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特表2025-506014フェノフィブラートの徐放性放出のためのミクロスフェア
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-05
(54)【発明の名称】フェノフィブラートの徐放性放出のためのミクロスフェア
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/216 20060101AFI20250226BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20250226BHJP
   A61P 19/04 20060101ALI20250226BHJP
   A61K 9/52 20060101ALI20250226BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20250226BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20250226BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20250226BHJP
【FI】
A61K31/216
A61P19/02
A61P19/04
A61K9/52
A61K47/34
A61K9/107
A61K9/19
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547088
(86)(22)【出願日】2023-02-07
(85)【翻訳文提出日】2024-10-02
(86)【国際出願番号】 EP2023053012
(87)【国際公開番号】W WO2023152138
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】22382101.8
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520258116
【氏名又は名称】セルビソ ガレゴ デ サウーデ
(71)【出願人】
【識別番号】524295733
【氏名又は名称】フンダシオン パブリカ ガレガ デ インベスティガシオン バイオメディカ イニビク
【氏名又は名称原語表記】FUNDACION PUBLICA GALEGA DE INVESTIGACION BIOMEDICA INIBIC
(71)【出願人】
【識別番号】524295744
【氏名又は名称】フンダシオン パブリカ ガレガ インスティトゥト デ インベスティガシオン サニタリア デ サンティアゴ デ コンポステーラ
【氏名又は名称原語表記】FUNDACION PUBLICA GALEGA INSTITUTO DE INVESTIGACION SANITARIA DE SANTIAGO DE COMPOSTELA
(71)【出願人】
【識別番号】520144381
【氏名又は名称】ウニベルシダーデ デ サンティアゴ デ コンポステーラ
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】カラメス ペレス、ベアトリス
(72)【発明者】
【氏名】ブランコ ガルシア、フランシスコ ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】ドミンゲス メディナ、エデゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】ディアス ロドリゲス、パトリシア
(72)【発明者】
【氏名】ノゲイラ レカルデ、ウシーア
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076AA64
4C076AA67
4C076AA94
4C076BB11
4C076CC04
4C076CC09
4C076EE24
4C076EE24F
4C076EE24M
4C076EE48
4C076EE48F
4C076EE48M
4C076FF32
4C076GG26
4C206AA01
4C206AA02
4C206DB25
4C206DB43
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA42
4C206MA58
4C206MA64
4C206MA86
4C206NA12
4C206ZA96
(57)【要約】
本発明は、フェノフィブラートの徐放性放出のための生分解性ミクロスフェア、前記ミクロスフェアを含む注射可能な製剤、及び関節関連障害、例えば、変形性関節炎の治療のためのそれらの使用に関する。本発明は、更に、前記ミクロスフェアを調製する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性ミクロスフェアであって、当該ミクロスフェアが、
(i)ポリ乳酸-コ-グリコール酸コポリマー(PLGA)マトリックスを含み、当該マトリックスが、異なる分子量(Mw)を有する少なくとも2つのPLGAを含み、
(ii)約40μm~約225μmの平均直径を有し、
(iii)フェノフィブラートを含む、生分解性ミクロスフェア。
【請求項2】
前記少なくとも2つのPLGAが各々、約0.16dl/g~約1.70dl/gの粘度を有し、好ましくは、前記少なくとも2つのPLGAの一方が約0.50dl/g~約0.70dl/gの粘度を有し、前記少なくとも2つのPLGAの第2のものが約0.16dl/g~約0.24dl/gの粘度を有する、請求項1に記載の生分解性ミクロスフェア。
【請求項3】
前記少なくとも2つのPLGAが約6kDa~90kDaのMwを有し、好ましくは、前記少なくとも2つのPLGAの一方が約6kDa~18kDaのMwを有し、前記少なくとも2つのPLGAの第2のものが約50kDa~90kDaのMwを有する、請求項1又は2に記載の生分解性ミクロスフェア。
【請求項4】
前記少なくとも2つのPLGAの一方が約100:0~約50:50の乳酸のグリコール酸に対する平均モル比率を有し、好ましくは、前記少なくとも2つのPLGAの一方が、約75:25の乳酸のグリコール酸に対する平均モル比率を有するもの(PLGA75:25)であり、前記少なくとも2つのPLGAの第2のものが、約50:50の乳酸のグリコール酸に対する平均モル比率を有するもの(PLGA50:50)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の生分解性ミクロスフェア。
【請求項5】
前記PLGA50:50と前記PLGA75:25との間の比率が、約90:10、約80:20又は約75:25、好ましくは約90:10から選択される、請求項4に記載の生分解性ミクロスフェア。
【請求項6】
前記ミクロスフェアの直径が、約40μm~約175μm、約45μm~約155μm、約50μm~約125μm、約55μm~約90μm、約55μm~約70μm、約55μm~約65μmである、請求項1~5のいずれか一項に記載の生分解性ミクロスフェア。
【請求項7】
前記ミクロスフェアが、ミクロスフェア1ミリグラム当たり、約0.5μg~約20μg、好ましくは約0.8μg~約15μg、最も好ましくは約1μg~約10μgのフェノフィブラートを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の生分解性ミクロスフェア。
【請求項8】
前記ミクロスフェアが、
(i)ポリ乳酸-コ-グリコール酸コポリマー(PLGA)マトリックスを含み、前記マトリックスが、約0.60dl/gの粘度及び/又は約68kDaのMwを有するPLGA75:25と、約0.21dl/gの粘度及び/又は約13.5kDaのMwを有するPLGA50:50とを含み、
(ii)約55~65μm、好ましくは約60μmの平均直径を有し、
(iii)ミクロスフェア1ミリグラム当たり約0.5μg~約15μgのフェノフィブラート、好ましくは、ミクロスフェア1ミリグラム当たり約1μg~約10μgのフェノフィブラートを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の生分解性ミクロスフェア。
【請求項9】
前記ミクロスフェアが、
(i)約50μm~約100μmのd90粒子サイズ値、及び/又は
(ii)約16μm~約20μmのd10粒子サイズ値、及び/又は
(iii)約30μm~約60μmのd50粒子サイズ値を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の複数の生分解性ミクロスフェア。
【請求項10】
薬学的に許容される担体と、先行請求項のいずれか一項に記載のミクロスフェア又は複数の生分解性ミクロスフェアとを含む、注射可能な製剤。
【請求項11】
前記ミクロスフェアが、標的組織中に存在する場合、フェノフィブラートを少なくとも1ヶ月間、好ましくは、少なくとも2ヶ月間、より好ましくは、少なくとも3ヶ月間にわたって放出する、請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
関節関連障害、好ましくは関節炎、より好ましくは変形性関節炎の治療又は予防のため先行請求項のいずれか一項に記載の生分解性ミクロスフェア、複数の生分解性ミクロスフェア、又は注射可能な製剤。
【請求項13】
先行請求項のいずれか一項に記載の生分解性ミクロスフェア、複数の生分解性ミクロスフェア、又は注射可能な製剤が、関節内に投与され、好ましくは、前記ミクロスフェア、複数のミクロスフェア、又は注射可能な製剤が、単回用量として投与される、請求項12に記載の用途のための生分解性ミクロスフェア、複数の生分解性ミクロスフェア、又は注射可能な製剤。
