(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-07
(54)【発明の名称】マルチデータ融合に基づく車両位置特定方法、システム及び車載端末
(51)【国際特許分類】
G01C 21/16 20060101AFI20250228BHJP
B60W 50/06 20060101ALI20250228BHJP
B60W 40/114 20120101ALI20250228BHJP
B60W 40/12 20120101ALI20250228BHJP
【FI】
G01C21/16
B60W50/06
B60W40/114
B60W40/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540915
(86)(22)【出願日】2023-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 CN2023121327
(87)【国際公開番号】W WO2024152603
(87)【国際公開日】2024-07-25
(31)【優先権主張番号】202310081994.3
(32)【優先日】2023-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524255081
【氏名又は名称】恵州市徳賽西威汽車電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUIZHOU DESAY SV AUTOMOTIVE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】103, Hechang 5th Road West, Zhongkai National Hi-Tech Industrial Development Zone, Huizhou, Guangdong 516006, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】ルー・ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン・ドゥーシアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン・チンイエ
【テーマコード(参考)】
2F129
3D241
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB20
2F129BB23
2F129BB26
2F129BB33
2F129BB34
2F129BB48
3D241BA49
3D241BB27
3D241BC02
3D241BC04
3D241DA52Z
3D241DB12Z
3D241DB20Z
3D241DB32Z
3D241DB46Z
3D241DB48Z
(57)【要約】
本発明はマルチデータ融合に基づく車両位置特定方法、システム及び車載端末を提供し、方法は、車輪速パルス信号により第1車体変化角度を計算し、ハンドル信号により第2車体変化角度を計算し、慣性測定ユニットにより第3車体変化角度を計算するステップと、第2車体変化角度と第3車体変化角度とをデータ融合して、融合変化角度を取得するステップと、第1車体変化角度データが更新される場合、第1車体変化角度により融合変化角度に対してフィルタリング補正を行って、フィルタリング係数を取得し、且つ前の時刻の車体角度と組み合わせて現在の車体角度を計算するステップと、前の時刻の車体位置、現在時刻の車体角度及び車両の走行距離に基づいて車両の現在車体位置を計算するステップと、を含む。本発明は複数種類のデータを融合してからフィルタリングし、車両変化角度のデータ信頼性を大幅に向上させることができ、異なるデータソースの誤差を回避する。これにより、車両の位置特定精度を効果的に向上させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチデータ融合に基づく車両位置特定方法であって、
車輪速パルス信号により第1車体変化角度を計算し、ハンドル信号により第2車体変化角度を計算し、慣性測定ユニットにより第3車体変化角度を計算するステップと、
前記第2車体変化角度と第3車体変化角度とをデータ融合して、融合変化角度を取得するステップと、
前記第1車体変化角度データが更新される場合、前記第1車体変化角度により前記融合変化角度に対してフィルタリング補正を行って、フィルタリング係数を取得し、且つ前の時刻の車体角度と組み合わせて現在の車体角度を計算するステップと、
前の時刻の車体位置、前記現在時刻の車体角度及び車両の走行距離に基づいて車両の現在車体位置を計算するステップと、を含むことを特徴とするマルチデータ融合に基づく車両位置特定方法。
【請求項2】
前記第1車体変化角度データが更新される場合、前記第1車体変化角度により前記融合変化角度に対してフィルタリング補正を行って、補正後の車体変化角度を取得する前記ステップは、
前記第1車体変化角度のデータ更新周期を決定するサブステップと、
現在更新周期の第1時刻で、最新の第1車体変化角度を計算して取得するサブステップと、
更新周期内の前記融合変化角度の総和を計算するサブステップと、
最新の第1車体変化角度と前記融合変化角度の総和との比率に基づいてフィルタリング係数を決定するサブステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチデータ融合に基づく車両位置特定方法。
【請求項3】
