(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-05
(54)【発明の名称】運動性神経細胞直接交差分化用因子
(51)【国際特許分類】
C12N 9/10 20060101AFI20250226BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20250226BHJP
C12N 15/54 20060101ALI20250226BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20250226BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20250226BHJP
C12N 15/861 20060101ALI20250226BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20250226BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20250226BHJP
C12N 15/869 20060101ALI20250226BHJP
C12N 15/863 20060101ALI20250226BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20250226BHJP
C12N 5/077 20100101ALI20250226BHJP
C12N 5/0781 20100101ALI20250226BHJP
C12N 5/078 20100101ALI20250226BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20250226BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20250226BHJP
A61K 38/45 20060101ALI20250226BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20250226BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250226BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20250226BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20250226BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20250226BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20250226BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20250226BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20250226BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20250226BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20250226BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20250226BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20250226BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20250226BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20250226BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20250226BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20250226BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20250226BHJP
【FI】
C12N9/10 ZNA
C12N15/12
C12N15/54
C12N15/63 Z
C12N15/86 Z
C12N15/861 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/867 Z
C12N15/869 Z
C12N15/863 Z
C12N5/071
C12N5/077
C12N5/0781
C12N5/078
C12N5/10
A61P25/00
A61K38/45
A61K38/17
A61P43/00 105
A61K48/00
A61K35/12
A61P43/00 111
A61P25/16
A61P9/10
A61P25/14
A61P21/00
A61P25/02
A61P25/08
A61P29/00
A61P25/28
A61K9/10
A61K9/08
A61K9/48
A61K9/06
C07K14/47
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539031
(86)(22)【出願日】2022-12-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 KR2022021615
(87)【国際公開番号】W WO2023128659
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0190556
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524241637
【氏名又は名称】スタンドアップ セラピューティクス インク
【氏名又は名称原語表記】STANDUP THERAPEUTICS INC.
【住所又は居所原語表記】2F, 98 Hannam-daero, Yongsan-gu, Seoul 04418 (KR)
(71)【出願人】
【識別番号】524241648
【氏名又は名称】ユ、ジュンサン
【氏名又は名称原語表記】YOO, Junsang
【住所又は居所原語表記】2F, 98 Hannam-daero, Yongsan-gu, Seoul 04418 (KR)
(71)【出願人】
【識別番号】524241659
【氏名又は名称】シム、ヒョンス
【氏名又は名称原語表記】SHIM, Hyun Soo
【住所又は居所原語表記】1003ho, 105dong, 400 Cheonggyecheon-ro, Jung-gu, Seoul 04572 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ジュンサン
(72)【発明者】
【氏名】シム、ヒョンス
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ユジョン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
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4H045AA10
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4H045FA74
(57)【要約】
本出願は体細胞から運動性神経細胞への直接交差分化のための新規な分化因子およびその用途に関するものだ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体細胞から誘導されたモーターニューロンへの直接交差分化のための組成物で、
前記の組成物は、
Gsta4(Glutathione S-Transferase Alpha 4)蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含む組成物。
【請求項2】
前記Gsta4蛋白質は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列またはこれと同一性が70%以上の配列であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記Gsta4蛋白質をコーディングする核酸は、配列番号2または12の配列を持つことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記の組成物は、 ii)Ascl1(Achaete-scute homolog 1),Brn2(POU Class 3 Homeobox 2),Myt1L(Myelin Transcription Factor 1 Like),Hb9(Homeobox HB9),ISL1(ISL LIM homeobox 1),Lhx3(LIM homeobox 3),Ngn2(neurogenin 2)およびNeuroD1(Neuronal Differentiation 1)中から選択される1つ以上の蛋白質;またはこれをコーディングする核酸;
をさらに含むことができることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記の組成物は、ii)でHb9またはLhx3またはNgn2が選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記の組成物は、ii)でHb9およびLhx3;またはHb9およびNgn2;またはLhx3およびNgn2が選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記の組成物は、ii)でHb9、Lhx3及びNgn2が選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記の組成物は、ii)でHb9、Lhx3、Ngn2およびIsl1が選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項9】
前記の組成物は、ii)でAscl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1が選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
Ascl1蛋白質は配列番号17であり得る、Ascl1蛋白質をコーディングする核酸は配列番号18の配列を持つことができ;
Brn2蛋白質は配列番号19であり得る、Brn2蛋白質をコーディングする核酸は配列番号20の配列を持つことができ;
Myt1L蛋白質は配列番号21であり得る、Myt1L蛋白質をコーディングする核酸は配列番号22の配列を持つことができ;
Hb9蛋白質は配列番号13であり得る、Hb9蛋白質をコーディングする核酸は配列番号14の配列を持つことができ;
Isl1蛋白質は配列番号23であり得る、Isl1蛋白質をコーディングする核酸は配列番号24の配列を持つことができ;
Lhx3蛋白質は配列番号15であり得る、Lhx3蛋白質をコーディングする核酸は配列番号16の配列を持つことができ;
Ngn2蛋白質は配列番号25であり得る、Ngn2蛋白質をコーディングする核酸は配列番号26の配列を持つことができ;
NeuroD1蛋白質は配列番号27であり得る、NeuroD1蛋白質をコーディングする核酸は配列番号28の配列を持つことができることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項11】
直接交差分化のための分化因子発現のためのベクトルとして、
前記の直接交差分化は体細胞から誘導されたモーターニューロンに転換されるものであり、
前記ベクトルは
Gsta4蛋白質を暗号化する核酸;及び
プロモーター;を含み、
この時、前記i)とii)は作動可能に連結されていることを特徴とするベクトル。
【請求項12】
前記ベクトルは、iii)Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2及びNeuroD1の中から選択される一つ以上の蛋白質をコーディングする核酸;
をさらに含むことができることを特徴とする、請求項11に記載のベクトル。
【請求項13】
前記iii)でHb9及びLhx3が選択されることを特徴とする、請求項12に記載のベクトル。
【請求項14】
直接交差分化のための分化因子発現のためのベクトルとして、
前記の直接交差分化は体細胞から誘導されたモーターニューロンに転換されるものであり、
前記ベクトルは、少なくとも、第1ベクトルおよび第2ベクトルを含むことができ、
前記第1ベクトルは、
Gsta4蛋白質を暗号化する核酸;及びii)プロモーター;を含み、
この時、前記i)とii)は作動可能に連結されており、
前記第2ベクトルは、
iii)Ascl1,Brn2,Myt1L,Hb9,Isl1,Lhx3,Ngn2及びNeuroD1の中から選択される一つ以上の蛋白質をコーディングする核酸;及びiv)プロモーター;を含み、
この時、前記iii)とiv)は作動可能に接続されており、
前記ii)とiv)は、互いに同一のプロモーターまたは異なるプロモーターであり、
前記iii)は、1つのベクトルに含まれるか、または2つ以上のベクトルに含まれることができることを特徴とするベクトル。
【請求項15】
前記ベクトルは、エンハンサー、ポリアデニル化信号、コザック共通(Kozak consensus)配列、ITR(inverted terminal repeat)、LTR(long terminal repeat)、終端子(terminator)、内部リボソーム流入部位(internal ribosome entry site,IRES)、蛍光蛋白質遺伝子,グルタチオン-S-トランスファラーゼ(GST)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)クロラムフェニコールアセチルトランスパーラーゼ(CAT)ベータ-ガラクトシダーゼ、ベータグルクロニダゼ、ルシフェラーゼ、ヒスチジン(His)タグ、V5タグ、FLAGタグ、インフルエンザヘマグルチニン(HA)タグ、Mycタグ、2A自己切断ペプチド(2A self-cleaving peptides)、抗生剤耐性遺伝子の中から選択される一つ以上をさらに含むことができることを特徴とする、請求項11ないし14のいずれかに記載のベクトル。
【請求項16】
前記2A自己切断ペプチドは、T2A、P2A、E2A、F2Aの中から選択される一つ以上であることを特徴とする、請求項15に記載のベクトル。
【請求項17】
前記ベクトルは、ウイルスベクトルまたは非ウイルスベクトルであることができ、
ウイルスベクトルはレトロウイルス、レンティウイルス、アデノウイルス、アデノ-関連ウイルス(AAV)、バクシニアウイルス、フォックスウイルス、HIV(Humanimmunodeficiency virus)、MLV(Murineleukemia virus)、ASLV(Aviansarcoma/leukosis)、SNV(Spleennecrosis virus)、RSV(Rousarcoma virus)、 MMTV(Mouse mammary tumor virus)、ヘルペスシンプレクスウイルス(Herpes simplex virus)、エピゾマル(episomal)及び単純包診ウイルスの一つ以上であることを特徴とする、請求項11ないし14のいずれかに記載のベクトル。
【請求項18】
直接交差分化のための方法で、
体細胞から誘導されたモーターニューロンに切り替わるものであり、
前記の方法は、
Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸を含む組成物を体細胞に導入し;を含み、
この時、前記方法は誘導万能幹細胞(Induced Pluripotent Stem Cells、iPSCs)が生成されないことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記の体細胞は、線維芽細胞(fibroblast)、上皮細胞(epithelial cell)、内皮細胞(endothelial cell)、筋肉細胞、神経細胞、毛髪細胞、毛根細胞、毛包細胞、口腔上皮細胞、尿から抽出した体細胞、胃粘膜細胞、杯状細胞、ガストリン細胞(gastrin cell/Gcell)、B細胞、主皮細胞、星状細胞(astrocyte)、血液細胞,希少突起膠前駆細胞中から選択される一つ以上であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記体細胞は人、犬、猫、馬、羊、ウサギ、豚、マウス、ラクダの中から選ばれる一つの哺乳動物由来であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、組成物が導入された体細胞を神経細胞分化のための培養培地として培養する;をさらに含むことができることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記の導入は、電気穿孔法、遺伝子銃、超音波穿孔法、自己注入法(magnetofection)、微細注入法(microinjection)、一時的な細胞圧縮またはスクイジング、陽イオン性リポソーム法、酢酸リチウム-DMSO,脂質-媒介形質感染(transfection),リン酸カルシウム沈殿法(precipection),lipofection,PEI(Polyethyleneimine)-媒介形質感染, DEAE-dextran媒介形質感染中から選択される一つ以上で遂行できることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記の導入により、1週間ないし7週間以内に体細胞が誘導されたモーターニューロンに分化することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
体細胞から誘導されたモーターニューロンへの直接交差分化のための、
Gsta4蛋白質を含む、
神経系疾患の予防または治療のための薬学的組成物。
【請求項25】
前記薬学的組成物は、
Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1の中から選択される一以上の蛋白質をさらに含むことができることを特徴とする、請求項24に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
体細胞から誘導されたモーターニューロンへの直接交差分化のための、
Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;が導入された体細胞を含む、
神経系疾患の予防または治療のための薬学的組成物。
【請求項27】
前記薬学的組成物は、
Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1の中から選択される1以上の蛋白質をコーディングする核酸;をさらに含むことができることを特徴とする、請求項26に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
体細胞から誘導されたモーターニューロンへの直接交差分化のための分化因子が過剰発現するモーターニューロンを含む神経系疾患の予防または治療のための薬学的組成物であり、
前記のモーターニューロンは、Gsta4、Ascl1(Achaete-scute homolog 1)、Brn2(POU Class 3 Homeobox 2)、Myt1L(Myelin Transcription Factor 1 Like)、Hb9(Homeobox HB9)、ISL1(ISL LIM homeobox 1)、Lhx3(LIM homeobox 3)、Ngn2(neurogenin 2)、NeuroD1(Neuronal Differentiation 1)の中から選択される一以上の分化因子が過剰発現することを特徴とする薬学的組成物。
【請求項29】
前記の薬学的組成物は許容可能な担体、賦形剤、希釈剤、保存剤の中から選択される一つ以上をさらに含むことができることを特徴とする、請求項24ないし28のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項30】
前記の神経系疾患は脊髄損傷、パーキンソン病、脳卒中、ハンチントン病、ルー・ゲーリック病、毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia telangiectasia)、筋萎縮性側色硬化症、運動神経損傷、外傷による末梢神経損傷、虚血性脳損傷、新生児低酸素性虚血性脳損傷、脳性麻痺、末梢麻痺、中枢麻痺、四肢麻痺、両麻痺、てんかん、神経細胞発達障害、神経痛、難治性てんかん、アルツハイマー病、先天性代謝性神経系疾患及び外傷性脳損傷(traumatic brain injury)、運動性神経細胞損傷またはこれに誘発される疾患のうち、選択される一つ以上であることを特徴とする、請求項24ないし28のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項31】
前記薬学的組成物は、固形剤、液状剤、カプセル剤、半固体形態の中から選択される一つ以上の形態であることを特徴とする、請求項24ないし28のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項32】
神経系疾患を予防または治療する方法として、
前記の方法は、
i)Gsta4蛋白質;または
ii)Gsta4蛋白質;及びAscl1,Brn2,Myt1L,Hb9,Isl1,Lhx3,Ngn2及びNeuroD1の中から選択される一つ以上の蛋白質;
を対象に投与し;
を含み、前記の直接交差分化は誘導万能幹細胞(Induced Pluripotent Stem Cells、iPSCs)が生成されないことを特徴とする方法。
【請求項33】
神経系疾患を予防または治療する方法として、
前記の方法は、
Gsta4蛋白質またはこれをコーディングする核酸を含む組成物;が導入された体細胞を対象に投与し;
を含み、前記の直接交差分化は誘導万能幹細胞(Induced Pluripotent Stem Cells、iPSCs)が生成されないことを特徴とする方法。
【請求項34】
神経系疾患を予防または治療する方法として、
前記の方法は、
体細胞にGsta4蛋白質またはこれをコーディングする核酸を含む組成物;を導入して誘導されたモーターニューロンを対象に投与し;
を含み、前記の直接交差分化は誘導万能幹細胞(Induced Pluripotent Stem Cells、iPSCs)が生成されないことを特徴とする方法。
【請求項35】
前記組成物は、Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1の中から選択される1つ以上の蛋白質;または前記蛋白質をコーディングする核酸;をさらに含むことができることを特徴とする 特徴とする、請求項33ないし34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記の組成物は、Hb9およびLhx3の蛋白質;またはこれをコーディングする核酸;をさらに含むことができることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記の対象は哺乳類であり、
この時,哺乳類はヒト,マウス,イヌ,ネコの中から選ばれる一つであることを特徴とする、請求項32ないし34のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記の神経系疾患は脊髄損傷、パーキンソン病、脳卒中、筋萎縮性脊髄側索硬化症、運動神経損傷、外傷による末梢神経損傷、虚血性脳損傷、新生児低酸素性虚血性脳損傷、脳性麻痺、てんかん,難治性てんかん,アルツハイマー病,先天性代謝性神経系疾患、外傷性脳損傷(traumatic brainjury)、運動性神経細胞損傷またはこれによって誘発される疾患の中から選択される一つ以上であることを特徴とする、請求項32ないし34のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記投与時の部位は筋肉、皮内、皮下、静脈、腹腔、動脈、粘膜、脊髄、骨髄,脊髄腔内,経皮のうち選択されるいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項32ないし34のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記投与は、1回に1uL/kgないし20uL/kgの用量で投与されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、運動性神経細胞直接交差分化のための新規な分化因子に関するものである。
【0002】
本出願は、前記の新規な分化因子を含む組成物に関するものである。
【0003】
本出願は、前記の組成物を利用した直接交差分化方法に関するものである。
【0004】
本出願は、前記の新規な分化因子の多様な用途に関するものである。
【背景技術】
【0005】
再生医学で幹細胞が多く利用される。 幹細胞は人体を構成するすべての細胞に分化できる万能細胞で、理論的にすべての種類の機能細胞に分化可能であり、無限増殖が可能だ。 幹細胞はその起源によって胚芽幹細胞、成体幹細胞、庭幹細胞および逆分化幹細胞(または誘導万能幹細胞、induced pluripotent stem cell)などがある。
【0006】
しかし、幹細胞は種類によって倫理的な問題、安定性の問題、分化効率が低い問題がある。また、逆分化幹細胞は奇形種形成の可能性および低い分化効率の問題点を持っている。
【0007】
幹細胞はこのような多様な問題点が存在するため、再生医学分野では新しい技術を要求している。
【0008】
