(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-07
(54)【発明の名称】コンベヤベルトの側壁固定システム
(51)【国際特許分類】
B65G 17/40 20060101AFI20250228BHJP
【FI】
B65G17/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024546118
(86)(22)【出願日】2023-01-05
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 US2023010201
(87)【国際公開番号】W WO2023154147
(87)【国際公開日】2023-08-17
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508181663
【氏名又は名称】レイトラム,エル.エル.シー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ストング,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ナザール,ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ハルショフ,ゲルコ
(72)【発明者】
【氏名】シュプレンケラー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】デグルート,マイケル ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】バチェルダー,ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】ハニーカット,ジェームス アール.ジュニア
(57)【要約】
波形の側壁を有する1以上のベルトセグメントで構成された、柔軟な熱可塑性プラスチック製コンベヤベルトである。1以上のセグメントは、1以上の接合部で端と端が接合している。側壁の両端部は、ベルトの長さに沿って連続した側壁を形成するように、接合部またはその近傍でファスナによって固定される。このファスナは工具を必要としない工具不要ファスナである。
【選択図】
図5E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤベルトであって、
1以上のベルトセグメントが1以上の接合部で接合され、第1の側から第2の側まで幅が延在するエンドレスのコンベヤベルトループと、
前記コンベヤベルトループの第1の側または第2の側の近くで前記ベルトセグメントの1つに沿って第1の端部から第2の端部まで延在する1以上のセグメント側壁と、
セグメント側壁の第1の端部とセグメント側壁の第2の端部とを、前記1以上の接合部のそれぞれの近くで接合して前記第1の側または第2の側の近くで連続する側壁を形成し、前記1以上の接合部を橋渡しする、1以上のファスナとを具え、
当該ファスナは、前記第1の端部と第2の端部を接合するための工具を必要としない工具不要ファスナであることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項2】
前記ファスナは、前記第1の端部および第2の端部を干渉嵌合で受け入れる1以上のスロットを有するクリップを含む、請求項1に記載のコンベヤベルト。
【請求項3】
前記ファスナは、前記第1の端部と前記第2の端部とを接合するクリップを含む、請求項1に記載のコンベヤベルト。
【請求項4】
前記クリップがU字型、S字型、またはW字型である請求項3に記載のコンベヤベルト。
【請求項5】
前記クリップが、前記第1および第2の端部が干渉嵌合で一緒にクリップされる単一のクリップスロットを有するU字形である、請求項3に記載のコンベヤベルト。
【請求項6】
前記クリップがS字形状であり、干渉嵌合で、前記第1の端部を受け入れる第1のクリップスロットと、前記第2の端部を受け入れる第2のクリップスロットとでなる、反対側に開いた一対のクリップスロットを有する、請求項3に記載のコンベヤベルト。
【請求項7】
前記クリップがW字形状であり、干渉嵌合で、前記第1の端部を受け入れる第1のクリップスロットと、前記第2の端部を受け入れる第2のクリップスロットとでなる、一対のクリップスロットを有する、請求項3に記載のコンベヤベルト。
【請求項8】
前記ファスナが、前記第1の端部を受け入れるスロットを有する第1のクリップと、前記第2の端部を受け入れるスロットを有する第2のクリップとを具え、前記第1および第2のクリップが、前記第1および第2の端部を接合するために前記第1のクリップを前記第2のクリップに引き付ける永久磁石を有する、請求項1に記載のコンベヤベルト。
【請求項9】
前記ファスナが、
前記第1の端部で前記セグメント側壁と一体化された第1のファスナ要素と、
前記第2の端部で前記セグメント側壁と一体化された第2のファスナ要素とを具え
前記第1のファスナ要素を前記第2のファスナ要素に係合させて前記第1の端部と前記第2の端部とをかみ合わせ、前記1以上の接合部を橋渡しする連続的な側壁を形成することにより、前記1以上のセグメント側壁の第1の端部と第2の端部が接合される、請求項1に記載のコンベヤベルト。
【請求項10】
前記第1のファスナ要素が前記第1の端部から延びるタブであり、前記第2のファスナ要素は、前記第2の端部に形成され前記第1の端部にある前記タブを受け入れて保持する大きさ壁スロットである、請求項9に記載のコンベヤベルト。
【請求項11】
前記タブが、前記壁スロットの最大寸法よりも大きい外径寸法を有する拡大ヘッドを有する、請求項10に記載のコンベヤベルト。
【請求項12】
前記拡大ヘッドは剛性であり、前記第2の端部は、前記拡大ヘッドが前記壁スロットに挿通される際に前記第2の端部が弾性的に変形して前記壁スロットが拡大できるように十分に可撓性である、請求項11に記載のコンベヤベルト。
【請求項13】
前記拡大ヘッドが矢じり形状である、請求項11に記載のコンベヤベルト。
【請求項14】
