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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-05
(54)【発明の名称】微生物学的廃水処理のための設備
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/28 20230101AFI20250226BHJP
   B01D 21/02 20060101ALI20250226BHJP
   B01D 21/00 20060101ALI20250226BHJP
   C12P 5/02 20060101ALN20250226BHJP
【FI】
C02F3/28 Z
B01D21/02 F
C02F3/28 A
B01D21/00 D
C12P5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024546417
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2022085967
(87)【国際公開番号】W WO2023147924
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】22155121.1
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524292503
【氏名又は名称】パケ・アイ.ピー.・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】PAQUES I.P. B.V.
【住所又は居所原語表記】Tjalke de Boerstrjitte 24,8561 AB Balk,NETHERLANDS
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザイルストラ、ヒルケ
(72)【発明者】
【氏名】プリンス、リエンク
(72)【発明者】
【氏名】モーゼ、エリク
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリックス、ティム・ルーカス・ジョージ
【テーマコード(参考)】
4B064
4D040
【Fターム(参考)】
4B064AB03
4B064CA02
4B064CD23
4B064DA16
4D040AA23
4D040AA27
4D040AA42
(57)【要約】
本発明は、(i)バイオマススラッジを含むバイオリアクタと、(ii)バイオリアクタから分離され、且つ1つ又は複数の傾斜プレートセトラーを含むバイオマスセパレータとを含む設備において、生分解性基質を含む水性液体を微生物学的に処理するプロセスであって、バイオマスセパレータは、0.5~30mのフットプリント面積Aを有し、及び1つ又は複数の傾斜プレートセトラーは、
【数1】
(式中、psaは、傾斜プレート要素iの総投影表面積をmで表し、PSAR≧2.8+0.17Aである)のように計算される総投影表面積(PSA)及び総投影表面積比率(PSAR)を共に提供する、総数でn個の傾斜プレート要素を含む、プロセスに関する。本発明のプロセスを動作させるために使用される設備は、分離効率を損なうことなく、且つ設備の総フットプリントを実質的に増加させることなく、非常に高い流体流速でバイオマスセパレータの固液分離を達成することができる。本発明は、生分解性基質を含む水性液体を微生物学的に処理するための設備も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)バイオマススラッジを含むバイオリアクタと、(ii)前記バイオリアクタから分離され、且つ1つ又は複数の傾斜プレートセトラーを含むバイオマスセパレータとを含む設備において、生分解性基質を含む水性液体を微生物学的に処理するプロセスであって、
・生分解性基質を含む前記水性液体を前記バイオリアクタに導入することと、
・バイオマスを含む処理済み流体を前記バイオリアクタの上部から前記バイオマスセパレータの上部に移送することと、
・前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーにおいて、前記処理済み流体を、減少したバイオマス含有量を有する液相と、バイオマスが富化された流体相とに分離することと、
・前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーから、減少したバイオマス含有量を有する液相を除去することと、
・前記バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部を前記バイオマスセパレータの下部から前記バイオリアクタに移送することと
を含むか、又は
・生分解性基質を含む前記水性液体と、前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーによって生成される、バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部との混合物を前記バイオリアクタに導入することであって、前記混合物は、(i)生分解性基質を含む前記水性液体を前記バイオマスセパレータの前記下部に導入し、且つ前記水性液体を、バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部と混合すること、又は(ii)生分解性基質を含む前記水性液体と、バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部との両方を混合ユニットに導入し、且つ前記水性液体を、バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部と混合することによって生成される、導入すること、
・前記水性液体と流体相の前記少なくとも一部との前記混合物を前記バイオリアクタに移送すること、
・バイオマスを含む処理済み流体を前記バイオリアクタの前記上部から前記バイオマスセパレータの前記上部に移送すること、
・前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーにおいて、前記処理済み流体を、減少したバイオマス含有量を有する液相と、バイオマスが富化された流体相とに分離すること、
・前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーから、減少したバイオマス含有量を有する液相を除去すること
を含み、
前記バイオマスセパレータは、0.5~30mのフットプリント面積Aを有し、前記フットプリント面積は、前記装置又はユニットの、水平表面積への垂直な投影によって覆われる前記水平表面積に等しく、
前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーは、
【数1】
- PSAR=PSA/A
(式中、psaは、傾斜プレート要素iの総投影表面積をmで表し、前記総投影表面積は、前記傾斜プレート要素の表面積の水平成分に等しく、
PSAR≧2.8+0.17Aである)
のように計算される総投影表面積(PSA)及び総投影表面積比率(PSAR)を共に提供する、総数でn個の傾斜プレート要素を含む、プロセス。
【請求項2】
前記バイオマスセパレータは、少なくとも20m/時/mの流速において、減少したバイオマス含有量を有する前記液相を生成するように動作され、前記流速は、減少したバイオマス含有量を有する前記液相の流量を前記バイオマスセパレータの前記フットプリント面積で割ることによって計算される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記バイオマスセパレータの容積は、前記バイオリアクタの容積の多くとも5分の1である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記バイオリアクタ内の流体カラムの高さと、前記バイオマスセパレータ内の流体カラムの高さとは、5%以下だけ異なる、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記バイオマスセパレータは、1m-1を超える、高さ:フットプリント面積の比率を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの前記傾斜プレート要素は、矩形のプレートからなり、psaは、
psa=l×w×cos(Θ
のように計算され、式中、
は、傾斜プレートIの長さをmで表し、
は、傾斜プレートIの幅をmで表し、
Θは、傾斜プレートiのピッチを表す、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの前記傾斜プレート要素は、互いに積み重ねられている上部開放円錐からなる、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの前記傾斜プレート要素は、
・最も外側のエンクロージャ及び最も内側のエンクロージャを含み、且つ少なくとも1つの同心キャビティを画定する少なくとも2つの同心エンクロージャと、
・前記少なくとも1つの同心キャビティに形成された1つ又は複数の螺旋形状チャネルと、
・前記1つ又は複数の螺旋形状チャネルの下部に配置されている、流体を受け入れるための流体入口と、
・前記分離装置の下部に配置されている、前記流体に含まれる固体を排出するための固体出口と、
・前記1つ又は複数の螺旋形状チャネルの上部に配置されている、前記流体に含まれる液体を排出するための液体出口と
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
生分解性基質を含む前記水性液体は、前記バイオリアクタの下部に導入される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記バイオマスセパレータは、前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの下に配置される調整チャンバを含み、生分解性基質を含む前記水性液体は、前記調整チャンバに導入され、そこで、前記水性液体は、前記バイオマスが富化された流体相と混合され、その後、水性液体と流体相との前記混合物は、前記バイオリアクタの下部に移送される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記分離ユニットから得られる、前記バイオマスが富化された流体相の一部は、前記バイオリアクタに戻され、及び別の部分は、廃棄される、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記バイオリアクタと前記バイオマスセパレータとの両方は、バイオガスで満たされているヘッドスペースを含み、前記バイオリアクタの前記ヘッドスペースと、前記バイオマスセパレータの前記ヘッドスペースとは、ガス導管によって接続され、前記プロセスは、前記バイオリアクタの前記ヘッドスペース又は前記バイオマスセパレータの前記ヘッドスペースからバイオガスを除去することを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
接線方向に下向きの流れは、前記バイオマスセパレータの前記上部で実現される、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記バイオリアクタ及び前記バイオマスセパレータは、嫌気性条件下で動作される、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
生分解性基質を含む水性液体を微生物学的に処理するための設備であって、
