(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-07
(54)【発明の名称】遮断要素、アクセス制御装置、およびアクセス制御システム
(51)【国際特許分類】
E01F 13/04 20060101AFI20250228BHJP
【FI】
E01F13/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024552096
(86)(22)【出願日】2023-03-01
(85)【翻訳文提出日】2024-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2023055229
(87)【国際公開番号】W WO2023166086
(87)【国際公開日】2023-09-07
(32)【優先日】2022-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524186051
【氏名又は名称】スキーデータ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】SKIDATA GMBH
【住所又は居所原語表記】Untersbergstrasse 40,Groedig,5083 Salzburg (AT)
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】トラノフ-フォーグル,ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー,ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】マルコ,リール
(72)【発明者】
【氏名】シーレン,ユルゲン
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA12
2D101DA04
2D101DA05
2D101DA06
2D101EA02
2D101FA11
2D101FA27
2D101HA16
2D101HB02
(57)【要約】
本開示はアクセス制御の分野に関し、特に人々、車両、またはこれらに類するものに対し通路の通過を可逆的に遮断及び遮断解除することに関し、更に遮断要素、アクセス制御装置及びアクセス制御システムに特に関する。従って、通路(712)を選択的に遮断するための遮断要素(110)が提供される。遮断要素(110)は少なくとも4つの実質非可撓性区間(112)と少なくとも3つの実質可撓性区間(114)を備え、各実質可撓性区間が2つの実質非可撓性区間の間に配置され、及び/または2つの実質非可撓性区間を接続し、実質可撓性区間は特定の可撓性区間に隣接配置された2つの特定の実質非可撓性区間が互いに対し回転可能であるために適切であるように構成され、最も外側の2つの実質非可撓性区間は第1の末端区間と第2の末端区間とを含む末端区間(116)として構成され、これら末端区間は遮断要素を作動機構(610)への取り付けに適している。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路(712)を選択的に遮断するための遮断要素(110)であって、
少なくとも4つの実質非可撓性区間(112)と、
少なくとも3つの実質可撓性区間(114)と、
を備え、
前記実質可撓性区間のそれぞれが2つの前記実質非可撓性区間の間に配置されており、および/または2つの前記実質非可撓性区間を接続しており、
前記実質可撓性区間のそれぞれは、特定の可撓性区間に隣接して配置された特定の2つの前記実質非可撓性区間が互いに対して回転可能であるように、配置されており、
最も外側の2つの前記実質非可撓性区間は、第1の末端区間と第2の末端区間とを含む末端区間(116)として構成されており、
前記末端区間は、前記遮断要素を作動機構(610)に取り付けるように構成されている、
遮断要素。
【請求項2】
前記遮断要素は1ピース要素として形成されている、請求項1に記載の遮断要素。
【請求項3】
前記実質非可撓性区間および前記実質可撓性区間のうちの少なくとも一部が、プラスチック、ポリマー、編織布、ポリウレタン、金属、アルミニウム、鋼鉄、複合材料、繊維複合材料、炭素繊維複合材料から成る群から選択された少なくとも1つの材料でできている、請求項1または2に記載の遮断要素。
【請求項4】
少なくとも2つの前記末端区間がレバー要素として構成されている、請求項1または3に記載の遮断要素。
【請求項5】
前記実質可撓性区間がヒンジ要素(120)および/または回転可能継手(118)として構成されている、請求項1~4の少なくとも一項に記載の遮断要素。
【請求項6】
前記実質非可撓性区間は、実質的に非平坦、三角形、支柱付き、T字形状、台形、ダイヤモンド形、菱形、サイクロイド形、楕円形、および/または卵形、の形状を備え、および/または、
前記実質可撓性区間は、実質的に平坦な形状を備え、および/または、
前記実質可撓性区間は、前記実質非可撓性区間に比べ、その材料の剛性が低いので、前記実質可撓性区間は、前記実質非可撓性区間より可撓性が高い、
請求項1~5の少なくとも一項に記載の遮断要素。
【請求項7】
請求項1~6の少なくとも一項に記載の前記遮断要素(110)を少なくとも1つ備えたアクセス制御装置(710)であって、
前記遮断要素に作動的に接続された作動機構(610)を備え、
前記作動機構は、前記遮断要素を作動するように構成されており、
前記遮断要素は、前記作動機構によって作動されると、遮断状態(214)と非遮断状態(216)との間で移行するように構成されており、
前記遮断状態において、前記遮断要素は、通路(712)に少なくとも部分的に導入されて配置され、
前記非遮断状態において、前記遮断要素は、前記通路(712)から少なくとも部分的に除かれて配置されている、
アクセス制御装置。
【請求項8】
前記作動機構は、
第1の回転可能要素(612a)と、
第2の回転可能要素(612b)と、
を備え、
前記第1の回転可能要素および前記第2の回転可能要素の回転軸線(614a、b)は実質的に平行であり、
