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特表2025-506447組織の周波数を検出及び分析することによって体内障害をモニタリングする方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-03-11
(54)【発明の名称】組織の周波数を検出及び分析することによって体内障害をモニタリングする方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/388 20210101AFI20250304BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20250304BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20250304BHJP
   G16H 50/00 20180101ALI20250304BHJP
【FI】
A61B5/388
A61B5/00 G
A61B10/00 N
G16H50/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024547002
(86)(22)【出願日】2023-02-06
(85)【翻訳文提出日】2024-10-01
(86)【国際出願番号】 US2023012375
(87)【国際公開番号】W WO2023154237
(87)【国際公開日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】17/667,695
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523456788
【氏名又は名称】エンドシュア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169155
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075638
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 暎
(72)【発明者】
【氏名】ノア, マーク ディー
【テーマコード(参考)】
4C117
4C127
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XB09
4C117XB12
4C117XE12
4C117XJ34
4C117XJ35
4C127AA04
4C127BB05
4C127DD00
4C127GG16
5L099AA04
(57)【要約】
患者の障害組織を決定及び処置する方法は、障害組織からのエネルギー信号発生を誘導する。エネルギーセンサ構造が、患者の組織からエネルギー信号を得る。得られたエネルギー信号は、プロセッサ回路において、組織の正常な機能下における同じ組織の既知のエネルギー信号と比較される。比較するステップが、得られたエネルギー信号が既知のエネルギー信号と異なると決定した場合、組織は障害組織として識別される。障害組織は、エネルギー信号を介して患者内で位置特定される。位置特定された障害組織によって引き起こされる身体障害は、AIモジュールによって診断される。その後、身体障害が処置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の障害組織を決定し処置する方法であって、
障害組織からエネルギー信号発生を誘導するステップ、
エネルギー検出センサ構造を利用して、患者の組織からエネルギー信号を得るステップ、
プロセッサ回路において、得られたエネルギー信号を、前記組織の正常な機能下における同じ組織の既知のエネルギー信号と比較するステップ、
前記比較するステップが、前記得られたエネルギー信号が前記既知のエネルギー信号と異なると決定した場合、前記組織を障害組織として識別するステップ、
前記エネルギー信号を介して前記患者内の前記障害組織を位置特定するステップ、
人工知能(AI)モジュールを介して、前記位置特定された障害組織によって引き起こされる身体障害を診断するステップ、及び
前記身体障害を処置するステップ、
を含む方法。
【請求項2】
前記処置するステップは、手術、EMF、電気刺激処置、薬物、ホルモン、合成物質、細胞、組織、生物工学処理された組織又は化学物質を用いて、前記障害組織又は前記障害組織により影響を受けた組織を処置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エネルギー検出センサ構造及び前記プロセッサ回路は、着用可能な単一のユニットの一部であり、前記単一のユニットは、送信器を更に含み、前記方法は、
前記送信器を介して別個の装置に指示を送信するステップであって、前記別個の装置が前記処置するステップを実行するステップ、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記エネルギー検出センサ構造及び前記プロセッサ回路は、着用可能な単一のユニットの一部であり、前記単一のユニットは、前記処置するステップを実行するように構成及び配置された処置送達構造を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エネルギー検出センサ構造は、前記患者の身体の外部で利用される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記エネルギー検出センサ構造は、管構造の中に移動可能に収容され、前記方法は、前記管構造を身体の開口部を通して挿入し、患者の前記組織から前記エネルギー信号を得るための動作位置まで、前記管構造の遠位端から延在するように前記エネルギーセンサ構造を動かすことを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記処置するステップは、前記管構造が前記身体の開口部内に留まっている間に、前記管構造の前記遠位端を通して処置を送達することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記エネルギー検出センサ構造は、前記患者の身体の内部で利用される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記障害組織は、子宮