・バイオリアクタ(1)であって、
- バイオマスが富化された流体相を含む流れのための入口(4)と、
- 前記バイオリアクタの上部に配置されている、処理済み液体のための出口(5)と
を含むバイオリアクタ(1)、
・前記バイオリアクタから分離されているバイオマスセパレータ(2)であって、
- 前記バイオマスセパレータの上部に配置されている、処理済み液体を含む流れのための入口(6)であって、前記バイオリアクタの出口(5)に流体接続される入口(6)、
- 入口(6)の下方に配置された1つ又は複数の傾斜プレートセトラー(7)であって、各傾斜プレートセトラーは、減少したバイオマス含有量を有する液相のための出口(8)を有する、1つ又は複数の傾斜プレートセトラー(7)、
- 前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの下の前記バイオマスセパレータの下部に配置されている、バイオマスが富化された流体のための出口(9)であって、前記バイオリアクタの入口(4)又は混合ユニット(19)の入口(20)に流体接続され、前記混合ユニットは、前記バイオリアクタの入口(4)に流体接続される出口(21)を含む、出口(9)
を含むバイオマスセパレータ(2)
を含み、
前記バイオリアクタ、前記バイオマスセパレータの前記下部又は前記混合ユニットは、生分解性基質を含む水性液体のための入口(3)を含み、
前記バイオマスセパレータは、0.5~30mのフットプリント面積Aを有し、前記フットプリント面積は、前記装置又はユニットの、水平表面積への垂直な投影によって覆われる前記水平表面積に等しく、
前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーは、
【数2】
- PSAR=PSA/A
(式中、psaは、傾斜プレート要素iの総投影表面積をmで表し、前記総投影表面積は、前記傾斜プレート要素の表面積の水平成分に等しく、
PSAR≧2.8+0.17Aである)
のように計算される総投影表面積(PSA)及び総投影表面積比率(PSAR)を共に提供する、総数でn個の傾斜プレート要素を含む、設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(i)バイオマススラッジを含むバイオリアクタと、(ii)バイオリアクタから分離されているバイオマスセパレータであって、1つ又は複数の傾斜プレートセトラーを含むバイオマスセパレータとを含む設備において、生分解性基質を含む水性液体を微生物学的に処理するプロセスであって、
・バイオマスを含む処理済み流体をバイオリアクタの上部からバイオマスセパレータの上部に移送することと、
・1つ又は複数の傾斜プレートセトラーにおいて、処理済み流体を、減少したバイオマス含有量を有する液相と、バイオマスが富化された流体相とに分離することと、
・1つ又は複数の傾斜プレートセトラーから、減少したバイオマス含有量を有する液相を除去することと、
・バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部をバイオマスセパレータの下部からバイオリアクタに戻すことと
を含むプロセスに関する。
【0002】
本発明は、そのようなプロセスを実施するために使用され得る設備にさらに関する。
【背景技術】
【0003】
流体/廃水の嫌気性処理は、典型的には、(粒状)嫌気性バイオマスが、有機汚染物質を、主にメタン及び二酸化炭素からなるバイオガスに変換するバイオリアクタで行われる。典型的には、そのようなバイオリアクタの内部には、生成されたバイオガスを処理済み流体から分離し、脱気された流体からバイオマスを分離するための装置が設置される。
【0004】
国際公開第2010/036107号パンフレットは、発酵チャンバ(25)を含む反応チャンバ(24)と、発酵チャンバ(25)の上方に取り付けられている、液体、気体及び微粒子材料を含む流体のための沈降装置(2)とを含む、廃水の浄化のための浄化装置を記載しており、前記沈降装置は、
・流体で満たされるように構成されたセトリングチャンバ(3)と、
・セトリングチャンバから液体を排出するための液体排出部(5)であって、動作時に液面(30)に近接するように配置される液体排出部(5)と、
・流体をセトリングチャンバ(3)内に供給するように構成され、且つ液体排出部(5)と本質的に同じレベルに配置された流体入口(6)と、
・粉粒体材料分離装置(7)と、
・セトリングチャンバ(3)からのスラッジ出口(8)と
を含み、入口(6)は、流体からガスを分離するためのガス分離装置(4)を含み、ガス分離装置(4)は、一列の斜めのプレート(13)を含み、プレート(13)は、入口(6)を通して供給された流体が斜めのプレートに沿って斜め下方に流れながら、液体に含まれる微粒子材料の気泡(34)及び/又は軽い粒子がプレート(13)の1つ又は複数の下側に集められ、上方に流れて、入口(6)でガス分離装置(4)から出るように、水平に対してある角度をなしてそれらの長手方向軸と重なり合って平行に配置される。
【0005】
国際公開第2007/078195号パンフレットは、スラッジ床システムを使用した廃水の嫌気性浄化のプロセスを記載しており、このプロセスは、主に粒状バイオマスを含有する上昇流リアクタの下部に廃水を供給し、任意選択で水を再循環させ、それにより得られた気体/液体/固体混合物を上方に通過させ、気体及び固体を三相セパレータ内の液体から分離し、それによりセパレータの頂部から抜き出される嫌気性流出物を生成する処理でバイオガスを生成することを含み、改善は、セパレータの液体から固体を分離することを含み、液相からの気体の分離の上方では、傾斜プレート、チューブ又は他の傾斜したインターナルが三相セパレータ本体に設置されて、有効なセトリング面を増加させる。
【0006】
国際公開第2012/005592号パンフレットは、廃水を浄化するための浄化装置(100)を記載しており、浄化装置は、
・流体のための反応容器(10)であって、反応チャンバ(11)と底部(12)とを有する反応容器(10)と、
・頂端(91)及び下端(92)を有するダウナー(14)であって、ダウナーの頂端は、反応容器(10)から流体を収集するために流体収集器(13)に接続され、ダウナーは、反応容器の底部(12)に向かって流体を輸送するように構成される、ダウナー(14)と、
・液体から固体を分離するように構成された固体分離装置(20)であって、固体分離装置に流体を導入するように構成された流体入口(72)と、固体分離装置から分離された液体を除去するように構成された液体排出口(56)とを含む固体分離装置(20)と
を含み、固体分離装置(20)の流体入口がダウナーの底端(92)に接続され、固体分離装置が反応容器の内側、反応容器の底部(12)又はその近くに配置されることを特徴とする。
【0007】
高い流体流量である微生物学的処理済み流体の分離装置上での再循環は、バイオリアクタの下部におけるより良好な混合及びより高い液体上昇流速を生じさせるために使用することができ、それにより質に劣る嫌気性バイオマスの蓄積を防止するため、バイオリアクタの水圧条件にとって有益である。バイオリアクタへのこの再循環は、生分解性基質を非毒性濃度に希釈するために使用することもでき、したがって嫌気性発酵のためのより良好な条件を作り出す。
【0008】
流体リサイクルのための容量を増加させるために、より大きい又は追加の分離装置を設置する必要がある。より大きいバイオリアクタ、具体的にはフットプリント面積(被覆される表面積)がより大きいバイオリアクタが、これらのより大きい又は追加の分離装置を収容するために必要とされ得る。これは、より高い資本のコスト及び運用上の課題、例えば拡大されたバイオリアクタで流体とバイオマスとの間の良好な混合を達成することをもたらす。後者を達成するために、さらに高い流体再循環流量が必要とされ得、分離装置のサイズ及び/又は数のさらなる増加を必要とする。
【0009】
バイオリアクタの外側に分離装置を配置することが知られている。国際公開第2020/038959号パンフレットは、スラッジ床を含有する上昇流バイオリアクタ(1)であって、前記スラッジ床は、バイオマスを含む、上昇流バイオリアクタ(1)と、外部セパレータ(2)と、調整タンク(12)とを含む設備において、生分解性有機物を含む水性流体を処理する方法であって、
・調整タンク(12)の水性流体を処理することと、その後、
・調整タンク(12)からの水性流体をバイオリアクタの下部に供給し、供給された流体をバイオマスと接触させ、それにより生分解性有機物からバイオガスを形成することと、
・バイオマスと接触した流体をバイオリアクタの上部から引き出すことであって、引き出された流体は、バイオマスを含む、引き出すことと、
・バイオリアクタの上部から引き出されたバイオマスを含む水性流体を、傾斜したインターナルが設けられた分離チャンバを含む外部セパレータ(2)に供給することであって、バイオマスを含む水性流体は、バイオマス含有量が減少しているか又はバイオマスを本質的に含まない液相と、バイオマスが富化された流体相とに分離される、供給することと、
・前記バイオマスが富化された流体相を外部セパレータからバイオリアクタに戻すことと、
・含有量が減少しているか又はバイオマスを本質的に含まない前記液相の一部を外部セパレータ(2)から調整タンク(12)に戻すことと
を含む方法を記載している。
【0010】
欧州特許出願公開第1,134,194号明細書は、嫌気性スラッジブランケットリアクタにバイオマスを保持する方法であって、バイオリアクタからの水がそれを通して流れる固体セパレータは、加圧され、バイオマスの沈降は、高圧下で行われ、固体セパレータを通して流れる水の平均滞留時間は、固体セパレータのバイオマスによるガス生成に対する水のガス保持能力の比率以下である、方法を記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、(i)バイオマススラッジを含むバイオリアクタと、(ii)リアクタから分離され、且つ1つ又は複数の傾斜プレートセトラーを含むバイオマスセパレータとを含む設備において、生分解性基質を含む水性液体を処理するプロセスを開発した。本発明のプロセスを動作させるために使用される設備は、分離効率を損なうことなく、且つ設備の総フットプリントを実質的に増加させることなく、非常に高い流体流速でバイオマスセパレータの固液分離を達成することができる。
【0012】
より具体的には、本発明者らは、(i)バイオマススラッジを含むバイオリアクタと、(ii)バイオリアクタから分離され、且つ1つ又は複数の傾斜プレートセトラーを含むバイオマスセパレータとを含む設備において、生分解性基質を含む水性液体を微生物学的に処理するプロセスであって、
・生分解性基質を含む水性液体をバイオリアクタに導入することと、
・バイオマスを含む処理済み流体をバイオリアクタの上部からバイオマスセパレータの上部に移送することと、
・1つ又は複数の傾斜プレートセトラーにおいて、処理済み流体を、減少したバイオマス含有量を有する液相と、バイオマスが富化された流体相とに分離することと、
・1つ又は複数の傾斜プレートセトラーから、減少したバイオマス含有量を有する液相を除去することと、
・バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部をバイオマスセパレータの下部からバイオリアクタに移送することと
を含むか、又は