前の時刻の車体角度と組み合わせて現在の車体角度を計算する前記ステップは、
積分関数を用いて、前の時刻から現在時刻までの融合変化角度とフィルタリング係数との積を積分することを含むことを特徴とする請求項2に記載のマルチデータ融合に基づく車両位置特定方法。
【請求項4】
前の時刻の車体角度と組み合わせて現在の車体角度を計算する前記具体的な計算方法は、
【数8】
であり、
ただし、Pがフィルタリング係数であり、θ
t1が現在の車体角度であり、θ
t0が前の時刻の車体角度であり、
且つ、前記第1車体変化角度Δrad
1のデータが更新される場合、フィルタリング係数が
【数9】
であり、
ただし、t1が現在時刻であり、t2が第1車体変化角度の前回のデータ更新時刻であり、
前記第1車体変化角度データが更新されない場合、フィルタリング係数は、
P=1であることを特徴とする請求項3に記載のマルチデータ融合に基づく車両位置特定方法。
【請求項5】
前記第2車体変化角度と第3車体変化角度とをデータ融合して、融合変化角度を取得するステップは、
前記第3車体変化角度がジャンプするかどうかを判断するサブステップと、
YESの場合、前記第2車体変化角度を融合変化角度とし、NOの場合、前記第2車体変化角度及び第3車体変化角度の相対偏差を計算するサブステップと、
前記相対偏差に基づいてそれぞれ第2車体変化角度及び第3車体変化角度の重みを計算するサブステップと、
前記第2車体変化角度及び前記第3車体変化角度の加重平均値を計算することで融合変化角度を取得するサブステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチデータ融合に基づく車両位置特定方法。
【請求項6】
車輪速パルス信号により第1車体変化角度を計算する前記ステップは、
車輪速パルス信号によりそれぞれ車両の左車輪及び右車輪の走行距離を計算するサブステップと、
左車輪の走行距離と右車輪の走行距離との走行距離差を計算するサブステップと、
左車輪と右車輪とのトレッドを取得するサブステップと、
前記走行距離差と前記トレッドとの比率を計算して、前記第1車体変化角度を取得するサブステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチデータ融合に基づく車両位置特定方法。
【請求項7】
ハンドル信号により第2車体変化角度を計算する前記ステップは、
ハンドルの操舵角センサ及び前後のトレッドにより旋回半径を計算するサブステップと、
車体走行道程を取得するサブステップと、
前記走行道程及び前記旋回半径により第2車体変化角度を計算して取得するサブステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチデータ融合に基づく車両位置特定方法。
【請求項8】
慣性測定ユニットにより第3車体変化角度を計算する前記ステップは、
慣性測定ユニットによりヨーレートを計算するサブステップと、
前記ヨーレート及び測定単位時間に基づいて第3車体変化角度を計算するサブステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチデータ融合に基づく車両位置特定方法。
【請求項9】
前の時刻の車体位置、前記現在時刻の車体角度及び車両の走行距離に基づいて車両の現在車体位置を計算する前記過程は、
単位測定時間内の車両の走行道程を計算することと、
前の時刻の車体角度及び現在時刻の車体角度の角度平均値を計算することと、
前の時刻の車体位置、前記角度平均値及び車両の走行道程を利用して三角関数により現在車体の座標を計算することと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチデータ融合に基づく車両位置特定方法。
【請求項10】
マルチデータ融合に基づく車両位置特定システムであって、
車体の両側の車輪の走行道程差により第1車体変化角度を計算するための車輪速パルス計算ユニットと、
ハンドル信号により第2車体変化角度を計算するためのハンドル角度計算ユニットと、
第3車体変化角度を測定するための慣性測定ユニットと、
前記第2車体変化角度と第3車体変化角度とをデータ融合して、且つ前記第1車体変化角度を利用して融合後の融合変化角度に対してフィルタリング補正を行って、正確な車体変化角度を取得するための融合計算ユニットと、を備え、
前記融合計算ユニットは更に、車体変化角度及び前の時刻の車体の位置に基づいて車両の現在車体位置を計算するためのものであることを特徴とするマルチデータ融合に基づく車両位置特定システム。
【請求項11】
車両端末であって、
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、且つ前記プロセッサにおいて実行され得るデータ処理プログラムとを備え、前記データ処理プログラムが前記プロセッサにより実行されるとき、請求項1に記載の車両位置特定方法を実現することを特徴とする車両端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動運転の技術分野に属し、特にマルチデータ融合に基づく車両位置特定方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転の急速な発展に伴い、自動車が備える自動駐車機能はますます普及しており、自動駐車機能は人間に利便性をもたらすとともに、体験が良くない問題、例えば傾き、停止線での停止の現象もある。その根本的な原因は、自動駐車過程において車両の位置特定データが精確ではなく、これらの位置特定データに車体の座標、車両の進路角などが含まれることにある。
