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特表2025-506221エレクトロクロミックメンブレン及び変色ガラス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-07
(54)【発明の名称】エレクトロクロミックメンブレン及び変色ガラス
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/153 20060101AFI20250228BHJP
   G02F 1/15 20190101ALI20250228BHJP
【FI】
G02F1/153
G02F1/15 502
G02F1/15
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548461
(86)(22)【出願日】2023-03-29
(85)【翻訳文提出日】2024-08-15
(86)【国際出願番号】 CN2023084715
(87)【国際公開番号】W WO2023241168
(87)【国際公開日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】202210685619.5
(32)【優先日】2022-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523298889
【氏名又は名称】光▲ゲイ▼智能科技(蘇州)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 巍舒
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA22
2K101EB04
2K101EB05
2K101EB51
2K101EE02
2K101EG41
2K101EJ02
2K101EK05
(57)【要約】
本願は、エレクトロクロミックメンブレン及び変色ガラスを提供し、エレクトロクロミック分野に属する。エレクトロクロミックメンブレンは、順に積層された第1の導電性基体、エレクトロクロミック層及び第2の導電性基体を含み、第1の導電性基体のエッジに第1の収容溝が設けられ、第2の導電性基体のエッジに第2の収容溝が設けられ、エレクトロクロミック層のエッジに少なくとも2つの第3の収容溝が設けられ、第1の収容溝と第3の収容溝とが連通して第1の凹溝を形成し、第2の収容溝と第3の収容溝とが連通して第2の凹溝を形成し、第1の凹溝の幅及び第2の凹溝の幅はいずれもaであり、任意の隣接する第1の凹溝と第2の凹溝とのエレクトロクロミック層が位置する平面における正投影の間の間隔はbであり、b≦aである。第1の凹溝及び第2の凹溝によってエレクトロクロミックメンブレンのエッジに折り曲げの空間残量を提供することにより、エレクトロクロミックメンブレンのエッジにしわが発生することを大幅に低減又は回避し、エレクトロクロミックメンブレンの美観性を向上させ、ユーザの視覚体験を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロクロミックメンブレンであって、
順に積層された第1の導電性基体、エレクトロクロミック層及び第2の導電性基体を含み、
前記第1の導電性基体のエッジに第1の収容溝が設けられ、前記第2の導電性基体のエッジに第2の収容溝が設けられ、前記エレクトロクロミック層のエッジに少なくとも2つの第3の収容溝が設けられ、
前記第1の収容溝の前記エレクトロクロミック層が位置する平面における正投影が少なくとも1つの前記第3の収容溝と重なり、且つ前記第1の収容溝と前記第3の収容溝とが連通して第1の凹溝を形成し、
前記第2の収容溝の前記エレクトロクロミック層が位置する平面における正投影が少なくとも1つの前記第3の収容溝と重なり、且つ前記第2の収容溝と前記第3の収容溝とが連通して第2の凹溝を形成し、
前記第1の凹溝と前記第2の凹溝は、前記エレクトロクロミックメンブレンのエッジに交互に設けられ、
前記第1の凹溝の幅と前記第2の凹溝の幅はいずれもaであり、任意の隣接する前記第1の凹溝と前記第2の凹溝の前記エレクトロクロミック層が位置する平面における正投影の間の間隔はbであり、b≦aである、
ことを特徴とするエレクトロクロミックメンブレン。
【請求項2】
前記bの範囲は、b≦30mmであることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミックメンブレン。
【請求項3】
前記bの範囲は、b≧1mmであることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミックメンブレン。
【請求項4】
前記bの範囲は、2mm≦b≦15mmであることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミックメンブレン。
【請求項5】
前記aと前記bとの比がa/bであり、5≦a/bであることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミックメンブレン。
【請求項6】
前記aと前記bとの比はa/bであり、5≦a/b≦50であり、
好ましくは、前記aと前記bとの和は、90mm≦a+b≦750mmの関係式を満たす、
ことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミックメンブレン。
【請求項7】
前記第1の導電性基体の厚さ及び前記第2の導電性基体の厚さは、いずれも120μm以上であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミックメンブレン。
【請求項8】
前記エレクトロクロミックメンブレンの第1の方向に沿う矢高がHであり、前記エレクトロクロミックメンブレンの第2の方向に沿う矢高がHであり、
前記Hと前記Hとの積がH×H≦2500mmの関係式を満たし、且つ前記第1の方向が前記第2の方向に垂直である、
ことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミックメンブレン。
【請求項9】
前記第1の凹溝の深さと前記第2の凹溝の深さはいずれもhであり、0<h≦100mmであることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミックメンブレン。
【請求項10】
ガラス層と、請求項1~9のいずれか一項に記載のエレクトロクロミックメンブレンとを含み、
前記エレクトロクロミックメンブレンは、少なくとも2層の前記ガラス層の間に積層される、
