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特表2025-506170ポリヒドロキシアルカノエート用安定剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-07
(54)【発明の名称】ポリヒドロキシアルカノエート用安定剤
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/04 20060101AFI20250228BHJP
   C08K 5/1535 20060101ALI20250228BHJP
   C08K 5/095 20060101ALI20250228BHJP
   C08K 5/092 20060101ALI20250228BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20250228BHJP
【FI】
C08L67/04 ZBP
C08K5/1535
C08K5/095
C08K5/092
C08L101/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024547526
(86)(22)【出願日】2023-02-10
(85)【翻訳文提出日】2024-10-08
(86)【国際出願番号】 US2023012798
(87)【国際公開番号】W WO2023154457
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】63/309,060
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511046391
【氏名又は名称】ノボマー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デローザ,クリストファー・エイ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J200
【Fターム(参考)】
4J002CF191
4J002EF036
4J002EF066
4J002EF076
4J002EF096
4J002EH036
4J002EH086
4J002EH106
4J002EL136
4J002EL146
4J002EV066
4J002FD036
4J002GB00
4J002GC00
4J002GH00
4J002GK01
4J002GN00
4J200AA04
4J200AA27
4J200BA17
4J200CA01
4J200CA06
4J200DA20
4J200DA22
4J200DA24
4J200EA22
(57)【要約】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)と、水酸基又はチオール基を有する脂肪族カルボン酸、環状無水物又はハロカルボン酸のうちの1種以上を含む安定剤とを含む組成物が、PHA及び安定剤を接触し、安定剤がPHAを安定させるためにPHAに組み入れられるようにそれらを混合することによって形成されることができる。典型的には、PHAは融解され、安定剤はいずれかの劣化がある(つまり、分子量の低下が起こる)ならかなり前に添加される。水酸基を有する脂肪族カルボン酸は天然に存在し得、人間又は食品接触、又は特定の環境上の制約を有する用途に特に有用であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリヒドロキシアルカノエートと、水酸基又はチオール基を有する脂肪族カルボン酸、環状無水物又はハロカルボン酸のうちの1種以上を含む安定剤とを含む、組成物。
【請求項2】
脂肪族カルボン酸が、脂肪酸のカルボニルのα、β又はγ位に少なくとも1つの水酸基又はチオールを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
脂肪族カルボン酸が天然に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
脂肪族カルボン酸が天然に存在する酸に由来する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
水酸基の少なくとも1つがβ位にある、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
水酸基のそれぞれがβ位にある、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
水酸基が1つだけ存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
脂肪族カルボン酸が2~4つのカルボン酸基を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
脂肪族カルボン酸が、リンゴ酸、クエン酸及びそれらのチオール類似体のうちの少なくとも1種を含んでなる、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
環状無水物は無水マレイン酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
ハロカルボン酸が芳香族基を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
ハロカルボン酸が脂肪族である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
ハロカルボン酸が天然に存在するカルボン酸に由来する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
脂肪族カルボン酸が果物中に天然に存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項15】
