(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-07
(54)【発明の名称】足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法
(51)【国際特許分類】
E04H 12/00 20060101AFI20250228BHJP
【FI】
E04H12/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024550874
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-09-30
(86)【国際出願番号】 KR2022016674
(87)【国際公開番号】W WO2023163313
(87)【国際公開日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】10-2022-0025017
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524317770
【氏名又は名称】チャンジョ エスティ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホン ミンキ
(57)【要約】
本発明は、足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法に関し、より詳しくは、足場ボルト締結のために形成されたねじ部を専用のドリルビットによって拡径するが、足場ボルト孔に対応するプラスチック部分だけを拡径することにより、電柱が受ける振動と衝撃を最小限にし、注入物を供給する作業者の作業速度及び安全性の向上に役立つ、足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足場ボルト孔10を備えた電柱20の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法であって、
ミキサーを用いて水貯蔵タンク及び粉末貯蔵タンクに貯蔵された原料を混合撹拌してグラウト材を製造するグラウト材製造ステップS100と、
インパクトドリル100にドリルビット110を取り付け、また、上記ミキサーに連結されたホースコネクタ200に注入装置210を結合させる電柱補強手段準備ステップS200と、
上記ドリルビット110を電柱に形成された足場ボルト孔に挿入し、プラスチック製の足場ボルト孔の閉塞した後面端の1次釘打ちを行い、釘打ちされた空間とドリルビットをそのまま存在させ、釘打ち時に発生する電柱への衝撃を最小限にするための1次釘打ちステップS300と、
上記ドリルビットの先端を足場ボルト孔に挿入し、プラスチック製の足場ボルト孔の2次釘打ちを行い、ワイヤ鋼線の挿入時における不均一な分布の問題を防止するための2次釘打ちステップS400と、
防水液貯蔵タンクに貯蔵された防水液を上記2次釘打ちが行われた足場ボルト孔を介して供給した後、硬化させて電柱の内周面に防水層300を形成する防水層形成ステップS500と、
上記2次釘打ちが行われた足場ボルト孔を通じて電柱の内部に多数のワイヤ鋼線400を挿入する鋼線挿入ステップS600と、
上記ミキサーに連結されたホースコネクタ200に注入装置210を結合させ、電柱の足場ボルト孔を通じてグラウト材を供給した後、養生して電柱の内部に補強層500を形成する電柱内部補強ステップS700と、
を含む、足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法。
【請求項2】
上記ドリルビット110によって電柱への衝撃を最小限にして足場ボルト孔の拡径を行い、上記グラウト材は、ポリプロピレン繊維補強剤を含んでおり、これを電柱の内部に投入することにより、グラウト材による強度の増加、及び目詰まり現象の防止が可能であることを特徴とする、請求項1に記載の足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法。
【請求項3】
上記ミキサーに連結されたホースコネクタ200は、
ミキサーの先端に結合されるミキサー結合部205と、
上記ミキサー結合部の一側に、注入装置の一側に形成された結合突出部を挿入して固定する注入装置結合部207と、
を含んで構成されることを特徴とする、請求項1に記載の足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法。
【請求項4】
上記注入装置210は、
上記注入装置結合部207に結合されるように一側に形成される結合突出部215と、
上記結合突出部に連なっており、ミキサーから供給されるグラウト材を足場ボルト孔に注入するためのグラウト材注入部220と、
を含んで構成されることを特徴とする、請求項3に記載の足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法。
