(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-06
(54)【発明の名称】高精度多相CFRシステム、方法及び応用
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20250227BHJP
【FI】
H04L27/26 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545096
(86)(22)【出願日】2022-07-28
(85)【翻訳文提出日】2024-07-25
(86)【国際出願番号】 CN2022108580
(87)【国際公開番号】W WO2023142414
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202210099158.3
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524282353
【氏名又は名称】重慶物奇微電子股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】521559393
【氏名又は名称】上海物騏微電子有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shanghai WUQI Microelectronics Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Building No.1&2,No.333 Haiyangyi Road,Lin-gang New Area,China(Shanghai)Pilot Free Trade Zone,Pudong New District,Shanghai, 201306,China
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】古強
(72)【発明者】
【氏名】縦金榜
(57)【要約】
本出願は、ピーク電力対平均電力比の低減の技術分野に関する高精度多相CFRシステム、方法及び応用を開示する。前記高精度多相CFRシステムは、単段多相構造のピークキャンセルCFRシステムであり、前記高精度多相CFR方法は、入力信号に対して多相ピーク検索と位相記録を高いレートで行い、ピークスクリーニング、ピーク割り当て及びピークキャンセルをシングルレートで行うステップと、キャンセル信号の生成プロセスにおいて、ピークスクリーニング後のピークノイズに対してパルス成形及び高いレートでの記録された位相の補償を多相CPG係数によって行い、ピーク割り当てに従って、複数のCPGパルスを結合して最終的なキャンセル信号を得るステップと、オリジナル信号を遅延させてそれから最終的なキャンセル信号を減算し、ピーク電力対平均電力比が低い信号を得て出力するステップとを含む。本出願は、高いレートでのピークキャンセル効果に近似したピークキャンセル効果をシングルレートで達成し、分数遅延のカスケード接続を複数回行う必要がないため、高精度のピークキャンセルを確保し、構造的な冗長性を低減させ、リソースオーバーヘッドを削減させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号に対してクレストファクターを低減して、ピークキャンセル後の信号を得て出力するための高精度多相CFRシステムであって、
メインチャネルと、ピークキャンセル信号を生成するための分岐チャネルと、メインチャネルからの出力信号と分岐チャネルからの出力信号とを減算するための加減算器とを備え、オリジナルの入力信号は、2つの経路に分けられて前記メインチャネルと前記分岐チャネルにそれぞれ入力され、前記メインチャネルでは、オリジナルの入力信号を遅延させ、前記分岐チャネルでは、オリジナルの入力信号を複数倍補間して異なる位相の複数の信号データを形成した後、最大振幅の検索を高いレートで実行し、多相ピーク信号を得て複数の位相を記録し、オリジナルのシングルレートに復元して信号のピークスクリーニング、ピーク割り当て及びキャンセル信号生成を行い、キャンセル信号の生成プロセスにおいて、高いレートでのピーク位相を多相CPG係数によってシングルレートで補償し、ピーク割り当てに従って複数のCPGパルス信号を結合して最終的なキャンセル信号を得て、前記加減算器は、メインチャネルからの出力信号から最終的なキャンセル信号を減算して、ピークキャンセル後の信号を得て出力することを特徴とする、高精度多相CFRシステム。
【請求項2】
前記分岐チャネルには、補間モジュールが設けられ、前記補間モジュールは、サンプリングレートfsのオリジナルの入力信号を分岐チャネルに入力した後、入力信号をN*fsサンプリングレートまでN倍補間するように構成され、補間後、1つの信号データx(n)は、異なる位相のN個の信号データX(Nn)、X(Nn+1)、……、X(Nn+N-1)、即ちN相信号データになり、前記Nが2以上の整数であり、前記n、Nn、Nn+1、……、Nn+N-1が時間を表すことを特徴とする、請求項1に記載の高精度多相CFRシステム。
【請求項3】
前記分岐チャネルには、多相検索モジュールが設けられ、前記多相検索モジュールは、各信号データx(n)に対して、補間後のN相信号データX(Nn)、X(Nn+1)、……、X(Nn+N-1)に基づいて、これらN個の位置の振幅を比較し、N個の位置から振幅の最も大きい位置をピークポイントとして選択して出力し、ピークポイント位置の位相情報を記録し、N相信号データから抽出されたピークポイントの振幅及び位相に基づいてN相ピーク信号を形成するように構成されることを特徴とする、請求項2に記載の高精度多相CFRシステム。
【請求項4】