最近脚光を浴びているのが直接交差分化技術だ。直接交差分化は、誘導万能幹細胞にリプログラミングし、これを再分化して目的の細胞にする過程を経ず、すぐに目的の細胞に転換を誘導するという点で違いを持つ。
【0009】
すなわち、全く異なる細胞タイプを持つ成熟した(分化が終わった)細胞間の転換を誘導する方法である。しかし、従来の直接交差分化方法は効率が低い限界があるため、このような限界を克服できる新しい方法が要求されている実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本出願の一つの課題は、運動性神経細胞直接交差のための新規な分化因子を提供することを目的とする。特に、前記の新規な分化因子は、Gsta4(Glutathione S-transferase A4)蛋白質またはこれをコーディングする核酸;に関するものである。
【0011】
本出願の他の課題は、前記の新規な分化因子を含む組成物を提供することを目的とする。
【0012】
本出願の他の課題は、前記組成物を利用した直接交差分化方法を提供することを目的とする。
【0013】
本出願のもう一つの課題は、前記の新規な分化因子の多様な用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本出願は、前述した前記課題を解決するために、
本出願は一具体例として、体細胞から誘導されたモーターニューロンへの直接交差分化のための組成物で、Gsta4(Glutathione S-Transferase Alpha 4)蛋白質またはこれをコーディングする核酸;を含む組成物を提供する。
【0015】
前記の組成物は、ii)Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される一つ以上の蛋白質;またはこれをコーディングする核酸;をさらに含むことができる。
【0016】
前記の組成物は、ii)からHb9及びLhx3が選択されることを特徴とする組成物。
【0017】
この時、Ascl1蛋白質は配列番号17であり得、Ascl1蛋白質をコーディングする核酸は配列番号18の配列を持つことができ;
Brn2蛋白質は配列番号19であり得、Brn2蛋白質をコーディングする核酸は配列番号20の配列を持つことができ;
Myt1L蛋白質は配列番号21であり得、Myt1L蛋白質をコーディングする核酸は配列番号22の配列を持つことができ;
Hb9蛋白質は配列番号13であり得、Hb9蛋白質をコーディングする核酸は配列番号14の配列を持つことができ;
Isl1蛋白質は配列番号23であり得、Isl1蛋白質をコーディングする核酸は配列番号24の配列を持つことができ;
Lhx3蛋白質は配列番号15であり得、Lhx3蛋白質をコーディングする核酸は配列番号16の配列を持つことができ;
Ngn2蛋白質は配列番号25であり得、Ngn2蛋白質をコーディングする核酸は配列番号26の配列を持つことができ;
NeuroD1蛋白質は配列番号27であり得、NeuroD1蛋白質をコーディングする核酸は配列番号28の配列を持つことができる。
【0018】
本出願の他の具体例として、直接交差分化のための分化因子発現のためのベクトルとして、前記直接交差分化は体細胞から誘導されたモーターニューロンに転換されるものであり、前記ベクトルは
i)Gsta4蛋白質を暗号化する核酸;及びii)プロモーター;を含み、
この時、前記i)とii)は作動可能に連結されていることを特徴とするベクトルを提供することができる。
【0019】
前記ベクトルは、iii)Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1の中から選択される一つ以上の蛋白質をコーディングする核酸;をさらに含むことができる。
【0020】
直接交差分化のための分化因子発現のためのベクトルとして、前記直接交差分化は体細胞から誘導されたモーターニューロンに転換されるものであり、前記ベクトルは少なくとも、第1ベクトルおよび第2ベクトルを含むことができ、
前記第1ベクトルは、
i)Gsta4蛋白質を暗号化する核酸;及びii)プロモーター;を含み、
この時、前記i)とii)は作動可能に連結されており、
前記第2ベクトルは、
iii)Ascl1,Brn2,Myt1L,Hb9,Isl1,Lhx3,Ngn2及びNeuroD1の中から選択される一つ以上の蛋白質をコーディングする核酸;及びiv)プロモーター;を含み、
この時、前記iii)とiv)は作動可能に連結されており、
前記ii)とiv)は、同一のプロモーターまたは異なるプロモーターであり、
前記iii)は、一つのベクトルに含まれるか、または二つ以上のベクトルに含まれることができることを特徴とするベクトルが提供されることができる。
【0021】
前記のベクトルは、ウイルスベクトルまたは非ウイルスベクトルであり得、ウイルスベクトルはレトロウイルス、レンティウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、ベクシニアウイルス、ポックスウイルス、HIV(Humanimmunodeficiency virus)、MLV(Murineleukemia virus)、ASLV(Aviansarcoma/leukosis)、SNV(Spleennecirosis virus)、RSV(Rous sarcoma virus)、MMTV(Mouse mammary tumor virus)、ヘルペスシンプレックスウイルス(Herpes simplex virus)、エピゾマル(episomal)、単純包診ウイルスの中から選択される一つ以上のであり得る。
【0022】
本出願の他の具体例として、直接交差分化のための方法で、体細胞から誘導されたモーターニューロンに転換されるものであり、前記方法は、Gsta4蛋白質またはこれをコーディングする核酸を含む組成物を体細胞に導入すること;を含み、この時、前記方法は誘導万能幹細胞(Induced Pluripotent Stem Cells、iPSCs)が生成されないことを特徴とする方法が提供される。
【0023】
前記体細胞は線維芽細胞(fibroblast)、上皮細胞(epithelial cell)、内皮細胞(endothelial cell)、筋肉細胞、神経細胞、毛髪細胞、毛根細胞、毛包細胞、口腔上皮細胞、尿から抽出した体細胞、胃粘膜細胞、杯状細胞、ガストリン細胞(gastrin cell/Gcell)、B細胞、主皮細胞、星状細胞(astrocyte)、血液細胞,希少突起膠前駆細胞中から選択される一つ以上である可能性がある。
【0024】
前記の導入により、1週間ないし7週間以内に体細胞が誘導されたモーターニューロンに分化することができる。
【0025】
本出願の他の具体例として、体細胞から誘導されたモーターニューロンへの直接交差分化のための、Gsta4蛋白質;を含む、神経系疾患の予防または治療のための薬学的組成物が提供されることができる。
【0026】
また、体細胞から誘導されたモーターニューロンへの直接交差分化のための、Gsta4蛋白質またはこれをコーディングする核酸;が導入された体細胞を含む、神経系疾患の予防または治療のための薬学的組成物が提供されることができる。
【0027】
前記の薬学的組成物は、Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される一つ以上の蛋白質をコーディングする核酸;をさらに含むことができる。
【0028】
体細胞から誘導されたモーターニューロンへの直接交差分化のための分化因子が過剰発現されるモーターニューロンを含む神経系疾患の予防または治療のための薬学的組成物が提供されることができる。この時、前記モーターニューロンはGsta4、Ascl1(Achaete-scute homolog 1)、Brn2(POU Class 3 Homeobox 2)、Myt1L(Myelin Transcription Factor 1 Like)、Hb9(Homeobox HB9)、ISL1(ISL LIM homeobox 1)、Lhx3(LIM homeobox 3)、Ngn2(neurogenin 2)、NeuroD1(Neuronal Differentiation 1)中から選択される一つ以上の分化因子が過剰発現することがある。
【0029】
本出願のもう一つの具体例として、神経系疾患を予防又は治療する方法として、
i)Gsta4蛋白質;またはii)Gsta4蛋白質;及びAscl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2及びNeuroD1中から選択される一つ以上の蛋白質;を対象に投与し;
を含み、前記の直接交差分化は誘導万能幹細胞(Induced Pluripotent Stem Cells、iPSCs)が生成されないことを特徴とする方法が提供されることができる。
【0030】
神経系疾患を予防または治療する方法として、Gsta4蛋白質またはこれをコーディングする核酸を含む組成物;が導入された体細胞を対象に投与する;を含む方法が提供されることができる。
【0031】
神経系疾患を予防または治療する方法として、体細胞にGsta4蛋白質またはこれをコーディングする核酸を含む組成物;を導入して誘導されたモーターニューロンを対象に投与する;を含む方法が提供されることができる。
【0032】
前記の神経系疾患は脊髄損傷、パーキンソン病、脳卒中、筋萎縮性脊髄側索硬化症、運動神経損傷、外傷による末梢神経損傷、虚血性脳損傷、新生児低酸素性虚血性脳損傷、脳性麻痺、てんかん、難病、アルツハイマー病、先天性代謝性神経系疾患、外傷性脳損傷(traumatic brainjury)、運動性神経細胞損傷またはこれによって誘発される疾患中から選択される一つ以上であることができる。
【発明の効果】
【0033】
本出願によれば、次のような効果が発生する。
【0034】
第一に、本出願によれば、運動性神経細胞直接交差分化のための新規な分化因子を提供できるようになる。 前記の新規な分化因子は、体細胞の運動性神経細胞への効果的な分化を可能にするところ、神経疾患の治療などに 有用となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、本実施例で使用したAAVベクトル模式図である。(a)は、Gsta4を含むAAVベクトル模式図;(b)は、Ascl1、Isl1、Lhx3及びNgn2(Neurog2とも呼ばれる)を含むAAVベクトル模式図;(c)は、Brn2、Hb9(Mnx1とも呼ばれる)及びNeuroD1を含むAAVベクトル模式図;(d)は、Gsta4及びMyt1lを含むAAVベクトル模式図;(e)は、Gsta4、Hb9及びLhx3を含むAAVベクトル模式図;である。
【
図2】
図2はマウス由来の線維芽細胞に新規な分化因子Gsta4を導入し、運動性神経細胞への直接交差分化程度を神経細胞マーカー(ChaT、Map2)の発現を確認した結果である。(a)は免疫蛍光染色法の結果であり、(b)は(a)の結果を数値化したものである。
【
図3】
図3は、ヒト由来の線維芽細胞に従来の分化因子(Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2、NeuroD1)を導入し、運動性神経細胞への直接交差分化の程度を神経細胞マーカー(Synapsin、Map2、Hb9)の発現変化で確認した結果である。
【
図4】
図4はマウス由来の線維芽細胞に新規な分化因子Gsta4及び従来の分化因子(Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2、NeuroD1)を導入し、運動性神経細胞への直接交差分化程度を神経細胞マーカー(Synapsin、Map2、Hb9)の発現変化で確認した結果である。
【
図5】
図5はマウス由来の線維芽細胞に分化因子を導入し、運動性神経細胞への直接交差分化程度を免疫蛍光染色法で神経細胞マーカー(ChaT、Map2)の発現を確認した結果である。この時使用された分化因子は、Gsta4単独;Gsta4及び従来の分化因子の組み合わせ;である。
【
図6】
図6は
図5の免疫蛍光染色された細胞の数を数値化したグラフである。
【
図7】
図7はマウス由来の線維芽細胞に分化因子を導入し、運動性神経細胞への直接交差分化程度を神経細胞マーカー(Synapsin、Map2)の発現変化で確認した結果である。この時使用された分化因子は、従来の分化因子単独;Gsta4及び従来の分化因子の組み合わせ;である。
【
図8】
図8はマウス由来の線維芽細胞に分化因子を導入し、運動性神経細胞への直接交差分化程度を免疫蛍光染色法で神経細胞マーカー(ChaT、Map2)の発現を確認した結果である。この時使用された分化因子は、Mnx1及びLhx3の組み合わせ;とGsta4、Mnx1及びLhx3の組み合わせ;を使用した。(a)は免疫蛍光染色の結果であり、(b)は(a)の結果を数値化したものである。
【
図9】
図9はマウス由来の線維芽細胞に分化因子を導入し、運動性神経細胞への直接交差分化程度を神経細胞マーカー(Synapsin、Map2、Hb9)の発現を確認した結果である。この時使用された分化因子は、Gsta4単独;Mnx1及びLhx3組合;Gsta4、Mnx1及びLhx3組合;を使用した。
【
図10】
図10はマウス由来の線維芽細胞に分化因子を導入し、運動性神経細胞の直接分化程度を神経細胞マーカー(Synapsin、Map2)の発現を確認した結果である。この時使用された分化因子は、Ascl1、Brn2及びMyt1Lの組み合わせ;Gsta4、Ascl1、Brn2及びMyt1Lの組み合わせ;を使用した。
【
図11】
図11は、ヒト由来の線維芽細胞に分化因子を導入し、運動性神経細胞への直接交差分化の程度を神経細胞マーカー(Synapsin、Map2、Hb9)の発現変化で確認した結果である。 この時使用された分化因子は、Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2及びNeuroD1の組み合わせ;Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2、NeuroD1及びGsta4の組み合わせ;を使用した。
【
図12】
図12はマウス性状細胞に分化因子を導入し、運動性神経細胞への直接交差分化程度を免疫蛍光染色法で神経細胞マーカー(vChaT、Map2)の発現を確認した結果である。この時使用された分化因子は、Hb9、Isl1、Lhx3及びAscl1の組み合わせ;Hb9、Isl1、Lhx3、Ascl1、Brn2、Myt1L及びNgn2の組み合わせ(既知のfactorsで記載);既知のfactors及びGsta4の組み合わせ;を使用した。
【
図13】
図13は、ヒト線維芽細胞に分化因子を導入し、運動性神経細胞への直接交差分化程度を免疫蛍光染色法で神経細胞マーカー(NEUN、Map2)の発現を確認した結果である。
【
図14】
図14は脊髄損傷による下半身麻痺モデルであるSCI(Spinal cord injury)マウスモデルの脊髄損傷部位であるL5に分化因子を投与(injectionで表示)して形態学的変化、生理学的分析、行動学的分析などをするための全般的な実験設計図を示したものである。
【
図15】
図15は、SCIマウスモデルに分化因子を投与した後、脊髄損傷部位の形態学的変化を確認するためにクリスタルバイオレット染色法の結果である。この時、MockはAAV(Adeno-associated virus)を投与した群;Controlは従来の分化因子(Ascl1、Brn2、Myt1l、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2及びNeuroD1の組み合わせ)を導入したAAVを投与した群;+Gsta4は前記の従来の分化因子及びGsta4を導入したAAVを投与した群;を指す。
【
図16】
図16は、SCIマウスモデルに分化因子を投与した後、運動性神経細胞マーカー(ChaT、Map2)の免疫蛍光染色法を確認した結果である。この時、MockはAAV(Adeno-associated virus)を投与した群;Controlは従来の分化因子(Ascl1、Brn2、Myt1l、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2及びNeuroD1の組み合わせ)を導入したAAVを投与した群;+Gsta4は前記の従来の分化因子及びGsta4を導入したAAVを投与した群;を指す。
【
図19】
図19は、SCIマウスモデルに分化因子を投与した後、運動性神経細胞の電気生理学的変化を分析した結果である。(a)はパッチクランプを行った神経細胞;(b)は活動電位(Action potential)を測定した結果;(c)はシナプス前の神経細胞から来る信号を測定した結果;である。この時、Shamは脊髄部位が損傷していない正常群;mockはSCIマウスモデルにAAVを投与した群;controlは従来の分化因子(Ascl1、Brn2、Myt1l、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1の組み合わせ)を導入したAAVを投与した群;+Gsta4は前記の従来の分化因子およびGsta4を導入したAAVを投与した群;を指す。
【
図20】
図20は、SCIマウスモデルに分化因子を投与した後、脊髄損傷部位(L5)で下半身麻痺の治療効果をBBBスコア(Basso Beatie、and Bresnahan score)で分析した結果である。(a)は(b)の観察結果を数値化したグラフである。この時、Shamは脊髄部位が損傷していない正常群;mockはSCIマウスモデルにAAVを投与した群;-Gsta4は従来の分化因子(Ascl1、Brn2、Myt1l、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2及びNeuroD1の組み合わせ)を投与した群;+Gsta4は前記の従来の分化因子及びGsta4を投与した群;を指す。
【
図21】
図21は、SCIマウスモデルに分化因子を投与した後、下半身麻痺の治療効果を行動学的分析で確認した結果である。(a)はForced swimming test;(b)はSelf urination;(c)は(a)と(b)を数値化したもの;(d)はFoot printing test;結果を示す。
【発明の実施のための形態】
【0036】
別に定義されない限り、本出願で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本出願が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を持つ。本出願に記載されたものと類似または同一の方法および物質が本出願の実行または試験で使用できるが、適合した方法および物質が以下に記載される。本出願で言及されたすべての刊行物、特許出願、論文および他の参考文献は全体が参考に含まれる。さらに、物質、方法及び実施には単に例示的であり、制限するものとして意図されない。
【0037】
用語定義
● 直接交差分化(Direct Reprogramming/Direct cell-Conversion/Transdifferentiation)
【0038】
本出願で使われる用語"直接交差分化(Direct Reprogramming/Direct Conversion/Transdifferentiation)"は、最終的に分化した細胞に分化因子を導入して目的する細胞に転換(conversion)させることを指す。特に、直接交差分化は全く異なる細胞タイプを持つ成熟した細胞間の転換を誘導する。すなわち、体細胞から全能性段階(Pluripotent state)を経由せずに目的の細胞に転換させることである。用語直接交差分化、直接分化、直接交差は相互交換して使うことができる。
【0039】
● 直接交差分化因子(Direct cell-Conversion factor、converting factor)
【0040】
本出願において、用語"直接交差分化因子"とは、前述の直接交差分化に関与する因子を指す。この時、前記の分化因子は遺伝子、化合物、蛋白質、核酸などであることができる。用語'直接交差分化因子(Direct cell-Conversion factor)'は'分化因子(converting factor)'と相互交換して使用することができる。
【0041】
● 誘導された運動性神経細胞(induced Motor Neuron、iMN)
【0042】
本出願で用語"誘導された運動性神経細胞"は、直接交差分化によって誘導された運動性神経細胞を指す。前記誘導された運動性神経細胞は、本出願の新規分化因子を利用して体細胞などを直接交差分化させて人為的に製作した運動ニューロンを意味する。用語'誘導された運動性神経細胞'はモーターニューロン、iMNと相互交換して使用することができる。
【0043】
● 治療
本出願で使用される用語"治療"は、疾患、疾病、症状などを緩和させたり、その進行を抑制することを意味する。前記の治療は、本発明の組成物、直接交差分化因子などによって症状が好転したり、有利に変更されるすべての行為を意味する。このような治療効果を示す物質を通称して"治療剤(treatment agent)"または"薬学的組成物(pharmaceutical composition)"と呼ぶ。特に、遺伝子治療剤は疾病治療などを目的に、人体内に遺伝子を多様な形態と方法で伝達する遺伝物質を意味する。また、細胞治療剤は疾病治療などを目的に、人体内に治療物質を細胞の形で伝達される場合を意味する。
【0044】
● 約(about)
本出願で使用される用語"薬"は、参照量、水準、値、数、頻度、パーセント、寸法、大きさ、量、重量又は長さについて30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%程度に変化する量、水準、値、数、頻度、パーセント、サイズ、量又は長さを意味する。
【0045】
1.直接交差分化のための新規因子:Gsta4(glutathione S-transferase alpha 4)
【0046】
直接交差分化の特徴
【0047】
直接交差分化は完全に分化した細胞を幹細胞への逆分化(reprogramming)段階なしに他の系統の細胞に作ることだ。この過程は完全に分化した細胞を幹細胞段階を経ずに他の系統の特定の細胞に転換させる効果を示す。
【0048】
現在まで、直接交差分化は二つの方法論であるSDR(Somatic cell-specific factor-mediated Direct Reprogramming)、PDR(Pluripotent cell-specific factor-mediated Direct Reprogramming)が提示されている。SDRは、対象細胞に目的する細胞から多く発現する因子を過剰発現させ、目的する細胞への直接交差分化を誘導するものである。PDRは誘導万能幹細胞のリプログラミング時に使われる因子であるOCT4、SOX2、KLF4、C-Mycを利用して不完全な中間段階の細胞タイプ(幹細胞と類似した細胞)に脱分化させた後、培養培地造成を通じて目的の細胞タイプに直接交差分化させることだ。PDRの場合、様々な細胞タイプに直接交差分化させても、初期に過剰発現させるリプログラミング因子4個(OCT4、SOX2、KLF4、C-Myc)が共通して使われている。
【0049】
公示された直接交差分化因子(known Direct cell-Conversion factors)
【0050】
直接交差分化のために使用されている公知の分化因子として、Ascl1(Achaete-scute homolog 1)、Nurr1(Nuclear Receptor Subfamily 4 Group A Member 2)、Lmx1a(LIM Homeobox Transcription Factor 1 Alpha)、Foxa2(Forkhead box protein A2)、Brn2(POU Class 3 Homeobox 2)、Sox2(sex determining region Y-box 2)、Foxg1(Forkhead Box G1)、Lhx3(LIM homeobox 3)、HB9(Homeobox HB9)、IsL1(ISL LIM homeobox 1)、Ngn2(neurogenin 2)、NeuroD1(Neuronal Differentiation 1)、Myt1l(Myelin Transcription Factor 1 Like)、NeuroD2(Neuronal Differentiation 2)、miR-9(microRNA-9)、miR-124(microRNA-124)、Zic1(Zic Family Member 1)、Gata5(GATA Binding Protein 5)、Hnf4α(Hepatocyte nuclear factor 4 alpha)、HNF1α(hepatocyte nuclear factor 1 alpha)、Foxa1(Forkhead Box A1)、Foxa3(Forkhead Box A3)、Tbx5(T-Box Transcription Factor 5)、Mef2c(Myocyte Enhancer Factor 2C)、Oct4(Octamer-binding transcription factor 4)、PRDM16(PR/SET Domain 16)、MyoD(myoblast determination protein 1)、Klf4(Kruppel-like factor 4)、c-Myc(cellular Myc)が知られている(Mol Cell. 2012 Sep 28;47(6):827-838.)。
【0051】
特に、モーターニューロンへの直接交差分化のために使用する分化因子で、Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2、NeuroD1などが知られている。
【0052】
従来の直接交差分化因子の問題点
前記の直接交差分化は、誘導万能幹細胞段階を経ずに、全く異なる細胞タイプを持つ、分化が終わった細胞間の転換ができるという長所がある。しかし、現在まで知られている分化因子は単独または組み合わせで使用時に細胞間の転換効率が低かったり、ほとんどないという問題があった。
【0053】
