からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、フレグランスは、フレグランス成分、アコード、スキーマ、又は完全配合フレグランスである。いくつかの実施形態では、頻出フレグランス成分濃度及び/又は頻出共起的フレグランス成分濃度は、少なくとも5%の最小サポートレベルを満たす。いくつかの実施形態では、関連ルールの各々は、少なくとも1.1の最小リフトレベルを満たす。いくつかの実施形態では、リフトレベルは、ノンパラメトリック検定に基づいてロバストである。いくつかの実施形態では、ノンパラメトリック検定は順列検定である。いくつかの実施形態では、関連ルールのフレグランス成分濃度及び/又はフレグランス成分濃度組合せは、フレグランス成分又は組合せのフレグランス成分の各々の濃度範囲及び/又は代表値濃度として表され、その場合、濃度範囲の下限及び上限は、情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分又は組合せのフレグランス成分の各々の最低濃度及び最高濃度を同定することにより決定される。いくつかの実施形態では、関連ルールのフレグランス成分濃度組合せは、組合せのフレグランス成分の比の範囲及び/又は組合せのフレグランス成分の代表値比として表され、その場合、比範囲の下限及び上限は、情動的応答又は認知的応答を誘発する組合せのフレグランス成分の各々の最低濃度及び最高濃度を同定することにより決定される。いくつかの実施形態では、関連ルールの各々は、グローバル集団に適用可能である。いくつかの実施形態では、関連ルールの各々は、デモグラフィック群に適用可能である。いくつかの実施形態では、関連ルールの各々は、データベースに記憶される。
【0008】
ある態様では、本明細書に記載の方法に従って決定された複数の関連ルールを含むデータベースが提供される。
【0009】
ある態様では、被験者において1つ以上の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分、フレグランス成分組合せ、完全配合フレグランス、又はアコードが提供され、この場合、フレグランス成分、フレグランス成分組合せ、完全配合フレグランス、又はアコードは、情動的又は認知的応答を誘発するために本明細書に記載の方法又は本明細書に記載のデータベースに従って決定された1つ以上のフレグランス成分又は1つ以上のフレグランス成分組合せを含む。
【0010】
ある態様では、情動的及び/又は認知的応答を誘発する完全配合フレグランス又はアコードの調製方法が提供され、本方法は、以下:(a)本明細書に記載の方法又は本明細書に記載のデータベースに従って目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分又はフレグランス成分組合せを同定することと、(b)目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発する濃度でフレグランス成分又はフレグランス成分組合せを完全配合フレグランス又はアコード中に配合することと、を含む。
【0011】
ある態様では、本明細書に記載の方法に従って生産されたフレグランス組成物、本明細書に記載のように情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分、フレグランス成分組合せ、完全配合フレグランス、又はアコード、或いは本明細書に記載の方法に従って調製された完全配合フレグランス又はアコードを含むコンシューマー用品が提供され、この場合、コンシューマー用品は、家庭用品、ランドリー用品、パーソナルケア用品、化粧品、又はファインフレグランスである。ある態様では、本明細書に記載の方法に従って生産されたフレグランス組成物、本明細書に記載のように情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分、フレグランス成分組合せ、完全配合フレグランス、又はアコード、或いは本明細書に記載の方法に従って調製された完全配合フレグランス又はアコードを含むコンシューマー用品が提供され、この場合、コンシューマー用品は、家庭用品、ファブリックケア用品、パーソナルケア用品、化粧品、又はファインフレグランスである。
【0012】
ある態様では、本明細書に記載の方法に従って生産されたフレグランス組成物、本明細書に記載のように情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分、フレグランス成分組合せ、完全配合フレグランス、アコード、或いは本明細書に記載の方法に従って調製された完全配合フレグランス又はアコード、或いは暴露によりコンシューマーにおいて1つ以上の情動的及び/又は認知的応答を誘発する本明細書に記載のコンシューマー用品の使用が提供される。
【0013】
本明細書に記載の態様及び実施形態の各々は、実施形態又は態様のコンテキストから明示的に又は明確に、のどちらかで除外されない限り、一緒に使用される能力がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分組合せを同定する模範的方法を例示するフロー図である。
【
図2】情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分組合せを同定する模範的方法を例示するフロー図である。
【
図3】本明細書に記載の方法を実施するための模範的システムの模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
哺乳動物嗅覚経路は、情動及び記憶に関与する脳構造との直接接続、いくつかの場合には相互接続を形成するという点で、カノニカル視床皮質感覚経路とは異なる進化的に古い経路である。たとえば、鼻に存在する嗅覚ニューロンは、前脳に位置する嗅球に感覚情報を伝達し、そこで記憶及び情動に関連する海馬及び扁桃を含めて辺縁系構造を直接的又は間接的に対象とする投射ニューロンとシナプスを形成する。このため、嗅覚は、神経解剖学的にユニークに位置付けられ、被験者の情動的及び認知的状態に急速に直接影響を及ぼす。
【0016】
個人及び企業は同様に、被験者において特異的な情動的又は認知的応答を駆動するためにフレグランスの使用方法を何十年かにわたり探求してきたが、かかる結果をもたらす能力のある用品に依然としてコンシューマーの関心が存在する。しかしながら、被験者において信頼性をもって情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物の生産は、たやすいタスクではない。フレグランス成分の合計数、フレグランス成分の組合せ、及びフレグランス成分の濃度は、単独又は組合せのどちらでも、コンシューマー検査で例外的に大きな嗅覚空間を構成する。このため、コンシューマー検査から収集されるデータは、大きく而も一様でない可能性があり(たとえば、検査されるフレグランス及び/又は検査されるフレグランスの濃度は、コンシューマー検査全体にわたり異なり)、このことは広範なコンシューマー検査からの意味のある情報の導出を妨げる可能性がある。さらに、嗅覚選好性は、全デモグラフィックにわたり異なりうるので、莫大なサンプル空間の包括的検査を被験者集団で行ったとしても、その結果は、集団特異的応答差及び/又はグローバルレベルトレンドを捉え損なう可能性がある。このため、集団特異的且つグローバルなレベルで、情動的及び/又は認知的応答を、信頼性をもって誘発するフレグランス成分及びその組合せを同定し、所望の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物を生産するための基礎としての役割を果たしうる実用的アプローチのニーズが存在する。情動的及び/又は認知的応答は、本明細書では代替的に精神的応答といわれることがある。同様に、情動的及び/又は認知的状態は、本明細書では代替的に精神状態といわれることがある。
【0017】
本明細書に記載のように(たとえば、実施例を参照されたい)、驚くべきことに、コンシューマー検査から収集されたデータで本明細書に記載の関連ルールマイニング方法を実施することにより情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分及びフレグランス成分組合せを同定可能であり、フレグランス組成物中に配合したときフレグランス組成物への暴露の際に被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発することが見いだされた。そのほか、デモグラフィック特異的な(たとえば国特異的な)又は一般化可能な情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分の濃度及び組合せでのフレグランス成分の濃度を同定するために関連ルールマイニング方法を使用可能であった。このため、本明細書に記載の方法は、デモグラフィック因子に依存しない(たとえば、グローバルに適用可能な)情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分及びその組合せ、さらには特異的デモグラフィック群に適用可能な(デモグラフィック特異的な)フレグランス成分組合せを解明するために使用可能である。本明細書に記載の方法及び組成物は、これらの知見を利用して被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物の生産方法並びにかかる方法に従って配合されたフレグランス組成物を提供する。
【0018】
本明細書には、フレグランス組成物への暴露により被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物の生産方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、被験者において情動的及び/又は認知的応答、たとえば、セクションI-Aに記載の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分及び/又はフレグランス成分組合せを同定することを含む。いくつかの実施形態では、情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分及び/又はフレグランス成分組合せの同定方法は、関連ルールマイニングを含む。一般的レベルでは、関連ルールマイニングは、データセット中の変数(たとえばアイテム)間の関係たとえば相関を同定するためのルールベース機械学習法である。本明細書で適用されるように、関連ルールマイニングは、コンシューマー検査データ、たとえば、セクションI-Aに記載のフレグランスデータセットをマイニングして関連ルールを生成することにより、被験者において精神的応答を誘発するフレグランス成分及びその組合せを決定するために使用されうる。本明細書に提供される方法により発生される関連ルールは、被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分濃度又は特異的濃度のフレグランス成分組合せでありうる。これらのルールは、ひいては、新しいフレグランス組成物を開発して又は既存のフレグランス組成物を修正して1つ以上の所望の精神的応答を誘発するために使用可能である。本明細書に提供される方法は、精神的応答を誘発する個別フレグランス成分の濃度範囲及びフレグランス成分組合せ中の各フレグランス成分の濃度範囲の同定を可能にするという点で有利である。本方法は、既知の成分濃度のフレグランスを用いたコンシューマー検査から取得されたデータからのかかる濃度範囲の同定をその範囲内の各濃度の検査を必要とすることなく可能にする。このため、本明細書に提供される方法は、フレグランス成分の多くの濃度及び濃度組合せの検査のニーズを回避して情動的及び/又は認知的応答を誘発する成分又は成分組合せの濃度範囲を決定するという利点を有する。
【0019】
本明細書の方法に従って発生された関連ルールは、データベースに収集されうる。いくつかの実施形態では、データベースは、たとえば、クエリーすることにより検索可能である。いくつかの実施形態では、データベースは、検索(クエリー)及びデータ抽出を促進するためにユーザーインターフェースを含みうる。いくつかの実施形態では、データベースは、被験者において1つ以上の所望の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物、任意に既存の又は新しい組成物を配合するのに有用な関連ルールを同定するためにクエリーされうる。所望の情動的及び/又は認知的応答は、本明細書では代替的に目標の情動的及び/又は認知的応答といわれることもある。いくつかの実施形態では、データベースは、コンシューマー検査の実施を必要とすることなくフレグランス組成物、たとえば、既存のフレグランス組成物又は新しい組成物へのコンシューマーの情動的及び/又は認知的応答を予測するために使用されうる。たとえば、情動的及び/又は認知的応答は、関連ルールを考慮してフレグランス組成物のフレグランス成分に基づいて予測されうる。
