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特表2025-506139包絡線追跡を用いて増幅器バイアスを調整するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-07
(54)【発明の名称】包絡線追跡を用いて増幅器バイアスを調整するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/02 20060101AFI20250228BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
H03F1/02 111
H03F3/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547211
(86)(22)【出願日】2023-02-09
(85)【翻訳文提出日】2024-10-02
(86)【国際出願番号】 US2023062323
(87)【国際公開番号】W WO2023154823
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】PCT/US2022/015863
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/735,358
(32)【優先日】2022-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523301972
【氏名又は名称】クアンタルアールエフ エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ファード,アリ
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,マッツ
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA13
5J500AA41
5J500AC21
5J500AC36
5J500AC81
5J500AC87
5J500AC92
5J500AF10
5J500AF17
5J500AH06
5J500AH10
5J500AH12
5J500AH29
5J500AH35
5J500AK12
5J500AK49
5J500AM13
5J500AM17
5J500AS14
5J500AT01
5J500LV08
5J500RG01
(57)【要約】
入力信号を受信することと、増幅回路(1308)によって入力信号に応答して出力信号を提供することであって、出力信号が包絡線を有する、提供することと、を含むシステム及び方法。出力信号の包絡線に対応する包絡線検出信号が生成される。増幅回路(1308)に提供されるバイアス電流は、包絡線検出信号に基づいて調整される。増幅回路(1308)は、増幅器及び変圧器(L、L)を含み、変圧器(L、L)は、増幅器の出力から増幅器の入力への磁気結合フィードバックループを確立するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を受信することと、
増幅回路によって、前記入力信号に応答して出力信号を提供することであって、前記出力信号が包絡線を有し、前記増幅回路が、増幅器及び変圧器を含み、前記変圧器が、前記増幅器の出力から前記増幅器の入力への磁気結合フィードバックループを確立するように構成される、提供することと、
前記出力信号の前記包絡線に対応する包絡線検出信号を生成することと、
前記包絡線検出信号に基づいて前記増幅回路に提供されるバイアス電流を調整することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記生成することが、
整流された信号を生成するために前記出力信号を整流することと、
前記整流された信号をフィルタリングすることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記包絡線検出信号が、前記出力信号の前記包絡線に対応する時間的変化を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記増幅器が、ゲート端子を有するトランジスタを含み、前記変圧器が、前記増幅器の出力に結合された一次巻線と、前記ゲート端子に結合された二次巻線とを含み、前記調整することが、前記包絡線検出信号に基づいて前記バイアス電流を調整するように、前記包絡線検出信号を運ぶ電圧を前記二次巻線に印加することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記変圧器の結合係数及び巻数比を選択することによって、前記磁気結合フィードバックループのループ利得をさらに設定する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記変圧器が、前記増幅器の前記出力と直列に接続された一次巻線と、前記増幅器の前記入力に結合された二次巻線とを有し、前記一次巻線及び前記二次巻線が、前記磁気結合フィードバックループを確立するように、前記一次巻線によって生成された磁界の一部が前記二次巻線に結合するように配置され、前記方法が、
前記二次巻線によって、バランを含む負荷構成に前記出力信号を提供すること、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記磁気結合フィードバックループのループ利得が、前記負荷構成のインピーダンスから実質的に独立しており、少なくとも部分的に前記変圧器の結合係数及び巻数比によって定義される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
入力信号に応答して出力信号を提供するように構成された増幅回路であって、前記出力信号が包絡線を有し、前記増幅回路が、増幅器及び変圧器を含み、前記変圧器が、前記増幅器の出力から前記増幅器の入力への磁気結合フィードバックループを確立するように構成される、増幅回路と、
前記出力信号の前記包絡線に対応する包絡線検出信号を生成するように構成された包絡線検出器と、
を備え、
前記増幅回路に提供されるバイアス電流が、前記包絡線検出信号に基づいて調整される、システム。
【請求項9】
