(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-07
(54)【発明の名称】タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス、その調製方法および使用
(51)【国際特許分類】
C12N 7/01 20060101AFI20250228BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20250228BHJP
C12N 15/44 20060101ALI20250228BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20250228BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20250228BHJP
A61K 39/145 20060101ALI20250228BHJP
C07K 14/11 20060101ALN20250228BHJP
【FI】
C12N7/01 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/44
A61P31/16
A61P37/04
A61K39/145
C07K14/11
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024549535
(86)(22)【出願日】2023-02-21
(85)【翻訳文提出日】2024-08-21
(86)【国際出願番号】 CN2023077449
(87)【国際公開番号】W WO2023160550
(87)【国際公開日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】202210160017.8
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519002014
【氏名又は名称】中国科学院深▲チェン▼先進技術研究院
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN INSTITUTES OF ADVANCED TECHNOLOGY CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】1068, Xueyuan Avenue, Shenzhen University Town, Nanshan District, Shenzhen, Guangdong 518055, China
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】司 龍龍
(72)【発明者】
【氏名】李 静
(72)【発明者】
【氏名】陳 麗
(72)【発明者】
【氏名】李 楽
(72)【発明者】
【氏名】申 権
(72)【発明者】
【氏名】沈 金影
(72)【発明者】
【氏名】肖 雪
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BC01
4B065CA24
4B065CA45
4C085AA03
4C085BA55
4C085CC08
4C085DD01
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA40
4H045CA01
4H045EA31
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】本願は、タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス、その調製方法および使用を提供する。
【手段】前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは、加水分解標的M1タンパク質を含み、前記加水分解標的M1タンパク質のC末端には、TEVp認識部位およびユビキチン-プロテアソーム系によって認識されるタンパク質加水分解標的分子が順次に挿入され、前記ユビキチン-プロテアソーム系によって認識されるタンパク質加水分解標的分子は、SEQ ID No.1~353で示されるアミノ酸配列を含む。前記加水分解標的M1タンパク質はユビキチン-プロテアソーム系によって認識されて加水分解することができ、ウイルスの複製能力が低下し、高い安全性を有する。本願に係るタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスのサブタイプの種類が豊であり、インフルエンザウイルスワクチンの研究開発に対して重要な役割を果たす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水分解標的M1タンパク質を含むタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスであって、
前記加水分解標的M1タンパク質のC末端には、TEVp認識部位およびユビキチン-プロテアソーム系によって認識されるタンパク質加水分解標的分子が順次に挿入され、前記ユビキチン-プロテアソーム系によって認識されるタンパク質加水分解標的分子は、SEQ ID No.1~353で示されるアミノ酸配列を含む、
タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス。
【請求項2】
前記TEVp認識部位は、SEQ ID No.354で示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス。
【請求項3】
前記M1タンパク質のC末端とTEVp認識部位との間はフレキシブルリンカー1により連結され、
好ましくは、前記フレキシブルリンカー1はSEQ ID No.355で示されるアミノ酸配列を含み、
好ましくは、前記TEVp認識部位とタンパク質加水分解標的分子との間はフレキシブルリンカー2により連結され、
好ましくは、前記フレキシブルリンカー2はSEQ ID No.356で示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1または2に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス。
【請求項4】
前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型のウイルスであり、
好ましくは、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスのサブタイプは、H1N1、H1N2、H1N3、H1N8、H1N9、H2N2、H2N3、H2N8、H3N1、H3N2、H3N8、H4N2、H4N4、H4N6、H4N8、H5N1、H5N2、H5N3、H5N6、H5N8、H5N9、H6N1、H6N2、H6N4、H6N5、H6N6、H6N8、H7N1、H7N2、H7N3、H7N7、H7N8、H7N9、H8N4、H9N1、H9N2、H9N5、H9N8、H10N3、H10N4、H10N7、H10N8、H10N9、H11N2、H11N6、H11N9、H12N1、H12N3、H12N5、H13N6、H13N8、H14N5、H15N2、H15N8、H16N3、H17N10またはH18N11のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の加水分解標的M1タンパク質をコードする、
核酸分子。
【請求項6】
少なくとも1つのコピーされた請求項5に記載の核酸分子を含む、
組換えベクター。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法であって、
タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを調製するための発現ベクターを構築するステップ(1)と、
インフルエンザウイルスレスキューシステムにおけるインフルエンザウイルスのM遺伝子を発現するプラスミドをステップ(1)で得られた発現ベクターに置き換え、細胞系でコトランスフェクトし、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを取得するステップ(2)と、を含む、
タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法。
【請求項8】
ステップ(1)において、前記発現ベクターには前記加水分解標的M1タンパク質のコード配列が含まれ、
好ましくは、ステップ(2)において、前記細胞系はTEVpを過剰発現する人工細胞系であり、
好ましくは、ステップ(2)において、前記インフルエンザウイルスレスキューシステムは、WSNインフルエンザウイルスの12プラスミドレスキューシステムを含む、
請求項7に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法。
【請求項9】
前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを、TEVpを過剰発現する人工的に改変された細胞系で複製し、大規模に生産するステップを更に含む、
請求項7または8に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを含むインフルエンザウイルスワクチンであって、
好ましくは、前記インフルエンザウイルスワクチンは弱毒化ワクチン、複製欠陥生ウイルスワクチンまたは複製制御可能生ウイルスワクチンのうちのいずれか1種である、
インフルエンザウイルスワクチン。
【請求項11】
請求項1~4のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス、請求項5に記載の核酸分子、請求項6に記載の組換えベクター、請求項7~9のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法または請求項10に記載のインフルエンザウイルスワクチンのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせの、インフルエンザを治療する薬剤および/または腫瘍溶解薬剤の調製における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、バイオテクノロジー分野に属し、具体的に、タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス、その調製方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型という3つのタイプに分類され、この中、インフルエンザAウイルスの爆発は最も頻繁で影響が広い。インフルエンザAウイルスのゲノムは、8つの独立した一本鎖RNA断片からなり、ヘマグルチニンタンパク質(HA)、マトリックスタンパク質(M)、ノイラミニダーゼ(NA)、ヌクレオカプシドタンパク質(NP)、非構造タンパク質(NS)、およびPB1、PB2、PAという3種のポリメラーゼを含む10種のタンパク質をコードする。ただし、マトリックスタンパク質はM1およびM2を含み、非構造タンパク質はNS1およびNEPを含み、ただし、マトリックスタンパク質M1およびM2は、ウイルス粒子形態およびウイルスの病原性を維持する上で重要な役割を果たす。
【0003】
インフルエンザAウイルスは、ヒトおよび鳥類に季節的に感染させることができ、大規模な流行は、極めて高い発病率および死亡率を招き、ヒトの健康を厳重に脅かす。現在、ワクチン接種は、インフルエンザを予防してインフルエンザの伝播を制御する最も主な手段である。
【0004】
CN102899294Aは、H1N1型豚インフルエンザウイルスワクチン株およびその使用を開示し、前記H1N1型豚インフルエンザウイルスワクチン株は、豚インフルエンザを予防する不活化ワクチンであり、同種の強毒によって攻撃された豚に対して良好な保護を提供し、良好な免疫原性を有し、単一ワクチンでも混合ワクチンでもH1N1型豚インフルエンザを効果的に予防することができる。
【0005】