前記分岐チャネルには、ピークスクリーニングモジュールが設けられ、前記ピークスクリーニングモジュールは、N相ピーク信号に対して、スライディングウィンドウ処理によるピーク選択、即ちピークの初期スクリーニングをオリジナルのシングルレートで行い、次に設定されたウィンドウ長に基づいて、ウィンドウ内の最大ピークを選択してピークウィンドウスクリーニング、即ちピークの2回目のスクリーニングを行い、多相最大振幅検索及び2回のピークスクリーニングにより得られたピークセットに対して、ピークポイント位置に対応する振幅及び位相情報を保持し、ピークポイント以外の位置のデータを全て0にして最終的なノイズセットを得るように構成されることを特徴とする、請求項3に記載の高精度多相CFRシステム。
【請求項5】
前記分岐チャネルには、ピーク割り当てモジュールが設けられ、前記ピーク割り当てモジュールは、ノイズセットにおけるピークに対してフィルタの乗算割り当てを行い、ピークの密集度に基づいて乗算器の数を割り当てるように構成され、前記フィルタは、ノイズ信号をフィルタリングしてオリジナルの入力信号と同じ周波数スペクトル特性を維持するために使用されることを特徴とする、請求項4に記載の高精度多相CFRシステム。
【請求項6】
前記分岐チャネルには、多相CPG係数生成モジュールが設けられ、前記多相CPG係数生成モジュールは、単相CPG係数と多相分数遅延フィルタに対して畳み込み演算を行い、複数のグループのCPG係数を含む多相CPG係数を得るように構成され、各グループのCPG係数が1つの位相に対応しており、前記多相CPG係数は、高いレートで取得された多相ピーク信号の遅延補償を処理するために使用され、前記単相CPG係数は、オリジナルの入力信号と同じ周波数スペクトルを持つフィルタをシングルレートで設計することにより得られることを特徴とする、請求項1に記載の高精度多相CFRシステム。
【請求項7】
高いレートで取得された多相ピーク信号の遅延補償を多相CPG係数によって処理する場合、異なる位相のピークノイズに対して、対応する位相のCPG係数を使用して遅延補償を完了することを特徴とする、請求項6に記載の高精度多相CFRシステム。
【請求項8】
複数の位相の各々に対して、各位相におけるノイズと当該位相のCPG係数との畳み込み演算を行い、遅延補償後の当該位相のCPGパルス信号を得て、ピーク割り当てに従って、複数の位相のCPGパルス信号を結合して最終的なキャンセル信号を得ることを特徴とする、請求項7に記載の高精度多相CFRシステム。
【請求項9】
高精度多相CF方法であって、
オリジナルの入力信号を入力するステップと、
オリジナルの入力信号を2つの経路に分けてメインチャネルと分岐チャネルにそれぞれ入力するステップと、
前記メインチャネルでは、オリジナルの入力信号を遅延させ、前記分岐チャネルでは、オリジナルの入力信号を複数倍補間して異なる位相の複数の信号データを形成した後、最大振幅の検索を高いレートで実行し、多相ピーク信号を得て複数の位相を記録し、オリジナルのシングルレートに復元して信号のピークスクリーニング、ピーク割り当て及びキャンセル信号生成を行うステップと、
キャンセル信号の生成プロセスにおいて、高いレートでのピーク位相を多相CPG係数によってシングルレートで補償し、ピーク割り当てに従って複数のCPGパルス信号を結合して最終的なキャンセル信号を得るステップと、
メインチャネルによって出力された遅延後のオリジナル信号から分岐チャネルによって出力された最終的なキャンセル信号を減算し、ピークキャンセル後の信号を得て出力するステップとを含むことを特徴とする、高精度多相CFR方法。
【請求項10】
CFRにおいてピークキャンセル信号を生成するための方法であって、
オリジナルの入力信号を複数倍補間して異なる位相の複数の信号データを形成した後、最大振幅の検索を高いレートで実行し、多相ピーク信号を得て複数の位相を記録し、オリジナルのシングルレートに復元して信号のピークスクリーニング、ピーク割り当て及びキャンセル信号生成を行うステップと、
キャンセル信号の生成プロセスにおいて、高いレートでのピーク位相を多相CPG係数によってシングルレートで補償し、ピーク割り当てに従って複数のCPGパルス信号を結合して最終的なキャンセル信号を得るステップを含むことを特徴とする、CFRにおいてピークキャンセル信号を生成するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピーク電力対平均電力比の低減の技術分野に関し、特に高精度多相CFRシステム、方法及び応用に関する。
【背景技術】
【0002】
単一搬送波システムと比較して、OFDM(直交周波数分割多重、全称でOrthogonal Frequency Division Multiplexing)システムでは、複数の直交サブ搬送波が存在し、複数の位相が一致すると、重畳された信号の瞬時電力は、信号の平均電力よりもはるかに高く、PAPR(ピーク電力対平均電力比、全称でPeak to Average Power Ratio、RARとも呼ばれる)が増加し、瞬時電力がパワーアンプPA(全称でPower Amplifier)のダイナミックレンジを超えると、非線形歪みが発生し、サブチャネルの直交性が破壊され、相互干渉が発生し、周波数スペクトル漏れが発生し、隣接するチャネル信号に深刻な影響を与える。例えば、WiFiシステムでは、WiFi6は、より高次の変調方式をサポートしており、処理されていないピーク電力対平均電力比PAPRは、10dB、さらには11dB以上に達し、パワーアンプの線形化出力に大きな影響を与える。したがって、パワーアンプに入力する前に、変調信号のPAPRを適切に抑制する必要があり、従来技術では、通常、ピークキャンセルによりPAPRを低減させ、ピークキャンセルは、CFR(クレストファクター低減、全称でCrest factor reduction)の略称である。
【0003】