【0020】
また、本明細書には、被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分やフレグランス成分組合せなどの組成物も提供される。被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分及び/又はフレグランス成分組合せを含有する完全配合フレグランス、アコード、及びコンシューマー用品も提供される。組成物は、1つ以上の情動的及び/又は認知的応答を誘発するために特異的に配合されうる。
【0021】
本明細書に記載の方法及び組成物は、コンシューマー検査データから有用で信頼できる情報を決定するために使用可能であり、所望の精神的応答を誘発する目的で生産されるフレグランス組成物の生産スピード、効率、及び信頼性を改善可能であるという点で有利である。本明細書に記載の方法は、被験者において目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物を生産するためのフレグランス配合物ガイドラインの作成を可能にする。
【0022】
本開示は、本明細書に開示される模範的方法及び材料により限定されるものではなく、本明細書に記載のものと類似の又は均等ないかなる方法及び材料も、本開示の実施形態の実用又は検査の際に使用可能である。
【0023】
本明細書に提供される見出しは、本明細書全体への参照により有しうる本開示の各種態様又は実施形態の限定ではない。本明細書で用いられるセクション見出しは、単に構成上の目的であるにすぎず、記載の主題を限定するものと解釈されるべきではない。いずれの定義された用語も、本明細書全体への参照によりより十分に定義される。
【0024】
特許文書、科学論文、及びデータベースを含めて、本願で参照される刊行物はすべて、あたかも各個別刊行物が参照により個別に組み込まれたのと同程度にその全体があらゆる目的で参照により組み込まれる。本明細書には、かかる刊行物が先行技術を構成することの容認とみなされるべきものは何もない。本明細書に定められる定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、公開出願、及び他の刊行物に定められる定義と相反さもなければ矛盾する場合、本明細書に定められる定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義よりも優先する。
【0025】
定義
用語の定義は、本明細書全体を通して明らかになるであろう。本開示は、記載の特定実施形態に限定されるものではないことが理解されるべきである。なぜなら、当然ながら、そうしたものに変更を加えうるからである。また、本明細書で用いられる用語は、特定実施形態のみを記載することを目的とするものであり、限定を意図するものでないことも理解されるべきである。
【0026】
とくに定義がない限り、本明細書で用いられる科学技術用語はすべて、本開示が属する技術分野の当業者により通常理解されるものと同一の意味を有する。
【0027】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、とくに文脈上明確に規定されない限り、複数の参照対象を含むことに留意しなければならない。たとえば、「a」又は「an」は、「at least one(少なくとも1つ)」及び「one or more(1つ以上)」を含む。
【0028】
本明細書で用いられる「comprising(~を含む)」、「comprises(~を含む)」、及び「comprised of(~で構成される)」という用語は、「including(~を含む)」、「includes(~を含む)」、又は「containing(~を含有する)」、「contains(~を含有する)」、及びそれらの文法的変化形と同義であるとともに、包含的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていないメンバー、エレメント、又は方法ステップを除外するものではない。「comprising(~を含む)」、「comprises(~を含む)」、及び「comprised of(~で構成される)」、「including(~を含む)」、「includes(~を含む)」、又は「containing(~を含有する)」、「contains(~を含有する)」という用語、並びにそれらの文法的変化形はまた、「consisting of(~からなる)」という用語も含む。
【0029】
「任意の」又は「任意に」は、それに続いて記載される事象又は状況が生起してもしなくてもよく、その記載が前記事象又は状況が生起した場合及びそうでない場合を含むことを意味する。
【0030】
「フレグランス組成物」、「フレグランス配合物」、「香料組成物」という用語、及びそれらのバリアント(文法的変化形を含む)は、同一の意味を表すとともに、フレグランス成分の混合物である組成物、たとえば、個別成分の組合せ臭気がフレグランスを生成するように混ぜられたアルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、ラクトン、ニトリル、天然オイル、合成オイル、メルカプタンなどを含むものを意味する。
【0031】
値の範囲が提供された場合、その範囲の上限と下限との間の各介在する値(とくに文脈上明確に規定されない限り下限の1/10単位まで)もまた、具体的に開示されているものと理解される。明記された範囲内のいずれの明記された値又は介在する値とその明記された範囲内のいずれの他の明記された又は介在する値との間の各より小さな範囲も、本開示内に包含される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、独立して、その範囲内に含まれていても除外されていてもよく、そのより小さな範囲内に限界のどちらかが含まれる、どちらも含まれない、又は両方とも含まれる各範囲もまた、その明記された範囲内のいずれの具体的に除外された限界にも制約されて本開示内に包含される。明記された範囲が限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界のどちらか又は両方を除外した範囲もまた、本開示に含まれる。
【0032】
値及び範囲は、本明細書では、数値の前に「約」という用語を付けて提示されうる。「約」という用語は、本明細書では、それが前に付いた厳密な数、さらにはその用語が前に付いた数に近い数又はおおよそその数に対して事実に即した裏付けを提供するために用いられる。数が具体的に挙げられた数に近い数又はおおよそその数であるかを決定する際、近い又は近似の挙げられていない数は、それが提示される文脈で、具体的に挙げられた数に実質的に等価な数を提供する数でありうる。たとえば、数値との関連では、「約」という用語は、とくに用語が文脈で具体的に定義されていない限り、数値の-10%~+10%の範囲を意味する。値及び範囲はすべて、文脈上とくに規定されていない限り、「約」という用語を黙示的に含みうる。
【0033】
I.情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物の生産方法
本明細書に提供される方法は、フレグランス組成物への嗅覚暴露の際に被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物の生産に有用である。いくつかの実施形態では、被験者はヒトである。いくつかの実施形態では、本方法は、情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分及びフレグランス成分組合せの同定のために関連ルールマイニング技術の使用を含む。関連ルールマイニング技術により決定される関係は、新しいフレグランス組成物を開発して又は既存のフレグランス組成物を修正して所望(目標)の精神的応答を達成するために使用されうる。
【0034】
関連ルールマイニング技術では、典型的には、アイテムのコレクション中の頻出アイテムを最初に同定し頻出アイテムから関連ルールを発生させる2パートプロセスが利用される。関連ルールは、ルールが信頼できることを確保するために品質に関して評価されうる。品質評価を満たす関連ルールは、本明細書では、妥当な関連ルールということがある。
図1及び2は、本明細書に提供される関連ルールマイニング方法の模範的実施形態を例示する。
【0035】
いくつかの実施形態では、関連ルールマイニング方法では、たとえば、セクションI-Aに記載のように、フレグランスデータセットの形態で存在しうるコンシューマー検査データがマイニングされる。いくつかの実施形態では、本方法は、フレグランスデータセット中の頻出フレグランス成分濃度を同定することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、フレグランスデータセット中の頻出共起的フレグランス成分濃度を同定することを含む。いくつかの実施形態では、頻出共起的フレグランス成分濃度は、いずれかの数のフレグランス成分を含む。いくつかの実施形態では、頻出共起的フレグランス成分濃度は、2つ以上のフレグランス成分を含む。いくつかの実施形態では、頻出共起的フレグランス成分濃度は、3つ以上のフレグランス成分を含む。いくつかの実施形態では、頻出共起的フレグランス成分濃度は、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のフレグランス成分を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、フレグランスデータセット中の頻出フレグランス成分濃度及び/又は頻出共起的フレグランス成分濃度を同定することを含む。アイテムのコレクション中の頻出アイテムの同定方法は、当技術分野で一般に知られており、限定されるものではないが、アプリオリアルゴリズム、エクラアルゴリズム、頻出パターン(FP)成長アルゴリズムなどを含む。いくつかの実施形態では、頻出共起的フレグランス成分濃度の同定は、すべての頻出するより低次元のサブセットを同定することにより決定されうる。例として、アイテムのすべての頻出2次元セット(アイテムのセットは、アイテムの1次元セットを含めて、本明細書ではアイテムセットといわれることもある)を同定するために、最初にすべての頻出1次元アイテムセットを決定しうるとともに、頻出1次元アイテムセットに基づいて頻出2次元アイテムセットを同定可能である。いくつかの実施形態では、頻出アイテムセットの決定は、最小サポートレベルの満足を含む(セクションI-B-1を参照されたい)。いくつかの実施形態では、頻出フレグランス成分濃度及び頻出共起的フレグランス成分濃度は、セクションI-B-1に記載のように、最小サポートレベルに従って同定される。
【0036】
