(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-07
(54)【発明の名称】圧力ベースのマスフロー制御のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G05D 7/06 20060101AFI20250228BHJP
G01F 1/00 20220101ALI20250228BHJP
G01F 1/34 20060101ALI20250228BHJP
G01F 1/36 20060101ALI20250228BHJP
H01L 21/31 20060101ALN20250228BHJP
【FI】
G05D7/06 Z
G01F1/00 X
G01F1/34 A
G01F1/36
H01L21/31 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548536
(86)(22)【出願日】2023-01-23
(85)【翻訳文提出日】2024-10-10
(86)【国際出願番号】 US2023061068
(87)【国際公開番号】W WO2023158904
(87)【国際公開日】2023-08-24
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592053963
【氏名又は名称】エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【氏名又は名称】古後 亜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100230248
【氏名又は名称】杉本 圭二
(72)【発明者】
【氏名】ディング・ジュンファ
【テーマコード(参考)】
2F030
5F045
5H307
【Fターム(参考)】
2F030CA04
2F030CF08
5F045EE04
5H307AA02
5H307BB01
5H307DD01
5H307EE02
5H307FF03
5H307FF13
5H307HH04
5H307HH12
(57)【要約】
ブリーディング時間を改善することができ、複雑さ及びコストを抑えて製造することができるマスフローコントローラーが提供される。マスフローコントローラーは、流路を画定するバルブ出口内腔を有する本体と、流路を通るガスの流れを制御するように構成された調整可能なバルブとを含む。バルブ要素は、調整可能なバルブの出口オリフィスを含み、内腔内に配置される。マスフローコントローラーはさらに、内腔内にバルブ要素と同軸に配置された圧力降下要素を含む。上流圧力センサーが、調整可能なバルブと圧力降下要素との間の流路内の位置における圧力を検出するように構成され、コントローラーが、上流圧力センサーによって検出された圧力に基づいて流路を通る流量を決定するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスフローコントローラーであって、
流路を画定するバルブ出口内腔を有する本体と、
前記流路を通るガスの流れを制御するように構成された調整可能なバルブと、前記調整可能なバルブの出口オリフィスを含むバルブ要素であって、前記内腔内に配置されるバルブ要素と、
前記内腔内に前記バルブ要素と同軸に配置された圧力降下要素と、
前記調整可能なバルブと前記圧力降下要素との間の前記流路内の位置における圧力を検出するように構成された上流圧力センサーと、
前記上流圧力センサーによって検出された圧力に基づいて前記流路を通る流量を決定するように構成されたコントローラーと、を含む、マスフローコントローラー。
【請求項2】
前記圧力降下要素は、前記内腔内で前記出口オリフィスに隣接する、請求項1に記載のマスフローコントローラー。
【請求項3】
前記圧力降下要素は、前記出口オリフィスに対して前記内腔内で最小限の距離に配置される、請求項1に記載のマスフローコントローラー。
【請求項4】
前記内腔内の前記圧力降下要素と前記出口オリフィスとの間の容積は、約0.05cm
3未満である、請求項1に記載のマスフローコントローラー。
【請求項5】
前記内腔は、前記調整可能なバルブが取り付けられる前記本体の表面に実質的に垂直である、請求項1に記載のマスフローコントローラー。
【請求項6】
前記本体はさらに、前記調整可能なバルブと前記圧力降下要素との間の前記流路内の前記位置から前記本体の表面まで延びる圧力測定導管を画定する、請求項1に記載のマスフローコントローラー。
【請求項7】
前記圧力測定導管は、前記内腔から前記上流圧力センサーが取り付けられる前記本体の表面まで横方向に延びる、請求項6に記載のマスフローコントローラー。