【0003】
従来技術において、一般的に車体を位置特定するとき、ほとんどの技術案はいずれも1種類のみのデータにより取得され、例えば、車輪速パルス信号により車体の位置特定を計算し、このような位置特定方法はより正確であるが、ホールセンサの認識頻度により制限されてそのデータ更新頻度が比較的低く、このため、このような方式で車体の位置特定を行う場合にそのデータ信頼性が不安定である。また、ハンドル信号により車体の角度を計算し、且つ車体の走行道程と組み合わせて車体の位置特定を行う場合もあるが、該方式はデータの反復計算であるため、長時間にわたって計算すると、誤差が重なってしまい、このため、データがますます不確実になってしまう。一部の車両に慣性測定ユニット(IMU、Inertial Measurement Unit)が設置され、該慣性測定ユニットは加速度及び回転角度を累計することでその運動軌跡を計算することができ、それにより車体を位置特定するが、計算過程においてデータがジャンプする問題が発生しやすい。
【0004】
従って、上記従来技術のキーポイントは車体変化角度をどのように決定するかであるが、更新頻度、誤差累計及びデータジャンプの問題に起因して、角度の計算が不正確になって自動駐車に失敗しやすく、ユーザーは駐車機能を用いる際に自分で駐車するほうが良い気持ちになってしまい、自動運転の発展にも不利である。
【0005】
これに基づいて、マルチデータ融合に基づく位置特定アルゴリズムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はマルチデータ融合に基づく車両位置特定方法を提供し、データ更新頻度、誤差累計及びデータジャンプなどの現象による車両の位置特定が正確ではない問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はマルチデータ融合に基づく車両位置特定方法を提供し、前記方法は、
車輪速パルス信号により第1車体変化角度を計算し、ハンドル信号により第2車体変化角度を計算し、慣性測定ユニットにより第3車体変化角度を計算するステップと、
前記第2車体変化角度と第3車体変化角度とをデータ融合して、融合変化角度を取得するステップと、
前記第1車体変化角度データが更新される場合、前記第1車体変化角度により前記融合変化角度に対してフィルタリング補正を行って、フィルタリング係数を取得し、且つ前の時刻の車体角度と組み合わせて現在の車体角度を計算するステップと、
前の時刻の車体位置、前記現在時刻の車体角度及び車両の走行距離に基づいて車両の現在車体位置を計算するステップと、を含む。
【0008】
前記第1車体変化角度データが更新される場合、前記第1車体変化角度により前記融合変化角度に対してフィルタリング補正を行って、補正後の車体変化角度を取得する前記ステップは、
前記第1車体変化角度のデータ更新周期を決定するサブステップと、
現在更新周期の第1時刻で、最新の第1車体変化角度を計算して取得するサブステップと、
更新周期内の前記融合変化角度の総和を計算するサブステップと、
最新の第1車体変化角度と前記融合変化角度の総和との比率に基づいてフィルタリング係数を決定するサブステップと、を含む。
【0009】
選択肢として、前の時刻の車体角度と組み合わせて現在の車体角度を計算する前記ステップは、
積分関数を用いて、前の時刻から現在時刻までの融合変化角度とフィルタリング係数との積を積分することを含む。
【0010】
更に、次式
【0011】
【0012】
であり、
ただし、Pがフィルタリング係数であり、θt1が現在の車体角度であり、θt0が前の時刻の車体角度であり、
且つ、前記第1車体変化角度Δrad1のデータが更新される場合、フィルタリング係数は次式
【0013】
【0014】
であり、
ただし、t1が現在時刻であり、t2が第1車体変化角度の前回のデータ更新時刻であり、
前記第1車体変化角度データが更新されない場合、フィルタリング係数は、
P=1である。
【0015】
選択肢として、前記第2車体変化角度と第3車体変化角度とをデータ融合して、融合変化角度を取得するステップは、
前記第3車体変化角度がジャンプするかどうかを判断するサブステップと、
YESの場合、前記第2車体変化角度を融合変化角度とし、NOの場合、前記第2車体変化角度及び第3車体変化角度の相対偏差を計算するサブステップと、
前記相対偏差に基づいてそれぞれ第2車体変化角度及び第3車体変化角度の重みを計算するサブステップと、
前記第2車体変化角度及び前記第3車体変化角度の加重平均値を計算することで融合変化角度を取得するサブステップと、を含む。
【0016】
選択肢として、車輪速パルス信号により第1車体変化角度を計算する前記ステップは、
車輪速パルス信号によりそれぞれ車両の左車輪及び右車輪の走行距離を計算するサブステップと、
左車輪の走行距離と右車輪の走行距離との走行距離差を計算するサブステップと、
左車輪と右車輪とのトレッドを取得するサブステップと、
前記走行距離差と前記トレッドとの比率を計算して、前記第1車体変化角度を取得するサブステップと、を含む。
【0017】
選択肢として、ハンドル信号により第2車体変化角度を計算する前記ステップは、
ハンドルの操舵角センサ及び前後のトレッドにより旋回半径を計算するサブステップと、
車体走行道程を取得するサブステップと、
前記走行道程及び前記旋回半径により第2車体変化角度を計算して取得するサブステップと、を含む。
【0018】
選択肢として、慣性測定ユニットにより第3車体変化角度を計算する前記ステップは、
慣性測定ユニットによりヨーレートを計算するサブステップと、
