(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-07
(54)【発明の名称】熱エネルギー管理の為のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
F25B 21/04 20060101AFI20250228BHJP
F25B 21/02 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
F25B21/04
F25B21/02 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547755
(86)(22)【出願日】2023-02-10
(85)【翻訳文提出日】2024-09-27
(86)【国際出願番号】 US2023062414
(87)【国際公開番号】W WO2023154883
(87)【国際公開日】2023-08-17
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2023-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524300761
【氏名又は名称】サーモバース エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】バーチ,シャントニオ,ウィンストン セイント
(57)【要約】
【課題】本明細書に記載されるのは、熱エネルギーの捕捉、伝達、及び管理の為のデバイス、システム、及び方法である。
【解決手段】相変化材料は、固液転移点近くで作動する時の熱慣性が高いという特性及び体積当たりエネルギーが大きいという特性故に使用される。付加的に、システム、デバイス、及び方法は、相変化材料の第1側に熱結合される1つ以上の熱電モジュールと、第1側と反対である相変化材料の第2側に熱結合される1つ以上の熱電モジュールとを利用する。熱電モジュールの使用により、熱エネルギーが、熱電モジュールが結合された相変化材料に貯蔵されるか、その中で伝達されるか、又はこれから獲得され得る。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギーを管理する為のシステムであって、
第2表面と反対の第1表面を有する温度エネルギー貯蔵媒体と、
複数の第1熱電モジュールを具備するフロントエンドアレイであって、前記温度エネルギー貯蔵媒体の前記第1表面に配置される前記フロントエンドアレイと、
複数の第2熱電モジュールを具備するバックエンドアレイであって、前記温度エネルギー貯蔵媒体の前記第2表面に配置される前記バックエンドアレイと、
を具備する、システム。
【請求項2】
更に、前記フロントエンドアレイと前記温度エネルギー貯蔵媒体の前記第1表面との間に第1サーマルインタフェース材料を具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
更に、前記バックエンドアレイと前記温度エネルギー貯蔵媒体の前記第2表面との間に第2サーマルインタフェース材料を具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の第1熱電モジュールが膜として構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の第2熱電モジュールが膜として構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の第1熱電モジュールの少なくともサブセットが直列に配線されて前記フロントエンドアレイを形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の第1熱電モジュールの少なくとも前記サブセットが更に直列と並列との組み合わせで配線される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の第2熱電モジュールの少なくともサブセットが直列に配線されて前記バックエンドアレイを形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の第2熱電モジュールの少なくとも前記サブセットが更に直列と並列との組み合わせで配線される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の第1熱電モジュールの少なくともサブセットが並列に配線されて前記フロントエンドアレイを形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数の第2熱電モジュールの少なくともサブセットが並列に配線されて前記バックエンドアレイを形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記温度エネルギー貯蔵媒体の前記第1表面に結合される1つ以上の温度センサを更に具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記温度エネルギー貯蔵媒体の前記第2表面に結合される1つ以上の温度センサを更に具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の第1熱電モジュールに結合される1つ以上の温度センサを更に具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の第2熱電モジュールに結合される1つ以上の温度センサを更に具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数の第1熱電モジュールの各々がペルチェモジュールとして作動する、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の第2熱電モジュールの各々がペルチェモジュールとして作動する、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の第1熱電モジュールの各々が熱電発電機として作動する、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数の第2熱電モジュールの各々が熱電発電機として作動する、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記温度エネルギー貯蔵媒体が相変化材料を包含する、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記相変化材料が水和塩を少なくとも部分的に包含する、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
システムが外部電気回路との連通結合状態にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
システムが1つ以上の電気化学バッテリとの電気連通状態にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
熱エネルギーを管理する方法であって、
温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面にフロントエンドアレイを結合することであって、前記フロントエンドアレイが1つ以上の第1熱電モジュールを具備することと、
前記温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面にバックエンドアレイを結合することであって、
前記第1表面が前記第2表面と反対であり、
前記バックエンドアレイが1つ以上の第2熱電モジュールを具備する、
ことと、
前記フロントエンドアレイ、若しくは前記バックエンドアレイ、又は両方を使用して、前記温度エネルギー貯蔵媒体の少なくとも一部分の温度を調整することと、
を包含する、方法。
【請求項25】
前記フロントエンドアレイと前記温度エネルギー貯蔵媒体の前記第1表面との間に第1サーマルインタフェース材料を配置することを更に包含する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記バックエンドアレイと前記温度エネルギー貯蔵媒体の前記第2表面との間に第2サーマルインタフェース材料を配置することを更に包含する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
1つ以上の電気化学バッテリを前記フロントエンドアレイ及び前記バックエンドアレイに電気結合することを更に包含する、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記フロントエンドアレイ若しくは前記バックエンドアレイの一方又は両方から発生された電気エネルギーを前記1つ以上の電気化学バッテリへ伝達することを更に包含する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記フロントエンドアレイ若しくは前記バックエンドアレイの一方又は両方により、前記1つ以上の電気化学バッテリから電気エネルギーを受け取ることを更に包含する、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記フロントエンドアレイと前記バックエンドアレイとを外部電気回路に電気結合することを更に包含する、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記フロントエンドアレイ若しくは前記バックエンドアレイの一方又は両方から発生した電気エネルギーを前記外部電気回路へ伝達することを更に包含する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記フロントエンドアレイ若しくは前記バックエンドアレイの一方又は両方により前記外部電気回路から電気エネルギーを受け取ることを更に包含する、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記温度エネルギー貯蔵媒体の一部分から発生した熱エネルギーを前記温度エネルギー貯蔵媒体の別の部分へ伝達することを更に包含する、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記温度エネルギー貯蔵媒体が温度エネルギーの為のリザーバ又はバッテリとして作用するように構成されている、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記フロントエンドアレイ若しくは前記バックエンドアレイの一方又は両方から発生した電気エネルギーを前記温度エネルギー貯蔵媒体へ伝達することを更に包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記温度エネルギー貯蔵媒体の1つ以上の相転移温度又は相転移温度の近くの温度範囲にわたって前記伝達が実行される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記温度エネルギー貯蔵媒体の第1部分に貯蔵された熱エネルギーを前記温度エネルギー貯蔵媒体の別の部分へ伝達することを更に包含する、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記温度エネルギー貯蔵媒体の相転移温度に達した時、或いは前記温度エネルギー貯蔵媒体の前記相転移温度が既定範囲内にある時に、前記伝達が実行される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記フロントエンドアレイ若しくは前記バックエンドアレイの一方又は両方により前記温度エネルギー貯蔵媒体から熱エネルギーを獲得することを更に包含する、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記温度エネルギー貯蔵媒体の相転移温度範囲に基づいて前記伝達が実行される、請求項39に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年2月11日に出願された米国仮特許出願第63/309,459号と、2023年1月3日に出願された米国仮特許出願第63/478,301号との優先権を主張し、各特許出願の内容は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本明細書で言及される全ての刊行物及び特許出願は、個々の各刊行物又は特許出願が参照によりその全体が援用されると具体的且つ個別的に指摘された場合のように、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0003】
本開示は、概ね熱エネルギーを管理する技術分野に、より具体的には、体積可変の包囲体の暖房及び空調と温度管理との技術分野に関する。本明細書に記載されるのは、熱エネルギーを管理して温度を調整する為のシステム及び方法である。
【背景技術】
【0004】
包囲体及び物体の冷暖房は長年にわたって実践されている。効率の制約、不均一な温度プロフィール、他の固有の問題点を含めて、基本原理及び課題の多くが今日も残っている。例えば建物における冷暖房の非効率性は、ほとんどが建物エンベロープの静的絶縁に関わっている。大抵の冷暖房用途で従来使用されている静的絶縁は、建物エンベロープを通した熱エネルギーの伝達を遅らせるに過ぎない。(夏期などの)エンベロープへの熱エネルギーの侵入であれ、又は(冬期などの)熱エネルギーの損失であれ、静的絶縁のほとんどが、これらのプロセスを減速させるように機能する。付加的に、静的絶縁は、建物エンベロープを通過する熱エネルギーのいかなる部分も捕捉、変換、又は伝達するようには機能しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の暖房換気空調(HVAC)システムは、冬期月間中の熱エネルギーの損失、熱エネルギーの侵入による夏期月間中のエネルギーの浪費、不均一な温度プロフィール、包囲体内での独立温度制御の欠如、日中損失、そして包囲体エンベロープに固有の他の欠点を含めて、経済的に対処することが困難な効率上の短所を有する。暖房換気空調システムは毎年、大量の温室効果ガスの主要因であり、非効率的なシステムは正当化できない排出物質の原因である。従って、手頃な価格、快適性、性能、スペース利用、そして改造の容易性を維持又は向上しながら、これら長年周知の問題点に対処する新規のデバイス及びシステムを開発する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの態様において、本明細書に記載の技術は熱エネルギーを管理する為のシステムに関しており、このシステムは、第2表面と反対の第1表面を有する温度エネルギー貯蔵媒体と、温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面に配置される第1熱電対と、第1熱電対と温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面との間の第1サーマルインタフェース材料と、温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面に配置される第2熱電対と、第2熱電対と温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面との間の第2サーマルインタフェース材料とを含む。
【0007】
幾つかの態様において、本明細書に記載の技術は熱エネルギーを管理する為のシステムに関しており、このシステムは、第2表面と反対の第1表面を有する温度エネルギー貯蔵媒体と、複数の第1熱電モジュールを含むフロントエンドアレイであって、温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面に配置されるフロントエンドアレイと、複数の第2熱電モジュールを含むバックエンドアレイであって、温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面に配置されるバックエンドアレイとを含む。
【0008】
幾つかの態様において、本明細書に記載の技術は熱エネルギーを管理する方法に関しており、この方法は、温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面にフロントエンドアレイを結合することであって、フロントエンドアレイが1つ以上の第1熱電モジュールを含むこと、温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面にバックエンドアレイを結合することであって、第1表面が第2表面と反対であり、バックエンドアレイが1つ以上の第2熱電モジュールを含むこと、そしてフロントアレイ又はバックエンドアレイ、或いは両方を使用して温度エネルギー貯蔵媒体の少なくとも一部分の温度を調整することを含む。
【0009】
幾つかの態様において、本明細書に記載の技術は包囲体内の温度を制御するコンピュータ実装方法に関しており、この方法は、包囲体の1つ以上の第1箇所からの第1空気温度入力をプロセッサで受け取ること、包囲体の1つ以上の第1箇所からの第1壁面温度入力をプロセッサで受け取ること、包囲体の1つ以上の第1箇所についての第1設定空気温度入力をプロセッサで受け取ること、そして第1空気温度温入力に対応する第1空気温度が第1設定空気温度入力と異なっている時に、包囲体の1つ以上の第1箇所内の第1空気温度を調整する第1システム、又は包囲体の1つ以上の第1箇所の内壁の少なくとも一部分の第1壁面温度を調整して第1空気温度を調整する第2システムの一方又は両方に第1制御信号を出力することを含み、第2システムが、温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面に結合される複数の第1熱電モジュールと、温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面に結合される複数の第2熱電モジュールとを含み、温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面が温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面と反対であり、第1表面が内表面を画定するとともに第2表面が外表面を画定する。
【0010】
幾つかの態様において、本明細書に記載の技術は包囲体内の空気温度を制御するシステムに関しており、このシステムは、1つ以上の区画内での空気温度を調整するように構成されている第1システムと、包囲体の内壁の少なくとも一部分の温度を調整するように構成されている第2システムと、第1及び第2システムに連通結合されるプロセッサとを含み、第1システムは、温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面に結合される複数の第1熱電モジュールを含み、第2システムは、温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面に結合される複数の第2熱電モジュールを含み、内表面を画定する第1表面は、外表面を画定する第2表面と反対である。
【0011】
幾つかの態様において、本明細書に記載の技術は、包囲体内の温度を制御するコンピュータ実装方法に関しており、この方法は、包囲体についての既定パラメータをプロセッサで受け取ることであって、既定パラメータがセンサデータ或いは包囲体又は類似包囲体のモデルから判断されること、包囲体についての既定の設定温度入力をプロセッサで受け取ること、包囲体についての中心空気温度入力をプロセッサで受け取ること、中心空気温度入力が既定の設定温度入力の公差範囲内にあるかどうかを判断すること、そして特定領域内での中心空気温度入力がこの領域についての既定の設定温度入力の公差範囲の外側である時に、温度調整システムを使用して包囲体の空気温度を調整することであって、調整の程度が包囲体についての既定パラメータに基づくことを含む。