【請求項8】
前記圧力降下要素の下流の圧力を検出するように構成された下流圧力センサーをさらに含み、前記コントローラーはさらに、前記下流圧力センサーによって検出された圧力に基づいて前記流量を決定するように構成されている、請求項1に記載のマスフローコントローラー。
【請求項9】
前記圧力降下要素はフローノズルである、請求項1に記載のマスフローコントローラー。
【請求項10】
前記圧力降下要素は層流要素である、請求項1に記載のマスフローコントローラー。
【請求項11】
前記圧力降下要素は多孔質媒体流量制限器である、請求項1に記載のマスフローコントローラー。
【請求項12】
前記本体はさらに、コントローラー入口内腔及びコントローラー出口内腔を含み、前記バルブ出口内腔は、前記コントローラー入口内腔及びコントローラー出口内腔のうちの少なくとも一方に対して略横方向に配置される、請求項1に記載のマスフローコントローラー。
【請求項13】
前記調整可能なバルブのバルブアクチュエーターが、前記バルブ出口内腔と同軸の方向にバルブ部材を駆動する、請求項1に記載のマスフローコントローラー。
【請求項14】
マスフローコントローラーであって、
流路を画定する本体と、
前記流路を通るガスの流れを制御するように構成された調整可能なバルブであって、当該バルブの出口オリフィス内に配置された圧力降下要素を含む調整可能なバルブと、
前記調整可能なバルブのアーマチュアと前記圧力降下要素との間の前記流路内の位置における圧力を検出するように構成された上流圧力センサーと、
前記上流圧力センサーによって検出された圧力に基づいて前記流路を通る流量を決定するように構成されたコントローラーと、を含む、マスフローコントローラー。
【請求項15】
前記バルブの前記出口オリフィスは、前記圧力降下要素の上流に配置された圧力測定導管を画定する本体を含む、請求項14に記載のマスフローコントローラー。
【請求項16】
前記流路を画定する前記本体はさらに、前記出口オリフィスの前記圧力測定導管と流体連絡する圧力測定導管を画定する、請求項15に記載のマスフローコントローラー。
【請求項17】
前記圧力降下要素の下流の圧力を検出するように構成された下流圧力センサーをさらに含み、前記コントローラーはさらに、前記下流圧力センサーによって検出された圧力に基づいて前記流量を決定するように構成されている、請求項14に記載のマスフローコントローラー。
【請求項18】
前記圧力降下要素はフローノズルである、請求項14に記載のマスフローコントローラー。
【請求項19】
前記圧力降下要素は層流要素である、請求項14に記載のマスフローコントローラー。
【請求項20】
前記圧力降下要素は多孔質媒体流量制限器である、請求項14に記載のマスフローコントローラー。
【請求項21】
前記出口オリフィス内に配置され、前記圧力降下要素を保持するように構成された保持部をさらに含む、請求項14に記載のマスフローコントローラー。
【請求項22】
前記流路を画定する前記本体はバルブ出口内腔を含み、バルブ要素が、前記バルブ出口内腔内に配置された前記調整可能なバルブの前記出口オリフィスを含む、請求項14に記載のマスフローコントローラー。
【請求項23】
前記本体はさらに、コントローラー入口内腔及びコントローラー出口内腔を含み、前記バルブ出口内腔は、前記コントローラー入口内腔及びコントローラー出口内腔のうちの少なくとも一方に対して略横方向に配置される、請求項14に記載のマスフローコントローラー。
【請求項24】
前記調整可能なバルブのリニアバルブアクチュエーターが、前記バルブ出口内腔と同軸の方向にバルブ部材を駆動する、請求項14に記載のマスフローコントローラー。
【請求項25】
マスフローコントローラーを組み立てる方法であって、
圧力降下要素と、流路を通るガスの流れを制御するように構成されている調整可能なバルブの出口オリフィスを含むバルブ要素とを、前記流路を画定する本体内に実質的に同軸に配置することと、
前記流路から前記本体の表面まで延びる圧力測定導管に上流圧力センサーを配置することと、を含む、方法。
【請求項26】