【請求項5】
上記防水液は、老朽化した電柱と注入物との間の吸着力を強化するために液状エポキシとして提供され、これによって塗布されることを特徴とする、請求項1に記載の足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法。
【請求項6】
上記鋼線挿入ステップS600におけるワイヤ鋼線400の挿入位置は、グラウト材が充填される足場ボルト孔を通じて挿入されるか、または、その上側の足場ボルト孔を通じて挿入されることを特徴とする、請求項1に記載の足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法に関し、より詳しくは、足場ボルト締結のために形成されたねじ部を専用のドリルビットによって拡径するが、足場ボルト孔に対応するプラスチック部分だけを拡径することにより、電柱が受ける振動と衝撃を最小限にし、注入物を供給する作業者の作業速度及び安全性の向上に役立つ、足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱は、電線又は通信線を地面から一定以上の上部に支えるための垂直構造物であり、円形に鉄筋を配筋し、円形筒に型枠を作った後、コンクリートを打設し、上記円形型枠を回転させ、中空状、すなわち、内部に空き空間を有するように製造される。
【0003】
上記のように製造された電柱は、地面を一定の深さで掘削して穴を形成した後、電柱の下部を、通常、2m程度埋設し、コンクリートを打設することで設置が完了する。
【0004】
また、電柱の上部に、電力線、通信線、碍子、避雷器、変圧器一次側開閉器、柱上変圧器などの多くの付属品が取り付けられる。
【0005】
このような電柱は、設置後、コンクリートの老朽化及び中空成形による耐久性の低下により、上部に取り付けられた付属品の荷重、さらに外部からの衝撃に耐えられず、電柱が倒れる事例が多かった。
【0006】
上記のように電柱の設置使用中に電柱が倒れると、電柱の上部に取り付けられた電力線、通信線、碍子、避雷器、変圧器一次側開閉器、柱上変圧器などの多くの付属品が損傷し、特に、高圧電流による人身事故、停電による被害が発生するなど、多くの問題点がある。
【0007】
具体的には、従来の一般的なコンクリート電柱では、設置の場所と期間によって作業者が異なり、技術の差があるため、外側から一見して特に外観上の問題がなくても、内部はバランスの取れた状態ではないものが多かった。
【0008】
また、老朽化した電柱は、コンクリートの特性上、水分を多く吸収するが、環境によっては、水分の他、塩分などが、コンクリート及び内蔵された鉄筋の酸化の原因となり、これによって、外部環境、衝撃、またはケーブル増設による荷重などによる破損の危険性を常に持っている。
【0009】
従って、本発明では、上記のような問題点を解決するため、足場ボルト締結のために形成されたねじ部を専用のドリルビットによって拡径するが、足場ボルト孔に対応するプラスチック部分だけを拡径することにより、電柱が受ける振動と衝撃を最小限にし、注入物を供給する作業者の作業速度及び安全性の向上に役立つ、足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法を提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消するために案出されたものであって、本発明の目的は、足場ボルト締結のために形成されたねじ部を専用のドリルビットによって拡径するが、足場ボルト孔に対応するプラスチック部分だけを拡径することにより、電柱が受ける振動と衝撃を最小限にし、注入物を供給する作業者の作業速度及び安全性の向上に役立つ、足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような課題を解決するため、本発明の一実施例による足場ボルト孔10を備えた電柱20の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法は、
ミキサーを用いて水貯蔵タンク及び粉末貯蔵タンクに貯蔵された原料を混合撹拌してグラウト材を製造するグラウト材製造ステップS100と、
インパクトドリル100にドリルビット110を取り付け、また、上記ミキサーに連結されたホースコネクタ200に注入装置210を結合させる電柱補強手段準備ステップS200と、
上記ドリルビット110を電柱に形成された足場ボルト孔に挿入し、プラスチック製の足場ボルト孔の閉塞した後面端の1次釘打ちを行い、釘打ちされた空間とドリルビットをそのまま存在させ、釘打ち時に発生する電柱への衝撃を最小限にするための1次釘打ちステップS300と、
上記ドリルビットの先端を足場ボルト孔に挿入し、プラスチック製の足場ボルト孔の2次釘打ちを行い、ワイヤ鋼線の挿入時における不均一な分布の問題を防止するための2次釘打ちステップS400と、