ことを特徴とする変色ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2022年06月16日に中国特許庁で提出された、出願番号が202210685619.5であり、発明名称が「エレクトロクロミックメンブレン及び変色ガラス」である中国特許出願の優先権を要求し、その全ての内容は引用により本願に組み合わせられる。
【0002】
本願はエレクトロクロミック分野に関し、特にエレクトロクロミックメンブレン及び変色ガラスに関する。
【背景技術】
【0003】
エレクトロクロミックとは、材料の光学特性(反射率、透過率、吸収率など)が、印加電界によって安定、可逆的な色変化を起こす現象であり、外観上、色と透明度の可逆的な変化として現れる。
【0004】
エレクトロクロミックは、ディスプレイ、大型ポスターや情報板等の掲示用装置、スマートウィンドウ、建築用窓ガラス、自動車ミラー、フレキシブルディスプレイ、自動車用サンルーフ、スポーツグラス等の光透過率又は反射率の調節に広く用いられており、最近では可視光領域での変色に加えて赤外線遮蔽効果を有することが見出されたことに伴い、エネルギー節約型製品としての応用が注目されている。
【0005】
従来のエレクトロクロミックメンブレンは、曲面などのシーンの使用ニーズに合わせるように湾曲することができる。しかし、いくつかの応用シーンにおいて、例えば車両のルーフガラスにおいて、エレクトロクロミックメンブレンの片面が湾曲する必要があるだけでなく、両面又は多面が湾曲する必要もあり、これによりエレクトロクロミックメンブレンにしわが発生しやすく、特にエレクトロクロミックメンブレンのエッジにしわが多く発生しやすく、外観においてユーザに受け入れられにくいだけでなく、ユーザの視覚上の体験が悪くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに鑑みて、本願の目的は、従来技術における欠点を克服するために、エレクトロクロミックメンブレン及び変色ガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の1つの態様は、順に積層された第1の導電性基体、エレクトロクロミック層及び第2の導電性基体を含み、前記第1の導電性基体のエッジに第1の収容溝が設けられ、前記第2の導電性基体のエッジに第2の収容溝が設けられ、前記エレクトロクロミック層のエッジに少なくとも2つの第3の収容溝が設けられ、前記第1の収容溝の前記エレクトロクロミック層が位置する平面における正投影が少なくとも1つの前記第3の収容溝と重なり、且つ前記第1の収容溝と前記第3の収容溝とが連通して第1の凹溝を形成し、前記第2の収容溝の前記エレクトロクロミック層が位置する平面における正投影が少なくとも1つの前記第3の収容溝と重なり、且つ前記第2の収容溝と前記第3の収容溝とが連通して第2の凹溝を形成し、前記第1の凹溝と前記第2の凹溝とが前記エレクトロクロミックメンブレンのエッジに交互に設けられ、前記第1の凹溝の幅及び前記第2の凹溝の幅がいずれもaであり、任意の隣接する前記第1の凹溝と前記第2の凹溝との前記エレクトロクロミック層が位置する平面における正投影の間の間隔がbであり、ここで、b≦aであるエレクトロクロミックメンブレンを提供する。
【0008】
本願の1つの態様において、凹溝の幅をaとし、凹溝間の間隔をbとし、凹溝の幅aを増加させるか又は凹溝の間隔の幅bを減少させることにより、凹溝の幅を間隔の幅よりも大きくし、即ち、a≧bとすることにより、エレクトロクロミックメンブレンの折り曲げ過程において、幅が大きい凹溝によって折り曲げに必要な十分な空間残量を提供することができ、又は、小さい凹溝の間隔によって凹溝の間隔領域のしわの発生量を減少させることにより、エレクトロクロミックメンブレンにおけるしわの発生、特にエレクトロクロミックメンブレンのエッジにおけるしわの発生を減少又は回避し、エレクトロクロミックメンブレンの美観を向上させる。
【0009】
好ましくは、前記bの範囲は、b≦30mmであり、好ましくは、前記bの範囲は、b≧1mmであり、さらに、前記bの範囲は、2mm≦b≦15mmである。通常、凹溝の間隔領域は、エレクトロクロミックメンブレンの導電性基体、エレクトロクロミック層などの切断されていない領域であり、これらの領域にしわが発生する確率がより大きく、且つしわの程度がより深刻であり、凹溝の間隔bの値が大きすぎると、エレクトロクロミックメンブレンのしわがより顕著に又は深刻になり、凹溝の領域は、対応して導電性基体の導電性表面を露出し、例えば、第1の凹溝は第2の導電性基体の導電性表面を露出することができ、第2の凹溝は第1の導電性基体の導電性表面を露出することができるため、凹溝間の間隔bの値が小さすぎると、両側の導電性表面の電気的接続を引き起こしやすく、短絡を形成する。これにより、凹溝の間隔bの範囲を限定することにより、しわを効果的に減少又は回避することができ、エレクトロクロミックメンブレンが短絡することをさらに回避し、メンブレンの美観性又は使用安全性及び信頼性を向上させることができる。
【0010】
好ましくは、前記aと前記bとの比はa/bであり、ここで、5≦a/bであり、好ましくは、前記aと前記bとの比はa/bであり、ここで、5≦a/b≦50であり、さらに、前記aと前記bとの和は、90mm≦a+b≦750mmの関係式を満たす。この場合、凹溝の幅aをさらに大きくし、又は凹溝の間隔bをさらに小さくすることにより、しわ緩和の効果をさらに向上させ、又はしわの発生量をさらに減少させ、エレクトロクロミックメンブレンにおけるしわの発生をさらに低減又は回避し、異なる応用シーンにおけるエレクトロクロミックメンブレンのしわの程度に対する要求を満たし、エレクトロクロミックメンブレンの美観をさらに向上させることができる。
【0011】
好ましくは、前記第1の導電性基体の厚さ及び前記第2の導電性基体の厚さはいずれも120μm以上であり、さらに、前記第1の導電性基体の厚さ及び前記第2の導電性基体の厚さはいずれも150μm以上である。これにより、導電性基体の厚さ値が特定の大きさを満たすことにより、エレクトロクロミックメンブレンに対するしわ緩和効果をさらに向上させ、エレクトロクロミックメンブレンの美観をさらに向上させることができる。
【0012】
好ましくは、前記エレクトロクロミックメンブレンの第1の方向に沿う矢高はHであり、前記エレクトロクロミックメンブレンの第2の方向に沿う矢高はHであり、前記Hと前記Hとの積はH×H≦2500mmの関係式を満たし、好ましくは、前記第1の方向は前記第2の方向に垂直である。いくつかの応用シーンにおいて、エレクトロクロミックメンブレンに複数の方向の湾曲が発生する可能性があり、例えば、2つの方向の湾曲によりエレクトロクロミックメンブレンが双曲面構造を形成し、例えば、第1の方向に沿って湾曲して矢高Hを形成し、第2の方向に沿って湾曲して矢高Hを形成し、2つの方向の矢高の積が特定の範囲内にあることを限定することにより、特に、2つの方向が互いに垂直であることをさらに限定する場合に、しわ緩和の効果をさらに向上させ、エレクトロクロミックメンブレンの美観をさらに向上させることができる。