脂肪族カルボン酸がリンゴ酸又はクエン酸である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
安定剤が無水フタル酸又は置換無水フタル酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
(i)ポリヒドロキシアルカノエート、及び水酸基又はチオール基を有する脂肪族カルボン酸、環状無水物及びハロカルボン酸のうちの1種以上を含む少なくとも1種の安定剤を接触すること、及び
(ii)ポリヒドロキシアルカノエート及び安定剤を混合することを備える方法。
【請求項18】
混合が加熱によって行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
混合が機械的攪拌によって支援される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
混合が、少なくとも部分的には、溶媒にポリヒドロキシアルカノエート及び安定剤のうちの少なくとも1種を溶解することによって行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ポリヒドロキシアルカノエートが、生合成されたポリヒドロキシアルカノエートを含んでなる、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ポリヒドロキシアルカノエートが、開環ラクトンのポリマーを含んでなる、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ポリヒドロキシアルカノエートが、ベータプロピオラクトン又は置換ベータラクトンの残基を含んでなる、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
残基がベータプロピオラクトン残基を含んでなる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ポリヒドロキシアルカノエートが、生合成されたポリヒドロキシアルカノエートを含んでなる、請求項17~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
ポリヒドロキシアルカノエートが、開環ラクトン残基を含んでなる、請求項17~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ポリヒドロキシアルカノエートが、ポリヒドロキシプロピオネート、ポリヒドロキシブチレート、これらのコポリマー、又はこれらのブレンドである、請求項17~26のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリエステルポリマーは、広範囲に使用される、汎用性の高い材料であることが分かっている。石油由来の芳香族モノマーに基づくポリエステルは、最も広く利用されるポリマーの1つであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)は水筒、テキスタイル及び他の消費財を製造するために大規模に製造される。残念ながら、PETは、生物分解性ではなく、そのため、消費者使用済みプラスチック残留廃棄物によって、海洋生態系への害を含む環境汚染の増大する問題の主要な原因になっている。近年、生分解性ポリエステルにおいて関心が高まり、その例は、ポリ乳酸(PLA)及びポリ-3-ヒドロキシブチレート(P3HB)などのポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む。PHAは、高いコスト及び特性(例えば、それらを処理することを困難にする傾向がある高い分子量)をもたらす微生物の酵素経路を操作することにより典型的に合成される。これらの問題は、現在の大量のポリマーを置き換えるために大量生産用途に対応することは困難になっている。製造業者が製品のコストと持続可能性を均衡させることを可能にする、高性能生分解性ポリマー、及び柔軟な原料供給源からそのようなポリマーを製造する方法に対する必要性は存在する。
【0002】
ポリエステルは有用な特性を有する一方、ラクトンのポリエステル(ここで、「ポリラクトン」)は、それらを実用品に形成(例えば、溶融押出、吹込み及び成形)するために処理する場合に熱劣化する傾向があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、PHA、特に、ラクトンの開環重合から、及び食品と医療産業におけるものを含む多種多様な用途において使用され得るベータ-プロピオラクトンの特定のポリマーにおいて少なくとも一部分由来するものをもたらすために以前に記載された制限を克服する方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
出願人は、加工温度でポリマーの劣化を低下する(つまり、実質的に分子量の低下を最小化する)熱加工時にPHAに組み入れられてもよい有効な安定剤/添加剤を発見した。例えば、PHA粉末及び安定剤粉末は、乾燥混合され、次に、開示された組成物を形成するために加熱、溶解され得る。安定剤は、溶融PHAに添加され、物品に形成され得る。安定剤は、有害な副生成物の形成を回避する、又は完全に洗浄液を回避し得る。食品にとって安全な、天然に存在するカルボン酸(例えば、果物に存在する酸)は、食品との接触した状態での用途又は他の環境上の制約に特に有用である。
【0005】
開示された第1の態様は、ポリヒドロキシアルカノエートと、水酸基又はチオール基を有する脂肪族カルボン酸、環状無水物又はハロカルボン酸のうちの1種以上を含む安定剤とを含む組成物である。
【0006】
(i)ポリヒドロキシアルカノエート、及び水酸基又はチオール基を有する脂肪族カルボン酸、環状無水物及びハロカルボン酸を含む1つ以上の安定剤を接触すること、及び
(ii)ポリヒドロキシアルカノエート及びポリヒドロキシアルカノエート脂肪族カルボン酸を混合することを備える方法。
【0007】