防水液貯蔵タンクに貯蔵された防水液を上記2次釘打ちが行われた足場ボルト孔を介して供給した後、硬化させて電柱の内周面に防水層300を形成する防水層形成ステップS500と、
上記2次釘打ちが行われた足場ボルト孔を通じて電柱の内部に多数のワイヤ鋼線400を挿入する鋼線挿入ステップS600と、
上記ミキサーに連結されたホースコネクタ200に注入装置210を結合させ、電柱の足場ボルト孔を通じてグラウト材を供給した後、養生して電柱の内部に補強層500を形成する電柱内部補強ステップS700と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法によれば、足場ボルト締結のために形成されたねじ部を専用のドリルビットによって拡径するが、足場ボルト孔に対応するプラスチック部分だけを拡径することにより、電柱が受ける振動と衝撃を最小限にし、注入物を供給する作業者の作業速度及び安全性の向上に役立つ。
【0013】
すなわち、本発明によれば、挿入されるワイヤ鋼線が均一に挿入されるように人為的に調整できる効果、特別に製造されたポリプロピレン繊維補強剤をグラウト材に配合することで注入時における目詰まり現象を防止できる効果、釘打ちにより足場ボルト孔を拡径する場合において老朽化した電柱への衝撃を最小限にする効果、注入しようとするグラウト材の移動経路の短縮及び簡易な締結のための拡径した注入口が提供される効果、及び強度向上の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来の電柱内に、本発明の一実施例による足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法によってワイヤ鋼線を挿入した写真である。
【
図2】従来の電柱内に、本発明の一実施例による足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法によってワイヤ鋼線を挿入した後のワイヤ鋼線の分布状態を示す切断断面図である。
【
図3】本発明の一実施例による足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法を示す工程図である。
【
図4】本発明の一実施例による足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法におけるプラスチック製の足場ボルト孔を示す例示図である。
【
図5】本発明の一実施例による足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法における1次釘打ちステップS300及び2次釘打ちステップS400を示す例示図である。
【
図6】本発明の一実施例による足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法において使用される専用のドリルビットを示す例示図である。
【
図7】本発明の一実施例による足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法において使用される専用のホースコネクタと注入装置を示す例図である。
【
図8】本発明の一実施例による足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法において使用される専用のホースコネクタと注入装置によるグラウト材の供給例を示す例示図である。
【
図9】本発明の一実施例による足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法によって形成された防水層300、ワイヤ鋼線400、補強層500を示す例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の原理について例示する。当業者であれば、本明細書に明確に説明または図示されていなくても、これに基づいて本発明の原理を具現し、本発明の概念と範囲に含まれる種々の装置を実現できるであろう。
【0016】
また、本明細書に示された全ての条件付き用語及び実施例は、原則として本発明の概念の理解を助けるためのものであり、本発明は、このような実施例及び形態に制限されないことを理解されたい。
【0017】
本発明の一実施例による足場ボルト孔10を備えた電柱20の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法は、
ミキサーを用いて水貯蔵タンク及び粉末貯蔵タンクに貯蔵された原料を混合撹拌してグラウト材を製造するグラウト材製造ステップS100と、
インパクトドリル100にドリルビット110を取り付け、また、上記ミキサーに連結されたホースコネクタ200に注入装置210を結合させる電柱補強手段準備ステップS200と、