前記ヨーレート及び測定単位時間に基づいて第3車体変化角度を計算するサブステップと、を含む。
【0019】
選択肢として、前の時刻の車体位置、前記現在時刻の車体角度及び車両の走行距離に基づいて車両の現在車体位置を計算する前記過程は、
単位測定時間内の車両の走行道程を計算することと、
前の時刻の車体角度及び現在時刻の車体角度の角度平均値を計算することと、
前の時刻の車体位置、前記角度平均値及び車両の走行道程を利用して三角関数により現在車体の座標を計算することと、を含む。
【0020】
また、本発明はマルチデータ融合に基づく車両位置特定システムを更に提供し、前記システムは、
車体の両側の車輪の走行道程差により第1車体変化角度を計算するための車輪速パルス計算ユニットと、
ハンドル信号により第2車体変化角度を計算するためのハンドル角度計算ユニットと、
第3車体変化角度を測定するための慣性測定ユニットと、
前記第2車体変化角度と第3車体変化角度とをデータ融合して、且つ前記第1車体変化角度を利用して融合後の融合変化角度に対してフィルタリング補正を行って、正確な車体変化角度を取得するための融合計算ユニットと、を備え、
前記融合計算ユニットは更に、車体変化角度及び前の時刻の車体の位置に基づいて車両の現在車体位置を計算するためのものである。
【0021】
本発明は車両端末を更に提供し、前記車両端末は、メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、且つ前記プロセッサにおいて実行され得るデータ処理プログラムとを備え、前記データ処理プログラムが前記プロセッサにより実行されるとき、上記マルチデータ融合に基づく車両位置特定方法を実現する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施例では、ハンドル信号及び慣性測定ユニットにより複数の車体変化角度を計算して取得するとともに、データ融合を行い、且つ車輪速パルス信号により補正を行うことにより、車両変化角度のデータ信頼性を大幅に向上させることができ、異なるデータソースの誤差を回避する。これにより、車両の位置特定精度を効果的に向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は本発明の実施例に係る車両位置特定モデルの模式図である。
【
図2】
図2は本発明の実施例に係るマルチデータ融合に基づく車両位置特定方法のフローチャートである。
【
図3】
図3は本発明の実施例に係る第2車体変化角度と第3車体変化角度とを融合するフローチャートである。
【
図4】
図4は本発明の実施例に係る第1車体変化角度を利用して融合変化角度をフィルタリングするフローチャートである。
【
図5】
図5は本発明の実施例に係る車輪速パルス信号により第1車体変化角度を計算するフローチャートである。
【
図6】
図6は本発明の実施例に係るパルス車輪速により変化角度を計算する幾何モデルの模式図である。
【
図7】
図7は本発明の実施例に係るハンドル信号により第1車体変化角度を計算するフローチャートである。
【
図8】
図8は本発明の実施例に係るハンドル信号により変化角度を計算する幾何モデルの模式図である。
【
図9】
図9は本発明の実施例に係る慣性測定ユニットにより第3車体変化角度を計算するフローチャートである。
【
図10】
図10は本発明の実施例2に係るマルチデータ融合に基づく車両位置特定システムの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下に図面を参照しながら実施例によって本発明を更に詳しく説明する。理解すべきことは、ここで説明される具体的な実施例は本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するためのものではない。
【0025】
本発明の実施例に開示される方法は自動駐車、補助駐車又は自動運転などの分野に応用されてもよく、主に車両位置特定情報の精確な計算に適用される。
【0026】
図1に示すように、
図1には本発明の実施例に係る車両位置特定モデルを模式的に示す。アッカーマン操舵に応じて幾何学的に設計した車両は、曲がった道に沿ってコーナリングする際に、4つの連接棒の等しいクランクを利用して内側輪の操舵角を外側輪よりも約2~4度だけ大きくし、4つの車輪経路の円心をほぼ後車軸の延長線上のアッカーマンセンターに交差させ、それにより車両がスムーズにコーナリングできるようにする。位置特定情報に車体のワールド座標系における座標や車体角度などの情報が含まれる。説明すべきことは、ワールド座標系が三次元直交座標系である。位置特定過程において、計算を簡素化するために、車両のZ軸における座標が0であるように初期設定され、車体の位置特定座標がX、Yの2つの軸方向の座標によって決定される。車両の存在体積に鑑みて、一般的に車両の中心点座標が該車両の位置座標として見なされる。
【0027】
車体角度の態様では、車両コーナリング過程における走行アークに対応する旋回中心を原点として、車両の2つの時刻の間での走行アークが差し向かうラジアンの大きさは車体変化角度である。
【0028】
従って、本発明の実施例に係る車両位置特定情報は(x,y,θ)であることが好ましく、ただし、xが車両のワールド座標系における横座標を代表し、yが車両のワールド座標系における縦座標を示し、θが車体角度を示す。
【0029】
実施例1
図2には本発明の実施例1に係るマルチデータ融合に基づく車両位置特定方法のプロセスを示す。
【0030】