組成物及び方法は、広範囲の重量平均分子量(Mw)を有するPHAを製造するために使用されてもよい。安定剤を使用して、分子量分布(多分散性)を制御すると同様にMwをターゲットとする能力は、複数の用途(例えば、そこから製造されたフィルム、コーティング、複合材料、繊維及び物品)において使用されてもよいポリマー特性を考慮に入れる。組成物は、ポリマー材料を利用する用途において使用され得るが、ヘルスケア、食品生産/貯蔵及び調製、輸送(例えば、トラック、バス、RV、トレーラー、自転車、オートバイ及び自動車)、化学、素材及び航空宇宙などの工業を含むがこれらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、高温での時間の関数として開示された安定剤を備えた、及び安定剤のないPHAの分子量低下のプロットである。
図2】120℃で試験されたフタレート及び比較試料についてのデータは、図2に示される。
図3】140℃で試験されたフタレート及び比較試料についてのデータは、図3に示される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
特定の官能基及び化学用語の定義は以下により詳細に記載される。本発明の目的に合わせて、化学元素は、元素周期表、CAS版、「Handbook of Chemistry and Physics」75版内表紙に従って特定され、特定の官能基は、一般にそこに記載されるように定義される。さらに、有機化学の一般原理、並びに特定の官能性部分及び反応性は、「Organic Chemistry」,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito,1999年;Smith and March「March’s Advanced Organic Chemistry」5版、John Wiley & Sons, Inc.,New York,2001年;Larock「Comprehensive Organic Transformations」VCH Publishers,Inc.,New York,1989年;Carruthers、「Some Modern Methods of Organic Synthesis」3版、Cambridge University Press,Cambridge,1987年に記載され、そのぞれぞれの全内容を参照により本明細書に組み込む。
【0010】
開示されるあるポリマーは、1つ以上の不斉中心を含むことができ、したがって様々な立体異性形態、例えば、エナンチオマー及び/又はジアステレオマーで存在することができる。ポリマー及びその組成物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマー若しくは幾何異性体の形態であってもよく、又は立体異性体の混合物の形態であってもよい。開示されるポリマーはエナンチオピュアな化合物であってもよい。エナンチオマー又はジアステレオマーの混合物が開示される。
【0011】
本明細書において使用される用語「ベータラクトン」は、酸素原子、カルボニル基及び任意選択的に置換された2つのメチレン基を含む四員環を有する、置換又は非置換の環式エステルを指す。非置換の場合、ベータラクトンはベータープロピオラクトン(bPL)と称される。ベータラクトンは、一置換、二置換、三置換及び四置換されていてもよい。そのようなベータラクトンは、本明細書において定義されるようにさらに任意選択的に置換されてもよい。ベータラクトンは単一ラクトン部分を含む。ベータラクトンは、2つ以上の四員環状エステル部分を含んでいてもよい。ベータラクトンの例は、参照として本明細書に組み込まれるPCT公開第WO2020/033267号の表A(段落65と66の間)に示される。
【0012】
本明細書において使用される用語「ハロ」及び「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ、-F)、塩素(クロロ、-Cl)、臭素(臭素、-Br)及びヨウ素(ヨード、-I)から選択される原子を指す。本明細書において使用される用語「脂肪族」又は「脂肪族基」は、直鎖(すなわち非分岐)、分岐又は環式(縮合、橋架け及びスピロ縮合多環式を含む)であってもよく、完全に飽和していてもよく、又は芳香族でないが1つ以上の不飽和単位を含んでいてもよい炭化水素部分を示す。脂肪族基は、1~40炭素原子、1~20炭素原子、2~20炭素原子、1~12炭素原子、1~8炭素原子、1~6炭素原子、1~5炭素原子、1~4炭素原子、1~3炭素原子又は1つ若しくは2つの炭素原子を含んでいてもよい。例示の脂肪族基は、以下に限定されないが、直鎖又は分岐のアルキル、アルケニル及びアルキニル基及びそれらの混成体、例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル又は(シクロアルキル)アルケニルを含む。本明細書において使用される用語「ヘテロ脂肪族」は、1つ以上の炭素原子が、酸素、硫黄、窒素又はリンからなる群から選択される1つ以上の原子と独立して置き換えられる脂肪族基を指す。1~6炭素原子は、独立して、酸素、硫黄、窒素又はリンのうちの1つ以上と置き換えられてもよい。ヘテロ脂肪族基は、置換又は非置換、分岐又は非分岐、環式又は非環式であってもよく、飽和、不飽和又は部分的に不飽和の基を含んでいてもよい。本明細書において使用される用語「不飽和」は、部分が1つ以上の二重又は三重結合を有することを意味する。単独で又はより大きい部分の一部として使用される用語「脂環式」、「炭素環」又は「炭素環式」は、本明細書において記載されるように、3~12員を有する、飽和又は部分的不飽和の環式脂肪族単環式又は多環式の環系を指し、脂肪族環系は、以下に定義され本明細書において記載されるように任意選択的に置換される。脂環式基は、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、ノルボルニル、アダマンチル及びシクロオクタジエニルを含む。脂環式基は3~6炭素を有していてもよい。用語「脂環式」、「炭素環」又は「炭素環式」はまた1つ以上の芳香族環又は非芳香族環に縮合した脂肪族環、例えば、デカヒドロナフチル又はテトラヒドロナフチルを含み、結合の基又は場所は脂肪族環にある。