【0013】
好ましくは、前記第1の凹溝の深さと前記第二凹溝の深さはいずれもhであり、0<h≦100mmであり、好ましくは、前記hの範囲は20mm≦h≦80mmである。通常、凹溝の深さが小さすぎて、その露出した導電性基体の導電表面が少なく、導電性基体における導電性引出に不利であり、凹溝の深さが大きすぎて、切断除去されたエレクトロクロミック層が広いほど、エレクトロクロミックメンブレンの変色領域が狭くなり、従って、凹溝の深さを一定の範囲内に限定することにより、導電性引出に便利な十分な導電表面を確保できるだけでなく、エレクトロクロミックメンブレンが十分に広い変色領域を有することを確保でき、フィルムの実用面積を向上させる。
【0014】
本発明の別の態様は、ガラス層と上記のエレクトロクロミックメンブレンとを含み、前記エレクトロクロミックメンブレンが少なくとも2層の前記ガラス層の間に積層される変色ガラスをさらに提供する。これにより、エレクトロクロミックメンブレンをガラス層の間に積層することにより、ガラス層がエレクトロクロミックメンブレンに対して良好な挟持作用を果たすことができ、エレクトロクロミックメンブレンのしわの発生をさらに防止又は低減することができ、それにより、変色ガラス全体の美観を向上させる。
【発明の効果】
【0015】
本願の技術案は、第1の凹溝及び第2の凹溝の幅及び隣接する第1の凹溝と第2の凹溝との間の間隔を調整することにより、第1の凹溝及び第2の凹溝によりエレクトロクロミックメンブレンのエッジに折り曲げの空間残量を提供し、エレクトロクロミックメンブレンのエッジにしわが発生することを大幅に低減又は回避し、エレクトロクロミックメンブレンの美観性を向上させ、ユーザの視覚体験を向上させるという利点を有する。
【0016】
本願の上記目的、特徴及び利点をより明らかにして分かりやすくするために、以下、好ましい実施例を挙げて、添付の図面に合わせて詳細に説明する。
【0017】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下では、実施例において使用される必要がある図面を簡単に説明し、理解されるべきであるように、以下の図面は、本願のいくつかの実施例のみを示し、したがって、範囲を限定するものとみなされるべきではなく、当業者にとって、創造的な労力なしに、これらの図面に従って他の関連する図面を取得することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本願のいくつかの実施例に係るエレクトロクロミックメンブレンのある視野角での構造模式図である。
図2】本願のいくつかの実施例に係るエレクトロクロミックメンブレンの別の視角での構造模式図である。
図3】本願のいくつかの実施例に係るエレクトロクロミックメンブレンにおけるエレクトロクロミック層のある視野角での構造模式図である。
図4】本願のいくつかの実施例に係るエレクトロクロミックメンブレンにおける第1の導電性基体のある視野角での構造模式図である。
図5】本願のいくつかの実施例に係るエレクトロクロミックメンブレンにおける第2の導電性基体のある視野角での構造模式図である。
図6】本願のいくつかの実施例に係るエレクトロクロミックメンブレンの他の構造のある視野角での構造模式図である。
図7図6のA―A部の断面図である。
図8図7のB部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本願の実施例を詳細に説明するが、前記実施例の例は図面に示されており、終始同じ又は類似の符号は同じ又は類似の素子又は同じ又は類似の機能を有する素子を示す。以下、図面を参照して説明する実施例は例示的なものであり、本願を説明するためのものに過ぎず、本願を限定するものとして理解することはできない。
【0020】
なお、素子が他の素子に「固定されている」と呼ばれる場合、他の素子に直接固定されてもよく、又は介在素子が存在してもよい。一方の素子が他方の素子に「接続」されていると見なされる場合、他方の素子に直接接続されてもよく、又は介在素子が同時に存在してもよい。逆に、素子が他の素子に「直接」固定又は接続されていると呼ばれる場合、中間素子は存在しない。本明細書で使用される用語「垂直」、「水平」、「左」、「右」及び類似の表現は、説明のためのものに過ぎない。
【0021】
本願において、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連接」、「接続」、「固定」などの用語は広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体になってもよく、機械的接続であってもよく、電気的接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0022】
また、用語「第1」、「第2」は、説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を示したり暗示したり、示された技術的特徴の数を暗黙的に示したりするものとして理解されるべきではない。これにより、「第1」、「第2」に限定された特徴は、1つ又は複数の該特徴を明示的又は暗示的に含むことができる。本願の説明において、「複数」は、別途明確に限定されない限り、2つ又は2つ以上を意味する。
【0023】
別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術および科学用語は、当業者によって通常理解される意味と同じである。本明細書でテンプレートの明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本願を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、1つ又は複数の関連する項目の任意の組み合わせ及び全ての組み合わせを含む。
【0024】
図1図5に示すように、本願のいくつかの実施例はエレクトロクロミックメンブレンを提供し、主にエレクトロクロミック分野に適用され、例えば建築窓、自動車の窓及び飛行機の窓などに適用される。エレクトロクロミックメンブレン100は、順に積層された第1の導電性基体110、エレクトロクロミック層120及び第2の導電性基体130を含む。
【0025】
ここで、第1の導電性基体110及び第2の導電性基体130は、いずれも前記エレクトロクロミック層120を完全に覆う。
【0026】