前記タブまたは前記第2の端部は、前記タブが前記壁スロットに挿入される際に、前記前記タブが弾性的に変形し、または前記第2の端部が弾性的に変形して前記壁スロットが拡大できるように、十分に可撓性である、請求項10に記載のコンベヤベルト。
【請求項15】
前記壁スロットは前記セグメント側壁の端部に開口している、請求項10に記載のコンベヤベルト。
【請求項16】
前記壁スロットが閉じた周縁部を有する、請求項10に記載のコンベヤベルト。
【請求項17】
前記タブが、拡大ヘッドと、当該拡大ヘッドを前記セグメント側壁の第1の端部の縁部に接続するネックとを有し、前記壁スロットが、前記セグメント側壁の第2の端部の縁部に狭い隙間を介して開口しており、この隙間の幅は、前記壁スロット内に前記タブを保持するために前記ネックの幅よりも小さい、請求項10に記載のコンベヤベルト。
【請求項18】
前記タブが、シャンクとフック端部とを有するフック形状であり、前記壁スロットが、前記フック端部が前記第2のセグメント側壁に引っかけられた状態で前記シャンクを受容する開放側を有する、請求項10に記載のコンベヤベルト。
【請求項19】
前記第1および第2の端部に少なくとも2対の第1および第2のファスナを有する、請求項9に記載のコンベヤベルト。
【請求項20】
前記1以上のファスナが、
前記第1の端部から延在する、上側タブ、下側タブ、および前記上側タブと下側タブの間の中間タブと、
前記第2の端部の、上部壁スロット、下部壁スロット、および前記上部壁スロットと下部壁スロットの間の中間壁スロットとを具え、
前記第2の端部の上部壁スロット、下部壁スロット、および中間壁スロットが、前記第1の端部から延在する上側タブ、下側タブ、および中間タブを受け入れて保持する大きさである、請求項1に記載のコンベヤベルト。
【請求項21】
前記上側タブが前記第1の端部から斜め上方に延び、前記下側タブが前記第1の端部から斜め下方に延び、前記第2の端部が垂直エッジを有し、前記上部壁スロットが前記垂直エッジに向けて上方かつ外側に細長く延び、前記下部壁スロットが前記垂直エッジに向けて下方かつ外側に細長く延びる、請求項20に記載のコンベヤベルト。
【請求項22】
前記1以上のファスナが、互いに磁気的に引き合う材料で作られている、請求項1に記載のコンベヤベルト。
【請求項23】
前記1以上のファスナがそれぞれ、前記第1の端部に1以上の第1の永久磁石を具え、前記第2の端部に1以上の第2の永久磁石または1以上の鉄要素を具える、請求項22に記載のコンベヤベルト。
【請求項24】
前記第1のファスナ要素が雄スナップであり、前記第2のファスナ要素が雌スナップであり、これらは互いにスナップする、請求項9に記載のコンベヤベルト。
【請求項25】
前記1以上のファスナが、前記接合部の上方で前記第1および第2の端部を接合する、請求項1に記載のコンベヤベルト。
【請求項26】
前記1以上のファスナが、前記接合部から前記エンドレスコンベヤベルトループに沿ってオフセットして前記第1および第2の端部を接合する、請求項1に記載のコンベヤベルト。
【請求項27】
前記1以上のセグメント側壁が、前記第1および第2の端部を除く長さに沿って前記ベルトセグメントに溶接された底部を有する、請求項1に記載のコンベヤベルト。
【請求項28】
前記ファスナが、前記第1および第2の端部を貫通する一連の穴と、前記第1および第2の端部を固定するために前記第1および第2の端部の穴に通されたスパイラルワイヤとを具える、請求項1に記載のコンベヤベルト。
【請求項29】
前記スパイラルワイヤが、一方の端部の拡大ヘッドと、このヘッドから前記第1および第2の端部の厚さの合計よりもわずかに大きい距離だけ離れたビードとを有し、前記ヘッドと前記ビードの寸法は前記穴の寸法よりも大きい、請求項28に記載のコンベヤベルト。
【請求項30】
前記ファスナが、
前記第1の端部に沿って垂直方向に間隔をあけて配置された第1の一連のアイレットと、
前記第2の端部に沿って垂直方向に間隔をあけて配置された第2の一連のアイレットと、
接続ピンとを具え、
前記第1および第2の端部を接合するために、前記第1の一連のアイレットが、前記第2の一連のアイレットと交互配置され、前記接続ピンを受け入れる垂直通路を形成するように垂直に整列される、請求項1に記載のコンベヤベルト。
【請求項31】
前記第1および第2の一連のアイレットが金属製のヒンジ式ベルトレース要素である、請求項30に記載のコンベヤベルト。
【請求項32】
前記1以上のファスナが、
前記第1の端部で前記セグメント側壁と一体化された第1のファスナ要素と、
前記第2の端部で前記セグメント側壁と一体化された第2のファスナ要素と、
第1の側縁部から反対側の第2の側縁部まで延び、前記第1の側縁部に第1のパッチファスナ要素を有し、前記第2の側縁部に第2のパッチファスナ要素を有する可撓性側壁パッチとを具え、
前記1以上のセグメント側壁は、前記第1のファスナ要素を前記第1のパッチファスナ要素に係合させ、前記第2のファスナ要素を前記第2のパッチファスナ要素に係合させることによって接合され、前記1以上の接合部を橋渡しする連続的な側壁を形成する、請求項1に記載のコンベヤベルト。
【請求項33】
前記第1のファスナ要素が、前記第1の端部から延在する1以上の第1のタブを含み、前記第1のパッチファスナ要素が、前記第1の端部において前記1以上の第1のタブを保持する大きさに前記第1の側縁部に形成された1以上のスロットを含むか、またはその逆であり、前記第2のファスナ要素が、前記第2の端部から延在する1以上の第2のタブを含み、前記第2のパッチファスナ要素が、前記第2の端部において前記1以上の第2のタブを保持する大きさに前記第2の側縁部に形成された1以上のスロットを含むか、またはその逆である、請求項32に記載のコンベヤベルト。
【請求項34】
前記可撓性側壁パッチと前記セグメント側壁とが同じ材料で作られている、請求項32に記載のコンベヤベルト。
【請求項35】
前記可撓性側壁パッチと前記セグメント側壁とが同じ厚さまたは同じ高さを有する、請求項32に記載のコンベヤベルト。
【請求項36】
コンベヤベルトであって、
1以上のベルトセグメントが1以上の接合部で接合され、第1の側から第2の側まで幅が延在するエンドレスのコンベヤベルトループと、
