(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-10
(54)【発明の名称】耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリング
(51)【国際特許分類】
F16D 41/18 20060101AFI20250303BHJP
【FI】
F16D41/18 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529795
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 KR2022016059
(87)【国際公開番号】W WO2023106618
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0175368
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521372208
【氏名又は名称】デウォン エレクトリック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DAEWON ELECTRIC CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】307, Daeyul laechu-gil, Bugi-myeon, Cheongwon-gu, Cheongju-si, Chungcheongbuk-do 28137 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】520066762
【氏名又は名称】デウォン インダストリー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100115200
【氏名又は名称】山口 修之
(72)【発明者】
【氏名】クウォン,セ ウォン
(57)【要約】
本発明は動力の一方向伝達が可能なラチェットリングに関し、より詳しくは、外輪の内周面に外輪鋸歯部を形成し、内輪の周囲には、前記外輪鋸歯部と噛み合う複数組のマルチアングルバンドルポールを形成して構成することにより、構造的な簡素化及び精密な作動ができるようにし、強い衝撃荷重にも耐える耐久性を有するようにし、また、各組のマルチアングルバンドルポールが互いに異なる角度の位置で外輪の鋸歯部と順次噛み合うように、外輪の鋸歯部の1ピッチ区間で細分化して噛み合うことができるように構成することにより、順次噛み合う構造による鋸歯空隙を減らしてバックラッシュ現象がないように誤差を最小化するための耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングに関する
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に内輪装着孔(110)が貫設され、内輪装着孔(110)の内周面には円周方向に直線部及び傾斜部が連続的に形成された外輪鋸歯部(120)が形成された円形リング形態の外輪(100)と、
中央に軸孔(210)が貫設された円形リングの形態を成し、前記外輪(100)の内輪装着孔(110)に装着され、周囲には所定の間隔で多数のバンドルポール装着溝(220)が形成された内輪(200)と、
前記バンドルポール装着溝(220)にスプリング(301)を介して弾性設置されて出沒するように作動し、前記外輪(100)の外輪鋸歯部(120)と噛み合って一方向回転力を提供するマルチアングルバンドルポールユニット(300)と、を含み、
前記マルチアングルバンドルポールユニット(300)は、複数組の第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポール(310、320、330)で構成され、前記それぞれの第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポール(310、320、330)は相異なる角度の順次的位置で外輪(100)の外輪鋸歯部(120)と噛み合うように構成され、
前記外輪(100)の外輪鋸歯部(120)は内側に突設され、前側及び後側に前後方段部(130、130’)が形成され、
前記内輪(200)の後側周囲には前記外輪(100)の後方段部(130’)に装着される装着突部(230)が形成され、前方には軸孔(210)から延びるように突出する仕上げ板支持部(240)が突設され、
前記内輪(200)の前側には仕上げ板支持部(240)が貫通する貫通孔(410)が形成された仕上げ板(400)が前方段部(130)に装着されて外輪(100)を拘束するように構成されることを特徴とする、耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリング。
【請求項2】
前記第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポール(310、320、330)は、3個組をなし、各組は放射状に4個が一組を成す第1、第2及び第3噛合ツール(311、321、331)で構成され、
それぞれの第1、第2及び第3噛合ツール(311、321、331)は互いに交差する位置でバンドルポール装着溝(220)にスプリング(301)を介して弾性設置されて突出力を有し、先端には、前記外輪(100)の外輪鋸歯部(120)と噛み合うように直線部及び傾斜部を有する噛合ツール鋸歯部(312、322、332)がそれぞれ形成され、
前記内輪(200)は、一方向回転の際、第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポール(310、320、330)の噛合ツール鋸歯部(312、322、332)が外輪鋸歯部(120)に係合及び干渉しなくて内輪(200)が空回りし、他方向の回転の際、いずれか一つの第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポール(310、320、330)の噛合ツール鋸歯部(312、322、332)が外輪鋸歯部(120)と順次噛み合って外輪(100)と内輪(200)とが一緒に回転するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリング。
