(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-07
(54)【発明の名称】4Rタウ標的化剤をスクリーニングするための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20250228BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20250228BHJP
A01K 67/0275 20240101ALI20250228BHJP
C12Q 1/6897 20180101ALI20250228BHJP
C12N 15/85 20060101ALI20250228BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20250228BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20250228BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20250228BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20250228BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20250228BHJP
C12N 15/86 20060101ALN20250228BHJP
C12N 15/867 20060101ALN20250228BHJP
C12N 15/864 20060101ALN20250228BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20250228BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20250228BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20250228BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N5/071
A01K67/0275
C12Q1/6897 Z
C12N15/85 Z
G01N33/53 M
C07K19/00
C07K14/47
C12N15/12
C12N15/62 Z
C12N15/86 Z
C12N15/867 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/113 Z
C07K16/18
C12N15/09 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541977
(86)(22)【出願日】2023-02-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 US2023062381
(87)【国際公開番号】W WO2023154861
(87)【国際公開日】2023-08-17
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヘインズ, ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】クロスビー, キース
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ08
4B063QR32
4B063QR51
4B063QS05
4B063QS36
4B063QX02
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA46
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045EA50
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
第1のレポータータンパク質に連結された4リピート(4R)タウアイソフォームと、第1のレポータータンパク質とは異なる第2のレポータータンパク質に連結された3リピート(3R)タウアイソフォームとを含む、タウレポーター組成物、タウレポーター細胞、及びタウレポーター動物が提供される。そのようなタウレポーター細胞及びタウレポーター動物を作製するための、並びにタウ標的化試薬の活性を評価するためにそのようなタウレポーター細胞及びタウレポーター動物を使用するための方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレポータータンパク質に連結された4リピート(4R)タウアイソフォームと、前記第1のレポータータンパク質とは異なる第2のレポータータンパク質に連結された3リピート(3R)タウアイソフォームと、を含む、細胞。
【請求項2】
前記細胞が、前記第1のレポータータンパク質に融合した前記4Rタウアイソフォームを含む第1の融合タンパク質と、前記第2のレポータータンパク質に融合した前記3Rタウアイソフォームを含む第2の融合タンパク質と、を含む、請求項1に記載の細胞。
【請求項3】
前記細胞が、前記第1の融合タンパク質をコードする第1の核酸と、前記第2の融合タンパク質をコードする第2の核酸と、を含み、前記細胞が、前記第1の融合タンパク質及び前記第2の融合タンパク質を発現する、請求項2に記載の細胞。
【請求項4】
前記細胞が、前記4Rタウアイソフォームのコード配列及び前記第1のレポータータンパク質のコード配列を含む第1の核酸と、前記3Rタウアイソフォームのコード配列及び前記第2のレポータータンパク質のコード配列を含む第2の核酸と、を含み、前記細胞が、前記4Rタウアイソフォーム、前記3Rタウアイソフォーム、前記第1のレポータータンパク質、及び前記第2のレポータータンパク質を発現する、請求項1に記載の細胞。
【請求項5】
前記4Rタウアイソフォームの前記コード配列及び前記第1のレポータータンパク質の前記コード配列が、第1の2Aペプチドのコード配列によって分離されており、前記3Rタウアイソフォームの前記コード配列及び前記第2のレポータータンパク質の前記コード配列が、第2の2Aペプチドのコード配列によって分離されている、請求項4に記載の細胞。
【請求項6】
前記第1の2Aペプチドが、第1のP2Aペプチドであり、前記第2の2Aペプチドが、第2のP2Aペプチドである、請求項5に記載の細胞。
【請求項7】
前記第1の核酸及び前記第2の核酸が、前記細胞のゲノムに組み込まれる、請求項3~6のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項8】
前記細胞が、前記第1の核酸及び前記第2の核酸を含むウイルスベクターを含む、請求項3~7のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項9】
前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、請求項8に記載の細胞。
【請求項10】
前記細胞が、前記第1の核酸を含む第1のウイルスベクターと、前記第2の核酸を含む第2のウイルスベクターと、を含む、請求項3~7のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項11】
前記第1のウイルスベクター及び前記第2のウイルスベクターが、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、請求項10に記載の細胞。
【請求項12】
前記第1のレポータータンパク質が、第1の蛍光レポータータンパク質であり、前記第2のレポータータンパク質が、第2の蛍光レポータータンパク質である、請求項1~11のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項13】
前記第1のレポータータンパク質が、eYFPであり、前記第2のレポータータンパク質が、mCherryである、請求項1~12のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項14】
前記4Rタウアイソフォーム及び前記3Rタウアイソフォームが、ヒトである、請求項1~13のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項15】
前記4Rタウアイソフォームが、2N4Rタウアイソフォームである、請求項1~14のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項16】
前記3Rタウアイソフォームが、2N3Rタウアイソフォームである、請求項1~15のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項17】
前記4Rタウアイソフォームが、2N4Rタウアイソフォームであり、前記3Rタウアイソフォームが、2N3Rタウアイソフォームである、請求項1~14のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項18】
前記4Rタウアイソフォームが、配列番号13に記載の配列を含み、前記3Rタウアイソフォームが、配列番号14に記載の配列を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項19】
前記4Rタウアイソフォームが、1N4Rタウアイソフォームである、請求項1~14のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項20】
前記3Rタウアイソフォームが、1N3Rタウアイソフォームである、請求項1~14及び19のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項21】
前記4Rタウアイソフォームが、1N4Rタウアイソフォームであり、前記3Rタウアイソフォームが、1N3Rタウアイソフォームである、請求項1~14のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項22】
前記4Rタウアイソフォームが、配列番号23、27、31、又は47に記載の配列を含み、前記3Rタウアイソフォームが、配列番号24、28、32、又は49に記載の配列を含む、請求項1~14及び19~21のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項23】
前記細胞が、哺乳類細胞である、請求項1~22のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項24】
前記細胞が、ヒト細胞である、請求項1~23のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項25】
前記細胞が、不死化細胞である、請求項1~24のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項26】
前記細胞が、HEK293細胞である、請求項1~25のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか一項に記載の複数の細胞を含む、細胞集団。
【請求項28】
第1のレポータータンパク質に連結された4リピート(4R)タウアイソフォームと、前記第1のレポータータンパク質とは異なる第2のレポータータンパク質に連結された3リピート(3R)タウアイソフォームと、を含む、非ヒト動物。
【請求項29】
前記非ヒト動物が、前記第1のレポータータンパク質に融合した前記4Rタウアイソフォームを含む第1の融合タンパク質と、前記第2のレポータータンパク質に融合した前記3Rタウアイソフォームを含む第2の融合タンパク質と、を含む、請求項28に記載の非ヒト動物。
【請求項30】
前記非ヒト動物が、前記第1の融合タンパク質をコードする第1の核酸と、前記第2の融合タンパク質をコードする第2の核酸と、を含み、前記非ヒト動物が、前記第1の融合タンパク質及び前記第2の融合タンパク質を発現する、請求項29に記載の非ヒト動物。
【請求項31】
前記非ヒト動物が、前記4Rタウアイソフォームのコード配列及び前記第1のレポータータンパク質のコード配列を含む第1の核酸と、前記3Rタウアイソフォームのコード配列及び前記第2のレポータータンパク質のコード配列を含む第2の核酸と、を含み、前記非ヒト動物が、前記4Rタウアイソフォーム、前記3Rタウアイソフォーム、前記第1のレポータータンパク質、及び前記第2のレポータータンパク質を発現する、請求項28に記載の非ヒト動物。
【請求項32】
前記4Rタウアイソフォームの前記コード配列及び前記第1のレポータータンパク質の前記コード配列が、第1の2Aペプチドのコード配列によって分離されており、前記3Rタウアイソフォームの前記コード配列及び前記第2のレポータータンパク質の前記コード配列が、第2の2Aペプチドのコード配列によって分離されている、請求項31に記載の非ヒト動物。
【請求項33】
前記第1の2Aペプチドが、第1のP2Aペプチドであり、前記第2の2Aペプチドが、第2のP2Aペプチドである、請求項32に記載の非ヒト動物。
【請求項34】
前記第1の核酸及び前記第2の核酸が、前記非ヒト動物のゲノムに組み込まれる、請求項30~33のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項35】
前記非ヒト動物が、前記第1の核酸及び前記第2の核酸を含むウイルスベクターを含む、請求項30~34のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項36】
前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、請求項35に記載の非ヒト動物。
【請求項37】
前記非ヒト動物が、前記第1の核酸を含む第1のウイルスベクターと、前記第2の核酸を含む第2のウイルスベクターと、を含む、請求項30~34のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項38】
前記第1のウイルスベクター及び前記第2のウイルスベクターが、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、請求項37に記載の非ヒト動物。
【請求項39】
前記第1のレポータータンパク質が、第1の蛍光レポータータンパク質であり、前記第2のレポータータンパク質が、第2の蛍光レポータータンパク質である、請求項28~38のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項40】
前記第1のレポータータンパク質が、eYFPであり、前記第2のレポータータンパク質が、mCherryである、請求項28~39のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項41】
前記4Rタウアイソフォーム及び前記3Rタウアイソフォームが、ヒトであり、任意選択的に、前記4Rタウアイソフォーム及び前記3Rタウアイソフォームが各々、R5L変異、L237V変異、若しくはG243V変異を含むか、又は任意選択的に、前記4Rタウアイソフォーム及び前記3Rタウアイソフォームが各々、N279K変異、L284R変異、若しくはS285R変異を含む、請求項28~40のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項42】
前記4Rタウアイソフォームが、2N4Rタウアイソフォームである、請求項28~41のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項43】
前記3Rタウアイソフォームが、2N3Rタウアイソフォームである、請求項28~42のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項44】
前記4Rタウアイソフォームが、2N4Rタウアイソフォームであり、前記3Rタウアイソフォームが、2N3Rタウアイソフォームである、請求項28~41のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項45】
前記4Rタウアイソフォームが、配列番号13に記載の配列を含み、前記3Rタウアイソフォームが、配列番号14に記載の配列を含む、請求項28~44のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項46】
前記4Rタウアイソフォームが、1N4Rタウアイソフォームである、請求項28~41のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項47】
前記3Rタウアイソフォームが、1N3Rタウアイソフォームである、請求項28~41及び46のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項48】
前記4Rタウアイソフォームが、1N4Rタウアイソフォームであり、前記3Rタウアイソフォームが、1N3Rタウアイソフォームである、請求項28~41のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項49】
前記4Rタウアイソフォームが、配列番号23、27、31、又は47に記載の配列を含み、前記3Rタウアイソフォームが、配列番号24、28、32、又は49に記載の配列を含む、請求項28~41及び46~48のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項50】
前記非ヒト動物が、哺乳類である、請求項28~49のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項51】
前記非ヒト動物が、げっ歯類である、請求項28~50のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項52】
前記非ヒト動物が、マウスである、請求項28~51のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項53】
前記非ヒト動物が、ラットである、請求項28~51のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項54】
前記4Rタウアイソフォーム、前記第1のレポータータンパク質、前記3Rタウアイソフォーム、及び前記第2のレポータータンパク質が、前記非ヒト動物の中枢神経系のニューロンにおいて発現される、請求項28~53のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項55】
前記非ヒト動物が、繊維状タウ封入体を含む、請求項28~54のいずれか一項に記載の非ヒト動物。
【請求項56】
タウ標的化試薬の活性を評価する方法であって、
(a)請求項1~26のいずれか一項に記載の細胞に前記タウ標的化試薬を投与することと、
(b)前記細胞における前記タウ標的化試薬の前記活性を評価することと、を含む、方法。
【請求項57】
前記タウ標的化試薬の前記活性が、前記タウ標的化試薬を投与されていない対照細胞と比較して評価されるか、又は前記タウ標的化試薬を投与する前と比較して評価される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記評価することが、4RタウメッセンジャーRNA発現、第1のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現、及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現のうちの1つ以上を測定することを含む、請求項56又は57に記載の方法。
【請求項59】
前記評価することが、4RタウアイソフォームメッセンジャーRNA発現及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現を測定することを含み、
前記タウ標的化試薬を前記細胞に投与した後の第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現と比較した4RタウアイソフォームメッセンジャーRNA発現のより大幅な相対的減少が、前記タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示し、任意選択的に、前記タウ標的化試薬を前記細胞に投与した後の4RタウアイソフォームメッセンジャーRNA発現の少なくとも70%の減少及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現の30%以下の減少が、前記タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す、請求項56~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記評価することが、第1のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現を測定することを含み、
前記タウ標的化試薬を前記細胞に投与した後の第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現と比較した第1のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現のより大幅な相対的減少が、前記タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示し、任意選択的に、前記タウ標的化試薬を前記細胞に投与した後の第1のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現の少なくとも70%の減少及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現の30%以下の減少が、前記タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す、請求項56~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記評価することが、第1のレポータータンパク質発現及び第2のレポータータンパク質発現のうちの1つ以上を測定することを含む、請求項56~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記評価することが、第1のレポータータンパク質発現及び第2のレポータータンパク質発現を測定することを含み、
前記タウ標的化試薬を前記細胞に投与した後の第2のレポータータンパク質発現と比較した第1のレポータータンパク質発現のより大幅な相対的減少が、前記タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示し、任意選択的に、前記タウ標的化試薬を前記細胞に投与した後の第1のレポータータンパク質発現の少なくとも70%の減少及び第2のレポータータンパク質発現の30%以下の減少が、前記タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す、請求項56~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記第1のレポータータンパク質が、第1の蛍光レポータータンパク質であり、前記第2のレポータータンパク質が、第2の蛍光レポータータンパク質であり、ステップ(b)における前記評価することが、免疫蛍光染色又はフローサイトメトリーを含む、請求項56~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
ステップ(b)における前記評価することが、タウ過剰リン酸化又はタウ凝集を評価することを含む、請求項56~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記タウ標的化試薬が、RNAi剤又はアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項56~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記タウ標的化試薬が、イントラボディである、請求項56~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記タウ標的化試薬が、ヌクレアーゼ剤である、請求項56~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記ヌクレアーゼ剤が、Casタンパク質と、タウコード配列内のガイドRNA標的配列を標的化するように設計されたガイドRNAと、を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
インビボでタウ標的化試薬の活性を評価する方法であって、
(a)請求項28~55のいずれか一項に記載の非ヒト動物に前記タウ標的化試薬を投与することと、
(b)前記非ヒト動物における前記タウ標的化試薬の前記活性を評価することと、を含む、方法。
【請求項70】
前記タウ標的化試薬の前記活性が、前記タウ標的化試薬を投与されていない対照非ヒト動物と比較して評価されるか、又は前記タウ標的化試薬を投与する前と比較して評価される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記評価することが、4RタウメッセンジャーRNA発現、第1のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現、及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現のうちの1つ以上を測定することを含む、69又は70に記載の方法。
【請求項72】
前記評価することが、4RタウアイソフォームメッセンジャーRNA発現及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現を測定することを含み、
前記タウ標的化試薬を前記非ヒト動物に投与した後の第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現と比較した4RタウアイソフォームメッセンジャーRNA発現のより大幅な相対的減少が、前記タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示し、任意選択的に、前記タウ標的化試薬を前記非ヒト動物に投与した後の4RタウアイソフォームメッセンジャーRNA発現の少なくとも70%の減少及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現の30%以下の減少が、前記タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す、請求項69~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記評価することが、第1のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現を測定することを含み、
前記タウ標的化試薬を前記非ヒト動物に投与した後の第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現と比較した第1のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現のより大幅な相対的減少が、前記タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示し、任意選択的に、前記タウ標的化試薬を前記非ヒト動物に投与した後の第1のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現の少なくとも70%の減少及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現の30%以下の減少が、前記タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す、請求項69~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記評価することが、第1のレポータータンパク質発現及び第2のレポータータンパク質発現のうちの1つ以上を測定することを含む、請求項69~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記評価することが、第1のレポータータンパク質発現及び第2のレポータータンパク質発現を測定することを含み、
前記タウ標的化試薬を前記非ヒト動物に投与した後の第2のレポータータンパク質発現と比較した第1のレポータータンパク質発現のより大幅な相対的減少が、前記タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示し、任意選択的に、前記タウ標的化試薬を前記非ヒト動物に投与した後の第1のレポータータンパク質発現の少なくとも70%の減少及び第2のレポータータンパク質発現の30%以下の減少が、前記タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す、請求項69~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記第1のレポータータンパク質が、第1の蛍光レポータータンパク質であり、前記第2のレポータータンパク質が、第2の蛍光レポータータンパク質であり、ステップ(b)における前記評価することが、免疫蛍光染色又はフローサイトメトリーを含む、請求項69~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
ステップ(b)における前記評価することが、タウ過剰リン酸化又はタウ凝集を評価することを含む、請求項69~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記タウ標的化試薬が、RNAi剤又はアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項69~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記タウ標的化試薬が、イントラボディである、請求項69~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記タウ標的化試薬が、ヌクレアーゼ剤である、請求項69~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記ヌクレアーゼ剤が、Casタンパク質と、タウコード配列内のガイドRNA標的配列を標的化するように設計されたガイドRNAと、を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記評価することが、前記非ヒト動物の中枢神経系のニューロンにおいてである、請求項69~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
(a)第1のレポータータンパク質に連結された4リピート(4R)タウアイソフォーム、及び前記第1のレポータータンパク質とは異なる第2のレポータータンパク質に連結された3リピート(3R)タウアイソフォーム、又は
(b)前記第1のレポータータンパク質に連結された前記4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸、及び前記第2のレポータータンパク質に連結された前記3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸、を含む、組成物。
【請求項84】
前記組成物が、前記第1のレポータータンパク質に融合した前記4Rタウアイソフォームを含む第1の融合タンパク質と、前記第2のレポータータンパク質に融合した前記3Rタウアイソフォームを含む第2の融合タンパク質と、を含むか、又は前記第1の核酸が、前記第1の融合タンパク質をコードし、前記第2の核酸が、前記第2の融合タンパク質をコードする、請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
前記第1の核酸が、第1の2Aペプチドのコード配列によって分離された前記4Rタウアイソフォームのコード配列と、前記第1のレポータータンパク質のコード配列と、を含み、前記第2の核酸が、第2の2Aペプチドのコード配列によって分離された前記3Rタウアイソフォームのコード配列と、前記第2のレポータータンパク質のコード配列と、を含む、請求項83に記載の組成物。
【請求項86】
前記第1の2Aペプチドが、第1のP2Aペプチドであり、前記第2の2Aペプチドが、第2のP2Aペプチドである、請求項85に記載の組成物。
【請求項87】
前記第1の核酸及び前記第2の核酸が、ウイルスベクター内にある、請求項83~86のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項88】
前記ウイルスベクターが、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、請求項87に記載の組成物。
【請求項89】
前記第1の核酸が、第1のウイルスベクター内にあり、前記第2の核酸が、第2のウイルスベクター内にある、請求項83~86のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項90】
前記第1のウイルスベクター及び前記第2のウイルスベクターが、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、請求項89に記載の組成物。
【請求項91】
前記第1のレポータータンパク質が、第1の蛍光レポータータンパク質であり、前記第2のレポータータンパク質が、第2の蛍光レポータータンパク質である、請求項83~90のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項92】
