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特表2025-506239直接放射アレイアンテナアッセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-07
(54)【発明の名称】直接放射アレイアンテナアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/06 20060101AFI20250228BHJP
   H01Q 23/00 20060101ALI20250228BHJP
   H01Q 1/28 20060101ALI20250228BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20250228BHJP
【FI】
H01Q21/06
H01Q23/00
H01Q1/28
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548639
(86)(22)【出願日】2023-02-17
(85)【翻訳文提出日】2024-10-03
(86)【国際出願番号】 CA2023050213
(87)【国際公開番号】W WO2023155018
(87)【国際公開日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】63/311,786
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524115475
【氏名又は名称】マクドナルド・デトワイラー・アンド・アソシエイツ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム・デュークスト
(72)【発明者】
【氏名】エミリー・マッカイ・サザータウン
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ウィルソン
(72)【発明者】
【氏名】ビリー・マーケス
【テーマコード(参考)】
5E322
5J021
5J046
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322AA05
5E322AA10
5E322AA11
5E322DA00
5E322DB08
5J021AA05
5J021AA11
5J021AB06
5J021DB03
5J021GA02
5J021HA07
5J021JA08
5J021JA09
5J046AB03
5J046AB13
5J046KA03
(57)【要約】
直接放射アレイ(「DRA」)アンテナが提供され、アンテナは、第1の側部および第1の側部に対向する第2の側部を有するプリント回路基板(「PCB」)と、PCBに対して概して平行に配置されているサーマルインターフェースプレートと、PCBの第1の側部に装着されている複数の放射エレメントと、PCBの第2の側部におよびサーマルインターフェースプレートに装着されている複数のラジオ周波数(「RF」)チェーンであって、複数のRFチェーンの各それぞれ1つは、複数の放射エレメントのそれぞれの1つに連結され、それに近接して位置付けされており、サーマルインターフェースプレートに熱的に連結されている、複数のRFチェーンと、PCBの第2の側部に装着されている複数のビーム形成回路であって、RFチェーンの各々は、複数のビーム形成回路のうちの少なくとも1つに接続されている、複数のビーム形成回路とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側部および前記第1の側部に対向する第2の側部を有するプリント回路基板(「PCB」)と、
前記プリント回路基板(「PCB」)に対して概して平行に配置されているサーマルインターフェースプレートと、
前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第1の側部に装着されている複数の放射エレメントと、
前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第2の側部におよび前記サーマルインターフェースプレートに装着されている複数のラジオ周波数(「RF」)チェーンであって、前記複数のラジオ周波数(「RF」)チェーンのそれぞれ各1つは、前記複数の放射エレメントのそれぞれの1つに連結され、前記複数の放射エレメントのそれぞれの1つに近接して位置付けされ、前記サーマルインターフェースプレートに熱的に連結されている、複数のラジオ周波数(「RF」)チェーンと、
前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第2の側部に装着されている複数のビーム形成回路であって、前記ラジオ周波数(「RF」)チェーンの各々は、前記複数のビーム形成回路のうちの少なくとも1つに接続されている、複数のビーム形成回路と、
を含む、直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項2】
前記ラジオ周波数(「RF」)チェーンは、複数のスタックで配置されており、前記複数のスタックのそれぞれ各1つは、前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第2の側部に装着されているとともに、前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第2の側部に対して概して垂直に延在している、請求項1に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項3】
前記放射エレメントは、パッチ放射エレメントである、請求項1または2に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項4】
前記プリント回路基板(「PCB」)は、1つまたは複数の放射線遮蔽銅層を含み、前記1つまたは複数の放射線遮蔽銅層は、前記プリント回路基板(「PCB」)の中に埋め込まれているとともに、前記直接放射アレイ(「DRA」)アンテナの電気的な、電子的な、または電気機械的なコンポーネントを放射線から遮蔽するように位置決めされている、請求項1に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項5】
前記サーマルインターフェースプレートは、複数の流体チャネルを含む、請求項1に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項6】
前記サーマルインターフェースプレートは、移動可能なまたは静止した構造体の上に装着されているときに、唯一のサーマルスプレッダー、ならびに、前記移動可能なまたは静止した構造体との前記直接放射アレイ(「DRA」)アンテナの導電性および放射交換インターフェースとして作用する、請求項1に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項7】
前記移動可能なまたは静止した構造体は、宇宙船である、請求項6に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項8】
前記移動可能なまたは静止した構造体は、地球低軌道衛星である、請求項6に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項9】
前記複数のスタックの各々は、1つまたは複数のサーマルインターフェース材料を介して前記サーマルインターフェースプレートに接続されている、請求項2に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項10】
第1の側部および前記第1の側部に対向する第2の側部を有するプリント回路基板(「PCB」)と、
前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第1の側部に装着されている複数の放射エレメントと、
前記複数の放射エレメントのそれぞれ1つに各々連結されている複数のラジオ周波数(「RF」)チェーンであって、前記複数のラジオ周波数(「RF」)チェーンは、複数のスタックで配置されており、前記複数のスタックのそれぞれ各1つは、前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第2の側部に装着されており、前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第2の側部に対して概して垂直に延在している、複数のRFチェーンと、
を含む、直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項11】
前記放射エレメントは、パッチ放射エレメントを含む、請求項10に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項12】
前記ビーム形成回路は、デジタルビーム形成を実施するように構成されている、請求項1に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項13】
前記ビーム形成回路は、アナログビーム形成を実施するように構成されている、請求項1に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項14】
前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第2の側部に装着されている複数のビーム形成回路をさらに含み、前記ビーム形成回路は、デジタルビーム形成を実施するように構成されている、請求項10に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項15】
前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第2の側部に装着されている複数のビーム形成回路をさらに含み、前記ビーム形成回路は、アナログビーム形成を実施するように構成されている、請求項10に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項16】