・生分解性基質を含む水性液体と、1つ又は複数の傾斜プレートセトラーによって生成される、バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部との混合物をバイオリアクタに導入することであって、混合物は、(i)生分解性基質を含む水性液体をバイオマスセパレータの下部に導入し、且つ前記水性液体をバイオマスが富化された流体相の少なくとも一部と混合すること、又は(ii)生分解性基質を含む水性液体と、バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部との両方を混合ユニットに導入し、且つ前記水性液体をバイオマスが富化された流体相の少なくとも一部と混合することによって生成される、導入すること、
・前記水性液体と流体相の少なくとも一部との混合物をバイオリアクタに移送すること、
・バイオマスを含む処理済み流体をバイオリアクタの上部からバイオマスセパレータの上部に移送すること、
・1つ又は複数の傾斜プレートセトラーにおいて、処理済み流体を、減少したバイオマス含有量を有する液相と、バイオマスが富化された流体相とに分離すること、
・1つ又は複数の傾斜プレートセトラーから、減少したバイオマス含有量を有する液相を除去すること
を含み、
バイオマスセパレータは、0.5~30mのフットプリント面積Aを有し、前記フットプリント面積は、装置又はユニットの、水平表面積への垂直な投影によって覆われる水平表面積に等しく、
1つ又は複数の傾斜プレートセトラーは、
【数1】
- PSAR=PSA/A
(式中、psaは、傾斜プレート要素iの総投影表面積をmで表し、前記総投影表面積は、傾斜プレート要素の表面積の水平成分に等しく、
PSAR≧2.8+0.17Aである)
のように計算される総投影表面積(PSA)及び総投影表面積比率(PSAR)を共に提供する、総数でn個の傾斜プレート要素を含む、プロセスを開発した。
【0013】
バイオリアクタから分離されているバイオマスセパレータを使用することにより、バイオリアクタの処理条件及びバイオマスセパレータの分離条件を別々に最適化することができる。さらに、バイオマスセパレータの1つ又は複数の傾斜プレートセトラーによって高い総投影表面積比率(PSAR)が与えられることを確実にすることにより、小さいフットプリント面積(バイオリアクタのフットプリント面積に対して)を有するバイオマスセパレータにおいて高次な流体流量で効率的な固液分離を達成することができる。
【0014】
本発明は、生分解性基質を含む水性液体を微生物学的に処理するための設備であって、
・バイオリアクタ(1)であって、
- バイオマスが富化された流体相を含む流れのための入口(4)と、
- バイオリアクタの上部に配置されている、処理済み液体のための出口(5)と
を含むバイオリアクタ(1)、
・バイオリアクタから分離されているバイオマスセパレータ(2)であって、
- バイオマスセパレータの上部に配置されている、処理済み液体を含む流れのための入口(6)であって、バイオリアクタの出口(5)に流体接続される入口(6)、
- 入口(6)の下方に配置された1つ又は複数の傾斜プレートセトラー(7)であって、各傾斜プレートセトラーは、減少したバイオマス含有量を有する液相のための出口(8)を有する、1つ又は複数の傾斜プレートセトラー(7)
含むバイオマスセパレータ(2)、
・1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの下のバイオマスセパレータの下部に配置されている、バイオマスが富化された流体のための出口(9)であって、バイオリアクタの入口(4)又は混合ユニット(19)の入口(20)に流体接続され、混合ユニットは、バイオリアクタの入口(4)に流体接続される出口(21)を含む、出口(9)
を含み、
バイオリアクタ、バイオマスセパレータの下部又は混合ユニットは、生分解性基質を含む水性液体のための入口(3)を含み、
バイオマスセパレータは、0.5~30mのフットプリント面積Aを有し、前記フットプリント面積は、装置又はユニットの、水平表面積への垂直な投影によって覆われる水平表面積に等しく、
1つ又は複数の傾斜プレートセトラーは、
【数2】
- PSAR=PSA/A
(式中、psaは、傾斜プレート要素iの総投影表面積をmで表し、前記総投影表面積は、傾斜プレート要素の表面積の水平成分に等しく、
PSAR≧2.8+0.17Aである)
のように計算される総投影表面積(PSA)及び総投影表面積比率(PSAR)を共に提供する、総数でn個の傾斜プレート要素を含む、設備も提供する。
【0015】
したがって、本発明の第1の態様は、(i)バイオマススラッジを含むバイオリアクタと、(ii)バイオリアクタから分離され、且つ1つ又は複数の傾斜プレートセトラーを含むバイオマスセパレータとを含む設備において、生分解性基質を含む水性液体を微生物学的に処理するプロセスであって、
・生分解性基質を含む水性液体をバイオリアクタに導入することと、
・バイオマスを含む処理済み流体をバイオリアクタの上部からバイオマスセパレータの上部に移送することと、
・1つ又は複数の傾斜プレートセトラーにおいて、処理済み流体を、減少したバイオマス含有量を有する液相と、バイオマスが富化された流体相とに分離することと、
・1つ又は複数の傾斜プレートセトラーから、減少したバイオマス含有量を有する液相を除去することと、
・バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部をバイオマスセパレータの下部からバイオリアクタに移送することと
を含むか、又は
・生分解性基質を含む水性液体と、1つ又は複数の傾斜プレートセトラーによって生成される、バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部との混合物をバイオリアクタに導入することであって、混合物は、(i)生分解性基質を含む水性液体をバイオマスセパレータの下部に導入し、且つ前記水性液体をバイオマスが富化された流体相の少なくとも一部と混合すること、又は(ii)生分解性基質を含む水性液体と、バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部との両方を混合ユニットに導入し、且つ前記水性液体をバイオマスが富化された流体相の少なくとも一部と混合することによって生成される、導入すること、
・前記水性液体と流体相の少なくとも一部との混合物をバイオリアクタに移送すること、
・バイオマスを含む処理済み流体をバイオリアクタの上部からバイオマスセパレータの上部に移送すること、
・1つ又は複数の傾斜プレートセトラーにおいて、処理済み流体を、減少したバイオマス含有量を有する液相と、バイオマスが富化された流体相とに分離すること、
・1つ又は複数の傾斜プレートセトラーから、減少したバイオマス含有量を有する液相を除去すること
を含み、
バイオマスセパレータは、0.5~30mのフットプリント面積Aを有し、前記フットプリント面積は、装置又はユニットの、水平表面積への垂直な投影によって覆われる水平表面積に等しく、
1つ又は複数の傾斜プレートセトラーは、
【数3】
- PSAR=PSA/A
(式中、psaは、傾斜プレート要素iの総投影表面積をmで表し、前記総投影表面積は、傾斜プレート要素の表面積の水平成分に等しく、
PSAR≧2.8+0.17Aである)
のように計算される総投影表面積(PSA)及び総投影表面積比率(PSAR)を共に提供する、総数でn個の傾斜プレート要素を含む、プロセスに関する。
【0016】
本明細書で使用される「又は」という用語は、別様に明記しない限り、「及び/又は」と定義される。
【0017】
本明細書で使用される「1つの(a)」又は「1つの(an)」という用語は、別様に明記しない限り、「少なくとも1つ」と定義される。
【0018】
本明細書で使用される「生分解性基質」という用語は、ISO 6060:1989に記載されているように、化学的酸素要求量(COD)試験によって決定することができるような、化学的に酸化可能な任意の有機物を指す。有機物の含有量は、一般に、g COD、すなわち有機物の酸化のために消費される酸素のグラムで表される。
【0019】
本明細書で使用される「バイオマス」という用語は、活性微生物を含む非溶解有機物を指す。
【0020】
本明細書で使用される「バイオマススラッジ」という用語は、バイオマスの含有量が高い半固体スラリーを指す。
【0021】
本明細書で使用される「バイオガス」という用語は、本プロセスにおいて、例えばバイオマスによる生分解性基質の嫌気性消化によって生成されるガス(例えば、メタン、二酸化炭素及びそのようなガスの混合物)を指す。
【0022】
本明細書で使用される「傾斜プレートセトラー」という用語は、1つ又は複数の傾斜プレート要素を含む装置を指す。傾斜プレートセトラーは、例えば、矩形のプレート又は(円形、三角形、矩形又は六角形の)上部開放円錐の形態の2つ以上の傾斜プレート要素を含むことができる。傾斜プレートセトラーを固液分離並びに気液分離に使用することができる。固液分離を達成するために、未処理の供給液は、傾斜プレート要素の間を上方に流れる。この間、固体は、プレート要素の上に沈降し、下方に摺動する。傾斜プレート要素の上方には、清澄化された液体が生成され、それが引き出される。傾斜プレート要素の下方では、分離された粒子をスラッジとして収集することができ、それも引き出され得る。気液分離を達成するために、未処理の供給液は、傾斜プレート要素の間を下方に流れる。この間、気泡がプレート要素の下に集まり、上方に上昇する。傾斜プレート要素の下では、脱気された液体が生成され、これが引き出される。傾斜プレート要素の上方では、分離された気泡が気相を形成することができ、これも引き出され得る。傾斜プレートセトラーは、国際公開第2020/260354号パンフレットに記載されているように、螺旋形状のチャネルを形成する1つ又は複数の傾斜プレート要素も含み得る。
【0023】
本明細書で使用される「総投影表面積」という用語は、傾斜プレート要素の表面積の水平な成分を指す。傾斜プレート要素が矩形のプレート又は上部開放円錐である場合、総投影表面積は、傾斜プレート要素の水平な平坦面への垂直な投影によって覆われる表面積に等しい。傾斜プレート要素が螺旋形状のチャネルを形成する場合、螺旋が360°を超えて回転する場合集合表面積が、その垂直突起によって覆われる表面積を超える可能性がある。
【0024】
装置又はユニットに関して本明細書で使用される「フットプリント面積」という用語は、装置又はユニットのその水平表面積への垂直な投影によって覆われる水平表面積を指す。したがって、直立シリンダのフットプリント面積は、シリンダの円形断面の表面積に等しい。
【0025】
本明細書では、「上方」、「下方」、「上」、「中央」、「下部」などの用語が使用される場合には常に、別様に明記しない限り、これらの用語は、動作可能であるときの設備の位置を指す。
【0026】
本明細書で使用される「上部」という用語は、ユニットの上1/2、特に上1/3、より具体的には上1/4を意味する。「下部」という用語は、ユニットの下1/2、特に下1/3、より具体的には下1/4を意味する。
【0027】
本明細書で使用される「近く」という用語は、別様に明記しない限り、基準点から+/-15%以下、特に基準点から+/-10%以下の相対的な高さを意味する。相対的な高さは、底部からの距離をユニットの全高(底部と頂部との間の高さの差)で割ったものである。
【0028】
PSAR≧2.8+0.17Aという要件は、1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの最小PSARがバイオマスセパレータのフットプリント面積に依存することを意味する。この依存性は、異なる直径の円筒状バイオマスセパレータについて以下の表に示される。これらのセパレータには、複数の矩形のプレート(プレート間隔:8cm、プレートの厚さ8mm)を含む傾斜プレートセトラーが取り付けられる。矩形のプレートのプレート角度(30~80°)、幅(0.3~4.0m)及び長さ(0.4~3.0m)は、円筒形バイオマスセパレータのフットプリント面積内部の単一のセトラーによって実現される全投影表面積が最大になるように選択される。実際には、傾斜プレートセトラーの開口側を閉じ、装置をシリンダ内部に取り付けることを可能にするために、いくらかの余分な空間が必要とされるため、このような最大限の利用は達成されない。傾斜プレートセトラーが矩形の形態であるために、シリンダの内側とセトラーの4つの側面との間に開いた空間が残され、流体がセトリング装置を通過し、続いてセトリング装置の下端に入ることを可能にする。以下の表は、前述のPSAR要件を満たすために必要な、これらのセトラーの数を示す。