前記圧力降下要素は、前記内腔内で前記出口オリフィスに隣接して配置される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記圧力降下要素は、前記出口オリフィスに対して前記内腔内で最小限の距離に配置される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記圧力降下要素と前記調整可能なバルブの前記出口オリフィスとは一体化している、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、米国出願第17/651,751号(2022年2月18日に出願)の継続出願である。上記出願の教示全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスでは、いくつかの処理ステップにわたって、複数の異なるガス及びガス混合物を様々な量で供給することを含む可能性がある。一般に、ガスは処理施設におけるタンク内に貯蔵され、ガス計量システムを使用して、計量された量のガスをタンクから処理ツール(たとえば、化学気相成長反応器、真空スパッタリング装置、プラズマエッチャーなど)まで供給する。他のコンポーネント(たとえば、バルブ、圧力レギュレータ、マスフローコントローラー(MFC)、マスフロー比コントローラー(FRC)、マスフローメーター(MFM)、マスフロー検証装置(MFV)など)を、ガス計量システム、又はガス計量システムから処理ツールまでの流路内に含めることができる。MFC、FRC、MFM、及びMFVなどのコンポーネントは、プロセスガスの正確な供給を保証するために設けられる。
【0003】
従来の圧力ベースのマスフローコントローラー(PBMFC)には、流量制御バルブ、及び圧力降下要素、たとえば、フローノズル、層流要素、又は多孔質媒体流量制限器が含まれている。MFCは、フローノズルが使用されて流れが臨界流量(臨界流れ)条件下にある場合は、1つの圧力センサーを使用して流量(flow rate )を測定することができ、又は非臨界流量条件下では2つの圧力センサーを使用して測定することができる。層流要素又は多孔質媒体流量制限器が圧力降下要素として使用される場合は、2つの圧力センサーを使用して流量を測定する。
【発明の概要】
【0004】
圧力ベースのマスフローコントローラーに対する改良を提供する。改良されたマスフローコントローラーは、装置内のデッドボリュームを減少させることができ、バルブ閉鎖時のブリーディング時間を短縮することができる。またマスフローコントローラーを、複雑さ及びコストを抑えて製造することもできる。
【0005】
マスフローコントローラーは、流路を画定するバルブ出口内腔を有する本体と、流路を通るガスの流れを制御するように構成された調整可能なバルブとを含む。バルブ要素は、調整可能なバルブの出口オリフィスを含み、内腔内に配置される。マスフローコントローラーはさらに、内腔内にバルブ要素と同軸に配置された圧力降下要素を含む。上流圧力センサーが、調整可能なバルブと圧力降下要素との間の流路内の位置における圧力を検出するように構成され、コントローラーが、上流圧力センサーによって検出された圧力に基づいて流路を通る流量を決定するように構成されている。
【0006】
圧力降下要素は、内腔内で出口オリフィスに隣接するか、出口オリフィスに対して内腔内で最小限の距離に配置するか、又はそれらの組み合わせとすることができる。たとえば、内腔内の圧力降下要素と出口オリフィスとの間の容積は、約0.05cm3未満とすることができる。内腔は、調整可能なバルブが取り付けられる本体の表面に実質的に垂直とすることができる。圧力降下要素は、フローノズル、層流要素、多孔質媒体流量制限器、又はそれらの組み合わせであるか、又はそれらを含むことができる。
【0007】
本体はさらに、調整可能なバルブと圧力降下要素との間の流路内の位置から本体の表面まで延びる圧力測定導管を画定することができる。たとえば、圧力測定導管は、内腔から上流圧力センサーが取り付けられる本体の表面まで横方向に延びることができる。
【0008】
マスフローコントローラーはさらに、圧力降下要素の下流の圧力を検出するように構成された下流圧力センサーを含むことができ、コントローラーはさらに、下流圧力センサーによって検出された圧力に基づいて流量を決定するように構成することができる。
【0009】
本体はさらに、コントローラー入口内腔及びコントローラー出口内腔を含むことができ、バルブ出口内腔は、コントローラー入口内腔及びコントローラー出口内腔のうちの少なくとも一方に対して略横方向に配置される。調整可能なバルブのバルブアクチュエーターが、バルブ出口内腔と同軸の方向にバルブ部材(たとえば、バルブプラグ又はアーマチュア)を駆動することができる。
【0010】
マスフローコントローラーは、流路を画定する本体と、流路を通るガスの流れを制御するように構成された調整可能なバルブとを含むことができる。調整可能なバルブは、バルブの出口オリフィス内に配置された圧力降下要素を含む。マスフローコントローラーはさらに、調整可能なバルブのアーマチュアと圧力降下要素との間の流路内の位置における圧力を検出するように構成された上流圧力センサーを含む。装置のコントローラーは、上流圧力センサーによって検出された圧力に基づいて流路を通る流量を決定するように構成されている。