【0013】
本明細書において使用される用語「アルケニル」は、単一水素原子の除去によって少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、直鎖又は分岐鎖脂肪族部分から由来の一価の基を示す。本明細書において使用される用語「アルキニル」は、単一水素原子の除去によって少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する、直鎖又は分岐鎖脂肪族部分から由来の一価の基を指す。本明細書において使用される用語「アルコキシ」は、先に定義されたように、酸素原子によって親分子に結合したアルキル基を指す。アルコキシの例は、以下に限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、ネオペントキシ及びn-ヘキソキシを含む。本明細書において使用される用語「アシル」は、カルボニル含有官能基、例えば-C(=O)R’[式中、R’は、水素であり、若しくは任意選択的に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、ヘテロ環、アリール、ヘテロアリール基であり、又は、置換された(例えば水素又は脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール若しくはヘテロアリール部分で)酸素若しくは窒素含有官能基(例えばカルボン酸、エステル又はアミド官能基を形成する)である。]を指す。本明細書において使用される用語「アシルオキシ」は、酸素原子によって親分子に結合したアシル基を指す。単独で使用される、又は「アラルキル」、「アラルコキシ」若しくは「アリールオキシアルキル」中のような大きい部分の一部として使用される用語「アリール」は、合計五~二十環員を有する単環式及び多環式環系を指し、系中の少なくとも1つの環は芳香族であり、系中の各環は三~十二環員を含む。用語「アリール」は、用語「アリール環」と交換可能に使用されてもよく、「アリール」は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシルなどを含むがこれらに限定されず、1つ以上の置換基を有していてもよい芳香族環系を指す。また、本明細書において使用される用語「アリール」の範囲内に含まれるものは、芳香環が、1つ以上の追加の環、例えば、ベンゾフラニル、インダニル、フタリミジル、ナフチミジル、フェナントリジニル又はテトラヒドロナフチルなどに縮合した基であり、結合の基又は場所はアリール環にある。単独で、又は例えば、「ヘテロアラルキル」若しくは「ヘテロアラルコキシ」のより大きい部分の一部として使用される用語「ヘテロアリール(heteroaryl)」及び「ヘテロアリール(heteroar-)」は、環式配列に6、10又は14π電子を共有し;5~14環原子、好ましくは5、6又は9つの環原子を有し;炭素原子に加えて、1~5つのヘテロ原子を有する基を指す。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」及び「ヘテロアリール基」と交換可能に使用されてもよく、その用語のいずれも任意選択的に置換された環を含む。用語「ヘテロ原子」は、窒素、酸素又は硫黄を指し、窒素又は硫黄の任意の酸化形、及び塩基性窒素の任意の四級化形態を含む。ヘテロアリール基は、これらに限定されないが、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、ベンゾフラニル及びプテリジニルを含む。本明細書において使用される用語「ヘテロアリール(heteroaryl)」及び「ヘテロアリール(heteroar-)」はまた、ヘテロアリール環が、1つ以上のアリール、脂環式又はヘテロシクリル環に縮合した基を含み、結合の基又は場所がヘテロアリール環にある。非限定的な例は、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル及びピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4H)-オンを含む。ヘテロアリール基は単環又は二環であってもよい。用語「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールによって置換されたアルキル基を指し、アルキル及びヘテロアリールの部分は独立して任意選択的に置換されている。ある実施形態において、用語「五員~十員ヘテロアリール」は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~3ヘテロ原子を有する五員~六員ヘテロアリール環、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選択される1~4ヘテロ原子を有する八員~十員の二環式ヘテロアリール環を指す。用語「部分的不飽和」とは、少なくとも1つの二重又は三重結合を含む環部分を指す。用語「部分的不飽和」とは、複数の不飽和部位を有する環を包含するように意図されるが、本明細書において定義されるアリール又はヘテロアリール部分を含むようには意図されない。
【0014】