マルチデータ融合に基づく車両位置特定方法であって、該方法は下記ステップ110~ステップ140を含む。
【0031】
ステップ110 車輪速パルス信号により第1車体変化角度を計算し、ハンドル信号により第2車体変化角度を計算し、慣性測定ユニットにより第3車体変化角度を計算する。
【0032】
本発明の実施例では、それぞれ車輪速パルス信号、ハンドル信号及び慣性測定ユニットの3つの態様により単位時間周期内の車体角度変化量を計算する。
【0033】
具体的に、車輪速パルス信号の態様では、コーナリング過程において、車両の4つの車輪の走行距離がいずれも異なるため、計算過程において、各車輪間の走行距離差及び三角関数関係に基づいて第1車体変化角度を決定することができる。本発明の実施例では、車輪速パルス信号はホールセンサと、車輪に設置される車輪速センサの回転子との協働及び計算によって取得され得る。
【0034】
ハンドル信号により車体変化角度を計算する態様では、車両の操舵がハンドルにより制御されており、車両のトレッド、ハンドルの回転角度及び操舵車輪の偏向角度関係がいずれも一定であるため、ハンドルの回転角度を取得すれば、旋回半径を決定することができ、更に車体走行距離と組み合わせば、第2車体変化角度を決定することができる。
【0035】
慣性測定ユニットの態様では、慣性測定ユニットは一般的にジャイロスコープ、加速度計及びアルゴリズム処理ユニットで構成され、加速度及び回転角度の測定により自体の運動軌跡を取得する。車体変化角度を計算するとき、慣性測定ユニットにより各時刻で車両のヨー角度を測定し、且つ最終的に取得された単位時間内の合計変化角度の大きさを累計することにより、第3車体変化角度を取得することができる。
【0036】
車体変化角度の値の態様では、角度値又はラジアン値の形式で出力してもよく、本発明の実施例はラジアン値で出力する。
【0037】
ステップ120 第2車体変化角度と第3車体変化角度とをデータ融合して、融合変化角度を取得する。
【0038】
第2車体変化角度と第3車体変化角度とのデータ融合は、異なる手段で実現されてもよい。例えば、加重平均法、ニューラルネットワークアルゴリズム、カルマンフィルタリング評価などが挙げられる。選択過程において、第2車体変化角度、第3車体変化角度の特性に応じて選択してもよい。
【0039】
具体的に、第2車体変化角度は誤差が累計されやすく、第3車体変化角度はジャンプする恐れがあるため、長時間にわたって計算してから第3車体変化角度を利用して第2車体変化角度を修正し、又は第2車体変化角度の重み、信頼度などを低下させてもよい。また、ニューラルネットワークアルゴリズムにより予測値と実測値との偏差を修正してもよい。
【0040】
従って、理解されるように、第2車体変化角度と第3車体変化角度との融合はそれぞれのデータの特性による誤差を低減することで、より確実な融合データを取得して、融合変化角度を形成することを目的とする。
【0041】
ステップ130 第1車体変化角度データが更新される場合、第1車体変化角度により融合変化角度に対してフィルタリング補正を行って、フィルタリング係数を取得し、且つ前の時刻の車体角度と組み合わせて現在の車体角度を計算する。
【0042】
より正確な車体変化角度を取得するために、本発明の実施例は融合データを基にここで更にフィルタリングする。第1車体変化角度はデータ更新時刻で、その精度が最も高い。しかしながら、そのデータ更新頻度が低いため、今回のデータ更新から次回のデータ更新までに、その信頼度がますます低くなってしまう。
【0043】
従って、本発明の実施例は第1車体変化角度のデータ更新時刻でのこの精確な数値を選んで融合変化角度に対してフィルタリング補正を行う。残りの時刻で融合変化角度を最終的な車体変化角度として出力し、それにより計算結果の精度及びデータ安定性が確保される。
【0044】
フィルタリング手段の態様では、一般的に従量課金制フィルタリング法、中央値フィルタリング法、算術平均値フィルタリング法、カルマンフィルタリング法などを用いてもよい。第1車体変化角度データが更新される場合、該時刻での第1車体変化角度データを融合変化角度と比較し、差異が比較的大きい場合、フィルタリング係数を増大させ、後続の計算において最終的に出力された車体変化角度を大幅に補正し、差異が比較的小さい場合、フィルタリング係数が比較的小さく、後続の計算過程において最終的に出力された車体変化角度の補正幅も比較的小さい。
【0045】
また、前の時刻の車体位置特定情報が既知のものであるため、該時刻の車体変化角度を明確に把握した後、直接に現在時刻の車体進路角を計算して取得してもよい。
【0046】
ステップ140 前の時刻の車体位置、現在時刻の車体角度及び車両の走行距離に基づいて車両の現在車体位置を計算する。
【0047】
説明すべきことは、前の時刻と現在時刻との時間間隔は計算精度の要件に応じて設定されたものであり、より精確なデータを必要とする場合、2つの時刻の間の間隔を非常に小さく設定してもよく、例えば5ms、10ms、20msなどが挙げられる。
【0048】
そして、前の時刻の車体位置はその位置特定情報例えば横・縦座標及び車体角度によって決定されてもよい。
【0049】
また、一般的に2つの時刻の間の時間間隔が比較的短いため、計算モデルを簡素化することができ、この時間間隔内に走行する経路が直線であると考えられる。そして、その走行距離は車両の複数種類の異なるシステムにより取得されてもよく、例えば、速度と時間との積又は車輪パルス信号などにより走行距離を計算する。
【0050】