【請求項14】
キットであって、別個のコンパートメントに、
(a)希釈剤と、
(b)先行請求項のいずれか一項に記載の生分解性ミクロスフェア、又は複数の生分解性ミクロスフェアとを含む、キット。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか一項に記載のミクロスフェアを調製するための方法であって、前記方法が、単一のエマルション-溶媒エバポレーションを含み、好ましくは、前記ミクロスフェアが、約10~30%(w/w)、好ましくは15~25%(w/w)、より好ましくは15~20%(w/w)のポリマー濃度のPLGAを用いて調製される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェノフィブラートの徐放性放出のための生分解性ミクロスフェア、前記ミクロスフェアを含む注射可能な製剤、及び関節関連障害、例えば、変形性関節炎の治療のためのそれらの使用に関する。本発明は、更に、前記ミクロスフェアを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
変形性関節炎は、関節炎の最も一般的な形態である。これは、関節損傷及び関節機能不全によって特徴付けられる。この疾患の経過が、罹患した関節において軟骨の損傷と新しい骨の成長を引き起こし、こわばり及び疼痛を引き起こすからである。膝及び臀部等の大きな関節の変形性関節炎は、人々の可動性を減らし、階段を上る、又は歩行することを困難にするか、又は不可能にし得る。手及び指等の小さな関節の変形性関節炎は、通常の作業を困難にし、痛みを伴う。加齢は、軟骨変性及び変形性関節炎を有する患者における主要なリスクである。
【0003】
フェノフィブラートは、脂質代謝機能不全の治療のために臨床的に使用されており、高いコレステロールレベルに対する治療選択肢として広く知られている。近年の研究では、フェノフィブラートは、軟骨の加齢及び変形性関節炎に対する潜在的な治療の適切な候補として選択された(Nogueira-Recalde et al. 2019)。この研究では、フェノフィブラートにより治療された変形性関節炎患者が、物理的機能を向上させ、したがって、よりよい可動性を示したことが示されている。この研究は、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体アルファ(PPARα)アゴニストであるフェノフィブラートによってPPARαを活性化させることで、軟骨細胞及び軟骨における老化及びオートファジー等の主要な機構を調整し、これによって軟骨分解を防ぐという新しいエビデンスを提供した。データは、変形性関節炎を予防及び治療するための脂質代謝を標的とする新規な疾患修正療法の開発という前臨床の証拠を確立した。
【0004】
しかし、関節には、医薬品開発にとって大きな課題がある。滑膜は、血漿から関節裂隙への薬物の浸透に対する関門を表し、関節軟骨は、血管を有していないため、全身投与された薬物のアクセスには限界がある。一方、フェノフィブラートは、きわめて疎水性であり、水に不溶性であり、その低い溶解度及び限定的な胃腸吸収速度のために、Biopharmaceutics Classification SystemのクラスII化合物として分類される。これらの特徴は、フェノフィブラート投与に対する課題を表し、関節における低い滑液のバイオアベイラビリティを伴う。したがって、標的組織における薬物の低いバイオアベイラビリティ及び全身投与によって引き起こされる副作用といった問題を克服することができる、関節内注射に適した新しい製剤の必要性が存在する。
【0005】
ポリ乳酸コ-グリコール酸コポリマー(PLGA)から作製された生分解性ミクロスフェアは、薬物送達の分野で既知である。PLGAは、ポリ乳酸(PLA)及びポリグリコール酸(PGA)から作製され、FDAに承認された生分解性ポリマーである。これは、良好な生分解性及び生体適合性により、多くの医学分野及び医薬分野において広く研究されてきた。PLGAを含有するミクロスフェアは、分解及び拡散の機構に起因して、持続放出特徴が示されている。例えば、Klose et al(2009)は、脳に対するフェノフィブラートの局所制御された薬物送達が、フェノフィブラートが担持されたPLGA微粒子によって可能であることを示している。Grabacka et al(2015)は、フェノフィブラートを含有するインビトロ生分解性PLGAポリマーウエハーを開示し、究極的には、これを脳腫瘍の切除後の脳腔に挿入することができる。
【0006】
PLGAミクロスフェア調製物の薬物放出プロファイルは、薬物の特定の特性、PLAのPGAに対する比率、ポリマーの分子量/固有粘度、ポリマーに対する薬物の担持比率、及びミクロスフェアのサイズ等の特定の因子に依存する。これらの拘束因子は製剤の物理化学的特性に関連し、薬物放出速度及びその薬物動態プロファイルを規定する。US2020/0297651A1は、フェノフィブラートが担持されたPLGA微粒子の放出プロファイルを比較し、各粒子について異なる分子量を有するPLGAが使用される。34kDaの分子量を有するPLGAを含む粒子を選択し、網膜における毒性を試験した。同様に、Qui et al(2019)は、糖尿病性網膜症及び新生血管型加齢黄斑変性に対する、適切な薬物担持量及びインビトロで最大60日間にわたる持続性薬物放出を示した、34kDaの分子量を有するPLGAから作製された最適化されたフェノフィブラートPLGAナノ粒子を使用する、フェノフィブラートが担持された生分解性ナノ粒子の持続的な治療効果を探究した。PLGAを使用するフェノフィブラート微粒剤の特殊な調製方法は、例えば、CN1302766C及びCN100400032Cに開示される。
【0007】
フェノフィブラートが担持された微粒子の様々な調製及び使用が記載されてきたが、適切な粒子サイズ及び最適化された担持量及び制御放出特性を有するフェノフィブラートが担持されたミクロスフェアを調製するための高分子量及び低分子量のPLGAの混合物の使用は、今日まで示唆されていない。更に、筋骨格系疾患の治療のためにそのような微粒子を使用することも、その関節内投与も記載されていない。
【0008】
2017年に、膝注射のためのPLGA-トリアムシノロン-アセトニドミクロスフェア製剤であるZilretta(登録商標)が、FDAによって承認された。Zilretta(登録商標)は、膝の変形性関節炎患者における疼痛軽減を最大12週間にわたって示す。
【0009】
関節障害、具体的には変形性関節炎を患う患者は、その不快感を和らげるために定期的な治療を必要とする。薬物の毎日の摂取は煩わしく、肯定的な治療結果のためには良好な患者のコンプライアンスが必要である。更に、薬物の全身送達は、望ましくない副作用を引き起こす可能性がある。これまでに、これらの欠点が克服されたフェノフィブラートによる信頼性の高い長期間にわたる治療選択肢は、市場において利用可能ではない。したがって、全身送達により観察された薬物の副作用を最小限に抑えつつ、フェノフィブラートを使用して、関節障害、例えば、変形性関節炎を治療する優れた方法が求められている。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明は、生分解性ミクロスフェアであって、ミクロスフェアが、
(i)ポリ乳酸-コ-グリコール酸コポリマー(PLGA)マトリックスを含み、前記マトリックスが、異なる分子量(Mw)を有する少なくとも2つのPLGAを含み、
(ii)約40μm~約225μmの平均直径を有し、
(iii)フェノフィブラートを含む、生分解性ミクロスフェアに関する。
【0011】
一つの実施形態では、ミクロスフェアは、標的組織中に存在する場合、少なくとも1ヶ月間にわたってフェノフィブラートを放出する。
【0012】
一つの実施形態では、前記フェノフィブラートの放出は制御放出である。
【0013】
一つの実施形態では、少なくとも2つのPLGAは各々、約0.16dl/g~約1.70dl/gの粘度を有し、好ましくは、前記少なくとも2つのPLGAの一方は約0.50dl/g~約0.70dl/gの粘度を有し、少なくとも2つのPLGAの第2のものは約0.16dl/g~約0.24dl/gの粘度を有する。
【0014】
更なる実施形態では、少なくとも2つのPLGAは約6kDa~約90kDaのMwを有し、好ましくは、前記少なくとも2つのPLGAの一方は約6kDa~約18kDaのMwを有し、少なくとも2つのPLGAの第2のものは約50kDa~約90kDaのMwを有する。
【0015】
一つの実施形態では、前記少なくとも2つのPLGAの一方は、100:0~50:50の乳酸のグリコール酸に対する平均モル比率を有し、好ましくは、少なくとも2つのPLGAの一方は、75:25の乳酸のグリコール酸に対する平均モル比率を有するもの(PLGA75:25)であり、少なくとも2つのPLGAの第2のものは、50:50の乳酸のグリコール酸に対する平均モル比率を有するもの(PLGA50:50)でる。
【0016】
更なる実施形態では、PLGA50:50とPLGA75:25との間の比率は、約90:10、約80:20又は約75:25、好ましくは約90:10から選択される。
【0017】
更なる実施形態では、ミクロスフェアの平均直径は、約40μm~約175μm、約45μm~約155μm、約50μm~約125μm、約55μm~約90μm、約55μm~約70μm、最も好ましくは約55μm~約65μmである。