前記包絡線検出信号が、前記出力信号の前記包絡線に対応する時間的変化を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記増幅器が、ゲート端子を有するトランジスタを含み、前記変圧器が、前記増幅器の出力に結合された一次巻線と、前記ゲート端子に結合された二次巻線とを含み、前記二次巻線が、前記包絡線検出信号に対応する前記包絡線検出器からの電圧を受信して、前記ゲート端子に前記電圧を設定し、それにより、前記包絡線検出信号に基づいて前記バイアス電流を変化させる、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記包絡線検出器が、
整流された信号を生成するために前記入力信号を整流する1つ又は複数の第1の回路素子と、
前記整流された信号をフィルタリングする1つ又は複数の第2の回路素子と、
を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記変圧器が、選択された結合係数及び巻数比で構成され、前記磁気結合フィードバックループのループ利得が、前記選択された結合係数及び巻数比によって設定される、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記変圧器が、前記増幅器の前記出力と直列に接続された一次巻線と、前記増幅器の前記入力に結合された二次巻線とを有し、前記一次巻線及び前記二次巻線が、前記磁気結合フィードバックループを確立するように、前記一次巻線によって生成された磁界の一部が前記二次巻線に結合するように配置され、前記システムが、前記一次巻線に結合された負荷構成をさらに含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記磁気結合フィードバックループのループ利得が、前記負荷構成内に含まれる負荷のインピーダンスから実質的に独立しており、少なくとも部分的に前記変圧器の結合係数及び巻数比によって定義される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記増幅回路が集積回路として実装され、前記一次巻線及び前記二次巻線が、前記集積回路の異なる金属層に集積される、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記二次巻線のインダクタンス(L)が、所望の動作周波数と同等の共振周波数(f)で共振が生じるように、前記増幅器の前記入力と接地との間の寄生容量(C)と併せて選択される、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
が、
【数1】
として表される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記負荷構成が、前記一次巻線と負荷との間に接続されたバランを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記一次巻線が、前記増幅器の前記出力に接続された第1の端部と、前記バランの第1の端部に接続された第2の端部とを有する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
包絡線を有する入力信号を受信することと、
前記入力信号の前記包絡線に対応する包絡線検出信号を生成することと、
前記包絡線検出信号に基づいて増幅回路に提供されるバイアス電流を調整することであって、前記増幅回路が、増幅器及び変圧器を含み、前記変圧器が、前記増幅器の出力から前記増幅器の入力への磁気結合フィードバックループを確立するように構成され、前記増幅器がゲート端子を含み、前記変圧器が、前記増幅器の出力に結合された一次巻線と、前記ゲート端子に結合された二次巻線とを含み、前記調整することが、前記ゲート端子における入力電圧を設定するために、前記包絡線検出信号に対応する制御電圧を前記二次巻線に提供することをさらに含む、調整することと、
前記入力信号に応答して、前記増幅回路によって出力信号を提供することと、
を含む、方法。
【請求項21】
入力信号の包絡線に対応する包絡線検出信号を生成するように構成された包絡線検出器と、
前記包絡線検出器に結合され、前記入力信号に応答して出力信号を提供するように構成された増幅回路であって、前記増幅回路が、増幅器及び変圧器を含み、前記変圧器が、前記増幅器の出力から前記増幅器の入力への磁気結合フィードバックループを確立するように構成された、増幅回路と、
を含み、
前記増幅器がゲート端子を含み、前記変圧器が、前記増幅器の出力に結合された一次巻線と、前記ゲート端子に結合された二次巻線とを含み、前記包絡線検出器が、前記包絡線検出信号に対応する制御電圧を生成し、前記制御電圧が、前記増幅回路に提供されるバイアス電流が前記包絡線検出信号に基づいて調整されるように前記二次巻線に印加される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2022年2月9日に出願された国際特許出願第PCT/US2022/015863号及び2022年5月3日に出願された米国特許出願第17/735,358号(これは、2022年2月9日に出願された「入力信号包絡線追跡に基づいて増幅器バイアス電流を調整するシステム及び方法(SYSTEM AND METHOD FOR ADJUSTING AMPLIFIER BIAS CURRENT BASED ON INPUT SIGNAL ENVELOPE TRACKING)」という名称の米国特許出願第17/668,298号の一部継続出願であり、これは、2021年2月9日に出願された「入力信号包絡線追跡に基づいて増幅器バイアス電流を調整するシステム及び方法(SYSTEM AND METHOD FOR ADJUSTING AMPLIFIER BIAS CURRENT BASED ON INPUT SIGNAL ENVELOPE TRACKING)」という名称の米国仮特許出願第63/147,668号の優先権及び便益を主張するものである)の優先権を主張するものであり、その開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本出願は、2021年9月27日に出願された、「磁気結合フィードバックを使用した増幅器線形化(AMPLIFIER LINEARIZATION USING MAGNETICALLY COUPLED FEEDBACK)」という名称の米国特許出願第17/486,297号、2021年9月27日に出願された、「増幅器利得に影響を与えることなく直流バイアス電流を増加させることによって磁気結合フィードバックループを含む増幅回路の線形性を向上させる方法(METHOD OF IMPROVING LINEARITY OF AMPLIFIER CIRCUIT INCLUDING MAGNETICALLY COUPLED FEEDBACK