内膜症に関連するものであり、前記既知のエネルギー信号は、8cpm未満の周波数信号であり、前記得られたエネルギー信号は、12cpm~60cpmの範囲内の周波数信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記障害組織は、腸の痙攣又は閉塞を引き起こす組織であり、前記既知のエネルギー信号は、3cpm~15cpmの範囲内の周波数信号であり、前記得られたエネルギー信号は、50cpm~70cpm又は180cpm~200cpmの範囲内の周波数信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記位置特定するステップは、三角測量及び/又は三辺測量を使用して前記AIモジュールによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記AIモジュールを介して、体内における前記障害組織の伝播を決定するステップ、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記利用されるエネルギー検出センサ構造は複数の電極を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記誘導するステップが、前記患者に水負荷を摂取させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記診断するステップは、前記患者が前記身体障害を有することについて陰性か否かを決定し、偽陰性を決定するように構成された、前記人工知能(AI)モジュールを利用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
特定の患者情報に関するデータを記憶するメモリ回路を更に含み、前記AIモジュールは、前記メモリ回路を検索し、前記患者情報を利用して、前記身体障害の陽性診断の確率レベルを決定するように更に構成されている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記診断するステップは、ネットワークに接続された前記人工知能(AI)モジュールを利用することを含み、前記AIモジュールは、前記診断を行う際の使用のために、前記ネットワークを介して他の患者から収集されたデータにアクセスし前記データを分析するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2021年6月4日に出願された米国特許出願第17/338,876号の一部継続出願である、2022年2月9日に出願されたUS17/667,695号の優先権を主張するPCT出願である。
【0002】
本発明は、組織の周波数を検出及び分析することによって体内障害をモニタリングし、かくして身体障害の処置のための情報を提供するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの身体疾患は、症状が現れる最も重篤な形態でのみ現れる。例えば、子宮内膜症、腸閉塞、生じ得る腫瘍等の多くの体内障害は、例えば手術によって後に処置されるように、身体障害を位置特定及び診断するために、内視鏡検査又は腹腔鏡検査技術の使用を必要とする。これらの技術は侵襲的で費用がかかるものであり、患者が病院設備又は他の医療施設で処置されることを必要とする。
【0004】
早期の疾患の検出は伝統的に、多くの場合治癒させ、少なくとも侵襲的な治療を必要とする更に重篤な合併症への進展を制限する能力と関連している。より微細な形態の疾患を診断することが可能であることは、明らかな利点である。
【0005】
したがって、障害組織に起因する特定の周波数をモニタリングすることによって、体内障害の特定の位置及び進行を非侵襲的に識別及び決定し、周波数データを分析し、身体障害の処置に使用するために分析されたデータを送信する新規な方法及び家庭ベースのシステムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、以上に言及された必要性を満たすことにある。本実施形態の原理によれば、この目的は、障害組織からのエネルギー信号発生を誘導(誘発)する、患者の障害組織を決定及び処置する方法によって得られる。エネルギー検出センサ構造は、患者の組織からエネルギー信号を得る。得られたエネルギー信号は、プロセッサ回路において、組織の正常な機能下における同じ組織の既知のエネルギー信号と比較される。比較するステップが、得られたエネルギー信号が既知のエネルギー信号と異なると決定した場合、組織は障害組織として識別される。障害組織は、エネルギー信号を介して患者内で位置特定される。位置特定された障害組織によって引き起こされる身体障害は、人工知能(AI)モジュールによって診断される。その後、身体障害が処置される。
【0007】
本発明の他の目的、特徴及び特性、並びに動作の方法、及び構造の関連要素の機能、部品の組合せ、及び製造の経済性は、添付図面を参照しながら、以下の詳細な説明及び添付される特許請求の範囲の考慮によって(これらはいずれも本明細書の一部を形成する)、より明らかとなるであろう。
【0008】
本発明は、添付図面と共に示される、その好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより良く理解され、同様の参照数字は、同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に従って提供される障害組織モニタリングシステムのブロック図である。
図2】本発明の第2の実施形態に従って提供される障害組織モニタリングシステムのブロック図である。
図3】電極が患者の腹部に装着されているシステムの実施形態の図である。
図4図1のシステムにおける使用のための電極グリッドの平面図である。
図5図1のシステムにおける使用のための、スロット中で移動可能な電極を有する電極スライド構造の平面図である。
図6】実施形態の方法のステップのフロー図である。
図7】システムの構成要素を含む集積回路を組み込んだ医療用皮膚パッチの平面図である。
図8】胃に挿入されて示され、電極及び処置送達構造が胃の障害組織と係合している、本発明の原理に従って提供されるシステムの別の実施形態の斜視図である。
図9図8のシステムに関する実施形態の遠位端の拡大側面図である。
