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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-07
(54)【発明の名称】包装材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20250228BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20250228BHJP
   B32B 29/00 20060101ALI20250228BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20250228BHJP
   B32B 15/20 20060101ALI20250228BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20250228BHJP
【FI】
B32B15/08 N
B32B27/10
B32B29/00
B32B7/12
B32B15/20
B32B7/023
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024548343
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2024-10-10
(86)【国際出願番号】 TR2022050138
(87)【国際公開番号】W WO2023158393
(87)【国際公開日】2023-08-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524303131
【氏名又は名称】デュラン ドアン バシム ヴェ アンバラジ サナイ エー.エス.
【氏名又は名称原語表記】DURAN DOGAN BASIM VE AMBALAJ SANAYI A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】アセミアン, ディクラン ミフラン
(72)【発明者】
【氏名】アセミアン, ディクラン
(72)【発明者】
【氏名】チャム アクデニズ, ネスリハン
(72)【発明者】
【氏名】カラボシアン, レヴォン
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB10B
4F100AB17B
4F100AJ03C
4F100AJ04D
4F100AJ07D
4F100AK22C
4F100AK25C
4F100AK41C
4F100AK51C
4F100AK69C
4F100AK69D
4F100AK69E
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CB00C
4F100DG10A
4F100EC04B
4F100EH66
4F100EJ91
4F100GB23
4F100JA13A
4F100JB09
4F100JD03D
4F100JD15A
4F100JL11C
4F100JM02B
4F100JN02B
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
本発明は、プラスチック包装に代わる環境に優しい紙ベースの包装材料に関する。本発明の包装材料は、リサイクル可能で再利用可能であるが、化石源から製造されたものでの包装の場合のように、又は化石源から製造されたものに取って代わる場合のように、食品の鮮度を長期間維持するために必要な酸素、水分、芳香、及びグリースバリアの特徴も提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・繊維ベースの主基材(P)、好ましくは紙又は厚紙と、
・ポリマー起源のキャリアフィルム(F)から剥離することによって前記主基材(P)の内側に転写される金属層(M)と、
・接着を保証するための前記主基材(P)と前記金属層(M)との間の接着剤(G)と、
を含む包装材料。
【請求項2】
前記金属層(M)が、前記主基材(P)上に接着剤(G)によって固定されている、請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
前記主基材(P)が、少なくとも、
・最小40gr/mの坪量、
・最小40ミクロンの厚さ、
・最大5%の水分含有量
を有する白紙であり、