そして、現在時刻の車体角度を計算した後、三角関数関係に基づいて現在時刻の車体のワールド座標系における座標を計算することができ、それにより車両位置特定情報の更新を完了する。
【0051】
図3を参照し、
図3には第2車体変化角度と第3車体変化角度との融合過程を模式的に示す。
【0052】
本発明の一実施例として、第2車体変化角度と第3車体変化角度とをデータ融合する具体的な過程は下記ステップ210~ステップ240を含む。
【0053】
ステップ210 第3車体変化角度がジャンプするかどうかを判断する。
【0054】
第3車体変化角度は慣性測定ユニットからのものであり、慣性測定ユニットがジャイロスコープ、加速度センサなどの方式で航向角の変化の計算を行うため、センサがデータを取得する過程において、データがジャンプしやすいことが明らかであるが、自動的に駐車するシーンにおいて、車速が比較的遅いため、車体角度が短時間内に大きく変化する可能性がなく、データがジャンプすると、取得された結果が一般的に正確ではない。
【0055】
従って、第3車体変化角度がジャンプし、例えば急に非常に大きくなり又は非常に小さくなる場合、検証する必要がある。
【0056】
検証方法は、第2車体変化角度との検証を行うことであってもよく、例えば、第3車体変化角度と第2車体変化角度との差異が大きくなる場合、第3車体変化角度がジャンプすると考えられてもよい。
【0057】
いくつかの好適な実施例では、下記公式によって検証してもよく、
|Δrad2-Δrad3|>110%*(Δrad2-Δrad3)/2
ただし、Δrad2が第2車体変化角度であり、Δrad3が第3車体変化角度である。
【0058】
第3車体変化角度がジャンプする場合、該データを切り捨てる必要がある。第3車体変化角度がジャンプしない場合、データ融合してもよい。
【0059】
ステップ220 YESの場合、第2車体変化角度を融合変化角度とし、NOの場合、第2車体変化角度及び第3車体変化角度の相対偏差を計算する。
【0060】
第3車体変化角度がジャンプする場合、データ融合すると、結果に一層大きな誤差があるため、直接に第2車体変化角度を融合変化角度として出力する。
【0061】
そして、第3車体変化角度がジャンプしない場合、第2車体変化角度及び第3車体変化角度の相対偏差を計算し、即ち、=
dis2=|Δrad2-(Δrad2-Δrad3)/2|
dis3=|Δrad2-(Δrad2-Δrad3)/2|であり、
ただし、dis2が第2車体変化角度の相対偏差であり、dis3が第3車体変化角度の相対偏差である。
【0062】
ステップ230 相対偏差に基づいてそれぞれ第2車体変化角度及び第3車体変化角度の重みを計算する。
【0063】
2つの相対偏差値を利用して正規化処理して、第2車体変化角度及び第3車体変化角度に対する2つの重みを取得し、この2つの重みがその信頼度に関連する。
【0064】
具体的な計算方式は、
factor2=dis2/(dis2+dis3)
factor3=dis3/(dis2+dis3)であり、
ただし、factor2が第2車体変化角度の重みであり、factor3が第3車体変化角度の重みである。
【0065】
ステップ240 第2車体変化角度及び第3車体変化角度の加重平均値を計算することで融合変化角度を取得する。
【0066】
本実施例では、融合して計算したものは、信頼度が比較的高いデータであり、その重みが比較的大きく、融合後のデータへの影響も比較的大きく、従って、加重平均値の方式でより正確な融合変化角度を取得することができる。具体的な計算方式は、
Δθ=(Δrad2*factor2)+(Δrad3*factor3)であり、
ただし、Δθが融合変化角度である。
【0067】
図4を参照し、
図4は第1車体変化角度を利用して融合変化角度をフィルタリングするプロセスを提供する。
【0068】
本発明の好適な実施例として、第1車体変化角度を利用して融合変化角度をフィルタリングする具体的な方式は以下のとおりである。
【0069】
説明すべきことは、第1車体変化角度が車輪パルス信号からのものであるため、車両の速度が比較的遅い場合、そのパルス信号更新速度が比較的遅く、従って、第1車体変化角度データが更新される場合のみ、そのデータが最も正確であり、フィルタリングに使用されてもよい。このとき、第1車体変化角度により融合変化角度に対してフィルタリング補正を行って、補正後の車体変化角度を取得するステップは、下記サブステップ310~サブステップ340を含む。
【0070】
ステップ310 第1車体変化角度のデータ更新周期を決定する。
【0071】
自動駐車シーンにおいて、車両の走行速度が比較的遅く、一般的に等速で運動すると考えられてもよく、従って、車輪速パルス信号の周期が変化しないと考えられてもよい。2つのパルス信号のピークの時間間隔は1つの更新周期として決定されてもよく、理解されるように、同じ数の複数のパルス信号の時間間隔を1つのデータ更新周期としてもよい。また、車速が明らかに等速ではない場合、更新周期を1つの変化値として決定してもよく、パルス信号の隣接するピーク間の時間間隔を1つの周期とする。
【0072】
ステップ320 現在更新周期の第1時刻で、最新の第1車体変化角度を計算して取得する。
【0073】
この時刻で、各車輪の走行距離がいずれも非常に精確であるため、このときに計算した第1車体変化角度が非常に正確である。
【0074】
ステップ330 更新周期内の融合変化角度の総和を計算する。
【0075】
更新周期の時間間隔が一般的に比較的大きいため、第2車体変化角度及び第3車体変化角度のデータ更新頻度が該第1車体変化角度の更新頻度と同期せず、第2車体変化角度及び第3車体変化角度が複数回更新された後で、第1車体変化角度が一回更新される場合が多い。
