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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-05
(54)【発明の名称】熱統合
(51)【国際特許分類】
   B01D 3/00 20060101AFI20250226BHJP
   F01K 9/00 20060101ALI20250226BHJP
   F01K 7/38 20060101ALI20250226BHJP
   F22D 1/32 20060101ALI20250226BHJP
   F01K 7/44 20060101ALN20250226BHJP
   C07C 29/151 20060101ALN20250226BHJP
   C07C 31/04 20060101ALN20250226BHJP
【FI】
B01D3/00 Z
F01K9/00 Z
F01K7/38 102Z
F22D1/32 Z
F01K7/44 Z
C07C29/151
C07C31/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545757
(86)(22)【出願日】2023-01-30
(85)【翻訳文提出日】2024-09-27
(86)【国際出願番号】 IB2023050801
(87)【国際公開番号】W WO2023148605
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】63/305,392
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523269889
【氏名又は名称】セエルイ フルタフェラク
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハルダルソン、ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】ビョルンソン、オーラヴル フラフン
(72)【発明者】
【氏名】サロン、エメリック
(72)【発明者】
【氏名】コジャイアン、アルメン エドゥアルド
【テーマコード(参考)】
4D076
4H006
【Fターム(参考)】
4D076AA13
4D076AA22
4D076BA02
4D076BB04
4D076BC01
4D076DA05
4D076DA25
4D076JA04
4H006AA02
4H006AA04
4H006AC41
4H006BD33
4H006BD52
4H006BE20
4H006BE41
4H006FE11
(57)【要約】
発熱反応を生じる化学合成プラントと、(たとえば、パワーサイクルを稼働させる)蒸気などの作動流体を生成するパートナープラントとの間での熱統合のための方法が提供される。本開示は内的な熱統合と外的な熱統合の両方を記載する。内的な熱統合では、発熱反応からの(たとえば、メタノール合成からの)熱が、化学合成プラントの蒸留塔に接続された再沸器に提供され得る。外的な熱統合では、発熱反応からの熱が用いられて(パワーサイクルのタービンと凝縮器の下流である)凝縮液の流れを予熱し得る。こうすることで、パワーサイクルの一部分として凝縮液を予熱するにあたり、タービンの抽気を行う必要性が低くなる。タービンの抽気は、化学合成プラントの蒸留塔に接続された再沸器に熱を提供する。熱統合によって、上記両方のプラント内の全体的なエネルギー利用の改善がもたらされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)パワーサイクルの一部分として蒸気またはその他の作動流体を生成するパートナープラント(200)と、(ii)発熱反応から熱を生じるETL(エミッション・トゥ・リキッド)プラント(100)との間での熱統合のためのシステムであって、
蒸気またはその他の作動流体の発生器(214)と、
タービン(202)と、
凝縮器(206)(たとえば、海水凝縮器)と、
ポンプ(208)と、
開放型または閉鎖型のいずれかである、水予熱器(210)と、
前記タービンからの第1の抽気流れ(212)および第2の抽気流れ(204)と、を含み、
前記第2の抽気流れ(204)が熱交換器(150)に供給され、前記第2の抽気流れ(204)からの熱が、蒸留塔(128)からの底部凝縮液留分を前記蒸留塔(128)に接続された再沸器(136)で加熱するために用いられ、
前記熱交換器(150)が、低温の流れ(216)を前記パートナープラント(200)の前記パワーサイクルに接続された前記水予熱器(210)に戻す、システム。
【請求項2】
前記パワーサイクルが、発電するために使用される、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記パワーサイクルが、発電するためには使用されないパワーサイクルである、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記パワーサイクルからの蒸気またはその他の作動流体が、機械設備を稼働させ、CO2の回収および/またはH2の生成を行うために使用される、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の抽気流れが低圧の抽気流れである、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の抽気流れが中圧の抽気流れである、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
(i)蒸気またはその他の作動流体をパワーサイクルの一部分として生成するパートナープラント(200)と、(ii)発熱反応から熱を生じるETL(エミッション・トゥ・リキッド)プラント(100)との間での熱統合のためのシステムであって、
前記パワーサイクルのタービンから取り出される抽気流れ(204)が熱交換器(150)に供給され、前記ETLプラントの蒸留塔(128)からの底部凝縮液留分を、前記蒸留塔(128)に接続された再沸器(136)で加熱し、前記熱交換器(150)が、水予熱器(210)に低温の流れ(216)を戻し、
前記ETLプラント(100)の前記発熱反応からの熱を凝縮された低温の流れ(218)と交換することによって前記低温の流れを加熱するように構成された熱交換器(123)に、前記低温の流れ(218)を前記タービンから供給するポンプ(208)が、予熱後の流れ(220)を水予熱器(210)へ戻すことによって、前記パートナープラント(200)の前記パワーサイクルの蒸気またはその他の作動流体の発生器(214)における作動流体の最終加熱を行う、システム。
【請求項8】
前記高温の流れ(220)が、低品質の流体流れであり、前記水予熱器における、前記タービンからの高品質の抽気流れ(212)を用いる必要性を最小化するかまたは低減する、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記抽気流れが中圧の抽気流れである、請求項7記載の熱統合システム。
【請求項10】
前記パワーサイクルからの蒸気またはその他の作動流体が、さらにまたは代替的に、炭素回収ユニット(110)のストリッパへの熱の提供および/またはH2生成ユニット(106)への蒸気または熱の提供に用いられる、請求項7記載の熱統合システム。
【請求項11】
ETL(エミッション・トゥ・リキッド)プラント(100)であって、前記ETLプラントが、
第1の供給流れ(102)および第2の供給流れ(104)と、
電気分解(H2発生)ユニット(106)と、
CO2回収ユニット(110)と、
少なくとも1つの圧縮機(108、112、114)と、
複数の熱交換器(116、120、122、146)と、
反応器(118)と、
キャッチポット(124)と、
キャッチポットの上部留分(126)と、
蒸留塔(128)と、
凝縮器(130)と、
還流の流れ(134)と、
貯蔵部へ送られる留出液の流れ(132)と、
再沸器(136)と、