【0018】
好ましい実施形態では、ミクロスフェアの平均直径は、約60μmである。
【0019】
好ましい一つの実施形態では、ミクロスフェアは、ミクロスフェア1ミリグラム当たり、約0.5μg~約20μg、好ましくは約0.8μg~約15μg、最も好ましくは約1μg~約10μgのフェノフィブラートを含む。
【0020】
好ましい実施形態では、ミクロスフェアは、
(i)ポリ乳酸-コ-グリコール酸コポリマー(PLGA)マトリックスを含み、前記マトリックスが約0.60dl/gの粘度及び/又は約68kDaのMwを有するPLGA75:25と、約0.21dl/gの粘度及び/又は約13.5kDaのMwを有するPLGA50:50とを含み、
(ii)約55~65μm、好ましくは約60μmの平均直径を有し、
(iii)ミクロスフェア1ミリグラム当たり1μg~10μgのフェノフィブラート、好ましくは、ミクロスフェア1ミリグラム当たり10μgのフェノフィブラートを含む。
【0021】
一つの実施形態では、ミクロスフェアは、標的組織中に存在する場合、フェノフィブラートを少なくとも2ヶ月間、より好ましくは、少なくとも3ヶ月間にわたって放出する。
【0022】
更により好ましい実施形態では、放出は制御放出である。
【0023】
更なる態様では、本発明は、先行請求項のいずれか一項に定義される複数の生分解性ミクロスフェアであって、ミクロスフェアが、
(i)約50μm~約100μmのd90粒子サイズ値、及び/又は
(ii)約16μm~約20μmのd10粒子サイズ値、及び/又は
(iii)約30μm~約60μmのd50粒子サイズ値を有する、複数の生分解性ミクロスフェアに関する。
【0024】
複数の生分解性ミクロスフェアの好ましい実施形態では、ミクロスフェアは、
(i)約50μm~約100μmのd90粒子サイズ値を有し、
(ii)ポリ乳酸-コ-グリコール酸コポリマー(PLGA)マトリックスを含み、前記マトリックスが異なる分子量(Mw)を有する少なくとも2つのPLGAを含み、
(iii)治療有効量のフェノフィブラートを保有し、
(iv)好ましくは、標的組織中に存在する場合、少なくとも1ヶ月間にわたってフェノフィブラートを放出する。
【0025】
更に好ましい実施形態では、少なくとも2つのPLGAは各々、約0.16dl/g~約1.70dl/gの粘度を有し、好ましくは、前記少なくとも2つのPLGAの一方は約0.50dl/g~約0.70dl/gの粘度を有し、少なくとも2つのPLGAの第2のものは約0.16dl/g~約0.24dl/gの粘度を有する。
【0026】
複数の生分解性ミクロスフェアのなお別の実施形態では、少なくとも2つのPLGAは約6kDa~約90kDaのMwを有し、好ましくは、前記少なくとも2つのPLGAの一方は約6kDa~約18kDaのMwを有し、少なくとも2つのPLGAの第2のものは約50kDa~約90kDaのMwを有する。
【0027】
複数の生分解性ミクロスフェアの更なる実施形態では、前記少なくとも2つのPLGAの一方は、100:0~50:50の乳酸のグリコール酸に対する平均モル比率を有し、好ましくは、少なくとも2つのPLGAの一方は、75:25の乳酸のグリコール酸に対する平均モル比率を有するもの(PLGA75:25)であり、少なくとも2つのPLGAの第2のものは、50:50の乳酸のグリコール酸に対する平均モル比率を有するもの(PLGA50:50)である。
【0028】
好ましい実施形態では、PLGA50:50とPLGA75:25との間の比率は、約90:10、約80:20又は約75:25、好ましくは約90:10から選択される。
【0029】
更なる実施形態では、ミクロスフェアの平均直径は、約40μm~約175μm、約45μm~約155μm、約50μm~約125μm、約55μm~約90μm、約55μm~約70μm、最も好ましくは約55μm~約65μmである。
【0030】
好ましい実施形態では、ミクロスフェアの平均直径は、約60μmである。
【0031】
一つの実施形態では、ミクロスフェアは、ミクロスフェア1ミリグラム当たり、約0.5μg~約20μg、好ましくは約0.8μg~約15μg、最も好ましくは約1μg~約10μgのフェノフィブラートを含む。
【0032】
本発明は更に、薬学的に許容される担体と、本明細書に記載のミクロスフェア又は複数の生分解性ミクロスフェアとを含む、注射可能な製剤に関する。
【0033】
前記製剤の好ましい実施形態では、ミクロスフェアは、標的組織中に存在する場合、フェノフィブラートを少なくとも1ヶ月間、好ましくは、少なくとも2ヶ月間、より好ましくは、少なくとも3ヶ月間にわたって放出する。
【0034】
本発明は更に、関節関連障害、好ましくは関節炎、より好ましくは変形性関節炎の治療又は予防において使用するための本明細書で上に記載の生分解性ミクロスフェア、複数の生分解性ミクロスフェア、又は注射可能な製剤に関する。
【0035】
一つの実施形態では、本明細書に記載の生分解性ミクロスフェア、複数の生分解性ミクロスフェア、又は注射可能な製剤は、関節内投与され、好ましくは、前記ミクロスフェア、複数のミクロスフェア、又は注射可能な製剤は、単回用量として投与される。
【0036】
更に、本発明は、キットであって、別個のコンパートメントに、
(a)希釈剤と、
(b)先行請求項のいずれか一項に記載の生分解性ミクロスフェア、又は複数の生分解性ミクロスフェアとを含むキットに関する。
【0037】
好ましい実施形態では、前記生分解性ミクロスフェア、又は複数の生分解性ミクロスフェアは、粉末形態で存在する。
【0038】
本発明は、更に、本明細書に記載のミクロスフェアを調製するための方法であって、本方法が、単一のエマルション-溶媒エバポレーションを含む、方法に関する。前記方法の好ましい実施形態では、ミクロスフェアは、約10~30%(w/w)、好ましくは15~25%(w/w)、より好ましくは15~20%(w/w)のポリマー濃度のPLGAを用いて調製される。
【0039】
前記方法の一つの実施形態では、フェノフィブラートの少なくとも90%は、ミクロスフェア内に封入される。
【0040】
本発明は、更に、対象において関節関連障害を治療するための方法であって、本明細書に記載の生分解性ミクロスフェア、複数の生分解性ミクロスフェア、又は注射可能な製剤を、対象の関節、好ましくは、臀部、肩及び/又は膝の関節のうちの1つ以上の内部又は周囲にある標的組織に導入することを含む、方法に関する。
【0041】
一つの実施形態では、対象は、ヒト又は動物、例えば、ネコ、イヌ、若しくはウマである。
【0042】
更なる実施形態では、関節関連障害は、関節炎、好ましくは、変形性関節炎である。
【0043】
一つの実施形態では、前記方法は、生分解性、複数の生分解性ミクロスフェア、又は注射可能な製剤を、対象の膝、肩、臀部、頸部、腰部、手又は足の小さな関節の1つ又は両方に関節内注射することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】単一PLGAにより得られた異なる製剤に対するフェノフィブラート担持量(実施例1)。添加された理論的な薬物の量は、PLGAマトリックス中に1%のフェノフィブラート(10μgのフェノフィブラート/PLGAのmg数)であった。
図2】90日間の全期間にわたる、実施例1で調製された単一PLGAにより得られた異なるミクロスフェア製剤のフェノフィブラート放出プロファイル。
図3】実施例1で調製されたミクロスフェアの粒子サイズ分布。
図4】実施例2で調製された特定のMW及び最適化されたポリマー比率を有する製剤のフェノフィブラート担持量。封入効率は、選択されたPLGA製剤とは独立して達成される。添加された理論的な薬物の量は、PLGAマトリックス中に1%のフェノフィブラート(10μgのフェノフィブラート/PLGAのmg数)であった。
図5】PLGA混合物により調製された異なるミクロスフェア製剤のフェノフィブラート制御放出プロファイル。PLGA(50:50) 13.5 kDa(0.21dl/g)及びPLGA(75:25) 68kDa(0.60dl/g)(実施例2)。
図6】実施例2で調製されたミクロスフェアの粒子サイズ分布。
図7】関節内に投与されたフェノフィブラートは、マウスの変形性関節炎の前臨床モデルにおいて関節損傷を軽減する。3ヶ月齢C57Bl/6Jマウスは、右の膝に変形性関節炎手術(MMTL+MCL)を受けた。実験には、24匹のマウス(8匹のマウス/各群)が含まれていた。(A)膝関節をサフラニンOによる染色によって分析した。(B)組織学的スコア。値は、平均±SEMである。**PLGA 90:10条件に対してp<0.01。倍率:10倍。
図8】関節内投与されたフェノフィブラートは、マウスの変形性関節炎の前臨床モデルにおいて関節損傷を軽減する。3ヶ月齢C57Bl/6Jマウスは、右の膝に変形性関節炎手術(LMTL+LCL)を受けた。実験には、24匹のマウス(8匹のマウス/各群)が含まれていた。(A)膝関節をサフラニンOによる染色によって分析した。(B)組織学的スコア。値は、平均±SEMである。*PLGA 90:10条件に対してp<0.05。倍率:10倍。
図9】フェノフィブラートの経口投与は、マウスの変形性関節炎の前臨床モデルにおいて関節損傷を軽減する。3ヶ月齢C57Bl/6Jマウスは、右の膝にOA手術を受けた。実験には、16匹のマウス(8匹のマウス/各群)が含まれていた。(A)膝関節をサフラニンOによる染色によって分析した。(B)組織学的スコア。値は、平均±SEMである。*ビヒクル条件に対してp<0.05。