それぞれ前記コンベヤベルトループの第1の側または第2の側の近くで前記ベルトセグメントの1つに沿って第1の端部から第2の端部まで延在する1以上のセグメント側壁とを具え、これらの側壁がそれぞれ、
前記第1の端部において前記セグメント側壁と一体化された第1のファスナ要素と、
前記第2の端部において前記セグメント側壁と一体化された第2のファスナ要素とを具え、
前記1以上のセグメント側壁は、前記第1のファスナ要素を前記第2のファスナ要素に係合させて前記第1の端部と前記第2の端部とをかみ合わせ、前記1以上の接合部を橋渡しする前記第1の側または第2の側に近い連続的な側壁を形成することによって、前記第1の端部と第2の端部とを接合することを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項37】
前記第1および第2の端部に少なくとも2つの第1および第2のファスナを有する、請求項36に記載のコンベヤベルト。
【請求項38】
前記1以上のファスナが永久磁石を含む、請求項36に記載のコンベヤベルト。
【請求項39】
前記第1のファスナ要素が雄スナップであり、前記第2のファスナ要素が雌スナップであり、これらは互いにスナップする、請求項36に記載のコンベヤベルト。
【請求項40】
前記1以上のファスナが、前記ジョイントの上方で前記第1および第2の端部を接合する、請求項36に記載のコンベヤベルト。
【請求項41】
前記1以上のファスナが、前記接合部から前記エンドレスコンベヤベルトループに沿ってオフセットして前記第1および第2の端部を接合する、請求項36に記載のコンベヤベルト。
【請求項42】
前記1以上のセグメント側壁が、前記第1および第2の端部を除く長さに沿って前記ベルトセグメントに取り付けられた底部を有する、請求項36に記載のコンベヤベルト。
【請求項43】
前記第1のファスナ要素が前記第1の端部から延びるタブであり、前記第2のファスナ要素は、前記第2の端部に形成され前記第1の端部にある前記タブを受け入れて保持する大きさ壁スロットである、請求項36に記載のコンベヤベルト。
【請求項44】
前記タブが、前記壁スロットの最大寸法よりも大きい外径寸法を有する拡大ヘッドを有する、請求項43に記載のコンベヤベルト。
【請求項45】
前記タブが剛性ノブであり、前記壁スロットが円形であり、前記剛性ノブが前記壁スロットに挿入される際に前記円形の壁スロットが拡大するように前記第2の端部が弾性変形できるように前記第2の端部が十分に可撓性である、請求項43に記載のコンベヤベルト。
【請求項46】
前記タブまたは前記第2の端部は、前記タブが前記壁スロットに挿入される際に、前記前記タブが弾性的に変形し、または前記第2の端部が弾性的に変形して前記壁スロットが拡大できるように、十分に可撓性である、請求項43に記載のコンベヤベルト。
【請求項47】
前記タブが、拡大ヘッドと、当該拡大ヘッドを前記セグメント側壁の第1の端部の縁部に接続するネックとを有し、前記壁スロットが、前記セグメント側壁の第2の端部の縁部に狭い隙間を介して開口しており、この隙間の幅は、前記壁スロット内に前記タブを保持するために前記ネックの幅よりも小さい、請求項43に記載のコンベヤベルト。
【請求項48】
前記タブがフック形状であり、フック端部が前記壁スロットを介して前記第2のセグメント側壁に引っ掛けられる、請求項43に記載のコンベヤベルト。
【請求項49】
コンベヤベルトであって、
1以上のベルトセグメントが1以上のジョイントで接合され、第1の側から第2の側まで幅が延在するエンドレスのコンベヤベルトループと、
前記コンベヤベルトループの第1の側または第2の側の近くで前記ベルトセグメントの1つに沿って第1の端部から第2の端部まで延在する1以上のセグメント側壁と、
セグメント側壁の第1の端部とセグメント側壁の第2の端部とを、前記1以上のジョイントのそれぞれの近くで接合して前記第1の側または第2の側の近くで連続する側壁を形成し、前記1以上のジョイントを橋渡しする、1以上のクリップとを具えることを特徴とするコンベヤベルト。
【請求項50】
前記クリップは、前記第1の端部および第2の端部を干渉嵌合で受け入れる1以上のスロットを有する、請求項49に記載のコンベヤベルト。
【請求項51】
前記クリップが、前記第1および第2の端部が干渉嵌合で一緒にクリップされる単一のクリップスロットを有するU字形である、請求項49に記載のコンベヤベルト。
【請求項52】
前記クリップがS字形状であり、干渉嵌合で、前記第1の端部を受け入れる第1のクリップスロットと、前記第2の端部を受け入れる第2のクリップスロットとでなる、反対側に開いた一対のクリップスロットを有する、請求項49に記載のコンベヤベルト。
【請求項53】
前記クリップがW字形状であり、干渉嵌合で、前記第1の端部を受け入れる第1のクリップスロットと、前記第2の端部を受け入れる第2のクリップスロットとでなる、一対のクリップスロットを有する、請求項49に記載のコンベヤベルト。
【請求項54】
前記クリップのうちの第1のクリップが、前記第1の端部を受け入れるスロットを有し、前記クリップのうちの第2のクリップが、前記第2の端部を受け入れるスロットを有し、前記クリップが、前記第1の端部と前記第2の端部を固定するために前記クリップのうちの前記第1のクリップと前記第2のクリップを一緒に保持するために互いに引き合う永久磁石を有する、請求項49に記載のコンベヤベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に動力駆動式コンベヤベルトに関し、より具体的には、ベルトセグメントの側壁の端部をジョイントで固定して、連続的な側壁を有するエンドレスコンベヤベルトを形成することに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に衛生と清潔さが重要視される用途の製品搬送には、長さ方向に柔軟で、ヒンジ接合部がほとんどまたは全くない熱可塑性プラスチック製コンベヤベルトが使用される。多数のヒンジ接合部で端と端が連結された、列状に配置された剛性モジュールを含むモジュール式プラスチックコンベヤベルトは、あまり衛生的でない。モジュール式コンベヤベルトの多くのヒンジ接合部には隅々まで細菌が繁殖し、洗浄で除去するのは困難となる。そのため、ヒンジ接合部がほとんどまたは全くないフレキシブルな熱可塑性プラスチックコンベヤベルトは、衛生的な用途に適している。