前記回転可能要素のそれぞれは、前記遮断要素の一方の末端区間(116)に作動的に接続されており、
前記作動機構は、前記遮断要素を作動するとき、前記第1の回転可能要素と前記第2の回転可能要素とを反対方向に回転させるように構成されており、
前記遮断要素は、前記第1の回転可能要素および前記第2の回転可能要素の回転によって、前記遮断状態と前記非遮断状態との間で移行するように構成されている、
請求項7に記載のアクセス制御装置。
【請求項9】
前記非遮断状態において、前記遮断要素は実質的に平坦に配置されており、および/または、前記実質非可撓性区間は、それぞれの長手方向延在部分が実質的に平行であるように配置されており、
前記遮断状態において、前記遮断要素は非平坦に配置されており、および/または、前記実質非可撓性区間は、それぞれの長手方向延在部分のうちの少なくとも一部が非平行であるように配置されており、および/または、前記遮断要素は、正方形、矩形、斜方形、凧形、平行四辺形、台形、および三角形から成る群から選択された形状である、
請求項7または8の少なくとも一項に記載のアクセス制御装置。
【請求項10】
前記非遮断状態において、隣接する前記実質非可撓性区間は、それらの長手方向延在部分の間に0°~5°、0°~10°、0°~15°、0°~20°、0°~30°、175°~185°、170°~190°、160°~200°、355°~360°、350°~360°、345°~360°、340°~360°、および330°~360°のうちの1つの角度を形成するように配置されており、
前記遮断状態において、隣接する前記実質非可撓性区間は、それらの長手方向延在部分の間に85°~95°、80°~90°、90°~100°、80°~100°、70°~90°、75°~105°、70°~110°、65°~115°、および60°~120°のうちの1つの角度を形成するように配置されている、
請求項7~9の少なくとも一項に記載のアクセス制御装置。
【請求項11】
前記作動機構は、前記第1の回転可能要素および前記第2の回転可能要素の両方を作動するように構成された単一のアクチュエータ要素(611)を備え、
特に、前記第1の回転可能要素を前記第2の回転可能要素とは逆に回転させるための歯車構成(616)を備えている、
または、
前記作動機構は、前記第1の回転可能要素および前記第2の回転可能要素を独立に作動するように構成された2つのアクチュエータ要素を備えている、
請求項7~10の少なくとも一項に記載のアクセス制御装置。
【請求項12】
アクチュエータ要素が電気式アクチュエータ要素、電磁式アクチュエータ要素、油圧式アクチュエータ要素、および空気圧式アクチュエータ要素のうちの1つである、請求項11に記載のアクセス制御装置。
【請求項13】
前記遮断要素、前記作動機構、アクチュエータ要素、および回転可能要素のうちの少なくとも1つの要素を収容するためのハウジング(714)と、
実質静止バリア要素と、
を更に備え、
前記ハウジングと前記静止バリア要素とが前記通路を画成する、
請求項7~12の少なくとも一項に記載のアクセス制御装置。
【請求項14】
複数の遮断要素が互いに垂直方向に配置されている、請求項7~13の少なくとも一項に記載のアクセス制御装置。
【請求項15】
請求項7~14の少なくとも一項に記載のアクセス制御装置を少なくとも2つ備えたアクセス制御システム(810)であって、
前記2つのアクセス制御装置(710)は、前記2つのアクセス制御装置の間に通路(712)を形成するように、対向配置されており、
前記2つのアクセス制御装置の前記遮断要素は、前記2つのアクセス制御装置の前記遮断要素のうちの少なくとも一方が前記遮断状態に配置されているときに、前記通路を少なくとも部分的に遮断するように構成されており、
特に、前記非遮断状態において、人、動物、車両、通過者、または物体が前記通路を実質的に妨げられずに通過できるように、前記通路の通過が開放される、
アクセス制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクセス制御の分野に関する。特に、本開示は、人々、車両、またはこれらに類するもの、に対する通路の通過の可逆的な遮断および遮断解除に関する。更に、本開示は、遮断要素、アクセス制御装置、およびアクセス制御システムに特に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、アクセス制御の分野に関する。人々、車両、または動物、およびこれらに類するものは、本開示の文脈においてすべて通過者と総称されているが、これら通過者に対してアクセスを選択的に提供または遮断するために、アクセス制御装置が使用される。例えば人が通路の向こう側にアクセスするために通るはずの通路を開放または閉鎖するために、アクセスを提供または遮断するための遮断要素が使用され得る。例えば、スキー場において、スキーリフトで山を登る人は、その人のために開いてスキーリフトの搭乗待合室へのアクセスを可能にする回転式ゲート型アクセス制御装置を通る必要がある。通路が遮断解除されるのは、通路を通過しようとする人がそうするための権限を有することを、例えば、その人が有効なアクセスパスを所有していることを検証することによって、アクセス制御装置が確認した後である。他の適用シナリオは、スポーツ競技会場、コンサート会場、または音楽ホール、へのアクセスの提供または遮断を含む。更に、アクセス制御装置は、例えば駐車場に進入または退出しようとする車両に対して、そうするための権限を適正に検証した後、そのアクセスを遮断または遮断解除することが考えられる。
【0003】
一般的なアクセス制御装置は、多くの場合、人が通路を通過するときに回転する回転構成、例えば、2アームまたは3アーム構成、で動作するバリア要素を備えている。これは、アクセス機能を提供するばかりでなく、通過者間の分離にも役立つので、一度に1人の通過者のみが通路を通過できることを保証する。このような2アームまたは3アーム構成は、多くの場合、スポーツ競技会場またはスキー場におけるアクセス制御装置に使用されている。2つの隣接アーム間の角度は、通常、120°(3アーム構成の場合)または180°(2アーム構成の場合)であるので、これらアームの回転中の所与の一時点において少なくとも1つのアームが通路内に通常突出しているため、通路全体を完全には遮断解除できない。したがって、このような2アームまたは3アーム構成は、荷物を引きずっている人々、ショッピングカートまたは車椅子を使用している人々、あるいは車両全般、のように大きな物体には通路の自由通過を可能にし得ない。