LOOP BY INCREASING DC BIAS CURRENT WITHOUT IMPACTING AMPLIFIER GAIN)」という名称の米国特許出願第17/486,417号、2021年9月27日に出願された「磁気結合フィードバックを使用した増幅器線形化(AMPLIFIER LINEARIZATION USING MAGNETICALLY COUPLED FEEDBACK)」という名称の米国特許出願第17/486,339号、2021年9月27日に出願された、「デュアル磁気結合フィードバックループを含む差動増幅器(DIFFERENTIAL AMPLIFIER INCLUDING DUAL MAGNETICALLY COUPLED FEEDBACK LOOPS)」という名称の米国特許出願第17/486,367号、及び2021年9月27日に出願された、「磁気結合フィードバックループ並びに直流電流再利用に適したスタックされた入力段及び出力段を含む増幅器(AMPLIFIER INCLUDING MAGNETICALLY COUPLED FEEDBACK LOOP AND STACKED INPUT AND OUTPUT STAGES ADAPTED FOR DC CURRENT REUSE)」という名称の米国特許出願第17/486,386号に関連し、これらの開示は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
[0002] 本開示は一般に、無線周波数動作用の電力増幅器の設計及び技術に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] 無線周波数(RF)動作用の電力増幅器(PA)は、直流電源からの直流電力をRFエネルギーに変換することによって、RF信号の低入力電力を増幅して、より高い電力レベルのRF出力を生成するように設計されている。一般的な送信機システムのPAは、高直流電圧でバイアスがかけられ、それによって、動作中に発生した熱を放散する。したがって、PAの設計検討事項は、直流電力消費を最小限に抑えるため、及び熱放散を低減するために、適切なレベルの効率を達成するための方式を含む。
【0004】
[0004] 最先端の無線通信技術では、高い通信スループットを目的とした様々な無線規格が、RF信号を生成するために振幅成分及び/又は位相成分を操作することによる複雑な変調方式を利用している。このような変調方式の例には、直交振幅変調(QAM)及び横軸位相偏移変調(QPSK)が含まれる。このような変調は、システム内のPAに厳しい線形性要件を課す場合がある。PAの線形性は、単純に、入力電力の関数としての出力電力のプロットで示され、直線の傾きは、PAの利得に等しい。線形性は、QAM又はQPSKで大きな振幅の搬送波信号を送信するシステムにとっては特に重要である。例えば、直交周波数分割多元接続(OFDMA)又は符号分割多元接続(CDMA)用のQAMは、高いピーク対平均電力比(PAPR)を有するRF信号を生成する。このような高PAPRシナリオでは、送信チェーンのPAは、線形性要件がちょうど満たされるまで、ピーク出力電力よりも低い電力を出力するように設定される必要があることが多い。この動作は、「パワーバックオフ(power back-off)」と呼ばれる。パワーバックオフがない場合、高い出力PAPR点において、出力RF信号にひずみが生じる。信号波形は、ピーク出力電力レベルを下げるパワーバックオフ動作によって復元することができる。その結果、特にPAが最大電力レベルで最大効率を達成するように設計されている場合、全体的な効率は著しく低下する。したがって、線形性及び良好な効率を同時に達成することは難しい。
【0005】
[0005] RFのPA技術において、電力付加効率(PAE)は、消費される全直流電力に対する出力電力と入力電力との間の差の比率として定義され、効率は、入力直流電力に対する出力電力の比率として定義される。従来の送信機システムでは、所定の電力レベルを維持するために、一定の直流電力が供給され、それによって、信号がより低い電力レベルへと下方に振れたときに余分なエネルギーが無駄にされる。効率を向上させるための公知技術の一例は、包絡線追跡(ET)であり、包絡線追跡では、入力信号の包絡線を追跡することによって、各時点で必要とされる直流電力を供給するように、RFのPAに印加される電源電圧が連続的に調整される。包絡線情報は、IQモデムから得られ、必要な電圧を提供するために包絡線追跡電源に渡される。
【0006】
[0006] 線形性の検討に関しては、様々なPA線形化技術が考案されており、通常、フィードバックループによって適切な補正を行うために、出力におけるRF信号包絡線の振幅及び/又は位相を入力におけるものと比較することを伴う。PAアーキテクチャにおける従来の線形化技術の例には、フィードフォワード誤り訂正、デジタル予歪(digital pre-distortion)、包絡線消去・再生などが含まれる。PAアーキテクチャにおけるこれらの線形化技術の多くは公知であり、詳細は、様々な教科書、科学論文、及び白書に見つけることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
[0007] 本明細書で開示されるのは、包絡線追跡(ET)技術を使用する、増幅器効率を向上させるシステム及び方法である。開示された方法の一態様では、磁気結合フィードバックを有する増幅器に供給されるバイアス電流は、増幅器に印加される入力信号の包絡線を追跡することによって、各時点で必要とされる直流電力を供給するように連続的に調整される。
【0008】
[0008] 一態様では、開示された方法は、包絡線を有する入力信号を受信することと、包絡線に対応する包絡線検出信号を生成することとを含む。本方法はさらに、包絡線検出信号に基づいて増幅回路に提供されるバイアス電流を調整することを含み、増幅回路は、増幅器及び変圧器を含む。変圧器は、増幅器の出力から増幅器の入力への磁気結合フィードバックループを確立するように構成される。入力信号に応答して、増幅回路によって出力信号が提供される。
【0009】
[0009] 本開示は、入力信号の包絡線に対応する包絡線検出信号を生成するように構成された包絡線検出器を含むシステムにも向けられる。増幅回路は、包絡線検出器に結合され、及び入力信号に応答して出力信号を提供するように構成される。増幅回路は、増幅器及び変圧器を含む。変圧器は、増幅器の出力から増幅器の入力への磁気結合フィードバックループを確立するように構成される。システムの動作中、増幅回路に提供されるバイアス電流は、包絡線検出信号に基づいて調整される。