ピークキャンセルが非線形化処理であるため、直接制限すると周波数スペクトル漏れ及びEVM劣化などの問題が発生し、したがって、エンジニアリングにおいてPAPRを低減するための方法は、通常、ウィンドウ関数法(Windowing CFR)とノイズ成形技術(Noise Shaping CFR、NS-CFRと略称)とピークキャンセル技術(Peak Cancellation CFR、PC-CFRと略称)である。ここで、ピークキャンセル技術PC-CFRの基本原理は、オリジナルの入力信号の周波数スペクトル特性に一致するパルス信号を使用し、オリジナルの入力信号のピークをキャンセルし、それによってピーク電力対平均電力比の低減の目的を達成することである。ウィンドウ関数法及びノイズ成形技術と比較して、ピークキャンセル技術PC-CFRは、ピークキャンセル性能がより優れ、リソース消費が制御可能である。
【0004】
PC CFR方法を使用してピークキャンセルを行う場合、低いレートだけで処理すると、ピーク漏れ又はピーク再生が発生する可能性があり、したがって、CFRの動作速度を高めるために、通常、多段カスケード接続又は複数倍の補間により、高いレートでキャンセルしてより優れたピークキャンセル性能を得る。
図1に示す典型的なピークキャンセルアルゴリズムを参照すると、分数遅延によりピーク検索及びピークキャンセルをシングルレートで実行し、多段カスケード接続により、段間信号に対して分数遅延を行い、これは、データサンプリングレートを高めることに相当し、各段の内部処理が同じである。例として、
図1では、ピークキャンセルモジュール1、ピークキャンセルモジュール2、ピークキャンセルモジュール3及びピークキャンセルモジュール4を含む4段CFRモジュールを使用してカスケード接続することが示され、各段のCFRモジュールは、分数遅延1、分数遅延2及び分数遅延3を含む分数遅延により接続され、分数遅延がそれぞれ1/2遅延、1/4遅延、1/2遅延であると仮定すると、これは、信号を4倍のサンプリングレートに増やすことに相当し、ピーク漏れとピーク再生を減らすことができる。
【0005】
分数遅延後の信号のピーク分布図を
図2に示しており、分数遅延後により高いピークが発生することがわかり、これは、サンプリングレートの制限により、本当のピークがより高いレートに隠れる可能性があるためであり、このとき、シングルレートで見えず、本当にピークをキャンセルすることがもできず、低いレートだけで処理すると、高いレートで補間した後にもピークが現れ、ピーク再生が発生する。しかしながら、上記のように、信号を分数遅延させてピークをパイプライン処理することにより、高いレートでのピーク検索及びピークキャンセルの目的を達成することができる。
【0006】
同時に、従来技術では、シンボルレベルでPAPRを高いレートで低減するための方法も提供され、例として、中国特許zl200710122825.0に開示されるピーク電力対平均電力比を低減するための方法及び装置を参照し、この特許では、
図3に示すピークキャンセルを周波数領域シンボルで行うための方法、及び
図4に示すピークキャンセルを時間領域シンボルで行うための方法が開示される。周波数領域シンボルの回転因子を制御し、又は時間領域シンボルの分数遅延を制御し、多段パイプライン処理により、高いレートでのピークキャンセルの目的を達成する。
【0007】
しかしながら、上述した既存のいくつかのCFR処理方式では、低いレートでのパイプライン処理により、高いレートでのピークキャンセルの目的を達成するが、このプロセスではデータに対する複数回の分数遅延又は位相変換が必要であり、かつ分数遅延を実行するたびに再びピークキャンセルモジュールに入る必要があり、例えば、上述した4段カスケード接続CFR方式では、ピークキャンセル処理を4回行う必要があり、ある程度の精度ニーズを満たすが、処理速度が低く、リソースオーバーヘッドが大きい。
【0008】
上述したように、どのようにピーク検索及びキャンセルの精度を確保した上で、構造的な冗長性を低減し、処理速度を向上させ、リソースオーバーヘッドを削減するかは、現在の緊急に解決すべき技術的問題である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服し、高精度多相CFRシステム、方法及び応用を提供することである。本発明によって提供される高精度多相CFRスキームは、単段CFRで多相構造を使用して処理することにより、多段分数遅延CFRカスケード接続と同じピーク検索及びキャンセルの精度を達成することができ、同時に、構造的な冗長性を低減し、リソースの消費を効果的に減らすことができる。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を提供する。高精度多相CFRシステムは、入力信号のクレストファクターを低減して、ピークキャンセル後の信号を得て出力するために使用され、前記CFRシステムは、メインチャネルと、ピークキャンセル信号を生成するための分岐チャネルと、メインチャネルからの出力信号と分岐チャネルからの出力信号を減算するための加減算器とを備え、オリジナルの入力信号は、2つの経路に分けられて前記メインチャネルと前記分岐チャネルにそれぞれ入力され、前記メインチャネルでは、オリジナルの入力信号を遅延させ、前記分岐チャネルでは、オリジナルの入力信号を複数倍補間して異なる位相の複数の信号データを形成した後、最大振幅の検索を高いレートで実行し、多相ピーク信号を得て複数の位相を記録し、オリジナルのシングルレートに復元して信号のピークスクリーニング、ピーク割り当て及びキャンセル信号生成を行い、キャンセル信号の生成プロセスにおいて、高いレートでのピーク位相を多相CPG係数によってシングルレートで補償し、ピーク割り当てに従って複数のCPGパルス信号を結合して最終的なキャンセル信号を得て、前記加減算器は、メインチャネルからの出力信号から最終的なキャンセル信号を減算して、ピークキャンセル後の信号を得て出力する。
【0011】
さらに、前記分岐チャネルには、補間モジュールが設けられ、前記補間モジュールは、
サンプリングレートfsのオリジナルの入力信号を分岐チャネルに入力した後、入力信号をN*fsサンプリングレートまでN倍補間するように構成され、補間後、1つの信号データx(n)は、異なる位相のN個の信号データX(Nn)、X(Nn+1)、……、X(Nn+N-1)、即ちN相信号データになり、前記Nが2以上の整数であり、前記n、Nn、Nn+1、……、Nn+N-1が時間を表す。