一般的におよび具体的に本明細書で説明されているシステム、方法、およびデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、ラジオ周波数(RF)通信のためのアンテナおよびアンテナアッセンブリに関し、より具体的には、直接放射アレイアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
接続されたデバイスの数およびそれらの間の通信の必要性は、そのようなデバイスによって発生させられるデータの発生および増殖とともに増加し続けているので、そのような通信を促進させるための通信システムに対する需要も増加し続けている。通信を促進させる1つのそのような様式は、通信衛星によるものである。衛星を宇宙に打ち上げることがより容易になり、衛星ベースの通信に対する需要が増加するにつれて、通信衛星に対する市場は爆発的に増加し始めている。
【0003】
通信衛星は、オンボードアンテナを通した通信を促進させる。アンテナの1つのそのような例は、アクティブな直接放射アレイアンテナである。そのようなアンテナがサイズ、質量、および電力を管理してバランスさせることが重要である。低減されたサイズ、低減された質量、もしくは低減された電力消費のうちのいずれか1つまたは複数を提供することができるアンテナ、または、アンテナのサイズ、質量、および電力を効果的に管理しながら性能トレードオフを提供することができるアンテナを有することが望まれることが多い。たとえば、衛星搭載用途において、アンテナのために割り当てられた全体的な重量は制約される可能性があり、それによって、放射エレメントの数およびアンテナの性能を制限する。
【0004】
通信のための信号の周波数帯、および信号を搬送するビームの量が連続的に増加することは、特に地球低軌道(Low Earth Orbit)用途のためにアンテナ効率を維持しながら、アレイに近接した場所にかなりの数の機械的なおよび電気的なコンポーネントが集中された状態にすることをますます困難にする可能性がある。LEOは、DRAスキャン要件をより大きくし、それは、次いで、エレメント間隔(すなわち、放射エレメント間の間隔)をより狭くする。したがって、LEOは、ごく近接して集中された機械的なおよび電気的なコンポーネントの観点から、GEOまたはMEOよりもはるかに困難である。異なるコンポーネントを通る信号損失を低減させるために、そのようなコンポーネントは、信号経路長さを可能な限り制限するために、アレイのアパーチャーの可能な限り近くに位置決めされる必要がある可能性がある。
【0005】
また、全体的なアンテナ性能を低減させる可能性のある温度増加を回避するために、信号増幅器ならびに他の電気的な、電子的な、および電気機械的なコンポーネントなどの、アンテナのコンポーネントによって発生させられる熱を効果的に管理する必要性も存在している。したがって、アンテナコンポーネントによって発生させられる熱を消散させるための構造体が望まれている可能性がある。しかしながら、そのような構造体は、アンテナの全体的な一体化を複雑にする可能性がある。結果として、直接放射アレイなどのようなアンテナの重量は著しく大きくなる可能性があり、そして、それは、衛星ミッションに悪影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
アンテナの構造的要件(たとえば、インターフェースプレート、機械的な支持体、放射エレメント、信号増幅経路、および、熱を消散させるための構造体など)は、重要である可能性があり、かなりの物理的な体積を必要とする可能性があり、それは、アンテナの重量を増加させ、宇宙船の上の利用可能なスペースを低減させる可能性がある。衛星搭載用途において、アンテナのための割り当てられた全体的な重量および利用可能なスペースが制限される可能性があり、それは、放射エレメントの数を制限し、アンテナの性能を低減させる可能性がある。
【0007】
衛星は、光通信リンクを用いることが可能であり、光通信リンクは、適正な動作のために見通し線アクセス(line of sight access)を必要とする。いくつかの現在のDRAアンテナアッセンブリユニットは、比較的に高いプロファイルを含むことが可能であり、それは、光学的ヘッド通信リンクの視野を侵害し、光通信リンクの有効性を低減させる可能性がある。
【0008】
追加的に、宇宙空間環境において配備されるときに、アンテナは、多様な波および粒子放射線を受ける可能性があり、それは、アンテナの動作と干渉する可能性がある。アンテナの適正な性能を確保するために、特定の感受性の高いコンポーネントの放射線遮蔽が必要とされる可能性がある。そのような放射線遮蔽は、アンテナの重量を増加させ、宇宙船上の利用可能なスペースをさらに減少させる可能性がある。
【0009】
したがって、既存の直接放射アレイシステムおよび方法の不利益のうちの少なくともいくつかを克服する改善された直接放射アレイアンテナおよび組み立て方法に対する必要性が存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態によれば、本明細書で説明されているのは、直接放射アレイ(「DRA」)アンテナである。アンテナは、第1の側部および第1の側部に対向する第2の側部を有するプリント回路基板(「PCB」)と、PCBに対して概して平行に配置されているサーマルインターフェースプレートと、PCBの第1の側部に装着されている複数の放射エレメントと、PCBの第2の側部におよびサーマルインターフェースプレートに装着されている複数のラジオ周波数(「RF」)チェーンであって、複数のRFチェーンの各それぞれ1つは、複数の放射エレメントのそれぞれの1つに連結され、それに近接して位置付けされており、サーマルインターフェースプレートに熱的に連結されている、複数のRFチェーンと、PCBの第2の側部に装着されている複数のビーム形成回路であって、RFチェーンの各々は、複数のビーム形成回路のうちの少なくとも1つに接続されている、複数のビーム形成回路とを含む。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、RFチェーンは、複数のスタックで配置されており、複数のスタックの各それぞれ1つは、PCBの第2の側部に装着されており、PCBの第2の側部に対して概して垂直に延在している。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、放射エレメントは、パッチ放射エレメントである。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、PCBは、1つまたは複数の放射線遮蔽銅層を含み、1つまたは複数の放射線遮蔽銅層は、PCBの中に埋め込まれており、DRAアンテナの電気的な、電子的な、または電気機械的なコンポーネントを放射線から遮蔽するように位置決めされている。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、サーマルインターフェースプレートは、複数の流体チャネルを含む。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、サーマルインターフェースプレートは、移動可能なまたは静止した構造体の上に装着されているときに、唯一のサーマルスプレッダー、ならびに、移動可能なまたは静止した構造体とのDRAアンテナの導電性および放射交換インターフェース(conductive and radiative exchange interface)として作用する。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、移動可能なまたは静止した構造体は、宇宙船である。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、移動可能なまたは静止した構造体は、地球低軌道衛星である。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、複数のスタックの各々は、1つまたは複数のサーマルインターフェース材料を介してサーマルインターフェースプレートに接続されている。
【0019】
別の実施形態によれば、本明細書で説明されているのは、DRAアンテナであり、DRAアンテナは、第1の側部および第1の側部に対向する第2の側部を有するプリント回路基板(「PCB」)と、PCBの第1の側部に装着されている複数の放射エレメントと、複数の放射エレメントのそれぞれ1つに各々連結されている複数のRFチェーンであって、複数のRFチェーンは、複数のスタックで配置されており、複数のスタックの各それぞれ1つは、PCBの第2の側部に装着されており、PCBの第2の側部に対して概して垂直に延在している、複数のRFチェーンとを含む。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、放射エレメントは、パッチ放射エレメントを含む。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、ビーム形成回路は、デジタルビーム形成を実施するように構成されている。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、ビーム形成回路は、アナログビーム形成を実施するように構成されている。
【0023】
他の態様および特徴は、いくつかの例示的な実施形態の以下の説明を検討すると、当業者に明らかになることとなる。
【0024】
本明細書に含まれる図面は、本明細書の物品、方法、および装置のさまざまな例を図示するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態による、送信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリの斜視図である。
図2A】実施形態による、図1の送信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリの上面図である。
図2B】実施形態による、図1の送信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリの正面図である。