CN106075424Aは、鳥インフルエンザウイルスワクチンを開示し、前記鳥インフルエンザウイルスワクチンの抗原は、不活化されたH9サブタイプの鳥インフルエンザウイルスであり、前記鳥インフルエンザウイルスワクチンに使用されるH9サブタイプ鳥インフルエンザウイルスFJ11株の新しい毒株のHAおよびEID50は、力価が高く、免疫原性が良く、且つ、各地で流行して分離したH9サブタイプ鳥インフルエンザウイルスの攻撃を防御することができる。前記ワクチンの安全性が良く、保存期間試験での特性形状、安全性試験および効力試験データの分析により、分析結果は同種の製品と比べ、各指標がいずれも安定して有効であり、且つ、前記H9サブタイプ鳥インフルエンザの不活化ワクチンは、抗体の生産が速い。
【0006】
しかし、不活化ワクチンは、不活化過程で、有効な抗原成分を破壊または変更し、免疫効果に影響を及ぼす可能性があり、不活化ワクチンの免疫効果の維持時間が短く、複数回接種して強化する必要があり、一般的にコストが高い。それとともに、上記インフルエンザウイルスワクチンは、少量のいくつかのサブタイプのウイルスだけを防御することができる。従って、安全で制御可能であり、標的分解してサブタイプの種類が豊であるインフルエンザウイルスライブラリを開発することは、インフルエンザウイルスワクチンの研究開発に対して重要な役割を果たす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願は、タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス、その調製方法および使用を提供する。前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは、加水分解標的M1タンパク質を含み、前記加水分解標的M1タンパク質は、ユビキチン-プロテアソーム系によって認識できるとともに、タバコエッチングウイルスプロテアーゼ(Tobacco etch virus protease、TEVp)によって切断でき、TEVpを過剰発現する細胞系で大量調製でき、一方、正常な細胞系で、ユビキチン-プロテアソーム系は、ウイルスタンパク質と融合したタンパク質加水分解標的分子を認識し、ウイルスタンパク質を分解し、ウイルスの複製能力が弱められ、ひいては複製能力が完全に失われ、得られたタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは高い安全性を有する。前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは、生ワクチン、弱毒化ワクチンとしてインフルエンザの予防に使用することもでき、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは、腫瘍溶解ウイルスとして腫瘍の治療にも適用できる。本願に係るタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスのサブタイプの種類が豊であり、インフルエンザウイルスワクチンの研究開発に対して重要な役割を果たす。
【課題を解決するための手段】
【0008】
態様1において、本願は、
加水分解標的M1タンパク質を含むタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスであって、
前記加水分解標的M1タンパク質のC末端には、TEVp認識部位およびユビキチン-プロテアソーム系によって認識されるタンパク質加水分解標的分子が順次に挿入され、前記ユビキチン-プロテアソーム系によって認識されるタンパク質加水分解標的分子は、SEQ ID No.1~353で示されるアミノ酸配列を含む、
タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを提供する。
【0009】
本願において、前記タンパク質加水分解標的ウイルスの設計原理は、以下に示すとおりである。
【0010】
(1)ウイルスタンパク質の特定の部位に導入されたタンパク質加水分解標的分子は、正常な宿主細胞中のユビキチン-プロテアソーム系によって認識され、対応するウイルスタンパク質を分解し、ウイルスを不活性化させることができる。
【0011】
(2)ウイルスタンパク質の特定の部位に導入されたタンパク質加水分解標的分子は、特定のウイルス生産系で抑制されるか、または連結鎖により選択的に切断されてウイルスタンパク質と分離し、ウイルスタンパク質がユビキチン-プロテアソーム系によって分解されることを回避または減少することができる。
【0012】
(3)ウイルスタンパク質の特定の部位に導入されたタンパク質加水分解標的分子は、正常な宿主細胞で抑制できないか、またはタンパク質加水分解標的分子とウイルスタンパク質とを連結する連結鎖が正常な宿主細胞で切断できない。従って、調製されたウイルスは、動物および人体等の宿主細胞でユビキチン-プロテアソーム系によって認識されて分解されることができ、複製能力を低減させ、ひいては複製や繁殖能力を完全に失い、ウイルスの安全性を増加する。
【0013】
本願において、前記加水分解標的M1タンパク質のC末端には、それぞれ条件的に切断可能な353種のタンパク質加水分解標的分子が導入され、人体および動物の正常細胞にユビキチン-プロテアソーム系が存在するため、ウイルスタンパク質と融合して発現するタンパク質加水分解標的分子を認識することができ、ウイルスのM1タンパク質をユビキチン-プロテアソーム系により分解し、ウイルスタンパク質を分解することができる。前記加水分解標的M1タンパク質を含む加水分解標的インフルエンザウイルスは、動物および人体で複製が弱められ、ひいては複製繁殖ができなくなり、ウイルスの安全性を増加し、得られた加水分解標的インフルエンザウイルスは、インフルエンザウイルス生ワクチンに調製することができる。
【0014】
前記タンパク質加水分解標的分子のアミノ酸配列は、以下に示すとおりである。その中、SEQ ID No.1~4、SEQ ID No.146~167はKeap1-Cul3 E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.5~7はSOCS2 E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.8はSOCS3 E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.9はSOCS6 E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.10はKLHL-12 E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.11はC-terminal Degrons-Cullin-RING E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.12~17はKLHDC3 E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.18~26はKLHDC2 E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.27はAPPBP2 E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.28~31、SEQ ID No.53~60、SEQ ID No.168~174はSPOP E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.32~34、SEQ ID No.175~176はKLHL3 E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.35~38はKLHL20 E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.39~40はSPSB E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.41~43はFBXO31 E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.44~46、SEQ ID No.126~130、SEQ ID No.311~326はβ-TrCP1 E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.47~50、SEQ ID No.114~120、SEQ ID No.303~305はSCFFBW7E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.51~52はITCH E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.61~64、SEQ ID No.177~182はMDM2 E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.65~67はCRBN E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.68~75、SEQ ID No.183~206はSEQ ID No.183 E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.76~85、SEQ ID No.207~260はAPC/C-Dbox E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.86~90、SEQ ID No.136~140、SEQ ID No.261~278、SEQ ID No.331~345はAPC/C-KENbox E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.91~95、SEQ ID No.294~298はCOP1 E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.96~100、SEQ ID No.299~300はCRL4_CDT2_1 E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.101~105、SEQ ID No.301~302はN-end UBR-box E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.106~113はVHL E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.121~123はSCFSkp2-Cks1E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.124~125、SEQ ID No.306~310はSCFTIR1E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.131~135、SEQ ID No.327~330はSIAH-1 E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.141~145、SEQ ID No.346~347はAPC/C-ABBA E3ユビキチンリガーゼに対応し、SEQ ID No.279~293はAPC/C-TPR1 E3ユビキチンリガーゼに対応する。
【0015】
SEQ ID No.1:LDPETGEYL、
SEQ ID No.2:LDPETGEFL、
SEQ ID No.3:LDEETGEFL、
SEQ ID No.4:AFFAQLQLDEETGEFL、
SEQ ID No.5:PVPDYTSIHIV、
SEQ ID No.6:NIDFYAQVSDI、
SEQ ID No.7:ASFEYTILDPS、
SEQ ID No.8:MPPPGAPSFPSPPTEPSSEVPEQPSAQPLPGSPPRR、
SEQ ID No.9:NGNNYVYIDPT、
SEQ ID No.10:PGAPPGRDLA、
SEQ ID No.11:YYCFG、
SEQ ID No.12:YKKVGTMAAG、
SEQ ID No.13:RWGRRG、
SEQ ID No.14:RPCQRG、
SEQ ID No.15:RAPRQRSRDG、
SEQ ID No.16:SWRLTGFSGMKG、
SEQ ID No.17:RGPSSGG、
SEQ ID No.18:PPPMAGG、
SEQ ID No.19:RGPSSGG、
SEQ ID No.20:EAIGLLGG、