たとえば電気式蒸気発生器(152)からの、蒸気またはその他の作動流体のソースと、を含み、
前記第1の供給流れ(102)が、電気分解ユニットで水素が製造されるもとになる水を含み、前記第2の供給流れ(104)がCO2を含む、ETLプラント。
【請求項12】
プラント内部の内的熱統合のためのシステムであって、前記内的熱統合のためのシステムシステムが、
蒸留塔(128)からの底部凝縮液留分を再度加熱するための再沸器(136)と、
ポンプ(140)と、
第1および第2の熱交換器(120、146)と、を備え、
前記再沸器(136)が低温の流れ(138)を前記ポンプ(140)に供給し、前記ポンプ(140)が低温の流れ(142)を前記第1の熱交換器(120)に供給し、
前記第1の熱交換器(120)が、内部で発熱反応を生じる反応器(118)の出口に接続されており、
前記第1の熱交換器(120)の出口からの流れ(144)が前記低温の流れ(142)に対して高温になるまで加熱された後、前記第2の熱交換器(146)へ供給され、前記流れ(144)を所望の温度になるまでさらに加熱した上で、前記再沸器(136)に供給する、内的熱統合のためのシステム。
【請求項13】
前記プラントが、ETL(エミッション・トゥ・リキッド)プラント(100)である、請求項12記載の内的熱統合のためのシステム。
【請求項14】
前記反応器(118)で生じる前記発熱反応がメタノール合成反応である、請求項12記載の内的熱統合のためのシステム。
【請求項15】
前記第2の熱交換器(146)が蒸気またはその他の作動流体を利用して、高温で出力される流れ(148)を生成する、請求項12記載の内的熱統合のためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には相互に関連付けられていないプロセス間の熱統合、ならびに、かかるシステムを実装または稼働させるためのシステムおよび方法に関する。例として、(i)(たとえば、蒸気タービンまたはその他の作動流体タービンを用いて発電する)パワーサイクルに接続された、蒸気(またはその他の作動流体)を生成するプラントと、(ii)発熱反応から熱を生じる化学合成プラントとの間で関連してこうした統合が生じ得る。このシステムは、こうしたプラント間で熱交換を行うことにより、さらに効率を最大化し、廃熱を減少させ、冷却の負荷を低減することなどが可能である。特に、グリーンフィールドサイトでは、発電ではなく別の目的のために蒸気その他の作動流体を用いる場合があるのは明らかである。たとえば、産業廃熱がある場所では、産業廃熱をすべて熱エネルギーとして用いることがより経済的である場合や、(電気的な仕事ではなく)機械的な仕事を生じるために蒸気(またはその他の作動流体)が用いられ場合がある。したがって、本明細書に記載されるような発電プラントを用いた統合は、あくまでも例示である。かかる統合を外的な統合(external integration)と称することがある。たとえばプラント内部における内的な熱統合(internal heat integration)についても、本明細書に記載する。
【背景技術】
【0002】
地球規模の気候変動は「現代における最も差し迫った環境問題」であると考えられている。米国航空宇宙局(NASA)は「気候システムの温暖化に関する科学的根拠は明白である」と述べている。気候変動は、水蒸気、亜酸化窒素、メタン、および二酸化炭素などの温室効果ガスの温暖化作用によって結果として生じる。気候変動に関する懸念に加え、エネルギー生成の効率を高めることや、全体的なエネルギーの有効利用が依然として求められている。たとえば、多種多様な電力系統の発電所が、さまざまな手段(たとえば、化石燃料またはその他の燃料の燃焼、地熱など)による蒸気(またはその他の作動流体)の生成に依存している。こうした蒸気(またはその他の作動流体)を、ランキンサイクルまたはその他の熱力学パワーサイクルに用いることで、タービンを稼働させて発電している。典型的なパワーサイクルにおいては、生成された蒸気(またはその他の作動流体)の一部分を(たとえば、低圧または中圧の抽気として)タービンから取り出し、給水の流れがタービンと凝縮器を通過した後に給水を再度加熱することに用いることで、給水がサイクルを再び循環することに備える。
【0003】
同時に、発熱反応を伴うものの相互に関連しない化学合成または類似のプロセスの間に生じた熱を吸収するために、冷却水の供給が必要な、化学合成およびその他のプロセスが多く存在する。というのも、こうしたプロセスは典型的に、ランキンサイクルまたはその他の熱力学的パワーサイクルを稼働させる発電プロセスに関連しておらず、典型的にはそれぞれが独立して稼働するからである。たとえば、かかるプロセス間の熱を統合する実用的な方法がない上に、相互間の距離がかなり離れていることがしばしばである。本開示は、こうしたプロセス間の熱を統合する実用的な方法および用途に関し、これによって、凝縮液を予熱して再び循環させるために、発電プロセスの中でタービンから取り出す低圧または中圧の抽気の流れの必要性を減らすことができる。また、化学合成プロセスに関連する発熱反応で生じた熱を吸収するために必要な冷却水を減らすことができる。
【0004】
こうした統合によって、両方のプロセスが統合される効率が改善し、全体的なエネルギー資源のより良い利用に繋がり、一層環境に配慮したプロセスの実現が可能となる。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、一般的には関連付けられていないプロセス(たとえば、さもなければ原料流れをシェアしたり交換したりしないプロセス)間での熱エネルギーの利用を、それらのプロセス間で熱を統合することによって改善するシステムおよび方法に関する。たとえば、具体的な一実施形態において、CO2排出物と(たとえば、水電気解による)水素を変換し、メタノールを産出するCRI ETLプラント(本出願人によるエミッション・トゥ・リキッド(emissions to liquid)(ETL)プラント)を、発電プラント(たとえば、熱力学的パワーサイクルを備えた発電プラント)と統合することができる。こうしたETLプラントは、その他のプロセスとも同様に統合することができる。発熱反応であるメタノール合成に起因するETLプラントからの廃熱は、発電プラントのパワーサイクルで利用される。たとえば、タービンから出てくる凝縮液を予熱した後、凝縮液を沸騰させて蒸気(または他の気化した作動流体)に戻し、再度タービンへ送り返します。2つのプラントをさらに統合して、生成された蒸気(またはその他の作動流体)の一部分をパワーサイクルから転送し(たとえば、発電のためにタービンで使用されるのではなく)、代わりに熱媒体としてETLプロセスで利用することもできる。したがって、蒸気(またはその他の作動流体)がタービンを通り発電する代わりに、蒸気(またはその他の作動流体)の一部分に関連付けられた熱エネルギーが、ETLプラントのエネルギー分配目的に用いられる。このようなエネルギー分配は、様々な形態で行われ得る。たとえば、加熱目的での使用(たとえば、蒸留プロセスの一部)に加え、こうした蒸気(またはその他の作動流体)を用いて、ETLまたはその他の化学合成プラント内の機械設備(たとえば、合成ガス圧縮機および/または循環装置)を駆動させることもできる。機械設備において使用する場合、熱エネルギーが機械エネルギーに変換される。いずれにしても、こうした統合は理に適っており、一方のプロセスの、他方のプロセスから得られるものに関連する、ニーズ間の温度範囲に相乗効果がある場合に有益である。たとえば、熱力学的サイクル発電プロセスにおける予熱に適した温度は、化学合成プロセスからの廃熱温度と一致する。化学合成プラントの蒸留塔(および/または炭素回収ユニットまたはその他のユニット)の再沸器のニーズに関連するタービンからの蒸気またはその他の作動流体に関連して、その逆もまた同様である。
【0006】