また、前記第1の導電性基体110は、積層された第1の基体層112及び第1の導電層113を含み、前記第1の導電層113は、前記第1の基体層112と前記エレクトロクロミック層120との間に積層される。ここで、第1の導電層113は、エレクトロクロミック層120を完全に覆う。
【0027】
同時に、前記第2の導電性基体130は、積層された第2の基体層132及び第2の導電層133を含み、前記第2の導電層133は、前記第2の基体層132と前記エレクトロクロミック層120との間に積層される。ここで、第2の導電層133は、エレクトロクロミック層120を完全に覆う。
【0028】
なお、第1の導電層113及び第2の導電層133は、それぞれ外部電源に接続するために用いられる。第1の導電層113と第2の導電層133とをそれぞれ外部電源に接続することにより、第1の導電層113と第2の導電層133との間に印加電界を形成し、エレクトロクロミック層120が印加電界によって安定、可逆的な色変化を起こす。
【0029】
具体的には、前記第1の導電性基体110のエッジに第1の収容溝111が設けられ、前記第2の導電性基体130のエッジに第2の収容溝131が設けられ、前記エレクトロクロミック層120のエッジに少なくとも2つの第3の収容溝121が設けられる。
【0030】
なお、第1の収容溝111及び第2の収容溝131は、いずれも1つ、2つ又は2つ以上の任意の数値の数であってもよく、実際の状況に応じて具体的に設定することができ、且つ第3の収容溝121の数は、2つ又は2つ以上の任意の数値の数であってもよい。
【0031】
ここで、第1の収容溝111は、第1の導電性基体110の任意の側に設けられてもよい。好ましくは、第1の収容溝111は、第1の導電性基体110の少なくとも両側に設けられ、即ち、第1の収容溝111は、第1の導電性基体110の任意の両側に設けられてもよい。好ましくは、第1の収容溝111は、第1の導電性基体110のエッジの各側に設けられる。また、第2の収容溝131は、第2の導電性基体130の任意の側に設けられてもよい。好ましくは、第2の収容溝131は、第2の導電性基体130の少なくとも両側に設けられ、即ち、第2の収容溝131は、第2の導電性基体130の任意の両側に設けられてもよい。好ましくは、第2の収容溝131は、第2の導電性基体130のエッジの各側に設けられる。
【0032】
図3図5に示すように、本実施例において、前記第1の収容溝111の数と第2の収容溝131の数との和は、第3の収容溝121の数と等しい。
【0033】
なお、前記エレクトロクロミック層120が位置する平面における前記第1の収容溝111の正投影は、少なくとも1つの前記第3の収容溝121と重なり、且つ前記第1の収容溝111と前記第3の収容溝121とが連通して第1の凹溝を形成する。本実施例では、1つの第1の収容溝111と1つの第3の収容溝121とが連通して1つの第1の凹溝140を形成する。
【0034】
同時に、前記エレクトロクロミック層120が位置する平面における前記第2の収容溝131の正投影が少なくとも1つの前記第3の収容溝121と重なり、且つ前記第2の収容溝131と前記第3の収容溝121とが連通して第2の凹溝150を形成する。本実施例では、1つの第2の収容溝131と1つの第3の収容溝121とが連通して1つの第2の凹溝150を形成する。
【0035】
具体的には、前記第1の凹溝140と前記第2の凹溝150は、前記エレクトロクロミックメンブレン100のエッジに交互に設置される。
【0036】
好ましくは、図1及び図2に示すように、本願のいくつかの実施例において、第1の凹溝140及び第2の凹溝150はそれぞれ複数であり、エレクトロクロミックメンブレン100のエッジの各側に少なくとも1つの第1の凹溝140及び少なくとも1つの第2の凹溝150が設けられる。具体的には、エレクトロクロミック層120が位置する平面における第1の凹溝140と第2の凹溝150の正投影は互いに離間し、即ち、第1の凹溝140と第2の凹溝150はエレクトロクロミックメンブレン100のエッジにおいて互いに交差する凹溝構造を形成する。
【0037】
ここで、前記第1の凹溝140の幅と前記第2の凹溝150の幅はいずれもaである。
【0038】
なお、第1の凹溝140の幅とは、エレクトロクロミックメンブレン100の厚さに垂直な方向において、エレクトロクロミックメンブレン100のエッジの一側に平行であり、当該側に位置する第1の凹溝140の長さである。
【0039】
第2の凹溝150の幅とは、エレクトロクロミックメンブレン100の厚さに垂直な方向において、エレクトロクロミックメンブレン100のエッジの一側に平行であり、当該側に位置する第2の凹溝150の長さである。
【0040】
任意の隣接する前記第1の凹溝140と前記第2の凹溝150との、前記エレクトロクロミック層120が位置する平面における正投影の間の間隔はbであり、b≦aである。
【0041】
凹溝の幅をaとし、凹溝間の間隔をbとし、凹溝の幅aを増加させるか、又は凹溝の間隔の幅bを減少させることにより、凹溝の幅を間隔の幅よりも大きくする、即ちa≧bとすることにより、エレクトロクロミックメンブレンの折り曲げ過程において、幅が大きい凹溝により折り曲げに必要な十分な空間残量を提供し、又は小さい凹溝の間隔により凹溝の間隔の領域におけるしわの発生量を減少させ、エレクトロクロミックメンブレンにおけるしわの発生、特にエレクトロクロミックメンブレンのエッジにおけるしわの発生を減少又は回避することができ、エレクトロクロミックメンブレンの美観を向上させることが理解できる。
【0042】
本願のいくつかの実施例において、前記bの範囲は、b≦30mmである。
【0043】
なお、隣接する第1の凹溝140と第2の凹溝150との間の間隔はb>0である。
【0044】
ここで、bの範囲は、0<b≦30mm、0<b≦25mm、0<b≦20mm、0<b≦15mm、0<b≦10mm、0<b≦5mm、5≦b≦30mm、5≦b≦25mm、5≦b≦20mm、5≦b≦15mm、5≦b≦10mm、10≦b≦30mm、10≦b≦25mm、10≦b≦20mm、10≦b≦15mm、15≦b≦30mm、15≦b≦25mm、15≦b≦20mm、20≦b≦30mm、20≦b≦25mm又は25≦b≦30mmのいずれかであってもよい。
【0045】
本願のいくつかの実施例において、前記bの範囲は、b≧1mmである。隣接する第1の凹溝140と第2の凹溝150との間の間隔bは、1より大きい任意の値であり得ることが理解できる。
【0046】
好ましくは、本願のいくつかの実施例において、前記bの範囲は、2mm≦b≦15mmである。
【0047】