【0004】
回転アームを使用するアクセス制御装置は、例えば金属または硬質プラスチック材料のような、実質的に剛性の材料でできているアームを通常使用している。そのため、このようなアームの動きは、通路の通過者に安全または健康上のリスクをもたらし得る。その不適正な使用は、通過者の負傷または損傷をおそらく招く。更に、単純なアームは、不正通過を防止するほど十分確実には通路を遮断し得ない。
【0005】
エンドユーザおよびオペレータにとって好都合でありながら、同時に(例えばスキーヤなど、身一つの人々のための)幅狭アクセスと(車椅子使用者、マウンテンバイカー、ベビーカーを有する人々、等々のための)幅広アクセスの両方をカバーし得る遮断要素は、アクセス制御装置の市場には現在存在していない。回転式ゲートなど、既存のアクセス制御装置は、バリアを常に形成しているので、ある集団の人々(例えば、車椅子使用者またはベビーカーを有する人々)は使用できない。通路を完全に開放する開き戸は、スペースを取り過ぎる。
【0006】
したがって、通過者の通過を可能にするために通路の柔軟な遮断解除をもたらす、改良されたアクセス制御に対するニーズが存在し得る。
【0007】
更に、通過者の健康およびアクセスの安全性の両方に関して、通路経由の安全確実なアクセスを提供する、すなわち、有効な権限を有する通過者のみが通路を通過できることを保証する、アクセス制御に対するニーズが存在し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
このようなニーズのうちの少なくとも1つは、独立請求項の主題によって満たされ得る。好適な複数の実施形態が従属請求項に提供されており、以下の説明において詳細に説明される。
【0009】
本発明は、遮断要素、アクセス制御装置、およびアクセス制御システムを提供する。
【0010】
本開示の第1の態様によると、通路を選択的に遮断するための遮断要素が提供される。この遮断要素は、少なくとも4つの実質非可撓性区間と少なくとも3つの実質可撓性区間とを備え、各実質可撓性区間は2つの実質非可撓性区間の間に配置されており、および/または2つの実質非可撓性区間を接続しており、実質可撓性区間は、特定の可撓性区間に隣接配置された特定の2つの実質非可撓性区間が互いに対して回転可能であるように、配置されており、最も外側の2つの実質非可撓性区間は、第1の末端区間と第2の末端区間とを含む末端区間として構成されており、これら末端区間は作動機構に遮断要素を取り付けるように構成されている。
【0011】
本開示の第2の態様によると、本開示による遮断要素を少なくとも1つ備えたアクセス制御装置が提供される。このアクセス制御装置は、遮断要素に作動的に接続された作動機構を備え、この作動機構は、遮断要素を作動するように構成されており、遮断要素は、作動機構によって作動されると、遮断状態と非遮断状態との間で移行するように構成されており、遮断要素は、遮断状態においては通路に少なくとも部分的に導入されて配置され、非遮断状態においては通路から少なくとも部分的に除かれて配置される。
【0012】
本開示の第3の態様によると、本開示によるアクセス制御装置を少なくとも2つ備えた制御システムが提供される。2つのアクセス制御装置は、この2つのアクセス制御装置の間に通路を形成するように、互いに対向配置されており、2つのアクセス制御装置のそれぞれの遮断要素は、2つのアクセス制御装置の少なくとも一方の遮断要素が遮断状態に配置されたとき、通路を少なくとも部分的に遮断するように構成されており、特に、非遮断状態においては、人、動物、車両、通過者、または物体が実質的に妨げられずに通路を通過できるように、通路の通過が開放される。
【0013】
本開示の更なる一態様によると、本開示による遮断要素を少なくとも1つ備えたアクセス制御装置が提供される。このアクセス制御装置は、遮断要素に作動的に接続された作動機構を備え、この作動機構は、遮断要素を作動するように構成されており、遮断要素は、作動機構によって作動されると、遮断状態と非遮断状態との間で移行するように構成されている。
【0014】
本開示による遮断要素は、実質的に可逆的に機械的変形が可能な要素にし得る。外力が何もないとき、遮断要素は、規定された第1の形状を取り得る。遮断要素に外力が作用すると、遮断要素は、第1の形状とは異なる第2の形状を取り得る。特に、第1の形状と異なる形状は、遮断要素に作用する外力の大きさ、および/または持続時間、に伴い、漸進的に変化し得る。遮断要素は、第2の形状への変形時に、規定された第1の形状に戻ろうとするように、特に、保持力を持たせて構築された、および/または保持力を備えた、要素にし得る。
【0015】
遮断要素は、第1の形状において、実質的に直線状の形状を備え得るので、小さな幾何学的フットプリントを呈し得る。他方、第2の形状では、幾何学的フットプリントが連続的に大きくなり得る。例えば、遮断要素は、第1の形状では、一直線区間を備え得る。この直線区間は、第2の形状を取るとき、漸進的に曲げられる。第2の形状は、規定の単一形状である必要はなく、複数の形状、特に、遮断要素に対する外力に応じて漸進的に変化する形状、になり得ることを理解されたい。
【0016】
本開示による遮断要素は、特に、適したアクチュエータ機構に取り付けられているとき、且つ特に遮断要素に作用する外力が皆無のとき、幾何学的フットプリントが小さい第1の形状を取り得るので、遮断要素および/またはアクセス制御装置に隣接する通路は、通過者が実質的に自由に通過できる。更に、遮断要素が第2の形状であるとき、特に外力が遮断要素に作用しているとき、遮断要素および/またはアクセス制御装置に隣接する通路が通過者に対して少なくとも部分的に遮断されるように、遮断要素はより大きな幾何学的フットプリントを呈し得る。
【0017】