【0029】
【表1】
【0030】
この表から、最小のPSARを実現するために少なくとも2つの傾斜プレートセトラーのスタックが必要であることが明らかである。
【0031】
特に好ましい実施形態によれば、本発明に従って使用されるバイオリアクタは、粒状スラッジ床(GSB)リアクタである。典型的なGSBリアクタでは、廃水は、バイオリアクタの下部に導入され、廃水の中に存在する有機基質を分解する微生物を含む粒状スラッジ床を通して上方に流れ、それによりバイオガスが形成される。
【0032】
本プロセスは、生分解性基質を含む水性液体の種々のタイプを微生物学的に処理するために好適に使用することができる。好ましくは、生分解性基質を含む水性液体のものは廃水である。適切に処理され得る廃水の例は、乳製品又は乳製品成分(例えば、チーズ)、パルプ及び紙、農産物(例えば、糖、デンプン、植物油)、発酵飲料(例えば、ワイン、ビール)、バイオ燃料、石油化学製品又は化学物質の製造からの廃水である。
【0033】
本プロセスでは、生分解性基質を含む水性液体は、好ましくは、少なくとも10m/hrの流れの速さ、より好ましくは20~1000m/hrの流れの速さで処理される。
【0034】
生分解性基質を含む水性液体は、好ましくは、少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%の水を含有する。
【0035】
生分解性基質を含む水性液体の全有機物含有量は、好ましくは、0.1g COD/Lを超え、より好ましくは、それは、0.5~100g COD/Lの範囲、最も好ましくは1.5~25g COD/Lの範囲である。
【0036】
バイオリアクタに存在するバイオマスは、生分解性基質の少なくとも一部をバイオガスに変換することができる活性微生物を含む。使用され得る微生物の例としては、細菌及び古細菌が挙げられる。好ましくは、使用される微生物は、嫌気性微生物である。特に好ましい実施形態によれば、バイオマスは、メタン生成細菌又はメタン生成古細菌の1つ又は複数の種を含む。
【0037】
さらに好ましい実施形態によれば、本プロセスで使用される活性微生物は、「粒状バイオマス」と呼ばれることが多い凝集体で成長する。
【0038】
本プロセスで使用されるバイオリアクタは、好ましくは、嫌気性条件下で運転される。好ましくは、バイオリアクタに含まれる流体の平均酸化還元電位は、-200mVを下回らない、より好ましくは-300mVを下回らない。「酸化還元電位」は、2580 Oxidation-Reduction Potential(ORP),Standard Methods For the Examination of Water and Waste water(published online:August 27,2018,revised:July 19,2021)で説明したように、酸化還元電極によって適切に測定することができる。
【0039】
バイオリアクタの流体は、好ましくは、10~40℃、より好ましくは20~39℃の範囲の温度に維持される。
【0040】
バイオリアクタの流体のpHは、好ましくは、6~8、より好ましくは6.8~7.5の範囲内に維持される。
【0041】
好ましい実施形態では、バイオガスは、バイオリアクタに含まれる流体1mあたり少なくとも80L/時の速度においてバイオリアクタ内で生成される。より好ましくは、バイオガスは、バイオリアクタに含まれる流体1mあたり少なくとも80~1250L/hrの速度においてバイオリアクタで生成される。
【0042】
本プロセスで製造されるバイオガスは、好ましくは、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも65重量%、メタンを含有する。
【0043】
特に好ましい実施形態によれば、バイオリアクタは、固液セパレータを含まない。バイオリアクタにいずれの固液セパレータを有しないことは、バイオリアクタからバイオマスを除去する必要なく、これらのセパレータを洗浄できるという利点を与える。
【0044】
本プロセスで使用されるバイオマスセパレータは、バイオリアクタの外側に配置され得るか、又は別個のユニットとしてバイオリアクタの内側に配置され得る。好ましくは、バイオマスセパレータは、バイオリアクタの外側に配置される。
【0045】
本プロセスでは、バイオマスセパレータは、好ましくは、嫌気性条件下で運転される。好ましくは、バイオマスセパレータに含まれる流体の平均酸化還元電位は、-200mV未満、より好ましくは-300mV未満である。
【0046】
特に好ましい実施形態によれば、バイオマスセパレータの容積は、バイオリアクタの容積よりも実質的に小さい。好ましくは、バイオマスセパレータの容積は、バイオリアクタの容積の多くとも3分の1、より好ましくは4分の1~25分の1、最も好ましくは5分の1~15分の1である。
【0047】
別の好ましい実施形態によれば、バイオマスセパレータのフットプリント面積は、バイオリアクタのフットプリント面積よりも実質的に小さい。好ましくは、バイオマスセパレータのフットプリント面積は、バイオリアクタのフットプリント面積の多くとも3分の1、より好ましくは4分の1~25分の1、最も好ましくは5分の1~15分の1である。
【0048】
本発明のバイオマスセパレータは、縦長の装置である。典型的には、バイオマスセパレータは、1m-1、より好ましくは2~30m-1、最も好ましくは2~12m-1を超える高さ:フットプリント面積の比率を有する。
【0049】
好ましくは、含有量が減少した液相の少なくとも一部は、バイオリアクタ又はバイオマスセパレータのいずれにも再循環されない。より好ましくは、含有量が減少した液相のいずれも、バイオリアクタ又はバイオマスセパレータのいずれにも再循環されない。
【0050】
本発明の一実施形態では、1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの傾斜プレート要素は、矩形のプレートからなる。各プレートiの投影表面積(psa)は、以下のように計算することができる。
psa=l×w×cos(Θ
式中、
は、傾斜プレートIの長さをmで表し、
は、傾斜プレートIの幅をmで表し、
Θiは、傾斜プレートのピッチを表す。
【0051】
矩形のプレートを含む傾斜プレートセトラーの分離効率は、プレートの長さが3mを超える場合に実質的に効率の増加が実現されないにしても、プレートの長さと共に増加する。したがって、傾斜プレートの長さ(l)は、好ましくは、0.4~3m、より好ましくは0.6~2.5m、最も好ましくは0.8~2mの範囲である。
【0052】
傾斜プレートの幅(w)は、好ましくは、0.3~7m、より好ましくは0.6~6m、最も好ましくは1~5mの範囲である。
【0053】
傾斜プレートのピッチ(Θ)は、好ましくは、30~80°の範囲、より好ましくは40~70°の範囲、最も好ましくは45~65°である。
【0054】
本発明の別の実施形態では、1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの傾斜プレート要素は、互いに積み重ねられている上部開放円錐形のテーパー管からなる。円錐の外縁と内縁との間の距離は、好ましくは、0.3~7mの範囲、より好ましくは0.6~6mの範囲、最も好ましくは1~5mの範囲である。
【0055】
円錐の半角(円錐面と円錐軸との角度)は、好ましくは、30~80°の範囲、より好ましくは40~70°の範囲、最も好ましくは45~65°である。
【0056】
本発明のさらに別の実施形態では、1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの傾斜プレート要素は、螺旋形状チャネルを形成する。好ましい実施形態によれば、このタイプの傾斜プレートセトラーは、以下を含む。
・最も外側のエンクロージャ及び最も内側のエンクロージャを含み、且つ少なくとも1つの同心キャビティを画定する、少なくとも2つの同心エンクロージャ、
・少なくとも1つの同心キャビティ内に形成された1つ又は複数の螺旋形状チャネル、
・1つ又は複数の螺旋形状チャネルの下部に配置されている、流体を受け入れるための流体入口、
・分離装置の下部に配置されている、流体に含まれる固体を排出するための固体出口、及び
・1つ又は複数の螺旋形状チャネルの上部に配置されている、流体に含まれる液体を排出するための液体出口。
【0057】
螺旋形状チャネルを含む傾斜プレートセトラーの総投影表面積は、以下のように計算される。
【数4】
式中、psaは、単一チャネルの総投影表面積を表す。
【0058】
傾斜プレートセトラーの傾斜プレート要素間の平均間隔は、好ましくは、2~18cm、より好ましくは4~14cm、最も好ましくは8~12cmの範囲である。
【0059】
バイオマスセパレータのフットプリント面積は、典型的には、1~22m、より好ましくは1.5~15mの範囲である。
【0060】
バイオマスセパレータにおける効果的な分離を達成するために、十分な好ましくは非乱流の下向きの流れを可能にするために、1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの周りに空間を利用可能にしなければならない。好ましくは、1つ又は複数の傾斜プレートセトラーが配置されるバイオマスセパレータの部分では、断面の面積の20~60%が下方への流れのために利用可能である。
【0061】
1つ又は複数の傾斜プレートセトラーによって得られる総投影表面積比率(PSAR)は、好ましくは、以下の条件を満たす:PSAR≧3.2+0.17A。
【0062】
より好ましくは、PSARは、以下の条件を満たす:PSAR≧3.5+0.17A。
【0063】
最も好ましくは、PSARは、以下の条件を満たす:4+0.17A≦PSAR≦25+0.17A。
【0064】
本発明に従って使用される1つ又は複数の傾斜プレートセトラーは、好ましくは、少なくとも4つ、より好ましくは少なくとも5つ、最も好ましくは6~30の傾斜プレート要素をそれぞれ含む。
【0065】
本プロセスで使用されるバイオマスセパレータは、好ましくは、互いに積み重ねられている2つ以上の傾斜プレートセトラーを含む。積み重ねられたセトラーを使用することは、バイオマスセパレータの容積を効率的に利用することができるという利点及びセパレータが高いフットプリント1mあたりの突出した傾斜プレート表面積に対応することができるという利点を与える。したがって、好ましい実施形態では、バイオマスセパレータは、少なくとも2つ、より好ましくは2~15、最も好ましくは3~5つの積み重ねられた傾斜プレートセトラーを含む。
【0066】
バイオマスセパレータが2つ以上の傾斜プレートセトラーを含む場合、セトラーの各々から除去された、バイオマス含有量の減少した液相は、適切に単一の流れに合流させることができる。これは、バイオマスセパレータの内側又は外側で生じ得る。
【0067】
バイオマスが富化された流体相は、好ましくは、バイオマスセパレータの底部の近くで収集される。
【0068】