【0003】
このようなフレキシブルベルトの一例は、長い押出成形ベルトセグメントの一端を他端に溶接して、ヒンジ接合部のないエンドレスのベルトループを形成したものである。エンドレスのヒンジレスベルトは、複数の押出成形ベルトセグメントを端と端を溶接することによって形成することもできる。別の例としては、押出成形セグメントの対向する端部に突き合わせ溶接された端部を持つ1以上のベルトセグメントからなるベルトがある。接合されるベルトセグメントの対向する端部には、ヒンジアイが交互に配置されている。ヒンジロッドが、交互配置されたヒンジアイを通して横方向通路に挿入され、ヒンジ接合部でベルトセグメントを連結する。ヒンジ接合部からヒンジロッドを引き抜くことでヒンジ接合部が開き、ベルトをコンベアから取り出すことができる。また、必要なヒンジ接合部は1つまたは数個だけなのでベルトは衛生的であり、特にヒンジ接合部の数が多いモジュール式ベルトに比べ、衛生的である。
【0004】
囲わないと、リンゴや梨のような丸みのある製品が、ベルトの側部から落下しやすくなる。コンベヤベルトの対向する側部に沿って設けられた側壁は、ベルト上の製品を囲うように用いられる。フレキシブルな熱可塑性プラスチックベルトの場合、両側に沿って波形の側壁が使用されることが多い。波形構造は、ベルトがドライブおよびアイドルスプロケットまたはドラムを通過する際のベルトの曲げに耐えるのに必要な柔軟性を側壁に与える。ヒンジレスベルトでは、側壁の端部同士を溶接して、エンドレスベルトループの長さに沿って連続した側壁を形成することができる。
【0005】
しかし、ヒンジのあるベルトでは、ヒンジ接合部の取り付けと取り外しの利点を維持するために、ヒンジ接合部において側壁を溶接することができない。ヒンジ接合部で側壁の端部同士を接合する1つの方法は、各ベルトの端部で側壁の延長端を重ね合わせ、ヒンジ接合部の上に折り返し部分を作ることである。そして、一対の金属プレートの穴と一致するように、重なり合った側壁の部分に穴を開ける。一方のプレートの穴は、重なる側壁部分の穴と整列するようにする。その後、プレートと側壁部分の穴にネジを挿入する。次に、もう一方のプレートを、重なり合った側壁部分の反対側にあるネジの端にはめ込む。その後、ロックナットを使ってプレートを固定して側壁の端部同士を固定し、ベルトループの長さに沿って連続した側壁を形成する。さらに安全性を高めるため、ヒンジ接合部の反対側の重なり合う側壁にも同様に2組目のプレートを取り付ける。プレートの取り付けには、時間がかかるだけでなく、側壁の両端を固定するクランプ、ネジ穴を開けるドリル、穴あけ時に側壁を支えるブロック、ネジやナットを締めるスパナやドライバなどの工具が必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の特徴を具現化したコンベヤベルトの1つのバージョンは、1以上のベルトセグメントが1以上の接合部で接合され、第1の側から第2の側へ幅方向に延びるエンドレスコンベヤベルトループを構成する。セグメント側壁が、前記コンベヤベルトループの第1の側または第2の側に近い各ベルトセグメントに沿って第1の端部から第2の端部まで延びる。ファスナが、セグメント側壁の第1の端部と、1以上の接合部のそれぞれに近いセグメント側壁の第2の端部とを接合し、前記第1の側または第2の側に近い連続した側壁を形成し、1以上の接合部を橋渡しする。前記ファスナは、前記第1の端部と第2の端部を接合するための工具を必要としない工具不要のファスナである。
【0007】
コンベヤベルトの別のバージョンは、1以上のベルトセグメントが1以上の接合部で接合され、第1の側から第2の側まで幅が広がるエンドレスのコンベヤベルトループを構成する。セグメント側壁が、前記コンベヤベルトループの第1の側または第2の側に近い各ベルトセグメントに沿って第1の端部から第2の端部まで延びる。各側壁は、第1の端部において前記セグメント側壁と一体化した第1のファスナ要素と、第2の端部において前記セグメント側壁と一体化した第2のファスナ要素を含む。セグメント側壁は、前記第1のファスナ要素を前記第2のファスナ要素に係合させて前記第1の端部と第2の端部とをかみ合わせ、第1の側または第2の側に近い連続的な側壁を形成し、1以上の接合部を橋渡しすることにより、前記第1の端部と第2の端部とを接合する。
【0008】
コンベヤベルトのさらに別のバージョンは、1以上のベルトセグメントが1以上の接合部で接合され、第1の側から第2の側まで幅が広がるエンドレスのコンベヤベルトループを構成する。セグメント側壁が、前記コンベヤベルトループの第1の側または第2の側に近い各ベルトセグメントに沿って第1の端部から第2の端部まで延びる。クリップが、セグメント側壁の第1の端部と、1以上の接合部のそれぞれに近いセグメント側壁の第2の端部とを接合し、前記第1の側または第2の側に近い連続した側壁を形成し、1以上の接合部を橋渡しする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の特徴を具現化した波形の側壁を有するエンドレスのフレキシブルな熱可塑性プラスチックコンベヤベルトの一部の等角図である。
【
図2】
図2Aおよび
図2Bは、側壁ファスナの1つのバージョンを示す、
図1のコンベヤベルトの一方の側の2つの視点からの拡大図である。
【
図3】
図3は、側壁ファスナの別バージョンを示すコンベヤベルトの片側の拡大図である。
【
図4】
図4Aおよび
図4Bは、
図3のコンベヤベルトを形成するために接合されるコンベヤベルトセグメントの反対側の端部の等角図である。
【
図5】
図5A~5Eは、側壁ファスナの第3のバージョンを使用した、2つのベルトセグメントとその側壁の接合を段階的に示す。
【
図6】
図6A~6Fは、
図5A~5Eのファスナのデュアルバージョンを使用した2つのベルトセグメントとその側壁の接合を段階的に示す。