【0076】
データをタイムライン上で同期させるために、第1車体変化角度の更新周期内に計算して取得された複数の融合変化角度の和を求めて、更新周期内の融合変化角度を取得する必要がある。
【0077】
ステップ340 最新の第1車体変化角度と融合変化角度の総和との比率に基づいてフィルタリング係数を決定する。
【0078】
該フィルタリング係数は、第1車体変化角度データの更新時刻及び第1車体変化角度の更新時刻以外の他の時刻の2つの状況を考慮する必要がある。
【0079】
第1車体変化角度が更新されない時間内に、融合変化角度をフィルタリングする必要がないと考えられてもよく、従って、該フィルタリング係数Pを1つの定数として決定し、一般的にP=1にする。
【0080】
そして、第1車体変化角度をデータ更新時刻で計算する具体的な計算方式は、次式
【0081】
【0082】
であり、
ただし、t1が現在時刻であり、t2が第1車体変化角度の前回のデータ更新時刻であり、Δrad1が第1車体変化角度である。
【0083】
上記方法によって各時刻の補正係数を取得することができ、融合変化角度を出力する前に、いずれも該計算方式により補正する。
【0084】
更に、本発明の実施例では、現在時刻の車体角度を計算する場合、前の時刻の車体角度と組み合わせて計算する。
【0085】
具体的には、積分関数を用いて、前の時刻から現在時刻までの融合変化角度とフィルタリング係数との積を積分する。具体的な計算方法は、次式
【0086】
【0087】
であり、
ただし、Pがフィルタリング係数であり、θt1が現在の車体角度であり、θt0が前の時刻の車体角度である。
【0088】
このように、上記計算方式によって現在時刻の正確な車体角度を取得することができる。
【0089】
図5及び
図6を参照し、
図5には車輪速パルス信号により第1車体変化角度を計算するプロセスを模式的に示す。
図6にはパルス車輪速により変化角度を計算する幾何モデルを模式的に示す。
【0090】
具体的に、下記ステップ410~ステップ440を含む。
【0091】
ステップ410 車輪速パルス信号によりそれぞれ車両の左車輪及び右車輪の走行距離を計算する。
【0092】
図6を例とし、
図6には車両が右折する過程の幾何モデルを模式的に示す。従って、L
1が左車輪の走行距離であり、L
2が右車輪の走行距離であり、R
1がトレッドであり、R
2が旋回中心から右車輪までの距離である。
【0093】
該幾何モデルから分かるように、左車輪の走行距離は、
L1=Δrad1*(R1+R2)であり、
右車輪の走行距離は、
L2=Δrad1*R2である。
【0094】
左車輪及び右車輪の走行距離は車輪速パルス信号により直接に計算して取得され得るため、上記数式において既知のものである。
【0095】
ステップ420 左車輪の走行距離と右車輪の走行距離との走行距離差を計算する。
【0096】
即ち、
L1-L2=Δrad1*R1である。
【0097】
ステップ430 左車輪と右車輪とのトレッドを取得する。
【0098】
ステップ420の数式において、左車輪の走行距離と右車輪の走行距離との走行距離差は直接に計算して取得されてもよく、且つトレッドR1は既知のものであり、直接に取得されてもよく、このとき、更なる計算によって第1車体の変化を求めることができる。
【0099】
ステップ440 走行距離差とトレッドとの比率を計算して、第1車体変化角度を取得する。
【0100】
具体的な計算方法は、次式
【0101】
【0102】
であり、
これにより、第1車体変化角度を取得することができる。
【0103】
図7及び
図8を参照し、
図7にはハンドル信号により第1車体変化角度を計算するプロセスを模式的に示す。
図8にはハンドル信号により変化角度を計算する幾何モデルを模式的に示す。
【0104】
ハンドル信号により第2車体変化角度を計算するステップは下記サブステップ510~サブステップ530を含む。
【0105】
ステップ510 ハンドルの操舵角センサ及び前後のトレッドにより旋回半径を計算する。
【0106】
まず、操舵比は実車の標定から取得されたものであってもよく、従って、自動車ハンドル転舵角センサSAS(Steering Angle Sensor)及び車両の操舵比によりフィッティングする車輪角度θ1を取得することができ、即ち、
θ1=SASangle/ratioであり、
ただし、SASangleがハンドル角度であり、ratioが操舵比である。
【0107】
次に、
図8において、Sが車両の前後のトレッドであり、該トレッドが定数であり、車体パラメータに基づいて取得されてもよく、三角関数を利用して旋回半径を取得することができる(次式)。
【0108】
【0109】
ステップ520 車体走行道程を取得する。
【0110】
車体走行道程Lの態様では、複数の方式で取得されたものであり、例えば、車輪速パルス信号、車速信号、高精度の位置特定などの方式で取得されたものであってもよい。本実施例では、詳細な説明は省略する。
【0111】
ステップ530 走行道程及び旋回半径により第2車体変化角度を計算して取得する。
【0112】
ラジアン公式により計算してもよく、具体的な計算方式は、
Δrad2=L/Rであり、
これにより、第2車体変化角度を取得することができる。
【0113】
図9を参照し、
図9には慣性測定ユニットにより第3車体変化角度を計算するプロセスを模式的に示す。
【0114】
慣性測定ユニットにより第3車体変化角度を計算するステップは下記サブステップ610及びサブステップ620を含む。