前記第1のレポータータンパク質が、eYFPであり、前記第2のレポータータンパク質が、mCherryである、請求項83~91のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項93】
前記4Rタウアイソフォーム及び前記3Rタウアイソフォームが、ヒトである、請求項83~92のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項94】
前記4Rタウアイソフォームが、2N4Rタウアイソフォームである、請求項83~93のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項95】
前記3Rタウアイソフォームが、2N3Rタウアイソフォームである、請求項83~94のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項96】
前記4Rタウアイソフォームが、2N4Rタウアイソフォームであり、前記3Rタウアイソフォームが、2N3Rタウアイソフォームである、請求項83~93のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項97】
前記4Rタウアイソフォームが、配列番号13に記載の配列を含み、前記3Rタウアイソフォームが、配列番号14に記載の配列を含む、請求項83~96のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項98】
前記4Rタウアイソフォームが、1N4Rタウアイソフォームである、請求項83~93のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項99】
前記3Rタウアイソフォームが、1N3Rタウアイソフォームである、請求項83~93及び98のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項100】
前記4Rタウアイソフォームが、1N4Rタウアイソフォームであり、前記3Rタウアイソフォームが、1N3Rタウアイソフォームである、請求項83~93のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項101】
前記4Rタウアイソフォームが、配列番号23、27、31、又は47に記載の配列を含み、前記3Rタウアイソフォームが、配列番号24、28、32、又は49に記載の配列を含む、請求項83~93及び98~100のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項102】
請求項83~101のいずれか一項に記載の組成物を含む、細胞。
【請求項103】
請求項83~101のいずれか一項に記載の組成物を含む、非ヒト動物。
【請求項104】
請求項1~26及び102のいずれか一項に記載の細胞を作製する方法であって、前記第1のレポータータンパク質に連結された前記4リピート(4R)タウアイソフォーム及び前記第2のレポータータンパク質に連結された前記3リピート(3R)タウアイソフォームを前記細胞に導入すること、又は前記第1のレポータータンパク質に連結された前記4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び前記第2のレポータータンパク質に連結された前記3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸を前記細胞に導入することを含む、方法。
【請求項105】
請求項28~55及び103のいずれか一項に記載の非ヒト動物を作製する方法であって、前記第1のレポータータンパク質に連結された前記4リピート(4R)タウアイソフォーム及び前記第2のレポータータンパク質に連結された前記3リピート(3R)タウアイソフォームを前記非ヒト動物に投与すること、又は前記第1のレポータータンパク質に連結された前記4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び前記第2のレポータータンパク質に連結された前記3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸を前記非ヒト動物に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年2月11日に出願された米国特許出願第63/309,055号の利益を主張し、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
EFS Webを介したxmlファイルとして提出された
配列表への参照
ファイル057766-590201.xmlに記載された配列表は123キロバイトであり、2023年2月3日に作成され、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
ヒトMAPT遺伝子は、タウの6つの異なるアイソフォーム:2N4R、1N4R、0N4R、2N3R、1N3R、0N3Rをコードする。4R(4リピート)タウ対3R(3リピート)タウを含有する転写物間の差異は、エキソン10の包含(4R)又は排除(3R)に基づく。ヒトは通常、等しい比率の3Rタウ及び4Rタウを発現する。アルツハイマー病などのいくつかのタウオパチーにおいて、死後の脳組織からの実験的証拠は、タウの不溶性凝集体が3R及び4Rタウから構成されることを示唆する。進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy、PSP)及び皮質性基底変性(cortical basal degeneration、CBD)などのより稀なタウオパチー疾患では、4Rタウタンパク質はタウの凝集性種である。疾患におけるこれらの異なる種類の凝集体の根底にある理由は不明である。
【0004】
今日までの1つの主要な課題は、タウの異なるアイソフォームのmRNAを測定するためのアッセイを開発することであった。例えば、タウの「R/リピート」ドメインは、3Rタウを測定するためのプライマー対及びTaqManプローブを設計することを困難にする。タウのある特定のアイソフォームを測定するためのアッセイがこのように少ないため、両方を低減すべき試薬(例えば、siRNA)に対して、4Rタウのみを低減し、3Rタウに影響を与えない試薬(例えば、siRNA)の特異性を正確に試験することは困難である。
【発明の概要】
【0005】
第1のレポータータンパク質に連結された4リピート(4R)タウアイソフォームと、第1のレポータータンパク質とは異なる第2のレポータータンパク質に連結された3リピート(3R)タウアイソフォームとを含む、タウレポーター組成物、タウレポーター細胞、及びタウレポーター動物が提供される。そのようなタウレポーター細胞及びタウレポーター動物を作製するための、並びにタウ標的化試薬の活性を評価するためにそのようなタウレポーター細胞及びタウレポーター動物を使用するための方法が提供される。
【0006】
一態様では、第1のレポータータンパク質に連結された4リピート(4R)タウアイソフォームと、第1のレポータータンパク質とは異なる第2のレポータータンパク質に連結された3リピート(3R)タウアイソフォームとを含む細胞が提供される。いくつかのそのような細胞において、細胞は、第1のレポータータンパク質に融合した4Rタウアイソフォームを含む第1の融合タンパク質と、第2のレポータータンパク質に融合した3Rタウアイソフォームを含む第2の融合タンパク質とを含む。いくつかのそのような細胞において、細胞は、第1の融合タンパク質をコードする第1の核酸と、第2の融合タンパク質をコードする第2の核酸とを含み、細胞は、第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質を発現する。
【0007】
いくつかのそのような細胞において、細胞は、4Rタウアイソフォームのコード配列及び第1のレポータータンパク質のコード配列を含む第1の核酸と、3Rタウアイソフォームのコード配列及び第2のレポータータンパク質のコード配列を含む第2の核酸とを含み、細胞は、4Rタウアイソフォーム、3Rタウアイソフォーム、第1のレポータータンパク質、及び第2のレポータータンパク質を発現する。いくつかのそのような細胞において、4Rタウアイソフォームのコード配列及び第1のレポータータンパク質のコード配列は、第1の2Aペプチドのコード配列によって分離されており、3Rタウアイソフォームのコード配列及び第2のレポータータンパク質のコード配列は、第2の2Aペプチドのコード配列によって分離されている。いくつかのそのような細胞において、第1の2Aペプチドは、第1のP2Aペプチドであり、第2の2Aペプチドは、第2のP2Aペプチドである。
【0008】
いくつかのそのような細胞において、第1の核酸及び第2の核酸は、細胞のゲノムに組み込まれる。いくつかのそのような細胞において、細胞は、第1の核酸及び第2の核酸を含むウイルスベクターを含む。いくつかのそのような細胞において、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(adeno-associated virus、AAV)ベクターである。いくつかのそのような細胞において、細胞は、第1の核酸を含む第1のウイルスベクターと、第2の核酸を含む第2のウイルスベクターとを含む。いくつかのそのような細胞において、第1のウイルスベクター及び第2のウイルスベクターは、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。
【0009】
いくつかのそのような細胞において、第1のレポータータンパク質は、第1の蛍光レポータータンパク質であり、第2のレポータータンパク質は、第2の蛍光レポータータンパク質である。いくつかのそのような細胞において、第1のレポータータンパク質は、eYFPであり、第2のレポータータンパク質は、mCherryである。いくつかのそのような細胞において、4Rタウアイソフォーム及び3Rタウアイソフォームは、ヒトである。
【0010】
いくつかのそのような細胞において、4Rタウアイソフォームは、2N4Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような細胞において、3Rタウアイソフォームは、2N3Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような細胞において、4Rタウアイソフォームは、2N4Rタウアイソフォームであり、3Rタウアイソフォームは、2N3Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような細胞において、4Rタウアイソフォームは、配列番号13に記載の配列を含み、3Rタウアイソフォームは、配列番号14に記載の配列を含む。
【0011】
いくつかのそのような細胞において、4Rタウアイソフォームは、1N4Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような細胞において、3Rタウアイソフォームは、1N3Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような細胞において、4Rタウアイソフォームは、1N4Rタウアイソフォームであり、3Rタウアイソフォームは、1N3Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような細胞において、4Rタウアイソフォームは、配列番号23、27、31、又は47に記載の配列を含み、3Rタウアイソフォームは、配列番号24、28、32、又は49に記載の配列を含む。
【0012】
いくつかのそのような細胞において、細胞は、哺乳類細胞である。いくつかのそのような細胞において、細胞は、ヒト細胞である。いくつかのそのような細胞において、細胞は、不死化細胞である。いくつかのそのような細胞において、細胞は、HEK293細胞である。
【0013】
別の態様では、上記の細胞のうちのいずれかを複数含む細胞集団が提供される。
【0014】
別の態様では、第1のレポータータンパク質に連結された4リピート(4R)タウアイソフォームと、第1のレポータータンパク質とは異なる第2のレポータータンパク質に連結された3リピート(3R)タウアイソフォームとを含む非ヒト動物が提供される。いくつかのそのような非ヒト動物において、非ヒト動物は、第1のレポータータンパク質に融合した4Rタウアイソフォームを含む第1の融合タンパク質と、第2のレポータータンパク質に融合した3Rタウアイソフォームを含む第2の融合タンパク質とを含む。いくつかのそのような非ヒト動物において、非ヒト動物は、第1の融合タンパク質をコードする第1の核酸と、第2の融合タンパク質をコードする第2の核酸とを含み、非ヒト動物は、第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質を発現する。
【0015】
いくつかのそのような非ヒト動物において、非ヒト動物は、4Rタウアイソフォームのコード配列及び第1のレポータータンパク質のコード配列を含む第1の核酸と、3Rタウアイソフォームのコード配列及び第2のレポータータンパク質のコード配列を含む第2の核酸とを含み、非ヒト動物は、4Rタウアイソフォーム、3Rタウアイソフォーム、第1のレポータータンパク質、及び第2のレポータータンパク質を発現する。いくつかのそのような非ヒト動物において、4Rタウアイソフォームのコード配列及び第1のレポータータンパク質のコード配列は、第1の2Aペプチドのコード配列によって分離されており、3Rタウアイソフォームのコード配列及び第2のレポータータンパク質のコード配列は、第2の2Aペプチドのコード配列によって分離されている。いくつかのそのような非ヒト動物において、第1の2Aペプチドは、第1のP2Aペプチドであり、第2の2Aペプチドは、第2のP2Aペプチドである。
【0016】
いくつかのそのような非ヒト動物において、第1の核酸及び第2の核酸は、非ヒト動物のゲノムに組み込まれる。いくつかのそのような非ヒト動物において、非ヒト動物は、第1の核酸及び第2の核酸を含むウイルスベクターを含む。いくつかのそのような非ヒト動物において、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。いくつかのそのような非ヒト動物において、非ヒト動物は、第1の核酸を含む第1のウイルスベクターと、第2の核酸を含む第2のウイルスベクターとを含む。いくつかのそのような非ヒト動物において、第1のウイルスベクター及び第2のウイルスベクターは、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。
【0017】
いくつかのそのような非ヒト動物において、第1のレポータータンパク質は、第1の蛍光レポータータンパク質であり、第2のレポータータンパク質は、第2の蛍光レポータータンパク質である。いくつかのそのような非ヒト動物において、第1のレポータータンパク質は、eYFPであり、第2のレポータータンパク質は、mCherryである。
【0018】
いくつかのそのような非ヒト動物において、4Rタウアイソフォーム及び3Rタウアイソフォームは、ヒトであり、任意選択的に、4Rタウアイソフォーム及び3Rタウアイソフォームは各々、R5L変異、L237V変異、若しくはG243V変異を含むか、又は任意選択的に、4Rタウアイソフォーム及び3Rタウアイソフォームは各々、N279K変異、L284R変異、若しくはS285R変異を含む。
【0019】
いくつかのそのような非ヒト動物において、4Rタウアイソフォームは、2N4Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような非ヒト動物において、3Rタウアイソフォームは、2N3Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような非ヒト動物において、4Rタウアイソフォームは、2N4Rタウアイソフォームであり、3Rタウアイソフォームは、2N3Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような非ヒト動物において、4Rタウアイソフォームは、配列番号13に記載の配列を含み、3Rタウアイソフォームは、配列番号14に記載の配列を含む。
【0020】
いくつかのそのような非ヒト動物において、4Rタウアイソフォームは、1N4Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような非ヒト動物において、3Rタウアイソフォームは、1N3Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような非ヒト動物において、4Rタウアイソフォームは、1N4Rタウアイソフォームであり、3Rタウアイソフォームは、1N3Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような非ヒト動物において、4Rタウアイソフォームは、配列番号23、27、31、又は47に記載の配列を含み、3Rタウアイソフォームは、配列番号24、28、32、又は49に記載の配列を含む。
【0021】
いくつかのそのような非ヒト動物において、非ヒト動物は哺乳類である。いくつかのそのような非ヒト動物において、非ヒト動物はげっ歯類である。いくつかのそのような非ヒト動物において、非ヒト動物はマウスである。いくつかのそのような非ヒト動物において、非ヒト動物はラットである。
【0022】
いくつかのそのような非ヒト動物において、4Rタウアイソフォーム、第1のレポータータンパク質、3Rタウアイソフォーム、及び第2のレポータータンパク質は、非ヒト動物の中枢神経系のニューロンにおいて発現される。いくつかのそのような非ヒト動物において、非ヒト動物は、繊維状タウ封入体を含む。
【0023】
別の態様では、タウ標的化試薬の活性を評価する方法が提供される。いくつかのそのような方法は、(a)上記の細胞のいずれかにタウ標的化試薬を投与することと、(b)細胞におけるタウ標的化試薬の活性を評価することとを含む。いくつかのそのような方法において、タウ標的化試薬の活性は、タウ標的化試薬を投与されていない対照細胞と比較して評価されるか、又はタウ標的化試薬を投与する前と比較して評価される。
【0024】
いくつかのそのような方法において、評価することは、4RタウメッセンジャーRNA発現、第1のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現、及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現のうちの1つ以上を測定することを含む。いくつかのそのような方法において、評価することは、4RタウアイソフォームメッセンジャーRNA発現及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現を測定することを含み、タウ標的化試薬を細胞に投与した後の第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現と比較した4RタウアイソフォームメッセンジャーRNA発現のより大幅な相対的減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示し、任意選択的に、タウ標的化試薬を細胞に投与した後の4RタウアイソフォームメッセンジャーRNA発現の少なくとも70%の減少及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現の30%以下の減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す。いくつかのそのような方法において、評価することは、第1のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現を測定することを含み、タウ標的化試薬を細胞に投与した後の第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現と比較した第1のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現のより大幅な相対的減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示し、任意選択的に、タウ標的化試薬を細胞に投与した後の第1のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現の少なくとも70%の減少及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現の30%以下の減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す。
【0025】
いくつかのそのような方法において、評価することは、第1のレポータータンパク質発現及び第2のレポータータンパク質発現のうちの1つ以上を測定することを含む。いくつかのそのような方法において、評価することは、第1のレポータータンパク質発現及び第2のレポータータンパク質発現を測定することを含み、タウ標的化試薬を細胞に投与した後の第2のレポータータンパク質発現と比較した第1のレポータータンパク質発現のより大幅な相対的減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示し、任意選択的に、タウ標的化試薬を細胞に投与した後の第1のレポータータンパク質発現の少なくとも70%の減少及び第2のレポータータンパク質発現の30%以下の減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す。
【0026】
いくつかのそのような方法において、第1のレポータータンパク質は、第1の蛍光レポータータンパク質であり、第2のレポータータンパク質は、第2の蛍光レポータータンパク質であり、ステップ(b)における評価することは、免疫蛍光染色又はフローサイトメトリーを含む。いくつかのそのような方法において、ステップ(b)における評価することは、タウ過剰リン酸化又はタウ凝集を評価することを含む。
【0027】
いくつかのそのような方法において、タウ標的化試薬は、RNAi剤又はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかのそのような方法において、タウ標的化試薬は、イントラボディである。いくつかのそのような方法において、タウ標的化試薬は、ヌクレアーゼ剤である。いくつかのそのような方法において、ヌクレアーゼ剤は、Casタンパク質と、タウコード配列内のガイドRNA標的配列を標的化するように設計されたガイドRNAとを含む。
【0028】
別の態様では、インビボでタウ標的化試薬の活性を評価する方法が提供される。いくつかのそのような方法は、(a)上記の非ヒト動物のいずれかにタウ標的化試薬を投与することと、(b)非ヒト動物におけるタウ標的化試薬の活性を評価することとを含む。いくつかのそのような方法において、タウ標的化試薬の活性は、タウ標的化試薬を投与されていない対照非ヒト動物と比較して評価されるか、又はタウ標的化試薬を投与する前と比較して評価される。
【0029】
いくつかのそのような方法において、評価することは、4RタウメッセンジャーRNA発現、第1のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現、及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現のうちの1つ以上を測定することを含む。いくつかのそのような方法において、評価することは、4RタウアイソフォームメッセンジャーRNA発現及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現を測定することを含み、タウ標的化試薬を非ヒト動物に投与した後の第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現と比較した4RタウアイソフォームメッセンジャーRNA発現のより大幅な相対的減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示し、任意選択的に、タウ標的化試薬を非ヒト動物に投与した後の4RタウアイソフォームメッセンジャーRNA発現の少なくとも70%の減少及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現の30%以下の減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す。いくつかのそのような方法において、評価することは、第1のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現を測定することを含み、タウ標的化試薬を非ヒト動物に投与した後の第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現と比較した第1のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現のより大幅な相対的減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示し、任意選択的に、タウ標的化試薬を非ヒト動物に投与した後の第1のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現の少なくとも70%の減少及び第2のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現の30%以下の減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す。
【0030】
いくつかのそのような方法において、評価することは、第1のレポータータンパク質発現及び第2のレポータータンパク質発現のうちの1つ以上を測定することを含む。いくつかのそのような方法において、評価することは、第1のレポータータンパク質発現及び第2のレポータータンパク質発現を測定することを含み、タウ標的化試薬を非ヒト動物に投与した後の第2のレポータータンパク質発現と比較した第1のレポータータンパク質発現のより大幅な相対的減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示し、任意選択的に、タウ標的化試薬を非ヒト動物に投与した後の第1のレポータータンパク質発現の少なくとも70%の減少及び第2のレポータータンパク質発現の30%以下の減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す。
【0031】
いくつかのそのような方法において、第1のレポータータンパク質は、第1の蛍光レポータータンパク質であり、第2のレポータータンパク質は、第2の蛍光レポータータンパク質であり、ステップ(b)における評価することは、免疫蛍光染色又はフローサイトメトリーを含む。いくつかのそのような方法において、ステップ(b)における評価することは、タウ過剰リン酸化又はタウ凝集を評価することを含む。
【0032】
いくつかのそのような方法において、タウ標的化試薬は、RNAi剤又はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかのそのような方法において、タウ標的化試薬は、イントラボディである。いくつかのそのような方法において、タウ標的化試薬は、ヌクレアーゼ剤である。いくつかのそのような方法において、ヌクレアーゼ剤は、Casタンパク質と、タウコード配列内のガイドRNA標的配列を標的化するように設計されたガイドRNAとを含む。
【0033】
いくつかのそのような方法において、評価することは、非ヒト動物の中枢神経系のニューロンにおいてである。
【0034】
別の態様では、組成物が提供される。いくつかのそのような組成物は、(a)第1のレポータータンパク質に連結された4リピート(4R)タウアイソフォーム及び第1のレポータータンパク質とは異なる第2のレポータータンパク質に連結された3リピート(3R)タウアイソフォーム、又は(b)第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸を含む。
【0035】
いくつかのそのような組成物において、組成物は、第1のレポータータンパク質に融合した4Rタウアイソフォームを含む第1の融合タンパク質と、第2のレポータータンパク質に融合した3Rタウアイソフォームを含む第2の融合タンパク質とを含むか、又は第1の核酸は、第1の融合タンパク質をコードし、第2の核酸は、第2の融合タンパク質をコードする。いくつかのそのような組成物において、第1の核酸は、第1の2Aペプチドのコード配列によって分離された4Rタウアイソフォームのコード配列と、第1のレポータータンパク質のコード配列とを含み、第2の核酸は、第2の2Aペプチドのコード配列によって分離された3Rタウアイソフォームのコード配列と、第2のレポータータンパク質のコード配列とを含む。いくつかのそのような組成物において、第1の2Aペプチドは、第1のP2Aペプチドであり、第2の2Aペプチドは、第2のP2Aペプチドである。
【0036】
いくつかのそのような組成物において、第1の核酸及び第2の核酸は、ウイルスベクター内にある。いくつかのそのような組成物において、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。いくつかのそのような組成物において、第1の核酸は、第1のウイルスベクター内にあり、第2の核酸は、第2のウイルスベクター内にある。いくつかのそのような組成物において、第1のウイルスベクター及び第2のウイルスベクターは、レンチウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。
【0037】
いくつかのそのような組成物において、第1のレポータータンパク質は、第1の蛍光レポータータンパク質であり、第2のレポータータンパク質は、第2の蛍光レポータータンパク質である。いくつかのそのような組成物において、第1のレポータータンパク質は、eYFPであり、第2のレポータータンパク質は、mCherryである。
【0038】
いくつかのそのような組成物において、4Rタウアイソフォーム及び3Rタウアイソフォームは、ヒトである。
【0039】
いくつかのそのような組成物において、4Rタウアイソフォームは、2N4Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような組成物において、3Rタウアイソフォームは、2N3Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような組成物において、4Rタウアイソフォームは、2N4Rタウアイソフォームであり、3Rタウアイソフォームは、2N3Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような組成物において、4Rタウアイソフォームは、配列番号13に記載の配列を含み、3Rタウアイソフォームは、配列番号14に記載の配列を含む。
【0040】
いくつかのそのような組成物において、4Rタウアイソフォームは、1N4Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような組成物において、3Rタウアイソフォームは、1N3Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような組成物において、4Rタウアイソフォームは、1N4Rタウアイソフォームであり、3Rタウアイソフォームは、1N3Rタウアイソフォームである。いくつかのそのような組成物において、4Rタウアイソフォームは、配列番号23、27、31、又は47に記載の配列を含み、3Rタウアイソフォームは、配列番号24、28、32、又は49に記載の配列を含む。
【0041】
別の態様では、上記の組成物のいずれかを含む細胞が提供される。別の態様では、上記の組成物のいずれかを含む非ヒト動物が提供される。
【0042】
別の態様では、上記の細胞のいずれかを作製する方法が提供される。いくつかのそのような方法は、第1のレポータータンパク質に連結された4リピート(4R)タウアイソフォーム及び第2のレポータータンパク質に連結された3リピート(3R)タウアイソフォームを細胞に導入すること、又は第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸を細胞に導入することを含む。
【0043】
別の態様では、上記の非ヒト動物のいずれかを作製する方法が提供される。いくつかのそのような方法は、第1のレポータータンパク質に連結された4リピート(4R)タウアイソフォーム及び第2のレポータータンパク質に連結された3リピート(3R)タウアイソフォームを非ヒト動物に投与すること、又は第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸を非ヒト動物に投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】異なる4リピート(4R)及び3リピート(3R)タウアイソフォームを示す。エキソン10は、4Rタウと3Rタウとを区別する「R2ドメイン」をコードする。
【
図2】eYFP特異的及びmCherry特異的TaqManプローブを使用した二重レポーター2N4R-eYFP/2N3R-mCherry細胞株における2N4R-eYFP及び2N3R-mCherry mRNAの相対発現を示す。
【
図3】2N4R-eYFP/2N3R-mCherry細胞株クローンC2、C3、及びC5からの免疫蛍光画像を示す。上段はeYFPを示し、中段はmCherryを示し、3段目はeYFPとmCherryとの画像を統合したものを示す。
【
図4】未処理の2N4R-eYFP/2N3R-mCherry細胞株(第1のカラム)、又は10nMの総タウsiRNA(3R及び4Rタウの両方を標的化する)若しくは10nMのmCherry siRNA(HAIJE-000013)で処理した細胞株からの免疫蛍光画像を示す。
【