本開示による遮断要素は、より幅広でより快適な通路経由のアクセスをもたらすので、回転式ゲートの代わりの新しい概念を使用して、通過が遮断されることになる。この目的のために、作動機構によって変形される弾性且つ可撓性の部品(例えば、2つの90°対向するレバー)が使用され得る。この部品は、その専用形状の故に、特定箇所でのみ曲がり得る。曲がると、バリアを形成する。この設計は、閉鎖状態において十分に高い剛性を実現しなければならないが、依然として通過者に傷害または損傷をもたらさないほど十分に軟質でなければならない。遮断要素は、安全且つ容易に据え付けられなければならず、且つ占有スペースができる限り小さくなければならない。この可撓性の遮断ソリューションは、平坦な要素として設計され、剛性のために、例えば金属製の、シートインサートを備え得る、更にはレバーの端部に接続され得る。あるいは、レバーは、可撓性の遮断要素に組み込まれ得る、またはその一体部分になり得る。レバーの回転によって、遮断要素は通路領域にアーチ状にせり出して、すなわち、作動機構による変形の故に第2の形状を取ることによって、通路領域を遮断し得る。
【0018】
あるいは、レバーと遮断要素とは1つの部品に組み合わされ得る。これにより、1ピース遮断要素が構成される。この遮断要素は、少なくとも4つの実質非可撓性区間と少なくとも3つの実質可撓性区間とを備える。4つの実質非可撓性区間は、例えば、ヒンジとして機能する実質可撓性区間を構成する肉薄区間を介して、接続される。これにより、指挟みが防止され、この領域における「鋏動作」の危険が完全に取り除かれる。1ピース遮断要素は、構成要素の数が少ないため、単純なデザインを呈する。したがって、より原価効率よく製作され得る。この可撓性遮断要素は、摩擦がより少なく、より少ない潤滑で済み、良好な小型化の可能性、組立てが簡単または不要である故の製作の容易さ、および少ない保守、をもたらし得る。したがって、ヒンジのボルト用スリーブなどの挿入部品が不要であるので、遮断要素自体の製造がはるかに簡単になり得る。更に、1ピース遮断要素の場合、遮断要素が取った形状を維持するための、例えば、その主位置からの不測の、または意図的な、曲がりを回避するための、インサートプレート、すなわち、内部筋交いまたは補剛、が不要になり得る。更に、顧客にとって見た目がより魅力的であり得る。更に、1ピース遮断要素は、例えばリビングヒンジ設計の故に、アクセス制御装置の末端区間とハウジングとの間での、および末端区間と遮断要素の残りの部分との間での、負傷の危険性を減らし得る。
【0019】
本開示によるアクセス制御装置は、開放時、すなわち非遮断状態、において殆ど隠れる弾性バリアを提供し得る。この仕組みは、高速動作部品に起因する人々の負傷またはロッキングを防止し得る。通路の開放、機械的および/または光学的バリアの消失、にかかる時間は、好ましくは2秒以下であるべきである。
【0020】
更に、本開示のアクセス制御装置は、開門の概念を提供する。すなわち、通過者が有効な許可なしに通路の通過を試みた場合、遮断要素の事前設定姿勢は開いているが、ゲートは閉じ得る。本開示のアクセス制御装置は、遮断要素の閉鎖に起因する通過者の負傷を防止し得る。
【0021】
更に、本開示のアクセス制御装置は、避難シナリオまたはパニック状態においては、複数の通過者の通過を妨げないように通路を実質的または完全に開放し、その開放を維持することによって、開門機能を提供する。
【0022】
換言すると、遮断要素は可撓性のバンドまたはばねであり、例えば作動機構による、外力が遮断要素に作用していない状態では、実質的に平坦であり、作動機構、例えばモータおよび/またはギアユニット、が遮断要素に作用する外力をもたらしている状態では、遮断要素は、その少なくともテーパ領域において、平坦形状から湾曲または屈曲している、または別様に変形している。前記外力によって加えられたエネルギーによって、バンド/ばねは、実質可撓性区間が曲がり、ひいては湾曲する。「閉鎖」状態、すなわち遮断状態、において、遮断要素は湾曲している。「開放」状態において、遮断要素は、ほんの僅か湾曲しているか、おそらく平坦または殆ど平坦であり、アクセス制御装置のハウジングに平行である。したがって、遮断要素は、閉鎖状態と開放状態との間の移行時に湾曲/湾曲解除されるように、曲げられ得る。好ましくは、遮断要素は、例えば、その横幅、厚さの故に、および/または補剛区間、筋交い、支柱、および/または遮断要素の材料内部のインレイ要素の故に、高い捩り剛性を有する。この剛性は、閉鎖状態において、例えば遮断要素の曲がりによって、通過者の通過を回避できるほど十分に高くし得る。特に、この剛性は、人間または他の通過者に通路を通過させるために、曲げが実質的に妨げられるほどにし得る。曲げるには、並外れた力または超自然的な力が必要になるであろう。
【0023】
開閉は極めて迅速に行われ得る。折り畳み式または回転式ゲートに比べ、開閉に要するスペースが比較的小さくなり得る。回転式ゲートは、通路の前方領域と後方領域、および通路レベルの領域を占める、あるいはフラップゲートは、通路の前方領域または後方領域、および通路レベルの領域を占める、のに対し、本開示による遮断要素は、バリアの引き込み/拡張のために通路自体の領域しか必要とせず、引き戸の概念に匹敵する。
【0024】
通常、可撓性区間または実質可撓性区間は、2つの隣接する非可撓性区間または実質非可撓性区間の相対移動を可能にする。例えば、可撓性区間は、2つの隣接する非可撓性区間が互いに対して実質的に回転するように、曲がり得る。可撓性区間の一例は、ヒンジ機構、例えば、リビングヒンジ、回転可能継手、である。
【0025】
実質非可撓性区間とは、遮断要素の通常動作の過程において、少なくともかなり大きな程度まで、変形に抵抗する要素または要素区間と理解されるものとする。特に、非可撓性区間は、隣接する可撓性区間または実質可撓性区間に比べ、大幅に剛性、またはより非可撓性、であり得る。加えて、または代わりに、非可撓性区間は、非可撓性区間に非可撓性をもたらす内部要素、例えば、バー、支柱、または筋交い、を通常備え得る。例えば、可撓性区間と非可撓性区間とは、両者のそれぞれの材料の含有量または組成、材料の形状、および/または追加の、内部または外部、補剛要素の具備、によって異なり得る。
