IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴィシャイ シリコニックス,エルエルシーの特許一覧

特表2025-506148高効率かつ高強度の高電圧シリコンカーバイドパワーデバイスを対象とした設計による適応エッジ終端
<>
  • 特表-高効率かつ高強度の高電圧シリコンカーバイドパワーデバイスを対象とした設計による適応エッジ終端 図1
  • 特表-高効率かつ高強度の高電圧シリコンカーバイドパワーデバイスを対象とした設計による適応エッジ終端 図2
  • 特表-高効率かつ高強度の高電圧シリコンカーバイドパワーデバイスを対象とした設計による適応エッジ終端 図3
  • 特表-高効率かつ高強度の高電圧シリコンカーバイドパワーデバイスを対象とした設計による適応エッジ終端 図4
  • 特表-高効率かつ高強度の高電圧シリコンカーバイドパワーデバイスを対象とした設計による適応エッジ終端 図5
  • 特表-高効率かつ高強度の高電圧シリコンカーバイドパワーデバイスを対象とした設計による適応エッジ終端 図6
  • 特表-高効率かつ高強度の高電圧シリコンカーバイドパワーデバイスを対象とした設計による適応エッジ終端 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-07
(54)【発明の名称】高効率かつ高強度の高電圧シリコンカーバイドパワーデバイスを対象とした設計による適応エッジ終端
(51)【国際特許分類】
   H10D 62/10 20250101AFI20250228BHJP
   H10D 30/60 20250101ALI20250228BHJP
【FI】
H01L29/06 301G
H01L29/78 301R
H01L29/78 301B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547266
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(85)【翻訳文提出日】2024-09-30
(86)【国際出願番号】 US2022015910
(87)【国際公開番号】W WO2023154046
(87)【国際公開日】2023-08-17
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524226900
【氏名又は名称】ヴィシャイ シリコニックス,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】VISHAY SILICONIX,LLC
【住所又は居所原語表記】2585 Junction Avenue,San Jose,California 95134-1923 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シビブ,アイマン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジンマン
(72)【発明者】
【氏名】アザム,ミスバ
【テーマコード(参考)】
5F140
【Fターム(参考)】
5F140AA25
5F140AC23
5F140BA02
5F140BA16
5F140BH30
5F140BH47
5F140BJ05
5F140CA03
5F140CC02
5F140CD08
5F140CD09
(57)【要約】
【構成】本発明が提供する半導体デバイスは2つかそれ以上の終端ユニットを有する。各終端ユニットはビアチャネル、接続ビア、フローティングフィールドリング、金属プレートおよびフローティングフィールドプレートを有する。このフローティングフィールドリングは第1幅をもつ第1フローティングフィールドリングおよび第2幅をもつ第2フローティングフィールドリングを備えることができる。第1幅および第2幅は異なる幅に設定できる。金属プレートはビアチャネルを介して第1フローティングフィールドリングに結合する。第1フローティングフィールドプレートは接続ビアを介して金属プレートに結合する。これら終端ユニットは適応電界分布を形成し、この適応電界分布は半導体デバイスのドレーンから半導体デバイスのソースに移行する電圧を放散する構成である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つかそれ以上の終端ユニットを有する半導体デバイスであって、前記2つかそれ以上の終端ユニットのそれぞれは、
ビアチャネル、
接続ビア、
第1幅を有する第1フローティングフィールドリングと、前記第1幅とは異なる第2幅を有する第2フローティングフィールドリングを有する複数のフローティングフィールドリング、
前記ビアチャネルを介して前記第1フローティングフィールドリングに結合した金属プレート、および
前記接続ビアを介して前記金属プレートに結合したフローティングフィールドプレート、を有し、
前記2つかそれ以上の終端ユニットは、前記半導体デバイスのドレーンからこの半導体デバイスのソースに伝わる電圧を放散するように構成された電界部分布を供する
ことを特徴とする半導体デバイス。
【請求項2】
前記2つかそれ以上の終端ユニットのそれぞれが前記半導体デバイスの第1領域から前記半導体デバイスの第2領域内に延入する、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記第1領域が少なくとも一つの絶縁体膜、前記2つかそれ以上の終端ユニットの前記金属プレート、および前記2つかそれ以上の終端ユニットのフローティングフィールドプレートを有する、請求項2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記2つかそれ以上の終端ユニットのそれぞれの複数のフローティングフィールドリングが前記第2領域の電気終端層内に存在する、請求項2に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記2つかそれ以上の終端ユニットのそれぞれの幅が前記第1フローティングフィールドリングの外壁から前記第2フローティングフィールドリングの外壁まで延在する、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記第1幅が前記第2幅よりも大きい、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記2つかそれ以上の終端ユニットのそれぞれがこれら終端ユニット間の電圧降下に従って前記電界分布に寄与するように構成された、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記2つかそれ以上の終端ユニットのそれぞれの前記フローティングフィールドプレートに同じ終端ユニットの複数のフローティングフィールドリングの少なくとも一つが随伴する、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記2つかそれ以上の終端ユニットのそれぞれの複数のフローティングフィールドリングの少なくとも一つに同じ終端ユニットの対応するフローティングフィールドプレートが随伴しない、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記複数のフローティングフィールドプレートのそれぞれがポリシリコンからなる、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記導体デバイスが金属-酸化物-半導体電界効果トランジスターである、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記複数のフローティングフィールドリングをこれらフローティングフィールドリングと同じ導電性型の植え込み層内に設け、
この植え込み層が前記複数のフローティングフィールドリングのドーピング濃度よりも低いドーピング濃度を有する、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記植え込み層の前記ドーピング濃度が前記半導体デバイスのエピタキシャル層のドーピング濃度よりも高い約30%~約70%の範囲内にある、請求項12に記載の半導体デバイス。
【請求項14】
ドレーン側金属プレートのドレーン側面が前記半導体デバイスのエピタキシャル層のドレーン側面を超えて延在する、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
ドレーン側金属プレートのドレーン側長さが前記半導体デバイスのエピタキシャル層のジャンクション深さに等しいか又はこれよりも大きい、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項16】
半導体デバイスの形成方法であって、該方法は、
半導体デバイス用の所定の絶縁破壊電圧に基づいて絶縁破壊電圧設計目標を決定し、