図10】1%SDSを補充した模擬滑液における異なるミクロスフェア製剤のフェノフィブラート放出プロファイル。39日間の合計期間にわたって、PLGA(50:50):PLGA(75:25) 90:10 約60μm、Resomer RG 502 約300μm、Resomer RG 502 約30μm。
図11】理論的な薬物濃度、及びフェノフィブラートのトレースによって確立された、得られた曲線下の面積の回帰分析。
図12】49日間の合計期間にわたる、1%SDS及び変形性関節炎患者由来のヒト滑液を補充したPBSにおけるインビトロでの約60μmの平均直径を示すPLGA(50:50):PLGA(75:25) 90:10ミクロスフェアのフェノフィブラート放出プロファイル。SSFは、模擬滑液を指す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明、及びそれに含まれる実施例を参照することによって、より容易に理解されるだろう。
【0046】
上により詳細に記載されるように、全身送達により観察された薬物の副作用を最小限に抑えつつ、フェノフィブラートを使用して、関節障害、例えば、変形性関節炎を治療する改善された長期間にわたる選択肢の満たされていない必要性が存在する。
【0047】
したがって、本願発明者らは、日常的に経口投与されるフェノフィブラートと比較して治療効果を減らすことなく、標的組織における徐放性放出プロファイルを提供することによってこれらの欠点を克服する、フェノフィブラートを含む生分解性ミクロスフェアを開発した。本発明のミクロスフェア及びその応用は、本明細書で以下に更に詳細に示す。
【0048】
本発明のミクロスフェア
ポリ乳酸-コ-グリコール酸コポリマーPLGAは、ポリ乳酸(PLA)及びポリグリコール酸(PGA)から作製された、FDAに承認された生分解性コポリマーである。これは、良好な生分解性及び生体適合性に起因して、多くの医学分野及び医薬分野において、広く観察されてきた。PLGAを含有するミクロスフェアは、分解及び拡散の機構に起因して、持続放出特徴を示すことができる。しかし、PLGAミクロスフェア調製物の薬物放出プロファイルは、薬物自体の特定の特性、PLAのPGAに対する比率、ポリマーの分子量/固有粘度、ポリマーに対する薬物の担持比率、及びミクロスフェアのサイズ等の特定の因子に大きく依存する。一般に、低い分子量及びそれに対応して低い固有粘度のPLGAは、より高い分子量及びより高い固有粘度の対応物よりも、微粒子に組み込まれた医薬薬剤のより完全かつより迅速な放出を可能にすることが知られている。
【0049】
かなりの量のフェノフィブラートを封入することができるだけではなく、特定の時間にわたって薬物の所望な徐放性放出プロファイルを示すことができるミクロスフェアの形成のための理想的な組成物を見つけるために、本願発明者らは、単一のPLGA、及び様々なL/G比率及び分子量を有する様々なPLGAの混合物を含む異なる組成物を試験した。単一のPLGAを使用したときに得られたデータ(実施例1)は、使用した異なるL/G比率及び粒子サイズについて十分な封入効率を示し(図1)、制御放出プロファイルは、3ヶ月後に薬物のほぼ20%の放出に到達していることを示した(図2)。ミクロスフェアのサイズ及び分布は、中程度の分子量のPLGAにより調製されたミクロスフェアについて、より高い平均直径を得るポリマーの分子量に直接的に依存していた(図3)。ポリマーMwの低下に伴う粒子サイズの減少は、ポリマー濃度が各製剤中で一定であるため、ポリマーの固有粘度の減少の結果である。したがって、低Mw PLGAを含むミクロスフェアは、高い封入効率及び形態の要求を満たしていた。しかし、放出された薬物の量が、所望な治療有効性を提供するのに十分なものではなかったため、その放出速度は非効率なものであることがわかった。したがって、同時に形態学的特性を確保しつつ、放出速度を調整するために、高い分子量のPLGA及び低い分子量のPLGAの混合物を使用して、ミクロスフェアを調製した(実施例2)。これらのミクロスフェアの全てが、高い封入効率(図4)及び試験される混合物と同様の典型的な三相放出プロファイルを示す制御放出プロファイル(図5)によって特徴付けられた。ブレンドされたPLGAのミクロスフェアに対するバースト放出の増加は、より低い密度及び増加した薬物拡散を伴うミクロスフェアが得られるポリマー混和性によって説明することができる。これらのプロファイルは、薬物の80%が3ヶ月後に放出される、より高い放出速度を提供し、治療有効性を提供するのに必要な標的組織における治療濃度に到達するのを可能にする。一方で、微粒子平均サイズ及び分布は、使用される高MwのPLGAの量に明確に依存していた(図6)。非常に狭いサイズ分布を有するミクロスフェアは、使用される低Mw(PLGA50:50 13.5kDa):高MW(PLGA 75:25 68kDa)の比率が90:10である場合に得られる。試験された他の2つの比率も、合理的に狭いサイズ分布を提供したが、好ましいミクロスフェアは、90:10の比率を有するものであった。本願発明者らは、更に、本明細書に開示される異なるPLGAの組み合わせを含む微粒子が、3ヶ月間の期間にわたって制御された持続放出を提供し、一方、1つのPLGAのみを含む微粒子が、所望な場合の3ヶ月にわたる放出を提供するのではなく、最初の1ヶ月の間にほとんど放出が起こらない低すぎる放出速度、又は39日後に既にほぼ全てのフェノフィブラートが放出される高すぎる放出速度のいずれかを示す粒子を形成することを示すことができた。(実施例6及び図10)。したがって、異なる分子量を有する2つの異なるPLGAの直径及び組み合わせは、必要な放出プロファイルを確保する重要なパラメータである。
【0050】
したがって、本発明は、生分解性ミクロスフェアであって、ミクロスフェアが、
(i)ポリ乳酸-コ-グリコール酸コポリマー(PLGA)マトリックスを含み、前記マトリックスが、異なる分子量(Mw)を有する少なくとも2つのPLGAを含み、
(ii)約40μm~約225μmの平均直径を有し、
(iii)フェノフィブラートを含む、生分解性ミクロスフェアに関する。
【0051】
一つの実施形態では、ミクロスフェアは、標的組織中に存在する場合、少なくとも1ヶ月間にわたってフェノフィブラートを放出する。
【0052】
一つの実施形態では、少なくとも2つのPLGAは各々、約0.16dl/g~約1.70dl/gの粘度を有する。好ましい実施形態では、前記少なくとも2つのPLGAの一方は、約0.50dl/g~約0.70dl/g、約0.52dl/g~約0.68dl/g、約0.54dl/g~約0.66dl/g、約0.56dl/g~約0.66dl/g、約0.58dl/g~約0.64、約0.60dl/g~約0.62dl/gの粘度を有し、少なくとも2つのPLGAの第2のものは、約0.16dl/g~約0.24dl/g、約0.18dl/g~約0.22dl/g、約0.20dl/g~約0.22dl/gの粘度を有する。
【0053】
更なる実施形態では、少なくとも2つのPLGAは、約6kDa~約90kDa、約10kDa~80kDa、又は約12kDa~70kDaのMwを有する。
【0054】
更に好ましい実施形態では、前記少なくとも2つのPLGAの一方は、約6kDa~約18kDa、約7kDa~約17kDa、約8kDa~約16kDa、約9kDa~約15kDa、約10kDa~約14kDaのMwを有し、少なくとも2つのPLGAの第2のものは、約50kDa~約90kDa、約55kDa~約80kDa、約60kDa~約70kDaのMwを有する。
【0055】
一つの実施形態では、少なくとも2つのPLGAの第2のものは、約190~240kDaのMw、好ましくは、約215kDaのMw、又は76kDa~115kDa、好ましくは、95.5kDaのMwを有する。
【0056】
一つの実施形態では、前記少なくとも2つのPLGAの一方は、約100:0~約40:60、約90:10~約40:60、約80:20~約50:50の乳酸のグリコール酸に対する平均モル比率を有し、好ましくは、少なくとも2つのPLGAの一方は、約75:25の乳酸のグリコール酸に対する平均モル比率(PLGA75:25)を有し、少なくとも2つのPLGAの第2のものは、約60:40~約40:60、好ましくは約50:50の乳酸のグリコール酸に対する平均モル比率(PLGA50:50)を有する。
【0057】
PLGA50:50及びPLGA75:25に使用されるミクロスフェアの好ましい比率を評価するために、3つの異なる比率のミクロスフェアを、実施例2に記載されるように調製した。したがって、更なる実施形態では、PLGA50:50とPLGA75:25との間の比率は、約90:10、約80:20又は75:25、好ましくは約90:10から選択される。この比率は、必要なミクロスフェアのサイズ直径及び狭いサイズ分布を確保しつつ、十分な封入効率及び薬物放出プロファイルを示すからである(図6に示されるように)。
【0058】
更なる実施形態では、ミクロスフェアの平均直径は、約40μm~約175μm、約45μm~約155μm、約50μm~約125μm、約55μm~約90μm、約55μm~約70μm、最も好ましくは約55μm~約65μmである。
【0059】
好ましい実施形態では、ミクロスフェアの平均直径は、約60μmである。
【0060】
更なる実施形態では、ミクロスフェアの平均直径は、約25μm~約110μm、約30μm~約100μm、約40μm~約90μm、約45μm~約80μm、約50μm~約70μm、最も好ましくは約55μm~約65μmである。
【0061】
これらの範囲は、所与の集合における全ての微粒子の平均直径を指すと理解される。任意の所与の個々の微粒子の直径は、平均直径より上又は下の標準偏差内であろう。
【0062】