少なくとも1つの面がカレンダ加工及び/又は化学的前処理されている、請求項1又は2に記載の包装材料。
【請求項4】
1つの面がミルで粘土コーティングによって前処理されている、請求項3に記載の包装材料。
【請求項5】
前記主基材(P)が、フッ素化学物質及びPVDCを含まない、請求項1から4のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項6】
前記金属層(M)が、少なくとも100オングストロームの厚さを有するアルミニウムからなる、請求項1から5のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項7】
前記接着剤(G)が、ウレタン、ラテックス、ポリエステル、酢酸ビニル、ビニルアルコールの変性エチレンコポリマー、アクリル酸、又は糖類のファミリーから選択される、請求項2から5のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項8】
前記金属層(M)が、
・少なくとも99,9%の純度、
・少なくとも100オングストロームの厚さ、
・(平均)2~3の光学密度
を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項9】
前記金属層(M)が、マグネシウム又は銅で作製される、請求項1から8のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項10】
前記金属層(M)が、物理的蒸気分解(PVD)法又は化学的蒸気分解(CVD)法のいずれかによる、アルミニウム、シリコーン、又はSiO、Al若しくはそれらの混合物のようなそれらの酸化物の無機透明コーティングで作製される、請求項1から8のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項11】
前記包装材料が、酸素、芳香、グリース、及び鉱油に対するバリアとして機能するバリア層(C2)と、前記金属層(M)上への前記酸素バリア層(C2)の結合を強化するプレコート層(C1)とをさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項12】
前記プレコート層(C1)が耐水性であり、EVA(エチレンビニルアセテート)コポリマー及びターポリマー、EAA(エチレンアクリル酸)ポリマー、スチレンアクリレート、並びにPEI(ポリエチレンイミン)のファミリーから選択される、請求項11に記載の包装材料。
【請求項13】
前記酸素バリア層(C2)が、非イオン性の水溶性ポリマーであるエチレンビニルアルコール(PVOH)コポリマーである、請求項11又は12に記載の包装材料。
【請求項14】
前記酸素バリア層(C2)が、多糖類、より具体的には、澱粉、又はセルロース、又はその両方による多糖類で作製されている、請求項11又は12に記載の包装材料。
【請求項15】
前記バリア層(C2)が周囲の水分の影響を受けるのを防ぐために、前記主基材(P)上の前記バリア層(C2)の頂部上にコーティングされた保護層(C3)を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項16】
前記保護層(C3)が水溶性、好ましくは堆肥化可能な水溶性エマルジョン又は分散系である、請求項15に記載の包装材料。
【請求項17】
前記保護層(C3)が、任意のタイプのアクリルポリマー、好ましくはEVA(エチレン酢酸塩)、EAA(エチレンアクリル酸)ポリマー、ビニルポリマー、ポリエステル、及びアイオノマー)から選択される、請求項15又は16に記載の包装材料。
【請求項18】
前記保護層(C3)が、低温シール接着可能であり、ラテックス系低温シール接着剤の受容層として作用する、請求項15から17のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項19】
前記主基材(P)の他方の面に、好ましくは転写金属化法によって形成された外側金属層(M1)もある、請求項1から18のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の包装材料の製造方法であって、
・キャリアフィルム(F)上にある金属層(M)で前記主基材をコーティングするステップであって、前記コーティングが、好ましくはアクリル性のものである接着剤(G)によって達成される、コーティングするステップ(101)と、