終端ユニット毎に一つかそれ以上の増分電圧降下、所定個数の終端ユニット、および終端ユニット毎に所定量の素子を利用する前記破壊電圧設計目標に従って少なくとも2つの終端ユニットを有する半導体デバイス用の構造を生成し、
前記構造がクリティカルフィールド未満の均一部分またはエネルギーを構成するかどうかを評価し、そして
前記半導体デバイス用の最終終端レイアウト設計を決定する
ことを特徴とする半導体デバイスの形成方法。
【請求項17】
前記所定個数の終端ユニットを4つのユニット~8つのユニットの範囲から選択し、かつ終端毎の素子量を4つのユニット~6つのユニットの範囲から選択する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
さらにソフトウェアを使用してシミュレーションを実施し、前記構造の生成時にこの構造の終端ユニット毎に素子の寸法および素子間の間隙を自動的に決定する工程を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
一つかそれ以上の工程を反復繰り返して、終端ユニット毎の一つかそれ以上の増分電圧降下、前記終端ユニットの個数、および終端ユニット毎の素子の量を調節することによって前記構造を前記最終終端レイアウト設計に最適化する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
半導体デバイスの終端ユニットであって、
ビアチャネル、
接続ビア、
複数のフローティングフィールドリング、
前記ビアチャネルを介して第1フローティングフィールドリングに結合した金属プレート、および
前記接続ビアを介して前記金属プレートに結合したフローティングフィールドプレート、
を有し、
前記金属プレートのドレーン側面が前記半導体デバイスのエピタキシャル層のドレーン側面を超えて延在し、そして、前記金属プレートのドレーン側長さが前記エピタキシャル層のジャンクション深さに等しいか又はこれより大きい
ことを特徴とする半導体デバイスの終端ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体デバイス、より具体的には性能、頑丈性および信頼性を改善できる(increased performance、ruggedness and reliability)所定のパラメータを有する高電圧半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に言って従来の高電圧技術またはハイパワー技術では、半導体を使用して、絶縁破壊電圧を超える実現可能な最も高い終端電圧を実行することによってエッジ終端およびポテンシャルフィールド分布を行っている。これらエッジ終端設計の場合、半導体内部の領域に焦点を当てることが多く、半導体表面の上にある領域を考慮している事例はいくつかある程度である。
【0003】
実際、従来技術では、半導体のエッジ終端素子は電圧を固定し、エッジ終端およびポテンシャルフィールド分布を行う必要がある。
【0004】
例えば、フローティングフィールドプレートなのエッジ終端素子を半導体表面上の絶縁層内に設けるだけで、金属プレートなどの他のエッジ終端素子に、また半導体層内にあるフローティングフィールドリングに接続していない。即ち、エッジ終端素子を他のエッジ終端素子に容量結合する。この容量結合は厳密には材料、誘電率およびコンダクタンスなどに依存するものである。従って、絶縁層のこれらエッジ終端素子が接続されていないため電圧の一定化は厳密にはポテンシャルフィールド分布を対象とする材料特性(即ち絶縁層とエッジ終端素子との間の漏洩)に依存するものである。
【0005】
他の公知技術例の場合、一部の従来エッジ終端技術はフローティングフィールドリング、ジャンクション終端伸展、低電界(RESURF)、あるいはこれらを併用したものなどの半導体表面下にある領域に厳格に焦点を合わせている。にもかかわらず、エピタキシャル層濃度のプロセス制御やRESURF層植え込みの厳格な制御には固有の製造性制限例えば収率および信頼性の制限がある。
【0006】
絶縁層が形成するポテンシャルフィールド分布はエッジ終端素子の位置およびサイズを設計することによっては制限できない。換言すると、素子の位置およびサイズをどのように決定するかに関係なく、ポテンシャルフィールド分布を支配するのは容量結合である。また、留意すべきは容量結合に影響を与えるために材料特性に厳格に依存することはエッジ終端としてフローティングフィールドプレートを使用する従来の技術による広範な適応を実施できない重大な制限となる点である。
【0007】
必要なのはエッジ終端素子がどのようにしてポテンシャルフィールド分布を生成するかの直接的な制御を可能にすることによって半導体エッジ終端内の、そして半導体表面上のポテンシャルフィールド分布を管理する新規および/または改良方法およびシステムである。さらに新規および/または改良方法およびシステムについては、半導体エッジ終端領域内の、かつその表面上の終端のすべての態様に対処する高電圧終端設計に対してより包括的なアプローチを有することが好ましい。
【発明の概要】
【0008】
一つかそれ以上の実施態様は2つかそれ以上の終端ユニットを有する半導体デバイスに関する。各終端ユニットはビアチャネル(via channel)、接続ビア(connection via)、フローティングフィールドリング、金属プレートおよびフローティングフィールドプレートを有する。フローティングフィールドリングは第1幅をもつ第1フローティングフィールドリングおよび第2幅をもつ第2フローティングフィールドリングを有する。一つかそれ以上の実施態様では、第1幅および第2幅は異なる幅に設定できる。金属プレートはビアチャネルを介して第1フローティングフィールドリングに結合する。フローティングフィールドプレートは接続ビアを介して金属プレートに結合する。これら終端ユニットが半導体デバイスのドレーンから半導体デバイスのソースに移る電圧を放散(dissipate)する構成の電界分布を形成する。
【0009】
また、一つかそれ以上の実施態様は半導体デバイスの終端ユニットにも関する。この終端ユニットはビアチャネル、接続ビア、複数のフローティングフィールドリング、ビアチャネルを介して第1フローティングフィールドリングに結合した金属プレート、および接続ビアを介して金属プレートに結合したフローティングフィールドプレートを有する。金属プレートのドレーン側面は半導体デバイスのエピタキシャル層のドレーン側面を超えて延在するか、あるいは半導体デバイスのエピタキシャル層のドレーン側の外側に位置する。金属プレートのドレーン側長さはエピタキシャル層のジャンクション深さと同じかもしくはそれ以上となる。
【0010】
さらに、一つかそれ以上の実施態様は半導体デバイスの設計を行う、実施する、修正変更する、および/または決定する方法に関する。本方法はメモリに格納したソフトウェアによって実施し、かつプロセッサによって実行することができる。この方法では、半導体設計の望ましい、または所定の絶縁破壊電圧に基づいて絶縁破壊電圧設計目標を決定することができる。本方法では、少なくとも2つの終端ユニットを有する半導体設計を対象とする構造を形成することができる。この構造については、終端ユニット毎の増分電圧降下、所定数の終端ユニット、および/または終端ユニット毎の素子または素子設計を備える構成、レイアウトまたはその他のパラメータを利用するか、あるいは考慮することによって絶縁破壊電圧設計目標に従って、あるいはこれを考慮して生成することができる。また、本方法では、上記構造が均質な分布、あるいはクリティカルフィールド未満のエネルギーを有するかどうかを評価して、半導体デバイスを対象とする最終終端レイアウト設計を決定することもできる。
【0011】
上記以外の態様および実施態様についても本明細書に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
同じ参照符号は同じ素子などを示す添付図面を参照して例示する以下の記載から本発明をより詳しく理解できるはずである。
図1図1は一つかそれ以上の実施態様に係る適応エッジ終端半導体デバイスを示す線図である。
図2図2は一つかそれ以上の実施態様に係る終端ユニットを示す線図である。
図3図3は一つかそれ以上の実施態様に係る適応エッジ終端半導体デバイスの製造方法を示すブロック線図である。
図4図4は一つかそれ以上の実施態様に係る電気終端層を示す線図である。
図5図5は一つかそれ以上の実施態様に係る適応エッジ終端半導体デバイスの構造を示す線図である。
図6図6は一つかそれ以上の実施態様に係る適応エッジ終端半導体デバイスの電界の漸増分布を示す線図である。