【請求項3】
前記内輪(200)の後側周囲には、内輪(200)に外部動力を伝達するためのギア部(250)がさらに備えられることを特徴とする、請求項1に記載の耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリング。
【請求項4】
前記外輪(100)は、外周に所定の間隔でストッピング溝(140)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動力の一方向伝達が可能なラチェットリングに関し、より詳しくは構造的簡素化はもちろんのこと、バックラッシュ現象を防止し、精密な作動ができるようにし、強い衝撃荷重にも耐える耐久性の向上をもたらす耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、一方向回転のみを伝達し、反対方向の運動は伝達しない装置の代表的なものとしては、ラチェットとカムクラッチがあり、このようなラチェット又はカムクラッチの場合、ラチェットレンチ、ロープ固定用ラチェット、傾斜型コンベヤーなどの多様な分野に適用されている。
【0003】
ここで、ラチェットの場合にはギア又は鋸歯が構成され、スプリングによって作動するポールの噛合又は解除の作動によって一方向回転ができるように構成される。
【0004】
また、カムクラッチの場合には、内輪と外輪との間にベアリングボール及び逆方向回転防止カムが形成されることにより、一方向の回転は可能にするが、反対方向の回転の際、カムが楔の役割を果たしてその回転を防止するように構成される。
【0005】
しかしながら、前記のようなラチェット又はカムクラッチの場合、停止又は作動過程で、駆動の際に空隙によって後ろに押されるバックラッシュ現象が発生する。この場合、再作動過程で強い衝撃又は過負荷が発生すれば、ラチェット又はカムクラッチが破損して精密な回転動力を伝達することができない深刻な問題点があり、長期間使用の際、単一のポール、ベアリングボール又は逆方向回転防止カムなどの摩耗によってバックラッシュ現象がひどくなるなど、耐久性に問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国実用新案登録第20-0491252号公報
【特許文献2】韓国特許登録第10-0405296号公報
【特許文献3】韓国特許登録第10-1415580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記のような諸般問題点を解決するために創案されたものであり、外輪の内周面に外輪鋸歯部を形成し、内輪の周囲には、前記外輪鋸歯部と噛み合う複数組のマルチアングルバンドルポールを形成して構成することにより、構造的簡素化及び精密な作動ができるようにし、強い衝撃荷重にも耐える耐久性を有するようにするための耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングを提供することに本発明の目的がある。
【0008】
また、各組のマルチアングルバンドルポールが互いに異なる角度の位置で外輪の鋸歯部と順次噛み合うように、外輪の鋸歯部の1ピッチ区間で細分化して噛み合うことができるように構成することにより、順次噛み合う構造によって鋸歯空隙を減らしてバックラッシュ現象がないように誤差を最小化するための耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングを提供することに本発明の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための具体的な手段としては、中央に内輪装着孔が貫設され、内輪装着孔の内周面には円周方向に直線部及び傾斜部が連続的に形成された外輪鋸歯部が形成された円形リング形態の外輪と、
【0010】
中央に軸孔が貫設された円形リングの形態を成し、前記外輪の内輪装着孔に装着され、周囲には所定の間隔で多数のバンドルポール装着溝が形成された内輪と、
【0011】
前記バンドルポール装着溝にスプリングを介して弾性設置されて出沒するように作動し、前記外輪の外輪鋸歯部と噛み合って一方向回転力を提供するマルチアングルバンドルポールユニットと、を含み、
【0012】
前記マルチアングルバンドルポールユニットは、
【0013】
複数組の第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポールで構成され、
【0014】
前記それぞれの第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポールは相異なる角度の順次的位置で外輪の外輪鋸歯部と噛み合うように構成され、
【0015】
前記外輪の外輪鋸歯部は、
【0016】
内側に突設され、前側及び後側に前後方段部が形成され、
【0017】
前記内輪の後側周囲には前記外輪の後方段部に装着される装着突部が形成され、前方には軸孔から延びるように突出する仕上げ板支持部が突設され、
【0018】
前記内輪の前側には仕上げ板支持部が貫通する貫通孔が形成された仕上げ板が前方段部に装着されて外輪を拘束するように構成される。
【0019】
ここで、前記第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポールは、
【0020】
3個組をなし、各組は放射状に4個が一組を成す第1、第2及び第3噛合ツールで構成され、
【0021】
それぞれの第1、第2及び第3噛合ツールは互いに交差する位置でバンドルポール装着溝にスプリングを介して弾性設置されて突出力を有し、先端には、前記外輪の外輪鋸歯部と噛み合うように直線部及び傾斜部を有する噛合ツール鋸歯部がそれぞれ形成され、
【0022】