・前記キャリアフィルム(F)を剥がし、前記金属層を前記主基材(P)上に残すステップ(102)と、
を含む、製造方法。
【請求項21】
前記ステップ(102)の後に、スリッティングステップ(103a)で前記包装材料を処理するさらなるステップを含む、請求項20に記載の包装材料の製造方法。
【請求項22】
前記ステップ(102)の後に、前記包装材料のさらなる巻取りステップ(103b)を含む、請求項20又は21に記載の包装材料の製造方法。
【請求項23】
前記ステップ(103a又は103b)の後に、アートワーク印刷、ブランドロゴなど、又はラベリングのアプリケーションを含む前記包装材料を変換するさらなるステップを含む、請求項20から22のいずれか一項に記載の包装材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に食品包装専用の紙ベースの包装材料に関し、より具体的には、高いガス、水蒸気、芳香、及びグリースバリアの紙ベースの包装に関する。
【0002】
今日、環境に対する認識の高まりは、自然の汚染に関する多くの懸念を引き起こし、したがって、プラスチック材料の使用を制限することがこれまで以上に重要になってきている。
【0003】
そのため、環境に優しい材料で作製された食品及び非食品の包装の需要は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、又はそれらの互いに組み合わせ、及び他のポリマーなどの合成ベースのポリマーで作製され、すべて石油由来のものから作製された従来のものを置き換えるために急速に増加している。
【0004】
本発明の目的は、リサイクル可能で再利用可能であるが、化石源から製造されたものでの包装の場合のように、又は化石源から製造されたものに取って代わる場合のように、食品の鮮度を長期間維持するために必要な酸素、水分、及びグリースバリアのレベルも提供する、紙ベースの包装材料を製造することによって、プラスチック包装に対する、環境に優しい代替物を実現することである。
【背景技術】
【0005】
菓子、ビスケット、及びスナックのカテゴリで使用される包装は、通常、1つ又は複数のプラスチック基材(複数可)からなる。
【0006】
現在の技術水準では、食品包装の大部分はプラスチックフィルム及びそれらの組み合わせで作製されているが、消費者により自然な外観を与えるためにプラスチック包装フィルム及び紙が一緒に使用される包装も存在する。しかし、そのような異なる構造を有する包装は、それらが天然及び非天然源から来る異なる材料で構成されているため、完全なリサイクル性及び再利用性の観点から好ましくない。
【0007】
例えば、最先端の国際公開第2020/261170号では、比較的高い湿度レベルで良好で安定した酸素透過率を有するミクロフィブリル化セルロースに基づくガスバリアフィルムが言及されている。この最新技術文献はさらに、このようなバリアフィルムを含む紙及び板紙ベースの包装材料に関する。
【0008】
従来技術では、紙又は厚紙をより光沢のある洗練された外観にするために、主に装飾目的で異なる金属化技術が使用されている多くの金属化紙ベースの包装がある。例えば、フレグランス、スピリッツなどの高級製品のラベル及び包装は、消費者の注意を引くために、部分的又は完全に金属化された表面を有する。
【0009】
金属化はまた、紙及び厚紙を水、水分、グリース、及び鉱油に対して耐性にするために使用される。
【0010】
これらの包装用途のすべてについて、ベース材料上で金属化を行うことができるいくつかの方法がある。
【0011】
最も広く使用されている金属化技術は、通常5ミクロンを超える厚さを有する厚いアルミニウム箔との紙の積層である。ここで、金属箔は、接着剤又は押出ホットポリマー溶融物によって紙又は板紙に付着する。この技術は、長年にわたって、工業用バッグ、サック、及び様々な食品、例えば穀類、コーヒー、粉末製品、医療用包装、タバコ包装などのパウチの製造に使用されてきた。
【0012】
別の金属化技術は、金属(通常はアルミニウムである)が真空チャンバ内で溶融され、蒸発し、蒸発した金属分子が冷却されたロールの周りを通過するウェブ上に堆積され、こうして最終製品が金属仕上げを得る従来の真空堆積技術である。金属層の厚さは、通常、500~900オングストロームの範囲に保たれる。
【0013】
多くのラベリング用途、食品包装、及びタバコ包装のために、この技術は、装飾目的、又は、内容物を周囲湿度から保護するため、若しくはパック内部の内容物の水分を保持してそれらの鮮度を長期間維持するために水分バリアを与えるために使用されてきた。