ここで、bの範囲は、2mm≦b≦15mm、3mm≦b≦15mm、4mm≦b≦15mm、5mm≦b≦15mm、6mm≦b≦15mm、7mm≦b≦15mm、8mm≦b≦15mm、9mm≦b≦15mm、10mm≦b≦15mm、11mm≦b≦15mm、12mm≦b≦15mm、13mm≦b≦15mm、14mm≦b≦15mm、2mm≦b≦14mm、2mm≦b≦13mm、2mm≦b≦12mm、2mm≦b≦11mm、2mm≦b≦10mm、2mm≦b≦9mm、2mm≦b≦8mm、2mm≦b≦7mm、2mm≦b≦6mm、2mm≦b≦5mm、2mm≦b≦4mm、2mm≦b≦3mm、3mm≦b≦14mm、5mm≦b≦13mm、6mm≦b≦12mm、7mm≦b≦11mm又は8mm≦b≦10mmのいずれかであってもよい。
【0048】
好ましくは、本願のいくつかの実施例において、前記aと前記bとの比はa/bであり、5≦a/bである。なお、前記aと前記bとの比a/bは、5以上の任意の数値であってもよく、実際の状況に応じて具体的に設定されてもよい。
【0049】
具体的には、第1の凹溝140及び第2の凹溝150の幅aと、隣接する第1の凹溝140と第2の凹溝150との間の間隔bとの比を増加させることにより、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さを改善する。
【0050】
好ましくは、本願のいくつかの実施例において、前記aと前記bとの比はa/bであり、5≦a/b≦50である。
【0051】
なお、前記aと前記bとの比a/bの範囲は、5≦a/b≦50、5≦a/b≦45、5≦a/b≦40、5≦a/b≦35、5≦a/b≦30、5≦a/b≦25、5≦a/b≦20、5≦a/b≦15、5≦a/b≦10、10≦a/b≦50、10≦a/b≦45、10≦a/b≦40、10≦a/b≦35、10≦a/b≦30、10≦a/b≦25、10≦a/b≦20、10≦a/b≦15、15≦a/b≦50、15≦a/b≦45、15≦a/b≦40、15≦a/b≦35、15≦a/b≦30、15≦a/b≦25、15≦a/b≦20、20≦a/b≦50、20≦a/b≦45、20≦a/b≦40、20≦a/b≦35、20≦a/b≦30、20≦a/b≦25、25≦a/b≦50、25≦a/b≦45、25≦a/b≦40、25≦a/b≦35、25≦a/b≦30、30≦a/b≦50、30≦a/b≦45、30≦a/b≦40、30≦a/b≦35、35≦a/b≦50、35≦a/b≦45、35≦a/b≦40、40≦a/b≦50、40≦a/b≦45又は45≦a/b≦50のいずれかでもよい。
【0052】
好ましくは、前記aと前記bとの和は、90mm≦a+b≦750mmの関係式を満たす。ここで、a+bの範囲は、90mm≦a+b≦750mm、100mm≦a+b≦750mm、150mm≦a+b≦750mm、150mm≦a+b≦700mm、150mm≦a+b≦650mm、150mm≦a+b≦600mm、150mm≦a+b≦550mm、150mm≦a+b≦500mm、150mm≦a+b≦450mm、150mm≦a+b≦400mm、150mm≦a+b≦350mm、150mm≦a+b≦300mm、150mm≦a+b≦250mm、150mm≦a+b≦200mm、200mm≦a+b≦750mm、200mm≦a+b≦700mm、200mm≦a+b≦650mm、200mm≦a+b≦600mm、200mm≦a+b≦550mm、200mm≦a+b≦500mm、200mm≦a+b≦450mm、200mm≦a+b≦400mm、200mm≦a+b≦350mm、200mm≦a+b≦300mm、200mm≦a+b≦250mm、250mm≦a+b≦750mm、300mm≦a+b≦750mm、350mm≦a+b≦750mm、400mm≦a+b≦750mm、450mm≦a+b≦750mm、500mm≦a+b≦750mm、550mm≦a+b≦750mm、600mm≦a+b≦750mm、650mm≦a+b≦750mm又は700mm≦a+b≦750mmのいずれかでもよい。
【0053】
なお、本実施例において、a/bの範囲は、上記範囲のいずれか1つであってもよく、a+bの範囲は、上記範囲のいずれか1つであってもよい。
【0054】
【表1】
【0055】
なお、表1において、第1の導電性基体の厚さ及び第2の導電性基体の厚さはいずれも188μmである。
【0056】
表1の比較例は、b>aかつb>30の場合のエレクトロクロミックメンブレン100のエッジのしわの変化を示す。
【0057】
具体的には、表1の比較例において、a=50mmの場合、bの値が80から60に減少する過程において、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さの値も徐々に減少する。第1の凹溝140及び第2の凹溝150の幅が変化しない場合、隣接する第1の凹溝140と第2の凹溝150との間の間隔が徐々に小さくなるにつれて、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さが徐々に小さくなることが理解できる。
【0058】
なお、表1の比較例において、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さはbの減少に伴って減少するが、しわ深さは48mm以上であり、依然として大きい値にある、即ち、比較例において、隣接する第1の凹溝140と第2の凹溝150との間の間隔bを調整することによる、エレクトロクロミックメンブレン100のエッジのしわ深さに対する改善効果は大きくない。
【0059】
また、表1の実施例において、b≦a、かつ、1≦b≦30の場合に、エレクトロクロミックメンブレン100のエッジのしわが変化する様子を示している。
【0060】
具体的には、表1の実施例において、a=88の場合、bの値が30から5に減少する過程において、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さの値は40mmから19mmに徐々に減少する。なお、表1の実施例において、bの変化に伴い、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さの値はいずれも比較例におけるエレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さより小さく、即ち、表1の実施例において、a=88の場合、bの値を小さくすることにより、エレクトロクロミックメンブレンのしわ深さを顕著に改善することができる。
【0061】
また、表1の実施例において、bを8から5に減少させると、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さの変化は21mmから19mmに減少した。この時、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さの変化が小さい、即ち、bが8以下である場合、b値の減少に伴う、エレクトロクロミックメンブレンのしわ深さに対する改善効果は明らかではないことが理解できる。