こうした統合が有益なのは、蒸気(またはその他の作動流体)から(たとえば、タービンを介した膨張を経て)電力を生成するときに達成される効率は比較的低く、たとえば40%未満となるためである。作動流体の流れの一部分をETLプラントに転送し、たとえば蒸留塔に接続された再沸器に熱を供給するために使用する場合、そのような作動流体内のエネルギー使用の著しくより高い効率が達成される。これは、こうした作動流体から電気エネルギーへの変換(たとえば、またその後に、電力を用いて蒸気またはその他の作動流体を生成し、再沸器を加熱すること)よりも熱交換器における熱伝達の方が、はるかに高いエネルギー効率で達成され得るからである。多くのプラントでは、蒸気の生成に電力を使用していない(たとえば、燃料動力源のボイラはより費用効率が高い傾向がある)が、現行のCRI ETLプラントでは、グリーン電力を用いることによって、CO2フットプリントを最小限に抑えることが望ましい。いずれの場合も、本発明の統合システムは、(たとえば、発電プラントまたはその他のパートナープラントからの蒸気(またはその他の作動流体)を統合することによって)蒸気またはその他の作動流体発生器を不要にする、別の選択肢を提案するものである。化学合成プラントの蒸留部分の再沸器は、こうした蒸気(またはその他の作動流体)を使用し得る一具体例であるが、こうした加熱作動流体をどの部分においても使用できることは明らかであろう。さらなる例として、蒸気またはその他の作動流体は、ETLプラントのCO2回収ユニット(たとえば、ストリッパ)において別の関連する用途に、またはその他の化学合成プラントにおいて類似の別用途に用いられる。
【0007】
いずれのプラントも、こうした熱統合の恩恵を受ける。たとえば、ETLまたはその他の化学合成プラントに供給される蒸気またはその他の作動流体は、発電プラントよりも、ETLまたはその他の化学合成プラントとって大きな価値を有するため、発電プラントは恩恵を受ける。化学合成プラントから発電プラントに供給される廃熱は、発電プラントにとって有益である。これは、廃熱が、タービンと凝縮器を出る凝縮液を再度加熱するにあたり、タービンから取り出さなければならない作動流体の量を減少させ、タービンによって生成される動力を実際に増大させるからである(より多くの蒸気またはその他の作動流体を発電に利用できるため)。タービン出力の増加量は、交換された抽気蒸気(またはその他の作動流体)のエクセルギー含有量が、廃熱のエクセルギー量よりも大きい場合、供給される廃熱のエクセルギー含有量が示唆するものよりも潜在的に大きい可能性がある。(たとえば、蒸留システム、CO2回収ユニットなどにおいて)作動流体の一部分が加熱目的のためにETLプラントへ転送される場合であっても、例に示す通り、プロセスの全体的な効率が向上する。ETLプラントは、必要な冷却水が低減されるだけでなく、(必要な蒸気またはその他の作動流体が、発電プラントから直接供給されるため)蒸気またはその他の作動流体の発生器が不要になるという点で有益である。各プロセスが独立して稼働する場合に比して、統合されたシステム全体でエネルギーの使用が改善される。CO2排出物を液体燃料(たとえば、メタノール)、またはその他の有用な化学製品に変換するプラントなどの、(たとえば、本出願人によるETLプロセスなどの)化学合成プラントは、発電プラント、または蒸気またはその他の作動流体を(たとえば、熱力学的パワーサイクルの一環として)生成し得る任意の他のプラントとの統合に特によく適している。というのも、一具体例として検討した化学合成プラント(たとえば、本出願人によるETLプロセス)が、パートナープラントからのCO2排気ガスを、付加価値のある化学製品の合成における使用のための原材料(たとえば、燃料として使用することができるメタノール、他の化学プロセスでの使用のための化学原料、タンパク質などのさまざまな化合物の製造用の酵素フィード、またはその他広範な用途)として使用することができるためである。
【0008】
ETLまたはその他の化学合成プラントからの廃熱を、パワーサイクルを稼働させるパートナープラントからの蒸気またはその他の作動流体に交換することによって、ETLからの廃熱またはその他の化学合成プラントからの廃熱を、パワーサイクルのタービンと凝縮器からの凝縮液の予熱に用いることができる。また、パワーサイクルを稼働させるパートナープラントから転送された作動流体の一部分を、ETLまたはその他の化学合成プラントに接続された蒸留塔の再沸器への熱供給、機械的設備(たとえば、圧縮機など)の稼働、および/または、CO2回収ユニット(たとえば、ストリッパ)またはその他のユニットへの熱エネルギーの供給に用いることができる。いずれのプラントも、このような熱統合の恩恵を受ける。
【0009】
本明細書に記載する熱統合の実施形態は、プラントのうちの1つがメタノール合成プロセスを実行する実施形態に限定されない。発熱化学反応によって所望の温度範囲(たとえば、少なくとも80℃など、80℃~200℃、または100℃~150℃)の廃熱を供給する、幅広い種類の化学合成プロセスまたは類似のプロセスを用いることができる。同様に、パートナープラントは、高温の作動流体の流れを生成する熱力学的サイクルまたは同様のプロセスを含み、かつ(たとえば、タービンおよび凝縮器からの)凝縮液を予熱する必要があるものであれば、幅広い種類のプラントのいずれであってもよい。熱統合のための本実施形態の重要な特徴は、廃熱によってもたらされる温度が凝縮液の予熱のニーズに合致する点である。
【0010】
本開示では、所定のプラント(たとえば、ETLプラント)内部における内的な熱統合の例についても記載する。こうした例示的なプラントシステムは、2つの供給流れを含み得る。ここで、第1の供給流れは、電気分解ユニットで生成される水素のもととなる水を含み、第2の供給流れはCO2を含む。電気分解ユニット、CO2回収ユニット、1つまたは複数の圧縮機、1つまたは複数の熱交換器、反応器、キャッチポットが設けられ得る。このシステムはさらに、キャッチポットの上部留分、蒸留塔、凝縮器、還流の流れ、(たとえば、貯蔵部に送られる)留出液の流れ、再沸器、たとえば電気式蒸気発生器からの蒸気またはその他の作動流体のソースを含み得る。別の例示的なシステムは、蒸留塔からの底部凝縮液留分を再度加熱する再沸器、ポンプ、第1および第2の熱交換器を含み得る。再沸器は、ポンプに低温の流れを供給し、ポンプは、この低温の流れを第1の熱交換器に供給する。第1の熱交換器は反応器の出口に接続されており、反応器内で発熱反応が行われる。第1の熱交換器の出口からの流れは、上記の低温の流れに対して高い温度まで加熱され、第2の熱交換器に送られ、所望の温度になるまでさらに加熱された後に、再沸器へ送られる。
【0011】
このようなシステムは、エミッション・トゥ・リキッド(ETL)プラントであり得る。
【0012】
反応器内で行われる発熱反応は、メタノール合成反応であり得る。
【0013】
第2の熱交換器は、蒸気またはその他の作動流体を用いて、高温の出力流れを生成し得る。
【0014】
以下の考察において、本システムの具体的な方法、実施形態、変形例をより詳細に説明する。
【0015】
本開示のこれらおよびその他の特徴、態様、および利点は、下記の詳細な説明、特許請求の範囲、添付図面を参照することで、容易に明らかとなり、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本開示による熱統合前に示された熱力学的パワーサイクルの概略図であり、ETLプロセス(または利用可能な廃熱を伴うその他のプロセス)からの廃熱がどのようにして熱力学的パワーサイクルに統合され得、蒸気またはその他の作動流体を予熱する必要性を低減し、それにより発電量を増加させるかを示している。
図1B】本開示による熱統合後に示された熱力学的パワーサイクルの概略図であり、ETLプロセス(または利用可能な廃熱を伴うその他のプロセス)からの廃熱がどのようにして熱力学的パワーサイクルに統合され得、蒸気またはその他の作動流体を予熱する必要性を低減し、それにより発電量を増加させるかを示している。
図2】本開示による内的な熱統合を行ったETLプラントの概略図である。
図3】ETLプラントと蒸気またはその他の作動流体を生成する熱力学的パワーサイクルを有するパートナープラントとの間でどのようにして熱統合が行われ得るかの一実施形態を示す概略図である。