直接交差分化のための新規因子Gsta4概括
本出願は直接交差分化のための新規な因子であるGsta4(glutathione S-transferase alpha 4)を開示する。
【0054】
前記Gsta4は単独で使用しても体細胞をモーターニューロンに効果的に直接交差分化させることができる。さらに、前記Gsta4は従来の直接交差分化因子と共に使用すれば、従来の分化因子だけを使用する場合と比較して、モーターニューロンへの分化効率をより高めることができる。
【0055】
以下、新規の分化因子であるGsta4について、さらに具体的に説明する。
【0056】
Gsta4の従来知られていた機能
Gsta4はグルタチオン-S-トランスファラーゼ(GST、glutathione S-transferases)に属する酵素だ。 哺乳類の細胞質には8種類のGSTであるアルファ(alpha)、カッパ(kappa)、ミュ(mu)、オメガ(omega)、パイ(pi)、シグマ(sigma)、テタ(theta)およびゼタ(zeta)が生産されると知られている。そのうちアルファは6番染色体にあり、GSTA1、GSTA2、GSTA3、GSTA4、GSTA5などがある。
【0057】
GTA4とも呼ばれるGsta4は、前記Gsta4は細胞防御メカニズム、毒素分解、抗がん効果に関与することが知られている。また、活性酸素を減らすことで細胞ストレスを減らすのにも大きな役割をすると知られている。そして、Gsta4の不在はパーキンソン病、アルツハイマーなどの疾患において否定的な関連があると知られている。しかし、細胞間の直接交差分化因子としての機能は報告されていない。
【0058】
Gsta4の新機能
本出願は直接交差分化を可能とする、Gsta4の新規な機能を開示する。 すなわち、直接交差分化のための新規な分化因子としてGsta4を開示する。
【0059】
特に、本出願のGsta4が体細胞をモーターニューロンに転換(直接交差分化)させる機能を持つということは、既存に報告されたことがなく、本発明者が実験的に確認して発掘したものである。以下に掲げるGsta4用語は、新規機能である直接交差分化因子として機能するものと解する。また、以下で便宜上Gsta4と記載する場合、文脈によってGsta4蛋白質またはこれをコーディングする核酸を指すものと解釈する。
【0060】
Gsta4の形態(1) - Gsta4蛋白質
一様態で、本出願は直接交差分化のためのGsta4蛋白質を開示する。
【0061】
前記Gsta4蛋白質は野生型または変異体であることができる。前記の変異体は、野生型のアミノ酸配列のうち1以上が欠失、置換、挿入であり得る。また、前記Gsta4変異体は野生型アミノ酸配列と配列同一性(sequence identity)を持つ配列であり得る。この時、配列同一性は50%ないし99%であり得る。望ましいことに、Gsta4蛋白質は野生型アミノ酸の配列と70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%以上の配列同一性を持つことができる。
【0062】
任意の実施例として、本出願の直接交差のためのGsta4蛋白質は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列であり得る。
【0063】
配列番号1: maarpklhyp ngrgrmesvr wvlaaagvef deefletkeq lyklqdgnhl lfqqvpmvei dgmklvqtrs ilhyiadkhn lfgknlkert lidmyvegtl dllellimhp flkpddqqke vvnmaqkaii ryfpvfekil rghgqsflvg nqlsladvil lqtilaleek ipnilsafpf lqeytvklsn iptikrflep gskkkpppde iyvrtvynif rp
【0064】
他の実施例として、Gsta4蛋白質は配列番号1で表されるアミノ酸配列と70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%以上の配列同一性を持つ配列であり得る。
【0065】
Gsta4の形態(2)-Gsta4蛋白質をコーディングする核酸
【0066】
他の例として、本出願は直接交差分化のためのGsta4蛋白質をコーディングする核酸を開示する。前記核酸はDNAまたはRNAであり得る。
【0067】
前記Gsta4蛋白質をコーディングする核酸は、野生型または変異体であり得る。前記の変異体は、野生型の核酸配列のうち1以上が結実、置換、挿入されたものであり得る。また、前記Gsta4変異体は野生型蛋白質をコーディングする核酸配列と配列同一性(sequence identity)を持つ配列であり得る。この時、配列同一性は50%ないし99%であり得る。好ましくは、Gsta4蛋白質をコーディングする核酸は、野生型核酸配列と70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%以上の配列同一性である配列を持つことができる。
【0068】
Gsta4蛋白質をコーディングする核酸配列は、公知の配列であり得る。
【0069】
前記核酸配列は、イントロンおよびエクソン配列を含むことができる。
【0070】
前記核酸配列は、エクソン配列のみ含むことができる。
【0071】
例えば、前記Gsta4蛋白質をコーディングする核酸配列は、イントロンが除外されたCDS(Coding Sequence)配列を含むことができる。
【0072】
前記核酸配列は、Gsta4蛋白質をコーディングするDNA配列及びこれに相応する(転写結果物である)mRNA配列であり得る。
【0073】
前記核酸配列は、Gsta4遺伝子のエクソン配列に相当する(転写結果である)mRNA配列であり得る。
【0074】
一具体例では、Gsta4蛋白質をコーディングする核酸は、Gsta4遺伝子の全長DNA配列(full DNA sequence)である配列番号2を含むことができる。
【0075】
配列番号2: gctttgtgcg gctccaggcc tccgagtgga ctccagaaag cctgaaaagc tatcatggca gcaaggccca agctccacta tcccaacgga agaggccgga tggagtccgt gagatgggtt ttagctgccg ccggagtcga gtttgatgaa gaatttctgg aaacaaaaga acagttgtac aagttgcagg atggtaacca cctgctgttc caacaagtgc ccatggttga aattgacggg atgaagttgg tacagacccg aagcattctc cactacatag cagacaagca caatctcttt ggcaagaacc tcaaggagag aaccctgatt gacatgtacg tggaggggac actggatctg ctggaactgc ttatcatgca tcctttctta aaaccagatg atcagcaaaa ggaagtggtt aacatggccc agaaggctat aattagatac tttcctgtgt ttgaaaagat tttaaggggt cacggacaaa gctttcttgt tggtaatcag ctgagccttg cagatgtgat tttactccaa accattttag ctctagaaga gaaaattcct aatatcctgt ctgcatttcc tttcctccag gaatacacag tgaaactaag taatatccct acaattaaga gattccttga acctggcagc aagaagaagc ctccccctga tgaaatttat gtgagaaccg tctacaacat ctttaggcca taaaacaaca catccatgtg tgagtgacag tgtgttccta gagatggtat tgtctacagt catgtcttaa tggatcccag ctctgtcatg gtgctatcta tgtattaagt tgggtcctaa gttgggtctt ttgtgtcaac gagatcatct cttctagaaa tatcaacctt ttttgtccag taaataattg ttaggggatc tttattggaa aacttttttg gagaggctgg tatttaagtt agatctgatt gggctactca tgtcctgtag ccagttcatc ctcataataa gaatgggcag gatctcttgt tctctcctga gtgtctttct actctcctga gcgtctttct gctctcctta tcctgttctc ttatccttat cccctccagt ctctgcctaa tttttagtgt ttaataacaa ccgaatgtct agtaaatgac tctcctctga gctgtaataa ataaaatggt agtaatgaat gcaatcagta ttagccaaaa taaagaattt atgagtcatt
【0076】
他の具体例で、Gsta4蛋白質をコーディングする核酸はCDS配列である配列番号12を持つことができる。
【0077】
配列番号12:Atggcagcaaggcccaagctccactatcccaacggaagaggccggatggagtccgtgagatgggttttagctgccgccggagtcgagtttgatgaagaatttctggaaacaaaagaacagttgtacaagttgcaggatggtaaccacctgctgttccaacaagtgcccatggttgaaattgacgggatgaagttggtacagacccgaagcattctccactacatagcagacaagcacaatctctttggcaagaacctcaaggagagaaccctgattgacatgtacgtggaggggacactggatctgctggaactgcttatcatgcatcctttcttaaaaccagatgatcagcaaaaggaagtggttaacatggcccagaaggctataattagatactttcctgtgtttgaaaagattttaaggggtcacggacaaagctttcttgttggtaatcagctgagccttgcagatgtgattttactccaaaccattttagctctagaagagaaaattcctaatatcctgtctgcatttcctttcctccaggaatacacagtgaaactaagtaatatccctacaattaagagattccttgaacctggcagcaagaagaagcctccccctgatgaaatttatgtgagaaccgtctacaacatctttaggccataa
【0078】
他の実施例として、Gsta4蛋白質をコーディングする核酸は、配列番号2で表されるDNA配列と、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%以上の配列同一性の配列を持つことができる。
【0079】
他の実施例として、Gsta4蛋白質をコーディングする核酸は、配列番号12で表されるCDS配列と、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%以上の配列同一性の配列を持つことができる。
【0080】
Gsta4の特徴(1)
本出願の新規な直接交差分化因子であるGsta4は、体細胞をモーターニューロンに直接的に転換させることができる。一例として、Gsta4は線維芽細胞をモーターニューロンに転換させる。他の例として、Gsta4は星状細胞をモーターニューロンに転換させる。
【0081】
Gsta4の特徴(2)
従来の分化因子の問題点は、直接交差分化効率が低いか、ほとんどないことにある。これに対し、本出願の新規な分化因子であるGsta4は、従来の分化因子に比べて高い直接交差分化効率を持つ。一例として、Gsta4は単独で使用した場合、従来の分化因子に比べて分化効率が約2~10倍高くなることがある。
【0082】
Gsta4の特徴(3)
Gsta4は、分化効率が低いか、ほとんどない従来の分化因子の分化効率を高めるブースティング機能(boosting function)を持つ。前記ブースティング機能は、従来の分化因子だけを使用する場合と比較して、従来の分化因子をGsta4と共に使用すれば、分化効率が顕著に上昇する機能を称する。一例として、Gsta4は従来の分化因子と組み合わせて使用した場合、そうでない場合に比べて直接交差分化効率を約2~10倍高めることができる。
【0083】
Gsta4の特徴(4)
Gsta4は体細胞からモーターニューロンに直接誘導する効果があるため、運動性神経細胞の損傷によって誘発される神経系疾患の治療に使用できる。また、Gsta4と従来の直接交差分化因子を一緒に使用して神経系疾患の治療効果を向上させることができる。
【0084】
一例として、Gsta4を神経系疾患の治療対象に投与すると、炎症細胞によるスカの減少、活動電位の増加、シナプス前の神経細胞間の信号伝達などが増加することがある。
【0085】
2.Gsta4と組み合わせることができる分化因子
Gsta4と組み合わせ可能な分化因子の概括
本出願の一様態で、前述した直接交差分化のための新規な分化因子であるGsta4蛋白質またはこれをコーディングする核酸は単独使用だけでなく、公知分化因子(known Direct cell-Conversion factor、knowne-DC factor)と共に使用できる。
【0086】
Gsta4を従来の公知の分化因子と共に組み合わせて使用すれば、直接交差分化効率が向上するだけでなく、直接交差分化時に分化に所要される時間が減ることができる。
【0087】
前記公知分化因子は、直接交差分化に関与する因子として知られているものであれば、制限しない。また、従来の分化因子の変異体も含まれることができる。 この時、変異体は野生型のアミノ酸配列または核酸配列のうち一以上が欠失、置換、挿入されたものであり得る。
【0088】
一例として、前記従来の分化因子はAscl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される一つ以上であり得る。
【0089】
一具現例で、本出願はGsta4および一以上の公知分化因子の組み合わせを開示する。
【0090】
以下、Gsta4と従来の分化因子の組み合わせ可能な組み合わせ例についてより具体的に説明する。
【0091】
Gsta4と従来の分化因子の組み合わせ例(1)
前記Gsta4は、Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される一つの従来の分化因子と組み合わせて使用することができる。
【0092】
この時、前記の組み合わせは、例えば、Gsta4+Brn2(Gsta4及びBrn2の組み合わせを指す);Gsta4+Ascl1;Gsta4+Hb9;Gsta4+Lhx3;Gsta4+Myt1L;Gsta4+Isl1;Gsta4+Ngn2;Gsta4+NeuroD1;などから選択できる。
【0093】
Gsta4と従来の分化因子の組み合わせ例(2)
前記Gsta4は、Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される二つの従来の分化因子と組み合わせて使用できる。
【0094】
この時、前記の組み合わせは、例えば、Gsta4+Brn2+Hb9(Gsta4、Brn2及びHB9の組み合わせを指す);Gsta4+Ascl1+Hb9;Gsta4+Lhx3+Hb9;Gsta4+Ngn2+Hb9;Gsta4+Ngn2+NeuroD1;Gsta4+Lhx3+Ngn2;Gsta4+Lhx3+NeuroD1などから選択できる。
【0095】
Gsta4と従来の分化因子の組み合わせ例(3)
前記Gsta4は、Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される三つの従来の分化因子と組み合わせて使用できる。
【0096】
この時、前記の組み合わせは、例えば、Gsta4+Brn2+Hb9+Ascl1(Gsta4、Brn2、Hb9及びAscl1の組み合わせを指す);Gsta4+Brn2+Hb9+NeuroD1;Gsta4+Ascl1+Hb9+NeuroD1;Gsta4+Lhx3+Hb9+NeuroD1;Gsta4+Lhx3+Hb9+Ngn2;Gsta4+Lhx3+Ngn2+NeuroD1;Gsta4+Hb9+Ngn2+NeuroD1;などから選択できる。
【0097】
Gsta4と従来の分化因子の組み合わせ例(4)
前記Gsta4は、Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される四つの従来の分化因子と組み合わせて使用できる。
【0098】
この時、前記の組み合わせは、例えば、Gsta4+Brn2+Hb9+Ascl1+Isl1(Gsta4、Brn2、Hb9、Ascl1及びIsl1の組み合わせを指す);Gsta4+Ascl1+Brn2+Myt1L+Hb9;Gsta4+Brn2+Hb9+NeuroD1+Isl1;Gsta4+Ascl1+Hb9+NeuroD1+Isl1;Gsta4+Lhx3+Hb9+NeuroD1+Isl1;Gsta4+Lhx3+Hb9+Ngn2+Isl1;Gsta4+Lhx3+Ngn2+NeuroD1+Isl1;Gsta4+Hb9+Ngn2+NeuroD1+Isl1;などから選択できる。
【0099】
Gsta4と従来の分化因子の組み合わせ例(5)
前記Gsta4は、Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される五つの従来の分化因子と組み合わせることができる。
【0100】
この時、前記の組み合わせは、例えば、 Gsta4+Brn2+Hb9+Ascl1+Isl1+NeuroD1(Gsta4,Brn2,Hb9,Ascl1,Isl1及びNeuroD1の組み合わせを指す);Gsta4+Ascl1+Brn2+Ngn2+Isl1+Lhx3;Gsta4+Brn2+Hb9+NeuroD1+Isl1+Lhx3;Gsta4+Ascl1+Hb9+NeuroD1+Isl1+Lhx3;Gsta4+Lhx3+Hb9+NeuroD1+Isl1+Ascl1;Gsta4+Lhx3+Hb9+Ngn2+Isl1+NeuroD1;Gsta4+Lhx3+Ngn2+NeuroD1+Isl1+Ascl1;Gsta4+Hb9+Ngn2+NeuroD1+Isl1+Ascl1;などから選択できる。
【0101】
Gsta4と従来の分化因子の組み合わせ例(6)
前記Gsta4は、Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される六つの従来の分化因子と組み合わせることができる。
【0102】
この時、前記の組み合わせは、例えば、Gsta4+Brn2+Hb9+Ascl1+Isl1+NeuroD1+Lhx3(Gsta4,Brn2,Hb9,Ascl1,Isl1,NeuroD1及びLhx3の組み合わせを指す);Gsta4+Ascl1+Brn2+Ngn2+Isl1+Lhx3+Myt1L;Gsta4+Brn2+Hb9+NeuroD1+Isl1+Lhx3+Ngn2;Gsta4+Ascl1+Hb9+NeuroD1+Isl1+Lhx3+Ngn2;などから選択できる。
【0103】
Gsta4と従来の分化因子の組み合わせ例(7)
前記Gsta4は、Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される七つの従来の分化因子と組み合わせることができる。
【0104】
この時、前記の組み合わせは例えば、Gsta4+Brn2+Myt1L+Hb9+Isl1+Lhx3+Ngn2+NeuroD1(Gsta4,Brn2,Myt1L,Hb9,Isl1,Lhx3,Ngn2およびNeuroD1の組み合わせを指す);Gsta4+Ascl1+Myt1L+Hb9+Isl1+Lhx3+Ngn2+NeuroD1;Gsta4+Ascl1+Brn2+Hb9+Isl1+Lhx3+Ngn2+NeuroD1;Gsta4+Ascl1+Brn2+Myt1L+Isl1+Lhx3+Ngn2+NeuroD1;Gsta4+Ascl1+Brn2+Myt1L+Hb9+Lhx3+Ngn2+NeuroD1;Gsta4+Ascl1+Brn2+Myt1L+Hb9+Isl1+Ngn2+NeuroD1;Gsta4+Ascl1+Brn2+Myt1L+Hb9+Isl1+Lhx3+NeuroD1;Gsta4+Ascl1+Brn2+Myt1L+Hb9+Isl1+Lhx3+Ngn2;などから選択できる。
【0105】
Gsta4と従来の分化因子の組み合わせ例(8)
前記Gsta4は、Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1の八つの従来の分化因子と組み合わせることができる。
【0106】
Gsta4と従来の分化因子の組み合わせ比率
前述したように、Gsta4と従来の分化因子は多様に組み合わせて使用することができる。
【0107】
この時、直接交差分化のためにGsta4と従来の分化因子それぞれを同一の割合で使用することができる。
【0108】
一例として、Gsta4と従来の分化因子一つを使用する場合、1:1の割合で使用することができる。
【0109】
他の例として、Gsta4と従来の分化因子二つを使用する場合、1:1:1、2:1:1、2:1:2、1:2:1などの割合で使用することができる。
【0110】
他の例として、Gsta4と従来の分化因子3つを使用する場合、1:1:1:1の割合で使用することができる。
【0111】
また、直接交差分化のためにGsta4と従来の分化因子それぞれを異なる割合で使用することができる。
【0112】
一具体例として、Gsta4、Hb9及びLhx3を使用する場合、1:1:1、2:1:1、2:1:2又は1:2:1の割合で使用することができる。
【0113】
3.Gsta4を含む組成物
Gsta4を含む組成物の概括
本出願は、前記のような新規な分化因子であるGsta4を必須的に含む組成物を開示する。
【0114】
一例として、前記の組成物はGsta4のみ単独で含むことができる。
【0115】
他の例として、前記組成物はGsta4及び従来の分化因子を組み合わせて含むことができる。これらの組み合わせの例として、前述の組み合わせ例(1)ないし(8)に記載された例が挙げられる。
【0116】
この時、各分化因子は各蛋白質を構成するアミノ酸配列で組成物に含まれることができる。
【0117】
または、各分化因子は、各蛋白質をコーディングする核酸配列で組成物に含まれることができる。
【0118】
一具体例として、Gsta4蛋白質のアミノ酸配列は配列番号1であることができる、Gsta4蛋白質をコーディングする核酸は配列番号2または12の配列を持つことができる。
【0119】
一具体例として、Ascl1蛋白質のアミノ酸配列は配列番号17であることができる、Ascl1蛋白質をコーディングする核酸は配列番号18の配列を持つことができる。
【0120】
一具体例として、Brn2蛋白質のアミノ酸配列は配列番号19であることができる、Brn2蛋白質をコーディングする核酸は配列番号20の配列を持つことができる。
【0121】
一具体例として、Myt1L蛋白質のアミノ酸配列は配列番号21であることができる、Myt1L蛋白質をコーディングする核酸は配列番号22の配列を持つことができる。
【0122】
一具体例として、Hb9蛋白質のアミノ酸配列は配列番号13であることができる、Hb9蛋白質をコーディングする核酸は配列番号14の配列を持つことができる。
【0123】
一具体例として、Isl1蛋白質のアミノ酸配列は配列番号23であることができる、Isl1蛋白質をコーディングする核酸は配列番号24の配列を持つことができる。
【0124】
一具体例として、Lhx3蛋白質のアミノ酸配列は配列番号15であることができる、Lhx3蛋白質をコーディングする核酸は配列番号16の配列を持つことができる。
【0125】
一具体例として、Ngn2蛋白質は配列番号25であることができる、Ngn2蛋白質をコーディングする核酸は配列番号26の配列を持つことができる。
【0126】
一具体例として、NeuroD1蛋白質のアミノ酸配列は配列番号27であることができる、NeuroD1蛋白質をコーディングする核酸は配列番号28の配列を持つことができる。
【0127】
以下では、前記組成物についてさらに具体的に説明する。
【0128】
組成物の構成例
組成物(1):Gsta4単独含む
本出願の組成物は、Gsta4蛋白質またはこれをコーディングする核酸;を含むことができる。
【0129】
また、本出願の組成物は、前記蛋白質変異体または前記核酸変異体を含むことができる。
【0130】
組成物(2): Gsta4+1個の従来の分化因子を含む
本出願の組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)Ascl1,Brn2,Myt1L,Hb9,Isl1,Lhx3,Ngn2及びNeuroD1中から選択される1つの蛋白質;または前記選択された蛋白質をコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0131】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;を含むことができる。
【0132】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;を含むことができる。
【0133】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;を含むことができる。
【0134】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;を含むことができる。
【0135】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)Isl1蛋白質またはこれをコーディングする核酸;を含むことができる。
【0136】
この時、
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;を含むことができる。