【0062】
したがって、表1から分かるように、本実施例において、a=88であり、5≦b≦8であるとき、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さに対する改善効果が最も高い。即ち、第1の導電性基体110の厚さ及び第2の導電性基体130の厚さがいずれも188μmであり、且つa=88であり、5≦b≦8であるとき、エレクトロクロミックメンブレンのしわ深さに対する改善が最も良好である。
【0063】
好ましくは、本願のいくつかの実施例において、第1の導電性基体110の厚さ及び第2の導電性基体130の厚さはいずれも188μmであり、b=8mm且つa=88mmであり、この時、エレクトロクロミックメンブレンのしわに対する改善は最も良好である。
【0064】
【表2】
なお、表2において、第1の凹溝140の幅と第2の凹溝150の幅はいずれも88mmであり、即ちa=88mmであり、隣接する第1の凹溝140と第2の凹溝150の間隔は8mmであり、即ちb=8mmである。
【0065】
表2における比較例は、第1の導電性基体110の厚さ及び第2の導電性基体130の厚さがいずれも徐々に増加する場合のエレクトロクロミックメンブレン100のエッジのしわ深さの変化状況を示す。
【0066】
具体的には、第1の導電性基体110の厚さ及び第2の導電性基体130の厚さがいずれも60μmから100μmに徐々に増加する場合、エレクトロクロミックメンブレン100のエッジのしわ深さは130mmから120mmに減少する。厚さの変化量がしわ深さの変化量よりも大きく、この場合、第1の導電性基体110の厚さ及び第2の導電性基体130の厚さの変化によるエレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さの改善が小さいことが理解できる。
【0067】
表2の実施例に示すように、第1の導電性基体110の厚さ及び第2の導電性基体130の厚さが125μmから188μmに徐々に増加する場合、エレクトロクロミックメンブレン100のエッジのしわ深さは110mmから21mmに減少する。エレクトロクロミックメンブレン100の厚さの変化量は63μmであり、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さの変化量は約89mmであり、エレクトロクロミックメンブレン100の厚さの変化量としわ深さの変化量との比は約0.7であり、且つ1より小さい、即ち、エレクトロクロミックメンブレンの厚さを増加させることにより、そのしわを顕著に改善することができる。
【0068】
同時に、表2の実施例におけるエレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さは、いずれも表2の比較例のエレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さよりも小さい。第1の導電性基体110及び第2の導電性基体130の厚さが徐々に増加するにつれて、エレクトロクロミックメンブレンのしわ深さが小さくなり、非常に顕著な改善を有することが理解できる。
【0069】
また、表2の実施例に示すように、第1の導電性基体110の厚さ及び第2の導電性基体130の厚さを188μmから400μmまで徐々に増加させた場合、エレクトロクロミックメンブレンのしわ深さは21mmから15mm未満に減少した。なお、エレクトロクロミックメンブレン100の厚さ変化量は212μmであり、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さ変化量は約6mmであり、エレクトロクロミックメンブレン100の厚さ変化量としわ深さ変化量との比は約35であり、1より遥かに大きい。このとき、エレクトロクロミックメンブレン100の厚さ変化によるしわの改善効果は非常に小さい。
【0070】
第1の導電性基体110の厚さ及び第2の導電性基体130の厚さがそれぞれ188μmに達する場合、その厚さを増加させ続けることによるエレクトロクロミックメンブレンのしわ深さに対する顕著な改善がないことが理解できる。
【0071】
従って、表2から分かるように、a=88mm、b=8mmであり、且つ第1の導電性基体110の厚さ及び第2の導電性基体130の厚さがそれぞれ188μmである場合、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さに対する改善効果が最も高い。
【0072】
好ましくは、本願のいくつかの実施例において、前記第1の導電性基体110の厚さ及び前記第2の導電性基体130の厚さはいずれも120μm以上である。理解できるように、第1の導電性基体110の厚さ及び第2の導電性基体130の厚さは、いずれも120μm以上の任意の数値であってもよく、実際の状況に応じて具体的に設定されてもよい。
【0073】
具体的には、上記の表2から分かるように、第1の導電性基体110の厚さ及び第2の導電性基体130の厚さがいずれも120μm~150μmである場合、厚さの増加に伴って、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さは徐々に減少するが、そのしわ深さはいずれも60mm以上であり、依然としてしわの値は大きい。この厚さ区間において、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さが改善されたことが理解できる。
【0074】
より好ましくは、本願のいくつかの実施例において、第1の導電性基体110の厚さおよび第2の導電性基体130の厚さは、いずれも150μm以上である。第1の導電性基体110の厚さ及び第2の導電性基体130の厚さは、いずれも150μm以上の任意の数値であってもよく、実際の状況に応じて具体的に設定されてもよい。
【0075】
上記の表2から分かるように、第1の導電性基体110の厚さ及び第2の導電性基体130の厚さがいずれも150μm~188μmである場合、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さは60から19に減少し、厚さの変化量が38であることに伴い、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さの変化量は41であり、厚さの変化量としわ深さの変化量との比は約0.926であり、1より小さい。第1の導電性基体110及び第2の導電性基体130がこの厚さ区間にある場合、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さは徐々に減少し、19mmまで徐々に減少し、この場合、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さは小さい値まで減少することが理解できる。この厚さ区間において、エレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さがさらに改善されたことが理解できる。