本発明の有利な実施形態では、生分解性基質を含む水性液体をバイオリアクタに直接導入する。好ましくは、前記水性液体は、バイオリアクタの下部に導入される。生分解性基質を含む水性液体をバイオリアクタの下部に導入することにより、バイオリアクタのバイオマススラッジを通る上向きの流れが生成され、それによりバイオマス/基質の接触が最大化される。バイオリアクタの性能は、生分解性基質を含む水性液体の流入する流れを効率的に分配することに強力に依存する。その結果、好ましい実施形態では、生分解性基質を含む水性液体の導入時、前記水性液体は、バイオマススラッジの下に均一に分配される。
【0069】
別の有利な実施形態では、本プロセスは、生分解性基質を含む水性液体と、1つ又は複数の傾斜プレートセトラーによって生成される、バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部との混合物をバイオリアクタに導入することを含み、混合物は、生分解性基質を含む水性液体をバイオマスセパレータの下部に導入し、且つ前記水性液体をバイオマスが富化された流体相の少なくとも一部と混合することによって生成される。以下で説明するように、バイオマスセパレータの下部への水性液体の導入は、バイオマスセパレータが調整タンクとしてさらに機能することができるという利点を与える。
【0070】
特に好ましい実施形態によれば、本発明のこの実施形態で使用されるバイオマスセパレータは、1つ又は複数の傾斜プレートバイオマスセパレータの下に配置される調整チャンバを含む。生分解性基質を含む水性液体は、前記調整チャンバに導入され、そこで、水性液体は、バイオマスが富化された流体相と混合され、その後、水性液体及び流体相の混合物は、バイオリアクタに移送される。生分解性基質を含む水性液体のバイオリアクタへの流入の変動及びバイオリアクタで処理される流体の流れの質の望ましくない変動は、そのような調整チャンバを使用することによって最小限に抑えることができる。さらに、バイオマスセパレータの下端とバイオリアクタとを接続する導管が詰まるリスクも、バイオマスセパレータの下端の1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの下に調整チャンバが存在することによって実質的に低減される。
【0071】
水性液体相と流体相との混合物は、好ましくは、調整チャンバからバイオリアクタの下部に移送される。混合物をバイオリアクタの下部に導入することにより、バイオリアクタのバイオマススラッジを通る上向きの流れが生成される。既に上述したように、バイオリアクタの性能は、生分解性基質を含む流入する流れを効率的に分配することに強力に依存する。その結果、好ましい実施形態では、水性液体と流体相との混合物の導入時、前記混合物は、バイオマススラッジの下に均一に分配される。
【0072】
好ましくは、調整チャンバの容積は、バイオマスセパレータの全容積の5~25%、より好ましくは10~15%を表す。
【0073】
別の有利な実施形態では、本プロセスは、生分解性基質を含む水性液体と、1つ又は複数の傾斜プレートセトラーによって生成される、バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部との混合物をバイオリアクタに導入することを含み、混合物は、生分解性基質を含む水性液体と、流体相の少なくとも一部との両方を混合ユニットに導入し、且つ前記水性液体をバイオマスが富化された流体相の少なくとも一部と混合することによって生成され、その後、水性液体と流体相との混合物は、バイオリアクタ、好ましくはバイオリアクタの下部に移送される。混合物をバイオリアクタの下部に導入することにより、バイオリアクタのバイオマススラッジを通る上向きの流れが生成される。好ましい実施形態では、水性液体と流体相との混合物の導入時、前記混合物は、バイオマススラッジの下に均一に分配される。
【0074】
この実施形態に従って使用される混合ユニットは、単純な管、スタティックミキサー、混合チャンバ又は混合容器の形態をとることができる。
【0075】
本プロセスの特に好ましい実施形態によれば、1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの最も高い出口は、バイオマスセパレータ内の流体カラムの高さの20~90%、より好ましくは40~85%、最も好ましくは60~80%に配置される。
【0076】
本プロセスのさらに好ましい実施形態では、1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの最も低い入口は、バイオマスセパレータ内の流体カラムの高さの1~67%、より好ましくは2~25%、最も好ましくは2.5~20%に配置される。
【0077】
1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの最も高い出口と、1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの最も低い入口との間の距離は、好ましくは、バイオマスセパレータ内の流体カラムの高さの10~85%の範囲、より好ましくは15~70%の範囲、最も好ましくは25~55%の範囲である。
【0078】
好ましい実施形態によれば、バイオマスセパレータは、少なくとも22m/時/mの流速、より好ましくは少なくとも33m/時/mの流速、最も好ましくは44~440m/時/mの流速で動作される。ここで、流速は、バイオマスセパレータを通る処理済み流体の流量をバイオマスセパレータのフットプリント面積で割ることによって計算される。
【0079】
特に好ましい実施形態によれば、バイオマスセパレータは、少なくとも20m/時/mの流速、より好ましくは少なくとも30m/時/mの流速、最も好ましくは40~200m/時/mの流速において、バイオマス含有量が減少した液体を生成するように動作される。ここで、流速は、バイオマスセパレータを通る、バイオマス含有量が減少した液体の流量をバイオマスセパレータのフットプリント面積で割ることによって計算される。
【0080】
バイオリアクタ及びバイオマスセパレータは、非常に類似した流体レベルで動作することが好ましい。好ましくは、バイオリアクタ及びバイオマスセパレータの流体レベルは、5%以下、より好ましくは1%以下だけ異なる。ここで、「流体レベル」は、流体カラムの絶対的な高さを指す。
【0081】
バイオリアクタ及びバイオマスセパレータは、好ましくは、同じ水平面に置かれる。したがって、バイオリアクタ内の流体カラムの高さと、バイオマスセパレータ内の流体カラムの高さとは、好ましくは、5%以下、より好ましくは1%以下だけ異なる。
【0082】
典型的には、バイオリアクタ内の流体カラムの高さは、5~28m、より好ましくは10~24mの範囲である。
【0083】
本プロセスでは、生分解性基質の微生物変換は、典型的には、微生物の増殖及びバイオマスの増加を伴う。バイオリアクタで一定の条件を維持するために、バイオリアクタ内部で余分なバイオマスが生成される速度に匹敵する速度でバイオマスを除去することが好ましい。したがって、好ましい実施形態では、分離ユニットから得られる、バイオマスが富化された流体相の一部は、バイオリアクタに戻され、及び他の部分は、廃棄される。
【0084】
本プロセスでは、生成されたバイオガスは、バイオリアクタの頂部に上昇し、流体からリアクタのヘッドスペースに放出される。
【0085】
バイオマスセパレータに移送される処理済み流体は、典型的には、いくらかのバイオガスも含む。好ましい実施形態では、バイオマスセパレータ内の下向きの流速は、バイオガスがバイオマスセパレータの頂部まで上昇することを可能にするのには十分に低い。バイオマスセパレータの上部を気体/液体セパレータとして使用することにより、減少したバイオマス含有量を有する液相の流出する流れを介したバイオガスの損失が効果的に最小限に抑えられる。このようにして、バイオガスが1つ又は複数の傾斜プレートセトラーにおけるバイオマスの分離を妨害することも回避される。
【0086】
バイオリアクタの上部及び/又はバイオマスセパレータの上部におけるバイオガスの分離は、バイオリアクタの上部及び/又はバイオマスセパレータの上部の流体表面の下に(1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの上方に)設置された気液セパレータによって補助され得る。好ましくは、気液セパレータを使用せずに気液分離が達成される。
【0087】
バイオガスを分離するために1つ又は複数の気液セパレータが使用される場合、これらの1つ又は複数のセパレータは、バイオリアクタではなく、バイオマスセパレータに設置されることが好ましい。したがって、これらのセパレータは、バイオリアクタからバイオマスを除去する必要なく洗浄することができる。使用され得る気液セパレータの例としては、傾斜プレートセトラー及びサイクロンが挙げられる。
【0088】
本発明の別の有利な実施形態では、バイオリアクタとバイオマスセパレータとの両方は、バイオガスで満たされているヘッドスペースを含み、バイオリアクタのヘッドスペースとバイオマスセパレータのヘッドスペースとは、ガス導管によって接続され、プロセスは、バイオリアクタのヘッドスペース又はバイオマスセパレータのヘッドスペースからバイオガスを除去することを含む。
【0089】
先に説明したように、バイオマスセパレータで最大の分離効率を達成するために、バイオマスセパレータの上部に接線方向下向きの流れを作り出すことが有利である。これは、例えば、直立したシリンダの形態のバイオマスセパレータを使用し、処理済み流体をセパレータの内壁に対して20°未満、より好ましくは10°未満の角度でバイオマスセパレータの上部に水平に導入することによって達成することができる。
【0090】
本プロセスで使用される設備は、2つ以上のバイオリアクタ及び/又は2つ以上のバイオマスセパレータを含み得る。
【0091】
本発明の実施形態では、設備は、2つ以上のバイオマスセパレータに接続された1つのバイオリアクタを含む。この構成では、処理済み流体は、バイオリアクタの上部から2つ以上のバイオマスセパレータの上部に移送され、バイオマスが富化された流体相を含む流れは、1つ又は複数のバイオマスセパレータからバイオリアクタに移送される。この構成のPSARは、最初にセパレータの組み合わせの総投影表面積を計算し、それを2つ以上のバイオマスセパレータの合計フットプリント面積で割ることによって計算される。2つ以上のバイオマスセパレータの組み合わせが動作する流速は、2つ以上のバイオマスセパレータを通るときの合わされた流量を2つ以上のバイオマスセパレータの総フットプリント面積で割ることによって計算される。
【0092】
別の実施形態では、設備は、単一のバイオマスセパレータに接続された2つ以上のバイオリアクタを含む。この構成では、処理済み流体は、2つ以上のバイオリアクタの上部から、単一のバイオマスセパレータの上部に移送され、バイオマスが富化された流体相を含む流れは、バイオマスセパレータから2つ以上のバイオリアクタに移送される。
【0093】
好ましくは、本プロセスは、以下に記載されるような設備で動作される。
【0094】
本発明の別の態様は、生分解性基質を含む水性液体を微生物学的に処理するための設備であって、
・バイオリアクタ(1)であって、
- バイオマスが富化された流体相を含む流れのための入口(4)と、
- バイオリアクタの上部に配置されている、処理済み液体のための出口(5)と
を含むバイオリアクタ(1)、
・バイオリアクタから分離されているバイオマスセパレータ(2)であって、
- バイオマスセパレータの上部に配置されている、処理済み液体を含む流れのための入口(6)であって、前記処理済み液体のための入口は、バイオリアクタの出口(5)に流体接続される、入口(6)、
- 入口(6)の下方に配置された1つ又は複数の傾斜プレートセトラー(7)であって、各傾斜プレートセトラーは、減少したバイオマス含有量を有する液相のための出口(8)を有する、1つ又は複数の傾斜プレートセトラー(7)