【0011】
出口オリフィスバルブは、圧力降下要素の上流に配置された圧力測定導管を画定する本体を含むことができる。マスフローコントローラー本体の圧力測定導管は、出口オリフィスの圧力測定導管と流体連絡(連通)することができる。
【0012】
マスフローコントローラーはさらに、圧力降下要素の下流の圧力を検出するように構成された下流圧力センサーを含むことができ、コントローラーはさらに、下流圧力センサーによって検出された圧力に基づいて流量を決定するように構成することができる。
【0013】
圧力降下要素は、フローノズル、層流要素、多孔質媒体流量制限器、又はそれらの組み合わせであるか、又はそれらを含むことができる。保持部を、出口オリフィス内に配置し、圧力降下要素を保持するように構成することができる。たとえば、保持部を、多孔質媒体流量制限器の多孔質媒体を保持するように構成することができる。
【0014】
流路を画定する本体は、調整可能なバルブの出口オリフィスを含むバルブ要素を配置することができるバルブ出口内腔を含むことができる。本体はさらに、コントローラー入口内腔及びコントローラー出口内腔を含むことができ、バルブ出口内腔は、コントローラー入口内腔及びコントローラー出口内腔のうちの少なくとも一方に対して略横方向に配置される。調整可能なバルブのリニアバルブアクチュエーターが、バルブ出口内腔と同軸の方向にバルブ部材を駆動することができる。
【0015】
マスフローコントローラーを組み立てる方法は、圧力降下要素と、調整可能なバルブの出口オリフィスを含むバルブ要素とを、流路を画定する本体内に実質的に同軸に配置する事を含む。調整可能なバルブは、流路を通るガスの流れを制御するように構成されている。本方法はさらに、流路から本体の表面まで延びる圧力測定導管に上流圧力センサーを配置することを含む。
【0016】
圧力降下要素は、内腔内で出口オリフィスに隣接して、出口オリフィスに対して内腔内で最小限の距離に、又はそれらの組み合わせで配置することができる。圧力降下要素と調整可能なバルブの出口オリフィスとは一体化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
前述したことは、添付図面に示すように、以下の実施形態例のより詳しい説明から明らかである。添付図面では、異なる図の全体を通して、同様の参照符号は同じ部分を指す。図面は必ずしも一定の比率ではなく、代わりに実施形態を示すことに重点が置かれている。
【
図1】従来技術の圧力ベースのマスフローコントローラーの概略図である。
【
図2】
図1に示したマスフローコントローラーの応答例を示すグラフである。
【
図3】圧力ベースのマスフローコントローラーの例の概略図である。
【
図4】圧力ベースのマスフローコントローラーの別例の概略図である。
【
図5A】
図4の装置内に含めるための圧力降下要素例の断面斜視図である。
【
図5B】
図4の装置内に圧力降下要素として含めるためのフローノズルの例の断面図である。
【
図5C】
図4の装置内に圧力降下要素として含めるためのフローノズルの別の例の断面図である。
【
図6A】
図4の装置内に圧力降下要素として含めるための多孔質媒体要素の例の断面図である。
【
図6B】
図4の装置内に圧力降下要素として含めるための多孔質媒体要素の別の例の断面図である。
【
図7A】
図4の装置内に圧力降下要素として含めるための層流要素の例の断面図である。
【
図7B】
図4の装置内に圧力降下要素として含めるための層流要素の別の例の断面図である。
【
図8】
図3又は
図4に示した構成を有するマスフローコントローラーの応答例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施形態例について以下に説明する。
【0019】
圧力ベースのマスフロー制御において、質量流量(mass flow rate)は、臨界流量条件下では臨界フローノズルを備えた圧力センサーと温度センサーとによって、又は非臨界流量条件の下では2つの圧力センサーと温度センサーとによって、測定することができる。どちらのアプローチを使用しても、通常は、フローノズルの上流の圧力が取得され、流量計算に使用される。圧力ベースのマスフロー制御のための流量計算は、当該技術分野で一般的に知られている。
【0020】
従来技術の圧力ベースのマスフローコントローラー(PBMFC)を