【0076】
本願のいくつかの実施例において、前記エレクトロクロミックメンブレン100の第1の方向に沿う矢高はHであり、前記エレクトロクロミックメンブレン100の第2の方向に沿う矢高はHである。ここで、前記Hと前記Hとの積がH×H≦2500mmという関係式を満たす。
【0077】
具体的には、矢高Hは、長さが1メートルのエレクトロクロミックメンブレン100の第1の方向に沿う湾曲高さを指し、矢高Hは、長さが1メートルのエレクトロクロミックメンブレン100の第2の方向に沿う湾曲高さを指す。
【0078】
ここで、前記第1の方向は、前記第2の方向に垂直である。また、第1の方向及び第2の方向は、それぞれエレクトロクロミックメンブレン100の厚さ方向に垂直である。
【0079】
なお、H×H≦2500mmは、エレクトロクロミックメンブレン100における各平方メートルにおいて、エレクトロクロミックメンブレンの第1の方向に沿った矢高Hとエレクトロクロミックメンブレンの第2の方向に沿った矢高Hとの積の範囲を指し、H×H≦2500mmである。
【0080】
具体的に、H×Hの範囲は、H×H≦2500mm、H×H≦2400mm、H×H≦2300mm、H×H≦2200mm、H×H≦2100mm、H×H≦2000mm、H×H≦1900mm、H×H≦1800mm、H×H≦1700mm、H×H≦1600mm、H×H≦1500mm、H×H≦1400mm、H×H≦1300mm、H×H≦1200mm、H×H≦1100mm、H×H≦1000mm、H×H≦900mm、H×H≦800mm、H×H≦700mm、H×H≦600mm、H×H≦500mm、H×H≦400mm、H×H≦300mm、H×H≦200mm又はH×H≦100mmのうちの任意の範囲であってもよい。
【0081】
エレクトロクロミックメンブレン100の第1の方向及び第2の方向における矢高を小さくすることにより、エレクトロクロミックメンブレン100のエッジに発生するしわを緩和し、又はエレクトロクロミックメンブレン100のエッジに発生するしわを除去し、エレクトロクロミックメンブレン100の美観を向上させる。
【0082】
また、本願のいくつかの実施例において、前記第1の凹溝の深さと前記第2の凹溝の深さはいずれもhであり、0<h≦100mmである。
【0083】
なお、第1の凹溝140の深さは、第1の導電性基体110の厚さとエレクトロクロミック層120の厚さとの和に等しく、第2の凹溝150の深さは、第2の導電性基体130の厚さとエレクトロクロミック層120の厚さとの和に等しい。
【0084】
本願のいくつかの実施例において、第1の導電性基体110の厚さが第2の導電性基体130の厚さと等しいため、第1の凹溝140の深さは第2の凹溝150の深さと等しい。
【0085】
具体的には、hの値の範囲は、0<h≦100mm、10mm<h≦100mm、20mm<h≦100mm、30mm<h≦100mm、40mm<h≦100mm、50mm<h≦100mm、60mm<h≦100mm、70mm<h≦100mm、80mm<h≦100mm、90mm<h≦100mm、0<h≦90mm、10mm<h≦90mm、20mm<h≦90mm、30mm<h≦90mm、40mm<h≦90mm、50mm<h≦90mm、60mm<h≦90mm、70mm<h≦90mm、80mm<h≦90mm、0<h≦80mm、10mm<h≦80mm、20mm<h≦80mm、30mm<h≦80mm、40mm<h≦80mm、50mm<h≦80mm、60mm<h≦80mm、70mm<h≦80mm、0<h≦70mm、10mm<h≦70mm、20mm<h≦70mm、30mm<h≦70mm、40mm<h≦70mm、50mm<h≦70mm、60mm<h≦70mm、0<h≦60mm、10mm<h≦60mm、20mm<h≦60mm、30mm<h≦60mm、40mm<h≦60mm、50mm<h≦60mm、0<h≦50mm、10mm<h≦50mm、20mm<h≦50mm、30mm<h≦50mm、40mm<h≦50mm、0<h≦40mm、10mm<h≦40mm、20mm<h≦40mm、30mm<h≦40mm、0<h≦30mm、10mm<h≦30mm、20mm<h≦30mm、0<h≦20mm、10mm<h≦20mm又は0<h≦10mmのうちの任意の範囲であってもよく、実際の状況に応じて具体的に限定できる。
【0086】
本願のいくつかの実施例において、第1の凹溝140の深さ及び第2の凹溝150の深さは、第1の導電性基体110の厚さ、第2の導電性基体130の厚さ及びエレクトロクロミック層120の厚さによって決定され、即ち、第1の導電性基体110の厚さ、第2の導電性基体130の厚さ及びエレクトロクロミック層120の厚さを増加又は減少させることによって、第1の凹溝140の深さ及び第2の凹溝150の深さを増加又は減少させることが理解できる。
【0087】
本願のいくつかの実施例において、前記エレクトロクロミックメンブレン100の形状は、多角形、正多角形又は異なる形のうちのいずれか1種であってもよく、実際の状況に応じて具体的に設定することができる。
【0088】
ここで、エレクトロクロミックメンブレン100のaの値は、1つの数値、2つの数値又は複数の数値に対応することができる。なお、エレクトロクロミックメンブレン100のaが1つの数値のみに対応する場合、即ち、各第1の凹溝140の幅と各第2の凹溝150の幅はいずれも等しい。
【0089】
aの値が2つの数値に対応し、aに対応する2つの数値をそれぞれa及びaと定義し、ここで、a≠aであり、且つa及びaの値の範囲はaの値の範囲と等しい。すなわち、第1の凹溝140の幅及び第2の凹溝150の幅は、a及びaのうちの任意の値であってもよい。
【0090】
aの値が複数の数値に対応し、aに対応する複数の数値をそれぞれa、a……aと定義し、ここで、nの値は2より大きい任意の数値の整数であってもよく、且つaの値の範囲はaの値の範囲と等しい。
【0091】
第1の凹溝140の値は、a、a……aのうちの任意の値であってもよく、第2の凹溝150の値は、a、a……aのうちの任意の値であってもよく、実際の状況に応じて具体的に設定されてもよいことが理解できる。
【0092】