を含むバイオマスセパレータ(2)、
・1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの下のバイオマスセパレータの下部に配置されている、バイオマスが富化された流体のための出口(9)であって、バイオリアクタの入口(4)又は混合ユニット(19)の入口(20)に流体接続され、混合ユニットは、バイオリアクタの入口(4)に流体接続される出口(21)を含む、出口(9)
を含み、
バイオリアクタ、バイオマスセパレータの下部又は混合ユニットは、生分解性基質を含む水性液体のための入口(3)を含み、
バイオマスセパレータは、0.5~30mのフットプリント面積Aを有し、前記フットプリント面積は、装置又はユニットの、水平表面積への垂直な投影によって覆われる水平表面積に等しく、
1つ又は複数の傾斜プレートセトラーは、
【数5】
- PSAR=PSA/A
(式中、psaは、傾斜プレート要素iの総投影表面積をmで表し、前記総投影表面積は、傾斜プレート要素の表面積の水平成分に等しく、
PSAR≧2.8+0.17Aである)
のように計算される総投影表面積(PSA)及び総投影表面積比率(PSAR)を共に提供する、総数でn個の傾斜プレート要素を含む、設備に関する。
【0095】
本発明による設備の好ましい実施形態は、既に上述されている。
【0096】
特に好ましい実施形態によれば、本設備のバイオリアクタは、粒状スラッジ床(GSB)リアクタである。
【0097】
バイオマスセパレータは、好ましくは、バイオリアクタに隣接して配置される。
【0098】
好ましくは、バイオリアクタ及びバイオマスセパレータは、同じ水平面に取り付けられる。
【0099】
好ましくは、バイオリアクタ及びバイオマスセパレータの高さは、20%以下、より好ましくは10%以下だけ異なる。
【0100】
好ましい実施形態によれば、バイオリアクタは、入口(3)又は入口(4)に流体接続される、バイオリアクタの底部の近くの流入物分配システム(22)を含み、流入物分配システムは、バイオリアクタの底端部にわたって生分解性基質を含む流れを均一に分配する。
【0101】
バイオリアクタ及び/又はバイオマスセパレータは、バイオリアクタ又はセパレータの上端に配置された1つ又は複数の気液セパレータを含むことができる。1つ又は複数の気液セパレータは、好ましくは、セパレータの上端に配置される。好ましくは、気液セパレータは、バイオリアクタに設けられない。
【0102】
最も好ましくは、バイオリアクタもバイオマスセパレータも気液分離を達成するために気液セパレータを使用せず、すなわち、バイオガスは、バイオリアクタの上端及びバイオマスセパレータの上端にそれを逃がすことを可能にすることによって分離される。
【0103】
気液セパレータは、好ましくは、傾斜プレートセトラー、サイクロン及びそれらの組み合わせから選択される。
【0104】
好ましくは、バイオリアクタの上端及びバイオマスセパレータの上端は、バイオリアクタの上端に配置されたガス接続部(15)と、バイオマスセパレータの上端に配置されたガス接続部(16)とを流体接続する導管によって接続される。ガス接続部(15)は、処理済み流体のための出口(5)の上方に配置され、ガス接続部(16)は、処理済み流体(6)の入口の上方に配置される。この構成は、バイオリアクタとバイオマスセパレータの両方が同じヘッドスペース圧力で動作し、バイオガスのさらなる処理のための単一の出口が十分であるという利点を与える。
【0105】
さらに好ましい実施形態では、バイオマスセパレータは、1つ又は複数の傾斜プレートバイオマスセパレータの下に配置される調整チャンバ(18)を含み、この調整チャンバは、生分解性基質を含む水性液体のための入口(3)と、バイオマスが富化された流体相を含む流れのための出口(4)とを含む。バイオマスが富化された流体相を含む流れは、水性液体をバイオマスが富化された流体相と混合することによって調整チャンバ内で生成される。
【0106】
代替的実施形態では、設備は、生分解性基質を含む水性液体のための入口(3)と、バイオマスセパレータの出口(9)に流体接続されている、バイオマスが富化された流体相のための入口(20)と、バイオリアクタの入口(4)に流体接続される出口(21)とを含む混合ユニット(19)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0107】
図1】本発明によるプロセスを動作させるために使用され得る、微生物学的処置のための設備を概略的に示す。
図2】本発明によるプロセスを動作させるために使用され得る、微生物学的処置のための代替設備を概略的に示す。
図3】本発明によるプロセスを動作させるために使用され得る、微生物学的処置のためのさらに別の代替設備を概略的に示す。
図4】バイオマスセパレータの上部の水平断面を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0108】
図1は、本発明によるプロセスで使用するための設備を概略的に示す。設備は、バイオリアクタ(1)及びバイオマスセパレータ(2)を含む。
【0109】
生分解性基質を含む水性液体は、流入物分配システム(22)を介してバイオリアクタの下部(3)に導入される。流入する流体流は、バイオリアクタを通して且つ粒状バイオマス床(23)を通して上方に流れ、生分解性基質の少なくとも一部は、嫌気性微生物(「バイオマス」)によってバイオガスに変換される。バイオガスは、バイオリアクタの頂部まで自然に上昇する。バイオガスの大部分は、バイオリアクタ液面(10)で流体から分離され、リアクタのヘッドスペース(12)で収集される。ヘッドスペースから、それは、バイオガス収集配管(13)を介してバイオリアクタの外に導かれ、この収集配管は、代わりにバイオマスセパレータのヘッドスペースにも接続され得る。処理済み液体(生分解性基質濃度が低い)は、バイオリアクタの頂部から1つ又は複数の出口(5)を通してバイオマスセパレータの頂部の1つ又は複数の入口(6)に流れる。
【0110】
バイオマスセパレータの頂部では、液体表面(11)でさらなる/最終脱気が行われる。バイオマスセパレータのヘッドスペースのバイオガスは、バイオガス出口(16)及びバイオガス入口(15)を介してバイオリアクタのヘッドスペースに流れ、バイオガス収集配管を介してバイオリアクタを出ることができる。次いで、脱気された流体は、バイオマスセパレータを通して下方に流れる。バイオマスセパレータの少なくとも下部には、1つ又は複数の傾斜プレートセトラー(7)が配置される。下方への流体流から、傾斜プレートセトラーの入口が供給される。複数の傾斜プレートセトラーの場合、これらのバイオマスセパレータは垂直に積み重ねられ、異なる高さの流体流が供給される。傾斜プレートセトラーにおける効率的な分離を保証するために、複数の傾斜プレートセトラーにわたる均一な流体流の分配が必要であり、傾斜プレートセトラーを通る流れは乱流になりすぎてはならない。1つ目のものは、バイオマスが少ない流体を収集する配管(8)を、総流量が複数の傾斜プレートセトラーにわたって均等に分配されるように設計することによって達成することができる。2つ目のものは、バイオマスセパレータの外側ケーシングと傾斜プレートセトラーとの間の最小限の空間を考慮することによって達成することができ、分離装置への入口付近に大きい乱流を引き起こすことなく高い流速を達成することができる。バイオマスセパレータを出るバイオマスが少ない流体の合わさった流れは、バイオマスセパレータ及びバイオリアクタの安定した水位を維持するためにバルブ(17)によって制御される。バイオマスが豊富な流体流は、傾斜プレートセトラーを通過しなかった再循環流と同様に、バイオマスセパレータの底部に向かってさらに下向きに流れる。
【0111】
バイオマスセパレータの下部では、再循環流と、バイオマスに富む流体流との組み合わせは、バイオマスセパレータの出口(9)を介してバイオマスが富化された流体相として抽出され、入口(4)を介してバイオリアクタに導入される。これは、機械式ポンプを用いて又はバイオマスセパレータからバイオリアクタへの流れを駆動するガスリフトを生成することによって行うことができる。バイオマスに富む再循環流と流体流とを合わせたものを、入口(3)を介して生分解性基質を含む水性液体と共に、バイオリアクタに導入することもできる。
【0112】
バイオマスセパレータの流体レベルは、バイオリアクタの流体レベルと同様であり、バイオリアクタ内の流体レベルは、バイオリアクタからバイオマスセパレータへの重力流を可能にするために通常動作中に一層高くなる。バイオマスセパレータの容積は、傾斜プレートセトラーを垂直方向に拡張することによって効率的に利用される。これは、例えば、中国実用新案第2880214号明細書に記載されているように、複数の傾斜プレートセトラーを互いに積み重ねるか、又は単一のセトラーの容量を垂直方向に拡張することによって行うことができる。沈降面積を垂直方向に拡大することにより、バイオマスセパレータのフットプリント面積1平方メートルあたりの流体処理能力を、沈降面積を垂直にどの程度拡大するかに応じて、20m/m/h以上に容易に高めることができる。1つ又は複数の傾斜プレートセパレータがバイオマスセパレータケーシングの内側に配置され、流体が流れて通過することを可能にするために、傾斜プレートセトラーの周りに自由空間が必要であることを考慮すると、バイオマスセパレータのフットプリント面積は、傾斜プレートセトラーのフットプリント面積よりも大きい。
【0113】
本発明の実施形態では、バイオマスセパレータの上部は、効率的な脱気装置として利用される。バイオマスセパレータの上部は、バイオマスセパレータの下部に配置されている、1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの入口付近に過度の乱流を生じることなく、高い再循環流速を達成することを可能にする追加の容積を設けることもできる。バイオマスセパレータの頂部の上述の目的の両方は、流体流をバイオマスセパレータの上部に偏心して導入し、したがって接線流のパターンを作り出すことによってさらに最適化することができる。
【0114】
バイオマスセパレータ内の水位が高いことは、1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの分離効率にとって有利である。1つ又は複数の傾斜プレートセトラーが高い静水圧下での分離から利益を得ることを確実にするために、理想的には、1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの頂端は、バイオマスセパレータの水位より少なくとも5メートル下に配置される。
【0115】
バイオマスセパレータのメンテナンスは、例えば、生分解性基質を含む水性液体の入口(3)を閉じ、バイオマスの最後をバイオリアクタに戻し、次いで再循環流を停止することによって容易に行うことができる。次に、相互接続流体接続部(4と9、5と6)及びガス接続部(15及び16)を閉じることにより、バイオマスセパレータをバイオリアクタから分離する。このバイオガスは、バイオリアクタ(12)のヘッドスペースから収集し続けることができるため(13)、バイオリアクタ内で残留バイオガスの生成が停止するまで待つ必要はない。次に、嫌気性バイオマスがバイオリアクタ内側に残っている間にバイオマスセパレータの保守/検査/洗浄を行うことができる。
【0116】
図2は、本発明によるプロセスで使用するための代替の設備を概略的に示す。
【0117】