【0137】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;を含むことができる。
【0138】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)NeuroD1蛋白質またはこれをコーディングする核酸;を含むことができる。
【0139】
組成物(3):Gsta4+2個の従来の分化因子を含む
【0140】
本出願の組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される二つの蛋白質;または前記選択された二つの蛋白質をコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0141】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0142】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0143】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0144】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iii)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0145】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iii)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0146】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iii)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0147】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iii)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0148】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iii)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0149】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iii)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0150】
組成物(4): Gsta4+3個の従来の分化因子を含む
【0151】
本出願の組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される三つの蛋白質;または前記選択された三つの蛋白質をコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0152】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iv)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0153】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0154】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0155】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iv)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0156】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iv)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0157】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iv)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0158】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iv)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0159】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0160】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iv)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0161】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0162】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
iv)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0163】
組成物(5):Gsta4+4個の従来の分化因子を含む
【0164】
本出願の組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される四つの蛋白質;または前記選択された四つの蛋白質をコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0165】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
v)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0166】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
v)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0167】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0168】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
v)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0169】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
v)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0170】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
v)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0171】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0172】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
v)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0173】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0174】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0175】
組成物(6):Gsta4+5個の従来の分化因子を含む
【0176】
本出願の組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される五つの蛋白質;または前記選択された五つの蛋白質をコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0177】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vi)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0178】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vi)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0179】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0180】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vi)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0181】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vi)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0182】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0183】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vi)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0184】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vi)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0185】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0186】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vi)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0187】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vi)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0188】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0189】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vi)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0190】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vi)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0191】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0192】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vi)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0193】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vi)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0194】
組成物(7):Gsta4+6個の従来の分化因子を含む
【0195】
本出願の組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される六つの蛋白質;または前記選択された六つの蛋白質をコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0196】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vii)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0197】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vii)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0198】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vii)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0199】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vii)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0200】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vii)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0201】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vii)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0202】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vii)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0203】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vii)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0204】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vii)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0205】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vii)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0206】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vii)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0207】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vii)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0208】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
vii)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0209】
組成物(8):Gsta4+7個の従来の分化因子を含む
【0210】
本出願の組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2及びNeuroD1中から選択される七つの蛋白質;または前記選択された七つの蛋白質をコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0211】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
viii)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0212】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vii)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
viii)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0213】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vii)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
viii)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0214】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vii)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
viii)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0215】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vii)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
viii)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0216】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vii)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
viii)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0217】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vii)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
viii)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0218】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vii)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
viii)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0219】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vii)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
viii)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0220】
例えば、組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
ii)Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iii)Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
iv)Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
v)Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vi)Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
vii)Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
viii)NeuroD1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0221】
組成物(9):Gsta4+8個の従来の分化因子を含む
【0222】
本出願の組成物は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)Ascl1,Brn2,Myt1L,Hb9,Isl1,Lhx3,Ngn2及びNeuroD1の蛋白質;又はこれをコーディングする核酸;
を含むことができる。
【0223】
ここで、前述した組成物は蛋白質形態、核酸形態、蛋白質および核酸が混合された形態を含むことができるが、これに制限されない。この時、前記核酸はDNA、RNA、DNAおよびRNAが混合されたものであることができる。
【0224】
一例では、前記組成物は、含まれているすべての因子が蛋白質の形で含まれている可能性がある。
【0225】
他の例では、前記組成物は、含まれているすべての因子が核酸の形で含まれている可能性がある。
【0226】
また、別の例では、前記組成物は、含まれている因子の一部は蛋白質形態で、他の一部は核酸形態で含まれている可能性がある。
【0227】
この時、前記核酸形態はベクトル形態であることができる。この時、前記ベクトルは一個または二個以上のベクトルで構成されることができる。
【0228】
また、前記の組成物はウイルスカプシドを含むことができる。
【0229】
この時、前記の分化因子はウイルスカプシドに含まれて伝達されることができる。
【0230】
一例として、本出願の薬学的組成物は、Gsta4単独遺伝子を含むウイルスカプシドを含むことができる。
【0231】
他の例として,前記組成物はGsta4を含むウイルスカプシド;及び
Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2及びNeuroD1中から選択される1以上を含むウイルスカプシドを一緒に含むことができる。
【0232】
分化因子発現用ベクトル(Vector for expression of converting factor)
一例として、前記組成物は、分化因子発現用ベクトルを含むことができる。この時、前記ベクトルはGsta4蛋白質を暗号化する核酸を含むことができる。または、前記Gsta4蛋白質を暗号化する核酸の他に、従来の分化因子を暗号化する核酸;をさらに含むことができる。
【0233】
前記ベクトルは、対象細胞内で目的とする分化因子を効果的に発現させる機能を持っており、そのために、プロモーター、エンハンサーなど必要なその他の追加構成をさらに含むことができる。
【0234】
ベクトルの必須構成-Gsta4蛋白質を暗号化する核酸
前記ベクトルは、Gsta4蛋白質を暗号化する核酸を必須として含む。
【0235】
前記の暗号化する核酸は、Gsta4遺伝子の全長配列または一部配列であり得る。
【0236】
例えば、前記の一部の配列はGsta4のエクソン配列であることができる。この時、前記エクソン配列はGsta4遺伝子の配列の中でイントロンが除外されたCDS(Coding Sequence)配列であり得る。
【0237】
一例として、ベクトルは配列番号2又は配列番号12のDNA配列を含むことができる。
【0238】
ベクトルの選択的構成-従来の分化因子を暗号化する核酸
前記ベクトルは、Gsta4蛋白質を暗号化する核酸の他に、従来の分化因子を暗号化する核酸を選択的にさらに含むことができる。前記Gsta4および従来の分化因子を暗号化する核酸は、一つのベクトルに含まれるか、または2つ以上のベクトルに含まれることができる。
【0239】
一具現例で、前記ベクトルはGsta4と従来の分化因子の組み合わせ例(1)ないし(8)のうち選択された分化因子の暗号化する核酸を含むことができる。
【0240】
例えば、ベクトルは、
i)配列番号2及び配列番号12の中から選択される配列;及び
ii)配列番号14、16、18、20、22、24、26、および28の中から選択される一つの配列;を含むことができる。
【0241】
例えば、発現ベクトルは、
i)配列番号2及び配列番号12の中から選択される配列;及び
ii)配列番号14、16、18、20、22、24、26、28の中から選択される二つの配列;を含むことができる。
【0242】
例えば、発現ベクトルは、
i)配列番号2及び配列番号12の中から選択される配列;及び
ii)配列番号14、16、18、20、22、24、26、28の中から選択される三つの配列;を含むことができる。
【0243】
例えば、発現ベクトルは、
i)配列番号2及び配列番号12の中から選択される配列;及び
ii)配列番号14、16、18、20、22、24、26、28の中から選択される四つの配列;を含むことができる。
【0244】
例えば、発現ベクトルは、
i)配列番号2及び配列番号12の中から選択される配列;及び
ii)配列番号14、16、18、20、22、24、26、28の中から選択される五つの配列;を含むことができる。
【0245】
例えば、発現ベクトルは、
i)配列番号2及び配列番号12の中から選択される配列;及び
ii)配列番号14、16、18、20、22、24、26、28の中から選択される六つの配列;を含むことができる。
【0246】
例えば、発現ベクトルは、
i)配列番号2及び配列番号12の中から選択される配列;及び
ii)配列番号14、16、18、20、22、24、26、28の中から選択される七つの配列;を含むことができる。
【0247】
例えば、発現ベクトルは、
i)配列番号2及び配列番号12の中から選択される配列;及び