図2C】実施形態による、図1の送信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリの側面図である。
図3A】実施形態による、図1図2の送信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリの分解図である。
図3B】実施形態による、図3Aの送信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリの分解図の拡張である。
図4】実施形態による、受信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリの斜視図である。
図5A】実施形態による、図4の受信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリの上面図である。
図5B】実施形態による、図4の受信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリの側面図である。
図5C】実施形態による、図4の受信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリの正面図である。
図6A】実施形態による、図4図5の受信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリの分解図である。
図6B】実施形態による、図6Aの受信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリの分解図の拡張である。
図7】実施形態による、図1図3の送信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリのPCBの斜視図である。
図8】実施形態による図1図3の送信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリのPCBの平面図である。
図9】実施形態による、隔離した状態の図1図3の送信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリのRFチェーンクラスターの斜視図である。
図10】実施形態による、隔離した状態の図1図3の送信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリのRFチェーンクラスターの平面図である。
図11】実施形態による、図1図3の送信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリの断面図である。
図12】実施形態による、DRAからヒートパイプへの熱伝達を図示する、宇宙船ヒートパイプを含む、図1図3の送信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリの断面図である。
図13】実施形態による、放射シールドをさらに含む、図1図3の送信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリのPCBの一部分の部分的に透明な斜視図である。
図14】実施形態による、放射シールドをさらに含む、図1図3の送信構成された直接放射アレイ(DRA)アンテナアッセンブリのPCBの一部分の部分的に透明な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
さまざまな装置またはプロセスが、各々の特許請求されている実施形態の例を提供するために下記に説明されることとなる。下記に説明されている実施形態は、任意の特許請求されている実施形態を限定するものではなく、任意の特許請求されている実施形態は、下記に説明されているものとは異なるプロセスまたは装置をカバーすることが可能である。特許請求されている実施形態は、下記に説明されている任意の1つの装置もしくはプロセスの特徴のすべてを有する装置もしくはプロセスに限定されず、または、下記に説明されている装置のうちの複数またはすべてに共通する特徴に限定されない。
【0027】
以下は、概して、アンテナベースの通信システムに関し、より具体的には、直接放射アレイ(「DRA」)アンテナに関する。本開示のDRAアンテナアッセンブリは、宇宙ベースの用途(たとえば、衛星または他の宇宙船の上)の文脈において説明されているが、DRAアンテナアッセンブリは、非宇宙用途(たとえば、グランドターミナルの上など)において使用されることが可能であり、そのような使用は、本開示によって企図されているということが理解されるべきである。変形例では、本開示のDRAアンテナは、デジタルビーム形成またはアナログビーム形成のために構成することが可能である。
【0028】
本開示のDRAは、既存のDRAよりもコンパクトまたはロープロファイルであることが可能である。ロープロファイル構成は、(たとえば、より背の高いDRAと比較して)周囲の機器の改善された視野を結果として生じさせることが可能である。その理由は、DRAが、光学的な衛星間リンクなどの、他の機器の見通し線から外れている可能性があるからである。これは、有利には、サイズ、コスト、および/または質量を低減させることが可能であり、それは、宇宙ベースの用途においてDRAを実装する際に重要な要因である可能性がある。増幅器、フィルター、偏波器、および他の電気的なコンポーネントを放射エレメントの下に(たとえば、放射エレメントに対してPCBの反対側(側部1)に)コンパクトにパッケージングすることは、熱除去のためにPCBの(側部2)に消散性/熱生産コンポーネントを設置する。また、このPCB構成は、PCB組み立てを容易にする。その理由は、コンポーネントがPCBの一方の側部のみに取り付けられており、より少ないセットアップおよび検査動作を結果として生じさせ、組み立て時間を低減させるからである。サーマルインターフェース材料は、再加工性に関する課題をもたらす。たとえば、単回使用の接着剤が、いくつかの例において使用されることが好ましい可能性があり、それは、容易に除去されない可能性がある。他の例では、ガスケットを使用することが可能であり、それは、圧縮によって電気的なコンポーネントを損傷させる可能性がある。単一のサーマルインターフェースしか存在していないので、より少ないサーマルインターフェース材料しか、DRAの中に設置される必要がない可能性がある。そのような構成は、DRAのサーマルコンポーネントが単一の組み立てステーションにおいて組み立てられることを可能にすることができる。
【0029】
本開示のDRAは、PCBの上に、または、PCBに取り付けられた、電気的なコンポーネントの3次元のスタックされたパッケージングを用いることが可能である。このスタックされたパッケージングは、PCB占有面積の問題を解決し、また、ある程度は放射線の問題も解決する。その理由は、いくつかのコンポーネントが3次元のコンポーネントスタックの中の下方のコンポーネントによって遮蔽され得るからである。追加的に、高度に一体化されたモノリシックのマイクロ波集積回路、基板、および他の電子的なコンポーネントは、プリントされたRFアッセンブリ、コネクター付きインターフェース、直接導波管インターフェース、ワイヤーボンディッドインターフェース、ピン/ソケットインターフェース、ボールグリッドアレイ/ランドグリッドアレイインターフェース、表面実装技術インターフェース、微細加工されたラジオ周波数コンポーネント、従来のSIP、ベアダイ、モノリシックのマイクロ波集積回路、セラミックまたはアルミナフィルター、3Dプリントされたフィルターとともに、本開示のDRAの中に適用することが可能である。この技術の混合は、直接的にサーマルシンクに熱を除去するために3次元のスタックの上部に消散性/熱生産コンポーネントを設置しながら、複数の物理的なレベルの相互接続性を提供するために使用することが可能である。消散性コンポーネントは、電圧調整器などの、DCパワーコンポーネント、ビーム形成集積回路、および、ドライバー、プリドライバー、もしくは高パワー増幅器などの、RF増幅コンポーネントを含むことが可能である。追加的に、この3次元のスタックされたパッケージングは、熱膨張係数スタックアップ(coefficient of thermal expansion stack up)を制御する追加的な設計自由度を提供し、DRA熱疲労寿命が最適化され得るようになっている。
【0030】
本開示のDRAは、すべてのアクティブなRF電子的なコンポーネントが1つのPCBの一方の側部に設置されるように構成されている。この設置に起因して、これらのコンポーネントは、すべて単一のコールドプレートに熱的に連結され、したがって、高い熱効率を現実化することが可能である。コールドプレートは、宇宙船熱制御ハードウェア(それは、たとえば、宇宙船パネルの中にまたは宇宙船パネルの上に埋め込まれているヒートパイプを含むことが可能である)と直接的に接触して位置決めされることが可能であり、それは、より小さなDRAパッケージを可能にし、DRAレベルにおける熱管理の困難さを低減させる。そのような配置は、DRAと宇宙船との間のサーマルハードウェアの重複を回避し、したがって、宇宙船レベルにおいて全体的な質量およびコストを低減させる。宇宙船パネルの上にDRAを直接的に装着することは、据え付けられるアッセンブリの高さを最小化することが可能であり、任意の周囲のRFまたは光学機器をブロックする可能性を低減させる。
【0031】