図4】ETLプラントと蒸気またはその他の作動流体を生成する熱力学的パワーサイクルを含むパートナープラントとの間でどのようにして熱(より正確には、廃熱と、蒸気またはその他の作動流体からのより高級な熱との両方)統合が行われ得るかの別の実施形態を示す概略図である。
図5A】廃熱の統合の具体例を例示す図であり、熱統合を含まない図1Aのベースライン構成に比して、達成することができる発電量の増加を示す図である。
図5B】蒸気またはその他の作動流体を介した熱統合の具体例を例示する図であり、ETLプラントへの電力輸送の不要を示す図である。作動流体の一部分を転送した結果としてタービンの発電量が減少するが、熱統合を含まない図1Aのベースライン構成に比して輸送される純電力は実質的に増加する。
図5C】蒸気またはその他の作動流体を介した熱統合と廃熱の統合の両方の具体例であって、熱統合を含まない図1Aのベースライン構成に比して輸送される純電力がさらに増加することを示す具体例を例示する図である。
【0017】
図面は必ずしも縮尺通りではないものの、構成要素のより良い理解を深めるように描かれており、範囲を限定するようには意図されておらず、典型的な例示を提供するように意図されている。
【0018】
図面は熱統合システムとその関連設備の例示的構成を示しているが、本開示による熱または作動流体の統合システムおよび関連設備の実施形態の構造、構成、または機能を限定することを意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面と併せて下記の説明から、本開示のさまざまな実施形態のより良い理解が深められ得る。図面において、同一の符号は同様の要素を示している。
【0020】
本開示にはさまざまな修正および代替構造が考えられるが、特定の例示的な実施形態が、図面に示され、以下で説明される。しかし、本開示を開示の実施形態に限定する意図はなく、逆に、本発明が、本開示の本質および範囲内に含まれ、添付の特許請求の範囲によって定義されるあらゆる修正、代替構造、組み合せ、等価物を包含することを意図していることが理解されるべきである。
【0021】
記載される意味を持つように用語が本願において定義なされない限り、その明白な意味または通常の意味を逸脱して、明示的にも間接的にもこうした用語の意味を限定する意図はないものと解釈される。
【0022】
本明細書に記載のいずれの熱交換器も、任意の適切な特性を有する、および任意の適切な方法で動作させられる、任意の適切な熱交換器構成を有し得る。非限定的な例として、任意の所与の熱交換器は、並流式熱交換器、向流式熱交換器、フィン付きまたはフィンなしの管式熱交換器、シェルアンドチューブ式熱交換器、U字管式熱交換器、シングルパス直線型熱交換器、2パス直線型熱交換器、プレート式またはフレーム式の熱交換器、フィン付きのプレート式熱交換器、マイクロチャネル熱交換器、またはその他の熱交換器であり得る。
【0023】
一般的な用語として「熱統合」は、1つのプロセスまたはシステムからの熱が別のプロセスまたはシステムに導入される任意のプロセスを意味するものとして用いられる。本実施形態に記載の熱統合は、単一の独立したシステムまたはプロセス内という意味で内的なものであり得るか、または単一の独立したシステムまたはプロセスからの熱が別の独立したプロセスまたはシステムに導入されるという意味で外的なものであり得る。「独立」とは、このシステムまたはプロセスが、別のシステムまたはプロセスから独立して、別のシステムまたはプロセスとは関係なく、または別のシステムまたはプロセスと一体化することなく(たとえば、こうしたプロセス間で必要な材料流れの交換なしで)実施可能である(典型的には実施される)という意味である。熱統合を行うことができるこのように独立したプロセスおよびシステムの例として、熱力学的パワーサイクルを稼働させる発電システムまたはプロセス、および発熱反応を用いた化学合成システムまたはプロセスがある。本開示では、各プロセスまたはシステムからの熱がどのようにして別のプロセスまたはシステムに統合され、全体的なエネルギー効率とエネルギーの利用を改善し得るかを教示しているが、こうしたプロセスはいずれも、互いに独立して実施可能である(一般的には実施される)。
【0024】
本明細書で使用されるように、ランキンサイクルまたはその他の熱力学的パワーサイクルへの言及は広義に解釈されるべきであり、(たとえば、生成された電力の形態で)有用な仕事を生じさせるための多様な熱力学的プロセスを指している。典型的な熱力学的パワーサイクルは、蒸気またはその他の作動流体の発生器(たとえば、ボイラ)、タービン、凝縮器、ポンプ、給水予熱器を図示のように含む。本明細書で述べられるように、熱統合の本実施形態は、熱力学的パワーサイクルで実際に発電を行う例に限定されず、蒸気またはその他の加熱された作動流体の生成を伴う(こうした蒸気またはその他の作動流体を用いて、たとえば加熱、機械的仕事、発電などの幅広い機能を提供することができる)さまざまなサイクルのいずれかを包含するように、広義に解釈されるべきである。
【0025】
二酸化炭素と(たとえば、水電気分解による)水素とをメタノールに変換するエミッション・トゥ・リキッド(ETL)プラントは、原則として、本明細書の実施形態では本発明の熱統合プロセスで使用されるプラントの1つとして記載されているが、(利用可能な廃熱を得るための)発熱化学反応を特徴とするおよび冷却需要(たとえば、冷却水)を特徴とする他のプラントも適切な候補であり得ることが理解される。たとえば、製品の合成の一環として熱力学的反応を行う他のタイプの化学合成プラント、特に、製品の合成に使用される反応物質として煙道ガスのCO2の流れを利用するものは、熱統合に適切な候補であり得る。
【0026】
同様に、本明細書の実施形態では、原則として、発電プラントが本発明の熱統合プロセスで使用されるもう一方のプラント(すなわち、パートナープラント)として記載されている。とはいえ、(利用可能な蒸気またはその他の作動流体を得るための)熱力学的パワーサイクルを同様に稼働させ、タービンに従う凝縮器からの予熱用の水(またはその他のサイクルの流体)を必要とする他のプラントも、適切な候補であり得ることが理解される。たとえば、発電用にパワーサイクルタービンを含む多様なプラントは、発電がその最たる目的であるか否かにかかわらず、熱統合にとって適当な選択肢であり得る(たとえば、副次的な目的として、送電網または内的な電力需要のために発電し得るコジェネレーションプラントも適切な候補であり得る)。たとえば、こうしたコジェネレーションプラントの非限定的な一具体例として、フェロシリコンプラントがある。
【0027】
このように通常独立した2つのプラント間で熱源と熱需要を統合するこのプロセスは有益である。というのも、こうしたプロセスは、全体的なエネルギー利用効率を高めるためであり、たとえば、ETLまたは(発熱合成反応に起因して相当量の冷却が必要な)その他の化学合成プラントにおける冷却水の必要量を減少させるとともに、ETLまたはその他の化学合成プラントからの廃熱が用いられてパワーサイクルの凝縮器を出た水を予熱するため、発電プラントの出力電力も増大させるからである。同様に、ETLプラントの蒸留塔に接続された再沸器内の原料を加熱するために、パワーサイクルの一環として生成される蒸気またはその他の作動流体の一部分を、ETLまたは(ETLの発熱反応から熱を回収して得られるよりも)高い値の熱の流れを必要とするその他の化学合成プラントに転送することができる。この流れは、たとえば、ETLプラントのCO2回収ユニット内(たとえば、ストリッパ)での使用、またはH2生成(たとえば、電気分解)ユニット内での使用に供される。
【0028】