本発明のミクロスフェアの薬物担持能を、実施例1に記載されるように評価した。好ましい一つの実施形態では、ミクロスフェアは、ミクロスフェア1ミリグラム当たり、約0.5μg~約15μg、好ましくは約1μg~約10μgのフェノフィブラートを含む。
【0063】
一つの実施形態では、ミクロスフェアに含有されるフェノフィブラートは、微粒子の0.1~1%(w/w)のミクロスフェア、例えば、0.2~0.9%(w/w)、0.3~0.8%(w/w)、0.4~0.7%(w/w)、0.4~0.6%(w/w)である。
【0064】
好ましい実施形態では、ミクロスフェアは、
(i)ポリ乳酸-コ-グリコール酸コポリマー(PLGA)マトリックスを含み、前記マトリックスが、約0.60dl/gの粘度及び/又は約68kDaのMwを有するPLGA75:25と、約0.21dl/gの粘度及び/又は約13.5kDaのMwを有するPLGA50:50と、を含み、
(ii)約60μmの平均直径を有し、
(iii)ミクロスフェア1ミリグラム当たり1μg~10μgのフェノフィブラート、好ましくは、ミクロスフェア1ミリグラム当たり10μgのフェノフィブラートを含み、
(iv)好ましくは、標的組織中に存在する場合、フェノフィブラートを少なくとも2ヶ月間、より好ましくは、少なくとも3ヶ月間にわたって放出する。
【0065】
更なる態様では、本発明は、先行請求項のいずれか一項に定義される複数の生分解性ミクロスフェアであって、ミクロスフェアが、
(i)約50μm~約100μmのd90粒子サイズ値、及び/又は
(ii)約16μm~約20μmのd10粒子サイズ値、及び/又は
(iii)約30μm~約60μmのd50粒子サイズ値を有する、複数の生分解性ミクロスフェアに関する。
【0066】
複数の生分解性ミクロスフェアの好ましい実施形態では、ミクロスフェアは、
(i)約50μm~約100μmのd90値を有し、
(ii)ポリ乳酸-コ-グリコール酸コポリマー(PLGA)マトリックスを含み、前記マトリックスが、異なる分子量(Mw)を有する少なくとも2つのPLGAを含み、
(iii)治療有効量のフェノフィブラートを保有し、
(iv)好ましくは、標的組織中に存在する場合、少なくとも1ヶ月間にわたってフェノフィブラートを放出する。
【0067】
本明細書で使用される場合、「d90粒子サイズ」とは、粒子の90%が指定された値未満の粒子サイズ直径を有するような粒子サイズ分布を意味する。
【0068】
本明細書で使用される場合、「d50粒子サイズ」とは、粒子の50%が指定された値未満の粒子サイズ直径を有するような粒子サイズ分布を意味する。
【0069】
本明細書で使用される場合、「d10粒子サイズ」とは、粒子の10%が指定された値未満の粒子サイズ直径を有するような粒子サイズ分布を意味する。
【0070】
d10、d50及びd90値は、ふるい分析、レーザー回折法、光分析又は光学計測法等の従来技術のよく知られている方法によって決定されてもよい。粒子サイズ分布は、Mastersizer 2000を使用する光回折によって、実施例1に記載されるように決定した。約90:10、約80:20又は約75:25のPLGA50:50とPLGA75:25との比率を含むミクロスフェアの粒子サイズ分布を、実施例に記載されるように評価した。図6からわかるだろうが、3つ全ての微粒子が十分に鋭敏なピークを示すが、90:10を含むミクロスフェアは、最も有利な粒子サイズ分布を提供する。0(全てのミクロスフェアが、完全に同じサイズを示す場合)から1(全てのミクロスフェアが異なるサイズである)の範囲の均一性値からまとめられるように、90:10製剤は、0.342の均一性値を有する最も十分な分布を示した。80:20及び75:25の比率を含むミクロスフェアも適していたが、90:10製剤は、フェノフィブラートミクロスフェアの調製のための好ましいものであると考えられた。
【0071】
約50μm~約100μmの範囲のd90粒子サイズは、約45μm、50μm、55μm、60μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μm、100μm及び105μmの値を含む。
【0072】
約10μm~約30μmの範囲のd50粒子サイズ値は、約8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、18μm、19μm、20μm、21μm、22μm、23μm、24μm、25μm、26μm、27μm、28μm、29μm、30μm、31μm、32μmの値を含む。
【0073】
16μm~約20μmのd10粒子サイズ値は、約14μm、15μm 16μm、17μm、18μm、18μm、19μm、20.0μm、21μm、22μmのd10粒子サイズ値を含む。
【0074】
更に好ましい実施形態では、少なくとも2つのPLGAは各々、おおよそ約0.16dl/g~約1.70dl/gの粘度を有する。好ましい実施形態では、前記少なくとも2つのPLGAの一方は、約0.50dl/g~約0.70dl/g、約0.52dl/g~約0.68dl/g、約0.54dl/g~約0.66dl/g、約0.56dl/g~約0.66dl/g、約0.58dl/g~約0.64、約0.60dl/g~約0.62dl/gの粘度を有し、少なくとも2つのPLGAの第2のものは、約0.16dl/g~約0.24dl/g、約0.18dl/g~約0.22dl/g、約0.20dl/g~約0.22dl/gの粘度を有する。
【0075】
複数の生分解性ミクロスフェアのなお別の実施形態では、少なくとも2つのPLGAは、約6kDa~約90kDa、約10kDa~80kDa、又は約12kDa~70kDaのMwを有する。
【0076】
更に好ましい実施形態では、前記少なくとも2つのPLGAの一方は、約6kDa~約18kDa、約7kDa~約17kDa、約8kDa~約16kDa、約9kDa~約15kDa、約10kDa~約14kDaのMwを有し、少なくとも2つのPLGAの第2のものは、約50kDa~約90kDa、約55kDa~約80kDa、約60kDa~約70kDaのMwを有する。
【0077】
更なる実施形態では、前記少なくとも2つのPLGAの一方は、約6kDa~約18kDa、約7kDa~約17kDa、約8kDa~約16kDa、約9kDa~約15kDa、約10kDa~約14kDaのMwを有し、少なくとも2つのPLGAの第2のものは、約25kDa~約40kDa、約30kDa~約35kDaのMwを有する。
【0078】
複数の生分解性ミクロスフェアの更なる実施形態では、前記少なくとも2つのPLGAの一方は、約100:0~約40:60、約90:10~約40:60、約80:20~約50:50の乳酸のグリコール酸に対する平均モル比率を有し、好ましくは、少なくとも2つのPLGAの一方は、75:25の乳酸のグリコール酸に対する平均モル比率(PLGA75:25)を有し、少なくとも2つのPLGAの第2のものは、50:50の乳酸のグリコール酸に対する平均モル比率(PLGA50:50)を有する。
【0079】
好ましい実施形態では、PLGA50:50とPLGA75:25との間の比率は、約90:10、約80:20又は75:25、好ましくは約90:10から選択される。
【0080】
一つの実施形態では、ミクロスフェアの平均直径は、約30μm~約240μm、約30μm~約235μm、約30μm~約230μm、約35μm~約225μm、約40μm~約225μm、約35μm~約220μm、約35μm~約215μm、約35μm~約210μm、約40μm~約205μm、約40μm~約200μm、約40μm~約195μm、約40μm~約190μm、約40μm~約185μm、約40μm~約180μm、約40μm~約175μm、約40μm~約170μm、約40μm~約175μm、約45μm~約170μm、約45μm~約165μm、約45μm~約160μm、約45μm~約155μm、約50μm~約150μm、約50μm~約145μm、約50μm~約140μm、約50μm~約135μm、約50μm~約130μm、約50μm~約125μm、約50μm~約120μm、約50μm~約115μm、約50μm~約110μm、約50μm~約105μm、約50μm~約100μm、約50μm~約95μm、約55μm~約90μm、約55μm~約85μm、約55μm~約80μm、55μm~約75μm、55μm~約70μm、約25μm~約110μm、30μm~約100μm、約40μm~約90μm、約45μm~約80μm、約50μm~約70μm、最も好ましくは約55μm~約65μmである。
【0081】
一つの実施形態では、ミクロスフェアの平均直径は、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、約55μm、約60μm、約65μm、約70μm、約75μm、約80μm、約85μm、約90μm、約100μm、約105μm、約110μm、約115μm、約120μm、約125μm、約130μm、約135μm、約140μm、約145μm、約150μm、約155μm、約160μm、約165μm、約170μm、約175μm、約180μm、約185μm、約190μm、約195μm、約200μm、約205μm、約210μm、約215μm、約220μm、約225μm、約230μm、約235μm、約240μmである。
【0082】
好ましい一つの実施形態では、ミクロスフェアの平均直径は、約60μmである。
【0083】
一つの実施形態では、ミクロスフェアは、ミクロスフェア1ミリグラム当たり、0.5μg~約20μg、好ましくは約0.5μg~約15μg、最も好ましくはおよそ好ましくは1μg~約10μgのフェノフィブラートを含む。