同定された頻出フレグランス成分濃度及び/又は同定された頻出共起的フレグランス成分濃度から、1つ以上又は複数の関連ルールを発生させうる。いくつかの実施形態では、関連ルールは、情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分の濃度に対応する。いくつかの実施形態では、関連ルールは、情動的及び/又は認知的応答を誘発する特定濃度のフレグランス成分組合せに対応する。いくつかの実施形態では、1つ以上又は複数の関連ルールは、情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分の濃度に対応する関連ルールを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上又は複数の関連ルールは、情動的及び/又は認知的応答を誘発する特定濃度のフレグランス成分組合せに対応する関連ルールを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上又は複数の関連ルールは、情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分の濃度に対応する関連ルール並びに情動的及び/又は認知的応答を誘発する特定濃度のフレグランス成分組合せに対応する関連ルールを含む。個別関連ルールは、1つの情動的又は認知的応答を誘発するフレグランス成分の濃度又は特定濃度のフレグランス成分組合せのどちらかを含みうる。しかしながら、1つ以上のフレグランス成分で構成されたフレグランスは、被験者において1つ以上の情動的及び/又は認知的応答を誘発しうることが認識されるべきである。このため、いくつかの実施形態では、同一濃度のフレグランス成分は、1つ以上の関連ルールをもたらしうるとともに、その場合、各ルールは、フレグランス成分の濃度をどの他のルールとも異なる1つの情動的又は認知的応答に関係付ける。同様に、特定濃度の同一フレグランス成分組合せは、1つ以上の関連ルールをもたらしうるとともに、その場合、各ルールは、組合せをどの他のルールとも異なる1つの情動的又は認知的応答に関係付ける。いくつかの実施形態では、単一のフレグランス成分は、2つ以上の情動的及び/又は認知的応答を誘発するためにフレグランス組成物、たとえば、既存の又は新しいフレグランス組成物に含まれうる。いくつかの実施形態では、単一のフレグランス成分組合せは、2つ以上の情動的及び/又は認知的応答を誘発するためにフレグランス組成物、たとえば、既存の又は新しいフレグランス組成物に含まれうる。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は、単一の情動的又は認知的応答を誘発するために2つ以上のフレグランス成分及び/又は2つ以上のフレグランス成分組合せを含有しうる。このため、本明細書に記載のフレグランス組成物は、1つ以上の関連ルールを含みうる。たとえば、フレグランス組成物は、情動的及び/又は認知的応答を誘発する濃度で1つ以上のフレグランス成分及び/又は1つ以上のフレグランス成分組合せを含みうる。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は、同一の情動的及び/又は認知的応答を誘発する1つ以上の関連ルールを含む。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は、各々異なる情動的及び/又は認知的応答を誘発する1つ以上の関連ルールを含む。
【0037】
頻出アイテムセットの同定方法に依存して、多数の関連ルールを発生させることが可能である。たとえば、最初にすべての頻出1次元フレグランス成分濃度を同定することにより頻出n次元共起的フレグランス成分濃度を決定する場合、組み合わせたときに同一の精神的応答を誘発する同一フレグランス成分の小さな濃度組合せ差を捉えるために多数の関連ルールを生成させうる。関連ルールの同一存在数は、頻出1次元アイテムセットをアセスするときにも可能である。この粒度レベルは有用でありうるが、情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分の濃度範囲にルールを統合することも有利でありうる。このため、いくつかの実施形態では、フレグランス成分及び/又はフレグランス成分組合せ中の各フレグランス成分の濃度範囲が決定される。いくつかの実施形態では、フレグランス成分の濃度範囲は、コンシューマー検査フレグランス中に存在するフレグランス成分の最小濃度に等しい下限及びコンシューマー検査フレグランス中に存在するフレグランス成分の最大濃度に等しい上限を含む。いくつかの実施形態では、下限及び上限は、同一の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分の最低濃度及び最高濃度を同定することにより決定される。いくつかの実施形態では、たとえば、フレグランス成分組合せを考慮したとき、下限及び上限は、同一の情動的及び/又は認知的応答を誘発する組合せで存在するときの各フレグランス成分の最低濃度及び最高濃度を同定することにより決定される。いくつかの実施形態では、応答を誘発するフレグランス成分の最低濃度及び最高濃度は、たとえば、セクションI-B-3に定義されるように、リフトレベルを定量することにより決定される。いくつかの実施形態では、関連ルールは、関連ルールに含有される各フレグランス成分、たとえば、1つ以上のフレグランス成分の濃度範囲を含む。いくつかの実施形態では、関連ルールに含まれるフレグランス成分の濃度範囲は、平均濃度を計算するために代表値化されうる。このため、いくつかの実施形態では、関連ルールは、関連ルールに含まれる各フレグランス成分の平均(代表値)濃度を含む。いくつかの実施形態では、関連ルールは、関連ルールに含まれる各フレグランス成分のメジアン濃度を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、関連ルールに含まれる2つ以上のフレグランス成分の濃度は、比として表されうる。いくつかの実施形態では、関連ルールに含まれる各フレグランス成分の濃度が範囲として表される場合、フレグランス成分の比は、比の範囲として表されうる。いくつかの実施形態では、関連ルールに含まれる各フレグランス成分の濃度が範囲として表される場合、フレグランス成分の比は、各フレグランス成分の平均(代表値)濃度の比として表されうる。いくつかの実施形態では、関連ルールに含まれる各フレグランス成分の濃度が範囲として表される場合、フレグランス成分の比は、各フレグランス成分のメジアン濃度の比として表されうる。
【0039】
フレグランス成分濃度を表すいずれの手段も、関連ルールマイニング方法を含めて本明細書に記載の方法に従って使用されうる。いくつかの実施形態では、フレグランス成分の濃度は、パーセンテージ(たとえば、パーセント重量)、比率、又は割合(たとえば、千分率、百万分率(ppm)、十億分率(ppb)、一兆分率(ppt))として表されうる。いくつかの実施形態では、濃度は、組成物中のフレグランス成分間の関係として表される。いくつかの実施形態では、濃度は、フレグランス成分の比として表される。
【0040】
いくつかの実施形態では、1つ以上の関連ルールは、たとえば、セクションI-Bに記載のように、品質に関して評価されうる。いくつかの実施形態では、関連ルールの品質は、たとえば、以下のセクションI-B-1~I-B-3に記載のように、サポートレベル、コンフィデンスレベル、又はリフトレベルの1つ以上に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、関連ルールの品質は、サポートレベル及びリフトレベルに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、サポートレベル、コンフィデンスレベル、及び/又はリフトレベルは、妥当とみなされる関連ルールに対してあらかじめ定義された最小閾値を満たすか又は超えなければならない。
【0041】
本明細書に提供される方法は、グローバル集団に適用可能な関連ルール及び/又は特定デモグラフィックに適用可能な関連ルールを発生させるために使用されうることが認識されるべきである。いくつかの実施形態では、1つ以上の関連ルールは、全デモグラフィック群にわたり、たとえば、複数の国の全集団にわたり、全民族集団にわたり、全年齢群にわたり、全性別にわたり、その他にわたり一般化可能である。いくつかの実施形態では、発生される関連ルールは、デモグラフィック群、たとえば、特定の国、民族性、年齢群、性別などの集団に特異的である。いくつかの実施形態では、1つ以上の関連ルールは、フランス、中国、英国、米国、ブラジル、ドイツ、インド、インドネシア、メキシコ、日本、又はベトナムに特異的である。いくつかの実施形態では、1つ以上の関連ルールは、全年齢群にわたり一般化可能である。いくつかの実施形態では、発生される1つ以上の関連ルールは、年齢群に特異的である。いくつかの実施形態では、デモグラフィック特異的関連ルールの創出は、セクションI-Cに記載の方法に従って達成される。グローバル又はデモグラフィックに適用可能な関連ルールを発生させる能力は、グローバル又は特異的デモグラフィックに適用可能なフレグランス組成物、たとえば、新しいフレグランス組成物及び/又は修正されたフレグランス組成物の選択的生産を可能にしうる。
【0042】
本明細書の方法に従って決定された関連ルールは、セクションI-Dに記載のデータベースなどのデータベースに記憶されうる。本明細書の方法は、関連ルールの発生、記憶、及び/又は検索方法を実施するシステム、たとえば、コンピューティングシステムを含むことがさらに認識されるべきである。セクションI-Eを参照されたい。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、コンピューター実装方法を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の関連ルールマイニング方法は、コンピューター実装方法を含む。本明細書に提供される方法及びシステムは、完全ハードウェアの実施形態、完全ソフトウェアの実施形態、又はソフトウェア及びハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態をとりうる。さらに、本方法及びシステムは、記憶媒体に具現化されたコンピューター可読プログラム命令(たとえば、コンピューターソフトウェア)を有するコンピューター可読記憶媒体上のコンピュータプログラムプロダクトの形態をとりうる。ハードディスク、CD-ROM、光学記憶デバイス、又は磁気記憶デバイスを含めて、いずれの好適なコンピューター可読記憶媒体も利用しうる。本方法及びシステムは、ウェブ実装コンピューターソフトウェアの形態をとりうる。いくつかの実施形態では、本方法及びシステムは、リモートサーバー上に実装されうる。
【0043】
フレグランス組成物の生産方法は、フレグランス組成物を配合するために関連ルールマイニングにより決定された特定濃度のフレグランス成分及び/又はフレグランス成分組合せの使用を含む。いくつかの場合には、フレグランス組成物は新しいフレグランス組成物である。たとえば、新しいフレグランス組成物は、目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発する1つ以上の関連ルールに従って配合されうる。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は既存のフレグランス組成物である。この場合、既存のフレグランス組成物は、所望の情動的及び/又は認知的応答を新たに誘発又は増強するために1つ以上の関連ルールに従って再配合されうる。たとえば、セクションIIを参照されたい。
【0044】
いくつかの実施形態では、フレグランス組成物の生産方法により、新しいフレグランス組成物が生産される。いくつかの実施形態では、関連ルールは、新しいフレグランス組成物を生産するために使用される。いくつかの実施形態では、関連ルールは、1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発する新しいフレグランスを生産するために使用される。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物を生産することは、新しいフレグランス組成物中に配合可能な目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分濃度及び/又はフレグランス成分濃度組合せを同定するために本明細書に記載の関連ルールマイニングを使用することを含む。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物を生産することは、新しいフレグランス組成物中に配合可能な目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分濃度及び/又はフレグランス成分濃度組合せを同定するために関連ルールを含有するデータベースをクエリーすることを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、フレグランス組成物の生産方法は、既存のフレグランス組成物の修正であるフレグランス組成物を生産する。いくつかの実施形態では、関連ルールは、1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発するように既存のフレグランスを修正するために使用される。いくつかの実施形態では、関連ルールは、既存のフレグランス組成物が誘発する1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を増強するように既存のフレグランスを修正するために使用される。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物を生産することは、関連ルールに整合するように既存のフレグランス組成物中にすでに存在するフレグランス成分の濃度を修正することを含む。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物を生産することは、フレグランス成分の濃度及び/又は比を変化させて目標の情動的又は認知的応答を達成するように既存のフレグランス中に存在するフレグランス成分を修正することを含む。