図5】未処理の2N4R-eYFP/2N3R-mCherry細胞株(第1のカラム)、又は10nMの総YFP siRNA(P-002048-01)若しくは10nMのmCherry siRNA(HAIJE-000015若しくはHAIJE-000017)で処理した細胞株からの免疫蛍光画像を示す。
【
図6】「4R特異的」siRNA及び「4R優先的siRNA」を選択するための可能な基準を示す。
【
図7】65個の候補4RタウsiRNAについて4Rタウ及びmCherry TaqManアッセイによって測定されたRNAノックダウンパーセントを示す。
【
図8】TaqManによって測定された4RタウノックダウンパーセントとeYFPノックダウンパーセントとの間の相関を示す。
【
図9A】HEK293-2N4R-YFP+2N3R-mCherry二重レポーター細胞を、MAPT遺伝子のエキソン10全体をウォーキングすることによって産生された1nMの65個の異なるGalNAcコンジュゲートsiRNAで処理した後の4Rタウ及びmCherry(3Rタウ代替物)の発現レベルのTaqMan qPCRデータ。リポフェクタミンを負の対照として使用した。総タウsiRNAも対照として使用した。
【
図9B】13個の4R優先的siRNA(1nM及び0.1nM)についての相対的な4Rタウ及びmCherry発現を示す。リポフェクタミンを負の対照として使用した。2つの総タウsiRNAも対照として使用した。
【
図10A】3R/4R二重レポーターを使用した2つの候補4R siRNAについてのIC50グラフを示す。siRNAを8つの異なる濃度で試験した。
【
図10B】3R-mCherryレポーターを使用した2つの候補4R siRNAについてのIC50グラフを示す。siRNAを8つの異なる濃度で試験した。
【
図10C】4R-YFPレポーターを使用した2つの候補4R siRNAについてのIC50グラフを示す。siRNAを8つの異なる濃度で試験した。
【
図11A】3R/4R二重レポーターを使用した2つの候補4R siRNAについてのIC50グラフを示す。siRNAを8つの異なる濃度で試験した。
【
図11B】3R-mCherryレポーターを使用した2つの候補4R siRNAについてのIC50グラフを示す。siRNAを8つの異なる濃度で試験した。
【
図11C】4R-YFPレポーターを使用した2つの候補4R siRNAについてのIC50グラフを示す。siRNAを8つの異なる濃度で試験した。
【
図12】4R特異的及び3R特異的抗体を用いたドットブロッティングを使用した、4Rタウタンパク質ノックダウンにおける4つの4R優先的siRNAの検証を示す。特異性を確認するための組換えタウ1N3R又は1N4Rタンパク質による抗体の検証を左側に示し、siRNA処理した二重レポーター細胞からの溶解物による試験を右側に示す。実験の設定を上部に示す。
【
図13】総タウ及び3RタウELISAを使用した4Rタウタンパク質ノックダウンにおける4つの4R優先的siRNAの検証を示す。左のパネルでは、市販の総タウALPHALISA(Perkin Elmer、カタログ番号:AL271C)を使用して、製造業者の指示に従って総可溶性タウを測定した。右パネルでは、4Rタウタンパク質を、Cell Signaling TechnologiesからのPathScan ELISAキット(カタログ番号:29443)を使用して測定した。実験の設定を上部に示す。
【
図14】4RタウsiRNAで処置したヒト化MAPTマウスの脳から抽出したRNA上の総タウ及び4Rタウの発現レベルのRT-qPCRデータを示す。値を、ナイーブ群に対する相対発現(1/2
ΔΔCt)としてグラフ化し、マウスGAPDHに対して正規化する。
【
図15】4Rタウ標的化試薬のインビボ試験のためのマウスモデルの作製に使用するための、1N4Rタウ(R5L)-P2A-eYFP及び1N3Rタウ(R5L)-P2A-mCherry、1N4Rタウ(L237V)-P2A-eYFP、及び1N3Rタウ(L237V)-P2A-mCherry、並びに1N4Rタウ(G243V)-P2A-eYFP及び1N3Rタウ(G243V)-P2A-mCherryの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
定義
本明細書で互換的に使用される、「タンパク質」、「ポリペプチド」、及び「ペプチド」という用語は、コードされたアミノ酸及び非コードのアミノ酸並びに化学的又は生化学的に修飾又は誘導体化されたアミノ酸を含む、任意の長さのアミノ酸のポリマー形態を含む。これらの用語には、修飾されているペプチド骨格を有するポリペプチドなどの修飾されているポリマーも含まれる。「ドメイン」という用語は、特定の機能又は構造を有するタンパク質又はポリペプチドの任意の部分を指す。
【0046】
タンパク質は「N末端」(アミノ末端)と「C末端」(カルボキシ末端又はカルボキシル末端)を有すると言われている。「N末端」という用語は、遊離アミン基(-NH2)を有するアミノ酸を末端に有する、タンパク質又はポリペプチドの開始部に関する。「C末端」という用語は、遊離カルボキシル基(-COOH)によって終端されたアミノ酸鎖(タンパク質又はポリペプチド)の末端に関する。
【0047】
本明細書で互換的に使用される、「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又はそれらの類似体若しくは修飾バージョンを含む、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を含む。これらには、一本鎖、二本鎖、及び多重鎖DNA又はRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッド、並びにプリン塩基、ピリミジン塩基、又は他の天然、化学的に修飾された、生化学的に修飾された、非天然、若しくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーが含まれる。
【0048】
1つのモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸がホスホジエステル結合を介して一方向で、その隣の3’酸素に結合する手法でオリゴヌクレオチドを作製するように、モノヌクレオチドが反応するため、核酸は、「5’末端」及び「3’末端」を有すると言われている。オリゴヌクレオチドの末端は、その5’リン酸がモノヌクレオチドペントース環の3’酸素に連結されていない場合、「5’末端」と称される。オリゴヌクレオチドの末端は、その3’酸素が別のモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸に連結されていない場合、「3’末端」と称される。核酸配列は、より大きなオリゴヌクレオチドの内部に存在するとしても、5’及び3’末端を有するとも言われ得る。直線状又は環状DNA分子のいずれかにおいて、別個の要素は、「上流」又は「下流」の5’若しくは3’要素であると称される。
【0049】
「ゲノムに組み込まれた」という用語は、ヌクレオチド配列が細胞のゲノムに組み込まれるように、細胞に導入されている核酸を指す。細胞のゲノムへの核酸の安定した組み込みのために、任意のプロトコルが使用され得る。
【0050】
「発現ベクター(expression vector)」又は「発現コンストラクト(expression construct)」又は「発現カセット(expression cassette)」という用語は、特定の宿主細胞又は生命体における作動可能に連結されたコード配列の発現に必要である適切な核酸配列に作動可能に連結された所望のコード配列を含む組換え核酸を指す。原核生物での発現に必要な核酸配列としては、通常、プロモーター、オペレーター(作動遺伝子)(任意選択)、リボソーム結合部位、及びその他の配列が挙げられる。真核細胞は、一般に、プロモーター、エンハンサー(転写促進因子)、終結及びポリアデニル化シグナルを利用することが周知であり、必要な発現を犠牲にすることなく、いくつかの要素を削除し得、その他の要素を追加し得る。
【0051】
「標的化ベクター」という用語は、相同組換え、非相同末端結合媒介ライゲーション、又は任意の他の組換え手段によって、細胞のゲノム中の標的位置に導入され得る組換え核酸を指す。
【0052】
細胞、組織、タンパク質、及び核酸に関して「分離された」という用語は、通常インサイチュで存在し得る他の細菌、ウイルス、細胞、又は他の成分に関して比較的精製されている細胞、組織、タンパク質、及び核酸、細胞、組織、タンパク質、及び核酸の実質的に純粋な調製物までを含み、またそれらの実質的に純粋な調製物を含む。「単離された」という用語はまた、天然に存在する対応物を有さず、化学的に合成され、それにより他の細胞、組織、タンパク質、及び核酸が実質的に混入していないか、又はそれらに天然に付随する(例えば、他の細胞タンパク質、核酸、又は細胞若しくは細胞外成分)ほとんどの他の成分(例えば、細胞成分又は生物成分)から分離若しくは精製されている細胞、組織、タンパク質、及び核酸も含む。
【0053】
「野生型」という用語は、(変異体、病変した、改変したなどとは対照的に)正常な状態又は文脈に見出されるような構造及び/又は活性を有する実体を含む。野生型遺伝子及びポリペプチドは、多くの場合、複数の異なる形態(例えば、対立遺伝子)で存在する。
【0054】
「内因性配列」という用語は、ラット細胞又はラット内で天然に存在する核酸配列を指す。例えば、ヒト細胞の内因性MAPT配列は、ヒト細胞におけるMAPT遺伝子座で天然に存在する天然のMAPT配列を指す。
【0055】
「外因性」分子又は配列には、その形態で細胞に通常は存在しない分子又は配列が含まれる。通常の存在には、細胞の特定の発生段階及び環境条件に関する存在が含まれる。外因性分子又は配列には、例えば、内因性配列のヒト化バージョンなどの、細胞内の対応する内因性配列の変異バージョンが含まれ得るか、又は細胞内であるが、異なる形態の(すなわち、染色体内ではない)内因性配列に対応する配列が含まれ得る。対照的に、内因性分子又は配列は、その形態で、特定の細胞において、特定の発生段階で、特定の環境条件下で通常存在する分子又は配列を含む。
【0056】
核酸又はタンパク質の文脈で使用される場合の「異種」という用語は、核酸又はタンパク質が、同じ分子内で一緒に天然に存在しない少なくとも2つのセグメントを含むことを示す。例えば、核酸のセグメント又はタンパク質のセグメントに関して使用される場合の「異種」という用語は、核酸又はタンパク質が、自然界で互いに同じ関係(例えば、一緒に結合)で見出されない2つ以上のサブ配列を含むことを示す。一例として、核酸ベクターの「異種」領域は、自然界で他の分子と関連して見出されない、別の核酸分子内の、又は別の核酸分子に結合した核酸のセグメントである。例えば、核酸ベクターの異種領域は、自然界のコード配列に関連して見出されない配列に隣接するコード配列を含み得る。同様に、タンパク質の「異種」領域は、自然界の他のペプチド分子(例えば、融合タンパク質、又はタグ付きタンパク質)に関連して見出されない、別のペプチド分子内にあるか、又はそれに結合しているアミノ酸のセグメントである。同様に、核酸又はタンパク質は、異種標識又は異種分泌又は局在化配列を含み得る。
【0057】
「コドン最適化」は、アミノ酸を指定する3塩基対のコドンの組み合わせの多様性によって示されるように、コドンの縮重を利用し、一般に、天然アミノ酸配列を維持しながら、天然配列の少なくとも1つのコドンを、宿主細胞の遺伝子においてより頻繁に又は最も頻繁に使用されるコドンで置き換えることによって、特定の宿主細胞における発現の増強のために核酸配列を修飾するプロセスを含む。例えば、タウタンパク質をコードする核酸は、天然に存在する核酸配列と比較すると、細菌細胞、酵母細胞、ヒト細胞、非ヒト細胞、哺乳類細胞、げっ歯類細胞、マウス細胞、ラット細胞、ハムスター細胞、若しくは任意の他の宿主細胞を含む所与の原核細胞又は真核細胞においてより高い使用頻度を有するコドンを置き換えるように修飾され得る。コドン使用表は、例えば、「コドン使用データベース(Codon Usage Database)」において容易に利用可能である。これらの表は、様々な方法で適用することができる。あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Nakamura et al.(2000)Nucleic Acids Res.28(1):292を参照されたい。特定の宿主における発現のための特定の配列のコドン最適化のためのコンピュータアルゴリズム(例えば、Gene Forgeを参照されたい)もまた利用可能である。
【0058】
「遺伝子座」という用語は、遺伝子(又は重要な配列)、DNA配列、ポリペプチドコード配列、又は生物のゲノムの染色体上の位置(position)の特定の位置(location)を指す。例えば、「MAPT遺伝子座」は、MAPT遺伝子、MAPT DNA配列、タウコード配列、又はそのような配列が常駐すると同定されている生物のゲノムの染色体上のMAPT位置の特定の位置を指し得る。「MAPT遺伝子座」は、例えば、エンハンサー、プロモーター、5’及び/若しくは3’非翻訳領域(untranslated region、UTR)、又はそれらの組み合わせを含む、MAPT遺伝子の調節エレメントを含み得る。
【0059】
「遺伝子」という用語は、自然に存在する場合、少なくとも1つのコード領域及び少なくとも1つの非コード領域を含有する可能性のある染色体中のDNA配列を指す。遺伝子が完全長のRNA(5’及び3’の非翻訳配列を含む)に対応するように、産物(例えば、非限定的に、RNA産物及び/又はポリペプチド産物)をコードする染色体中のDNA配列は、非コードイントロンで中断されたコード領域並びに5’端及び3’端の両方のコード領域に隣接して位置する配列を含み得る。更に、調節配列を含む他の非コード配列(例えば、非限定的に、プロモーター、エンハンサー、及び転写因子結合部位)、ポリアデニル化シグナル、配列内リボソーム進入部位、サイレンサー、絶縁配列、及びマトリックス結合領域も遺伝子に存在してもよい。これらの配列は、遺伝子のコード領域に近接(例えば、非限定的に、10kb以内)しているか、又は離れた部位にあってもよく、それらは遺伝子の転写及び翻訳のレベル又は速度に影響を及ぼす。
【0060】
「対立遺伝子」という用語は、遺伝子のバリアント形態を指す。いくつかの遺伝子は、染色体上の同じ位置、又は遺伝子座に位置する様々な異なる形態を有する。二倍体生物は、各遺伝子座に2つの対立遺伝子を有する。対立遺伝子の各対は、特定の遺伝子遺伝子座の遺伝子型を表す。遺伝子型は、特定の遺伝子座に2つの同一の対立遺伝子がある場合はホモ接合であり、2つの対立遺伝子が異なる場合はヘテロ接合であると記載される。
【0061】
遺伝子の「コード領域」又は「コード配列」は、タンパク質をコードする、エキソンで構成される遺伝子のDNA又はRNAの部分で構成される。この領域は、5’末端の開始コドンで始まり、3’末端の終止コドンで終わる。
【0062】
「プロモーター」は、RNAポリメラーゼIIが特定のポリヌクレオチド配列のための適切な転写開始部位でRNA合成を開始することを指示することができるTATAボックスを通常含むDNAの調節領域である。場合によっては、プロモーターは、転写開始速度に影響を及ぼす他の領域を追加的に含み得る。本明細書に開示されるプロモーター配列は、作動可能に連結されたポリヌクレオチドの転写を調節する。プロモーターは、本明細書に開示される1つ以上の細胞型(例えば、マウス細胞、ラット細胞、多能性細胞、1細胞期胚、分化細胞、又はそれらの組み合わせ)において活性であり得る。プロモーターは、例えば、構成的に活性なプロモーター、条件付きプロモーター、誘導性プロモーター、時間的に制限されたプロモーター(例えば、発生的に調節されたプロモーター)、又は空間的に制限されたプロモーター(例えば、細胞特異的又は組織特異的プロモーター)であり得る。プロモーターの例は、例えば、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2013/176772号において見出すことができる。
【0063】
「作動可能な連結」又は「作動可能に連結される」とは、その両方の成分が正常に機能し、かつ成分のうちの少なくとも1つが他の成分のうちの少なくとも1つに及ぶ機能を媒介し得る可能性を許すような、2つ以上の成分(例えば、プロモーター及び別の配列要素)の並列を含む。例えば、プロモーターが、1つ以上の転写調節因子の存在又は不在に応じてコード配列の転写のレベルを制御する場合、プロモーターは、コード配列に作動可能に連結され得る。作動可能な連結は、そのような配列が互いに近接していること、又はトランスに作用する(例えば、調節配列が、コード配列の転写を制御するために離れて作用し得る)ことを含み得る。
【0064】
2つのポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の文脈における「配列同一性」又は「同一性」は、特定の比較ウィンドウで最大の一致のためにアラインさせる場合、同じである2つの配列の残基を指す。タンパク質に関して、配列同一性のパーセンテージを使用する場合、同一ではない残基位置は多くの場合に、保存的アミノ酸置換によって異なり、その保存的アミノ酸置換では、アミノ酸残基は同様の化学的特性(例えば、電荷又は疎水性)を有する他のアミノ酸残基で置換されており、したがって、分子の機能的特性を変化させない。配列が保存的置換で異なる場合、配列同一性パーセントを、置換の保存的性質について補正するために、上方に調整され得る。そのような保存的置換によって異なる配列は、「配列類似性」又は「類似性」を有すると言われている。この調整を行うための手段は周知である。典型的には、これは、保存的置換を完全なミスマッチではなく部分的なミスマッチとしてスコアリングして、それによって、配列同一性パーセンテージを増加させることを含む。したがって、例えば、同一のアミノ酸が1のスコアを与えられ、非保存的置換が0のスコアを与えられる場合に、保存的置換は、0~1のスコアを与えられる。保存的置換のスコアリングは、例えば、プログラムPC/GENE(Intelligenetics、Mountain View,California)で実行されるように計算される。
【0065】
「配列同一性のパーセンテージ」は、比較ウィンドウにわたって2つの最適にアラインされた配列(完全にマッチする残基の数が最大)を比較することによって決定される値を含み、比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の最適アラインメントのための(付加また欠失を含まない)参照配列と比較した場合に、付加又は欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。パーセンテージは、同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が両方の配列中に発生する位置の数を決定してマッチする位置の数を得ること、マッチする位置の数を比較のウィンドウにおける位置の総数で割ること、及び結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算される。特に明記しない限り(例えば、短い方の配列が、連結された非相同配列を含む)、比較ウィンドウは、比較される2つの配列のうちの短い方の全長である。
【0066】
特に指示しない限り、配列同一性/類似性の値は、以下のパラメータ:50のGAP重量及び3の長さ重量、並びにnwsgapdna.cmpスコアリングマトリックスを使用するヌクレオチド配列についての同一性%及び類似性%;8のGAP重量及び2の長さ重量、並びにBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用するアミノ酸配列についての同一性%及び類似性%;又はその任意の同等のプログラムを使用し、GAPバージョン10を使用して得られた値を含む。「同等のプログラム」は、問題の任意の2つの配列について、GAPバージョン10によって生成された対応するアラインメントと比較した場合、同一のヌクレオチド又はアミノ酸残基のマッチ及び同一の配列同一性パーセントを有するアラインメントを生成する任意の配列比較プログラムを含む。
【0067】
「保存的アミノ酸置換」という用語は、配列中に通常存在するアミノ酸の、類似のサイズ、電荷、又は極性の、異なるアミノ酸との置換を指す。保存的置換の例には、イソロイシン、バリン、又はロイシンなどの非極性(疎水性)残基の、別の非極性残基との置換が含まれる。同様に、保存的置換の例には、アルギニンとリジンとの間、グルタミンとアスパラギンとの間、又はグリシンとセリンとの間などの、1つの極性(親水性)残基の別のものとの置換が含まれる。追加的に、リジン、アルギニン、若しくはヒスチジンなどの塩基性残基の別のものへの置換、又はアスパラギン酸若しくはグルタミン酸などのある酸性残基の別の酸性残基への置換は、保存的置換の追加の例である。非保存的置換の例には、非極性(疎水性)アミノ酸残基、例えば、イソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、若しくはメチオニンの極性(親水性)残基、例えば、システイン、グルタミン、グルタミン酸、若しくはリジンへの置換、及び/又は極性残基の非極性残基への置換が含まれる。典型的なアミノ酸の分類を以下で要約する。
【0068】
【0069】
「相同」配列(例えば、核酸配列)には、例えば、既知の参照配列に対して少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%同一であるような、既知の参照配列に対して同一か、又は実質的に同様である配列が含まれる。相同配列は、例えば、オルソログ配列及びパラロガス配列を含み得る。例えば、相同遺伝子は典型的には、種分化事象(オルソログ遺伝子)又は遺伝子重複事象(パラロガス遺伝子)のいずれかを介して、共通の祖先DNA配列から派生する。「オルソログ」遺伝子には、種分化によって共通の祖先遺伝子から進化した様々な種における遺伝子が含まれる。オルソログは典型的には、進化の過程で同じ機能を保持する。「パラロガス」遺伝子には、ゲノム内の重複によって関連する遺伝子が含まれる。パラログは、進化の過程で新しい機能を進化させることができる。
【0070】
「インビトロ」という用語は、人工環境、及び人工環境(例えば、試験管又は単離された細胞若しくは細胞株)内で生じるプロセス又は反応を含む。「インビボ」という用語は、天然環境(例えば、生物若しくは身体、又は生物若しくは身体内の細胞若しくは組織)、及び天然環境内で生じるプロセス又は反応を含む。「エクスビボ」という用語は、個体の身体から除去される細胞、及びそのような細胞内で生じるプロセス又は反応を含む。
【0071】
1つ以上の列挙された要素を「含む(comprising)」又は「含む(including)」組成物又は方法は、具体的に列挙されていない他の要素を含み得る。例えば、タンパク質を「含む(comprises)」又は「含む(includes)」組成物は、タンパク質を単独で、又は他の成分との組み合わせで含有し得る。「から本質的になる」という移行句は、特許請求の範囲の範囲が、特許請求の範囲に列挙された特定の要素、及び特許請求される発明の基本的かつ新規の特性に実質的に影響しない要素を包含すると解釈されることを意味する。したがって、本発明の特許請求の範囲で使用される場合の「から本質的になる」という用語は、「含む」と同等であると解釈されることを意図するものではない。
【0072】
「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、それに続いて記載された事象又は状況が起こっても起こらなくてもよいことであり、説明が、事象又は状況が起こる場合の例及びそれが起こらない場合の例を含むことを意味する。
【0073】
値の範囲の指定は、その範囲内の、又はその範囲を定義する全ての整数、及びその範囲内の整数によって定義される全ての部分範囲を含む。
【0074】
文脈から特に明らかでない限り、「約」という用語は、記載された値の±5%である値を包含する。
【0075】
「及び/又は」という用語は、関連するリストされる項目のうちの1つ以上の任意及び全ての可能な組み合わせ、並びに代替物(「又は」)で解釈されるときの組み合わせの欠如を指し、これらを包含する。
【0076】
「又は」という用語は、特定のリストの任意の1つのメンバーを指し、そのリストのメンバーの任意の組み合わせも含む。
【0077】
冠詞「a」、「an」、及び「the」の単数形は、文脈が特に明確に規定していない限り、複数形の言及を含む。例えば、「タンパク質」又は「少なくとも1つのタンパク質」という用語は、それらの混合物を含む複数のタンパク質を含み得る。
【0078】
統計的に有意なとは、p≦0.05を意味する。
(発明を実施するための形態)
【0079】
I.概要
第1のレポータータンパク質に連結された4リピート(4R)タウアイソフォームと、第1のレポータータンパク質とは異なる第2のレポータータンパク質に連結された3リピート(3R)タウアイソフォームとを含む、タウレポーター組成物、タウレポーター細胞、及びタウレポーター動物が提供される。そのようなタウレポーター細胞及びタウレポーター動物を作製するための、並びにタウ標的化試薬の活性を評価するためにそのようなタウレポーター細胞及びタウレポーター動物を使用するための方法が提供される。
【0080】
ヒトMAPT遺伝子は、タウの6つの異なるアイソフォーム:2N4R、1N4R、0N4R、2N3R、1N3R、0N3Rをコードする。4R(4リピート)タウ対3R(3リピート)タウを含有する転写物間の差異は、エキソン10の包含(4R)又は排除(3R)に基づく。ヒトは通常、等しい比率の3Rタウ及び4Rタウを発現する。アルツハイマー病などのいくつかのタウオパチーにおいて、死後の脳組織からの実験的証拠は、タウの不溶性凝集体が3R及び4Rタウから構成されることを示唆する。進行性核上性麻痺(PSP)及び皮質性基底変性(CBD)などのより稀なタウオパチー疾患では、4Rタウタンパク質はタウの凝集性種である。疾患におけるこれらの異なる種類の凝集体の根底にある理由は不明である。4Rタウのみに対して総タウ(例えば、3R+4Rタウ)を標的化する療法は、異なる疾患状態において有益な効果を有し得る。
【0081】
今日までの1つの主要な課題は、タウの異なるアイソフォームのmRNAを測定するためのアッセイを開発することであった。例えば、タウの「R/リピート」ドメインは、3Rタウを測定するためのプライマー対及びTaqManプローブを設計することを困難にする。タウのある特定のアイソフォームを測定するためのアッセイがこのように少ないため、両方を低減すべき試薬(例えば、siRNA)に対して(例えば、総タウ標的化戦略)、4Rタウのみを低減し、3Rタウに影響を与えない試薬(例えば、siRNA)の特異性を正確に試験することは困難である。
【0082】
タウレポーター、タウレポーター細胞、及びタウレポーター非ヒト動物は、4Rタウを特異的に標的化する化合物に対して、総タウを標的化する化合物(例えば、siRNA又はgRNA)を同定することができる。現在まで、siRNAなどの4R-タウ特異的試薬のスクリーニングは、3Rタウを特異的に測定するためのタンパク質及びmRNAアッセイがないために不可能であった。
【0083】
II.タウ3Rレポーター及びタウ4Rレポーターを含む組成物
4Rタウを特異的又は選択的に標的化するタウ標的化試薬と、4Rタウ及び3Rタウの両方を標的化する試薬とを区別するためのアッセイにおいて使用することができるタウ3Rレポーター及びタウ4Rレポーターを含む組成物が本明細書において提供される。
【0084】
タウは、微小管に結合して安定する細胞内微小管関連タンパク質である。それは主にニューロンで発現される。タウは、神経細胞の微小管を安定させ、したがって、軸索伸長を促進する役割を果たす。アルツハイマー病(Alzheimer's disease、AD)及びタウオパチーと呼ばれる関連する神経変性疾患のファミリーでは、タウタンパク質は、異常に過剰リン酸化され、神経原線維変化として現れるフィラメントの束(対らせん状フィラメント)に凝集する。タウオパチーは、脳内の異常なタウ沈着を特徴とする、不均一な神経変性状態の群である。タウタングル負荷は、認知低下及び瀕死のニューロンと正に相関する。アルツハイマー病(AD)において、細胞外アミロイドベータは、タウの3Rアイソフォーム及び4Rアイソフォームの両方の凝集を誘発し(二次性タウオパチー)、認知低下をもたらす。原発性タウオパチーにおいて、タウアイソフォームは、未知の原因/誘因に起因して差次的に凝集する。例えば、4R凝集体は進行性核上性麻痺(PSP)及び大脳皮質基底核変性症(CBD)に関連し、一方3R凝集体はピック病に関連する。
【0085】
タウは、16個のエキソンを含むMAPT遺伝子によってコードされる。エキソン0及び1は、MAPT mRNAの5’非翻訳領域(UTR)をコードし、一方エキソン14は、3’UTRの一部をコードする。エキソン4a、6、及び8は、末梢組織においてのみ転写される。エキソン2及び3は、アミノ末端(N1及びN2)付近の29アミノ酸残基インサートをコードし、エキソン9~12は、カルボキシル末端(R1~R4)付近の微小管結合ドメインリピートをコードする。MAPTの選択的スプライシングは、352~441アミノ酸の範囲の6つのアイソフォームをもたらす。タウアイソフォームは様々であり、アミノ末端インサート(0N、1N、及び2N)の数及びカルボキシル末端微小管結合ドメインリピート(3R及び4R)の数に基づいて命名される。スプライシングに応じて、タウタンパク質のリピートドメインは、タンパク質の凝集しやすいコアを構成する3つ又は4つのリピート領域のいずれかを有するが、これは多くの場合、リピートドメイン(Repeat Domain、RD)と称される。3つの4リピート(4R)タウアイソフォームは、2N4R、1N4R、及び0N4Rである。3つの3リピート(3R)タウアイソフォームは、2N3R、1N3R、及び0N3Rである。
【0086】
本明細書に記載の組成物は、第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームと、第1のレポータータンパク質とは異なる第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームとを含み得る。代替的に、本明細書に記載の組成物は、第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸と、第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸とを含み得る。「連結された」とは、タウアイソフォーム及び連結されたレポータータンパク質が同じタンパク質(すなわち、融合タンパク質)の一部であるか、又は同じメッセンジャーRNAから発現されることを意味する。融合タンパク質において、タウアイソフォーム及びレポータータンパク質は、互いに直接融合され得るか、又はリンカーを介して互いに融合され得る。具体的な例において、タウアイソフォーム及び連結されたレポータータンパク質は、リンカーを介して互いに融合される。第1の例において、組成物は、第1のレポータータンパク質に融合した4Rタウアイソフォームを含む第1の融合タンパク質と、第1のレポータータンパク質とは異なる第2のレポータータンパク質に融合した3Rタウアイソフォームを含む第2の融合タンパク質とを含み得る。例えば、組成物は、第1の融合タンパク質をコードする第1の核酸(例えば、発現カセット)と、第2の融合タンパク質をコードする第2の核酸(例えば、発現カセット)とを含み得る。第2の例において、組成物は、4Rタウアイソフォームのコード配列及び第1のレポータータンパク質のコード配列を含む第1の核酸(例えば、発現カセット)と、3Rタウアイソフォームのコード配列及び第1のレポータータンパク質とは異なる第2のレポータータンパク質のコード配列を含む第2の核酸(例えば、発現カセット)とを含み得、4Rタウアイソフォームのコード配列及び第1のレポータータンパク質のコード配列は、第1の2Aペプチドのコード配列によって分離されており、3Rタウアイソフォームのコード配列及び第2のレポータータンパク質のコード配列は、第2の2Aペプチドのコード配列によって分離されている。
【0087】
2Aペプチドは小さな「自己切断」ペプチドであり、一般に18~22アミノ酸の長さを有し、同じmRNAから等モルレベルの複数の遺伝子を生成する。リボソームは、2AペプチドのC末端でのグリシル-プロリルペプチド結合の合成をスキップし、2Aペプチドとそのすぐ下流のペプチドの間の「切断」を引き起こす。例えば、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Kim et al.(2011)PLoS One 6(4):e18556を参照されたい。「切断」は、C末端にあるグリシンとプロリン残基の間で発生し、上流のシストロンが、その最後にいくつかの残基を付加し、下流のシストロンはプロリンで始まる。その結果、「切断された」下流ペプチドは、そのN末端にプロリンを有する。2A媒介切断は、全ての真核細胞で普遍的な現象である。2Aペプチドは、ピコルナウイルス、昆虫ウイルス、及びC型ロタウイルスから同定されている。例えば、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Szymczak et al.(2005)Expert Opin.Biol.Ther.5(5):627-638を参照されたい。使用できる2Aペプチドの例には、Thoseaasignaウイルス2A(T2A)、ブタテッショウウイルス-1 2A(P2A)、ウマ鼻炎Aウイルス(equine rhinitis A virus、ERAV)2A(E2A)、及びFMDV 2A(F2A)が含まれる。例示的なT2A、P2A、E2A、及びF2A配列には、以下が含まれる:T2A(EGRGSLLTCGDVEENPGP、配列番号9)、P2A(ATNFSLLKQAGDVEENPGP、配列番号10)、E2A(QCTNYALLKLAGDVESNPGP、配列番号11)、及びF2A(VKQTLNFDLLKLAGDVESNPGP、配列番号12)。GSG残基は、これらのペプチドのいずれかの5’末端に付加して、切断効率を向上させることができる。具体的な例において、P2Aが使用される。