DRAのコールドプレートは、高い導電性の材料から構築することが可能であり、流体チャネルがサーマルプレーン/コールドプレートを通って走るように構成することが可能である。ある実施形態において、DRAのすべての熱供給源は、サーマルインターフェース材料を介してコールドプレートに接続されている。単一平面コールドプレート(単一平面サーマルインターフェース)は、サーマルインターフェースの数を低減させ、供給源とシンクとの間の小さな温度勾配を維持しながら、DRAから熱を収集してそれを宇宙船ヒートシンクに直接的に輸送することによって、アッセンブリの全体的な熱効率を増加させる。また、単一平面構成は、消散性コンポーネントがヒートシンクから機械的に離れていないことを確保することが可能である。本開示のDRAの熱設計は、大部分が導電性であることが可能であり、途中の可能な限り低い温度勾配によって、異なる供給源間で熱を集めて輸送するように構成することが可能である。サーマルインターフェースプレートは、DRAの主要な消散性コンポーネントが接続されている主要なサーマルハイウェイとして作用することが可能であり、DRAの周辺部の下におよび/またはDRAの周辺部に中央に位置付けされている宇宙船サーマルインターフェース(たとえばヒートパイプ)に、DRAの中に消散された熱を伝達するように構成することが可能である。宇宙船サーマルインターフェースまたはヒートパイプがDRAの中央にあるように、または、2つの側部ではなくDRAのエリアの下にあるように、DRAを構成することによって、熱経路長さを最適化することが可能である。本明細書で説明されている宇宙船ヒートパイプのルーティングは、熱を横方向に輸送する必要性を排除し、むしろ、宇宙船のサーマルサブシステムの中へ直接的に熱を捨てることが可能である。追加的に、補助的なハードウェアを、放射エレメントを含むPCBの側部に設置することが可能である。
【0032】
いくつかの実施形態において、本開示のDRAのPCBは、DRAの放射線感受性の高い電気的なコンポーネントのための放射線遮蔽として、PCBの中の1つまたは複数の専用の銅平面(copper plane)を含むように構成されている。本開示のDRAのフラット構成は、DRAの電気的なコンポーネント(電気的な、電子的な、および電気機械的なコンポーネント)が放射線により露出されることを引き起こす可能性があり、外部放射線源と電気的なコンポーネントとの間により少ない金属製ハードウェアを有する。1つまたは複数の銅平面放射線シールドに加えて、銅平面が、接地、熱管理、およびRF/デジタル信号のために、PCB層の中に存在していることも可能である。銅アイランド(copper island)が、たとえば、レイトレーシングベースの分析を使用して、PCBの中に追加されることが可能であり、ここで、銅アイランドの機能は、DRAアッセンブリの放射線感受性の高い電気的なコンポーネントを遮蔽することである。
【0033】
いくつかの実施形態において、DRAは、熱管理のためにアンテナアパーチャーの上にサンシールドをさらに含むことが可能であり、最高最低温度が低減され得るようになっている。そのようなサンシールドは、原子状酸素ラムフラックス(atomic oxygen ram flux)への直接的な放射線被爆に対する保護を提供することが可能である。
【0034】
ここで図1を参照すると、そこに示されているのは、実施形態による、直接放射アレイ(「DRA」)アンテナアッセンブリ100-1の斜視図である。
【0035】
図1のアッセンブリ100-1は、送信(Tx)構成された直接放射アレイアッセンブリ100-1である。アッセンブリ100-1は、宇宙船に連結されるように構成されており、宇宙船から別の宇宙船へのまたはグランドターミナルもしくは移動可能なターミナルへの通信を可能にする。他の実施形態において、アッセンブリ100-1は、移動可能なまたは静止したプラットフォームもしくは構造体の上のグランドターミナルとして使用することが可能である。たとえば、アッセンブリ100-1、または、その他の実施形態は、車両、自動車、トラック、貨物コンテナ、航空機、移動住宅、ボート、クルーズ船、ヨット、建物、マスト(セルラーまたはラジオ)、または、宇宙船以外の構造体に連結することが可能である。
【0036】
アッセンブリ100-1は、宇宙船のオンボードプロセッサーからのデジタル入力信号を受信し、デジタル入力信号の少なくとも一部分に対してデジタルビーム形成動作を実施し、デジタル入力の少なくとも一部分に対応するビーム形成されたRF信号を別のターミナル(たとえば、宇宙船などのような移動可能なターミナルまたはグランドターミナル)に送信するように構成されている。他の実施形態において、DRAアッセンブリは、アナログビーム形成動作を実施するように構成することが可能であり、アナログおよび/またはRF入力信号を受信することが可能である。
【0037】
一般的に、アッセンブリ100-1は、フェーズドアレイアンテナアッセンブリであることが可能であり、フェーズドアレイアンテナアッセンブリは、一緒に組み立てられたアンテナ/放射エレメント112-1の集合体を含み、各それぞれの放射エレメント112-1の放射パターンが、近隣の放射エレメント112-1と建設的に組み合わさり、メインローブと呼ばれる効果的な放射パターンを形成するようになっている。メインローブは、放射されたエネルギーを所望の場所において送信し、一方では、アッセンブリ100-1は、望ましくない方向において信号と破壊的に干渉し、ヌルおよびサイドローブを形成するように設計されている。アッセンブリ100-1は、メインローブにおいて放射されたエネルギーを最大化し、一方では、サイドローブにおいて放射されたエネルギーを許容可能なレベルまで低減させるように設計することが可能である。放射の方向は、各々のアンテナエレメント112-1の中へ給送された信号の位相を変化させることによって操作することが可能である。その結果、アレイの中の各々のアンテナエレメント112-1が、独立した位相および振幅設定を有し、所望の放射パターンを形成するということになる。アッセンブリ100-1は、デジタル回路ベースの位相調節を使用し、放射パターンの方向を変化させる。
【0038】
アッセンブリ100-1は、二重偏波または単一偏波で動作することが可能であり、任意のRF周波数帯で動作するように構成することが可能である。
【0039】
アッセンブリ100-1は、フロントプリント回路基板(PCB)ハウジング102-1と、較正アンテナ104-1と、(図3に描写されているように)フロントサイド108-1およびリアサイド110-1を有するPCB106-1と、インターフェースプレート114-1とを含む。フロントサイド108-1は、放射エレメント112-1のアレイを追加的に含み、各々のエレメント112-1は、ラジオ周波数信号を送信するように構成されたアンテナである。ある実施形態において、放射エレメントは、パッチ放射エレメントであることが可能である。他の実施形態において、放射エレメントは、別のタイプの放射エレメントであることが可能である。たとえば、放射エレメントは、ダイポールまたはプリントされたスパイラルであることが可能である。アッセンブリ100-1は、アッセンブリ100-1が他のダイナミック放射アレイアンテナアッセンブリよりもロープロファイルを有するように構成されている。
【0040】
フロントPCBハウジング102-1は、PCB106-1をインターフェースプレート114-1に固定するように構成された構造的コンポーネントである。フロントPCBハウジング102-1は、PCB106-1の上および周りにフィットするように構成された金属フレームを含み、フロントPCBハウジング102-1が別の構造体または表面に固定されるときに、フロントPCBハウジング102-1がPCB106-1を固定することができるようになっている。フロントPCBハウジング102-1は、複数の装着孔を含むことが可能であり、マシンスクリューもしくはボルトまたは他の機械的な締結具が、フロントPCBハウジング102-1を、インターフェースプレート114-1などの、別のコンポーネントに固定するために使用され得るようになっている。図1図3の例では、フロントPCBハウジング102-1は、金属から構築されている。他の例では、フロントPCBハウジング102-1は、ポリエーテルエーテルケトン、炭素繊維、他のポリマー、または他の複合材料などのような、他の材料から構築することが可能である。フロントPCBハウジング102-1は、機械加工するか、溶接するか、ろう付けするか、鋳造するか、または付加的に製造することが可能である。フロントPCBハウジング102-1は、金属などの、放射線遮蔽材料から構築されている場合には、PCB106-1のリアサイド110-1に取り付けられている電子的なコンポーネントのために、追加された放射線遮蔽を限定された方向において提供することが可能である。
【0041】
較正アンテナ104-1は、アッセンブリ100-1によって放出されるのと同じRF帯のRF信号を受信するように構成されたアンテナデバイスを含み、放射エレメント112-1の出力が較正アンテナ104-1によってアセスされ得るようになっている。アッセンブリ100-1は、複数の較正アンテナ104-1を含み、各々の較正アンテナ104-1は、インターフェースプレート114-1に装着されているか、または、インターフェースプレート114-1の中へその他の方法で機械的に一体化されている。他の実施形態において、較正アンテナ104-1は、他のコンポーネントを通してアッセンブリ100-1の中へ機械的に一体化することが可能である。ある実施形態において、較正アンテナの数は、4つであることが可能である。各々の較正アンテナ104は、受信されたRF信号データを獲得し、この獲得されたデータを宇宙船および/またはアッセンブリ100-1のオンボードプロセッサーに渡して戻すことが可能であり、アッセンブリ100-1の、ビーム形成パラメーターなどの、RF送信パラメーターが、較正アンテナ104-1から受信されたフィードバックにしたがって調節され得るようになっている。そのような調節は、より高いRF性能またはより長いアッセンブリ100-1の寿命を可能にすることができる。その理由は、アッセンブリ100-1が、経年効果、温度変化、または他の要因を考慮するように調節することが可能であるからである。いくつかの例において、較正アンテナ104-1に関連付けられる較正エレクトロニクスは、PCB106-1の中へ一体化されるかもしくはPCB106-1の上に装着され、および/または、ビーム形成回路の中へ一体化されることが可能である。
【0042】
PCB106-1は、フロントサイド108-1およびリアサイド110-1(図3に描かれている)を含む多層プリント回路基板である。PCB106-1は、概して長方形の回路基板であり、切り取られた角部を備えており、PCB106-1が4つの長い縁部および4つの短い縁部を含むようになっている。PCBの中の層の数は、変化することが可能である。他の実施形態において、PCB106-1は、より少ないまたはより多くの層を含むことが可能である。アナログビーム形成を用いる実施形態では、PCB106-1は、より多くの層を含むことが可能である。他の例では、PCBは、丸形または六角形の形状などのような、異なる形状を含むことが可能である。