図1に示す。PBMFC100は、制御バルブ120が取り付けられる本体110を含む。制御バルブは、バルブアクチュエーター122と、バルブ部材124(たとえば、バルブプラグ又はアーマチュア)とを含む。例示したように、制御バルブの出口オリフィス128を含むバルブ要素126が、流れ本体110の内腔146内に配置される。しかし、バルブ要素126は、代替的に、流れ本体110に対してシールすることができる。PBMFCはさらに、圧力降下要素、たとえばフローノズル150を含み、上流圧力センサー160及び下流圧力センサー162が、フローノズル150の上流及び下流に、それぞれ配置されている。制御プロセッサ170を、制御バルブ120を操作して装置を通る流体の流れを調整可能に制御し、圧力センサー160及び162から圧力測定を取得し、温度センサー(
図1に示さず)から温度測定値を取得するように構成することができる。流れ本体は、流体が流れ得るいくつかの内腔132、134、136、146、144、及び142を含む。
【0021】
制御バルブ120の出口オリフィス126とフローノズル150との間のデッドボリューム(Vd)(すなわち、内腔146及び144)内の残留ガスは、制御バルブ120が閉じているときに流出する可能性がある。ブリーディング時間(tbleeding)は、以下によって計算することができる。ここで、Crはフローノズルのコンダクタンスである。
【0022】
tbleeding=4*(Vd/Cr) (1)
【0023】
低流量用途(たとえば、フルスケール流量<100sccm)の場合、フローノズルのコンダクタンス(Cr)はまた、通常小さく、バルブが閉じているときにブリーディング時間を長くする可能性がある。
図2に例示する応答例に示すように、デッドボリュームが約10ccの場合、ブリーディング時間はバルブ閉鎖から約120秒の可能性があり、ゼロ設定点が提供された後、処理チャンバーへの著しい量の流体流れが生じる可能性がある。
【0024】
図1に示す装置の製造中、流れ本体110を最初に、内腔132、134、136、146、144、及び142を含むように機械加工する。次いで、フローノズル150を、流れ本体の端部にある開口部140を通して挿入して、内腔144内に取り付ける。フローノズルの配置後、流れ本体は機械加工プロセスに戻り、破線で示すように、金属プラグを開口部140にある内腔144内に挿入して、本体の開口端をキャップする。次いで、金属プラグを流れ本体表面に溶接して、研磨することができる。次いで、装置は、組立ラインに戻ってさらなる組み立てを行い、たとえば圧力センサーの取り付け及び制御バルブの構築を行う。
図1に示すPBMFCの製造コストは、機械加工及び組立プロセスを繰り返すため、またフローノズルが閉栓プロセス中に悪影響を受けないことを保証するため、高くなる。フローノズルは正確で小さな寸法の開口部を提供するものであるため、機械加工中に塵及び他の粒子にさらされると、ノズルオリフィスを遮るか又は部分的に遮ることによって重大な悪影響をもたらす可能性がある。通常は、MFCの組み立てステップはクリーンルーム内で実行され、粒子のない環境内で組み立てられる。
【0025】
ブリーディング時間及び製造プロセスに関する問題を打開するため、改良されたPBMFCを提供する。改良されたPBMFCでは、圧力降下要素(たとえば、フローノズル)が、流量制御バルブの出口オリフィスが配置されているのと同じ内腔内に配置されている。
【0026】
マスフローコントローラー例を
図3に示す。MFC200は、バルブ出口内腔246を有する本体210を含む。調整可能な制御バルブ220が、内腔246によって少なくとも部分的に画定される流路を通る流体(たとえば、ガス)の流れを制御するように構成されている。出口オリフィス228を含むバルブ要素226が、内腔246内に配置されている。圧力降下要素250(フローノズルとして示す)が、内腔246内でバルブ要素226と同軸に配置されている。MFCはさらに、調整可能なバルブ220と圧力降下要素250との間の流路内の位置における圧力を検出するように構成された少なくとも1つの圧力センサー、特に上流圧力センサー260を含む。任意選択で、下流圧力センサー262が含まれ、圧力降下要素250の下流の位置における圧力を検出するように構成されている。制御プロセッサ270は、上流圧力センサー260(及び任意選択で下流圧力センサー262)によって検出された圧力に基づいて、流路を通る流量を決定するように構成することができる。制御プロセッサ270はさらに、調整可能なバルブ220の開閉度を制御するように構成することができる。
【0027】
制御プロセッサ270、調整可能な制御バルブ220、及び圧力センサー260、262を、本体210に取り付けられたハウジング290内に配置することができる。温度センサー280を、ハウジング又は本体内に含めることができ、流路を通って移動する流体の温度を検出するように構成することができる。
【0028】