【0115】
ステップ610 慣性測定ユニットによりヨーレートを計算する。
【0116】
ヨーレートは単位時間内の車両航向角のオフセット幅であると理解されてもよく、オフセット幅が大きければ大きいほど、車体角度の変化幅が大きいと説明され、それとは逆に、車体角度の変化幅が小さくなる。
【0117】
ステップ620 ヨーレート及び測定単位時間に基づいて第3車体変化角度を計算する。
【0118】
慣性測定ユニットのサンプリングレートが比較的高いため、計算過程において測定周期に基づいてヨー幅累計量を計算することができる。
【0119】
例えば、慣性測定ユニットのサンプリング周期内に、ヨー幅が0.1°であるが、システムにより計算された車体角度の変化周期が慣性測定ユニットのサンプリング周期の10倍であり、そうすると、システムが車体角度の変化を計算する周期内に、車体角度の変化が0.1°*10=1°であることが計算される。
【0120】
これにより、第3車体変化角度を取得することができる。
【0121】
図1を参照し、
図1におけるモデルによれば、いくつかの発明実施例では、前の時刻の車体位置、前記現在時刻の車体角度及び車両の走行距離に基づいて車両の現在車体位置を計算する過程は以下を含む。
【0122】
単位測定時間内の車両の走行道程を計算する。
【0123】
走行道程は車輪速パルス信号に基づいて計算されてもよく、車両の左車輪及び右車輪の走行距離を明確に把握することができ、従って、その平均値を計算することで取得されてもよく、即ち、次式
【0124】
【0125】
であり、
ただし、Lが単位測定時間内の車両の走行道程であり、L1が左車輪の走行距離であり、L2が右車輪の走行距離である。
【0126】
前の時刻の車体角度及び現在時刻の車体角度の角度平均値を計算する。
【0127】
一般的に、より短い時間内例えば20ms内に、車両の走行路線がほぼ直線として見なされてもよく、従って、その走行路線の角度も計算可能であり、具体的に、2つの時刻の車体角度の平均値により走行方向を取得することができる。
【0128】
前の時刻の車体位置、角度平均値及び車両の走行道程を利用して三角関数により現在車体の座標を計算する。
【0129】
車両の走行路線をほぼ直線として見なし、且つその走行方向を把握した場合、三角関数関係により以下のように計算することで、現在時刻の車体の座標を取得する。
x=sin ((θt0+θt1)/2)*L
y=cos ((θt0+θt1)/2)*L
【0130】
ただし、θt1が現在の車体角度であり、θt0が前の時刻の車体角度であり、Lが単位測定時間内の車両の走行道程である。
【0131】
実施例2
本発明はマルチデータ融合に基づく車両位置特定システムを更に提供し、
図10を参照し、
図10にはマルチデータ融合に基づく車両位置特定システムの構造を模式的に示す。
【0132】
マルチデータ融合に基づく車両位置特定システム10は車輪速パルス計算ユニット11、ハンドル角度計算ユニット12、慣性測定ユニット13及び融合計算ユニット14を備える。
【0133】
車輪速パルス計算ユニット11は、車体の両側の車輪の走行道程差により第1車体変化角度を計算するためのものである。
【0134】
ハンドル角度計算ユニット12は、ハンドル信号により第2車体変化角度を計算するためのものである。
【0135】
慣性測定ユニット13は、第3車体変化角度を測定するためのものである。及び、
融合計算ユニット14は、第2車体変化角度と第3車体変化角度とをデータ融合し、且つ第1車体変化角度を利用して融合後の融合変化角度に対してフィルタリング補正を行って、正確な車体変化角度を取得するためのものであり、
また、融合計算ユニット14は更に、車体変化角度及び前の時刻の車体の位置に基づいて車両の現在車体位置を計算するためのものである。
【0136】
本願の実施例では、前記車両位置特定システムと以上の実施例における車両位置特定方法とが同じ構想に属し、前記車両位置特定システムにおいて前記車両位置特定方法の実施例に係るいずれか1つの方法ステップを実行してもよく、その具体的な実現過程の詳細は車両位置特定方法の実施例を参照し、且つ任意に組み合わせて本願の選択可能な実施例を形成することができ、ここで詳細な説明は省略する。
【0137】
実施例3
本発明は車両端末を更に提供し、車両端末は、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、且つプロセッサにおいて実行され得るデータ処理プログラムとを備え、データ処理プログラムがプロセッサにより実行されるとき、上記実施例1に係るマルチデータ融合に基づく車両位置特定方法を実現する。
【0138】
当業者であれば理解されるように、上記実施例の様々な方法における全部又は一部のステップはプログラムにより関連するハードウェアを指示することで完了してもよく、該プログラムはコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、記憶媒体は読み出し専用メモリ(ROM、Read Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスクなどを含んでもよい。
【0139】
以上の説明は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するためのものではなく、本発明の主旨及び原則内に行った任意の修正、等価置換及び改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】