【0012】
上記は要約であり、故に詳細においては必ずしも限定されていない。添付図面の参照により、上述の態様が本技術の他の態様、特徴、及び利点と共に様々な実施形態に関連して以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】熱エネルギー管理の為のシステムの実施形態の概略図である。
【
図2】2組の複数の熱電モジュールの実施形態を図示している。
【
図3A】熱電モジュールの直列配線の実施形態を図示している。
【
図3B】熱電モジュールの並列配線の実施形態を図示している。
【
図4】2組の複数の熱電モジュールの間の温度エネルギー貯蔵媒体の実施形態を図示している。
【
図5】熱電モジュールに結合された1つ以上の温度センサの実施形態を図示している。
【
図6】内部空間又は包囲体と環境とを分割する2組の複数の熱電モジュールの間の温度エネルギー貯蔵媒体の実施形態を図示している。
【
図7】包囲体内の温度を調節及び維持する為のシステムの実施形態を図示している。
【
図8】包囲体内の温度を調節及び維持する為のシステムの実施形態を図示している。
【
図9】包囲体内の1つ以上の温度を維持する為の方法の実施形態を図示している。
【
図10】包囲体の2つ以上のサブ包囲体内の温度を維持する為の方法の実施形態を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図示されている実施形態は単なる例であり、開示を限定することは意図されていない。概略図は特徴及び概念を図示するように描かれており、必ずしも一定縮尺ではない。
【0015】
上記は要約であり、故に詳細においては必ずしも限定されていない。上述の態様が、本技術の他の態様、特徴、及び利点と共に、様々な実施形態に関連してこれから記載される。以下の実施形態を含めることは、これらの実施形態に開示を限定することではなく、寧ろ、考えられる発明を当業者が製作及び使用できるようにすることを意図したものである。他の実施形態が利用されてもよく、本明細書に提示される主題の趣旨又は範囲を逸脱することなく改善が行われ得る。本明細書に記載及び図示される開示の態様については、多様な形態で構成、組み合わせ、改善、及び設計が行われ得、その全てが明示的に考察されて本開示の一部を成す。
【0016】
先行又は従来のシステムでは、包囲体内での温度又は熱管理と関連するエネルギー効率と温度管理の両方の懸案事項に対処することが試みられている。しかしながら、これらの先行又は従来システムは幾つかの欠点又は技術的問題を抱えている。
【0017】
例えば、半無限の包囲体(例えば建物包囲体)の為の熱管理システムは、能動的建物エンベロープ(ABE)又は壁面ファサードを設ける為に、太陽光発電と組み合わされたペルチェモジュールの使用に依存していた。しかしながら、従来のHVACシステムと同様にこれらのシステムが効率的に作動する為に必要とされるのは静的断熱である為、これらのシステムは限定的である。更に、(一般的にフィン付きの)従来のヒートシンクと空隙流路とは一般的に、熱を放散する為に必要とされる。半無限の包囲体(例えば建物)の為の他の熱管理システムでは、温度エネルギー貯蔵部又は相変化材料(PCM)により可能となる蓄熱性能を有する空調機器を設けるようにペルチェモジュールを組み合わせる。しかしながら、これらのシステムは、生活空間を占有する独立ユニットであり、効率的な作動には静的断熱を必要とする。最後に、(広くは動的絶縁材料システム(DIMS)と分類される)温度エネルギー貯蔵材料と非熱電デバイスとを使用して包囲体エンベロープのエネルギー効率と動的絶縁の両方に対処する試みが、近年行われてきた。しかしながら、PCM材料での熱伝達を実行する為に使用される特定方法は、サーマルスイッチ(可動部品を備える機械的デバイス)及び/又はサーマルダイオード(オンデマンドでは操作不能な受動的デバイス)の使用に依存している。
【0018】
本明細書に記載の様々な実施形態は、幾つかの技術的解決法/性能を提供することにより先行システムの技術的問題を解決する。本明細書に記載の実施形態により提供される技術的解決法/性能は、(i)センサに基づく任意選択の温度、湿度、及び雰囲気の制御を介したスマート(インテリジェント)負荷制御と、(ii)熱電モジュール(例えばペルチェモジュール)を介したゾーン及びマイクロゾーンの温度制御と、(iii)動的な断熱及び蓄熱と、(iv)廃熱回収と、(v)サーマルエンベロープの空間マッピングを介したエンベロープ診断及び監視とを含む。本明細書に記載の様々な実施形態又はその各々では、全ての性能が必ずしも実行可能な訳ではない。生活空間を占有することなく、そして多くの事例では空隙流路が熱を放散する必要なく、これらの性能が達成される。更に、上に記載のPCM組み込みDIMSと異なり、本明細書に記載の実施形態は、主として、非機械的(つまりメンテナンス不要)且つ能動的(つまり電気操作式)であり、PCM材料への、又はPCM材料からの熱伝達の実行が可能である一方で、基本的、補助的、又は拡張的な暖房及び/又は冷房を提供する熱電モジュール(例えばペルチェモジュール)により、実行可能である。
【0019】
図1に示されているように、本明細書に記載されるのは包囲体において熱エネルギーを管理する為のシステム200である。本明細書に記載のシステムは、アプリケーション270が記憶されたメモリ210に連通結合される1つ以上のプロセッサ280を含む。プロセッサ280は、メモリ210から情報を読み取るとともにメモリ210に情報を書き込んで、本明細書の他所に記載の方法のいずれかを実施し得る。プロセッサ280は、温度エネルギー管理モジュール、アレイ、システム、又は熱電モジュール230に連通結合される。プロセッサ280は、付加的な計算能力及び/又は計算力の為の、及び/又は、接続システムの分散型ネットワークの為のリモートコンピューティングデバイス220(例えばサーバ)に任意選択的に連通結合され得る。
【0020】
任意選択的に、幾つかの実施形態は、従来の暖房換気空調システム260の使用を含む。従来の暖房換気空調システム260は、放射暖房システム、電気ヒートポンプ、ファン、及び/又は、放射冷房システムを含み得る。従来の暖房換気空調システムはHVACシステムとも称され得る。更に、本明細書の他所で記載されるように、システム200は任意選択的に、外部回路250との電気又は無線通信を含み得る。これらの構成要素の各々については、以下でより詳細に記載される。
【0021】
包囲体の定義は以下の通りである。物理的境界(例えば、壁面、膜等)により限定される空間を含む任意の閉鎖システムであり、1つ以上の物理的境界(例えば表面)と環境(例えば雰囲気)とによりこのような空間限定が達成されるシステムを含み得る。例えば、開放又は閉鎖された建物が包囲体であり得る。叉、道路の表面とその上の環境とは、地球の大気へ、そして大気からの熱の流入及び逆放射と関連する包囲体であり得る。
【0022】
「管理する(manage)」という用語又はこの用語の何らかの形態が、本明細書で使用され得る。例えば、「管理する」は、熱エネルギーに関して使用される時に、監視、操作、調整、管理、若しくは貯蔵と互換的に使用されるか、又はその何らかの形態であり得る。付加的に、監視、操作、調整、管理、又は貯蔵という用語、或いはこの用語の何らかの形態も互いに互換的に使用され得る。
【0023】
「獲得する(harvest)」という用語又はこの単語の何らかの形態が、本明細書で使用され得る。例えば、「獲得する」は、熱エネルギーに関して使用される時に、1つ以上の熱電モジュールにおける温度差に基づいたこれらのモジュールによる電気エネルギーへの熱エネルギーの変換として定義され得る。
【0024】
「電気エネルギー(electrical energy)」という用語は、電流、電圧、又は電力と互換的に使用され得る。
【0025】
「連通結合される(communicatively coupled)」という用語は、構成要素間の無線通信(つまり無線結合)、或いは構成要素間の有線接続のいずれかとして定義され得る。
【0026】
以下の幾つかの実施形態は、相変化材料に結合され、時には相変化材料に「熱結合される(thermally coupled)」と称される1つ以上の熱電モジュールを含み得る。相変化材料又は何らかのタイプの温度エネルギー貯蔵媒体への熱電モジュールの結合又は熱結合が、相変化材料への熱電モジュールの直接的な接触により、或いは熱電モジュールと相変化材料との間でのサーマルインタフェース材料又は狭い空隙の使用により間接的に行われ得ると本明細書では推察される。サーマルインタフェース材料は、熱伝導合金、サーマルグリース、サーマルエポキシ、エラストマ、又は熱エネルギー伝達を高める為の当該技術分野で周知の任意の他の材料など、高熱伝導率を持つ材料を含み得る。サーマルインタフェース材料はシート形態又はペースト形態を取り得、熱電モジュールと相変化材料との間にサーマルインタフェース材料が配置され得ることが考えられる。例えば、
図6に示されているように、熱電モジュール2c、2f、2iと相変化材料8との間にサーマルインタフェース材料が配置され得る。付加的に、熱電モジュール4c、4f、4iと相変化材料8との間にサーマルインタフェース材料が配置されてもよい。
【0027】
本明細書に記載の相変化材料は、「PCM」と称され得る。相変化材料は本明細書において、相を変える時に熱エネルギーを吸収及び放出する材料として定義される。更に、相変化材料はその固液転移中に熱エネルギーを吸収し得るとともに、その液固転移中に熱エネルギーを放出し得る。実施形態に記載の相変化材料は、その固液転移中に貯蔵され得る大量の熱エネルギー故に、そしてその液固転移中に放出され得る大量の熱エネルギーの為に使用され得る。幾つかの望ましい効果の為に、固固転移を伴う相変化材料が選択され得る。例えば、幾つかの実施形態は、2つの異なる結晶形態(つまり多形体)の間での固固転移など、形態的特性を持つ相変化材料を含み得る。多形の相変化材料を含む実施形態は、固固転移温度又はその近くの温度で作動し、こうして液状の相変化材料を封入する母材の必要性を回避し得る。相変化材料は、その液固転移温度近くで作動する時に高い熱慣性特性を有する(本明細書で使用される際の液固転移は固固転移と互換的であり得る)。本明細書の実施形態は、カプセル化相変化材料、マイクロカプセル化相変化材料、純粋な相変化材料、及び複合相変化材料を含み得る。更に、相変化材料の平面を通る、及び/又は、その平面上の熱流をそれぞれ制限又は促進するように熱絶縁性から熱伝導性に及ぶ特性を有するカプセル化材料により、相変化材料がカプセル化され得る。付加的に、他の相変化材料と比較して、幾つかの相変化材料は、相変化が発生する広い温度範囲を有し得る。幾つかの実施形態は、広い転移温度範囲を持つ相変化材料を含み得る。相変化材料の組成は、具体的な用途に適した固液転移温度を含むように改変され得る。例えば、望ましい固液転移温度を持つ改変ワックスが生産又は調整され得る。固液転移温度の調整は、イオンの使用と、その移動による濃度勾配に対する効果により行われ得る。相変化材料は、パラフィンワックス、非パラフィン有機物、水和塩、脂肪酸、及び金属物であり得る。人にとって快適な温度レベル又は人にとって快適な温度仕様の近くで作動する本明細書に記載の実施形態は、様々な気候帯(例えば米国内の8個の気候帯、世界中の気候帯等)、人にとって快適な温度仕様、或いは人工設備の稼働についての仕様に適合するように複数の相転移温度を有し得る。実施形態には幅広い柔軟性を持つ相変化材料が含まれ得ると考えられている。考えられる相変化材料は、剛性、可撓性、弾性であり得るか、又はその用途に適した他の何らかの機械的特性を有し得る。
【0028】
使用され得る相変化材料のリストは、LiClO3、K2HPO4.6H2O、KF.4H20、Na2CrO4.10H2O、Cu(NO3)2.6H2O、FENH4(SO4)2.12H2O、Mn(NO3|2.6H20、LINO3.3H20、CaBr2.6H20、Zn(NO3)2.6H20、Na2HPO4.12H20、FeCl3.6H20、Na2C03.10H20、CaCi2.6H20、Na2504.10H20、Ca(NO32.4H20、Fe(NO313.9H20、Na25203.5H20、Na2P04.7H20、Cd(NO3)2.4H20、Cr/NO3)3.9H20、Mg(CH3CO2)2.4H20、MnCI2.4H20、Co(NO3)2.6H20、Al(NO313.9H20、CH3COONA.3H20、Na4P207.10H20、Na2B407.10H20、BalOH12.8H20、Na3P04.12H2O、NAOH.H20、NaHSO4.H20、或いは当該技術分野で周知の任意の他の相変化材料代替物を含むが、これらに限定される訳ではない。
【0029】
幾つかの用途において、転移温度近くである時に相変化材料は、高エネルギー貯蔵性能故に好適な温度エネルギー貯蔵媒体であり得るが、熱エネルギーを貯蔵して熱エネルギーを除去することが可能である任意の材料が温度エネルギー貯蔵媒体として使用され得る。相変化材料は本明細書では実施形態と共に使用されるが、熱エネルギーが貯蔵され得るか又は除去され得る任意の材料と相変化材料が互換的であり得ると考えられている。更に、長期の温度エネルギー貯蔵及び放出の為に他の手法で(例えば非熱的又は光学的に)操作されるPCM材料が実施形態で使用され得ると考えられる。
【0030】
熱電モジュール230は本開示全体で記載され、
図1に示されている。本明細書に記載の熱電モジュール230は、ペルチェモジュール、ソリッドステート電気ヒートポンプ、ソリッドステート電気エンジン、熱電発電機、ソリッドステート冷凍機、熱流束センサ、ペルチェ効果を利用するモジュール、ゼーベック効果を利用するモジュール、熱電効果を利用するモジュール、或いはトムソン効果を利用するモジュールを含み得る。幾つかの実施形態は、面貫通熱電発電、面内熱電発電、或いは両方の組み合わせを伴う熱電モジュール利用する。更に、熱電モジュール230は単一の熱電対のように単純であってもよい。熱電モジュール230の別の例は、直列に配線された複数の熱電対を含み得るが、熱的には並列に配置される。1つ以上の熱電対を含む熱電モジュールを備える実施形態は、ポリマー、無機ペロブスカイト、複合材、均質材料、不均質材料、非晶質、結晶性半導体、或いは当該技術分野で周知の任意の他の適切な熱電対材料で構築される熱電対を含み得る。幾つかの実施形態は、第2側と反対の第1側を備えて第1側が加熱される熱電モジュール230を含み、第1配向の電流極性が印加された時に第2側が冷却される。反対の電流が印加された場合には、第1側が冷却される為に対して第2側は加熱される。本明細書に記載の実施形態において、熱電モジュール230は、熱電モジュールの第1側又は第2側のいずれかにより温度エネルギー貯蔵媒体に熱結合される。幾つかの実施形態は、膜又は薄膜形態の熱電モジュール230を利用する。例えば、シート形態の相変化材料に結合された時には、膜又は薄膜の熱電モジュールが使用され得る。付加的に、本明細書に記載の実施形態の熱電モジュールは可撓性が変動し得る。考えられる熱電モジュールは剛性、可撓性、弾性であり得るか、又はその用途に適した任意の他の機械的特性を有してもよい。例えば、可撓性及び/又は弾性の熱電モジュールは可撓性及び/又は弾性の相変化材料と結合され得、その結果として可撓性及び/又は弾性の性能を備える実施形態が得られる。
【0031】
熱エネルギーから電気エネルギーを発生させて(つまり熱電発電機として機能して)電気エネルギーから熱エネルギーを発生させるという性能を備える熱電モジュール230は、相変化材料に熱結合された時に相当な利点を提供する。転移温度又はその近くの相変化材料は、体積に対して相当な量の熱エネルギーを貯蔵できる。相変化材料に熱結合された1つ以上の熱電モジュールにより、熱エネルギーが相変化材料に伝達され得る。相変化材料に伝達されるか又はこれにより吸収される熱エネルギーは叉、放射、対流、伝導、又は上述の熱伝達タイプの組み合わせを通して発生し得る。相変化材料は、日光から放射により吸収される、(包囲体の内側か又は周囲環境からのいずれかの)空気から対流により吸収される、ガス流(例えば内燃機関からの排気)から対流により吸収される、及び他の熱源からの熱エネルギーも貯蔵し得る。付加的に、転移温度又はその近くの相変化材料からは相当な量の熱エネルギーが獲得され得、相変化材料に熱結合された1つ以上の熱電モジュールにより熱エネルギーが獲得され得る。幾つかの実例では相変化材料転移温度又はその近くでのエネルギーの獲得ほど効率的ではあり得ないが、相転移温度より上でも相変化材料から熱エネルギーが獲得され得る。2つ以上の熱電モジュールを採用する実施形態の更なる性能は、相変化材料の一部分から別の部分へ熱エネルギーを伝達することである。例えば、第1熱電モジュールは、第1熱電モジュールが電気エネルギーに熱結合されるところに近接している相変化材料から熱エネルギーを獲得し得、この電気エネルギーは、相変化材料の別の部分に熱結合される第2熱電モジュールに伝達され得る。第2熱電モジュールが電気エネルギーを受け取る時には、第2熱電モジュールが熱結合されるところに近接している相変化材料により吸収され得るか、或いは空間暖房又は冷房を強化するという別の目的に使用され得るかのいずれかの熱エネルギーに電気エネルギーが変換される。別の例で、第1熱電モジュールは、第1熱電モジュールが熱結合されているところに近接する相変化材料から、温度エネルギー貯蔵容量にまだ達していない相変化材料の別の部分へ、熱エネルギーを送るか又は移動させ得る。
【0032】
本明細書に記載の実施形態は更に、熱電モジュールと併せて使用されて相変化材料又は環境からの熱エネルギーの獲得を更に促進する非熱電モジュールを含み得る。例えば、熱光発電電池又はモジュールが、放射によりエネルギーを獲得する為に使用され得る。熱光発電モジュールは、相変化材料から伝達される熱エネルギーを放射の形で受け取り得る。放射熱エネルギーは、熱光発電モジュールにより電気エネルギーに変換されて、熱電モジュールにより発生される電気エネルギーについて本明細書で記載されるように伝達及び/又は貯蔵され得る。非熱電モジュールの他の例は、サーマルダイオード、サーマルスイッチ等を含み得る。
【0033】
本明細書に記載の実施形態は更に、熱電モジュールと併せて使用されて相変化材料又は環境からの非熱(例えば光学的)及び温度(例えば熱)エネルギーの獲得を促進する非熱電モジュールを含み得る。例えば、太陽光発電電池又はモジュールが太陽光放射を獲得する為に使用され得、熱電モジュールは熱エネルギーを獲得する為に使用され得る。太陽光発電モジュールは、放射の形で環境から伝達された太陽光エネルギーを受け取り得る。放射太陽光エネルギーは太陽光発電モジュールにより電気エネルギーに変換され、熱電モジュールにより発生される電気エネルギーについて本明細書に記載されているように伝達及び/又は貯蔵され得る。
【0034】
幾つかの実施形態はシートの形態の相変化材料を利用し得る。
図6に示されているように、適当な相変化材料8のシートの厚さ21は用途に依存し、用途ごとにかなり変化し得る。幾つかの実施形態は、例えば、約0.00001cm~約100cm、約0.0001cm~約50cm、約0.1cm~約10cm等の厚さ21を持ち、建物包囲体内で使用される相変化材料8を含む。