いくつかの実施形態では、修正は、既存のフレグランス成分の濃度の増加、既存のフレグランス成分の濃度の減少、又は既存のフレグランス組成物からの既存のフレグランス成分の除去の1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物を生産することは、既存のフレグランス組成物に新しいフレグランス成分を追加することにより既存のフレグランス組成物を修正することを含む。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物を生産することは、既存のフレグランス組成物に新しいフレグランス成分を追加し既存のフレグランス成分を修正することにより既存のフレグランス組成物を修正することを含む。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物を生産することは、新しいフレグランス成分の追加、既存のフレグランス成分の除去、既存のフレグランス成分の濃度の増加、既存のフレグランス成分の濃度の減少、又はそれらのいずれかの組合せにより既存のフレグランスを修正することを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、フレグランス組成物を生産することは、フレグランス組成物を繰返し最適化することを含む。たとえば、新規又は修正のどちらかのフレグランス組成物は、追加の関連ルールがフレグランス組成物に組み込まれる間、1つ以上の最適化手順が行われうる。いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、5ラウンド、又はそれ以上の最適化が実施される。いくつかの実施形態では、2ラウンド以上の最適化が実施される。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物のコンシューマー検査は、1ラウンド以上の最適化後に実施されうる。
【0047】
A.フレグランスデータセット
精神的応答を誘発するフレグランス組成物の生産方法は、コンシューマー検査に由来するデータの使用を含みうる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される関連ルールマイニング方法は、コンシューマー検査からのデータを用いて実施されうる。フレグランスの組成、たとえば、フレグランス成分の濃度が既知又は定量可能である場合、検査がフレグランスへの暴露の際に被験者において誘発される情動的又は認知的応答を決定することを含む限り、いずれのタイプ又は組合せのコンシューマー検査も使用されうる。いくつかの実施形態では、コンシューマー検査に使用されるフレグランスは、フレグランス成分、アコード、スキーマ、又は完全配合フレグランスである。コンシューマー検査で使用されるフレグランスは、本明細書では検査フレグランスといわれることもある。いくつかの実施形態では、関連ルールマイニング方法は、フレグランスへの暴露により被験者において誘発される情動的及び/又は認知的応答並びに検査フレグランスに含有される各フレグランス成分の濃度を含むコンシューマー検査データで実施される。フレグランス成分を検査する場合には、1つの濃度のみが存在する。
【0048】
フレグランスへの暴露の際に被験者において誘発される1つ以上の情動的及び/又は認知的応答並びにフレグランスに含有される各フレグランス成分の濃度を含むデータセットは、本明細書では「フレグランスデータセット」といわれる。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法は、複数のフレグランスデータセットを用いて実施される。
【0049】
いくつかの実施形態では、コンシューマー検査は宣言的検査である。いくつかの実施形態では、コンシューマー検査はフリーソーティング検査である。フリーソーティング検査は、被験者がフレグランスのにおいを嗅いてその嗅覚近接度に基づいてそれを群化しなければならない盲検スニッフ検査プロトコルを含む。いくつかの実施形態では、コンシューマー検査はモナディック検査である。モナディック検査は、たとえば、嗅覚性に基づくソーティングステップを用いることなく、被験者に単一フレグランスのにおいを嗅がせて評価させる。検査者は、ディスクリプターを用いて、フレグランス、たとえば、フレグランス群又は個別フレグランスを評価するように要求されうる。いくつかの実施形態では、ディスクリプターは、コンシューマー検査の一部として提供される。いくつかの実施形態では、ディスクリプターは、フレッシュ、センシュアル、ナチュラル、フェミニン、ソフィスティケイテッド、ケアリング、クリーン、エナジャイジング、ハッピー、及びリラクシングの1つ以上である。いくつかの実施形態では、ディスクリプターは、ヘルシー、ソフト、又はメモラブルの1つ以上である。いくつかの実施形態では、ディスクリプターは命題である。いくつかの実施形態では、命題は、「シンプルクリーニングを提供する」、「非常に効果的にクリーニングする」、「悪臭に対抗し防止する」、「ソフトクリーニングを提供する」、「サニタイジング性を有する」、「自信を回復するフレッシュネスを提供する」、「クリーニングプロセスを促進する」、「エネルギーを向上させる」、「保護を提供する」、「無害で健康に良い」、「栄養を与え保湿する」、「気を配り緊張をほぐす助けとなる」、「美しく見える助けとなる」、「美しく感じる助けとなる」、「実物にそっくりである」、「ユニーク且つアップスケールである」、「気分を高め気分が良いと感じさせる」、「気分が良いと感じさせる」、「楽しみを感じさせる」、「愛する場所に運んでくれる」、「自然と繋がる」、「身なりを良く感じる助けとなる」、「好きである」、「ユニークで際立って感じる助けとなる」、「ソフィスティケイテッド且つセダクティブに見える助けとなる」、「センシュアル且つフェミニンにしてくれる」、「フレッシュに感じ良い気分にしてくれる」、「他人を楽しませる味わい深い尊敬の表れ」、「フェミニニティーを増強しより自信を感じさせる」、「チャーミング、セダクティブ、及びエレガントに感じさせる」、「セクシー、アトラクティブ、及びアピーリングに感じさせる」、「アテンションを集める」、「気分が良いと感じさせより良い気分にする」、「快適、安全、及び自信回復を感じさせる」、又は「フレッシュ且つクリーンに感じさせる」の1つ以上である。いくつかの実施形態では、ディスクリプターは、色、たとえば、紫色、青色、緑色、赤色、橙色、黄色、藍色、菫色、褐色、黒色、白色などである。いくつかの実施形態では、ディスクリプターは、音、たとえば、音楽、又はイメージ、たとえば、視覚的シーン若しくは精神的(想像)シーンである。いくつかの実施形態では、ディスクリプターは、アンケートの形態で検査者に提供される。いくつかの実施形態では、ディスクリプターは、ポイントスケール、たとえば、5ポイント又は10ポイントスケールでスコア付けされうる。いくつかの実施形態では、ディスクリプターは、バイナリー尺度を用いてスコア付けされうる。たとえば、この場合、アンケートは、当てはまるすべてのディスクリプターを検査者が選ぶことを要求しうる。
【0050】
いくつかの実施形態では、情動的及び/又は認知的応答は、本明細書に記載のディスクリプターを含むか又はそのディスクリプターである。いくつかの実施形態では、情動的又は認知的応答は、ディスクリプターの一般的原理を捉える。たとえば、命題ディスクリプターは、たとえば、ハッピネス、セクシネス、コンフィデンス、クリンリネスなどのより一般的な感覚を捉えうる。ディスクリプターは、2つ以上の一般的感覚を包含しうる。このため、ディスクリプターは、互いに相関しうることが認識されるであろう。いくつかの実施形態では、情動的及び/又は認知的応答は、互いに相関付けられる。いくつかの実施形態では、検査フレグランスは、フレグランスへの暴露により被験者において相関付けられた精神的応答を誘発する。いくつかの実施形態では、ディスクリプターの相関は、2つ以上の関連ルールで捉えられ、その場合、各関連ルールは、同一のフレグランス成分濃度又はフレグランス成分濃度組合せ及びどの他のルールとも異なる精神的応答を含む。いくつかの実施形態では、目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発するために生産されたフレグランス組成物は、目標の情動的及び/又は認知的応答に相関付けられた情動的及び/又は認知的応答をさらに誘発しうる。
【0051】
いくつかの実施形態では、フレグランスへの暴露により被験者において誘発される情動的及び/又は認知的応答は、フレグランス又は群化されたフレグランスのセットを記述するために被験者が使用する本明細書に記載のディスクリプターを含むか又はそのディスクリプターである。いくつかの実施形態では、フレグランスデータセットは、検査フレグランスに含有されるフレグランス成分の濃度及び1つ以上の情動的又は認知的応答、たとえば、検査フレグランスへの暴露の際に被験者により自己報告されるディスクリプターを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、コンシューマー検査は生理学的ベース検査である。たとえば、コンシューマー検査は、検査フレグランスへの暴露により被験者において誘発脳活動パターン、顔の表情、心拍数、血圧、皮膚コンダクタンス、筋緊張、驚愕反射、皮膚温度、眼球運動、及び/又は瞳孔直径をアセスしうる。いくつかの実施形態では、誘発脳活動パターンは、フレグランスへの暴露により被験者において決定される。この場合、誘発脳活動は、フレグランス誘発脳活動が情動的又は認知的状態の脳活動に関係付けられるかを決定するために解析されうる。いくつかの実施形態では、脳活動(たとえば、情動又は認知的状態の脳活動、フレグランス誘発脳活動)は、機能的ニューロイメージング技術を用いて決定される。ニューロイメージング技術の非限定的例としては、機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)、脳波検査(EEG)、脳磁気検査(MEG)、ポジトロンエミッショントモグラフィー(PET)、機能的近赤外分光法(fNIRS)、シングルフォトンエミッションコンピュータートモグラフィー(SPECT)、及び機能的超音波イメージング(fUS)が挙げられる。いくつかの実施形態では、情動的又は認知的状態は、アテンション、セルフエスティーム、マインドフルネス、メモリー、ハッピネス、リラクゼーション、セダクション、及びエネルギーを含むか又はそれらである。いくつかの実施形態では、情動的及び/又は認知的応答は、アテンション、セルフエスティーム、マインドフルネス、メモリー、ハッピネス、リラクゼーション、セダクション、又はエネルギーを含むか又はそれらである。
【0053】
いくつかの実施形態では、コンシューマー検査は宣言的検査を含む。いくつかの実施形態では、コンシューマー検査は生理学的ベース検査を含む。いくつかの実施形態では、コンシューマー検査は、宣言的検査及び生理学的ベース検査を含む。いくつかの実施形態では、被験者は、宣言的検査を用いて検査される。いくつかの実施形態では、被験者は、生理学的ベース検査を用いて検査される。いくつかの実施形態では、被験者は、宣言的検査及び生理学的ベース検査を用いて検査される。たとえば、同一被験者は、宣言的及び生理学的ベース検査の両方を受けうる。いくつかの実施形態では、被験者は、宣言的検査又は生理学的ベース検査の一方を用いて検査される。たとえば、被験者は、宣言的又は生理学的ベース検査の一方のみを受けうる。
【0054】
いくつかの実施形態では、複数のフレグランスデータセットは、宣言的検査からのフレグランスデータセットを含む。いくつかの実施形態では、複数のフレグランスデータセットは、生理学的ベース検査からのフレグランスデータセットを含む。いくつかの実施形態では、複数のフレグランスデータセットは、宣言的検査及び生理学的ベース検査からのフレグランスデータセットを含む。
【0055】
B.関連ルールの評価
本明細書に提供される方法に従って決定された関連ルールは、妥当としてルールを承諾するよりも前にルールの品質を決定するために評価されうる。関連ルール品質の評価方法としては、限定されるものではないがサポートレベル、コンフィデンスレベル、及び/又はリフトレベルを決定することが挙げられる。各評価タイプは、関連ルールの妥当性及び価値をアセスする異なる手段を提供する。いくつかの実施形態では、関連ルール品質の評価方法は、それ自体がロバスト性及び/又は信頼性の検査に付されうる。たとえば、セクションI-B-3に記載のように、リフトレベルは、ロバスト性に関して統計的にアセスされうる。
【0056】