【0026】
非遮断状態と遮断状態との間の移行時に遮断要素の拡張方向が通路内に向かう、ひいては通路の通過方向に垂直である、限りは、遮断要素は鉛直または水平に、あるいは通路に対して斜角にさえ、配置され得ることが通常考えられる。更に、複数の遮断要素が鉛直および/または水平に連続して設けられ、これにより、遮断高さ、遮断長さ、および/または遮断領域、が増大することも通常考えられる。
【0027】
1つの要素に対する別の要素の逆回転は、反対の回転方向を有すると理解され得る。例えば、一方の要素が反時計回り方向に回転するとき、もう一方の要素は時計回り方向に回転する。
【0028】
本開示の一実施形態によると、遮断要素は、1ピース要素として形成され得る。
【0029】
1ピース要素は、より経済的且つより効率的に製作され得る。1ピース要素は、その後に複数の要素の接続が不要であり得るので、信頼性と寿命とが増大し得る。特に、全ての区間が実質的に同じ材料でてきている遮断要素を設けることによって、通過者の負傷の危険性が低減し得る。
【0030】
本開示の更なる一実施形態によると、複数の実質非可撓性区間および複数の実質可撓性区間のうちの少なくとも一部をプラスチック、ポリマー、編織布、ポリウレタン、金属、アルミニウム、鋼鉄、複合材料、繊維複合材料、および炭素繊維複合材料から成る群から選択された少なくとも1つの材料でできるようにしてもよい。
【0031】
本開示の更なる一実施形態によると、実質非可撓性区間は、実質的に非平坦、三角形、支柱付き、T字形状、台形、ダイヤモンド形、菱形、サイクロイド形、楕円形、および/または卵形の形状を備え得る、および/または実質可撓性区間は、実質的に平坦な形状を備え得る、および/または実質可撓性区間は、実質非可撓性区間に比べ、より低い剛性の材料を備え得るので、実質可撓性区間は、実質非可撓性区間より可撓性が高くなり得る。
【0032】
可撓性区間は、特に、通常状態での遮断要素の動作時に、非可撓性区間より可撓性があり得るので、外力が遮断要素に作用すると、可撓性区間は、非可撓性要素に変形が発生する前に、変形し得る。特に、可撓性区間は、材料または材料組成の選択によって、および/または形状または構造組成を特化させた違いによって、非可撓性区間より可撓性が高くなり得る。例えば、一部または全ての非可撓性区間を金属または複合材料できているようにしてもよい。および/または非可撓性区間を非可撓性に、特に可撓性区間より非可撓性に、する形状を有し得る一方で、可撓性区間は、遮断要素の通常状態での動作時に撓み変形を可能にする材料でできている、および/または形状である。
【0033】
本開示の更なる一実施形態によると、少なくとも2つの末端区間は、レバー要素として構成され得る。
【0034】
レバーとは、固定ヒンジまたは支点に枢支された梁または剛性ロッドで構成された単純な機械または要素と理解され得る。レバーは、それ自体の一点上で回転可能な剛性要素でもよい。レバーは、入力を増幅してより大きな出力をもたらし得る。入力に対する出力の比は、レバーの機械効率である。したがって、レバーは、作動要素の回転を遮断要素の一部に伝達または投入するために使用され得る。
【0035】
本開示の更なる一実施形態によると、実質可撓性区間は、ヒンジ要素および/または回転可能継手として構成され得る。
【0036】
ヒンジとは、2つの固体を接続し、それらの間に一般に限定角度の回転のみを可能にする機械式軸受と理解され得る。理想的なヒンジによって接続された2つの固体は、固定された回転軸線を中心に、互いに対して回転し、他の全ての平行移動または回転が防止されるので、ヒンジは1自由度を有すると見做され得る。ヒンジは、可撓性材料または可動部品で構成され得る。軸受は、所望の自由度での動きを可能にし、不所望自由度での動きを防止する。ヒンジは、回転可能継手とも称され得る。
【0037】
ヒンジ要素または回転可能継手、あるいは実質可撓性区間、を通常変形させるために必要な力は、比較的小さくてよい。例えば、変形のために必要な力は、無視できるほど小さくてよい。その理由は、実質非可撓性区間は変形せず、力を可撓性区間に伝達するだけであり、作動機構が必要とする力も同様に比較的小さくてよい。例えば、供給される力は、遮断要素を動かすために、すなわち、非遮断状態と遮断状態との間の移行のために、必要な力に実質的に相当し、変形させるには僅かな部分しか必要としない。
【0038】
本開示の更なる一実施形態によると、作動機構は、第1の回転可能要素と第2の回転可能要素とを備え得る。第1の回転可能要素および第2の回転可能要素のそれぞれの回転軸線は、実質的に平行であり得る。これら回転可能要素の各々は、遮断要素の一方の末端区間に作動的に接続され得る。作動機構は、遮断要素を作動するとき、第1の回転可能要素と第2の回転可能要素とを反対方向に回転させるように構成され得る。遮断要素は、第1の回転可能要素および第2の回転可能要素の回転によって、遮断状態と非遮断状態との間を移行するように構成され得る。
【0039】
本開示の更なる一実施形態によると、非遮断状態において、遮断要素は実質的に平坦に配置され得る、および/または、実質非可撓性区間の各々は、それぞれの長手方向延在部分が実質的に平行になるように配置され得る。遮断状態において、遮断要素は、非平坦に配置され得る、および/または、実質非可撓性区間の各々は、それぞれの長手方向延在部分のうちの少なくとも一部が非平行になるように配置され得る、および/または、遮断要素は、正方形、矩形、斜方形、凧形、平行四辺形、台形、および三角形から成る群から選択された一形状を取る。
【0040】
本開示の更なる一実施形態によると、非遮断状態において、隣接する実質非可撓性区間は、それらの長手方向延在部分の間に、0°~5°、0°~10°、0°~15°、0°~20°、0°~30°、175°~185°、170°~190°、160°~200°、355°~360°、350°~360°、345°~360°、340°~360°、および330°~360°のうちの1つの角度を形成するように配置され得る。遮断状態において、隣接する実質非可撓性区間は、それらの長手方向延在部分の間に、85°~95°、80°~90°、90°~100°、80°~100°、70°~90°、75°~105°、70°~110°、65°~115°、および60°~120°のうちの1つの角度を形成するように配置され得る。