本発明のこの実施形態では、バイオマスセパレータの下端は、いわゆる調整タンクとして機能する。生分解性基質を含む水性液体は、バイオマスセパレータ(2)の下端に配置された調整チャンバ(18)に導入される。生分解性基質を含む水性液体、バイオマスに富む流体流及び再循環流は、調整チャンバで混合され、混合流は、出口(9)を介してバイオマスセパレータを出て、バイオリアクタの入口(4)に入る。必要に応じて、混合流のさらなる調整は、例えばpHを調整するための化学物質又はバイオリアクタのバイオマスのための栄養素の供給として機能する化学物質を添加することによって行うことができる。
【0118】
図3は、本発明によるプロセスで使用するためのさらに別の代替の設備を概略的に示す。
【0119】
この実施形態では、バイオマスが富化された流体相及び生分解性基質を含む水性液体は、流入物分配システムを通してバイオリアクタに導入される前に一緒に混合される。生分解性基質を含む水性液体は、入口(3)を介して混合ユニット(19)に導入される。同時に、バイオマスが富化された流体相は、バイオマスセパレータの出口(9)から混合ユニットの入口(20)に移送される。必要に応じて、化学物質(例えば、pHを調整するために)又は栄養素を混合ユニットに導入することもできる。続いて、混合流は、混合ユニットの出口(21)からバイオリアクタの入口(4)に移送される。
【0120】
図4は、バイオマスセパレータ(2)の上部の水平断面を概略的に示す。処理済み流体は、入口(6)を介してバイオマスセパレータに入り、入口は、セパレータの内壁に対して角度αで処理済み流体を導入し、それにより下向きの螺旋流を作り出す。
【符号の説明】
【0121】
1 バイオリアクタ
2 バイオマスセパレータ
3 生分解性基質を含む水性液体のための入口
4 バイオマスが富化された流体相を含む流れのための入口
5 処理済み流体のための出口
6 処理済み液体を含む流れのための入口
7 傾斜プレートセトラー
8 バイオマス含有量が低減された液相のための出口
9 バイオマスが富化された流体相を含む流れのための出口
10 バイオリアクタの流体のレベル
11 バイオマスセパレータの流体のレベル
12 バイオリアクタのヘッドスペース
13 バイオマスセパレータのヘッドスペース
15 ガス接続部
16 ガス接続部
17 制御弁
18 調整チャンバ
19 混合ユニット
20 バイオマスが富化された流体相のための入口
21 バイオマスが富化された流体相を含む流れのための出口
22 流入物分配システム
23 粒状バイオマス床
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)バイオマススラッジを含むバイオリアクタ(1)と、(ii)前記バイオリアクタから分離され、且つ互いの上に積み重ねられている2つ以上の傾斜プレートセトラー(7)を含むバイオマスセパレータ(2)とを含む設備において、生分解性基質を含む水性液体を微生物学的に処理するプロセスであって、
・生分解性基質を含む前記水性液体を前記バイオリアクタに導入することと、
・バイオマスを含む処理済み流体を、前記バイオリアクタの上部から、処理済み液体を含む流れのための入口(6)を通して前記バイオマスセパレータの上部に移送することと、
・前記2つ以上の傾斜プレートセトラーにおいて、前記処理済み流体を、減少したバイオマス含有量を有する液相と、バイオマスが富化された流体相とに分離することであって、前記2つ以上の傾斜プレートセトラーは、処理済み液体を含む流れのための前記入口の下方に配置される、分離することと、
・前記2つ以上の傾斜プレートセトラーから、減少したバイオマス含有量を有する液相を除去することと、
・前記バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部を前記バイオマスセパレータの下部から前記バイオリアクタに移送することと
を含み、
前記バイオマスセパレータは、0.5~30m のフットプリント面積Aを有し、前記フットプリント面積は、前記バイオマスセパレータの、水平表面積への垂直な投影によって覆われる前記水平表面積に等しく、
前記2つ以上の傾斜プレートセトラーは、
【数1】
(式中、psa は、傾斜プレート要素iの総投影表面積をm で表し、前記総投影表面積は、前記傾斜プレート要素の表面積の水平成分に等しく、
PSAR≧2.8+0.17Aである)
のように計算される総投影表面積(PSA)及び総投影表面積比率(PSAR)を共に提供する、総数でn個の傾斜プレート要素を含むか、又は
前記プロセスは、
・生分解性基質を含む前記水性液体と、前記2つ以上の傾斜プレートセトラーによって生成される、バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部との混合物を前記バイオリアクタに導入することであって、前記混合物は、
(i)生分解性基質を含む前記水性液体を前記バイオマスセパレータの前記下部に導入し、且つ前記水性液体を、前記バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部と混合すること、又は
(ii)生分解性基質を含む前記水性液体と、前記バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部との両方を混合ユニットに導入し、前記水性液体を、前記バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部と混合し、且つ前記水性液体と流体相の前記少なくとも一部との前記混合物を前記バイオリアクタに移送すること
によって生成される、導入すること
バイオマスを含む処理済み流体を前記バイオリアクタの前記上部から、処理済み液体を含む流れのための入口(6)を通して前記バイオマスセパレータの前記上部に移送すること、
・前記2つ以上の傾斜プレートセトラーにおいて、前記処理済み流体を、減少したバイオマス含有量を有する液相と、バイオマスが富化された流体相とに分離することであって、前記2つ以上の傾斜プレートセトラーは、処理済み液体を含む流れのための前記入口の下方に配置される、分離すること
・前記2つ以上の傾斜プレートセトラーから、減少したバイオマス含有量を有する液相を除去すること
を含み、
前記バイオマスセパレータは、0.5~30mのフットプリント面積Aを有し、前記フットプリント面積は、前記バイオマスセパレータの、水平表面積への垂直な投影によって覆われる前記水平表面積に等しく、
前記2つ以上の傾斜プレートセトラーは、
【数2】
- PSAR=PSA/A
(式中、psaは、傾斜プレート要素iの総投影表面積をmで表し、前記総投影表面積は、前記傾斜プレート要素の表面積の水平成分に等しく、
PSAR≧2.8+0.17Aである)
のように計算される総投影表面積(PSA)及び総投影表面積比率(PSAR)を共に提供する、総数でn個の傾斜プレート要素を含む、プロセス。
【請求項2】
前記バイオマスセパレータは、少なくとも20m/時/mの流速において、減少したバイオマス含有量を有する前記液相を生成するように動作され、前記流速は、減少したバイオマス含有量を有する前記液相の流量を前記バイオマスセパレータの前記フットプリント面積で割ることによって計算される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記バイオマスセパレータの容積は、前記バイオリアクタの容積の多くとも5分の1である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記バイオリアクタ内の流体カラムの高さと、前記バイオマスセパレータ内の流体カラムの高さとは、5%以下だけ異なる、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記バイオマスセパレータは、1m-1を超える、高さ:フットプリント面積の比率を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記2つ以上の傾斜プレートセトラーの前記傾斜プレート要素は、矩形のプレートからなり、psaは、
psa=l×w×cos(Θ
のように計算され、式中、
は、傾斜プレートIの長さをmで表し、
は、傾斜プレートIの幅をmで表し、
Θは、傾斜プレートiのピッチを表す、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記2つ以上の傾斜プレートセトラーの前記傾斜プレート要素は、互いに積み重ねられている上部開放円錐からなる、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記2つ以上の傾斜プレートセトラーの前記傾斜プレート要素は、
・最も外側のエンクロージャ及び最も内側のエンクロージャを含み、且つ少なくとも1つの同心キャビティを画定する少なくとも2つの同心エンクロージャと、
・前記少なくとも1つの同心キャビティに形成された1つ又は複数の螺旋形状チャネルと、
・前記1つ又は複数の螺旋形状チャネルの下部に配置されている、流体を受け入れるための流体入口と、
・前記分離装置の下部に配置されている、前記流体に含まれる固体を排出するための固体出口と、
・前記1つ又は複数の螺旋形状チャネルの上部に配置されている、前記流体に含まれる液体を排出するための液体出口と
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
生分解性基質を含む前記水性液体は、前記バイオリアクタの下部に導入される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記バイオマスセパレータは、前記2つ以上の傾斜プレートセトラーの下に配置される調整チャンバを含み、生分解性基質を含む前記水性液体は、前記調整チャンバに導入され、そこで、前記水性液体は、前記バイオマスが富化された流体相と混合され、その後、水性液体と流体相との前記混合物は、前記バイオリアクタの下部に移送される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記分離ユニットから得られる、前記バイオマスが富化された流体相の一部は、前記バイオリアクタに戻され、及び別の部分は、廃棄される、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記バイオリアクタと前記バイオマスセパレータとの両方は、バイオガスで満たされているヘッドスペースを含み、前記バイオリアクタの前記ヘッドスペースと、前記バイオマスセパレータの前記ヘッドスペースとは、ガス導管によって接続され、前記プロセスは、前記バイオリアクタの前記ヘッドスペース又は前記バイオマスセパレータの前記ヘッドスペースからバイオガスを除去することを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
接線方向に下向きの流れは、前記バイオマスセパレータの前記上部で実現される、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記バイオリアクタ及び前記バイオマスセパレータは、嫌気性条件下で動作される、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
生分解性基質を含む水性液体を微生物学的に処理するための設備であって、
・バイオリアクタ(1)であって、
- バイオマスが富化された流体相を含む流れのための入口(4)と、
- 前記バイオリアクタの上部に配置されている、処理済み液体のための出口(5)と
を含むバイオリアクタ(1)、
・前記バイオリアクタから分離されているバイオマスセパレータ(2)であって、
- 前記バイオマスセパレータの上部に配置されている、処理済み液体を含む流れのための入口(6)であって、前記バイオリアクタの出口(5)に流体接続される入口(6)、