【0014】
金属化の別の技術は、物理的真空蒸着(PVD)又は化学的真空蒸着(CVD)法に基づいており、AlO(例えばAl)、SiO(例えばSi0)及びそれらの組み合わせのような金属酸化物が、混合形態又は互いに重なっている別個の層の形態のいずれかでコーティングされて、非常に薄く透明な無機膜を形成する。
【0015】
この技術は、水分及び酸素に敏感な食品の包装に長年使用されており、主にポリエステルフィルムに使用され、紙ベースの包装にはあまり使用されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第2020/261170号
【発明の概要】
【0017】
第1の請求項及びそのそれぞれの請求項で詳述されている、本発明の目的を達成するために実現された包装材料は、紙である主基材と、転写金属化法によってベース上にコーティングされた、好ましくはアルミニウムからの薄い金属層と、主基材と金属層との間の接着剤とを含む。好ましい実施形態では、包装材料は、包装中の内容物を新鮮に保つための目標バリアレベルに達するように、この転写金属化表面の下又は上にさらに追加される少なくとも1つの機能性コーティングをさらに含む。
【0018】
転写金属化法使用の結果として、主として高い酸素、水蒸気バリアの紙ベースの基材が形成され、この基材は、グリース、芳香、及び鉱油バリアも与える。
【0019】
本発明で使用される転写金属化法は、
・キャリアフィルム上にある金属層で主基材をコーティングするステップであって、コーティングが、好ましくはアクリル性である接着剤によって達成される、コーティングするステップと、
・キャリアフィルムを剥がし、金属層を主基材上に残すステップと、
を含む。
【0020】
その結果、金属、好ましくはアルミニウムをポリマーフィルムから転写することによって、薄い金属層を有する紙又は厚紙のロールが得られる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、キャリアフィルムは、好ましくは少なくとも350オングストロームの厚さである。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、剥離された透明なキャリアは、本発明の別の環境に優しい態様であるPETストリーム中で後にリサイクルされる。
【0023】
本発明の代替的な実施形態では、包装材料ロールは、スリッティングステップでさらに処理するか、又は後続の変換プロセスに応じてロールとして使用することができる。
【0024】
アートワーク印刷、ブランドロゴなど、又はラベリングのアプリケーションを含む適切な変換プロセスに従って、金属化された紙/厚紙が専用の包装ラインに供給され、内容物を安全に覆い、保護し、運ぶための形態が与えられる。
【0025】
最後のステップでは、パックは、熱を加えることによって、熱接着剤若しくは低温接着剤又は超音波封止によって封止されるか、又は輸送の準備ができ、販売時点で消費者に表示可能にされる。
【0026】
一般に、金属化基材は、食品包装に水分バリアを与えるために好ましい。
【0027】
本発明の主な目的は、転写金属化層を含む高い酸素、芳香、及び水蒸気バリア包装基材を、この転写金属化層を様々な機能性コーティングと組み合わせることによって製造することである。
【0028】
図面は、特許請求の範囲で特定される保護の範囲を限定することを意味するものではなく、本発明の説明における技術的開示に頼ることなく特許請求の範囲で特定される範囲を解釈するために単独で参照されるべきでもない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の包装材料の概略図である。
図2】転写金属化プロセスの概略図である。
【符号の説明】
【0030】
以下の名称は、図面に示され、本発明の本詳細な説明で参照される包装の異なる層に割り当てられる。
M1:外側金属層
P:主基材
G:接着剤
M:金属層
C1:プレコート層
C2:バリア層
C3:保護層
F:キャリアフィルム
【発明を実施するための形態】
【0031】
包装材料は、金属層(M)、好ましくはアルミニウム層を有する繊維ベースの主基材(P)、好ましくは、紙又は厚紙を含み、この金属層は、ポリマー起源のキャリアフィルム(F)から剥離することによって主基材(P)の内側に転写される。
【0032】
本発明の一実施形態では、包装材料の金属層(M)は、接着を保証するために接着剤(G)で主基材(P)上に固定される。