図4に示されているように、相変化材料8のシートは、第1表面積を有する第1面9と第2表面積を有する第2面11とを含み得、第1面9は第2面11と反対の側にある。第1表面積及び/又は第2表面積は、相変化材料のシートの隣接表面積、例えば相変化材料の縁部又は外周部より大きくなり得る。第1表面積と第2表面積とは実質的に等しくなり得る。幾つかの実施形態は、第1面に熱結合される1つ以上の熱電モジュールによる第1組と、第2面に結合される1つ以上の熱電モジュールによる第2組とを含む。第1組熱電モジュールの複数の熱電モジュールと、第2組熱電モジュールの複数の熱電モジュールとを含む実施形態は、エンベロープ温度管理性能を含み得る。例えば、これらの実施形態は相変化材料のシートで熱エネルギーを移動させる為に使用され得る。更に、幾つかの実例で、熱エネルギーは相変化材料8の特定部分において高レベルで存在するか又は吸収され得、それ故、相変化材料8の他の部分では熱エネルギーが低レベルで存在するか又は吸収され得る。これらの実例において、実施形態では、より高い熱エネルギーを持つ1つ以上の相変化材料8の部分に近接しているフロントエンドアレイ5及びバックエンドアレイ6からの1つ以上の熱電モジュールによる第1組が操作され得る。1つ以上の熱電モジュールによる第1組の操作により、より高い熱エネルギーを持つ相変化材料部分から熱エネルギーが獲得され得る。付加的に、この実施形態では、より低い熱エネルギーを持つ1つ以上の相変化材料部分に近接する1つ以上の熱電モジュールによる第2組が操作され得る。1つ以上の熱電モジュールよる第2組の操作により、より低い熱エネルギーを持つ相変化材料部分に熱エネルギーが伝達され得る。本明細書に記載のエンベロープ温度管理は叉、動的絶縁として、又はこれに関して言及され得る。本明細書に記載の実施形態は、透明な相変化材料及び/又は透明な熱電モジュールを含み得る。透明な相変化材料及び/又は透明な熱電モジュールで構築される少なくとも一部分を備える実施形態は、窓又は点検窓の用途に適し得る。
【0035】
図6を参照すると、相変化材料8と、熱電モジュールと、幾つかの実施形態では熱電モジュール上の温度センサとの総幅14は、約0.3cm~約5cm、約1cm~約4cm、約1.5cm~約3cm等であり得る。幾つかの実施形態は、本明細書に記載のように相変化材料の異なる部分に熱エネルギーを伝達する性能を含み、熱エネルギーが相変化材料から獲得されるか、又は第1面と第2面の一方又は両方から相変化材料に貯蔵される性能も含む。第1面及び第2面からの熱エネルギーの管理は、相変化材料で熱エネルギーを管理する効率を大きく高め得る。相変化材料の一部分が、1つ以上の第2熱電モジュールを備える第2面と反対の第1面に1つ以上の第1熱電モジュールを有する場合に、相変化材料部分へ、そして相変化材料部分から熱エネルギーを伝達する速度は、片側のみから相変化材料部分への、そして相変化材料部分からの熱エネルギーの伝達よりもかなり高い場合がある。相変化材料の第1側に設置される(例えば、時にはフロントエンドアレイと称される)1つ以上の熱電モジュールと、相変化材料の第2側での(例えば、時にはバックエンドアレイと称される)1つ以上の熱電モジュールの両方は、互いから独立して、或いは互いに協調して制御され得る。
【0036】
幾つかの実施形態は、包囲体の1つ以上の壁面又は包囲体の壁面部分を形成する相変化材料のシートを含む。包囲体壁面の断面斜視図を見ると、包囲体壁面の何らかの層、例えば最内層、最外層、或いは上述の層の間のいずれかの層を形成する為にこれら実施形態が使用され得る。更に、層は、壁面に塗着されるコーティングを含み得る。包囲体は、包囲体を少なくとも部分的に取り囲む環境温度とは異なる(幾つかの実施形態ではHVACシステムにより部分的に調整される)平均温度を持つ空気を閉じ込め得る。少なくとも相転移が発生する期間については、相変化材料の高い熱慣性は、包囲体の内部での熱電モジュールにおける温度差を最適化し、包囲体の外部での熱電モジュールにおける温度差を最適化する。例えば、包囲体が暖房付きの建物である場合に、相変化材料の相転移温度は建物の内部での空気の温度より低い場合があるが、外部環境の空気の温度よりは高くなり得る。それ故、内部が包囲体の内側を指して外部が包囲体の外側を指すとすると、相変化材料の内側で相変化材料に熱結合される熱電モジュールと、相変化材料の外側で相変化材料に熱結合される熱電モジュールとは、その間での温度差に曝される。熱電モジュールによる電気エネルギー発生は温度差を必要とし、故に、記載の例は、相変化材料の両側からの熱エネルギー獲得を最適化する為に使用され得る。付加的に、相変化材料内に貯蔵される熱と熱電モジュールから送られる熱とは、熱的快適性を最適化しながら中心HVACシステムによるエネルギー需要を相殺する為に使用され得る。暖房を備える建物としての例を挙げたが、冷房についても逆のことが当てはまる。相変化材料の温度は建物の内部での空気の温度より高い場合があるが、外部環境の空気の温度よりは低くなり得る。それ故、建物の内部で相変化材料に熱結合される熱電モジュールと、建物の外部で相変化材料に熱結合される熱電モジュールとは、その間での温度差に曝される。幾つかの実施形態は、熱エネルギー管理が有益である任意の包囲体内で熱エネルギーを管理する為に使用され得る。例は、準大気温度の材料(例えばドライアイス)を格納するキャニスタ、電気化学バッテリ、又はエアダクト及びパイプを含み得るが、これらに限定されない。
【0037】
空気温度制御を行うとともに相変化材料を備えるか又は相変化材料で構築されて熱電モジュールを備える1つ以上の壁面の少なくとも一部分について更に詳しく記すと、熱慣性のバランスが極めて有益であり得る。本明細書に記載の熱エネルギー伝達及び管理の性能を備える実施形態は、動的絶縁の性能を含み得る。動的絶縁は包囲体エンベロープの熱慣性を移動させるか又は調整して、温度が環境と釣り合う速度を変えるプロセスである。包囲体のサーマルエンベロープの観点から見て、熱エネルギーは温かいスポットから冷たいスポットへ移動し得、こうすることにより包囲体の内部の温度を実質的に加減する。多数の包囲体(例えば、建物内の部屋、冷凍トラック内の区画、鉄道内の区画、船舶内の区画、航空機内の区画、或いは商業用及び住居用建物内の部屋)を備える実施形態では、熱エネルギーが相変化材料の部分へ、又はこの部分から伝達されてサーマルエンベロープの温度を加減できる。付加的に、熱エネルギーは個々の区画内の相変化材料部分へ、そして相変化材料部分から伝達され、又は個々の区画の温度管理を目的とする独立した空気快適性温度制御、或いは局所的な空気温度制御が行われ得る。幾つかの実施形態は、固液転移温度に達した相変化材料の部分からの熱エネルギー伝達を自律的に実行して相変化材料の完全転移(例えば液体への完全な転移)を回避する性能を含み得る。相変化材料のこれらの部分からの獲得エネルギー(つまり電気エネルギーに変換された熱エネルギー)は、相変化材料の別の部分に伝達されるか、又は電気エネルギーに変換されて電気エネルギー貯蔵デバイス内に貯蔵され得る。
【0038】
冬期月間中に、従来のHVACシステムには熱エネルギー損失という問題点が生じることが知られている。別の言い方をすると、従来のHVACは、HVACが内部空気を人にとって快適なレベルまで暖房する包囲体の壁面において、本明細書では廃熱エネルギーと定義される相当な量の熱エネルギーを失う。夏期月間中に従来のHVACシステムは、内部空気を人にとって快適なレベルまで冷房する時に内部空気から熱エネルギーを能動的に除去し、HVACシステムが稼働中である頻度は、包囲体を取り囲む環境から壁面を通り、対流により内部空気へ熱エネルギーが伝達される(包囲体の外部へ対流又は放射により伝達される)速度に主に基づいている。故に、HVACシステムにより消費されるエネルギーの量は、熱エネルギーが包囲体へ入る速度に少なくとも部分的に依存する。HVACシステムにより消費されるエネルギーに影響する他の要因は、換気レベル、包囲体の体積、断熱、湿度条件、日毎及び季節毎の太陽熱負荷等を含み得る。包囲体は、本明細書に記載の実施形態を活用して、例えば冬期月間中に熱エネルギー損失を低減させるとともに、例えば夏期月間中にHVACシステム260によるエネルギー使用を減少させることができる。包囲体の1つ以上の壁面は、シート形態の相変化材料で構築された部分を含み得る。
【0039】
包囲体に関して、相変化材料のシートは、(
図6に示されている)相変化材料の内部17の表面に熱結合される複数の熱電モジュール230と、(
図6に示されている)相変化材料の外部19の表面に熱結合される複数の熱電モジュール230とを含み得る。例えば、HVACシステム260が内部空気を暖房する冬期月間中には、従来は包囲体の壁面で失われる熱エネルギーの少なくとも一部分が、代わりに獲得、伝達されるか又は別の目的に使われ得る。温度管理を必要とする用途の温度に関連して幾らかの熱エネルギー貯蔵性能を有する相変化材料は、一般的には失われることになる熱エネルギーを吸収する。幾つかの実施形態において、相変化材料の温度閾値により活性化すると、相変化材料は、相変化材料の別の部分に熱エネルギーを伝達するか、又はこれを獲得して、外部回路250、例えば電気エネルギーバッテリバンク又は電気グリッドにこれを伝達できる。熱エネルギーは叉、サーマルバッテリバンクへ、又はこれから直接的に伝達され得る。更に実例を挙げると、HVACシステム260が内部空気から熱エネルギーを除去しながらエネルギーを消費する夏期月間中に、従来は環境から包囲体壁面を通り、最終的に内部空気へ伝達されていた熱エネルギーの少なくとも一部分は、代わりに、フロントエンドアレイ及び/又はバックエンドアレイの熱電モジュールにより獲得され、外部回路250へ伝達され得る。温度及び温度差の変化は水分蓄積につながる。それ故、本明細書に記載の実施形態は、水分減少又はバリヤ層を一方又は両方の側17、19で利用し、(
図6に示されている)1つ以上の熱電モジュールを包含することを含み得る。熱電モジュール及び相変化材料を水分減少又はバリヤ層で被覆すると、熱電モジュール及び/又は相変化材料への水分の接触を回避し得る。本明細書に記載の実施形態は更に、(
図6に示されている)一方又は両方の側17、19で空気流を移動させる強制対流システム(例えばファン又はジェット衝突デバイス)を含み得る。相変化材料の片側での空気流の移動は、水分蓄積を軽減し得る。これは、(
図6に示されている)内側17での空間16の空気による、或いは外側19での環境18の空気による対流熱の伝達も強化し得る。
【0040】
包囲体に関して実施形態の多くの例が本明細書に記載されるが、熱的快適性の維持、温度エネルギーの貯蔵、又は温度エネルギーの獲得という目的について、車両包囲体、航空機包囲体、船舶包囲体、宇宙船包囲体、或いは包囲体の精密若しくは適正な温度管理(例えば客室内温度)が望ましい任意の他の小型、中型、大型、或いは半無限の包囲体に実施形態が使用され得ると考えられている。建物、車両、航空機、船舶、宇宙船、或いは乗員を含む包囲体を備える任意の他の用途に使用される時に、実施形態は、外部入力(例えば、ガタガタ、パチン、パチパチ、ポン)からの圧力衝撃波を減衰し得る。乗員を含む包囲体を備える用途の更なる長所は、例えば爆発の温度衝撃吸収であり得る。実施形態は、さもなければ乗員に影響することになる温度衝撃の少なくとも一部分を吸収し得る。幾つかの実施形態は電気自動車又はハイブリッド車に非常に適し得る。本明細書に記載の実施形態のいずれかは、本明細書に記載のものなど半無限の包囲体と共に、小型包囲体(例えばミバエ用の熱量計区画、人間及び動物用の宇宙サーマルスーツ等)から、中型包囲体(例えば、自動車、ヘリコプター、ヨット等の客室)、大型包囲体(例えば冷凍トラック、鉄道、旅客機等)、半無限サイズの包囲体(例えばコールドチェーン、屋内農業、プレハブ住宅等)までに及ぶ他の包囲体システムに、基本的、補助的、又は拡張的な暖房及び/又は冷房を提供し得る。考えられる幾つかの実施形態は、特殊包装、例えば医薬品包装を含み得、外部環境に対する既定の温度範囲に包囲体(例えば医薬品配達包装)を維持することが望ましい場合がある。更に、考えられる実施形態は、拡張現実の使用を含む。例えば、拡張現実技術の使用中に、本発明の実施形態は、例えば使用中の「次元」追加の為にユーザに対する温度効果を発生させる為に使用され得る。幾つかの実施形態の生物医学的使用、例えば暖房及び/又は冷房ラップと体温調節ボディスーツも考えられている。
【0041】
本明細書に記載のように、幾つかの実施形態は従来のHVACシステム260と併せて作動し得るが、幾つかの実施形態では従来のHVACシステムの代わりに他のデバイス及びシステムと併せて作動し得ることが更に考えられている。例えば、本明細書に記載の様々な実施形態は、身体の体温調節、包囲体の内側の冷房パック、包囲体の内側の暖房パック、家電、熱エネルギーを運ぶ排気ストリーム等と併せて作動し得る。
【0042】
本明細書に記載の幾つかの実施形態は、電気バッテリバンク、電気グリッド、太陽電池アレイ、1つ以上の風力タービン、1つ以上の発電機、或いは(その他、直流分散リソースとして知られる)これらの任意の組み合わせ等の外部回路250と連通結合され得る。外部回路250は、幾つかの変形では、エネルギーリザーバとして作用し得る。幾つかの実施形態は、1つ以上の外部エネルギーリザーバへ、又はこれらから熱エネルギーを伝達することが可能であるように、外部温度エネルギーリザーバ(例えばサーマルバッテリバンク)に結合され得る。
【0043】
電気グリッドは、本明細書において、消費者に対するエネルギー配給の為の相互接続ネットワークとして定義される。外部回路は、本明細書に記載の実施形態の熱電モジュールに連通結合され得る。電気貯蔵デバイス、例えば電気バッテリバンク、電気グリッド、又は任意の他の電気エネルギー貯蔵デバイスに連通結合される実施形態は、熱電モジュールにより獲得された電気エネルギーを電気貯蔵デバイスに伝達し得るか、又は熱電モジュールでの電気エネルギーを電気貯蔵デバイスから受け取り得る。外部回路に連通結合されるいかなる実施形態も適正な電気連通の為に必要な任意のハードウェアを含むと考えられる。例えば、必要なハードウェアは、インバータ、増幅器、或いは電気の特性を変える為に使用される任意の他の電気ハードウェアを含み得る。更に、建物で使用される実施形態は、建物の電気システムに連通結合され得る(つまり配電又は貯蔵デバイスとして機能する)。例えば、本明細書に記載の実施形態は、建物のメインパネル又はサブパネルに配線され得、回路ブレーカを電気回路に含み得る。回路ブレーカの導入により、実施形態で予見されない電気エネルギー過負荷に対する保護層が追加され得る。付加的に、本明細書に記載の実施形態は、電気コンセントに差し込まれるか又は固定ボックスに配線され得、その両方が回路ブレーカを電気回路に含み得る。
【0044】
本明細書の他所に図示及び記載されるように、1つ以上のセンサ240、例えば1つ以上の温度センサが様々なシステム及び方法で使用され得る。温度センサは本明細書において、1つ以上の温度測定デバイスをその中に備える温度センサとして定義される。それ故、本明細書に記載の幾つかの温度センサは2つの温度を同時に測定する性能を有する。適切な温度センサは、熱電対、測温抵抗体、半導体ベース集積回路、或いは当該技術分野で周知の任意の他の温度センサを含み得る。更に、本明細書に記載の幾つかの実施形態は熱電モジュール230で温度を測定することが可能であり得る。それ故、そして適切な場合には、温度センサにより実施されると記載された温度検知が熱電モジュール230により実施されてもよい。付加的に、実施形態は、湿度センサ、圧力センサ、或いは気候条件の測定の為の任意の他の気候センサなど、1つ以上のセンサ240を含み得る。
【0045】
図1に示されているように、本明細書に記載の幾つかの実施形態の制御部は、1つ以上のプロセッサ(例えば、ローカルプロセッサ280、又はリモートコンピューティングデバイス220のリモートプロセッサ)、又は1つ以上のアナログサーモスタット(不図示)、或いはその両方を含み得る。プロセッサとサーモスタットとは、測定された温度を(例えばセンサ240から)受け取り、既定の設定温度に基づいて1つ以上の制御信号を出力することができ、この信号は、1つ以上のシステム構成要素(例えば、本明細書では熱電モジュール230、HVACシステム260等とも呼ばれる冷暖房システム)に、制御信号に基づいて空気温度、壁面温度、又は包囲体温度に対する変更を加えさせる。
【0046】
付加的に、(例えば、1つ以上のローカルプロセッサ280、又はリモートコンピューティングデバイス220のリモートプロセッサを使用して)メモリ210に記憶される様々なコンピュータ実装アプリケーション270は、モノのインターネット(IoT)を取り入れた方法を使用して、本明細書に記載の実施形態の幾つかの様々な態様を制御し得る。付加的に、プロセッサは、多重入出力(MIMO)プロセッサであり得る。MIMOプロセッサは、入力(例えば温度センサからの温度測定値)を受け取り、この入力に基づいて、それぞれ制御信号を出力する。MIMOプロセッサは、推定器プロトコル(例えばカルマンフィルタ)と共に使用され得、それ故、使用される温度センサの量が減少され得る。推定器プロトコルと共に使用されるMIMOプロセッサは、既存の温度センサから受け取った測定値に基づいて、温度センサの無いエリアの温度を推定(例えば補間)する。他のタイプのプロセッサは、エージェント(例えば強化学習又は機械学習)としても知られるデータ駆動型校正プロセッサを含み得る。データ駆動型校正プロセッサは(つまりオンラインから)入力を連続的に受け取り、作動の際にシステムを適応化する。データ駆動型校正プロセッサは、既知の、設定された、又は既定の校正設定値である入力を受け取る非データ駆動型校正プロセッサ(つまりMIMOプロセッサ)とは異なっている。温度センサから温度測定値を受け取るものとして本明細書に記載されている実施形態は、代わりに、データ駆動型校正プロトコルで温度を予測してもよいと推察されるはずである。例えば、本明細書に記載の幾つかの実施形態の制御部は更に、1つ以上のプロセッサ280と連通結合される1つ以上のセンサ240を含み得る。1つ以上のプロセッサ280により受け取られるセンサ信号により、1つ以上のプロセッサ280は、センサ信号に基づいて制御信号を出力し得る。例えば、包囲体内の人物の存在を指し示す為に、運動センサ、近接センサ、又は赤外線センサが使用され得る。それ故、(1つ以上のプロセッサにより出力される)既定の温度設定値に対する自律的な調節が行われ得る。例えば、包囲体に人物が存在しない場合には、エネルギー使用を削減するように設定空気温度が下げられ得る。加えて、包囲体のどの1つ以上の部分に1つ以上の人物が存在し得るかを指し示す為に、運動センサ又は他の近接センサが使用され得る。包囲体の使用中部分を特定することにより、これらの部分の温度快適性レベルを調節する為に様々な実施形態が使用され得る。例えば、包囲体の一部分に人物が存在しない場合には、快適性温度レベルの維持の為に包囲体のこの部分に割り当てられる熱エネルギーを少なくし得るか、又はこの部分から熱エネルギーが伝達され得る。1つ以上のプロセッサは、電気制御デバイスの使用により、(例えば、個別に、又はサブセットとして配線された)熱電モジュールへの、そして熱電モジュールからの電気エネルギーを制御し得る。例えば、1つ以上のプロセッサは、相変化材料の一部分から熱エネルギーを獲得する熱電モジュールにより発生される電気エネルギーの流れを制御する為に、ソリッドステート又は機械式のリレーを使用し得る。更に、1つ以上のプロセッサは、相変化材料の一部分に熱エネルギーを伝達する熱電モジュールにより消費される電気エネルギーの流れを制御する為に、ソリッドステート又は機械式のリレーを使用し得る。1つ以上のプロセッサは、幾つかの実施形態の電気エネルギー伝達を達成する為に、多数の回路を組み合わせたソリッドステート又は機械式のリレーによるアレイを制御し得る。更に実例を挙げると、サブセットとして配線された熱電モジュールは、ソリッドステートリレーの起動により相変化材料の別の部分の別の熱電サブセットに接続されることで、相変化材料の部分間での熱エネルギーの伝達を実行し得る。幾つかの実施形態は、ソリッドステートリレーの起動により単一熱電モジュールを相変化材料の別の部分の単一熱電モジュールに接続されることで、相変化材料の部分間での熱エネルギーの伝達を実行し得る。加えて、1つ以上のプロセッサは個々の熱電モジュール又はそのサブセットを外部回路に接続するようにリレーを操作し、配向に応じて、1つ以上の熱電モジュールへの、又は熱電モジュールからの電気エネルギーの伝達を達成し得る。幾つかの実施形態は、リレー又はスイッチの代わりに、或いはこれらと併せて、パルス幅変調制御部及びプロトコルを使用し得る。パルス幅変調制御部及びプロトコルの使用は、電気エネルギー伝達の電圧レベルを制御し得る。熱電モジュールへの電気エネルギーの電圧レベルの制御は、相変化材料への熱電モジュールの熱伝達速度、或いはこのモジュールを取り囲む空気の温度に影響し得る。