本明細書において記載されるように、開示される化合物は「任意選択的に置換された」部分を含んでいてもよい。用語「任意選択的に」が先行しても先行しないとしても、用語「置換」は、指定部分の1つ以上の水素が適切な置換基と置き換えられていることを意味する。特に断らなければ、「任意選択的に置換された」基は、基の各置換可能な位置で適切な置換基を有していてもよく、所与の構造中の複数の位置は、特定の基から選択される複数の置換基で置換されていてもよい場合、置換基はすべての位置で同一であっても又は異なっていてもよい。構想される置換基の組み合わせは、安定な、又は化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。本明細書において使用される用語「安定な」は、それらの製造、検出、ある実施形態において、それらの回収、精製及び、本明細書において開示される1つ以上の目的のための使用を可能にする条件にかけたとき、実質上変わらない化合物を指す。本明細書において使用される場合、用語「アルコキシ化」とは、分子の1つ以上の官能基(通常、官能基はアルコール、アミン又はカルボン酸であるが、決してこれらに限定されない)が、分子にヒドロキシ末端アルキル鎖を付加したことを意味する。アルコキシ化化合物は単一アルキル基を含んでいてもよく、又は、それらはヒドロキシル末端ポリエーテルなどのオリゴマー部分であってもよい。アルコキシル化材料は、官能基をエポキシドで処理することによって、親化合物から誘導することができる。別段の定めがない限り、「a」、「an」、「the」及び「少なくとも1つ」は、交換可能に使用され、1つ又は1つ超を意味する。電子求引性基は、ハロゲン基、ニトロ基、ケトン、シアノ基、カルボン酸及びカルボキシレートを含む。
【0015】
組成物はPHAを安定剤と接触することにより製造されてもよい。安定剤は、3つのタイプのうちの1つであってもよい:(1)水酸基又はチオール基を有する脂肪族カルボン酸、(2)環状無水物又は(3)ハロカルボン酸。
【0016】
例として、カルボン酸は、天然に存在する、又は天然に存在するカルボン酸に由来するものを含む。発見され、本来存在する有機体から分離され得るものが天然に存在する。酸は飽和又は不飽和であってもよい。天然に存在するカルボン酸は、天然に存在するカルボン酸、例えば、アビエチン酸、没食子酸、アルギン酸、アゼライン酸、コーヒー酸、リンゴ酸、ピルビン酸、ナイアシン、クエン酸、ビオチン、アビエチン酸、コール酸樹脂、ペクチン、アルギン酸、ガムロジン(天然に存在する天然酸の混合物)又はそれらの組み合わせであってもよい。脂肪酸は、任意の動物性脂肪又は植物油に由来する任意の脂肪酸であってもよく、飽和又は不飽和であってもよい。より望ましくは、水酸基を有するカルボン酸は果物に存在する。カルボン酸は、リンゴ酸、クエン酸、それらのチオール類似体又はそれらの混合物であってもよい。
【0017】
カルボン酸は、典型的にはカルボン酸中の酸性基のカルボニルに対してα、β、γ位に少なくとも1つの水酸基又はチオールを有する。望ましくは、少なくとも1つの水酸基又はチオールは、α又はβ位にある。カルボン酸は、その脂肪族骨格に沿って水酸基又はチオールと任意の有用な量で置換されてもよい。典型的には、置換の量は、カルボン酸中に存在するカルボン酸基と等しい、又は少ない(つまり、COOH/[OH+SH]の当量比)。カルボン酸は、例えば、二塩基酸又は三塩基酸における異なるα、β、γ位における2つのカルボニル間に位置する水酸基又はチオールを有していてもよい。例えば、位置は、1つのカルボニルについてはα、別のカルボン酸基においてβ位であってもよいが、二塩基酸のみがα位に水酸基を有する場合、熱安定化は減少する(例えば、酒石酸)。水酸基又はチオール基はそれぞれベータ位にあってもよい。カルボン酸は、チオールと水酸基の混合物と置換され得る、又は単独で一方又は他方であり得る。
【0018】
カルボン酸は、典型的には少なくとも1つのカルボン酸基を任意の有用な量で有する。より典型的には、1又は2~4又は6水酸基又はチオールがある。カルボン酸は小分子又はポリマーであってもよい。ここで目的のために、小分子は約1000g/モル未満であり、ポリマーは約1000g/モルより大きい。さらに小さな分子は、約500g/モル又は300g/モル以下を有しているものなどの加工性及び拡散性の改善に望ましい可能性がある。
【0019】
安定剤が環状無水物である場合、それは、任意の環状無水物であってもよいが、典型的には五員環を有するものであり、それはさらに置換されてもよく、又は置換されていなくてもよい。例えば、五員環状無水物は、
【0020】
【化1】
[式中、Rは前述のアルキル、アルケニル又はアリール基などの任意の置換基であってもよく、2つのRは、芳香族であってもよく、置換されてもよい環構造を形成してもよい。置換基は電子求引性基であってもよい。]
によって表され得る。置換基は、PHAを安定させる機能を妨げない電子求引性基であってもよい。置換基はハロゲン、カルボキシレート基、カルボン酸等であってもよい。実例となる環状無水物安定剤は、無水マレイン酸及び無水イタコン酸を含む。実例となる環状無水物は、フタレート及び置換フタレートを含む。開示した式を参照して、フタレートは、置換されてもよい芳香族環を形成するRを有する。典型的なフタレートは下記である:
【0021】
【化2】
任意の有用なハロカルボン酸が使用されてもよく、芳香族及び脂肪族基を有していてもよい。典型的には、ハロカルボン酸はハロ脂肪酸(HAA)である。典型的には、ハロカルボン酸はハロ及びカルボン酸基の等量を有する。例えば、HAAは1つのハロ及び1つのカルボン酸基を有していてもよい。HAAは、上記などの任意の構造を有していてもよいが、典型的には線状である。HAAは望ましくは上記定義される小分子である。HAAは、Br又はClなどの任意のハロゲン化物を含んでなっていてもよい。HAAは天然に存在するカルボン酸に由来してもよい。
【0022】
PHAは、ラクトンの開環から形成、又は生合成されてもよいものである。生合成プロセスにおいて、PHAは、酵素経路経由でPHAの形成を刺激することによって、発酵中にそこでパラメーターを操作することにより製造される。
【0023】
PHAは、
【0024】
【化3】
[式中、Rは前述のアリール、アリールアルケニル又はアルケニルであるが、典型的には、RはH又はC~C18又はC12非置換アルキルであり、yは1~6であってもよく、典型的には1であり、zは約10,000g/モルを超える分子量を有するポリマーをもたらす任意の値であってもよい(例えば、zは少なくとも約100~10,000である。)。]