上記ドリルビット110を電柱に形成された足場ボルト孔に挿入し、プラスチック製の足場ボルト孔の閉塞した後面端の1次釘打ちを行い、釘打ちされた空間とドリルビットをそのまま存在させ、釘打ち時に発生する電柱への衝撃を最小限にするための1次釘打ちステップS300と、
上記ドリルビットの先端を足場ボルト孔に挿入し、プラスチック製の足場ボルト孔の2次釘打ちを行い、ワイヤ鋼線の挿入時における不均一な分布の問題を防止するための2次釘打ちステップS400と、
防水液貯蔵タンクに貯蔵された防水液を上記2次釘打ちが行われた足場ボルト孔を介して供給した後、硬化させて電柱の内周面に防水層300を形成する防水層形成ステップS500と、
上記2次釘打ちが行われた足場ボルト孔を通じて電柱の内部に多数のワイヤ鋼線400を挿入する鋼線挿入ステップS600と、
上記ミキサーに連結されたホースコネクタ200に注入装置210を結合させ、電柱の足場ボルト孔を通じてグラウト材を供給した後、養生して電柱の内部に補強層500を形成する電柱内部補強ステップS700と、
を含むことを特徴とする。
【0018】
このとき、上記グラウト材は、グラウト材100重量部と、上記グラウト材100重量部に対してポリプロピレン繊維補強剤0.03~0.08重量部とを含むが、上記骨材の粒径が2mm以下であることを特徴とする。
【0019】
このとき、上記ドリルビット110によって電柱への衝撃を最小限にして足場ボルト孔の拡径を行い、また、上記グラウト材は、ポリプロピレン繊維補強剤を含んでおり、これを電柱の内部に注入することにより、グラウト材による強度の増大が得られるとともに、グラウト材の注入時における目詰まり現象を防止できることを特徴とする。
【0020】
このとき、上記ドリルビット110は、2段の構成であるが、一定の直径を有する第1の釘打ち部111と、第1の釘打ち部に連なっており、上記第1の釘打ち部の直径より大きく形成される第2の釘打ち部112と、を含んで構成されることを特徴とするが、例えば、足場ボルト孔の外径が22mmである場合、上記第1の釘打ち部は、20mm未満の直径を有し、上記第2の釘打ち部は、20mm~21mmの直径を有することを特徴とする。
【0021】
このとき、上記ミキサーに連結されたホースコネクタ200は、ミキサーの端部に結合するミキサー結合部205と、上記ミキサー結合部の一側に、注入装置の一側に形成された結合突出部を挿入して固定する注入装置結合部207とを含んで構成されることを特徴とする。
【0022】
このとき、上記注入装置210は、上記注入装置結合部207に結合されるように一側に形成される結合突出部215と、上記結合突出部に連なっており、ミキサーから供給されるグラウト材を足場ボルト孔に投入するためのグラウト材注入部220とを含んで構成されることを特徴とする。
【0023】
このとき、上記防水液は、老朽化した電柱と注入物との間の吸着力を強化するために液状エポキシとして提供され、これによって塗布されることを特徴とする。
【0024】
以下、本発明による足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法について実施例を挙げて詳述する。
【0025】
図3は、本発明の一実施例による足場ボルト孔を備えた電柱の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法を示す工程図である。
【0026】
図3に示されるように、本発明による足場ボルト孔10を備えた電柱20の補強のために電柱の内部に注入物を供給する電柱補強方法は、
ミキサーを用いて水貯蔵タンク及び粉末貯蔵タンクに貯蔵された原料を混合撹拌してグラウト材を製造するグラウト材製造ステップS100と、
インパクトドリル100にドリルビット110を取り付け、また、上記ミキサーに連結されたホースコネクタ200に注入装置210を結合させる電柱補強手段準備ステップS200と、
上記ドリルビット110を電柱に形成された足場ボルト孔に挿入し、プラスチック製の足場ボルト孔の閉塞した後面端の1次釘打ちを行い、釘打ちされた空間とドリルビットをそのまま存在させ、釘打ち時に発生する電柱への衝撃を最小限にするための1次釘打ちステップS300と、
上記ドリルビットの先端を足場ボルト孔に挿入し、プラスチック製の足場ボルト孔の2次釘打ちを行い、ワイヤ鋼線の挿入時における不均一な分布の問題を防止するための2次釘打ちステップS400と、
防水液貯蔵タンクに貯蔵された防水液を上記2次釘打ちが行われた足場ボルト孔に介して供給した後、硬化させて電柱の内周面に防水層300を形成する防水層形成ステップS500と、
上記2次釘打ちが行われた足場ボルト孔を通じて電柱の内部に多数のワイヤ鋼線400を挿入する鋼線挿入ステップS600と、
上記ミキサーに連結されたホースコネクタ200に注入装置210を結合させ、電柱の足場ボルト孔を通じてグラウト材を供給した後、養生して電柱の内部に補強層500を形成する電柱内部補強ステップS700と、
を含むことを特徴とする。