【0012】
さらに、前記分岐チャネルには、多相検索モジュールが設けられ、前記多相検索モジュールは、各信号データx(n)に対して、補間後のN相信号データX(Nn)、X(Nn+1)、……、X(Nn+N-1)に基づいて、これらN個の位置の振幅を比較し、N個の位置から振幅の最も大きい位置をピークポイントとして選択して出力し、ピークポイント位置の位相情報を記録し、N相信号データから抽出されたピークポイントの振幅及び位相に基づいてN相ピーク信号を形成するように構成される。
【0013】
さらに、前記分岐チャネルには、ピークスクリーニングモジュールが設けられ、前記ピークスクリーニングモジュールは、N相ピーク信号に対して、スライディングウィンドウ処理によるピーク選択、即ちピークの初期スクリーニングをオリジナルのシングルレートで行い、次に設定されたウィンドウ長に基づいて、ウィンドウ内の最大ピークを選択してピークウィンドウスクリーニング、即ちピークの2回目のスクリーニングを行い、多相最大振幅検索及び2回のピークスクリーニングにより得られたピークセットに対して、ピークポイント位置に対応する振幅及位び相情報を保持し、ピークポイント以外の位置のデータを全て0にして最終的なノイズセットを得るように構成される。
【0014】
さらに、前記分岐チャネルには、ピーク割り当てモジュールが設けられ、前記ピーク割り当てモジュールは、ノイズセットにおけるピークに対してフィルタの乗算割り当てを行い、ピークの密集度に基づいて乗算器の数を割り当てるように構成され、前記フィルタは、ノイズ信号をフィルタリングしてオリジナルの入力信号と同じ周波数スペクトル特性を維持するために使用される。
【0015】
さらに、前記分岐チャネルには、多相CPG係数生成モジュールが設けられ、前記多相CPG係数生成モジュールは、単相CPG係数と多相分数遅延フィルタに対して畳み込み演算を行い、複数のグループのCPG係数を含む多相CPG係数を得るように構成され、各グループのCPG係数が1つの位相に対応しており、前記多相CPG係数は、高いレートで取得された多相ピーク信号の遅延補償を処理するために使用され、前記単相CPG係数は、オリジナルの入力信号と同じ周波数スペクトルを持つフィルタをシングルレートで設計することにより得られる。
【0016】
さらに、高いレートで取得された多相ピーク信号の遅延補償を多相CPG係数によって処理する場合、異なる位相のピークノイズに対して、対応する位相のCPG係数を使用して遅延補償を完了する。
【0017】
さらに、複数の位相の各々に対して、各位相におけるノイズと当該位相のCPG係数との畳み込み演算を行い、遅延補償後の当該位相のCPGパルス信号を得て、ピーク割り当てに従って、複数の位相のCPGパルス信号を結合して最終的なキャンセル信号を得る。
【0018】
本発明は、高精度多相CFR方法をさらに提供する。前記方法は、オリジナルの入力信号を入力するステップと、オリジナルの入力信号を2つの経路に分けてメインチャネルと分岐チャネルにそれぞれ入力するステップと、前記メインチャネルでは、オリジナルの入力信号を遅延させるステップと、前記分岐チャネルでは、オリジナルの入力信号を複数倍補間して異なる位相の複数の信号データを形成した後、最大振幅の検索を高いレートで実行し、多相ピーク信号を得て複数の位相を記録し、オリジナルのシングルレートに復元して信号のピークスクリーニング、ピーク割り当て及びキャンセル信号生成を行うステップと、キャンセル信号の生成プロセスにおいて、高いレートでのピーク位相を多相CPG係数によってシングルレートで補償し、ピーク割り当てに従って複数のCPGパルス信号を結合して最終的なキャンセル信号を得るステップと、メインチャネルによって出力された遅延後のオリジナル信号から分岐チャネルによって出力された最終的なキャンセル信号を減算し、ピークキャンセル後の信号を得て出力するステップとを含む。
【0019】
本発明は、CFRにおいてピークキャンセル信号を生成するための方法をさらに提供する。前記方法は、オリジナルの入力信号を複数倍補間して異なる位相の複数の信号データを形成した後、最大振幅の検索を高いレートで実行し、多相ピーク信号を得て複数の位相を記録し、オリジナルのシングルレートに復元して信号のピークスクリーニング、ピーク割り当て及びキャンセル信号生成を行うステップと、キャンセル信号の生成プロセスにおいて、高いレートでのピーク位相を多相CPG係数によってシングルレートで補償し、ピーク割り当てに従って複数のCPGパルス信号を結合して最終的なキャンセル信号を得るステップとを含む。
【0020】
本発明は、上記の技術的解決手段を採用するため、従来技術と比較して、例として以下の利点と積極的な効果を有する:前記高精度多相CFR方法は、単段CFRで多相構造を使用して処理することにより、多段分数遅延CFRカスケード接続と同じピーク検索及びキャンセルの精度を達成することができ、同時に、構造的な冗長性を低減し、リソースの消費を効果的に減らすことができる。本発明は、低いレートでの処理により高いレートでのピークキャンセルパルスを得て、従来の分数遅延CFRの多段カスケード接続スキームと比較して、本発明は、基本的に同じピークキャンセル精度及び効果を確保した上で、処理効率を向上させ、構造的な冗長性を低減させ、リソースオーバーヘッドを削減させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】従来技術による典型的なピークキャンセルアルゴリズムの論理構造図である。
【
図3】従来技術によるピークキャンセルを周波数領域シンボルで行うCFR多段カスケード接続スキームを示す図である。
【
図4】従来技術によるピークキャンセルを時間領域シンボルで行うCFR多段カスケード接続スキームを示す図である。
【
図5】本発明の実施例によって提供される高精度多相CFRシステムの論理構造図である。
【
図6】本発明の実施例によって提供される4相CPG係数を生成するフローチャートである。
【