ii)配列番号14、16、18、20、22、24、26及び28の配列;を含むことができる。
【0248】
ベクトルの付加構成(additional component)(1)
【0249】
前記ベクトルは、目的蛋白質の必須構成および選択的構成以外に、細胞内で分化因子発現に必要な付加構成を含むことができる。
【0250】
例えば、前記の付加構成は発現調節要素、選別要素などを含むことができる。
【0251】
前記発現調節要素は、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化信号、コザック共通(Kozak consensus)配列、ITR(inverted terminal repeat)、LTR(long terminal repeat)、終結者(terminator)、内部リボソーム流入部位(internal ribosome entry site,IRES)、2A自己切断ペプチド(2A self-cleaving peptides)などであり得る。
【0252】
例えば、前記プロモーターはSV40初期プロモーター、LTR(mouse mammary tumor virus long terminal repeat)プロモーター、Ad MLP(adenovirus major late)プロモーター、HSV(herpes simplex virus)プロモーター、CMV(cytomegalovirus)プロモーター、RSV(roussarcoma virus)プロモーター、U6プロモーターなどであることができる。
【0253】
例えば、前記2A自己切断ペプチドはT2A、P2A、E2A、F2A等であることができる。前記分化因子発現のためのベクトルは、2A自己切断ペプチドを1個以上含んでいることができる。この時、前記2A自己切断ペプチドは同じトランスクリプト(transcript)から複数の蛋白質を生成する。そのため、ベクトル内で発現を目的とする二つ以上の異なる蛋白質の間に2A自己切断ペプチドが位置することができる。
【0254】
前記の選別要素は蛍光蛋白質遺伝子、タグ(tag)、リポーター遺伝子、抗生剤耐性遺伝子などであることができる。
【0255】
例えば、前記蛍光蛋白質遺伝子はGFP遺伝子(GFP gene)、YFP遺伝子(YFP gene)、RFP遺伝子(RFP gene)またはmCherry遺伝子(mCherry gene)などであることができる。
【0256】
例えば、前記タグはヒスチジン(His)タグ、V5タグ、FLAGタグ、インフルエンザヘマグルチニン(HA)タグ、Mycタグ、VSV-Gタグ及びチオレドキシン(Trx)タグなどであることができる。
【0257】
例えば、前記リポーター遺伝子はグルタチオン-S-トランスファラーゼ(GST)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、クロラムフェニコールアセチルトランスファラーゼ(CAT)ベータ-ガラクトシダーゼ、ベータ-グルクロニダーゼなどであることができる。
【0258】
例えば、前記抗生剤耐性遺伝子はハイグロマイシン抵抗性遺伝子(hygromycin resistant gene)、ネオマイシン抵抗性遺伝子(neomycin resistant gene)、カナマイシン抵抗性遺伝子(kanamycin resistant gene)、ブラスチサイジン抵抗性遺伝子(blasticidin resistant gene)、ゼオシン抵抗性遺伝子(zeocin resistant gene)などであることができる。
【0259】
本出願のベクトルは、筆記的構成、選択的構成及び付加構成を含めて目的とする分化因子を効果的に発現させるのに利用できる。
【0260】
一具体例として、本出願の一ベクトルがGsta4蛋白質を暗号化する核酸を含む場合、前記ベクトルは配列番号36の配列からなることができる。
【0261】
一具体例として、発現ベクトルがGsta4蛋白質を暗号化するジ核酸及びMyt1l蛋白質を暗号化する核酸を含む場合、該当ベクトルは配列番号5の配列で行われることができる。
【0262】
他の具体例として、発現ベクトルがGsta4蛋白質を暗号化する核酸;MNX1蛋白質を暗号化する核酸;及びLHX3蛋白質を暗号化する核酸;を含む場合、該当ベクトルは配列番号29の配列で行われることができる。
【0263】
ベクトルの付加構成(2)(ノックイン用構成)
【0264】
他の具現例で、前記発現ベクトルは、分化因子を対象のゲノムにノックインさせるための付加構成(2)を追加で含むことができる。
【0265】
前記のノックイン(knock-in)は、分化因子を対象細胞内のゲノム上に挿入することを意味する。このような場合、挿入された分化因子の発現が細胞内で持続するため、対象細胞(例えば、体細胞)のモーターニューロンへの分化効率もさらに高まることができる。
【0266】
一具体例として、前記分化因子は対象細胞ゲノム内のセーフハーバー(safe harbor)領域にノックインされることができる。
【0267】
前記セーフハーバーは、対象のゲノム内の特定部分に外来(exogenous)分化因子が挿入されても副作用を誘発せず、前記分化因子の発現が持続的になりうる遺伝子座位を称する。
【0268】
例えば、前記セーフハーバーは、対象細胞のゲノム配列のうちAAVS1、ROSA26などをコーディングする座位領域であることができる。
【0269】
前記の分化因子のノックインは、当業界に知られている方法で行うことができる。
【0270】
一具体例として、前記の方法は遷移因子(transposable element, TE)システム、CRISPR/Casシステムなどを利用することができる。
【0271】
前記転移因子システムは、誘電体内で位置を移すことができるDNA断片を利用するものである。
【0272】
例えば、前記転移因子システムは、ピギーバック(piggyBac)転移因子、スリーピングビューティー(Sleeping Beauty)転移因子などを含むことができる。
【0273】
前記CRISPR/Casシステムは、Cas蛋白質およびガイドRNA(guide RNA)、ドナーなどで構成されることができる。この時、前記ドナーは発現させようとする(i)分化因子、および(ii)対象細胞ゲノム内のセーフハーバー遺伝子の一部配列と相同性を持つ配列を含むことができる。この時、前記(ii)のセーフハーバー遺伝子の一部配列と相同性を持つ配列は、ドナーの両末端でそれぞれ相同性癌(homology arm)として機能することができる。
【0274】
例えば、前記Cas蛋白質及びガイドRNAが複合体を形成し、対象細胞ゲノム内のセーフハーバー遺伝子配列内にDSB(double strand break)切断(cleavage)を引き起こし、この時、前記切断部位に、両端に相同性癌を有する分化因子(ドナー)配列が相同性再組合(HDR)によって挿入されることができる。この時、前記二つの相同性癌は切断部位を中心にupstreamの一部配列と相同性を持つ配列およびdownstreamの一部配列と相同性を持つ配列である。
【0275】
ベクトルの種類
一例では、前記ベクトルはウイルスベクトルであることができる。
【0276】
一例として、前記ウイルスベクトルはレトロウイルス、レンティウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、ベクシニアウイルス、フォックスウイルス、 HIV(Humanimmunodeficiency virus)、MLV(Murineleukemia virus)、ASLV(Avian sarcoma/leukosis)、SNV(Spleen necrosis virus)、RSV(Rous sarcoma virus)、MMTV(Mouse mammary tumor virus)、ヘルペスシンプレックスウイルス(Herpes simplex virus)、エピゾマル(episomal)または単純包診ウイルスなどであり得る。好ましくはアデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)であり得る。
【0277】
他の例では、前記ベクトルは非ウイルスベクトルであり得る。
【0278】
一例として、前記の非ウイルスベクトルはプラスミド、ファージ、ネイキッドDNA、DNA-脂質複合体、DNA-高分子複合体、mRNA であり得る。
【0279】
4.直接交差分化方法
直接交差分化方法の概括
本発明の他の様態で、前記の分化因子の発現のための組成物を利用して体細胞からモーターニューロンに直接交差分化させる方法を提供する。
【0280】
したがって、本出願はGsta4を含む組成物を利用した直接交差分化方法を開示する。
【0281】
前記の組成物を利用すれば、対象細胞が逆分化段階なしに直接交差分化され、特にモーターニューロンに転換(conversion)されることができる。前記の直接交差分化方法は、通常の技術者が公示された方法を適切に選択して行うことができ、所定の目的を達成できるものであれば特に制限されない。
【0282】
一具現例として、前記直接交差分化方法は、組成物(1)ないし(9)のうち選択される一つの組成物を対象細胞に導入することを含む。
【0283】
この時、前記組成物はGsta4を必須的に含むことを特徴とし、
【0284】
前記の直接交差分化方法は、対象細胞が誘導万能幹細胞(Induced Pluripotent Stem Cells、iPSCs)に逆分化する効果を示さない。
【0285】
任意の実施例として、本出願の直接交差分化方法は、Gsta4蛋白質をコーディングする核酸を含むベクトルを対象細胞内に導入する;を含むことができる。
【0286】
任意の実施例で、本出願の直接交差分化方法は
Gsta4蛋白質;又はこれをコーディングする核酸;及び
Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される1つ以上の蛋白質;または前記選択された蛋白質をコーディングする核酸;を含むベクトルを対象細胞内に導入し;を含むことができる。
【0287】
一具現例として、本出願の直接交差分化方法は、Gsta4蛋白質をコーディングする核酸、Lhx3蛋白質をコーディングする核酸、Hb9蛋白質をコーディングする核酸を含むベクトル;を対象細胞内に導入する;を含むことができる。
【0288】
直接交差分化の対象細胞(出発細胞)
本出願が達成しようとする直接交差分化は、「分化した細胞」に本出願の因子を導入し、目的とする細胞に直接的に転換するものである。
【0289】
本出願の直接交差分化方法に使われる対象細胞である分化された細胞は体細胞であることができる。体細胞は生殖細胞を除いたすべての細胞を意味する。
【0290】
例えば、前記体細胞は線維芽細胞(fibroblast)、上皮細胞(epithelial cell)、内皮細胞(endothelial cell)、筋肉細胞、神経細胞、毛髪細胞、毛根細胞、毛包細胞、口腔上皮細胞、尿から抽出した体細胞、胃粘膜細胞、杯状細胞、ガストリン細胞(gastrin cell/Gcell)、B細胞、主皮細胞、星状細胞(astrocyte)、血液細胞、希少突起膠前駆細胞などであり得る。
【0291】
前記体細胞は、人、犬、猫、馬、羊、ウサギ、豚、マウス及びラクダ等の哺乳動物由来のもの又は分離されたものであることができる。
【0292】
一例として、本出願の直接交差分化方法は、
前記の直接交差分化のための分化因子の発現のための組成物を体細胞に導入し;を含む。
【0293】
この時、前記体細胞は組成物導入前の一定期間培養された体細胞であることができる。
【0294】
前記の分化方法は、組成物が導入された体細胞を神経細胞分化のための培養培地でさらに培養する工程をさらに含むことができる。
【0295】
以下では、前記分化方法で用いられる、体細胞培養のための培養培地、神経細胞分化のための培養培地、分化期間(すなわち、組成物を導入した体細胞を培養する期間)、導入方法等について述べる。
【0296】
培養培地
前記培養培地は、目的に応じて体細胞培養のための培養培地または神経細胞分化のための培養培地であることができる。
【0297】
体細胞培養のための培養培地及び神経細胞分化のための培養培地は、当業界に知られている培養培地を利用することができる。また、所定の目的のために培養培地を適切に変更して使用することができる。例えば、本出願の目的である直接交差分化の効率を高めるために、適切に当業界に知られた炭素源、窒素源、微量元素、成長因子などを調節して使用することができる。
【0298】
例えば、培養培地はDMEM、MEM、RPMI-1640、Ham's F-10又はHam's F-12等であることができる。
【0299】
細胞コンフルエンス、培養期間及び鶏大培養
体細胞の培養において、細胞のコンフルエンスを実験に容易になるように調節して培養することができる。
【0300】
この時、体細胞は組成物導入前の状態または前記の組成物が導入された状態によって適切にコンフルエンスを調節することができる。
【0301】
体細胞の培養は細胞のコンフルエンス(confluence)が約60%ないし100%になるまで培養できる。好ましくは体細胞のコンフルエンスが約80%ないし100%になるまで培養できる。
【0302】
また、前記体細胞培養が実験に容易な適正コンフルエンスになるように約12時間ないし60時間培養できるが、これに制限しない。
【0303】
前記体細胞培養は、前記適正コンフルエンスのために1回ないし3回継代培養できるが、これに制限しない。
【0304】
分化因子の発現のための組成物の各構成要素の導入順序
前記の直接交差分化方法において、組成物(1)ないし組成物(9)のうち選択される組成物を対象細胞内に導入する順序は特に制限されない。例えば、前記組成物が含む分化因子が二つ以上の場合、これらは対象細胞内に同時に導入されることもあり、順次導入されることもありうる。
【0305】
例えば、本出願の直接交差分化方法は、Gsta4蛋白質をコーディングする核酸を含む発現ベクトル、Lhx3蛋白質をコーディングする核酸を含む発現ベクトル、およびHb9蛋白質をコーディングする核酸を含む発現ベクトル、を同時にまたは順次導入することを含むことができる。
【0306】
分化因子の発現のための組成物を対象細胞に導入する方法
【0307】
前記直接交差分化方法において、前記直接交差分化のための分化因子の発現のための組成物を対象細胞内に導入することは、通常の技術者が公知の技術を適切に選択して行うことができる。
【0308】
例えば、前記組成物を細胞内に導入するために電気穿孔法、遺伝子銃、超音波穿孔法、自己注入法(magnetofection)、微細注入法(microinjection)、一時的な細胞圧縮またはスクイジング、陽イオン性リポソーム法、酢酸リチウム-DMSO,脂質-媒介形質感染(transfection)、リン酸カルシウム沈殿法(precipitation)、lipofection、PEI(Polyethyleneimine)-媒介形質感染、DEAE-dextran媒介形質感染等が使用できるが、これに制限されることはない。
【0309】
分化因子の発現のための組成物が導入された体細胞の特徴
【0310】
本出願で提供する分化因子の発現のための組成物が導入された体細胞は、培養期間が経過するにつれて分化因子の発現および神経細胞マーカーの発現が増加している状態にある。
【0311】
前記の神経細胞マーカーはNEUN、ChAT、Map2、Hb9、Synapsin、Tuj1、IsL1、PAX6、Olig2、Nkx2.2、SMI-32などであることができる。
【0312】
例えば、本出願の分化因子の発現のための組成物が導入された体細胞は、培養期間1日目に比べて3日目にNEUN、ChAT、Map2、Hb9、Synapsin中から選択される一つ以上の神経細胞マーカーの発現が増加している可能性がある。
【0313】
分化期間
【0314】
前述した前記の直接交差分化方法を利用して体細胞に分化因子が導入されれば、前記の体細胞が適切な時間が過ぎた後、モーターニューロンに転換される。体細胞がモーターニューロンに転換されるまで、培地造成変更を通じて分化環境を維持できるようにすることができる。前記の適切な時間は、対象細胞によって決定されることができる。
【0315】
例えば、分化因子の発現のための組成物が導入された線維芽細胞は、約7日ないし30日以内にモーターニューロンに転換できる。
【0316】
他の例を挙げると、分化因子の発現のための組成物が導入された星状細胞は、約7日ないし30日以内にモーターニューロンに転換することができる。
【0317】
直接交差分化方法の結果物
【0318】
前述した本出願の直接交差分化方法を利用すれば、体細胞が直接交差して誘導されたモーターニューロンを得ることができる。 モーターニューロンは脳と脊髄で起きた運動刺激を筋肉や腺に伝達する神経細胞だ。
【0319】
特に、本出願の直接交差分化因子が体細胞内に導入された誘導されたモーターニューロンは、細胞内の前記分化因子が過剰発現(over-expression)されている発現特徴を持つ。したがって、このような分化因子の過剰発現環境によって、前記誘導されたモーターニューロンは神経細胞マーカーも過剰発現されている特徴を持つことができる。
【0320】
前記直接交差分化因子は,Gsta4,Ascl1(Achaete-scute homolog 1),Brn2(POU Class 3 Homeobox 2),Myt1L(Myelin Transcription Factor 1 Like),Hb9(Homeobox HB9),ISL1(ISL LIM homeobox 1),Lhx3(LIM homeobox 3),Ngn2(neurogenin 2)、NeuroD1(Neuronal Differentiation 1)等であることができるが、これに限定しない。
【0321】
例えば、前記の直接交差分化で得られたモーターニューロンでは、Gsta4が過剰発現されている。
【0322】
例えば、前記の直接交差分化で得られたモーターニューロンでは、Gsta4;およびAscl1(Achaete-scute homolog 1)、Brn2(POU Class 3 Homeobox 2)、Myt1L(Myelin Transcription Factor 1 Like)、Hb9(Homeobox HB9)、ISL1(ISL LIM homeobox 1)、Neuren(2)、およびNeuroD1(Neuronal Differentiation 1)中から選択される一つ以上;の直接交差分化因子が過剰発現されている。
【0323】
また、このような分化因子の過剰発現はモーターニューロン内の神経細胞マーカー蛋白質の発現増加を引き起こす。前記の神経細胞マーカーは、NEUN、ChAT、Map2、Synapsin、HB9、Tuj1、IsL1、Notch1、HES1、HES3、E-cadherin、occludin、PAX6、N-cadherin、SOX2、等であることができるが、これに限定しない。
【0324】
例えば、前記の直接交差分化で得られたモーターニューロンは、ChAT、Map2、Hb9、Synapsinのうち一つ以上の神経細胞マーカーが過剰発現することができる。
【0325】
他の例を挙げると、前記の直接交差分化で得られたモーターニューロンは、誘導されたTuj1、IsL1、NEUNのうち一つ以上が過剰発現されることがある。
【0326】
直接交差分化の結果確認
本出願の直接交差分化方法は、選択的にモーターニューロンへの転換を確認する過程を追加で含むことができる。
【0327】
この時、前記確認する過程は当業界に知られた神経細胞マーカーを利用して確認でき、当業界に知られた多様な分子生物学技法を通じて確認できる。 例えば、前記分子生物学技法は免疫蛍光染色法、ウエスタンブラット、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction、RT-PCR)、酵素結合免疫吸着検査(ELISA)等であることができるが、これに限定しない。
【0328】
本出願の直接交差分化方法の特徴(1)
本出願で開示する直接交差分化方法は、誘導万能幹細胞(Induced Pluripotent Stem Cells、iPSCs)が生成されない特徴がある。すなわち、体細胞の逆分化過程による誘導万能幹細胞段階を経ず、体細胞から目的とするモーターニューロンへの転換を直接的に誘導するという点で特徴がある。
【0329】
例えば、体細胞である線維芽細胞または星状細胞にGsta4単独;またはGsta4と従来の分化因子を一緒に処理すれば、前記線維芽細胞または星状細胞はモーターニューロンに直接分化することができる。
【0330】
本出願の直接交差分化方法の特徴(2)
また、本出願の方法は前述したように誘導万能幹細胞段階を経ないため、対象細胞の奇形種(teratoma)形成の可能性が低い長所がある。すなわち、従来の幹細胞使用の問題点である奇形種の生成確率を顕著に下げた方法であることができる。このような長所は、本出願の方法が神経系疾患の治療のためにさらに有用に使われる可能性があることを示唆する。
【0331】
本出願の直接交差分化方法の特徴(3)
本出願で開示する直接交差分化方法は、従来の分化因子の問題点である分化効率を改善するのに大きく寄与する。特に、線維芽細胞または星状細胞に従来の分化因子だけを処理するより、Gsta4と従来の分化因子を共に処理すれば、モーターニューロンで直接分化される分化効率を顕著に向上させることができる。
【0332】
5.Gsta4を含む直接交差分化用薬学的組成物
Gsta4を含む直接交差分化用薬学的組成物概括
本出願は他の太陽で、神経疾患の治療のための、前記の組成物(1)ないし(9)のうち選択される一つの組成物を薬学的組成物として開示する。以下で前記薬学的組成物が含むことができる成分及び、治療用途のための具体的な適応症等を開示する。
【0333】
薬学的組成物の有効成分
本出願の薬学的組成物の有効成分は、次のいずれか一つ以上であることができる。
【0334】
(1)本出願の分化因子
(2)本出願の分化因子を含む体細胞
(3)本出願の分化因子を用いて誘導されたモーターニューロン
【0335】
この時、前記の分化因子はGsta4単独;またはGsta4および従来の分化因子の組み合わせで組成物に含まれることができる。この時、前記従来の分化因子はAscl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される1以上;である。
【0336】
前記(1)分化因子は蛋白質の形態または核酸の形態であり得る。
【0337】
一例として、本出願の神経系疾患予防または治療のための、薬学的組成物はGsta4蛋白質またはこれをコーディングする核酸;を含むことができる。
【0338】
他の例として、本出願の神経系疾患予防または治療のための、薬学的組成物はGsta4蛋白質またはこれをコーディングする核酸;Hb9蛋白質またはこれをコーディングする核酸;およびLhx3蛋白質またはこれをコーディングする核酸を含むことができる。
【0339】
また別の例として、本出願の神経系疾患予防または治療のための薬学的組成物は、Gsta4蛋白質またはこれをコーディングする核酸;Hb9蛋白質またはこれをコーディングする核酸;Lhx3蛋白質またはこれをコーディングする核酸;およびNgn2蛋白質またはこれをコーディングする核酸を含むことができる。
【0340】
この時、前記(1)分化因子はウイルスカプシドに含まれて伝達されることができる。一例として、本出願の薬学的組成物は、Gsta4単独遺伝子を含むウイルスカプシドを含むことができる。他の例として、前記の組成物はGsta4を含むウイルスカプシド、Hb9を含むウイルスカプシド、Lhx3を含むウイルスカプシドを一緒に含むことができる。本出願の分化因子を含むウイルスカプシドを含む場合、一種の遺伝子治療剤として使用することができる。
【0341】
また、前記(2)分化因子を含む体細胞は、i)分化因子をコーディングする核酸を含むベクトルが導入された体細胞;またはii)分化因子蛋白質が導入された体細胞であることができる。本出願の分化因子を含む体細胞を有効成分として含む場合、一種の細胞治療剤として使用することができる。細胞治療剤は組織の機能を復元するために自己(autologous)、同種(allogenic)、または異種(xenogenic)「細胞」を有効成分として利用する治療剤を意味する。
【0342】
一例として、本出願の神経系疾患予防または治療のための薬学的組成物は、Gsta4蛋白質をコーディングする核酸を含むベクトルが導入された体細胞;を含むことができる。本出願の神経系疾患予防または治療のための薬学的組成物は、Gsta4蛋白質が導入された体細胞;を含むことができる。
【0343】
他の例として、本出願の神経系疾患予防または治療のための薬学的組成物は、Gsta4蛋白質をコーディングする核酸;Hb9蛋白質をコーディングする核酸;およびLhx3蛋白質をコーディングする核酸を含むベクトルが導入された体細胞;を含むことができる。本出願の神経系疾患予防または治療のための薬学的組成物は、Gsta4蛋白質;Hb9蛋白質;およびLhx3蛋白質が導入された体細胞;を含むことができる。
【0344】
また、前記(3)分化因子を利用して誘導されたモーターニューロンは、前述した[4.直接交差分化方法]を利用して体細胞が直接交差分化して生成されたモーターニューロンである。本出願の前記誘導された運動ニューロンを有効成分として含む場合、また別の種類の細胞治療剤として使用することができる。
【0345】
薬学的に許容可能な追加(extra)構成要素
【0346】
前記薬学的組成物は、前記有効成分以外に、薬学的に許容可能な追加構成要素をさらに含むことができる。前記薬学的に許容可能な追加構成要素は、担体、賦形剤、希釈剤、保存剤等であることができるが、これに限定しない。
【0347】
例えば、前記の担体、賦形剤及び希釈剤は、ラクトース(lactose)、デキストロズ、スクロス(sucrose)、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルティトール、デンプン、アカシアガム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムホスフェイト、カルシウムシリケート、セルローズ、メチルセルローズ、蒸留水、生理食塩水、グリセロール、エタノール、HSA(Humanserumalbumin)などである。