【0041】
遮断要素の各末端区間の回転によって、特に逆回転によって、遮断要素は非遮断状態と遮断状態との間で移行し得る、すなわち、遮断要素が実質的に直線状で平坦な状態と、バリア機能を通路にもたらすように、より大きな幾何学的横断面を取る状態との間で、移行し得る。
【0042】
本開示の更なる一実施形態によると、作動機構は、第1の回転可能要素および第2の回転可能要素の両方を作動するように構成された、特に、第1の回転可能要素を第2の回転可能要素とは逆に回転させるための歯車モジュールを備えた、単一のアクチュエータ要素を備え得る。あるいは、作動機構は、第1の回転可能要素および第2の回転可能要素を独立に作動するように構成された2つのアクチュエータ要素を備え得る。
【0043】
本開示の更なる一実施形態によると、アクチュエータ要素は、電気式アクチュエータ要素、電磁式アクチュエータ要素、油圧式アクチュエータ要素、および空気圧式アクチュエータ要素のうちの1つにし得る。
【0044】
単一のアクチュエータ要素は、遮断要素の両取り付け箇所に回転/逆回転がもたらされるように、特に適切な機械式伝達機構と共に、遮断要素の2つの末端区間の回転に固有の同期化をもたらし得る。あるいは、2つのアクチュエータ要素が採用された場合、個々のアクチュエータ要素のそれぞれは、遮断要素の一方の末端区間のみを作動すればよいので、単一のアクチュエータ要素を使用した実施形態に比べ、小型化され得る。したがって、必要なサイズおよびコストがおそらく低減される。2つのアクチュエータ要素の場合、これらアクチュエータ要素の別個の同期化、例えば機械式および/または電子式同期化、がもたらされ得る。
【0045】
本開示の更なる一実施形態によると、アクセス制御装置は、遮断要素、作動機構、アクチュエータ要素、および回転可能要のうちの少なくとも1つの要素、を収容するためのハウジングと、実質静止バリア要素とを更に備え得る。ハウジングと静止バリア要素とは、通路を画成する。
【0046】
ハウジングは、窪みを備え得る。非遮断状態において、遮断要素は、窪みの内部に実質的または完全に配置されているので、通路は実質的または完全に開放され、引き込まれた遮断要素のどの部分も通過者による通路の通過を実質的に邪魔しない。
【0047】
本開示の更なる一実施形態によると、アクセス制御装置は、互いに垂直方向に配置された複数の遮断要素を備え得る。
【0048】
垂直方向に積み重ねられた複数の遮断要素を設けることによって、アクセス制御装置の総遮断高さが増大し得るので、比較的大きな高さを有する通過の安全も複数の比較的小さな遮断要素によって保証され得る。複数の遮断要素は、鉛直方向に、または重力の作用方向に互いに重ねて、配置され得る。
【0049】
本開示の更なる一実施形態によると、アクセス制御装置は、通過者による通路の通過完了時を判定するためのセンサ素子を備え得る。アクセス制御装置は、通路を閉鎖するように構成されている。
【0050】
このようなセンサ素子は、例えばカメラ素子、存在検出素子、または通路の通過を許可するアクセストークンがアクセス制御装置の近傍にあるかどうかを取得する取得素子、にし得る。例えば、通過者がアクセス制御装置に接近し、特に有効なアクセス権限が検出されると、センサ素子は、通路が十分に、例えば現在の通過者の通過要件に応じて部分的または完全に、遮断解除または開放されるように、アクセス制御装置の動作を制御し得る。通過者の通過後、センサ素子は、通路の通過完了を検出し得る。検出すると、通路を閉鎖し得る、すなわち、遮断要素を部分的または完全な非遮断状態から遮断状態に移行させ得る。
【0051】
次に、添付の図面を参照して、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本開示による遮断要素の第1の実施形態を示す。
【
図2】本開示による遮断要素の第1の実施形態の非遮断状態と遮断状態との間の移行動作を示す。
【
図3】本開示による遮断要素の第1の実施形態の一代替実施形態を示す。
【
図4】本開示による遮断要素の第2の実施形態を示す。
【
図5】本開示による遮断要素の第2の実施形態の非遮断状態と遮断状態との間の移行動作を示す。
【
図7A】本開示によるアクセス制御装置の一例示的実施形態を示す。
【
図7B】本開示によるアクセス制御装置の一例示的実施形態を示す。
【
図8】本開示によるアクセス制御システムの一例示的実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
ここで、
図1を参照すると、本開示による遮断要素の第1の実施形態が示されている。
【0054】
遮断要素110は、互いに対して可動な個々の区間を複数備えている。遮断要素110は、例示的に、4つの実質非可撓性区間112と3つの実質可撓性区間114とを備えている。これらは、交互に配置されている。換言すると、各実質可撓性区間114は、2つの実質非可撓性区間112に接続されており、各実質非可撓性区間112は、1つまたは2つの実質可撓性区間114に接続されている。
図1において、2つの非可撓性区間112と1つの可撓性区間114とを備えた中心要素は、例えば同じ材料でできており、且つおそらく単一の複合製造工程で製造された、1ピース要素として具現化されている。
図1から分かるように、可撓性区間114は、非可撓性区間112に比べ、より小さく、より精巧に、および/またはより少ない材料で、構築されている。したがって、遮断要素110が変形されると、実質非可撓性区間112は実質的に未変形のままであるが、実質可撓性区間114は変形可能である、例えば曲げられ得る。
図1の可撓性区間114は、リビングヒンジ120として具現化されている。
【0055】