【0084】
医薬組成物
本発明はまた、薬学的に許容される担体と、本明細書に記載のミクロスフェア又は複数の生分解性ミクロスフェアと、を含む、注射可能な製剤に関する。
【0085】
本発明の注射可能な製剤、及びミクロスフェアにおけるフェノフィブラートの徐放性放出のそれらの有効性を、実施例2に記載されるように評価した。単一のPLGAにより調製されたミクロスフェアは、3ヶ月間にわたる薬物の持続制御された徐放性放出を示した(図2を参照)。しかし、薬物放出のパーセンテージは、この時間点で担持された薬物のほぼ20%が放出された全ての製剤について、比較的低かった。したがって、低い分子量の50:50 PLGAを、より高い分子量の75:25 PLGAと合わせることで、薬物のより高い全放出を示すミクロスフェアを調製するためにポリマーマトリックスの構造を変化させることが決定された。図5に示されるように、得られたミクロスフェアは、最も高い薬物バースト放出の後、3ヶ月後に薬物のほぼ90%の放出に達する薬物拡散-PLGA侵食制御された薬物放出が起こった。この初期バースト放出は、薬物の必要な治療濃度に到達させつつ、その後の制御放出プロファイルが、治療ウィンドウ内の薬物濃度を保持することを可能にするのに有用である。
【0086】
前記製剤の好ましい実施形態では、ミクロスフェアは、標的組織中に存在する場合、フェノフィブラートを少なくとも1ヶ月間、好ましくは、少なくとも2ヶ月間、より好ましくは、少なくとも3ヶ月間にわたって放出する、徐放性放出プロファイルを示す。
【0087】
更に好ましい実施形態では、ミクロスフェアからの薬物の全放出は、50日後、好ましくは40日後に少なくとも60%、少なくとも70%、及び好ましくは少なくとも80%である。好ましい一つの実施形態では、ミクロスフェアからの薬物の全放出は、60日後、好ましくは70日後、より好ましくは80日後、及び最も好ましくは90日後に、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%である。
【0088】
使用及び治療
本発明は更に、関節関連障害、好ましくは関節炎、より好ましくは変形性関節炎の治療又は予防において使用するための本明細書で上に記載の生分解性ミクロスフェア、複数の生分解性ミクロスフェア、又は注射可能な製剤に関する。
【0089】
本発明の注射可能な製剤及び関節内注射によるミクロスフェアにおけるフェノフィブラートの徐放性放出の有効性を、実施例3及び実施例4に更に詳述されるマウスの手術によって誘導された変形性関節炎の2つの独立した前臨床モデルにおいて評価した。図7A)からわかるだろうが、ビヒクル群(PLGA90:10)のマウス膝関節は、プロテオグリカン欠乏、表面層の損失及び軟骨フィブリル化を含む顕著な関節損傷を示した。しかし、PLGA 90:10 FN 1ug及びPLGA 90:10 FN 10ugによる治療は、これらのOA様変化の重症度を有意に低下させた。半定量的スコアリングシステムによる変形性関節炎病変の分析は、ビヒクル群と比較して、フェノフィブラート治療の徐放性放出後のOA様変化の重症度の顕著な低下を示した(P<0.01)(図7B)。図8A)からわかるだろうが、ビヒクル群(PLGA90:10)のマウス膝関節は、顕著な関節損傷を示した。しかし、PLGA 90:10 FN 1ug及びPLGA 90:10 FN 10ugによる治療は、実験的な変形性関節炎の重症度を有意に低下させた。半定量的スコアリングシステムによる変形性関節炎病変の分析は、ビヒクル群と比較して、フェノフィブラート治療の徐放性放出後の疾患重症度の有意な低下を示した(P<0.05)(図8B)。
【0090】
本願発明者らは、更に、高い封入効率によって特徴付けられるPLGA(50:50):PLGA(75:25) 90:10ミクロスフェアが、変形性関節炎患者由来のヒト滑液において7週間の合計期間にわたって徐放性放出を示すことを示すことができた(実施例7及び図12)。このデータは、薬物の制御放出プロファイルと一致し、少なくとも49日間にわたる滑液における薬物の存在を証明する。更に、ヒト滑液における放出プロファイルは、1%SDSを補充して得られた放出プロファイルと同様であった(図12)。したがって、マウスにおいて得られたデータは、本発明のミクロスフェアがヒト対象において治療を提供するのに適していることを示すことを変形性関節炎患者由来のヒト滑液において裏付けることができた。
【0091】
上で考察したように、関節障害、具体的には変形性関節炎を患う患者は、その不快感を和らげるために定期的な治療を必要とする。長期間にわたる疼痛を和らげる1つの方法は、薬物の長期間にわたる毎日摂取であり、これは煩わしい場合があり、肯定的な治療結果のために良好な患者コンプライアンスを必要とする。1日用量の薬物を投与する別の欠点は、通常はこれが経口剤形によって行われるため、全身的に、薬物の全身送達が望ましくない副作用を引き起こす可能性があるという事実である。したがって、関心対象の関節での局所投与が、はるかに好ましい。フェノフィブラートの場合、薬物は、全身投与を裂けるために、関節内への注射によって投与することができる。しかし、この場合には、注射を1回行うことができることが必要であるが、患者が関節に毎日注射することは実行不可能であるため、より長い治療期間となる。したがって、本願発明者らは、関節への活性成分フェノフィブラートの制御された徐放性放出を用い、従って、前記欠点を克服する1回の注射の可能性を提供する、本明細書に記載のミクロスフェア、及び前記ミクロスフェアを含む注射製剤を開発した。今日まで、フェノフィブラートを用いる信頼性の高い長期間にわたる治療の選択肢が市場で利用可能ではないため、本明細書の発明者らは、フェノフィブラートを使用することによって、全身送達により観察された薬物の副作用を最小限に抑えつつ、関節障害、例えば、変形性関節炎を治療するための優れた方法を提供することによって、この満たされていない必要性に対する解決策を提供する。印象的なことだが、本願発明者らは、単回用量のみを投与した後に、本発明のミクロスフェアによる最大3ヶ月間にわたる徐放性放出が達成されたことを示すことができた。
【0092】
したがって、本発明はまた、本明細書に記載されるように、関節内投与される生分解性ミクロスフェア、複数の生分解性ミクロスフェア、又は注射可能な製剤に関し、好ましくは、前記ミクロスフェア、複数のミクロスフェア、又は注射可能な製剤は、単回用量として投与される。
【0093】
本発明は、更に、対象において関節関連障害を治療するための方法であって、本明細書に記載の生分解性ミクロスフェア、複数の生分解性ミクロスフェア、又は注射可能な製剤を、対象の関節、好ましくは、臀部、肩及び/又は膝の関節のうちの1つ以上の内部又は周囲にある標的組織に導入することを含む、方法に関する。
【0094】
一つの実施形態では、対象は、ヒト又は動物、例えば、ネコ、イヌ、若しくはウマである。
【0095】
更なる実施形態では、関節関連障害は、関節炎、好ましくは、変形性関節炎である。
【0096】
一つの実施形態では、前記方法は、本明細書に記載の生分解性、複数の生分解性ミクロスフェア、又は注射可能な製剤を、対象の膝、又は肩、臀部、頸部、腰部、手の小さな関節の1つ又は両方に関節内注射することを含む。
【0097】
本発明の記載において言及される関節は、関節関連障害、例えば、関節炎によって影響を受け得る任意の関節に関連することが理解されるべきである。具体的には、関節は、膝、臀部、肩、頸部、腰部の関節、手又は足の小さな関節であり得る。
【0098】
キット
一態様では、本発明は、キットであって、別個のコンパートメントに、
(a)希釈剤と、
(b)先行請求項のいずれか一項に記載の生分解性ミクロスフェア、又は複数の生分解性ミクロスフェアと、を含む、キットに関する。
【0099】
本明細書に開示される注射可能な製剤は、本明細書に開示されるフェノフィブラートを含むミクロスフェアの1つのバイアルを含有する単回用量キットとして提供することができる。ミクロスフェアは、活性成分及びそれを含むミクロスフェアの保管安定性を増加させる粉末形態で提供することができる。キットで提供される第2のバイアルは、希釈剤を含有していてもよく、注射可能な製剤の使用/投与のすぐ前に、ミクロスフェアを含む第1のバイアルに添加してもよい。
【0100】
微粒子を調製する方法
一態様では、本発明は、本明細書に記載のミクロスフェアを調製するための方法であって、本方法が、単一のエマルション-溶媒エバポレーションを含む、方法に関する。単一のエマルション-溶媒エバポレーションは、本明細書で上に記載される所望の特性を有するミクロスフェアを提供し、同時に、きわめて単純であり、経済的であり、信頼性が高く、スケールアップが容易な方法である。更に、この方法は、十分な薬物封入を確保しつつ、極端な条件を必要とせず、フェノフィブラートの分解のリスクを回避する。単回のエマルション-溶媒エバポレーションは、当業者に十分に知られており、従来技術で知られている方法で実行することができるが、本明細書の実施例1及び2は、本発明のミクロスフェアを調製するために前記方法を適用する1つの方法を提供する。
【0101】
前記方法の好ましい実施形態では、ミクロスフェアは、約10~30%(w/w)、好ましくは15~25%(w/w)、より好ましくは15~20%(w/w)のポリマー濃度のPLGAを用いて調製される。
【0102】
本発明の方法の一つの実施形態では、本方法は、本発明のミクロスフェア内の少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%のフェノフィブラートの封入を可能にする。単一のエマルション-溶媒エバポレーション方法の使用と共に使用されるポリマーマトリックスの組み合わせが好ましく、本明細書に示されるように高い封入速度を可能にする。