【
図7】
図7Aおよび
図7Bは、側壁ファスナのさらに別のバージョンを2つの視点から見た図である。
【
図8】
図8Aおよび
図8Bは、接続前の側壁固定スナップを2つの視点から見た図であり、
図8Cは、側壁がスナップ結合された後のコンベヤベルトのエッジ部分を示す図である。
【
図9】
図9Aおよび
図9Bは、セグメント側壁を磁力で固定する前後のコンベヤベルトの片側を示す図である。
【
図13】
図13は、2つの磁気クリップで側壁を固定したコンベヤベルトの片側を示す図である。
【
図16】
図16は、側壁がスパイラルワイヤで固定されたコンベヤベルトの片側を示す図である。
【
図17】
図17は、側壁が整列したアイレットを介して連結ピンによって固定されたコンベヤベルトの片側を示す図である。
【
図18】
図18は、各側壁に一体型の嵌合金属レースを有する2つのベルトセグメントの図である。
【
図20】
図20は、
図5A~5Eと同様の側壁ファスナの別のバージョンの等角図であり、ファスナ要素が二重になっている。
【
図21】
図21は、
図20と同様の側壁ファスナの軸方向図であり、3つのファスナ要素を有する。
【
図22】
図22は、側壁パッチファスナの第1バージョンの軸方向図である。
【
図23】
図23は、側壁パッチファスナの第2バージョンの軸方向図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、長さに沿って柔軟であり、1つのバージョンのファスナシステムによって締結された側壁を有するエンドレスコンベヤベルトの一部を示す図である。コンベヤベルト20は、ヒンジ接合部24で接合された1以上のベルトセグメント22、23で構成されている。各ベルトセグメント22、23は、長い主部分30、31の端部28、29に突き合わせ溶接されたヒンジ部分26、27を含む。主部分30、31は典型的には押し出し成形で作られ、ヒンジ部分26、27は典型的には成型品である。どちらも熱可塑性ポリマー(例えばポリウレタン)、エラストマー、ゴムなどの弾力性のある素材で作られる。各ヒンジ部分26、27は、ベルトセグメント22、23の端部に沿って横方向に間隔をあけて設けられた一組のヒンジアイ32、33を有する。単一のベルトセグメントまたは接合される隣接ベルトセグメントの対向する端部のヒンジアイ32、33は、横方向の通路を形成するようにインターリーブされ、整列されている。通路に挿入されたヒンジロッド34が、ヒンジ接合部24で両端部を連結する。
【0011】
エンドレスコンベヤベルトは、両端がヒンジ接合部24で連結された単一のベルトセグメントで構成してもよいし、複数のヒンジ接合部で連結された複数のベルトセグメントで構成されてもよい。この例では、各ベルトセグメント22、23は、ベルト20の幅にわたって底面に第1の側部38から反対側の第2の側部39まで横方向に延びる等間隔のドライブバー36を有する。ドライブバー36は、ベルト20を駆動するモーター駆動のスプロケットまたはドラムに噛み合わされる。ドライブバー36は、押出成形されたシートから材料を機械加工することによって、押出成形直後にシートをカレンダー加工することによって、または別個形成されたドライブバーを物理的に取り付けることによって形成され得る。ベルトは代替的に、ベルト幅全体に延在しないドライブバーやラグを有してもよいし、ドライブバーがなく、代わりにプーリーで摩擦駆動するようにしてもよい。
【0012】
セグメント側壁40、41は、第1および第2の側部38、39に沿って各ベルトセグメント22、23の長さ方向に延びる。セグメント側壁40、41は、ベルト20がスプロケット、プーリー、またはドラムの周囲で曲がる際の柔軟性のために波形になっている。セグメント側壁40、41の底部は、ヒンジ部分26、27の両端部付近を除き、ベルトセグメント30、31の上面42に溶接されている。セグメント側壁40、41の溶接長さは、ドライブバー36の規則的な間隔およびベルトセグメントの反対側のセグメント側壁と同期した規則的な波形パターンに従っている。セグメント側壁40、41の溶接されていない端部が、ヒンジ接合部24の近傍でファスナ44によって接合され、コンベヤベルト20の第1および第2の側部38、39の近くで連続した側壁を形成する。このバージョンでは、セグメント側壁40、41は、第1および第2の側部38、39のベルト縁部からわずかに内側にある。
【0013】
側壁ファスナ44を、
図2Aおよび
図2Bに詳細に示す。ファスナ44は、(1)第1のセグメント側壁40の端部にあるタブ46と、(2)第2のセグメント側壁41の端部にある壁スロット48との2つのファスナ要素を具える。壁スロット48は、縁部の2つの対向するリップ53によって形成される狭い隙間52を介して、第2のセグメント側壁41の垂直縁部50に開口している。タブ46は、狭まったネック55によって第1のセグメント側壁40の垂直エッジ51に接続された拡大ヘッド54を有する。リップからリップまでの隙間52の幅56は、タブ46を壁スロット48に保持するために、ネック55の幅よりも小さい。そして、ヘッド54の外形寸法は壁スロット48の最大寸法よりも大きい。セグメント側壁40、41はベルトセグメント22、23と同じ可撓性の熱可塑性材料で作られているため、第2のセグメント側壁41は弾性変形して隙間52を広げることができる。そして、側壁と同じ材料で作られたタブ55を、曲げたりねじったりして広げられた隙間に通し、
図2Aおよび
図2Bに示すように、壁スロット48内でリラックスしたロック位置に納めることができる。2つのセグメント側壁40、41の固定を解除するには、タブ46を弾性変形させ、必要に応じて隙間52を広げてタブを通過させればよい。このバージョンでは、ファスナはヒンジ接合部24の真上に配置されている。
【0014】
側壁ファスナ58の別のバージョンを、