図10】実施形態の別の方法のステップのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、全体が10で示されている、体内障害をモニタリング及び診断するための障害組織モニタリングシステムの一実施形態が示されている。システム10は、好ましくは少なくとも2つ(好ましくは3つ)の電極12を含む電極構造の形をとるエネルギー検出センサ構造を含み、該電極の各々は好ましくは、電極コネクタ13を介して、電極電気信号16のための第1の利得段を提供する計装増幅器14と接続された銀-塩化銀電極である。フィルタ構造18は、信号16のハイパスフィルタリング及びローパスフィルタリングを提供する。フィルタ構造18は、アナログの(ハードウェアの)若しくはデジタルの(ソフトウェアの)ハイパスフィルタ及びローパスフィルタ、又はアナログフィルタとデジタルフィルタとの組み合わせを含むことができる。増幅器14及びフィルタ構造18は、信号調整器へと組み合わせられてもよい。
【0011】
電気信号16はまた、16ビットA/D変換器20に渡される。周波数信号及び周波数信号の強度を含むデジタル化された電極電気信号16’は、次に送信器22に渡され、該送信器22は、データ(例えば信号16’)を外部の携帯型ハンドヘルド装置24(従来のスマートフォン、タブレット、ラップトップ等)又はネットワーク30に無線の態様で転送する。携帯型装置24に送信されると、データは携帯型装置24の受信器28によって受信される。実施形態においては、電極12は、基板又はハウジングとみなされ得る携帯型ユニット25の外側に備えられる。バッテリ等の電源26が、ユニット25に電力供給する。
【0012】
携帯型装置24は、携帯型装置24の送信器32を介してネットワーク30と無線の態様で通信することもできる処理装置とみなすことができる。ネットワーク30は、コンピュータネットワーク(例えばLAN又はWAN)等の遠距離通信ネットワーク、インターネット、クラウドベースのサーバ、及び電話ネットワークのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0013】
携帯型装置24は、送信器22から受信された生データ(例えば周波数データの少なくとも周波数及び強度を含む信号16)を分析することができ、かつ、生データに基づいて患者の身体障害の識別、重症度、位置及び進行度を含む処置データを提供することができるマイクロプロセッサ回路42によって実行されるアプリケーション(APP)40を含むことができる。処置データは、ネットワーク30に記憶されてもよいし、ネットワーク30を介して共有若しくは取得されてもよいし、又は携帯型装置24のメモリ回路35に記憶されてもよい。また、携帯型装置24は、受信器28を介してネットワーク30からデータを受信してもよい。
【0014】
送信器22は、携帯型装置24からデータを受信するように、トランシーバの形をとってもよい。例えば、携帯型装置24は、較正の目的のために増幅器14によって受信することのできる較正信号37をトランシーバ22に送信し、システム10が仕様範囲内で実行されているか否かを決定してもよい。
【0015】
図2を参照すると、全体が10’で示されている、体内障害を診断するためのモニタリングシステムの第2の実施形態が示されている。システム10’は、携帯型ユニット25’内に配置され、マイクロプロセッサ回路44と接続された、単一のセンサ構造11(少なくとも2つ又は複数の小型化電極を含んでもよい)の形をとるエネルギー検出センサ構造を含む。マイクロプロセッサ回路44は、ユニット25’中に備えられ、アナログ電気信号16を、周波数信号及び周波数信号の強度を含むデジタル化された電気信号16’に変換するように構成及び配置されている。本実施形態においては、マイクロプロセッサ回路44は、アナログ電気信号16を増幅するように構成及び配置された増幅回路46と、増幅されたアナログ電気信号をフィルタリングするように構成及び配置されたフィルタ回路48と、増幅及びフィルタリングされたアナログ電気信号をデジタル化された電気信号16’に変換するように構成及び配置されたA/D変換回路50と、を含むことができる。フィルタ構造48は好ましくはデジタルハイパスフィルタ及びローパスフィルタを含むが、なぜなら、デジタルフィルタは、アナログフィルタよりもかなり正確に作ることができ、装置が変わったときに、また時間の経過とともに、理想的なものよりも低い性能に導くアナログ構成要素の公差の同じ影響を受けないからである。アナログ構成要素は、理想的な構成要素のみが使用されるように手動で選別することができるが、かなりのコストがかかり、医師への最終的な価格を押し上げることとなり、それでもこれらの構成要素は、精度を損なわせる環境ストレス及び時間経過による損害を受ける。マイクロプロセッサ回路44は、生データ(例えば周波数データの少なくとも周波数及び強度を含む信号16’)を分析することができ、かつ、生データに基づいて患者の身体障害の識別、重症度、位置及び/又は伝播(増殖、蔓延)を含む処置データを提供することができる42に対する少なくとも1つのアルゴリズムを実行するように構成された人工知能(AI)モジュール49を含む。位置特定及び伝播データは、以下に更に説明されるように、エネルギー指向センサ構造(例えば少なくとも2つの電極)によって得られた周波数及び強度データに基づいて、従来の三角測量及び/又は三辺測量技術を利用することによって、AIモジュール49を用いて得ることができる。代替としては、AIモジュール49は、装置24中のAPP40の一部であってもよい。
【0016】
AIモジュール49は好ましくは、障害組織に起因する、疑いのある身体障害の診断を提供するように構成される。初期(第1のレベル)のソフトウェア分析が100%感度マーカー方程式を使用したAIモジュール49によって実行される。100%感度マーカー方程式を使用して、患者が身体障害(例えば以下に説明されるような子宮内膜症)を有することについて陰性であると試験された場合、患者はもはや身体障害を有するとはみなされない。患者が第1のレベルの分析を通過した場合、AIモジュール49におけるプログラミングは、異なる方程式を調べて偽陰性がないことを確認するための次のメモリレベル(第2のレベル)に移行する。偽陰性が決定されなければ、患者は身体障害(例えば子宮内膜症)を有するとみなされる。
【0017】