【0043】
フロントサイド108-1において、PCB106-1は、パッチ放射エレメント112-1のアレイを含む。各々のエレメント112-1は、ラジオ周波数信号を送信するように構成されたアンテナである。各々のパッチ放射エレメント112-1は、概して六角形のアンテナであり、概して円形の露出された金属部分を備えている。各々の六角形の放射エレメント112-1は、テッセレーションされる(tessellated)ことが可能であり、放射エレメント112-1がほとんどギャップなしにPCB106-1の連続的な表面を全体的にカバーするようになっている。いくつかの例において、各々の放射エレメントは、金、銅、アルミニウム、もしくは銀合金から構築することが可能であり、または、金、銅、アルミニウム、銀、または、金、銅、アルミニウム、もしくは銀合金によってメッキすることが可能である。各々の放射エレメント112-1は、RF駆動回路に連結されており、各々の放射エレメント112-1が別個の信号を提供するようになっている。アッセンブリ100-1の中の放射エレメント112-1の数は、電力消費、コスト、および/または指向性の間のトレードオフなどの、複数の設計要因に基づいて決定することが可能である。いくつかの例において、放射エレメント112-1は、一体化された偏波器およびフィルター(たとえば、PCB106-1に装着され得る単一のサブアッセンブリの中へ一体化されている)、アルミニウムキャリアチャンク、エアギャップされたパッチ、一体化されたパッチ、導波管エレメント、プローブおよびカップエレメント、螺旋状エレメント、または他のエレメントを備えた、微細加工されたクロスダイポールを含むことが可能である。いくつかの例において、放射エレメント112-1は、正方形の放射エレメント、または、正方形のグリッドで配置されている丸形の放射エレメントを含むことが可能である。変形例では、放射エレメント112-1は、正方形もしくは長方形の格子または不規則な格子で配置され、または、その上に設置されることが可能である。
【0044】
リアサイド110-1において、PCB106-1は、複数の電気的なコンポーネントを含む。電気的なコンポーネントは、表面実装型デバイス(SMD)を含む。SMDは、PCB106-1のリアサイド110-1の表面の上に装着されている。SMDは、ボンディング技法を使用して、または、コネクター付きインターフェースを通して、表面110-1に装着されることが可能である。コネクター付きインターフェースは、たとえば、ピンおよびソケットインターフェースであることが可能である。ある実施形態において、SMDは、表面110-1の上にはんだ付けすることが可能である。他の実施形態において、SMDは、他の適切なボンディング技法を使用して、表面110-1に装着することが可能である。SMDは、増幅器、フィルター、偏波器、および、アナログまたはデジタルビーム形成回路を含むことが可能である。いくつかのケースでは、SMDは、別のSMDを通して(たとえば、1つのSMDを別のSMDに装着することによって)、PCB106-1に間接的に装着することが可能である。デジタルビーム形成回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)などのような複数の集積回路を含むことが可能である。他の実施形態において、SMDは、キャパシター、抵抗器、インダクター、アイソレーター、および他の集積回路をさらに含むことが可能である。リアサイド110-1の上に装着されるSMDの上に存在する接点は、PCB106-トレースを通して放射エレメント112-1にルーティングすることが可能であり、リアサイド110-1の上に装着されたSMDが放射エレメント112-1を駆動することができるようになっている。
【0045】
アッセンブリ100-1は、それが比較的にロープロファイルであることに起因して、とりわけ、放射線干渉の影響を受けやすい可能性がある。その理由は、より少ない本質的に放射線を遮蔽するコンポーネントが、放射線源と放射線感受性の高いコンポーネントとの間にあることが可能であるからである。いくつかの実施形態において、銅層または平面が、PCB106-1の中に存在していることが可能であり、PCB106-1のリアサイド110-1の上の電気的なコンポーネントが放射線から遮蔽され得るようになっている。これらの銅層のうちのいくつかは、放射線遮蔽機能性のためのみに存在していてもよい。たとえば、アッセンブリ100-1の宇宙ベースの用途では、PCB106-1のフロントサイド108-1は、アッセンブリ100-1の動作の間に宇宙空間に露出される可能性がある。宇宙空間から生じる放射線が、PCB106-1のフロントサイド108-1に当たる可能性がある。アッセンブリ100-1の放射線感受性の高い電気的なコンポーネントは、放射線被爆を制限するために、PCB106-1のリアサイド110-1の上に設置することが可能である。しかしながら、より高いエネルギーの放射線が、PCB106-1を通って、PCB106-1のリアサイド110-1まで透過することが可能であり、PCB106-1のリアサイド110-1の上に設置されている感受性の高い電気的なコンポーネントに対する放射線被爆を結果として生じさせる。PCB106-1の中の放射線遮蔽銅層の存在は、放射線がPCB106-1を通って透過することおよびPCB106-1のリアサイド110-1の上の感受性の高い電気的なコンポーネントと干渉することを有利に防止することが可能である。その理由は、いくらかの放射線が、PCB106-1の中の放射線遮蔽銅層を容易には透過することができないからである。また、フロントPCBハウジング102-1は、いくらかの放射線を遮蔽することによって、高エネルギー放射線が浅い角度からPCB106-1に衝突する確率を低減させることが可能である。
【0046】
PCB106-1の中の放射線遮蔽銅層の設置および形状は、レイトレーシングの適用によって決定することが可能であり、そこでは、宇宙船の動作位置および配向が知られる。個別の放射線遮蔽コンポーネントと比較して、放射線遮蔽のために一体化されたPCB銅層を使用することは、より小さな体積および/または質量を有するアッセンブリ100-1の生産を可能にすることができ、それは、体積および質量が重要な制約となり得る宇宙用途にとって有利である可能性がある。
【0047】
ここで図2A図2C(集合的に図2と称する)を参照すると、そこに示されているのは、上面図、側面図、および正面図をそれぞれ含む、図1のアッセンブリ100-1の等角投影図である。等角投影図に見ることができるのは、アッセンブリ100-1の正面および側面である。図1図2の実施形態は、図2Cおよび図2Bのそれぞれ正面図および側面図において見られるように、比較的にロープロファイルのアッセンブリ100-1を含む。
【0048】
ここで図3Aおよび図3B(集合的に図3と称する)を参照すると、そこに示されているのは、図1および図2のアッセンブリ100-1の分解図である。また、図3に示されているのは、コネクターカバー116-1、電力コンバーター(EPC)118-1(PCB106-1の周りまたは下方に装着されている)、およびRFチェーン120-1である。コネクターカバーは、デジタル、ラジオ周波数、テレメトリーおよびテレコマンドインターフェース、またはパワーコネクターのためのカバーを含むことが可能である。
【0049】
インターフェースプレート114-1は、概して平面的なプレートである。インターフェースプレート114-1は、フロントPCBハウジング102-1に取り付けるように構成されており、インターフェースプレート114-1およびフロントPCBハウジング102-1が互いに固定されるときに、PCB106がインターフェースプレート114-1とフロントPCBハウジング102-1との間に確実に固定され得るようになっている。
【0050】
インターフェースプレート114-1は、機械的な締結具によってインターフェースプレート114-1を宇宙船に取り付けることによってアッセンブリ100-1を宇宙船に装着するための複数の装着孔を含む。機械的な締結具は、たとえば、マシンスクリューであることが可能である。
【0051】
インターフェースプレート114-1は、アッセンブリ100-1の熱生産コンポーネントまたは消散性コンポーネントから離れるような熱伝達を推進するように構成されている。インターフェースプレート114-1は、好ましくは、アルミニウム合金、繊維、微粒子、または粉末充填のカスタマイズ可能な比率を有する制御された膨張のテーラードメタル(controlled expansion tailored metal)、銅、または銅合金などの、高い熱伝導率を有する材料から構築されている。インターフェースプレート114-1は、アッセンブリ100-1の熱生産コンポーネントがインターフェースプレート114-1の中へ熱を容易に伝導することができるように構成されている。たとえば、インターフェースプレート114-1の表面は、PCBのリアサイド110-1の上に存在する電気的なコンポーネントの高さ変化とマッチすることが可能であり、電気的なコンポーネントがインターフェースプレート114-1と物理的に接触しており、電気的なコンポーネントからインターフェースプレート114-1への熱伝導を可能にすることができるようになっている。
【0052】
図1図3の例では、インターフェースプレート114-1は、マイクロ流体チャネルをさらに含む。マイクロ流体チャネルは、パッシブの流体チャネルであることが可能である。マイクロ流体チャネルは、インターフェースプレート114-1を通したより大きな熱伝達を推進するように構成される。マイクロ流体チャネルは、導電性流体によって充填されることが可能であり、それは、インターフェースプレート114-1の全体的な熱伝導性を改善することが可能である。いくつかの例において、導電性流体は、アッセンブリ100-1の動作温度の近くにおける温度において相変化点を含む多相流体を含むことが可能であり、導電性流体がアッセンブリ100-1の動作の間に相変化を受ける可能性があるようになっており、それは、インターフェースプレート114-1の全体的な熱伝導性をさらに増加させることが可能である。インターフェースプレート114-1の中の流体チャネルは、より低い体積の中でより高い熱流束を取り扱うことを可能にすることができ、それは、大幅な質量節減を提供することが可能である。いくつかの実施形態において、インターフェースプレート114-1の流体チャネルは、アレイの周辺部にルーティングされることが可能である。サーマルインターフェース材料は、DRA100-1の消散性の電気的な、電子的な、および電気機械的なコンポーネントを、小さな圧縮力のみを働かせるサーマルインターフェースプレート114-1に接続するために選択することが可能である。他の実施形態において、銅および/または水を充填されたヒートパイプが、インターフェースプレート114-1の中へ一体化され、より大きな熱伝達率を推進することが可能である。