図7図7は一つかそれ以上の実施態様に係る適応エッジ終端半導体デバイスを示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面に実施例を示す本発明の各種実施態様を以下に詳細に記載する。これら実施態様に関連して本発明を記載するが、本発明をこれら実施態様に制限する意図はない。対照的に、本発明は特許請求の範囲に記載する本発明の精神および範囲に含まれる選択肢、修正選択肢および等価選択肢を包摂するものである。さらに、以下の本発明の詳細な記載において、本発明を完全に理解してもらうために、数多くの具体的な細部を記載する。なお、当業者ならば、これら具体的な細部によらなくても本発明を実施できるはずである。また、本発明の態様を不必要なほど曖昧にしないために、公知方法、手順、構成素子や回路などについては詳細に説明しない。
【0014】
以下いくつかの用語を使用するが、いずれも参考のみを目的とし、制限を意図するものではない。用語“右”、“左”、“上部”および“底部”は参照対象の図面における方向を示す用語である。特許請求の範囲および明細書の対応する箇所で使用する語句“一つの(“a”、“one”)については、特に断らない限り、記載した要素を一つかそれ以上含むと定義する。この用語体系は上記に具体的に記載した語句だけではく、当該語句の派生語、同趣旨の語句を含む。列記した一つかそれ以上の要素例えば“A、BまたはC”などの前にある成句“少なくとも一つ”はそれぞれA、BまたはCのうちの任意の単独のものを指すだけでなく、それらを任意に併用したものも意味する。なお、一部の図面は説明、図示および実証のみを目的として一部を透明化してあるが、これは素子それ自体が最終製造形態において透明であることを意味するものではない。
【0015】
また、各種の素子を示すために用語“第1”、“第2”などを本明細書で使用するが、これら素子はこれら用語に制限されるべきではない。これら用語の使用意図は単に一つの素子を他の素子から区別するだけにある。例えば、第1素子を第2素子と読んでもよく、同様に、第2素子を第1素子と読んでもよく、いずれも本発明の範囲から逸脱するものではない。本明細書で使用する用語“および/または”は列記した一つかそれ以上の要素単独を、あるいは併用したすべての要素を包含する。
【0016】
また、層、領域、基体、リード、クリップ、パッドまたはコンタクト(接点)などの素子が別の素子の上にある、あるいはこの素子に延在していると記載する場合、この素子は別の素子の上に直接存在しているか、あるいは他の素子の上に直接延在していてもよく、即ちいかなる介在素子も存在していない。また、ある素子について別の素子に“接続している”あるいは“結合している”と記載する場合、これは別の素子に直接接続または結合していることを意味し、何らかの介在素子が存在することを意味する。対照的に、ある素子が別の素子に“直接接続”または“直接結合”していると記載する場合、介在素子が不在であることを意味する。さらに、これら用語は図面に示す配向に加えて、デバイスの異なる配向も包摂する用語である。
【0017】
ある一つの素子、層または領域の他の素子、層または領域の関係を示すために“下”または“上”、“上部”または“下部”、または“水平”または“垂直”などの相対的な用語を本明細書で使用するが、これら用語は図面に示す配向に加えて、デバイスの異なる配向も包摂する用語である。
【0018】
添付図面は縮尺に従うものではなく、構造だけでなくこれら構造を形成する各種層の一部のみを示すものである。これら添付図面は全体としては本発明の理解の一助となる表象的で、簡略化して構造を示すもので、物理的構造を細部にわたって再生することを意図していない。さらに、製造プロセスおよび製造操作については、本明細書に記載するプロセスおよび操作に従って実施してもよい。即ち、本明細書に示しかつ記載する操作の前後に、あるいは操作中にも多くのプロセス操作を行う。さらに、本発明に係る実施態様については、これら他の(従来技術と考えてよい)プロセスおよび操作をほぼそのまま利用して実施することができる。全体としては、本発明に係る実施態様は周辺プロセスおよび操作に大きく影響することなく、従来プロセスの大部分の代わりに使用することができ、および/またはこれらを補完することができる。
【0019】
ここで使用する用語“MOSFET”は、現在の多くのMOSFETが非金属ゲートおよび/または非酸化物ゲート絶縁体を使用している点からみて、全体として用語“絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(IGFET)と同義と考えてよい。本明細書で使用する用語“MOSFET”は必ずしも金属ゲートおよび/または酸化物ゲート絶縁体を有するFETを含意するものではなく、あるいはこれを必要としない。むしろ、用語“MOSFET”は通常MOSFETとして公知な、あるいはMOSFETと呼ばれているデバイスを包含するものである。
【0020】
本出願明細書および特許請求の範囲における用語“実質的に”は物理的結果ではなく、設計意図を示すために使用する。半導体技術では、半導体の多数の態様を高精度に測定できる能力を採用してきている。従って、利用可能な精度で測定を行う際には、半導体の物理的態様は設計時には精密ではない。さらに、設計技術では同一性を意図している構造内の変動幅を簡単に見つけることができる。従って、“実質的に等しい”などの語句は製造変動幅および測定精度に従って等しく設計されていると解釈すべきである。
【0021】
本発明は半導体に関し、特に効率の高い、頑丈性を備えたシリコンカーバイドパワーデバイスを対象とする設計による適応エッジ終端に関する。ここでは、効率の高い、頑丈性を備えたシリコンカーバイドパワーデバイスは適応エッジ終端半導体デバイスまたはパッケージと呼ぶことができる(“デバイス”または“パッケージ”または“構成要素”とも呼ぶことができる)。
【0022】
本発明の一つかそれ以上の態様に係る、半導体デバイス(例えば図1の半導体デバイス100)、およびこのような半導体デバイス100を製造するための設計方法(例えば図3の方法300)では、半導体デバイスの各種層の一つかそれ以上の終端素子がポテンシャルフィールド分布(potential field distribution)を(“電界分布とも呼ぶことができる)どのように管理するかについて制御または適応を行う適応エッジ終端を含む。半導体デバイスはMOSFETで構成することができる。この半導体デバイスおよび設計方法の場合、終端素子を結合、配置するだけでなく、このような終端素子の一部の構成要素パラメータを決定することによって適応電圧降下を実施する一つかそれ以上の終端ユニットの設計および使用を介してこのような制御または適応化を実施する。例示すると、通常の技術では電圧エッジ終端素子を他のエッジ素子に接続することなく絶縁層内に固定した状態で、終端ユニット毎に成分の物理特性などのパラメータに適応した電圧を分布する二つかそれ以上のフローティングフィールドリングを備えたフィールドプレートをグループ化する。なお、制限する意図はないが、このようなパラメータとしては位置、配向、寸法サイズ、間隔、このような構成要素に使用する材料などを例示できる。
【0023】
上記半導体デバイスおよびデザイン方法の一つかそれ以上の技術的効果、作用効果および利点には、半導体デバイスの性能、頑丈性に関する品質、安定性、長期信頼性を改善する設計アプローチフォーカスがある。従来技術とは対照的に、本発明に係る半導体デバイスおよび設計方法では、定電圧を除去したり減らしたりする必要はなく、設計により電界分布を制御でき、物理的な電荷バリアを形成でき、終端絶縁破壊電圧を不安定化する製造変動および誘電体膜電荷の問題に対処できる。
【0024】
図1は一つかそれ以上の実施態様に係る半導体デバイス100を示す線図である。全体として、半導体デバイス100の構成要素のパラメータについては、各種素子または構成要素に関する材料、構造、位置、配向、間隔、寸法(幅、高さ、深さ、寸法、面積や容積など)そして形状を例示できるが、これに限定されるものではない。このようなパラメータは設計方法、好ましくは本明細書に記載する方法(複数の場合もある)によって制御および/または決定する。
【0025】
図1の線図には、二つかそれ以上の終端ユニット(このようなユニットの一例が終端ユニット101である)、ソース102、および半導体デバイス100のドレーン103を有する半導体デバイス100を示す。図1には5つの終端ユニットの実施例A-Eを示す。半導体デバイスのエッジ終端素子については、終端ユニットA-Eに対応して、A-Eに従って識別/グループ化する。図1における配向については、X1-X2軸(図において全体として平行であり、図1に示す通り、この軸は左右間に方向を有する)、およびY1-Y2軸(図において全体として垂直であり、図1に示す通り、この軸は上下間に方向を有する)に従う。X1方向はX2方向に対向し、Y1方向はY2方向に対向する。他の配向についても、傾斜することもでき、あるいは角度がついていてもよく、X1-X2軸およびY1-Y2軸に従って決定できる。本明細書におけるある構成要素の左側または左面をこの構成要素のX1側またはX1面と読んでもよく、またある構成要素の右側または右面をこの構成要素X2側またはX2面と読んでもよい。同様に、ある構成要素の下側、底側または下向き面をY1側またはY1面と読んでもよく、ある構成要素の頂面、上面側面、あるいは上向き面をY2側またはY2面と読んでもよい。