パワーサイクルにとっての利点は二つある。第一に、ETLまたは発熱合成反応を生じさせるその他の化学プラントから予熱のエネルギーを受け取ることによって、より多くの蒸気またはその他の作動流体を、加熱に使用する代わりに、発電に使用できるようになるので、プラントの生産性が向上する。第二に、熱が加えられることによって、サイクルそのものの変換効率が向上するので、同じエネルギーでより多くの発電が可能になる。ETLまたはその他の化学合成プラントは、プラント内で使用するための熱を十分な質(たとえば、十分な高温)で生成し得るものの、こうした廃熱の流れを十分な量だけ生成し得ることはなく、これは、追加で熱を取り込む必要があることを意味している。とはいえ、残された廃熱は、ETLまたはその他の化学合成プラントで用いるには温度が低すぎるものの、こうした低級の廃熱を上記のようにパワーサイクルで用いることができる。その結果、ETLまたはその他の化学合成プラントに対して、このサイクルが代替的熱ポンプとして機能することが見てとれるため、低い値の熱を高い値の熱(たとえば、高温の蒸気)に転換することができる。
【0029】
実施例に示すように、実装において、凝縮器の水を予熱し、ETLプラントから発電プラントに恩恵がもたらされるため、プロセスを独立して稼働させる場合よりも発電プラントで多くの発電(たとえば、5~6%の増加)が可能である。このような例は、(たとえば、図5Aに示されるように)ETLプラントから発電プラントへの熱統合に基づくものであり、作動流体(たとえば、蒸気)は発電プラントからETLプラントに転送されない。また別の例(図5B~5C)では、発電プラントからETLプラントに蒸気またはその他の作動流体の一部分が転送される(たとえば、図5B)か、または、発電プラントからETLプラントに蒸気またはその他の作動流体が転送され、ETLプラントから発電プラントに廃熱が転送される(図5C)。このような例では、ETLプラントに転送される蒸気またはその他の作動流体の流量は、発電プラントに対する蒸気またはその他の作動流体の流量よりも多くなり、ETLプラントから転送される廃熱の量は、ETLプラントに対するものよりも発電プラントに対するものの方が多い。どちらのプラントにおいても、本明細書に記載の通り、相互間の熱統合によって全体的効率が改善される。たとえば、温度変更を伴わずに液状の水を蒸気に変化させる(相変化)場合には、大量の熱力学的エネルギーが必要なのは確かである。本発明のケースでは、1つの状態から別の状態に(たとえば、液体から気体に)物理的状態を変化させるためにエネルギーを消耗することなく、水の2つの物理的状態のいずれにおいても、熱が効率的に用いられる。
【0030】
図1Aは、従来の熱力学的パワーサイクルによって発電する例示的な発電プラントのための動作スキームを例示する。図示の通り、蒸気またはその他の作動流体を圧力下(たとえば、41バール、440℃)でタービンに供給して、発電することができる(たとえば、全負荷で32MW)。タービンから出る消費された蒸気またはその他の作動流体は、凝縮器に送られ、さらに冷却され(たとえば25℃まで)、凝縮される。冷却後の凝縮液の実際の温度は、場所や気候、使用するタービンの型式、およびその他の要因に応じて幅広く変化し得るもので、25℃という値は、あくまでも例示であることは明らかである。このような凝縮水は、その後、給水加熱器に圧送され、タービンからの低圧(LP)または中圧(MP)の抽気流れを用いて加熱されて、凝縮水が予熱される(たとえば106℃まで)。その後、予熱された水が蒸気またはその他の作動流体の発生器(すなわち、ボイラ)(図示せず)に送られ、タービン入口で望ましい状態(たとえば、41バール、440℃)までさらに加熱され、プロセスが再開される。図1Aに示される動作スキームでは、予熱LP抽気の流れは、所定の流量の水を25℃から106℃まで予熱するために必要な4kg/秒の流量で供給するものとして示されている。図1Aにはさらに、独立して動作するETLプラントを示しており、このETLプラントでは、蒸気を発生させるために(効率を98%と想定して)23.5MWの電力を必要とする。図1Aに示されるように、これらの2つのシステムがそれぞれに独立して動作させられる場合、2つのシステムの純電力輸送量は32-23.5=8.5MWeである。
【0031】
図1Bは、ETL(または比較的低級な余分の廃熱を生じるその他のプラント)からの熱統合が行われる、本開示の実施形態による改変した動作スキームを示す。この動作スキームは、タービンからのLP予熱作動流体抽気によって(たとえば25℃の)凝縮水が完全には予熱されていないが、先ずはETLプラントから供給される低級の廃熱(たとえば、発熱反応によって生じる、メタノールまたはパートナープラントによって生産されるその他の化学物質の合成および/または凝縮によって供給される熱)によって予熱される点を除いては同じである。このようなETLプラントから利用可能である熱を用いる予熱によって、熱力学的パワーサイクルの凝縮液を、図1Aで見られる冷却された値と予熱された値との中間である値(25℃超106℃未満)に予熱する。凝縮液の流れの最後の予熱(たとえば、106℃まで)は、タービンからのLPまたはMPの作動流体抽気によって行われる。但し、ETLプラントからもたらされる廃熱によって予熱の大部分が既に行われているため、このときのLPまたはMP抽気の流量は、図1Aの必要量よりも大幅に少なくなる。したがって、図1Aおよび図1Bは、本開示に適用されている一般的な原理を例示している。
【0032】
図4を参照すると、理想的には、ETLプラント100の廃熱流れ220は、パワーサイクルのパートナープラントの水予熱器210を必要とするには十分なものである。廃熱流れ220は、抽気流れ212の必要性を最少にするかまたは完全に排除し、より高品質な蒸気またはその他の作動流体がより有益な用途(たとえば、発電、ETLプラントでの加熱のための使用、またはその他の用途)に自由に用いられる。しかし、廃熱流れ220だけでは予熱器210の水を十分に加熱できない場合、抽気流れ212を用いて必要性を満たすことができる。以下、本実施形態に関するさらなる情報が説明される。
【0033】
本明細書に記載の熱統合による恩恵を受け得る蒸留プロセスは、2021年3月30日に公開された、本出願人による米国特許第10,960,349号明細書に記載されており、その開示全体が引用により本明細書に組み込まれる。当該文献に記載されている蒸留プロセスは、高度にエネルギーを消費するプロセスであって、分離プロセス、特に蒸留塔の再沸器において、大量の熱を必要とする。典型的な発電プラントのパワーサイクルのタービンにおける使用のために生成される蒸気またはその他の作動流体は、このような蒸留プロセスの再沸器に必要な熱を供給する用途に特に適している。このようなETLプロセスのCO2回収ユニットにおいても熱が必要とされる。さらに、選択する技術に応じて、H2生成ユニットにおいても熱(または蒸気、その場合は蒸気自体と蒸気の熱エネルギーの両方を利用可能である)が必要とされる。
【0034】
勿論、所定のプロセス内で、エネルギー効率を最大化するために、利用可能な熱を内的に統合する動機は常に存在する。たとえば、図2を参照すると、内的な熱統合のための1つの考えられ得るシナリオが、典型的なETLプラントのコンテキスト内に示される。ETLプラント100は、2つの供給流れ102、104を有する。第1の供給流れ102は、電気分解ユニット106に供給され、水素ガスが生じる水を含み得る。H2はその後、圧縮機108で圧縮され得る。第2の供給流れ104は、CO2回収ユニット110に供給されるCO2を含むガスで構成され得る。CO2は圧縮機112で圧縮された後、合成ガス圧縮機114において圧縮水素の流れと混合される。結果生じた合成ガスが熱交換器116に供給され得ることで、加熱された合成ガスはメタノール反応装置118に提供され、再生またはバイパス部分は凝縮器122に提供される。
【0035】
凝縮器122を出た流れがキャッチポット124に入り、そこで上部留分(top fraction)126が合成ガス圧縮機114に戻されて再生され、底部留分(bottom fraction)が蒸留塔128に供給される。蒸留塔128からの上部留分は凝縮器130に供給されることができ、その一部は還流の流れ134として蒸留塔128に戻されて再生され、高純度の蒸留メタノール流れ132は貯蔵部に送られるか、またはその他の所望の用途に供される。蒸留塔128の底部出口が再沸器136に供給されることで、加熱された蒸留塔底部留分は蒸留塔128に戻される。