SEQ ID No.21:HLRGSPPPMAGG、
SEQ ID No.22:RGSPPPMAGG、
SEQ ID No.23:SPPPMAGG、
SEQ ID No.24:PPMAGG、
SEQ ID No.25:PMAGG、
SEQ ID No.26:RRGPSSGG、
SEQ ID No.27:VLIRVTYCGL、
SEQ ID No.28:KADTTTPTT、
SEQ ID No.29:PEQDCAVTSGE、
SEQ ID No.30:DEVTSTTSSS、
SEQ ID No.31:KAASADSTTEGTPAD、
SEQ ID No.32:EPEEPEADQHQ、
SEQ ID No.33:GPPSVFPPEPEEPEADQHQ、
SEQ ID No.34:ECEETEVDQHV、
SEQ ID No.35:LPDLV、
SEQ ID No.36:LPDMV、
SEQ ID No.37:LGLPDLVAKYN、
SEQ ID No.38:LGLPDMVAKHN、
SEQ ID No.39:ELNNNL、
SEQ ID No.40:DINNNN、
SEQ ID No.41:PTDVRDVDI、
SEQ ID No.42:PTDVRDIDL、
SEQ ID No.43:PTDVTAIHL、
SEQ ID No.44:KKERLLDDRHDSGLDS、
SEQ ID No.45:KAWQQQSYLDSGIHS、
SEQ ID No.46:LDSGIHS、
SEQ ID No.47:SPLPSGLLTPPQSG、
SEQ ID No.48:CSLIPTPDKE、
SEQ ID No.49:FELLPTPPLS、
SEQ ID No.50:PPTPPGSH、
SEQ ID No.51:TPEAPPCYMDVI、
SEQ ID No.52:KFMPPPTYTEVD、
SEQ ID No.53:EVSIIQGADSTT、
SEQ ID No.54:MVADSTTKID、
SEQ ID No.55:ADSTT、
SEQ ID No.56:EVSIIQGADSTT、
SEQ ID No.57:ASSST、
SEQ ID No.58:DEVTSTTSSS、
SEQ ID No.59:ASSSS、
SEQ ID No.60:PSSSS、
SEQ ID No.61:FSDLWKLL、
SEQ ID No.62:FEHLWSSL、
SEQ ID No.63:FEAQWAAL、
SEQ ID No.64:FQHIWDFL、
SEQ ID No.65:LVDKKSGEK、
SEQ ID No.66:FQCNQCGAS、
SEQ ID No.67:AINITNGEE、
SEQ ID No.68:RAVENQYSFY、
SEQ ID No.69:RAINNQYSFV、
SEQ ID No.70:GDYRR、
SEQ ID No.71:VDYRT、
SEQ ID No.72:GDYRE、
SEQ ID No.73:YDYRG、
SEQ ID No.74:RDYRD、
SEQ ID No.75:DDEGDSYSDNP、
SEQ ID No.76:RKRLPVT、
SEQ ID No.77:RMWLKIT、
SEQ ID No.78:RRTLKMI、
SEQ ID No.79:RSGLQLS、
SEQ ID No.80:RKALETL、
SEQ ID No.81:PRRTLKVIQ、
SEQ ID No.82:QRAALGNIS、
SEQ ID No.83:PRTALGDIG、
SEQ ID No.84:HRKHLQEIP、
SEQ ID No.85:SRKALGNVN、
SEQ ID No.86:NKENE、
SEQ ID No.87:DKENV、
SEQ ID No.88:DKENG、
SEQ ID No.89:EKENE、
SEQ ID No.90:KKENG、
SEQ ID No.91:EEIRRVPEF、
SEQ ID No.92:DEQFVPDF、
SEQ ID No.93:SDQIVPEY、
SEQ ID No.94:EEHFLVPDL、
SEQ ID No.95:EEPQTVPEM、
SEQ ID No.96:TPITDYFPKRKKI、
SEQ ID No.97:RRVTDFFARRRP、
SEQ ID No.98:MRVTDFFSQSKRG、
SEQ ID No.99:RKLTDFYPVRRS、
SEQ ID No.100:PLISDFFAKRKRS、
SEQ ID No.101:AKDAS、
SEQ ID No.102:RRFSP、
SEQ ID No.103:MREGSA、
SEQ ID No.104:VDNNTN、
SEQ ID No.105:MCGGA、
SEQ ID No.106:LAPFVDTYDMMQM、
SEQ ID No.107:IAPVNTKATIRL、
SEQ ID No.108:LAPYISMDDDFQL、
SEQ ID No.109:LAPAAGDTIISLDF、
SEQ ID No.110:LAPYIPMDDDFQL、
SEQ ID No.111:LAPTPGDAIISLDF、
SEQ ID No.112:LAPYIPMDGEDFQL、
SEQ ID No.113:LAPVAPHSPFLL、
SEQ ID No.114: LLPTPPLS、
SEQ ID No.115:PGTPPSS、
SEQ ID No.116:LTPPPS、
SEQ ID No.117:ITPFTS、
SEQ ID No.118:PGETPPLS、
SEQ ID No.119:FPPSPPSS、
SEQ ID No.120:SLIPTPDK、
SEQ ID No.121: SVEQTPKK、
SEQ ID No.122:AVEQTPRK、
SEQ ID No.123:SVEQTPRK、
SEQ ID No.124:QIVGWPPVRSNRK、
SEQ ID No.125:QVVGWPPVCSYRK、
SEQ ID No.126:DSGIES、
SEQ ID No.127:DSGKGS、
SEQ ID No.128:DSGIIT、
SEQ ID No.129:DSGHES、
SEQ ID No.130:DSGNES、
SEQ ID No.131:PPVAQVMPG、
SEQ ID No.132:IPTACVRPT、
SEQ ID No.133:IPCAAVSPN、
SEQ ID No.134:APTAVVLPH、
SEQ ID No.135:RPVAMVRPT、
SEQ ID No.136:NKENC、
SEQ ID No.137:DKENV、
SEQ ID No.138:EKENH、
SEQ ID No.139:AKEND、
SEQ ID No.140:DKENG、
SEQ ID No.141:FDIYMD、
SEQ ID No.142:FHVFED、
SEQ ID No.143:ITVFDE、
SEQ ID No.144:FTPYVE、
SEQ ID No.145:FSIFDE、
SEQ ID No.146:NQETGE、
SEQ ID No.147:NEENGE、
SEQ ID No.148:NEENGE、
SEQ ID No.149:DNETGE、
SEQ ID No.150:DPENGE、
SEQ ID No.151:DHDTGE、
SEQ ID No.152:DPSTGE、
SEQ ID No.153:DPSTGE、
SEQ ID No.154:DGETGE、
SEQ ID No.155:SPETGE、
SEQ ID No.156:DEETGE、
SEQ ID No.157:DEETGE、
SEQ ID No.158:DEETGE、
SEQ ID No.159:NVESGE、
SEQ ID No.160:QDIDLGV、
SEQ ID No.161:QDIDLGV、
SEQ ID No.162:DPSTGE、
SEQ ID No.163:DGETGE、
SEQ ID No.164:SPETGE、
SEQ ID No.165:DEETGE、
SEQ ID No.166:NVESGE、
SEQ ID No.167:QDIDLGV、
SEQ ID No.168:ADSST、
SEQ ID No.169:ADSST、
SEQ ID No.170:PSSTS、
SEQ ID No.171:PSSTS、
SEQ ID No.172:VSSST、
SEQ ID No.173:VSSTS、
SEQ ID No.174:VTSTT、
SEQ ID No.175:LQLDEETGEFL、
SEQ ID No.176:ECEETEVDQHV、
SEQ ID No.177:FEHLWSSL、
SEQ ID No.178:FSDLWKLL、
SEQ ID No.179:FEAQWAAL、
SEQ ID No.180:FEAQWAAL、
SEQ ID No.181:FQHIWDFL、
SEQ ID No.182: FSDLWKLL、
SEQ ID No.183: LLQPNNYQFC、
SEQ ID No.184:DYR、
SEQ ID No.185:RAVENQYSFY、
SEQ ID No.186:SHVENDYIDNPS、
SEQ ID No.187:LIEDNEYTARQG、
SEQ ID No.188:SIFNSLYTTLSD、
SEQ ID No.189:SIFDNLYTTLSD、
SEQ ID No.190:VSFNPYEPELA、
SEQ ID No.191:LLQPNNYQFC、
SEQ ID No.192:INGNNYVYIDP、
SEQ ID No.193:STNHIYSNLAN、
SEQ ID No.194:IPFLDYRTYAV、
SEQ ID No.195:NESVDYRATFP、
SEQ ID No.196:YSGSDYRSGLA、
SEQ ID No.197:ADYRE、
SEQ ID No.198:IPFLDYRTYAM、
SEQ ID No.199:RDYRD、
SEQ ID No.200:IRNTNEYTEGPT、
SEQ ID No.201:DSFLQRYSSDP、
SEQ ID No.202:KGDGGLYSSLPP、
SEQ ID No.203:TLNSDGYTPEPA、
SEQ ID No.204:RDNVYYYDEEG、
SEQ ID No.205:KEDPIYDEPEG、
SEQ ID No.206:AEDSTYDEYEN、
SEQ ID No.207:RLCLPQV、
SEQ ID No.208:RNSLRQT、
SEQ ID No.209:RAPLSTL、
SEQ ID No.210:RKALETL、
SEQ ID No.211:RMKLPSP、
SEQ ID No.212:RNFLTEQ、
SEQ ID No.213:RTPLSIV、
SEQ ID No.214:RYGLHPD、
SEQ ID No.215:RSAFEDL、
SEQ ID No.216:RHFLDRV、
SEQ ID No.217:RHCLPTL、
SEQ ID No.218:RKKLVLE、
SEQ ID No.219:RLPLRAV、
SEQ ID No.220:RSPLLEV、
SEQ ID No.221:RKALGTV、
SEQ ID No.222:RKALGTV、
SEQ ID No.223:RGSLEGA、
SEQ ID No.224:RSPLFIF、
SEQ ID No.225:RSSLLSR、
SEQ ID No.226:RSTLAEL、
SEQ ID No.227:RCQLAKK、
SEQ ID No.228:KTPLKEG、
SEQ ID No.229:RGTLKRQ、
SEQ ID No.230:RAALAVL、
SEQ ID No.231:RDELGGG、
SEQ ID No.232:RFALSQL、
SEQ ID No.233:RPELQDA、
SEQ ID No.234:RKFLSLA、
SEQ ID No.235:RLPLRAQ、
SEQ ID No.236:RRPLILK、
SEQ ID No.237:RRRLPLP、
SEQ ID No.238:RLPLPVQ、
SEQ ID No.239:RKSLSQK、
SEQ ID No.240:HLSLKDI、
SEQ ID No.241:RLPLVPE、
SEQ ID No.242:RARLCSS、
SEQ ID No.243:RVRLSWA、
SEQ ID No.244:RRFLENC、
SEQ ID No.245:RLPLAQV、
SEQ ID No.246:RSPLTIL、
SEQ ID No.247:RAALDRL、
SEQ ID No.248:RNLLHDN、
SEQ ID No.249:RKRLGDD、
SEQ ID No.250:RRGLILA、
SEQ ID No.251:RENLQRK、