【0053】
コネクターカバー116-1は、PCB106-1の上に存在しているコネクターコンポーネントの上に設置され得る物理的なカバーを含む。コネクターカバー116-1は、カバーされたプロテクターを物理的なおよび化学的な損傷から保護することが可能である。
【0054】
EPC118-1は、電力供給コンポーネントを含み、電力供給コンポーネントは、宇宙船電源から供給電力を受け取り、アッセンブリ100-1のコンポーネントに電力を供給するのに必要とされる仕様を備えた電力を出力するように構成されている。いくつかの実施形態において、EPC118-1は、インターフェースプレート114-1に直接的に装着されるか、または、遠隔に装着されてケーブルによってアッセンブリ100-1に接続されることが可能である。
【0055】
RFチェーン120-1は、宇宙船のオンボードプロセッサーからデジタル入力信号を受信し、放射エレメント112-1に駆動信号を出力するように構成された電気的なコンポーネントを含む。RFチェーン120-1は、デジタルビーム形成回路(たとえば、ASIC)、デジタル-アナログコンバーター、増幅器、偏波器、フィルター、および他の集積回路を含むことが可能である。
【0056】
ここで図4図6を参照すると、そこに示されているのは、実施形態による、受信(Rx)構成された直接放射アレイアッセンブリ100-2のさまざまな図である。図4図6は、それぞれ図1図3と同様である。図1図3を参照して上記に提供された説明は、図4図6にも適用される。アッセンブリ100-1がビーム形成されたRF信号を送信するように構成されている一方で、アッセンブリ100-2がRF信号を受信するように構成されているという点において、アッセンブリ100-2は、アッセンブリ100-1とは異なる。アッセンブリ100-2は、アッセンブリ100-1と同様のコンポーネントを含む。「-1」を付加された参照文字を伴うコンポーネントの説明は、「-2」を付加された参照文字を伴うコンポーネントに対応する。
【0057】
Rx DRAアッセンブリ100-2は、二重偏波もしくは単一偏波で動作することが可能であり、または、L/S周波数帯もしくはC周波数帯(たとえば、L/SもしくはCフラットDRA)で動作するように構成されることが可能である。
【0058】
RFチェーン120-2は、放射エレメント112-2によって受信されたRF信号を入力として受信し、RF信号をビーム形成されたデジタル信号に変換するように構成されており、ビーム形成されたデジタル信号は、宇宙船のオンボードプロセッサーに提供されて解析することが可能である。
【0059】
アッセンブリ100-2の熱設計は、異なる可能性がある。その理由は、より少ない/より低い出力消散コンポーネントが、Rxアッセンブリ100-2の中に存在している可能性があり、それは、より少ない熱制御ハードウェアおよびより小さなサーマルインターフェースを必要とする可能性があるからである。
【0060】
ここで図7を参照すると、そこに示されているのは、隔離した状態のアッセンブリ100-1のPCB106-1のリアサイド110-1の詳細斜視図である。
【0061】
PCB106-1に見ることができるのは、複数のRFチェーンコンポーネント120-1である。図1図3および図7の実施形態では、RFチェーンコンポーネント120-1の96個のスタックが描かれている。アッセンブリ100-1、100-2の他の実施形態では、異なる数のセットのRFチェーンコンポーネント120-1が存在していてもよい。RFチェーンコンポーネント120-1の数は、一般的に、各々のアッセンブリ100-1の放射エレメント112-1の合計数に比例することが可能である。アッセンブリ100-1において、RFチェーンコンポーネント212の96個のスタックが、全体の放射エレメント112-1にフィードする。他の実施形態では、RFチェーンコンポーネントのより少ないまたはより多くのスタックが、固定された数の放射エレメントのために存在していることが可能である。個々のスタックの中のコンポーネント数は、実施形態において変化することが可能である。
【0062】
一般的に、放射エレメント112-1に関連付けられたRFチェーンコンポーネント120-1は、PCB106-1を横切って、放射エレメントの真向かいに位置決めされることが可能である。これは、RF損失および信号劣化を制限するために、放射エレメント112-1と関連の駆動コンポーネントとの間の導電性経路長さを最小化することが可能である。たとえば、PCB106-1のフロントサイド108-1の中央に位置決めされている放射エレメントは、PCB106-1のリアサイド110-1の中央に位置決めされているRFチェーンコンポーネント120-1によって駆動することが可能である。RFチェーンコンポーネント120-1は、一般的に放射エレメントの真向かいに位置決めされているが、いくつかの実施形態では、いくつかのRFチェーンコンポーネント(たとえば、フィルターおよび/または偏波器)は、他の位置に、または、PCBのフロントサイド108-1の上に設置されることが可能である。
【0063】
ここで図8を参照すると、そこに示されているのは、隔離した状態のPCB106-1のリアサイド110-1の詳細平面図である。
【0064】
図8に見ることができるのは、PCB106-1のリア表面110-1に連結されている複数のRFチェーンコンポーネント120-1であり、コンポーネント間の間隔が可視化され得るようになっている。追加的に、図8に見ることができるのは、RFチェーンクラスター122-1の描写である。RFチェーンクラスター122-1は、特定の配置にある8つのRFチェーンコンポーネント120-1のグループを含む。PCB106-1は、合計12個のRFチェーンクラスター122-1を含む。変形例では、RFチェーンクラスター122-1の数および個々のRFチェーンクラスター122-1の中のRFチェーンコンポーネント120-1の数は、変化することが可能である。
【0065】
ここで図9を参照すると、そこに示されているのは、隔離した状態の単一のRFチェーンクラスター122-1の詳細斜視図である。「上部」、「上方」、「下方」、および「底部」という用語が全体を通して使用されているが、これらの用語は、アッセンブリ100-1の電気的なコンポーネントの相対的な位置を説明することを意図している。それらの用語は、リア表面110-1に対して相対的に定義される。リア表面110-1と接触しているコンポーネントは、3次元のスタックの「底部」にあると見なされる。リア表面110-1から最も遠くにあるコンポーネントは、スタックの「上部」にあると見なされる。「上方」および「下方」は、リア表面110-1に対して定義され、リア表面110-1から離れる垂直方向は、「上方」として定義され、一方では、リア表面110-1に向かう垂直方向は、「下方」として定義される。「垂直」方向は、リア表面110-1に対して垂直として定義され、一方では、「水平」方向は、リア表面110-1に対して平行として定義される。
【0066】
図9に見ることができるのは、RFチェーンコンポーネント120-1を含む、PCB106-1(図9には示されていない)のリア表面110-1に連結されている複数の電気的なコンポーネントである。いくつかの例において、いくつかのコンポーネントは、たとえば、ストリップラインとして、PCB106-1の中へ一体化されるか、または、PCB106-1のフロントサイド108-1に連結されることが可能である。
【0067】
複数の電気的なコンポーネントは、フィルター124-1、システムインパッケージ(SIP)126-1、およびデジタルビーム形成集積回路130-1を含む。各々のSIPは、増幅器、フィルター、およびハイブリッドコンポーネントを含むことが可能である。図9の実施形態では、2つのフィルター124-1および1つのSIPが、RFチェーンコンポーネント120を形成している。RFチェーンコンポーネント120は、図9に示されているようにスタッキング構成で構成されているとき、スタックされたRFチェーン、スタックされたパッケージ、またはRFチェーンコンポーネントスタックと称することが可能である。他の実施形態において、スタックの中の各々のコンポーネントの数は、変化することが可能である。いくつかの実施形態において、密閉して囲まれたモノリシックのマイクロ波集積回路または他のコンポーネントを、SIPの代わりに使用することが可能である。各々のSIPは、複数のRFチャネルを含むことが可能である。スタックの中のフィルター124-1の数は、SIPの中のRFチャネルの数に対応することが可能である。
【0068】
アナログビーム形成を用いる実施形態では、アナログビーム形成集積回路が存在していることが可能であり、高パワー増幅器を含むことが可能である。いくつかの例において、アナログビーム形成集積回路は、SIPの中にパッケージ化することが可能である。一般的に、アナログビーム形成を用いる実施形態は、アナログビーム形成のための回路設計がより複雑になる可能性があるので、より多くの数のコンポーネント/集積回路を含むこととなる。
【0069】