【0088】
第1の核酸及び第2の核酸を含む組成物において、そのような核酸は、RNA(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA))又はDNAであり得、一本鎖又は二本鎖であり得、直線状又は環状であり得る。DNAは、発現ベクター又は標的化ベクターなどのベクターの一部であり得る。ベクターはまた、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、及びレトロウイルスベクターなどのウイルスベクターであり得る。
【0089】
任意に、特定の細胞又は生物におけるタンパク質への効率的な翻訳のために、核酸がコドン最適化され得る。例えば、核酸は、天然に存在するポリヌクレオチド配列と比較すると、ヒト細胞、非ヒト細胞、哺乳類細胞、げっ歯類細胞、マウス細胞、ラット細胞、細菌細胞、酵母細胞、又は目的の任意の他の宿主細胞においてより高い使用頻度を有するコドンを置き換えるように修飾され得る。
【0090】
本明細書に記載の組成物は、インビトロであってもよく、細胞(例えば、胚性幹細胞)内にあってもよく、又は非ヒト動物にあってもよい。細胞は、胚性幹細胞(例えば、マウス又はラット胚性幹細胞)又は人工多能性幹細胞(例えば、ヒト人工多能性幹細胞)などの任意の生物からの任意の細胞型であり得る。非ヒト動物は、本明細書の他の場所に更に記載される任意の適切な種類の非ヒト動物であり得る。
【0091】
核酸又は発現カセットは、細胞又は非ヒト動物のゲノムに(すなわち、染色体内に)安定に組み込まれ得るか、又はそれらは染色体の外側に位置し得る(例えば、染色体外複製DNA)。安定に組み込まれた発現カセット又は核酸は、細胞若しくは非ヒト動物のゲノムにランダムに組み込まれ得る(すなわち、トランスジェニック)か、又はそれらは、細胞若しくは非ヒト動物のゲノムの所定の領域に組み込まれ得る(すなわち、ノックイン)。一例において、核酸又は発現カセットは、本明細書の他の場所に記載されるセーフハーバー遺伝子座に安定に組み込まれる。核酸又は発現カセットが安定に組み込まれる標的ゲノム遺伝子座は、核酸若しくは発現カセットについてヘテロ接合性であり得るか、又は核酸若しくは発現カセットについてホモ接合性であり得る。
【0092】
本明細書に記載の核酸又は発現カセットは、非ヒト動物内でのインビボでの発現、又は細胞内でのインビトロ若しくはエクスビボでの発現に好適な任意のプロモーターに作動可能に連結され得る。非ヒト動物は、本明細書の他の場所に記載される任意の好適な非ヒト動物であり得る。一例として、核酸又は発現カセットは、標的ゲノム遺伝子座における内在性プロモーター、例えば、Rosa26プロモーターに作動可能に連結され得る。代替的に、核酸又は発現カセットは、外因性プロモーター、例えば、構成的に活性なプロモーター(例えば、CAGプロモーター)、条件付きプロモーター、誘導性プロモーター、時間的に制限されたプロモーター(例えば、発生的に調節されたプロモーター)、又は空間的に制限されたプロモーター(例えば、細胞特異的又は組織特異的プロモーター)に作動可能に連結され得る。このようなプロモーターはよく知られており、本明細書の他の場所で議論されている。発現コンストラクトにおいて使用することができるプロモーターには、例えば、真核細胞、ヒト細胞、非ヒト細胞、哺乳類細胞、非ヒト哺乳類細胞、げっ歯類細胞、マウス細胞、ラット細胞、ハムスター細胞、ウサギ細胞、多能性細胞、胚性幹(embryonic stem、ES)細胞、又は接合体のうちの1つ以上において活性なプロモーターが含まれる。そのようなプロモーターは、例えば、条件付きプロモーター、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、又は組織特異的プロモーターであり得る。
【0093】
本明細書に記載の核酸及び発現カセットは、任意の形態であり得る。例えば、発現カセットは、ウイルスベクターなどのベクター又はプラスミド内にあり得る。発現カセットは、タンパク質又はRNAの発現を指示することができる発現コンストラクト内のプロモーターに作動可能に連結され得る。代替的に、発現カセットは、標的化ベクター内にあり得る。例えば、標的化ベクターは、発現カセットに隣接する相同性アームを含むことができ、相同性アームは、ゲノム組み込み及び/又は内因性配列の置換を容易にするために、所望の標的ゲノム遺伝子座との組換えを指示するのに好適である。
【0094】
本明細書に記載の組成物が細胞又は非ヒト動物内にある場合、組成物は、第1の融合タンパク質をコードする第1の核酸(例えば、発現カセット)及び第2の融合タンパク質をコードする第2の核酸(例えば、発現カセット)を含み得、第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質は、細胞又は非ヒト動物内で安定に発現され得る。例えば、第1の核酸(例えば、発現カセット)及び第2の核酸(例えば、発現カセット)は、細胞又は非ヒト動物のゲノムに組み込まれ、細胞又は非ヒト動物において活性なプロモーターに作動可能に連結され得る。例えば、第1の核酸及び第2の核酸は、非ヒト動物の生殖系列のゲノムに組み込まれ得る。同様に、本明細書に記載の組成物が細胞又は非ヒト動物内にある場合、組成物は、4Rタウアイソフォームのコード配列及び第1のレポータータンパク質のコード配列(例えば、第1の2Aコード配列によって分離されている)を含む第1の核酸(例えば、発現カセット)と、3Rタウアイソフォームのコード配列及び第2のレポータータンパク質のコード配列(例えば、第2の2Aコード配列によって分離されている)を含む第2の核酸(例えば、発現カセット)とを含み得、4Rタウアイソフォーム、第1のレポータータンパク質、3Rタウアイソフォーム、及び第2のレポータータンパク質は、細胞又は非ヒト動物内で安定に発現され得る。例えば、第1の核酸(例えば、発現カセット)及び第2の核酸(例えば、発現カセット)は、細胞又は非ヒト動物のゲノムに組み込まれ、細胞又は非ヒト動物において活性なプロモーターに作動可能に連結され得る。例えば、第1の核酸及び第2の核酸は、非ヒト動物の生殖系列のゲノムに組み込まれ得る。核酸(例えば、発現カセット)は、細胞若しくは非ヒト動物のゲノムにランダムに組み込まれ得るか、又はそれらはセーフハーバー遺伝子座などの標的ゲノム遺伝子座に組み込まれ得る。遺伝子を発現することができる任意の標的ゲノム遺伝子座を使用することができる。プロモーターは、任意の好適なプロモーターであり得る。例えば、プロモーターは、EF1αプロモーターなどの、構成的プロモーターであり得る。代替的に、プロモーターは、組織特異的プロモーター又は誘導性プロモーターであり得る。例えば、別の例として、プロモーターは、神経細胞特異的プロモーターであり得る。好適なニューロン特異的プロモーターの一例は、シナプシン-1プロモーター(例えば、ヒトシナプシン-1プロモーター)である。
【0095】
本明細書に記載の核酸又は発現カセットが安定に組み込まれ得る標的ゲノム遺伝子座の例は、細胞又は非ヒト動物のゲノム内のセーフハーバー遺伝子座である。組み込まれた外因性DNAと宿主ゲノムとの間の相互作用は、組み込みの信頼性及び安全性を制限する可能性があり、標的化遺伝子修飾によるものではなく、代わりに周囲の内因性遺伝子に対する組み込みの意図しない影響による明白な表現型効果をもたらす可能性がある。例えば、ランダムに挿入された導入遺伝子は、位置効果及びサイレンシングの影響を受けやすく、その発現が信頼できず、予測できないものになる可能性がある。同様に、外因性DNAの染色体遺伝子座への組み込みは、周囲の内因性遺伝子及びクロマチンに影響を及ぼし、それによって細胞の挙動及び表現型を変える可能性がある。セーフハーバー遺伝子座には、導入遺伝子又は他の外因性核酸インサートが、細胞の挙動又は表現型を明白に変えることなく(すなわち、宿主細胞に有害な影響を与えることなく)、目的の全ての組織で安定かつ確実に発現できる染色体遺伝子座が含まれる。例えば、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sadelain et al.(2012)Nat.Rev.Cancer12:51-58を参照されたい。例えば、セーフハーバー遺伝子座は、挿入された遺伝子配列の発現が、隣接する遺伝子からのリードスルー発現によって乱されない遺伝子座であり得る。例えば、セーフハーバー遺伝子座には、内因性遺伝子の構造又は発現に悪影響を及ぼすことなく、外因性DNAが予測可能な方法で組み込まれて機能できる染色体遺伝子座を含めることができる。セーフハーバー遺伝子座には、遺伝子外領域又は遺伝子内領域、例えば、必須ではない、不要な、又は明白な表現型の結果なしに破壊できる遺伝子内の遺伝子座を含めることができる。
【0096】
例えば、ヒトにおけるRosa26遺伝子座及びその等価物は、全ての組織においてオープンクロマチン構成を提供し、胚発生中及び成体において遍在的に発現される。例えば、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Zambrowicz et al.(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:3789-3794を参照されたい。加えて、Rosa26遺伝子座を高効率で標的化することができ、Rosa26遺伝子の破壊は明白な表現型を生じない。セーフハーバー遺伝子座の他の例には、CCR5、HPRT、AAVS1、及びアルブミンが含まれる。例えば、米国特許第7,888,121号、同第7,972,854号、同第7,914,796号、同第7,951,925号、同第8,110,379号、同第8,409,861号、同第8,586,526号、並びに米国特許出願公開第2003/0232410号、同第2005/0208489号、同第2005/0026157号、同第2006/0063231号、同第2008/0159996号、同第2010/00218264号、同第2012/0017290号、同第2011/0265198号、同第2013/0137104号、同第2013/0122591号、同第2013/0177983号、同第2013/0177960号、及び同第2013/0122591号を参照されたく、それらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。Rosa26遺伝子座などのセーフハーバー遺伝子座の二対立遺伝子標的化は、負の結果をもたらさず、したがって、異なる遺伝子又はレポーターを2つのRosa26対立遺伝子に標的化することができる。
【0097】
標的ゲノム遺伝子座に組み込まれた核酸(例えば、発現カセット)は、標的ゲノム遺伝子座で内因性プロモーターに作動可能に連結され得るか、又は標的ゲノム遺伝子座に対して異種である外因性プロモーターに作動可能に連結され得る。
【0098】
本明細書に記載の組成物は、第1の核酸(例えば、発現カセット)及び第2の核酸(例えば、発現カセット)を含むベクター(例えば、ウイルスベクター)、又は第1の核酸(例えば、発現カセット)を含む第1のベクター(例えば、ウイルスベクター)及び第2の核酸(例えば、発現カセット)を含む第2のベクター(例えば、ウイルスベクター)を含み得る。
【0099】
ベクターは、例えば、複製起点、プロモーター、及び抗生物質耐性をコードする遺伝子などの追加の配列を含むことができる。いくつかのベクターは、環状であり得る。代替的に、ベクターは、直線状であり得る。非限定的な例示的なベクターとしては、プラスミド、ファージミド、コスミド、人工染色体、ミニ染色体、トランスポゾン、ウイルスベクター、及び発現ベクターが挙げられる。「ウイルスベクター」という用語は、ウイルス起源の少なくとも1つの要素を含み、かつウイルスベクター粒子へのパッケージングに十分な、又はそれを許容する要素を含む、組換え核酸を指す。ベクター及び/又は粒子は、DNA、RNA、又は他の核酸を、インビトロ、エクスビボ、又はインビボで細胞に移入する目的で利用することができる。ウイルスベクターの多くの形態が知られている。ウイルスベクターは、例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター又はレンチウイルス(lentivirus、LV)ベクター(すなわち、組換えAAVベクター又は組換えLVベクター)であり得る。他の例示的なウイルス/ウイルスベクターには、レトロウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、及び単純ヘルペスウイルスが含まれる。ウイルスは、分裂細胞、非分裂細胞、又は分裂細胞及び非分裂細胞の両方に感染し得る。ウイルスは、宿主ゲノムに組み込むことができるか、又は代替的に宿主ゲノムに組み込まない。このようなウイルスは、免疫力が低減するように操作することもできる。ウイルスは、複製可能であり得、複製欠損性(例えば、ビリオン複製及び/又はパッケージングの追加ラウンドに必要な1つ以上の遺伝子に欠損がある)であり得る。ウイルスは、一過性の発現、長期的な発現(例えば、少なくとも1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、又は3ヶ月)、又は永続的な発現を引き起こし得る。
【0100】
一例では、核酸又は発現コンストラクトは、AAVベクター中に存在する。AAVは任意の好適な血清型であり得、一本鎖AAV(ssAAV)又は自己相補的AAV(scAAV)であり得る。ssDNA AAVゲノムは、2つのオープンリーディングフレーム、Rep及びCapからなり、相補的DNA鎖の合成を可能にする2つの逆位末端リピートが隣接している。AAVトランスファープラスミドを構築する場合、導入遺伝子は、2つのITRの間に配置され、Rep及びCapは、トランスで供給され得る。Rep及びCapに加えて、AAVはアデノウイルスからの遺伝子を含有するヘルパープラスミドを必要とする場合がある。これらの遺伝子(E4、E2a、及びVA)は、AAV複製を媒介する。例えば、トランスファープラスミド、Rep/Cap、及びヘルパープラスミドをアデノウイルス遺伝子E1+を含むHEK293細胞にトランスフェクトして、感染性AAV粒子を生成することができる。代替的に、Rep、Cap、及びアデノウイルスヘルパー遺伝子を組み合わせて単一のプラスミドとすることもできる。同様のパッケージングセル及び方法は、レトロウイルスなどの他のウイルスにも使用できる。
【0101】
AAVの複数の血清型が確認されている。これらの血清型は、感染する細胞の種類(すなわち、それらの指向性)が異なり、特定の細胞型の優先的な形質導入を可能にする。CNS組織に対する血清型には、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV8、及びAAV9が含まれる。神経細胞における遺伝子送達のためのAAV血清型の選択性は、例えば、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Hammond et al.(2017)PLoS One 12(12):e0188830で議論されている。具体的な実施例では、AAV-PHP.eBベクターが、使用される。AAV-PHP.eBベクターは、血液脳関門を通過する高い能力を示し、そのCNS形質導入効率を増加させる。別の具体的な例において、AAV9ベクターが、使用される。
【0102】
指向性は、キャプシド及び異なるウイルス血清型からのゲノムの混合である偽型付けによって更に洗練することができる。例えば、AAV2/5は、血清型5のキャプシドにパッケージされた血清型2のゲノムを含むウイルスを示す。偽型ウイルスの使用は、形質導入効率を改善するだけでなく、指向性を変えることができる。異なる血清型に由来するハイブリッドキャプシドを使用して、ウイルスの指向性を変えることもできる。例えば、AAV-DJは、8つの血清型からのハイブリッドキャプシドを含有しており、インビボで幅広い細胞型にわたって高い感染力を示す。AAV-DJ8は、AAV-DJの特性を示すが、脳への取り込みが増強された別の例である。AAV血清型は、変異によっても修飾することができる。AAV2の変異修飾の例には、Y444F、Y500F、Y730F、及びS662Vが含まれる。AAV3の変異修飾の例には、Y705F、Y731F、及びT492Vが含まれる。AAV6の変異修飾の例には、S663V及びT492Vが含まれる。他の偽型/修飾AAVバリアントには、AAV2/1、AAV2/6、AAV2/7、AAV2/8、AAV2/9、AAV2.5、AAV8.2、及びAAV/SASTGが含まれる。
【0103】
導入遺伝子の発現を加速するために、自己相補的AAV(scAAV)バリアントを使用することができる。AAVは細胞のDNA複製機構に依存して、AAVの一本鎖DNAゲノムの相補的鎖を合成するため、導入遺伝子の発現が遅れる可能性がある。この遅延に対処するために、感染時に自発的にアニーリングすることができる相補的配列を含むscAAVを使用することができ、宿主細胞のDNA合成の必要性を排除する。しかしながら、一本鎖AAV(ssAAV)ベクターも使用できる。
【0104】
組成物中の4R及び3Rタウアイソフォームは、ヒト、マウス、又はラットなどの任意の動物又は哺乳類からのものであり得る。具体的な例において、4R及び3Rタウアイソフォームはヒトである。4R及び3Rタウアイソフォームはまた、それぞれ4R及び3Rタウアイソフォームの任意の組み合わせであり得る。一例において、4Rタウアイソフォームは、2N4Rアイソフォームである。例えば、4Rタウアイソフォームは、配列番号13に記載の配列を含み得、任意選択的に、4Rタウアイソフォームは、配列番号17に記載の配列によってコードされる。例えば、4Rタウアイソフォームが第1のレポータータンパク質に融合している組成物において、融合タンパク質は、配列番号15に記載の配列を含み得、任意選択的に、融合タンパク質は、配列番号19に記載の配列によってコードされる。別の例において、4Rタウアイソフォームは、1N4Rアイソフォームである。例えば、4Rタウアイソフォームは、配列番号23、27、31、又は47に記載の配列を含み得、任意選択的に、4Rタウアイソフォームは、それぞれ、配列番号25、29、33、又は48に記載の配列によってコードされる。例えば、4Rタウアイソフォームが第1のレポータータンパク質に融合している組成物において、融合タンパク質は、配列番号35に記載の配列を含み得、任意選択的に、融合タンパク質は、配列番号36に記載の配列によってコードされる。例えば、4Rタウアイソフォームが第1のレポータータンパク質に融合している組成物において、融合タンパク質は、配列番号37に記載の配列を含み得、任意選択的に、融合タンパク質は、配列番号38に記載の配列によってコードされる。例えば、4Rタウアイソフォームが第1のレポータータンパク質に融合している組成物において、融合タンパク質は、配列番号39に記載の配列を含み得、任意選択的に、融合タンパク質は、配列番号40に記載の配列によってコードされる。
【0105】
一例において、3Rタウアイソフォームは、2N3Rアイソフォームである。例えば、3Rタウアイソフォームは、配列番号14に記載の配列を含み得、任意選択的に、3Rタウアイソフォームは、配列番号18に記載の配列によってコードされる。例えば、3Rタウアイソフォームが第2のレポータータンパク質に融合している組成物において、融合タンパク質は、配列番号16に記載の配列を含み得、任意選択的に、融合タンパク質は、配列番号20に記載の配列によってコードされる。別の例において、4Rタウアイソフォームは、1N3Rアイソフォームである。例えば、3Rタウアイソフォームは、配列番号24、28、32、又は49に記載の配列を含み得、任意選択的に、3Rタウアイソフォームは、それぞれ、配列番号26、30、34、又は50に記載の配列によってコードされる。例えば、3Rタウアイソフォームが第2のレポータータンパク質に融合している組成物において、融合タンパク質は、配列番号41に記載の配列を含み得、任意選択的に、融合タンパク質は、配列番号42に記載の配列によってコードされる。例えば、3Rタウアイソフォームが第2のレポータータンパク質に融合している組成物において、融合タンパク質は、配列番号43に記載の配列を含み得、任意選択的に、融合タンパク質は、配列番号44に記載の配列によってコードされる。例えば、3Rタウアイソフォームが第2のレポータータンパク質に融合している組成物において、融合タンパク質は、配列番号45に記載の配列を含み得、任意選択的に、融合タンパク質は、配列番号46に記載の配列によってコードされる。
【0106】
具体的な一例において、4Rタウアイソフォームは、2N4Rアイソフォームであり、3Rタウアイソフォームは、2N3Rアイソフォームである。例えば、4Rタウアイソフォームは、配列番号13に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、配列番号14に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号17及び18によってコードされる)。例えば、4Rタウアイソフォームは、第1のレポータータンパク質に融合され得、融合タンパク質は、配列番号15に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、第2のレポータータンパク質に融合され得、融合タンパク質は、配列番号16に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号19及び20によってコードされる)。別の具体的な例において、4Rタウアイソフォームは、1N4Rアイソフォームであり、3Rタウアイソフォームは、1N3Rアイソフォームである。例えば、4Rタウアイソフォームは、配列番号23に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、配列番号24に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号25及び26によってコードされる)。例えば、4Rタウアイソフォームは、配列番号27に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、配列番号28に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号29及び30によってコードされる)。例えば、4Rタウアイソフォームは、配列番号31に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、配列番号32に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号33及び34によってコードされる)。例えば、4Rタウアイソフォームは、配列番号47に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、配列番号49に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号48及び50によってコードされる)。例えば、4Rタウアイソフォームは、第1のレポータータンパク質に融合され得、融合タンパク質は、配列番号35に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、第2のレポータータンパク質に融合され得、融合タンパク質は、配列番号41に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号36及び42によってコードされる)。例えば、4Rタウアイソフォームは、第1のレポータータンパク質に融合され得、融合タンパク質は、配列番号37に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、第2のレポータータンパク質に融合され得、融合タンパク質は、配列番号43に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号38及び44によってコードされる)。例えば、4Rタウアイソフォームは、第1のレポータータンパク質に融合され得、融合タンパク質は、配列番号39に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、第2のレポータータンパク質に融合され得、融合タンパク質は、配列番号45に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号40及び46によってコードされる)。上記に開示される2N4R/2N3R及び1N4R/1N3Rの組み合わせに加えて、任意の他の組み合わせが使用され得る(例えば、0N4R/0N3R、0N4R/1N3R、0N4R/2N3R、1N4R/0N3R、1N4R/1N3R、1N4R/2N3R、2N4R/0N3R、2N4R/1N3R、又は2N4R/2N3R)。
【0107】
4R及び/又は3Rタウアイソフォームは、野生型であり得る。代替的に、4R及び/又は3Rタウアイソフォームは、凝集促進変異などのタウ病原性変異を含み得る。そのような変異は、例えば、タウオパチーに関連する(例えば、分離する)か、又はタウオパチーを引き起こす変異であり得る。一例として、変異は、タウを播種に感作するが、タウがそれ自体で容易に凝集することをもたらさない凝集感作変異であり得るか、又は3R及び4Rタウの両方の凝集を引き起こすことが知られている変異であり得る。例えば、タウ変異は、R5L、L237V、又はG243Vであり得る。R5Lは、PSP患者において報告されている変異であり(タウの6つのアイソフォーム全てに存在するが、ヒト担体においては、4Rタウのみの選択的凝集が観察される)、G243V及びL237Vは、4R凝集を選択的に悪化させることが報告されている変異である。R5L変異とは、ヒトタウR5L変異、又はヒトタウタンパク質と最適にアラインされた場合の、別のタウタンパク質の、対応する変異を意味する。L237V変異とは、ヒトタウL237V変異、又はヒトタウタンパク質と最適にアラインされた場合の、別のタウタンパク質の、対応する変異を意味する。G243V変異とは、ヒトタウG243V変異、又はヒトタウタンパク質と最適にアラインされた場合の、別のタウタンパク質の、対応する変異を意味する。一例において、4R及び3Rタウアイソフォームの両方が、R5L変異を含む。一例において、4R及び3Rタウアイソフォームの両方が、L237V変異を含む。一例において、4R及び3Rタウアイソフォームの両方が、G243V変異を含む。別の例において、タウ変異は、N279K、L284R、又はS285Rであり得る。これらは全て、PSP様症状及び病理を有するヒトにおいて報告されているエキソン10変異体である。N279K変異とは、ヒトタウN279K変異、又はヒトタウタンパク質と最適にアラインされた場合の、別のタウタンパク質の、対応する変異を意味する。L284R変異とは、ヒトタウL284R変異、又はヒトタウタンパク質と最適にアラインされた場合の、別のタウタンパク質の、対応する変異を意味する。S285R変異とは、ヒトタウS285R変異、又はヒトタウタンパク質と最適にアラインされた場合の、別のタウタンパク質の、対応する変異を意味する。一例において、4R及び3Rタウアイソフォームの両方が、N279K変異を含む。一例において、4R及び3Rタウアイソフォームの両方が、L284R変異を含む。一例において、4R及び3Rタウアイソフォームの両方が、S285R変異を含む。
【0108】
第1及び第2のレポータータンパク質は、任意の好適なレポーター遺伝子によってコードされる任意の好適なレポータータンパク質であり得る。「レポーター遺伝子」という用語は、異種プロモーター及び/又はエンハンサーエレメントに作動可能に連結されたレポーター遺伝子配列を含むコンストラクトがプロモーター及び/又はエンハンサーエレメントの活性化に必要な因子を含む(又は含むようにすることができる)細胞に導入される場合、容易かつ定量的にアッセイされる遺伝子産物(典型的には酵素)をコードする配列を有する核酸を指す。レポーター遺伝子の例には、これらに限定されないが、ベータガラクトシダーゼ(lacZ)をコードする遺伝子、細菌クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(cat)遺伝子、ホタルルシフェラーゼ遺伝子、ベータグルクロニダーゼ(GUS)をコードする遺伝子、及び蛍光タンパク質をコードする遺伝子が挙げられる。「レポータータンパク質」は、レポーター遺伝子によってコードされるタンパク質を指す。具体的な例において、第1及び第2のレポータータンパク質は、蛍光レポータータンパク質である。
【0109】
本明細書で使用される場合、「蛍光レポータータンパク質」という用語は、蛍光に基づいて検出可能なレポータータンパク質を意味し、ここで、蛍光は、レポータータンパク質から直接、蛍光発生基質に対するレポータータンパク質の活性、又は蛍光タグ付き化合物への結合について親和性を有するタンパク質のいずれかからのものであり得る。蛍光タンパク質の例としては、緑色蛍光タンパク質(例えば、GFP、GFP-2、tagGFP、turboGFP、eGFP、Emerald、Azami Green、単量体Azami Green、CopGFP、AceGFP、及びZsGreenl)、黄色蛍光タンパク質(例えば、YFP、eYFP、Citrine、Venus、YPet、PhiYFP、及びZsYellowl)、青色蛍光タンパク質(例えば、BFP、eBFP、eBFP2、Azurite、mKalamal、GFPuv、Sapphire、及びT-sapphire)、シアン色蛍光タンパク質(例えば、CFP、eCFP、Cerulean、CyPet、AmCyanl、及びMidoriishi-Cyan)、赤色蛍光タンパク質(例えば、RFP、mKate、mKate2、mPlum、DsRedモノマー、mCherry、mRFP1、DsRed-Express、DsRed2、DsRedモノマー、HcRed-Tandem、HcRedl、AsRed2、eqFP611、mRaspberry、mStrawberry、及びJred)、オレンジ色蛍光タンパク質(例えば、mOrange、mKO、Kusabira-Orange、単量体Kusabira-Orange、mTangerine、及びtdTomato)、並びにフローサイトメトリー法で細胞内の存在を検出できるその他の好適な蛍光タンパク質メソッドが挙げられる。具体的な例において、第1及び第2のレポータータンパク質は、それぞれ、黄色蛍光タンパク質(例えば、eYFP)及び赤色蛍光タンパク質(例えば、mCherry)であるか、又はその逆である。
【0110】
本明細書に記載の組成物を含む細胞又は細胞集団も本明細書において提供される。細胞は、任意の細胞型であり得、インビトロ、エクスビボ、又はインビボであり得る。細胞又は細胞集団は、モノクローナル細胞株又は細胞集団であり得る。細胞は、任意の供給源からのものであり得る。例えば、細胞は、真核細胞、動物細胞、植物細胞、又は真菌(例えば、酵母)細胞であり得る。そのような細胞は、魚細胞若しくは鳥細胞であり得るか、又はそのような細胞は、ヒト細胞、非ヒト哺乳類細胞、げっ歯類細胞、マウス細胞、若しくはラット細胞などの哺乳類細胞であり得る。哺乳類には、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、サル、類人猿、ネコ、イヌ、ウマ、雄牛、シカ、バイソン、ヒツジ、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ギニアブタ)、家畜(例えば、雌牛及び去勢雄牛などのウシ種、ヒツジ及びヤギなどのヒツジ種、ブタ及びイノシシなどのブタ種)が含まれる。鳥類には、例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、ダチョウ、ガチョウ、及びアヒルが含まれる。飼育動物及び農業用動物も含まれる。「非ヒト動物」という用語はヒトを除外する。具体的な例において、細胞は、ヒト細胞(例えば、HEK293細胞)である。
【0111】
細胞は、例えば、全能性細胞又は多能性細胞(例えば、げっ歯類ES細胞、マウスES細胞、又はラットES細胞などの胚性幹(ES)細胞)であり得る。全能性細胞には、任意の細胞型を生じさせることができる未分化細胞が含まれ、多能性細胞には、2つ以上の分化細胞型に発達する能力を有する未分化細胞が含まれる。そのような多能性及び/又は全能性細胞は、例えば、誘導多能性幹(induced pluripotent stem、iPS)細胞などのES細胞又はES様細胞であり得る。ES細胞には、胚への導入時に発達中の胚の任意の組織に寄与することができる胚由来の全能性又は多能性細胞が含まれる。ES細胞は、胚盤胞の内部細胞塊に由来し得、3つの脊椎動物胚葉(内胚葉、外胚葉、及び中胚葉)のいずれかの細胞に分化することができる。
【0112】
細胞はまた、一次体細胞、又は一次体細胞ではない細胞であり得る。体細胞には、配偶子、生殖細胞、配偶子細胞、又は未分化幹細胞ではない任意の細胞が含まれ得る。細胞はまた、一次細胞であり得る。初代細胞には、生物、器官、又は組織から直接単離された細胞又は細胞の培養物が含まれる。初代細胞には、形質転換も不死化もされていない細胞が含まれる。それらには、以前に組織培養で継代されなかったか、又は以前に組織培養で継代されたが組織培養で無限に継代することができない、生物、器官、又は組織から得られた任意の細胞が含まれる。そのような細胞は、従来の技術によって単離することができ、例えば、体細胞、造血細胞、内皮細胞、上皮細胞、線維芽細胞、間葉系細胞、ケラチノサイト、メラノサイト、単球、単核細胞、脂肪細胞、脂肪前駆細胞、ニューロン、グリア細胞、肝細胞、骨格筋芽細胞、及び平滑筋細胞が含まれる。例えば、初代細胞は、結合組織、筋肉組織、神経系組織、又は上皮組織に由来し得る。
【0113】
そのような細胞には、通常は無限に増殖することはないが、変異又は改変に起因して、正常な細胞老化を回避し、代わりに分裂を続けることができるものも含まれる。そのような変異又は改変は、自然に発生し得るか、又は意図的に誘導され得る。不死化細胞の例には、チャイニーズハムスター卵巣(Chinese hamster ovary、CHO)細胞、ヒト胎児腎臓細胞(例えば、HEK293細胞)、及びマウス胎児線維芽細胞(例えば、3T3細胞)が挙げられる。多くの種類の不死化細胞が周知である。不死化又は初代細胞には、典型的には、培養又は組換えの遺伝子若しくはタンパク質の発現に使用される細胞が含まれる。