【0033】
主基材(P)は、その片面又は両面にさらに塗布されるすべての化学物質及びコーティングの受容媒体として機能する。
【0034】
主基材(P)は、任意の種類の紙とすることができる。本発明の好ましい実施形態では、主基材(P)は、少なくとも
・最小40gr/mの坪量、
・最小40ミクロンの厚さ、
・最大5%の水分含有量、
を有する白紙であり、
少なくとも1つの面がカレンダ加工及び/又は化学的前処理されている。好ましい実施形態では、そのような前処理は、微小孔及び亀裂の閉鎖を最大化するためにミルで行われる粘土コーティングであり、そうでなければ、これら微小孔及び亀裂は、後続のコーティングプロセス中及び変換のような後の段階でバリア特性に悪影響を及ぼし得る。
【0035】
主基材(P)は、フッ素化学物質、PVDC、又は有害物質及びオゾン減損化学物質を含まない。
【0036】
接着剤(G)は、金属層(M)を主基材(P)に接着する。接着剤(G)は、金属層(M)及び主基材(P)に対する強力な接着性を有する任意の種類の無溶媒、溶媒系、水系、又はUV硬化性接着剤であり得る。
【0037】
化学的接着剤(G)は、ウレタン、ラテックス、ポリエステル、酢酸ビニル、ビニルアルコールの変性エチレンコポリマー、アクリル酸又は糖類のファミリーから選択され、例えば、
・5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン[EC No 247-500-7]及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン[EC No 220-239-6](3:1)の混合物;
・スチレンとブタジエンラテックスとのコポリマー;
・好ましくは水溶解性であるが、溶媒系キャリアを用いることもできるEVA(エチレンビニルアセテート)コポリマー及びターポリマー;
・エチレンと不飽和カルボン酸又はそれらのエステル化合物とのコポリマー;EAA(エチレンアクリル酸コポリマー)、EMAA(エチレンメタクリル酸コポリマー)、EMA(エチレンメチルアクリレートコポリマー)、EEA(エチレンエチルアクリレートコポリマー)、EMMA(エチルメチルメタクリレートコポリマー)(これらは、グリース、油、及び水分に対するバリアの改善にも役立つ);
・セルロース、澱粉、グリコーゲン、又はキチンに基づく(C10)nの一般式を有する多糖類の水溶液である。
【0038】
接着剤(G)は、ロッド、リバースロール、エアナイフ、フレキソ印刷、又は輪転グラビアなどのいくつかのコーティング方法によって金属層(M)に塗布することができる。
【0039】
ポリマーキャリアフィルム(F)から主基材(P)上に転写され、好ましくはアルミニウム製である金属層(M)は、好ましい実施形態において、
・少なくとも99,9%の純度、
・少なくとも100オングストロームの厚さ、
・(平均)2~3の光学密度
の特性を有する。
【0040】
本発明の好ましい実施形態では、金属層(M)の主な機能は、多くのドライフードの鮮度及びサクサク感を維持するために重要な水分バリアを提供することである。
【0041】
本発明の一実施形態では、転写された金属層(M)は、好ましくは真空蒸着された薄い不透明な酸化アルミニウムコーティングで作製される。
【0042】
さらに、金属層(M)は、アルミニウム若しくはシリコーン、又はSiO、Alのようなそれらの酸化物、又は物理蒸着若しくは化学蒸着技術のいずれかによって作製されたそれらの混合物の無機透明コーティングから作製することもできる。あるいは、マグネシウム、亜鉛、又は銅の金属酸化物も、前述のバリア特性を改善するために使用することができる。
【0043】
プレコート層(C1)は耐水性であり、好ましくは、例えばEVA(エチレンビニルアセテート)コポリマー及びターポリマー、EAA(エチレンアクリル酸)ポリマー、スチレンアクリレート及びPEI(ポリエチレンイミン)のファミリーから選択され、例えば、
・好ましくは水溶解性であるが、溶媒系キャリアを用いることもできるEVA(エチレンビニルアセテート)コポリマー及びターポリマー、
・エチレンと不飽和カルボン酸又はそれらのエステル化合物とのコポリマー;EAA(エチレンアクリル酸コポリマー)、EMAA(エチレンメタクリル酸コポリマー)、EMA(エチレンメチルアクリレートコポリマー)、EEA(エチレンエチルアクリレートコポリマー)、EMMA(エチルメチルメタクリレートコポリマー)(これらは、グリース、油、及び水分に対するバリアの改善にも役立つ)、