3つの内側区間112、114/120、112に隣接して、更なる可撓性区間114が2つ存在する。これらは、例示的に、回転可能継手118として具現化されている。各回転可能継手118に隣接して、更なる非可撓性区間112が存在する。最も外側の非可撓性区間112は、遮断要素110の末端区間116を構成している。末端区間116としての各非可撓性区間112は、作動機構への取り付け用の取り付け箇所122を備えている。末端区間116の非可撓性要素112は、例えば、金属製、または別の適切に剛性または非可撓性の材料でできている、レバー要素として具現化され得る。中心の1ピース要素を構成する各要素112、114、112は、例えば、ゴムまたはプラスチック材料製、例えば、ポリウレタン製、にし得る。
【0056】
次に
図2を参照すると、本開示による遮断要素の第1の実施形態の非遮断状態と遮断状態との間の移行動作が示されている。
【0057】
図2は、遮断要素110の個々の姿勢を3つ示している。最も右側の姿勢は、非遮断状態214における姿勢であり、最も左側の姿勢は、遮断状態216における姿勢である。中心の姿勢は、非遮断状態214と遮断状態216との間の中間姿勢である。取り付け箇所122は作動機構に取り付けられているので、遮断要素110の動作中、取り付け箇所間の距離212は実質的に一定である。作動機構は、回転動を取り付け箇所122にもたらす。上側の取り付け箇所および下側の取り付け箇所の回転は逆回転であるので、例示的に、上側の末端区間116は反時計回りに回転されて遮断状態214になり、下側の末端区間116は時計回りに回転されて遮断状態214になる。
【0058】
両末端区間116の回転中、取り付け箇所間の距離212は不変であるので、回転可能継手118として具現化された2つの実質可撓性区間114の間の距離は、遮断状態216への移行時に短くなり、非遮断状態214への移行時に長くなる。その結果、遮断状態216における回転可能継手118間の距離は、非遮断状態214のときより短くなるので、中心の可撓性区間114と隣接する非可撓性区間112とを備えた中心の1ピース要素が変形することになる。非可撓性区間112は変形に抵抗するので、中心の可撓性区間114は変形し、例示的には曲がり、隣接する2つの非可撓性区間112は互いに向かって回転する。
【0059】
遮断要素110は、遮断要素の拡張方向210が通路経由の通常の移動方向または通過方向に垂直になるように、向けられ得る。通常、非遮断状態214と遮断状態216との間の移行によって、遮断要素の拡張方向が通路の幅に影響を及ぼし得る限りは、遮断要素は水平または鉛直に、あるいは斜角にも、向けられ得る。回転可能継手118は軸受を備え得るので、少ない抵抗で実質的に自由に回転可能であり得る。作動機構の力は、中心の可撓性区間214を曲げるために主に使用される。
【0060】
次に
図3を参照すると、本開示による遮断要素の第1の実施形態の一代替実施形態が示されている。
【0061】
図3の遮断要素110は、中心の1ピース要素が、リビングヒンジ120の代わりに、回転可能継手118を備えている点が異なる。したがって、中心要素は、最早1ピース要素ではなく、中心の可撓性区間114の特定の実施形態に応じて、少なくとも2ピースまたは3ピース要素になり得る。この遮断要素は、中心の2つの非可撓性区間112を平行な向きに強制するばね要素を備え得る、あるいは、両末端区間116の回転動は、非遮断状態への移行時に、中心要素を真っ直ぐにするために十分であり得る。
【0062】
次に
図4を参照すると、本開示による遮断要素の第2の実施形態が示されている。
【0063】
遮断要素110の第2の実施形態は、4つ全ての非可撓性区間112と3つ全ての可撓性区間114とが1ピース要素を形成している点で、第1の実施形態と異なる。換言すると、中心の可撓性区間114のみがリビングヒンジ120として具現化されているのではなく、3つ全ての可撓性区間がリビングヒンジ120として具現化されている。
図4において、末端区間116は、例示的に、最も外側の2つの非可撓性区間114/116に取り付けられた別個のクランプ要素410と、作動機構への取り付け箇所122とを備えている。クランプ要素410は、末端区間の剛性または非可撓性を高め得る、あるいは取り付け箇所への取り付けを単にもたらし得る。作動機構への取り付け箇所が各末端区間116に一体形成されることも同様に考えられる。
【0064】
非可撓性区間112は、例示的に、三角形または角錐形の横断面を備えて具現化される。この横断面は、非可撓性区間112に非可撓性または剛性をもたらす。非可撓性区間112の非可撓性または剛性に寄与する限りは、他の横断面も考えられる。非可撓性区間112は、その非可撓性または剛性を高めるために、筋交い要素から成る支柱を内部に複数備えることが更に考えられる。
【0065】
次に
図5を参照すると、本開示による遮断要素の第2の実施形態の非遮断状態と遮断状態との間の移行動作が示されている。
【0066】
図5に示されている非遮断状態と遮断状態との間の移行は、
図2に示されている移行に概ね匹敵し得る。第2の実施形態の遮断要素110は3つのリビングヒンジ120を備えているので、作動機構によってもたらされた力は、3つ全ての可撓性区間114にわたって、特に実質的に均等に、分散され得る。上部および下部の可撓性区間114は、第1の実施形態の回転可能継手118より可撓性が高いように見えるので、第2の実施形態の遮断要素110は、第1の実施形態の遮断要素110より可撓性が通常僅かに高くなり得る。これにより、この遮断要素は、第1の実施形態の遮断要素110に比べ、外力からの衝撃によって変形し易いので、負傷の可能性が低減され得る。例えば、1つまたは2つの遮断要素の間に挟まれた通過者は、第2の実施形態の遮断要素110をより大きく変形させ得るので、負傷の危険性が低減される可能性がある。
【0067】
次に
図6Aおよび
図6Bを参照すると、本開示による作動機構が示されている。
【0068】