SEQ ID No.252:RQPLSEA、
SEQ ID No.253:RASLNPR、
SEQ ID No.254:RMKLKKM、
SEQ ID No.255:RTPLASV、
SEQ ID No.256:RTQLETK、
SEQ ID No.257:RRSLSIS、
SEQ ID No.258:QRTVLGVIG、
SEQ ID No.259:NRKPLTVLN、
SEQ ID No.260:SRTPLTTLN、
SEQ ID No.261:NKENC、
SEQ ID No.262:EKENH、
SEQ ID No.263:EKENQ、
SEQ ID No.264:AKEND、
SEQ ID No.265:DKENG、
SEQ ID No.266:NKENK、
SEQ ID No.267:QKENG、
SEQ ID No.268:NKENL、
SEQ ID No.269:EKENL、
SEQ ID No.270:SKENI、
SEQ ID No.271:DKENR、
SEQ ID No.272:EKENC、
SEQ ID No.273:QKENR、
SEQ ID No.274:YKENK、
SEQ ID No.275:LKENS、
SEQ ID No.276:LKENS、
SEQ ID No.277:DKENQ、
SEQ ID No.278:QKENV、
SEQ ID No.279: QYLIR、
SEQ ID No.280: NKRIR、
SEQ ID No.281:FNQIR、
SEQ ID No.282:VNHIR、
SEQ ID No.283:RTTIR、
SEQ ID No.284:RTQIR、
SEQ ID No.285:KGNLR、
SEQ ID No.286:YKGIR、
SEQ ID No.287:LMTMR、
SEQ ID No.288:VNRIR、
SEQ ID No.289:VNRIR、
SEQ ID No.290:FTRIR、
SEQ ID No.291:YRSIR、
SEQ ID No.292:ILGMR、
SEQ ID No.293:HQGIR、
SEQ ID No.294:DEQFVPDY、
SEQ ID No.295:EELLMVPDM、
SEQ ID No.296:EEHFLVPDL、
SEQ ID No.297:EQTLQEVPTGL、
SEQ ID No.298:SLLDVQRVPSF、
SEQ ID No.299:TSMTDFYHSKRRL、
SEQ ID No.300:NDITNYYKVKRRP、
SEQ ID No.301:MCKGL、
SEQ ID No.302:MCRTL、
SEQ ID No.303:PPTPPPE、
SEQ ID No.304:PTPPLS、
SEQ ID No.305:PFLTPSPE、
SEQ ID No.306:QVVGWPPVRSYRK、
SEQ ID No.307:QIVGWPPVRSYRK、
SEQ ID No.308:QVVGWPPVRNYRK、
SEQ ID No.309:QVVGWPPIGLHRM、
SEQ ID No.310:PVVGWPPVRSSRR、
SEQ ID No.311:DSGRGS、
SEQ ID No.312:DSGNYS、
SEQ ID No.313:DSGICMS、
SEQ ID No.314:DSGVETS、
SEQ ID No.315:DSGLDS、
SEQ ID No.316:DSGIHS、
SEQ ID No.317:DSGIDS、
SEQ ID No.318:DSGIDS、
SEQ ID No.319:DSGLPS、
SEQ ID No.320:DSGLGS、
SEQ ID No.321:DSGRGDS、
SEQ ID No.322:DSGYNT、
SEQ ID No.323:DSGQGS、
SEQ ID No.324:DSGIGT、
SEQ ID No.325:DSGYSS、
SEQ ID No.326:SEGSDDSGL、
SEQ ID No.327:RPTAAVTPI、
SEQ ID No.328:PPRALVLPH、
SEQ ID No.329:KPAAVVAPI、
SEQ ID No.330:KPTAYVRPM、
SEQ ID No.331:NKENE、
SEQ ID No.332:EKENQ、
SEQ ID No.333:NKENK、
SEQ ID No.334:QKENG、
SEQ ID No.335:NKENL、
SEQ ID No.336:EKENL、
SEQ ID No.337:SKENI、
SEQ ID No.338:DKENR、
SEQ ID No.339:EKENC、
SEQ ID No.340:QKENR、
SEQ ID No.341:YKENK、
SEQ ID No.342:LKENS、
SEQ ID No.343:LKENS、
SEQ ID No.344:DKENQ、
SEQ ID No.345:QKENV、
SEQ ID No.346:FTIHVD、
SEQ ID No.347:FMLYEE、
SEQ ID No.348:IARRNSLTRFLEKRKDRV、
SEQ ID No.349:QARKASLARFLEKRKERV、
SEQ ID No.350:QARKASLARFLEKRKERL、
SEQ ID No.351:IARRASLHRFLEKRKDRV、
SEQ ID No.352:LARKASLARFLEKRKERV、または
SEQ ID No.353:IARRASLHRFLEKRKDRI。
【0016】
好ましくは、前記TEVp認識部位は、SEQ ID No.354で示されるアミノ酸配列を含む。
【0017】
SEQ ID No.354:ENLYFQG。
【0018】
好ましくは、前記M1タンパク質のC末端とTEVp認識部位との間はフレキシブルリンカー1により連結される。
【0019】
好ましくは、前記フレキシブルリンカー1はSEQ ID No.355で示されるアミノ酸配列を含む。
【0020】
SEQ ID No.355:GSGG。
【0021】
好ましくは、前記TEVp認識部位とタンパク質加水分解標的分子との間はフレキシブルリンカー2により連結される。
【0022】
好ましくは、前記フレキシブルリンカー2はGSGのアミノ酸配列を含む。
【0023】
好ましくは、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスはA型、B型、C型のウイルスである。
【0024】
好ましくは、前記インフルエンザウイルスのサブタイプは、H1N1、H1N2、H1N3、H1N8、H1N9、H2N2、H2N3、H2N8、H3N1、H3N2、H3N8、H4N2、H4N4、H4N6、H4N8、H5N1、H5N2、H5N3、H5N6、H5N8、H5N9、H6N1、H6N2、H6N4、H6N5、H6N6、H6N8、H7N1、H7N2、H7N3、H7N7、H7N8、H7N9、H8N4、H9N1、H9N2、H9N5、H9N8、H10N3、H10N4、H10N7、H10N8、H10N9、H11N2、H11N6、H11N9、H12N1、H12N3、H12N5、H13N6、H13N8、H14N5、H15N2、H15N8、H16N3、H17N10またはH18N11のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0025】
本願において、発明者は、TEVp認識部位およびタンパク質加水分解標的分子のヌクレオチド配列をインフルエンザウイルスのゲノムに導入することにより、TEVpの過剰発現する細胞系で、タンパク質加水分解標的分子を含むインフルエンザウイルスゲノムは、ウイルスゲノムの複製に伴って複製でき、且つ、ウイルスタンパク質の翻訳に伴ってウイルスタンパク質に融合して発現することができ、タンパク質加水分解標的分子によって部位特異的に修飾されたウイルス、即ち、タンパク質加水分解標的ウイルス(Proteolysis-Targeting chimeric virus、PROTACウイルス)を取得する。
【0026】
正常細胞において、ユビキチン-プロテアソーム系は、ウイルスM1タンパク質と融合したタンパク質加水分解標的分子を認識し、ウイルスタンパク質を分解し、ウイルスの複製能力が弱められ、ひいては複製能力が完全に失われるため、PROTACウイルスは高い安全性を有する。それとともに、前記PROTACウイルスにはユビキチン-プロテアソーム系の特異的認識配列および部位が含まれるため、前記PROTACウイルスは、腫瘍の治療で、冷たい腫瘍を熱い腫瘍に変換し、腫瘍溶解の作用を果たすことができる。
【0027】
本願において、前記PROTACウイルスは、特定の人工的に改変された細胞系で効率的に複製し、大規模に生産して調製することができる。また、PROTACウイルスは更に修飾されてもよく、例えば、ウイルスタンパク質の特定領域または特定のアミノ酸に免疫増強剤を導入し、性能が改善されたウイルスを取得し、免疫原性が強化されたPROTACウイルスを取得する。
【0028】
本願において、使用されるフレキシブルリンカーとTEVp認識部位(連結鎖)、およびフレキシブルリンカーとタンパク質加水分解標的分子のアミノ酸配列構造は、B型インフルエンザに適用されてもよいし、インフルエンザウイルスの他のサブタイプに適用されてもよいし、他の種類のウイルス、例えばHIVウイルス、新型コロナウイルス、手足口ウイルス、D型肝炎ウイルスまたはE型肝炎ウイルスのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせの改変に用いられてもよい。
【0029】
態様2において、本願は、態様1に記載の加水分解標的M1タンパク質をコードする核酸分子を提供する。
【0030】
態様3において、本願は、少なくとも1つのコピーされた態様2に記載の核酸分子を含む組換えベクターを提供する。
【0031】
態様4において、本願は、
タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを調製するための発現ベクターを構築するステップ(1)と、
インフルエンザウイルスレスキューシステムにおけるインフルエンザウイルスのM遺伝子を発現するプラスミドをステップ(1)で得られた発現ベクターに置き換え、細胞系でコトランスフェクトし、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを取得するステップ(2)と、を含む、
態様1に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法を提供する。
【0032】
本願は、353種のタンパク質加水分解標的ウイルスを提供し、前記タンパク質加水分解標的ウイルスのM1タンパク質のC末端には、ユビキチン-プロテアソーム系によって認識されるタンパク質加水分解標的分子が1つ含まれ、M1タンパク質とタンパク質加水分解標的分子との間はTEVp認識部位により連結され、TEVp認識部位は選択的に切断されることができ、且つ、M1タンパク質とTEVp認識部位との間、およびTEVp認識部位とタンパク質加水分解標的分子との間は、2つのフレキシブル分子により連結され、前記方法によりウイルスを改変する操作は簡単で、得られたタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは安全で確実であり、免疫性が高い。
【0033】
好ましくは、ステップ(1)において、前記発現ベクターには加水分解標的M1タンパク質のコード配列を含む。
【0034】
好ましくは、ステップ(2)において、前記細胞系はTEVpを過剰発現する人工細胞系である。
【0035】
好ましくは、ステップ(2)において、前記インフルエンザウイルスレスキューシステムは、WSNインフルエンザウイルスの12プラスミドレスキューシステムを含む。
【0036】
好ましくは、前記調製方法は、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを、TEVpを過剰発現する人工的に改変された細胞系で複製し、大規模に生産するステップを更に含む。
【0037】
本願において、前記PROTACウイルスは、TEVpを過剰発現する細胞系のみで複製でき、前記PROTACウイルスの前記TEVpを過剰発現する細胞系に対する依存性を利用し、TEVpを過剰発現する細胞系でインフルエンザウイルスの大量調製を行うことができる。
【0038】
本願の好ましい技術案として、前記調製方法は、以下のステップを含む。
【0039】