【0010】
[0010] 本明細書では、入力信号を受信することと、増幅回路によって、入力信号に応答して出力信号を提供することと、を含む方法も開示される。出力信号は、包絡線を有し、増幅回路は、増幅器及び変圧器を含む。変圧器は、増幅器の出力から増幅器の入力への磁気結合フィードバックループを確立するように構成される。本方法は、出力信号の包絡線に対応する包絡線検出信号を生成することをさらに含む。包絡線検出信号に基づいて、増幅回路に提供されるバイアス電流が調整される。
【0011】
[0011] 別の態様では、本開示は、入力信号に応答して、包絡線を有する出力信号を提供するように構成された増幅回路を含むシステムに関する。増幅回路は、増幅器及び変圧器を含み、変圧器は、増幅器の出力から増幅器の入力への磁気結合フィードバックループを確立するように構成される。増幅回路に提供されるバイアス電流が、包絡線検出信号に基づいて調整されるように、包絡線検出器は、出力信号の包絡線に対応する包絡線検出信号を生成するように構成される。
【0012】
[0012] 本開示はまた、包絡線を有する入力信号を受信することと、包絡線に対応する包絡線検出信号を生成することと、を含む方法に関する。増幅回路に提供されるバイアス電流は、包絡線検出信号に基づいて調整され、増幅回路は、増幅器及び変圧器を含む。変圧器は、増幅器の出力から増幅器の入力への磁気結合フィードバックループを確立するように構成される。増幅器は、ゲート端子を含み、変圧器は、増幅器の出力に結合された一次巻線と、ゲート端子に結合された二次巻線とを含む。バイアス電流の調整は、ゲート端子における入力電圧を設定するために、包絡線検出信号に対応する制御電圧を二次巻線に提供することをさらに含む。出力信号は、入力信号に応答して、増幅回路によって提供される。
【0013】
[0013] 別の態様では、本開示は、入力信号の包絡線に対応する包絡線検出信号を生成するように構成された包絡線検出器を含むシステムに向けられる。増幅回路は、包絡線検出器に結合され、及び入力信号に応答して出力信号を提供するように構成され、増幅回路は、増幅器及び変圧器を含み、変圧器は、増幅器の出力から増幅器の入力への磁気結合フィードバックループを確立するように構成される。増幅器は、ゲート端子も含み、変圧器は、増幅器の出力に結合された一次巻線と、ゲート端子に結合された二次巻線とを含む。包絡線検出器は、包絡線検出信号に対応する制御電圧を生成する。制御電圧は、増幅回路に提供されるバイアス電流が包絡線検出信号に基づいて調整されるように二次巻線に印加される。
【0014】
図面の簡単な説明
[0014] 本開示の特徴、性質、及び利点は、同様の参照符号が全体を通して一致して同一視される図面と併せて考慮すると、以下に記載される詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】[0015]増幅器システムのCMOSに基づく実装のシングルエンドバージョンの回路レベル図である。
図2】[0016]ある実施形態による電流モード包絡線追跡増幅器システムを示す機能ブロック図である。
図3】[0017]ある実施形態による電流モード包絡線追跡増幅器システムの一例を示す回路レベル図である。
図4】[0018]包絡線追跡を使用した場合、及び包絡線追跡を使用しなかった場合の出力信号スペクトル(dBm対周波数)をそれぞれ右のグラフ及び左のグラフに示す。
図5】[0019]電流モード包絡線追跡を有効にした状態の出力電圧対時間を上のグラフに、及び電源電流対時間を下のグラフに示す。
図6】[0020]従来の包絡線追跡システムの第1の例を示す簡略化されたブロック図である。
図7】[0021]従来の包絡線追跡システムの第2の例を示す簡略化されたブロック図である。
図8】[0022]包絡線検出器システムの基本的な構成を示すブロック図である。
図9】[0023]従来のダイオード検出器の回路レベル図である。
図10】[0024]包絡線検出回路の出力に基づく増幅器電源電流の直接的な制御を可能にする実装例の簡略化された回路レベル図である。
図11】[0025]トランジスタのゲート電圧を制御することによって増幅器バイアス電流を変化させる電流モード包絡線追跡増幅器システムの一例を示す回路レベル図である。
図12】[0026]ある実施形態による電流モード包絡線追跡増幅器システムを示す機能ブロック図である。
図13】[0027]別の実施形態による電流モード包絡線追跡増幅器システムの一例を示す回路レベル図である。
図14】[0028]さらに別の実施形態による電流モード包絡線追跡増幅器システムの一例を示す回路レベル図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
[0029] 本明細書で開示されるのは、電流に基づく包絡線追跡(ET)技術を使用した、増幅器効率を向上させるためのシステム及び方法である。後述するように、開示される方法の実施形態では、磁気結合フィードバックを有する増幅器に供給されるバイアス電流は、増幅器に印加される入力信号又は増幅器によって生成される出力信号の包絡線を追跡することによって、各時点で必要とされる直流電力を供給するように連続的に調整される。
【0017】
[0030] ここで、本電流に基づくET手法が利用され得る増幅器システム100のCMOSに基づく実装のシングルエンドバージョンの回路レベル図である図1に注目されたい。増幅器システム100は、電力増幅器(PA)102及び変圧器104によって構成される増幅回路を含む。図示されているように、増幅回路の変圧器104は、出力負荷インピーダンスRを有する負荷構成108に結合されている。システム100の他の周辺回路には、共振回路(R、L、Cなど)が含まれる。
【0018】
[0031] 以下の説明から理解することができるように、増幅器システム100のトポロジは、増幅回路に提供されるバイアス(電源)電流を包絡線追跡に利用する道を開く。増幅器システム100は、2020年9月28日に出願された、共同所有されている米国仮特許出願第63/084,497号にも記載されており、この出願は、磁気結合フィードバックを使用する増幅器線形化技術を開示しており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
[0032] 再び図1を参照すると、変圧器104は、PA102の出力に直列に接続された一次巻線L、及びPA102の入力に結合された二次巻線Lを有する。一次巻線L及び二次巻線Lは、一次巻線Lによって生成された磁界の一部が、磁気結合フィードバックループによって二次巻線Lに結合するように配置され、それによって、PA102の出力から入力へのフィードバックが提供される。