【0027】
以下、添付の図面を参照して本説明について詳述する。
【0028】
1.グラウト材製造ステップS100
グラウト材製造ステップS100は、ミキサーを用いて水貯蔵タンク及び粉末貯蔵タンクに貯蔵された原料を混合撹拌してグラウト材を製造する過程である。
【0029】
上記粉末貯蔵タンクが複数個のタンクで構成され、それぞれのタンクにセメント、砂、砂利、混和材などが貯蔵されてもよい。
【0030】
粉末貯蔵タンクに貯蔵された原料のミキサーへの供給方式は、シャベルなどを用いて手作業で供給してもよく、フレキシブルな素材で構成されかつ管路上にクランプが設けられて組み立て及び分離が可能な配管により供給してもよい。
【0031】
配管による供給のためには、配管に沿って原料を移送させるためのポンプ、スクリューコンベアなどのような移送手段(図示せず)が設けられてもよい。
【0032】
ミキサーは、水貯蔵タンク及び粉末貯蔵タンクに貯蔵された原料を混合撹拌するように構成されている。
【0033】
このようなミキサーは、内部に撹拌軸と撹拌翼が設けられ、撹拌軸にはモーターが取り付けられ、モーターの駆動によって原料の混合及び撹拌が行われる。
【0034】
さらに、上述のように、ミキサーは、水貯蔵タンクと粉末貯蔵タンクと配管で連結され、適量の原料が直接供給されるように構成されてもよい。
【0035】
このとき、好ましくは、上記グラウト材は、グラウト材100重量部と、上記グラウト材100重量部に対してポリプロピレン繊維補強剤0.03~0.08重量部とを含むが、上記骨材の粒径が2mm以下であることを特徴とする。
【0036】
上記グラウト材の組成については、公知の補強用グラウト材の市販品を使用してもよいが、足場ボルト孔を活用しているため、骨材の粒径が2mm以下であるものを粉砕して使用することが好ましい。
【0037】
また、グラウト材の水分蒸発を極力防ぐため、老朽化したセメントと注入されるセメントとの間の接着力を高めるため、ポリプロピレン繊維補強剤を、グラウト材100重量部に対して0.03~0.08重量部の範囲で混入することにより、注入されるグラウト材の弾性係数と曲げ強度を向上させてもよい。
【0038】
2.電柱補強手段準備ステップS200
上記電柱補強手段準備ステップS200は、インパクトドリル100にドリルビット110を取り付け、また、上記ミキサーに連結されたホースコネクタ200に注入装置210を結合させる過程である。
【0039】
具体的には、
図6に示されるように、上記ドリルビット110は、2段で構成され、一定の直径を有する第1の釘打ち部111と、第1の釘打ち部に連なっており、上記第1の釘打ち部の直径より大きく形成される第2の釘打ち部112とを含んで構成されることを特徴とする。
【0040】
このとき、好ましくは、足場ボルト孔の外径が22mmである場合、上記第1の釘打ち部は、20mm未満の直径を有し、上記第2の釘打ち部は、20mm~21mmの直径を有することを特徴とする。
【0041】
例えば、従来の足場ボルト孔を用いて老朽化した電柱を補強する方法では、内径16mmの足場ボルト孔50の内側の栓部分だけを釘打ちして挿入しているが、目詰まり現象が起こり、軟鋼線が曲がって不均一な分布となることが、挿入過程での内視鏡撮影及び電柱の切断によって確認された。これを補完するため、本発明では、外径22mmの足場ボルト孔を、専用のドリルビットによって一次的に後面部の閉塞した部分の釘打ちを行い、釘打ちされた空間と一緒になって電柱への衝撃を最小限にして二次的に足場ボルト孔のプラスチック部分だけを20mmまで拡径することにより、軟鋼線の挿入時において挿入前と同一の形状を保ちながら内部への挿入が行われるメリットが得られる。
【0042】
なお、
図7に示されるように、上記ミキサーに連結されたホースコネクタ200は、ミキサーの端部に結合するミキサー結合部205と、上記ミキサー結合部の一側に、注入装置の一側に形成された結合突出部を挿入して固定する注入装置結合部207とを含んで構成されることを特徴とする。
【0043】
具体的には、ミキサー結合部205を設けてミキサーの端部に結合し、ミキサー結合部の一側に、注入装置の一側に形成された結合突出部を挿入して固定する注入装置結合部207が形成される。
【0044】
このとき、注入装置210は、上記注入装置結合部207に結合されるように一側に形成された結合突出部215と、上記結合突出部に連なっており、ミキサーから供給されるグラウト材を足場ボルト孔に投入するためのグラウト材注入部220とを含んで構成される。
【0045】
すなわち、結合突出部215を設けて注入装置結合部207に結合し、
図8に示されるように、グラウト材注入部220が結合突出部に連なっているため、ミキサーから供給されるグラウト材が足場ボルト孔に注入されることになる。
【0046】
3.1次釘打ちステップS300