AIモジュールは、ソフトウェアが第1及び第2のレベルのアルゴリズムによって決定されなかった答えを見出す能力を与えられているより洗練されたレベルである第3のレベルを含む。メモリ回路51は、ソフトウェアがアクセスすることが可能となる情報(例えば患者の年齢、症状)の追加的なデータベースを含む。かかる情報は、診断において又は少なくとも身体障害の予測可能性において役割を果たすいずれの情報を含んでもよい。予測可能性について高い統計的レベルのものであると考えられる情報は、この第3のレベルのプログラムで調べるべきである。したがって、この第3のレベルの分析においては、AIモジュールは、身体障害の陽性診断(肯定的診断、確定診断)の最も高い確率レベルに帰着する最大の数の変数(情報)をもたらすように、メモリ回路51中の情報を検索するように構成される。
【0018】
疑いのある状況の存在を予測するための他の方法があることに留意されたい。これらの方法のうちの1つは、患者質問票の使用である。AIモジュール49は、第4のレベルの分析(自己認識AI)を有するように構成することができる。AIモジュール49におけるプログラミングは、診断を確認するのに役立つ追加的な質問をすることが可能であるように構成されてもよい。例えば、AIモジュール49は、広範であるが主観的な質問票を使用して、(例えばAPP40を介して)患者に問い合わせてもよい。したがって、AIモジュール49におけるプログラミングは、身体状況の最大限の予測可能性を達成するために、既知の質問票回答の確率を含めることを決定してもよい。本システムは、ネットワーク30中のサーバとインタフェースする着用可能な装置(図7参照)とすることができるので、世界中のデータが、数百万人の患者から毎日収集可能とされる。AIモジュール49は、世界中のデータにアクセスし該データを分析することができ、AIモジュール49中のプログラミングは、最も重要なパラメータを「自由に考え」、それ自体の内部アルゴリズムを発展させて、診断を最大化するためにそれ自体の階層を進化させることが可能となるように構成されている。
【0019】
送信器22が、ユニット25’中に備えられ、以上に述べられた処置データを無線の態様で携帯型装置24及び/又はネットワーク30に送信するように構成及び配置されている。電源26が、装置10’に電力供給するために備えられている。
【0020】
システム10、10’の好ましい実施形態における利得は固定され、通常予測される最大のピークツーピーク信号16に従って設定される。16ビットA/D変換器20、50は、皮膚表面、胃又は他の脂肪組織に直接に接触して配設された場合に、電極12間にかなりの量の脂肪組織が介在する人物から記録され得るような、より低いレベルの信号を適切に処理するのに十分な分解能を提供する。もちろん利得は、追加的なコストでアナログ制御を介して、又はデジタル制御を介して、制御可能とされてもよい。
【0021】
携帯型装置24及び/又はネットワーク若しくはコンピュータ30とのデータ通信のための無線送信器22の使用は、システムの性能を低下させ得る断続的な又は全体的な故障の可能性をそれぞれ明確に呈する煩雑なケーブル及び複雑なインタフェースの必要性を除去する。得られる処置データは、例えばセルラ信号、Bluetooth(登録商標)又はWIFIを介して、ネットワーク30又は携帯型装置24に無線で送信されてもよい。メモリ回路35又は51はそれぞれ、後のネットワーク30への送信のために、試験全体に相当するデータを記憶するのに十分なオンボードメモリを提供する。
【0022】
本出願人は、身体に体内障害が存在する場合、その障害を引き起こしている組織の神経が特定のエネルギー(例えば周波数)を発散することを見出し、正常なかかる組織と比較した、特定の組織障害の「指紋」を定義する。人体における組織及びプロセスの正常な機能は、臓器に関連している。調節するものとして機能する特殊な組織及び細胞は、内部制御又はホメオスタシスとして知られるものを司るものである。正常なホメオスタシスを表す正常な組織周波数の検出は、健康と病気との違いを決定する際に有用である。病気が生じると、正常なコントローラ又はホメオスタシスの障害を引き起こし、それがエネルギー又はエネルギーのパターンの変化として見られるようになり、基礎疾患及び症状を表すこととなる。かくして、障害組織は、非正常組織又は疾患組織であり得る。
【0023】
例えば、子宮内膜症は、組織が子宮から抜け出し、神経系の問題及び痛みを引き起こす状況である。本出願人は、子宮内膜症を感知するとき、子宮内膜症組織は直接には感知されないことを見出した。しかしながら、子宮内膜症組織が身体のエネルギーに及ぼす影響は感知することができる。子宮内膜症組織は小腸の収縮の周波数を増大させる神経伝達物質を分泌する。正常な状況の子宮は、周波数範囲が4cpm~8cpmとなる月経中を除き、1cpm~3cpmの周波数範囲でエネルギーを発散する。抜け出した(障害のある又は非正常な)組織のエネルギー効果は、12cpm~60cpm(サイクル/分)の周波数範囲で検出可能であり、より詳細には、近位十二指腸付近では12cpm~22cpmの周波数範囲で、遠位十二指腸付近では30cpm~60cpmの周波数範囲で、検出可能であると確認されている。
【0024】
別の例として、腸の正常な状況は、腸の中での位置に応じて、3cpm~15cpmの周波数範囲でエネルギーを発散する。瘢痕組織(障害組織又は非正常組織)に起因する腸の痙攣又は閉塞は、遠位回腸付近では180cpm~200cpmの周波数範囲で、小腸付近では50cpm~70cpmの周波数範囲で、検出可能であると確認されている。更なる例においては、尿道障害が検出可能とされる。尿を通過させる尿道組織の正常な周波数は、7cpmである。本出願人は、少なくとも18cpm以上の周波数が、障害のある又は非正常な尿道組織を示すことを見出した。
【0025】
したがって、システム10及び10’のフィルタ構造18、48はそれぞれ、いずれかの身体障害の「指紋」を定義することが知られている周波数範囲を検出するように構成することができる。
【0026】