【0348】
例えば、前記保存剤は安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等である。
【0349】
前記薬学的組成物を製剤化する場合、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤などをさらに含むことができる。
【0350】
薬学的組成物の製剤化
前記薬学的組成物は、経口用または非経口用に製剤化されることができる。
【0351】
例えば、経口用に製剤化される場合、固形剤、液状剤、カプセル剤、半固体形態などで製造されることができる。
【0352】
他の例として、非経口用に製剤化される場合、注射剤、エアゾール剤等で製造されることがある。好ましくは注射剤として製剤化することができる。
【0353】
薬学的組成物のターゲット疾患
【0354】
前記薬学的組成物は神経系疾患に適用されることができる。特に、前記の薬学的組成物は神経系疾患の治療または予防のために使用できる。本出願の神経系疾患は、神経細胞損傷またはこれによって誘発される疾患であることができる。
【0355】
例えば、前記神経系疾患は脊髄損傷、パーキンソン病、脳卒中、ハンチントン病、ルー・ゲーリック病、毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia telangiectasia)、筋萎縮性側索硬化症、運動神経損傷、外傷による末梢神経損傷、虚血性脳損傷、新生児低酸素性虚血性脳損傷、脳性麻痺、末梢麻痺、中枢麻痺、四肢麻痺、両麻痺、てんかん、神経細胞発達障害、神経痛、難治性てんかん、アルツハイマー病、先天性代謝性神経系疾患及び外傷性脳損傷(traumatic brain injury)、運動性神経細胞の損傷またはこれに誘発される疾患などであることができるが、これに制限しない。望ましいことに、前記の神経系疾患は脊髄損傷、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、末梢麻痺、中枢麻痺、四肢麻痺、両麻痺の中から選択できる。
【0356】
6.神経系疾患の治療方法
神経系疾患の治療方法の概括
前記の[5.Gsta4を含む直接交差分化用薬学的組成物]を利用した神経系疾患の治療方法を開示する。
【0357】
前述のとおり前記薬学的組成物は、
Gsta4または
Gsta4及びAscl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2及びNeuroD1中から選択される1以上;
を含む。
【0358】
本出願の神経系疾患の治療方法は、(i)前記の組成物をそのまま対象(患者)に処理したり、(ii)前記の組成物を導入した体細胞を対象に処理したり、または(iii)エックスビーボ(Ex vivo)から誘導されたモーターニューロンを生成して、これを対象に処理する方法で遂行できる。この時、前記(i)の方法は対象の体内で、すなわち、インビボ(In vivo)から誘導されたモーターニューロンを生成する効果を持つことができる。
【0359】
治療方法(1)
神経系疾患を治療する方法は、本出願の「薬学的組成物」を神経系疾患の治療または予防が必要な対象に投与して生体内(In vivo)で誘導されたモーターニューロンが生成される方式を利用することができる。
【0360】
一例として、本出願の神経系疾患を治療する方法は、
Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸を含む組成物を対象に投与し;を含むことができる。
【0361】
他の例として、本出願の神経系疾患を治療する方法は、
i)Gsta4蛋白質;及び
ii)Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1中から選択される一つ以上の蛋白質;
を含む組成物を対象に投与する;を含むことができる。
【0362】
治療方法(2)
神経系疾患を治療する方法は、本出願の薬学的組成物を導入した「体細胞」を対象に投与することを特徴とする。
【0363】
一例として、本出願の神経系疾患を治療する方法は、
Gsta4蛋白質またはこれをコーディングする核酸を含む組成物が導入された体細胞を対象に投与し;
を含むことができる。
【0364】
他の例として、本出願の神経系疾患を治療する方法は、
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)Ascl1,Brn2,Myt1L,Hb9,Isl1,Lhx3,Ngn2及びNeuroD1中から選択される一つ以上の蛋白質;又は前記蛋白質をコーディングする核酸;
を含む組成物が導入された体細胞を対象に投与し;
を含むことができる。
【0365】
前述したように、本出願の組成物を導入した体細胞を対象に投与すると、対象の体内で、前記体細胞に導入されている分化因子によって体細胞が直接交差分化してモーターニューロンに転換される。これにより、投与された対象内に前記のモーターニューロンが増殖し、神経系疾患が治療または予防されることができる。
【0366】
治療方法(3)
神経系疾患を治療する方法は、本出願の組成物を分離された体細胞に導入して直接交差分化されたモーターニューロンをエックスビボ(ex vivo)で得た後、前記"モーターニューロン"を神経系疾患の治療または予防が必要な対象に投与する方式を利用することができる。すなわち、本出願の誘導されたモーターニューロンを治療剤の直接的な有効成分として対象に適用する方式である。
【0367】
一例として、本出願の神経系疾患を治療する方法は、
体細胞にGsta4蛋白質またはこれをコーディングする核酸を含む組成物を導入して誘導されたモーターニューロンを対象に投与し;
を含むことができる。
【0368】
他の例として、本出願の神経系疾患を治療する方法は、
体細胞に
i)Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
ii)Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2及びNeuroD1中から選択される1以上の蛋白質;又は前記蛋白質をコーディングする核酸;
を含む組成物を導入し、誘導されたモーターニューロンを対象に投与し;
を含むことができる。
【0369】
投与対象
前記神経系疾患の治療方法の適用対象は、健常者に比べてモーターニューロンの機能が低下した対象またはモーターニューロンの減少によって病気が発生した対象であることができるが、これに制限しない。
【0370】
神経系疾患の治療または予防が必要な対象は哺乳類であることができる。例えば、前記哺乳類は人、犬、馬、猫、マウス、ウサギ、羊、猿などであることができる。
【0371】
以下で説明する投与方法、投与用量、薬学的組成物の濃度、投与周期は投与対象の年齢、体重、一般健康状態、食餌、神経系疾患の発病程度、他の薬の摂取有無,治療期間などを考慮して決定されることがある。
【0372】
投与方法
前記神経系疾患の治療方法の投与は、対象の多様な経路で投与できる。
【0373】
投与は経口投与または非経口投与であることができる。この時、非経口投与は注射投与であることがある。
【0374】
前記の注射投与時の部位は筋肉、皮内、皮下、静脈、腹腔、動脈、粘膜、脊髄、骨髄,脊髄腔内,経皮等であることがあるが,これに制限しない。
【0375】
一例として、前記投与部位が脊髄である場合、L1(lumbar 1)、L2(lumbar 2),L3(lumbar 3)、L4(lumbar 4)、L5(lumbar 5)、T1(thoracic 1)、T2(thoracic 2)、T3(thoracic 3)、T4(thoracic 4),T5(thoracic 5)、T6(thoracic 6)、T7(thoracic 7)、C1(cervical 1)、C2(cervical 2)、C3(cervical 3)、C4(cervical 4)、C5(cervical 5)等であることがある。
【0376】
他の例として、神経系疾患が発生した部位自体に投与することができる。任意の具体例として、パーキンソン病を発症した脳に直接投与することであり得る。
【0377】
薬学的組成物の濃度
【0378】
前記薬学的組成物の濃度は全体組成物基準で次のように含まれることができる。この時、前記の薬学的組成物は、ベクトルを含む形態、ベクトルから精製されたウイルスを含む形態、ベクトルを含む細胞の形態、蛋白質の形態、蛋白質を含む細胞の形態等であることができるが、これに限定しない。
【0379】
一例として、本出願の薬学的組成物を含むウイルスベクトルをウイルスで精製する場合、組成物全体を基準に次のような濃度で含まれることができる。
【0380】
例えば、前記薬学的組成物全体を基準に1x105vg(viral genome)/mLないし1x1020vg(viral genome)/mL濃度のウイルスが含まれることがある。
【0381】
例えば、前記薬学的組成物全体を基準に1x105GC(genome copies)/mLないし1x1020vg(genome copies)/mL濃度のウイルスが含まれることができる。
【0382】
他の例として、前記薬学的組成物全体を基準に1x105VP(viral particle)/mLないし1x1020VP(viral particle)/mL濃度のウイルスが含まれることがある。
【0383】
投与用量
【0384】
前記薬学的組成物の投与用量は、投与方法、対象等を考慮して適切な用量を考慮することができる。
【0385】
一例として、投与用量は1回に1uLないし20mL投与できるが、これに制限しない。
【0386】
具体例として、脊髄投与時に1回に1uL/kgないし20uL/kg投与することができる。静脈投与時、1回に0.5mL/kgないし10mL/kg投与できる。
【0387】
投与周期
【0388】
前記の薬学的組成物を対象に投与する周期は、対象の疾患、発病程度などによって投与されることがある。
【0389】
投与回数は一日に1回又は数回投与することもでき、長期間にわたって数回投与することもできる。この時,一定期間間隔をおいて投与することもできる。
【0390】
前記投与間隔は1日ないし60日等であることがある。この時、連続投与又は非連続投与することができる。
【0391】
治療効果の確認
【0392】
前記の神経系疾患の治療方法を投与対象に適用した後、神経系疾患が緩和または改善または治療された効果を多様な方法で確認することができる。
【0393】
例えば、スカ(scar)減少、神経細胞マーカー発現変化、BBBスコア、活動電位、自発的反応などを通じて確認できる。
【0394】
一例として、前記の神経系疾患の治療方法を利用すれば、スカが約2倍ないし50倍減少することができる。
【0395】
他の例として、前記の神経系疾患の治療方法を利用すると、神経細胞マーカーの発現が約2倍ないし50倍増加する可能性がある。
【0396】
他の例として、前記の神経系疾患の治療方法を利用すると、BBBスコアが約2倍ないし50倍増加する可能性がある。
【0397】
他の例として、前記の神経系疾患の治療方法を利用すれば、活動電位または自発的反応が正常人と類似した様相で現れることがある。
【0398】
7.誘導されたモーターニューロンの用途
誘導された運動ニューロンの用途概括
【0399】
本出願では、前記の直接交差分化方法で得られたモーターニューロンの多様な用途を開示する。以下で前記のモーターニューロンを利用した薬物スクリーニング、生体素材用途などについて説明する。
【0400】
モーターニューロンの用途(1) - 薬物スクリーニング
一例として、本出願の誘導された運動ニューロンを利用した薬物スクリーニング用途が開示される。特に、神経系疾患の予防、治療薬物のスクリーニングに活用できる。
【0401】
前記誘導された運動ニューロンに候補薬物の投与前後に運動ニューロンの反応性を確認する方法などで神経系疾患予防または/および治療のための薬物のスクリーニングに有用に使用できる。
【0402】
モーターニューロンの用途(2) - 人工臓器
【0403】
他の例として、本出願の誘導された運動ニューロンを含む人工臓器が開示される。幹細胞を特定の身体器官に誘導し、体外で臓器と同様に再現するオルガノイド(organoid)も人工臓器の一種だ。本出願は誘導万能幹細胞段階を経ないので、幹細胞を利用するオルガノイドに比べて副作用が少ない人工臓器に活用できる。
【0404】
3Dバイオプリンティングに本出願のモーターニューロンを適用することができる。3Dバイオプリンティングは、生きている細胞を活用したバイオインクを3Dプリンティングのように層が積み上げ、神経、角膜、肝臓、皮膚、血管などの人工臓器を作るものだ。したがって、本出願の誘導された運動ニューロンを3Dバイオプリンティングして神経系疾患および損傷治療用人工臓器を製作することができる。
【0405】
[発明の可能な具現例]
【0406】
具現例1:Gsta4 単独
体細胞から運動性神経細胞への直接交差分化のための組成物であって、前記組成物は、
Gsta4(Glutathione S-transferase A4)蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含み、前記運動性神経細胞は前記体細胞から誘導された(分化した)運動性神経細胞であることを特徴とする組成物。
【0407】
(体細胞が直接交差分化して誘導された運動神経細胞になることを特徴とする組成物。)
【0408】
具現例2:Gsta4+従来因子1個
具現例1において、
前記の組成物は、
Ascl1(Achaete-scute homolog 1)、Brn2(POU Class 3 Homeobox 2)、Myt1L(Myelin Transcription Factor 1 Like)、Hb9(Homeobox HB9)、ISL1(ISL LIM homeobox 1)、Lhx3(LIM homeobox 3)、Ngn2(neurogenin 2)及びNeuroD1(Neuronal Differentiation 1)中から選択される一つの蛋白質;または前記蛋白質をコーディングする核酸;
をさらに含むことができることを特徴とする組成物。
【0409】
具現例3:Gsta4+従来因子2個
具現例1において、
前記の組成物は、
Ascl1(Achaete-scute homolog 1)、Brn2(POU Class 3 Homeobox 2)、Myt1L(Myelin Transcription Factor 1 Like)、Hb9(Homeobox HB9)、ISL1(ISL LIM homeobox 1)、Lhx3(LIM homeobox 3)、Ngn2(neurogenin 2)及びNeuroD1(Neuronal Differentiation 1)中から選択される二つの蛋白質;または前記蛋白質をコーディングする核酸;
をさらに含むことができることを特徴とする組成物。
【0410】
具現例4:Gsta4+従来因子3個
具現例1において、
前記の組成物は、
Ascl1(Achaete-scute homolog 1)、Brn2(POU Class 3 Homeobox 2)、Myt1L(Myelin Transcription Factor 1 Like)、Hb9(Homeobox HB9)、ISL1(ISL LIM homeobox 1)、Lhx3(LIM homeobox 3)、Ngn2(neurogenin2)及びNeuroD1(Neuronal Differentiation 1)中から選択される三つの蛋白質;または前記蛋白質をコーディングする核酸;
をさらに含むことができることを特徴とする組成物。
【0411】
具現例5:Gsta4+従来因子4個
具現例1において、
前記の組成物は、
Ascl1(Achaete-scute homolog 1)、Brn2(POU Class 3 Homeobox 2)、Myt1L(Myelin Transcription Factor 1 Like)、Hb9(Homeobox HB9)、ISL1(ISL LIM homeobox 1)、Lhx3(LIM homeobox 3)、Ngn2(neurogenin2)及びNeuroD1(Neuronal Differentiation 1)中から選択される四つの蛋白質;または前記蛋白質をコーディングする核酸;
をさらに含むことができることを特徴とする組成物。
【0412】
具現例6:Gsta4+従来因子5個
具現例1において、
前記の組成物は、
Ascl1(Achaete-scute homolog 1)、Brn2(POU Class 3 Homeobox 2)、Myt1L(Myelin Transcription Factor 1 Like)、Hb9(Homeobox HB9)、ISL1(ISL LIM homeobox 1)、 Lhx3(LIM homeobox 3)、Ngn2(neurogenin2)及びNeuroD1(Neuronal Differentiation 1)中から選択される五つの蛋白質;または前記蛋白質をコーディングする核酸;
をさらに含むことができることを特徴とする組成物。
【0413】
具現例7:Gsta4+従来因子6個
具現例1において、
前記の組成物は、
Ascl1(Achaete-scute homolog 1)、Brn2(POU Class 3 Homeobox 2)、Myt1L(Myelin Transcription Factor 1 Like)、Hb9(Homeobox HB9)、ISL1(ISL LIM homeobox 1)、Lhx3(LIM homeobox 3)、Ngn2(neurogenin 2)及びNeuroD1(Neuronal Differentiation 1)中から選択される六つの蛋白質;または前記蛋白質をコーディングする核酸;
をさらに含むことができることを特徴とする組成物。
【0414】
具現例8:Gsta4+従来因子7個
具現例1において、
前記の組成物は、
Ascl1(Achaete-scute homolog 1),Brn2(POU Class 3 Homeobox 2)、Myt1L(Myelin Transcription Factor 1 Like)、Hb9(Homeobox HB9)、ISL1(ISL LIM homeobox 1)、Lhx3(LIM homeobox 3)、Ngn2(neurogenin2)及びNeuroD1(Neuronal Differentiation 1)中から選択される七つの蛋白質;または前記蛋白質をコーディングする核酸;
をさらに含むことができることを特徴とする組成物。
【0415】
具現例9:Gsta4+従来因子8個
具現例1において、
前記の組成物は、
Ascl1(Achaete-scute homolog 1),Brn2(POU Class 3 Homeobox 2),Myt1L(Myelin Transcription Factor 1 Like),Hb9(Homeobox HB9),ISL1(ISL LIM homeobox 1),Lhx3(LIM homeobox 3)、Ngn2(neurogenin2)及びNeuroD1(Neuronal Differentiation 1)中から選択される七つの蛋白質;または前記蛋白質をコーディングする核酸;
をさらに含むことができることを特徴とする組成物。
【0416】
具現例10:組成物の組み合わせ
具現例2において、
前記の組成物は、
Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;又はAscl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことを特徴とする組成物。
【0417】
具現例11:組成物の組み合わせ
具現例3において、
前記の組成物は、
Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことを特徴とする組成物。
【0418】
具現例12:組成物の組み合わせ
具現例4において、
前記の組成物は、
Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
NeuroD1蛋白質またはこれをコーディングする核酸
を含むことを特徴とする組成物。
【0419】
具現例13:組成物の組み合わせ
具現例5において、
前記の組成物は、
Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
Hb9蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことを特徴とする組成物。
【0420】
具現例14:組成物の組み合わせ
具現例6において、
前記の組成物は、
Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことを特徴とする組成物。
【0421】
具現例15:組成物の組み合わせ
具現例7があって、
前記の組成物は、
Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
Brn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
Ascl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
Ngn2蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
Isl1蛋白質又はこれをコーディングする核酸;及び
Lhx3蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
Myt1L蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含むことを特徴とする組成物。
【0422】
具現例16:Gsta4配列
具現例1において、
前記Gsta4蛋白質は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列またはこれと同一性が70%以上の配列であることを特徴とする組成物。
【0423】
具現例17:Hb9配列
具現例2において、
前記Hb9蛋白質は、配列番号14で表示されるアミノ酸配列またはこれと同一性が70%以上の配列であることを特徴とする組成物。
【0424】
具現例18:Lhx3配列
具現例2において、
前記Lhx3蛋白質は、配列番号15で表示されるアミノ酸配列またはこれと同一性が70%以上の配列であることを特徴とする組成物。
【0425】
具現例19:配列限定
具現例11において、
前記Gsta4蛋白質は、配列番号1で表されるアミノ酸配列またはこれと同一性が70%以上の配列であり、
前記Hb9蛋白質は、配列番号14で表されるアミノ酸配列またはこれと同一性が70%以上の配列であり、
前記Lhx3蛋白質は、配列番号15で表示されるアミノ酸配列またはこれと同一性が70%以上の配列であることを特徴とする組成物。
【0426】
具現例20:ベクトル1
体細胞から運動性神経細胞への直接交差分化のためのベクトルとして、前記ベクトルは、
i)具現例1又は16;及び
ii)プロモーター;
を含み、
前記i)は、ii)に作動可能に接続されており、
前記運動性神経細胞は、前記体細胞から誘導された(分化した)運動性神経細胞であることを特徴とするベクトル。
【0427】
具現例21:ベクトル1の追加構成
具現例20において、
前記ベクトルは具現例2ないし9の中から選択される一つ;
をさらに含むことができることを特徴とするベクトル。
【0428】
具現例22:ベクトル2
体細胞から運動性神経細胞への直接交差分化のためのベクトルとして、前記ベクトルは、
i)具現例3又は具現例11;及び
ii)プロモーター;
を含み、
前記i)はii)に作動可能に接続されており、
前記運動性神経細胞は、前記体細胞から誘導された(分化した)運動性神経細胞であることを特徴とするベクトル。
【0429】
具現例23:ベクトル3
体細胞から運動性神経細胞への直接交差分化のためのベクトルとして、前記ベクトルは二つ以上のベクトルを含むことができ、
この時、二つ以上のベクトルは、少なくとも第一ベクトル及び第二ベクトルを含み、
前記第1ベクトルは、
i)具現例1又は16;及び
ii)プロモーター;
を含み、
前記i)はii)に作動可能に連結されており、
前記第2ベクトルは、
iii)前記ベクトルは、具現例2ないし9の中から選択される一つ以上;及び
iv)プロモーター;
を含み、
前記iii)は、iv)に作動可能に接続されており、
この時、前記iii)前記ベクトルは具現例2ないし9の中から選択される一つ以上は個別的なベクトルに含まれることができ、
前記運動性神経細胞は、前記体細胞から誘導された(分化した)運動性神経細胞であることを特徴とするベクトル。
【0430】
具現例24:ベクトル追加構成
具現例21ないし具現例23のいずれか一つの具現例において、
前記ベクトルは選択的に前記ii)プロモーター以外のプロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化信号、コザック共通(Kozak consensus)配列、ITR(inverted terminal repeat)、LTR(long terminal repeat)、終結者(terminator)、内部リボソーム流入部位(internal ribosome entry site、IRES)、蛍光蛋白質遺伝子、グルタチオン-S-トランスパーラーゼ(GST)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、クロラムフェニコールアセチルトランスパーラーゼ(CAT)ベータ-ガラクトシダーゼ、ベータ-グルクロニダジェ、ルシファーラーゼ、ヒスチジン(His)タグ、V5タグ、FLAGタグ、インフルエンザヘマグルチニン(HA)タグ、Mycタグ、2A自己切断ペプチド(2A self-cleaving peptides)、抗生物質耐性遺伝子のうち、選択される1つ以上をさらに含むことができることを特徴とするベクトル。
【0431】
具現例25:ベクトル追加構成限定
具現例24において、