図7】本発明の実施例によって提供される遅延補償及びキャンセル信号生成を4相で行うフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に図面と具体的な実施例を組み合わせて本発明で開示される高精度多相CFRシステム、方法及び応用をさらに詳細に説明する。注意すべきものとして、下記の実施例で説明される技術的特徴又は技術的特徴の組み合わせは、孤立であると考えられるべきではなく、それらは、より優れた技術的効果を達成するために相互に組み合わせることができる。下記の実施例の図面では、各図面に現れる同じ参照番号は、同じ特徴又は部材を表し、異なる実施例に適用され得る。したがって、ある項目を添付図面で定義すれば、後続の図でさらに討論する必要がない。
【0023】
説明すべきものとして、本明細書に添付する図面に示される構造、比例、サイズなどは、この技術に精通した者が理解して読むことができるように、明細書で開示される内容と組み合わせるためのものだけであるが、発明の実施可能な条件を限定するためのものではなく、いかなる構造上の修正、比例関係の変更又はサイズの調整は、発明の効果及び目的に影響を与えない限り、本発明によって開示される技術内容の範囲内に含まれるべきである。本発明の好ましい実施形態の範囲は、本発明の実施形態が属する技術分野の当業者によって理解されるように、関連する機能に応じて基本的に同時の方式又は逆の順序を含む、説明又は議論された順序に従って機能を実行しなくてもよいという追加の実施形態を含む。
【0024】
関連分野の当業者に知られている技術、方法及び機器については詳細に説明しなくてもよいが、適切な場合、前記技術、方法及び機器は、明細書の一部とみなすべきである。ここで示され、議論される全ての例において、いかなる具体的な値は、例示的なものであり、限定的なものではないと解釈されるべきである。したがって、例示的な実施例の他の例は、異なる値を有することができる。
実施例
【0025】
図1に示すように、それは本発明によって提供される高精度多相CFR(クレストファクター低減)システムである。前記CFRシステムは、入力信号(Input Signal)に対してクレストファクターを低減して、ピークキャンセル後の信号(Output Signal)を得て、ピークキャンセル後の信号を出力するために使用される。
【0026】
前記CFRシステムは、メインチャネルと、ピークキャンセル信号を生成するための分岐チャネルと、メインチャネルからの出力信号と分岐チャネルからの出力信号を減算するための加減算器 (加算器又は減算器)とを備える。
【0027】
オリジナルの入力信号は、CFRシステムに入力された後、2つの経路に分けられて前記メインチャネルと前記分岐チャネルにそれぞれ入力される。
【0028】
メインチャネルでは、オリジナルの入力信号のみを遅延させる。具体的には、前記メインチャネルには、遅延モジュールが設けられ、前記遅延モジュールにより、オリジナルの入力信号を遅延させる。
【0029】
分岐チャネルは、ピークキャンセル信号(又はピークキャンセルパルスと呼ばれる)を生成するために使用され、メインチャネルからの出力信号から分岐チャネルからの出力信号を減算することにより、ピークキャンセル後の信号を得て出力することができる。ピークキャンセル信号の生成プロセスは、補間、ピーク検索、ピークスクリーニング、ピーク割り当て、フィルタ多相処理、キャンセル信号生成などのプロセスを含む。具体的には、前記分岐チャネルでは、まずオリジナルの入力信号を複数倍補間して異なる位相の複数の信号データを形成した後、最大振幅の検索を高いレートで実行し、多相ピーク信号を得て複数の位相を記録し、オリジナルのシングルレートに復元して信号のピークスクリーニング、ピーク割り当て及びキャンセル信号生成を行い、キャンセル信号の生成プロセスにおいて、高いレートでのピーク位相を多相CPG(キャンセルパルス生成、全称でCancel Pulse Generation)係数によってシングルレートで補償し、ピーク割り当てに従って複数のCPGパルス信号を結合して最終的なキャンセル信号を得る。
【0030】
前記加減算器は、メインチャネルからの出力信号から最終的なキャンセル信号を減算して、ピークキャンセル後の信号を得て出力するために使用される。
【0031】
本実施例では、前記分岐チャネルには、補間モジュール、多相検索モジュール、ピークスクリーニングモジュール、ピーク割り当てモジュール、多相CPG係数生成モジュール及びキャンセル信号生成モジュールが設けられてもよい。
【0032】
前記補間モジュールは、N倍補間を行うために使用される。具体的には、補間モジュールは、サンプリングレートfsのオリジナルの入力信号を分岐チャネルに入力した後、入力信号をN*fsサンプリングレートまでN倍補間し、サンプリングレートをシングルレートからN倍のレートに増加させるように構成される。補間後、1つの信号データx(n)は、異なる位相のN個の信号データX(Nn)、X(Nn+1)、……、X(Nn+N-1)、即ちN相信号データになり、前記Nが2以上の整数であり、前記n、Nn、Nn+1、……、Nn+N-1が時間を表す。
【0033】
例として、N=4が引き続き使用され、即ち4倍の補間を行い、このとき、x(n)は、X(4n)、X(4n+1)、X(4n+2)及びX(4n+3)の4つのデータに補間される。
【0034】
前記多相検索モジュールは、補間後の多相最大振幅検索を行うために使用される。具体的には、前記多相検索モジュールは、各信号データx(n)に対して、補間後のN相信号データX(Nn)、X(Nn+1)、……、X(Nn+N-1)に基づいて、これらN個の位置の振幅を比較し、N個の位置から振幅の最も大きい位置をピークポイントとして選択して出力し、ピークポイント位置の位相情報を記録し、N相信号データから抽出されたピークポイントの振幅及び位相に基づいてN相ピーク信号を形成するように構成される。
【0035】
例として、N=4が引き続き使用され、x(n)補間後に形成されたX(4n)、X(4n+1)、X(4n+2)及びX(4n+3)に対して、これら4つの位置の振幅を比較し、4つの位置から振幅の最も大きい位置例えばX(4n+1)位置を選択して出力し、このとき、X(4n+1)位置がピークポイント位置になり、ピークポイントの振幅及び位相の情報を記録する。