【0020】
[0033] PA102は、カスコード配置のトランジスタM1及びM2を備え、これらは、変圧器104の一次巻線Lを介してトランジスタM1及びM2のドレインに電源電流IDDを提供する電源電圧VDDによって電源が投入される。入力信号は、電流源iによって表される。トランジスタM1は、そのゲートで入力電圧vinをM1の相互コンダクタンスgで電流に変換する。入力電流iから生じる出力電流iは、変圧器104の一次巻線Lを介して提供される。
【0021】
[0034] 図1に示された回路は、実施形態による磁気結合フィードバックを備えた本増幅器システムを実現するために構成することができる多くの可能な回路の中の一例に過ぎないことに留意されたい。図1のトランジスタM1及びM2は、電界効果トランジスタ(FET)であるように示されているが、PA102を形成するために、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)及び他のタイプのトランジスタが代替的に使用されてもよい。当業者に知られているように、増幅器トランジスタがBJTを用いて実現される場合、ゲート端子、ドレイン端子、及びソース端子は、ベース端子、コレクタ端子、及びエミッタ端子に置き換えられ、ベース電流がBJTを制御する。さらに、図1に示す回路は、シリコンCMOSに基づく例示的な実装であるが、他の半導体製造技術、例えばpHEMT及びHBTを利用することもできる。
【0022】
[0035] 増幅器システム100に関連する特別な技術的特徴の1つは、増幅器システム100の利得が、カスコード構成の固有の利得特性から実質的に独立していることである。つまり、それは、g(M1の相互コンダクタンス)から実質的に独立している。一般に、gは、温度、バイアス電流、半導体製造技術、負荷効果、及び電源電圧の変動に大きく依存する。したがって、利得がgの影響を受けないことは、増幅器システム100の利得が、特にバイアス(電源)電流から実質的に独立していることを意味する。したがって、増幅器システム100は、本開示に従って、利得に影響を与えることなく電源電流を操作する道を開く。
【0023】
[0036] 図2は、ある実施形態による電流モード包絡線追跡増幅器システム200を示す機能ブロック図である。包絡線追跡ループは、磁気結合フィードバック204を有する増幅器システムの入力において入力信号の包絡線を検出し、及び検出された包絡線に関連する情報に従って電源電流を変化させるように構成された包絡線検出器システム202を備える。具体的には、増幅器システム204に対する電源電流は、各時点において最適な直流電力を増幅器システム204に供給するように、入力信号の包絡線を追跡するように時間的に変化する。直流電力供給のこの時間的変化により、一定の直流電力供給下では無駄にされるエネルギーが低減され、それによって、熱放散が低減され、並びに増幅器の効率及びPAEが向上する。
【0024】
[0037] 図3は、ある実施形態による電流モード包絡線追跡増幅器システム300の一例を示す回路レベル図である。図示されるように、電流モード包絡線追跡システム300は、包絡線検出器システム304と、磁気結合フィードバックを有する増幅器システム308とによって構成され、これらは、図1の増幅器システム100と実質的に同様又は同一であり得る。包絡線検出器システム304は、増幅器システム308の入力310における、電流源iによって表される入力信号の包絡線を検出し、及び包絡線を追跡するように電源電流IDDを時間的に変化させる。増幅器システム308の動作中、入力信号(iによって示される)に応答して、出力電流iが生成される。出力電流iは、増幅器システム308の出力320において、負荷Rの両端で出力電圧が生成されることをもたらす。
【0025】
[0038] 本包絡線追跡増幅器システムの実装及びシミュレーションは、差動バージョン及びシングルエンドバージョンの両方に関して実施されたものである。一例として、255の副搬送波を有する80MHz幅の1GHzのOFDM変調信号が、入力信号として使用される。図4は、包絡線追跡を使用した場合、及び包絡線追跡を使用しなかった場合の出力信号スペクトル(dBm対周波数)をそれぞれ右のグラフ及び左のグラフに示す。この比較から分かるように、出力信号スペクトルは、本電流モード包絡線追跡方式による影響を受けておらず、したがって、元の利得及び線形性も実質的に影響を受けていない。これは、前述のように、磁気結合フィードバックを有する増幅器システムの利得がバイアス(電源)電流から実質的に独立しているからである。
【0026】
[0039] 図5は、電流モード包絡線追跡を有効にした状態の出力電圧対時間を上のグラフに、及び電源電流対時間を下のグラフに示している。見て分かるように、出力電圧及び電源電流が共に、入力信号と実質的に同じ包絡線で変化する。包絡線を追跡するように電源電流が変化するため、無駄な直流電力が低減され、PAEが、場合によっては30%から56%に増加する。包絡線上の高周波リップルは、システム内のフィルタを最適化することによって除去することができる。
【0027】
[0040] 一般に、RF周波数にアップコンバートされる前のRFシステムの搬送波信号は、変調されたRF信号の包絡線において見ることができる。PAを含む増幅器システムは、変調されたRF信号を増幅しているため、増幅器システムの入力及び出力の両方の電圧において、同じ包絡線を観察することができる。本包絡線追跡システムは、変調器から出力されたばかりの変調されたRF信号の包絡線を増幅システムの入力において検出するように構成されている。したがって、本電流モード追跡ループは、別個のチップを使用する必要なしに、増幅器システムと共にチップ上に実装することができ、それによって、複雑さ及びコストが低減される。さらに、本電流モード包絡線追跡は、変調器(例えばIQモデム)から独立して機能するように構成され、それによって、自己完結型のコンパクトな増幅器パッケージが可能となる。
【0028】
[0041] 前述の通り、包絡線追跡のための様々な従来の技術が、各種の通信システムにおいて効率/PAEを向上させるために利用されてきた。これらの従来のシステムでは、RFのPAに印加される電源電圧は、入力信号の包絡線を追跡することによって、各時点で必要とされる直流電力を供給するように連続的に調整される。包絡線情報は通常、IQモデムから得られ、必要とされる電源電圧を提供するために包絡線追跡電源に渡される。
【0029】