【0036】
図2に示すETLプラント100の内的な熱統合は、再沸器136で必要な外的な熱を低減する役割を果たす。再沸器136は低温の出口流れ138を有し、低温の出口流れ138はポンプ140に供給され、その圧力が増加する。ポンプ140を出た流れ142は、熱交換器120に供給され、その温度が上昇する。熱交換器120はメタノール合成反応器118の出口に接続されることによって熱を受け取る。たとえば、熱交換器120はメタノール製品を冷却し得る一方で、反応器118で実行された発熱反応による廃熱を流れ144に伝達する。さらに下流において、メタノール製品の流れがさらに冷却および凝縮され得る。合成ガスからメタノールへの反応が発熱反応であることから、熱交換器120に供給された反応器118の出口で、ポンプ140からもたらされる流れ142を加熱することを可能にする。したがって、システム内の熱エネルギーの利用効率を一層高めて、流れ142を予熱する一方で、メタノール反応器118へと戻される再生メタノール154の温度を低下させて、反応温度を調節する。
【0037】
熱交換器120を出た後に、得られた中温度域の流れ144は、別の熱交換器146に供給される。熱交換器146は、加熱後の流体の流れ148の温度を、再沸器136内の蒸留底部原料の加熱の使用に十分な高温まで上昇させる。熱交換器146は、電気式の蒸気発生器またはその他の熱媒体の発生器152から生成された熱を用い得る(たとえば、蒸気またはその他の熱媒体の直接の使用)。CO2の回収には、たとえば蒸気として提供されるエネルギーが必要である。図2に示すプラント設計は、(熱交換器120を介した)反応から実用的に可能な限り多くの熱を回収し、残りの部分を電気的に生成される蒸気またはその他の熱媒体で補う(make-up)ように構成されている。なお、従来の天然ガスまたはその他の燃料を動力源とするボイラは、必要な蒸気またはその他の熱媒体を生成するために用いるものとして図示されていない。これは、CO2排出物を生じさせ、CO2排出物を回収して炭素を付加価値のある製品に変換することを意図したプラントには望ましくないからである。図2の蒸気138、142、144、148によって定義されたループは、熱媒体分配システムであって、発熱源(反応器118での発熱反応プロセス、蒸気またはその他の熱媒体の電動式発生器152の発熱反応プロセス、最も好ましくは最終的に図3に示すパワーサイクルからの熱)から熱を受け取り、必要に応じてユーザーモジュールに最大限の分配を可能にするものである。図2では、発生器152からの熱媒体は、CO2回収ユニット110に直接供給されるものとして示されているが、(効率は劣るものの)内部ループ(internal loop)も用い得る。パワーサイクルからの熱をCO2回収ユニット110で用いて(たとえば、合成ガスまたはその他の圧縮機での)機械的仕事などを実施こともできることは明らかである。
【0038】
いずれにしても、再沸器を循環する流体(138、142、144、148で示したループの流れ)を予熱するためのメタノール合成反応装置118からの廃熱を用いることによる内的な熱統合の使用によって、ETLプラント100の効率が向上する。このような内的な熱統合を用いたとしても、再沸器136内の蒸留塔の底部留分の再沸騰に用いられる流体を完全に加熱するには、依然として図2に示す発電機152が必要である。ETLプラントが、高エネルギーの蒸気またはその他の熱媒体の流れをもたらし得る別のプラントに隣接して配置された場合、電気式の熱媒体発生装置をなくすこともできる。以下、その場合の実施形態が説明される。
【0039】
たとえば、図3に示すように、外的な熱統合を導入し、電気式の作動流体発生器152を、パートナープラント200に接続された熱交換器150に交換することができる。パートナープラント200は、作動流体(たとえば蒸気)を生成するパワーサイクルを含む。そのような作動流体の抽気流れが、ETLプラントからの廃熱との交換で、蒸気またはその他の作動流体を最適に近い状態の熱媒体として提供することにより、発生器152を置き換えることができる。この廃熱は、パワーサイクルの凝縮液またはその他の作動流体を予熱するために使用される。パワーサイクルから転送された作動流体は、パワーサイクルの凝縮水またはその他の作動流体を再加熱する(またはさらに発電する)よりも、必要な熱をETLプラント100の再沸器136(および/またはCO2回収ユニット110またはH2生成ユニット106)に提供する際により良好に用いられる。同様に、プラント200のパワーサイクルの凝縮水またはその他の作動流体の予熱に際し、たとえば、図示のように、先ずETLプラント内部でこのような熱を用い得る場合でも、ETLプラント100の反応器118の出口におけるメタノール凝縮器からの廃熱の少なくとも一部が有益に用いられる。
【0040】
現在、パートナープラント200は発電し、この電力はその後、電力を蒸気またはその他の熱媒体に変換するETLプラント100によって購入され得る(たとえば、図2の発生器152を参照)。蒸気またはその他の作動流体の一部分を電気に変換した後に蒸気に戻す(これは非常に非効率的である)よりも、パートナープラント200のパワーサイクルから転送した場合、エネルギーが節約され、両方のプロセスがより効率的になる。たとえば、蒸気(またはその他の作動流体)を(たとえば、パワーサイクルのタービン202で)電気エネルギーに変換すると、変換時にエネルギーの約3分の2が失われ、電気式の蒸気発生器において、電気エネルギーを蒸気(またはその他の熱媒体)に戻すと、さらにエネルギーが失われる。
【0041】
図3を参照すると、パワープラントからETLプラントへの熱統合(たとえば、蒸気の統合)が示されている。発電パートナープラント200は、タービン202、凝縮器206、ポンプ208、水予熱器210、および作動流体発生器(たとえば、ボイラ)214を備える。プラント200のパワーサイクルは、これらの要素で構成される。図示していないが、水予熱器210の下流にポンプが設けられて、ボイラ214での加熱、沸騰、過熱に先立って、ループの圧力を(たとえば、約40バール以上に)上昇させる。図面では、1つの予熱器210が示されているが、たとえば、複数の抽気と複数の予熱器が提供される場合がある比較的大規模なパワーサイクルにおいて、複数の予熱器が用いられ得ることが理解される。勿論、このような構成は本開示の範囲に含まれる。さらに、蒸気パワープラントの給水加熱器(水予熱器)を「開放」型または「閉鎖」型とすることができることは当業者に理解される。開放型の場合、LP抽気蒸気と凝縮液は直接混合される。閉鎖型の給水加熱器は、2つの流れを混合することなく両者間の熱伝達を行うことで、異なる圧力間の熱伝達を可能としている点で、従来型の熱交換器と類似している。勿論、本開示では(開放型または閉鎖型の)いずれのタイプの給水加熱器の使用も考慮している。1つまたは複数の作動流体の抽気流れも提供され、蒸気またはその他の作動流体の一部をタービン202での発電から他の用途に転用することができる。このような抽気流れは、たとえば低圧(LP)抽気流れ、中圧(MP)抽気流れなど、さまざまな所望の圧力のいずれかであり得る。パートナープラント200をETLプラント100と統合するために、作動流体(たとえば、MP抽気流れ)の一部分がタービン202から転送され、熱媒体として熱交換器150へと導入される。例として、MP抽気流れ204は150~200℃であり得、5~15バールの圧力であり得る。できるだけ多くのエネルギーを利用するために、作動流体が熱交換器150で凝縮され、凝縮液として戻される。この排出流れ216が水予熱器210に戻され、残った熱を用いて、凝縮器206とポンプ208から来る水を予熱することができる。このように予熱された水は、その後、作動流体発生器214に送られ、パワーサイクルが再開する。
【0042】