図3、4A、および4Bに示す。このバージョンでは、第1のセグメント側壁60の端部に、フック形状のタブ64の形態の第1のファスナ要素を有し、これがシャンクの端部から垂直に延びるフック端部67へと水平方向に延びるシャンク66を含む。第2のセグメント側壁は、第2のファスナ要素として側壁の上部水平縁部に開口するノッチ形状の壁スロット62を具える。シャンク66が、第2のセグメント側壁60の上端部にある開口端を通してスロット62に受け入れられる。タブ64のフック端67が第2のセグメント側壁60の外側に引っ掛かり、セグメント側壁60、61をロックして、連続した側壁が形成される。このバージョンでは、ファスナ58はコンベヤベルトの長さに沿ってヒンジ接合部24からオフセットされている。
【0015】
図5A~5Eは、側壁ファスナのさらなるベルのバージョンを示し、さらにベルトセグメントの端部とセグメント側壁の端部を接合するための一連の工程を示す。ファスナ68は、第1のファスナ要素として、
図2Aおよび
図2Bのタブ46と同様のタブ70を含む。タブ70は、第1のベルトセグメント端部82の第1のセグメント側壁78の第1の端部80の垂直エッジ76から外側に延びるシャフト74の端部、すなわちネックに矢じり形状をした拡大ヘッド72を有している。タブ70は側壁と同じ材料で作られ、側壁と一体的に形成されている。第2のベルトセグメント端部83の第2のセグメント側壁79には、第2のファスナ要素として、第2の端部81に壁スロット84が形成されている。壁スロット84は閉じた周縁部85を有する。壁スロット84は、矢じり72の最大外径寸法よりも小さい寸法の楕円形として示されている。しかし、壁スロット84は他の形状とすることができる。例えば、円形、楕円形、長方形、あるいは細いスリットなどにすることができる。
【0016】
安全性を高めるために、
図20に示す側壁ファスナ168は、第1のセグメント側壁178に2つのタブ170と2つの矢印172を有し、第2のセグメント側壁179に2つの壁スロット184を有する。さらに安全なバージョンを
図21に示す。側壁ファスナ186は、第1のセグメント側壁192に拡大ヘッド191を持つ3つのタブ188、189、190を具え、第2のセグメント側壁198に3つの壁スロット194、195、196を具える。中間のタブ189は、第1のセグメント側壁192からコンベヤベルト202の上面200に平行に延びている。上部タブ188は上向きに、下部タブ190は下向きに傾斜している。対応する上下の壁スロット194、196も同様に、第2のセグメント側壁198で斜めに傾斜している。上部壁スロット194は、第2のセグメント側壁198の垂直エッジ199に向けて上方かつ外側に細長く、下部壁スロット196は、垂直エッジに向かけて下方かつ外側に細長くなっている。中間の壁スロット195は垂直方向に細長くなっている。タブ188、189、190の間の第1のセグメント側壁192から延びるストップ面204は、タブが壁スロット194、195、196に挿入されて側壁を互いに固定する際に、第2のセグメント側壁198に当接する。
【0017】
2つのベルトセグメント80、81とセグメント側壁78、79の接合順序を、
図5A~5Eに示す。
図5Aの2つの分離したベルトセグメント端部82、83が、
図5Bではヒンジアイ32、33をインターリーブした状態で接合されている。次に、ヒンジロッド34を、整列されインターリーブされたヒンジアイ32、33によって形成された横方向通路に挿入し、セグメント端部82、83をヒンジ接合部24で連結する。
図5Cに示すように、第1のセグメント側壁78の長い方の第1端部80を、第2のセグメント側壁79の短い方の第2端部81の外側でヒンジ接合部24を越えて引っ張り、第2のセグメント側壁の周りに折り返す。次に、タブ70を壁スロット84に合わせる。最後に、
図5Dと
図5Eに示すように、タブ70を変形させ、壁スロット84に押し込むことで、セグメント側壁78、79を接合させ、ヒンジ接合部24を橋渡しする連続的な側壁を形成する。
図2A~4Bのファスナおよびベルトセグメントにも同様の一連の手順が適用される。
【0018】
図6A~6Fは、それぞれ
図5A~5Eのファスナ68のような二重ファスナを有する側壁固定システムを示している。各セグメント側壁端88、89にはタブ70、70’とスロット84、84’がある。側壁の接合シーケンスを
図6C~6Fに示す。
図6Bに示すように、第1および第2のセグメント端部90、91が体調不良のため、在宅で勤務ヒンジ接合部24で連結された後、第2のセグメント側壁端部89がヒンジ接合部を越えて折り曲げられ、そのタブ70’が第1の側壁端部88の壁スロット84と位置合わせされる。その後、
図6Dに示すように、タブ70’を壁スロット84に押し入れる。次に、
図6Eに示すように、第1の側壁端部88を第2の側壁端部89の周囲で折り曲げ、そのタブ70を第2の側壁端部の壁スロット84’に整列させる。次に、
図6Fに示すように、タブ70を第2の側壁端の壁スロット84’に押し込んで、セグメントの側壁端部88、89を一緒に固定する。このバージョンでは、ファスナはヒンジ接合部24の両側にまたがる。
【0019】
図7Aおよび
図7Bに、別の側壁ファスナを示す。このバージョンでは、第1のファスナ要素は、第1の側壁端部92に恒久的に固定された硬いキノコ形状のノブ90またはタブである。第2のファスナ要素は、第2の側壁端部93に形成された閉じた壁スロット91である。ノブ90は、ステム95(ネック)の先端に拡大ヘッド94を有する。壁スロット91の寸法は、ノブ90のヘッド94の最大外径寸法より小さく、ネック95の外径寸法より大きい。長い方の第2のセグメント端部93をヒンジ接合部24を越えて折り曲げ、その壁スロット91をノブ90と整列させたら、ノブを壁スロットに押し込んでセグメントの側壁を接合する。
図7Aおよび
図7Bに示すファスナは、さらなるセキュリティのために、第2のノブ90’と、対応する第2の壁スロット91’を有する。ただし、ノブとスロットは1つでもよい。
【0020】
図8A~8Cに示すファスナ96は、ファスナ要素としてオスとメスのスナップ98、99を用いる。この例では2対のスナップを示すが、1対のスナップを使用してもよい。スナップ98、99はセグメント側壁端部100、101に固定されている。スナップ98、99は、ヒンジ接合部24からオフセットしたところでスナップ留めされ、折り曲げた側壁端部100、101を接合する。
【0021】