・水中のスチレンアクリレートの分散系、
・PEI(ポリエチレンイミン)である。
【0044】
本発明の一実施形態では、包装材料は、酸素に対するバリアとして作用する酸素バリア層(C2)をさらに含む。
【0045】
この実施形態において、酸素バリア層(C2)は、プレコート層(C1)上にコーティングされる。この実施形態では、プレコート層(C1)は、金属層(M)上への酸素バリア層(C2)の結合を強化する。
【0046】
酸素バリア層(C2)はまた、金属層(M)をスクラッチ及び微小孔から保護する。
【0047】
一実施形態では、酸素バリア層(C2)は、エチレン変性ビニルアルコール(PVOH)コポリマー、より具体的には、酸素、グリース、芳香、油、及び鉱油に対する優れたバリア特性を与える非イオン性水溶性ポリマーである水溶性EVOHである。リサイクル可能かつ再パルプ化可能でもあるため、PVOHは、紙ベースの廃棄物と共に容易に処理され得る持続可能な材料として選択されている。
【0048】
水に溶解可能な形態では、この実施形態の酸素バリア層(C2)はまた、紙ベースの金属化及び非金属化基材との強力な固定を提供し、それに加えて、適切な前処理された紙及び転写された金属コーティングの表面上に非常に良好で光沢があり均一な膜形成をもたらす。また、良好な印刷性特性を示す。
【0049】
コーティング試験中、PVOHコーティングされていない金属化紙は、周囲条件下、すなわち23C、50%RHで、10cc.m/日を超える酸素透過率を与えることが示されている(測定は金属側から行った)。
【0050】
一方、適切に選択された紙を金属化し、次いで酸素バリア層(C2)として10~15%(w/w)のPVOH水溶液でコーティングすると、この構造は、コーティング厚を約5.0micsに維持した場合、23C、65%RHで1.0cc.m/日未満の酸素バリアレベルを与えることが分かった。コーティング厚が高いほど、明らかに酸素透過率が低くなる。
【0051】
より具体的には、水に溶解した12%の変性PVOHは、12,5gr/mの湿潤コーティング重量(これにより、1.5gr/mは、約1,5micsの厚さの乾燥重量に等しくなる)で0.1cc.m/日(23℃、50%RHで)という低い酸素バリアレベルを与えることが証明されており、PVOHコーティングされた紙包装材料は、そのコーティングされてないバージョンよりも著しく改善された酸素バリアを有することが明らかである。
【0052】
本発明の別の実施形態では、酸素バリアレベルを改善するために使用される酸素バリア層(C2)は、金属層上にコーティング可能な糖類の水系溶液である。
【0053】
30%の固形分及び金属化紙上の約4~5gr/mの乾燥重量コーティングを有する糖類の水系エマルジョンでは、周囲条件下で0,4cc/m.dという低い酸素バリアレベルが達成された。
【0054】
別の実施形態では、包装材料は、酸素バリア層(C2)のみを有し、プレコート層(C1)を有さなくてもよい。この実施形態では、金属層(M)は、転写金属化プロセスによって主基材の少なくとも1つの面に固定され、プレコート層(C1)なしで直接コーティングされる。
【0055】
この実施形態の別のバージョンでは、酸素バリア層(C2)は、包装材料にガス、芳香、油、及びグリースバリアを与えるために、多糖類、より具体的には澱粉又はセルロース又はその両方で作製される。
【0056】
本発明の別の実施形態では、包装材料は、バリア層(C2)がその酸素バリアを劣化させる可能性がある周囲水分から影響を受けるのを防ぐために、主基材(P)上のバリア層(C2)の頂部上にコーティングされた保護層(C3)をさらに含むが、同時に最終包装用途に応じて、ヒートシール性特徴を示すこともできる。
【0057】
本発明の好ましい実施形態では、保護層(C3)は水溶性、好ましくは堆肥化可能な水溶性エマルジョン又は分散系であり、したがって耐水性である。
【0058】
本発明の一実施形態では、保護層(C3)は、低温シール接着可能であり、ラテックス系低温シール接着剤の受容層として作用する。本発明の一実施形態では、保護層(C3)は、水系、無溶媒又は溶媒系であり、非密封性又は密封性であり得る。
【0059】
保護層(C3)は、任意のタイプのアクリルポリマー、好ましくはEVA(エチレン酢酸塩)、EAA(エチレンアクリル酸)ポリマー、ビニルポリマー、ポリエステル、及びアイオノマーから選択することができる。
【0060】