【0047】
更に、従来のHVACシステム260は一般的に、ノイズ、例えば炉の騒音又はファンの音を伴う。それ故、HVACシステムのユーザはこれらのノイズを差し迫った温度変化と関連付ける。幾つかの実施形態では、模倣ノイズ又は音、或いはイミテーションノイズ又は音が、1つ以上のプロセッサ280からの制御出力に基づいて、(1つ以上のプロセッサ280に連通結合された)1つ以上のスピーカ290により発生され、1つ以上のスピーカ290により受け取られ得る。模倣ノイズは、温度調節又は維持が行われていることを包囲体内の人物に知らせ得る。
【0048】
システム及びデバイス
本明細書に記載のシステム及びデバイスは、熱エネルギーを管理するように機能する。幾つかの実施形態において、システム及びデバイスは、包囲体内の内部温度を調節及び/又は維持するように機能する。システム及びデバイスは、包囲体での熱エネルギーの管理に使用されるが、付加的又は代替的に、臨床、物流、軍事、航海、航空宇宙、航空、或いはその他の任意の適当な用途に使用されてもよい。システム及びデバイスは、温度の調整、熱エネルギーの獲得、及び/又は熱エネルギーの管理の為に設計されるか又はこれらから利益を得ることになる任意の適当なデバイス又はシステムの為に機能するように構成及び/又は適応化され得る。
【0049】
図4、5、及び6に示されているように、熱エネルギーを管理する為のシステムの実施形態は、第1熱電モジュール2cと、相変化材料8と、第2熱電モジュール4cとを含み得る。第1熱電モジュール2cと第2熱電モジュール4cとは、相変化材料の温度を上昇させるように相変化材料8へ、或いは相変化材料8の温度を低下させるように相変化材料8から、熱エネルギーを伝達する為に使用され得る。
図6を参照すると、記載の実施形態は、空間16を包囲して環境18から空間16を少なくとも部分的に絶縁する包囲体の一部として実装され得る。第1熱電モジュール2cは空間16に隣接して包囲体の内部に配置され(つまり相変化材料8の内部17の面に熱結合され)得、第2熱電モジュール4cは、包囲体の外部において環境18と隣接接触して配置され(つまり相変化材料8の外部19の面に熱結合され)得る。空間16の温度を環境18の温度より低く保つことが望ましい場合には、空間16の設定温度近くの固液転移温度を持つ相変化材料8が選択され得る。熱エネルギーは、環境18から相変化材料8へ吸収される際に、温度差が見られる第2熱電モジュール4cによって相変化材料8から伝達され得る。相変化材料8に熱結合される第2熱電モジュール4cの第1表面70と環境18に隣接する第2表面72の表面との間には温度差があり得る。付加的に、相変化材料8に熱結合されている熱電モジュール2cの第1面74と包囲体の空間16に隣接している第2面76とにより生じる第1熱電モジュール2cでの温度差により、第1熱電モジュールは相変化材料8から熱エネルギーを伝達できる。こうして相変化材料8の温度エネルギーを管理することにより、システムは相変化材料8の温度を維持するとともに包囲体の空間16の空気の温度を維持できる。その逆も本実施形態により実施され得る。例えば、包囲体の空間16の希望温度又は設定温度が環境18の温度より高かった時に、空間16の希望温度に近い固液転移温度を持つ相変化材料8が選択され得る。空間16の温度を環境18の温度より高く維持すると、第1熱電モジュール2cと第2熱電モジュール4cとにより熱エネルギーが相変化材料8へ伝達される。相変化材料8への熱エネルギーの伝達は、空間16への放射及び/又は対流による熱伝達を可能にして、空間16の目標又は設定温度を維持する。
【0050】
実施形態の断面図が
図6に示されており、フロントエンドアレイ5とバックエンドアレイ6との熱電モジュールが相変化材料から突出するものとして示されている。幾つかの実施形態は、相変化材料内に少なくとも部分的に凹設されているフロントエンドアレイ5とバックエンドアレイ6とによる熱電モジュールを含む。更に、様々な実施形態は1つ以上の温度センサも含み得る。例えば、様々な実施形態は、(
図6に示されている)第1熱電モジュール2cの上の温度センサ10b、第2熱電モジュール4cの上の温度センサ、相変化材料8の内部17の側の温度センサ、相変化材料8の外部19の側の温度センサ、相変化材料8内(つまり相変化材料の内部17の側と相変化材料の外部19の側との間)の温度センサ、或いはこれらの何らかの組み合わせを利用し得る。第1熱電モジュール2c上の温度センサ10bは、空間16の温度、熱電モジュールの温度、又は両方を測定する為に使用され得る。第2熱電4c上の温度センサは、第2熱電モジュール4cの温度、環境18の温度、又は両方を測定する為に使用され得る。環境18は、相変化材料の外部19の側の任意の壁層を含み得る。相変化材料8の内部17の側の温度センサは、相変化材料8の温度、空間16の温度、又は両方を測定する為に使用され得る。相変化材料8の外部19の側の温度センサは、相変化材料8の温度、環境16の温度、又は両方を測定する為に使用され得る。
図1に示されているように、温度センサ240はサーモスタット又はプロセッサ280に連通結合され得る。サーモスタットを利用する実施形態は、サーモスタットから、第1熱電モジュール2c、第2熱電モジュール4c、又は両方への電気エネルギー出力を調節する為にサーモスタットを使用し得る。サーモスタットから第1熱電モジュール2c及び/又は第2熱電モジュール4cへの電気エネルギー出力は、相変化材料8内の熱エネルギーを管理することにより、サーマルエンベロープ、或いは包囲体への及び包囲体からの熱伝達を管理し得る。同様に、プロセッサ280を利用する実施形態は、(例えば1つ以上の温度センサ240から)1つ以上の温度測定値を受け取り、第1熱電モジュール2c、第2熱電モジュール4c、又は両方への電気エネルギー出力を調節し得る。プロセッサ280から第1熱電モジュール2c及び/又は第2熱電モジュール4cへの電気エネルギー出力は、相変化材料8内での熱エネルギーを管理することにより、サーマルエンベロープ、或いは包囲体への及び包囲体からの熱伝達を管理し得る。サーモスタットであれ又はプロセッサであれ、幾つかの実施形態は、相変化材料8の熱エネルギーを管理して、空間16における希望温度、熱的快適性温度、又は設定温度を達成する。
【0051】
図2に示されているように、熱エネルギーを管理する一実施形態は、熱エネルギーを管理するように機能する複数の第1熱電モジュール2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2iと複数の第2熱電モジュール4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h、4iとを含む。
図2の概略図は、複数の第2熱電モジュール4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h、4iをより良く図示する為に相変化材料を含んでいない。複数の第1熱電モジュール2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2iはフロントエンドアレイ5を画定し、複数の第2熱電モジュール4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h、4iはバックエンドアレイ6を画定する。各アレイについて9個のモジュールが示されているが、本明細書ではいかなる数のモジュールも考えられることを当業者は理解するるだろう。例えば、1個のモジュール、1個のモジュール~10個のモジュール、1個のモジュール~100個のモジュール、1個のモジュール~1,000個のモジュール等。更に、1つのアレイがフロントエンドアレイに示されて1つのアレイがバックエンドアレイに示されているが、いかなる数のアレイがいかなる数のモジュールから構築されてもよい。
【0052】
図2は、フロントエンドアレイ5とバックエンドアレイ6とを分割する平面3を図示している。平面3に対するフロントエンドアレイ5の熱電モジュール2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2iの位置は、バックエンドアレイ6の熱電モジュール4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h、4iの鏡像であり得る。フロントエンドアレイ5の熱電モジュールは、平面3について位置的に鏡像であるバックエンドアレイ6の熱電モジュールと一致し得るとともに、量が一致し得る。代替的に、フロントエンドアレイ5の熱電モジュール2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2iは、平面3に対して、バックエンドアレイ6の熱電モジュール4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h、4iからオフセットしていてもよい。付加的に、フロントエンドアレイ5の熱電モジュールの量がバックエンドアレイ6の熱電モジュールの量と一致しなくてもよい。熱電モジュールの間の間隔7、13は実施形態と用途との間で変化し得る。間隔7、13は主に、使用される熱電モジュールの相対的なサイズ及び性能、検討される包囲体の体積、使用されるPCM材料の厚さ、包囲体の雰囲気条件、実施形態の全体的な熱伝達性能に依存する。例えば、約4cmの幅27と約4cmの長さ15とを持つモジュラー熱電モジュールがフロントエンドアレイ5及びバックエンドアレイ6で使用された場合に、熱電モジュールの間の第1間隔7は、約0cm~約400cm、約1cm~約100cm、約2cm~約50cm、約3cm~約20cm等であり得る。付加的に、約4cmの幅27と約4cmの長さ15とを持つモジュラー熱電モジュールがフロントエンドアレイ5及びバックエンドアレイ6に使用された場合には、熱電モジュールの間の第2間隔13は、約0cm~約400cm、約1cm~約100cm、約2cm~約50cm、約3cm~約20cm等であり得る。フロントエンドアレイ5とバックエンドアレイ6とを分割する平面に関して、フロントエンドアレイ5の熱電モジュールはバックエンドアレイ6の熱電モジュールから垂直軸線31に沿って第1間隔7の2分の1以下だけオフセットし得る。フロントエンドアレイ5とバックエンドアレイ6とを分割する平面3に関して、フロントエンドアレイ5の熱電モジュールはバックエンドアレイ6の熱電モジュールから水平軸線33に沿って第2間隔13の2分の1以下だけオフセットし得る。加えて、本発明の幾つかの実施形態は、単一の熱電モジュールを備えるフロントエンドアレイ5と単一の熱電モジュールを備えるバックエンドアレイ6とを含み得る。
【0053】
図3Aは、本発明のフロントエンドアレイ5の実施形態を図示している。フロントエンドアレイ5は、熱エネルギーを管理する為の熱電モジュール2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2iを含む。熱電モジュール2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2iは共に直列配線される(つまり、1つの熱電モジュールの正極側が別の熱電モジュールの負極側に配線される)。フロントエンドアレイ5の熱電モジュール2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2iについて記載したが、(
図2、4、5、及び6に示されている)バックエンドアレイ6の熱電モジュール4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h、4iも同様に直列配線され得る。
【0054】
図3Bは、本発明のフロントエンドアレイ5の実施形態を図示している。フロントエンドアレイ5は、熱エネルギーの管理の為の熱電モジュール2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2iを含む。熱電モジュール2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2iは共に並列配線される(つまり熱電モジュールの正極側が共に配線され、熱電モジュールの負極側が共に配線される)。フロントエンドアレイ5の熱電モジュール2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2iについて記載したが、(
図2、4、5、及び6に示されている)バックエンドアレイ6の熱電モジュール4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h、4iも同様にこの同じ方法で配線され得る。
【0055】
図3Aは直列に配線されたフロントエンドアレイ5を図示しており、
図3Bは並列に配線されたフロントエンドアレイ5を示している。(
図2、4、及び5に示されている)フロントエンドアレイ5とバックエンドアレイ6の両方が並列又は直列のいずれかで配線され得るが、更に、フロントエンドアレイ5とバックエンドアレイ6の熱電モジュールは直列及び並列に配線されてもよいと考えられる。直列配線及び並列配線グリッドの起動は独立であり得る。言い換えると、直列グリッド又は並列グリッドの電気連通は、各グリッドで配線された熱電モジュールへの、又は熱電モジュールからの希望する効果の為に行われ得る。熱電モジュールが故障又は損傷した場合に、フロントエンドアレイ5及びバックエンドアレイ6の熱電モジュールの為の冗長及び/又は代替配線は、実施形態の主な機能不全を解消し得る。例えば、熱電モジュールのアレイ又はアレイの熱電モジュールのサブセットが共に直列のみで配線されている場合には、損傷又は故障した熱電モジュールはアレイ又はサブセットの全ての熱電モジュールを使用不能にするだろう。言い換えると、直列のみで配線されたアレイ又はサブセットの故障又は損傷熱電モジュールは、電気回路の連続性を断つことで、全ての熱電モジュールへの電流の流れを遮断するだろう。
【0056】
図4は、熱エネルギーを管理する為のシステムの一実施形態を図示している。実施形態は、フロントエンドアレイ5と、バックエンドアレイ6と、相変化材料8とを含む。相変化材料8は図のようにシート形態であり得る。フロントエンドアレイ5は、直列、並列、直列と並列の両方で共に配線され得るか、又は独立して配線され得る熱電モジュール2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2iを含む。熱電モジュール2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2iは、相変化材料8の(内面であり得る)第1面9に熱結合されている。バックエンドアレイ6は、直列、並列、直列と並列の両方で共に配列され得るか、又は独立して配線され得る熱電モジュール4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h、4iを含む(熱電モジュール4d、4e、4g、4hは示されていない)。熱電モジュール4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h、4iは、相変化材料8の(外面であり得る)第2面11に熱結合されている。記載のように、フロントエンドアレイ5の熱電モジュールは、相変化材料8からの熱エネルギーを、第1面9の界面(或いは少なくとも各熱電モジュールに近接した相変化材料8の少なくとも一部分)から、加熱、冷却、及び/又は獲得できる。バックエンドアレイ6の熱電モジュールは、第2面11の界面(或いは少なくとも各熱電モジュールに近接した相変化材料8の少なくとも一部分)から相変化材料8を加熱及び/又は冷却できる。考えられる実施形態は、フロントエンドアレイ5の熱電モジュールの全て又は少なくともサブセットを同じ電流極性で起動させる制御部を含む。同じ電流極性を持つフロントエンドアレイ5の熱電モジュールの全て又は少なくともサブセットを起動させると、低温面と高温面とを整列させる。例えば、フロントエンドアレイ5の熱電モジュールの全て若しくは少なくともサブセットが相変化材料8へ熱エネルギーを伝達し得るか、又はバックエンドアレイ6の熱電モジュールの全て若しくは少なくともサブセットが相変化材料8から熱エネルギーを伝達し得る。フロントエンドアレイ5の熱電モジュールの全て又は少なくともサブセットを同じ電流極性で起動させる制御部を含む、考えられる実施形態は、バックエンドアレイ6でこの機能を実施し得る。例えば、フロントエンドアレイ5の熱電モジュールの全て若しくは少なくともサブセットが相変化材料8へ熱エネルギーを伝達し得るか、又はバックエンドアレイ6の熱電モジュールの全て若しくは少なくともサブセットが相変化材料8から熱エネルギーを伝達し得る。幾つかの実施形態は、相変化材料8の少なくとも一部分において熱エネルギーを前後に循環させ得る。フロントエンドアレイ5の1つ以上の熱電モジュールからバックエンドアレイ6の1つ以上の対応熱電モジュールへの、そして叉、フロントエンドアレイ5の1つ以上の熱電モジュールにおける相変化材料8での熱エネルギーの循環は、環境への熱損失を防止し、一方で熱電モジュールの加熱及び冷却性能を向上させ得る。
【0057】
図5は、温度センサ10a、10b、10c、10d、10eと、フロントエンドアレイ5と、バックエンドアレイ6と、相変化材料8とを含む、熱エネルギーを管理する為の一実施形態を示す。温度センサ10a、10b、10c、10d、10eは、それぞれ熱電モジュール2a、2c、2e、2g、2iに結合され得る。温度センサ10a、10b、10c、10d、10eは熱電モジュール2a、2c、2e、2g、2iに熱結合され得、熱電モジュール2a、2c、2e、2g、2iの温度を測定し得る。熱電モジュール2a、2c、2e、2g、2iについて測定されるこれらの温度は1つ以上のプロセッサにより受け取られ得、フロントエンドアレイ5への電気エネルギーの制御の為のフィードバックとして使用され得る。代替的又は付加的に、温度センサ10a、10b、10c、10d、10eは、各温度センサ10a、10b、10c、10d、10eに近接した空気温度を測定し得る。温度センサ10a、10b、10c、10d、10eは、熱電モジュール温度と空気温度の両方を読み取る性能を含み得る。温度センサはバックエンドアレイ6の1つ以上の熱電モジュールに配置され得、温度センサ10a、10b、10c、10d、10eと類似した機能を実施し得る。バックエンドアレイの熱電モジュール4fに結合された温度センサ12cの例示的且つ非限定的な実施形態が、
図6に示されている。
【0058】
図6に示されているように、フロントエンドアレイ5とバックエンドアレイ6とを含む実施形態は、空間16の温度を測定するように機能し得る。これらの実施形態は空間16を画定する包囲体を含み、包囲体の少なくとも一部分は、対応するフロントエンドアレイ5と対応するバックエンドアレイ6とを備える相変化材料8で構築される。それ故、フロントエンドアレイ5及び/又はバックエンドアレイ6の熱電モジュールにより相変化材料8から熱エネルギーが除去され得る。適正に選択された相変化材料8(例えば想定される目的にとって適切な固液転移温度を持つもの)から熱エネルギーを除去するプロセスは、環境18の温度に対して低い空間16の設定温度を維持し得る。付加的に、適正に選択された相変化材料8(例えば適切な固液転移温度を持つもの)へフロントエンドアレイ5及びバックエンドアレイ6から熱エネルギーを伝達することにより、環境18の温度より高い空間16の設定温度が維持され得る。(例えば