(1)タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを調製するための発現ベクターを構築し、遺伝子工学の方法を用いてWSNインフルエンザウイルスの12プラスミドレスキューシステムにおけるインフルエンザウイルスのM遺伝子を発現するプラスミドを改変し、M1タンパク質の遺伝子配列のC末端および終止コドンの前に挿入配列を導入し、発現ベクターを取得し、前記発現ベクターは、前記加水分解標的M1タンパク質のコード配列を含む。
【0040】
(2)インフルエンザウイルスレスキューシステムにおけるインフルエンザウイルスのM遺伝子を発現するプラスミドをステップ(1)で得られた発現ベクターに置き換え、置き換えた後のインフルエンザウイルスレスキューシステムとTEVpを過剰発現する人工細胞系とをコトランスフェクトし、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを取得する。
【0041】
前記タンパク質加水分解標的ウイルスを、TEVpを過剰発現する人工的に改変された細胞系で複製し、前記タンパク質加水分解標的ウイルスを大規模に生産する。
【0042】
態様5において、本願は、態様1に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを含むインフルエンザウイルスワクチンを提供する。
【0043】
好ましくは、前記インフルエンザウイルスワクチンは、弱毒化ワクチン、複製欠陥生ウイルスワクチンまたは複製制御可能生ウイルスワクチンのうちのいずれか1種である。
【0044】
態様6において、本願は、態様1に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス、態様2に記載の核酸分子、態様3に記載の組換えベクター、態様4に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法または態様5に記載のインフルエンザウイルスワクチンのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせの、インフルエンザを治療する薬剤および/または腫瘍溶解薬剤の調製における使用を提供する。
【0045】
本願に係る数値範囲は、上記挙げられた点値を含むだけでなく、挙げられていない上記数値範囲間の任意の点値も含み、紙面の都合と簡明のために、本願では前記範囲に含まれる具体的な点値を網羅的に列挙しない。
【発明の効果】
【0046】
従来技術に対し、本願は、以下の有益な効果を備える。
【0047】
(1)本願は、ユビキチン-プロテアソーム系の加水分解作用およびTEVpの切断作用を利用し、TEVpを過剰発現する細胞系でタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを大量調製し、一方、正常な細胞系で、ユビキチン-プロテアソーム系は、ウイルスタンパク質と融合したタンパク質加水分解標的分子を認識し、ウイルスタンパク質を分解し、ウイルスの複製能力が弱められ、ひいては複製能力が完全に失われる。従って、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは、高い安全性を有し、且つ、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは、弱毒化、複製欠陥、複製制御可能な生ウイルスである。
【0048】
(2)前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法は、操作が簡単で、安全で確実であり、本願におけるタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは、哺乳動物の安定した細胞系により生産され、従来の発育鶏卵によるウイルス繁殖の欠陥(発育鶏卵によるウイルス繁殖は、人体アレルギー等の不良反応を引き起こしやすい)を克服し、得られたタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは免疫原性が高く、ワクチンの調製およびウイルス感染の治療に関連する薬剤の開発に使用でき、強い研究および応用価値を有する。
【0049】
(3)前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは更に修飾されてもよく、例えば、ウイルスタンパク質の特定の領域または特定のアミノ酸に免疫増強剤を導入し、性能が改善されたウイルスを取得し、免疫原性が増強されたタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを取得する。
【0050】
(4)前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは、腫瘍の微小環境を活性化し、冷たい腫瘍を熱い腫瘍に変換し、腫瘍治療効果を増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】実施例1におけるタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製過程の模式図である。
【
図2】MDCK-TEVp(+TEVp)細胞および正常なMDCK(-TEVp)細胞におけるタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの成長曲線である。各種のE3ユビキチンリガーゼが代表として1つの毒株を選択してデータ表示を行うため、図中の各毒株は、それぞれ対応するE3ユビキチンリガーゼを用いて再命名される。M1-PTD
KLHDC2(M1-PTD22)、M1-PTD
KLHDC3(M1-PTD43)、M1-PTD
APPBP2(M1-PTD71)、M1-PTD
KLHL20(M1-PTD84)、M1-PTD
FBXO31(M1-PTD91)、M1-PTD
β-TrCP(M1-PTD94)、M1-PTD
SOCS2(M1-PTD57)、M1-PTD
FEM1C(M1-PTD63)、M1-PTD
ITCH(M1-PTD101)、M1-PTD
SPOP(M1-PTD109)、M1-PTD
MDM2(M1-PTD110)、M1-PTD
CRBN(M1-PTD116)、M1-PTD
APC/C-ABBA(M1-PTD205)、M1-PTD
CBL(M1-PTD119)、M1-PTD
APC/C-KENbox(M1-PTD138)、M1-PTD
COP1(M1-PTD148)、M1-PTD
N-end UBR-box(M1-PTD165)、M1-PTD
FBW7(M1-PTD174)、M1-PTD
Skp2-Cks1(M1-PTD183)、M1-PTD
SIAH-1(M1-PTD194)、M1-PTD
APC/C-TPR1(M1-PTD143)、M1-PTD
APC/C-Dbox(M1-PTD132)。
【
図3】マウスモデルにおけるタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの安全性の評価であり、ただし、***は、WTと比べて顕著な差があることを表す。M1-PTD
KLHDC2(M1-PTD22)、M1-PTD
KLHDC3(M1-PTD43)、M1-PTD
APPBP2(M1-PTD71)、M1-PTD
KLHL20(M1-PTD84)、M1-PTD
FBXO31(M1-PTD91)、M1-PTD
β-TrCP(M1-PTD94)を代表としてデータ表示を行う。
【
図4】タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの作用機序の検証である。各種のE3ユビキチンリガーゼが代表として1つの毒株を選択してデータ表示を行うため、図中の各毒株は、それぞれ対応するE3ユビキチンリガーゼを用いて再命名される。
【
図5】マウスモデルでのタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの免疫原性の評価であり、ただし、(a)は中和(NT)抗体と赤血球凝集抑制(HI)抗体のレベルで、(b)はAnti-HA IgG、Anti-NP IgG抗体のレベルで、(c)はAnti-NP IgA抗体のレベルで、(d)はマウス肺組織におけるインフルエンザウイルスM1抗原ペプチド(MGLIYNRM)に対するT細胞免疫応答で、(e)はマウス脾臓組織におけるインフルエンザウイルスNP抗原ペプチド(ASNENMETME)(左図)およびM1抗原ペプチド(MGLIYNRM)(右図)に対するT細胞免疫応答のレベルで、(f)はマクロファージRaw264.7細胞におけるタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの抗原提示レベルである。*、**、***は、野生型ウイルス(WT)と比べて顕著な差があることを表し、#、##、###は、不活化インフルエンザワクチン(IIV)と比べて顕著な差があることを表し、+、++、+++は、低温適応弱毒化インフルエンザワクチン(CAIV)と比べて顕著な差があることを表す。M1-PTD
KLHDC2(M1-PTD22)、M1-PTD
KLHDC3(M1-PTD43)、M1-PTD
APPBP2(M1-PTD71)、M1-PTD
KLHL20(M1-PTD84)、M1-PTD
FBXO31(M1-PTD91)、M1-PTD
β-TrCP(M1-PTD94)を代表としてデータ表示を行う。
【
図6】成体(7週齢)マウスモデルにおけるタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスワクチンの交差免疫保護効果の評価であり、ただし、(a)は、マウスが野生型WSNインフルエンザウイルスに感染した3日後に、肺組織中の野生型WSNインフルエンザウイルスの力価で、(b)は、マウスが野生型WSNインフルエンザウイルスに感染した2週間以内のマウス体重および生存率で、(c)は、マウスが野生型インフルエンザウイルスA/X-31(H3N2)に感染した3日後に、肺組織中の野生型X-31インフルエンザウイルスの力価で、(b)は、マウスが野生型インフルエンザウイルスA/X-31(H3N2)に感染した2週間以内のマウス体重および生存率である。M1-PTD
β-TrCP(M1-PTD94)を代表としてデータ表示を行う。
【
図7】高齢(15月齢)マウスおよびフェレットのモデルにおけるタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスワクチンの免疫保護効果の評価であり、ただし、(a)は、タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスワクチンが高齢マウスで誘導する中和(NT)抗体、赤血球凝集抑制(HI)抗体、anti-HA IgG抗体、anti-NP-IgG抗体のレベルで、(b)は、タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスワクチンが高齢マウスの肺組織(左図)および脾臓(右図)で誘導する、インフルエンザウイルスNP抗原ペプチド(ASNENMETME)に対するT細胞免疫応答のレベルで、(c)は、免疫したおよび免疫しなかった高齢マウスが野生型WSNインフルエンザウイルスに感染した3日後に、肺組織中の野生型WSNインフルエンザウイルスの力価で、(d)は、免疫したおよび免疫しなかった高齢マウスが野生型WSNインフルエンザウイルスに感染した2週間以内のマウスの体重および生存率で、(e)免疫したおよび免疫しなかったフェレットが野生型WSNインフルエンザウイルスに感染した3日後の鼻腔洗浄液内のウイルスの力価である。M1-PTD
β-TrCP(M1-PTD94)を代表としてデータ表示を行う。
【
図8】タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの腫瘍抑制効果であり、ただし、M1-PTD
β-TrCP(M1-PTD94)を代表としてデータ表示を行う。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、具体的な実施形態により本願の技術案を更に説明する。当業者であれば、前記実施例が本願を理解するためのものに過ぎず、本願を具体的に限定するものと見なすべきではないことが理解されるべきである。
【0053】