本発明の異なる実施形態では、保護層(C3)は、
・好ましくは水溶解性であるが、溶媒系キャリアを用いることもできるEVA(エチレンビニルアセテート)コポリマー及びターポリマー、
・エチレンと不飽和カルボン酸又はそれらのエステル化合物とのコポリマー;EAA(エチレンアクリル酸コポリマー)、EMAA(エチレンメタクリル酸コポリマー)、EMA(エチレンメチルアクリレートコポリマー)、EEA(エチレンエチルアクリレートコポリマー)、EMMA(エチルメチルメタクリレートコポリマー)(これらは、グリース、油、及び水分に対するバリアの改善にも役立つ)、
・水中のスチレンアクリレート分散系
をベースとしている。
【0061】
本発明の別の実施形態では、包装材料は、主に審美性及び金属的外観のために、好ましくは転写金属化法によって形成された外側金属層(M1)も主基材(P)の他方の面に含む。
【0062】
この実施形態では、主基材(P)の内側に適用されたのと同じ転写金属化プロセスが、外側金属層(M1)側にも適用される。
【0063】
外側金属層(M1)は、ブランド所有者のアートワークに応じて、直接又はプライミング後に部分的又は完全に印刷することができる。
【0064】
金属層(M)及び(M1)のためのキャリアフィルム(F)は、配向又は非配向のいずれかの形態の、好ましくは骨格ポリマーがポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、又はポリアミドのファミリーからのものであり得るものからの任意のポリマーフィルムであり得る。
【0065】
これにより、石油由来のものから作製されたポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の合成系ポリマーで作製される包装材料に代えて、環境に優しい包装材料が得られる。さらに、有効な水分及び酸素バリアが達成され、食品保護と、プラスチック起源の包装に対する代替的な環境に優しい包装材料の両方を提供する。
【0066】
金属層(M)は、主基材の少なくとも1つの面に固定され、主にMVTR(水蒸気透過率)を改善し、MVTR及びOTR(酸素透過率)の両方について以下の値を与える。
MVTR:<2.0g/m.d(23℃、85%RH)
MVTR:<1.0g/m.d(23℃、50%RH)
MVTR:<10.0g/m.d(38℃、90%RH)
OTR:<50ccm/m.d(23℃、50%RH)
【0067】
金属化紙である包装材料の好ましい実施形態では、PVOH又は糖類のいずれかで作製された層(C2)でコーティングされた後、以下のバリア特性を示す:
MVTR:<1,6g/m.d(23℃、85%RH)
MVTR:<1.0g/m.d(23℃、50%RH)
OTR:<0.5ccm/m.d(23℃、50%RH)
【0068】
本発明の包装材料の製造方法は、
・キャリアフィルム(F)上にある金属層(M)で主基材(P)をコーティングするステップであって、コーティングが、接着剤(G)、好ましくはアクリル性によって達成される、コーティングするステップ(101)と、
・キャリアフィルム(F)を剥がし、金属層(M)を主基材(P)上に残すステップ(102)と、
を含む。
【0069】
本発明の一実施形態では、製造方法は、ステップ(102)の後にスリッティングステップ(103a)で包装材料を処理するさらなるステップを含む。
【0070】
本発明の別の実施形態では、製造方法は、ステップ(102)の後に包装材料のさらなる巻取りステップ(103b)を含む。
【0071】
本発明の一実施形態では、製造方法は、ステップ(103a又は103b)の後に、アートワーク印刷、ブランドロゴなど、又はラベリングのアプリケーションを含む包装材料を変換するさらなるステップを含む。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2025-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙又は厚紙を含む、繊維ベースの主基材(P)と、
・ポリマー起源のキャリアフィルム(F)から剥離することによって前記主基材(P)の内側に転写される金属層(M)と、
・接着を保証するための前記主基材(P)と前記金属層(M)との間の接着剤(G)と、
を含む包装材料。
【請求項2】
前記金属層(M)が、前記主基材(P)上に接着剤(G)によって固定されている、請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