子宮内膜症を検出するためには、フィルタ構造18、48は、ハイパスフィルタ及びローパスフィルタが12cpm~60cpmの範囲内の周波数の検出を可能とするように選択される。腸閉塞を検出するためには、フィルタ構造18、48は、ハイパスフィルタ及びローパスフィルタが、検出の目的となる場所に依存して、180cpm~200cpmの範囲内又は50cpm~70cpmの範囲内の周波数の検出を可能とするように選択される。尿道障害を検出するためには、フィルタ構造18、48は、ハイパスフィルタとローパスフィルタが、15cpm~25cpmの範囲内の周波数の検出を可能とするように選択される。これらのフィルタは、一般的には両方とも二次のものであるが、より高次のデジタルフィルタが実装されてもよい。ソフトウェア分析に先立ちハイパス機能及び/又はローパス機能が信号16’の所望のバンドパスフィルタリングを達成するために、任意の第2のデジタルフィルタがソフトウェア(コンピュータ可読媒体)に実装されてもよい。この手法はまた、特定の身体障害に焦点を当てるために、デジタルフィルタにおける特定の周波数範囲を変更するための、システムにおける大きな柔軟性を提供する。
【0027】
システム10、10’は、エネルギー「指紋」を生じるあらゆる体内組織の障害を位置特定するために利用することができるので、電極12又はセンサ構造11が、1)身体の部分の広い領域を感知することが可能であること、2)互いに対して及びそれらが接触する若しくは近接する患者の組織に対して移動可能であること、又は3)接触又は近接する患者の組織に対して移動可能であるグリッド上に固定されていること、が好ましい。
【0028】
図3を参照すると、システム10、10’は、患者Pの身体表面に接触又は近接して装着された複数の電極12(好ましくは少なくとも3つ)の形をとるエネルギー検出センサ構造を利用して示されている。各電極12は、全体の感知領域(Aにおいてクロスハッチングされている)を画定する感知領域Sを有する。感知領域Sは、二重クロスハッチングされた領域Oにおいて重なり、それにより、マイクロプロセッサ回路42又は44のAIモジュール49が、最も強い周波数信号(信号強度)を得たときに、電極信号の三角測量及び/又は三辺測量を利用して、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの電極12から、3つの次元における障害組織の重症度、位置及び/又は伝播(移動又は変化)を決定することができる。電極12がユニット25の外部にある場合、各電極12の電気接続部41は、ユニット25の電極コネクタ13(図1)と接続することができる。電極12は、好ましくは使い捨てである。複数の重複する検出野が開示されているが、複数の電極の代わりに、広い検出野を有する単一のセンサ構造又は電極が備えられて、身体表面上に又は身体表面に近接して配設されてもよいことも、理解され得る。さらに、かかる単一の広い検出野のセンサ又は電極が、皮膚の下に埋め込まれてもよい。
【0029】
別の実施形態においては、図4を参照すると、エネルギー検出センサ構造は、全体が52で示される電極アレイ構造の形をとり、該電極アレイ構造は、可撓性基板54上に固定されたアレイ又はグリッドの形で備えられた複数の電極12’(好ましくは少なくとも3つの電極12’)を含む。単一のコネクタ56が、ユニット25の電極コネクタ13(図1)と接続してもよい。電極アレイ構造52は、患者の身体上に配設することができ、種々の位置に移動させることができ、それにより、マイクロプロセッサ回路42又は44のAIモジュール49が、最も強い周波数信号(信号強度)を得たときに、電極信号の三角測量及び/又は三辺測量を利用して、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの電極12’から、3つの次元における障害組織の重症度、位置及び伝播(移動又は変化)を決定することができる。代替としては、電極アレイ構造52は、電極12’が患者の皮膚に近接するように患者に装着されるベストの中に配設されてもよく、このときベストは移動可能であり、それにより、マイクロプロセッサ回路42又は44のAIモジュール49が、最も強い周波数信号(信号強度)を得たときに、電極信号の三角測量及び/又は三辺測量を利用して、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの電極12’から、3つの次元における障害組織の重症度、位置及び伝播(移動)を決定することができる。電極アレイ構造52は、好ましくは使い捨てである。
【0030】
代替として、電極を可撓性基板上に固定する代わりに、図5を参照すると、全体が58で示される電極スライド構造が示されており、該電極スライド構造は、複数の離隔された水平スロット62及び複数の離隔された垂直スロット64をその中に有する、可撓性基板60を含む。複数の電極12’’(好ましくは少なくとも3つの電極12’’)が備えられ、その各々が、基板60に対して水平方向及び垂直方向の両方に移動可能となるように、スロット62、64に対して摩擦係合されている基部66を有する。電極12’’の電気接続部68は、ユニット25の電極コネクタ13(図1)と接続することができる。かくして、電極スライド構造58は、患者の身体上に配設することができ、身体上の種々の位置に移動させることができ、電極12’’は、基板60上の種々の位置にスライドさせること又は移動させることができ、それにより、マイクロプロセッサ回路42又は44のAIモジュール49が、最も強い周波数信号(信号強度)を得たときに、電極信号の三角測量及び/又は三辺測量を利用して、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの電極12’’から、3つの次元における障害組織の重症度、位置及び伝播(移動又は変化)を決定することができる。例えば、図3を参照すると、障害組織が部分的に電極感知領域Sのうちの1つよりも多くにある場合、三辺測量を使用すると、障害組織の位置Tは、3つの電極領域Sの外周の交点にある。3つの外周(円)が点で交わらない場合は、位置領域が得られることとなる。三角測量は、障害組織が電極のうちの1つのみの感知領域S内に入る場合に使用することができる。
【0031】
代替として、電極スライド構造58は、電極12’’が患者の皮膚に近接するように患者に装着されるベストの中に配設されてもよく、このときベストは身体上の種々の位置に移動可能であり、電極12’’は基板60上の種々の位置にスライド又は移動させることができ、それにより、マイクロプロセッサ回路42又は44のAIモジュール49が、最も強い周波数信号(信号強度)を得たときに、電極信号の三角測量及び/又は三辺測量を利用して、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの電極12’’から、3つの次元における障害組織の重症度、位置及び伝播(移動又は変化)を決定することができる。電極スライド構造58は、好ましくは使い捨てである。