前記2A自己切断ペプチドは、T2A、P2A、E2AおよびF2Aの中から選択される一つ以上であることを特徴とするベクトル。
【0432】
具現例26:ベクトル追加構成限定
具現例21ないし具現例23のいずれか一つの具現例において、
前記ベクトルは、ドナー(donor)、ピギーバック(piggyBac)転移因子、スリーピングビューティー(Sleeping Beauty)転移因子の中から選択される一つ以上をさらに含むことができることを特徴とするベクトル。
【0433】
具現例27:ベクトル種類限定
具現例21ないし具現例23のいずれか一つの具現例において、
前記ベクトルはウイルスベクトルで、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、ベクシニアウイルス、フォックスウイルス、HIV(Humanimmunodeficiency virus)、MLV(Murineleukemia virus)、ASLV(Avian sarcoma/leukosis), SNV(Spleen necrosis virus), RSV(Rous sarcoma virus),MMTV(Mouse mammary tumor virus)、ヘルペスシンプレクスウイルス(Herpes simplex virus)、エピゾマル(episomal)及び単純包診ウイルスの一つ以上であることを特徴とするベクトル。
【0434】
具現例28:分化方法(1)
体細胞から運動性神経細胞への直接交差分化のための方法で、
前記直接交差分化は、前記体細胞が直接交差分化して誘導された(分化した)運動性神経細胞になるものであり、
前記の方法は、
a)具現例1又は具現例16又は具現例20を体細胞に導入する;
を含む方法。
【0435】
具現例29:分化方法(1)
具現例28において、
前記体細胞に
b)具現例2ないし9、21の中から選択されるいずれかを導入する;
をさらに含むことができることを特徴とする方法。
【0436】
具現例30:分化方法(1)
具現例28又は具現例29において、
前記導入し;後
体細胞を神経分化のための培地を利用して培養する;
をさらに含むことができることを特徴とする方法。
【0437】
具現例31:分化方法(2)
体細胞から運動性神経細胞への直接交差分化のための方法で、
前記直接交差分化は、前記体細胞が直接交差分化して誘導された(分化した)運動性神経細胞となるものであり、
前記の方法は、
a)培養培地に具現例1又は具現例16又は具現例20を混合し;
b)前記混合物を利用して体細胞を培養し;
を含む方法。
【0438】
具現例32:分化方法(3)
体細胞から運動性神経細胞への直接交差分化のための方法で、
前記直接交差分化は、前記体細胞が直接交差分化して誘導された(分化した)運動性神経細胞になるものであり、
前記の方法は、
具現例11または具現例19または具現例22;を体細胞に導入し;
または
具現例16、具現例17及び具現例18を体細胞に導入し;
を含む方法。
【0439】
具現例33:導入手段
具現例28ないし具現例32の中から選択されるいずれかの具現例において、
前記の導入は、電気穿孔法、遺伝子銃、超音波穿孔法、自己注入法(magnetofection)、微細注入法(microinjection)、一時的な細胞圧縮またはスクイージング、陽イオン性リポソーム法、酢酸リチウム-DMSO、脂質-媒介形質感染(transfection)、リン酸カルシウム沈殿法(precipitation)、lipofection、PEI(Polyethyleneimine)-媒介形質感染、DEAE-dextran媒介形質感染のうち、選択されるどれか一つ以上で行われることを特徴とする方法。
【0440】
具現例34:体細胞種類
具現例28ないし具現例32の中から選択されるいずれかの具現例において、
前記の体細胞は、線維芽細胞(fibroblast)、上皮細胞(epithelial cell)、内皮細胞(endothelial cell)、筋肉細胞、神経細胞、毛髪細胞、毛根細胞、毛包細胞、口腔上皮細胞、尿から抽出した体細胞、胃粘膜細胞,杯状細胞、ガストリン細胞(gastrin cell/Gcell)、B細胞、主皮細胞、星状細胞(astrocyte)、血液細胞、希少突起芽前駆橋の中から選択されることを特徴とする。
【0441】
具現例35:分化期間
具現例28ないし具現例32の中から選択されるいずれかの具現例において、
前記の導入により体細胞が1週間から10週間以内に運動性神経細胞に分化することを特徴とする方法。
【0442】
具現例36:分化方法特徴
具現例28ないし具現例32の中から選択されるいずれかの具現例において、
前記の導入は、前記の体細胞が誘導万能幹細胞(Induced Pluripotent Stem Cells、iPSCs)を生成せず、誘導された運動性神経細胞になることを特徴とする方法。
【0443】
具現例37:分化方法の収得物 - モーターニューロン(分化因子過剰発現)
直接交差分化因子が過剰発現するモーターニューロンで、
この時、前記直接交差分化因子はGsta4,、Ascl1(Achaete-scute homolog 1),Brn2(POU Class 3 Homeobox 2),Myt1L(Myelin Transcription Factor 1 Like),Hb9(Homeobox HB9),ISL1(ISL LIM homeobox 1),Lhx3(LIM homeobox 3),Ngn2(neurogenin 2)、NeuroD1(Neuronal Differentiation 1)の中から選択される1つ以上であり、
前記モーターニューロンは体細胞から直接交差分化したことを特徴とするモーターニューロン。
【0444】
具現例38:分化方法の修得物 - モーターニューロン(神経細胞マーカー過剰発現)
【0445】
神経細胞マーカーが過剰発現するモーターニューロンで、
この時、前記神経細胞マーカーは、NEUN、ChAT、Map2、Hb9、Synapsin、Tuj1、IsL1,PAX6,Olig2,Nkx2.2,SMI-32の中から選択される1つ以上であり、
前記モーターニューロンは体細胞から直接交差分化したことを特徴とするモーターニューロン。
【0446】
具現例39:薬学的組成物(1)
具現例1又は16又は20を含む
神経系疾患の予防または治療のための薬学的組成物。
【0447】
具現例40:薬学的組成物(2)
具現例1又は16又は20;及び
具現例2ないし9、21の中から選択される一つ;
を含む神経系疾患の予防または治療のための薬学的組成物。
【0448】
具現例41:薬学的組成物(3)
具現例37又は38を含む
神経系疾患の予防または治療のための薬学的組成物。
【0449】
具現例42:適応症
具現例39ないし具現例41の中から選択されるいずれかの具現例において、
前記神経系疾患は脊髄損傷、パーキンソン病、脳卒中、ハンチントン病、ルー・ゲーリック病、毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia telangiectasia)、筋萎縮性側索硬化症、運動神経損傷、外傷による末梢神経損傷、虚血性脳損傷、新生児低酸素性虚血性脳損傷、脳性麻痺、末梢麻痺、中枢麻痺、四肢麻痺、両麻痺、てんかん、神経細胞発達障害、神経痛、難治性てんかん、アルツハイマー病、先天性代謝性神経系疾患および外傷性脳損傷(traumatic brain injury)、運動性神経細胞損傷またはこれによって誘発される疾患のうち、選択される一つ以上であることを特徴とする薬学的組成物。
【0450】
具現例42:追加構成
具現例39ないし具現例41の中から選択されるいずれかの具現例において、
前記の薬学的組成物は許容可能な担体、賦形剤、希釈剤、保存剤の中から選択される一つ以上をさらに含むことができることを特徴とする薬学的組成物。
【0451】
具現例43:治療方法(1)
神経系疾患を治療する方法で、前記の方法は、
体細胞に具現例39又は40;を対象に投与し;
を含み、
この時、前記体細胞は誘導万能幹細胞(Induced Pluripotent Stem Cells、iPSCs)を生成せず、誘導された運動性神経細胞になることを特徴とする方法。
【0452】
具現例44:治療方法(2)
神経系疾患を治療する方法で、前記の方法は、
体細胞に具現例39又は40;が導入された体細胞を対象に投与し;
この時、前記体細胞は誘導万能幹細胞(Induced Pluripotent Stem Cells、iPSCs)を生成せず、誘導された運動性神経細胞になることを特徴とする方法。
【0453】
具現例45:治療方法(3)
神経系疾患を治療する方法で、前記の方法は、
具現例41;を対象に投与し;
を含み、
【0454】
この時、前記対象内体細胞は誘導万能幹細胞(Induced Pluripotent Stem Cells、iPSCs)を生成せず、誘導された運動性神経細胞になることを特徴とする方法。
【0455】
具現例46:対象限定(1)
具現例43、具現例44、具現例45の中から選択されるいずれかの具現例において、
前記対象は哺乳類であることを特徴とする方法。
【0456】
具現例47:対象限定(2)
具現例46において、
前記哺乳類はヒト、マウス、イヌ、ネコの中から選ばれる一つであることを特徴とする方法。
【0457】
具現例48:投与限定
具現例43、具現例44、具現例45の中から選択されるいずれかの具現例において、
前記投与時の部位は筋肉、皮内、皮下、静脈、腹腔、動脈、粘膜、脊髄、骨髄、脊髄腔内、経皮のうち選択されるいずれか一つ以上であることを特徴とする方法。
【0458】
具現例49:投与用量
【0459】
具現例43、具現例44、具現例45の中から選択されるいずれかの具現例において、
前記投与は1回に1uL/kgないし20uL/kgの用量で投与されることを特徴とする方法。
【0460】
具現例50:適応症
【0461】
具現例43、具現例44、具現例45の中から選択されるいずれかの具現例において、
【0462】
前記神経系疾患は脊髄損傷、パーキンソン病、脳卒中、筋萎縮性脊髄側索硬化症、運動神経損傷、外傷による末梢神経損傷、虚血性脳損傷、新生児低酸素性虚血性脳損傷、脳性麻痺、てんかん、難治性てんかん、アルツハイマー病、先天性代謝性神経系疾患、外傷性脳損傷(traumatic brain injury)、運動性神経細胞損傷またはこれに誘発される疾患のうち、選択される一つ以上であることを特徴とする方法。
【0463】
以下、実施例を通じて本出願をさらに詳しく説明しようと思う。
【0464】
これらの実施例は、専ら本出願をより具体的に説明するためのものであり、本出願の範囲がこれらの実施例によって制限されないことは、本出願の属する技術分野において通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0465】
実験材料
● ベクトル設計
【0466】
下記で実施するベクトルはAAVベクトル(Cell Biolabs、INC.、VPK-402)を使用し、分化因子導入のためのAAVベクトルの模式図は
図1に図示した。
【0467】
図1(a)は配列番号36;
図1(b)は配列番号3;
図1(c)は配列番号4;
図1(d)は配列番号5;
図1(e)は配列番号29;に該当する。
【0468】
● AAV製作
【0469】
AAVを製作するのに293T cellineを使用した。 293T細胞はDulbecco's Modified Eagle Medium(DMEM, Thermal Fisher, #12430112)の培地に10% fetal bovine serum(Thermal Fisher, #26140079)、1%antibiotic-antimyotic(Thermal Fisher, #15240096)を入れ、37℃5% CO2状態で培養した。 293T細胞にも1のAAVベクトルとpHelper、pRapCapをトランスフェクション(transfection)して48時間培養した。 その後、ウイルス抽出過程を経て分化因子を含むウイルスを抽出した。
【0470】
● 細胞培養及び細胞内AAV導入
【0471】
Human dermal fibroblast (Sigma, 106-05A)はfibroblast growth medium(Sigma, 116-500)のバッジに10% fetal bovineserum(Thermal Fisher,#26140079)、1%antibiotic-antimyotic(Thermal Fisher,#15240096)を入れ、37℃5%CO2状態で培養した。
【0472】
Humandermal fibroblastsを24wellに0.025x106個で細胞をseedingして準備した。細胞seeding24時間後、分化因子を処理した。分化因子処理24時間後、fibroblast growth mediumに交換した。また24時間後、neural induction medium に置き換えた。2日に1回ずつmediumを交替した。14-17日目になる日、細胞をFixationを通じて免疫蛍光染色法を行った。
【0473】
Mouse astrocyte(Abm, T0289)はPrigrow III medium(Abm, TM003)の培地に10% fetal bovine serum(Thermal Fisher, #26140079)、1% Penicillin/Streptomycin(Gibco)を入れ、37℃5% CO2状態で培養した。
【0474】
Mouse astrocyteを24wellに0.025x106個で細胞をseedingして準備した。細胞seeding24時間後、分化因子を処理した。分化因子処理24時間後,Prigrow III mediumに置き換えた。24時間後、Neural induction mediumに交替した。2日に1回ずつmediumを交替した。14-17日目になる日、細胞をFixationを通じて免疫蛍光染色法を行った。
【0475】
Mouse embryonic fibroblastsはDMEM(Gibco)の培地に10% fetal bovineserum(Thermal Fisher,#26140079)、1% Penicillin/Streptomycin(Gibco)を入れて37℃5% CO2状態で培養した。
【0476】
Mouse embryonic fibroblastsを24wellに0.025x106O個で細胞をseedingして準備した。細胞seeding24時間後、分化因子を処理した。分化因子処理24時間後,DMEM培地に置き換えた。24時間後、Neural induction mediumに交替した。2日に1回ずつmediumを交替した。14-17日目になる日、細胞をFixationを通じて免疫蛍光染色法を行った。
【0477】
AAVをSCIモデルに導入する際には、マウス脊髄損傷モデルの損傷部位(Lumbar 5)に方位固定装置(Stereotaxic、 Harvard Apparatus 社)を用いて微細走査した後、60日間分析した。
【0478】
● 免疫蛍光カラーリング(Immunofluorescence staining)
【0479】
.細胞Fixationのために細胞をPBS(Gibco)で5分ずつ2回washingした。次に4%paraformaldehyde(ThermoFisher)を入れ、常温で10分間インキュベーションした。
【0480】
PermeabilizationのためにPBS+0.1%Triton-Xを入れて常温で10分間インキュベーションした。 細胞をPBSで5分ずつ3回washingした。
【0481】
Blockingとimmunostainingのために1%BSA+PBST(PBS+0.1%Tween20)を入れて常温で30分間インキュベーションした。1次アンチボディはChAT(Invitrogen、1:1000)、Map2(Millipore、1:200)、NeuN(Merck Millipore、1:100)を使用した。1次アンチボディを1%BSA+PBSTに入れて4℃ overnightした。PBSで5分ずつ3回washingした後、2次アンチボディAlexa FluorTM 488/594(Thermo Fisher、1:1000)を1%BSA+PBSTに入れて常温に暗いところで1時間インキュベーションする。PBSで5分ずつ3回washing後、DAPI stainingを行った。
【0482】
● RNA抽出(RNAextraction)及びcDNA合成
【0483】
細胞2x106をtrypsin(ThemoFisher)で取り除いた後、13,000rpmで10秒centrifugationした。Supernatant除去後、easy-BlueTM(iNtRON)1ml入れ、10秒間ポートexingした後、200μl Choloroform添加後、ポートexingした。13,000rpm 10分間centrifugation後、400μl upper fluidを新しい1.5mlチューブに移した。400μl 2-propanol (Sigma)入れ、2-3回invertingした後、RTに10分間置いておいた。13,000rpm 5分間centrifugation後、upper layerを除去した。1ml 75% EtOH (Sigma)入れて、2-3 回invertingした。10,000rpm 4℃ 5分間centrifugation後、upper layerを除去した。RTで5分間dryした後、20μl Distilled water入れてRNA溶かした。最終的に得られたRNAは-70℃に保管した。
【0484】
【0485】
● Real-time quantitative reverse transcription PCR(qRT-PCR)
【0486】
qPCR(SYBRGreen Realtime PCR Master Mix, TOYOBO)を利用して行った。qRT-PCRでヒト線維芽細胞から運動性神経細胞への分化を誘導した細胞は、Synapsin、Map2及びHb9の発現を確認した。マウス由来の 線維芽細胞から運動性神経細胞への分化を誘導した細胞は、Synapsin、Map2及びHb9の発現を確認した。
【0487】
この時使用されたプライマーは、下表のとおりである。
【0488】
【0489】
実施例1:細胞内でGsta4の運動性神経細胞への直接交差分化確認
マウス由来の線維芽細胞にGSTA4をAAVを用いて導入した。 Gsta4による体細胞からの神経細胞の分化を免疫染色蛍光法とqPCRで確認した(
図2)。 免疫蛍光染色法により、運動性神経細胞マーカーであるChATと成熟した神経細胞のマーカーであるMap2の発現を確認した。 qPCRにより、神経細胞の分化程度をシナプス形成マーカーであるSynapsin、成熟した神経細胞マーカーであるMap2、成熟した神経細胞マーカーであるHb9のそれぞれの発現変化を確認した。
【0490】
Gsta4単独処理した時、synapsinの発現程度が対照群(controlで表示)に比べて約4倍の発現増加を確認し、Map2は対照群(controlで表示)に比べて約5倍の発現増加を確認し、Hb9は対照群(controlで表示)に比べて約2倍の発現増加を確認した。 このような実験結果を通じて、Gsta4単独でも体細胞から神経細胞の効果的な転換が行われることができることを確認した。
【0491】
実施例2:細胞内で告知された分化因子の運動性神経細胞への直接交差分化確認
【0492】
公知の因子の直接交差分化効果を確認するために、ヒト由来の線維芽細胞に従来の分化因子を導入し、運動性神経細胞に直接交差分化程度を確認した(
図3)。
【0493】
この時、従来の分化因子は次のように導入した:
【0494】
Ascl1単独投与;Ascl1,Brn2,Myt1l組み合わせ投与(ABMで表示);Hb9,Isl1,Lhx3の組み合わせ投与(HILで表示);ABM及びHILの組み合わせ投与;ABM、HIL、Ngn2及びNeuroD1の組み合わせ(HNDで表示)。
【0495】
実施例1のGsta4単独処理の際、Synapsin、Map2、Hb9の発現増加は対照群に比べてそれぞれ約4、5、2倍程度であることを確認した。 これに対し、Ascl1単独投与;時のSynapsin,Map2,Hb9の発現増加は約1~1.5倍に過ぎなかった。 これにより、公示された因子Ascl1単独投与に比べて、本出願の新規な分化因子であるGsta4単独処理時に運動性神経細胞に直接交差分化効率が高いことを示唆する。
【0496】
また、公知の因子三つが組み合わされたABM投与;時のSynapsin,Map2,Hb9の発現増加はそれぞれ約2,4,1倍に過ぎなかった。 そして、公示された因子3つが組み合わされたHIL投与;時、Synapsin、Map2、Hb9の発現増加はそれぞれ約2、1.5、1.5倍に過ぎなかった。 これにより、公示された因子三つの組み合わせ投与をしても、本出願の新規な分化因子であるGsta4単独処理に比べて運動性神経細胞に直接交差分化効率が低かったり類似していることを確認することができた。
【0497】
一方、公知の因子六つが組み合わさったABM+HIL投与;公知の因子8個が組み合わされたABM+HND投与;時に公知の因子1個投与または3個の組み合わせ投与時に比べては、神経細胞マーカーの発現が増加する様相を確認することができた。 すなわち、六つ以上の因子を組み合わせる場合には有意義な効果を示した。
【0498】
実施例3:Gsta4の組み合わせ使用による直接交差分化確認
【0499】
実施例2で公示された因子だけの神経細胞転換効果を確認した後、本発明のGsta4をこれらと共に組み合わせる場合の効果を確認しようとした。
【0500】
このため、マウス由来の線維芽細胞にAAVをGsta4及び従来の分化因子を様々な組み合わせで導入し、分化程度をqPCRで神経細胞マーカー(Synapsin,Map2,Hb9)の発現を確認した(
図4)。
【0501】
その結果、Gsta4と従来の分化因子を組み合わせた群の神経細胞マーカーの発現が対照群(Controlと表記)に比べて約5-10倍増加することを確認した。実施例2で確認した従来の因子だけを使用した場合と比較すると、本発明のGsta4を組み合わせた場合に、各同一マーカーの発現結果(fold change)がさらに高く現れることが分かった。
【0502】
また、免疫蛍光染色法により、運動性神経細胞マーカーであるChATと成熟した神経細胞のマーカーであるMap2の発現を確認した(
図5、6)。免疫蛍光染色法により、Gsta4と従来の分化因子を組み合わせた群でChATとMap2の発現が現れることを確認した。
【0503】
すなわち、
図4ないし6を通じて、Gsta4と従来の分化因子を一緒に使用しても体細胞が運動性神経細胞に効果的に直接交差分化することが分かった。
【0504】
実施例4:細胞内でGsta4の有無による従来の分化因子の運動性神経細胞への直接交差分化確認
【0505】
実施例2及び3の結果を確認した後、本発明のGsta4を公知の分化因子と組み合わせる場合の効果をより具体的に確認しようとした。
【0506】
従来の分化因子1個vs従来の分化因子1個+Gsta4組み合わせの比較
マウス由来の線維芽細胞にAAVでGsta4の有無による従来の分化因子を導入し、分化の程度をqPCRで神経細胞マーカー(Synapsin,Map2)の発現を確認した(
図7)。
【0507】
従来の分化因子であるAscl1,Brn2をそれぞれ単独で投与したときより,Gsta4とAscl1の組み合わせ投与(Gsta4+Ascl1と表示); Gsta4とBrn2の組み合わせ投与(Gsta4+Brn2と表示)の際に神経細胞マーカー(Synapsin,Map2)の発現が約2~5倍増加することを確認した。
【0508】
従来の分化因子2個vs従来の分化因子2個+Gsta4組み合わせの比較
【0509】
マウス由来の線維芽細胞にAAVでGsta4の有無による従来の分化因子を導入し、分化程度を免疫染色蛍光法で神経細胞マーカー(ChaT、Map2)の発現を確認した(
図8)。
【0510】
従来分化因子であるMnx1,Lhx3を組み合わせて投与(Mnx1+Lhx3と表示)したときより、Gsta4とMnx1,Lhx3を組み合わせて投与(Gsta4+Mnx1+Lhx3と表示);したときに神経細胞マーカーが免疫染色された細胞の数が約40倍以上増加したことを確認した。
【0511】
また、qPCRにより神経細胞マーカー(Synapsin,Map2)の発現を確認した(
図9)。
【0512】
従来分化因子であるMnx1,Lhx3を組み合わせて投与(Mnx1+Lhx3と表示)したときより、Gsta4とMnx1,Lhx3を組み合わせて投与(Gsta4+Mnx1+Lhx3と表示);したときに神経細胞マーカーの発現が約2~4倍増加することを確認した。 また、Gsta4単独投与(Gsta4と表示)したときは、対照群(Controlと表示)に比べて神経細胞マーカーの発現が約2~4倍増加した。
【0513】
従来の分化因子3個vs従来の分化因子3個+Gsta4組み合わせの比較
マウス由来の線維芽細胞にAAVでGsta4の有無による従来の分化因子を導入し、分化の程度をqPCRで神経細胞マーカー(Synapsin,Map2)の発現を確認した(
図10)。
【0514】
従来の分化因子であるAscl1、Brn2、Myt1Lを組み合わせて投与(Ascl1+Brn2+Myt1lと表示)したときより、Gsta4とAscl1、Brn2、Myt1Lの組み合わせ投与(Gsta4+Ascl1+Brn2+Myt1lと表示);したときに神経細胞マーカー(Synapsin, Map2)の発現が約2~4倍増加することが確認された。
【0515】
従来の噴火因子8個vs従来の噴火因子8個+Gsta4組み合わせの比較
ヒト由来の線維芽細胞にAAVでGsta4の有無による従来の分化因子を導入し、分化の程度をqPCRで神経細胞マーカー(Synapsin、Map2、Hb9)の発現を確認した(
図11)。
【0516】