実施例で具体的な技術または条件が明記されていない場合、本分野内の文献で説明された技術または条件に従い、または製品の説明書に従って行う。使用される試薬または装置の中のメーカーが明記されていないものは、いずれも正規ルートを介して購入できる通常の製品である。
【実施例】
【0054】
実施例1
本実施例は、一連のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを提供し、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスには加水分解標的M1タンパク質が含まれ、前記加水分解標的M1タンパク質のC末端には、TEVp認識部位およびユビキチン-プロテアソーム系によって認識されるタンパク質加水分解標的分子が順次に挿入され、前記ユビキチン-プロテアソーム系によって認識されるタンパク質加水分解標的分子のアミノ酸配列は、SEQ ID No.1~353に示すとおりである。前記TEVp認識部位のアミノ酸配列はSEQ ID No.354に示すとおりであり、前記M1タンパク質のC末端とTEVp認識部位との間はフレキシブルリンカー1により連結され、前記フレキシブルリンカー1のアミノ酸配列はSEQ ID No.355に示すとおりであり、前記TEVp認識部位とタンパク質加水分解標的分子との間はフレキシブルリンカー2により連結され、前記フレキシブルリンカー2のアミノ酸配列はGSGであり、M1タンパク質のC末端から終止コドンまでのアミノ酸配列構造は、M1タンパク質のC末端-フレキシブルリンカー1-TEVp認識部位-フレキシブルリンカー2-タンパク質加水分解標的分子である。
【0055】
SEQ ID No.354のアミノ酸配列はENLYFQGである。
【0056】
SEQ ID No.355のアミノ酸配列はGSGGである。
【0057】
前記ユビキチン-プロテアソーム系によって認識されるタンパク質加水分解標的分子のアミノ酸配列は、表1に示すとおりである。
【0058】
【0059】
前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの中のインフルエンザウイルスは、A型、B型、C型のウイルスであり、前記インフルエンザウイルスのサブタイプは、H1N1、H1N2、H1N3、H1N8、H1N9、H2N2、H2N3、H2N8、H3N1、H3N2、H3N8、H4N2、H4N4、H4N6、H4N8、H5N1、H5N2、H5N3、H5N6、H5N8、H5N9、H6N1、H6N2、H6N4、H6N5、H6N6、H6N8、H7N1、H7N2、H7N3、H7N7、H7N8、H7N9、H8N4、H9N1、H9N2、H9N5、H9N8、H10N3、H10N4、H10N7、H10N8、H10N9、H11N2、H11N6、H11N9、H12N1、H12N3、H12N5、H13N6、H13N8、H14N5、H15N2、H15N8、H16N3、H17N10およびH18N11を含む。
【0060】
前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製過程の模式図は
図1に示すように、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法は、以下のステップを含む。
【0061】
(1)タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを調製するための発現ベクターを構築した。
【0062】
インフルエンザウイルスレスキューシステムにおけるインフルエンザウイルスのM遺伝子を発現するプラスミドをテンプレートとし、部位特異的な突然変異の方法により、M1タンパク質を発現する遺伝子配列のC末端、終止コドンの前に、「フレキシブルリンカー1(SEQ ID No.355:GSGG)-TEVp認識部位(SEQ ID No.354:ENLYFQG)-フレキシブルリンカー2:GSG)-タンパク質加水分解標的分子」のアミノ酸配列を発現できる遺伝子配列を挿入する。前記タンパク質加水分解標的分子のアミノ酸配列がPTD3である場合、構築されたベクターをM1-PTD3と命名し、前記タンパク質加水分解標的分子のアミノ酸配列がPTD4である場合、構築されたベクターをM1-PTD4と命名し、ベクターの命名規則は、このように類推する。取得された目標ベクターはシーケンシング検証を経て、発現ベクターの構築に成功した。
【0063】
(2)インフルエンザウイルスレスキューシステムにおけるインフルエンザウイルスのM遺伝子を発現するプラスミドをステップ(1)で得られた発現ベクターに置き換え、置き換えた後のインフルエンザウイルスレスキューシステムと細胞系とをコトランスフェクトし、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを取得した。
【0064】
WSNインフルエンザウイルスの12プラスミドレスキューシステムを用いてWSNウイルスに対してレスキューを行った。タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスをレスキューする際に、該12プラスミドレスキューシステムにおけるM遺伝子を発現するためのプラスミドをステップ(1)で構築された発現ベクターに置き換えれば良く、レスキューで得られたウイルス株をステップ(1)における対応するベクターの名称で命名した。
【0065】
TEVpを発現させる細胞を6ウェルプレートに接種し、翌日、ステップ(1)におけるM1-PTD3ベクターとWSNインフルエンザウイルスレスキューシステムにおける他の11個のプラスミドとをTEVpタンパク質を発現する細胞系(HEK293T細胞系)にコトランスフェクトし、6ウェルプレートの各孔に対応して各プラスミドを0.2μg加えた。トランスフェクトした6h後に、培地を0.5%FBS、1μg/mLのTPCK-trypsinおよび二重特異性抗体を含む新しいDMEM培地に交換した。その後、毎日細胞の病変状況を観察し、細胞病変が80%になると、ウイルスの上清を収集すれば、タンパク質加水分解標的ウイルスを取得し、M1-PTD3と命名した。
【0066】
同様の方法に従い、他のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを取得することができ、同様の規則で命名し、得られたタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは、表2に示すとおりである。
【0067】
【0068】
得られたウイルスの上清を新たなTEVpタンパク質を発現する細胞系に感染させ、細胞病変を引き起こすことができるか否かの標準に従って構築されたタンパク質加水分解標的ウイルスを考察した。
【0069】
TEVpタンパク質を発現する細胞系病変(例えば、TEVpを発現するHEK293T細胞および/またはTEVpを発現するMDCK細胞)を引き起こすことができる場合、該タンパク質加水分解標的ウイルスのレスキューに成功したことを意味する。
【0070】
TEVpを発現する細胞(例えば、TEVpを発現するHEK293T細胞および/またはTEVpを発現するMDCK細胞)病変を引き起こすことができない場合、該タンパク質加水分解標的ウイルスのレスキューに失敗したことを意味する。
【0071】
結果によれば、全てのタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスのレスキューが成功したことが分かった。
【0072】
試験例1
前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスに対して調製効率および安全性の評価を行った。
【0073】
(1)細胞レベルでのタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製効率および安全性の評価
【0074】
M1-PTD3~M1-PTD413インフルエンザウイルス株がTEVpを発現するMDCK細胞系(MDCK-TEVp細胞系)および正常なMDCK細胞系で細胞病変を引き起こす状況および成長曲線を考察し、毒株の調製効率および安全性を考察した。野生型インフルエンザウイルスをコントロールとした。
【0075】
毒株の安全性の判断標準は、以下に示すとおりである。
【0076】
細胞病変に基づく観察確定:野生型インフルエンザウイルスはMDCK-TEVp細胞およびMDCK細胞でいずれも完全な細胞病変(100%)を引き起こすことができる。毒株がMDCK-TEVp細胞系で明らかな細胞病変(細胞病変が50~100%に達した)を引き起こすことができれば、該毒株の調製効率が高いことを意味する。野生型ウイルスと比べて、毒株が正常なMDCK細胞系で細胞病変を引き起こすことができず、または少ない細胞病変(細胞病変が野生型ウイルスによる100%の細胞病変よりも低い)を引き起こす場合、該毒株が安全であることを意味する。
【0077】
成長曲線に基づく考察確定:野生型ウイルスと比べて、毒株がMDCK-TEVp細胞系で高度に複製できる(ウイルス力価が野生型ウイルスよりも高いか、野生型ウイルスに相当するか、または野生型ウイルスの千分の1以上である)場合、該毒株の調製効率が高いことを意味する。野生型ウイルスと比べて、正常なMDCK細胞系で毒株の複製能力が低下し、ひいては複製できない(ウイルス力価が野生型ウイルスの力価よりも低い)場合、該毒株が安全であることを意味する。
【0078】
(a)細胞病変による検出のステップは、以下に示すとおりである。
【0079】
調製されたタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスと野生型インフルエンザウイルスとをそれぞれMOI=0.01の割合でMDCK-TEVp細胞系および正常なMDCK細胞系に感染させ、毎日細胞の病変状況を観察して記録し、4日間持続した。
【0080】
試験結果によれば、MDCK-TEVp細胞系で、全てのタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスおよび野生型インフルエンザウイルスがいずれも顕著な細胞病変を引き起こすことができ、一方、正常なMDCK細胞系で、野生型インフルエンザウイルスのみが顕著な細胞病変を引き起こすことができ、タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスによって引き起こされた病変が減少し、ひいては病変がなくなることが分かった。該結果は、調製されたタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスが細胞レベルで安全性を有することを意味した。
【0081】
(b)成長曲線による検出のステップは、以下に示すとおりである。
【0082】
調製されたタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスと野生型インフルエンザウイルスとをMOI=0.001の割合でそれぞれMDCK-TEVp細胞系および正常なMDCK細胞系に感染させ、感染した24h、48h、72hおよび96h後に、細胞培養上清を取り、それぞれTCID50実験およびプラーク実験で上清中のウイルス力価を検出することで、2種の細胞におけるウイルスの複製能力を知ることができた。
【0083】
図2の結果によれば、MDCK-TEVp細胞系で、全てのタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスおよび野生型インフルエンザウイルスが良好な複製能力を有し、一方、正常なMDCK細胞系で、野生型インフルエンザウイルスのみが良好な複製能力を示し、タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの複製能力が低下し、ひいては複製に欠陥があることが分かった。該結果は、調製されたタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスが細胞レベルで安全性を有することを意味した。
【0084】
(2)動物レベルでのタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの安全性の評価
【0085】