図5に示されている)温度センサ10a、10b、10c、10d、10eからの温度測定値は、1つ以上のプロセッサへ送信される、及び/又は、1つ以上のプロセッサにより受信され得る。温度センサ10a、10b、10c、10d、10eの温度測定値は、それぞれの熱電モジュール2a、2c、2e、2g、2iの温度を示し得る。温度測定値が1つ以上のプロセッサにより受信される時に、温度測定値は1つ以上のプロセッサによる制御の為のフィードバックとして使用され得る為、1つ以上のプロセッサは、それぞれの熱電モジュールの温度を調節する信号を出力する。付加的に、温度センサ10a、10b、10c、10d、10eは、各温度センサ10a、10b、10c、10d、10eに近接した空間16の空気温度を測定する為に使用され得る。各温度センサ10a、10b、10c、10d、10eに近接する空気温度測定値は、1つ以上のプロセッサにより受信された時に、1つ以上のプロセッサによる制御の為のフィードバックとして使用される為、1つ以上のプロセッサはそれぞれの熱電モジュールの温度を調節する信号を出力する。温度センサ、例えば温度センサ12cは、バックエンドアレイ6の1つ以上の熱電モジュールに結合され得、温度センサ10a、10b、10c、10d、10eについて記載されたのと同じ性能(つまり、バックエンドアレイ6の1つ以上の熱電モジュールの温度の測定、或いは温度センサに近接した環境18の空気温度の測定)を実施し得る。付加的に、温度センサは、相変化材料8の内部17の側、相変化材料8の外部19の側、或いはその両方に熱結合されるか又は少なくとも部分的に凹設され得る。相変化材料8に熱結合される温度センサは、相変化材料8の温度を測定する為に使用され得、1つ以上のプロセッサにより受信された時に、制御フィードバックとして使用され得る。1つ以上のプロセッサにより受信される相変化材料8の測定温度により、1つ以上のプロセッサは、電気エネルギーを調節する信号をそれぞれの熱電モジュールに出力し得る。
【0059】
図4、5、及び6に示されている実施形態の大規模実施形態について考察した。大規模実施形態の例は、建物、航空機、車両等などの包囲体を少なくとも部分的に形成する実施形態を含み得る。例えば、フロントエンドアレイ5及び/又はバックエンドアレイ6の両方に多数の熱電モジュールを含み、相変化材料8の広大なシートに結合される実施形態。フロントエンドアレイとバックエンドアレイ6との熱電モジュールの量は、約1~約10、約10~約100、約100~約1000、約1000~約10,000、約10,000~約100,000等の範囲内にあり得る。加えて、大量の熱電モジュールを含む実施形態は、温度センサ10a、10b、10c、10d、10eについての
図5について記載したように、フロントエンドアレイ5に結合された大量の温度センサを含み得る。
図5に示されているように、温度センサ10a、10b、10c、10d、10eは、均一分散パターンでフロントエンドアレイ5の熱電モジュールのおよそ55%に結合される。代替的又は付加的に、フロントエンドアレイ5の熱電モジュールに結合された温度センサを含む実施形態は、
図5のフロントエンドアレイ5について記載したのと同じ方法でバックエンドアレイ6の熱電モジュールに結合される温度センサを含み得る。温度センサは、均一分散パターン又は不均一分散パターンで熱電モジュールに結合され得る。考えられる幾つかの実施形態は、約0%~約10%、約10%~約20%、約20%~約30%、約30%~約40%、約40%~約50%、約50%~約60%、約60%~約70%、約70%~約80%、約80%~約90%、又は約90%~約100%の範囲内の温度センサと熱電モジュールの比率を含み得る。大規模実施形態は、それぞれの熱電モジュールが個別に配線されるか、又はサブセットが直列、並列、若しくは両方で配列されるか、又は全体が直列、並列、若しくは両方で配列されるフロントエンドアレイ5とバックエンドアレイ6とを含み得る。フロントエンドアレイ5及び/又はバックエンドアレイ6のそれぞれの熱電モジュールが個別に、又はサブセットで配線される時には、相変化材料8の部分内での熱エネルギーの独立制御が1つ以上のプロセッサにより実施され得る。例えば、どの時点においても、フロントエンドアレイ5及び/又はバックエンドアレイ6の個別配線の熱電モジュール又は熱電モジュールの配線サブセットの使用を通して、相変化材料8の第1部分に熱エネルギーが追加され得る、相変化材料8の第2部分から熱エネルギーが伝達され得る、相変化材料の第3部分から熱エネルギーが獲得され得る、及び/又は、相変化材料8の第4部分に熱エネルギーが追加され得るか若しくはこれから伝達され得る。
【0060】
図4、5、及び6に示されている実施形態の大規模実施形態の一例は、包囲体を画定するバリヤの少なくとも一部分が相変化材料8で製作されている包囲体を含み得る。付加的に、相変化材料8は、対応するフロントエンドアレイ5と対応するバックエンドアレイ6とを含む。包囲体は、(例えば
図6に示されているような)外部環境18から内部空間16を絶縁できる。フロントエンドアレイ5とバックエンドアレイ6とは、相変化材料8から熱エネルギーを全体として追加又は除去することにより、空間16の温度を環境18の温度より高く、又は低く維持する性能を含み得る。代替的に、個別に、又はサブセットで配線されるフロントエンドアレイ5及びバックエンドアレイ6の熱電モジュールを備える実施形態は、相変化材料8の第1部分から、熱エネルギーの低い相変化材料8の第2部分へ熱エネルギーを伝達する性能を含み得る。更に、個別に、又はサブセットで配線されたフロントエンドアレイ5及びバックエンドアレイ6の熱電モジュールを備える実施形態は、外部回路から熱電モジュール又は熱電モジュールのサブセットへ電気エネルギーを伝達して、相変化材料8の一部分へ伝達される熱エネルギーへ電気エネルギーを変換する性能を含み得る。例えば、プロセッサは、空間16の設定温度より低いフロントエンドアレイ5の温度センサに近接した空間16の一部分についての空気温度測定値を受信し得る。プロセッサにより、相変化材料の第1部分からの熱エネルギーから獲得されるか又は外部回路から引き出される電気エネルギーを、相変化材料8の第2部分に近接したフロントエンドアレイ5及び/又はバックエンドアレイ6の熱電モジュールへ伝達することができる。付加的に、プロセッサにより、外部回路から、相変化材料8の第2部分に近接したフロントエンドアレイ5及び/又はバックエンドアレイ6の熱電モジュールへ電気エネルギーを伝達し得る。相変化材料8の第2部分に近接したフロントエンドアレイ5及びバックエンドアレイ6の熱電モジュールが電気エネルギーを受け取る時に、熱電モジュールは相変化材料の第2部分へ熱エネルギーを伝達する。
【0061】
上に記載のように、包囲体の少なくとも一部分は、相変化材料8と対応するフロントエンドアレイ5及びバックエンドアレイ6とで構築され得るが、幾つかの用途では、本明細書に記載の実施形態の大規模実装例による包囲体の内部空間16を取り囲むことが好ましい場合がある。例えば、一実施形態は包囲体の壁面の内部16に配設され得る。大規模実施形態が使用され得る包囲体の例は、コンテナ(例えば輸送コンテナ)、車両、船舶、航空機の機体、商業用及び住居用建物、或いは内部温度が制御されることが望ましい、及び/又は、熱エネルギーが獲得及び/又は貯蔵されることが望ましい任意の他の包囲体を含む。内部温度の制御の為の従来のHVACシステムを採用する包囲体を備えるこれらの大規模実施形態が取り分け良好に機能する。
【0062】
現在、建物(商業用と住居用の両方)、車両、船舶、航空機の機体、そして他に人間にとって快適なレベルの温度又は温度仕様が維持されるところを含む従来のHVACシステムについては、多くの用途がある。従来のHVACシステムは、本明細書に記載の様々な実施形態の大規模実施形態と結合された時に対処される幾つかの短所を有する。これらの短所は、挙げられた包囲体の壁面又は側面で失われる膨大な量の熱エネルギー、静的絶縁の不具合、不均一なサーマルエンベロープ、そしてサブ包囲体(例えば建物内の部屋)を備える包囲体についてはサブ包囲体内での独立した空気温度制御の不足を含み得る。本明細書に記載の様々な実施形態は、これらの短所の全ての少なくとも一部に対処することが可能である。例えば、
図5及び6を参照すると、本明細書に記載のシステムのいずれかが、従来のHVACにより包囲体の壁面、床面、窓、及び/又は屋根のほとんどの内部部分として構築又は設置される時に、包囲体の室での個別化暖房及び/又は冷房、廃熱エネルギーの獲得、トランザクティブ負荷制御、サーマルエンベロープ(及び/又は湿度温度性能)と建物エンベロープの構造的性能の監視、そして動的絶縁性能の包囲体への供給に、本明細書に記載のシステム(例えば
図1~6に図示及び/又は記載のシステムのいずれか)が使用され得る。包囲体(例えば
図6の空間16)の内側の空気に熱エネルギーが供給される時に、ほとんどの内壁部分を形成するシステム(例えば
図1~6に図示及び/又は記載のシステムのいずれか)によりその一部分が吸収される。例えば
図6に示されているように、適正に選択された相変化材料8(つまり、空間16の設定又は目標温度の近くの固液転移温度を持つ相変化材料8)により、相変化材料8は、比較的少量の温度利得で大量の熱エネルギーを吸収する。この固有の性質では、相変化材料8の外部19と、この例では低温の環境18により影響される近接の空気との間にわずかな熱差を導入することにより、熱エネルギーの損失を遅延させ、相変化材料8の温度に劇的な影響を与えることなく(熱電モジュールにより)相変化材料8から比較的大量の熱エネルギーを獲得させる。システム(例えば
図1~6に図示及び/又は記載のシステムのいずれか)は、相変化材料8の温度を空間16の空気温度と劇的に釣り合わせることなく、相変化材料8から熱エネルギーを獲得できる。
【0063】
個々の室での個別化冷暖房は、包囲体内での空気の制御の為の従来のHVACシステムを備えるか又は備えない包囲体において達成され得るが、HVACシステムと結合される時には性能改良が加えられ得る。
図6と、包囲体の内部としての空間16とを参照すると、従来のHVACシステムは、(
図6に示されている)空間16へ暖気を送ることにより空気を暖房して、空間16の空気温度を上昇させるか又は維持する。従来のHVACシステムは、空間16から空気を吸入することにより空気を冷房して熱エネルギーを除去するとともに、今度は冷たくなった空気を空間16へ送り返し、空間16の空気温度を低下させるか又は維持する。多くのシナリオで、包囲体は、中心サーモスタットにより制御される1つのHVACシステムを利用する。それ故、HVACシステムはサーモスタットに近接する空気温度を維持し、包囲体設計と絶縁エンベロープとに基づいて、二次室で結果的に得られる温度はかなり変化し得る。記載の包囲体が本発明の大規模実施形態に実装された場合には、はるかに均一な冷暖房プロフィールが包囲体全体で達成され得る。例えば、サーモスタットが配設されている室と比較して、二次室が一貫して夏期には高温、冬期には低温になる場合に、大規模システムは、冬期に二次室のフロントエンド5及びバックエンド6の熱電モジュールに電気エネルギーを伝達するか、又は夏期には二次室で相変化材料8から熱エネルギーを獲得し得る。夏期に熱電モジュールへ送られる電気エネルギーは、二次室以外の包囲体エリア、例えばサーモスタットを中に備える一次室において相変化材料8から獲得され得る。一次室で相変化材料8から熱エネルギーを伝達することにより、一次室の空気に近接した相変化材料の温度8の低下により空気温度が低下する場合には、サーモスタットによりこれが検知されてHVACシステムがこの不均衡を調節するであろう。逆に、夏期に二次室が一次室より高温になるであろう。二次室内の相変化材料から熱エネルギーを伝達することにより、二次室が冷房され得る。そして獲得された熱エネルギーは、二次室内の部分を除いた相変化材料8の部分への熱伝達を実行する為に使用され得るか、又は電気エネルギー貯蔵デバイス、例えば後の使用の為のバッテリへ伝達されるか、若しくは電気グリッドへ買い戻され得る。二次室の冷暖房は、複数の二次室について行われ得る。1つ以上の二次室について記載された冷暖房は、基準校正設定値に従って包囲体全体での温度を加減する為に使用され得るか、又は各二次室の独立した空気温度制御に使用され得る。
【0064】
上に記載されて(例えばモジュール230が大規模アレイである)
図1に示されている大規模実施形態のいずれも、1つ以上のプロセッサ280に連通結合されてこれにより制御され得る。1つ以上のプロセッサ280は、フロントエンドアレイ5、バックエンドアレイ6の温度センサ240に連通結合され得るか、相変化材料に結合され得るか、或いはその組み合わせであり得る。付加的に、1つ以上のプロセッサ280が、1つ以上の二次室それぞれについて希望温度を選択する為の1つ以上のデバイス(例えば、不図示の入力デバイス、コンピューティングデバイス、リモート、フォブ等)に連通結合され得る。測定された可能な温度と、恐らくは温度入力設定とに基づいて、1つ以上のプロセッサは、熱エネルギーの伝達により、包囲体エンベロープへの熱損失を防ぎながら設定空気温度を達成し得る。
【0065】
静的絶縁を備える包囲体で作動する従来のHVACは、包囲体と、包囲体構築中に実装される絶縁エンベロープとの設計に基づいて、最大限の能力を発揮する。それ故、暖房動作中に、包囲体のエンベロープには、熱伝達が遅いエリアに対して熱伝達が急速なエリアが生じ得る。包囲体エンベロープの不均衡の結果、包囲体内での暖房が不充分且つ不均一になり得る。本明細書に記載の実施形態、例えば大規模実施形態のいずれも、包囲体エンベロープでの熱伝達が遅いエリア(熱エネルギーがここで最も蓄積し易い)に近接した相変化材料8の部分(
図6に示されている)から熱エネルギーを獲得し、包囲体エンベロープでの熱伝達が急速なエリアに近接した相変化材料8の部分にこの熱エネルギーを伝達することにより、この問題点の少なくとも一部分を緩和し得る。熱伝達が急速なエリアに近接した相変化材料8に熱エネルギーを伝達することにより、相変化材料8の熱慣性が熱伝達が急速なエリアの近くで上昇することで、これらのエリアでの熱伝達の速度を低下させる。包囲体の外部から熱の観点で見た場合に、結果的に得られる包囲体のサーマルエンベロープはより均一になるであろう。熱伝達が遅いエリアと熱伝達が急速なエリアとの間での熱エネルギーの伝達の制御は、相変化材料に結合されたフロントエンドアレイ5、バックエンドアレイ6、或いはその組み合わせについて記載された温度センサに連通結合される1つ以上のプロセッサで達成され得る。例えば、相変化材料8に熱結合される複数の温度センサは、相変化材料8の温度を測定して、熱エネルギー蓄積エリアと熱エネルギー不足エリアとを判断し得る。これらの温度測定値に基づいて、1つ以上のプロセッサは熱エネルギーの伝達を効果的な手法で行い得る。
【0066】
更に考えられる実施形態は、熱エネルギー蓄積又は熱エネルギー不足を指摘する為に相変化材料8の温度を測定することを目的とする温度センサを含み得ない。代替実施形態は、データ駆動型の校正性能を含むことで、相変化材料の温度測定の必要性を解消し得る。考えられる実施形態は、相変化材料の為の温度センサを備えず、包囲体からの履歴データ、又は包囲体のシミュレーション温度モデルからのデータを活用し得る。例えば、シミュレーション温度モデル(例えば有限要素解析)は、急速な熱伝達と低速の熱伝達とが包囲体エンベロープで発生し得るところの制御データを生成し得、それ故、1つ以上のプロセッサはこのデータを活用して、相変化材料8のどの部分から熱エネルギーが獲得されるかと、相変化材料8のどの部分へ熱エネルギーが伝達されるべきかを制御し得る。包囲体の暖房について記載したが、夏期にはその逆も同じく達成され得る(全ての季節変動が検討されている)。包囲体の例では夏期に問題エリアで同じ熱伝達速度が生じ得るが、熱エネルギーの損失が急速過ぎるエリアと異なり、この問題エリアでは熱エネルギーの取得が急速過ぎる場合がある。そしてこれらのエリアに近接した相変化材料8の部分は寧ろ1つ以上の熱電モジュールによりこれらから獲得された熱エネルギーを有し得る。これらの問題エリアに近接する相変化材料8から獲得された熱エネルギーは、熱エネルギーの低い相変化材料8の他のエリアの熱電モジュールへ、或いは1つ以上の電気エネルギー貯蔵デバイスへ伝達され得る。
【0067】
HVACシステムを利用する包囲体について実例を挙げたが、大規模実施形態の長所は、車両、船舶、航空機、宇宙船、或いは、内部温度の制御が望ましい、並びに/又は、熱エネルギーの獲得及び/若しくは貯蔵が望ましい任意の他の包囲体で使用され得る。更に、熱電モジュールのフロントエンドアレイ及びバックエンドアレイと相変化材料とが、包囲体の内部について最外層である実施形態が考えられている。
【0068】
図7は、熱エネルギーを管理する為のシステム150の実施形態を図示している。システムは、暖房換気空調システムA 108(HVAC A)と、冷暖房システム102(HC B)と、室内温度空気入力106とを含む。HVAC A 108は従来のHVACシステムであり得る。HC B 102は、相変化材料、熱電モジュールのフロントエンドアレイ、及び/又は、熱電モジュールのバックエンドアレイを含む本明細書に記載のいずれかの実施形態(例えば
図1~6のいずれか)であり得る。上に図示及び記載されているように、フロントエンドアレイ及びバックエンドアレイの熱電モジュールは相変化材料110に熱結合され得る。相変化材料110と結合されたHC B 102システムは、本明細書に記載のように包囲体エンベロープ104の温度管理を担当し得る。HC B 102システムにより測定又は予測される壁面温度は、HC B 102システムがどの壁面部分から熱エネルギーを獲得するか、或いはどの壁部分へ熱エネルギーを伝達するかを少なくとも部分的に示し得る。HVAC A 108システムは、HC B 102システムと協調して、包囲体の為の冷暖房サブシステム100を形成する。システム150は、包囲体の1つ以上の空間、室(つまり区画)等の温度を、まとめて、又は独立して測定、調節、管理、及び維持するように機能し得る。設定温度は、室内空気温度入力106で入力され得る。プロセッサは、一次室内での1つ以上の空気温度と一次室内での1つ以上の壁面温度とを受け取り、対応する制御信号をHVAC A 108とHC B 102システムとへ出力して、一次室の空気温度を設定温度に、或いは設定温度の閾値範囲内に調節し得る。HVAC A 108は、室内空気温度入力106で設定された希望の空気温度セットに基づいて空気温度を調整し得る。HC B 102は、1つ以上の設定温度と、1つ以上の壁面温度と、1つ以上の空気温度とに基づいて相変化材料110内の熱エネルギーを管理し得る。幾つかの実施形態では、二次室での相変化材料110の部分の熱エネルギーを管理して(一次室はHVAC A 108システムのサーモスタットが配設されているところである)、温度基準を加減するか又は二次室(つまり区画又は空間)に独立温度制御を提供する。相変化材料110は温度エネルギーの為のサーマルリザーバ又はバッテリとしても使用され得、外部回路からの電気エネルギーから変換された熱エネルギーを貯蔵する為に使用され得る。例えば、太陽電池アレイ又は風力タービンがHC B 102システムに電気接続されている時に、電気エネルギーは、熱電モジュールに伝達され、熱エネルギーに変換され、フロントエンドアレイ及びバックエンドアレイにより相変化材料110へ伝達され得る。1つ以上のプロセッサは、壁面温度測定値、相変化材料110の温度、又はエンベロープ温度に基づいて、温度エネルギーが貯蔵されるところを制御し得る。
【0069】
図8は、熱エネルギーを管理する為のシステム160の実施形態を図示している。システムは、プロセッサ22と、HVAC A 24システムと、HC B 26システムと、1つ以上の室内温度28と、1つ以上の壁面温度30とを含む。HC B 102は、相変化材料、熱電モジュールのフロントエンドアレイ、及び/又は、熱電モジュールのバックエンドアレイを含む、本明細書に記載のいずれかの実施形態(例えば