前記内輪は、一方向回転の際、第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポールの噛合ツール鋸歯部が外輪鋸歯部に係合及び干渉しなくて内輪が空回りし、他方向の回転の際、いずれか一つの第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポールの噛合ツール鋸歯部が外輪鋸歯部と順次噛み合って外輪と内輪とが一緒に回転する。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングは、外輪の内周面に外輪鋸歯部が形成され、内輪の周囲には、前記外輪鋸歯部と噛み合う複数組のマルチアングルバンドルポールがスプリングの弾力によって出没可能に構成されたものであるので、構造的簡素化及びマルチアングルバンドルポールの安定的な装着及び作動が可能な効果を得ることができる。
【0024】
また、各組のマルチアングルバンドルポールの鋸歯部が外輪の外輪鋸歯部と相異なる角度の順次的位置で噛み合うように構成されたものであるので、空隙が最小化して、駆動の際にバックラッシュ現象が最小化し、これによって駆動衝撃を防止するなど、強い衝撃荷重にも耐える耐久性が一層向上し、精密駆動が可能な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングの分解斜視図である。
【
図2】本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングの結合斜視図である。
【
図3】本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングの正断面図である。
【
図4】本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングの平断面図である。
【
図5】本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングのマルチアングルバンドルポールユニットの要部を示す図である。
【
図6】本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングの内輪の他の実施例を示す図である。
【
図7】本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングの内輪の空回り作動状態を示す図である。
【
図8】本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングのマルチアングルバンドルポールユニットの順次作動状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書及び特許請求の範囲に使用する用語や単語は通常的又は辞書的意味に限定して解釈されてはいけなく、発明者は自分の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して本発明の技術的思想に合う意味や概念に解釈されなければならない。
【0027】
したがって、本明細書に開示する実施例及び図面に示す構成は本発明の最も好ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想を全部代弁するものではないので、本出願の時点でこれらを代替することができる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0028】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図1は本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングの分解斜視図であり、
図2は本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングの結合斜視図であり、
図3は本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングの正断面図であり、
図4は本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングの平断面図であり、
図5は本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングのマルチアングルバンドルポールユニットの要部を示す図である。
【0030】
図1~
図5に示すように、本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリング1は、外輪100と、内輪200と、マルチアングルバンドルポールユニット300とを含んでなる。
【0031】
まず、外輪100は、本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリング1の構成において、外部に動力を出力するように構成されたものであり、中央には後述する内輪200が装着される内輪装着孔110が貫設された円形を成すように構成される。
【0032】
ここで、本発明において、外輪100の内輪装着孔110の内周面に外輪鋸歯部120が構成され、外輪鋸歯部120は直線部及び傾斜部が連続的に形成されるように構成される。
【0033】
一方、本発明において、前記のように、外輪鋸歯部120を構成する直線部は動力伝達の際に係合され、傾斜部は空回りの際に滑りを案内するように構成される。
【0034】
また、本発明において、前記外輪100は、その外周には、所定の間隔で通常のストッパー(図示せず)などが係合するように多数のストッピング溝140をさらに含んでなることができる。
【0035】
前記内輪200は、本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリング1の構成において、実質的に主動力が伝達されるように構成されたものであり、前記外輪100と干渉するか又はその干渉を解除して主動力を外輪100に伝達するか又は解除するように構成される。
【0036】
このために、本発明において、内輪200は、中央に回転動力を伝達するための別個の回転軸(図示せず)が結合される軸孔210が貫設された円形リングの形態を有するように構成され、前記外輪100の内輪装着孔110に挿入されて装着されるように構成される。
【0037】
また、内輪200は、その外周に後述する第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポール310、320、330が装着できるように、円周方向に所定の間隔で多数のバンドルポール装着溝220が形成される。