【0026】
半導体デバイス100のドーピング構成は一つかそれ以上である。半導体デバイス100に限定することなく、以下にドーピング構成の実例を説明する。さらに、本明細書に使用するように、文字“n”はn型ドーパントを指し、文字“p”はp型ドーパントを指す。プラスサイン“+”またはマイナスサイン“-”を使用して、それぞれ比較的高濃度のドーパントまたは比較的低濃度のドーパントを表す。なお、以上はこれら領域の絶対的なドーピング範囲または他の態様を制限するものではない。例えば、n+またはn-として記載するドーピング領域をn-型ドーピング領域としてもよい。
【0027】
図1の線図に第1領域105を示す。第1領域105は一つかそれ以上の層で構成することができる。第1領域105については、基体層110、バッファー層120、エピタキシャル層130、および内部に一つかそれ以上のフローティングフィールドリング145を有する電気終端層135を有するのが好ましい。即ち、第1領域105は電気終端層135に一つかそれ以上のフローティングフィールドリング145を埋設/埋め込んだ(例えば埋め込み層)、一つかそれ以上のエッジ終端素子を有することができる。
【0028】
基体層110は少なくともバッファー層120およびエピタキシャル層130の製造に使用する第1領域105の一部として形成してもよく、あるいは一部を有していてもよい。バッファー層120およびエピタキシャル層130については、結晶性が一致するように基体層110に形成/成長させてもよい。一つかそれ以上の実施態様の場合、エピタキシャル層130のドーピングが工場毎に異なるため、本明細書に記載するように、バッファー層120のドーピング濃度をエピタキシャル層130よりも高く(例えば10%以上に)設定することができる。
【0029】
電気終端層135については、一つかそれ以上のエッジ終端素子を埋め込んだ空乏層として形成してもよく、あるいはこの空乏層を有していてもよい。電気終端層135がエピタキシャル層130と第2領域150との間でバリア領域または遷移領域として作用するため、フローティングフィールドリング145がエピタキシャル層130に直接接触することはなく、あるいはこれに埋め込まれることもない。そして、半導体デバイス100の一つかそれ以上のp-n接合が電気終端層135とエピタキシャル層130が出会う場所に下向きにシフトする。なお、フローティングフィールドリング145についてはさらに詳しく説明する。
【0030】
図1の線図の上の方に、即ち第1領域105の上側またはX2側に隣接する第2領域150を示す。第2領域150は一つかそれ以上の層で構成できる。この第2領域150については、単独の絶縁/誘電体材料などの単独の材料で構成できる。一つかそれ以上の実施態様の場合、第2領域150については誘電体膜160で構成するのが好ましい。図示のように、誘電体膜160はA-Eで示し、各終端ユニットA-Eに整合する部分である。
【0031】
一つかそれ以上の実施態様の場合、一つかそれ以上の接続部(例えば一つかそれ以上のチャネルビア165および一つかそれ以上の接続ビア175など)およびこれに埋設したエッジ終端要素(例えば一つかそれ以上の金属プレート170および一つかそれ以上のフローティングフィールドプレート180など)を有する誘電体膜160を形成することができる。これら一つかそれ以上の接続部およびエッジ終端要素は金属および/またはポリシリコンを有することができる。例えば、以下により詳細に説明するフローティングフィールドプレート180はポリシリコンを有することが可能である。
【0032】
一つかそれ以上の実施態様で使用する終端ユニットの場合、少なくとも一つの(例えば一般には4つかそれ以上)フローティングフィールドリング145、一つのチャネルビア165、一つの金属プレート170、一つの接続ビア175、および一つのフローティングフィールドプレート180で構成できる。各終端ユニットA-E内で併用するチャネルビア165、金属プレート170および接続ビア175は金属で構成でき、この金属は対応するフローティングフィールドリング145からフローティングフィールドプレート180まで連続的である(即ち個別部分ではない)。一つかそれ以上の実施態様の場合、金属プレート170は一つの部分(section or piece)であってもよく、またチャネルビア165および接続ビア175も同じ部分または層として形成できるが、金属プレート170とは異なっていてもよい。
【0033】
さらに、2つかそれ以上の終端ユニットのそれぞれ(終端ユニット101が実例の一つである)は一つかそれ以上のフローティングフィールドリング145で構成できる。例えば図1に示すように、5つの実例である終端ユニットA-Eは続く英数字によって示すように、フローティングフィールドリング145を有する。即ち、最も左側(即ち半導体デバイス100のX1側)終端ユニットAは5つのフローティングフィールドリング145.1A-145.5Aを有するだけでなく、チャネルビア165A、金属プレート175A、接続ビア175A、およびフローティングフィールドプレート180Aを有する。第2の最も左側の終端ユニットBは5つのフローティングフィールドリング145.1B-145.5Bを有するだけでなく、チャネルビア165B、金属プレート175B、接続ビア175B、およびフローティングフィールドプレート180Bを有する。中央の終端ユニットCは5つのフローティングフィールドリング145.1C-145.5Cを有するだけでなく、チャネルビア165C、金属プレート175C、接続ビア175C、およびフローティングフィールドプレート180Cを有する。第2の最も右側の終端ユニットD(即ち終端ユニット101の実例として示す)は5つのフローティングフィールドリング145.1D-145.5Dを有するだけでなく、チャネルビア165D、金属プレート175D、接続ビア175D、およびフローティングフィールドプレート180Dを有する。最も右側の(即ち半導体デバイス100のX2側)終端ユニットEは4つのフローティングフィールドリング145.1E-145.4Eを有するだけでなく、チャネルビア165E、金属プレート175E、接続ビア175E、およびフローティングフィールドプレート180Eを有する。
【0034】
各フローティングフィールドリング145はパラメータに基づいて電圧を取得および/または適応化する動的構成を有する。一つかそれ以上のパラメータに従って、フローティングフィールドリング145は金属および/またポリシリコンで構成する。一つかそれ以上の実施態様では、各フローティングフィールドリング145の構造、大きさ、幅、寸法、面積などによって、また各フローティングフィールド145の位置やフローティングフィールドリング145のそれぞれの間隔によって、対応する終端ユニットが半導体デバイス100の印加電位/電圧に動的に適応できる。一つかそれ以上の実施態様の場合、フローティングフィールドリング145は半導体デバイス100(例えばMOSFETなど)の植え込みかつ拡散領域(例えば電気終端層135など)を有する本体と同じ時点で同じプロセスによって形成したp-型領域を有する。
【0035】
さらに図1の線図には高電圧側金属プレート185およびゲート190を示す。高電圧側金属プレート185によって半導体デバイス100のドレーン側において任意の初期電圧を分配できる。さらに、ゲート190は半導体デバイスのコアに接続状態にあり、フローティングフィールドプレート180Aと同じ材料で形成できる。
【0036】
図1に示す半導体デバイス100の配向状態では、第1領域105は底面即ちY1面および上面即ちY2面を有する。第2領域150は底面即ちY1面および上面即ちY2面を有する。第1領域105の上面(即ちY2面)は第2領域150の底面(即ちY1面)に隣接する。この状態では、誘電体膜160の底面側(即ちY1側)は第1領域105に接触する。即ち、エピタキシャル層130の上面側(即ちY2側)に接触する。さらに、電気終端層135はX1-X2方向に左側即ちX1側から右側即ちX2側まで延在していてもよい。電気終端層135の左側即ちX1側はエピタキシャル層130の左側即ちX1側に整合でき、また電気終端層135の右側即ちX2側はエピタキシャル層130内に位置できる。Y1-Y2方向において、電気終端層135は誘電体膜160の底面即ちY1面からエピタキシャル層130内のフローティングフィールドリング145の底面即ちY1面より下にあるエリアまたは深さまで延在していてもよい。一つかそれ以上の実施態様の場合、終端ユニット101は第2領域150の上面即ちY2面から第1領域(即ち基体層110)の底面即ちY1面まで延在していてもよい。これについては、図2を参照してさらに説明する。
【0037】