[0042] 図6は、従来の包絡線追跡システム400の第1の例を示す簡略化されたブロック図である。信号は、もともとデジタル形式であり、I(同相)信号又はQ(直交)信号として変調器402に到着する。変調器402では、I信号及びQ信号のそれぞれが別々にデジタル・アナログ変換器、ローパスフィルタに印加された後、必要な周波数に変換するために局部発振器信号と混合されるようにミクサに渡される(詳細は省略するが、図6では、破線の経路で示される)。その後、2種類の信号が404で合計されてRF信号が生成され、次に、PA406を有する増幅器チェーンに渡される。包絡線追跡の目的のために、変調器402の初期段階に遅延線408が含まれ、包絡線整形用の信号は、そこから供給され、包絡線整形信号生成ブロック410に渡される。ブロック410は、I信号及びQ信号から以下の計算で得られる包絡線情報に従ってPA406への電源電圧を変化させるように包絡線追跡電源412を制御するためのいくつかの要素を備える。
【数1】
【0030】
[0043] 上記の包絡線追跡方式は、変調器402、例えばIQモデムとの相互作用を伴う。一方、本開示の電流モード包絡線追跡増幅器システムの実施形態は、送信チェーン内の先行する変調器と相互作用する代わりに、増幅器システムの入力においてRF入力信号を検出して包絡線情報を取得するように構成される。したがって、電流モード包絡線追跡の本方式は、複雑さが大幅に低減されたシステムアーキテクチャをもたらす。本包絡線追跡方式では、一元的に生成された包絡線信号を使用することも可能であることに留意されたい。
【0031】
[0044] 図7は、従来の包絡線追跡システム500の第2の例を示す簡略化されたブロック図である。上記の従来の包絡線追跡システムの第1の例とは異なり、システム500では、変調された入力信号が、PA502の入力で検出される。PA502用の電源電圧は、変調された入力信号の包絡線が変化するにつれて調整される。各時点における入力信号電力は、ブロック504で検出され、ブロック508において、対応する電源電圧を決定するために整形関数に通される。シェーピングテーブルは、入力電力が変化するにつれて、PA502を一定の利得、一定の利得圧縮、又は最大効率点付近で動作させるように構成される。
【0032】
[0045] 対照的に、上記の通り、本電流モード包絡線追跡増幅器システムの実施形態は、包絡線情報に従って、電源電圧ではなく電源電流を変化させるように構成される。さらに、利得を電源電流から実質的に独立させる磁気結合フィードバックにより、線形性及び一定の利得挙動が本質的に確立されるため、このケースでは、整形プロセスは不要である。その結果、比較的単純な包絡線追跡アーキテクチャで高効率が達成される。
【0033】
[0046] 次に図8を参照すると、包絡線検出器システム202の基本的な構成を示すブロック図が提供されている。図示するように、包絡線検出器システム202は、包絡線検出回路250及びインタフェース回路260を備える。包絡線検出回路250は、入力信号電流、例えば図3のiに基づいて入力信号の包絡線を取得するように構成される。次に、出力された包絡線情報は、電源電流、例えば図3のIDDを変化させる目的で最適に処理されるように、インタフェース回路260に渡すことができる。このように、インタフェース回路260は、用途及びシステム全体の様々な仕様(例えば、電力レベル、トランジスタのタイプ、電気的/磁気的干渉レベル、フィルタリングの必要性など)に合わせて作ることができる。或いは、包絡線検出回路250から出力される包絡線情報を直接利用できる場合には、インタフェース回路260が省略されてもよい。
【0034】
[0047] 多くの包絡線検出技術が公知であり、その詳細は様々な教科書、科学論文、及び白書に見つけることができる。図9は、いわゆるダイオード検出器の回路レベル図であり、これは、多くの簡単な包絡線検出回路の一つである。ダイオード検出器は、入力信号を整流し、それによって電流が一方向にのみ流れることを可能にするダイオードDと、整流された信号の高周波リップルを除去するためのフィルタリングを提供し、及び抵抗器Zを通してそれを放出するコンデンサCとを含み、それによって、入力信号の包絡線に対応する時間的変化を有する出力電圧Vo(t)を生成する。
【0035】
[0048] 上記のダイオード検出器は実装が簡単である。しかしながら、出力電圧Vo(t)を利用して電源電流を変化させることは、増幅器などのさらなる回路を必要とし、それによって、そのような増幅器を含む複雑なインタフェース回路260が必要となる。
【0036】
[0049] 図10は、包絡線検出回路1010の出力に基づく増幅器1004への電源電流IDDの直接的な制御を可能にする例示的システム1000の簡略化された回路レベル図である。図10の実施形態において、増幅器1004は、図1に示される磁気結合フィードバックを有する増幅器システム100と実質的に同一に実装された増幅器システム内に含めることができる。明瞭化のために、図10では、このような増幅器システムの一部のみ、すなわち、増幅器1004、並びに増幅器1004のトランジスタM1及びM2を通る電源電流IDDの経路が示されている。
【0037】
[0050] 包絡線検出回路1010は、既知の包絡線検出器のCMOSバージョンとして構成されている。検出回路1010は、入力信号を整流するために差動構成で結合された2つのNMOSデバイスN1及びN2を含む。整流された信号は、NMOSデバイスのソースが接続されたノードに現れる。コンデンサCは、整流された信号の高周波リップルを除去するためのフィルタリングを提供し、零入力電流Iは、回路の適切な動作のために引き出される。包絡線検出回路1010は、入力信号の包絡線に対応する時間的変化を有する検出器出力ノード1012において出力電圧Voを出力する。包絡線検出回路1010の出力ノード1012は、インタフェース回路1020を介して、増幅器1004内のトランジスタM1のゲート電圧を設定し、それによって電源電流IDDを制御する制御ノード1014に結合される。制御ノード1014の電圧(すなわち、トランジスタM1のゲート電圧)も、入力信号の包絡線に基づいて時間的に変化するので、本実装形態は、直接的に電源電流IDDに入力信号の包絡線を追跡させるように構成されることを理解することができる。図10の特定の例では、インタフェース回路1020は、包絡線における高周波成分をさらにフィルタ除去するためのローパスフィルタを含み、それによって、IDD制御のための包絡線情報の精度が高まる。いくつかの実施形態では、微調整のために、様々な周辺構成要素(図示せず)がインタフェース回路1020内にさらに含まれてもよい。
【0038】