【0038】
また、本発明は、内輪200の構成において、他の実施例として、
図6に示すように、内輪200の後側周囲には、外輪100の後側を覆いながら外側に突設されて内輪200の軸孔210に結合される通常の回転軸ではなく、外側で内輪200に動力を伝達するためのギア部250をさらに含んでなることができる。
【0039】
一方、本発明において、前記外輪100と内輪200とは、互いに結合するとき、緊密な結合及び安定したスライド作動もできるように構成される。
【0040】
このために、まず、前記外輪100の外輪鋸歯部120は内輪装着孔110の内側に所定の長さに突出するように構成されたものであり、その外輪鋸歯部120の前方及び後方には前後方段部130、130’が形成される。
【0041】
そして、前記内輪200は、まず、後側周囲に装着突部230が突設され、これが前記外輪100の後方段部130’に装着されてスライド案内され、前方には前記軸孔210から延びるように突出する仕上げ板支持部240が構成される。
【0042】
そして、内輪200の前方は仕上げ板400で仕上げられるように構成され、仕上げ板400は、周囲が前記外輪100の前方段部130に装着されてから内輪200にボルトで締結されて外輪鋸歯部120を拘束するように構成され、中央には、内輪200の仕上げ板支持部240が貫通する貫通孔410が貫設される。
【0043】
前記マルチアングルバンドルポールユニット300は、本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリング1の構成において、前記外輪100の外輪鋸歯部120と作用して内輪200の動力を外輪100に伝達するか又は解除する媒介体の役割を行うものであり、本発明において、マルチアングルバンドルポールユニット300は第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポール310、320、330からなるように複数組に構成される。
【0044】
このために、第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポール310、320、330は前記バンドルポール装着溝220に収容され、スプリング301によって弾性設置されて外側に出沒作動するように構成されたものであり、前記外輪100の外輪鋸歯部120と噛み合って一方向に回転力を提供するように構成される。
【0045】
ここで、本発明において、前記第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポール310、320、330は3個組を成すように構成されたものであり、各組は放射状に、すなわち、90°の間隔で4個が一組を成すそれぞれの第1、第2及び第3噛合ツール311、321、331で構成することができる。
【0046】
そして、本発明において、各組に相当する第1、第2及び第3噛合ツール311、321、331はバンドルポール装着溝220にスプリング301を介して弾性設置されて突出力を有するように構成され、それぞれの第1、第2及び第3噛合ツール311、321、331の先端には、前記外輪100の外輪鋸歯部120と噛み合うように直線部及び傾斜部からなる噛合ツール鋸歯部312、322、332がそれぞれ構成される。
【0047】
特に、本発明において、前記各組の第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポール310、320、330に相当する第1、第2及び第3噛合ツール311、321、331は、前記バンドルポール装着溝220に装着されるとき、第1、第2及び第3噛合ツール311、321、331は互いに交差する位置に配置される。すなわち、第1マルチアングルバンドルポール310の第1噛合ツール311、第2マルチアングルバンドルポール320の第2噛合ツール321及び第3マルチアングルバンドルポール330の第3噛合ツール331が一回転方向に連続的に繰り返し構成される。よって、噛合ツール鋸歯部312、322、332は相異なる角度の順次的位置で外輪鋸歯部120と噛み合うようになる。
【0048】
すなわち、本発明において、第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポール310、320、330の第1、第2及び第3噛合ツール311、321、331のうちでいずれか一つの噛合ツール鋸歯部312、322、332が外輪100の外輪鋸歯部120と噛み合う。一例として、第1噛合ツール311の噛合ツール鋸歯部312の直線部が外輪鋸歯部120の直線部と接触して噛み合うと、他の第2噛合ツール321の噛合ツール鋸歯部322の直線部が外輪鋸歯部120の傾斜部の端部に位置して噛み合わず、そして第3噛合ツール331の噛合ツール鋸歯部332は直線部が外輪鋸歯部120の傾斜部の中間部に位置するなど、外輪鋸歯部120の1ピッチ内で噛合ツール鋸歯部312、322、332の噛合区間が細分化されるので、鋸歯空隙が最小化することになる。
【0049】
一方、本発明の実施例で、複数組を成す第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポール310、320、330を3個組として説明したが、これに限定されるものではなく、第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポール310、320、330の構成を等間隔で多様に配列することができる。
【0050】
一例として、複数組は4個組のマルチアングルバンドルポールで構成され、各組は4個の噛合ツールで構成されるか、又は3個組のマルチアングルバンドルポールで構成され、各組は8個の噛合ツールで構成され得る。このような多様な数量の調節によって、本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリング1を使用する用途に応じて精密に調節することができる。
【0051】