一般的に、絶縁破壊電圧(BV)は効果的な衝突電離が生じ、若干の電流が任意デバイス(例えば半導体デバイス100など)に流れ始める印加電圧である。一般的な高電圧デバイスのエッジにある終端領域はBVの不安定性の影響を受けやすい領域である。終端領域の電圧はソース電圧(通常は接地電位である)から一般的な高電圧デバイスのエッジにおけるドレーン電圧(フルドレーン電位である)まで変動するからである。正しく管理を行わない限り、この電圧は一般的な高電圧デバイスの表面に伝わり、電界分布問題が発生する。従来技術の一般的な高電圧デバイスの場合、約300ボルトのBVならば管理できる。対照的に、本明細書に開示する半導体デバイス100の一つかそれ以上の実施態様の場合、650ボルトかそれ以上のBVを管理できる。制限を意図するものではないが、“高”BVを例示すると650ボルト、800ボルト、900ボルト、1000ボルト、1200ボルトである。具体的には、本発明の態様に係る半導体デバイス100は少なくとも650ボルト以上での高い頑丈性、信頼性および安定性を得るため設計する以上、高電圧、高電流および高温で取り扱うことができる能力を有する。換言すると、この半導体デバイス100の場合、ソース電位(即ち接地電位またはソース102電位)から最も高い電圧までの急激な電圧遷移が起こり得る以上、電界分布を改善するために、2つかそれ以上の終端ユニット101を使用した設計を行う。
【0038】
例えば、半導体デバイスの第1領域105は単独のn-型材料などの単独の材料を使用して構成できる。限定を意図するものではないが、半導体デバイス100の実例としてはp-n接合ダイオード、ショットキーダイオードや絶縁ゲートバイポーラートランジスタ(IGBT)を例示できる。n-型材料としては、シリコンに限定するわけではないが、シリコンカーバイドおよびガリウムナイトライドを例示できる。一つかそれ以上の実施態様の場合、第1領域105はシリコンカーバイド(SiC)材料で構成できる。即ち、半導体デバイス100はSiCデバイスであり、このデバイスは従来技術のシリコン(Si)デバイスよりも高電圧用途においてすぐれた性能を示す。特に、SiCはバンドギャップが(例えば約1.12eVの)Siより約3倍大きい(例えば約3.26eV)であるため、すぐれた性能を発揮する。
【0039】
電気終端層135などの第1領域105の任意の層のドーピング濃度は本明細書に記載する(図3の方法300などの)設計方法によって決定、調整および/または制御できる。例えば、電気終端層135はある範囲に基づいてドーピングできる。電気終端装置135における一例としてのドーピング範囲はエピタキシャル層130の30%~70%である。因みに、フローティングフィールドリング145はp-型としてドーピングでき、電気終端層135は軽度のドーピングp-型層であり、第1領域105の残りの部分はn-型層としてドーピングできる。なお、電気終端層135を過度にドーピングすると、フローティングフィールドリング145が電位を獲得し、これを分配することができなくなる。また、電気終端層135によってフローティングフィールドリング145のエピタキシャル層130のドーピングレベルへの依存性を抑制でき、プロセスの製造範囲を拡大できる。さらに、半導体デバイス100が第2領域150から離れるに従って(例えばバッファー層140のドーピング度がエピタキシャル層130のそれよりも10%以上程度高くなるに従って)、ドーピング度が高くなる。一般的に、終端ユニットA~E毎に、各チャネルビア165が対応する各フローティングフィールドリング145を各金属プレート170に接続する。さらに、各接続ビア175が対応する各フローティングフィールドプレート180を接続する。チャネルビア165、接続ビア175および金属プレート170は金属で構成できる。フローティングフィールドプレート180はドーピング度が過度に高い、第1領域105がn-型の場合には-型のようなポリシリコンであり、逆も成立する。
【0040】
一つかそれ以上の実施態様に係る図1の線図の終端ユニット101を詳細に示す図2を参照して説明を続ける。図2の終端ユニット101は内部にフローティングフィールドリング145.1D~145.5Dを有する。図2の終端ユニット101は誘電体膜160Dを有し、内部にチャネルビア165D、金属プレート170Dや接続ビア175だけでなく、フローティングフィールドプレート180Dを備える。図2の終端ユニット101の場合、すべてのフローティングフィールドリング145.1D~145.5Dをフローティングフィールドプレート180に接続する必要がないという技術的効果、利点および作用効果を示すため、製造プロセスを大幅に簡略化できる上に、設計を製造に特化する高度なリトグラフ技術/装置が必要なくなる。従って、図示するように、一つのフローティングフィールドリング145.1Dをフローティングフィールドプレート180Dに結合した状態では、残りのフローティングフィールドリング145.2D~145.5Dを結合する必要はない。
【0041】
図2の終端ユニット101については、X1-X2方向にそって延在するものと考えればよく、各フローティングフィールドリング145はX1方向に向いた左側即ちX1側、反対方向に向いた右側即ちX2側、Y1方向に向いた底部側即ちY1側、および反対方向のX2方向に向いた上部側即ちY2側を有する。例えば、終端ユニット101はより広いフローティングフィールドリング145.1Dのすぐ左側(即ちX1方向)に位置するフローティングフィールドリング145.5Cの右側即ちX2側291から次のより広いフローティングフィールドリング145.1Eの左側(即ちX1方向)にあるフローティングフィールドリング145.1DのX2側292まで延在していてもよい。
【0042】
また、図2の終端ユニット101はY1-Y2方向に延在すると考えてもよい。例えば、図2の終端ユニット101は基体層110の下面即ちY1面から誘電体膜160の上面即ちY2面まで延在していてもよい。別の例では、図2の終端ユニット101は電気終端層135のY1面から誘電体膜160の上面即ちY2面まで延在していてもよい。
【0043】
図1および/または図2の終端ユニット101の説明を続けると、電圧の遷移はドレーン102(および線図の右側即ちX2側)の最も高い電圧から接地即ちソース101(および図の左側即ちX1側)にかけて生じる。本発明の一部の態様に係る終端ユニットを有する半導体デバイス100の一つかそれ以上の技術的効果、利点および/または作用効果には、この遷移に応じて、可能な限り最善の電界分布を実現できることがある。
【0044】
因みに、図1および図2のY1-Y2方向(即ち基体層110から第1領域150の表面までの軸方向に沿う方向)においては、電界分布を実現する一定の距離が必要である。図1および図2のX1-X2横方向において(即ち左側から右側までの軸に沿う方向)、金属プレート170は領域面に機械的バリアを構成し、各部分がチャネルビア165を介して電位/電圧を獲得することによってグレード化している。即ち、各フローティングフィールドリング145によって獲得された電位/電圧がチャネルビア165から金属プレート170に伝達し、さらに接続ビア175を介してフローティングフィールドプレート180に(ショートして)伝達する。このように、各終端ユニット101(およびより具体的には内部のフローティングフィールドプレート180)の電圧は一定しない。むしろ、電位/電圧または終端ユニットA-Eごとの電圧降下が、電気終端層135内のフローティングフィールドリング145の位置および寸法に従って設計によって適応する。
【0045】
具体的には、電圧降下はプレート170、180およびフローティングフィールドリング145からなる適応マトリックス(adaptive matrix)によって制御する。ここで“適応”は電圧の蓄積として電圧を獲得することを示し、また“マトリックス”はプレート170、180およびフローティングフィールドリング145からなる構成を示す。このように、適応マトリックスがフローティングフィールドリング145の漸進的な制御された電圧降下によって制御される漸進的な電圧降下分布による電界分布における変化を管理する。これら構成部品が(例えば物理的距離、位置、配向、寸法などによって)ユニークな位置を占め、かつ(物理的なサイズおよび寸法、およびどの材料が相互にあるいは隣接して位置するかに応じて)誘電体膜160および電気終端層135全体における所定スペックおよび電界分布に関する設計方法によって構成できるからである。
【0046】
一つかそれ以上の実施態様の場合、従って、適応マトリックスはフローティングフィールドリング145と組み合わせたプレート170および180からなる特定の構成を有する。この適応マトリックスは図1の半導体デバイス100と従来技術との間に深くかつ基本的な差異があることを説明するものである。本明細書に記載するように、従来技術のフィールドプレートの場合、電圧(デバイスによって定まり、適応できないソース電圧かドレーン電圧のいずれかの電圧)は固定している。対照的に、プレート170および180からなる適応マトリックスを使用するため、終端ユニットA-E内のフローティングフィールドリング145に蓄積する電圧として獲得し、かつビア175および185を介して生じる終端構成内から適応形態で分布する“適応”電圧を得ることが可能になる。