図9に見ることができるのは、アッセンブリ100の3次元のコンポーネントスタッキング配置である。たとえば、SIP126-1は、フィルター124-1の上方にスタックされており、フィルター124-1は、2つのフィルター124-1がPCB106-1の上に互いに重ねてスタックされるように配置されている。この3次元のコンポーネントスタッキング配置は、よりスペース効率的なコンポーネント配置を結果として生じさせる。所与の体積およびPCB106-1面積に関して、3次元のコンポーネントスタッキング配置が使用される場合には、より従来の2次元の配置が使用される場合よりも多くの数の電気的なコンポーネントが、PCB106-1の上に設置されることが可能である。たとえば、固定されたコンポーネント間隔に関して、2次元のコンポーネント配置では、3次元のコンポーネント配置のときと同じ数のコンポーネントを支持するために、より大きな面積を有するPCBが必要とされることとなろう。追加的に、3次元のコンポーネント配置は、熱的変動に起因する疲労破壊により良好に耐えることとなる。
【0070】
この実施形態では、2つのフィルター124-1が、連続してスタックされており、2つのフィルター124-1スタックの底部表面がPCB106-1のリア表面110-1に連結されることが可能であり、一方では、2つのフィルター124-1スタックの上部表面が上方の別のコンポーネントを自由に受け取ることができるようになっている。他の実施形態では、より多くのフィルター124-1が、単一のスタックの中に組み立てられてもよい。
【0071】
SIP126-1は、2つのフィルター124-1の上部表面に連結または装着されており、SIP126-1が両方のフィルター124-1(フィルタースタック)の上方にあるようになっている。
【0072】
この実施形態では、2つの放射エレメントをフィードするコンポーネントスタックは、2フィルターモジュールを含むことが可能である。コンポーネント同士は、垂直方向に互いに重ねてスタックされている。
【0073】
スタックは、垂直方向にスタックすることが可能であり、スタックは、PCB106-1の上に水平方向に配置することが可能である。
【0074】
他の実施形態において、他のコンポーネントスタッキング配置が用いられることが可能である。
【0075】
図9に図示されている体積的に効率的なコンポーネント配置は、より低い質量および体積を有するDRAアッセンブリの構築を可能にすることができる。宇宙船打ち上げコストおよび耐用年数は、全体的な質量に比例する可能性があるので、体積的に効率的なコンポーネント配置は、アッセンブリ100が連結されている宇宙船の打ち上げコストおよび耐用年数を低減させることが可能である。
【0076】
ここで図10を参照すると、そこに示されているのは、RFチェーンクラスター122-1の詳細平面図である。SMD技術および特定のコンポーネントレイアウトの使用を通して、図10に描かれているように、より従来の他のレイアウトよりも低い損失および高いDC効率を結果として生じさせる非常に短いRF経路およびDC経路に加えて、非常に高密度のコンポーネント間隔が実現可能である。
【0077】
ここで図11を参照すると、そこに示されているのは、アッセンブリ100-1の断面図である。
【0078】
図11に示されているように、RFチェーンコンポーネント120-1は、インターフェースプレート114と物理的に接触している。アッセンブリ100-1は、アッセンブリ100-1の駆動エレクトロニクスがPCB106-1の単一のサイド(リアサイド110-1)に位置決めされるように構成されている。これは、アッセンブリ100-1のより簡単でより効果的な熱管理を提供することが可能である。
【0079】
アッセンブリ100-1は、追加的に、より高い熱生産RFチェーンコンポーネントがRFチェーン120-1の3次元配置の最上部位置におよびインターフェースプレート114-1の最も近くに設置されるように構成されている。そのような構成では、SIP126-1を含む最上部RFチェーンコンポーネントからインターフェースプレート114-1の中へ熱が容易に伝導されることが可能である。熱の流れ142-1が、アッセンブリ100-1を通る熱の流れの方向を描写している図11に見られることが可能である。
【0080】
アッセンブリ100-1のいくつかの実施形態において、インターフェースプレート114-1およびRFチェーンコンポーネント120-1の接触表面は、RFチェーンコンポーネント120-1からインターフェースプレート114-1への熱伝達を促すように処理されることが可能である。たとえば、インターフェースプレート114-1およびRFチェーンコンポーネント120-1の接触表面は、表面接触を改善するために研磨されることが可能であり、または、RFチェーンコンポーネント120-1-インターフェースプレート114-1インターフェースを横切る熱伝達を推進するために、サーマルコンパウンドによって処理されることが可能である。
【0081】
ここで図12を参照すると、そこに示されているのは、図1図3および図11のアッセンブリ100-1の断面図である。追加的に描かれているのは、ヒートパイプ138-1、ならびに、宇宙船134-1および熱の流れ142-1である。
【0082】
宇宙船134-1は、アッセンブリ100-1がその上に装着されて動作される宇宙船である。宇宙船134-1は、衛星を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、衛星は、地球低軌道(LEO)衛星であることが可能である。他の実施形態において、アッセンブリ100-1は、以前に説明されたように、他の車両の上に、または、静止したもしくは移動可能な構造体の上に装着されることが可能である。
【0083】
ヒートパイプ138-1は、宇宙船134-1の熱管理コンポーネントを含む。ヒートパイプ138-1は、宇宙船134-1の主要な熱経路であることが可能であり、宇宙船134-1の熱生産コンポーネントは、熱がヒートパイプの中へ(たとえば、伝導を通して)、ひいては、熱発生コンポーネントから離れるように伝達され得るように配置されている。
【0084】
ヒートパイプ138-1は、熱発生コンポーネントからヒートパイプ138-1への熱伝導を可能にするために、熱発生コンポーネントの動作温度の下方の温度に維持されなければならない。いくつかの例において、宇宙船134-1は、ヒートパイプ138-1に連結されているサーマルラジエーターをさらに含むことが可能であり、熱がヒートパイプ138-1から宇宙空間へ放射されるか、または、ヒートパイプ138-1からサーマルラジエーター(たとえば、パネルラジエーターなど)へおよびラジエーターから宇宙へ伝達され得るようになっており、ヒートパイプ138-1の温度を低減させるかまたは維持するようになっており、効果的な温度勾配が維持されるようになっている。
【0085】
アッセンブリの熱管理のための宇宙船中央ヒートパイプ138-1の使用は、アッセンブリ100-1のコスト、複雑さ、質量、および体積を低減させることが可能である。その理由は、別個に設計および実装された熱除去システムがアッセンブリ100-1に必要とされない可能性があるからである。追加的に、宇宙船中央ヒートパイプ138-1の使用は、インターフェースプレート114-1を超える、アッセンブリ100-1における追加的な熱伝達デバイスの必要性を回避することを助けることが可能であり、または、アッセンブリ100-1の上部に宇宙船ヒートパイプをルーティングすることなどによって宇宙船の熱管理サブシステム/インフラストラクチャーを再構成するかもしくはそれに追加する必要性を回避することを助けることが可能である。ヒートパイプは、宇宙船の地球に面するパネルの上に、アッセンブリ100-1と宇宙船の地球に面するパネルとの間に、または、アッセンブリ100-1の下におよび宇宙船の地球に面するパネルの中にルーティングされることが可能である。他の実施形態において、ヒートパイプは、宇宙船の中のどこにルーティングされてもよい。他の実施形態において、ヒートパイプ以外の熱伝達技術が、宇宙船熱制御サブシステムの一部として実装され、アッセンブリ100-1を熱的に管理するために使用されることが可能である。他の実施形態において、ヒートパイプは、代替的に、インターフェースプレート114-1の下側/反対側に装着されることが可能である。
【0086】
アッセンブリ100-1は、アッセンブリ100-1の中央放射エレメント112-1が周辺放射エレメント112-1よりも高いパワーレベルにおいてRF信号を送信するように構成することが可能である。以前に説明されたように、各々の放射エレメント112-1の駆動コンポーネントは、PCB106-1の他方の側において、放射エレメントの概して真向かいに設置されている。結果として、中央放射エレメント112-1に関連付けられるコンポーネントは、一般的に、動作の間により多くの電力を消費し、より多くの熱を発生させ、その熱は消散される必要がある。図12の中のヒートパイプ138-1は、アッセンブリ100-1の最も中央の放射エレメント112-1の下の相対的な位置にあり、最も多くの熱を発生させるコンポーネントがヒートパイプ138-1のより近くにあるようになっており、それによって、アッセンブリ100-1の熱除去性能を増加させる。
【0087】
図11および図12を参照した上記の説明は、アッセンブリ100-2に適用することが可能である。図11および図12に描写されている熱伝達方法は、Rxアッセンブリ100-2において適用され得る熱伝達方法と動作に関して同一であり、RFチェーン120-1およびインターフェースプレート114-1に対するRFチェーン120-2およびインターフェースプレート114-2の構成に関してのみ異なるだけである。その理由は、各々のRFチェーンの異なるコンポーネントが熱を発生および消散させることとなり、異なる形状のインターフェースプレートが必要とされる可能性があるからである。
【0088】
ここで図13を参照すると、そこに示されているのは、実施形態による、隔離した状態のPCB106-1の一部分の斜視図である。
【0089】
単一のRFチェーンクラスター122-1(透明に描写されている)が、図13に見ることができる。
【0090】
PCB106-1は、図13において半透明に描写されており、放射線遮蔽銅層140-1がPCB106-1を通して見ることができるようになっている(すなわち、放射線遮蔽銅層140-1は、多層PCB106-1の内側層として構成されている)。
【0091】
ここで図14を参照すると、そこに示されているのは、図13のPCB106-1の一部分の平面図である。
【0092】
PCB106-1は、半透明に描写されており、放射線遮蔽銅層140-1がPCB106-1を通して見ることができるようになっている。