- 入口(6)の下方に配置されている、互いの上に積み重ねられている2つ以上の傾斜プレートセトラー(7)であって、各傾斜プレートセトラーは、減少したバイオマス含有量を有する液相のための出口(8)を有する、2つ以上の傾斜プレートセトラー(7)、
- 前記2つ以上の傾斜プレートセトラーの下の前記バイオマスセパレータの下部に配置されている、バイオマスが富化された流体のための出口(9)であって、前記バイオリアクタの入口(4)又は混合ユニット(19)の入口(20)に流体接続され、前記混合ユニットは、前記バイオリアクタの入口(4)に流体接続される出口(21)を含む、出口(9)
を含むバイオマスセパレータ(2)
を含み、
前記バイオリアクタ、前記バイオマスセパレータの前記下部又は前記混合ユニットは、生分解性基質を含む水性液体のための入口(3)を含み、
前記バイオマスセパレータは、0.5~30mのフットプリント面積Aを有し、前記フットプリント面積は、前記バイオマスセパレータの、水平表面積への垂直な投影によって覆われる前記水平表面積に等しく、
前記2つ以上の傾斜プレートセトラーは、
【数3】
- PSAR=PSA/A
(式中、psaは、傾斜プレート要素iの総投影表面積をmで表し、前記総投影表面積は、前記傾斜プレート要素の表面積の水平成分に等しく、
PSAR≧2.8+0.17Aである)
のように計算される総投影表面積(PSA)及び総投影表面積比率(PSAR)を共に提供する、総数でn個の傾斜プレート要素を含む、設備。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0120】
図4は、バイオマスセパレータ(2)の上部の水平断面を概略的に示す。処理済み流体は、入口(6)を介してバイオマスセパレータに入り、入口は、セパレータの内壁に対して角度αで処理済み流体を導入し、それにより下向きの螺旋流を作り出す。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] (i)バイオマススラッジを含むバイオリアクタと、(ii)前記バイオリアクタから分離され、且つ1つ又は複数の傾斜プレートセトラーを含むバイオマスセパレータとを含む設備において、生分解性基質を含む水性液体を微生物学的に処理するプロセスであって、
・生分解性基質を含む前記水性液体を前記バイオリアクタに導入することと、
・バイオマスを含む処理済み流体を前記バイオリアクタの上部から前記バイオマスセパレータの上部に移送することと、
・前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーにおいて、前記処理済み流体を、減少したバイオマス含有量を有する液相と、バイオマスが富化された流体相とに分離することと、
・前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーから、減少したバイオマス含有量を有する液相を除去することと、
・前記バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部を前記バイオマスセパレータの下部から前記バイオリアクタに移送することと
を含むか、又は
・生分解性基質を含む前記水性液体と、前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーによって生成される、バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部との混合物を前記バイオリアクタに導入することであって、前記混合物は、(i)生分解性基質を含む前記水性液体を前記バイオマスセパレータの前記下部に導入し、且つ前記水性液体を、バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部と混合すること、又は(ii)生分解性基質を含む前記水性液体と、バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部との両方を混合ユニットに導入し、且つ前記水性液体を、バイオマスが富化された流体相の少なくとも一部と混合することによって生成される、導入すること、
・前記水性液体と流体相の前記少なくとも一部との前記混合物を前記バイオリアクタに移送すること、
・バイオマスを含む処理済み流体を前記バイオリアクタの前記上部から前記バイオマスセパレータの前記上部に移送すること、
・前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーにおいて、前記処理済み流体を、減少したバイオマス含有量を有する液相と、バイオマスが富化された流体相とに分離すること、
・前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーから、減少したバイオマス含有量を有する液相を除去すること
を含み、
前記バイオマスセパレータは、0.5~30m のフットプリント面積Aを有し、前記フットプリント面積は、前記装置又はユニットの、水平表面積への垂直な投影によって覆われる前記水平表面積に等しく、
前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーは、
【数6】
- PSAR=PSA/A
(式中、psa は、傾斜プレート要素iの総投影表面積をm で表し、前記総投影表面積は、前記傾斜プレート要素の表面積の水平成分に等しく、
PSAR≧2.8+0.17Aである)
のように計算される総投影表面積(PSA)及び総投影表面積比率(PSAR)を共に提供する、総数でn個の傾斜プレート要素を含む、プロセス。
[2] 前記バイオマスセパレータは、少なくとも20m /時/m の流速において、減少したバイオマス含有量を有する前記液相を生成するように動作され、前記流速は、減少したバイオマス含有量を有する前記液相の流量を前記バイオマスセパレータの前記フットプリント面積で割ることによって計算される、[1]に記載のプロセス。
[3] 前記バイオマスセパレータの容積は、前記バイオリアクタの容積の多くとも5分の1である、[1]又は[2]に記載のプロセス。
[4] 前記バイオリアクタ内の流体カラムの高さと、前記バイオマスセパレータ内の流体カラムの高さとは、5%以下だけ異なる、[1]~[3]のいずれか一つに記載のプロセス。
[5] 前記バイオマスセパレータは、1m -1 を超える、高さ:フットプリント面積の比率を有する、[1]~[4]のいずれか一つに記載のプロセス。
[6] 前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの前記傾斜プレート要素は、矩形のプレートからなり、psa は、
psa =l ×w ×cos(Θ
のように計算され、式中、
は、傾斜プレートIの長さをmで表し、
は、傾斜プレートIの幅をmで表し、
Θ は、傾斜プレートiのピッチを表す、[1]~[5]のいずれか一つに記載のプロセス。
[7] 前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの前記傾斜プレート要素は、互いに積み重ねられている上部開放円錐からなる、[1]~[5]のいずれか一つに記載のプロセス。
[8] 前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの前記傾斜プレート要素は、
・最も外側のエンクロージャ及び最も内側のエンクロージャを含み、且つ少なくとも1つの同心キャビティを画定する少なくとも2つの同心エンクロージャと、
・前記少なくとも1つの同心キャビティに形成された1つ又は複数の螺旋形状チャネルと、
・前記1つ又は複数の螺旋形状チャネルの下部に配置されている、流体を受け入れるための流体入口と、
・前記分離装置の下部に配置されている、前記流体に含まれる固体を排出するための固体出口と、
・前記1つ又は複数の螺旋形状チャネルの上部に配置されている、前記流体に含まれる液体を排出するための液体出口と
を含む、[1]~[5]のいずれか一つに記載のプロセス。
[9] 生分解性基質を含む前記水性液体は、前記バイオリアクタの下部に導入される、[1]~[8]のいずれか一つに記載のプロセス。
[10] 前記バイオマスセパレータは、前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの下に配置される調整チャンバを含み、生分解性基質を含む前記水性液体は、前記調整チャンバに導入され、そこで、前記水性液体は、前記バイオマスが富化された流体相と混合され、その後、水性液体と流体相との前記混合物は、前記バイオリアクタの下部に移送される、[1]~[8]のいずれか一つに記載のプロセス。
[11] 前記分離ユニットから得られる、前記バイオマスが富化された流体相の一部は、前記バイオリアクタに戻され、及び別の部分は、廃棄される、[1]~[10]のいずれか一つに記載のプロセス。
[12] 前記バイオリアクタと前記バイオマスセパレータとの両方は、バイオガスで満たされているヘッドスペースを含み、前記バイオリアクタの前記ヘッドスペースと、前記バイオマスセパレータの前記ヘッドスペースとは、ガス導管によって接続され、前記プロセスは、前記バイオリアクタの前記ヘッドスペース又は前記バイオマスセパレータの前記ヘッドスペースからバイオガスを除去することを含む、[1]~[11]のいずれか一つに記載のプロセス。
[13] 接線方向に下向きの流れは、前記バイオマスセパレータの前記上部で実現される、[1]~[12]のいずれか一つに記載のプロセス。
[14] 前記バイオリアクタ及び前記バイオマスセパレータは、嫌気性条件下で動作される、[1]~[13]のいずれか一つに記載のプロセス。
[15] 生分解性基質を含む水性液体を微生物学的に処理するための設備であって、
・バイオリアクタ(1)であって、
- バイオマスが富化された流体相を含む流れのための入口(4)と、
- 前記バイオリアクタの上部に配置されている、処理済み液体のための出口(5)と
を含むバイオリアクタ(1)、
・前記バイオリアクタから分離されているバイオマスセパレータ(2)であって、
- 前記バイオマスセパレータの上部に配置されている、処理済み液体を含む流れのための入口(6)であって、前記バイオリアクタの出口(5)に流体接続される入口(6)、
- 入口(6)の下方に配置された1つ又は複数の傾斜プレートセトラー(7)であって、各傾斜プレートセトラーは、減少したバイオマス含有量を有する液相のための出口(8)を有する、1つ又は複数の傾斜プレートセトラー(7)、
- 前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーの下の前記バイオマスセパレータの下部に配置されている、バイオマスが富化された流体のための出口(9)であって、前記バイオリアクタの入口(4)又は混合ユニット(19)の入口(20)に流体接続され、前記混合ユニットは、前記バイオリアクタの入口(4)に流体接続される出口(21)を含む、出口(9)
を含むバイオマスセパレータ(2)
を含み、
前記バイオリアクタ、前記バイオマスセパレータの前記下部又は前記混合ユニットは、生分解性基質を含む水性液体のための入口(3)を含み、
前記バイオマスセパレータは、0.5~30m のフットプリント面積Aを有し、前記フットプリント面積は、前記装置又はユニットの、水平表面積への垂直な投影によって覆われる前記水平表面積に等しく、
前記1つ又は複数の傾斜プレートセトラーは、
【数7】
- PSAR=PSA/A
(式中、psa は、傾斜プレート要素iの総投影表面積をm で表し、前記総投影表面積は、前記傾斜プレート要素の表面積の水平成分に等しく、
PSAR≧2.8+0.17Aである)
のように計算される総投影表面積(PSA)及び総投影表面積比率(PSAR)を共に提供する、総数でn個の傾斜プレート要素を含む、設備。
【国際調査報告】