上記1次釘打ちステップS300は、ドリルビット110を電柱に形成された足場ボルト孔に挿入し、プラスチック製の足場ボルト孔の閉塞した後面端の1次釘打ちを行い、釘打ちされた空間とドリルビットをそのまま存在させ、釘打ち時に発生する電柱への衝撃を最小限にするための過程である。
【0047】
図5に示されるように、ドリルビット110を電柱に形成された足場ボルト孔50に挿入し、プラスチック製の足場ボルト孔の閉塞した後面端の1次釘打ちを行う。
【0048】
このとき、同図に示されるように、釘打ちされた空間とドリルビットをそのまま存在させ、釘打ち時に発生する電柱への衝撃を最小限にすることができる効果が得られる。
【0049】
4.2次釘打ちステップS400
上記2次釘打ちステップS400は、ドリルビットの先端を足場ボルト孔に挿入し、プラスチック製の足場ボルト孔の2次釘打ちを行い、ワイヤ鋼線の挿入時における不均一な分布の問題を防止するための過程である。
【0050】
図5に示されるように、ドリルビットの先端を足場ボルト孔に挿入し、プラスチック製の足場ボルト孔の2次釘打ちを行うことで、ワイヤ鋼線の挿入時における不均一な分布の問題を防止することができる。
【0051】
5.防水層形成ステップS500
上記防水層形成ステップS500は、防水液貯蔵タンクに貯蔵された防水液を上記2次釘打ちが行われた足場ボルト孔を介して供給した後、硬化させて電柱の内周面に防水層300を形成する過程である。
【0052】
このとき、上記防水液は、老朽化した電柱と注入物との間の吸着力を強化するため、液状エポキシとして提供され、これによって塗布されることを特徴とする。
【0053】
なお、防水層300の施工時、必要であれば(防水液の粘度、防水液の硬化程度、防水液の過多投入量の程度によって)、電柱下部の足場ボルトを取り外し、足場ボルト孔を介して、電柱の内壁面に付着した防水液以外の残余の防水液が外部に排出されるようにしてもよい。
【0054】
図9には、ワイヤ鋼線400の挿入前の電柱の内周面に防水層300が形成されている状態が示されている。
【0055】
6.鋼線挿入ステップS600
上記鋼線挿入ステップS600は、上記2次釘打ちが行われた足場ボルト孔を通じて電柱の内部に多数のワイヤ鋼線400を挿入する過程である。
【0056】
このとき、ワイヤ鋼線400の挿入位置は、グラウト材が充填される足場ボルト孔を通じて挿入されてもよく、その上側の足場ボルト孔を通じて挿入されてもよい。
【0057】
ワイヤ鋼線400を挿入すると、せん断補強能力がより向上するが、ワイヤ鋼線の挿入時に挿入ノズルを使用してもよい。
【0058】
すなわち、一般的に使用される挿入ノズルによる防水液の供給が完了すると、ノズルクランプを緩めて供給ホースを挿入ノズルから分離した後、挿入ノズルの大きな入口からワイヤ鋼線を押し込むと、漏斗形状の挿入ノズルを介して鋼線が電柱の内部に挿入されることになり、ワイヤ鋼線400の挿入が容易に行われる。
【0059】
7.電柱内部補強ステップS700
上記電柱内部補強ステップS700は、ミキサーに連結されたホースコネクタ200に注入装置210を結合させ、電柱の足場ボルト孔を通じてグラウト材を供給した後、養生して電柱の内部に補強層500を形成する過程である。
【0060】
例えば、
図8に示されるように、ミキサーに連結されたホースコネクタ200に注入装置210を結合させた後、電柱の足場ボルト孔に挿入することでグラウト材の供給が行われる。
【0061】
次いで、養生過程を経て、電柱の内部に、
図9のような補強層が形成される。
【0062】
要するに、本発明では、上記ドリルビット110によって電柱への衝撃を最小限にして足場ボルト孔の拡径を行い、また、上記グラウト材は、ポリプロピレン繊維補強剤を含んでおり、これを電柱の内部に投入することにより、既存のグラウト材に比べて様々な強度の測定で高い性能を有するものが得られることが確認された。
【0063】
また、上記のような過程を行うことで、1トントラック1台で、老朽化した電柱約30個分の補強作業を遂行できるメリットが得られる。
【0064】
本発明によれば、足場ボルト締結のために形成されたねじ部を専用のドリルビットによって拡径するが、足場ボルト孔に対応するプラスチック部分だけを拡径することにより、電柱が受ける振動と衝撃を最小限にし、注入物を供給する作業者の作業速度及び安全性の向上に役立つ。
【0065】
上述のような本発明が属する技術分野の当業者であれば、本発明の技術的思想や特徴から逸脱することなく種々に変更して実施できることが理解されるであろう。従って、上述のような実施例は、本発明の例示に過ぎず、限定的なものではないと理解すべきである。
【0066】
本発明の範囲は、上記の詳細な説明よりは添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、またその等価概念から導出される全ての変更または変形された形態は、本発明の範疇に含まれるものと解釈されるべきである。
【国際調査報告】