【0093】
図14において見られるように、放射線遮蔽銅層140-1は、デジタルビーム形成集積回路130-1の下方に設置されている。その理由は、このコンポーネントがアッセンブリ100-1の例示的な実施形態において放射線感受性の高いコンポーネントを含むからである。
【0094】
他の例では、放射線遮蔽銅層140-1は、他の形状、サイズ、および位置を含むことが可能である。いくつかの例において、放射線遮蔽銅層140-1は、いくつかの交差しない銅領域または銅アイランドを含む複雑なコンパウンド形状を含むことが可能である。いくつかの例において、各々の交差しない銅領域は、同じPCB層または別個のPCB層の上に設置することが可能である。いくつかの例において、放射線遮蔽銅層140-1は、デジタルビーム形成集積回路130-1以外のコンポーネントを遮蔽するように構成および位置決めすることが可能である。いくつかの例において、フィルターコンポーネントは、PCB106-1の中に埋め込まれ、放射エレメント112-1の下に位置決めすることが可能である。別の例では、フィルターコンポーネントは、PCBのフロントサイド108-1の上に装着され、放射エレメント112-1の下に位置決めすることが可能である。フィルターコンポーネントのそのような構成は、放射線遮蔽に寄与することが可能である。
【0095】
以前に説明されたように、放射シールドとして銅PCB層を使用することは、アッセンブリ100-1に対する体積および質量の低減を結果として生じさせることが可能である。その理由は、より大きな質量および体積の個別の放射線遮蔽コンポーネントが、100-1の性能を推進するためにPCB106-1の外部に取り付けられることを必要とされない可能性があるからである。
【0096】
図13および図14は、送信構成されたDRAアッセンブリ100-1のPCB106-1を描写しているが、同様の遮蔽層が、異なるサイズおよび位置決めを伴って、PCB106-2の中に存在していることが可能であり、PCB106-2の上のRFチェーン120-2の放射線感受性の高いコンポーネントが、アッセンブリ100-2が露出される可能性のある外部電磁放射線から遮蔽されるようになっている。
【0097】
上記の説明は、1つまたは複数の装置、方法、またはシステムの例を提供しているが、他の装置、方法、またはシステムも、当業者によって解釈されるような特許請求の範囲の中にあることが可能であるということが認識されることとなる。
【符号の説明】
【0098】
100-1 直接放射アレイ(「DRA」)アンテナアッセンブリ
100-2 直接放射アレイ(「DRA」)アンテナアッセンブリ
102-1 フロントプリント回路基板(PCB)ハウジング
102-2 フロントプリント回路基板(PCB)ハウジング
104-1 較正アンテナ
104-2 較正アンテナ
106-1 PCB
106-2 PCB
108-1 フロントサイド
108-2 フロントサイド
110-1 リアサイド
110-2 リアサイド
112-1 放射エレメント
112-2 放射エレメント
114-1 インターフェースプレート
114-2 インターフェースプレート
116-1 コネクターカバー
116-2 コネクターカバー
118-1 電力コンバーター(EPC)
118-2 電力コンバーター(EPC)
120-1 RFチェーン
120-2 RFチェーン
122-1 RFチェーンクラスター
124-1 フィルター
126-1 システムインパッケージ(SIP)
130-1 デジタルビーム形成集積回路
134-1 宇宙船
138-1 ヒートパイプ
140-1 放射線遮蔽銅層
142-1 熱の流れ
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側部および前記第1の側部に対向する第2の側部を有するプリント回路基板(「PCB」)と、
前記プリント回路基板(「PCB」)に対して概して平行に配置されているサーマルインターフェースプレートと、
前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第1の側部に装着されている複数の放射エレメントと、
前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第2の側部におよび前記サーマルインターフェースプレートに装着されている複数のラジオ周波数(「RF」)チェーンであって、前記複数のラジオ周波数(「RF」)チェーンのそれぞれ各1つは、前記複数の放射エレメントのそれぞれの1つに連結され、前記複数の放射エレメントのそれぞれの1つに近接して位置付けされ、前記サーマルインターフェースプレートに熱的に連結されている、複数のラジオ周波数(「RF」)チェーンと、
前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第2の側部に装着されている複数のビーム形成回路であって、前記ラジオ周波数(「RF」)チェーンの各々は、前記複数のビーム形成回路のうちの少なくとも1つに接続されている、複数のビーム形成回路と、
を含む、直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項2】
前記ラジオ周波数(「RF」)チェーンは、複数のスタックで配置されており、前記複数のスタックのそれぞれ各1つは、前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第2の側部に装着されているとともに、前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第2の側部に対して概して垂直に延在している、請求項1に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項3】
前記放射エレメントは、パッチ放射エレメントである、請求項1に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項4】
前記プリント回路基板(「PCB」)は、1つまたは複数の放射線遮蔽銅層を含み、前記1つまたは複数の放射線遮蔽銅層は、前記プリント回路基板(「PCB」)の中に埋め込まれているとともに、前記直接放射アレイ(「DRA」)アンテナの電気的な、電子的な、または電気機械的なコンポーネントを放射線から遮蔽するように位置決めされている、請求項1に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項5】
前記サーマルインターフェースプレートは、複数の流体チャネルを含む、請求項1に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項6】
前記サーマルインターフェースプレートは、移動可能なまたは静止した構造体の上に装着されているときに、唯一のサーマルスプレッダー、ならびに、前記移動可能なまたは静止した構造体との前記直接放射アレイ(「DRA」)アンテナの導電性および放射交換インターフェースとして作用する、請求項1に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項7】
前記移動可能なまたは静止した構造体は、宇宙船である、請求項6に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項8】
前記移動可能なまたは静止した構造体は、地球低軌道衛星である、請求項6に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項9】
前記複数のスタックの各々は、1つまたは複数のサーマルインターフェース材料を介して前記サーマルインターフェースプレートに接続されている、請求項2に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項10】
第1の側部および前記第1の側部に対向する第2の側部を有するプリント回路基板(「PCB」)と、
前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第1の側部に装着されている複数の放射エレメントと、
前記複数の放射エレメントのそれぞれ1つに各々連結されている複数のラジオ周波数(「RF」)チェーンであって、前記複数のラジオ周波数(「RF」)チェーンは、複数のスタックで配置されており、前記複数のスタックのそれぞれ各1つは、前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第2の側部に装着されており、前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第2の側部に対して概して垂直に延在している、複数のRFチェーンと、
を含む、直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項11】
前記放射エレメントは、パッチ放射エレメントを含む、請求項10に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項12】
前記ビーム形成回路は、デジタルビーム形成を実施するように構成されている、請求項1に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項13】
前記ビーム形成回路は、アナログビーム形成を実施するように構成されている、請求項1に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項14】
前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第2の側部に装着されている複数のビーム形成回路をさらに含み、前記ビーム形成回路は、デジタルビーム形成を実施するように構成されている、請求項10に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【請求項15】
前記プリント回路基板(「PCB」)の前記第2の側部に装着されている複数のビーム形成回路をさらに含み、前記ビーム形成回路は、アナログビーム形成を実施するように構成されている、請求項10に記載の直接放射アレイ(「DRA」)アンテナ。
【国際調査報告】