従来の分化因子であるAscl1、Brn2、Myt1l、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2、Ngn2、NeuroD1を組み合わせて投与(ABM+HIL+Ngn2+NeuroD1(HND)と表示)したときより、Gsta4とAscl1,Brn2,Myt1l,Hb9,Isl1,Lhx3,Ngn2,NeuroD1を組み合わせて投与(ABM+HND+Gsta4と表示)神経細胞マーカーの発現が約2~5倍増加することを確認した。また、Gsta4とAscl1、Brn2、Myt1l、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2、NeuroD1を組み合わせて投与した際に対照群(Controlと表示)に比べて神経細胞マーカーの発現が約10~12倍増加することが分かった。
【0517】
また、ヒト由来の線維芽細胞にAAVでGsta4の有無による従来の分化因子を導入し、分化程度を免疫蛍光染色法で神経細胞マーカーの発現(vChaT、Map2)で確認した(
図13)。
【0518】
従来の分化因子であるAscl1、Brn2、Myt1l、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2、NeuroD1を組み合わせて導入(既知のfactorsと表示)したときは、約15.51%の細胞が成熟した神経細胞に分化した。これに対し、前記の既知のfactors及びGsta4を組み合わせて導入(既知のfactors+Gsta4と表示)した時、約48.72%の細胞が成熟した神経細胞に分化することが確認できた。
【0519】
従来の噴火因子4個vs従来の噴火因子7個vs従来の噴火因子7個+Gsta4組み合わせの比較
マウスの星状細胞にAAVでGsta4の有無による従来の分化因子を導入し、分化程度を免疫蛍光染色法で神経細胞マーカーの発現(vChaT、Map2)で確認した(
図12)。
【0520】
従来の分化因子であるHb9、Isl1、Lhx3及びAscl1を組み合わせて投与した時は、神経細胞マーカーが約20%発現した。 従来の分化因子であるAscl1、Brn2、Myt1l、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2を組み合わせて投与(既存知られているfactorsと表示)した時は神経細胞マーカーが約50%発現したが、前記既存知られているfactorsとGsta4を組み合わせて投与(既存知られているfactors+Gsta4と表示)した時は神経細胞マーカーが約70%発現された。すなわち、従来の分化因子7個のみ投与したときより、Gsta4と従来の分化因子7個を組み合わせて投与したときにChaT及びMap2の発現が増加したことが分かった。
【0521】
以上の結果を通じて、本出願のGsta4は線維芽細胞、性状細胞などの体細胞を直接交差分化して誘導されたモーターニューロンに転換する機能を持つ分化因子であることが分かった。また、Gsta4は従来の直接交差分化因子に比べて分化効率が高く、さらに従来の分化因子とGsta4を共に使用する時、分化効率が低い従来の分化因子の分化効率を高めることが分かった。
【0522】
実施例5:生体内で運動性神経細胞への直接交差分化および治療効果の確認
Gsta4の神経細胞分化効能を細胞内で確認した実施例1ないし4の結果を基に、生体内で運動性神経細胞への直接交差分化および治療効果を確認するために
図14の模式図を基に実験を行った。
【0523】
下半身麻痺疾患の動物モデルであるSCIマウスモデルで脊椎神経の損傷部位が改善または治療される効果を形態学的、生理学的、行動学的分析などを通じて確認した。
【0524】
1)SCI(Spinal cord injury)マウス モデル製作
脊髄損傷による下半身麻痺モデルであるSCIマウスモデル製作のために、ICRマウスを麻酔し、脊髄のLumbar 5部位(以下、L5と呼ぶ;脊椎T13-L1に該当)を損傷させた。 損傷させた後,最終5週間後の実験に使用した。
【0525】
2)SCIマウスモデルにAAV投与
【0526】
SCIマウスモデルのL5部位にマイクロシリンジ(Hamilton,705)を利用してAAV2ulを微細注射した。
【0527】
実施例5-1:脊髄損傷部位の形態学的変化を確認
【0528】
SCIマウスモデルに従来の分化因子8個(Ascl1,Brn2,Myt1l,Hb9,Isl1,Lhx3,Ngn2,NeuroD1)を導入した群(Controlと呼ぶ);従来の分化因子8個及びGsta4を併せて導入した群(+Gsta4という);分化因子導入していないAAVを導入した群(Mockと称する);それぞれの脊髄損傷部位(L5)の形態学的変化を観察するためにクリスタルバイオレット(Crystal violet, Sigma)染色をした(
図15)。
【0529】
図15を見てみると、直接交差分化を誘導する分化因子のないMock群は多くの炎症細胞が集まって濃くスカが形成された(赤い点線)。 従来の分化因子8個を導入したControl群は、Mock群に比べて細胞が集まっているスカが減少した。一方、従来の分化因子8個及びGSTA4を一緒に導入した群では、Control群に比べて炎症細胞によるスカ(scar)が緩和されることを確認した。
【0530】
実施例5-2:運動性神経細胞マーカーの発現変化を確認
【0531】
SCIマウスモデルに従来の分化因子8個(Ascl1,Brn2,Myt1l,Hb9,Isl1,Lhx3,Ngn2,NeuroD1)を導入した群(Controlと呼ぶ);従来の分化因子8個及びGsta4を併せて導入した群(+Gsta4という);分化因子導入していないAAVを導入した群(Mockと称する);それぞれの脊髄損傷部位(L5)において、運動性神経細胞マーカーの発現変化を観察するために免疫蛍光染色法を行った(
図16、17及び18)。
【0532】
図16、17及び18を見てみると、Mock群に比べてControl群でChaTとMap2の発現が約2倍増加した。 一方、従来の分化因子8個及びGSTA4を一緒に導入した群では、Control群に比べてChaTとMap2の発現が約5倍以上増加した。 これはGsta4によって、星状細胞から運動性神経細胞への直接交差分化がControl群に比べて分化効率が高いことを意味する。
【0533】
実施例5-3:電気生理学的分析による下半身麻痺の治療効果の確認
【0534】
脊髄部位に損傷を与えていない正常群(Shamという); SCIマウスモデルに従来の分化因子8個(Ascl1、Brn2、Myt1l、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2、NeuroD1)を導入したAAVを投与した群(Controlと呼ぶ); 従来の分化因子8個及びGsta4を併せて導入したAAVを投与した群(+Gsta4と称する); SCIマウスモデルにAAVを導入した群(Mockと呼ぶ);それぞれの脊髄損傷部位(L5)において電気生理学的変化を確認した(
図19)。
【0535】
図19(a)は、Patch clampを遂行した神経細胞の写真である。
【0536】
図19(b)の活動電位測定結果を見ると、Sham群で活動電位は25Hzであるが、mock群で2Hzと1/10以上減少した。 反面、従来の分化因子8個を導入したControl群は6Hzで活動電位が増加し、従来の分化因子8個およびGsta4を共に導入した群では13HzでControl群に比べて2倍以上増加した。
【0537】
活動電位の増加は神経細胞が信号を受けた時、信号を伝達できる能力を意味する。 活動電位がないと信号伝達ができない。 また、活動電位は神経細胞の最も代表的な特徴です。 活動電位が発生して増加するということは、神経細胞に分化がうまくいったことを意味する。 したがって、分化因子8個及びGsta4を一緒に導入した群が神経細胞に分化が最もよく起きることにより、その組み合わせが神経細胞分化効率が良いことを示す。
【0538】
図19(c)のシナプス前神経細胞からの信号を測定した結果を見ると、Mock群では1Hz、Control群では6Hz、+Gsta4群では47Hzであった。
【0539】
シナプス前の神経細胞から来る信号の増加は、神経細胞間の信号伝達が増加することを示す。SCIによって切れた神経細胞の連結が新しい運動性神経細胞の再生につながったことを示す。
実施例5-4:行動学的分析による直接交差分化確認
【0540】
脊髄部位に損傷を与えていない群(Shamと称する);SCIマウスモデルに従来の分化因子8個(Ascl1,Brn2,Myt1l,Hb9,Isl1,Lhx3,Ngn2,NeuroD1)を導入した群(-Gsta4と称する);従来の分化因子8個及びGsta4を併せて導入した群(+Gsta4という);SCIマウスモデルにAAVを投与した群(Mockと称する);それぞれの脊髄損傷部位(L5)でBBBスコアの変化を確認した(
図20)。
【0541】
図20のBBBスコア(Basso Beattie, and Bresnahan score)は、伝統的に脊髄損傷モデルで使われる測定方法で、下肢の形、角度、膝の角度、足裏の形及び角度、位置などを総合的に判断して点数を測定する。 最下0点から最大21点で、正常動物は21点だ。
【0542】
従来の分化因子8個のみ導入した群(-Gsta4で表示)はMock群と差がなかった(BBBスコア約4点)。しかし、従来の分化因子8個及びGsta4を併せて導入した群(+Gsta4と表示)は、AAV投与後3週目(BBBスコア約8点)で-Gsta4群に比べて約2倍以上増加した。
【0543】
また、脊髄部位に損傷を与えていない正常群(Sham と称する);SCIマウスモデルにAAVを導入した群(Mockと呼ぶ);従来の分化因子8個及びGsta4を併せて導入したAAVを投与した群(Gsta4+と称する);従来の分化因子8個のみ導入したAAVを投与した群(Controlと呼ぶ);それぞれのForced swimming test、Selfurination、Foot printing test等の変化も確認した(
図21)。
【0544】
図21(a)のForced swimming testは、動物モデルを3分間水槽に入れ、下肢が動く回数を測定した。Mock群で脊髄損傷のために下肢は動かなかった。しかし、従来の分化因子8個をGsta4と共に導入する場合、下肢の動きが約6倍ないし12倍増加することを確認した。
【0545】
図21(b)及び(c)は自己尿能力を測定した結果である。 脊髄損傷マウスは自ら尿を排尿することができない。従来の分化因子8個及びGsta4を併せて導入した群のAAVを投与後14日又は16日に自ら排尿することが確認できた。
【0546】
図21(d)はFoot printing テストの結果である。 Foot printingはマウスの下肢の足裏に赤いインクをつけ、足裏の形を確認する実験だ。 Sham君の場合、下肢の足裏が鮮明に写っているが(11番/20cm)、Mock君で足の裏の形を確認できなかった(11番/20cm)。これに対し、従来の分化因子8個及びGsta4を一緒に導入した群ではマウスの下肢の足裏が(5番/20cm)写ることが確認できた。
【0547】
前記の結果を通じて、本出願の発明者が発見した新規な分化因子であるGsta4は、体細胞を運動性神経細胞に直接交差分化するのに重要な因子であることが分かった。また、Gsta4は従来の分化因子に比べても分化効率が高く、さらに従来の分化因子とGsta4を一緒に使用する場合、従来の分化因子だけを使用する時より分化効率がさらに高くなる。さらに、発明者らは脊髄が損傷した下半身麻痺モデルの治療効果も確認したところ、Gsta4は今後様々な神経系疾患で重要な役割を果たすものと予想される。
【産業上の利用可能性】
【0548】
本出願は体細胞から運動性神経細胞への直接交差分化のための新規な分化因子およびその用途を提供することができる。
【配列リストFreeText】
【0549】
Gsta4(Glutathione S-Transferase Alpha 4)蛋白質またはこれをコーディングする核酸配列などに関するものである。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-07-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体細胞から誘導されたモーターニューロンへの直接交差分化のための組成物で、
前記の組成物は、
Gsta4(Glutathione S-Transferase Alpha 4)蛋白質又はこれをコーディングする核酸;
を含む組成物。
【請求項2】
前記Gsta4蛋白質は、配列番号1で表示されるアミノ酸配列またはこれと同一性が70%以上の配列であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記Gsta4蛋白質をコーディングする核酸は、配列番号2または12の配列を持つことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記の組成物は、 ii)Ascl1(Achaete-scute homolog 1),Brn2(POU Class 3 Homeobox 2),Myt1L(Myelin Transcription Factor 1 Like),Hb9(Homeobox HB9),ISL1(ISL LIM homeobox 1),Lhx3(LIM homeobox 3),Ngn2(neurogenin 2)およびNeuroD1(Neuronal Differentiation 1)中から選択される1つ以上の蛋白質;またはこれをコーディングする核酸;
をさらに含むことができることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記の組成物は、ii)でHb9またはLhx3またはNgn2が選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記の組成物は、ii)でHb9およびLhx3;またはHb9およびNgn2;またはLhx3およびNgn2が選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記の組成物は、ii)でHb9、Lhx3及びNgn2が選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記の組成物は、ii)でHb9、Lhx3、Ngn2およびIsl1が選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項9】
前記の組成物は、ii)でAscl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1が選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
Ascl1蛋白質は配列番号17で
示されるアミノ酸配列を有し、Ascl1蛋白質をコーディングする核酸は配列番号18の配列を
有し;
Brn2蛋白質は配列番号19で
示されるアミノ酸配列を有し、Brn2蛋白質をコーディングする核酸は配列番号20の配列を
有し;
Myt1L蛋白質は配列番号21で
示されるアミノ酸配列を有し、Myt1L蛋白質をコーディングする核酸は配列番号22の配列を
有し;
Hb9蛋白質は配列番号13で
示されるアミノ酸配列を有し、Hb9蛋白質をコーディングする核酸は配列番号14の配列を
有し;
Isl1蛋白質は配列番号23で
示されるアミノ酸配列を有し、Isl1蛋白質をコーディングする核酸は配列番号24の配列を
有し;
Lhx3蛋白質は配列番号15で
示されるアミノ酸配列を有し、Lhx3蛋白質をコーディングする核酸は配列番号16の配列を
有し;
Ngn2蛋白質は配列番号25で
示されるアミノ酸配列を有し、Ngn2蛋白質をコーディングする核酸は配列番号26の配列を
有し;
NeuroD1蛋白質は配列番号27で
示されるアミノ酸配列を有し、NeuroD1蛋白質をコーディングする核酸は配列番号28の配列を
有することを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項11】
直接交差分化のための分化因子発現のためのベクトルとして、
前記の直接交差分化は体細胞から誘導されたモーターニューロンに転換されるものであり、
前記ベクトルは
i) Gsta4蛋白質を暗号化する核酸;及び
ii) プロモーター;を含み、
この時、前記i)とii)は作動可能に連結されていることを特徴とするベクトル。
【請求項12】
前記ベクトルは、iii)Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2及びNeuroD1の中から選択される一つ以上の蛋白質をコーディングする核酸;
をさらに含むことができることを特徴とする、請求項11に記載のベクトル。
【請求項13】
前記iii)でHb9及びLhx3が選択されることを特徴とする、請求項12に記載のベクトル。
【請求項14】
直接交差分化のための分化因子発現のためのベクトルとして、
前記の直接交差分化は体細胞から誘導されたモーターニューロンに転換されるものであり、
前記ベクトルは、少なくとも、第1ベクトルおよび第2ベクトルを含むことができ、
前記第1ベクトルは、
i) Gsta4蛋白質を暗号化する核酸;及びii)プロモーター;を含み、
この時、前記i)とii)は作動可能に連結されており、
前記第2ベクトルは、
iii)Ascl1,Brn2,Myt1L,Hb9,Isl1,Lhx3,Ngn2及びNeuroD1の中から選択される一つ以上の蛋白質をコーディングする核酸;及びiv)プロモーター;を含み、
この時、前記iii)とiv)は作動可能に接続されており、
前記ii)とiv)は、互いに同一のプロモーターまたは異なるプロモーターであり、
前記iii)は、1つのベクトルに含まれるか、または2つ以上のベクトルに含まれることができることを特徴とするベクトル。
【請求項15】
前記ベクトルは、エンハンサー、ポリアデニル化信号、コザック共通(Kozak consensus)配列、ITR(inverted terminal repeat)、LTR(long terminal repeat)、終端子(terminator)、内部リボソーム流入部位(internal ribosome entry site,IRES)、蛍光蛋白質遺伝子,グルタチオン-S-トランスファラーゼ(GST)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)クロラムフェニコールアセチルトランスパーラーゼ(CAT)ベータ-ガラクトシダーゼ、ベータグルクロニダゼ、ルシファーラゼ、ヒスチジン(His)タグ、V5タグ、FLAGタグ、インフルエンザヘマグルチニン(HA)タグ、Mycタグ、2A自己切断ペプチド(2A self-cleaving peptides)、抗生剤耐性遺伝子の中から選択される一つ以上をさらに含むことができることを特徴とする、請求項11ないし14のいずれかに記載のベクトル。
【請求項16】
前記2A自己切断ペプチドは、T2A、P2A、E2A、F2Aの中から選択される一つ以上であることを特徴とする、請求項15に記載のベクトル。
【請求項17】
前記ベクトルは、ウイルスベクトルまたは非ウイルスベクトルであることができ、
ウイルスベクトルはレトロウイルス、レンティウイルス、アデノウイルス、アデノ-関連ウイルス(AAV)、バクシニアウイルス、フォックスウイルス、HIV(Humanimmunodeficiency virus)、MLV(Murineleukemia virus)、ASLV(Aviansarcoma/leukosis)、SNV(Spleennecrosis virus)、RSV(Rousarcoma virus)、 MMTV(Mouse mammary tumor virus)、ヘルペスシンプレクスウイルス(Herpes simplex virus)、エピゾマル(episomal)及び単純包診ウイルスの一つ以上であることを特徴とする、請求項11ないし14のいずれかに記載のベクトル。
【請求項18】
直接交差分化のための方法で、
体細胞から誘導されたモーターニューロンに切り替わるものであり、
前記の方法は、
Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸を含む組成物を体細胞に導入し;を含み、
この時、前記方法は誘導万能幹細胞(Induced Pluripotent Stem Cells、iPSCs)が生成されないことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記の体細胞は、線維芽細胞(fibroblast)、上皮細胞(epithelial cell)、内皮細胞(endothelial cell)、筋肉細胞、神経細胞、毛髪細胞、毛根細胞、毛包細胞、口腔上皮細胞、尿から抽出した体細胞、胃粘膜細胞、杯状細胞、ガストリン細胞(gastrin cell/Gcell)、B細胞、主皮細胞、星状細胞(astrocyte)、血液細胞,希少突起膠前駆細胞中から選択される一つ以上であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記体細胞は人、犬、猫、馬、羊、ウサギ、豚、マウス、ラクダの中から選ばれる一つの哺乳動物由来であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、組成物が導入された体細胞を神経細胞分化のための培養培地として培養する;をさらに含むことができることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記の導入は、電気穿孔法、遺伝子銃、超音波穿孔法、自己注入法(magnetofection)、微細注入法(microinjection)、一時的な細胞圧縮またはスクイジング、陽イオン性リポソーム法、酢酸リチウム-DMSO,脂質-媒介形質感染(transfection),リン酸カルシウム沈殿法(precipection),lipofection,PEI(Polyethyleneimine)-媒介形質感染, DEAE-dextran媒介形質感染中から選択される一つ以上で遂行できることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記の導入により、1週間ないし7週間以内に体細胞が誘導されたモーターニューロンに分化することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
体細胞から誘導されたモーターニューロンへの直接交差分化のための、
Gsta4蛋白質を含む、
神経系疾患の予防または治療のための薬学的組成物。
【請求項25】
前記薬学的組成物は、
Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1の中から選択される一以上の蛋白質をさらに含むことができることを特徴とする、請求項24に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
体細胞から誘導されたモーターニューロンへの直接交差分化のための、
Gsta4蛋白質又はこれをコーディングする核酸;が導入された体細胞を含む、
神経系疾患の予防または治療のための薬学的組成物。
【請求項27】
前記薬学的組成物は、
Ascl1、Brn2、Myt1L、Hb9、Isl1、Lhx3、Ngn2およびNeuroD1の中から選択される1以上の蛋白質をコーディングする核酸;をさらに含むことができることを特徴とする、請求項26に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
体細胞から誘導されたモーターニューロンへの直接交差分化のための分化因子が過剰発現するモーターニューロンを含む神経系疾患の予防または治療のための薬学的組成物であり、
前記のモーターニューロンは、Gsta4、Ascl1(Achaete-scute homolog 1)、Brn2(POU Class 3 Homeobox 2)、Myt1L(Myelin Transcription Factor 1 Like)、Hb9(Homeobox HB9)、ISL1(ISL LIM homeobox 1)、Lhx3(LIM homeobox 3)、Ngn2(neurogenin 2)、NeuroD1(Neuronal Differentiation 1)の中から選択される一以上の分化因子が過剰発現することを特徴とする薬学的組成物。
【請求項29】
前記の薬学的組成物は許容可能な担体、賦形剤、希釈剤、保存剤の中から選択される一つ以上をさらに含むことができることを特徴とする、請求項24ないし28のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項30】
前記の神経系疾患は脊髄損傷、パーキンソン病、脳卒中、ハンチントン病、ルー・ゲーリック病、毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia telangiectasia)、筋萎縮性側色硬化症、運動神経損傷、外傷による末梢神経損傷、虚血性脳損傷、新生児低酸素性虚血性脳損傷、脳性麻痺、末梢麻痺、中枢麻痺、四肢麻痺、両麻痺、てんかん、神経細胞発達障害、神経痛、難治性てんかん、アルツハイマー病、先天性代謝性神経系疾患及び外傷性脳損傷(traumatic brain injury)、運動性神経細胞損傷またはこれに誘発される疾患のうち、選択される一つ以上であることを特徴とする、請求項24ないし28のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項31】
前記薬学的組成物は、固形剤、液状剤、カプセル剤、半固体形態の中から選択される一つ以上の形態であることを特徴とする、請求項24ないし28のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項32】
前記
薬学的組成物は、筋肉、皮内、皮下、静脈、腹腔、動脈、粘膜、脊髄、骨髄
、脊髄腔内
、経皮のうち選択されるいずれか一つ以上
の部位に投与されることを特徴とする、請求項
24ないし28のいずれかに記載の
薬学的組成物。
【請求項33】
前記
薬学的組成物は、1回に1uL/kgないし20uL/kgの用量で投与されることを特徴とする
、請求項24ないし28のいずれかに記載の薬学的組成物。
【国際調査報告】