[0051] 先述の通り、本包絡線追跡方式の実装は、前述の米国仮特許出願第63/084,497号の開示に従って、差動バージョン及びシングルエンドバージョンの両方、並びに磁気結合フィードバックを有する増幅器システムに関連する様々な回路トポロジに対して行うことができる。図10に示される例示的実装形態は、インタフェース回路1020の主要構成要素としてローパスフィルタを含む。しかしながら、インタフェース回路1020は、用途及び様々な仕様、例えば、電力レベル、トランジスタのタイプ、電気的/磁気的干渉レベル、フィルタリングの必要性などに応じて、システム1000全体の性能を最適化するために、必要に応じて修正することができる。
【0039】
[0052] 図11は、トランジスタのゲート電圧を制御することによって増幅器バイアス電流を変化させる電流モード包絡線追跡増幅器システム1100の一例を示す回路レベル図である。図示されるように、電流モード包絡線追跡システム1100は、包絡線検出器システム1104と、磁気結合フィードバックを有する増幅器システム1108とによって構成され、これらは、図1の増幅器システム100と実質的に同様又は同一であり得る。包絡線検出器システム1104は、増幅器システム1108の入力1110における、電流源iによって表される入力信号の包絡線を検出するように構成される。増幅器システム1108の動作中、入力信号(iによって表される)に応答して、出力電流iが生成される。出力電流iは、増幅器システム1108の出力1120において、負荷Rの両端で出力電圧が生成されることをもたらす。
【0040】
[0053] 包絡線を追跡するように電源電流IDDを変化させるために、包絡線検出器システム1104は、増幅器システム1108内のトランジスタM1のゲート電圧を設定し、それによって電源電流IDDを制御する。より具体的には、M1のゲート電圧は、検出器システム1104からの出力電圧で制御される。検出器システム1104からのこの出力電圧は、L2の接地側でM1のゲートに供給される。L2の接地側は、DCレベルがM1のゲート電圧と同じである仮想接地であるため、この手法は、差動実装において非常に単純なものである。
【0041】
[0054] 図12は、ある実施形態による電流モード包絡線追跡増幅器システム1200を示す機能ブロック図である。包絡線追跡ループは、磁気結合フィードバックを有する増幅器システム1204によって生成された出力信号の包絡線を検出するように構成された包絡線検出器システム1202を備える。検出器システム1202は、検出された出力信号の包絡線に関連する情報に従って増幅器システム1204への電源電流を変化させるように動作する。具体的には、増幅器システム1204に対する電源電流は、各時点において最適な直流電力を増幅器システム1204に供給するために、出力信号の包絡線を追跡するように時間的に変化する。直流電力供給のこの時間的変化により、一定の直流電力供給下では無駄にされるエネルギーが低減され、それによって、熱放散が低減され、並びに増幅器の効率及びPAEが向上する。
【0042】
[0055] 図13は、ある実施形態による電流モード包絡線追跡増幅器システム1300の一例を示す回路レベル図である。図示されるように、電流モード包絡線追跡システム1300は、包絡線検出器システム1304と、磁気結合フィードバックを有する増幅器システム1308とによって構成され、これらは、図1の増幅器システム100と実質的に同様又は同一であり得る。包絡線検出器システム1304は、増幅器システム1308の出力1320において、出力信号の包絡線を検出し、及び包絡線を追跡するように電源電流IDDを時間的に変化させる。増幅器システム1308の動作中、入力1310に印加された入力信号(iで表される)に応答して、出力電流iが生成される。出力電流iは、増幅器システム1308の出力1320において、負荷Rの両端で出力電圧が生成されることをもたらす。
【0043】
[0056] 図14は、別の実施形態による電流モード包絡線追跡増幅器システム1400の一例を示す回路レベル図である。図示されるように、電流モード包絡線追跡システム1400は、包絡線検出器システム1404と、磁気結合フィードバックを有する増幅器システム1408とによって構成される。包絡線検出器システム1404は、増幅器システム1408の出力1420において、出力信号の包絡線を検出する。増幅器システム1408の動作中、入力1410に印加された入力信号(iで表される)に応答して、出力電流iが生成される。出力電流iは、増幅器システム1408の出力1420において、負荷Rの両端で出力電圧が生成されることをもたらす。
【0044】
[0057] 包絡線を追跡するように電源電流IDDを変化させるために、包絡線検出器システム1404は、増幅器システム1408内のトランジスタM1のゲート電圧を設定し、それによって電源電流IDDを制御する。より具体的には、M1のゲート電圧は、包絡線検出器システム1404からの出力電圧で制御される。検出器システム1404からのこの出力電圧は、L2の接地側でM1のゲートに供給される。L2の接地側は、DCレベルがM1のゲート電圧と同じである仮想接地であるため、この手法は、差動実装において非常に単純なものである。
【0045】
[0058] 特定の事象が特定の順序で発生することを上記の方法が示す場合、特定の事象の順序付けは修正され得る。さらに、事象のいくつかは、上記のように逐次実行されるだけでなく、可能な場合には並列プロセスで同時に実行されてもよい。したがって、本明細書は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内に入る、開示された実施形態のそのような修正形態及び変形形態をすべて包含することを意図している。
【0046】
[0059] 上述の記載においては、説明目的で、特許請求されるシステム及び方法の十分な理解をもたらすように特定の名称を使用した。しかしながら、当業者には、本明細書に記載のシステム及び方法を実施するために特定の詳細が必要でないことは明らかであろう。したがって、記載されたシステム及び方法の特定の実施形態の上述の記載は、例示及び説明目的で提示されるものである。それらは、網羅的であること、又は特許請求の範囲を開示された正確な形態に限定することを意図するものではなく、明らかに、上記の教示に鑑みて、多くの修正形態及び変形形態が可能である。実施形態は、記載されたシステム及び方法の原理並びにそれらの実用的な用途を最も上手く説明するために選択及び記載されたものであり、したがって、それらは、記載されたシステム及び方法、並びに企図された特定の使用に適するように様々な修正を有する様々な実施形態を当業者が最大限に利用することを可能にする。以下の特許請求の範囲及びその均等物が、本明細書に記載されるシステム及び方法の範囲を定義することが意図される。