【0032】
エネルギー検出センサ構造11、12、12’、12’’は、障害組織又は障害組織が影響を与える他の組織の周波数、周波数強度、及び周波数信号の起源の方向を検出することができる。以上に説明されたような三角測量及び/又は三辺測量を使用することによって、障害組織の重症度、特定位置及び伝播を含む処置データを識別することができる。特定位置は、ピンポイントの位置である必要はない。したがって、モニタリングされた組織の周波数が特定の障害組織によって引き起こされる「指紋」範囲内にあれば、障害組織に関する処置データが得られる。また、障害組織の特定位置及び伝播等の他の特性が、システム10、10’によって決定され得るため、更なる侵襲的な内視鏡検査又は腹腔鏡検査による位置特定手順なく処置を行うことができる。例えば、腸閉塞は、以上に述べられたように、正常な周波数と比較した、障害のある腸組織によって影響を受けた腸組織又は他の組織の特定の障害周波数に基づいて検出することができる。周波数信号(例えば筋肉の接触により生じる)の強度(強さ)が、定義された領域にわたって一定のままである場合、これは閉塞の静的な位置を示すこととなる。しかしながら、周波数信号の強度が、ある距離にわたって増大し、次いで減少することが検出された場合、閉塞(障害組織)の伝播(変化及び重症度又は程度)が決定される。例えば、子宮内膜症の身体障害は、女性の月経周期の間に変化し得るものであり、同様に関連する腸神経系の痙攣も変化し得るものであり、又は、腸閉塞は、位置が変わるか、若しくは消化器系の様々な部分に影響を及ぼし得る。腸閉塞が固定であるか又は静止している場合、伝播はゼロである。周波数信号がある位置から障害組織に沿って第2の位置まで移動するのに要する時間、及び2つの位置の間の距離は、AIモジュール49によって得ることができ、障害組織の伝播及び/又は閉塞又は障害の位置を決定するために使用することができる。したがって、システム10、10’’は、障害組織の焦点、及び、例えば上流、下流、又は焦点とは異なる位置といった障害組織の広がりを、決定することができる。
【0033】
ユニット25、25’(例えば少なくとも2つの電極等のエネルギー検出センサ構造、増幅器、フィルタ構造、A/D変換器、マイクロプロセッサ回路、及び送信器)は、携帯型の、可撓性のある、着用可能な及び使い捨て可能なものとなるよう、小型電源を有する単一の集積回路にまで小型化されてもよいことに留意されたい。したがって、ハウジングは必要とされないか、又は集積回路の可撓性基板をハウジングとみなすことができる。着用性を高めるために、小型化されているか否かにかかわらず、ユニット25、25’は好ましくは、可撓性であり、耐汗性又は耐水性である。例えば、図7を参照すると、身体上の全体的な装着位置が既知である場合、集積回路25、25’は、医療用皮膚パッチ78の中に構成されてもよいし、又は、接着性の包帯のパッドの代わりに使用者の皮膚に接着させられて着用されてもよい。皮膚パッチ78は、集積回路を覆う部分80を有してもよく、その下面が皮膚に接着される装着部分82を含んでもよい。代替としては、集積回路は、自己接着包帯(例えば腹部に巻かれる)を使用して身体に装着されてもよいし、又はベルトに組み込まれて、必要に応じて身体の種々の場所に移動させられて再装着されることを可能としてもよい。かくして、ユニット25、25’は、患者によって装着されると、一定期間にわたってデータを得て、ネットワーク30を通してデータを送信することができる。
【0034】
処置データがシステム10、10’によって得られると、システム10、10’は、処置を開始するようにユーザに通知することができる。処置は、例えば、ユニット25’(図2)に含まれる処置送達構造(処置実施構造)53からの電磁周波数(EMF)又は電気刺激若しくは衝撃処置等のエネルギーを用いて、障害組織を直接に変調することによって、実行されてもよい。処置送達構造53は、その内容が参照により本明細書に組み込まれたものとする、米国特許出願公開第20170332961A1号に開示されたタイプのものであってもよい。処置送達構造53は、ユニット25’とは別個のものであり、ユニット25’の外部にあり(例えば薬物又はホルモン)、患者の身体に移植又は配置されてもよく、ネットワーク30又は携帯型装置24と無線で通信してもよい。薬物又はホルモンが、障害組織に又は障害組織の近傍の組織に直接に送達されて、障害組織に関連する身体障害を処置してもよい。したがって、障害組織の処置は、障害組織に直接に行われてもよいし、又は間接的に行われてもよい。マイクロプロセッサ回路42又は44は、処置を送達(実施)するよう処置送達構造53に信号送信してもよい。代替としては、処置は、手術による障害組織の除去であってもよい。薬物又はホルモン処置が利用される場合、患者上に配置されるか又は患者の中に移植される処置送達構造53は、EMF又は電気刺激若しくは衝撃を送達する代わりに、好ましくは医師からの認可を受けて、携帯型装置24上のAPPによって制御されることによって、障害組織を落ち着かせるために、必要に応じて薬物又はホルモンを障害組織又はその近傍の組織に送達してもよい。例えば、システム10、10’が胃腸管の運動性の異常を検出した場合、処置送達構造53は、運動性を速める、遅くする、又は運動性を停止させるための処置(薬物、EMF等)を送達してもよい。代替としては、ユニット25’が医療用皮膚パッチ78上の集積回路の形をとる場合、処置送達構造53がそのパッチ自体であってもよく、それにより、薬物又はホルモンを、パッチを介して経皮的に送達することができ、又は、パッチ78は、処置を送達する別の皮膚パッチ(図示されていない)に無線で指示を伝達することができる。ユニット25’は、制御を開始するための入力ボタンを有してもよい。
【0035】
携帯型装置24又はコンピュータ30によって得られる又は受信される処置データは、色分けされたデータを含んでもよい。例えば、異常組織を示す周波数は赤色に色分けされ、他の正常な周波数は青色に色分けされる等、異なる周波数が異なる色を割り当てられてもよい。また、周波数信号の強度が、データとともに表示されてもよい。
【0036】