いくつかの実施形態では、サポートレベル、コンフィデンスレベル、又はリフトレベルの1つ以上を満たす関連ルールは、妥当とみなされる。いくつかの実施形態では、サポートレベル及びコンフィデンスレベルを満たす関連ルールは、妥当とみなされる。いくつかの実施形態では、サポートレベル及びリフトレベルを満たす関連ルールは、妥当とみなされる。いくつかの実施形態では、妥当なルールは、たとえば、セクションI-Dに記載のように、データベースに記憶される。
【0057】
1.サポート
サポートは、アイテムのセット(アイテムセット)がどれくらい頻出してデータセットに出現するかのインジケーターである。たとえば、すべての可能な観測のセットに対して、所与のアイテムセットXは、下記式:
【数1】
により定義されるサポートsupp(X)を有する。
【0058】
いくつかの実施形態では、最小サポートレベルは、関連ルールを発生しうるアイテムセットが少なくとも最小頻出度でデータセットで生起することを確保するために定義されうる。頻出アイテムセットの同定は、関連ルールマイニングアルゴリズムの最初のステップであるので、この最初のステップは、関連ルールの品質を決定する最初の手段の働きをしうる。
【0059】
いくつかの実施形態では、関連ルール品質を決定することは、複数のフレグランスデータセットでフレグランス成分濃度の頻出度が最小サポートレベルを満たすかを同定することを含む。いくつかの実施形態では、関連ルール品質を決定することは、複数のフレグランスデータセットで共起的フレグランス成分濃度の頻出度が最小サポートレベルを満たすかを同定することを含む。最小サポートレベルは、ユーザーにより選択されうる。いくつかの実施形態では、最小サポートレベルは、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%である。いくつかの実施形態では、最小サポートレベルは、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、又は30%である。いくつかの実施形態では、たとえば、頻出n次元たとえば2次元アイテムセットを同定するために最初に頻出1次元アイテムセットを同定するストラテジーを使用するとき、各1次元アイテムの最小サポートレベルは、少なくとも5%、10%、15%、20%、又は25%である。いくつかの実施形態では、各1次元アイテムセットの最小サポートレベルは、5%又は少なくとも5%である。いくつかの実施形態では、各1次元アイテムセットの最小サポートレベルは、10%又は少なくとも10%である。いくつかの実施形態では、最小サポートレベルは、最小サポートレベルを満たすフレグランス成分濃度及び頻出共起的フレグランス成分濃度のみが関連ルールを決定するために使用されるように、複数のフレグランスデータセットで頻出フレグランス成分濃度及び/又は頻出共起的フレグランス成分濃度を同定するよりも前に設定される。
【0060】
2.コンフィデンス
関連ルールは、X⇒Yの形で表されうる。ただし、X⊆I、Y⊆I、且つX∩Y=Φ。関連ルールのコンフィデンスは、Y(後件、たとえば、情動的及び/又は認知的応答)が真であるときに前件X(たとえば、フレグランス成分濃度又は濃度組合せ)を与える条件付き確率である。たとえば、関連ルールX⇒Yのコンフィデンスレベルは、下記:
【数2】
に従って決定されうる。ただし、supp(X∪Y)は、アイテムのインターセクションのサポートである。
【0061】
いくつかの実施形態では、関連ルール品質を決定することは、関連ルールのコンフィデンスレベルを決定すること及びコンフィデンスレベルが最小コンフィデンスレベルを満たすかをアセスすることを含む。最小サポートレベルと同様に、適切な最小コンフィデンスレベルは、ユーザーにより選択されうる。いくつかの実施形態では、最小コンフィデンスレベルは、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は95%である。いくつかの実施形態では、最小コンフィデンスレベルは、少なくとも80%、90%、又は95%である。
【0062】
3.リフト
関連ルール(たとえば、X⇒Y)のリフトは、前件(X、たとえば、フレグランス成分濃度又は濃度組合せ)が与えられた場合、非依存という仮定の下での尤度からの後件(Y、たとえば、情動的及び/又は認知的応答)尤度の偏差の尺度であり、以下:
【数3】
のように表されうる。
【0063】
いくつかの実施形態では、リフトレベルは、関連ルールの方向性、たとえば、フレグランス成分濃度又はフレグランス成分濃度の組合せが情動的及び/又は認知的応答の誘発に非依存、有益、又は有害であるかを決定するために使用可能である。たとえば、関連ルールが1のリフトレベルを有する場合、前件及び後件の生起確率が互いに依存しないこと、たとえば、アイテムセットが関与するルールを引き出せないことを暗示しうる。1超のリフトレベルは、生起が互いに依存する程度を表すが、1未満のリフトレベルは、一方のアイテムの存在が他方のアイテムの存在に悪影響を及ぼしうることを表し、逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、1超の最小リフトレベルは、互いに正の依存性を有するフレグランス成分を含むルールを同定するためにユーザーにより選択されうる。他のリフトレベル、たとえば、1に等しい又は1未満のリフトレベルは、他の関係、たとえば、フレグランス成分間及び/又はフレグランス成分組合せ間の非依存性又は負の相互作用をアセスするためにユーザーにより選択されうることが認識されるべきである。これらの関連ルールもまた、本明細書に記載のデータベースに記憶されうる。
【0064】
いくつかの実施形態では、関連ルール品質を決定することは、関連ルールのリフトレベルを決定すること及びリフトレベルが最小リフトレベルを満たすかをアセスすることを含む。いくつかの実施形態では、最小リフトレベルは、少なくとも1.05、1.1、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、又は1.2である。いくつかの実施形態では、最小リフトレベルは、1.1又は少なくとも1.1である。いくつかの実施形態では、最小リフトレベルは、1.2又は少なくとも1.2である。
【0065】
いくつかの実施形態では、関連ルールのリフトレベルは、ロバスト性に関して評価される。いくつかの実施形態では、リフトレベルは、最小リフトレベルを満たすとともにロバストでなければならない。いくつかの実施形態では、ロバスト性は、関連ルールの計算リフトレベルの信頼性を表す。
【0066】
いくつかの実施形態では、リフトレベルは、ノンパラメトリック検定を用いてロバスト性に関して評価される。当技術分野で公知のリフトレベルの評価に好適ないずれのノンパラメトリック検定も、ロバスト性をアセスするために使用されうる。いくつかの実施形態では、ノンパラメトリック検定は順列検定である。特異的関連ルールのリフトレベルのロバスト性を決定する目的では、同一の後件すなわち精神的応答を有するすべての関連ルールの結果を順列することにより、リフト(たとえば理論リフト)レベルが特異的関連ルールで計算されたリフトレベルと比較して不変のままであるかを検証することが目的でありうる。したがって、帰無仮説の下で、理論リフト及び計算リフトレベルは、等しいか又はほぼ等しい。
【0067】
いくつかの実施形態では、順列検定は、各順列のリフトレベルを計算すること及び関連ルールの計算リフトレベルに対する観測リフトレベルの倍率を順列数で除算してp値を戻すことにより所与の関連ルールで実施される。いくつかの実施形態では、順列数は、少なくとも5000若しくは10,000又は少なくとも5000若しくは10,000である。統計的ニーズを満たし且つ計算資源を最適化する好適な順列数の選択は、当技術分野で公知である。いくつかの実施形態では、アルファ以下のp値を有する関連ルールは、ロバストとみなされる。いくつかの実施形態では、アルファは、0.1、0.05、又は0.01以下である。いくつかの実施形態では、アルファは0.1である。いくつかの実施形態では、関連ルールのリフトレベルは、最小リフトレベルを満たし且つ順列検定に基づいてロバスト性に関して検査したとき0.01、0.05、又は0.1以下のp値を有していなければならない。いくつかの実施形態では、関連ルールのリフトレベルは、最小リフトレベルを満たし且つ順列検定に基づいてロバスト性に関して検査したとき0.1未満のp値を有していなければならない。
【0068】
いくつかの実施形態では、たとえば、関連ルールが特異的濃度のフレグランス成分組合せに対応する場合、関連ルールのリフトレベルへのフレグランス成分の寄与を決定しうる。リフトレベルへのフレグランス成分の寄与は、その成分なしで決定されたリフトレベルからのフレグランス成分を用いたリフトレベルの偏差として定義されうるので、関連ルールへのフレグランス成分の関与の推定値を提供する。いくつかの実施形態では、リフトレベルへのフレグランス成分の寄与は、1つ以上のフレグランス成分との組合せで同一フレグランス成分で決定されたリフトレベルからの1次元フレグランス成分のリフトレベルを減算することにより決定される。いくつかの実施形態では、関連ルールへのフレグランス成分の寄与は、関連ルールと共にたとえばデータベースに記憶される。いくつかの実施形態では、関連ルールへのフレグランス成分の寄与は、フレグランス組成物を配合するために使用される。
【0069】
C.グローバル及びデモグラフィック特異的関連ルール
いずれの対象デモグラフィックも本明細書に記載のコンシューマー検査を行って、本明細書に提供される方法に従った使用のためにフレグランスデータセットを発生させうる。いくつかの実施形態では、コンシューマー検査は、異なる民族群、異なる年齢群、異なる性別などで行われる。いくつかの実施形態では、コンシューマー検査は異なる国で行われる。いくつかの実施形態では、コンシューマー検査は異なる年齢群で行われる。いくつかの実施形態では、コンシューマー検査は異なる性別で行われる。対象デモグラフィック群を特異的に検査することなく、本明細書に提供される方法に従った使用のためにフレグランスデータセットを発生させることも可能である。本明細書に記載の関連ルールマイニング方法をプールされたフレグランスデータセットで実施できるように、本明細書に提供される方法では、いずれのコンシューマー検査から発生されたフレグランスデータセットもプール可能である。こうして、本明細書に記載の関連ルールマイニング方法では、グローバル集団に適用可能な関連ルールを同定可能である。代替的に、フレグランスデータセットは、対象デモグラフィック群に適用可能なフレグランスデータセットを生成するためにソートされうる。この場合、本明細書に記載の関連ルールマイニング方法では、デモグラフィック群に適用可能な関連ルールを同定可能である。
【0070】
本明細書に記載の方法に従って決定された関連ルールは、異なる前件(たとえば、フレグランス成分濃度、フレグランス成分濃度組合せ)を有するが同一の情動的及び/又は認知的応答(後件)を誘発する複数の関連ルールをもたらしうる。こうした状況は、全コンシューマー試験にわたり検査されるフレグランスの差に起因して生じうる。このため、関連ルールを一様にアセスするために、再適用プロセスを実施しうる。再適用プロセスは、グローバル又はデモグラフィック群のどちらかに適用可能な関連ルールを同定し、異なるフレグランスデータセット群、たとえば、新しいコンシューマー検査からのものでその関連ルールが存在するかをアセスすることにより実施されうる。いくつかの実施形態では、グローバル集団に適用可能な関連ルールは、特異的デモグラフィック群に再適用されうる。いくつかの実施形態では、デモグラフィック群に適用可能な関連ルールは、異なるデモグラフィック群又はプールされたフレグランスデータセット(グローバル)に再適用されうる。いくつかの実施形態では、再適用プロセスは、既存の関連ルールのフレグランス成分濃度及び/又はフレグランス成分濃度組合せを異なるフレグランスデータセット群で同定すること並びに情動的及び/又は認知的応答のリフトレベルを計算することを含む。いくつかの実施形態では、再適用プロセスは、オリジナルの再適用された関連ルールと同一の前件及び後件を有する関連ルールを異なるフレグランスデータセット群で生成し各関連ルールのリフトレベルをさらに含む。いくつかの実施形態では、再適用を用いて決定された関連ルールは、いずれかの他の関連ルールに記載のように評価される。いくつかの実施形態では、再適用を用いて決定された関連ルールは、データベースに記憶されうる。
【0071】
D.データベース
本明細書に提供される方法に従って同定された関連ルールは、データベースに記憶されうる。いくつかの実施形態では、データベースは、好適なデータ記憶フォーマット及びスキーマを用いて複数の関連ルールを記憶するように構成される。いくつかの実施形態では、デモグラフィック群に適用可能な関連ルールがデータベースに記憶される。いくつかの実施形態では、グローバル集団に適用可能な関連ルールがデータベースに記憶される。いくつかの実施形態では、デモグラフィック群に適用可能な関連ルール及びグローバル集団に適用可能な関連ルールがデータベースに記憶される。