によって表され得る。PHAは生合成されたPHAのブレンドを含んでなっていてもよい。特定のブレンドにおいて、ブレンドは、250,000g/モルを超えるピーク及び250,000g/モル未満の1つのピークによって示される双峰性分布を有していてもよい。ラクトン開環重合によって調製されたPHAに生合成されたPHAをブレンドすることによって、そのようなブレンド、双峰性分布のブレンドが形成されてもよい。開環重合によって典型的に調製されたPHAは、約250,000g/モル未満から約10,000g/モルのMwを有する。
【0025】
PHAは、10,000g/モル、100,000g/モル~300,000g/モル、500,000g/モル、1×10g/モル又は2×10g/モルのMwを有していてもよい。コポリマーは、多分散指数(PDI)が3.5以下、3.0又は2.5以下又は2.2以下の低い多分散度を有していてもよい。ポリマーは、1.05以上、1.1以上、1.2以上、1.5以上又は2.0以上のPDIを有していてもよい。列挙されたPDI値は、ポリメチルメタクリレート基準及び標準コンピュータプログラムを使用して計算を行ってGPCによって測定されたものを指す。PDI値は、約5,000g/molより低い、約4,500未満、約4,000未満、約3,500未満、約3,000未満、約2,500未満、約2,000未満、約1,500未満又は約1,000g/mol未満のMnを有するオリゴマーから生じるGPCピークを含むことなく計算されてもよい。
【0026】
PHAは、ポリマーが同様の分解特性を有する限り、他のモノマーとのコポリマーであってもよい。PHAは、z及びxが変化するPHAを含んでなっていてもよい。PHAは、ブロック、グラフト又はランダムポリマーであってもよい。異なるラクトンの開環重合による可能なPHAの例は、2021年7月21日に出願された同時係属中の米国特許仮出願第63/224,137号明細書の段落20~25、現在2022年7月19日に出願されたPCT出願米国第2022/037611号明細書に記載されており、両方とも参照により本明細書に組み込まれる。生合成されたPHAは、典型的には重合単位(残基)、3-ヒドロキシプロピオネート、3-ヒドロキシブチレート、3-ヒドロキシバレレート、3-ヒドロキシヘキサノエート、3-ヒドロキシオクタノエート、3-ヘキサデカノエートを含んでなる。PHAは、3-ヒドロキシプロピオネート(3HP)、3-ヒドロキシブチレート(3HP)又はそれらの混合物を含んでなっていてもよい。PHAは、前述の重合単位のホモポリマー又はそれらのホモポリマー又はコポリマーのブレンドを含んでなっていてよい。
【0027】
接触は、安定剤がPHAに組み込まれ、PHAを安定させ得るように、PHA及び安定剤を混合する任意の有用な方法を含んでいてもよい。例えば、接触は、粉末(粒子は典型的に5mm未満であり、粒子の主流は1mm未満である)を単に物理的に混合することを含んでいてもよい。物理的混合は、溶媒又は液体の添加なしでなされてもよい。典型的なミキサーは、マラーミキサー及びVブレンダーなどの化学技術において公知のものを含む。接触は、混合と同時に行ってもよい。例えば、PHA及び安定剤は、両方溶媒に溶解されてもよく、又は、PHAは溶融状態に加熱され、安定剤は機械的攪拌の助けで添加される。溶解は、熱的に支援されてもよい(例えば、閉鎖又は加圧されたシステムで外界温度(約20℃)より上に加熱される)。典型的には、溶融したPHAから組成物を形成する場合の温度は約100℃~約200℃である。溶媒は、熱の適用なしでPHA中への安定剤の組み込みを達成することが望ましい量でPHA及び安定剤の一方又は両方を溶解するいずれかであってもよい。望ましくは、溶媒は、PHA及び安定剤の両方を溶解してPHAへの安定剤の混合を達成する。溶媒は、例えば、塩素系溶剤、環式又は非環式カーボネート、エーテル、エステル又はケトンであってもよい。典型的な溶媒としては、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、エチルアセテート又はシクロヘキサノンが挙げられる。安定剤は、PHAの分子量へのPHA中に存在する不純物の影響を低減するのに十分な量で使用されてもよい。安定剤は、PHA及び安定剤の重量に基づいて約0.0001重量パーセント以上、約0.001重量パーセント以上、約0.01重量パーセント以上、約0.1重量パーセント以上、約0.5重量パーセント以上又は約1.0重量パーセント以上の量で使用される。安定剤は、PHAの重量に基づいて約3重量パーセント以下、約5重量パーセント以下又は約10重量パーセント以下の量で使用される。
【0028】
混合することは、安定剤がそれが望まれない熱劣化からPHAを安定させることを可能にするレベルで混合されるような任意の方法であってもよい。一般的に、これは、PHA中に安定剤を均一に分布するために、混合が行われることを意味する。熱劣化は、Mwの熱誘発性低下であり、Mwのあまりにも大きな低下はPHAを脆くし得る。安定剤は、いかなる様式で限定するものではなく、金属又は第四級アンモニウムイオンを除去し、鎖伸長剤としての機能を果たし、又はPHAを末端キャップし得る。例として、混合は、PHA及び安定剤の乾燥混合物を同時に加熱(溶解)し、押し出すことによってなされてもよい。PHAは、まず押出機に導入され、安定剤は押出機のバレル下にさらに添加されてもよい。異なる温度プロフィル、及びPHA及び安定剤の導入のポイントは、所望のポリマー分子分布を生成するために使用されてもよい。加熱の適用も組成物を同時に形成する成形品を製造するために使用されてもよい。記載されるように、押出機が使用されて組成物を形成し、次いで、金型を通して成形品を形成してもよい。別の実施例は、PHAの物理的混合物であってもよく、それは、局部加熱(例えば、3D印刷)によって溶融し、組成物及び物品を形成する。組成物は、射出成形において成形品を製造する場合に形成されてもよい。
【実施例