かくして、以上に概説されたアルゴリズムを利用することによって、図6を参照すると、患者の中の障害組織をモニタリングする方法は、ステップ70において、関連する正常組織の周波数範囲外にある患者の特定の障害組織に関連する周波数範囲を(例えば以上に述べられた「指紋」に基づいて)特定することを含む。ステップ72において、エネルギー検出センサ構造11、12、12’、12’’は、患者の身体組織上に、又は身体組織に近接して配設される。ステップ74において、水負荷試験(水分補給試験)又は障害組織の刺激を引き起こすいずれかの数の他の方法を利用すること等によって、エネルギー信号発生が誘導され、それにより、障害組織が、検出され得る「異常な」周波数又はエネルギー信号を発する。水負荷試験は従来のものであり、患者が胃に入る量の水を摂取(消費)することを含む。ステップ76において、エネルギー検出センサ構造によって、障害組織(異常組織)の周波数データ及び周波数の強度が得られる。ステップ78において、周波数データがマイクロプロセッサ42、44によって分析されて、患者の特定の障害組織に関連する特定された周波数範囲内にあるか否かを決定し、そうであれば、マイクロプロセッサ42、44のAIモジュール49が、三辺測量によって、患者の身体内の障害組織の特定の位置を決定する。ステップ79において、周波数データ及び位置データが、任意に別の装置に送信される。以上に説明されたように、データの送信は、好ましくは無線の態様であるが、送信が有線の態様でデータを転送することを含み得ることは、実施形態の想定の範囲内である。AIモジュール49は、以上に説明されたように、障害組織によって引き起こされた身体状況の診断を決定するように構成されている。患者が障害組織によって引き起こされた身体的障害を有することが既知となると、例えばEMFを用いて障害組織を変調させること、手術を実行すること、又は患者に薬物若しくはホルモンを送達することによって、処置を実行することができる。したがって、生成された信号に依存するパーソナライズされた処置を実行することができる。それゆえ、障害組織の異常信号を検出することが可能な同じシステム10、10’が、別の別個の装置(図示されていない)を介して、又は同じシステム10’を介して(図2を参照、処置送達構造53を介して)、治療又は処置を指示することが可能である。
【0037】
治療処置の後、システム10、10’は、その直後、遅延期間の後、又は長い期間の後で、再び利用されて、障害組織が以前に識別された位置(複数の場合もある)において感知された周波数の変化があるか否かを決定することができる。
【0038】
子宮内膜症及び腸閉塞についての実施形態が開示されたが、システム10、10’は、障害が以上に述べられたようにエネルギー「指紋」を発散する限り、適切な周波数範囲の検出を確実にすることによって、任意の体内障害を位置特定するように構成することができる。例えば、限定するものではないが、疾患の疑いのある臓器/組織から得られるエネルギーが、正常な機能状況における臓器/組織の既知のエネルギーと異なる場合に、疾患状態を識別することによって、関連する疾患状態を有する以下の臓器/組織が、本明細書のシステム10、10’及び方法によって識別可能とされる:
尿管、正常な状況=1cpm~4cpm
疾患状態:閉塞、結石、癌
膀胱、正常な状況=2cpm~4cpm
疾患状態:
感染若しくは自己免疫又は他の原因に起因する膀胱炎
膀胱痙攣
癌、自己免疫疾患のような浸潤性疾患
腎結石等の閉塞
卵管、正常な状況=1cpm~4cpm、ただし排卵期中は8cpm~12cpm
周波数(頻度)は月経周期と関連しており、排卵の予測及び受精に最適な時期の予測を可能にし得る
疾患の状態:
閉塞、卵管妊娠
子宮、正常な状況=1cpm~3cpm、ただし月経中は4cpm~8cpm
疾患の状態:
腺筋症、腫瘍
受精に影響を及ぼす運動障害
胆道系、正常な状況=1cpm~2cpm
疾患の状態:
結石、狭窄、腫瘍、閉塞
12cpm~18cpmの範囲内の異常周波数(頻度)
大腸及び小腸、正常な状況=3cpm~15cpm、腸内の場所に依存する
疾患の状態:
炎症性腸疾患及び閉塞又は収縮力の変化
これらの疾患の制御のために薬物療法が使用されるが、効果があることを決定することが可能であることが多いわけではない。正常なホメオスタシス周波数への復帰を感知することが、侵襲的な検査を回避しながら、正常への復帰を示すために使用することができる。
胃、正常な状況=3cpm
疾患の状態:潰瘍
大動脈及び他の大血管
疾患の状態:
動脈瘤
閉塞
【0039】
システム10、10’は、被検者に対する外部使用のために構成されている。しかしながら、その内容が参照により本明細書に組み込まれたものとする、米国特許第8,753,340号に開示されているようなカテーテル構造等の装置が、その電極を使用して身体の内部で障害組織の影響を感知するよう修正されてもよく、及び/又は、内部の障害組織に処置を送達してもよい。したがって、図8を参照すると、カテーテル構造の形をとる別の実施形態のシステム10’’’が、胃、子宮、腸、又は以上に述べられた他の内部器官若しくはヒトの系等のヒトの器官86中の組織にアクセスするために、内視鏡84等を介して挿入されて示されている。システム10’’’は、遠位端90及び近位端92を有する長細の管構造88を含む。したがって、管構造88を有するシステム10’’’は、障害組織にアクセスし障害組織を処置するために、いずれかの身体の開口部に挿入することができる。エネルギー検出センサ構造、好ましくは3つの電極12’’’は、好ましくは管構造88の遠位端90に対してかなり後退した位置から、遠位端90から直接に延在する動作位置まで移動させられるように、管構造88の遠位端90と関連付けられる。信号ワイヤ94は、以下により十分に説明されるように、電極から信号を得るために、各電極12’’’に関連付けられる。ワイヤ94は、管構造88内をその近位端92まで延在する。
【0040】
電極12’’’とは別に、処置送達構造96もまた、管構造88中に備えられている。ヒトの器官86に挿入されているとき、電極12’’’及び処置送達構造96は挿入位置にある。より詳細には、電極12’’’及び処置送達構造96は後退しており、遠位端90の近傍に配置され、好ましくは管構造88の内部に配置されている。電極12’’’及び処置送達構造96は、標準的な内視鏡84の生検チャネルを通される管構造88を介して送達される。図示される実施形態においては、3つの電極12’’’が備えられ、1つは正信号用、1つは負信号用、1つは接地用である。
【0041】