図1~7のいずれか)であり得る。プロセッサ22は、多数の入力を受け取り、多数の出力を発することが可能であり得る。代替的に、プロセッサ22は、壁面温度が測定ではなく予測されるデータ駆動型校正性能を有し得る。システム160は、プロセッサ22に連通結合されたヒューマンマシンインタフェースで設定される1つ以上の室又は空間又は包囲体での温度28を調節又は維持するように機能する。プロセッサのネットワークであり得るプロセッサ22は、HVAC A 24システムとHC B 26システムとの出力を調節して、一次室内温度28を調節又は維持する。例えば、熱エネルギーは一次室で相変化材料へ伝達されるか又は相変化材料から伝達され得、一方でHVAC A 24システムは高温又は低温空気を一次室へ入力する。一次室内の空気温度は1つ以上の温度センサにより測定されて、フィードバックとしてプロセッサ22へ提供又は送信され得る。一次室内での1つ以上の壁面温度は、1つ以上の温度センサにより測定され得るか、又はデータ駆動型校正で予測されてフィードバックとしてプロセッサ22へ提供若しくは送信され得る。幾つかの実施形態は、1つ以上の二次室内での個別化冷暖房を含む(一次室は、HVAC A 24とHC B 26とが共に作動して空気温度を調節又は維持するところである)。1つ以上の二次室内での個別化冷暖房を含む実施形態において、1つ以上の二次室の空気温度及び壁面温度は温度センサにより測定され得るか、又はデータ駆動型校正で予測されてプロセッサ22により受信され得る。二次室の設定又は希望の空気温度が実際の空気温度より低い場合には、HC B 26システムにより二次室の壁面の相変化材料から熱エネルギーが伝達され、調整後の二次室空気温度がフィードバックとしてプロセッサ22により受信される。二次室の希望空気温度が実際の空気温度より高い場合には、HC B 26システムにより二次室の壁面の相変化材料へ熱エネルギーが伝達され、調整後の二次室の空気温度がフィードバックとしてプロセッサ22により受信される。HC B 26システムは、1つ以上の設定温度、1つ以上の空気温度、及び/又は1つ以上の壁面温度に基づいて、相変化材料の少なくとも一部分での熱エネルギーを管理し得る。HC B 102システムは、包囲体の冷暖房の為に、そして包囲体のエンベロープ温度管理の為に、相変化材料の少なくとも一部分の熱エネルギーを管理し得る。
【0070】
当該技術分野で周知の性能係数は、システム(例えばHVAC A 24又はHC B 102)により提供される有益な暖房又は冷房の量とシステムを作動させる為に必要とされる仕事(例えばワット数)との比率である。
図7及び8に記載されているHC B 102システムは、HVAC A 24の性能係数(COP)より高いCOPでオンデマンドの冷暖房を実施し得る。更に、HC B 102システムは、当該技術分野で周知のCOPの全範囲においてオンデマンドの冷暖房を実施し得る。付加的に、HC B 102システムは、HC B 102システムのCOPがHVAC A 24システムのCOPより高い温度差範囲にわたってオンデマンドの冷暖房を実施し得る。更に、HC B 102システムは、HVAC A 24システムのCOPに関わらず、COPの全範囲が考えられる温度差範囲にわたってオンデマンドの冷暖房を実施し得る。
【0071】
独立して配線されるか、又は独立して連通結合される熱電モジュール又は熱電モジュールサブセットを伴う本明細書に記載の実施形態は、相変化材料又は環境の異なる部分へ暖房及び/又は冷房パターンを届ける性能を含み得る。それ故、異なる波形及び/又は冷暖房プロフィールが相変化材料又は環境の部分へ導入され得る。
【0072】
本明細書に記載の実施形態は、マイクロ流体システム又は熱交換管システム若しくは流路を相変化材料内又は相変化材料の近くに含み得る。それ故、マイクロ流体システム又は熱交換管システム若しくは流路は、高い熱エネルギーレベルを持つ相変化材料部分を通り、低い熱エネルギーレベルを持つ相変化材料部分へ液体を流すことにより、相変化材料の部分内での熱伝達を更に促進し得る。
【0073】
本明細書に記載の実施形態は、相変化材料の代わりにマイクロ流体システム又は熱交換管システム若しくは流路を含み得る。それ故、マイクロ流体システム又は熱交換管システム若しくは流路は、相変化材料により伝達及び貯蔵される熱エネルギーの為の、本明細書に記載の熱電モジュールからの熱伝達を促進し得る。
【0074】
例えば
図1~8に関して上に図示及び/又は記載された実施形態のいずれも、本明細書では、以下の方法(例えば
図9~10の方法)と共に以下に示される冷暖房システム、エンベロープ温度管理システム、又はHCシステムと称され得る。
【0075】
方法
図9に示されているように、熱エネルギーを管理する為の方法170が示されている。方法170はコンピュータ実装方法であり得る。例えば、方法170は1つ以上のプロセッサにより実施され得る。方法170は、ブロックS40で第1包囲体から空気温度を受け取ること、ブロックS42で第1包囲体から壁面温度を受け取ること、そしてブロックS44で第1包囲体の設定温度を受け取ることを含む。ブロックS46で開始される第1プロセスで、方法170は、ブロックS50において、空気温度と設定温度とがほぼ等しい時に、何もしない(例えば制御信号を出力しない)か、又は稼働中の暖房換気空調(HVAC)システム若しくは稼働中の冷暖房(HC)システムを停止させる停止信号を出力すること、そしてブロックS56において、方法170の始点に戻ることを含む。ブロックS48で開始される第2プロセスで、方法170は、空気温度と設定温度とがほぼ等しくない時に、ブロックS52でHVAC Aを起動させる起動信号を出力すること、及び/又は、HC Bを起動させる起動信号を出力すること、並びにブロックS56で方法170の始点に戻ることを含む。方法170は、従来のHVACシステムであり得る第1のHVACシステムと、本発明の実施形態であり得る第2のHC(冷暖房)システムとを作動させることにより、包囲体の温度を管理するように機能する。方法は包囲体を暖房及び冷房する為に使用されるが、付加的又は代替的に、本明細書の他所に記載したような任意の適当な用途に使用され得る。方法170は、温度の調整及び/又は熱エネルギーの管理の為に設計されるか、若しくはこれらから利益を得ることになる任意の適当なデバイス又はシステムの為に機能するように構成及び/又は適応化され得る。
【0076】
図9に示されているように、熱エネルギーの管理の為の方法170の一実施形態は、第1包囲体から空気温度を受け取ることが記されたブロックS40を含む。ブロックS40は、システムが第1包囲体から空気温度を受け取るステップである。
図7について上に記載したように、1つ以上のプロセッサは、第1包囲体の空気温度を測定する温度センサからの測定温度を受け取り得る。
【0077】
図9に示されているように、熱エネルギーの管理の為の方法170の一実施形態は、第1包囲体から壁面温度を受け取ることが記されたブロックS42を含む。ブロックS42は、一次包囲体についての壁面温度をシステムが受け取るステップである。
図7について上に記載したように、温度センサにより測定される壁面温度は1つ以上のプロセッサにより受け取られる。代替的に、1つ以上のプロセッサがデータ駆動型校正から壁面温度を取得してもよい。
【0078】
図9に示されているように、熱エネルギーの管理の為の方法170の一実施形態は、第1包囲体についての設定空気温度を受け取ることが記されたブロックS44を含む。ブロックS44は、例えばヒューマンマシンインタフェースの使用を通して、或いはモデルデータに基づいて、第1包囲体についての希望又は設定の空気温度設定値をシステムが受け取るステップである。
図7について上に記載したように、設定温度は、包囲体空気温度入力106で受け取られる。包囲体空気温度入力106は、アナログサーモスタット又は1つ以上のプロセッサを備えるサーモスタットであり得る。空気温度入力106は、第1包囲体の測定空気温度と設定温度の両方を受け取るように構成され得る。第1包囲体の測定空気温度と設定温度とに基づいて、システム(例えば
図1~8に記載されたシステムのいずれか)は、
図9に示されている1つ以上のプロセスを実行し得る。
【0079】
図9に示されているように、第1プロセスはブロックS46及びS50を含み、空気温度と設定温度とがほぼ等しい時には、制御信号を出力しないか、又は稼働中のHVAC若しくはHC Bを停止させる停止信号を出力すると記されている。包囲体温度が設定温度にほぼ等しい場合に、システムは、稼働中のHVAC A若しくはHC Bをシャットダウンするか、又はHVAC A及びHC Bが稼働中でない時には何もしない。
図7に記載のように、HVAC A 108とHC B 102は、実際の空気温度が設定温度にほぼ等しい場合には設定温度に基づいて空気温度を調整し、HVAC A 108とHC B 102とは恐らく非稼働中であり得る。
【0080】
図9に示されているように、第2プロセスはブロックS48及びS54を含み、空気温度と設定温度とがほぼ等しくない時には、HVAC Aを起動させる起動信号を出力する、及び/又は、HC Bを起動させる起動信号を出力することが記されている。
図7に記載のように、HVAC A 108は設定温度に基づいて空気温度を調整し得、HC B 102は設定空気温度に基づいて相変化材料内の熱エネルギーを管理し得る。HVAC A 108が空気温度を調整してHC B 102が相変化材料内の熱エネルギーを管理する(最終的に壁面温度を調整する)と、包囲体内の空気温度は最終的に、設定温度に、或いは設定温度の閾値範囲内に調節され得る。ブロックS56で、第1プロセス及び/又は第2プロセスは方法170のブロックS40へ戻り、空気温度を設定温度に調節及び/又は維持する。
【0081】
図9の方法170は1つ以上の識別子を使用し得る。例えば、1つ以上のプロセッサにより生成される1つ以上の識別子は、包囲体内の壁面部分、或いは(例えばアパート建物の)複数の包囲体のうちの包囲体についてインデックスを作成し得る。更に、1つ以上の識別子は各熱電モジュールをインデックス表示する為に使用され得る。これらの識別子とその結果としてのインデックスとの使用により、HC B 102システムは、特定の壁面のどの部分が温度調節を必要とするかを特定できる。付加的に、これらの識別子は、壁面の温度調節を行う為にどの熱電モジュールが操作されるべきかを特定する為に使用され得る。幾つかの実施形態において、HC B 102及び/又はHVAC A 108の操作は、包囲体エンベロープの暖房又は冷房、或いは温度管理におけるHVAC A 108又はHC B 102システムの特定構成要素の相対的重要性を表す2つのトランザクティブ係数により制御される。
【0082】
図10に示されているように、熱エネルギーの管理の為の方法180が示されている。方法180はコンピュータ実装方法であり得る。例えば、方法180は1つ以上のプロセッサにより実施され得る。方法180は、ブロックS60で一次及び二次包囲体から空気温度を受け取ること、ブロックS62で一次包囲体及び二次包囲体から壁面温度を受け取ること、そして一次包囲体及び二次包囲体についての空気温度設定値を受け取ることを含む。ブロックS66では、設定空気温度にほぼ等しい一次包囲体温度を受け取ることと、ブロックS66で設定空気温度とほぼ等しい二次包囲体温度を受け取ることと、制御信号を出力しないか、又は稼働中のHVAC A若しくはHC Bを停止させる停止信号を出力することとを含む第1プロセスが開始される。そしてブロックS80で方法180が反復される。
【0083】
温度間に差を含む一次包囲体温度と設定温度とを受け取ることと、ブロックS74でHVAC Aを起動させる起動信号を出力する、及び/又は、ブロックS76で適切なHC Bゾーンを起動させる起動信号を出力することとが記されたブロックS68で、代替的な第2プロセスが開始され得る。代替的な第2プロセスがブロックS60へ進んで方法180の少なくとも一部分を反復する。
【0084】
ブロックS70で温度間に差を含む二次包囲体温度と設定温度とを受け取ることと、ブロックS78でHC Bを起動させる起動信号を出力することとが記された代替的な第3プロセスが開始され得る。代替的な第3プロセスがブロックS60へ進んで方法180の少なくとも一部分を反復する。
【0085】
方法180は、一次包囲体と共に1つ以上の二次包囲体(つまり区画)での空気温度を制御するように機能する。幾つかの実施形態で、方法180は、包囲体、或いは熱的連通状態にある複数の包囲体においてより均一化された温度基準を達成するように機能する。幾つかの実施形態で、方法180は、一次包囲体の空気温度に対する1つ以上の二次包囲体(つまり区画)の独立温度制御を達成するように機能する。方法180は包囲体の暖房及び冷房に使用されるが、本明細書の他所に記載されるように、付加的又は代替的に、任意の適当な用途に使用されてもよい。方法180は、温度の管理及び/又は熱エネルギーの管理の為に設計されるか、若しくはこれらから利益を得ることになる任意の適当なデバイス又はシステムの為に機能するように構成及び/又は適応化され得る。
【0086】
図10に示されているように、熱エネルギーを管理する為の方法180の一実施形態は、一次包囲体及び二次包囲体から空気温度を受け取ることが記されているブロックS60を含む。ブロックS60は、システムが1つ以上のプロセッサを介して、一次包囲体と1つ以上の二次包囲体とから空気温度を受け取るステップである。
図8について上に記載されているように、測定空気温度は一次包囲体から受け取られ、空気温度は1つ以上の二次包囲体から受け取られる。
【0087】
図10に示されているように、熱エネルギーを管理する為の方法180の一実施形態は、一次包囲体及び二次包囲体から壁面温度を受け取ることが記されているブロックS62を含む。ブロックS62は、システムが1つ以上のプロセッサを介して、一次包囲体及び1つ以上の二次包囲体から壁面温度を受け取るステップである。
図8について上に記載されているように、測定壁面温度は一次包囲体から受け取られ、空気温度は1つ以上の二次包囲体から受け取られる。一次包囲体及び二次包囲体の壁面温度は、温度センサからの測定値として1つ以上のプロセッサにより受け取られ得るか、又はデータ駆動型校正により達成され得る。
【0088】
図10に示されているように、熱エネルギーを管理する為の方法180の一実施形態は、一次包囲体及び二次包囲体の空気温度設定値を受け取ることが記されているブロックS64を含む。ブロックS62は、システムが1つ以上のプロセッサを介して、一次包囲体及び1つ以上の二次包囲体についての設定温度を受け取るステップである。
図8について上に記載されているように、プロセッサ22は、一次包囲体(例えば中心空気温度入力)と二次包囲体とについて1つ以上の設定温度を受け取る。幾つかの実施形態は、包囲体又は熱的連通状態にある複数の包囲体(例えば建物)において達成されるべき基準温度を表す設定温度を受け取る。考えられる他の実施形態は、一次包囲体についての設定温度と、1つ以上のそれぞれの二次包囲体についての独立した1つ以上の設定温度とを受け取る。
【0089】
図10に示されているように、空気温度設定値にほぼ等しい一次包囲体温度を受け取ることと、空気温度設定値にほぼ等しい二次包囲体温度を受け取ることとが記されているブロックS66により、第1プロセスが開始される。
図8について記載されているように、プロセッサ22は、一次包囲体と1つ以上の二次包囲体についての温度測定値を受け取る。一次包囲体と1つ以上の二次包囲体とについて測定された温度がそれぞれの包囲体の設定値とほぼ一致する(或いは公差範囲内にある)場合に、システムは制御信号を出力しないか、又はHVACシステム及びHC Bを停止させる制御信号を出力すべきである。制御信号を出力しないか、又は稼働中のHVAC A若しくはHC Bを停止させる停止信号を出力することは、何もしないか又はHVAC及びHC Bを停止させることが記されているブロックS72に反映されている。そしてブロックS80で方法180が反復される。
【0090】
図10に示されているように、差を有する一次包囲体温度と空気温度設定値とを受け取ることが記されているブロックS68で、第2手順に入り得る。
図8について記載されているように、プロセッサ22は、一次包囲体の設定空気温度と異なる一次包囲体の温度測定値を受け取る。一次包囲体の測定温度と一次包囲体の設定空気温度とがほぼ一致しない場合に、システムは、HVAC A 108及びHC B 102システムを起動させて一次包囲体の空気温度を変化させる制御信号を出力し得る。
図10に示されているように、ブロックS74とブロックS76とはこれを反映している。ブロックS74にはHVAC Aを起動させることが記され、ブロックS76には適切なHC Bゾーンを起動させることが記されている。代替的な第2プロセスはブロックS60へ進み、方法180の少なくとも一部分を反復する。
【0091】
図10に示されているように、差を有する二次包囲体温度と空気温度設定値とを受け取ることが記されているブロックS70で第3手順に入り得る。
図8について記載したように、プロセッサ22は、1つ以上の二次包囲体の設定空気温度と異なる1つ以上の二次包囲体についての温度測定値を受け取る。1つ以上の二次包囲体の測定温度と1つ以上の二次包囲体の設定空気温度とがほぼ一致しない場合には、HC B 102システムを起動させて1つ以上の二次包囲体の空気温度を変化させる制御信号をシステムが出力し得る。幾つかの実施形態は、1つ以上の二次包囲体の空気温度を変化させてこの包囲体の基準温度と一致させる制御信号を出力する。他の実施形態は、HC B 102システムから独立して1つ以上の二次包囲体の空気温度を変化させて1つ以上の二次包囲体で独立温度制御を達成する制御信号を出力し得る。(
図10に示されている)ブロックS78はこれを反映して、HC Bを起動させることが記されている。代替的な第3プロセスは、方法180の少なくとも一部分を反復するブロックS60へ進む。
【0092】
図10の方法170は1つ以上の識別子を使用し得る。例えば、1つ以上のプロセッサにより生成される1つ以上の識別子は、包囲体内の壁面部分について、或いは(例えば多室複合体における)複数の包囲体のうちの様々な包囲体について、インデックスを作成し得る。更に、各熱電モジュールをインデックス表示する為に1つ以上の識別子が使用され得る。更に、包囲体内の各室又はエリアをインデックス表示する為に1つ以上の識別子が使用され得る。これらの識別子とその結果としてのインデックスの使用により、HC B 102システムは、どの室又はエリアが温度調節を必要とするか、壁面のどの部分が温度調節を必要とするか、そして各壁面部分の温度調節を行う為にどの熱電モジュールが操作されるべきかを特定できる。付加的に、これらの識別子は、測定による及び/又はデータ駆動型の各校正温度と各設定温度とをインデックス表示する為に使用され得る。幾つかの実施形態において、HC B 102及び/又はHVAC A 108との操作は、包囲体エンベロープの暖房又は冷房或いは温度管理におけるHVAC A 108或いはHC B 102システムの特定構成要素の相対的重要性を表す3つ以上のトランザクティブ係数により制御される。
【0093】
コンピュータ実装方法は、1つ以上のプロセッサにおいて、包囲体についての既定パラメータを受け取ることを含み得る。1つ以上のプロセッサにより受け取られる既定パラメータは、センサデータ、或いは包囲体又は類似の包囲体のモデルから(例えば、1つ以上のデータ駆動型校正プロセッサにより)判断され得る。コンピュータ実装方法は更に、1つ以上のプロセッサで包囲体についての既定の設定温度入力を受け取ることと、1つ以上のプロセッサで包囲体についての中心空気入力を受け取ることとを含み得る。コンピュータ実装方法は、中心空気入力が既定の設定温度入力の公差範囲内にあるかどうかを判断することを含み得る。コンピュータ実装方法は、特定領域内の中心空気温度入力がこの領域についての既定の設定温度入力の公差範囲の外側である時を判断することを含み得る。コンピュータ実装方法は、温度調整システムを使用して包囲体の空気温度を調整することを含み得る。加えて、コンピュータ実装方法は、包囲体についての既定パラメータに基づいて調整の程度を判断することを含み得る。コンピュータ実装方法は、包囲体内の空気温度を調整するように第1システムを、及び/又は、包囲体の内壁の少なくとも一部分の壁面温度を調整して空気温度を調整するように第2システムを操作することを含み得る。第2システムは、温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面に結合される複数の第1熱電モジュールと、温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面に結合される複数の第2熱電モジュールとを含む。コンピュータ実装方法は、既定の快適性仕様に基づいて既定の設定温度入力を取得し得る。更に説明すると、これらの方法は、包囲体又は類似の包囲体のシミュレーション温度モデルからのデータ、収集されたセンサデータ、又は包囲体エネルギー使用データを利用して、制御の為の既定パラメータを判断し得る。プロセッサは、既定パラメータからのデータを使用して、どのシステム(例えば