【0072】
データベースは、操作可能及び/又は検索可能でありうる。たとえば、データベースは、関連ルールの記憶、記憶された関連ルールの同定、修正、更新、アクセスなどを可能にするクエリーモジュールを含みうる。いくつかの実施形態では、データベースをクエリーするためにユーザーインターフェースを使用しうる。たとえば、特定の情動的及び/又は認知的応答、デモグラフィック群(たとえば、国、年齢、性別、民族性)、及び/又はフレグランス成分に関係するすべての情報を抽出するためにデータベースをクエリーしうる。いくつかの実施形態では、既存のフレグランスに適用可能な情動的及び/又は認知的応答の関連ルールを提供するためにデータベースをクエリーしうる。たとえば、既存のフレグランス配合物に関する情報は、目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発するためなどに有用な関連ルールを同定するための入力として使用されうる。いくつかの実施形態では、既存のフレグランス配合物に関する情報は、フレグランスに存在する関連ルールを同定し既存のフレグランスにより誘発される情動的及び/又は認知的状態を予測するための入力として使用されうる。
【0073】
いくつかの実施形態では、データベースは、フレグランス成分に関する情報、たとえば、フレグランス成分に関連する関連ルールに加えて、化学構造、規制情報などを含みうる。
【0074】
E.システム
本明細書に提供される方法は特定のシステムに依存しないが、本方法との関連での使用のためのシステムは、本明細書に記載の特徴の1つ以上を有しうる。
図3は、本明細書に記載の方法、具体的には、被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分及び組合せの同定方法を実施するための模範的システム(100)を示す。ブロック図及びフローチャート図(たとえば、
図1~3)の各ブロック並びにブロック図及びフローチャート図のブロックの組合せは、それぞれ、コンピュータープログラム命令により実装されうることが理解されるであろう。こうしたコンピュータープログラム命令は、コンピューター又は他のプログラマブルデータ処理装置で実行される命令が1つ又は複数のフローチャートブロックに具体的に示される機能を実装するための手段を生み出すような機械を生産するために、汎用コンピューター、専用コンピューター、又は他のプログラマブルデータ処理装置(たとえば、リモートサーバー)にロードされうる。
【0075】
図3の例示実施形態では、システム(100)は、たとえば、コンピューター、ハンドヘルドデバイス、複数のネットワーク接続コンピューティングデバイス、複数のクラウドコンピューティングデバイス、リモートサーバーなどでありうるコンピューティングデバイス(102)を含みうる。それゆえ、限定目的ではなく考察を容易にするためにのみ、コンピューティングデバイス(102)は単数形を用いて本明細書で参照されるが、いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス(102)は、2つ以上の物理デバイスを含みうる。ある実施形態では、コンピューティングデバイス(102)は、本方法を実施する者と共に物理的に位置しうる。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス(102)は、リモートでアクセス可能でありうる。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス(102)は、本方法を実施する者からリモートに位置するウェブサーバーでありうる。コンピューティングデバイス(102)は、少なくとも1つのプロセッサー(たとえば、コントローラー、マイクロコントローラー、又はマイクロプロセッサー)(114)、ランダムアクセスメモリー(RAM)(116)、ユーザーインターフェース(104)、ネットワークインターフェース(106)、プログラムメモリー(110)、及び入出力(I/O)回路(108)を含みうるとともに、その各々は、アドレス/データバスを介して相互接続されうる。いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェース(104)は、ディスプレイ並びにキーボード及び/又はマウスを含む入力デバイスを含みうる。いくつかの実施形態では、プログラムメモリー(110)は、少なくとも1つのタンジブル非一時コンピューター可読記憶媒体又はデバイスを含む。少なくとも1つのタンジブル非一時コンピューター可読記憶媒体又はデバイスは、少なくとも1つのプロセッサー(114)で実行するとき、本明細書に記載の方法、たとえば、(10)、(12)をコンピューティングデバイス(102)に実現させるコンピューター実行可能命令(112)を記憶するように構成されうる。
【0076】
いくつかの実施形態では、命令(112)は、本明細書に記載の関連ルールマイニングを実施するためのコンピューター実行可能ステップを含む。いくつかの実施形態では、命令(112)は、たとえば、フレグランスデータセットで頻出フレグランス成分及び/又は頻出共起的フレグランス成分を同定するためのデータマイナー(112A)を含む。データマイナーは、コンピューターネットワーク、たとえば、インターネット、イントラネット、サーバーファーム、パーソナルコンピューターなどに記憶された情報をマイニングするように構成されうる。いくつかの実施形態では、命令は、頻出フレグランス成分及び/又は共起的フレグランス成分から1つ以上の関連ルールを決定するためのルールジェネレーター(112B)を含む。コンピューター実行可能命令(112)の1つ以上の他のセットは、プロセッサー(114)により実行可能でありうる。いくつかの実施形態では、コンピューター実行可能命令(112)の1つ以上の他のセットは、システム(100)により1つ以上の関連ルールを評価し、データベースに1つ以上の関連ルールを記憶し、且つ/又はデータベースをクエリーするようにプロセッサー(114)により実行可能でありうる。
【0077】
いくつかの実施形態では、コンピューター可読記憶媒体に記憶された命令から、本明細書に提供される関連ルールマイニング方法を実現するためのコンピューター可読命令を含む製造品が生産される。命令はまた、一連の操作ステップをコンピューター又は他のプログラマブル装置に実施させ、コンピューター又は他のプログラマブル装置で実行される命令が本明細書に記載の関連ルールマイニング方法を実現するためのステップを提供するようなコンピューター実装プロセスをもたらすように、コンピューター又は他のプログラマブルデータ処理装置にロードされうる。
【0078】
II.情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分及びフレグランス組成物 また、本明細書には、本明細書に記載の方法に従って決定された、被験者において1つ以上の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分、フレグランス成分組合せ、完全配合フレグランス、及びアコードも提供される。
【0079】
本明細書に記載の方法に従って発生された関連ルールは、被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発する能力をするフレグランス組成物を素早くストラテジーにより生産するユニークな能力を呈する。関連ルールは、フレグランス組成物開発のためのガイドの働きをしうる。このため、本明細書にはまた、本明細書に提供される方法に従って発生された関連ルールが組み込まれたフレグランス組成物も提供される。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は、被験者において1つ以上の情動的及び/又は認知的応答を誘発するように特異的に設計される。
【0080】
いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は新しいフレグランス組成物である。いくつかの実施形態では、関連ルールは、新しいフレグランス組成物を開発するために使用される。たとえば、暴露の際に被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物を生産することが目的でありうる。この場合、フレグランス成分組合せを同定しそれに基づいてフレグランス組成物を配合するために、関連ルールを含有するデータベースをクエリー可能であろう。さらに、グローバル集団又はデモグラフィック群に適用可能な関連ルールを同定するためにクエリーをリファイン可能でありうる。
【0081】
いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は、組成物中にすでに存在するフレグランス成分の濃度が関連ルールに整合するように修正された既存のフレグランス組成物である。たとえば、新しいフレグランス成分をフレグランス組成物に追加することなく被験者において目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発する能力を既存のフレグランス組成物に組み込むことが望ましいこともある。この場合、入力としてフレグランス組成物配合(たとえば、フレグランス組成物に含有されるフレグランス成分の濃度)を用いて既存のフレグランス成分を含有する関連ルールを同定するようにクエリーを制限して、関連ルールを含有するデータベースをクエリー可能であろう。いくつかの実施形態では、クエリーはまた、フレグランス組成物に組み込まれる目標の情動的及び/又は認知的応答を含みうる。いくつかの実施形態では、クエリーは、グローバル集団又はデモグラフィック群に適用可能な関連ルールを同定する制限をさらに含みうる。この例では、次いで、既存のフレグランス組成物は、既存の成分の濃度又は比を変化させて所望の情動的又は認知的応答を達成するように修正されうる。いくつかの実施形態では、修正は、既存のフレグランス成分の濃度の増加、既存のフレグランス成分の濃度の減少、又は既存のフレグランス組成物からの既存のフレグランス成分の除去の1つ以上を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は、関連ルールを組み込むために既存のフレグランス組成物中に存在しないフレグランス成分が追加される既存のフレグランス組成物である。たとえば、既存のフレグランス組成物の濃度又は比を操作することなく既存のフレグランスに関連ルールを組み込むことが望ましいこともある。これを達成するために、既存の組成物に新しいフレグランス成分を追加することが必要であろう。この場合、入力としてフレグランス組成物配合(たとえば、フレグランス組成物に含有されるフレグランス成分の濃度)を用い、既存の処方に存在しない少なくとも1つのフレグランス成分を含有する関連ルールを同定するようにクエリーを制限して、関連ルールを含有するデータベースをクエリー可能であろう。
【0083】
いくつかの実施形態では、クエリーはまた、フレグランス組成物に組み込まれる目標の情動的及び/又は認知的応答を含みうる。いくつかの実施形態では、クエリーは、グローバル集団又はデモグラフィック群に適用可能な関連ルールを同定する制限をさらに含みうる。この例では、次いで、既存のフレグランス組成物は、既存のフレグランス成分の濃度又は比が維持され目標の情動的及び/又は認知的応答を達成するために新しいフレグランス成分が追加されるように修正されうる。
【0084】
いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は、既存のフレグランス組成物中に存在しないフレグランス成分が追加され関連ルールを組み込むために既存のフレグランス成分が修正される(たとえば、濃度が減少又は増加される)既存のフレグランス組成物である。たとえば、フレグランス組成物中に存在するフレグランス成分の関係及び新しいフレグランス成分を同定し既存のフレグランス組成物の修正方法を探究することが望ましいこともある。この場合、入力としてフレグランス組成物配合(たとえば、フレグランス組成物に含有されるフレグランス成分の濃度)を用い、既存の処方に存在する少なくとも1つのフレグランス成分を含有する関連ルールを同定するようにクエリーを制限して、関連ルールを含有するデータベースをクエリー可能であろう。いくつかの実施形態では、クエリーはまた、フレグランス組成物に組み込まれる目標の情動的及び/又は認知的応答を含みうる。いくつかの実施形態では、クエリーは、グローバル集団又はデモグラフィック群に適用可能な関連ルールを同定する制限をさらに含みうる。この例では、次いで、既存のフレグランス組成物は、既存のフレグランス成分の濃度が維持、増加、又は減少され目標の情動的及び/又は認知的応答を達成するために新しいフレグランス成分が追加されるように修正されうる。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物はフレグランス成分組合せである。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は完全配合フレグランスである。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物はアコードである。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物はスキーマである。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物はフランカーである。
【0085】
本明細書に提供されるフレグランス組成物及びフレグランス成分は、香料及びコロンを含めていずれの香料用品にも、パーソナルケア用品、たとえば、石鹸、シャワーゲル、及びヘアケア用品、ファブリックケア用品、エアフレッシュナー、並びに化粧品の着香に、広く適用可能である。いくつかの実施形態では、フレグランス組成物は、クリーニング剤、たとえば、限定されるものではないが洗剤、食器洗浄材料、スクラビング組成物、ウィンドウクリーナーなどに着香するために使用される。これらの調製品では、フレグランス組成物は、単独で又は他の着香用組成物、溶媒、アジュバントなどとの組合せで使用可能である。同様に利用可能な他の成分の性質及び種類は、当業者に公知である。フレグランスが他の利用される構成要素と相補的(すなわち適合可能)である限り、多くのタイプの追加のフレグランスを利用可能である。
【0086】
本明細書に提供されるフレグランス組成物及びフレグランス成分は、さまざまなコンシューマー用品での使用に好適でありうるとともに、ニートフレグランス配合物として(たとえば、ファインフレグランスで)使用可能であるか、或いは好適な担体材料を用いてカプセル化及び/又は送達されうる。いくつかの周知の材料としては、たとえば、ポリマー、オリゴマー、他の非ポリマー、たとえば、界面活性剤、乳化剤、脂質(脂肪、ワックス、及びリン脂質を含む)、オーガニックオイル、ミネラルオイル、ワセリン、天然オイル、香料固定剤、繊維、デンプン、糖、並びに固形表面材料、たとえば、ゼオライト及びシリカが挙げられる。
【0087】
フレグランス組成物それ自体に加えて、フレグランス組成物を含有するコンシューマー用品もまた提供される。コンシューマー用品としては、たとえば、香料、コロン、固形石鹸、液状石鹸、シャワーゲル、フォーム入浴剤、化粧品、スキンケア用品、たとえば、クリーム、ローション、及びシェービング用品、シャンプーイング用、リンシング用、コンディショニング用、ブリーチング用、カラーリング用、染色用、及びスタイリング用のヘアケア用品、デオドラント及び制汗剤、フェミニンケア用品、たとえば、タンポン及びフェミニンナプキン、ベビーケア用品、たとえば、おむつ、胸当て、及びワイプ、ファミリーケア用品、たとえば、トイレットペーパー、フェイシャルティッシュ、ペーパーハンカチ、又はペーパータオル、ファブリック用品、たとえば、ファブリックソフトナー及びフレッシュナー、エアケア用品、たとえば、エアフレッシュナー及びフレグランス送達システム、化粧品、クリーニング剤及び消毒剤、たとえば、洗剤、食器洗浄材料、スクラビング組成物、ガラス及び金属クリーナー、たとえば、ウィンドウクリーナー、カウンタートップクリーナー、フロア及びカーペットクリーナー、トイレクリーナー、並びにブリーチ添加剤、洗浄剤、たとえば、多目的、ヘビーデューティー、及び手洗い又はファインファブリック洗浄剤(ランドリー洗剤及びリンス添加剤を含む)、歯科及び口腔衛生用品、たとえば、練り歯磨き、歯磨きジェル、デンタルフロス、義歯クレンザー、義歯接着剤、歯磨き剤、歯ホワイトニング、及びマウスウォッシュ、ヘルスケア及び栄養用品並びに食品、たとえば、スナック及び飲料品が挙げられうる。
【0088】
III.模範的実施形態
提供される実施形態には、以下のものがある。
1.被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物の生産方法であって、前記方法は、以下:(a)フレグランス組成物により誘発される1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を選択することと、(b)1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発する1つ以上のフレグランス成分及び/又は1つ以上のフレグランス成分組合せを複数の関連ルールで同定することであって、各関連ルールは、被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分濃度又はフレグランス成分濃度組合せに対応する、ことと、(c)1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発する濃度で1つ以上のフレグランス成分及び/又は1つ以上のフレグランス成分組合せをフレグランス組成物中に配合することと、を含む、方法。
2.複数の関連ルールが、以下:(a)頻出フレグランス成分濃度及び/又は頻出共起的フレグランス成分濃度を複数のフレグランスデータセットで同定することであって、複数のフレグランスデータセットの各々は、フレグランスへの暴露により被験者において誘発される情動的及び/又は認知的応答並びにフレグランスに含まれる1つ以上のフレグランス成分の各々の濃度を含む、ことと、(b)頻出フレグランス成分濃度及び/又は頻出共起的フレグランス成分濃度に基づいて複数の関連ルールを決定することと、により発生される、実施形態1に記載の方法。
3.1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物が、グローバル集団に適用可能である、実施形態1又は実施形態2に記載の方法。
4.1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス組成物が、デモグラフィック群に適用可能である、実施形態1又は実施形態2に記載の方法。
5.フレグランス組成物が、新しいフレグランス組成物である、実施形態1~4のいずれか一つに記載の方法。
6.フレグランス組成物が、修正された既存のフレグランス組成物である、実施形態1~4のいずれか一つに記載の方法。
7.フレグランス組成物が、新しいフレグランス成分の追加、既存のフレグランス成分の除去、既存のフレグランス成分の濃度の増加、既存のフレグランス成分の濃度の減少、又はそれらのいずれかの組合せにより修正された既存のフレグランス組成物である、実施形態1~4及び6のいずれか一つに記載の方法。
8.フレグランス組成物が、完全配合フレグランス又はアコードである、実施形態1~7のいずれか一つに記載の方法。
9.フレグランス組成物が、コンシューマー用品に含まれ、任意にコンシューマー用品が、家庭用品、ランドリー用品、パーソナルケア用品、化粧品、又はファインフレグランスである、実施形態1~8のいずれか一つに記載の方法。
10.フレグランス組成物が、1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答に相関付けられる情動的及び/又は認知的応答を誘発する、実施形態1~9のいずれか一つに記載の方法。
11.以下:(a)頻出フレグランス成分濃度及び/又は頻出共起的フレグランス成分濃度を複数のフレグランスデータセットで同定することであって、複数のフレグランスデータセットの各々は、フレグランスへの暴露により被験者において誘発される情動的及び/又は認知的応答並びにフレグランスに含まれる1つ以上のフレグランス成分の各々の濃度を含む、ことと、(b)頻出フレグランス成分濃度及び/又は頻出共起的フレグランス成分濃度に基づいて1つ以上の関連ルールを決定することであって、各関連ルールは、情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分濃度又はフレグランス成分濃度組合せに対応する、ことと、を含む、被験者において情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分及び/又はフレグランス成分組合せの同定方法。
12.複数のフレグランスデータセットが、コンシューマー検査を実施すること又はコンシューマー検査データを受け取ることにより生成される、実施形態2~11のいずれか一つに記載の方法。
13.被験者において誘発される情動的及び/又は認知的応答が、宣言的検査及び/又は生理学的ベース検査を用いて決定される、実施形態1~12のいずれか一つに記載の方法。
14.情動的及び/又は認知的応答が、ケアリング、クリーン、エナジャイジング、フェミニン、フレッシュ、ハッピー、ナチュラル、リラクシング、センシュアル、ソフィスティケイテッド、アテンション、セルフエスティーム、マインドフルネス、メモリー、ハッピネス、リラクゼーション、セダクション、エネルギー、「シンプルクリーニングを提供する」、「非常に効果的にクリーニングする」、「悪臭に対抗し防止する」、「ソフトクリーニングを提供する」、「サニタイジング性を有する」、「自信を回復するフレッシュネスを提供する」、「クリーニングプロセスを促進する」、「エネルギーを向上させる」、「保護を提供する」、「無害で健康に良い」、「栄養を与え保湿する」、「気を配り緊張をほぐす助けとなる」、「美しく見える助けとなる」、「美しく感じる助けとなる」、「実物にそっくりである」、「ユニーク且つアップスケールである」、「気分を高め気分が良いと感じさせる」、「気分が良いと感じさせる」、「楽しみを感じさせる」、「愛する場所に運んでくれる」、「自然と繋がる」、「身なりを良く感じる助けとなる」、「好きである」、「ユニークで際立って感じる助けとなる」、「ソフィスティケイテッド且つセダクティブに見える助けとなる」、「センシュアル且つフェミニンにしてくれる」、「フレッシュに感じ良い気分にしてくれる」、「他人を楽しませる味わい深い尊敬の表れ」、「フェミニニティーを増強しより自信を感じさせる」、「チャーミング、セダクティブ、及びエレガントに感じさせる」、「セクシー、アトラクティブ、及びアピーリングに感じさせる」、「アテンションを集める」、「気分が良いと感じさせより良い気分にする」、「快適、安全、及び自信回復を感じさせる」、並びに「フレッシュ且つクリーンに感じさせる」からなる群から選択される、実施形態1~13のいずれか一つに記載の方法。
15.1つ以上の目標の情動的及び/又は認知的応答が、ケアリング、クリーン、エナジャイジング、フェミニン、フレッシュ、ハッピー、ナチュラル、リラクシング、センシュアル、ソフィスティケイテッド、アテンション、セルフエスティーム、マインドフルネス、メモリー、ハッピネス、リラクゼーション、セダクション、エネルギー、「シンプルクリーニングを提供する」、「非常に効果的にクリーニングする」、「悪臭に対抗し防止する」、「ソフトクリーニングを提供する」、「サニタイジング性を有する」、「自信を回復するフレッシュネスを提供する」、「クリーニングプロセスを促進する」、「エネルギーを向上させる」、「保護を提供する」、「無害で健康に良い」、「栄養を与え保湿する」、「気を配り緊張をほぐす助けとなる」、「美しく見える助けとなる」、「美しく感じる助けとなる」、「実物にそっくりである」、「ユニーク且つアップスケールである」、「気分を高め気分が良いと感じさせる」、「気分が良いと感じさせる」、「楽しみを感じさせる」、「愛する場所に運んでくれる」、「自然と繋がる」、「身なりを良く感じる助けとなる」、「好きである」、「ユニークで際立って感じる助けとなる」、「ソフィスティケイテッド且つセダクティブに見える助けとなる」、「センシュアル且つフェミニンにしてくれる」、「フレッシュに感じ良い気分にしてくれる」、「他人を楽しませる味わい深い尊敬の表れ」、「フェミニニティーを増強しより自信を感じさせる」、「チャーミング、セダクティブ、及びエレガントに感じさせる」、「セクシー、アトラクティブ、及びアピーリングに感じさせる」、「アテンションを集める」、「気分が良いと感じさせより良い気分にする」、「快適、安全、及び自信回復を感じさせる」、並びに「フレッシュ且つクリーンに感じさせる」からなる群から選択される、実施形態1~10及び12~14のいずれか一つに記載の方法。