【0036】
x(n+1 )補間後に形成されたX(4n+4)、X(4n+5)、X(4n+6)及びX(4n+7)に対して、これら4つの位置の振幅を比較し、4つの位置から振幅の最も大きい位置例えばX(4n+5)位置を選択して出力し、このとき、X(4n+5)位置がピークポイント位置になり、ピークポイントの振幅及び位相の情報を記録する。
【0037】
このように類推し、4相信号データから抽出されたピークポイントの振幅及び位相に基づいて、4相におけるピークポイントの振幅及び位相を記録したN相ピーク信号を形成することができ、各ピークポイントは、そのときの4相におけるピーク位相情報を保持している。このようにして、高いレート(サンプリングレートの4倍)での多相ピーク信号の取得が実現される。
【0038】
多相ピーク信号が取得された後、オリジナルのシングルレートに復元し、その後の処理をシングルレートで行い、このようにして、高いレートでのピークパルス発生による大きなリソースオーバーヘッドを回避することができる。
【0039】
前記ピークスクリーニングモジュールは、N相ピーク信号に対して、スライディングウィンドウ処理によるピーク選択、即ちピークの初期スクリーニングをオリジナルのシングルレートで行い、次に設定されたウィンドウ長に基づいて、ウィンドウ内の最大ピークを選択してピークウィンドウスクリーニング、即ちピークの2回目のスクリーニングを行い、多相最大振幅検索及び2回のピークスクリーニングにより得られたピークセットに対して、ピークポイント位置に対応する振幅及び位相情報を保持し、ピークポイント以外の位置のデータを全て0にして最終的なノイズセットを得るように構成される。
【0040】
前記ピーク割り当てモジュールは、ノイズセットにおけるピークに対してフィルタの乗算割り当てを行い、ピークの密集度に基づいて乗算器の数を割り当てるように構成され、前記フィルタは、ノイズ信号をフィルタリングしてオリジナルの入力信号と同じ周波数スペクトル特性を維持するために使用される。
【0041】
前記多相CPG係数生成モジュールは、単相CPG係数と多相分数遅延フィルタに対して畳み込み演算を行い、複数のグループのCPG係数を含む多相CPG係数を得るように構成され、各グループのCPG係数が1つの位相に対応しており、前記多相CPG係数は、高いレートで取得された多相ピーク信号の遅延補償を処理するために使用される。
【0042】
前記単相CPG係数は、オリジナルの入力信号と同じ周波数スペクトルを持つフィルタをシングルレートで設計することにより得られる。
【0043】
高いレートで取得された多相ピーク信号の遅延補償を多相CPG係数によって処理する場合、異なる位相のピークノイズに対して、対応する位相のCPG係数を使用して遅延補償を完了する。
【0044】
前記キャンセル信号生成モジュールは、複数の位相の各々に対して、各位相におけるノイズと当該位相のCPG係数との畳み込み演算を行い、遅延補償後の当該位相のCPGパルス信号を得て、ピーク割り当てに従って、複数の位相におけるCPGパルス信号を結合して最終的なキャンセル信号を得るように構成される。
【0045】
以下、
図5~
図7を参照し、4多相CFRシステムを例として本実施例を詳細に説明する。
【0046】
ステップS1、補間を行う。
【0047】
入力信号をN*fsサンプリングレートまで補間し、N=4、fsがオリジナルのデータのサンプリングレートであり、補間後に4*fsサンプリングレート、即ち4倍のサンプリングレートになる。
【0048】
ステップS2、補間後の多相最大振幅検索(N-phase Max Mag Select)を行う。
【0049】
補間後、1つのデータは、異なる位相のN個のデータになり、N相データから振幅の最も大きいデータを選択し、位相情報を記録し、4倍補間を例に挙げると、x(n)がX(4n)、X(4n+1)、X(4n+2)及びX(4n+3)に補間される場合、これら4つの位置の振幅を比較し、振幅の最も大きい位置を選択して出力し、位相情報を記録する。
【0050】
ステップS3、レートを復元する。
【0051】
多相最大振幅検索後の信号抽出は、元のシングルレートに復元され、その後の処理は、依然としてシングルレートで実行され、これは、高いレートでのピークパルスの生成がハードウェア実装に不利であり、リソースオーバーヘッドが大きいからである。
【0052】
ステップS4、ピーク検索(Peak Detector)を行う。
【0053】
シングルレートでのデータストリームに対するスライディングウィンドウ処理によるピーク選択は、ピークの初期スクリーニングに相当する。
【0054】
ステップS5、ピークウィンドウ(Peak Window)スクリーニングを行う。
【0055】
設定されたウィンドウ長に基づいて、ウィンドウ内の最大ピークを選択し、ピークを2回目スクリーニングする。
【0056】
2回のピークスクリーニングは、検出されるピークが多すぎ、キャンセルが多すぎるため、EVM劣化及びピーク再生、ならびに乗算器リソースの過剰な使用などの問題を防止するために実行される。
【0057】
ステップ6、ピークノイズを格納する。
【0058】
多相最大振幅検索及び2回のピークスクリーニングにより得られたピークセットを、振幅及び位相を含むように保持し、ピークポイント以外の位置のデータを全て0にする。
【0059】
ステップS7、ピーク割り当て(Peak Allocation)を行う。
【0060】
ピークスクリーニングにより最終的なノイズセットが得られ、オリジナルの入力信号と同じ周波数スペクトル特性を維持し、それによって非線形歪みによる周波数スペクトル拡散を軽減させるために、ノイズセットにおけるノイズ信号をフィルタリングする必要がある。
【0061】