図4は、図3に示す熱統合(たとえば、蒸気の統合)に加えて、ETLプラントからパワーサイクルへの熱伝達を示し、プラント100とプラント200の間のより複雑な熱統合を示している。たとえば、20~30℃(またはその他の比較的低い凝縮温度)で凝縮、加圧された水は、ポンプ208を介して、低温の流れ218としてETLプラント100の熱交換器123へと供給される。たとえば、反応装置118で行われた発熱反応(たとえば、メタノール合成)から利用可能である熱を用いて、水は約100℃まで加熱され、この加熱後の流れ220は発電プラント200の水予熱器210に送り返される。例として、流れ218を加熱するために使用され、熱交換器123における対向する流体(oppsing fluid)である、反応器の排出流れは、熱交換器123に110℃(たとえば、加圧下)で流入し、40℃で排出され得る。この熱統合によって、抽気流れ212に必要な流量が大幅に削減され、有意な値(significant value)を有する高品質の流れとなる(たとえば、この流れは、さらなる発電、ETLプラント100の再沸器136への熱供給、CO2回収ユニット110での使用、またはその他の用途に用いられ得る)。さらに、これによって、熱交換器123からキャッチポット124への流れを十分に冷やすために必要な冷却も低減される。このような冷却水の流れは図示されていないが、このような冷却水の必要な流量が大幅に低減される。本実施形態では、この高い値の抽気流れの大部分の必要性が、ETLプラント100によって提供される、(メタノール合成の発熱反応から提供される熱を用いた)熱交換器123からのより低い値の流れに置き換えられる。戻された加熱後の流れ220は、図示のように、流れを放出する凝縮器206の必要な予熱の大部分を達成し、抽気流れ212の流量を削減することによって任意の最終的なさらなる加熱も達成することが可能である。
【実施例
【0043】
図5A~5Cは、かかる熱統合の結果としての、達成された効率改善に注目した、たとえば図3~4に示される構成に基づく3つの具体例を例示している。これらの例を、「ベースライン」比較に関して、図1Aと比較することができる。勿論、これらの例では蒸気が用いられるが、その他の作動流体/熱媒体も可能であることは明らかである。図5A~5Cでは、パワーサイクルシステムへの作動流体の流量を増加させることなく(440℃および41バールの蒸気の流量は変更されていない)、純発電量を含めた効率が改善されている。図1Aに示すベースライン動作によって、全負荷で32MWを発電する。しかし、図5Aに示される例では、ETLプラント100によって提供される廃熱により、目標106℃の水を循環させるために、0.4kg/秒のLP蒸気抽気の転送を要するだけである。たとえば、図5Aに示すように、給水加熱器(たとえば、予熱器210)に戻される流れを、ETLプラントから統合された熱を用いて、(図1Aのシナリオにおける25℃ではなく)98℃まで予熱することができる。LP抽気の流量は、4kg/秒から僅か0.4kg/秒にまで低減される(90%の削減)。結果的に、タービンでの発電に十分に利用される440℃、41バールの蒸気の割合が増加し、結果として発電量が5.9%増加する(32MWに対して33.9MW)。図5Aに示すように、ETLプラントは、23.5MWの電力を用いて蒸気を生成し、純電力輸送量33.9-23.5=10.4MWを提供する。電気式蒸気ボイラは98%の効率で稼働するものと想定される。図1Aのベースライン構成では、32-23.5=8.5MWの純電力輸送が提供される。したがって、図5Aは、純電力輸送量の22%増加を表している。図5Aで示した実施形態は「熱統合」をもたらすものとして説明され得る。
【0044】
図5Bは、「蒸気統合」をもたらすものとして説明され得る実施形態を示す。蒸気の形態で23MWの熱エネルギーがパワープラントから提供されることで、ETLプラントの蒸気発生器が不要になる。これによりタービンで生成される電力は減少するものの、図1Aのベースラインに比して(さらに、図5Aに示す熱統合に比しても)純電力輸送量は増加する。図5Bに示すように、ETLプラントで蒸気が使用された後、凝縮液がドラムに戻され、水予熱器210内の凝縮液の予熱に使用するための大量の熱が提供される。その結果、所望の予熱を完了するために使用されるLP抽気流れの流量は(図1Aの4kg/秒に比して)1.4kg/秒まで減少する。それでも、タービンは25.2MWの電力を生成することができ、ETLプラントでは(蒸気発生器が不要になるため)蒸気発生器による電力消費がない。したがって、純電力輸送量は25.2-0=25.2MWとなり、これは196%の増加を表している(当初の8.5MWのベースラインの3倍近い)。
【0045】
図5Cは、図5Aと5Bで見られる統合を組み合わせ、「蒸気統合」と「熱統合」の両方を提供する実施形態を示す。このシナリオでは、予熱器210で凝縮液の最終の予熱を達成するために必要とされるLP抽気流れは不要とされており(0kg/秒の流量)、タービンは26MWの電力を生成できるので、純電力輸送量は26-0=26MWとなり、これは205%の増加を表している(当初の8.5MWのベースラインの3倍超)。
【0046】
図5Aと5Cには例示されていないが、ETLプラントでの冷却水の必要性も大幅に減少する(たとえば、生成されたメタノールを冷却し凝縮するために必要な冷却水の流量が10~20%減少する)。
【0047】
実施例と本開示の大部分において、発電プラントと発熱合成反応を介して廃熱を生じさせる化学合成プラントとの間における熱統合を記載しているが、本開示がこれらに限定されないことが理解される。たとえば、本明細書に述べられる通り、(発電用のタービンの有無にかかわらず)凝縮された作動流体をそのようなサイクルの一部として再度加熱する必要が依然としてありつつも、プラントは、実際に発電することなく、熱力学的パワーサイクルを稼働させ得る。例として、これは、パワーサイクルで発電しない場合がある、特にグリーンフィールドサイトの場合に該当し得る。すべての熱を熱エネルギーとして使用することがより経済的である、産業廃熱が伴う場所もあり得る。(たとえば、アイスランド、ノルウェーなど)世界の一部地域においては、フェロシリコンプラントまたはその他のプラントの場合もある。たとえば、CO2回収に使用され得る蒸気またはその他の作動流体/熱媒体を廃熱回収ユニットで生成することができ、圧縮機を稼働させたり、蒸留に用いたり、工業地帯の地域暖房、近隣の街の暖房、および/または、魚の養殖などの、場合によってはその他の産業の暖房に用いたりする。一部のこうした具体的なケースでは発電を行わない場合があるが、本開示はそれらに限定されないことは明らかである。
【0048】
一部のこうしたケースにおいて、ETLプラントまたはその他の化学合成プラントからパワーサイクルへの熱統合は不可能である場合がある。というのも、熱統合が一方向のみで行われ得る(たとえば、パワーサイクルを稼働させるプラントへ廃熱を戻す必要のない、ETLまたはその他の化学合成プラントで生成された蒸気またはその他の作動流体の使用)ように、パワーサイクルに戻される凝縮液が化学合成プラントの廃熱の流れよりも既に高温であり得るためである。
【0049】
したがって、当業者には開示から理解されるように、開示した実施形態の特徴は、特定の利点を達成するために組み合わされ得るか、または構成され得る。同様に、開示した実施形態の特徴は、本明細書で詳述していない、他の例に適用可能な、独立的な恩恵をもたらし得る。
【0050】
なお、本開示のいずれの実施形態においても、必ずしもすべての目的または利点が達成され得るとは限らないことが理解されるべきである。当業者であれば、教示または示唆されている通りにその他の目的または利点を達成しなくとも、教示されている利点のうちの1つの利点または群を達成または最適化する手法で、システムおよび方法が具体化または実行され得ることを認識する。
【0051】
当業者であれば、開示した種々の特徴の交換可能性を認識する。記載した変形例以外にも、各特徴に関するその他の周知の等価物を、本開示の原理に基づいて当業者が組み合わせたり一致させたりすることによって、熱、蒸気、および/またはその他の加熱された作動流体の統合を行うまたは用いることができる。記載された特徴がその他のシステムおよびプロセスに適合され得ることが当業者に理解される。したがって、本開示とその実施形態および変形例は、メタノール合成プロセスまたは特定のパートナープラントに限定されることなく、廃熱を生じさせる任意の発熱化学プロセスと、高圧蒸気またはその他の高い値の作動流体/熱媒体を生じさせる任意のパートナープロセスとの間の熱を統合することによっても利用可能である。