【0047】
一つかそれ以上の実施態様の場合、誘電体膜160は半導体材料(即ち第1領域105)の上に存在し、かつ異なる埋設要素間に位置する層間誘電体(ILD)と表記できる。なお、デバイスの製造時だけでなく、デバイスの組み立ておよび実装時に被着した絶縁膜の場合、電界分布の劣化によりBVを低くできる成形化合物を一般に使用する。例えば、電界の場合、通常の使用時、あるいはデバイスのバーンイン試験時および適格性確認時に電圧値がシフトするか、あるいは大きくなり(例えば5E5~4E6ボルト/cm以上になる)、機能に問題が生じるか、あるいはデバイスの定格が劣化し、デバイスの電気パラメータを維持できなくなる。にもかかわらず、プレート170および180および終端ユニットA-Eからなる適応マトリックスが電圧降下を制御し、(フローティングフィールドリングの電圧降下が漸増し、かつ制御できるため)電界分布が変化することがない。
【0048】
図3は一つかそれ以上の実施態様に係る適応エッジ終端半導体デバイスの製造方法300を示すブロック線図である。この方法300は、デバイス設計の目標スペックを利用するか、あるいは依拠する方法体系に基づく構造を提供するために使用するのが好ましい。目標スペックとしては、例えば、エンドユーザー、カスタマーまたはデザイナーの必要要件またはスペックに基づくスペック、または半導体デバイスの意図する使用、半導体デバイスの意図する機能、エンドユーザー、カスタマーまたはデザイナーの好みや別のソース(即ち設計ドキュメントまたは技術ドキュメントやスペック)であってもよく、これによって初期レイアウトを決定し、この初期レイアウトを例えばBV設計目標に基づいて洗練巧緻化してもよい。
【0049】
例えば、上記方法300はユニークなデザインパラメータまたは所定の設計パラメータを決定、設定、試験し、また、再設計および試験を想定することによって図1の半導体デバイス100などの、適応エッジ終端を有する半導体デバイスを設計する反復プロセスを提供するものである。これら設計パラメータとしては終端ユニットの量/個数、およびこれらユニットの構造、寸法、構成、組成や要素を例示できる。反復プロセスを利用することによって、この方法300では終端における電圧降下を金属およびフローティングフィールドプレート170および180に結合することによって、フローティングフィールドリング145の電圧を取得し、この電圧を分布させることによって終端を設計し、かつ洗練巧緻化できる。なお、定格電圧が300ボルト以上のデバイスは通常“高”電圧デバイスと表示されるデバイスである。上記方法の一つかそれ以上の技術効果、作用効果および利点には少なくともほぼ650ボルト(例えば1200ボルトかそれ以上の、あるいは数千ボルト)電圧分布を実現できる半導体デバイスを製造できることがある。
【0050】
本方法300は少なくとも一つのメモリに保存したソフトウェアを使用して実施でき、また少なくとも一つのプロセッサによって実行できる。この少なくとも一つのメモリおよび少なくとも一つのプロセッサについては、バスまたは他の通信機構などの他のハードウェアで代用でき、コンピューティングシステムまたは環境内にハードウェアを備えることができる。少なくとも一つのプロセッサは一般的な用途または特定用途の任意の形式のプロセッサであってもよく、CPU、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレー(FPGA)、グラフィックス プロセッシング ユニット(GPU)、コントローラ、マルチコアプロセッシングユニット、三次元プロセッサ、量子コンピューティングデバイスやこれらを併用したものを例示できる。少なくとも一つのプロセッサについても複数のプロセッシングコアを有するものとすることができ、これらコアの少なくとも一部が特定機能を実施できる構成であってもよい。マルチ並列処理も実行できる。少なくとも一つのメモリは少なくとも一つのプロセッサがアクセスする非一時的なコンピュータ可読媒体であってもよく、揮発性媒体、不揮発性媒体などを有していてもよく、少なくとも一つのプロセッサが実行または処理する情報、指示、命令やデータを保存する構成であってもよい。一つかそれ以上の実施態様の場合、ソフトウェアはテクノロジー コンピュータ支援設計(TCAD)シミュレーションソフトウェアを備えるか、又は、これに対応していてもよい。限定するものではないが、TCADとしてはSynopsys TCADやSilvaco TCADを例示できる。一つかそれ以上の実施態様の場合、ソフトウェアは(ニューラルネットワークなどを使用した)機械学習および/または人工知能を活用することも可能である。
【0051】
本方法300はブロック310で開始し、このブロックでは絶縁破壊電圧(BV)設計目標(即ち半導体設計の定義された、あるいは事前に決められた目標)を決定および/または設定する。この絶縁破壊電圧設計目標としては、例えば、半導体設計(SiCデバイス設計など)用BV±所定のパーセンテージまたは範囲を例示できる。BVおよび半導体設計については、例えば対象デバイスの使用対象用途や所望の機能を考慮した上でデバイス設計スペックに従って決定できる。デバイス設計スペックには目標とする、あるいは製造対象の半導体デバイスの所望特性の細部(例えばデバイス設計の目標スペックおよびパラメータなど)を記載しておくのが好ましく、電子媒体などの媒体に保存しておくことができる。因みに、このソフトウェアを利用して、半導体デザインおよびBVを決定する際に役立つデバイス設計スペックを受信および/または分析できる。一つかそれ以上の実施態様では、このソフトウェアによって一つかそれ以上の入力(例えばユーザー入力)を受け取り、半導体設計のBVなどの各種特性を考慮、決定、選択、試験または設定する。
【0052】
一つかそれ以上の実施態様では、BVは絶縁破壊電圧設計目標として選択することができ、あるいはこの絶縁破壊電圧の設計目標値は目標BVよりも大きいパーセントとして設定する。例えば、初期入力値としてデバイス設計スペックよりも10%以上の入力値を選択することができ、これはソフトウェアを使用する任意のシミュレーションの焦点となる。例えば、デバイス設計スペックが650ボルト、800ボルト、900ボルト、1000ボルト、1200ボルトまたは1800ボルトのBVを示す場合に選択する絶縁破壊電圧はそれぞれ715ボルト、880ボルト、900ボルト、1100ボルト、1320ボルトおよび1980ボルトであってもよい。一つかそれ以上の実施態様では、絶縁破壊電圧設計目標は200ボルト~1800ボルトなどの一定の範囲か選択できる。なお、これらの範囲および電圧値は例示であり、制限を意図するものではない。
【0053】
本発明方法300の場合、次に一つかそれ以上のブロック320、330および340に進むが、これらブロックは並列実施してもよく、任意の順番で行ってもよい。なお、ブロック320、330および340の任意の操作時に、ソフトウェアは半導体設計の点からTCADシミュレーションソフトウェアを活用するか、あるいは利用できる。
【0054】
ブロック320では、終端ユニット毎に増分電圧降下を決定および/または設定する。終端ユニット毎の増分電圧降下は具体的な値を表すものではない。この増分電圧降下は獲得電圧であるか、あるいは動的適応値であり、結果としてこの適応終端ユニットが得られるからである。終端ユニット毎の増分電圧降下は設計に変動幅および自在性を担保するおおよその目標値を表すものである。例えば選択した増分電圧降下が200ボルトの場合、これは±10ボルト以上200ボルト未満の範囲を示す。因みに、増分電圧降下はデバイス設計スペックに詳細に記載された中央値であり、ソフトウェアがデバイス設計スペックに関する入力を受け取り、これらから中央値を求めることができる。一つかそれ以上の実施態様では、ソフトウェアは増分電圧降下を決定/選定する一つかそれ以上の入力(即ちユーザー入力など)を受け取ることができる。このように、終端ユニット毎の増分電圧降下を決定/設定するため、設計によって適応エッジ終端の初期部分を実施できる。ソフトウェアはSiCのどの増分要素が電圧を獲得したか、あるいは動的に適応したのかを決定することができる。これは例えば設計の各種目標スペックおよびパラメータを変更することによって実施することができる。
【0055】
なお、増分電圧降下を考慮することは従来技術には全く適用できない。従来の誘電体層素子は材料特性に従って、ポテンシャルフィールド分布を支配する容量性カップリングを介して電圧を固定するためである(これら従来の誘電体層素子は非適応性であるため、増分電圧降下を決定する必要がないからである)。一つかそれ以上の実施態様では、増分電圧降下は50ボルト~300ボルトの範囲などの範囲から選択でき、50ボルト、100ボルト、120ボルト、150ボルト、200ボルトや300ボルトなどの範囲から選択できる概算的な目標値として設定できる。なお、これら範囲および概算目標値は例示であり、制限的なものではない。