ピーク割り当ては、ノイズセットにおけるピークに対するフィルタの乗算割り当てである。ここで、データストリームの形態に従って、乗算をピークの密集度に応じて合理的に割り当てる必要があり、単一のピークの場合、データとフィルタ係数との畳み込みは、ピークデータと係数センタータップとの複素乗算に相当し、畳み込み長内に複数のピークが存在する場合、ピークポイントの出力は、フィルタ長内の複数の複素乗算の累積に相当する。使用される乗算器の数は、ピークの密集度に関連しており、密集度の最も高いピーク領域は、割り当てられる乗算器の最大数を決定する。
【0062】
ステップS8、多相CPG係数を生成する。
【0063】
多相CPG係数は、ノイズ成形と遅延補償の2つの機能に使用され、ノイズ成形とは、オリジナルの信号と同じ周波数スペクトルを持つフィルタをシングルレートで設計し、単相CPG係数を得ることを意味する。
【0064】
多相CPG係数(CPG Coeffs)とは、単相CPG係数とN相分数遅延フィルタとの畳み込み(conv)により得られるN相のCPG係数を指し、高いレートで取得された多相ピーク信号の遅延補償を処理するために使用される。
【0065】
4相CPG係数の生成を例とすると、単相CPG係数を生成した後、分数遅延により多相CPG係数を得る必要があり、一般的に、ナイキストフィルタ(Nyquist filter)を使用し、ナイキストフィルタの4つの位相を抽出し、それぞれ単相CPG係数と畳み込、
図6に示すように、ナイキストフィルタの4つの位相に対応する4つのグループの係数を得ることができ、単相CPG係数CPG Coeffが生成された後、分数遅延フィルタにより分数遅延処理を行い、ナイキストフィルタの4つの位相(
図6のナイキストフィルタ位相0、ナイキストフィルタ位相1、ナイキストフィルタ位相2、ナイキストフィルタ位相3)を抽出し、単相CPG係数CPG Coeffと畳み込み、4相CPG係数を得て、4相CPG係数は、上記の4つの位相にそれぞれ対応する4グループの係数(
図6のCPG係数位相0、CPG係数位相1、CPG係数位相2、CPG係数位相3)を含む。
【0066】
ステップS9、遅延補償及びキャンセル信号の生成を行う。
【0067】
ピークセットがシングルレートで得られるが、各ピークポイントは、そのときの多相における位相情報を保持しており、ノイズ成形を行う場合、異なる位相のノイズについては、遅延補償を完了するために、対応する位相のCPG係数(CPG Coeff)を使用する必要があり、これにより、生成されたキャンセル信号をオリジナルの入力信号から減算することができる。
【0068】
4相ノイズの遅延補償の概略図は、
図7に示され、4相ノイズ (Noise)と4相CPG係数(4相CPG係数)を畳み込んで遅延補償後のパルス信号を得て、ここで、対応する位相のピーク値とCPG係数を畳み込み、例えばN番目の位相のピーク値について、N番目の位相のCPG係数を選択する。
【0069】
次に、ピーク割り当てに従って、4つの位相(位相0、位相1、位相2、位相3)のCPGキャンセル信号を結合(sum)して最終的なキャンセル信号(Cancellation Signal)を得る。
【0070】
ステップS10、メインチャネルによって出力された遅延後のオリジナルの入力信号から分岐チャネルによって出力された最終的なキャンセル信号(Cancellation Signal)を減算し、ピークキャンセル後の信号(Output Signal)を得る。
【0071】
本発明によって提供される上記多相ピークキャンセルスキームは、単段多相構造のピークキャンセルCFRシステムであり、多相ピーク検索技術、多相CPG係数生成及び処理技術により、多相のピークキャンセルパルスの生成を単相で実現する。具体的には、入力信号に対して多相ピーク検索と位相記録を高いレートで行い、ピークスクリーニング、ピーク割り当て、ピークキャンセルをシングルレートで行い、キャンセル信号の生成プロセスにおいて、ピークスクリーニング後のピークノイズに対して、パルス成形及び高いレートでの記録された位相の補償を多相CPG係数によって行い、ピーク割り当てに従って、複数のCPGパルスを結合して最終的なキャンセル信号を得て、オリジナル信号を遅延させて最終的なキャンセル信号を減算し、ピーク電力対平均電力比が低い信号を得て出力する。このようにして、本発明は、低いレートでの処理により高いレートでのピークキャンセルパルスを得ることができ、分数遅延CFRの4段カスケード接続方法と比較して、本発明は、1段の処理により、4相の構造及び技術を利用し、高いレートでのピークキャンセル効果に近似したピークキャンセル効果をシングルレートで実現し、かつ分数遅延のカスケード接続を複数回行う必要がないため、高精度のピークキャンセルを確保し、構造的な冗長性を低減させ、リソースオーバーヘッドを削減させる。
【0072】
本発明の別の実施例は、高精度多相CFR方法をさらに提供する。前記方法は、次のステップを含む。
【0073】
S100、オリジナルの入力信号を入力する。
【0074】
S200、オリジナルの入力信号を2つの経路に分けてメインチャネルと分岐チャネルにそれぞれ入力し、前記メインチャネルでは、オリジナルの入力信号を遅延させ、前記分岐チャネルでは、オリジナルの入力信号を複数倍補間して異なる位相の複数の信号データを形成した後、最大振幅の検索を高いレートで実行し、多相ピーク信号を得て複数の位相を記録し、オリジナルのシングルレートに復元して信号のピークスクリーニング、ピーク割り当て及びキャンセル信号生成を行い、キャンセル信号の生成プロセスにおいて、高いレートでのピーク位相を多相CPG係数によってシングルレートで補償し、ピーク割り当てに従って複数のCPGパルス信号を結合して最終的なキャンセル信号を得る。
【0075】
S300、メインチャネルによって出力された遅延後のオリジナル信号から分岐チャネルによって出力された最終的なキャンセル信号を減算し、ピークキャンセル後の信号を得て出力する。
【0076】
本実施例では、前記ステップS200に対応して、前記分岐チャネルには、補間モジュール、多相検索モジュール、ピークスクリーニングモジュール、ピーク割り当てモジュール、多相CPG係数生成モジュール及びキャンセル信号生成モジュールが設けられてもよい。