【0052】
本開示は、熱統合の特定の実施形態および例を記載しているが、それゆえ、本開示が、具体的に開示された実施形態を超えて、他の代替実施形態および/または本開示の使用、ならびにそれらの明らかな改変および等価物をも包含していることは当業者に理解される。本開示は、上記した特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図されている。
【0053】
さらに、特記しない限り、本明細書および特許請求の範囲に記載の数量、構成要素、距離、またはその他の測定値を表す数は、「約」という用語またはその類義語によって随意に変更されるものとして理解されるべきである。「約」、「およそ」、「実質的に」などの用語は、記載の量、値、または条件に関連して使用される場合、記載の量、値、または条件を20%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、または0.01%未満だけ逸脱した量、値、または条件を意味するものとして解釈され得る。本明細書で使用されるように、「間」という用語は任意の参照されたエンドポイントを含む。たとえば、「2と10の間」は2と10の両方も含む。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
【手続補正書】
【提出日】2024-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)パワーサイクルの一部分として蒸気またはその他の作動流体を生成するパートナープラント(200)と、(ii)発熱反応から熱を生じるETL(エミッション・トゥ・リキッド)プラント(100)との間での熱統合のためのシステムであって、
蒸気またはその他の作動流体の発生器(214)と、
タービン(202)と、
凝縮器(206)と
ポンプ(208)と、
開放型または閉鎖型のいずれかである、水予熱器(210)と、
前記タービンからの第1の抽気流れ(212)および第2の抽気流れ(204)と、を含み、
前記第2の抽気流れ(204)が熱交換器(150)に供給され、前記第2の抽気流れ(204)からの熱が、蒸留塔(128)からの底部凝縮液留分を前記蒸留塔(128)に接続された再沸器(136)で加熱するために用いられ、
前記熱交換器(150)が、低温の流れ(216)を前記パートナープラント(200)の前記パワーサイクルに接続された前記水予熱器(210)に戻す、システム。
【請求項2】
前記パワーサイクルが、発電するために使用される、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記パワーサイクルが、発電するためには使用されないパワーサイクルである、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記パワーサイクルからの蒸気またはその他の作動流体が、機械設備を稼働させ、CO2の回収および/またはH2の生成を行うために使用される、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の抽気流れが低圧の抽気流れである、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の抽気流れが中圧の抽気流れである、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記凝縮器が海水凝縮器を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
(i)蒸気またはその他の作動流体をパワーサイクルの一部分として生成するパートナープラント(200)と、(ii)発熱反応から熱を生じるETL(エミッション・トゥ・リキッド)プラント(100)との間での熱統合のためのシステムであって、
前記パワーサイクルのタービンから取り出される抽気流れ(204)が熱交換器(150)に供給され、前記ETLプラントの蒸留塔(128)からの底部凝縮液留分を、前記蒸留塔(128)に接続された再沸器(136)で加熱し、前記熱交換器(150)が、水予熱器(210)に低温の流れ(216)を戻し、
前記ETLプラント(100)の前記発熱反応からの熱を凝縮された低温の流れ(218)と交換することによって前記低温の流れを加熱するように構成された熱交換器(123)に、前記低温の流れ(218)を前記タービンから供給するポンプ(208)が、予熱後の流れ(220)を水予熱器(210)へ戻すことによって、前記パートナープラント(200)の前記パワーサイクルの蒸気またはその他の作動流体の発生器(214)における作動流体の最終加熱を行う、システム。
【請求項9】
前記予熱後の流れ(220)が、低品質の流体流れであり、前記水予熱器における、前記タービンからの高品質の抽気流れ(212)を用いる必要性を最小化するかまたは低減する、請求項記載のシステム。
【請求項10】
前記抽気流れが中圧の抽気流れである、請求項記載の熱統合システム。
【請求項11】
前記パワーサイクルからの蒸気またはその他の作動流体が、さらにまたは代替的に、炭素回収ユニット(110)のストリッパへの熱の提供および/またはH2生成ユニット(106)への蒸気または熱の提供に用いられる、請求項記載の熱統合システム。
【請求項12】
ETL(エミッション・トゥ・リキッド)プラント(100)であって、前記ETLプラントが、
第1の供給流れ(102)および第2の供給流れ(104)と、
電気分解(H2発生)ユニット(106)と、
CO2回収ユニット(110)と、
少なくとも1つの圧縮機(108、112、114)と、
複数の熱交換器(116、120、122、146)と、
反応器(118)と、
キャッチポット(124)と、
キャッチポットの上部留分(126)と、
蒸留塔(128)と、
凝縮器(130)と、
還流の流れ(134)と、
貯蔵部へ送られる留出液の流れ(132)と、
再沸器(136)と、
気またはその他の作動流体のソースと、を含み、
前記第1の供給流れ(102)が、電気分解ユニットで水素が製造されるもとになる水を含み、前記第2の供給流れ(104)がCO2を含む、ETLプラント。
【請求項13】
蒸気またはその他の作動流体の前記ソースが、電気式蒸気発生器(152)からの蒸気を含む、請求項12記載のETLプラント。
【請求項14】
プラント内部の内的熱統合のためのシステムであって、前記内的熱統合のためのシステムシステムが、
蒸留塔(128)からの底部凝縮液留分を再度加熱するための再沸器(136)と、
ポンプ(140)と、
第1および第2の熱交換器(120、146)と、を備え、
前記再沸器(136)が低温の流れ(138)を前記ポンプ(140)に供給し、前記ポンプ(140)が低温の流れ(142)を前記第1の熱交換器(120)に供給し、
前記第1の熱交換器(120)が、内部で発熱反応を生じる反応器(118)の出口に接続されており、
前記第1の熱交換器(120)の出口からの流れ(144)が前記低温の流れ(142)に対して高温になるまで加熱された後、前記第2の熱交換器(146)へ供給され、前記流れ(144)を所望の温度になるまでさらに加熱した上で、前記再沸器(136)に供給する、内的熱統合のためのシステム。
【請求項15】
前記プラントが、ETL(エミッション・トゥ・リキッド)プラント(100)である、請求項14記載の内的熱統合のためのシステム。
【請求項16】
前記反応器(118)で生じる前記発熱反応がメタノール合成反応である、請求項14記載の内的熱統合のためのシステム。
【請求項17】
前記第2の熱交換器(146)が蒸気またはその他の作動流体を利用して、高温で出力される流れ(148)を生成する、請求項14記載の内的熱統合のためのシステム。
【国際調査報告】