【0056】
ブロック330では、終端ユニットの量/個数を決定および/または設定する。例示する絶縁破壊電圧設計目標及び決定した増分電圧降下に従って、終端ユニットの最小/個数をある所定の範囲から選択する。例えば、この範囲としては4ユニット~8ユニットの範囲である。例えば、選択した絶縁破壊電圧目標が715ボルトで、選択した増分電圧降下が200ボルトの場合には、ソフトウェアが終端ユニットの必要数が4であると決定する。4つの終端ユニットと715ボルトを設定すると、増分電圧降下は178.75と評価できる(これは200ボルトの±10の範囲では些少である)。なお、各終端ユニットはこの終端ユニットの位置に基づいて設計を変更でき、また以降の反復位置では715ボルトを選択し得るソフトウェアでは89.38ボルトである。
【0057】
ブロック340では、終端ユニット毎の(フローティングフィールドリング145などの)素子の量/個数を決定および/または設定する。例えば、一つかそれ以上の終端ユニット内のTCADシミュレーションソフトウェアを実行することによって、ソフトウェアがこの終端ユニットを対象として4素子~6素子などの領域に沿う素子設置数を決定する。次に、すべての終端ユニットが指定の素子数を備えるまで、ソフトウェアが次の終端ユニットを対象としてこの決定を繰り返す。なお、素子の領域は終端ユニットの領域よりも“密”であってもよく、あるいは“狭く”てもよい。因みに、4つの素子~6つの素子の領域は4つの終端ユニット~8つの終端ユニットからなる領域よりも“密”であるか、あるいは“狭い”。素子が“密な”構成または“狭い”構成を取るため、より小さく密に装填した素子の形成と終端レイアウト設計の容易さを両立できることを示している。
【0058】
ブロック350では、半導体デバイスの構造を生成する。この構造は終端ユニット毎の一つかそれ以上の増分電圧降下、終端ユニットの個数、終端毎の素子の量を使用することによって絶縁破壊電圧設計目標に従って生成できる。例えば、ソフトウェアはTCADシミュレーションソフトウェアへの入力として終端ユニット毎の増分電圧降下、終端ユニット数、および/または終端ユニット毎の素子量を使用して当該構造を生成できる。例えば、当該構造は終端ユニットの素子/構成素子、または半導体デバイス全体の構成素子のパラメータを備えることができる。当該構造生成時には、ソフトウェアが終端ユニット毎にフローティングフィールドリングの大きさと寸法、およびこれらの間隔を自動的に決定する。
【0059】
例えば図2を参照して説明すると、本明細書に記載したデバイス設計スペックおよびソフトウェアシミュレーションを使用して、終端ユニット101のフローティングフィールドリング145.1Dは寸法Aをもつように決定してもよく、終端ユニット101のフローティングフィールドリング145.2Dは寸法Bをもつように決定してもよく、終端ユニット101のフローティングフィールドリング145.3Dは寸法Cをもつように決定してもよく、終端ユニット101のフローティングフィールドリング145.4Dは寸法Dをもつように決定してもよく、また終端ユニット101のフローティングフィールドリング145.5Dは寸法Eをもつように決定してもよい。A、B、C、DおよびEは(横断面における)高さ、(横断面における)幅および/または容積などの寸法としてもよい。
【0060】
本実施例では、これら寸法はA>B、A>C、A>DおよびA>Eである。さらに寸法B、C、DおよびEは実質的に同じであってもよい。なお、これら寸法は設計方法、好ましくは本明細書に記載する一つかそれ以上の方法で決定した場合に同じであってもよく、あるいは相違していてもよい。
【0061】
図2を参照して説明すると、本明細書に記載したデバイス設計スペックおよびソフトウェアシミュレーションを使用して、フローティングフィールドリング145.1Dと145.2Dとの間に間隔S1(または距離)を設定し、フローティングフィールドリング145.2Dと145.3Dとの間に間隔S2を設定し、フローティングフィールドリング145.3Dとフローティングフィールドリング145.4Dとの間に間隔S3を設定し、フローティングフィールドリング145.4Dと145.5Dとの間に間隔S4を設定してもよい。さらに、S1>S2であり、S2、S3およびS4は実質的に同じであってもよいが、これら間隔(距離)は同じでもよく、あるいは相違していてもよい。この間隔の決定については、構造物の全体にわたって行うことができる。図4を参照して説明すると、図4は一つかそれ以上の実施態様に係る電気終端層135を示す線図400である。
【0062】
上記線図400には、一つかそれ以上の構造を生成する意味において決定できる電気終端層135の態様を示す。線図400にはフローティングフィールドリング群412を対象とする間隙410、フローティングフィールドリング群426を対象とする間隙420および424、フローティングフィールドリング群446を対象とする間隙440および444、フローティングフィールドリング群466を対象とする間隙460および464、およびフローティングフィールドリング群486を対象とする間隙480および484を示す。なお、フローティングフィールドリング群416、426、446、466および486はそれぞれ図1および図2の終端ユニットA-Eに整合できる。これら間隙410、420、424、440、444、460、464、480および484それぞれの寸法は所定領域、即ちサブミクロンレベル(例えば0.0001mm)からミクロンレベル(例えば0.009mm)にそって設定できる。これら間隙410、420、424、440、444、460、464、480および484それぞれは初期相互設定時に変更してもよく、あるいは均一設定してもよい。
【0063】
一つかそれ以上の実施態様では、一つかそれ以上の構造の生成時に、チャネルビア165を介してフローティングフィールドプレート170に接続する各フローティングフィールドリング145.1の幅は任意の結合しないフローティングフィールドリング145.2-145.5よりも広く設定できる。さらに、一つかそれ以上の構造の生成時に、結合しないフローティングフィールドリング145.2-145.5は同じ幅を維持できる。例えば、金属プレート170およびフローティングフィールドプレート180の併用体にフローティングフィールドリング145.1の結合については、(例えばスペック設計の電圧レベルに応じて20ボルトから300ボルトまでの)所定の電圧降下量を示す適正なフローティングフィールドプレート145.1を対象としてソフトウェアによって決定する。同様に、すべてのフローティングフィールドリング145を特定の金属プレート170およびフローティングフィールドプレート180の併用体に結合するものではないが、上記群(即ち492、494、495、496および498)は特定の金属プレート170およびフローティングフィールドプレート180の併用体に対応する。
【0064】
決定ブロック360では、構造を評価する。例えば、図5に一つかそれ以上の実施態様に係る半導体デバイスの構造500の線図を示す。構造500は顧客や設計者がディスプレーまたはスクリーン上で評価することができるブロック350の例示的な出力を示す。構造500は終端エリア546内にフローティングフィールドリング506および545を有し、金属製のフローティングフィールドプレート570およびポリシリコン製のフローティングフィールドプレート580を有する適応エッジ終端である。層590としてはILD(例えばレベル間又は層間誘電体材料、一般的には熱酸化物および/または堆積酸化物)を例示できる。なお、フローティングフィールドプレート570に接続したフローティングフィールドリング545はn-チャネルMOSFET用のp-ウェルとすることができる。このp-ウェルはn-チャネルMOSFETのp-ボディ層と同じとすることができる。
【0065】
決定ブロック360はサブブロック365および375を有し、これらサブブロックで構造全体の均質性分布(上界均質性)について例えば上記のソフトウェアを使用するなどして試験し、確認を行うとともに、構造のどのエネルギーが内部素子の臨界電界未満であるかについて試験し、確認を行う。
【0066】
サブブロック365については、TCADシミュレーションを使用するなどして一つかそれ以上の構造の電界分布を評価し、分布が均質であることを確認する。例えば評価時には、フローティングフィールドリングおよび/または終端ユニットの個数を最小限に抑えて、最終製品の半導体デバイスを簡略化することが望ましい場合もある。さらに、ソフトウェアについては、間隙410、420、424、440、444、460、464、480および484それぞれの寸法を初期設定値から、例えばこれら設定値を個別に変更(加減)することによって小さく抑制できるように設定できる。さらに、ソフトウェアによる評価では、ソフトウェアが指定された具体的な工場などの一つかそれ以上の入力を受け取り、当該工場のプロセス設計ルールを考慮して、最終製品である半導体デバイスを製造する。このように、ソフトウェアが製造性の態様を考慮し、判断する。