また、エレクトロクロミックメンブレン100のbの値は、1つの数値又は複数の数値に対応してもよい。なお、エレクトロクロミックメンブレン100のbが1つの数値のみに対応する場合、即ち、任意の隣接する前記第1の凹溝140と前記第2の凹溝150の前記エレクトロクロミック層120が位置する平面における正投影の間の間隔はいずれも等しい。
【0093】
bの値が複数の数値に対応し、bに対応する複数の数値をそれぞれb、b……bと定義し、ここで、nの値は2以上の任意の数値の整数であってもよく、また、bの値の範囲はbの値の範囲と等しい。即ち、任意の隣接する前記第1の凹溝140と前記第2の凹溝150の前記エレクトロクロミック層120が位置する平面における正投影の間の間隔は、いずれもb、b……bのうちの任意の値であってもよく、実際の状況に応じて具体的に設定することができる。
【0094】
本願に記載のエレクトロクロミックメンブレン100のしわ深さは、いずれもエレクトロクロミックメンブレン100のエッジのしわ深さを指す。
【0095】
図6図8に示すように、本願のいくつかの実施例において、各前記第1の凹溝140の周方向及び各前記第2の凹溝150の周方向にそれぞれシーラント400が設けられる。
【0096】
第1の凹溝140の周方向に設けられたシール層によって第2の導電性基体130を固定するとともに、第1の凹溝140に対向するエレクトロクロミック層120を外部の空気及び水から隔離し、第2の凹溝150の周方向に設けられたシール層によって第1の導電性基体110を固定するとともに、第2の凹溝150に対向するエレクトロクロミック層120を外部の空気及び水から隔離し、外部の水分及び酸素がエレクトロクロミックメンブレン100に入ることを防止し、エレクトロクロミックメンブレン100の使用寿命及び使用安定性を向上させる。
【0097】
なお、前記シーラント400は高温接着剤であり、高温接着剤は主にアルミノケイ酸塩、無機セラミック粉末などの成分で製造された異なる耐熱要求を満たす高温接着剤であり、耐熱は200度から1800度である。
【0098】
図7に示すように、本願のいくつかの実施例において、前記第1の導電性基体110の前記エレクトロクロミック層120から離れた側のエッジに第1のバスバー200が設けられ、前記第1のバスバー200は、前記第1の導電性基体110のエレクトロクロミック層120から離れた側のエッジに積層される。
【0099】
具体的には、前記第1のバスバー200の一部は、前記第1の凹溝140内に位置し、第1の凹溝140内に位置する第1のバスバー200は、第1の凹溝140内において「凹」字形を形成し、第1の凹溝140内に位置する第1のバスバー200の一部は、第1の凹溝140の内壁におけるシーラント400に密着し、シーラント400を介して第1のバスバー200を固定し、第1のバスバー200の第1の導電性基体110における安定性を向上させる。また、一部が第1の凹溝140の底部に位置する第1のバスバー200は、前記第2の導電層133の第1の凹溝140に露出する一部と電気的に接続される。同時に、シーラント400により第1のバスバー200と第2のバスバー300に対して絶縁支持の役割を果たすことができ、第1のバスバー200と第2のバスバー300との間の電気的接触を回避し、エレクトロクロミックメンブレン100が短絡する状況の発生を回避する。
【0100】
同時に、前記第2の導電性基体130の前記エレクトロクロミック層120から離れる側のエッジに第2のバスバー300が設けられ、前記第2のバスバー300は前記第2の導電性基体130のエレクトロクロミック層120から離れる側のエッジに積層される。
【0101】
具体的には、第2のバスバー300の一部は、第2の凹溝150内に位置し、第2の凹溝150内に位置する第2のバスバー300は、第2の凹溝150内において「凹」字形を形成し、第2の凹溝150内に位置する第2のバスバー300の一部は、第2の凹溝150の内壁におけるシーラント400に密着し、シーラント400を介して第1のバスバー200を固定し、第1のバスバー200の第1の導電性基体110における安定性を向上させる。また、一部が第2の凹溝150の底部に位置する第2のバスバー300は、前記第1の導電層113の第2の凹溝150に露出する一部と電気的に接続される。
【0102】
なお、エレクトロクロミックメンブレンのエッジに複数の第1の凹溝及び複数の第2の凹溝を設けることにより、エレクトロクロミックメンブレンの電気接続点をより均一に分配することができ、第1の導電性基体及び第2の導電性基体層に電気を伝導させる均一性を向上させる。第1のバスバー200及び第2のバスバー300をそれぞれ外部電源に接続することにより、第1の導電層113と第2の導電層133との間に印加電界を形成し、エレクトロクロミックメンブレン100の変色効率及び安定性を向上させる。
【0103】
本願の他の実施例は、ガラス層と、上記いずれかの実施例に記載のエレクトロクロミックメンブレン100とを含む変色ガラスをさらに提供する。
【0104】
ここで、前記エレクトロクロミックメンブレン100は、少なくとも2層の前記ガラス層の間に積層される。
【0105】
本実施例において、エレクトロクロミックメンブレン100は、2層のガラス層の間に積層されて変色ガラスを形成する。
【0106】
なお、2層のガラス層はエレクトロクロミックメンブレン100を完全に覆う。
【0107】
ここで示され、説明されるすべての例において、任意の具体的な値は、限定ではなく単なる例示的なものとして解釈されるべきであり、したがって、例示的な実施例の他の例は、異なる値を有し得る。
【0108】
なお、以下の図面において、同一の符号及びアルファベットは、類似の項目を示すので、ある項目が1つの図面において一旦定義されると、それ以降の図面においては、それ以上定義して説明する必要がない。
【0109】
以上の前記実施例は、本願のいくつかの実施形態のみを示し、その説明は、具体的かつ詳細であるが、本願の範囲を限定するものではない。なお、当業者であれば、本願の思想を逸脱しない範囲で、若干の変形及び改良を行うことができ、これらはいずれも本願の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0110】
100:エレクトロクロミックメンブレン、110:第1の導電性基体、111:第1の収容溝、112:第1の基体層、113:第1の導電層、120:エレクトロクロミック層、121:第3の収容溝、130:第2の導電性基体、131:第2の収容溝、132:第2の基体層、133:第2の導電層、140:第1の凹溝、150:第2の凹溝、200:第1のバスバー、300:第2のバスバー、400:シーラント。
図1
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図8
【国際調査報告】