【0114】
細胞はまた、神経細胞(例えば、ヒト神経細胞)などの分化細胞であり得る。細胞は、単離された細胞であり得る。
【0115】
本明細書に記載の組成物を含む非ヒト動物も本明細書において提供される。非ヒト動物は、任意の好適な非ヒト動物であり得る。「動物」という用語は、例えば、哺乳類、魚類、爬虫類、両生類、鳥類、及び虫類を含む、動物界の任意のメンバーを含む。具体的な例において、非ヒト動物は、非ヒト哺乳類である。非ヒト哺乳類には、例えば、非ヒト霊長類及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれる。「非ヒト動物」という用語はヒトを除外する。好ましい非ヒト動物には、例えば、マウス及びラットなどのげっ歯類が含まれる。
【0116】
非ヒト動物は、任意の遺伝的背景からのものであり得る。例えば、好適なマウスは、129系統、C57BL/6系統、129及びC57BL/6の雑種、BALB/c系統、又はスイスウェブスター系統からのものであり得る。129系統の例には、129P1、129P2、129P3、129X1、129S1(例えば、129S1/SV、129S1/Svlm)、129S2、129S4、129S5、129S9/SvEvH、129S6(129/SvEvTac)、129S7、129S8、129T1、及び129T2が含まれる。例えば、Festing et al.(1999)Mamm.Genome 10(8):836を参照されたく、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。C57BL系統の例には、C57BL/A、C57BL/An、C57BL/GrFa、C57BL/Kal_wN、C57BL/6、C57BL/6J、C57BL/6ByJ、C57BL/6NJ、C57BL/10、C57BL/10ScSn、C57BL/10Cr、及びC57BL/Olaが含まれる。好適なマウスはまた、前述の129系統及び前述のC57BL/6系統の雑種(例えば、50%129及び50%C57BL/6)からのものであり得る。同様に、好適なマウスは、前述の129系統の雑種又は前述のBL/6系統の雑種(例えば、129S6(129/SvEvTac)系統)からのものであり得る。
【0117】
同様に、ラットは、例えば、ACIラット系統、Dark Agouti(DA)ラット系統、Wistarラット系統、LEAラット系統、Sprague Dawley(SD)ラット系統、又はフィッシャーF344若しくはフィッシャーF6などのフィッシャーラット系統からのものであり得る。ラットはまた、上述の2つ以上の系統の雑種に由来する系統から得ることができる。例えば、好適なラットは、DA系統又はACI系統からのものであり得る。ACIラット系統は、白い腹及び足、並びにRT1av1ハプロタイプを有する黒いアグーチを持っていることを特徴としている。このような系統は、Harlan Laboratoriesを含む様々な供給源から入手できる。Dark Agouti(DA)ラット系統は、アグーチコートとRT1av1ハプロタイプを有することを特徴としている。このようなラットは、Charles River及びHarlan Laboratoriesを含む様々な供給源から入手できる。いくつかの好適なラットは近交系ラット系統に由来する可能性がある。例えば、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0235933号を参照されたい。
【0118】
III.タウレポーター細胞及びタウレポーター非ヒト動物
4Rタウを特異的又は選択的に標的化するタウ標的化試薬と、4Rタウ及び3Rタウの両方を標的化する試薬とを区別するための細胞スクリーニングアッセイにおいて使用することができるタウレポーター細胞又はタウレポーター細胞集団が本明細書において提供される。同様に、4Rタウを特異的又は選択的に標的化するタウ標的化試薬と、4Rタウ及び3Rタウの両方を標的化する試薬とを区別するためのインビボスクリーニングアッセイにおいて使用することができるタウレポーター非ヒト動物が本明細書において提供される。
【0119】
タウレポーター細胞又はタウレポーター非ヒト動物は、第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームと、第1のレポータータンパク質とは異なる第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームとを含み得る。代替的に、タウレポーター細胞又はタウレポーター非ヒト動物は、第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸と、第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸とを含み得る。「連結された」とは、タウアイソフォーム及び連結されたレポータータンパク質が同じタンパク質(すなわち、融合タンパク質)の一部であるか、又は同じメッセンジャーRNAから発現されることを意味する。融合タンパク質において、タウアイソフォーム及びレポータータンパク質は、互いに直接融合され得るか、又はリンカーを介して互いに融合され得る。具体的な例において、タウアイソフォーム及び連結されたレポータータンパク質は、リンカーを介して互いに融合される。第1の例において、タウレポーター細胞又はタウレポーター非ヒト動物は、第1のレポータータンパク質に融合した4Rタウアイソフォームを含む第1の融合タンパク質と、第1のレポータータンパク質とは異なる第2のレポータータンパク質に融合した3Rタウアイソフォームを含む第2の融合タンパク質とを含み得る。例えば、細胞又は非ヒト動物は、第1の融合タンパク質をコードする第1の核酸(例えば、発現カセット)と、第2の融合タンパク質をコードする第2の核酸(例えば、発現カセット)とを含み得、細胞又は非ヒト動物は、第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質を発現する。第2の例において、タウレポーター細胞又はタウレポーター非ヒト動物は、4Rタウアイソフォームのコード配列及び第1のレポータータンパク質のコード配列を含む第1の核酸(例えば、発現カセット)と、3Rタウアイソフォームのコード配列及び第1のレポータータンパク質とは異なる第2のレポータータンパク質のコード配列を含む第2の核酸(例えば、発現カセット)とを含み得、4Rタウアイソフォームのコード配列及び第1のレポータータンパク質のコード配列は、第1の2Aペプチドのコード配列によって分離されており、3Rタウアイソフォームのコード配列及び第2のレポータータンパク質のコード配列は、第2の2Aペプチドのコード配列によって分離されており、細胞又は非ヒト動物は、4Rタウアイソフォーム、3Rタウアイソフォーム、第1のレポータータンパク質、及び第2のレポータータンパク質を発現する。
【0120】
上述されるように、使用できる2Aペプチドの例には、Thoseaasignaウイルス2A(T2A)、ブタテッショウウイルス-1 2A(P2A)、ウマ鼻炎Aウイルス(ERAV)2A(E2A)、及びFMDV 2A(F2A)が含まれる。例示的なT2A、P2A、E2A、及びF2A配列には、以下が含まれる:T2A(EGRGSLLTCGDVEENPGP、配列番号9)、P2A(ATNFSLLKQAGDVEENPGP、配列番号10)、E2A(QCTNYALLKLAGDVESNPGP、配列番号11)、及びF2A(VKQTLNFDLLKLAGDVESNPGP、配列番号12)。GSG残基は、これらのペプチドのいずれかの5’末端に付加することができる。具体的な例において、P2Aが使用される。
【0121】
第1の核酸及び第2の核酸を含むタウレポーター細胞又はタウレポーター非ヒト動物において、そのような核酸は、RNA(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA))又はDNAであり得、一本鎖又は二本鎖であり得、直線状又は環状であり得る。DNAは、発現ベクター又は標的化ベクターなどのベクターの一部であり得る。ベクターはまた、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、及びレトロウイルスベクターなどのウイルスベクターであり得る。
【0122】
任意に、特定の細胞又は生物におけるタンパク質への効率的な翻訳のために、核酸がコドン最適化され得る。例えば、核酸は、天然に存在するポリヌクレオチド配列と比較すると、ヒト細胞、非ヒト細胞、哺乳類細胞、げっ歯類細胞、マウス細胞、ラット細胞、細菌細胞、酵母細胞、又は目的の任意の他の宿主細胞においてより高い使用頻度を有するコドンを置き換えるように修飾され得る。
【0123】
核酸又は発現カセットは、細胞又は非ヒト動物のゲノムに(すなわち、染色体内に)安定に組み込まれ得るか、又はそれらは染色体の外側に位置し得る(例えば、染色体外複製DNA)。安定に組み込まれた発現カセット又は核酸は、細胞若しくは非ヒト動物のゲノムにランダムに組み込まれ得る(すなわち、トランスジェニック)か、又はそれらは、細胞若しくは非ヒト動物のゲノムの所定の領域に組み込まれ得る(すなわち、ノックイン)。一例において、核酸又は発現カセットは、本明細書の他の場所に記載されるセーフハーバー遺伝子座に安定に組み込まれる。核酸又は発現カセットが安定に組み込まれる標的ゲノム遺伝子座は、核酸若しくは発現カセットについてヘテロ接合性であり得るか、又は核酸若しくは発現カセットについてホモ接合性であり得る。
【0124】
本明細書に記載の核酸又は発現カセットは、非ヒト動物内でのインビボでの発現、又は細胞内でのインビトロ若しくはエクスビボでの発現に好適な任意のプロモーターに作動可能に連結され得る。非ヒト動物は、本明細書の他の場所に記載される任意の好適な非ヒト動物であり得る。一例として、核酸又は発現カセットは、標的ゲノム遺伝子座における内在性プロモーター、例えば、Rosa26プロモーターに作動可能に連結され得る。代替的に、核酸又は発現カセットは、外因性プロモーター、例えば、構成的に活性なプロモーター(例えば、CAGプロモーター)、条件付きプロモーター、誘導性プロモーター、時間的に制限されたプロモーター(例えば、発生的に調節されたプロモーター)、又は空間的に制限されたプロモーター(例えば、細胞特異的又は組織特異的プロモーター)に作動可能に連結され得る。このようなプロモーターはよく知られており、本明細書の他の場所で議論されている。発現コンストラクトにおいて使用することができるプロモーターには、例えば、真核細胞、ヒト細胞、非ヒト細胞、哺乳類細胞、非ヒト哺乳類細胞、げっ歯類細胞、マウス細胞、ラット細胞、ハムスター細胞、ウサギ細胞、多能性細胞、胚性幹(ES)細胞、又は接合体のうちの1つ以上において活性なプロモーターが含まれる。そのようなプロモーターは、例えば、条件付きプロモーター、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、又は組織特異的プロモーターであり得る。
【0125】
本明細書に記載の発現カセットは、任意の形態であり得る。例えば、発現カセットは、ウイルスベクターなどのベクター又はプラスミド内にあり得る。発現カセットは、タンパク質又はRNAの発現を指示することができる発現コンストラクト内のプロモーターに作動可能に連結され得る。代替的に、発現カセットは、標的化ベクター内にあり得る。例えば、標的化ベクターは、発現カセットに隣接する相同性アームを含むことができ、相同性アームは、ゲノム組み込み及び/又は内因性配列の置換を容易にするために、所望の標的ゲノム遺伝子座との組換えを指示するのに好適である。
【0126】
本明細書に記載の発現カセットは、インビトロであってもよく、それらは細胞(例えば、胚性幹細胞)内のエクスビボ(例えば、ゲノムに組み込まれているか、又は染色体外)であってもよく、あるいは、それらは生物(例えば、非ヒト動物)内のインビボ(例えば、ゲノムに組み込まれているか、又は染色体外)であってもよい。エクスビボである場合、発現カセットは、胚性幹細胞(例えば、マウス又はラット胚性幹細胞)又は人工多能性幹細胞(例えば、ヒト人工多能性幹細胞)などの全能性細胞などの任意の生物からの任意の細胞型であり得る。インビボである場合、発現カセットは、任意の種類の生物(例えば、本明細書の他の場所に更に記載される非ヒト動物)内にあり得る。
【0127】
第1の融合タンパク質をコードする第1の核酸(例えば、発現カセット)及び第2の融合タンパク質をコードする第2の核酸(例えば、発現カセット)を含むタウレポーター細胞又はタウレポーター非ヒト動物において、第1の融合タンパク質及び第2の融合タンパク質は、細胞又は非ヒト動物内で安定に発現され得る。例えば、第1の核酸(例えば、発現カセット)及び第2の核酸(例えば、発現カセット)は、細胞又は非ヒト動物のゲノムに組み込まれ、細胞又は非ヒト動物において活性なプロモーターに作動可能に連結され得る。例えば、第1の核酸及び第2の核酸は、非ヒト動物の生殖系列のゲノムに組み込まれ得る。同様に、4Rタウアイソフォームのコード配列及び第1のレポータータンパク質のコード配列(例えば、第1の2Aコード配列によって分離されている)を含む第1の核酸(例えば、発現カセット)と、3Rタウアイソフォームのコード配列及び第2のレポータータンパク質のコード配列(例えば、第2の2Aコード配列によって分離されている)を含む第2の核酸(例えば、発現カセット)とを含むタウレポーター細胞又は非ヒト動物において、4Rタウアイソフォーム、第1のレポータータンパク質、3Rタウアイソフォーム、及び第2のレポータータンパク質は、細胞又は非ヒト動物内で安定に発現され得る。例えば、第1の核酸(例えば、発現カセット)及び第2の核酸(例えば、発現カセット)は、細胞又は非ヒト動物のゲノムに組み込まれ、細胞又は非ヒト動物において活性なプロモーターに作動可能に連結され得る。例えば、第1の核酸及び第2の核酸は、非ヒト動物の生殖系列のゲノムに組み込まれ得る。核酸(例えば、発現カセット)は、細胞若しくは非ヒト動物のゲノムにランダムに組み込まれ得るか、又はそれらはセーフハーバー遺伝子座などの標的ゲノム遺伝子座に組み込まれ得る。遺伝子を発現することができる任意の標的ゲノム遺伝子座を使用することができる。プロモーターは、任意の好適なプロモーターであり得る。例えば、プロモーターは、EF1αプロモーターなどの、構成的プロモーターであり得る。代替的に、プロモーターは、組織特異的プロモーター又は誘導性プロモーターであり得る。例えば、別の例として、プロモーターは、神経細胞特異的プロモーターであり得る。好適なニューロン特異的プロモーターの一例は、シナプシン-1プロモーター(例えば、ヒトシナプシン-1プロモーター)である。
【0128】
本明細書に記載の核酸又は発現カセットが安定に組み込まれ得る標的ゲノム遺伝子座の例は、細胞又は非ヒト動物のゲノム内のセーフハーバー遺伝子座である。セーフハーバー遺伝子座は上述されている。例えば、ヒトにおけるRosa26遺伝子座及びその等価物は、全ての組織においてオープンクロマチン構成を提供し、胚発生中及び成体において遍在的に発現される。加えて、Rosa26遺伝子座を高効率で標的化することができ、Rosa26遺伝子の破壊は明白な表現型を生じない。セーフハーバー遺伝子座の他の例には、CCR5、HPRT、AAVS1、及びアルブミンが含まれる。Rosa26遺伝子座などのセーフハーバー遺伝子座の二対立遺伝子標的化は、負の結果をもたらさず、したがって、異なる遺伝子又はレポーターを2つのRosa26対立遺伝子に標的化することができる。
【0129】
標的ゲノム遺伝子座に組み込まれた核酸(例えば、発現カセット)は、標的ゲノム遺伝子座で内因性プロモーターに作動可能に連結され得るか、又は標的ゲノム遺伝子座に対して異種である外因性プロモーターに作動可能に連結され得る。
【0130】
代替的に、タウレポーター細胞又は非ヒト動物は、第1の核酸(例えば、発現カセット)及び第2の核酸(例えば、発現カセット)を含むベクター(例えば、ウイルスベクター)、又は第1の核酸(例えば、発現カセット)を含む第1のベクター(例えば、ウイルスベクター)及び第2の核酸(例えば、発現カセット)を含む第2のベクター(例えば、ウイルスベクター)を含み得る。
【0131】
ベクターは、上記により詳細に記載されている。いくつかのベクターは、環状であり得る。代替的に、ベクターは、直線状であり得る。非限定的な例示的なベクターとしては、プラスミド、ファージミド、コスミド、人工染色体、ミニ染色体、トランスポゾン、ウイルスベクター、及び発現ベクターが挙げられる。ウイルスベクターは、上記により詳細に記載されている。ウイルスベクターの多くの形態が知られている。ウイルスベクターは、例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター又はレンチウイルス(LV)ベクター(すなわち、組換えAAVベクター又は組換えLVベクター)であり得る。他の例示的なウイルス/ウイルスベクターには、レトロウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、及び単純ヘルペスウイルスが含まれる。ウイルスは、分裂細胞、非分裂細胞、又は分裂細胞及び非分裂細胞の両方に感染し得る。ウイルスは、宿主ゲノムに組み込むことができるか、又は代替的に宿主ゲノムに組み込まない。このようなウイルスは、免疫力が低減するように操作することもできる。ウイルスは、複製可能であり得、複製欠損性(例えば、ビリオン複製及び/又はパッケージングの追加ラウンドに必要な1つ以上の遺伝子に欠損がある)であり得る。ウイルスは、一過性の発現、長期的な発現(例えば、少なくとも1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、又は3ヶ月)、又は永続的な発現を引き起こし得る。
【0132】
一例では、核酸又は発現コンストラクトは、AAVベクター中に存在する。AAVは任意の好適な血清型であり得、一本鎖AAV(ssAAV)又は自己相補的AAV(scAAV)であり得る。そのようなAAVベクターは、上記により詳細に記載されている。
【0133】
タウレポーター細胞又は非ヒト動物における4R及び3Rタウアイソフォームは、同様のレベルで発現され得る。例えば、4R及び3RタウアイソフォームmRNAは、類似の相対発現を有することができ、かつ/又は4R及び3Rタウアイソフォームタンパク質は、類似の相対発現を有することができる。一例において、4R及び3RタウアイソフォームのmRNAレベルは、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(quantitative polymerase chain reaction、qPCR)によって測定される場合、互いの1サイクル閾値(cycle threshold、Ct)の値内である。
【0134】
タウレポーター細胞又は非ヒト動物における4R及び3Rタウアイソフォームは、ヒト、マウス、又はラットなどの任意の動物又は哺乳類からのものであり得る。具体的な例において、4R及び3Rタウアイソフォームはヒトである。4R及び3Rタウアイソフォームはまた、それぞれ4R及び3Rタウアイソフォームの任意の組み合わせであり得る。一例において、4Rタウアイソフォームは、2N4Rアイソフォームである。例えば、4Rタウアイソフォームは、配列番号13に記載の配列を含み得、任意選択的に、4Rタウアイソフォームは、配列番号17に記載の配列によってコードされる。例えば、4Rタウアイソフォームが第1のレポータータンパク質に融合している組成物において、融合タンパク質は、配列番号15に記載の配列を含み得、任意選択的に、融合タンパク質は、配列番号19に記載の配列によってコードされる。別の例において、4Rタウアイソフォームは、1N4Rアイソフォームである。例えば、4Rタウアイソフォームは、配列番号23、27、31、又は47に記載の配列を含み得、任意選択的に、4Rタウアイソフォームは、それぞれ、配列番号25、29、33、又は48に記載の配列によってコードされる。例えば、4Rタウアイソフォームが第1のレポータータンパク質に融合している組成物において、融合タンパク質は、配列番号35に記載の配列を含み得、任意選択的に、融合タンパク質は、配列番号36に記載の配列によってコードされる。例えば、4Rタウアイソフォームが第1のレポータータンパク質に融合している組成物において、融合タンパク質は、配列番号37に記載の配列を含み得、任意選択的に、融合タンパク質は、配列番号38に記載の配列によってコードされる。例えば、4Rタウアイソフォームが第1のレポータータンパク質に融合している組成物において、融合タンパク質は、配列番号39に記載の配列を含み得、任意選択的に、融合タンパク質は、配列番号40に記載の配列によってコードされる。
【0135】
一例において、3Rタウアイソフォームは、2N3Rアイソフォームである。例えば、3Rタウアイソフォームは、配列番号14に記載の配列を含み得、任意選択的に、3Rタウアイソフォームは、配列番号18に記載の配列によってコードされる。例えば、3Rタウアイソフォームが第2のレポータータンパク質に融合している組成物において、融合タンパク質は、配列番号16に記載の配列を含み得、任意選択的に、融合タンパク質は、配列番号20に記載の配列によってコードされる。別の例において、4Rタウアイソフォームは、1N3Rアイソフォームである。例えば、3Rタウアイソフォームは、配列番号24、28、32、又は49に記載の配列を含み得、任意選択的に、3Rタウアイソフォームは、それぞれ、配列番号26、30、34、又は50に記載の配列によってコードされる。例えば、3Rタウアイソフォームが第2のレポータータンパク質に融合している組成物において、融合タンパク質は、配列番号41に記載の配列を含み得、任意選択的に、融合タンパク質は、配列番号42に記載の配列によってコードされる。例えば、3Rタウアイソフォームが第2のレポータータンパク質に融合している組成物において、融合タンパク質は、配列番号43に記載の配列を含み得、任意選択的に、融合タンパク質は、配列番号44に記載の配列によってコードされる。例えば、3Rタウアイソフォームが第2のレポータータンパク質に融合している組成物において、融合タンパク質は、配列番号45に記載の配列を含み得、任意選択的に、融合タンパク質は、配列番号46に記載の配列によってコードされる。
【0136】
具体的な一例において、4Rタウアイソフォームは、2N4Rアイソフォームであり、3Rタウアイソフォームは、2N3Rアイソフォームである。例えば、4Rタウアイソフォームは、配列番号13に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、配列番号14に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号17及び18によってコードされる)。例えば、4Rタウアイソフォームは、第1のレポータータンパク質に融合され得、融合タンパク質は、配列番号15に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、第2のレポータータンパク質に融合され得、融合タンパク質は、配列番号16に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号19及び20によってコードされる)。別の具体的な例において、4Rタウアイソフォームは、1N4Rアイソフォームであり、3Rタウアイソフォームは、1N3Rアイソフォームである。例えば、4Rタウアイソフォームは、配列番号23に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、配列番号24に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号25及び26によってコードされる)。例えば、4Rタウアイソフォームは、配列番号27に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、配列番号28に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号29及び30によってコードされる)。例えば、4Rタウアイソフォームは、配列番号31に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、配列番号32に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号33及び34によってコードされる)。例えば、4Rタウアイソフォームは、配列番号47に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、配列番号49に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号48及び50によってコードされる)。例えば、4Rタウアイソフォームは、第1のレポータータンパク質に融合され得、融合タンパク質は、配列番号35に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、第2のレポータータンパク質に融合され得、融合タンパク質は、配列番号41に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号36及び42によってコードされる)。例えば、4Rタウアイソフォームは、第1のレポータータンパク質に融合され得、融合タンパク質は、配列番号37に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、第2のレポータータンパク質に融合され得、融合タンパク質は、配列番号43に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号38及び44によってコードされる)。例えば、4Rタウアイソフォームは、第1のレポータータンパク質に融合され得、融合タンパク質は、配列番号39に記載の配列を含み得、3Rタウアイソフォームは、第2のレポータータンパク質に融合され得、融合タンパク質は、配列番号45に記載の配列を含み得る(任意選択的に、それぞれ、配列番号40及び46によってコードされる)。上記に開示される2N4R/2N3R及び1N4R/1N3Rの組み合わせに加えて、任意の他の組み合わせが使用され得る(例えば、0N4R/0N3R、0N4R/1N3R、0N4R/2N3R、1N4R/0N3R、1N4R/1N3R、1N4R/2N3R、2N4R/0N3R、2N4R/1N3R、又は2N4R/2N3R)。
【0137】
4R及び/又は3Rタウアイソフォームは、野生型であり得る。代替的に、4R及び/又は3Rタウアイソフォームは、凝集促進変異などのタウ病原性変異を含み得る。そのような変異は、例えば、タウオパチーに関連する(例えば、分離する)か、又はタウオパチーを引き起こす変異であり得る。一例として、変異は、タウを播種に感作するが、タウがそれ自体で容易に凝集することをもたらさない凝集感作変異であり得るか、又は3R及び4Rタウの両方の凝集を引き起こすことが知られている変異であり得る。例えば、タウ変異は、R5L、L237V、又はG243Vであり得る。R5L変異とは、ヒトタウR5L変異、又はヒトタウタンパク質と最適にアラインされた場合の、別のタウタンパク質の、対応する変異を意味する。L237V変異とは、ヒトタウL237V変異、又はヒトタウタンパク質と最適にアラインされた場合の、別のタウタンパク質の、対応する変異を意味する。G243V変異とは、ヒトタウG243V変異、又はヒトタウタンパク質と最適にアラインされた場合の、別のタウタンパク質の、対応する変異を意味する。一例において、4R及び3Rタウアイソフォームの両方が、R5L変異を含む。一例において、4R及び3Rタウアイソフォームの両方が、L237V変異を含む。一例において、4R及び3Rタウアイソフォームの両方が、G243V変異を含む。
【0138】
第1及び第2のレポータータンパク質は、任意の好適なレポーター遺伝子によってコードされる任意の好適なレポータータンパク質であり得る。レポーター遺伝子及びレポータータンパク質は、上記により詳細に記載されている。レポーター遺伝子の例には、これらに限定されないが、ベータガラクトシダーゼ(lacZ)をコードする遺伝子、細菌クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(cat)遺伝子、ホタルルシフェラーゼ遺伝子、ベータグルクロニダーゼ(GUS)をコードする遺伝子、及び蛍光タンパク質をコードする遺伝子が挙げられる。具体的な例において、第1及び第2のレポータータンパク質は、蛍光レポータータンパク質である。蛍光タンパク質の例としては、緑色蛍光タンパク質(例えば、GFP、GFP-2、tagGFP、turboGFP、eGFP、Emerald、Azami Green、単量体Azami Green、CopGFP、AceGFP、及びZsGreenl)、黄色蛍光タンパク質(例えば、YFP、eYFP、Citrine、Venus、YPet、PhiYFP、及びZsYellowl)、青色蛍光タンパク質(例えば、BFP、eBFP、eBFP2、Azurite、mKalamal、GFPuv、Sapphire、及びT-sapphire)、シアン色蛍光タンパク質(例えば、CFP、eCFP、Cerulean、CyPet、AmCyanl、及びMidoriishi-Cyan)、赤色蛍光タンパク質(例えば、RFP、mKate、mKate2、mPlum、DsRedモノマー、mCherry、mRFP1、DsRed-Express、DsRed2、DsRedモノマー、HcRed-Tandem、HcRedl、AsRed2、eqFP611、mRaspberry、mStrawberry、及びJred)、オレンジ色蛍光タンパク質(例えば、mOrange、mKO、Kusabira-Orange、単量体Kusabira-Orange、mTangerine、及びtdTomato)、並びにフローサイトメトリー法で細胞内の存在を検出できるその他の好適な蛍光タンパク質メソッドが挙げられる。具体的な例において、第1及び第2のレポータータンパク質は、それぞれ、黄色蛍光タンパク質(例えば、eYFP)及び赤色蛍光タンパク質(例えば、mCherry)であるか、又はその逆である。
【0139】
本明細書に開示されるタウレポーター細胞は、任意の細胞型であり得、インビトロ、エクスビボ、又はインビボであり得る。タウレポーター細胞株又は細胞集団は、モノクローナル細胞株又は細胞集団であり得る。細胞は、任意の供給源からのものであり得る。例えば、細胞は、真核細胞、動物細胞、植物細胞、又は真菌(例えば、酵母)細胞であり得る。そのような細胞は、魚細胞若しくは鳥細胞であり得るか、又はそのような細胞は、ヒト細胞、非ヒト哺乳類細胞、げっ歯類細胞、マウス細胞、若しくはラット細胞などの哺乳類細胞であり得る。哺乳類には、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、サル、類人猿、ネコ、イヌ、ウマ、雄牛、シカ、バイソン、ヒツジ、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ギニアブタ)、家畜(例えば、雌牛及び去勢雄牛などのウシ種、ヒツジ及びヤギなどのヒツジ種、ブタ及びイノシシなどのブタ種)が含まれる。鳥類には、例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、ダチョウ、ガチョウ、及びアヒルが含まれる。飼育動物及び農業用動物も含まれる。「非ヒト動物」という用語はヒトを除外する。具体的な例において、タウレポーター細胞は、ヒト細胞(例えば、HEK293細胞)である。
【0140】
細胞は、例えば、全能性細胞又は多能性細胞(例えば、げっ歯類ES細胞、マウスES細胞、又はラットES細胞などの胚性幹(ES)細胞)であり得る。全能性細胞には、任意の細胞型を生じさせることができる未分化細胞が含まれ、多能性細胞には、2つ以上の分化細胞型に発達する能力を有する未分化細胞が含まれる。そのような多能性及び/又は全能性細胞は、例えば、誘導多能性幹(iPS)細胞などのES細胞又はES様細胞であり得る。ES細胞には、胚への導入時に発達中の胚の任意の組織に寄与することができる胚由来の全能性又は多能性細胞が含まれる。ES細胞は、胚盤胞の内部細胞塊に由来し得、3つの脊椎動物胚葉(内胚葉、外胚葉、及び中胚葉)のいずれかの細胞に分化することができる。
【0141】
細胞はまた、一次体細胞、又は一次体細胞ではない細胞であり得る。体細胞には、配偶子、生殖細胞、配偶子細胞、又は未分化幹細胞ではない任意の細胞が含まれ得る。細胞はまた、一次細胞であり得る。初代細胞には、生物、器官、又は組織から直接単離された細胞又は細胞の培養物が含まれる。初代細胞には、形質転換も不死化もされていない細胞が含まれる。それらには、以前に組織培養で継代されなかったか、又は以前に組織培養で継代されたが組織培養で無限に継代することができない、生物、器官、又は組織から得られた任意の細胞が含まれる。そのような細胞は、従来の技術によって単離することができ、例えば、体細胞、造血細胞、内皮細胞、上皮細胞、線維芽細胞、間葉系細胞、ケラチノサイト、メラノサイト、単球、単核細胞、脂肪細胞、脂肪前駆細胞、ニューロン、グリア細胞、肝細胞、骨格筋芽細胞、及び平滑筋細胞が含まれる。例えば、初代細胞は、結合組織、筋肉組織、神経系組織、又は上皮組織に由来し得る。
【0142】
そのような細胞には、通常は無限に増殖することはないが、変異又は改変に起因して、正常な細胞老化を回避し、代わりに分裂を続けることができるものも含まれる。そのような変異又は改変は、自然に発生し得るか、又は意図的に誘導され得る。不死化細胞の例には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児腎臓細胞(例えば、HEK293細胞)、及びマウス胎児線維芽細胞(例えば、3T3細胞)が挙げられる。多くの種類の不死化細胞が周知である。不死化又は初代細胞には、典型的には、培養又は組換えの遺伝子若しくはタンパク質の発現に使用される細胞が含まれる。