図3に示すように、圧力降下要素250は、内腔246内で出口オリフィス228に隣接して配置することができる。圧力降下要素は、内腔内で出口オリフィスに対して最小限の距離(たとえば、約0.05cm
3未満)に配置して、装置内のデッドボリュームを減らすことができる。最小限の距離は、たとえば、出口オリフィスと圧力降下要素との間の容積への圧力センサーの結合を可能にする距離とすることができる。本体210は、圧力センサー(複数可)260、262を内腔246内のそれぞれの測定箇所に流体的に結合するように、圧力測定導管(複数可)238、248を画定することができる。
【0029】
内腔246は、調整可能なバルブ220が取り付けられる本体210の表面212に実質的に垂直にすることができる。圧力測定導管(複数可)238、248は、内腔246から表面212まで横方向に延びることができ、そこに圧力センサー(複数可)260、262を取り付けることができる。
【0030】
本体210はさらに、コントローラー入口内腔234及びコントローラー出口内腔244を含むことができ、バルブ出口内腔246は、コントローラー入口及びコントローラー出口内腔に対して略横方向に配置される。任意選択で、さらなる内腔232、242を、装置の入口及び出口を本体の表面212に対向する表面214に配置するために含めることができ、内腔236を、コントローラー入口内腔234を制御バルブ220に接続するために含めることができる。
【0031】
調整可能な制御バルブ220は、バルブ部材224(たとえば、バルブプラグ又はアーマチュア)をバルブ出口内腔246と同軸の方向に駆動するバルブアクチュエーター222を含むことができる。
【0032】
本明細書で使用する場合、用語「調整可能な制御バルブ」は、制御可能な範囲の開状態を提供することができるバルブを指し、オン/オフ型のバルブは除外する。調整可能な制御バルブの開放性は制御信号に応じて制御することができ、バルブを通る流量を制御することができる。調整可能な制御バルブは、代替的に、比例制御バルブと言うことができる。
【0033】
提供される装置において調整可能な制御バルブとして使用するのに適した制御バルブの例としては、ソレノイドバルブ、ピエゾバルブ、及びステップモーターバルブが挙げられる。
【0034】
図1に関して前述したように、マスフローコントローラーは通常、システムを通る流体の流れを制御するための1つの調整可能な制御バルブを含む。通常、調整可能な制御バルブ及び圧力センサーは、システムを通る流路を画定する本体の1つの表面に取り付けられている。任意選択で、さらなるバルブ(たとえば、オン/オフバルブ)をシステム内に含めて、システムを通る流路の一部を隔離することができる。このようなさらなるバルブは、装置のサイズ及び費用を増加させる。装置のさらなる要素としてオン/オフバルブを有することに加えて、このような装置は通常、本体が
図3に示すものよりも遠回り又は複雑な流路を画定することを必要とする。
図3に示す構成の利点は、デッドボリュームの減少(調整可能な制御バルブの位置に続く流路の一部において生じる)が、さらなるバルブ(たとえば、オン/オフバルブ)を含めることなく、またより複雑な流路を装置の本体内に画定する必要なく達成できることである。
【0035】
バルブ部材をバルブ出口内腔と同軸の方向に駆動できるように、調整可能な制御バルブを本体の表面に取り付けることにより、また同じ内腔内に同軸に配置された圧力降下要素を含めることにより、大幅に短くなって従来技術の装置よりも製造が容易な流路を実現することができる。
【0036】
別のマスフローコントローラー例を
図4に示す。
図4には、
図3に示したものと同様で、同様の番号付けにより標示されたいくつかの要素が含まれる。MFC300は、流路(たとえば、バルブ出口内腔246を含む)を画定する本体310と、流路を通るガスの流れを制御するように構成された調整可能なバルブ220とを含む。調整可能なバルブ220は、バルブの出口オリフィス328内に配置された圧力降下要素350を含む。上流圧力センサー260は、調整可能なバルブのバルブ部材224(たとえば、バルブプラグ又はアーマチュア)と圧力降下要素350との間の流路内の位置における圧力を検出するように構成されている。コントローラー270は、上流圧力センサー260(及び任意選択で、下流圧力センサー262)によって検出された圧力に基づいて、流路を通る流量を決定するように構成することができる。
【0037】
出口オリフィス328は、本体352であって、圧力降下要素350の上流に配置された圧力測定導管354、又は圧力降下を提供する圧力降下要素の部分356(たとえば、狭いノズル部分)を画定する、本体352を含むことができる。本体310は、出口オリフィスの圧力測定導管354と流体連絡する圧力測定導管338を画定することができる。例示したように、圧力測定導管は、出口オリフィス328から、圧力センサー260が取り付けられる表面212まで横方向に延びることができる。