一実施形態においては、電極12’’’及び処置送達構造96を後退位置と伸長位置との間で移動させるために、作動構造98、100が備えられている。実施形態においては、作動構造は例えば、管構造88の近位端において、別個に又は一体的に手動で移動可能な、電極12’’’と動作可能に関連付けられた1本以上のワイヤ98とすることができる。例えば、図8は、ワイヤ98に結合された単一のプランジャ100を示す。プランジャ100の動きは、電極12’’’を、好ましくは一体的に、伸長及び後退させる。代替として、図9を参照すると、潰瘍102等の障害組織を探すために電極12’’’を後退及び再配置する代わりに、システム10’’’は、管構造88内に複数の内腔104を含むことができる。各内腔104は、異なる電極12’’’を含み、各電極12’’’が異なる方向に別個に向けられて、診断追跡位置を拡大し、多処置及び感知部位を可能にすることができるようにする。図9の実施形態においては、電極は、システム10’’’を障害組織部位に挿入すること/障害組織部位から取り外すことの容易さのために、後退可能とすることができる。
【0042】
図8に戻ると、システム10’’’は、図2のプロセッサ回路44、メモリ回路51及び送信器22を含む。かくして、プロセッサ回路44は、対象とする障害組織に関連する周波数の感知のための適切な信号フィルタリングを有するフィルタ48を含む。マイクロプロセッサ回路44は、以上に述べられたように、生データ(例えば周波数データの周波数及び強度等の信号)を分析し、生データに基づいて患者の身体障害の識別、重症度、位置及び/又は伝播を含む処置データを提供することができる、少なくとも1つのアルゴリズムを実行するように構成された、人工知能(AI)モジュール49(図2)を含む。組織を電気的に刺激することによる処置のために、エネルギー源106、好ましくは電気エネルギー源が提供され、処置送達構造96は、障害組織102に係合して障害組織102に電気刺激を提供するための電極108(図9)を含む。電気刺激を提供する代わりに、処置送達構造96は、薬物、ホルモン、合成物質、細胞、組織/生物工学処理された組織及び/又は化学物質を、障害組織102に提供するように構成されてもよい。
【0043】
組織を電気的に刺激することによる処置のために、エネルギー源106、好ましくは電気エネルギー源が提供され、処置送達構造96は、障害組織102に係合して障害組織102に電気刺激を提供するための電極108(図9)を含む。電気刺激を提供する代わりに、処置送達構造96は、薬物、ホルモン、合成物質、細胞、組織/生物工学処理された組織及び/又は化学物質を、障害組織102に提供するように構成されてもよい。
【0044】
正常組織のエネルギー及び障害組織に起因するエネルギーの変化を感知するための電極が開示されているが、他のエネルギー感知装置を利用することができる。例えば、組織中の電磁エネルギー変化を検出することができるエネルギーセンサ構造を利用することができる。
【0045】
図10を参照すると、患者の障害組織を決定及び処置する方法が開示されている。ステップ110において、(例えば水負荷を介して)障害組織からエネルギー信号発生が誘導される。ステップ112において、エネルギー検出センサ構造(例えば11、12、12’、12’’)が利用されて、患者の組織からエネルギー信号を得る。ステップ114において、得られたエネルギー信号が、プロセッサ回路44において、組織の正常な機能下における同じ組織の既知のエネルギー信号と比較される。ステップ116において、比較するステップが、得られたエネルギー信号が既知のエネルギー信号と異なると決定した場合、組織は障害組織として識別される。ステップ118において、障害組織は、エネルギー信号を介して患者内で(例えば以上に述べられたように三角測量/三辺測量を介して)位置特定される。ステップ120において、位置特定された障害組織によって引き起こされる身体障害が(AIモジュール49を介して)診断される。その後、ステップ122において、身体障害が処置される。
【0046】
本明細書で説明される動作及びアルゴリズムは、説明されるようなマイクロプロセッサ回路42、44内で実行可能なコードとして実装されてもよいし、又は、スタンドアロン型コンピュータ若しくは機械可読非一時的有形記憶媒体に記憶されてもよく、1つ以上の集積回路を使用して実装されたプロセッサ回路によるコードの実行に基づいて完了される。開示される回路の例示的な実装は、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のロジックアレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は特定用途向け集積回路(ASIC)等の集積回路のマスクプログラミングによって実装される、ハードウェアロジックを含む。これらの回路はいずれも、マイクロプロセッサ回路等の対応する内部プロセッサ回路によって実行され、1つ以上の集積回路を使用して実装されるソフトウェアベースの実行可能リソースを使用して実装されてもよく、内部メモリ回路に記憶された実行可能コードの実行が、プロセッサ回路を実装する集積回路(複数の場合もある)に、アプリケーション状態変数をプロセッサメモリに記憶させ、本明細書で説明される回路の動作を実行する実行可能アプリケーションリソース(例えばアプリケーションインスタンス)を作成する。それゆえ、本明細書における用語「回路」の使用は、1つ以上の集積回路を使用して実装され、説明される動作を実行するためのロジックを含むハードウェアベースの回路、又は(1つ以上の集積回路を使用して実装される)プロセッサ回路を含むソフトウェアベースの回路の両方を指し、プロセッサ回路は、プロセッサ回路による実行可能コードの実行によって変更されるアプリケーション状態データ及びアプリケーション変数の記憶のためのプロセッサメモリの予約部分を含む。メモリ回路35、51は、例えば、プログラマブル読み取り専用メモリ(PROM)又はEPROM等の不揮発性メモリ、及び/又はDRAM等の揮発性メモリを使用して、実装されてもよい。
【0047】
以上の好ましい実施形態は、本発明の構造的及び機能的な原理を説明し、好ましい実施形態を利用する方法を説明する目的のために示され説明されたものであり、かかる原理から逸脱することなく変更を受けるものである。それゆえ、本発明は、以下の特許請求の範囲の精神内に包含される全ての修正を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】