【0143】
細胞はまた、神経細胞(例えば、ヒト神経細胞)などの分化細胞であり得る。細胞は、単離された細胞であり得る。
【0144】
本明細書に記載の非ヒト動物は、任意の好適な非ヒト動物であり得る。「動物」という用語は、例えば、哺乳類、魚類、爬虫類、両生類、鳥類、及び虫類を含む、動物界の任意のメンバーを含む。具体的な例において、非ヒト動物は、非ヒト哺乳類である。非ヒト哺乳類には、例えば、非ヒト霊長類及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれる。「非ヒト動物」という用語はヒトを除外する。好ましい非ヒト動物には、例えば、マウス及びラットなどのげっ歯類が含まれる。
【0145】
非ヒト動物は、任意の遺伝的背景からのものであり得る。例えば、好適なマウスは、129系統、C57BL/6系統、129及びC57BL/6の雑種、BALB/c系統、又はスイスウェブスター系統からのものであり得る。129系統の例には、129P1、129P2、129P3、129X1、129S1(例えば、129S1/SV、129S1/Svlm)、129S2、129S4、129S5、129S9/SvEvH、129S6(129/SvEvTac)、129S7、129S8、129T1、及び129T2が含まれる。例えば、Festing et al.(1999)Mamm.Genome 10(8):836を参照されたく、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。C57BL系統の例には、C57BL/A、C57BL/An、C57BL/GrFa、C57BL/Kal_wN、C57BL/6、C57BL/6J、C57BL/6ByJ、C57BL/6NJ、C57BL/10、C57BL/10ScSn、C57BL/10Cr、及びC57BL/Olaが含まれる。好適なマウスはまた、前述の129系統及び前述のC57BL/6系統の雑種(例えば、50%129及び50%C57BL/6)からのものであり得る。同様に、好適なマウスは、前述の129系統の雑種又は前述のBL/6系統の雑種(例えば、129S6(129/SvEvTac)系統)からのものであり得る。
【0146】
同様に、ラットは、例えば、ACIラット系統、Dark Agouti(DA)ラット系統、Wistarラット系統、LEAラット系統、Sprague Dawley(SD)ラット系統、又はフィッシャーF344若しくはフィッシャーF6などのフィッシャーラット系統からのものであり得る。ラットはまた、上述の2つ以上の系統の雑種に由来する系統から得ることができる。例えば、好適なラットは、DA系統又はACI系統からのものであり得る。ACIラット系統は、白い腹及び足、並びにRT1av1ハプロタイプを有する黒いアグーチを持っていることを特徴としている。このような系統は、Harlan Laboratoriesを含む様々な供給源から入手できる。Dark Agouti(DA)ラット系統は、アグーチコートとRT1av1ハプロタイプを有することを特徴としている。このようなラットは、Charles River及びHarlan Laboratoriesを含む様々な供給源から入手できる。いくつかの好適なラットは近交系ラット系統に由来する可能性がある。例えば、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0235933号を参照されたい。
【0147】
IV.タウレポーター細胞及びタウレポーター非ヒト動物を使用する方法
本明細書の他の場所に記載されるタウレポーター細胞及びタウレポーター非ヒト動物を使用するための様々な方法が提供される。そのような方法は、例えば、タウ標的化試薬(例えば、4Rタウ標的化試薬)の活性を評価するためのものであり得る。そのようなタウレポーター細胞及びタウレポーター非ヒト動物は、4Rタウを特異的又は選択的に標的化するタウ標的化試薬と、4Rタウ及び3Rタウの両方を標的化する試薬とを区別するために特に有用である。
【0148】
A.タウレポーター細胞におけるタウ標的化試薬の活性を評価する方法
本明細書に記載のタウレポーター細胞におけるタウ標的化試薬の活性を評価するための様々な方法が提供される。そのような方法は、(a)細胞にタウ標的化試薬を投与することと、(b)細胞におけるタウ標的化試薬の活性を評価することとを含み得る。評価することは、例えば、タウ標的化試薬を投与されなかった対照タウレポーター細胞と比較され得るか、又はタウ標的化試薬の投与前のタウレポーター細胞と比較され得る。
【0149】
タウ標的化試薬の活性を評価するための方法は周知であり、本明細書の他の場所で提供されている。いくつかの方法において、評価することは、4RタウメッセンジャーRNA発現、第1のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現、及び第3のレポータータンパク質メッセンジャーRNA発現のうちの1つ以上を測定することを含み得る。メッセンジャーRNA(mRNA)発現を評価するための方法は、本明細書の他の場所に提供され、周知である。
【0150】
一例において、評価することは、4RタウアイソフォームmRNA発現及び第2のレポータータンパク質mRNA発現を測定することを含み、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現と比較した4RタウアイソフォームmRNA発現のより大幅な相対的減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す。例えば、タウ標的化試薬の投与後の4RタウアイソフォームmRNA発現の減少は、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、又は少なくとも75%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、又は5%以下であり得る。一例において、タウ標的化試薬の投与後の4RタウアイソフォームmRNA発現の減少は、少なくとも60%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、30%以下であり得る。別の例において、タウ標的化試薬の投与後の4RタウアイソフォームmRNA発現の減少は、少なくとも70%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、30%以下であり得る。一例において、タウ標的化試薬の投与後の4RタウアイソフォームmRNA発現の減少は、少なくとも75%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、10%以下であり得る。
【0151】
別の例において、評価することは、第1のレポータータンパク質mRNA発現及び第2のレポータータンパク質mRNA発現を測定することを含み、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現と比較した第1のレポータータンパク質mRNA発現のより大幅な相対的減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す。例えば、タウ標的化試薬の投与後の第1のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、又は少なくとも75%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、又は5%以下であり得る。一例において、タウ標的化試薬の投与後の第1のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、少なくとも60%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、30%以下であり得る。別の例において、タウ標的化試薬の投与後の第1のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、少なくとも70%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、30%以下であり得る。一例において、タウ標的化試薬の投与後の第1のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、少なくとも75%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、10%以下であり得る。
【0152】
いくつかの方法において、評価することは、第1のレポータータンパク質発現及び第2のレポータータンパク質発現のうちの1つ以上を測定することを含む。タンパク質発現を評価するための方法は、本明細書の他の場所に提供され、周知である。例えば、評価することは、第1のレポータータンパク質発現及び第2のレポータータンパク質発現を測定することを含み得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質発現と比較した第1のレポータータンパク質発現のより大幅な相対的減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す。例えば、タウ標的化試薬の投与後の第1のレポータータンパク質発現の減少は、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、又は少なくとも75%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質発現の減少は、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、又は5%以下であり得る。一例において、タウ標的化試薬の投与後の第1のレポータータンパク質発現の減少は、少なくとも60%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質発現の減少は、30%以下であり得る。別の例において、タウ標的化試薬の投与後の第1のレポータータンパク質発現の減少は、少なくとも70%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質発現の減少は、30%以下であり得る。一例において、タウ標的化試薬の投与後の第1のレポータータンパク質発現の減少は、少なくとも75%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質発現の減少は、10%以下であり得る。
【0153】
具体的な例において、第1のレポータータンパク質は、第1の蛍光レポータータンパク質であり、第2のレポータータンパク質は、第2の蛍光レポータータンパク質であり、ステップ(b)における評価することは、免疫蛍光染色又はフローサイトメトリーを含む。いくつかの方法において、評価することは、タウ過剰リン酸化又はタウ凝集を評価することを含む。
【0154】
タウ標的化試薬がゲノム編集試薬(例えば、ヌクレアーゼ剤)である場合、そのような方法は、タウ4R又はタウ3Rアイソフォームをコードする核酸の修飾を評価することを含み得る。一例として、評価することは、非相同末端結合(non-homologous end joining、NHEJ)活性を測定することを含み得る。これは、例えば、標的領域内の挿入又は欠失の頻度を測定することを含み得る。例えば、評価することは、タウ4R又はタウ3Rアイソフォームをコードする核酸を配列決定すること(例えば、次世代配列決定)を含み得る。
【0155】
具体的な一例として、タウ標的化試薬がゲノム編集試薬(例えば、ヌクレアーゼ剤)である場合、標的核酸の編集パーセント(例えば、溶解した細胞のプールからPCR反応で読み取られた配列の総数に対して観察された挿入又は欠失の総数)を評価することができる。
【0156】
タウ標的化試薬は、タウ標的化抗体若しくは抗原結合タンパク質(例えば、イントラボディ)、又はタウタンパク質を標的化する他の任意の大分子若しくは小分子であり得る。代替的に、タウ標的化試薬は、MAPT遺伝子座(MAPT遺伝子)、MAPT mRNA、又はタウタンパク質を標的化する任意の生物学的又は化学的薬剤であり得る。タウ標的化試薬の例は、本明細書の他の場所に開示されている。
【0157】
そのようなタウ標的化試薬は、任意の送達方法/ビヒクル(例えば、アデノウイルス、レンチウイルス、AAV、又はLNP)によって投与され得る。複合体及び分子を送達する手段は、本明細書の他の場所でより詳細に開示されている。特定の方法において、試薬は、AAV媒介送達又はレンチウイルス媒介送達により送達される。他の特定の方法では、試薬は、LNP媒介送達によって送達される。用量は、任意の好適な用量であり得る。
【0158】
B.タウレポーター非ヒト動物におけるタウ標的化試薬の活性を評価する方法
本明細書に記載のタウレポーター非ヒト動物におけるタウ標的化試薬の活性を評価するための様々な方法が提供される。そのような方法は、(a)非ヒト動物にタウ標的化試薬を投与することと、(b)非ヒト動物におけるタウ標的化試薬の活性を評価することとを含み得る。評価することは、例えば、タウ標的化試薬を投与されなかった対照タウレポーター非ヒト動物と比較され得るか、又はタウ標的化試薬の投与前のタウレポーター非ヒト動物と比較され得る。
【0159】
タウ標的化試薬の活性を評価するための方法は周知であり、本明細書の他の場所で提供されている。活性の評価は、本明細書の他の場所に開示されているように、任意の細胞型、任意の組織型、又は任意の器官型においてあり得る。いくつかの方法において、活性の評価はニューロンにおいて行われる。いくつかの方法において、評価することは、4RタウmRNA発現、第1のレポータータンパク質mRNA発現、及び第3のレポータータンパク質mRNA発現のうちの1つ以上を測定することを含み得る。例えば、mRNAレベルは、特定の細胞、組織、又は器官の型(例えば、ニューロン)において測定することができる。mRNA発現を評価するための方法は、本明細書の他の場所に提供され、周知である。
【0160】
一例において、評価することは、4RタウアイソフォームmRNA発現及び第2のレポータータンパク質mRNA発現を測定することを含み、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現と比較した4RタウアイソフォームmRNA発現のより大幅な相対的減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す。例えば、タウ標的化試薬の投与後の4RタウアイソフォームmRNA発現の減少は、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、又は少なくとも75%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、又は5%以下であり得る。一例において、タウ標的化試薬の投与後の4RタウアイソフォームmRNA発現の減少は、少なくとも60%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、30%以下であり得る。別の例において、タウ標的化試薬の投与後の4RタウアイソフォームmRNA発現の減少は、少なくとも70%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、30%以下であり得る。一例において、タウ標的化試薬の投与後の4RタウアイソフォームmRNA発現の減少は、少なくとも75%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、10%以下であり得る。
【0161】
一例において、評価することは、第1のレポータータンパク質mRNA発現及び第2のレポータータンパク質mRNA発現を測定することを含み、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現と比較した第1のレポータータンパク質mRNA発現のより大幅な相対的減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す。例えば、タウ標的化試薬の投与後の第1のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、又は少なくとも75%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、又は5%以下であり得る。一例において、タウ標的化試薬の投与後の第1のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、少なくとも60%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、30%以下であり得る。別の例において、タウ標的化試薬の投与後の第1のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、少なくとも70%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、30%以下であり得る。一例において、タウ標的化試薬の投与後の第1のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、少なくとも75%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質mRNA発現の減少は、10%以下であり得る。
【0162】
いくつかの方法において、評価することは、第1のレポータータンパク質発現及び第2のレポータータンパク質発現のうちの1つ以上を測定することを含む。タンパク質発現を評価するための方法は、本明細書の他の場所に提供され、周知である。例えば、評価することは、第1のレポータータンパク質発現及び第2のレポータータンパク質発現を測定することを含み得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質発現と比較した第1のレポータータンパク質発現のより大幅な相対的減少は、タウ標的化試薬が4R優先的タウ標的化試薬であることを示す。例えば、タウ標的化試薬の投与後の第1のレポータータンパク質発現の減少は、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、又は少なくとも75%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質発現の減少は、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、又は5%以下であり得る。一例において、タウ標的化試薬の投与後の第1のレポータータンパク質発現の減少は、少なくとも60%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質発現の減少は、30%以下であり得る。別の例において、タウ標的化試薬の投与後の第1のレポータータンパク質発現の減少は、少なくとも70%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質発現の減少は、30%以下であり得る。一例において、タウ標的化試薬の投与後の第1のレポータータンパク質発現の減少は、少なくとも75%であり得、タウ標的化試薬の投与後の第2のレポータータンパク質発現の減少は、10%以下であり得る。
【0163】
具体的な例において、第1のレポータータンパク質は、第1の蛍光レポータータンパク質であり、第2のレポータータンパク質は、第2の蛍光レポータータンパク質であり、ステップ(b)における評価することは、免疫蛍光染色又はフローサイトメトリーを含む。いくつかの方法において、評価することは、タウ過剰リン酸化又はタウ凝集を評価することを含む。
【0164】
タウ標的化試薬がゲノム編集試薬(例えば、ヌクレアーゼ剤)である場合、そのような方法は、タウ4R又はタウ3Rアイソフォームをコードする核酸の修飾を評価することを含み得る。一例として、評価することは、非相同末端結合(NHEJ)活性を測定することを含み得る。これは、例えば、標的領域内の挿入又は欠失の頻度を測定することを含み得る。例えば、評価することは、タウ4R又はタウ3Rアイソフォームをコードする核酸を配列決定すること(例えば、次世代配列決定)を含み得る。評価は、非ヒト動物から標的器官又は組織(例えば、ニューロン)を単離することと、標的器官又は組織におけるタウ3R又はタウ4Rアイソフォームをコードする核酸の修飾を評価することとを含み得る。同様に、評価は、非ヒト動物から非標的器官又は組織(例えば、2つ以上の非標的器官又は組織)を単離することと、非標的器官又は組織におけるタウ3R又はタウ4Rアイソフォームをコードする核酸の修飾を評価することとを含み得る。
【0165】
具体的な一例として、タウ標的化試薬がゲノム編集試薬(例えば、ヌクレアーゼ剤)である場合、標的核酸の編集パーセント(例えば、溶解した細胞のプールからPCR反応で読み取られた配列の総数に対して観察された挿入又は欠失の総数)を評価することができる。
【0166】
タウ標的化試薬は、タウ標的化抗体若しくは抗原結合タンパク質(例えば、イントラボディ)、又はタウタンパク質を標的化する他の任意の大分子若しくは小分子であり得る。代替的に、タウ標的化試薬は、MAPT遺伝子座(MAPT遺伝子)、MAPT mRNA、又はタウタンパク質を標的化する任意の生物学的又は化学的薬剤であり得る。タウ標的化試薬の例は、本明細書の他の場所に開示されている。
【0167】
そのようなタウ標的化試薬は、任意の送達方法/ビヒクル(例えば、アデノウイルス、レンチウイルス、AAV、LNP、又は注射)によって、及び任意の投与経路(例えば、硝子体内注射又は前房内注射)によって投与することができる。複合体及び分子を送達する手段並びに投与経路は、本明細書の他の場所でより詳細に開示されている。特定の方法において、試薬は、AAV媒介送達又はレンチウイルス媒介送達により送達される。他の特定の方法では、試薬は、LNP媒介送達によって送達される。用量は、任意の好適な用量であり得る。
【0168】
C.タウ標的化試薬
タウ標的化試薬は、タウタンパク質、MAPT遺伝子、又はMAPT mRNA(例えば、ヒトタウタンパク質、ヒトMAPT遺伝子、又はヒトMAPT mRNA)を標的化する任意の試薬であり得る。タウ標的化試薬は、例えば、既知のタウ標的化試薬であり得るか、推定上のタウ標的化試薬(例えば、タウタンパク質、MAPT遺伝子、若しくはMAPT mRNAを標的化するように設計された候補試薬)であり得るか、又はタウ標的化活性についてスクリーニングされている試薬であり得る。
【0169】
例えば、タウ標的化試薬は、タウタンパク質のエピトープを標的化する抗原結合タンパク質であり得る。「抗原結合タンパク質」という用語は、抗原に結合する任意のタンパク質を含む。抗原結合タンパク質の例としては、抗体、抗体の抗原結合断片、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、scFV、ビスscFV、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、V-NAR、VHH、VL、F(ab)、F(ab)2、DVD(二重可変ドメイン抗原結合タンパク質)、SVD(単一可変ドメイン抗原結合タンパク質)、二重特異性T細胞エンゲージャー(bispecific T-cell engager、BiTE)、又はデイビスボディが含まれる(あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,586,713号)。具体的な例において、抗原結合タンパク質はイントラボディである。イントラボディは、細胞内で発現されるように設計されている抗体である。他のタウ標的化試薬としては、タウタンパク質、MAPT遺伝子、又はMAPTmRNAを標的化する小分子が挙げられる。
【0170】
他のタウ標的化試薬には、MAPT遺伝子内の認識部位を切断するヌクレアーゼ剤(例えば、クラスター化等間隔短鎖回文リピート(Clustered Regularly Interspersed Short Palindromic Repeat、CRISPR)/CRISPR関連(Cas)(CRISPR/Cas)ヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(zinc finger nuclease、ZFN)、又は転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(Transcription Activator-Like Effector Nuclease、TALEN))などのゲノム編集試薬が含まれ得る。同様に、タウ標的化試薬は、MAPT遺伝子と組換えるように設計された外因性ドナー核酸(例えば、標的化ベクター又は一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド(single-stranded oligodeoxynucleotide、ssODN))であり得る。
【0171】
他のタウ標的化試薬には、RNAi剤が含まれ得る。「RNAi剤」は、配列特異的方法で、メッセンジャーRNA(mRNA)などの標的RNAの翻訳の分解又は阻害を容易にすることができる小さい二本鎖RNA又はRNA様(例えば、化学的に修飾されたRNA)オリゴヌクレオチド分子を含む組成物である。RNAi剤のオリゴヌクレオチドは、結合したヌクレオシドのポリマーであり、各々を独立して修飾することも、修飾しないこともできる。RNAi剤は、RNA干渉メカニズムを介して機能する(すなわち、哺乳類細胞のRNA干渉経路機構(RNA誘導サイレンシング複合体又はRISC)との相互作用を介してRNA干渉を誘導する)。RNAi剤は、その用語が本明細書で使用されるように、主にRNA干渉メカニズムを介して作用すると考えられているが、開示されたRNAi剤は、任意の特定の経路又は作用メカニズムに拘束又は限定されない。本明細書に開示されるRNAi剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、限定されないが、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、及びダイサー基質が含まれる。本明細書に記載のRNAi剤のアンチセンス鎖は、標的RNAの配列(すなわち、標準的な命名法を使用して一連の文字で記載された核酸塩基又はヌクレオチドの連続又は順序)に少なくとも部分的に相補的である。
【0172】
他のタウ標的化試薬には、アンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense oligonucleotide、ASO)が含まれ得る。一本鎖ASO及びRNA干渉(RNAi)は、オリゴヌクレオチドがワトソン-クリックの塩基対を介して標的RNAに結合するという基本原理を共有している。理論に縛られることを望まないが、RNAiの間に、低分子RNA二重鎖(RNAi剤)がRNA誘導サイレンシング複合体(RNA-induced silencing complex、RISC)と結合し、一方の鎖(パッセンジャー鎖)が失われ、残りの鎖(ガイド鎖)が失われるRISCと協力して相補的RNAに結合する。次に、RISCの触媒成分であるアルゴノート2(Ago2)が標的RNAを切断する。ガイド鎖は常に相補的センス鎖又はタンパク質(RISC)のいずれかに関連付けられている。対照的に、ASOは生き残り、一本鎖として機能する必要がある。ASOは標的RNAに結合し、リボソーム又はスプライシング因子などの他の因子がRNAに結合するのをブロックするか、又はヌクレアーゼなどのタンパク質を動員する。所望の作用メカニズムに基づいて、ASOに対して様々な修飾と標的領域が選択される。ギャップマーは、DNAの中央の8~10塩基ギャップに隣接する各末端に2~5個の化学修飾ヌクレオチド(例えば、LNA又は2’-MOE)を含むASOオリゴヌクレオチドである。標的RNAに結合した後、DNA-RNAハイブリッドはRNase Hの基質として機能する。
【0173】
他のタウ標的化試薬には、小分子試薬が含まれる。
【0174】
D.細胞又は非ヒト動物へのタウ標的化試薬の投与
本明細書に開示される方法は、細胞又は非ヒト動物に、核酸、タンパク質、核酸-タンパク質複合体、タンパク質複合体、又は小分子を含む、様々な分子(例えば、タウ標的化試薬)を導入することを含み得る。「導入すること」には、細胞の内部又は非ヒト動物内細胞の内部にアクセスできるような方法で、細胞又は非ヒト動物に分子(例えば、核酸又はタンパク質)を提示することが含まれる。導入することは、任意の手段によって達成することができ、2つ以上の成分(例えば、2つの成分、又は全ての成分)を、任意の組み合わせで同時に又は逐次的に細胞又は非ヒト動物に導入することができる。加えて、2つ以上の成分は、同じ送達方法/ビヒクル又は異なる送達方法/ビヒクルによって細胞又は非ヒト動物に導入することができる。同様に、2つ以上の成分は、同じ投与経路又は異なる投与経路によって非ヒト動物に導入することができる。
【0175】
細胞又は非ヒト動物に導入された分子(例えば、Casタンパク質又はガイドRNA又はRNAi剤又はASO)は、導入された分子の安定性を増加させる担体(例えば、所与の貯蔵条件下(例えば、-20℃、4℃、又は周囲温度)での、分解産物が閾値未満、例えば出発核酸又はタンパク質の0.5重量%未満のままである期間を延長する、又はインビボでの安定性を増加させる)を含む組成物で提供することができる。そのような担体の非限定的な例には、ポリ(乳酸)(poly(lactic acid)、PLA)ミクロスフェア、ポリ(D,L-乳酸-コグリコール-酸)(PLGA)ミクロスフェア、リポソーム、ミセル、逆ミセル、脂質コキレート、及び脂質微小管が含まれる。
【0176】
細胞又は非ヒト動物への分子(例えば、核酸又はタンパク質)の導入を可能にするために、様々な方法及び組成物が本明細書で提供される。分子を種々の細胞型に導入するための方法は既知であり、例えば、安定したトランスフェクション法、一過性トランスフェクション法、及びウイルス媒介法が含まれる。
【0177】
トランスフェクションプロトコル、及び分子を細胞に導入するためのプロトコルは異なり得る。非限定的なトランスフェクション法には、リポソーム、ナノ粒子、リン酸カルシウム(Graham et al.(1973)Virology52(2):456-67、Bacchetti et al.(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.74(4):1590-4、及びKriegler,M(1991).Transfer and Expression:A Laboratory Manual.New York:W.H.Freeman and Company.pp.96-97)、デンドリマー、又はDEAE-デキストラン若しくはポリエチレンイミンなどのカチオン性ポリマーを使用する化学的ベースのトランスフェクション法が含まれる。非化学的方法には、電気穿孔法、ソノポレーション、及び光トランスフェクションが含まれる。粒子ベースのトランスフェクションには、遺伝子銃の使用、又はマグネットアシストトランスフェクション(Bertram(2006)Current Pharmaceutical Biotechnology 7,277-28)が含まれる。ウイルス法もトランスフェクションに使用され得る。
【0178】
細胞への核酸又はタンパク質の導入はまた、電気穿孔法、細胞質内注射、ウイルス感染、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、トランスフェクション、脂質媒介トランスフェクション、又はヌクレオフェクションによって媒介され得る。ヌクレオフェクションは、核酸基質を細胞質だけでなく核膜を介して核に送達することを可能にする改善された電気穿孔法技術である。加えて、本明細書に開示される方法でのヌクレオフェクションの使用は、典型的には、通常の電気穿孔法よりもはるかに少ない細胞を必要とする(例えば、通常の電気穿孔法による700万に対してわずか約200万)。一例では、ヌクレオフェクションは、LONZA(登録商標)NUCLEOFECTOR(商標)系を使用して実施される。
【0179】
細胞(例えば、接合子)への分子(例えば、核酸又はタンパク質)の導入は、マイクロインジェクションによっても達成され得る。接合子(すなわち、1細胞期胚)では、マイクロインジェクションは母体及び/又は父方の前核又は細胞質に行うことができる。マイクロインジェクションが1つの前核のみに行われる場合は、サイズがより大きいため、父方の前核が適している。mRNAのマイクロインジェクションは、好ましくは細胞質へ(例えば、mRNAを翻訳機構に直接送達するために)のものであるが、一方で、タンパク質若しくはタンパク質をコードするか又はRNAをコードするポリヌクレオチドのマイクロインジェクションは、核/前核へのものが好ましい。代替的に、マイクロインジェクションは、核/前核及び細胞質の両方への注射によって実施することができ、針を最初に核/前核に導入し、最初の量を注射することができ、1細胞期胚から針を除去しながら、2番目の量を細胞質に注射することができる。マイクロインジェクションを実施する方法は周知である。例えば、Nagy et al.(Nagy A,Gertsenstein M,Vintersten K,Behringer R.,2003,Manipulating the Mouse Embryo.Cold Spring Harbor,New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press)を参照されたく、また、Meyer et al.(2010)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.107:15022-15026、及びMeyer et al.(2012)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.109:9354-9359を参照されたい。