【0077】
前記補間モジュールは、N倍補間を行うために使用される。具体的には、補間モジュールは、サンプリングレートfsのオリジナルの入力信号を分岐チャネルに入力した後、入力信号をN*fsサンプリングレートまでN倍補間し、サンプリングレートをシングルレートからN倍のレートに増加させるように構成される。補間後、1つの信号データx(n)は、異なる位相のN個の信号データX(Nn)、X(Nn+1)、……、X(Nn+N-1)、即ちN相信号データになり、前記Nが2以上の整数であり、前記n、Nn、Nn+1、……、Nn+N-1が時間を表す。
【0078】
前記多相検索モジュールは、補間後の多相最大振幅検索を行うために使用される。具体的には、前記多相検索モジュールは、各信号データx(n)に対して、補間後のN相信号データX(Nn)、X(Nn+1)、……、X(Nn+N-1)に基づいて、これらN個の位置の振幅を比較し、N個の位置から振幅の最も大きい位置をピークポイントとして選択して出力し、ピークポイント位置の位相情報を記録し、N相信号データから抽出されたピークポイントの振幅及び位相に基づいてN相ピーク信号を形成するように構成される。
【0079】
多相ピーク信号が取得された後、オリジナルのシングルレートに復元し、その後の処理をシングルレートで行い、このようにして、高いレートでのピークパルス発生による大きなリソースオーバーヘッドを回避することができる。
【0080】
前記ピークスクリーニングモジュールは、N相ピーク信号に対して、スライディングウィンドウ処理によるピーク選択、即ちピークの初期スクリーニングをオリジナルのシングルレートで行い、次に設定されたウィンドウ長に基づいて、ウィンドウ内の最大ピークを選択してピークウィンドウスクリーニング、即ちピークに対する2回目のスクリーニングを行い、多相最大振幅検索及び2回のピークスクリーニングにより得られたピークセットに対して、ピークポイント位置に対応する振幅及び位相情報を保持し、ピークポイント以外の位置のデータを全て0にして最終的なノイズセットを得るように構成される。
【0081】
前記ピーク割り当てモジュールは、ノイズセットにおけるピークに対してフィルタの乗算割り当てを行い、ピークの密集度に応じて乗算器の数を割り当てるように構成され、前記フィルタは、ノイズ信号をフィルタリングしてオリジナルの入力信号と同じ周波数スペクトル特性を維持するために使用される。
【0082】
前記多相CPG係数生成モジュールは、単相CPG係数と多相分数遅延フィルタに対して畳み込み演算を行い、複数のグループのCPG係数を含む多相CPG係数を得るように構成され、各グループのCPG係数が1つの位相に対応しており、前記多相CPG係数は、高いレートで取得された多相ピーク信号の遅延補償を処理するために使用される。
【0083】
前記単相CPG係数は、オリジナルの入力信号と同じ周波数スペクトルを持つフィルタをシングルレートで設計することにより得られる。高いレートで取得された多相ピーク信号の遅延補償を多相CPG係数で処理する場合、異なる位相のピークノイズに対して、対応する位相のCPG係数を使用して遅延補償を完了する。
【0084】
前記キャンセル信号生成モジュールは、複数の位相の各々に対して、各位相におけるノイズと当該位相のCPG係数との畳み込み演算を行い、遅延補償後の当該位相のCPGパルス信号を得て、ピーク割り当てに従って、複数の位相におけるCPGパルス信号を結合して最終的なキャンセル信号を得るように構成される。
【0085】
他の技術的特徴については、上記の実施例を参照するため、ここでは繰り返し説明を省略する。
【0086】
本発明の別の実施例は、CFRにおいてピークキャンセル信号を生成するための方法をさらに提供する。
【0087】
前記方法は、オリジナルの入力信号を複数倍補間して異なる位相の複数の信号データを形成した後、最大振幅の検索を高いレートで実行し、多相ピーク信号を得て複数の位相を記録し、オリジナルのシングルレートに復元して信号のピークスクリーニング、ピーク割り当て及びキャンセル信号生成を行うステップと、キャンセル信号の生成プロセスにおいて、高いレートでのピーク位相を多相CPG係数によってシングルレートで補償し、ピーク割り当てに従って複数のCPGパルス信号を結合して最終的なキャンセル信号を得るステップとを含む。
【0088】
他の技術的特徴については、上記の実施例を参照するため、ここでは繰り返し説明を省略する。
【0089】
上記の説明では、本発明の開示内容は、これらの態様に限定されることを意図するものではない。むしろ、各構成要素は、本開示の内容の目標保護範囲で任意の数で選択的かつ操作的に組み合わせることができる。本明細書で開示される実施例で説明される方法又はアルゴリズムを組み合わせたステップは、ハードウエア、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、又は両者の組み合わせによって直接実施されてもよい。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的プログラマブルROM、電気的消去可能プログラマブルROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、又は技術分野内で知られている他の形態の任意の記憶媒体に設けられてもよい。また、「含む」、「網羅」及び「有する」などの用語は、明示的に逆の意味に限定されていない限り、排他的又は閉鎖的ではなく、包括的又は開放的なものとしてデフォルトで解釈されるべきである。全ての技術用語、科学用語又は他の態様の用語は、逆の意味に限定されない限り、当業者によって理解される意味を有する。辞書に記載されている一般的な用語は、本開示の内容が明示的に限定しない限り、関連する技術文書の文脈においてあまりにも理想的又は非現実的に解釈されるべきではない。上記の開示内容に従って本発明の分野における当業者によって行われる変更、修正は、全て特許請求の範囲の保護範囲に属する。
【国際調査報告】