以下、前記のような構成を有する本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングの作用を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0052】
図1~
図5を参照すると、本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリング1は、一方向動力伝達ができるようにし、構造的簡素化によって強い衝撃荷重にも耐える耐久性の向上はもちろんのこと、動力伝達のための噛合構造を細分化してバックラッシュ現象をゼロに近くして駆動の精密化を可能にする。
【0053】
このために、まず、外輪100には別個の動力を出力するための別個の装置(図示せず)などが連結され、内輪200の軸孔210には回転動力を提供するための別個の動力手段(図示せず)を有する回転軸10が結合される。
【0054】
次に、その作動構造を説明する。
【0055】
まず、本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリング1の内輪200の空回り、すなわち、外輪100の逆回転防止構造を説明する。
【0056】
図7を参照すると、回転軸10に回転動力が提供されないとき、内輪200は動力手段なしに自由回転することができる。このとき、外輪100の逆回転は防止される。
【0057】
すなわち、内輪200が右側方向に回転すると、それぞれの第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポール310、320、330を成す第1、第2及び第3噛合ツール311、321、331の噛合ツール鋸歯部312、322、332の傾斜部が外輪100の外輪鋸歯部120の傾斜部に沿って越えながら自然に空回りすることにより外輪100の逆回転が防止される。
【0058】
すなわち、外輪鋸歯部120に沿って越える噛合ツール鋸歯部312、322、332は第1、第2及び第3噛合ツール311、321、331が内輪200にスプリング301を介して弾性設置されたものであり、そのスプリング301の圧縮力によって後方に押されるとともに、外輪鋸歯部120の傾斜部と噛合ツール鋸歯部312、322、332の傾斜部とが互いに滑りながら越えることができる。
【0059】
反対に、内輪200が反対方向、すなわち、左側方向に回転すると、第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポール310、320、330のいずれか一つの第1、第2及び第3噛合ツール311、321、331に形成された噛合ツール鋸歯部312、322、332が外輪鋸歯部120と噛み合うことにより、回転軸10に対する動力提供なしに、順方向回転が防止され、回転軸10に別度の回転動力を提供するとき、外輪100に動力伝達が可能になる。
【0060】
一方、本発明は、前記のように内輪200の空回り作動などの過程でまた正回転動力を提供するとき、内輪200のバックラッシュ(押され現象)をゼロに近くすることにより、動力伝達の際に衝撃を防止することができる。
【0061】
これは、内輪200の回転動力を外輪100に伝達するためのマルチアングルバンドルポールユニット300によって可能になる。
【0062】
すなわち、
図8を参照すると、本発明は、第1、第2及び第3マルチアングルバンドルポール310、320、330の第1、第2及び第3噛合ツール311、321、331のうちのいずれか一つの噛合ツール鋸歯部312、322、332が外輪100の外輪鋸歯部120と順次噛み合う。
【0063】
一例として、第1噛合ツール311の噛合ツール鋸歯部312の直線部が外輪鋸歯部120の直線部と互いに接触して噛み合った状態をなすと、他の第2噛合ツール321の噛合ツール鋸歯部322の直線部が外輪鋸歯部120の傾斜部の端部に位置して噛み合わず、また第3噛合ツール331の噛合ツール鋸歯部332の直線部が外輪鋸歯部120の傾斜部の中間部に位置する。すなわち、内輪200が回転するとき、第1、第2及び第3噛合ツール311、321、331が外輪鋸歯部120と順次噛み合って力を提供するので、常時マルチアングルバンドルポールユニット300が外輪鋸歯部120と順次噛み合う状態を成す。
【0064】
すなわち、本発明は、外輪鋸歯部120の1ピッチ内で噛合ツール鋸歯部312、322、332の噛合区間が細分化され、内輪200が空回りする過程で互いに異なる角度の順次的位置で微細な回転にも順次噛み合って力を伝達するので、動力伝達の際、バックラッシュ現象なしに精密な動力伝達が可能になる。
【0065】
一方、本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリング1は、
図6に示すように、内輪200の軸孔に結合される回転軸10を用いて内部又は外部での動力の連結が可能な内外部動力伝達が可能になる。
【0066】
これは、内輪200の後側周囲に形成されたギア部250によって可能になり、そのギア部250に別個の動力ギア20が噛み合うなどによって内外部動力の伝達及び内輪200の回転駆動が可能になる。
【0067】
以上のように、本発明による耐衝撃型マルチアングルバンドルポールバックストップラチェットリングは、内輪が空回りしても、マルチアングルバンドルポールユニットが常時外輪の外輪鋸歯部と順次噛み合う状態を成すので、バックラッシュ現象が防止され、よって駆動時の強い衝撃荷重にも耐えることができる耐久性が向上することはもちろんのこと、精密な駆動が可能になる。
【符号の説明】
【0068】
100 外輪
110 内輪装着孔
120 外輪鋸歯部
130、130’ 前後方段部
140 ストッピング溝
200 内輪
210 軸孔
220 バンドルポール装着溝
230 装着突部
240 仕上げ板支持部
250 ギア部
300 マルチアングルバンドルポールユニット
301 スプリング
310 第1マルチアングルバンドルポール
311 第1噛合ツール
312 噛合ツール鋸歯部
320 第2マルチアングルバンドルポール
321 第2噛合ツール
322 噛合ツール鋸歯部
330 第3マルチアングルバンドルポール
331 第3噛合ツール
332 噛合ツール鋸歯部
400 仕上げ板
410 貫通孔
【国際調査報告】