【0029】
[実施例1~18及び比較例1~3]
メチルtert-ブチルエーテル溶媒(MTBE)中でベータ-プロピオラクトン(bPL)のテトラメチルアンモニウムアセテート(TMAA)での開環重合によって製造されたポリプロピオラクトン(PPL)ホモポリマーを使用した(Mw=198kDa;D=2.2)。約30gのPPLを、PPL及び安定剤の1重量%の濃度で表1に示される安定剤のそれぞれで秤量した。PPL及び安定剤を乳鉢内で混合し、0.5~1分間粉砕し、試験までバイアルに保存した。100~120℃に30分間加熱した後に残る初期のモル質量の量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(PMMAポリマー基準に対してCHCl;40℃で1.0mL/min)によって決定される。有効性は加熱後に残る初期のモル質量の量である。
【0030】
上記手順を、リンゴ酸安定剤について繰り返し、加熱は120℃までであり、リンゴ酸の量は、なし、0.1%、0.5%、1%、3%、5%及び10%から変化し、異なる時間(初期、5、10及び30分)でのアリコートを、上記され、図1に示されるようなMwで得られ、解析される。図1から、リンゴ酸の約1%~3重量%の範囲のリンゴ酸の最適量があることが明らかである。
【0031】
【表1】
【0032】
[実施例19~22]
無水フタル酸系安定剤
ポリプロピオラクトンポリマーを、前の実施例に記載された方法で1質量パーセントで以下に示すように多くのフタル酸塩無水物と混合した。比較例も非環式無水物を使用して行った。試料を120℃及び140℃で30分間加熱し、各試料の質量を0、約5、15及び30分間それぞれ記載するように測定する。記載するように、安定剤のない対照試料も試験する。120℃で試験された試料についてのデータを図2に示し、140℃で試験された試料についてのデータを図3に示す。試験された安定剤の構造は以下のようである。
【0033】
【化4】
【0034】
データは、無水フタル酸及び置換無水フタル酸を備えた試料が非常に良好な熱安定性をもたらすことを示す。脂肪族無水物は良好な熱安定性をもたらさない。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトンの開環から形成されたポリヒドロキシアルカノエートと、水酸基又はチオール基を有する脂肪族カルボン酸、五員環を有する環状無水物又はハロカルボン酸のうちの1種以上を含む安定剤とを含み、安定剤の量は、ポリヒドロキシアルカノエート及び安定剤の重量に基づいて約0.0001重量パーセント以上、約10重量パーセント以下である、組成物。
【請求項2】
脂肪族カルボン酸が、脂肪酸のカルボニルのα、β又はγ位に少なくとも1つの水酸基又はチオールを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
脂肪族カルボン酸が2~4つのカルボン酸基を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
脂肪族カルボン酸が、リンゴ酸、クエン酸及びそれらのチオール類似体のうちの少なくとも1種を含んでなる、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
脂肪族カルボン酸が、リンゴ酸及びリンゴ酸のチオール類似体のうちの少なくとも1種を含んでなる、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
環状無水物は無水マレイン酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
ハロカルボン酸が芳香族基を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
ハロカルボン酸が脂肪族である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
脂肪族カルボン酸がリンゴ酸である、請求項に記載の組成物。
【請求項10】
安定剤が無水フタル酸又は置換無水フタル酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
安定剤は、ポリヒドロキシアルカノエート及び安定剤の重量に基づいて約0.01重量パーセント以上、約5重量パーセント以下の量で使用される、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ポリヒドロキシアルカノエートと、リンゴ酸及びリンゴ酸のチオール類似体から選択される水酸基又はチオール基を有する脂肪族カルボン酸、五員環を有する環状無水物、又はハロカルボン酸のうちの1種以上を含む安定剤とを含み、安定剤は、ポリヒドロキシアルカノエート及び安定剤の重量に基づいて約0.0001重量パーセント以上、約10重量パーセント以下の量で使用される、組成物。
【請求項13】
環状無水物は無水マレイン酸である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
ハロカルボン酸が芳香族基を含んでなる、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
ハロカルボン酸が脂肪族である、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
脂肪族カルボン酸がリンゴ酸である、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
安定剤が無水フタル酸又は置換無水フタル酸である、請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
安定剤は、ポリヒドロキシアルカノエート及び安定剤の重量に基づいて約0.01重量パーセント以上、約5重量パーセント以下の量で使用される、請求項12~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