図1~8のシステムのいずれか)が相変化材料へ、そして相変化材料から熱エネルギーを伝達するかを判断し得る。
【0094】
本明細書に記載の方法は、実施形態における熱橋の認識を含み得る。本明細書に記載の1つ以上のプロセッサは、熱橋が発生した時を特定するメモリからの命令を読み取り得る。例えば、実施形態において釘が挿入された場合には、釘により形成される高熱伝導率経路での熱エネルギーの急速な流入故に熱橋効果が発生し得る。1つ以上のプロセッサは、欠損部位の近くの温度測定値の変化を受け取ることにより、この発生を認識し得る。熱橋が認識されると、熱エネルギーが欠損部位へ、又は欠損部位から選択的に移動することにより、欠損部位での包囲体エンベロープを通した熱流を管理し得る。
【0095】
好適な実施形態とその変形のシステム及び方法は、コンピュータ可読命令を記憶するコンピュータ可読媒体を収容するように構成されているマシンとして少なくとも部分的に具現及び/又は実装され得る。命令は、好ましくはシステムとサーモスタットのプロセッサの1つ以上の部分と一体化されたコンピュータ実行可能な構成要素、建物自動化システム、サーバ、IoTデバイス、及び/又はコンピューティングデバイスにより実行される。コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EEPROM、光学デバイス(例えばCD若しくはDVD)、ハードドライブ、フロッピードライブ、又は何らかの適当なデバイスなど任意の適当なコンピュータ可読媒体に記憶され得る。コンピュータ実行可能な構成要素は、好ましくは汎用又は特定用途向けプロセッサであるが、任意の適当な専用のハードウェア又はハードウェア/ファームウェアの組み合わせが代替的又は付加的に命令を実行できる。
【0096】
「一実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」、「例示的実施形態(illustrative embodiment)」、「幾つかの実施形態(some embodiments)」等についての明細書での言及は、記載の実施形態が特定の特徴、構造、又は性質を含み得ることを示しているが、あらゆる実施形態は特定の特徴、構造、若しくは性質を含んでも、又は必ずしも含まなくてもよい。叉、このような語句は必ずしも同じ実施形態を指す訳ではない。更に、特定の特徴、構造、又は性質が実施形態と関連して記載される時に、明白に記載されていても又はいなくても他の実施形態と関連してこのような特徴、構造、又は性質を付与することは当業者の知識の範囲内にあると考えられる。
【0097】
記載部分及び請求項で使用される際に、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈がそうではないことを指しているのでなければ単数形と複数形の両方の言及を含む。例えば、「熱電対(thermocouple)」という用語は複数の熱電対を含み得、叉含むと考えられる。時には、請求項及び開示は「複数(a plurality)」、「1つ以上の(one or more)」、又は「少なくとも1つ(at least one)」などの用語を含み得る。しかしながら、このような用語が存在しない場合は、複数が念頭にないことを意味する意図はなく、これを意味すると解釈されるべきではない。
【0098】
「約(about)」又は「ほぼ(approximately)」という用語は、(例えば長さを規定する為に)数字表示又は範囲の前で使用される時に、(+)若しくは(-)5%、1%、又は0.1%だけ変化し得る近似値を指している。本明細書で提示される全ての数字範囲は、記載の開始及び終了数を含む。「実質的に(substantially)」という用語は、デバイス、物質、若しくは組成物のほとんど(つまり50%超)又は本質的に全てを指す。
【0099】
本明細書で使用される際に、「包含する(comprising)」又は「包含する(comprises)」という用語は、デバイスと、システムと、方法とが記載の要素を含み、付加的に他の何らかの要素を含み得ることを意味することが意図されている。「から本質的に構成される(consisting essentially of)」は、デバイスと、システムと、方法とが記載の要素を含み、記載の目的の為の組み合わせにとって本質的に重大な他の要素を除外することを意味するものとする。故に、本明細書に規定される要素から本質的に構成されるシステム又は方法は、請求される開示の基本的な新規の性質に大きな影響を与えない他の材料、特徴、又はステップを除外しないだろう。「から構成される(consisting of)」は、デバイスと、システムと、方法とが記載の要素を含み、取るに足らないか若しくは重要ではない要素又はステップに過ぎないものを除外することを意味するものとする。これらの移行語の各々により定義される実施形態は、本開示の範囲内にある。
【0100】
本明細書に含まれる例及び図は、主題が実践され得る特定実施形態を限定ではなく例示として示している。他の実施形態がこれから利用及び導出され得る為、本開示の範囲から逸脱することなく構造的及び論理的な置換及び変更が行われ得る。本発明の主題のこのような実施形態は、本明細書では単に便宜上、そして事実上1つより多くが開示された場合に、任意の単一の発明又は発明概念に本出願の範囲を恣意的に制限するという意図を伴わずに、「発明」という用語により個別的又は集約的に言及され得る。故に、特定の実施形態が本明細書に図示及び記載されたが、同じ目的を達成すると予想される任意の仕組みが示される特定実施形態と置き換えられてもよい。本開示は、様々な実施形態の改変又は変形のいずれか及び全てを含むことが意図されている。上の実施形態と、本明細書には明確に記載されていない他の実施形態との組み合わせは、上の記載を検討すると当業者には明白であろう。
【0101】
実施例
実施例1 熱エネルギーを管理する為のシステムであって、システムは、第2表面と反対の第1表面を有する温度エネルギー貯蔵媒体と、温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面に配置される第1熱電対と、第1熱電対と温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面との間の第1サーマルインタフェース材料と、温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面に配置される第2熱電対と、第2熱電対と温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面との間の第2サーマルインタフェース材料とを具備する、システム。
【0102】
実施例2 第1熱電対が第1熱電モジュールとなるように第1熱電対が1つより多い熱電対を具備し、第2熱電対が第2熱電モジュールとなるように第2熱電対が1つより多い熱電対を具備する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例1のシステム。
【0103】
実施例3 温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面に結合される1つ以上の温度センサを更に具備する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例1のシステム。
【0104】
実施例4 温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面に結合される1つ以上の温度センサを更に具備する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例1のシステム。
【0105】
実施例5 第1熱電モジュールがペルチェモジュールとして作動する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例1のシステム。
【0106】
実施例6 第2熱電モジュールが熱電発電機として作動する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例1のシステム。
【0107】
実施例7 第1熱電モジュールに結合される1つ以上の温度センサを更に具備する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例2のシステム。
【0108】
実施例8 第2熱電モジュールに結合される1つ以上の温度センサを更に具備する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例2のシステム。
【0109】
実施例9 第2熱電モジュールがペルチェモジュールとして作動する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例1のシステム。
【0110】
実施例10 温度エネルギー貯蔵媒体が相変化材料を包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例1のシステム。
【0111】
実施例11 相変化材料が水和塩を少なくとも部分的に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例10のシステム。
【0112】
実施例12 システムが外部電気回路に連通結合される、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例1のシステム。
【0113】
実施例13 システムが1つ以上の電気化学バッテリに連通結合される、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例1のシステム。
【0114】
実施例14 熱エネルギーを管理する為のシステムであって、第2表面と反対の第1表面を有する温度エネルギー貯蔵媒体と、複数の第1熱電モジュールを具備するフロントエンドアレイであって、温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面に配置されるフロントエンドアレイと、複数の第2熱電モジュールを具備するバックエンドアレイであって、温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面に配置されるバックエンドアレイとを具備する、システム。
【0115】
実施例15 フロントエンドアレイと温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面との間の第1サーマルインタフェース材料を更に具備する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0116】
実施例16 バックエンドアレイと温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面との間の第2サーマルインタフェース材料を更に具備する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0117】
実施例17 複数の第1熱電モジュールが膜として構成されている、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0118】
実施例18 複数の第2熱電モジュールが膜として構成されている、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0119】
実施例19 複数の第1熱電モジュールの少なくともサブセットが直列に配線されてフロントエンドアレイを形成する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0120】
実施例20 複数の第1熱電モジュールの少なくともサブセットが更に直列と並列の組み合わせで配線される、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例19のシステム。
【0121】
実施例21 複数の第2熱電モジュールの少なくともサブセットが直列に配線されてバックエンドアレイを形成する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0122】
実施例22 複数の第2熱電モジュールの少なくともサブセットが更に直列と並列との組み合わせで配線される、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例21のシステム。
【0123】
実施例23 複数の第1熱電モジュールの少なくともサブセットが並列に配線されてフロントエンドアレイを形成する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0124】
実施例24 複数の第2熱電モジュールの少なくともサブセットが並列に配線されてバックエンドアレイを形成する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0125】
実施例25 温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面に結合される1つ以上の温度センサを更に具備する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0126】
実施例26 温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面に結合される1つ以上の温度センサを更に具備する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0127】
実施例27 複数の第1熱電モジュールに結合される1つ以上の温度センサを更に具備する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0128】
実施例28 複数の第2熱電モジュールに結合される1つ以上の温度センサを更に具備する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0129】
実施例29 複数の第1熱電モジュールの各々がペルチェモジュールとして作動する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0130】
実施例30 複数の第2熱電モジュールの各々がペルチェモジュールとして作動する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0131】
実施例31 複数の第1熱電モジュールの各々が熱電発電機として作動する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0132】
実施例32 複数の第2熱電モジュールの各々が熱電発電機として作動する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0133】
実施例33 温度エネルギー貯蔵媒体が相変化材料を包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0134】
実施例34 相変化材料が水和塩を少なくとも部分的に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例33のシステム。
【0135】
実施例35 システムが外部電気回路との連通結合状態にある、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0136】
実施例36 システムが1つ以上の電気化学バッテリとの電気連通状態にある、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例14のシステム。
【0137】
実施例37 熱エネルギーを管理する方法であって、温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面のフロントエンドアレイを結合することであって、フロントエンドアレイが1つ以上の第1熱電モジュールを具備することと、温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面のバックエンドアレイを結合することであって、第1表面が第2表面と反対であり、バックエンドアレイが1つ以上の第2熱電モジュールを具備することと、フロントエンドアレイ、若しくはバックエンドアレイ、又は両方を使用して温度エネルギー貯蔵媒体の少なくとも一部分の温度を調整することとを包含する、方法。
【0138】
実施例38 フロントエンドアレイと温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面との間に第1サーマルインタフェース材料を配置することを更に包括する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例37の方法。
【0139】
実施例39 バックエンドアレイと温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面との間に第2サーマルインタフェース材料を配置することを更に包括する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例37の方法。
【0140】
実施例40 1つ以上の電気化学バッテリをフロントエンドアレイ及びバックエンドアレイに電気結合することを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例37の方法。
【0141】
実施例41 フロントエンドアレイ若しくはバックエンドアレイの一方又は両方から発生した電気エネルギーを1つ以上の電気化学バッテリに伝達することを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例40の方法。
【0142】
実施例42 フロントエンドアレイ若しくはバックエンドアレイの一方又は両方により1つ以上の電気化学バッテリから電気エネルギーを受け取ることを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例40の方法。
【0143】
実施例43 フロントエンドアレイとバックエンドアレイとを外部電気回路に電気結合することを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例37の方法。
【0144】
実施例44 フロントエンドアレイ若しくはバックエンドアレイの一方又は両方から発生した電気エネルギーを外部電気回路へ伝達することを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例43の方法。
【0145】
実施例45 フロントエンドアレイ若しくはバックエンドアレイの一方又は両方により外部電気回路から電気エネルギーを受け取ることを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例43の方法。
【0146】
実施例46 温度エネルギー貯蔵媒体の一部分から発生した熱エネルギーを温度エネルギー貯蔵媒体の別の部分へ伝達することを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例37の方法。
【0147】