前記主基材(P)が、少なくとも、
・最小40gr/mの坪量、
・最小40ミクロンの厚さ、
・最大5%の水分含有量
を有する白紙であり、
少なくとも1つの面がカレンダ加工及び/又は化学的前処理されている、請求項1又は2に記載の包装材料。
【請求項4】
1つの面がミルで粘土コーティングによって前処理されている、請求項3に記載の包装材料。
【請求項5】
前記主基材(P)が、フッ素化学物質及びPVDCを含まない、請求項1又は2に記載の包装材料。
【請求項6】
前記金属層(M)が、少なくとも100オングストロームの厚さを有するアルミニウムからなる、請求項1又は2に記載の包装材料。
【請求項7】
前記接着剤(G)が、ウレタン、ラテックス、ポリエステル、酢酸ビニル、ビニルアルコールの変性エチレンコポリマー、アクリル酸、又は糖類のファミリーから選択される、請求項2に記載の包装材料。
【請求項8】
前記金属層(M)が、
・少なくとも99,9%の純度、
・少なくとも100オングストロームの厚さ、
・(平均)2~3の光学密度
を有する、請求項1又は2に記載の包装材料。
【請求項9】
前記金属層(M)が、マグネシウム又は銅で作製される、請求項1又は2に記載の包装材料。
【請求項10】
前記金属層(M)が、物理的蒸気分解(PVD)法又は化学的蒸気分解(CVD)法のいずれかによる、アルミニウム、シリコーン、又はSiO、Al若しくはそれらの混合物のようなそれらの酸化物の無機透明コーティングで作製される、請求項1又は2に記載の包装材料。
【請求項11】
前記包装材料が、酸素、芳香、グリース、及び鉱油に対するバリアとして機能するバリア層(C2)と、前記金属層(M)上への前記バリア層(C2)の結合を強化するプレコート層(C1)とをさらに含む、請求項1又は2に記載の包装材料。
【請求項12】
前記プレコート層(C1)が耐水性であり、EVA(エチレンビニルアセテート)コポリマー及びターポリマー、EAA(エチレンアクリル酸)ポリマー、スチレンアクリレート、並びにPEI(ポリエチレンイミン)のファミリーから選択される、請求項11に記載の包装材料。
【請求項13】
前記バリア層(C2)が、非イオン性の水溶性ポリマーであるエチレンビニルアルコール(PVOH)コポリマーである、請求項11に記載の包装材料。
【請求項14】
前記バリア層(C2)が、多糖類、より具体的には、澱粉、又はセルロース、又はその両方による多糖類で作製されている、請求項11に記載の包装材料。
【請求項15】
前記バリア層(C2)が周囲の水分の影響を受けるのを防ぐために、前記主基材(P)上の前記バリア層(C2)の頂部上にコーティングされた保護層(C3)を含む、請求項11に記載の包装材料。
【請求項16】
前記保護層(C3)が堆肥化可能又は非堆肥化可能な、水溶性エマルジョン又は分散系である、請求項15に記載の包装材料。
【請求項17】
前記保護層(C3)が、EVA(エチレン酢酸塩)、EAA(エチレンアクリル酸)ポリマー、ビニルポリマー、ポリエステル、及びアイオノマーを含む、任意のタイプのアクリルポリマーから選択される、請求項15に記載の包装材料。
【請求項18】
前記保護層(C3)が、低温シール接着可能であり、ラテックス系低温シール接着剤の受容層として作用する、請求項15に記載の包装材料。
【請求項19】
前記主基材(P)の他方の面に、転写金属化法によって形成された外側金属層(M1)もある、請求項1又は2に記載の包装材料。
【請求項20】
請求項1又は2に記載の包装材料の製造方法であって、
・キャリアフィルム(F)上にある金属層(M)で前記主基材をコーティングするステップであって、前記コーティングが、アクリル性のものである接着剤(G)によって達成される、コーティングするステップ(101)と、
・前記キャリアフィルム(F)を剥がし、前記金属層を前記主基材(P)上に残すステップ(102)と、
を含む、製造方法。
【請求項21】
前記ステップ(102)の後に、スリッティングステップ(103a)で前記包装材料を処理するさらなるステップを含む、請求項20に記載の包装材料の製造方法。
【請求項22】
前記ステップ(102)の後に、前記包装材料のさらなる巻取りステップ(103b)を含む、請求項20に記載の包装材料の製造方法。
【請求項23】
前記ステップ(103a又は103b)の後に、アートワーク印刷、ブランドロゴなど、又はラベリングのアプリケーションを含む前記包装材料を変換するさらなるステップを含む、請求項20に記載の包装材料の製造方法。
【国際調査報告】