【実施例
【0103】
実施例1:ミクロスフェア及びフェノフィブラートを含む長期間放出製剤の開発
1.材料
示される特徴を有する様々な乳酸:グリコール酸比率(L:G比率)及び分子量のPLGAは表1であり、Evonik、Ltd.(Essen、Germany)から購入した。ポリビニルアルコール(PVA)(87~90%加水分解、平均重量分子量30,000~70,000Da)は、Sigma-Aldrich(St.Louis、USA)から得た。高速液体クロマトグラフィーグレードのジクロロメタン(DCM)は、Merck(Germany)から購入した。全ての実験を、Milli-Q(登録商標)水を使用して行った。
【表1】
【0104】
2.ミクロスフェア合成
フェノフィブラートが担持されたミクロスフェアは、単一のエマルション-溶媒エバポレーション方法(o/w)によって得られた。この目的のために、単一のPLGAポリマー(Resomer(登録商標)RG 502H又はResomer(登録商標)RG 503H又はResomer(登録商標)RG 752H又はResomer(登録商標)RG 753H)を使用した。フェノフィブラートが担持されたミクロスフェアを得るために、2mgのフェノフィブラートを200μLのDCMに溶解した。この溶液を、20% w/vでのDCM中のそれぞれのPLGA溶液0.8mLに添加し、ボルテックスで均質化して、油相を得た。次いで、1%PVAで調製された水溶液4mLを油相に加え、マグネチックスターラーを使用して1000rpmで5分間均質化し、エマルションを形成した。最後に、完全なジクロロメタン蒸発に達するための連続撹拌下で、得られたミクロスフェアを12時間かけて0.2%でPVA 6mLに注ぐことによって、溶媒を蒸発させた。最後に、ミクロスフェアを、二重に蒸溜した水で3回(trice)洗浄し、0.45μmの孔サイズのフィルター(Pall Corporation、Sigma-Aldrich)によって濾過し、凍結乾燥させ、使用するまで4℃で保管した。
【0105】
3.微粒子特性決定
微粒子を、Mastersizer(Mastersizer 2000、Malvern Instruments、Malvern、UK)を使用する光回折によって、サイズ及びサイズ分布の観点で特性決定した。ミクロスフェアの封入効率(EE)を決定するために、3mgの微粒子を3mLのジクロロメタンに溶解し、12,000rpm、4℃で30分間遠心分離処理した。上清中の薬物濃度を、検証された分光法を使用して決定した。EEは、以下の式を使用して計算した。
【数1】
【0106】
4.フェノフィブラート薬物放出プロファイル
浸漬条件を確実にするために、1%SDSを補充した模擬滑液において、薬物放出試験を行った。模擬滑液を、Marques et al及び[1]に記載される手順に従って調製した。既知の重量のミクロスフェア(13mg)を4mLの放出媒体に配置し、振とう浴中、37℃及び45rpmで3ヶ月間インキュベートした。あらかじめ設定された時間点で、試料を1,200rpmで4分間遠心分離処理し、2mlの上清を集め、新鮮な媒体に交換した。次いで、試料をボルテックスで再び均質化し、振とう浴に再び配置した。放出されたフェノフィブラートの量を、検証された分光法を使用して、291nmで、集めた上清において定量化した。
【0107】
実施例2:異なるMwのPLGAを使用した、フェノフィブラートが担持されたPLGAミクロスフェアの調製
1.材料
表2に示される特徴を有する様々な乳酸:グリコール酸比率(L:G比率)及び分子量のPLGAを、Evonik,Ltd.(Essen、Germany)から購入した。ポリビニルアルコール(PVA)(87~90%加水分解、平均重量分子量30,000~70,000Da)は、Sigma-Aldrich(St.Louis、USA)から得た。高速液体クロマトグラフィーグレードのジクロロメタン(DCM)は、Merck(Germany)から購入した。全ての実験を、Milli-Q(登録商標)水を使用して行った。
【表2】
【0108】
2.ミクロスフェア合成
実施例1に記載したのと同様に、フェノフィブラートが担持されたミクロスフェアは、単一のエマルション-溶媒エバポレーション方法(o/w)によって得られた。この目的のために、様々な分子量及びL:G比率のPLGAを異なる割合で合わせ、小さなサイズ、狭いサイズ分布、高い担持効率及び十分なフェノフィブラート放出プロファイル等の改善された特性を有する所望なミクロスフェアを得た。より具体的には、Resomer(登録商標)RG 502Hを、75:25、80:20及び90:10の重量:重量比で、Resomer(登録商標)RG 755Sと合わせた。フェノフィブラートが担持されたミクロスフェアを得るために、0.2mgまたは2mgのフェノフィブラートを200μLのDCMに溶解した。この溶液を、20% w/vでのDCM中のPLGA溶液0.8mLに添加し、ボルテックスで均質化して、油相を得た。次いで、1%PVAにより調製された水溶液4mLを油相に加え、最大速度のボルテックスで1分間均質化した。最後に、連続撹拌下で、得られたミクロスフェアを0.16%で2時間かけてPVA 96mLに注ぐことによって、溶媒を蒸発させた。溶媒除去の後に、ミクロスフェアを、二重に蒸溜した水で3回(trice)洗浄し、0.45μmの孔サイズのフィルター(Pall Corporation、Sigma-Aldrich)によって濾過し、凍結乾燥させ、使用するまで4℃で保管した。
【0109】
3.微粒子特性決定
微粒子を、実施例1に記載されるように、Mastersizer(Mastersizer 2000、Malvern Instruments、Malvern、UK)を使用する光回折によって、サイズ及びサイズ分布の観点で特性決定した。
【0110】
4.フェノフィブラート薬物放出プロファイル
薬物放出試験は、実施例1に記載されるように、模擬滑液で行った。
【0111】
実施例3:マウスの変形性関節炎の前臨床モデルにおける関節内注射による、ミクロスフェアにおけるフェノフィブラートの徐放性放出の有効性
フェノフィブラートの制御放出のためのミクロスフェアの新規製剤の有効性を、マウスの手術によって誘導された変形性関節炎モデルを使用することによって、関節組織に対して評価した。このモデルは、軟骨及び滑膜で生じるヒトの病的な関節変化に似た疾患の予測前臨床モデルである。
【0112】
1.手術によって誘導された変形性関節炎
全ての動物実験を、Institutional Animal Care and Use Committee at Instituto de Investigacion Biomedica de A Coruna(INIBIC)によって承認されたプロトコルに従って行った。実験的な変形性関節炎は、以前に記載されているように[2]、右の膝における正中内側靱帯及び正中側副靱帯(MMTL+MCL)の横断切断によって、3ヶ月齢雄C57Bl/6Jマウスにおいて誘導された。左の膝は手術を受けておらず、関節包のみを開き、偽対照として使用した。体重を2週間毎に評価した。手術の10週後に、マウスを安楽死させた。
【0113】
2.関節内投与によるミクロスフェアにおけるフェノフィブラートの徐放性放出
2つの濃度(1μg及び10μg)の薬物が担持されたミクロスフェアでの単回関節内注射によってFNを投与した。徐放性放出製剤を調製し、関節に少なくとも3ヶ月間にわたって徐々に放出させた。有効性を評価するために、3つの試験群を使用した。第1群:プラセボとしての空のミクロスフェアにより治療されたマウス(対照群)、第2群:FN-1μgにより治療されたマウス、第3群:FN 10μgにより治療されたマウス。全ての群において、手術回復から1週間後に治療を開始し、このことは、関節内注射の前に関節包が治癒し、閉じていることを意味している。
【0114】
3.マウス膝関節の組織学的分析
マウスの膝関節を、10%の亜鉛緩衝化ホルマリン中で24時間かけて固定し、TBD中で6時間かけて脱灰し、その後パラフィン包埋した。連続切片(4μm)を切断し、サフラニンOファーストグリーンにより染色し、OARSIガイドライン[3]に従って全関節変化の前臨床評価のための半定量的スコアリングシステムを使用して、組織学的変化について試験した。このシステムでは、スコアは、以下のように定義される。0=正常な軟骨、0.5=無傷な表面を有し、プロテオグリカンの喪失、1=軟骨を喪失することなく、表面的なフィブリル化、2=垂直の裂け目及び表面層の喪失(何らかの%又は関節表面積)、3=垂直の裂け目/四半部幅の1~25%についての脱灰層病変に対する侵食、4=病変が四半部幅の25~50%についての脱灰軟骨に達する、5=病変が四半部幅の50~75%についての脱灰軟骨に達する、6=病変が四半部幅の75%より多くについての脱灰軟骨に達する。
【0115】
4.統計分析
2群間の差は、スチューデントのt検定によって決定され、一方、複数の群間の差は、テューキーの多重比較を伴うANOVAによって決定される。データ分析を、Prism 9.0ソフトウェアを使用することによって行う。結果を平均±SEMとして報告する。p値<0.05は、有意であるとみなす。
【0116】
実施例4:マウスの変形性関節炎の前臨床モデルにおける関節内注射による、ミクロスフェアにおけるフェノフィブラートの徐放性放出の有効性