16.フレグランスが、フレグランス成分、アコード、スキーマ、又は完全配合フレグランスである、実施形態2~15のいずれか一つに記載の方法。
17.頻出フレグランス成分濃度及び/又は頻出共起的フレグランス成分濃度が、少なくとも5%の最小サポートレベルを満たす、実施形態2~16のいずれか一つに記載の方法。
18.関連ルールの各々が、少なくとも1.1の最小リフトレベルを満たす、実施形態1~17のいずれか一つに記載の方法。
19.リフトレベルが、ノンパラメトリック検定、任意に順列検定に基づいてロバストである、実施形態18に記載の方法。
20.関連ルールのフレグランス成分濃度及び/又はフレグランス成分濃度組合せが、フレグランス成分又は組合せのフレグランス成分の各々の濃度範囲及び/又は代表値濃度として表され、且つ濃度範囲の下限及び上限が、情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分又は組合せのフレグランス成分の各々の最低濃度及び最高濃度を同定することにより決定される、実施形態1~19のいずれか一つに記載の方法。
21.関連ルールのフレグランス成分濃度組合せが、組合せのフレグランス成分の比の範囲及び/又は組合せのフレグランス成分の代表値比として表され、且つ比範囲の下限及び上限が、情動的応答又は認知的応答を誘発する組合せのフレグランス成分の各々の最低濃度及び最高濃度を同定することにより決定される、実施形態1~20のいずれか一つに記載の方法。
22.関連ルールの各々が、グローバル集団に適用可能である、実施形態1~21のいずれか一つに記載の方法。
23.関連ルールの各々が、デモグラフィック群に適用可能である、実施形態1~21のいずれか一つに記載の方法。
24.関連ルールの各々が、データベースに記憶される、実施形態1~23のいずれか一つに記載の方法。
25.実施形態2~24のいずれか一つに記載の方法に従って決定された複数の関連ルールを含むデータベース。
26.被験者において1つ以上の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分、フレグランス成分組合せ、完全配合フレグランス、又はアコードであって、前記フレグランス成分、前記フレグランス成分組合せ、前記完全配合フレグランス、又は前記アコードは、前記情動的又は認知的応答を誘発するために実施形態2~24のいずれか一つに記載の方法又は実施形態25に記載のデータベースに従って決定された1つ以上のフレグランス成分又は1つ以上のフレグランス成分組合せを含む、フレグランス成分、フレグランス成分組合せ、完全配合フレグランス、又はアコード。
27.情動的又は認知的応答を誘発する完全配合フレグランス又はアコードの調製方法であって、前記方法は、以下:(a)実施形態11~24のいずれか一つに記載の方法又は実施形態25に記載のデータベースに従って目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発するフレグランス成分又はフレグランス成分組合せを同定することと、(b)目標の情動的及び/又は認知的応答を誘発する濃度でフレグランス成分又はフレグランス成分組合せを完全配合フレグランス又はアコード中に配合することと、を含む、方法。
28.実施形態1~10のいずれか一つに記載の方法に従って生産されたフレグランス組成物、実施形態26に記載のフレグランス成分、フレグランス成分組合せ、完全配合フレグランス、若しくはアコード、又は実施形態27に従って調製された完全配合フレグランス若しくはアコードを含むコンシューマー用品であって、前記コンシューマー用品は、家庭用品、ランドリー用品、パーソナルケア用品、化粧品、又はファインフレグランスである、コンシューマー用品。
29.暴露によりコンシューマーにおいて1つ以上の情動的及び/又は認知的応答を誘発するための、実施形態1~10のいずれか一つに記載の方法に従って生産されたフレグランス組成物、実施形態24に記載のフレグランス成分、フレグランス成分組合せ、完全配合フレグランス、アコード、又は実施形態27に従って調製された完全配合フレグランス若しくはアコード、或いは実施形態28に記載のコンシューマー用品の使用。
【実施例】
【0089】
IV.実施例
下記実施例は、単に例示を目的として含まれるにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0090】
実施例1:フレグランス組成物への関連ルールの組込み
この実施例では、1つ以上の情動的及び/又は認知的応答を誘発するように既存のフレグランス組成物を修正するための関連ルールの使用を実証する。
【0091】
方法
3ヵ国:米国、フランス、及びブラジル(60人のコンシューマー/国)でセントラルロケーション一対比較検査を行った。各国に特異的なフレグランス対を検査した。各対は、オリジナルフレグランス配合物及びオリジナルフレグランス配合物の修正バージョンを含み、修正バージョンには目標の精神的応答を誘発する1つ以上の国特異的関連ルールが組み込まれた。組み込まれた関連ルールは、本明細書に記載の宣言的コンシューマー検査データ(たとえば、フリーソーティング及び/又はモナディック)をマイニングすることにより決定された(たとえば、妥当なルールは、少なくとも5%のサポートレベル、少なくとも1.1のリフトレベルを満たし、且つリフトは、ロバストと判定された)。
【0092】
スニッフ検査は、綿付き丸剤を用いて実施された。コンシューマーは、フレグランス対を比較するアンケート(5ptスケール)を完了するように要求された。模範的質問は以下に示される。
【0093】
【0094】
ブラジルに特異的な模範的方法及び結果は以下の通りであるが、各検査国で類似の方法及び結果が得られた。
【0095】
表1は、ブラジルで組み込まれるオリジナルフレグランス及び目標応答を示す。
【0096】
【0097】
フレグランスDARK LOLAで「気分が良くフレッシュに感じる」という知覚を増加させるために、既存の関連ルールA及びBを選択した。ルールAでは、オリジナルフレグランス処方にシトロネロール及びオイゲノールを追加した。ルールBを組み込むために、ダマセノンの濃度を維持し、Methイオノンガンマの濃度を増加させた。
【0098】
フレグランスVANITYで「際立つ」という知覚を増加させるために、既存の関連ルールC及びDを選択した。ルールCでは、フレグランス配合物にペッパーピンクを追加し、シトロネロールの濃度を減少させた。ルールDでは、Muscemor及びヘキセニルシス-3アセテートの濃度を増加させた。
【0099】
結果
フレグランス中への関連ルールの組込みが目標応答を増加させるかをアセスするために、各アンケート回答を3つのカテゴリー:(1)修正されたフレグランスがオリジナルフレグランスと比べて「ほとんど良くならない」又は「それほど良くならない」と感じたコンシューマー、(2)修正された及びオリジナルフレグランス配合物が「同一」であると感じたコンシューマー、並びに(3)修正されたフレグランスがオリジナルフレグランスと比べて「すこし良くなる」又は「かなり良くなる」と感じたコンシューマーに分割した。各質問の3つのカテゴリーの各々についてコンシューマーのパーセンテージを決定した。
【0100】
以下の表2及び3に示されるように、DARK LOLA及びVANITYの両方で、関連ルールの組込みの結果、オリジナルフレグランス配合物と比較して目標の精神的応答の増加を知覚するコンシューマーが大多数となった。
【0101】
【0102】
【0103】
そのほか、目標応答に相関付けられた精神的応答の増加も観測された。コンシューマーの類似の大多数は、修正されたDARK LOLAフレグランスがナチュラル、エナジャイジング、リラクシング、及びハッピーの応答の増加を有すると報告した。修正されたVANITYフレグランスはまた、増加したセンシュアル、セダクティブ、及びライキングの応答を有するとコンシューマーの類似の大多数により報告された。VANITYでは、おそらくライキング応答との相関に起因して、応答のフィットの増加も観測された。
【0104】
これらのデータは、関連ルールの妥当性及び有用性を支持するとともに、コンシューマー知覚に影響を及ぼすフレグランス組成物を生産するためにどのように関連ルールを使用しうるかをさらに例示する。
【0105】
実施例2:フレグランス組成物中へのクリーン及びアップスケールの関連ルールの組込み この実施例は、「クリーン」又は「アップスケール及びユニーク」の精神的応答を誘発するように既存のフレグランス組成物を修正するための関連ルールの使用を実証する。
【0106】
方法
英国でセントラルロケーション一対比較検査を行った(60人のコンシューマー)。各対は、オリジナルフレグランス配合物及びオリジナルフレグランス配合物の修正バージョンを含み、修正バージョンには目標の精神的応答を誘発する国特異的関連ルールが組み込まれた。組み込まれた関連ルールは、本明細書に記載の宣言的英国コンシューマー検査データ(たとえば、フリーソーティング及び/又はモナディック)をマイニングすることにより決定された(たとえば、妥当なルールは、少なくとも5%のサポートレベル、少なくとも1.1のリフトレベルを満たし、且つリフトは、ロバストと判定された)。
【0107】
検査は、フレグランス組成物を含有するファブリックコンディショナーで洗浄されたダンプタオルを用いて行われた。コンシューマーは、フレグランス対を比較するアンケート(5ptスケール)を完了するように要求された。模範的質問は以下に示される。
【0108】
【0109】
表4は、組み込まれたオリジナルフレグランス及び目標の精神的応答を示す。
【0110】
【0111】
フレグランスCOMFORT GOLDで「クリーン」という知覚を増加させるために、既存の関連ルールA及びBを選択した。ルールAでは、Galbasconeを追加し、ダマセノンの濃度を減少させた。ルールBを組み込むために、パッチュリオイルを追加し、シトロネロールの濃度を増加させた。
【0112】
フレグランスPURESSENCEで「アップスケール及びユニーク」という知覚を増加させるために、既存の関連ルールC及びDを選択した。ルールCでは、オリジナルフレグランス処方にMuscemor及びOperanideを追加した。ルールDを組み込むために、オリジナルフレグランス処方にYlanganateを追加した。
【0113】
結果
フレグランス中への関連ルールの組込みが目標応答を増加させるかをアセスするために、各アンケート回答を3つのカテゴリー:(1)修正されたフレグランスがオリジナルフレグランスと比べて「ほとんど良くならない」又は「それほど良くならない」と感じたコンシューマー、(2)修正された及びオリジナルフレグランス配合物が「同一」であると感じたコンシューマー、並びに(3)修正されたフレグランスがオリジナルフレグランスと比べて「すこし良くなる」又は「かなり良くなる」と感じたコンシューマーに分割した。各質問の3つのカテゴリーの各々についてコンシューマーのパーセンテージを決定した。
【0114】
以下の表5及び6に示されるように、COMFORT GOLD及びPURESSENCEの両方で、関連ルールの組込みの結果、オリジナルフレグランス配合物と比較して目標の精神的応答の増加を知覚するコンシューマーが大多数となった。
【0115】
【0116】
【0117】
そのほか、目標応答に相関付けられた精神的応答の増加も観測された。コンシューマーは、修正されたCOMFORT GOLDフレグランスがライキング、保護、及びフレッシュの応答の増加を有すると報告した。修正されたPURESSENCEフレグランスはまた、増加したライキング、クリーン、満足、保護、及びフレッシュの応答を有するとコンシューマーにより報告された。
【0118】
これらのデータは、ニートフレグランスのみならずコンシューマーフレグランス及び用品でもコンシューマーの精神的応答に影響を及ぼす関連ルールの妥当性及び有用性を支持する。これらの結果は、情動的及び/又は認知的応答をデモグラフィック特異的に誘発する本方法の能力をさらに支持する。
【0119】
本発明は、特定の開示された実施形態に範囲が限定されることを意図するものではなく、そうした実施形態は、たとえば、本発明の各種態様を例示するために提供される。記載の組成物及び方法への各種修正は、本明細書の説明及び教示から明らかになるであろう。かかる変形は、本開示の真の範囲及び趣旨から逸脱することなく実用されうるとともに、本開示の範囲内に包含されることが意図される。本発明は具体的な好ましい実施形態との関連で説明されうるが、特許請求された本発明がかかる具体的実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際には、当業者に自明である記載の本発明の実施形態の各種修正は、以下の特許請求の範囲内にあることが意図される。
【国際調査報告】