この例示的実施形態の作動機構610は、2つの回転可能要素612a、bに作用して回転させる単一のアクチュエータ要素611、例えば電気モータ、を備えている。2つの回転可能要素612a、bは、遮断要素110の取り付け箇所112に係合しているので、各末端区間116に、ひいては最も外側の2つの非可撓性要素112に、回転を伝達する。例示的に、アクチュエータ要素611の回転は、少なくとも1つまたは2つの歯車、例えば歯付き歯車、から成る構成を介して、回転可能要素612aに実質的に直接伝達される。この構成は、アクチュエータ要素611の回転を回転可能要素612aの所望の回転に適合させるために適した伝達比も含み得る。ベルト618が同期化機能を提供するので、回転可能要素612a、bの回転が遮断要素110の通路内への一様な拡張または通路からの一様な引き込みをもたらすことが保証される。
【0069】
更に、アクチュエータ要素611の回転は、アクチュエータ要素611の回転によって作動されるベルト618を少なくとも介して、実質的に間接的に回転可能要素612bに伝達され得る。回転可能要素612aにもたらされる回転は、特に、回転可能要素612bにもたらされる回転とは逆または反対であり得るので、非遮断状態214と遮断状態216との間の移行時、両末端区間116に逆回転が生じる。ベルトは、この回転を、1つまたは2つの歯車、例えば、歯付き歯車、から成る構成を少なくとも介して、回転可能要素612bに伝達し得る。この歯車構成は、アクチュエータ要素611の回転を回転可能要素612bの所望の回転に適合化するために適した伝達比を更に含み得る。回転可能要素612a、bの回転軸線614a、bは、特に平行であり得る。
【0070】
あるいは、ベルト618が不要になるように、各回転要素612a、bは、個々のアクチュエータ要素、例えば独立した個々の電気モータ、によって、個別に作動され得る。この場合、両回転可能要素612a、bの回転を同期化するための他の手段、例えば電子式同期、が設けられ得る。
図6Aおよび
図6Bは、第2の実施形態による遮断要素110を示しているが、第1の実施形態による遮断要素110が同様に使用され得ることも考えられる。
【0071】
次に
図7Aおよび
図7Bを参照すると、本開示によるアクセス制御装置の一例示的実施形態が示されている。
【0072】
図7Aでは、通路712が開いており、遮断要素110は非遮断状態214にある。
図7Bでは、通路712が閉鎖または遮断されており、遮断要素110は遮断状態216にある。アクセス制御装置710は、ハウジング714を備えている。ハウジング714は、回転可能要素612a、bのみが突出して外側から見えるように、作動機構610を収容し得る。ハウジングは、窪み716を備えており、非遮断状態214では、遮断要素110がこの窪みに実質的または完全に配置されているので、通過者は通路を実質的に妨げられずに通過できる。
【0073】
図7Bにおいて、遮断要素110は遮断状態216であり、通路712内まで拡張している。遮断要素110は、通路712の通過方向に垂直に拡張するので、通路の空き幅を狭め、通過者に対して通路を遮断する。遮断要素が開口枠構成であることによって、遮断要素が遮断状態のとき、あるいは遮断状態への移行時または遮断状態からの移行時、通過者が通過を試みた場合でも、通過者の負傷が回避され得る。例えば、遮断要素における締め付けまたは押し潰しが実質的に回避または防止され得る。
【0074】
遮断要素の拡張方向210が通路710内に向かう限りは、遮断要素は、
図7Aおよび
図7Bのように鉛直に配置されず、水平または斜めに配置され得ることも一般に考えられる。複数の遮断要素が鉛直および/または水平に連続して設けられて、遮断の高さ、遮断の長さ、および/または遮断領域、が増えることも一般に考えられる。
【0075】
次に
図8を参照すると、本開示によるアクセス制御システムの一例示的実施形態が示されている。
【0076】
図8のアクセス制御システム810は、基本的に2つのアクセス制御装置710を鏡面対称に備えている。すなわち、通路710の各側に1つのアクセス制御装置710が存在する。これにより、個々のアクセス制御装置710の寸法を増大させずに、通路の幅を増大させ得る。両方の、または選択された一方の、アクセス制御装置710が通路710を開くことによって、通過可能領域を構成することが考えられる。例えば、歩行者が通路を通過する場合、一方のアクセス制御装置710のみが通路を遮断解除し得る。あるいは、両アクセス制御装置710が通路を全開未満に遮断解除し得る。これにより、動作速度が上がる。ここで、より大きなスペースを要する通過者が通路を通過しようとすると、両アクセス制御装置710が開いて通路のサイズを拡大し得る。一方または両方のアクセス制御装置710の開放動作(全開または部分的開放)は、通過者が使用している、必要な通過幅に関連付けられた、アクセストークンによって、および/またはセンサ手段によって、例えば、通過要件を判定するために適した、通路を調査するカメラによって、制御され得る。
【0077】
本発明は上記の実施形態に限定されず、本願明細書に記載の概念から逸脱せずにさまざまな変更および改良を行い得ることを理解されたい。上記および下記の諸特徴の何れも、別個に、または本願明細書に記載の他の特徴と、相互排他的でない限り、組み合わせて、使用され得る。本開示は、本願明細書に記載の1つ以上の特徴の全ての組み合わせおよび部分組み合わせに及び、それらを含む。
【0078】
最後に、用語「を備えた(comprising)」は、他の要素またはステップを排除せず、「一(a)」または「1つの(one)」は複数形を排除しない、ことに留意されたい。複数の異なる実施形態に関して記載されている要素は、組み合わせ可能である。特許請求の範囲に記載されている参照符号は、請求の範囲を限定していると解釈されないものとする。
【符号の説明】
【0079】
110 遮断要素
112 実質非可撓性区間
114 実質可撓性区間
116 末端区間
118 回転可能継手
120 リビングヒンジ
122 作動機構への取り付け箇所
210 通路に垂直な拡張方向
212 取り付け箇所間の距離
214 非遮断状態
216 遮断状態
410 クランプ要素
510 ブラケット
610 作動機構
611 アクチュエータ要素
612a、b 回転可能要素
614a、b 回転軸線
616 歯車構成
618 ベルト
710 アクセス制御装置
712 通路
714 ハウジング
716 窪み
810 アクセス制御システム
【国際調査報告】