【0180】
分子(例えば、核酸又はタンパク質)を細胞又は非ヒト動物に導入するための他の方法には、例えば、ベクター送達、粒子媒介送達、エクソソーム媒介送達、脂質ナノ粒子媒介送達、細胞透過性ペプチド媒介送達、又は埋め込み型デバイス媒介配達が含まれ得る。具体的な例として、核酸又はタンパク質は、ポリ(乳酸)(PLA)マイクロスフェア、ポリ(D、L-乳酸-コグリコール酸)(PLGA)マイクロスフェア、リポソーム、ミセル、逆ミセル、脂質渦巻状物、又は脂質微小管などの担体中で、細胞又は非ヒト動物に導入することができる。非ヒト動物への送達のいくつかの具体的な例には、流体力学的送達、ウイルス媒介送達(例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)媒介送達、又はレンチウイルス媒介送達)、及び脂質ナノ粒子媒介送達が含まれる。
【0181】
核酸の導入は、アデノウイルス媒介送達、AAV媒介送達(例えば、AAV-PhPeB)、又はレンチウイルス媒介送達などのウイルス媒介送達によっても達成することができる。他の例示的なウイルス/ウイルスベクターには、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、及び単純ヘルペスウイルスが含まれる。ウイルスは、分裂細胞、非分裂細胞、又は分裂細胞及び非分裂細胞の両方に感染し得る。ウイルスは、宿主ゲノムに組み込むことができるか、又は代替的に宿主ゲノムに組み込まない。このようなウイルスは、免疫力が低減するように操作することもできる。ウイルスは、複製可能であり得、複製欠損性(例えば、ビリオン複製及び/又はパッケージングの追加ラウンドに必要な1つ以上の遺伝子に欠損がある)であり得る。ウイルスは、一過性の発現、長期的な発現(例えば、少なくとも1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、又は3ヶ月)、又は永続的な発現(例えば、Cas9及び/又はgRNAの)を引き起こし得る。例示的なウイルス力価(例えば、AAV力価)は、1012、1013、1014、1015、及び1016ベクターゲノム/mLを含む。その他の例示的なウイルス力価(例えば、AAV力価)としては、約1012、約1013、約1014、約1015、及び約1016ベクターゲノム(vg)/kg体重が、挙げられる。
【0182】
ssDNA AAVゲノムは、2つのオープンリーディングフレーム、Rep及びCapからなり、相補的DNA鎖の合成を可能にする2つの逆位末端リピートが隣接している。AAVトランスファープラスミドを構築する場合、導入遺伝子は、2つのITRの間に配置され、Rep及びCapは、トランスで供給され得る。Rep及びCapに加えて、AAVはアデノウイルスからの遺伝子を含有するヘルパープラスミドを必要とする場合がある。これらの遺伝子(E4、E2a、及びVA)はAAV複製を仲介する。例えば、トランスファープラスミド、Rep/Cap、及びヘルパープラスミドをアデノウイルス遺伝子E1+を含むHEK293細胞にトランスフェクトして、感染性AAV粒子を生成することができる。代替的に、Rep、Cap、及びアデノウイルスヘルパー遺伝子を組み合わせて単一のプラスミドとすることもできる。同様のパッケージングセル及び方法は、レトロウイルスなどの他のウイルスにも使用できる。
【0183】
AAVの複数の血清型が確認されている。これらの血清型は、感染する細胞の種類(すなわち、それらの指向性)が異なり、特定の細胞型の優先的な形質導入を可能にする。CNS組織に対する血清型には、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV8、及びAAV9が含まれる。心臓組織に対する血清型には、AAV1、AAV8、及びAAV9が含まれる。腎臓組織に対する血清型にはAAV2が含まれる。肺組織に対する血清型には、AAV4、AAV5、AAV6、及びAAV9が含まれる。膵臓組織に対する血清型にはAAV8が含まれる。光受容細胞に対する血清型には、AAV2、AAV5、及びAAV8が含まれる。網膜色素上皮組織に対する血清型には、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、及びAAV8が含まれる。骨格筋組織に対する血清型には、AAV1、AAV6、AAV7、AAV8、及びAAV9が含まれる。肝臓組織に対する血清型には、AAV7、AAV8、及びAAV9、並びに、特にAAV8が含まれる。具体的な実施例において、AAV-PhPeB血清型が、使用される。
【0184】
指向性は、キャプシド及び異なるウイルス血清型からのゲノムの混合である偽型付けによって更に洗練することができる。例えば、AAV2/5は、血清型5のキャプシドにパッケージされた血清型2のゲノムを含むウイルスを示す。偽型ウイルスの使用は、形質導入効率を改善するだけでなく、指向性を変えることができる。異なる血清型に由来するハイブリッドキャプシドを使用して、ウイルスの指向性を変えることもできる。例えば、AAV-DJは、8つの血清型からのハイブリッドキャプシドを含有しており、インビボで幅広い細胞型にわたって高い感染力を示す。AAV-DJ8は、AAV-DJの特性を示すが、脳への取り込みが増強された別の例である。AAV血清型は、変異によっても修飾することができる。AAV2の変異修飾の例には、Y444F、Y500F、Y730F、及びS662Vが含まれる。AAV3の変異修飾の例には、Y705F、Y731F、及びT492Vが含まれる。AAV6の変異修飾の例には、S663V及びT492Vが含まれる。他の偽型/修飾AAVバリアントには、AAV2/1、AAV2/6、AAV2/7、AAV2/8、AAV2/9、AAV2.5、AAV8.2、及びAAV/SASTGが含まれる。
【0185】
導入遺伝子の発現を加速するために、自己相補的AAV(scAAV)バリアントを使用することができる。AAVは細胞のDNA複製機構に依存して、AAVの一本鎖DNAゲノムの相補的鎖を合成するため、導入遺伝子の発現が遅れる可能性がある。この遅延に対処するために、感染時に自発的にアニーリングすることができる相補的配列を含むscAAVを使用することができ、宿主細胞のDNA合成の必要性を排除する。しかしながら、一本鎖AAV(ssAAV)ベクターも使用できる。
【0186】
パッケージング容量を増加させるために、より長い導入遺伝子を、1つ目は3’スプライスドナー、2つ目は5’スプライスアクセプターである2つのAAVトランスファープラスミドとの間に分割することができる。細胞の共感染時に、これらのウイルスはコンカテマーを形成し、一緒にスプライシングされ、完全長導入遺伝子を発現させることができる。これにより、より長い導入遺伝子の発現が可能になるが、発現の効率は低下する。容量を増加させるための同様の方法は、相同組換えを利用する。例えば、導入遺伝子は2つのトランスファープラスミドの間に分割することができるが、共発現が相同組換え及び完全長導入遺伝子の発現を誘導するように、実質的な配列の重複がある。
【0187】
核酸及びタンパク質の導入は、脂質ナノ粒子(lipid nanoparticle、LNP)媒介送達によっても達成され得る。脂質製剤は、生体分子を分解から保護すると同時に、細胞への取り込みを改善することができる。脂質ナノ粒子は、分子間力によって互いに物理的に結合した複数の脂質分子を含む粒子である。これらには、ミクロスフェア(単層及び多層ベシクル、例えば、リポソームを含む)、エマルジョン中の分散相、ミセル、又は懸濁液中の内相が含まれる。そのような脂質ナノ粒子は、送達のために1つ以上の核酸又はタンパク質をカプセル化するために使用することができる。カチオン性脂質を含む製剤は、核酸などのポリアニオンを送達するのに有用である。含めることができる他の脂質は、中性脂質(すなわち、非荷電又は両性イオン脂質)、アニオン性脂質、トランスフェクションを増強するヘルパー脂質、及びナノ粒子がインビボで存在することができる時間の長さを増加させるステルス脂質である。好適なカチオン性脂質、中性脂質、アニオン性脂質、ヘルパー脂質、及びステルス脂質の例は、本出願において、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に参照により組み込まれる、国際公開第2016/010840(A1)号に、見出され得る。例示的な脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質及び1つ以上の他の成分を含むことができる。一例において、他の成分は、コレステロールなどのヘルパー脂質を含むことができる。別の例において、他の成分は、コレステロールなどのヘルパー脂質及びDSPCなどの中性脂質を含むことができる。別の例では、他の成分は、コレステロールなどのヘルパー脂質、DSPCなどの任意選択的な中性脂質、及びS010、S024、S027、S031、又はS033などのステルス脂質を含むことができる。
【0188】
LNPは、以下のうちの1つ以上又は全てを含有してもよい:(i)カプセル化及びエンドソーム脱出のための脂質、(ii)安定化のための中性脂質、(iii)安定化のためのヘルパー脂質、及び(iv)ステルス脂質。例えば、Finn et al.(2018)Cell Reports 22:1-9、及び国際公開第2017/173054(A1)号を参照されたく、それらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0189】
LNPの例示的な投薬としては、例えば、総RNAカーゴ含量に関して、約0.1、約0.25、約0.3、約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約8、又は約10mg/kg(mpk)が挙げられる。一例では、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.1~約10mg/kg、又は約0.01~約0.3mg/kgのLNP用量を使用することができる。例えば、約0.01、約0.03、約0.1、約0.3、約1、約3、又は約10mg/kgのLNP用量を使用することができる。
【0190】
インビボでの投与は、例えば、非経口、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、髄腔内、腹腔内、局所、鼻腔内、又は筋肉内を含む任意の好適な経路によることができる。全身投与様式には、例えば、経口及び非経口経路が含まれる。非経口経路の例には、静脈内、動脈内、骨内、筋肉内、皮内、皮下、鼻腔内、及び腹腔内経路が含まれる。具体的な例は、静脈内注入である。鼻腔内注入及び硝子体内注射は、他の具体的な例である。局所投与様式には、例えば、髄腔内、脳室内、実質内(例えば、線条体(例えば、尾状核又は被殻へ)、大脳皮質、前中心回旋、海馬(例えば、歯状回又はCA3領域)、側頭皮質、扁桃体、前頭皮質、視床、小脳、髄質、視床、視蓋、被蓋、又は黒質への局所的な実質内送達)、眼内、眼窩内、結膜下、硝子体内、網膜下、及び強膜を介した経路が含まれる。(全身的アプローチと比較して)顕著により少量の成分は、全身的に投与された場合(例えば、静脈内)と比較して、局所的に投与された場合(例えば、実質内又は硝子体内)に効果を発揮し得る。局所投与様式はまた、治療有効量の成分が全身投与されるときに起こり得る潜在的に毒性の副作用の発生率を低減又は排除し得る。
【0191】
インビボでの投与は、例えば、非経口、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、髄腔内、腹腔内、局所、鼻腔内、又は筋肉内を含む任意の好適な経路によることができる。具体的な例は、静脈内注入である。投与される組成物は、1つ以上の生理学的及び薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、又は補助剤を使用して製剤化され得る。製剤は、選択した投与経路に依存し得る。「薬学的に許容される」という用語は、担体、希釈剤、賦形剤、又は補助剤が製剤の他の成分と適合性であり、そのレシピエントに実質的に有害ではないことを意味する。
【0192】
投与の頻度及び投与回数は、他の要因の中でもとりわけ、投与された分子の半減期及び投与経路に依存し得る。細胞又は非ヒト動物への、核酸又はタンパク質の導入は、ある期間にわたって1回又は複数回、実施され得る。例えば、導入は、ある期間にわたって少なくとも2回、ある期間にわたって少なくとも3回、ある期間にわたって少なくとも4回、ある期間にわたって少なくとも5回、ある期間にわたって少なくとも6回、ある期間にわたって少なくとも7回、ある期間にわたって少なくとも8回、ある期間にわたって少なくとも9回、ある期間にわたって少なくとも10回、ある期間にわたって少なくとも11回、ある期間にわたって少なくとも12回、ある期間にわたって少なくとも13回、ある期間にわたって少なくとも14回、ある期間にわたって少なくとも15回、ある期間にわたって少なくとも16回、ある期間にわたって少なくとも17回、ある期間にわたって少なくとも18回、ある期間にわたって少なくとも19回、又はある期間にわたって少なくとも20回、実施され得る。
【0193】
E.タウ標的化試薬の送達、活性、又は有効性の測定
本明細書に開示される方法は、タウ標的化試薬の活性を検出又は測定することを更に含み得る。
【0194】
タウ標的化試薬がゲノム編集試薬(例えば、タウ4Rアイソフォームをコードする核酸を標的化するように設計されたCRISPR/Cas)である場合、測定することは、修飾について標的化核酸を評価することを含み得る。標的化遺伝子修飾を有する細胞を同定するために様々な方法を使用することができる。スクリーニングは、親染色体の対立遺伝子の修飾(modification-of-allele、MOA)を評価するための定量的アッセイを含むことができる。例えば、米国特許出願公開第2004/0018626号、米国特許出願公開第2014/0178879号、米国特許出願公開第2016/0145646号、国際公開第2016/081923号、及びFrendewey et al.(2010)Methods Enzymol.476:295-307を参照されたく、それらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、定量的アッセイは、リアルタイムPCR(qPCR)などの定量的PCRを介して実施することができる。リアルタイムPCRは、標的遺伝子座を認識する第1のプライマーセット及び非標的参照遺伝子座を認識する第2のプライマーセットを利用することができる。プライマーセットは、増幅された配列を認識する蛍光プローブを含むことができる。好適な定量的なアッセイの他の例としては、蛍光媒介インサイチュハイブリダイゼーション(fluorescence-mediated in situ hybridization、FISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、等温DNA増幅、固定化プローブ全てに対する定量的ハイブリダイゼーション、INVADER(登録商標)プローブ、TAQMAN(登録商標)分子ビーコンプローブ、又はECLIPSE(商標)プローブ技術が挙げられる(例えば、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2005/0144655号を参照されたい)。次世代シーケンシング(next-generation sequencing、NGS)もまた、スクリーニングに使用することができる。次世代シーケンシングは、「NGS」又は「大規模並列シーケンシング」又は「ハイスループットシーケンシング」とも呼ばれ得る。標的化遺伝子修飾の正確な性質及びそれが細胞型又は組織型又は器官型にわたって一貫しているかどうかを定義するために、MOAアッセイに加えてNGSをスクリーニングツールとして使用することができる。
【0195】
非ヒト動物における修飾を評価することは、任意の組織又は器官からの任意の細胞型においてあり得る。例えば、評価は、同じ組織若しくは器官からの複数の細胞型、又は組織若しくは器官内の複数の場所からの細胞において行うことができる。これは、標的組織若しくは器官内のどの細胞型が標的化されているか、又は組織若しくは器官のどのセクションがタウ標的化試薬によって到達されているかについての情報を提供することができる。別の例として、評価は、複数の種類の組織又は複数の器官において行うことができる。特定の組織、器官、又は細胞型が標的にされる方法では、これは、その組織又は器官がどれほど効果的に標的にされるか、及び他の組織又は器官にオフターゲット効果があるかどうかについての情報を提供することができる。
【0196】
タウ4R若しくはタウ3Rアイソフォームをコードする核酸を不活性化するように、タウ4R若しくはタウ3Rアイソフォームの発現に影響を及ぼすように、タウ4R若しくはタウ3RアイソフォームmRNAの翻訳を妨げるように、又はタウ4R若しくはタウ3Rアイソフォームタンパク質を除去するように試薬が設計されている場合、測定することは、タウ4Rアイソフォーム、タウ3Rアイソフォーム、第1のレポータータンパク質、若しくは第2のレポータータンパク質mRNA又はタンパク質発現を評価することを含み得る。この測定は、例えばニューロン内で行うことができる。
【0197】
タウ4R又はタウ3Rアイソフォームタンパク質の産生は、任意の既知の手段によって評価することができる。例えば、発現は、既知のアッセイを使用して、非ヒト動物におけるコードされたmRNAのレベル又は非ヒト動物におけるコードされたタンパク質のレベルを測定することによって評価することができる。例えば、測定することは、タウ標的化試薬が非ヒト動物のタウ4R又はタウ3Rアイソフォームのレベルを低減するかどうかを決定することであり得る。
【0198】
非ヒト動物における評価は、任意の組織又は器官からの任意の細胞型においてあり得る。例えば、評価は、同じ組織若しくは器官(例えば、中枢神経系)からの複数の細胞型、又は組織若しくは器官内の複数の場所からの細胞において行うことができる。これは、標的組織若しくは器官内のどの細胞型が標的化されているか、又は組織若しくは器官のどのセクションがタウ標的化試薬によって到達されているかについての情報を提供することができる。別の例として、評価は、複数の種類の組織又は複数の器官において行うことができる。特定の組織、器官、又は細胞型が標的にされる方法では、これは、その組織又は器官がどれほど効果的に標的にされるか、及び他の組織又は器官にオフターゲット効果があるかどうかについての情報を提供することができる。
【0199】
使用できるアッセイの一例は、無傷の固定組織との関連で、単一ヌクレオチドの変化を含む、細胞特異的に編集された転写物を定量化することができる方法である、RNASCOPE(商標)及びBASESCOPE(商標)RNAインサイチュハイブリダイゼーション(in situ hybridization、ISH)アッセイである。BASESCOPE(商標)RNA ISHアッセイは、遺伝子編集の特性評価においてNGS及びqPCRを補完することができる。NGS/qPCRは野生型及び編集された配列の定量的平均値を提供できるが、組織内の編集された細胞の不均一性又はパーセンテージに関する情報は提供しない。BASESCOPE(商標)ISHアッセイは、組織全体のランドスケープビューと、編集されたmRNA転写物を含む標的組織内の実際の細胞数を定量化できる単一細胞分解能での野生型対編集された転写物の定量化とを提供できる。BASESCOPE(商標)アッセイは、ペアオリゴ(「ZZ」)プローブを使用して非特異的なバックグラウンドなしでシグナルを増幅し、単一分子RNA検出を実現する。しかしながら、BASESCOPE(商標)プローブの設計とシグナル増幅システムにより、ZZプローブを使用した単一分子RNAの検出が可能になり、無傷の固定組織における単一ヌクレオチドの編集と変異を差次的に検出できる。
【0200】
これらの表現型のいずれかの評価は、対照細胞又は非ヒト動物と比較して行うことができる。対照細胞又は非ヒト動物は、例えば、試験細胞若しくは非ヒト動物と同じ年齢及び/又は試験細胞若しくは非ヒト動物と同じ性別であり得る。これらの表現型のいずれかの評価は、タウ標的化試薬で処置されていないことを除いて、試験細胞非ヒト動物と同一である対照細胞又は非ヒト動物と比較して行うこともできる。これらの表現型のいずれかの評価は、タウ標的化試薬を試験細胞非ヒト動物に投与する前に、試験細胞又は試験非ヒト動物と比較して行うこともできる。
【0201】
これらの表現型のいずれかの評価は、単一の細胞又は非ヒト動物で行うことができ、その細胞又は非ヒト動物における変化を評価することができる。代替的に、評価は、細胞又は非ヒト動物の集団で行われ、例えば、特定の表現型を有する細胞又は非ヒト動物のパーセンテージを比較することができる。
【0202】
V.タウレポーター細胞及びタウレポーター非ヒト動物を作製する方法
本明細書に開示されるタウレポーター細胞及び非ヒト動物は、任意の既知の手段によって生成することができる。例えば、本明細書に開示されるタウレポーター細胞及び非ヒト動物は、第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォーム及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォーム、又は第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸を細胞又は非ヒト動物に導入することによって生成することができる。第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォーム及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォーム、又は第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸は、任意の既知の手段によって任意の形態(例えば、DNA、RNA、又はタンパク質)で細胞又は非ヒト動物に導入することができる。「導入すること」には、配列が細胞の内部又は非ヒト動物内の細胞の内部にアクセスできるような方法で、細胞又は非ヒト動物に核酸又はタンパク質を提示することが含まれる。本明細書で提供される方法は、核酸又はタンパク質を細胞又は非ヒト動物に導入するための特定の方法に依存せず、核酸又はタンパク質が少なくとも1つの細胞の内部にアクセスできることのみに依存する。核酸及びタンパク質を様々な細胞型に導入するための方法は既知であり、例えば、安定したトランスフェクション法、一過性トランスフェクション法、及びウイルス媒介法が含まれる。任意に、標的化ベクターを使用することができる。
【0203】
トランスフェクションプロトコル並びに核酸又はタンパク質を細胞又は非ヒト動物に導入するためのプロトコルは異なり得る。非限定的なトランスフェクション法には、リポソーム、ナノ粒子、リン酸カルシウム(Graham et al.(1973)Virology52(2):456-67、Bacchetti et al.(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.USA74(4):1590-4、及びKriegler,M(1991).Transfer and Expression:A Laboratory Manual.New York:W.H.Freeman and Company.pp.96-97)、デンドリマー、又はDEAE-デキストラン若しくはポリエチレンイミンなどのカチオン性ポリマーを使用する化学的ベースのトランスフェクション法が含まれる。非化学的方法には、電気穿孔法、ソノポレーション、及び光トランスフェクションが含まれる。粒子ベースのトランスフェクションには、遺伝子銃の使用、又はマグネットアシストトランスフェクション(Bertram(2006)Current Pharmaceutical Biotechnology 7,277-28)が含まれる。ウイルス法もトランスフェクションに使用され得る。
【0204】
細胞又は非ヒト動物への核酸又はタンパク質の導入はまた、電気穿孔法、細胞質内注射、ウイルス感染、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、トランスフェクション、脂質媒介トランスフェクション、又はヌクレオフェクションによって媒介され得る。ヌクレオフェクションは、核酸基質を細胞質だけでなく核膜を介して核に送達することを可能にする改善された電気穿孔法技術である。加えて、本明細書に開示される方法でのヌクレオフェクションの使用は、典型的には、通常の電気穿孔法よりもはるかに少ない細胞を必要とする(例えば、通常の電気穿孔法による700万に対してわずか約200万)。一例では、ヌクレオフェクションは、LONZA(登録商標)NUCLEOFECTOR(商標)系を使用して実施される。
【0205】
細胞への核酸又はタンパク質の導入は、マイクロインジェクションによっても達成され得る。mRNAの微量注入法は、好ましくは、細胞質へ(例えば、mRNAを翻訳機構に直接送達するため)のものであるが、一方で、タンパク質又はタンパク質をコードするDNAの微量注入法は、好ましくは、核へのものである。代替的に、微量注入法は、核及び細胞質の両方への注射によって実行され得るが、針を最初に核に導入し、最初の量を注射し得、細胞から針を取り除きながら、2番目の量を細胞質に注射し得る。マイクロインジェクションを実施する方法は周知である。例えば、Nagy et al.(Nagy A,Gertsenstein M,Vintersten K,Behringer R.,2003,Manipulating the Mouse Embryo.Cold Spring Harbor,New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Meyer et al.(2010)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 107:15022-15026、及びMeyer et al.(2012)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 109:9354-9359を参照されたい。
【0206】
核酸又はタンパク質を細胞又は非ヒト動物に導入するための他の方法には、例えば、ベクター送達、粒子媒介送達、エクソソーム媒介送達、脂質ナノ粒子媒介送達、細胞透過性ペプチド媒介送達、又は埋め込み型デバイス媒介配達が含まれ得る。インビボで細胞を修飾するために対象に核酸又はタンパク質を投与する方法は、本明細書の他の場所に開示されている。
【0207】
一例において、第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸は、レンチウイルス形質導入又はAAV形質導入などのウイルス形質導入を介して導入することができる。
【0208】
第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォーム及び第2のレポーターに連結された3Rタウアイソフォームを含む細胞又は非ヒト動物のスクリーニングは、任意の既知の手段によって行うことができる。
【0209】
一例として、レポーター遺伝子を使用して、第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォーム及び第2のレポーターに連結された3Rタウアイソフォームを有する細胞又は非ヒト動物をスクリーニングすることができる。例示的なレポーター遺伝子には、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein、GFP)、強化緑色蛍光タンパク質(enhanced green fluorescent protein、eGFP)、シアン蛍光タンパク質(cyan fluorescent protein、CFP)、黄色蛍光タンパク質(yellow fluorescent protein、YFP)、強化黄色蛍光タンパク質(enhanced yellow fluorescent protein、eYFP)、青色蛍光タンパク質(blue fluorescent protein、BFP)、強化青色蛍光タンパク質(enhanced blue fluorescent protein、eBFP)、DsRed、ZsGreen、MmGFP、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J-Red、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、Emerald、CyPet、Cerulean、T-Sapphire、及びアルカリホスファターゼをコードするものが含まれる。例えば、第1のレポーター及び第2のレポーターが蛍光タンパク質(例えば、mCherry及びeYFP)である場合、これらのレポーターを含む細胞は、二重陽性細胞を選択するためにフローサイトメトリーによって選択され得る。次いで、二重陽性細胞を組み合わせて、ポリクローナル統を生成するか、又はモノクローナル株は、単一の二重陽性細胞から生成され得る。
【0210】
別の例として、選択マーカを使用して、第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォーム、及び第2のレポーターに連結された3Rタウアイソフォームを有する細胞をスクリーニングすることができる。例示的な選択マーカとしては、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neor)、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hygr)、ピューロマイシン-N-アセチルトランスフェラーゼ(puror)、ブラストサイジンSデアミナーゼ(bsrr)、キサンチン/グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(guanine phosphoribosyl transferase、gpt)、又は単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(herpes simplex virus thymidine kinase、HSV-k)が、挙げられる。別の例示的な選択マーカは、Sh ble遺伝子(Streptoalloteichus hindustanusブレオマイシン遺伝子)によってコードされるブレオマイシン耐性タンパク質であり、これは、ゼオシン(フレオマイシンD1)耐性を付与する。
【0211】
第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォーム及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォーム、又は第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸を含む非ヒト動物を作製するための様々な他の方法が提供される。遺伝子修飾された生物を産生するための任意の便利な方法又はプロトコルは、そのような遺伝子修飾された非ヒト動物を産生するのに好適である。例えば、Poueymirou et al.(2007)Nat.Biotechnol.25(1):91-99、米国特許第7,294,754号、米国特許第7,576,259号、米国特許第7,659,442号、米国特許第8,816,150号、米国特許第9,414,575号、米国特許第9,730,434号、及び米国特許第10,039,269を参照されたく、それらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる(マウスES細胞及び遺伝子修飾されたマウスを作製するためのVELOCIMOUSE(登録商標)方法を記載している)。あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0235933(A1)号、米国特許出願公開第2014/0310828(A1)号も参照されたい(ラットES細胞及び遺伝子修飾されたラットの作製方法を記載している)。また、Cho et al.(2009)Curr.Protoc.Cell.Biol.42:19.11.1-19.11.22(doi:10.1002/0471143030.cb1911s42)及びGama Sosa et al.(2010)Brain Struct.Funct.214(2-3):91-109を参照されたく、それらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0212】
例えば、本明細書に記載されるタウレポーター非ヒト動物を産生する方法は、(1)第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸を含む多能性細胞(例えば、胚性幹(ES)細胞、例えば、マウスES細胞又はラットES細胞)を提供することと、(2)遺伝子修飾された多能性細胞を非ヒト動物宿主胚に導入することと、(3)代理母において宿主胚を懐胎させることとを含み得る。
【0213】
別の例として、本明細書に記載されるタウレポーター非ヒト動物を産生する方法は、(1)第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸を含む多能性細胞(例えば、胚性幹(ES)細胞、例えば、マウスES細胞又はラットES細胞)のゲノムを修飾することと、(2)第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸を含む遺伝子修飾された多能性細胞を同定又は選択することと、(3)遺伝子修飾された多能性細胞を非ヒト動物宿主胚に導入することと、(4)代理母において宿主胚を懐胎させることとを含み得る。ドナー細胞は、胚盤胞期又は桑実胚前期(すなわち、4細胞期又は8細胞期)などの任意の段階で宿主胚に導入することができる。任意選択的に、修飾された多能性細胞(例えば、非ヒトES細胞)を含む宿主胚は、F0非ヒト動物を産生するために代理母に着床させ、懐胎させる前に胚盤胞段階までインキュベートされ得る。次いで、代理母は、第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォーム及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォーム、又は第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸を含むF0世代非ヒト動物を産生することができる。非ヒト動物は、生殖系列を介して、第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸、及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸を伝達することが可能であり得る。