BALB/cおよびC57BL/6Jマウスを用いて動物レベルでの前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの安全性を評価した。タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの代表として6つのタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス毒株(M1-PTDKLHDC2、M1-PTDKLHDC3、M1-PTDAPPBP2、M1-PTDKLHL20、M1-PTDFBXO31、M1-PTDβ-TrCP)を選択し、ウイルスの安全性の評価を行った。
【0086】
安全性の評価の具体ステップは、以下に示すとおりである。
【0087】
(a)80匹の7週間の雌BALB/cマウスまたはC57BL/6Jマウスを8グループに分け、1グループに10匹とした。
【0088】
(b)第1グループの各マウスにPBS(Vehicle)を点鼻で接種し、第2グループの各マウスに1×105 TCID50野生型WSNインフルエンザウイルス(WT)を点鼻で接種し、第3~8グループにそれぞれ1×105 TCID50のM1-PTDKLHDC2、M1-PTDKLHDC3、M1-PTDAPPBP2、M1-PTDKLHL20、M1-PTDFBXO31、またはM1-PTDβ-TrCPを点鼻で接種した。
【0089】
(c)接種した3日後に、各グループに5匹のマウスを取り、その肺組織を取り、その中のウイルス力価を検出した。
【0090】
(d)各グループの残りの5匹のマウスの体重および死亡状況を観察監視し続け、14日間持続した。
【0091】
図3の結果によれば、野生型WSNインフルエンザウイルスがマウスの肺で高度に複製し、マウス体重の明らかな低下およびマウスの死亡を引き起こすことができる。一方、タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは、マウス肺での複製能力が弱く(検出限界よりも低い)、マウス体重の低下を引き起こさず、マウスの死亡も引き起こさずことが分かった。従って、前記タンパク質加水分解標的ウイルスワクチンは良好な安全性を有する。
【0092】
試験例2
タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの複製能力を考察した。
【0093】
(1)Western Blotを用いて前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスのM1タンパク質の発現レベルを検出し、代表的な毒株として5株のタンパク質加水分解標的ウイルスを選択し、正常細胞における前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの複製能力を考察した。
【0094】
タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスおよび野生型インフルエンザウイルスをそれぞれ正常なMDCK細胞系(MOI=0.1)に感染させ、培地に25nM、50nMおよび100nMのプロテアソーム阻害剤MG-132をそれぞれ補充し、DMSO(ウイルスと同じ希釈割合)と正常なMDCK細胞系との混合溶液をコントロールとした。それぞれ感染した24h、48hおよび72h後に、細胞サンプルを収集し、Western BlotでウイルスM1タンパク質の発現レベルを検出した。
【0095】
(2)免疫蛍光実験により前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスM1タンパク質の発現レベルを検出し、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの複製能力を考察した。
【0096】
前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスおよび野生型インフルエンザウイルスをそれぞれMDCK-TEVp細胞系および正常なMDCK細胞系(MOI=0.01)に感染させ、培地にそれぞれ0nM、25nM、50nMおよび100nMのプロテアソーム阻害剤MG-132を補充し、DMSO(ウイルスと同じ希釈割合)と正常なMDCK細胞系との混合溶液をコントロールとした。感染した48h後に、細胞を4%PFAで固定し、免疫蛍光実験により前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスM1タンパク質の発現レベルを検出した。
【0097】
図4の実験結果によれば、タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスをMDCK-TEVp細胞に感染させた後、大量に複製して大量のウイルスタンパク質を合成することができることが分かった。一方、タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを正常なMDCK細胞に感染させた後、大量複製できないため、少ないウイルスタンパク質M1のシグナルを検出し、細胞のプロテアソーム系が抑制された後、ウイルスタンパク質M1のシグナルが増加し、プロテアソーム系が抑制されてからウイルスの複製能力が増強することを意味した。検出結果は試験例2におけるWestern Blot検出結果に合致し、タンパク質加水分解標的分子の導入が細胞のプロテアソームによるウイルスタンパク質の分解を媒介でき、ひいてはウイルスの複製能力を抑制することを更に証明し、細胞のプロテアソーム系が抑制された後、ウイルスの複製能力が回復し、これは前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの設計原理に一致した。
【0098】
試験例3
動物レベルでのタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの免疫原性および保護性の考察
【0099】
動物レベルでの前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの免疫原性および保護性を評価した。不活化インフルエンザワクチン(IIV)をコントロール(不活化インフルエンザウイルスワクチンは、発明者が中国薬局方による方法に基づいて同種のインフルエンザウイルス粒子を用いて調製される)とするとともに、臨床で使用される低温適応弱毒化ワクチンをコントロールとし、タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの代表として6つのタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス毒株(M1-PTDKLHDC2、M1-PTDKLHDC3、M1-PTDAPPBP2、M1-PTDKLHL20、M1-PTDFBXO31、M1-PTDβ-TrCP)を選択し、タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの免疫原性および保護性の評価を行った。
【0100】
免疫原性および保護性の考察の具体的なステップは、以下に示すとおりである。
【0101】
(1)180匹の7週間の雌BALB/cマウスまたはC57BL/6Jマウスを9グループに分け、1グループに20匹とした。
【0102】
(2)第1グループの各マウスにPBS(Vehicle)を点鼻で接種し、第2グループの各マウスに1×105 TCID50低温適応弱毒化インフルエンザワクチン(CAIV)を点鼻で接種し、第3グループの各マウスに1×105 TCID50不活化インフルエンザワクチン(IIV)を筋肉注射で接種し、第4~9グループにそれぞれ105 TCID50のM1-PTDKLHDC2、M1-PTDKLHDC3、M1-PTDAPPBP2、M1-PTDKLHL20、M1-PTDFBXO31、またはM1-PTDβ-TrCPを接種した。
【0103】
(3)接種した1週間後に、各グループに5匹のマウスを取り、その肺組織および脾臓を取り、その中のT細胞の免疫反応を検出した。
【0104】
(4)接種した3週間後に、各グループに5匹のマウスを取り、採血し、それぞれ赤血球凝集抑制(HI)試験、中和(NT)抗体検出およびELISA検出に使用し、その中の抗体免疫反応を検出した。
【0105】
(5)接種した3週間後に、各グループのマウスに2×105 PFUの同種の野生型WSNインフルエンザウイルスまたは異種の野生型インフルエンザウイルスA/X-31(H3N2)を点鼻で接種した。
【0106】
(6)野生型インフルエンザウイルスを接種した3日後に、各グループに5匹のマウスを取り、その肺組織を取り、その中のウイルス力価を検出した。
【0107】
(7)各グループの残りの5匹のマウスの体重および死亡状況を観察監視し続け、14日間持続した。
【0108】
図5の結果によれば、全てのタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスが動物体内に高レベルで赤血球凝集抑制(HI)抗体力価、中和(NT)抗体力価、anti-HA IgG、anti-NP IgG、anti-NP IgA、T細胞免疫反応等を誘導することができ、且つ、誘導した赤血球凝集抑制抗体、中和抗体、anti-NP IgG、anti-NP IgA、T細胞免疫反応のレベルは、不活化インフルエンザワクチンによって誘導された抗体のレベルよりも著しく高く、一部の毒株によって誘導された免疫応答のレベルは、低温適応弱毒化ワクチンよりも高いことが分かった。
図6の結果によれば、タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスワクチンの接種は、動物肺組織中の野生型WSNインフルエンザウイルス力価およびX-31(H3N2)ウイルス力価を著しく減少することができ、且つ、全ての動物の生存を保護できるため、タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスワクチンは、交差免疫保護効果を提供することができ、タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスワクチンにより提供する保護性は、不活化インフルエンザワクチンよりも著しく優れている。そのため、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスワクチンは、より優れている免疫原性および保護効果を持つ。また、
図7の結果によれば、タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスワクチンは、高齢(15月齢)マウスおよびフェレットモデルでも高レベルの免疫保護効果を発揮できることが分かった。
【0109】
試験例4
タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの腫瘍溶解ウイルスとする潜在能力を考察した。
【0110】
C57BL/cの黒色腫担癌モデルを用い、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの腫瘍溶解効果を評価した。
【0111】
具体的な試験ステップは、以下に示すとおりである。
【0112】
(1)マウスの背部皮下に黒色腫を注射し、9日飼育し、腫瘍の体積が約100mm3になると、実験操作を続ける。
【0113】
(2)腫瘍内に50μLのタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスM1-PTDβ-TrCP(M1-PTD94)およびPBSをそれぞれ注射し、1日おきに1回注射し、合計4回注射した。
【0114】
(3)毎日腫瘍の体積を検出した。
【0115】
図8の結果に示すように、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスが腫瘍体積の増加を効果的に抑制できることが分かり、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスが腫瘍溶解ウイルスとなる潜在能力を有することが証明された。
【0116】
以上をまとめ、本願に係るタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは、ユビキチン-プロテアソーム系によって認識されて加水分解でき、複製能力が弱く、高い安全性を有し、生ワクチン、弱毒化ワクチンとしてインフルエンザの予防に用いられることができる。前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは、腫瘍治療中で腫瘍溶解ウイルスとして使用できる。本願に係るタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスのサブタイプの種類が豊であり、インフルエンザウイルスワクチンの研究開発および腫瘍治療に対して重要な役割を果たす。