【0038】
圧力降下要素250、350は、フローノズル、層流要素、及び多孔質媒体流量制限器であるか、又はそれらを含むことができる。調整可能なバルブの出口オリフィス内に含まれる場合、保持部(たとえば、スリーブ455、
図6B)を、出口オリフィス内に配置し、多孔質媒体を保持するように構成することができる。
【0039】
好適なフローノズルの例としては、円錐形フローノズル、テーパーフローノズル、及びオリフィス(複数可)を備えたプレートが挙げられる。好適な層流要素の例としては、環状要素、波形要素、単一管、及び束ねられた管が挙げられる。好適な多孔質媒体流量制限器の例としては、多孔質焼結金属フィルター及び多孔質セラミックフィルターが挙げられる。
【0040】
調整可能なバルブの出口オリフィス内に含めるための圧力降下要素の構成例を、
図5A~
図7Bに示す。
図5Aに示すように、圧力降下要素350は、フローノズルであり得るか、又はそれを含むことができ、本体352は、ノズル356と、ノズル356の上流の位置への圧力センサーとの流体連絡を可能にする圧力測定導管との両方を画定する。フローノズルタイプの圧力降下要素のさらなる構成例を、
図5B及び
図5Cに示す。
図5B及び
図5Cでは、圧力測定導管354が、ノズルのテーパー壁358(
図5B)に、又はノズルの壁の直線部分357とテーパー部分359との間の移行部(
図5C)に画定されている。
【0041】
多孔質媒体タイプの圧力降下要素の構成例を、
図6A及び
図6Bに示す。本体452は、圧力測定導管を、多孔質媒体456を保持するように構成されたレセプタクルの直線部分457(
図6A)に、又は多孔質媒体456の上流に配置されたテーパー部分459(
図6B)に、画定することができる。保持部455(たとえば、スリーブ)を、要素内に多孔質媒体を保持するように構成することができる。
【0042】
層流型の圧力降下要素の構成例を、
図7A及び
図7Bに示す。本体552は、圧力測定導管554を、層流要素556の壁の直線部分557(
図7A)に、又は層流要素556の壁のテーパー部分559(
図7B)に画定することができる。本体552とプラグ558との間の環状部分が層流路を形成する。
【0043】
前述し、
図3及び
図4に示したMFCのブリーディング時間の応答例を、
図8に示す。たとえば、デッドボリュームが約0.25ccの場合、ブリーディング時間はバルブ閉鎖から約5秒の可能性があり、デッドボリュームが約0.52ccの場合、ブリーディング時間はバルブ閉鎖から約15秒の可能性がある。推定されるブリーディング時間は、
図1に示す従来技術のMFCに関連するブリーディング時間から大幅に改善されている。
【0044】
さらに、提供したMFC構成によって、製造の複雑さ及びコストが大幅に削減される。MFCの圧力降下要素は、さらなる機械加工ステップを必要とせずに、装置の本体内に配置することができる。
【0045】
MFCを組み立てる方法は、圧力降下要素と、調整可能なバルブの出口オリフィスを含むバルブ要素とを、流路を画定する本体内に実質的に同軸に配置することを含む。たとえば、圧力降下要素を、内腔内で出口オリフィスに隣接して配置することができるか、又は圧力降下要素と調整可能なバルブの出口オリフィスとを、一体化することができる。本方法はさらに、流路から本体の表面まで延びる圧力測定導管に上流圧力センサーを配置することを含む。
【0046】
MFCの制御プロセッサ270は、圧力及び温度の読み取り値から決定される流量に基づいて、流路を通るガスの流れを制御するように構成することができる。臨界流量条件下では上流圧力センサー(たとえば、センサー260)を使用して、非臨界流量条件下では上流及び下流圧力センサー(たとえば、センサー260、262)の両方を使用して流量を決定する方法は、当該技術分野で一般的に知られている。チョーク流れ(チョークドフロー)条件及び非チョーク流れ条件下で質量流量を決定する方法例は、米国特許第10,514,712号に記載されている。なおこの文献の教示全体は本明細書に組み込まれている。
【0047】
本明細書で引用したすべての特許、公開出願、及び参考文献の教示は、その全体において参照により組み込まれている。
【0048】
例示的な実施形態を特に図示し説明してきたが、当業者であれば分かるように、添付の特許請求の範囲に包含される実施形態の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に様々な変更を施してもよい。
【国際調査報告】