図9Aおよび
図9Bは、マグネット式側壁ファスナを示す。1つ以上の永久磁石102(この例では3つ)が第1のセグメント側壁端部104に埋め込まれている。第2のセグメント側壁端部105には、他方の側壁端部104の永久磁石102と空間的に整列する3つの永久磁石103が埋め込まれている(セグメント側壁端部104、105は、磁石102、103が見えるように切り欠いて示す)。磁石102、103の極は、
図9Bに示すように磁石が互いに引き合ってセグメント側壁端部104、105を結合し、ヒンジ接合部24を橋渡しする連続的な側壁を形成するように配置されている。セグメント側壁端部の一方にある磁石の代わりに、鉄要素を使用してもよい。セグメントの側壁端部の他方の磁石が、鉄要素を引き寄せて端部同士を固定する。
【0022】
これまで説明したファスナはすべて、
図1~6Fのように側壁の延長部や付属部、あるいは側壁の開口部であることによって、あるいは
図7A~9Bのように側壁に恒久的に固定される拘束要素であることによって、セグメント側壁の恒久的な部分であるという点で、セグメント側壁と一体化したファスナ要素を含む。また、これら一体型の側壁ファスナはいずれも、セグメント側壁の端部同士を固定したり外したりするための工具は必要としない。これらの工具不要ファスナを使えば、固定と取り外しを手だけで行うことができる。
【0023】
図10A~12Bは、工具を使わずにセグメント側壁を手で固定したり外したりするのに使用できる別の工具不要ファスナのファミリを示すが、これに含まれるファスナ要素は、側壁のすべてが完全に一体化した部分となっていない。このファミリは、クリップと連結部材で構成されている。
【0024】
図10Aおよび
図10Bに示すクリップ110は、ベース112と、クリップスロット116を囲む2本の平行なアーム114を有する。クリップ110は断面U字形で、上から下まで十分な長さがあり、そのスロット116はセグメント側壁の第1および第2の端部118、119を一緒に固定するのに十分な深さがある。
図10Bに示すように、2つのセグメント側壁端部118、119は、U字型クリップ110のスロット116内で、干渉嵌合(interference fit)で並んできつく圧迫されている。クリップのアーム114の遠位端は、セグメント側壁端部118、119の縁をクリップスロット116に挿入しやすいように面取りされている。U字型クリップ114では、2つのセグメント側壁端部118、119は互いの上に折り曲げられない。むしろ、これらはヒンジ接合部24の真上でクリップ110によって並んで保持される。
【0025】
図11Aおよび
図11Bは、S字型クリップ120を示す。クリップ120は断面がS字形で、反対方向に開く2つの平行なクリップスロット122、123を形成する。
図10Aおよび
図10BのU字型クリップ110と同様に、S字型クリップ120は、セグメント側壁端部124、125の進入を容易にするため、スロット122、123への開口部が面取りされている。
図11Bに示すように、第1のセグメント側壁の長い方の端部124は、ヒンジ接合部24より第2のセグメント側壁側で、第2のセグメント側壁の短い方の端部125と重なるように折り曲げられる。第1のセグメント側壁の端部124は外向きに開口したクリップスロット123に受容され、第2のセグメント側壁の端部125は内向きに開口したクリップスロット122に受容される。このように、S字型クリップファスナは、ベルトの長さ方向に沿ってヒンジ接合部24からずれた地点でセグメント側壁を固定して連続した側壁にする。
【0026】
図12Aおよび
図12Bでは、2つのセグメント側壁端部118、119は、W字型クリップ130によって一緒に保持されている。クリップ130は、ベース134から伸びる2本の外脚132と1本の内脚133を具える。外脚132と内脚133の間にはクリップスロット136、137が形成される。スロット136、137は互いに斜めになっており、開放端に向かって互いに乖離している。スロット136、137はそれぞれ、セグメント側壁端部118、119の対応する一方を、セグメント側壁を締め付ける干渉嵌合で受容する。
図10BのU字型クリップ110と同様に、このW字型クリップ130はヒンジ接合部24の上方で2つの側壁端部118、119を接合する。
【0027】
図13は、各セグメント側壁端部208、209をクランプした2つのクリップ206、206’を示す。
図15に示すように、永久磁石210がクリップ206の脚部212に埋め込まれている。2つのクリップ206、206’は同一で、脚部212にボタン214と穴216を有する。
図14に示すように、同一の磁気クリップ206、206’は、対向する脚部212の穴216とボタン214が合致し、各クリップの永久磁石210が確実に整列するように配置されている。このようにすると、2つのセグメント側壁端部208、209が固定され、簡単に外れる。
【0028】
図16は、スパイラルワイヤ222で固定された2つのセグメント側壁端部220、221を示す。各セグメント側壁端部220、221には、一連の規則的な間隔の穴224がある。第1のセグメント側壁端部220の穴224は、第2のセグメント側壁端部221の穴224と整列している。スパイラルワイヤ222は、上端部226から下端部227まで延在する。穴224の寸法よりも大きな寸法の拡大ヘッド228が、ワイヤの先端部226を終端している。スパイラルワイヤ222上のビード229は、スパイラルに沿って拡大ヘッド228から、2つのセグメント側壁端部220、221の合計厚さよりわずかに大きい距離だけ離れている。下端部227は、セグメント側壁端部220、221の上部から、ビード229が一番上の穴を通過するまで、整列した穴224に通される。ビード229を一番上の穴に押し込む際には、穴が一時的に拡がる。ビードが通過すると、セグメント側壁の弾性特性によって穴は弛緩位置に戻る。接合されたセグメント側壁端部の両側にある拡大ヘッド228とビード229が、スパイラルワイヤ222を所定の位置にロックする。
【0029】