【0117】
以上の説明は、本願の具体的な実施形態に過ぎないが、本願の保護範囲はこれに限定されるものではなく、当業者であれば、当業者が本願に開示された技術的範囲内に容易に想到可能な変更または置換は、全て本願の保護範囲および公開範囲内に含まれることを理解すべきであることを出願人より声明する。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水分解標的M1タンパク質を含むタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスであって、
前記加水分解標的M1タンパク質のC末端には、TEVp認識部位およびユビキチン-プロテアソーム系によって認識されるタンパク質加水分解標的分子が順次に挿入され、前記ユビキチン-プロテアソーム系によって認識されるタンパク質加水分解標的分子は、SEQ ID No.1~353で示されるアミノ酸配列を含む、
タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス。
【請求項2】
前記TEVp認識部位は、SEQ ID No.354で示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス。
【請求項3】
前記M1タンパク質のC末端とTEVp認識部位との間はフレキシブルリンカー1により連結され、
好ましくは、前記フレキシブルリンカー1はSEQ ID No.355で示されるアミノ酸配列を含み、
好ましくは、前記TEVp認識部位とタンパク質加水分解標的分子との間はフレキシブルリンカー2により連結され、
好ましくは、前記フレキシブルリンカー2はSEQ ID No.356で示されるアミノ酸配列を含む、
請求項
1に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス。
【請求項4】
前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型のウイルスであり、
好ましくは、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスのサブタイプは、H1N1、H1N2、H1N3、H1N8、H1N9、H2N2、H2N3、H2N8、H3N1、H3N2、H3N8、H4N2、H4N4、H4N6、H4N8、H5N1、H5N2、H5N3、H5N6、H5N8、H5N9、H6N1、H6N2、H6N4、H6N5、H6N6、H6N8、H7N1、H7N2、H7N3、H7N7、H7N8、H7N9、H8N4、H9N1、H9N2、H9N5、H9N8、H10N3、H10N4、H10N7、H10N8、H10N9、H11N2、H11N6、H11N9、H12N1、H12N3、H12N5、H13N6、H13N8、H14N5、H15N2、H15N8、H16N3、H17N10またはH18N11のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
請求項
1に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の加水分解標的M1タンパク質をコードする、
核酸分子。
【請求項6】
少なくとも1つのコピーされた請求項5に記載の核酸分子を含む、
組換えベクター。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法であって、
タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを調製するための発現ベクターを構築するステップ(1)と、
インフルエンザウイルスレスキューシステムにおけるインフルエンザウイルスのM遺伝子を発現するプラスミドをステップ(1)で得られた発現ベクターに置き換え、細胞系でコトランスフェクトし、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを取得するステップ(2)と、を含む、
タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法。
【請求項8】
ステップ(1)において、前記発現ベクターには前記加水分解標的M1タンパク質のコード配列が含まれ、
好ましくは、ステップ(2)において、前記細胞系はTEVpを過剰発現する人工細胞系であり、
好ましくは、ステップ(2)において、前記インフルエンザウイルスレスキューシステムは、WSNインフルエンザウイルスの12プラスミドレスキューシステムを含む、
請求項7に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法。
【請求項9】
前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを、TEVpを過剰発現する人工的に改変された細胞系で複製し、大規模に生産するステップを更に含む、
請求項
7に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを含むインフルエンザウイルスワクチンであって、
好ましくは、前記インフルエンザウイルスワクチンは弱毒化ワクチン、複製欠陥生ウイルスワクチンまたは複製制御可能生ウイルスワクチンのうちのいずれか1種である、
インフルエンザウイルスワクチン。
【請求項11】
請求項1~4のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイル
スの、インフルエンザを治療する薬剤および/または腫瘍溶解薬剤の調製における使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0117
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0117】
以上の説明は、本願の具体的な実施形態に過ぎないが、本願の保護範囲はこれに限定されるものではなく、当業者であれば、当業者が本願に開示された技術的範囲内に容易に想到可能な変更または置換は、全て本願の保護範囲および公開範囲内に含まれることを理解すべきであることを出願人より声明する。
本開示は、例えば、以下に関する。
[1]
加水分解標的M1タンパク質を含むタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスであって、
前記加水分解標的M1タンパク質のC末端には、TEVp認識部位およびユビキチン-プロテアソーム系によって認識されるタンパク質加水分解標的分子が順次に挿入され、前記ユビキチン-プロテアソーム系によって認識されるタンパク質加水分解標的分子は、SEQ ID No.1~353で示されるアミノ酸配列を含む、
タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス。
[2]
前記TEVp認識部位は、SEQ ID No.354で示されるアミノ酸配列を含む、
前記[1]に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス。
[3]
前記M1タンパク質のC末端とTEVp認識部位との間はフレキシブルリンカー1により連結され、
好ましくは、前記フレキシブルリンカー1はSEQ ID No.355で示されるアミノ酸配列を含み、
好ましくは、前記TEVp認識部位とタンパク質加水分解標的分子との間はフレキシブルリンカー2により連結され、
好ましくは、前記フレキシブルリンカー2はSEQ ID No.356で示されるアミノ酸配列を含む、
前記[1]または[2]に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス。
[4]
前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型のウイルスであり、
好ましくは、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスのサブタイプは、H1N1、H1N2、H1N3、H1N8、H1N9、H2N2、H2N3、H2N8、H3N1、H3N2、H3N8、H4N2、H4N4、H4N6、H4N8、H5N1、H5N2、H5N3、H5N6、H5N8、H5N9、H6N1、H6N2、H6N4、H6N5、H6N6、H6N8、H7N1、H7N2、H7N3、H7N7、H7N8、H7N9、H8N4、H9N1、H9N2、H9N5、H9N8、H10N3、H10N4、H10N7、H10N8、H10N9、H11N2、H11N6、H11N9、H12N1、H12N3、H12N5、H13N6、H13N8、H14N5、H15N2、H15N8、H16N3、H17N10またはH18N11のいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、
前記[1]~[3]のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス。
[5]
前記[1]~[4]のいずれか1項に記載の加水分解標的M1タンパク質をコードする、
核酸分子。
[6]
少なくとも1つのコピーされた前記[5]に記載の核酸分子を含む、
組換えベクター。
[7]
前記[1]~[4]のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法であって、
タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを調製するための発現ベクターを構築するステップ(1)と、
インフルエンザウイルスレスキューシステムにおけるインフルエンザウイルスのM遺伝子を発現するプラスミドをステップ(1)で得られた発現ベクターに置き換え、細胞系でコトランスフェクトし、前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを取得するステップ(2)と、を含む、
タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法。
[8]
ステップ(1)において、前記発現ベクターには前記加水分解標的M1タンパク質のコード配列が含まれ、
好ましくは、ステップ(2)において、前記細胞系はTEVpを過剰発現する人工細胞系であり、
好ましくは、ステップ(2)において、前記インフルエンザウイルスレスキューシステムは、WSNインフルエンザウイルスの12プラスミドレスキューシステムを含む、
前記[7]に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法。
[9]
前記タンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを、TEVpを過剰発現する人工的に改変された細胞系で複製し、大規模に生産するステップを更に含む、
前記[7]または[8]に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法。
[10]
前記[1]~[4]のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスを含むインフルエンザウイルスワクチンであって、
好ましくは、前記インフルエンザウイルスワクチンは弱毒化ワクチン、複製欠陥生ウイルスワクチンまたは複製制御可能生ウイルスワクチンのうちのいずれか1種である、
インフルエンザウイルスワクチン。
[11]
前記[1]~[4]のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルス、前記[5]に記載の核酸分子、前記[6]に記載の組換えベクター、前記[7]~[9]のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解標的インフルエンザウイルスの調製方法または前記[10]記載のインフルエンザウイルスワクチンのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせの、インフルエンザを治療する薬剤および/または腫瘍溶解薬剤の調製における使用。
【国際調査報告】