【0047】
[0060] また、様々な発明概念は、1つ又は複数の方法として具現化されてもよく、その例が提供されている。方法の一部として行われる行為は、任意の適切なやり方で順序付けることができる。したがって、例示の実施形態では逐次的な行為として示されていても、図示とは異なる順序で行為が行われる実施形態が構築されてもよく、それらは、いくつかの行為を同時に行うことを含み得る。
【0048】
[0061] 本明細書で定義され、及び使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文献における定義、及び/又は定義された用語の通常の意味よりも優先されると理解されるものである。
【0049】
[0062] 本明細書及び特許請求の範囲において使用される不定冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、逆のことが明確に示されない限り、「少なくとも1つ(at least one)」を意味すると理解されるものとする。
【0050】
[0063] 本明細書及び特許請求の範囲において使用される「及び/又は」という表現は、そのように等位接続された要素、すなわち、あるケースでは結合的に存在し、他のケースでは離接的に存在する要素の「何れか一方又は両方」を意味すると理解されるものとする。「及び/又は」と共に列挙された複数の要素も、同様に、すなわち、そのように等位接続された要素の「1つ又は複数」と解釈されるものとする。「及び/又は」節によって具体的に識別された要素以外に、具体的に識別された要素に関連するか否かにかかわらず、他の要素が任意選択的に存在してもよい。したがって、非限定例として、「A及び/又はB」への言及は、「備える(comprising)」などのオープンエンドの言葉と併せて使用される場合に、一実施形態では、Aのみ(任意選択的にB以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(任意選択的にA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、A及びBの両方(任意選択的に他の要素を含む)などを指し得る。
【0051】
[0064] 本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「又は」は、上記で定義された「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきものである。例えば、リスト中の項目を区切る場合、「又は」又は「及び/又は」は、包含的であること、すなわち、いくつかの要素又は要素のリストのうちの少なくとも1つを含むが、いくつかの要素又は要素のリストのうちの2つ以上、及び任意選択的に、さらなるリストにない項目も含むと解釈されるものとする。「~のうちの1つだけ(only one of)」、「~のうちの厳密に1つ(exactly one of)」、又は特許請求の範囲において使用される場合の「~からなる(consisting of)」などの逆のことを明確に示す用語のみが、いくつかの要素又は要素のリストのうちの厳密に1つの要素を含むことを意味する。一般に、本明細書で使用される「又は」という用語は、「どちらか一方(either)」、「~のうちの1つ(one of)」、「~のうちの1つだけ(only one of)」、又は「~のうちの厳密に1つ(exactly one of)」などの排他的な用語が先行する場合にのみ、排他的な選択肢(すなわち、「一方又は他方であって両方ではない」)を示すと解釈されるものとする。特許請求の範囲において使用される「~から本質的になる(consisting essentially of)」は、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0052】
[0065] 本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、1つ又は複数の要素のリストに関して「少なくとも1つ」という表現は、要素のリスト内の要素の何れか1つ又は複数から選択された少なくとも1つの要素を意味すると理解されるものであるが、必ずしも、要素のリスト内に具体的に列挙された1つ1つの要素のうちの少なくとも1つを含む必要はなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外するものではない。この定義はまた、「少なくとも1つ」という表現が指す要素のリスト内で具体的に識別された要素以外の要素が、具体的に識別された要素に関連するか否かにかかわらず、任意選択的に存在し得ることを許容する。したがって、非限定例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は、等価的に、「A又はBの少なくとも1つ」、又は、等価的に、「A及び/又はBの少なくとも1つ」)は、一実施形態において、Bが存在しない(及び、任意選択的にB以外の要素を含む)、少なくとも1つの(任意選択的に2つ以上を含む)Aを指し、別の実施形態では、Aが存在しない(及び任意選択的にA以外の要素を含む)、少なくとも1つの(任意選択的に2つ以上を含む)Bを指し、さらに別の実施形態では、少なくとも1つの(任意選択的に2つ以上の)A、及び少なくとも1つの(任意選択的に2つ以上の)B(及び任意選択的に他の要素を含む)を指すなどの場合がある。
【0053】
[0066] 上記の明細書と同様に、特許請求の範囲において、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「運ぶ(carrying)」、「有する(having)」、「包含する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「~によって構成される(composed of)」などのすべての移行句は、オープンエンド、すなわち、含むが限定されないことを意味すると理解されるべきものである。米国特許庁の特許審査便覧2111.03に規定されているように、「~からなる(consisting of)」及び「~から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれクローズドエンド移行句又はセミクローズドエンド移行句であるとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】