実施例47 温度エネルギー貯蔵媒体が温度エネルギーの為のリザーバ又はバッテリとして作用するように構成されている、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例46の方法。
【0148】
実施例48 フロントエンドアレイ若しくはバックエンドアレイの一方又は両方から発生した電気エネルギーを温度エネルギー貯蔵媒体に伝達することを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例47の方法。
【0149】
実施例49 温度エネルギー貯蔵媒体の1つ以上の相転移温度又は相転移温度の近くの温度範囲にわたって伝達が実行される、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例48の方法。
【0150】
実施例50 温度エネルギー貯蔵媒体の第1部分に貯蔵された熱エネルギーを温度エネルギー貯蔵媒体の別の部分に伝達することを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例48の方法。
【0151】
実施例51 温度エネルギー貯蔵媒体の相転移温度に達した時、或いは温度エネルギー貯蔵媒体の相転移温度が既定範囲内にある時に、伝達が実行される、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例50の方法。
【0152】
実施例52 フロントエンドアレイ若しくはバックエンドアレイの一方又は両方により温度エネルギー貯蔵媒体から熱エネルギーを獲得することを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例46の方法。
【0153】
実施例53 温度エネルギー貯蔵媒体の相転移温度範囲に基づいて伝達が実行される、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例52の方法。
【0154】
実施例54 包囲体内の温度を制御するコンピュータ実装方法であって、この方法は、包囲体の1つ以上の第1箇所からの第1空気温度入力をプロセッサで受け取ることと、包囲体の1つ以上の第1箇所からの第1壁面温度入力をプロセッサで受け取ることと、包囲体の1つ以上の第1箇所についての第1設定空気温度入力をプロセッサで受け取ることと、第1空気温度入力に対応する第1空気温度が第1設定空気温度入力と異なる時に、包囲体の1つ以上の第1箇所での第1空気温度を調整する第1システム、若しくは包囲体の1つ以上の第1箇所の内壁の少なくとも一部分の第1壁面温度を調整して第1空気温度を調整する第2システムの一方又は両方へ第1制御信号を出力することとを包含し、第2システムが、温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面に結合される複数の第1熱電モジュールと、温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面に結合される複数の第2熱電モジュールとを具備し、温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面が温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面と反対であり、第1表面が内表面を画定し、第2表面が外表面を画定する、コンピュータ実装方法。
【0155】
実施例55 第1システムが、暖房換気空調システム、放射暖房システム、ファン、又は放射冷房システムのうち1つである、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例54のコンピュータ実装。
【0156】
実施例56 包囲体の1つ以上の第2箇所についての第2設定空気温度入力をプロセッサで受け取る、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例54のコンピュータ実装。
【0157】
実施例57 包囲体の1つ以上の第2箇所からの第2空気温度入力をプロセッサで受け取ることと、包囲体の1つ以上の第2箇所からの第2壁面温度入力をプロセッサで受け取ることと、第2空気温度入力に対応する第2空気温度が第2設定空気温度入力と異なる時に、包囲体の1つ以上の第2箇所の内壁の少なくとも一部分の第2壁面温度を調整して第2空気温度を調整するように、第2制御信号を第2システムに出力することとを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例56のコンピュータ実装。
【0158】
実施例58 1つ以上の第1箇所の第1空気温度を調整する第1制御信号の出力が、1つ以上の第2箇所の第2空気温度を調整する第2制御信号の出力から独立している為、1つ以上の第1箇所が1つ以上の第2箇所から独立して制御される、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例56のコンピュータ実装。
【0159】
実施例59 複数の第1熱電モジュールの各熱電モジュールを独立制御する1つ以上の内部制御信号を出力することにより、複数の第1熱電モジュールの各熱電モジュールに近接した温度エネルギー貯蔵媒体の熱エネルギー貯蔵媒体温度を独立して変化させることを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例54のコンピュータ実装。
【0160】
実施例60 複数の第2熱電モジュールの各熱電モジュールを独立制御する1つ以上の外部制御信号を出力することにより、複数の第2熱電モジュールの各熱電モジュールに近接した温度エネルギー貯蔵媒体の熱エネルギー貯蔵媒体温度を独立制御することを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例54のコンピュータ実装。
【0161】
実施例61 回路で共に連通結合された複数の第1熱電モジュールの2つ以上の熱電モジュールを包含する、2つ以上の第1モジュールサブセットを独立制御する2つ以上の第1内部制御信号を出力することにより、2つ以上の第1モジュールサブセットの各々に近接した温度エネルギー貯蔵媒体の熱エネルギー貯蔵媒体温度を独立制御することを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例54のコンピュータ実装。
【0162】
実施例62 回路で共に連通結合された複数の第2熱電モジュールの2つ以上の熱電モジュールを包含する、2つ以上の第2モジュールサブセットを独立制御する2つ以上の第1外部制御信号を出力することにより、2つ以上の第2モジュールサブセットの各々に近接した温度エネルギー貯蔵媒体の熱エネルギー貯蔵媒体温度を独立制御することを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例54のコンピュータ実装。
【0163】
実施例63 第2システムが1つ以上の電気化学バッテリとの連通結合状態にある、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例54のコンピュータ実装。
【0164】
実施例64 第2システムが、直流分配エネルギー源から電気エネルギーを引き出すように構成されているインバータとの連通結合状態にある、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例54のコンピュータ実装。
【0165】
実施例65 温度エネルギー貯蔵媒体の内表面での空気温度と温度エネルギー貯蔵媒体の少なくとも一部分の熱エネルギー貯蔵媒体温度との間の温度差により発生する電気エネルギーの少なくとも一部分を、1つ以上の電気化学バッテリへ、或いは温度エネルギー貯蔵媒体の別の部分へ伝達する為に複数の第1熱電モジュールを使用することを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例63のコンピュータ実装。
【0166】
実施例66 温度エネルギー貯蔵媒体の少なくとも一部分と温度エネルギー貯蔵媒体の外表面での温度との間の温度差により発生する電気エネルギーの少なくとも一部分を、1つ以上の電気化学バッテリへ、或いは温度エネルギー貯蔵媒体の別の部分へ伝達する為に複数の第2熱電モジュールを使用することを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例63のコンピュータ実装。
【0167】
実施例67 第2システムが外部電気回路との連通結合状態にある、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例54のコンピュータ実装。
【0168】
実施例68 温度エネルギー貯蔵媒体の内表面での空気温度と温度エネルギー貯蔵媒体の少なくとも一部分の温度エネルギー貯蔵媒体温度との間の温度差により発生する電気エネルギーの少なくとも一部分を、外部電気回路へ、或いは温度エネルギー貯蔵媒体の別の部分へ伝達する為に複数の第1熱電モジュールを使用することを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例67のコンピュータ実装。
【0169】
実施例69 温度エネルギー貯蔵媒体の一部分と温度貯蔵媒体の外表面での外部温度との間の温度差により発生する電気エネルギーの少なくとも一部分を、外部電気回路へ、或いは温度エネルギー貯蔵媒体の別の部分へ伝達する為に複数の第2熱電モジュールを使用することを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例67のコンピュータ実装。
【0170】
実施例70 第2システムが稼働中であり、第1システムが稼働中でない時に、暖房換気空調システムの模倣音を1つ以上のスピーカに発生させるように1つ以上のスピーカに信号を出力することを更に包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例54のコンピュータ実装。
【0171】
実施例71 包囲体内の空気温度を制御するシステムであって、システムは、1つ以上の区画内の空気温度を調整するように構成されている第1システムと、包囲体の内壁の少なくとも一部分の温度を調整するように構成されている第2システムと、第1及び第2システムに連通結合されるプロセッサとを具備し、第1システムが温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面に結合される複数の第1熱電モジュールを具備し、第2システムが温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面に結合される複数の第2熱電モジュールを具備し、内表面を画定する第1表面が、外表面を画定する第2表面と反対である、システム。
【0172】
実施例72 第1システムが暖房換気空調システムである、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例71のシステム。
【0173】
実施例73 包囲体の1つ以上の区画についての設定空気温度入力を受け取るようにプロセッサが構成されている、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例71のシステム。
【0174】
実施例74 室内空気温度に各々が対応する複数の設定空気温度を受け取るようにプロセッサが構成されている、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例73のシステム。
【0175】
実施例75 指示による互いに独立した希望設定空気温度を持つ各室の内壁の少なくとも一部分の温度を調整するようにプロセッサが構成されている、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例74のシステム。
【0176】
実施例76 複数の第1熱電モジュールの各熱電モジュールを独立制御することにより、各熱電モジュールに近接した温度エネルギー貯蔵媒体の温度エネルギー貯蔵媒体温度を独立して変化させるようにプロセッサが構成されている、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例71のシステム。
【0177】
実施例77 複数の第2熱電モジュールの各熱電モジュールを独立制御することにより、各熱電モジュールに近接した温度エネルギー貯蔵媒体の温度エネルギー貯蔵媒体温度を独立して変化させるようにプロセッサが構成されている、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例71のシステム。
【0178】
実施例78 回路で共に連通結合された複数の第1熱電モジュールの2つ以上の熱電モジュールを具備する2つ以上の第1モジュールサブセットを独立制御することにより、複数の第1熱電モジュールの各々に近接した温度エネルギー貯蔵媒体の温度エネルギー貯蔵媒体温度を独立して変化させるようにプロセッサが構成されている、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例71のシステム。
【0179】
実施例79 回路で共に連通結合された複数の第2熱電モジュールの2つ以上の熱電モジュールを具備する2つ以上の第2モジュールサブセットを独立制御することにより、複数の第2熱電モジュールの各々に近接した温度エネルギー貯蔵媒体の温度を独立して変化させるようにプロセッサが構成されている、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例71のシステム。
【0180】
実施例80 第2システムが1つ以上の電気化学バッテリとの連通結合状態にある、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例71のシステム。
【0181】
実施例81 第2システムが、複数の第1熱電モジュールを使用して、温度エネルギー貯蔵媒体の内側での空気温度と温度エネルギー貯蔵媒体の少なくとも一部分の温度エネルギー貯蔵媒体温度との間の温度差により発生する電気エネルギーの少なくとも一部分を、1つ以上の電気化学バッテリへ、或いは温度エネルギー貯蔵媒体の別の部分へ伝達するように構成されている、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例80のシステム。
【0182】
実施例82 第2システムが、複数の第2熱電モジュールを使用して、温度エネルギー貯蔵媒体の少なくとも一部分と温度エネルギー貯蔵媒体の外側での温度との間の温度差により発生する電気エネルギーの少なくとも一部分を、1つ以上の電気化学バッテリへ、或いは温度エネルギー貯蔵媒体の別の部分へ伝達するように構成されている、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例80のシステム。
【0183】
実施例83 第2システムが外部電気回路との連通結合状態にある、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例71のシステム。
【0184】
実施例84 第2システムが、複数の第1熱電モジュールを使用して、温度エネルギー貯蔵媒体の内側での温度と温度エネルギー貯蔵媒体の少なくとも一部分の温度エネルギー貯蔵媒体温度との間の温度差により発生する電気エネルギーの少なくとも一部分を、外部電気回路へ、或いは温度エネルギー貯蔵媒体の別の部分へ伝達するように構成されている、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例83のシステム。
【0185】
実施例85 第2システムが、複数の第2熱電モジュールを使用して、温度エネルギー貯蔵媒体の少なくとも一部分と温度エネルギー貯蔵媒体の外側での温度との間の温度差により発生する電気エネルギーの少なくとも一部分を、外部電気回路へ、或いは温度エネルギー貯蔵媒体の別の部分へ伝達するように構成されている、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例83のシステム。
【0186】
実施例86 第2システムが稼働中であり、第1システムが稼働中でない時に、暖房換気空調システムの模倣音を発生させるように構成されている1つ以上のスピーカを更に具備する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例71のシステム。
【0187】
実施例87 連通結合が無線結合を包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例71のシステム。
【0188】
実施例88 連通結合が有線接続を包含する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例71のシステム。
【0189】
実施例89 包囲体内の温度を制御するコンピュータ実装方法であって、包囲体についての既定パラメータをプロセッサで受け取ることであって、センサデータ、或いは包囲体又は類似の包囲体のモデルから既定パラメータが判断されることと、包囲体についての既定の設定温度入力をプロセッサで受け取ることと、包囲体についての中心空気温度入力をプロセッサで受け取ることと、中心空気温度入力が既定の設定温度入力の公差範囲内であるかどうかを判断することと、特定領域内での中心空気温度入力がこの領域についての既定の設定温度入力の公差範囲の外側である時に、温度調整システムを使用して包囲体の空気温度を調整することであって、調整の程度が包囲体についての既定パラメータに基づくこととを包含する、コンピュータ実装方法。
【0190】
実施例90 温度調整システムが、包囲体内の空気温度を調整する第1システム、若しくは包囲体の内壁の少なくとも一部分の壁面温度を調整して空気温度を調整する第2システムの一方又は両方を具備し、第2システムが、温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面に結合される複数の第1熱電モジュールと、温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面に結合される複数の第2熱電モジュールとを具備し、温度エネルギー貯蔵媒体の第2表面が温度エネルギー貯蔵媒体の第1表面の反対であり、第1表面が内表面を画定し、第2表面が外表面を画定する、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例89のコンピュータ実装方法。
【0191】
実施例91 既定の設定温度入力が既定の快適性仕様に基づいている、先行実施例のいずれか1つ、特に実施例89のコンピュータ実装方法。
【符号の説明】
【0192】
2a~2i 第1熱電モジュール
3 平面
4a~4i 第2熱電モジュール
5 フロントエンドアレイ
6 バックエンドアレイ
7 第1間隔
8 相変化材料
9 第1面
10a~10e 温度センサ
11 第2面
12c 温度センサ
13 第2間隔
14 総幅
15 長さ
16 空間
17 内部
18 環境
19 外部
21 厚さ
22 プロセッサ
24 暖房換気空調システムA(HVAC A)
26 冷暖房システムB(HC B)
27 幅
28 室内温度
30 壁面温度
31 垂直軸線
33 水平軸線
70 第1表面
72 第2表面
74 第1面
76 第2面
100 冷暖房サブシステム
102 冷暖房システムB(HC B)
104 包囲体エンベロープ
106 室内温度空気入力
108 暖房換気空調システムA(HVAC A)
110 相変化材料
150 システム
160 システム
170 方法
180 方法
200 システム
210 メモリ
220 リモートコンピューティングデバイス
230 熱電モジュール
240 センサ
250 外部回路
260 暖房換気空調(HVAC)システム
270 アプリケーション
280 プロセッサ
290 スピーカ
【国際調査報告】