図17は、セグメント側壁端部230、231を連結ピン232で固定する側壁ファスナの別のバージョンを示す。アイレット234、235が、セグメント側壁端部230、231の縁に沿ってセグメント側壁と一体的に形成されている。内側のアイレット234は、穴が完全に貫通している。上部と下部のアイレット235は、内側のアイレット234から遠位の端で穴が塞がれている。第1のセグメント側壁端部230の端部にあるスリット236により、最上部のアイレット235を弾性的に曲げて他のアイレットと位置をずらすことが可能となり、これにより連結ピン232を、2つのセグメント側壁端部230、231の交互配置されたアイレット234、235の整列した穴によって形成された垂直の通路に挿入したり、そこから引き抜いたりすることができる。上部のアイレット235が弛緩状態に戻ると、連結ピン232の上端をキャップしてロックし、側壁端部同士を固定する。(内側アイレット234の1つは連結ピン232が見えるように切り取って示されている)。
【0030】
図17と同様の固定システムを
図18と
図19に示す。このバージョンでは、2つのセグメント側壁端部240、241の対向する縁部に、側壁に恒久的にリベット留めされた金属ヒンジ付きベルトレース要素242、243がある。第1のセグメント側壁端部240の各レース要素242には、2つのアイレットを具える。第2のセグメント側壁端部241の各レース要素243は、単一のアイレットを具える。2つのセグメント側壁端部240、241の対峙する端部を合わせると、
図19に示すように、レース要素243の単一のアイレットが、相手側レース要素242の2つのアイレットの間に受容される。連結ピン244が、セグメント側壁端部240、241を互いに固定するために、整列され交互配置されたアイレットによって形成された垂直通路を通って延在する。第2のセグメント側壁端部241の上端にある一体型突起246は、連結ピン244の挿入時または引き抜き時に邪魔にならないように撓む。弛緩状態では突起246が通路を塞ぐ。両方のレース要素に複数のアイレットがあるものなど、ヒンジ付きベルトレース要素の他のバージョンを代わりに使用してもよい。
【0031】
セグメント側壁の第1端と第2端はベルトセグメントに溶接されていない。このようにすると、これらを折り曲げて、ヒンジ接合部やその近くでベルトセグメントの上部に取り付けることなく、ヒンジ接合部を橋渡しすることができる。すべての図面において、セグメント側壁の溶接部分は、例えば
図6Eおよび
図10Bに示すように、側壁の底部に沿った溶接ビード140で示されている。ベルトセグメントに溶接されていない側壁端部88、89、118、119の部分は、その底部142に沿って溶接ビードがない部分として図面に明示されている。溶接ビード140はヒンジ接合部24に十分に近い位置で終端しているため、接合させるために側壁端部88、89、118、119の溶接されていない部分をどのように折り曲げたり他の方法で位置合わせするかは、人間の技術者にとって概ね明確である。各セグメント側壁は、セグメント側壁端部間の連続した溶接線で示されているが、溶接部は端部間で断続的であってもよい。
【0032】
図22は、別の固定システムを示す。可撓性の側壁パッチ250が、第1の側縁252から反対側の第2の側縁253まで延在している。大きなヘッドを持つ一体型タブ254の形態のパッチ留め要素が、第1および第2の側縁部252、253から延びている。セグメント側壁258、259の端部には、スロット256の形態の相補的な固定要素が形成されている。側壁パッチ250の側縁252、253にあるタブ254が、2つのセグメント側壁258、259の端部にあるスロット254に挿入され、連続した側壁を形成するために接合される。タブ254が破損したり、側壁パッチ250が損傷した場合、新しい側壁パッチを損傷したパッチと簡単に交換することができる。セグメント側壁を再加工する必要はない。
【0033】
図23のファスナシステムでは、可撓性の側壁パッチ260が第1の側縁262から反対側の第2の側縁263まで延在する。このバージョンでは、ファスナ要素は
図22に示したものと逆である。セグメント側壁268、269の第1および第2端部から延びるタブ264が、側壁パッチ260の第1および第2の側縁262、263に形成されたスロットに挿入され、連続した側壁を形成する。
【0034】
図22および
図23に示すファスナでは、可撓性の側壁パッチ250、260は、側壁の他の部分と一致するように、セグメント側壁と同じ材料で作られるか、または同じ厚さと高さを有することができる。あるいは、側壁パッチは、設置時に可撓性の側壁が想定する湾曲形状を有する硬質材料で作られてもよい。両端にある2対のファスナ要素の代わりに、1対または2対以上のファスナ要素を使用することもできる。さらに、セグメント側壁はその端部にタブとスロットを有し、側壁パッチはその側縁に相補的なスロットとタブを有してもよい。側壁パッチには、前述のような他のファスナ要素を使用することもできる。
【0035】
すべてのファスナは、締めるのと逆の手順で外すことができる。そのため、ヒンジ接合部またはその近くで側壁が固定されたコンベヤベルトを、交換、清掃、または改修のためにコンベヤから取り外す必要がある場合、まずセグメントの側壁の固定を解除し、次にヒンジ接合部からヒンジロッドを取り外してベルト端部を分離する。
【0036】
側壁の接続はすべて、両端がヒンジ接合部で接合された1以上のベルトセグメントで構成されたベルトで示されている。しかし、側壁の接続はすべて、端部を突き合わせ溶接や熱接合、あるいは端部を嵌合ロックや切り継ぎ構造でインターロックするなど、他の方法で形成されたより剛性の高い、あるいはヒンジのない接合部で接合された1つ以上のセグメントで構成されたベルトに使用することができる。第1のセグメントと第2のセグメント、または第1のセグメント側壁と第2のセグメント側壁へのすべての言及は、(a)複数の接合部で接合された複数のセグメントで構成されるベルトにおける、個別のセグメントまたはセグメント側壁、または(b)両端が1つの接合部で接合されてエンドレスベルトループを形成する単一セグメントで構成されるベルトにおける、1つのセグメントまたはセグメント側壁の両端部を意味する。
【国際調査報告】