(i)ラクトンの開環から形成されたポリヒドロキシアルカノエート、及び水酸基又はチオール基を有する脂肪族カルボン酸、環状無水物及びハロカルボン酸のうちの1種以上を含む少なくとも1種の安定剤を接触すること、及び
(ii)ポリヒドロキシアルカノエート及び安定剤を混合することを備える方法であって、安定剤の量は、ポリヒドロキシアルカノエート及び安定剤の重量に基づいて約0.0001重量パーセント以上、約10重量パーセント以下である、方法
【請求項20】
混合が加熱によって行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
混合が機械的攪拌によって支援される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
混合が、少なくとも部分的には、溶媒にポリヒドロキシアルカノエート及び安定剤のうちの少なくとも1種を溶解することによって行われる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ポリヒドロキシアルカノエートが、ベータプロピオラクトン又は置換ベータラクトンの残基を含んでなる、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
残基がベータプロピオラクトン残基を含んでなる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ポリヒドロキシアルカノエートが、ポリヒドロキシプロピオネート、ポリヒドロキシブチレート、これらのコポリマー、又はこれらのブレンドである、請求項1924のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
安定剤は、ポリヒドロキシアルカノエート及び安定剤の重量に基づいて約0.01重量パーセント以上、約5重量パーセント以下の量で使用される、請求項19~25のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトンの開環から形成されたポリヒドロキシアルカノエートと、水酸基又はチオール基を有する脂肪族カルボン酸、五員環を有する環状無水物又はハロカルボン酸のうちの1種以上を含む安定剤とを含み、安定剤の量は、ポリヒドロキシアルカノエート及び安定剤の重量に基づいて約0.0001重量パーセント以上、約10重量パーセント以下である、組成物。
【請求項2】
脂肪族カルボン酸が、脂肪酸のカルボニルのα、β又はγ位に少なくとも1つの水酸基又はチオールを有する、又は脂肪族カルボン酸が2~4つのカルボン酸基を有する、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
脂肪族カルボン酸が、リンゴ酸、クエン酸及びそれらのチオール類似体のうちの少なくとも1種を含んでなる、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
ハロカルボン酸が芳香族基を含んでなる、又はハロカルボン酸が脂肪族である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
安定剤が無水フタル酸又は置換無水フタル酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
安定剤は、ポリヒドロキシアルカノエート及び安定剤の重量に基づいて約0.01重量パーセント以上、約5重量パーセント以下の量で使用される、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(i)ラクトンの開環から形成されたポリヒドロキシアルカノエート、及び水酸基又はチオール基を有する脂肪族カルボン酸、環状無水物及びハロカルボン酸のうちの1種以上を含む少なくとも1種の安定剤を接触すること、及び
(ii)ポリヒドロキシアルカノエート及び安定剤を混合することを備える方法であって、安定剤の量は、ポリヒドロキシアルカノエート及び安定剤の重量に基づいて約0.0001重量パーセント以上、約10重量パーセント以下である、方法。
【請求項8】
混合が加熱によって行われる、請求項に記載の方法。
【請求項9】
混合が機械的攪拌によって支援される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
混合が、少なくとも部分的には、溶媒にポリヒドロキシアルカノエート及び安定剤のうちの少なくとも1種を溶解することによって行われる、請求項に記載の方法。
【請求項11】
ポリヒドロキシアルカノエートが、ベータプロピオラクトン又は置換ベータラクトンの残基を含んでなる、請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
残基がベータプロピオラクトン残基を含んでなる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ポリヒドロキシアルカノエートが、ポリヒドロキシプロピオネート、ポリヒドロキシブチレート、これらのコポリマー、又はこれらのブレンドである、請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
安定剤は、ポリヒドロキシアルカノエート及び安定剤の重量に基づいて約0.01重量パーセント以上、約5重量パーセント以下の量で使用される、請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ポリヒドロキシアルカノエートと、リンゴ酸及びリンゴ酸のチオール類似体から選択される水酸基又はチオール基を有する脂肪族カルボン酸、無水フタル酸又は置換無水フタル酸、又はハロカルボン酸のうちの1種以上を含む安定剤とを含み、安定剤は、ポリヒドロキシアルカノエート及び安定剤の重量に基づいて約0.0001重量パーセント以上、約10重量パーセント以下の量で使用される、組成物。
【国際調査報告】