【0067】
サブブロック375に関しては、TCADシミュレーションソフトウェアを使用して、一つかそれ以上の構造の素子毎にクリティカルフィールドを評価する。ここで素子毎のクリティカルフィールドは、当該素子(即ちBV)を形成材料のうちの不適合材料を特定するフィールドとすることができる。例えば、サプライヤー(仕入先)/工場が判断したエピタキシャル層130のトレランスについては、電気終端層135のドーピング範囲を評価するさいにソフトウェアが考慮できるため、一般的なドーピングレベル範囲をクリティカルフィールド未満である電気終端層135を対象として考慮できる。
【0068】
このようにして、デバイス設計時にTCADシミュレーションソフトウェアによって性能を最適化する。等間隔の素子およびシミュレーションで構造を開始するため、構造の絶縁破壊電圧を戻すことができ(即ち構造が設計以上になることもなく、また設計以下になることもない)、電界分布も戻すことができる(即ち構造が(特定の定格をもつシリコンなどの)材料のクリティカルな電界を超えることはなく、また電界分布が均質になる)。一つかそれ以上の実施態様では、電界最大値は電界の50%未満(10%~40%)である。ソフトウェア(カスタマー/デザイナー)が、値が10%~20%などの許容範囲に収まっているかを観察、評価、そして確認できる。確認できない場合には、一つかそれ以上の方法ステップで方法300を繰り返し(ループバック)、既に選択したパラメータのいずれかを調節し、別なシミュレーションを実行できる。
【0069】
一つかそれ以上の実施態様に係る適応エッジ終端半導体デバイスの電界の漸増分布を示す線図600である図6を参照して説明を続ける。一般的に述べると、操作時に電圧が急激に上昇すると、限界値に達するまで各フローティングフィールドリング(例えば145)の電位が高くなる。この漸増によって本明細書に記載する実施態様の適応性/動的特性を説明できる。線図600に示すように、電界の漸増分布は終端のX1側または左側のソース102または接地電位におけるエッジから終端のX2エッジまたは右側にある(ピーク電圧にある)ドレーン103までをカバーする。例えば、電圧は適応エッジ終端半導体デバイス600全体にわたってゼロで始まる。電圧が高くなるに従って、X1側即ち最も左側にある第1終端ユニットの電位が、70ボルトの制限値(69.2ボルトとして示す)に達するまで高くなる。残りの終端ユニットも高くなり続ける。電圧が第5の最終終端ユニットの後でも高止まりするため、ソフトウェア(顧客/設計者)によるさらなる評価および調整が必要である。場合にもよるが、等しい間隔で、および/または終端ユニット毎に素子数を変更した状態で別の終端ユニットを設けることも可能である。
【0070】
一つかそれ以上の実施態様では、この電圧スタッキングに対処するために、(X1方向からX2方向に移動し、図面の右側に移動する)最後の金属プレートおよび/または最後のフローティングフィールドプレートの寸法を設定、決定または調節できる。図7を参照して説明すると、図7は一つかそれ以上の実施態様に係る適応エッジ終端半導体デバイスを示す線図である。金属プレート170E(即ち右側または最後の金属プレートまたはドレーン側金属プレート)は(ソース側長さ710の追加部分である)長さ705およびドレーン側長さ715を備える。ソース側長さおよびドレーン側長さ710および715については、エピタキシャル層135のドレーン側面即ちX2面から測定する。因みに、金属プレート170Eのドレーン側面即ちX2面はエピタキシャル層135のドレーン側面またはX2面の外側に、あるいはこの面を超えて延在する。一つかそれ以上の実施態様では、ドレーン側長さ715はエピタキシャル層135のジャンクション深さ720に等しいか、あるいはこれよりも大きい。例えば、ドレーン側長さ715はジャンクション深さ720に対して2:1のサイズ比で設定できる。さらにフローティングフィールドプレート180E(即ち最後のフローティングフィールドプレートまたはドレーン側フローティングフィールドプレート)は、X1-X2距離730によって示すように、エピタキシャル層135のドレーン側面の内側に、あるいはこの面の内部にドレーン側面即ちX2面を備えることができる。即ち、金属プレート170Eを長く延ばすと、より大きな表面距離(即ちジャンクション深さ720に等しいか、これよりも大きいドレーン側長さ715)全体に電圧を広げることによって電圧のスタッキングに対処できる。
【0071】
ブロック390では、絶縁破壊電圧設計目標を対象とする最終終端レイアウト設計を決定する。最終終端レイアウト設計は電界分布を使用して絶縁層内のピーク電界を小さく抑えるため、絶縁層内に存在する電荷による不安定さによって高い電界が発生し、BV低下が発生することがなくなる。例えば、SiC材料の場合、高い電界は5E5~4E6ボルト/cmに達し、最大の電界領域がデバイス内の電界の最大値になり、電界がデバイス全体で均一でなくなるため、面積がかなり制限されることになる。即ち、半導体デバイス100は“頑丈かつ安定な”BVを有することになる。換言すると、異なる操作条件下での半導体デバイス100の使用寿命全体を通してBVが一定化するとともに半導体デバイスの適格性評価に必要なストレス評価および適格性評価の手続においても変化することはない。
【0072】
異なる半導体具体化の実施例を添付図面に即して説明してきた。これら実施例は相互に排除するものではなく、一つの実施例に認められる特徴は一つかそれ以上の他の実施例の特徴と併用でき、これに随伴する実施態様を実現できる。従って、添付図面に示す実施例は例示のみを目的とし、どのように意味においても本発明を限定する意図はない。
【0073】
当業者ならば、追加的な切断、湾曲、積層または層化などの方法ステップを追加使用できることを理解できるはずである。
【0074】
また、以上の説明は例示のみを目的とし、限定を意図するものではなく、発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明は各種の異なる実施態様で実施可能である。以上本発明を詳細に説明してきたが、当業者ならば、本明細書に具体的に開示した発明性のある考え方および原理原則を変更することなく、多数の物理的変更を本発明に加えることが可能なことを容易に理解できるはずである。また、好適な実施態様のごく一部を組み込んだ多数の実施態様も可能であり、このようなごく一部に関しても、本明細書に開示した発明性のある考え方および原理原則を変更するものではない。本発明の実施態様および場合に応じて採用する構成はあらゆる点で例示および/または説明のみを目的とするもので、限定を目的とするものではない。以上説明してきた記載ではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲、および請求項と同じ意味および同じ範囲に包含されるすべての実施態様に対する選択肢、変更選択肢はいずれも本発明の範囲内に包含されるものである。
【符号の説明】
【0075】
100 半導体デバイス
105 第1領域
110 基体層
120 バッファー層
130 エピタキシャル層
135 電気終端層
150 第2領域
185 高電圧側金属プレート
190 ゲート
300 方法
360 決定ブロック
400 線図
500 構造
546 終端エリア
570 金属製のフローティングフィールドプレート
580 ポリシリコン製のフローティングフィールドプレート
590 層
705 長さ
715 ドレーン側長さ
720 ジャンクション深さ
730 X1-X2距離
102、103 ドレーン
170、710 ソース側長さ
365、375 サブブロック
310、320、330、340、350、390 ブロック
412、416、426、446、466、486 フローティングフィールドリング群
410、420、424、440、444、460、464、480、484 間隙
101、A-E 終端ユニット
145.1、180、180A、180B、180C、180D、180E フローティングフィールドプレート
160、160D 誘電体膜
165、165A、165B、165C、165D、165E チャネルビア
170、170E、175A、175B、175C、175D、175E 金属プレート
175、175A、175B、175C、175D、175E 接続ビア
145、145.1B-145.5B、145.1C-145.5C、145.1D-145.5D、145.1E-145.4E、506、545 フローティングフィールドリング
291、292 X2側
A、B、C、D、E 寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】