フェノフィブラートの制御放出のためのミクロスフェアの新規製剤の有効性を、マウスの手術によって誘導された変形性関節炎モデルを使用することによって、関節組織に対して評価した。このモデルは、軟骨及び滑膜で生じるヒトの病的な関節変化に似た疾患の予測前臨床モデルである。
【0117】
1.手術によって誘導された変形性関節炎
全ての動物実験を、Institutional Animal Care and Use Committee at Instituto de Investigacion Biomedica de A Coruna(INIBIC)によって承認されたプロトコルに従って行った。実験的な変形性関節炎は、以前に記載されているように[2]、右の膝における横方向内側靱帯及び横方向側副靱帯(LMTL+LCL)の横断切断によって、3ヶ月齢雄C57Bl/6Jマウスにおいて誘導された。左の膝は手術を受けておらず、関節包のみを開き、偽対照として使用した。体重を2週間毎に評価した。手術の10週後に、マウスを安楽死させた。
【0118】
2.関節内投与によるミクロスフェアにおけるフェノフィブラートの徐放性放出
2つの濃度(1μg及び10μg)の薬物が担持されたミクロスフェアでの単回関節内注射によってFNを投与した。徐放性放出製剤を調製し、関節に少なくとも3ヶ月間にわたって徐々に放出させた。有効性を評価するために、3つの試験群を使用した。第1群:プラセボとしての空のミクロスフェアにより治療されたマウス(対照群)、第2群:FN-1μgにより治療されたマウス、第3群:FN 10μgにより治療されたマウス。全ての群において、手術回復から1週間後に治療を開始した。
【0119】
3.マウス膝関節の組織学的分析
組織学的な関節の変化を、実施例3に記載されるように評価した。
【0120】
4.統計分析
統計分析を、実施例3に記載されるように決定した。
【0121】
実施例5:手術によって誘導された変形性関節炎の前臨床モデルにおける経口フェノフィブラートの有効性
1.手術によって誘導された変形性関節炎
全ての動物実験を、Institutional Animal Care and Use Committee at Instituto de Investigacion Biomedica de A Coruna(INIBIC)によって承認されたプロトコルに従って行った。マウス膝関節における実験的な変形性関節炎を、実施例3に記載されるように行った。
【0122】
2.経口投与によるフェノフィブラートの治療
FNを、飲料水中、100mg/kg体重/日で毎日投与した。有効性を評価するために、2つの試験群を行った。第1群:ビヒクル(DMSO)により治療されたマウス、第2群:FN100 mg/kg体重/日により治療されたマウス。全ての群において、手術回復から3日後に治療を開始した。
【0123】
3.マウス膝関節の組織学的分析
組織学的な関節の変化を、実施例3に記載されるように評価した。
【0124】
4.統計分析
統計分析を、実施例3に記載されるように決定した。
【0125】
実施例6:Higuchi薬物放出プロファイルの評価
初期放出された薬物が治療濃度を達成することを確保しつつ、3ヶ月間にわたって、本発明の製剤によって一定濃度を維持することができる遅延放出を達成することが目的である。したがって、本願発明者らは、薬物放出の初期段階でHiguchi薬物放出プロファイルを評価した。この一定量は、放出の初期段階に関する情報を与え、この工程は、Higuchi式[4]に従うポリマーマトリックスによる薬物拡散制御プロセスである。評価された製剤を以下の表3に示し、前の結果に従って最適であるとして選択された製剤は、太字で強調されている。
【表3】
【0126】
図10は、上に詳述したように調製された3つの異なるミクロスフェアの放出速度を示す。ミクロスフェアの1つの種類は、約30μmの直径を有し、表3の最後の行に示される配合に従って調製された(Resomer RG 502 約30μm)。別の種類は、約300μmの直径を有し、最後の行から開始して2番目の行に示される条件に従って調製された(Resomer RG 502 約300μm)。第3のものは、約60μmの平均直径を有するPLGA(50:50):PLGA(75:25) 90:10を含む、本明細書で上に記載される好ましいミクロスフェアである。
【0127】
図10でわかるだろうが、(Resomer RG 502 約300μm)は、低すぎる放出速度によって、最初の1ヶ月の間に薬物をほとんど放出せず、その場合に、非常に小さい治療効果が観察されるか、又は全く観察されないことを示す。一方、Resomer RG 502 約30μmのミクロスフェアの場合のように、放出速度が大きすぎる場合、全てのフェノフィブラートは、所望な場合には3ヶ月間にわたって放出するが、39日後には既に放出されている。
【0128】
実施例7:OAを有する患者由来の滑液におけるPLGAミクロスフェアからの徐放性放出フェノフィブラート
本発明のミクロスフェアがヒト対象における治療にも適していることを示すために、ミクロスフェアの放出挙動を、変形性関節炎を患う患者由来の滑液において試験した。
【0129】
1.変形性関節炎と診断された患者の膝関節由来のヒト滑液試料を、関節裂隙の間に挿入された針を使用して流体を抜き取ることによって集めた。6名の患者由来の試料を集め、分析するまで-80℃で保管した。次いで、実験が行われるまで、試料をプールした。
【0130】
2.60μmの平均直径サイズによって特徴付けられるPLGA(50:50):PLGA(75:25) 90:10のミクロスフェアを計量した(平均放出媒体体積/使用したミクロスフェアの質量は、70μL/mgであった)。アッセイは、1.5mLチューブで行われ、合計体積100μLの滑液、及び合計で1.43mgのミクロスフェアを含んでいた。
【0131】
3.ミクロスフェアを、インキュベーター中、中程度で振とうしつつ(200rpm)、37℃で示された体積のヒト滑液と共にインキュベートした。
【0132】
4.LC-MS/MS分析のために、滑液を3000rpmで5分間遠心分離処理してミクロスフェアを沈殿させ、上清(初期体積の83%)を集め、薬物の定量化のために保管した。試料を合計49日間にわたって、連続する7週間の週毎(0、1、2、3、4、5、6、7)に集めた。
【0133】
5.上清を、同じ体積の新鮮な滑液と交換し、ボルテックスで1分間均質化し、中程度で振とうしつつ(200rpm)、37℃のインキュベーターに再び配置した。
【0134】
6.ミクロスフェアから放出されたフェノフィブラートの濃度を、以下の詳述するLC-MS/MSプロトコルを使用することによって決定した。分析の前に、試料を2体積のアセトニトリルで希釈した(80μLの試料+160μLのアセトニトリル(ACN))。ロリプラムを内部標準として各試料に添加した。使用した注射の体積は、4μLであった。
【0135】
クロマトグラフィー条件
使用したクロマトグラフィー装置は、ACQUITY UPLC H-Class及びXevo TQD MS Systemであった。BEH C18 1.7μm 2.1×50mm(Waters)カラムを0.6mL/分の流速で使用した。
【0136】
水+0.1%ギ酸を溶媒Aとして使用し、アセトニトリル+0.1%ギ酸を溶媒Bとして使用した。使用した勾配プログラムは、以下の通りであった。0~0.1分 20%B、0.1~1.0分 100%B、1.0~2.0分 100%B、2.0~2.1分 20%B、及び2.1~2.5分 20%B。
【0137】
エレクトロスプレーイオン化(ESI)は、ソース温度150℃及び脱溶媒和温度600℃で、ポジティブモードで行われた。キャピラリー電圧を3kVに設定し、コーン電圧を30Vに設定した。脱溶媒気体流は1100L/hであり、コーン気体流を150L/hに設定した。
【0138】
目的の化合物を、複数反応モニタリング(MRM)モードでモニタリングした。フェノフィブラート決定に使用された定量化トレースは、361.034>233.01であり、保持時間は1.69分であった。
【0139】
結果
薬物の理論的な濃度と、トレースについての得られた曲線下の面積(AUC)との間の関係を示す回帰分析を確立した。12種類の濃度(100、50、25、12.5、6.25、3.12、1.56、0.78、0.39、0.19、0.09、0.049)の範囲を使用した。線形回帰モデルに適合する、濃度とAUCデータとの間の強い関係が観察される。R=0.99(図11)。
【0140】
60μmの平均直径及び高い封入効率を有するPLGA(50:50):PLGA(75:25) 90:10ミクロスフェアは、変形性関節炎患者由来のヒト滑液において、7週間の合計期間にわたって、制御された薬物放出を示す。SDSが補充された模擬滑液において以前に観察されたように、初期バースト効果は、第1の時間点で起こり、この場合には、第1週に担持された薬物の22%が放出された。この初期放出は、1週間後に、90.8±8.5μMの滑液におけるフェノフィブラート濃度をもたらす。注目すべきことに、第1の時間点の後に、放出速度は、0次の速度論に従い、8ng/時間の平均放出定数を有する(R=0.98)。データは、薬物の制御放出プロファイルと一致し、少なくとも49日間にわたる滑液における薬物の存在を示す。更に、ヒト滑液における放出プロファイルは、1%SDSが補充された模擬滑液から得られた放出プロファイルと類似していたが、罹患滑液における分解分子の存在に関連するポリマーネットワークのより迅速な分解に関連する可能性が最も高い実験の第2週の後に、より迅速な放出を観察することができた(図12)。
【0141】
参考文献のリスト:
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
【国際調査報告】