【0214】
代替的に、本明細書の他の場所に記載されるタウレポーター非ヒト動物を産生する方法は、(1)多能性細胞を修飾するための上述の方法を使用して、第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸を含むように、1細胞期胚のゲノムを修飾することと、(2)遺伝子修飾された胚を選択することと、(3)代理母において遺伝子修飾された胚を懐胎させることとを含み得る。生殖系列を介して遺伝子修飾を伝達することができる子孫が生成される。
【0215】
核移植技術はまた、非ヒト哺乳動物を生成するために使用することができる。簡単に言えば、核移植のための方法は、(1)卵母細胞を除核するか、又は除核された卵母細胞を提供するステップと、(2)除核した卵母細胞と組み合わせるドナー細胞又は核を単離又は提供するステップと、(3)細胞又は核を除核した卵母細胞に挿入して、再構成された細胞を形成するステップと、(4)再構成された細胞を動物の子宮に着床させて胚を形成するステップと、(5)胚の発育させるステップと、を含み得る。このような方法では、卵母細胞は一般に死亡した動物から回収されるが、生きている動物の卵管及び/又は卵巣からも単離され得る。卵母細胞は、除核前に様々な周知の培地で成熟させることができる。卵母細胞の除核は、多くの周知の方法で行うことができる。再構成された細胞を形成するための除核卵母細胞へのドナー細胞又は核の挿入は、融合の前に透明帯の下にドナー細胞をマイクロインジェクションすることによって行うことができる。融合は、接触/融合面を横切るDC電気パルスの印加(電気融合)、ポリエチレングリコールなどの融合促進化学物質への細胞の曝露、又はセンダイウイルスなどの不活化ウイルスによって誘発され得る。再構成された細胞は、核のドナーとレシピエントの卵母細胞の融合の前、最中、及び/又は後に、電気的及び/又は非電気的手段によって活性化することができる。活性化方法には、電気パルス、化学的に誘発されたショック、精子による浸透、卵母細胞における二価カチオンのレベルの増加、及び卵母細胞における細胞タンパク質のリン酸化の低減(キナーゼ阻害剤による)が含まれる。活性化された再構成された細胞、又は胚は、周知の培地で培養され、次いで動物の子宮に移植され得る。例えば、米国特許出願公開第2008/0092249号、国際公開第1999/005266号、国際公開第2004/0177390号、国際公開第2008/017234号、及び米国特許第7,612,250号を参照されたく、それらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0216】
修飾された細胞又は1細胞期胚は、例えば、(a)例えば、5’及び3’標的部位(例えば、欠失及び挿入核酸による置換を目的とする内因性配列に隣接する標的部位)に対応する5’及び3’相同性アームが隣接する挿入核酸を含む1つ以上の外因性ドナー核酸(例えば、標的化ベクター)を細胞に導入することであって、挿入核酸は、第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸を含む、導入することと、(b)そのゲノム中に、第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸を含む少なくとも1つの細胞を同定することによる組換えを介して生成され得る。同様に、修飾された非ヒト動物ゲノム又はヒト化非ヒト動物標的遺伝子座は、例えば、(a)ゲノム又は遺伝子を、5’及び3’標的部位(例えば、欠失、及び1つ以上の挿入核酸(例えば、第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸)による置換を目的とする内因性配列に隣接する標的部位)に対応する5’及び3’相同性アームを含む1つ以上の外因性ドナー核酸(例えば、標的化ベクター)と接触させることによる組換えを介して生成され得る。任意選択的に、欠失を目的とする内因性配列を標的化するヌクレアーゼ剤は、外因性ドナー核酸と一緒に導入され得る。ニック又は二本鎖切断を所望の認識部位に誘導する任意のヌクレアーゼ剤を使用することができる。好適なヌクレアーゼの例には、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、メガヌクレアーゼ、及びクラスター化等間隔短鎖回文リピート(CRISPR)/CRISPR関連(Cas)系(例えば、CRISPR/Cas9系)又はそのような系(例えば、CRISPR/Cas9)の成分が含まれる。例えば、米国特許出願公開第2013/0309670号及び米国特許出願公開第2015/0159175号を参照されたく、それらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。一例において、ヌクレアーゼは、Cas9タンパク質及びガイドRNAを含む。別の例では、ヌクレアーゼは、Cas9タンパク質と、2つ以上、3つ以上、又は4つ以上のガイドRNAと、を含む。
【0217】
外因性ドナー核酸は、非相同末端結合を介した挿入又は相同組換えのためのものであり得る。外因性ドナー核酸は、デオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid、DNA)又はリボ核酸(ribonucleic acid、RNA)を含むことができ、それらは一本鎖又は二本鎖であり得、かつそれらは直線状又は環状の形態であり得る。例えば、ドナー核酸は、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド(ssODN)であり得る。異種ドナー核酸はまた、標的化されていない内因性遺伝子座に存在しない異種配列を含み得る。例えば、外因性ドナー核酸は、リコンビナーゼ認識部位に隣接する選択カセットなどの選択カセットを含み得る。
【0218】
1細胞期胚以外の細胞において、外因性ドナー核酸は、「標的化ベクター」又は「LTVEC」であってよく、これには、細胞内で相同組換えを行うことを目的とした他のアプローチで典型的に使用されるものよりも大きい核酸配列に対応し、それに由来する相同性アームを含む標的化ベクターが含まれる。例えば、米国特許出願公開第2004/0018626号、国際公開第2013/163394号、米国特許第9,834,786号、米国特許第10,301,646号、国際公開第2015/088643号、米国特許第9,228,208号、米国特許第9,546,384号、米国特許第10,208,317号、及び米国特許出願公開第2019-0112619号を参照されたく、それらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。LTVECにはまた、細胞内で相同組換えを行うことを目的とした他のアプローチで通常使用されるものよりも大きい核酸配列を有する核酸インサートを含む標的化ベクターが含まれる。例えば、LTVECは、サイズの制限のために従来のプラスミドベースの標的化ベクターでは対応できない大きな遺伝子座の改変を可能にする。例えば、標的化された遺伝子座は、従来の方法を使用して標的化できないか、又はヌクレアーゼ剤(例えば、Casタンパク質)によって誘導されるニック若しくは二本鎖切断の非存在下で不正確にのみ、又は顕著に低い効率でのみ標的化され得る細胞の遺伝子座であり得る(すなわち、5’及び3’相同性アームが対応し得る)。LTVECは、任意の長さであり得、通常は少なくとも10kb長である。LTVECの5’相同性アームと3’相同性アームの合計は、典型的には、少なくとも10kbである。VELOCIGENE(登録商標)遺伝子工学技術を使用する細菌相同組換え(bacterial homologous recombination、BHR)反応によって細菌人工染色体(bacterial artificial chromosome、BAC)DNA由来の大きな標的化ベクター(LTVEC)の生成及び使用は、例えば、米国特許第6,586,251号及びValenzuela et al.(2003)Nat.Biotechnol.21(6):652-659を参照されたく、それらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。インビトロアセンブリ法によるLTVECの生成は、例えば、米国特許出願公開第2015/0376628号及び国際公開第2015/200334号を参照されたく、それらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0219】
この方法は、修飾された標的ゲノム遺伝子座を有する細胞又は動物を同定することを更に含み得る。標的化遺伝子修飾を有する細胞及び動物を同定するために様々な方法を使用することができる。スクリーニングステップは、例えば、親染色体の対立遺伝子の修飾(MOA)を評価するための定量的アッセイを含むことができる。例えば、米国特許出願公開第2004/0018626号、米国特許出願公開第2014/0178879号、米国特許出願公開第2016/0145646号、国際公開第2016/081923号、及びFrendewey et al.(2010)Methods Enzymol.476:295-307を参照されたく、それらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、定量的アッセイは、リアルタイムPCR(qPCR)などの定量的PCRを介して実施することができる。リアルタイムPCRは、標的遺伝子座を認識する第1のプライマーセット及び非標的参照遺伝子座を認識する第2のプライマーセットを利用することができる。プライマーセットは、増幅された配列を認識する蛍光プローブを含むことができる。好適な定量的なアッセイの他の例としては、蛍光媒介インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、等温DNA増幅、固定化プローブに対する定量的ハイブリダイゼーション、INVADER(登録商標)プローブ、TAQMAN(登録商標)分子ビーコンプローブ、又はECLIPSE(商標)プローブ技術が挙げられる(例えば、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2005/0144655号を参照されたい)。
【0220】
本明細書で提供される様々な方法は、遺伝子修飾された非ヒトF0動物の生成を可能にし、遺伝子修飾されたF0動物の細胞は、第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸と、第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸とを含む。F0動物を生成するために使用される方法に依存して、第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸を有するF0動物内の細胞の数は変化することが認識される。マウスでは、例えば、VELOCIMOUSE(登録商標)方法を介した、マウスからの前桑実胚期胚(例えば、8細胞期マウス胚)へのドナーES細胞の導入は、F0マウスのより大きいパーセンテージの細胞集団が、標的化遺伝子修飾を有する細胞を含むことを可能にする。例えば、非ヒトF0動物の細胞寄与の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%は、標的化修飾を有する細胞集団を含み得る。遺伝子修飾されたF0動物の細胞は、第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸についてヘテロ接合性であり得るか、又は第1のレポータータンパク質に連結された4Rタウアイソフォームをコードする第1の核酸及び第2のレポータータンパク質に連結された3Rタウアイソフォームをコードする第2の核酸についてホモ接合性であり得る。
【0221】
上記又は下記で引用されている全ての特許出願、ウェブサイト、他の刊行物、アクセッション番号などは、各個々の項目が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されたのと同じ程度に、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれる。配列の異なるバージョンが違う時間にアクセッション番号に関連付けられている場合、本出願の有効な出願日においてアクセッション番号に関連付けられるバージョンを意味する。有効な出願日とは、該当する場合、アクセッション番号に関する実際の出願日以前又は優先出願の出願日を意味する。同様に、刊行物、ウェブサイトなどの異なるバージョンが違う時間に公開されている場合、別段の指定のない限り、本出願の有効な出願日の直近に公開されたバージョンを意味する。別段に他の指示がない限り、本発明の任意の特徴、ステップ、要素、実施形態、又は態様を、任意の他のものと組み合わせて使用することができる。本発明は、明瞭さ及び理解の目的に対し図表及び例を介していくつかの詳細が記載されているが、添付の特許請求の範囲の範囲内で、ある特定の変化及び改変を実施することができることが明らかになろう。
【0222】
配列の簡単な説明
添付の配列表にリストされているヌクレオチド及びアミノ酸配列は、ヌクレオチド塩基のための標準的な文字略語、及びアミノ酸のための三文字表記を使用して示されている。ヌクレオチド配列は、配列の5’末端から始まって先へ(すなわち、各行で左から右へ)進み3’末端に至る標準規則に従っている。各ヌクレオチド配列の1本の鎖のみが示されているが、相補的鎖は、示されている鎖を任意に参照することによって含まれると理解される。アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列が提供される場合、同じアミノ酸配列をコードするそのコドン縮重バリアントもまた提供されることが理解される。アミノ酸配列は、配列のアミノ末端から始まって先へ(すなわち、各行で左から右へ)進みカルボキシ末端に至る標準規則に従っている。
【0223】
【実施例】
【0224】
実施例1.4Rタウを標的化する試薬と3Rタウを標的化する試薬とを区別するための細胞スクリーニングアッセイの開発
ヒトMAPT遺伝子は、タウの6つの異なるアイソフォーム:2N4R、1N4R、0N4R、2N3R、1N3R、0N3Rをコードする。
図1を参照されたい。4R(4リピート)タウ対3R(3リピート)タウを含有する転写物間の差異は、エキソン10の包含(4R)又は排除(3R)に基づく。ヒトは通常、等しい比率の3Rタウ及び4Rタウを発現する。アルツハイマー病などのいくつかのタウオパチーにおいて、死後の脳組織からの実験的証拠は、タウの不溶性凝集体が3R及び4Rタウから構成されることを示唆する。進行性核上性麻痺(PSP)及び皮質性基底変性(CBD)などのより稀なタウオパチー疾患では、4Rタウタンパク質はタウの凝集性種である。疾患におけるこれらの異なる種類の凝集体の根底にある理由は不明である。4Rタウのみに対して総タウ(例えば、3R+4Rタウ)を標的化する療法は、異なる疾患状態において有益な効果を有し得る。
【0225】
今日までの1つの主要な課題は、タウの異なるアイソフォームのmRNAを測定するためのアッセイを開発することであった。例えば、タウの「R/リピート」ドメインは、3Rタウを測定するためのプライマー対及びTaqManプローブを設計することを困難にする。タウのある特定のアイソフォームを測定するためのアッセイがこのように少ないため、両方を低減すべき試薬(例えば、siRNA)に対して(例えば、総タウ標的化戦略)、4Rタウのみを低減し、3Rタウに影響を与えない試薬(例えば、siRNA)の特異性を正確に試験することは困難である。
【0226】
本発明者らは、例えば、4Rタウ標的化siRNAを同定しようとしたが、3Rタウを測定するためのmRNAアッセイがないため、この種類のスクリーニングを行うことは不可能であった。この問題を回避するために、本発明者らは、4Rタウを特異的に標的化する化合物に対して総タウを標的化する化合物(例えば、siRNA又はgRNA)を同定するための細胞スクリーニングアッセイを生成した。これは、4R及び3Rタウの蛍光タグ付き融合タンパク質を発現する二次細胞株(例えば、HEK293)を生成することを伴った。より具体的には、HEK293細胞株は、xN4R-タウ-eYFP及びxN3R-タウ-mCherry(式中、xN=0N、1N、又は2N)の両方を等しく発現し、4Rタウを特異的に標的化する化合物をスクリーニングするための単純かつロバストな系を提供した。更に、融合メッセンジャーRNA及びタンパク質は、タウの各形態の低減のための代替読み出しとして使用することができる。例えば、4Rタウを標的化するsiRNAは、4つの読み出し:(1)4R特異的TaqManプローブを使用する4RタウmRNA、(2)eYFP特異的TaqManプローブを使用するeYFP mRNA、(3)eYFPタンパク質レベル(例えば、任意のタンパク質検出技術(ウェスタンブロッティング、ELISA)により測定される)、及び(4)eYFP蛍光を減少させるはずである。代替的に、3Rタウも低減するsiRNAは、(1)mCherry特異的TaqManプローブを使用するmCherryメッセンジャーRNA、(2)mCherryタンパク質レベル(例えば、任意のタンパク質検出技術(ウェスタンブロッティング、ELISA)により測定される)、及び(3)mCherry蛍光に影響を与えるはずである。
【0227】
この細胞株は、siRNA、gRNA、及びイントラボディ(細胞内抗体)を含む多くの異なる治療様式のスクリーニングのために使用され得る。イントラボディは、細胞質に位置するタンパク質の細胞内分解に有用であり得る。例えば、4Rタウ又は3Rタウを標的化するイントラボディは、それぞれ黄色(eYFP)又は赤色(mCherry)タンパク質シグナルを減少させるはずである。
【0228】
細胞株を作製するために、完全長ヒト2N4Rタウ(NCBI受入番号:NM_005910.6)、及び2N3Rタウ(NCBI受入番号:NM_001203252.2)を、eYFP又はmCherryのいずれかとインフレームでpLvXベクターにクローニングし、2N4R-eYFP及び2N3R-mCherry融合タンパク質を作製した。融合タンパク質コード配列を、EF1Aプロモーターに作動可能に連結した。プラスミドDNAをレンチウイルスにパッケージングした。2N4R-eYFP融合タンパク質は、配列番号15に記載され、配列番号19に記載の配列によってコードされる。2N3R-mCherry融合タンパク質は、配列番号16に記載され、配列番号20に記載の配列によってコードされる。
【0229】
HEK293細胞を24ウェルプレート中で80%コンフルエントまで成長させ、高グルコースDMEM中の10%ウシ胎仔血清中で成長させた。次いで、細胞を、2N4R-eYFPを保有するレンチウイルスで形質導入した。3日後、クローン細胞株を拡大させるために、eYFP+細胞を個々のウェルにおいて単一細胞に選別した。eYFP+細胞がコンフルエントに達したら、その後の凍結保存のために5つの細胞株を選択し、2N3R-mCherryを保有するレンチウイルスによる形質導入のために更に拡大させた。更に3日後、eYFP+mCherry+細胞を96ウェルプレートにおいて単一細胞に選別し、細胞を約2週間成長させて、増殖し続けた生存クローンを同定した。20の異なるeYFP/mCherry二重陽性クローン細胞株を生成し、TaqManアッセイにおけるその後のスクリーニングに使用した。3つの2N4R-eYFP/2N3R-mCherry細胞株(クローンC2、C3、及びC5)は、約1:1比のeYFP及びmCherry mRNAを発現した。
図2を参照されたい。クローンC3を、高コピー数の2N4R-eYFP及び2N3R mCherry RNA並びに各々の類似の相対発現レベルを有するものとして選択した。
図3を参照されたい。
【0230】
HEK293、2N4R-eYFP/2N3R-mCherry細胞を、完全培地(DMEM、10%FBS、ペニシリン、ストレプトマイシン、GlutaMAX、G418、及びハイグロマイシン)中、37℃、5%CO
2で維持した。eYFP及びmCherryがそれぞれ4Rタウ及び3Rタウレベルの代用物として機能し得ることを示すために、二重レポーター2N4R-eYFP/2N3R-mCherry細胞を、24ウェルプレートに1.6×10
5細胞/ウェルで播種した。トランスフェクション(約70%コンフルエンス)の日に、完全培地を各ウェルから吸引し、450μLのOptiMemで置き換えた。siRNA二本鎖溶液を、OptiMEMで200nM、20nM、及び2nMに希釈した。リポフェクタミンRNAMaxを、製造業者のプロトコルに従ってOptiMem中に希釈した(3uLリポフェクタミン/50uLの培地)。等量のsiRNA二本鎖溶液及び希釈リポフェクタミン溶液を合わせ(10×siRNA/脂質溶液)、混合し、室温で最低5分間インキュベートした。50uLの各10×siRNA/脂質溶液を、24ウェルプレートの適切なウェルに3連で添加した。次いで、プレートをインキュベーターに48時間戻し、その後、免疫蛍光分析を行った。具体的には、細胞を、10nMの総タウsiRNA(3R及び4Rアイソフォームの両方を標的化する)又は10nMのmCherry siRNA(HAIJE-000013、配列番号1及び2)のいずれかで処理した。48時間後、eYFP及びmCherry免疫蛍光を測定した。mCherry siRNAはmCherryシグナルを低減したが、eYFPシグナルは影響を受けなかった。対照的に、総タウsiRNAは、eYFPシグナル強度及びmCherry強度の両方を低減した。
図4を参照されたい。
【0231】
次いで、10nMのmCherry siRNA(HAIJE-000015(配列番号3及び4)又はHAIJE-000017(配列番号5及び6)又は10nMのYFP siRNA(P-002048-01、配列番号7及び8)を使用して、同様の実験を行った。両方のmCherry siRNAは、mCherryシグナル強度を低減したが、eYFPシグナル強度を低減せず、一方、YFP siRNAは、eYFPシグナル強度を低減したが、mCherryシグナル強度を低減しなかった。
図5を参照されたい。
【0232】
次いで、R2ドメインをコードするMAPT遺伝子のエキソン10に沿って65個のsiRNAを設計することによって、潜在的な4R特異的siRNAを設計した。R2ドメインは配列番号21に記載され、R2ドメインのコード配列は、配列番号22に記載される。2つの総タウsiRNAを陽性対照として設計し、YFP siRNAをeYFPノックダウン対照として使用し、mCherry siRNAをmCherryノックダウン対照として使用した。処理の24時間後に、0.1nM及び1nMの用量を3連で試験した。総タウ、4Rタウ、mCherry、及びeYFPについてのTaqManアッセイを行った。
【0233】
4R特異的又は4R優先的siRNAを選択するために、例えば、
図6のようにパラメータを設定することができる。純粋な4R特異的siRNAは、例えば、4Rタウ及びeYFPのロバストなノックダウン(例えば、mRNAの少なくとも75%の低減)を有し、mCherryに対する影響がない(例えば、mCherry mRNAの約0%の低減)ものとして選択することができる。4R優先的siRNAは、例えば、4Rタウ及びeYFPのロバストなノックダウン(例えば、mRNAの少なくとも70%の低減)を有し、mCherryに対するノックダウン影響がほとんど~全くない(例えば、mCherry mRNAの30%以下の低減)ものとして選択することができる。「4R優先的」基準を使用すると、65個の候補4R siRNAのうち13個が、1nMで投与された場合に基準を満たした(1nMで30%以下の4Rタウメッセージが残り、30%以下のmCherryノックダウン)。
図7を参照されたい。本発明者らはまた、4Rタウ及びeYFPについてのTaqManアッセイにおいてほぼ完全な相関を見出し、eYFPを4Rタウレベルの代用物として検証した。
図8を参照されたい。同様に、mCherryは、3Rタウレベルの信頼できる代用物であった。
【0234】
65個の候補4R siRNA二本鎖についての相対的な4Rタウ及びmCherry発現を
図9Aに示す。HEK293-2N4R-YFP+2N3R-mCherry細胞を、リポフェクタミン中の1nMのGalNAcコンジュゲートsiRNAで処理し、TaqManアッセイ(mCherry及びYFP)のために48時間後に採取した。各試料について、左の棒は4Rアッセイの結果を示し、右の棒はmCherryアッセイ(3Rタウの代替)の結果を示す。13個の選択されたsiRNAについての相対的4Rタウ及びmCherry発現を
図9Bに示す。塗りつぶした棒は1nMのsiRNAで処理した試料であり、斜線の棒は0.1nMのsiRNAで処理した試料である。これは、4R特異的試薬のスクリーニングのためのツールとしての細胞株を検証した。現在まで、siRNAなどの4R特異的試薬のスクリーニングは、3Rタウを測定するためのタンパク質及びmRNAアッセイがないために不可能であった。この問題に対処して、本発明者らは、4R特異的候補についてスクリーニングするために、二重レポーターHEK293 2N4R-eYFP+2N3R-mCherry融合タンパク質細胞株を作製し、検証した。
【0235】
3R/4R二重レポーター細胞を使用して、相対的な4Rタウ発現及び相対的なeYFP発現(4Rタウ代替物)並びに相対的なmCherry発現(3Rタウ代替物)を調べるためにTaqManを使用して、上記のように各化合物で用量応答分析を行った。2つの4Rタウ優先的siRNAについての結果を
図10Aに示し、2つの更なる候補4RタウsiRNAについての結果を
図11Aに示す。データは、4R優先的siRNAが4Rタウに対して高度に特異的であり、3Rタウに対しては影響がほとんど~全くないことを示す。しかしながら、他のRドメインに対するR2ドメインの配列相同性に基づいて、本発明者らは、2N3R-mCherry標的が与えられた場合のみ、4R優先的siRNAが特異性を保持することを確実にしようとした。したがって、本発明者らは、二重レポーター細胞株において試験した同じ用量範囲を使用して、HEK293 2N3R-mCherryのみの細胞において同一の一連の実験を行った。本発明者らは、この細胞系で試験した場合、4R siRNA分子の影響を見出さなかった(すなわち、2N3R-mCherryのノックダウンがない)。
図10B及び
図11Bを参照されたい。最終対照として、本発明者らは、HEK293 2N4R-YFPのみの細胞において同じ実験を行い、4R優先的siRNAの効力が依然として観察された。
図10C及び
図11Cを参照されたい。
【0236】
次いで、市販の総タウ抗体(マウスモノクローナル、クローンタウ12)、4Rタウ抗体(マウスモノクローナル、クローン7D12.1)、及び3Rタウ抗体(マウスモノクローナル、クローン8E6\C11)を用いたタンパク質ドットブロッティングを使用して、同じ4つの4RタウsiRNAを、4Rタウタンパク質ノックダウンについて検証した。まず、組換え1N3R又は1N4Rタンパク質を用いてブロッティングすることによって、特異性を確認するために抗体を検証した(
図12の左パネル)。次いで、HEK293二重レポーター細胞を、リポフェクタミンRNAiMaxトランスフェクション試薬(製造業者の指示に従って希釈)(3つの4R優先的siRNA、及び1つの混合選択性siRNA)中のビヒクル対照又はsiRNA(1nMで48時間)で処理した。プロテアーゼ/ホスファターゼ阻害剤を補充したRIPA緩衝液中に溶解物を回収し、合計7μg(総タウドットブロット用)又は21μg(4Rタウドットブロット用)、又は7μg(3Rタウドットブロット用)をドットブロット装置にスポットし、ブロットを総タウ、4Rタウ、及び3Rタウ抗体でのブロッティングに供した。結果を
図12に示し、4R特異的候補についてスクリーニングするために、二重レポーターHEK293 2N4R-eYFP+2N3R-mCherry融合タンパク質細胞株を更に検証する。
【0237】
本発明者らはまた、タンパク質ELISA型アッセイを使用して、同じ4RタウsiRNAを用いて4R優先的ノックダウンを検証した。
図13に示されるように、市販の総タウALPHALISA(Perkin Elmer,カタログ番号AL271C)を製造業者の指示に従って使用して総可溶性タウを測定し、4Rタウタンパク質をCell Signaling TechnologiesのPathScan ELISAキット(カタログ番号29443)を使用して測定した。予測されたように、総タウアッセイは4Rタウ(低減されるべきである)及び3Rタウ(影響が最小限であるか又は影響されないべきである)の両方のレベルを測定しているため、4Rタウレベルは総タウのレベルよりも低かった。3RタウELISAアッセイを行い、3Rタウレベルを定量的に測定する。eYFP及びmCherry強度のフローサイトメトリー分析も行って、タンパク質レベルに対する影響を評価する。
【0238】
次いで、同じ4RタウsiRNAを、MAPTヒト化マウスにおいてインビボで試験して、二重レポーターHEK293 2N4R-eYFP+2N3R-mCherry融合タンパク質細胞株を更に検証した。同一の標的化配列を有するsiRNAを、CNS細胞送達を可能にするためにC16コンジュゲートを用いて合成した。次いで、本発明者らは、300μgの各siRNAの脳内注射を行い、siRNAを30日間インビボでインキュベートさせた。ナイーブ及びビヒクル(人工脳脊髄液(artificial cerebrospinal fluid、aCSF))を陰性対照として使用した。総タウTaqManアッセイ(3R+4Rタウの全体的レベルを評価するため)及び4Rタウアッセイを行い、結果を
図14に示す。
【0239】
4RタウsiRNAで処置したMAPTヒト化マウスの脳溶解物に対して、総タウ、3Rタウ、及び4Rタウ抗体を用いてドットブロッティングを行った。溶解物を回収し、合計1μg/ウェル(総タウドットブロット用)、1μg/ウェル(4Rタウドットブロット用)、又は5μg/ウェル(3Rタウドットブロット用)をドットブロット装置にスポットし、ブロットを総タウ、4Rタウ、及び3Rタウ抗体でのブロッティングに供した。結果により、上位4つのsiRNAについて4R優先的ノックダウンが確認された(データは示さず)。3Rタウ、4Rタウ、総タウのmRNAを検出するためのRNAscopeアッセイを、ニューロン培養物(インビトロ)及び4Rタウ優先的siRNAで処置したマウスの脳からの切片に対して行う。
【0240】
実施例2.4Rタウを標的化する試薬と3Rタウを標的化する試薬とを区別するためのインビボスクリーニングアッセイの開発
4R siRNAのインビボ試験のためのマウスモデルを生成する。シナプシンプロモーター(中枢神経系のニューロンにおけるロバストな発現を駆動する)を有するAAV-PhPeBを使用して、2つのコンストラクト:1N4Rタウ(R5L)-P2A-eYFP及び1N3Rタウ(R5L)-P2A-mCherryをタウノックアウトマウスにウイルス導入する。1N4Rタウ(R5L)-P2A-eYFP融合タンパク質は、配列番号35に記載され、配列番号36に記載の配列によってコードされる。1N3Rタウ(R5L)-P2A-mCherry融合タンパク質は、配列番号41に記載され、配列番号42に記載の配列によってコードされる。同様に、シナプシンプロモーター(中枢神経系のニューロンにおけるロバストな発現を駆動する)を有するAAV-PhPeBを使用して、2つのコンストラクト:1N4Rタウ(L237V)-P2A-eYFP及び1N3Rタウ(L237V)-P2A-mCherryをタウノックアウトマウスにウイルス導入する。1N4Rタウ(L237V)-P2A-eYFP融合タンパク質は、配列番号37に記載され、配列番号38に記載の配列によってコードされる。1N3Rタウ(L237V)-P2A-mCherry融合タンパク質は、配列番号43に記載され、配列番号44に記載の配列によってコードされる。同様に、シナプシンプロモーター(中枢神経系のニューロンにおけるロバストな発現を駆動する)を有するAAV-PhPeBを使用して、2つのコンストラクト:1N4Rタウ(G243V)-P2A-eYFP及び1N3Rタウ(G243V)-P2A-mCherryをタウノックアウトマウスにウイルス導入する。1N4Rタウ(G243V)-P2A-eYFP融合タンパク質は、配列番号39に記載され、配列番号40に記載の配列によってコードされる。1N3Rタウ(G243V)-P2A-mCherry融合タンパク質は、配列番号45に記載され、配列番号46に記載の配列によってコードされる。
図15を参照されたい。上述の細胞株を用いたインビトロスクリーニングと同様に、eYFP及びmCherry mRNAレベルを、それぞれ4Rタウ及び3RタウmRNAレベルのための代替読み出しとして使用する。違いは、本発明者らが凝集性タウのニューロン発現を駆動しているため、本発明者らがeYFP及びmCherryがこれらの凝集性タウ形態の適切な機能/フォールディング及び微小管結合に干渉することを望まないことである。したがって、P2Aが各コンストラクトにおいて使用され、これは、リボソームスキッピングに起因して、2つのタンパク質を単一のmRNA分子から産生させる。
【0241】
マウスモデルを使用して、実施例1に記載される読み出しを使用して、候補4Rタウ標的化試薬を試験する。行動計量を行って、運動及び眼の欠損を評価する。タウ凝集体などの行動及び疾患病理を評価する。
【配列表】
【国際調査報告】